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▶ ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】高い含水量を有する押出石鹸バー
(51)【国際特許分類】
   C11D 9/04 20060101AFI20240227BHJP
   C11D 9/18 20060101ALI20240227BHJP
   C11D 9/10 20060101ALI20240227BHJP
   C11D 9/26 20060101ALI20240227BHJP
   C11D 9/02 20060101ALI20240227BHJP
   C11D 13/00 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
C11D9/04
C11D9/18
C11D9/10
C11D9/26
C11D9/02
C11D13/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021548135
(86)(22)【出願日】2020-02-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-01
(86)【国際出願番号】 EP2020053443
(87)【国際公開番号】W WO2020169409
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2022-12-09
(31)【優先権主張番号】19157897.0
(32)【優先日】2019-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】アガークヘッド,アジート・マノハール
(72)【発明者】
【氏名】バンガル,アマレンドゥ
(72)【発明者】
【氏名】ゴーシュ・ダスティダール,スディプタ
(72)【発明者】
【氏名】ヘギシュテ,スワプニル・ラビカント
(72)【発明者】
【氏名】プラタープ,シャイレンダ
(72)【発明者】
【氏名】ヤロヴォエ,ユーリー・コンスタンチノヴィチ
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2001/0046949(US,A1)
【文献】特表平09-502476(JP,A)
【文献】特表2014-513163(JP,A)
【文献】特表2007-513112(JP,A)
【文献】特表平10-503546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00- 19/00
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00- 90/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)40~75重量%の石鹸と、
(ii)3~20重量%のゼオライトと、
(iii)22~35重量%の水と
を含む押出石鹸バー。
【請求項2】
40~60重量%の石鹸を含む、請求項1に記載の石鹸バー。
【請求項3】
5~15重量%のゼオライトを含む、請求項1または2に記載の石鹸バー。
【請求項4】
25~32重量%の水を含む、前述の請求項1から3のいずれか一項に記載の石鹸バー。
【請求項5】
0.1~6重量%の電解質をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の石鹸バー。
【請求項6】
前記電解質が界面活性剤ではなく、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムまたはそれらの混合物から選択される、請求項5に記載の石鹸バー。
【請求項7】
炭酸マグネシウムをさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の石鹸バー。
【請求項8】
前記石鹸を形成するための鹸化工程中に実質的に前記ゼオライトのすべてを含める工程を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の石鹸バーを調製する方法。
【請求項9】
前記電解質が、前記石鹸を形成するための鹸化工程中に含まれる、請求項5または6に記載の石鹸バーを調製する方法。
【請求項10】
前記石鹸バーが、押出するのが容易である、請求項8または9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出石鹸バー組成物に関する。本発明は、さらに詳細には、多量の水を含むにもかかわらず、押出および型押が容易な石鹸バー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
界面活性剤は、長い間、パーソナルウォッシュ用途に使用されてきた。パーソナルウォッシュ市場には多くのカテゴリーの製品、例えば、ボディウォッシュ、洗顔料、ハンドウォッシュ、石鹸バー、シャンプーなどがある。ボディウォッシュ、洗顔料およびシャンプーとして市販されている製品は、一般に液体形態であり、合成アニオン性界面活性剤から作られている。それらは、一般に、プラスチックボトル/容器に入れて販売されている。石鹸バーおよびハンドウォッシュ製品は、一般に石鹸を含有する。石鹸バーは、プラスチック容器に入れられて販売される必要はなく、剛性固体の形態で構造化されることにより、独自の形状を保持することができる。石鹸バーは、通常、厚紙製のカートンに入れて販売されている。
【0003】
石鹸バーは、一般に、2つの経路のうちの1つによって調製される。一方は流延バー経路と呼ばれ、他方は粉砕および圧出(plodded)経路(押出経路としても知られる)と呼ばれる。流延バー経路は、本質的に、低TFM(総脂肪物質)バーを調製するのに非常に適している。総脂肪物質は、石鹸の品質を定義する一般的な方法である。TFMは、鉱酸、通常は塩酸を用いて分割した後に石鹸の試料から分離することができる脂肪物質、主に脂肪酸の総量として定義される。流延バー石鹸では、石鹸混合物を多価アルコールと混合し、鋳型に注ぎ、冷却させ、次いで石鹸バーを鋳型から取り出す。流延バー経路は、比較的低いスループット速度での製造を可能にする。
【0004】
粉砕および圧出経路では、高い含水量を有するように石鹸を調製し、次いで噴霧乾燥させて水分含有量を減少させ、石鹸を冷却し、その後に他の成分を加え、次いで石鹸を圧出機(plodder)を通して押し出し、場合により、切断および型押しして最終的な石鹸バーを調製する。粉砕および圧出された石鹸は、一般に、60~80重量パーセントの範囲の高いTFMを有する。
【0005】
粉砕および圧出された石鹸バーは、押出石鹸バーとしても知られている。それらは、非常に多くの異なる種類の石鹸から構成される。ほとんどの石鹸組成物は、水不溶性石鹸および水溶性石鹸の両方を含む。それらの構造は、一般に、レンガおよびモルタル型構造を特徴とする。不溶性石鹸(レンガと呼ばれる)は、通常、比較的高い鎖長のC16およびC18石鹸(パルミテートおよびステアレート石鹸)からなる。それらは、一般に、構造化の利点を提供するために、すなわちバーに形状を提供するために石鹸バーに含まれる。石鹸バーはまた、短鎖脂肪酸(一般にC8~C12またはさらには最大C14石鹸)と組み合わせた一般に不飽和C18:1および18:2ナトリウム石鹸(オレエート石鹸)である水溶性石鹸(モルタルとして作用する)からなる。水溶性石鹸は、一般に洗浄に役立つ。
【0006】
パーソナルウォッシュのために押出経路を通して現在調製されている石鹸バーは、約60~80重量%のTFMに加えて、約14~22重量%の水を含有する。1つの手法が、TFM含有量を低下させ、洗浄効果を損なうことなく含水量を増加させることによって石鹸を開発することである持続可能な技術を開発する必要がある。本発明者らは、脂肪物質含有量を減少させるための本出願人らによる様々な試みを認識している。これらの技術には、リン酸アルミニウムを含めること、またはケイ酸カルシウムのインサイチュ生成のような、石鹸バーを構造化するための手法が含まれる。そのような技術は、洗濯用途のためのバーを調製するのに有用であるが、そのような材料はあまり皮膚に優しくないため、パーソナルウォッシングには適していない。TFMを比較的多量の水に単に置き換えると、石鹸塊の押出中に問題が引き起こされ、さらに、押出バーは粘着性であり、容易に型押しすることができない。本発明者らはまた、ベントナイトまたはカオリナイトのような天然アルミノシリケート粘土を含めることを含む様々な他の手法を認識しているが、それらは少量でバーを構造化するのにあまり効率的ではないことが判明している。
【0007】
米国特許第4678593号(P&G、1987年)は、スメクタイト型粘土を組み込んだバー形態の透明または半透明のトイレ用組成物を開示している。この組成物は、好ましくは粉砕されたトイレ用バーであり、優れたバー外観とともに、油性皮膚タイプに対する改善された皮膚コンディショニング性能を示す。ただし、本発明者らは、この技術を使用して、40~60重量%という低さの好ましい範囲までTFMを減少させることができないことを見出した。
【0008】
本発明者らは、極めて特定の低いTFM範囲を有する石鹸バーに極めて特定の範囲のゼオライトを含めることにより、押出および型押が容易であるとともに、保存および使用時にあらゆる感覚特性およびバー完全性特性を有する高含水量の石鹸バーを提供することが可能になることを見出した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許第4678593号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、押出経路を使用して調製することができ、容易かつ好都合に型押可能な低TFM石鹸バーを提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、好都合に押出可能かつ型押可能であることに加えて、バーの完全性特性または感覚特性を損なわない低TFM石鹸バーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、
(i)40~75重量%の石鹸と、
(ii)3~20重量%のゼオライトと、
(iii)22~35重量%の水と
を含む押出石鹸バーに関する。
【0013】
本発明の別の態様は、石鹸を形成するための鹸化工程中に実質的に全部のゼオライトを含める工程を含む、本発明の石鹸バーを調製する方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
これらおよび他の態様、特徴および利点は、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲を読むことにより、当業者に明らかになるであろう。疑義を避けるために、本発明の一態様の任意の特徴が、本発明の他の任意の態様において利用されてもよい。用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」を意味することを意図しているが、必ずしも「からなる(consisting of)」または「から構成される(composed of)」を意味するものではない。言い換えれば、列挙された工程または選択肢は網羅的である必要はない。以下の説明に示される実施例は、本発明を明確にすることを意図しており、本発明をそれらの実施例自体に限定することを意図していないことに留意されたい。同様に、すべてのパーセンテージは、他に指示がない限り重量/重量%である。操作および比較実施例、または他に明示されている場合を除いて、材料の量または反応条件、材料および/または使用の物理的特性を示す本明細書および特許請求の範囲中のすべての数字が、用語「約」によって修飾されると理解されるべきである。「xからy」の形式で表される数値範囲は、xおよびyを含むと理解される。特定の特徴について複数の好ましい範囲が「xからy」の形式で記載されている場合、異なる端点を組み合わせるすべての範囲も企図されることが理解されよう。
【0015】
本発明は、石鹸バー組成物に関する。石鹸バー組成物とは、成形された固体の形態の石鹸を含むクレンジング組成物を意味する。本発明の石鹸バーは、パーソナルクレンジングに特に有用である。本発明の石鹸バーは、40~75%の総量の石鹸、好ましくは40~60重量%の石鹸を含む。石鹸という用語は、脂肪酸の塩を意味する。好ましくは、石鹸はC8~C24脂肪酸の石鹸である。
【0016】
カチオンは、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウムイオン、好ましくはアルカリ金属であり得る。好ましくは、カチオンは、ナトリウムまたはカリウム、さらに好ましくはナトリウムから選択される。石鹸は、飽和であっても不飽和であってもよい。飽和石鹸は、安定性のために不飽和石鹸よりも好ましい。油または脂肪酸は、植物由来または動物由来であり得る。
【0017】
石鹸は、油、脂肪または脂肪酸の鹸化によって得られてもよい。石鹸バーを製造するために一般に使用される脂肪または油は、獣脂、獣脂ステアリン、パーム油、パームステアリン、ダイズ油、魚油、ヒマシ油、米ぬか油、ヒマワリ油、ココナッツ油、ババス油およびパーム核油から選択され得る。脂肪酸は、ココナッツ、米ぬか、ラッカセイ、獣脂、パーム、パーム核、綿実またはダイズ由来であり得る。
【0018】
脂肪酸石鹸はまた、合成的に調製され得る(例えば、石油の酸化によって、またはフィッシャー・トロプシュプロセスによる一酸化炭素の水素化によって)。トール油中に存在するものなどの樹脂酸を使用してもよい。ナフテン酸を使用してもよい。
【0019】
石鹸バーは、アニオン性、非イオン性、カチオン性または双性イオン性界面活性剤のクラスからの1つ以上から、好ましくはアニオン性界面活性剤から選択される合成界面活性剤をさらに含んでもよい。本発明によるこれらの合成界面活性剤は、8%未満、好ましくは4%未満、さらに好ましくは1%未満の範囲で含まれ、場合によっては組成物中に存在しない。
【0020】
本発明の組成物は、成形された固体、例えばバーの形態である。洗浄石鹸組成物は、所望の局所表面、例えば、全身、毛髪および頭皮または顔をクレンジングするために使用されるのに十分な量の界面活性剤が一般に含まれるウォッシュオフ製品である。クレンジング石鹸組成物を局所表面に塗布し、その上に数秒間または数分間だけ放置し、その後多量の水を用いて洗い流す。
【0021】
本発明の石鹸バーは、一般に水溶性であり、組成物の重量の2~20%の範囲にある低分子量石鹸(C8~C14石鹸)を含むことが好ましい。石鹸バーは、一般に水不溶性石鹸である、C16~C24脂肪酸の石鹸を15~55重量%含むことが好ましい。好ましくは15~35%の不飽和脂肪酸石鹸もまた、組成物の総石鹸含有量に含まれ得る。不飽和石鹸は、好ましくはオレイン酸石鹸である。
【0022】
本発明の組成物は、組成物の重量の3~20%、好ましくは5~15%の範囲にある選択的な量のゼオライトを含む。ゼオライトは、水和アルミノシリケートである。それらの構造は、酸素原子によって配位されたAlOおよびSiOの相互結合した四面体の三次元骨格にある。ゼオライトは、アルミニウム、酸素およびケイ素という元素から構築された比較的開いた三次元結晶構造と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属(ナトリウム、カリウムまたはマグネシウムなど)と、それらの間の空隙に捕捉された水分子とを有する固体である。ゼオライトは、非常に規則的な配置で、小分子とほぼ同じサイズの大きな開孔(空洞と呼ばれることもある)を有する多くの異なる結晶構造を有するように形を成す。
【0023】
その結晶単位胞に基づくゼオライトの構造式(SiOおよびAlOの両方を変数とする)は、以下によって表すことができ、
a/n(AlO(SiO.wH
式中、Mはカチオン(例えば、ナトリウム、カリウムまたはマグネシウム)であり、wは1単位胞当たりの水分子の数であり、aおよびbはそれぞれ1単位胞当たりのAlおよびSiの四面体の総数であり、nは金属イオンの原子価である。b/aの比は、通常、1から5まで変化する。
【0024】
例えば、モルデナイトの場合、化学式はNa(AlO(SiO40であり、
式中、a=8およびb=40であり、b/aは5である。
【0025】
ゼオライト4Aの場合、化学式はNa96(AlO96(SiO96であり、
式中、a=96およびb=96であり、b/aは1である。
【0026】
一部のゼオライトは、例えば、ZSM-5型のゼオライトでは、10から100またはさらに高くまで変化するb/a値を有する。
【0027】
本発明によれば、石鹸組成物に使用するのに好ましいゼオライトには、ゼオライト4A、ゼオライト5A、ゼオライト13Aまたはゼオライト3Aが含まれる。最も好ましいゼオライトは、ゼオライト4Aである。
【0028】
本発明の石鹸バー組成物は、水の構造化能力、ひいては硬度を改善するのに役立つゼオライトに加えて、第2の微粒子活性物質、すなわち炭酸マグネシウムをさらに含んでもよい。使用される場合、炭酸マグネシウムは、石鹸バー組成物の重量の0.1~7%の範囲で含まれる。本発明者らは、炭酸マグネシウムの代わりにタルク、ベントナイトおよびカオリナイトのような同様の微粒子活性物質を試験し、それらが炭酸マグネシウムと同様に機能しないことを見出した。本発明の特に好ましい態様として、炭酸マグネシウムによって、使用された可能性があるゼオライトの一部を置き換えてもよく、さらに依然として良好な水の構造化が得られる。これは、いくらかのコスト上の利点をもたらす。ただし、ゼオライトを残らず炭酸マグネシウムに置き換えることはできない。ゼオライトと炭酸マグネシウムとの組合せを使用する場合、ゼオライトと炭酸マグネシウムとの重量比は、5:1~1:5の範囲にあることが好ましい。
【0029】
本発明の石鹸バーは、従来の石鹸バーと比較して、多量の水を安定して保持することができる。石鹸組成物中の水の量は、組成物の重量の22~35%、好ましくは25~32%の範囲にある。理論に束縛されることを望むものではないが、本発明者らは、石鹸骨格中のゼオライトが多量の水を可逆的に吸着すると考えている。ゼオライトによって吸着された水の量は、いかなる体積変化も伴わず乾燥ゼオライトの重量の30%に達し得る。さらに、本発明者らは、ゼオライトが鹸化段階に含まれる場合、ゼオライトは石鹸マトリックス中に比較的均一に分布し、また水を比較的容易かつ迅速に吸着し、その結果、石鹸の保存時の厳しい温度サイクルおよび湿度サイクルにわたって含水量の動的バランスが良好に維持されるため、急速に乾燥せず、亀裂またはエフロレッセンスのような他の問題も示さない安定性が高まった石鹸バーがもたらされると考えている。
【0030】
石鹸バー組成物は、2~15重量%、好ましくは4~12重量%の遊離脂肪酸を含んでいてもよい。遊離脂肪酸とは、炭化水素鎖と、Hに結合した末端カルボキシル基とを含むカルボン酸を意味する。好適な脂肪酸は、C8~C22脂肪酸である。好ましい脂肪酸は、C12~C18、好ましくは主に飽和直鎖脂肪酸である。ただし、いくつかの不飽和脂肪酸も使用することができる。
【0031】
組成物は、好ましくは、多価アルコール(ポリオールとも呼ばれる)、またはポリオールの混合物を含む。ポリオールとは、高度に水溶性である、複数のヒドロキシル基(少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ)を有する化合物を示すために本明細書で使用される用語である。比較的低分子量の短鎖ポリヒドロキシ化合物、例えば、グリセロールおよびプロピレングリコール;糖、例えば、ソルビトール、マンニトール、スクロースおよびグルコース;修飾炭水化物、例えば、加水分解デンプン、デキストリンおよびマルトデキストリン、ならびにポリマー合成ポリオール、例えば、ポリアルキレングリコール、例えば、ポリオキシエチレングリコール(PEG)およびポリオキシプロピレングリコール(PPG)を含む多くの種類のポリオールが利用可能である。特に好ましいポリオールは、グリセロール、ソルビトールおよびそれらの混合物である。最も好ましいポリオールはグリセロールである。好ましい実施形態では、本発明のバーは、0~8重量%、好ましくは1~7.5重量%のポリオールを含む。
【0032】
石鹸バー組成物は、一般に、電解質および水を含む。本発明による電解質は、水中でイオンに実質的に解離する化合物を含む。本発明による電解質は、イオン性界面活性剤ではない。石鹸製造プロセスに含めるのに適した電解質は、アルカリ金属塩である。好ましいアルカリ金属塩には、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、炭酸ナトリウム、およびアルカリ土類金属の他のモノまたはジまたはトリ塩が含まれ、さらに好ましい電解質は塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、塩化カリウムであり、特に好ましい電解質は塩化ナトリウム硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムまたはそれらの組合せである。誤解を避けるために、電解質が非石鹸材料であることを明らかにする。電解質は、組成物の重量の0.1~6%、さらに好ましくは0.5~6%、さらになお好ましくは0.5~5%、一層好ましくは0.5~3%、最も好ましくは1~3%の範囲で含まれることが好ましい。電解質は、石鹸を形成するための鹸化工程中に石鹸バーに含まれることが好ましい。
【0033】
石鹸組成物は、アルカリを用いて脂肪負荷(fat charge)を最初に鹸化し、続いて従来の圧出機内で混合物を押し出すことを含む方法によってバーに製造され得る。次いで、圧出された塊は、所望のサイズに切断され、所望の印を有するように型押しされていてもよい。本発明の特に重要な利点は、石鹸バーの含水量が多いにもかかわらず、押出によってこのように調製された組成物は、望ましい印を有するように型押しするのが容易であることが分かっていることである。バーは、好ましくは押し出すのが容易である。「押し出すのが容易」とは、押し出される際のバーの硬度が、剛性バーと呼ぶことができるほど十分に硬い形態で押出機を出るほど十分に高いことを意味する。バーの硬度は、好ましくは1.2kgよりも高く、さらに好ましくは(40℃で)1.2~5.0kgの範囲にある。硬度は、好ましくは、Stable Micro Systemsから入手可能なTA-XT Express装置を使用して測定される。硬度は、30°円錐形プローブ-Part #P/30cを有するこの装置を使用して、15mmの貫通まで測定される。石鹸塊は、柔らかすぎ、押出機を貫通すると、バーと呼ばれるのに十分に凝集した塊で押出機から押し出されない。バーは、好ましくは型押しするのが容易である。「型押しするのが容易」とは、石鹸バーが、バー上に任意の所望の印を型押しするために使用されるダイに付着しないような稠度および十分に低い粘着性を有することを意味する。したがって、本発明の方法によって調製された石鹸バーは、好ましくは、その上に型押しされた印を含む。
【0034】
好ましい方法は、石鹸を形成するための鹸化工程中に実質的に全部のゼオライトを含めることを含む。「実質的に全部のゼオライト」とは、50重量%を超える、好ましくは70重量%を超える、さらになお好ましくは90重量%を超える、さらになお一層好ましくは95重量%を超える、理想的には全部のゼオライトを意味する。
【0035】
最終的な石鹸バー組成物を構成する様々な任意の成分は、以下に記載される通りである:
有機および無機補助材料
バー組成物に使用される補助材料の総レベルは、石鹸バー組成物の重量の50%以下、好ましくは1~50%、さらに好ましくは3~45%の量であるべきである。
【0036】
使用され得る好適なデンプン質材料には、天然デンプン(natural starch)(トウモロコシ、小麦、米、ジャガイモ、タピオカなどに由来)、アルファ化デンプン、様々な物理的および化学的に修飾されたデンプンならびにそれらの混合物が含まれる。天然デンプン(natural starch)という用語は、化学的または物理的な修飾に供されておらず、生デンプン(raw starch)または天然デンプン(native starch)としても知られるデンプンを意味する。生デンプンは、直接使用するか、デンプンがゼラチン化されるか、部分的にまたは完全にゼラチン化されるように、バー組成物を製造する方法中に修飾することができる。
【0037】
補助剤系は、材料の1つまたは組合せを含む不溶性粒子を含んでいてもよい。不溶性粒子とは、固体微粒子形態で存在し、パーソナルウォッシングに適した材料を意味する。好ましくは、鉱物(例えば、無機)または有機粒子がある。
【0038】
不溶性粒子は、チクチク感または顆粒として知覚されるべきではなく、したがって、300ミクロン未満、さらに好ましくは100ミクロン未満、最も好ましくは50ミクロン未満の粒径を有するべきである。
【0039】
好ましい無機微粒子材料には、タルクおよび炭酸カルシウムが含まれる。タルクは、層状シリケート構造と、MgSi(OH)22の組成とを有するケイ酸マグネシウム鉱物材料であり、水和形態で入手可能であり得る。タルクは、板状の形態を有し、本質的に親油性/疎水性である、すなわち、水ではなく油によって濡れる。
【0040】
炭酸カルシウムまたはチョークは、カルサイト、アラゴナイトおよびバテライトの3つの結晶形態で存在する。カルサイトの天然形態は菱面体または立方体であり、アラゴナイトについては針状または樹状であり、バテライトについては回転楕円体である。
【0041】
他の任意の不溶性無機微粒子材料の例には、アルミネート、シリケート、ホスフェート、不溶性スルフェート、ボレートおよび粘土(例えば、カオリン、陶土)ならびにそれらの組合せが挙げられる。
【0042】
有機微粒子材料には、不溶性多糖類、例えば、高架橋または不溶化デンプン(例えば、コハク酸オクチル(octyl succinate)などの疎水性物質との反応による)およびセルロース;合成ポリマー、例えば、様々なポリマー格子および懸濁ポリマー;不溶性石鹸ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0043】
本発明の組成物はポリマーを含むことが好ましい。アクリレートクラスのポリマーが特に好ましい。好ましいバーは、0.05~5%のアクリレートを含む。さらに好ましいバーは、0.01~3%のアクリレートを含む。アクリレートポリマーの例には、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第2,798,053号に記載されているような、ポリアリルスクロースによって架橋されたアクリル酸のポリマーおよびコポリマーが挙げられる。他の例には、ポリアクリレート、アクリレートコポリマーまたはアルカリ膨潤性エマルジョンアクリレートコポリマー、疎水変性アルカリ膨潤性コポリマー、およびアクリル酸の架橋ホモポリマーが挙げられる。そのような市販のポリマーの例には、ACULYN(登録商標)、CARBOPOL(登録商標)、およびCARBOPOL(登録商標)Ultrezグレードシリーズがある。
【0044】
バー組成物は、バー組成物の重量の0.1~25%、好ましくは5~15のこれらの鉱物または有機粒子を含むことが好ましい。
【0045】
パーソナルケア組成物中に、乳白剤が存在していてもよい。乳白剤が存在する場合、クレンジングバーは一般に不透明である。乳白剤の例には、二酸化チタン、酸化亜鉛などが挙げられる。不透明な石鹸組成物が望ましい場合に使用することができる特に好ましい乳白剤は、例えば、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム中20%溶液の形態のエチレングリコールモノ-またはジ-ステアレートである。代替の不透明剤はステアリン酸亜鉛である。
【0046】
製品は、無色透明な、すなわち透き通った石鹸の形態をとることができ、この場合、製品は乳白剤を含有しない。
【0047】
本発明の好ましい石鹸バーのpHは、8~11、さらに好ましくは9~11である。
【0048】
好ましいバーは、最大30重量%の有益剤をさらに含み得る。好ましい有益剤には、保湿剤、軟化剤、日焼け止め剤および老化防止化合物が含まれる。この薬剤は、バーを製造する方法中の適切な工程で加えられ得る。いくつかの有益剤は、マクロドメインとして導入され得る。
【0049】
本発明の方法では、酸化防止剤、香料、ポリマー、キレート剤、着色剤、デオドラント、染料、酵素、起泡力増進剤、殺菌剤、抗微生物剤、泡立ち剤、真珠光沢剤、皮膚コンディショナー、安定剤または過脂肪剤のような他の任意の成分が好適な量で加えられてもよい。好ましくは、成分は鹸化工程の後に加えられる。メタ重亜硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ホウ砂またはエチレンヒドロキシジホスホン酸(EHDP)を製剤に加えることが好ましい。
【0050】
本発明の組成物は、抗微生物効果をもたらすために使用することができる。この効果をもたらすために好ましく含まれる抗微生物剤には、微量作用金属またはその化合物が含まれる。好ましい金属は、銀、銅、亜鉛、金またはアルミニウムである。銀が特に好ましい。イオン形態では、それは塩、または任意の適用可能な酸化状態の任意の化合物として存在し得る。好ましい銀化合物は、酸化銀、硝酸銀、酢酸銀、硫酸銀、安息香酸銀、サリチル酸銀、炭酸銀、クエン酸銀またはリン酸銀であり、1つ以上の実施形態では、酸化銀、硫酸銀およびクエン酸銀が特に興味深い。少なくとも1つの好ましい実施形態では、銀化合物は酸化銀である。微量作用金属またはその化合物は、組成物の重量の0.0001~2%、好ましくは0.001~1%の範囲で含まれることが好ましい。あるいは、精油抗微生物活性物質が本発明の組成物に含まれてもよい。含まれ得る好ましい精油活性物質には、テルピネオール、チモール、カルバコール(carvacol)、(E)-2(プロパ-1-エニル)フェノール、2-プロピルフェノール、4-ペンチルフェノール、4-sec-ブチルフェノール、2-ベンジルフェノール、オイゲノールまたはそれらの組合せがある。さらになお好ましい精油活性物質は、テルピネオール、チモール、カルバクロールまたはチモールであり、最も好ましくはテルピネオールまたはチモールであり、理想的にはこれら2つの組合せである。精油活性物質は、組成物の重量の0.001~1%、好ましくは0.01~0.5%の範囲で含まれることが好ましい。
【0051】
これより、以下の非限定的な例によって本発明を説明する。
【0052】
[実施例]
実施例A~Cおよび1~3:押出性および型押性に対する本発明の範囲外および範囲内の石鹸バーの効果
表-1に示す以下の4つの石鹸バー組成物を調製した。
【0053】
【表1】
【0054】
上記の表のデータは、本発明の範囲内の組成物(実施例1~3)が、押し出すのが容易であり、さらに型押しするのが容易であることを示している。実施例AおよびBは本発明の範囲外であり、押し出すのが困難であるか、型押しするのが困難であるか、その両方である。ゼオライトの代わりにタルクを使用すると(実施例C対実施例2)、製造されたバーは粘着性であり、型押不可である。
【0055】
実施例D、5、6:異なる量のゼオライトおよび炭酸マグネシウムを用いて調製したバーの硬度:
異なる量のゼオライトおよび/または炭酸マグネシウムを使用したことを除いて、上記の表-1の実施例のように石鹸バーを調製した。石鹸バーの配合は、以下の表-2に示す通りである:
以下に記載される手順を使用して試料の硬度を測定し、測定値を表-2に示す:
【0056】
硬度試験プロトコル
原理
30°円錐形プローブは、石鹸/合成洗剤試料に所定の深さまで指定の速度で貫通する。特定の深さで発生した抵抗を記録する。バー/ビレットが円錐体(15mm)の貫通よりも大きく、十分な面積を有することを除いて、試験試料のサイズまたは重量の要件はない。記録された抵抗数は降伏応力にも関連し、応力は以下のように計算することができる。硬度(および/または計算された降伏応力)は、様々な異なる針入度計法によって測定することができる。本発明では、上記のように、15mmの深さまで貫通するプローブを使用する。
【0057】
装置および機器
TA-XT Express(Stable Micro Systems)
30°円錐形プローブ-Part #P/30c(Stable Micro Systems)
サンプリング技術
この試験は、圧出機からのビレット、完成したバー、または石鹸/合成洗剤の小片(ヌードル、ペレットまたはビット)に適用することができる。ビレットの場合、TA-XTに適したサイズ(9cm)の片をさらに大きな試料から切り出すことができる。TA-XTに取り付けるには小さすぎるペレットまたはビットの場合、圧縮固定具を使用して、試験するのに十分な大きさの単一のパスティルになるようにいくつかのヌードルを形成する。
【0058】
手順
TA-XT Expressの設定
これらの設定は、システムに一度だけ挿入される必要がある。それらは保存され、機器が再びオンになるたびにロードされる。これにより、設定が一定であり、あらゆる実験結果が容易に再現可能であることが保証される。
【0059】
試験方法を設定する
MENUを押す
TEST SETTINGSを選択する(1を押す)
TEST TPEを選択する(1を押す)
オプション1(CYCLE TEST)を選択し、OKを押す
MENUを押す
TEST SETTINGSを選択する(1を押す)
PARAMETERSを選択する(2を押す)
PRE TEST SPEEDを選択する(1を押す)
2(mm s-1)を入力し、OKを押す
TRIGGER FORCEを選択する(2を押す)
5(g)を入力し、OKを押す
TEST SPEEDを選択する(3を押す)
1(mm s-1)を入力し、OKを押す
RETURN SPEEDを選択する(4を押す)
10(mm s-1)を入力し、OKを押す
DISTANCEを選択する(5を押す)
石鹸ビレットの場合は15(mm)、または石鹸パスティルの場合は3(mm)を入力し、OKを押す
TIMEを選択する(6を押す)
1を入力する(CYCLE)
【0060】
較正
プローブをプローブキャリアにねじ込む。
MENUを押す
OPTIONSを選択する(3を押す)
CALIBRATE FORCEを選択する(1を押す)-機器は、較正プラットフォームに障害物がないかどうかを確認するようにユーザーに求める
OKを押して続行し、機器の準備ができるまで待機する。
2kgの較正重りを較正プラットフォーム上に置き、OKを押す
「calibration completed」というメッセージが表示されるまで待機し、プラットフォームから重りを除去する。
【0061】
試料測定
ビレットを試験プラットフォーム上に置く。
UP矢印またはDOWN矢印を押すことによって、(ビレットに触れずに)ビレットの表面にプローブを近づける。
RUNを押す
目標距離(Fin)で読み取り値(gまたはkg)を取る。
実験が実行された後、プローブはその元の位置に戻る。
プラットフォームから試料を除去し、その温度を記録する。
【0062】
計算、および結果の表出
出力
この試験からの出力は、試料温度測定値と組み合わせた、目標貫通距離におけるgまたはkg単位の「力」(R)としてのTA-XTの読み出しである。(本発明では、力は、40℃、15mmの距離でKg単位で測定される)
力の読み取り値は、以下の式に従って伸張応力に変換することができる:
TX-XT読み出しを伸張応力に変換する式は、以下の通りである
【数1】
式中、σ=伸張応力
C=「拘束係数」(30°円錐体の場合は1.5)
=重力加速度
A=円錐体の型打面積=
【数2】
d=貫通深さ
θ=円錐角
15mmの貫通での30°円錐体の場合、式2は以下のようになる
σ(Pa)=R(g)×128.8
この応力は、針入度計によって測定される静的降伏応力と同等である。
伸張率は以下の通りである
【数3】
式中、ε=伸張率(s-1
V=円錐速度
1mm/sで移動する30°円錐体の場合、ε=0.249s-1
【0063】
温度補正
皮膚クレンジングバー配合物の硬度(降伏応力)は温度感受性である。意味のある比較のために、目標距離(R)での読み取り値は、以下の式に従って標準基準温度(通常40℃)に補正されるべきである:
40=R×exp[α(T-40)]
式中、R40=基準温度(40℃)での読み取り値
=温度Tでの読み取り値
α=温度補正のための係数
T=試料を分析した温度。
この補正は、伸張応力に適用することができる。
【0064】
生データおよび処理データ
最終的な結果は温度補正された力または応力であるが、機器の読み取り値および試料温度も記録することが望ましい。
【0065】
少なくとも1.2Kg(40℃で測定)の硬度値が許容可能である。
【0066】
【表2】
【0067】
上記の表のデータから、炭酸マグネシウムを使用してゼオライトの一部を置き換えてもよく、良好な硬質バーが依然として得られ得ることが確認される。