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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】軸保持部材
(51)【国際特許分類】
   B60B 19/12 20060101AFI20240227BHJP
   B60B 19/00 20060101ALI20240227BHJP
   B61B 13/00 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
B60B19/12
B60B19/00 H
B61B13/00 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021543011
(86)(22)【出願日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 JP2020032421
(87)【国際公開番号】W WO2021039919
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-08-01
(31)【優先権主張番号】P 2019158425
(32)【優先日】2019-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000107147
【氏名又は名称】ニデックドライブテクノロジー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】出口 徳生
(72)【発明者】
【氏名】小橋 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】越前谷 剛
(72)【発明者】
【氏名】矢田 渉
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-203681(JP,A)
【文献】特開2006-168659(JP,A)
【文献】特開2019-131010(JP,A)
【文献】特開2017-210035(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 19/12
B60B 19/00
B61B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被駆動ローラを有する主輪に駆動力を伝達する複数の駆動ローラが配置される駆動力伝達部材の軸支持部に嵌合することが可能であり、前記駆動ローラの軸を回転可能に保持する軸保持部材であって、
前記駆動力伝達部材の前記軸支持部は、前記駆動力伝達部材の回転軸線に沿った第1方向に向かって開放されており、前記第1方向と反対の第2方向に向かって窪んでおり、
前記軸保持部材は、
中心軸線を中心とする中空孔を有し、前記駆動ローラの前記軸を回転可能に保持する本体部を有し、
前記本体部は、第1保持部と第2保持部とを有し、
前記第1保持部は、
前記中心軸線の周りの周方向に沿って湾曲しており、前記駆動ローラの前記軸を保持する第1内壁面と、
前記中心軸線に対する径方向において前記第1内壁面と対向し、前記周方向に沿って湾曲している外壁面と
を有し、
前記第2保持部は、
前記周方向に沿って湾曲しており、前記第1内壁面に連続して前記駆動ローラの前記軸を保持する第2内壁面と、
前記周方向における前記外壁面の一端に連続する第1面と、
前記周方向における前記外壁面の他端に連続する第2面と
を有し、
前記第1面は、
前記中心軸線からの前記第1面の前記周方向における一端との距離よりも、前記中心軸線からの距離が長い第1長距離部を有し、
前記第2面は、
前記中心軸線からの前記第2面の前記周方向における一端との距離よりも、前記中心軸線からの距離が長い第2長距離部を有し、
前記第1面の前記一端及び前記第1長距離部と、前記第2面の前記一端及び前記第2長距離部とは、前記軸支持部に接触することが可能である、軸保持部材。
【請求項2】
前記第1面と前記第2面とが平面である、請求項1に記載の軸保持部材。
【請求項3】
前記第1面と前記第2面とは実質的に平行である、請求項2に記載の軸保持部材。
【請求項4】
前記周方向における前記外壁面の前記一端と、前記周方向における前記外壁面の前記他端と、前記中心軸線とは、一直線上に並ぶ、請求項1から3のいずれか1項に記載の軸保持部材。
【請求項5】
前記本体部から、前記径方向の外側に向って広がる鍔部をさらに有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の軸保持部材。
【請求項6】
前記外壁面は前記軸支持部に接触し、
前記第1保持部の前記中心軸線に沿った長さは、前記鍔部の前記中心軸線に沿った長さよりも長い、請求項5に記載の軸保持部材。
【請求項7】
前記第2保持部の前記中心軸線に沿った長さは、前記鍔部の前記中心軸線に沿った長さよりも長い、請求項5又は請求項6に記載の軸保持部材。
【請求項8】
前記軸保持部材は、金属により構成される、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の軸保持部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸保持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の摩擦式駆動装置では、左右の脚部材および下部支持プレート間には主輪および左右のドライブディスクが配置されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
主輪は、左右方向に水平に延在する軸線を中心した円環状の芯体と、芯体の円周方向に複数配置され、各々自身の配置位置に於ける芯体の接線方向に延在する軸線周りに回転可能なドリブンローラとを含む。
【0004】
左右のドライブディスクは、主輪の左右両側に対称に配置され、各々、ハブと、ホイールと、複数個のホルダを有し、周方向に隔置された複数のドライブローラを各々ドライブディスクの回転軸線に対してねじれの関係をなす回転軸線周りに回転可能に支持している。
【0005】
ドライブローラには、中心部を軸線方向に貫通したローラ軸が取り付けられている。ローラ軸はドライブローラの軸線方向の両側に突出しており、隣り合う2個のホルダの対応する軸受孔にフランジ付きのブッシュを介して回転可能に嵌合している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-203680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の摩擦式駆動装置では、ホルダの軸受孔は、円柱状にホルダを貫通している。加えて、複数のドライブローラをホイールの周方向に高密度に配置することが要求される。従って、複数のドライブローラごとに、ドライブローラのローラ軸を、対応する2個のホルダの軸受孔に嵌合させる作業が煩雑である。換言すれば、ドライブローラの組み付け工程が煩雑になる。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、駆動ローラの取り付け工程を簡素化できる軸保持部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の例示的な軸保持部材は、駆動力伝達部材の軸支持部に嵌合することが可能である。前記駆動力伝達部材には、複数の駆動ローラが配置される。前記複数の駆動ローラは、主輪に駆動力を伝達する。前記主輪は、複数の被駆動ローラを有する。前記軸保持部材は、前記駆動ローラの軸を回転可能に保持する。前記駆動力伝達部材の前記軸支持部は、前記駆動力伝達部材の回転軸線に沿った第1方向に向かって開放されている。前記駆動力伝達部材の前記軸支持部は、前記第1方向と反対の第2方向に向かって窪んでいる。前記軸保持部材は、本体部を有する。前記本体部は、中空孔を有する。前記中空孔は、中心軸線を中心とする。前記本体部は、前記駆動ローラの前記軸を回転可能に保持する。前記本体部は、第1保持部と第2保持部とを有する。前記第1保持部は、第1内壁面と、外壁面とを有する。前記第1内壁面は、前記中心軸線の周りの周方向に沿って湾曲している。前記第1内壁面は、前記駆動ローラの前記軸を保持する。前記外壁面は、前記中心軸線に対する径方向において前記第1内壁面と対向する。前記外壁面は、前記周方向に沿って湾曲している。前記第2保持部は、第2内壁面と、第1面と、第2面とを有する。前記第2内壁面は、前記周方向に沿って湾曲している。前記第2内壁面は、前記第1内壁面に連続して前記駆動ローラの前記軸を保持する。前記第1面は、前記周方向における前記外壁面の一端に連続する。前記第2面は、前記周方向における前記外壁面の他端に連続する。前記第1面は、第1長距離部を有する。前記第1長距離部は、前記中心軸線からの前記第1面の前記周方向における一端との距離よりも、前記中心軸線からの距離が長い。前記第2面は、第2長距離部を有する。前記第2長距離部は、前記中心軸線からの前記第2面の前記周方向における一端との距離よりも、前記中心軸線からの距離が長い。前記第1面の前記一端及び前記第1長距離部と、前記第2面の前記一端及び前記第2長距離部とは、前記軸支持部に接触することが可能である。
【発明の効果】
【0010】
例示的な本発明によれば、駆動ローラの組み付け工程を簡素化できる軸保持部材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施形態に係る搬送車を示す斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係る搬送車を示す側面図である。
図3図3は、本実施形態に係る搬送車を示す底面図である。
図4図4は、本実施形態に係る搬送車の回転機構を示す斜視図である。
図5図5は、本実施形態に係る主輪及び駆動力伝達装置を示す斜視図である。
図6A図6Aは、本実施形態に係る駆動力伝達装置の駆動ローラを示す斜視図である。
図6B図6Bは、本実施形態に係る駆動力伝達装置の駆動ローラを示す上面図である。
図7図7は、本実施形態に係る駆動力伝達装置を示す平面図である。
図8図8は、本実施形態に係る駆動力伝達装置を示す斜視図である。
図9図9は、本実施形態に係る駆動力伝達装置の駆動力伝達部材を示す平面図である。
図10図10は、本実施形態に係る駆動力伝達部材を示す斜視図である。
図11図11は、図10の領域A1を拡大して示す斜視図である。
図12図12は、図8の領域A0を拡大して示す斜視図である。
図13図13は、本実施形態に係る駆動力伝達部材を示す別の斜視図である。
図14図14は、図13の領域A2を拡大して示す斜視図である。
図15図15は、図14のXV-XV線に沿った断面図である。
図16図16は、本実施形態に係る駆動力伝達部材を示す側面図である。
図17図17は、本実施形態に係る駆動力伝達部材を示す裏面図である。
図18A図18Aは、駆動ローラからシムとブッシュとが取り外された状態を示す分解斜視図である。
図18B図18Bは、駆動ローラに、シムとブッシュとが取り付けられた状態を示す斜視図である。
図19A図19Aは、本実施形態に係るブッシュの斜視図である。
図19B図19Bは、本実施形態に係るブッシュの斜視図である。
図20A図20Aは、本実施形態に係るブッシュの側面図である。
図20B図20Bは、本実施形態に係るブッシュの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、図中、理解の容易のため、三次元直交座標系のX軸、Y軸、およびZ軸を適宜記載している。
【0013】
本明細書では、回転機構の回転軸線AX(例えば図3)に対して平行な方向を「軸方向AD」と記載する。また、回転軸線AXに対して直交する方向を「径方向RD」と記載する。「径方向RD」は、「回転軸線に対する径方向」の一例に相当する。また、回転軸線AXを中心とする円弧に沿う方向を「周方向CD」と記載する。「周方向CD」は、「回転軸線の周りの径方向」の一例に相当する。なお、「平行な方向」は略平行な方向を含み、「直交する方向」は略直交する方向を含む。また、「左右」は、径方向RDから対象物を見たときの左右を示す。さらに、「平面視」は、軸方向ADから対象物を見ることを示す。
【0014】
図1図17を参照して、本発明の実施形態に係る搬送車1、駆動力伝達装置11A、11B、及び、駆動力伝達部材110を説明する。まず、図1図3を参照して、搬送車1を説明する。
【0015】
図1は、搬送車1を示す斜視図である。図2は、搬送車1を示す側面図である。図3は、搬送車1を示す底面図である。図3では、床面又は地面の側から搬送車1を見ている。
【0016】
図1及び図2に示す搬送車1は、床面又は地面を走行する。本実施形態では、搬送車1は無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)である。搬送車1は移動体の一例である。
【0017】
図1に示すように、搬送車1は、車体3を有する。図1及び図2の例では、車体3は、略直方体形状を有する。ただし、車体3の形状は特に限定されない。
【0018】
図2及び図3に示すように、搬送車1は、複数の回転機構DVと、複数の車輪7とをさらに有する。本実施形態では、搬送車1は、一対の回転機構DVと、4個の車輪7とを有する。4個の車輪7は、それぞれ、車体3の底部3aの4隅に配置される。各車輪7は、車体3の移動にともなって回転する。一対の回転機構DVは、互いに独立して回転して、車体3を移動させる。一対の回転機構DVのうち、一方の回転機構DVの回転軸線AXと他方の回転機構DVの回転軸線AXとが一直線上に位置するように、一対の回転機構DVは、車体3の底部3aに配置される。
【0019】
一対の回転機構DVの構成は同じである。従って、以下では、一対の回転機構DVのうちの一方の回転機構DVを説明する。
【0020】
図3に示すように、回転機構DVは、主輪5と、主軸9と、第1駆動部DAと、第2駆動部DBとを有する。第1駆動部DA及び第2駆動部DBは主輪5を駆動する。その結果、主輪5は、回転軸線AXの周りに回転する。よって、回転軸線AXは主輪5の回転軸線でもある。第1駆動部DAは、軸方向ADにおける主輪5の一方側から主輪5に接触して、主輪5を駆動する。第2駆動部DBは、軸方向ADにおける主輪5の他方側から主輪5に接触して、主輪5を駆動する。主軸9は、回転軸線AX上に配置される。
【0021】
第1駆動部DAは、駆動力伝達装置11Aと、歯付ベルト13Aと、プーリー15Aと、モータ17Aとを有する。モータ17Aは回転軸171を有する。
【0022】
第2駆動部DBは、駆動力伝達装置11Bと、歯付ベルト13Bと、プーリー15Bと、モータ17Bとを有する。モータ17Bは回転軸171を有する。歯付ベルト13B、プーリー15B、及び、モータ17Bの構成は、それぞれ、第1駆動部DAの歯付ベルト13A、プーリー15A、及び、モータ17Aの構成と同様であり、説明を省略する。また、駆動力伝達装置11Bは、第1駆動部DAの駆動力伝達装置11Aを左右反転した構造を有しており、適宜説明を省略する。
【0023】
次に、図4を参照して、回転機構DVを説明する。図4は、回転機構DVを示す斜視図である。図4に示すように、回転機構DVにおいて、第1駆動部DAの駆動力伝達装置11Aは、略円盤形状を有している。駆動力伝達装置11Aは、軸方向ADにおける主輪5の一方側に配置される。駆動力伝達装置11Aは、主軸9に回転可能に支持されている。駆動力伝達装置11Aは、モータ17Aによって駆動されて、回転軸線AXの周りに回転する。従って、回転軸線AXは駆動力伝達装置11Aの回転軸線でもある。そして、駆動力伝達装置11Aは、軸方向ADにおける主輪5の一方側から主輪5に接触して、主輪5を駆動する。
【0024】
モータ17Aの回転軸171には、プーリー15Aが固定されている。そして、無端の歯付ベルト13Aが、プーリー15Aと駆動力伝達装置11Aの周面部とに、張力を掛けた状態で架け渡される。モータ17Aの回転軸171が回転すると、プーリー15Aが回転して、歯付ベルト13Aが周回する。従って、駆動力伝達装置11Aが、回転軸線AXの周りに回転する。その結果、駆動力伝達装置11Aは、回転力に基づく駆動力を主輪5に伝達する。つまり、駆動力伝達装置11Aは、モータ17Aの駆動力を主輪5に伝達する。
【0025】
なお、第2駆動部DBの駆動力伝達装置11Bは、略円盤形状を有している。駆動力伝達装置11Bは、軸方向ADにおける主輪5の他方側に配置される。駆動力伝達装置11Bは、主軸9に回転可能に支持されている。駆動力伝達装置11Bは、モータ17Bによって駆動されて、回転軸線AXの周りに回転する。従って、回転軸線AXは駆動力伝達装置11Bの回転軸線でもある。そして、駆動力伝達装置11Bは、軸方向ADにおける主輪5の他方側から主輪5に接触して、主輪5を駆動する。
【0026】
駆動力伝達装置11Aと駆動力伝達装置11Bとは、主輪5を軸方向ADから挟んでいる。また、駆動力伝達装置11Aと駆動力伝達装置11Bとは、主輪5を挟んで左右対称に配置される。さらに、駆動力伝達装置11Aと駆動力伝達装置11Bとは、主輪5を回転軸線AXの周りに回転可能に支持している。
【0027】
主輪5は、複数の被駆動ローラ51と、芯体53とを有する。芯体53は、回転軸線AXの周りに周方向CDに沿って延びる。芯体53は略円環形状を有する。複数の被駆動ローラ51の各々は略円筒形状を有する。複数の被駆動ローラ51は、芯体53に回転自在に支持される。具体的には、複数の被駆動ローラ51の各々は、自身の位置における芯体53の接線方向に沿った軸線の周りに回転自在である。以下、被駆動ローラ51が、自身の位置における芯体53の接線方向に沿った軸線の周りに回転することを「自転」と記載する場合がある。複数の被駆動ローラ51は、芯体53に、周方向CDに沿って間隔をあけて配置される。
【0028】
主輪5が回転軸線AXの周りに回転すると、複数の被駆動ローラ51の各々が、周方向CDに沿って回転移動される。以下、被駆動ローラ51が周方向CDに沿って回転移動されるときの被駆動ローラ51の周方向CDにおける位置を「回転移動位置」と記載する場合がある。複数の被駆動ローラ51の各々は、被駆動ローラ51の回転移動位置に応じて、床面又は地面と接触する。以下、被駆動ローラ51が床面又は地面と接触することを「接地」と記載する場合がある。被駆動ローラ51のローラ本体は、例えば、ゴム製である。
【0029】
次に、図4及び図5を参照して、駆動力伝達装置11Aの詳細を説明する。図4に示すように、駆動力伝達装置11Aは、駆動力伝達部材110を有する。駆動力伝達部材110は略円盤形状を有する。駆動力伝達部材110は、例えば、金属及び硬質プラスチックのような高剛性材料により構成される。
【0030】
駆動力伝達部材110の周面部とプーリー15Aとに、歯付ベルト13Aが、張力を掛けた状態で架け渡される。従って、モータ17Aの回転軸171が回転すると、駆動力伝達部材110が、回転軸線AXの周りに回転する。従って、回転軸線AXは、駆動力伝達部材110の回転軸線でもある。
【0031】
図5は、主輪5及び駆動力伝達装置11Aを示す斜視図である。図5では、図4の駆動力伝達装置11Bの配置される側から、主輪5及び駆動力伝達装置11Aを見ている。また、図5では、理解を容易にするために、駆動力伝達装置11Bの図示を省略している。さらに、図5では、図面を見易くするために、主輪5を二点鎖線で示している。
【0032】
図5に示すように、駆動力伝達装置11Aは、複数の駆動ローラ120を有する。複数の駆動ローラ120は、駆動力伝達部材110に配置される。駆動力伝達部材110が回転軸線AXの周りに回転すると、複数の駆動ローラ120の各々が、周方向CDに沿って回転移動される。以下、駆動ローラ120が周方向CDに沿って回転移動されるときの駆動ローラ120の周方向における位置を「回転移動位置」と記載する場合がある。
【0033】
複数の駆動ローラ120の各々は、駆動ローラ120の回転移動位置に応じて、複数の被駆動ローラ51のいずれかと接触する。具体的には、少なくとも、駆動ローラ120は、最下部に位置して接地している被駆動ローラ51に接触する。この場合、駆動ローラ120の外周面が被駆動ローラ51の外周面に接触する。その結果、駆動ローラ120と被駆動ローラ51との間の摩擦によって、駆動力伝達部材110の回転に基づく駆動力が、駆動ローラ120から被駆動ローラ51に伝達される。換言すれば、複数の駆動ローラ120は、主輪5に駆動力を伝達する。更に換言すれば、複数の駆動ローラ120は、主輪5に推進力を伝達する。
【0034】
具体的には、複数の駆動ローラ120の各々は、回転軸線AXの周りの主輪5の回転方向に対して、直交及び平行のいずれでもない方向に延在する中心軸線(以下、「中心軸線CT」と記載する。)の周りに回転可能に配置されている。つまり、複数の駆動ローラ120の中心軸線CTは、回転軸線AXの周りの主輪5の回転方向に対して傾斜し、回転軸線AXに対してねじれの関係を有する。
【0035】
引き続き、図4及び図5を参照して、主輪5の移動方向の制御を説明する。図4に示すように、駆動力伝達装置11Aの駆動力伝達部材110を「駆動力伝達部材110A」と記載し、駆動力伝達装置11Bの駆動力伝達部材110を「駆動力伝達部材110B」と記載する場合がある。
【0036】
図4に示すように、モータ17A及びモータ17Bによって、駆動力伝達部材110Aの回転方向及び回転速度と、駆動力伝達部材110Bの回転方向及び回転速度とを、独立して制御することで、主輪5の移動方向が制御される。
【0037】
具体的には、モータ17A及びモータ17Bが同一回転方向及び同一回転速度で駆動されている場合には、駆動力伝達部材110Aと駆動力伝達部材110Bとが、同一回転速度で同一回転方向に回転し、主輪5が回転軸線AXの周りに回転する。この場合は、駆動力伝達部材110Aと駆動力伝達部材110Bとに回転速度差が生じないため、主輪5の被駆動ローラ51が自転せず、主輪5は、真っ直ぐに前進又は後進する。
【0038】
一方、モータ17A及びモータ17Bが、異なった回転方向及び/又は異なった回転速度で駆動されている場合には、駆動力伝達部材110Aと駆動力伝達部材110Bとに回転速度差が生じる。
【0039】
この場合、駆動力伝達部材110Aの回転力による円周方向の力に直交する分力が、駆動力伝達部材110Aの駆動ローラ120(図5)と主輪5の被駆動ローラ51との接触面に作用する。加えて、駆動力伝達部材110Bの回転力による円周方向の力に直交する分力が、駆動力伝達部材110Bの駆動ローラ120と主輪5の被駆動ローラ51との接触面に作用する。
【0040】
従って、主輪5が回転軸線AXの周りに回転することなく、被駆動ローラ51が自転するか、又は、主輪5が回転軸線AXの周りに回転しつつ、被駆動ローラ51が自転するかする。その結果、主輪5は、左右方向又は斜め方向に移動する。
【0041】
なお、駆動力伝達装置11A及び駆動力伝達装置11Bは、駆動力伝達部材110Aの複数の駆動ローラ120と、駆動力伝達部材110Bの複数の駆動ローラ120とで主輪5を挟むようにして、主輪5を回転軸線AXの周りに回転可能に支持している。
【0042】
次に、図6A及び図6Bを参照して、駆動ローラ120を説明する。図6Aは、駆動ローラ120を示す斜視図である。図6Bは、駆動ローラ120を示す上面図である。図6A及び図6Bに示すように、駆動ローラ120は、ローラ本体121と、軸123とを有する。ローラ本体121は、略円板形状を有する。ローラ本体121は、例えば、金属及び硬質プラスチックのような高剛性材料により構成される。軸123は、中心軸線CT上に配置される。つまり、軸123は、中心軸線CTに沿って延びている。軸123は、略円柱形状を有する。軸123は、ローラ本体121を貫通して、ローラ本体121に固定される。軸123は、例えば、金属及び硬質プラスチックのような高剛性材料により構成される。
【0043】
ここで、駆動力伝達装置11A(図5)は、1個の駆動ローラ120に対して、一対のブッシュBHと、一対のシムSHとを有する。駆動力伝達装置11Aは、複数の駆動ローラ120を有するため、複数のブッシュBHと、複数のシムSHとを有する。
【0044】
一対のブッシュBHは、駆動ローラ120を中心軸線CTの周りに回転可能に支持する。具体的には、一対のブッシュBHのうち、一方のブッシュBHは、軸123の一方端部を回転可能に支持し、他方のブッシュBHは、軸123の他方端部を回転可能に支持する。ブッシュBHは、例えば、金属及び硬質プラスチックのような高剛性材料により構成される。
【0045】
一対のシムSHの各々は、ゴムのような弾性部材によって構成される。そして、一対のシムSHのうち、一方のシムSHは、ローラ本体121の一方の側面121aとブッシュBHとで挟持され、他方のシムSHは、ローラ本体121の他方の側面121aとブッシュBHとで挟持される。その結果、駆動力伝達部材110が回転軸線AXの周りに回転している時の駆動ローラ120を起因とする音の発生を抑制できる。
【0046】
次に、図7及び図8を参照して、駆動力伝達装置11Aを説明する。図7は、駆動力伝達装置11Aを示す平面図である。つまり、図7では、駆動力伝達装置11Aを平面視している。図8は、駆動力伝達装置11Aを示す斜視図である。
【0047】
図7及び図8に示すように、駆動力伝達装置11Aの駆動力伝達部材110は、ハブ21と、ローラ配置部31とを有する。なお、図7及び図8では、図面の理解を容易にするために、ローラ配置部31の表面31aにドットハッチングを付している。
【0048】
ハブ21は、モータ17Aに駆動されて、回転軸線AXの周りに回転する。具体的には、ハブ21は、円筒部23と、円板部25と、壁部27とを有する。円筒部23は略円筒形状を有する。円筒部23は、回転軸線AXの周りに周方向CDに沿って配置される。円板部25は略円板形状を有する。円板部25は、円筒部23の外周面から径方向RDの外側に向かって広がる。壁部27は、円板部25の外周縁から、軸方向ADに沿って延びている。また、壁部27は、周方向CDに沿って略円形に延びている。
【0049】
ローラ配置部31は、略円環形状を有する。ローラ配置部31は、ハブ21に接続されて、ハブ21とともに回転する。具体的には、ローラ配置部31は、ハブ21の外周縁21aに接続される。つまり、ローラ配置部31は、ハブ21の壁部27に接続される。ローラ配置部31には、複数の駆動ローラ120が、周方向CDに沿って間隔をあけて配置される。複数の駆動ローラ120は、回転軸線AXを対称中心線として回転対称に配置される。
【0050】
具体的には、ローラ配置部31は、複数の配置部33を有する。複数の配置部33は、周方向CDに沿って円周上に配置される。複数の配置部33は、回転軸線AXを対称中心線として回転対称に配置される。複数の配置部33の各々は、回転軸線AXに沿った第1方向D1に向かって開口している。第1方向D1は回転軸線AXに略平行である。具体的には、第1方向D1は、主輪5(図5)を向く方向を示す。従って、複数の配置部33の各々は、主輪5に向かって開口している。複数の配置部33には、それぞれ、複数の駆動ローラ120が配置される。
【0051】
図7に示すように、周方向CDに隣り合う2つの駆動ローラ120において、一方の駆動ローラ120の中心軸線CT1と他方の駆動ローラ120の中心軸線CT2とは、平面視において、鋭角θaをなすように交差する。また、平面視において、一方の駆動ローラ120の中心軸線CT1と他方の駆動ローラ120の中心軸線CT2とは、径方向RDの外側に向かって、ハブ21から離れる側に拡がっている。
【0052】
図8に示すように、駆動ローラ120の中心軸線CTは、回転軸線AXに対して立体交差している。この場合、中心軸線CTは、回転軸線AXに対して第1方向D1に向かって鋭角に立体交差している。
【0053】
特に、本実施形態では、複数の配置部33の各々は、駆動ローラ120の中心軸線CTの傾斜及び向きに応じた駆動ローラ120の姿勢に対応して、回転軸線AXに直交する仮想面に対して傾斜している。さらに、複数の配置部33の各々は、配置空間SPを有する。配置空間SPには、駆動ローラ120の一部分が配置される。従って、駆動ローラ120は、ローラ配置部31の表面31aから突出している。表面31aは、主輪5(図5)の方を向いている面である。
【0054】
また、駆動力伝達部材110は、円環部71をさらに有することが好ましい。円環部71は、ローラ配置部31の外周縁に沿って配置される。円環部71は、略円環形状を有する。円環部71は周面部73を有する。周面部73は、周方向CDに沿って円周上に延びている。周面部73は複数の歯75を有する。複数の歯75の各々は、回転軸線AXに沿って延びている。複数の歯75は、周方向CDに沿って等間隔で配置される。そして、周面部73に歯付ベルト13A(図4)が架け渡される。つまり、円環部71がプーリーとして機能する。
【0055】
駆動力伝達装置11Aは、フランジ130をさらに有することが好ましい。フランジ130は略円環形状を有している。フランジ130は、円環部71の外周縁に固定される。フランジ130は、円環部71の外周縁から径方向RDの外側に向かって張り出している。フランジ130は、第1方向D1における円環部71の端部に配置される。フランジ130によって、歯付ベルト13A(図4)の離脱を抑制できる。
【0056】
次に、図9図17を参照して、駆動力伝達部材110を説明する。なお、図9図14及び図16では、図面の理解を容易にするために、ローラ配置部31の表面31aにドットハッチングを付している。また、同様の理由により、図9及び図11では、駆動ローラ120を二点鎖線により模式的に示している。
【0057】
図9は、駆動力伝達部材110を示す平面図である。図10は、駆動力伝達部材110を示す斜視図である。図9及び図10に示すように、駆動力伝達部材110のハブ21とローラ配置部31と円環部71とは、単一の部材の部分であることが好ましい。この好ましい例によれば、ハブ21とローラ配置部31と円環部71とが別部材である場合と比較して、駆動力伝達部材110の機械強度を向上できる。また、部品点数を削減できるため、組立工数を削減できる。なお、ハブ21とローラ配置部31と円環部71とのうちの一部又は全部が別部材であってもよい。
【0058】
特に、図10に示すように、本実施形態では、円環部71に複数の歯75を設けて、円環部71をプーリーとして機能させている。このように、駆動力伝達部材110にプーリー機能を一体化することで、駆動力伝達部材110の機械強度を更に向上できる。また、プーリーを別部材として用意する場合と比較して、部品点数を削減できるため、組立工数を削減できる。
【0059】
また、本実施形態では、駆動力伝達部材110のローラ配置部31は、複数の壁部35をさらに有する。複数の壁部35は、周方向CDに沿って円周上に配置される。複数の壁部35は、回転軸線AXを対称中心線として回転対称に配置される。複数の壁部35の各々は、周方向CDに隣り合う配置部33と配置部33との間に位置する。
【0060】
また、複数の壁部35の各々は、駆動ローラ120の中心軸線CT(図8)の傾斜及び向きに応じた駆動ローラ120の姿勢に対応して、回転軸線AXに直交する仮想面に対して傾斜している。
【0061】
さらに、複数の壁部35の各々は、第1軸支持部41と、第2軸支持部42とを有する。複数の壁部35の各々は、中間壁45を有することが好ましい。中間壁45は、第1軸支持部41と第2軸支持部42との間に位置する。第1軸支持部41は、第2軸支持部42よりも、ハブ21の近くに配置される。複数の第1軸支持部41は、周方向CDに沿った第1仮想円上に配置される。複数の第2軸支持部42は、周方向CDに沿った第2仮想円上に配置される。第1仮想円及び第2仮想円は、回転軸線AXを中心としている。そして、第1仮想円の半径は、第2仮想円の半径よりも小さい。
【0062】
図11は、図10の領域A1を拡大して示す斜視図である。図12は、図8の領域A0を拡大して示す斜視図である。図11に示すように、駆動ローラ120bは、周方向CDに隣り合う配置部33bと配置部33aとのうちの一方の配置部33bに配置される。駆動ローラ120aは、周方向CDに隣り合う配置部33bと配置部33aとのうちの他方の配置部33aに配置される。また、壁部35の中間壁45は端面451を有する。
【0063】
壁部35aの第1軸支持部41aは、駆動ローラ120bの軸123(図6A)の一方端部を回転可能に支持する。具体的には、図12に示すように、第1軸支持部41aには、駆動ローラ120bの軸123の一方端部を支持しているブッシュBHが嵌合される。従って、第1軸支持部41aは、駆動ローラ120bの軸123の一方端部を回転可能に間接的に支持する。
【0064】
図11に戻って、壁部35aの第2軸支持部42aは、駆動ローラ120aの軸123(図6A)の一方端部を回転可能に支持する。具体的には、図12に示すように、第2軸支持部42aには、駆動ローラ120aの軸123の一方端部を支持しているブッシュBHが嵌合される。従って、第2軸支持部42aは、駆動ローラ120aの軸の一方端部を回転可能に間接的に支持する。
【0065】
図11に戻って、駆動ローラ120bに着目する。駆動ローラ120bの軸123の一方端部(図6B)は、壁部35aの第1軸支持部41aに支持される。一方、駆動ローラ120bの軸123の他方端部(図6B)は、壁部35aと周方向CDに隣り合う壁部35bの第2軸支持部42bに支持される。具体的には、図12に示すように、駆動ローラ120bの軸123の一方端部を支持しているブッシュBHが、壁部35aの第1軸支持部41aに支持される。一方、駆動ローラ120bの軸123の他方端部を支持しているブッシュBHが、壁部35bの第2軸支持部42bに支持される。つまり、駆動ローラ120bの軸123の一方端部は、壁部35aの第1軸支持部41aに間接的に支持される。一方、駆動ローラ120bの軸123の他方端部は、壁部35bの第2軸支持部42bに間接的に支持される。
【0066】
図11に戻って、第1軸支持部41は、壁部35において第2方向D2に向かって切り欠かれている切欠部である。第2軸支持部42aは、壁部35において第2方向D2に向かって切り欠かれている切欠部である。従って、第1軸支持部41は、第1方向D1と反対の第2方向D2に向かって窪んでいて、第1方向D1に向かって開放されている。第2方向D2は回転軸線AXに略平行である。加えて、第2軸支持部42は、第2方向D2に向かって窪んでいて、第1方向D1に向かって開放されている。
【0067】
従って、本実施形態によれば、周方向CDに対向する2つの壁部35のうち、一方の壁部35の第1軸支持部41と他方の壁部35の第2軸支持部42とに、駆動ローラ120の軸123(図6B)を第2方向D2に向かって差し込むことにより、駆動ローラ120を配置部33に容易に配置できる。つまり、駆動ローラ120の組み付け工程を簡素化できる。具体的には、一方の壁部35の第1軸支持部41と他方の壁部35の第2軸支持部42とに、駆動ローラ120の軸123を支持した一対のブッシュBH(図6B)を、第2方向D2に向かって差し込むことにより、駆動ローラ120を配置部33に容易に配置できる。
【0068】
具体的には、第1軸支持部41は、主輪5(図5)に向かって開放されている。また、第2軸支持部42は、主輪5に向かって開放されている。さらに、複数の壁部35の各々において、第1軸支持部41は、第1壁面411と、第2壁面412と、第1接続面413とを有することが好ましい。第2壁面412は第1壁面411に対向する。第1接続面413は、第1壁面411と第2壁面412とを接続する。第1接続面413は、本実施形態では、第2方向D2に向かって凸状に湾曲している湾曲面である。また、複数の壁部35の各々において、第2軸支持部42は、第3壁面423と、第4壁面424と、第2接続面425とを有することが好ましい。第4壁面424は第3壁面423に対向する。第2接続面425は、第3壁面423と第4壁面424とを接続する。第2接続面425は、本実施形態では、第2方向D2に向かって凸状に湾曲している湾曲面である。
【0069】
次に、図13及び図14を参照して、配置部33及び壁部35の詳細を説明する。図13は、駆動力伝達部材110を示す別の斜視図である。図13では、図10に示した駆動力伝達部材110を異なる角度から見ている。
【0070】
図13に示すように、壁部35の第1軸支持部41と第2軸支持部42との各々は、周方向CDに隣り合う配置空間SPと配置空間SPとを繋げている。従って、周方向CDに隣り合う配置空間SPと配置空間SPとは、第1軸支持部41及び第2軸支持部42を通して空間的に連続している。つまり、壁部35には、第1軸支持部41と第2軸支持部42との各々が、周方向CDに隣り合う配置空間SPと配置空間SPとを繋げるように設けられている。その結果、限られたサイズの駆動力伝達部材110に複数の配置空間SPを効率的に配置できる。よって、限られたサイズの駆動力伝達部材110に、多数の駆動ローラ120(図8)を配置できる。
【0071】
特に、本実施形態では、複数の配置部33の各々は、貫通孔HLを有することが好ましい。貫通孔HLは、ローラ配置部31を第1方向D1に貫通する。そして、貫通孔HLが配置空間SPを有する。従って、本実施形態によれば、ローラ配置部31の母材の切削加工時における切粉を貫通孔HLから容易に排出できる。その結果、効率良く母材を切削加工できる。また、駆動ローラ120の摩耗に起因して駆動ローラ120から発生する屑又は塵を貫通孔HLから容易に排出できる。その結果、駆動ローラ120を長期間にわたって円滑に回転させることができる。さらに、貫通孔HLによって、空気を効果的に流通させることができる。その結果、駆動力伝達部材110を効果的に冷却できる。
【0072】
具体的には、図10に示すように、複数の配置部33の各々は、第1開口SP1(破線)と、第2開口SP2(太線)とを有する。第1開口SP1は、ローラ配置部31の表面31aに開口している。第2開口SP2は、ローラ配置部31の裏面31b(図4)に開口している。そして、配置空間SPは、第1開口SP1から第2開口SP2までの空間を示す。つまり、貫通孔HLは、ローラ配置部31を第1開口SP1から第2開口SP2まで貫通している。なお、図4に示すように、ローラ配置部31の裏面31bは、軸方向ADにおいて主輪5の反対を向いている面である。
【0073】
図14は、図13の領域A2を拡大して示す斜視図である。図14に示すように、周方向CDに隣り合う壁部35aと壁部35bとのうち、一方の壁部35aの第1軸支持部41aの第1壁面411と、他方の壁部35bの第2軸支持部42bの第3壁面423とは、実質的に同一平面PL1上に配置されることが好ましい。また、第1軸支持部41aの第1壁面411と、第2軸支持部42bの第3壁面423とは、周方向CDに隣り合う壁部35aと壁部35bとの間の配置空間SPに配置される駆動ローラ120の中心軸線CTに沿って並んでいることが好ましい。加えて、一方の壁部35aの第1軸支持部41aの第2壁面412と、他方の壁部35bの第2軸支持部42bの第4壁面424とは、実質的に同一平面PL2上に配置されることが好ましい。また、第1軸支持部41aの第2壁面412と、第2軸支持部42bの第4壁面424とは、駆動ローラ120の中心軸線CTに沿って並んでいることが好ましい。
【0074】
従って、周方向CDに隣り合う一方の壁部35aの第1軸支持部41aと他方の壁部35bの第2軸支持部42bとが、駆動ローラ120の中心軸線CTに沿って配置される。従って、駆動ローラ120を第1軸支持部41a及び第2軸支持部42bに支持させる工程を容易に実行できる。
【0075】
また、本実施形態では、壁部35の中間壁45は、複数の壁面452~455を有することが好ましい。複数の壁面452~455のうち、第1軸支持部41の側の壁面452は、第1軸支持部41の一部を構成する。つまり、壁面452は、第2壁面412を構成する。また、複数の壁面452、453のうち、第2軸支持部42の側の壁面453は、第2軸支持部42の一部を構成する。つまり、壁面453は、第3壁面423を構成する。
【0076】
第1軸支持部41の側の壁面452は、第2軸支持部42の側の壁面453に対して非平行である。具体的には、第1軸支持部41の側の壁面452と、第2軸支持部42の側の壁面453とは、回転軸線AXに対する径方向RDの外側に向かって、ハブ21から離れる側に拡がっている。従って、本実施形態によれば、1つの壁部35の第1軸支持部41と第2軸支持部42とで、中心軸線CTが延びる方向の異なる2つの駆動ローラ120を支持できる。その結果、限られたサイズの駆動力伝達部材110に、多数の駆動ローラ120を効率的に配置できる。
【0077】
さらに、本実施形態では、複数の配置部33の各々は、第1面部331と、第2面部332とを有する。第1面部331と第2面部332とは、互いに対向する。図14には表れていないが、第1面部331及び第2面部332は、駆動ローラ120の中心軸線CTの傾斜及び向きに応じた駆動ローラ120の姿勢に対応して、回転軸線AXに直交する仮想面に対して傾斜している。
【0078】
第1面部331は、回転軸線AXに対する径方向RDにおいて、ハブ21の位置する側に向かって凸状に湾曲していることが好ましい。第2面部332は、径方向RDにおいて、ハブ21から離れる側に向かって凸状に湾曲していることが好ましい。この好ましい例によれば、ローラ配置部31の母材をエンドミルによって切削加工して第1面部331及び第2面部332を形成する場合に、エンドミルによる切削加工後に更なる加工を行う工程を削減できる。つまり、切削加工後に第1面部331及び第2面部332の形状をそのまま残しておくことができる。その結果、駆動力伝達部材110の生産性を向上できる。
【0079】
第1面部331は、「第1凹部」の一例に相当する。第2面部332は、「第2凹部」の一例に相当する。
【0080】
さらに、本実施形態では、第1面部331の曲率半径及び第2面部332の曲率半径の各々は、駆動ローラ120の軸方向AZの厚みd(図6B)の1/2よりも大きいことが好ましい。第1面部331及び第2面部332の各々の曲率半径を大きくすることで、第1面部331と駆動ローラ120の外周面121b(図6B)との間隙を大きくできるとともに、第2面部332と駆動ローラ120の外周面121bとの間隙を大きくできる。従って、間隙に屑又は塵が間隙に詰まることを抑制できる。その結果、長期間にわたって各駆動ローラ120を円滑に回転させることができる。
【0081】
さらに、本実施形態によれば、第1面部331の曲率半径と第2面部332の曲率半径とは、実質的に同一であることが好ましい。この好ましい例によれば、第1面部331を形成するときと、第2面部332を形成するときとで、エンドミル等の加工工具を交換することが要求されない。従って、ローラ配置部31の母材の加工作業の時間を短縮できる。その結果、駆動力伝達部材110の生産性を向上できる。
【0082】
さらに、本実施形態によれば、第1面部331の表面粗さ及び第2面部332の表面粗さの各々は、第1軸支持部41(具体的には、第1壁面411、第2壁面412、及び、第1接続面413)の表面粗さよりも粗く、第2軸支持部42(具体的には、第3壁面423、第4壁面424、及び、第2接続面425)の表面粗さよりも粗いことが好ましい。この好ましい例によれば、第1面部331及び第2面部332の表面加工を不要にできるか、又は、第1面部331及び第2面部332の表面加工の精度を低減できる。従って、ローラ配置部31の母材の加工工数を削減できる。その結果、駆動力伝達部材110の生産性を向上できる。一方、第1軸支持部41及び第2軸支持部42については、表面粗さを小さくして、表面を滑らかにすることができる。
【0083】
ここで、図14に示すように、配置空間SPは、第1面部331と第2面部332とで挟まれた空間を示す。具体的には、配置部33は、第1接続面部341と、第2接続面部342とをさらに有する。また、配置空間SPは、周方向CDに隣り合う壁部35cと壁部35aとの間に位置する。そして、第1接続面部341は、第1面部331と一方の壁部35cとを接続する。第2接続面部342は、第2面部332と他方の壁部35aとを接続する。従って、配置空間SPは、第1面部331と第1接続面部341と一方の壁部35cと第2面部332と第2接続面部342と他方の壁部35aとで囲まれた空間を示す。
【0084】
次に、図15を参照して、壁部35を詳細に説明する。図15は、図14のXV-XV線に沿った断面図である。壁部35は回転軸線AXに直交する仮想面に対して傾斜しているところ、図15では、壁部35に平行な切断面に沿って壁部35を切断している。
【0085】
図15に示すように、壁部35において、距離L1は距離L2よりも短い。距離L1は、第1方向D1におけるローラ配置部31の端と、第1軸支持部41の最奥部P1との間の距離を示す。距離L2は、第1方向D1におけるローラ配置部31の端と、第2軸支持部42の最奥部P2との間の距離を示す。本実施形態によれば、距離L1を距離L2よりも短くすることで、駆動ローラ120の軸123(図6A)を、回転軸線AXに直交する仮想面に対して容易に傾斜させることができる。
【0086】
次に、図15及び図16を参照して、壁部35の中間壁45を説明する。図16は、駆動力伝達部材110を示す側面図である。図16に示すように、ローラ配置部31は、側面視において、第1方向D1に向かって先細りのテーパー形状を有する。そして、図15及び図16に示すように、第1方向D1における中間壁45の端面451は、側面視において、テーパー形状の一部を構成する。
【0087】
従って、本実施形態によれば、テーパー形状を有する母材を切削加工して、ローラ配置部31を形成する場合に、中間壁45の端面451の加工が不要である。つまり、テーパー形状を有する母材の切削加工後に中間壁45の端面451をそのまま残しておくことができる。その結果、駆動力伝達部材110の生産性を向上できる。
【0088】
次に、図17を参照して、駆動力伝達部材110の裏面110Xを説明する。図17は、駆動力伝達部材110を示す裏面図である。図17に示すように、駆動力伝達部材110は裏面110Xを有する。複数の配置部33が周方向CDに沿って円周上に配置されている。また、複数の配置部33の第2開口SP2(太線)が、周方向CDに沿って円周上に配置されている。さらに、複数の配置部33の配置空間SPが、周方向CDに沿って円周上に配置されている。また、複数の壁部35が、周方向CDに沿って円周上に配置されている。図4に示すように、駆動力伝達部材110の裏面110Xは、軸方向ADにおいて主輪5の反対を向いている面である。
【0089】
以上、図1図17を参照して説明したように、本実施形態によれば、駆動力伝達部材110が、第1方向D1に開放されている第1軸支持部41及び第2軸支持部42を有することで、駆動力伝達装置11A、11Bにおいて、駆動力伝達部材110における駆動ローラ120の組み付け工程を簡素化できる。また、第1軸支持部41及び第2軸支持部42の各々が、周方向CDに隣り合う2つの配置空間SPを繋げていることで、駆動力伝達装置11A、11Bにおいて、限られたサイズの駆動力伝達部材110に、多数の駆動ローラ120を配置できる。
【0090】
図18A及び図18Bを参照して、本実施形態に係るブッシュBHについて説明する。図18Aは、駆動ローラ120からシムSHとブッシュBHとが取り外された状態を示す分解斜視図である。図18Bは、駆動ローラ120に、シムSHとブッシュBHとが取り付けられた状態を示す斜視図である。
【0091】
図18Aに示すように、駆動ローラ120は、ローラ本体121と、軸123とを有する。シムSHは、貫通孔SHaを有する。貫通孔SHaの径は、軸123の径よりも大きい。ブッシュBHの中空孔95の径は、軸123の径と略同一である。
【0092】
図18Bに示すように、ブッシュBHは、シムSHを介して駆動ローラ120の軸123に装着される。ブッシュBHの中空孔95の径は、軸123の径と略同一である。従って、ブッシュBHは、駆動ローラ120の軸123に圧入される。ブッシュBHは、駆動ローラ120の軸123を回転可能に保持する。従って、ブッシュBHは、駆動ローラ120の軸123の軸受として機能する。なお、ブッシュBHは、「軸保持部材」の一例に相当する。
【0093】
図19A及び図19Bを参照して、本実施形態に係るブッシュBHについてさらに説明する。図19A及び図19Bは、本実施形態に係るブッシュBHの斜視図である。
【0094】
図19Aに示すように、ブッシュBHは、本体部90aと、鍔部90bと、突出部90cとを有する。ブッシュBHは、金属により構成される。従って、様々な形状のブッシュBHを容易に作製することができる。ブッシュBHは、例えば、金属を焼結した部材である。金属は、例えば、銅系焼結金属である。なお、金属は、例えば、鉄系焼結金属でもよい。あるいは、ブッシュBHは、金属に限らず、硬質プラスチックにより構成されてもよい。
【0095】
本体部90aは中空孔95を有する。中空孔95は、中心軸線CTを中心とする孔である。本実施形態では、中空孔95は、平面視において円形の形状を有する。本体部90aは、駆動ローラ120の軸123(図18A)を回転可能に保持する。本体部90aは、さらに、第1保持部91と第2保持部92とを有する。
【0096】
第1保持部91は、第1内壁面91aと、外壁面91bとを有する。第1内壁面91aは、中心軸線CTの周りの周方向CD2に沿って湾曲している。第1保持部91は、駆動ローラ120の軸123を保持する。外壁面91bは、中心軸線CTに対する径方向RD2において第1内壁面91aと対向する。外壁面91bは、周方向CD2に沿って湾曲している。本実施形態では、外壁面91bは、中心軸線CTを中心とした円弧形状を有する。
【0097】
第2保持部92は、第2内壁面92aと、第1面92bと、第2面92cとを有する。
【0098】
第2内壁面92aは、周方向CD2に沿って湾曲している。第2内壁面92aは、第1内壁面91aに連続して駆動ローラ120の軸123を保持する。
【0099】
第1面92bは、周方向CD2における外壁面91bの一端91b1に連続する。第1面92bは、平面であることが好ましい。第1面92bは、第1長距離部92b1を有する。第1長距離部92b1は、中心軸線CTからの第1面92bの周方向CD2における一端92b2との距離よりも、中心軸線CTからの距離が長い部分である。本実施形態では、第1面92bの全てが、第1長距離部92b1である。
【0100】
第2面92cは、周方向CD2における外壁面91bの他端91b2に連続する。第2面92cは、平面であることが好ましい。第2面92cは、第2長距離部92c1を有する。第2長距離部92c1は、中心軸線CTからの第2面92cの周方向CD2における一端92c2との距離よりも、中心軸線CTからの距離が長い部分である。本実施形態では、第2面92cの全てが、第2長距離部92c1である。
【0101】
第1面92bと第2面92cとは実質的に平行である。
【0102】
鍔部90bは、本体部90aから、径方向RD2の外側に向って広がる。従って、径方向RD2において、鍔部90b幅は、本体部90aの幅よりも大きい。図19Bに示すように、鍔部90bは、貫通孔90b1を有する。
【0103】
突出部90cは、本体部90a及び鍔部90bから、径方向RD2の外側に向って突出する。突出部90cは、外壁面90c1を有する。外壁面90c1は、周方向CD2に沿って湾曲している。本実施形態では、外壁面90c1は、中心軸線CTを中心とした円弧形状を有する。
【0104】
図20A及び図20Bを参照して、本実施形態に係るブッシュBHについてさらに説明する。図20A及び図20Bは、本実施形態に係るブッシュBHの側面図である。詳しくは、図20Aは、中心軸線CT方向からみたブッシュBHの側面図である。図20Bは、中心軸線CT方向に直交する方向からみたブッシュBHの側面図である。図20Aにおいて、第1軸支持部41を二点鎖線で示している。なお、第2軸支持部42は、第1軸支持部41と同様の構成を有するため、説明を省略する。なお、第1軸支持部41と、第2軸支持部42とは、「軸支持部」の一例に相当する。
【0105】
図20Aにおいて、距離L1は、中心軸線CTからの第1面92bの周方向CD2における一端92b2との距離を示す。距離LL1は、中心軸線CTからの第1長距離部92b1との距離を示す。距離L2は、中心軸線CTからの第2面92cの周方向CD2における一端92c2との距離を示す。距離LL2は、中心軸線CTからの第2長距離部92c1との距離を示す。
【0106】
図5を参照して説明したように、駆動力伝達部材110には、複数の駆動ローラ120が配置される。複数の駆動ローラ120は、主輪5に駆動力を伝達する。主輪5は、複数の被駆動ローラ51を有する。
【0107】
図11を参照して説明したように、駆動力伝達部材110の第1軸支持部41は、第1方向D1に向かって開放されている。駆動力伝達部材110の第1軸支持部41は、第2方向D2に向かって窪んでいる。第1方向D1は、駆動力伝達部材110の回転軸線AXに沿っている。第2方向D2は、第1方向D1と反対の方向である。
【0108】
図20Aに示すように、第1面92bから第2面92cまでの距離d1は、第1壁面411から第2壁面412までの距離d2と略同一である。従って、ブッシュBHは、駆動力伝達部材110の第1軸支持部41に嵌合することが可能である。駆動力伝達部材110の第1軸支持部41は、第1方向D1に向かって開放されている。従って、ブッシュBHを第2方向D2に向って差し込むことによって、容易にブッシュBHを第1軸支持部41に装着することができる。例えば、駆動ローラ120の軸123(図18B)をブッシュBHに装着した状態で、ブッシュBHを第1軸支持部41に装着することによって、駆動ローラ120を容易に第1軸支持部41に装着することができる。従って、駆動ローラ120の取り付け工程を簡素化できる。
【0109】
図20Aに示すように、第1長距離部92b1は、中心軸線CTからの第1面92bの周方向CD2における一端92b2との距離L1よりも、中心軸線CTからの距離LL1が長い部分である。また、第2長距離部92c1は、中心軸線CTからの第2面92cの周方向CD2における一端92c2との距離L2よりも、中心軸線CTからの距離LL2が長い部分である。第1面92bの一端92b2及び第1長距離部92b1と、第2面92cの一端92c2及び第2長距離部92c1とは、第1軸支持部41に接触することが可能である。詳しくは、第1面92bの一端92b2及び第1長距離部92b1は、第1軸支持部41の第2壁面412に接触する。同様に、第2面92cの一端92c2及び第2長距離部92c1とは、第1軸支持部41の第1壁面411に接触する。第1面92bと、第2面92cとは、駆動力伝達部材110の第1軸支持部41に接触する。従って、ブッシュBHが円筒形状を有する場合に比べて、ブッシュBHと第1軸支持部41とが接触する箇所を多くすることができる。その結果、ガタツキを抑制することができる。さらに、第1面92bと第2面92cとが平面であることが好ましい。従って、第1面92b及び第2面92cと、駆動力伝達部材110の第1軸支持部41との接触面積を広くすることができる。その結果、さらにガタツキを抑制することができる。
【0110】
第1面92bと第2面92cとは実質的に平行であることが好ましい。従って、第1面92bと第2面92cとが非平行である場合と比較して、ブッシュBHが駆動力伝達部材110の第1軸支持部41から抜けにくい。
【0111】
周方向CD2における外壁面91bの一端91b1と、周方向CD2における外壁面91bの他端91b2と、中心軸線CTとは、一直線上に並ぶことが好ましい。従って、第1保持部91の径方向RD2の厚さを均一にすることができる。その結果、ブッシュBHの強度が低下することを抑制することができる。
【0112】
ブッシュBHは、鍔部90bを有することが好ましい。鍔部90bは、本体部90aから、径方向RD2の外側に向って広がる。従って、鍔部90bによって、ブッシュBHが駆動力伝達部材110の第1軸支持部41に対して中心軸線CTに沿った方向に移動することを抑制することができる。その結果、ブッシュBHが駆動力伝達部材110の第1軸支持部41から外れることを抑制することができる。
【0113】
本実施形態では、第1面92bと第2面92cとに加えて、第1保持部91の外壁面91bが第1軸支持部41に接触する。詳しくは、外壁面91bは、第1軸支持部41の第1接続面413に接触する。図20Bに示すように、第1保持部91の中心軸線CTに沿った長さd3は、鍔部90bの中心軸線CTに沿った長さd4よりも長い。従って、ブッシュBHと駆動力伝達部材110の第1軸支持部41との接触する面積を広くすることができる。その結果、ブッシュBHを駆動力伝達部材110の第1軸支持部41に対して強固に取り付けることができる。
【0114】
第2保持部92の中心軸線CTに沿った長さd5は、鍔部90bの中心軸線CTに沿った長さd4よりも長い。第2保持部92を厚くすることによって、ブッシュBHの剛性を向上させることができる。従って、ブッシュBHを駆動力伝達部材110の第1軸支持部41に対して嵌合したとき、ブッシュBHが変形することを低減することができる。その結果、ブッシュBHの駆動力伝達部材110の第1軸支持部41に対する圧入締め代を大きく取ることができる。
【0115】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、または、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0116】
また、図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0117】
(1)図1図20Bを参照して説明した本実施形態では、回転機構DV(図3)が、搬送車1に適用された。ただし、回転機構DVの適用は、搬送車1に限られず、回転機構DVは、床面又は地面を移動する任意の移動体に適用できる。移動体は、例えば、一輪車、二輪車、三輪車、又は、四輪車である。また、移動体は、1つの回転機構DVを有していてもよいし、2以上の回転機構DVを有していてもよい。
【0118】
(2)図1図20Bを参照して説明した本実施形態では、主輪5の回転軸線AXと駆動力伝達部材110の回転軸線AXとが略一致していた。ただし、駆動力伝達部材110の回転軸線が、主輪5の回転軸線に対して偏心していてもよい。
【0119】
(3)図1図20Bを参照して説明した本実施形態では、ブッシュBHは、外壁面91bの全てが第1軸支持部41に接触していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、外壁面91bの一部又は全てが第1軸支持部41に接触していなくてもよい。
【0120】
(4)図1図20Bを参照して説明した本実施形態では、ブッシュBHは、第1面92bの全てが、第1長距離部92b1であったが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1面92bの一部が、第1長距離部92b1であってもよい。すなわち、第1面92bは、一部に中心軸線CTからの第1面92bの周方向CD2における一端92b2との距離よりも短い部分を有していてもよい。同様に、図18A図20Bを参照して説明したブッシュBHでは、第2面92cの全てが、第2長距離部92c1であったが、本発明はこれに限定されない。例えば、第2面92cの一部が、第2長距離部92c1であってもよい。すなわち、第2面92cは、一部に中心軸線CTからの第2面92cの周方向CD2における一端92c2との距離よりも短い部分を有していてもよい。
【0121】
(5)図1図20Bを参照して説明した本実施形態では、ブッシュBHは、第1面92bと第2面92cとは平面であったが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1面92bと第2面92cとは凹凸形状を有していてもよい。あるいは、第1面92bと第2面92cとは湾曲していてもよい。
【0122】
(6)図1図20Bを参照して説明した本実施形態では、ブッシュBHは、第1面92bと第2面92cとは実質的に平行であったが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1面92bと第2面92cとは実質的に平行でなくてもよい。例えば、第1面92bの一端92b2及び第2面92cの一端92c2から離れるに従って、第1面92bと第2面92cとの距離が大きくなるように末広がりの形状を有していてもよい。
【0123】
(7)図1図20Bを参照して説明した本実施形態では、ブッシュBHは、鍔部90bを有していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、ブッシュBHは、鍔部90bを有していなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明は、例えば、軸保持部材に利用できる。
【符号の説明】
【0125】
5 主輪
41 軸支持部
51 被駆動ローラ
90a 本体部
90b 鍔部
91 第1保持部
91a 第1内壁面
91b 外壁面
91b1 一端
91b2 他端
92 第2保持部
92a 第2内壁面
92b 第1面
92b1 第1長距離部
92b2 一端
92c 第2面
92c1 第2長距離部
92c2 一端
95 中空孔
110 駆動力伝達部材
120 駆動ローラ
123 軸
AX 回転軸線
BH ブッシュ(軸保持部材)
CD2 周方向
CT 中心軸線
D1 第1方向
D2 第2方向
RD2 径方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図19A
図19B
図20A
図20B