(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】遠隔操作に係合するためのロボット把持器へのUIDの不適合/適合
(51)【国際特許分類】
A61B 34/35 20160101AFI20240227BHJP
B25J 3/00 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
A61B34/35
B25J3/00 A
(21)【出願番号】P 2021566491
(86)(22)【出願日】2019-05-13
(86)【国際出願番号】 US2019032049
(87)【国際公開番号】W WO2020231402
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2022-05-12
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516133124
【氏名又は名称】バーブ サージカル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Verb Surgical Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】クリングベイル・エレン
(72)【発明者】
【氏名】ユ・ハオラン
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-034851(JP,A)
【文献】国際公開第2018/162921(WO,A1)
【文献】特開2013-034832(JP,A)
【文献】国際公開第2010/109932(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/163943(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B
B25J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ロボットシステムであって、
2つのジョーを有するロボット把持器と、
ユーザインターフェースデバイス(UID)と、
前記UID及び前記ロボット把持器に通信可能に結合され、遠隔操作モードが作動している間は前記UIDからのユーザ入力に従って前記ロボット把持器の動作を制御し、非遠隔操作モードである間は前記UIDが前記ロボット把持器を制御することを防ぎ、非遠隔操作モードである間において、
前記遠隔操作モードに係合又は再係合する指令を検出することと、
前記UIDを介して検出されたユーザ動作のシーケンスを受信することと、
前記ロボット把持器が組織に対する締め付けをしている場合に下記(A)、(B)を行うことと、
(A)検出されたユーザ動作の前記シーケンスの結果として、前記UIDが開放から閉鎖へ向かう動作中である際に、前記ロボット把持器の角度又は把持力に変換された前記UIDに対するユーザ入力
と、前記2つのジョーの間のジョー角度又は前記ロボット把持器の把持力
が、所定の範囲内にあることにより、両者が適合すると判定すること、
(B)前記ロボット把持器の角度又は把持力に変換された前記UIDに対するユーザ入力が前記ジョー角度又は前記把持力と適合するとの判定に応じて、前記外科用ロボットシステムを遠隔操作モードに遷移させること、
前記ロボット把持器が組織に対する締め付けをしていない場合に下記(C)、(D)を行うことと、
(C)検出されたユーザ動作の前記シーケンスの結果として、前記UIDが閉鎖から開放へ向かう動作中である際に、前記ロボット把持器の角度又は把持力に変換された前記UIDに対するユーザ入力
と、前記2つのジョーの間のジョー角度又は前記ロボット把持器の把持力
が、所定の範囲内にあることにより、両者が適合すると判定すること、
(D)前記ロボット把持器の角度又は把持力に変換された前記UIDに対するユーザ入力が前記ジョー角度又は前記把持力と適合するとの判定に応じて、前記外科用ロボットシステムを遠隔操作モードに遷移させること、
を行うように構成されている、1つ又は2つ以上のプロセッサと、を備える、外科用ロボットシステム。
【請求項2】
前記ロボット把持器をユーザが遠隔操作するためのユーザコンソールであって、ペダルを備える脚踏み式制御部と、手術部位の視野を表示するように構成されたディスプレイと、前記UIDを置くためのドック、のうちの少なくとも1つを有するユーザコンソールを備え、
前記遠隔操作モードに係合又は再係合する前記指令が、前記UIDがユーザによって前記ドックから取り外されること、前記ディスプレイへのユーザの視線の集中、又はユーザによる前記ペダルに対するペダル動作のうちの少なくとも1つによって示される、請求項1に記載の外科用ロボットシステム。
【請求項3】
前記非遠隔操作モードが、
前記遠隔操作モードの前に、前記UIDが前記ロボット把持器を制御することから係合解除された状態である、係合解除モードと、
前記遠隔操作モードを一時停止させるために、前記UIDが前記ロボット把持器を制御することから係合解除された状態である、一時停止モードと、
のうちの1つを含む、請求項1に記載の外科用ロボットシステム。
【請求項4】
前記(C)におけるユーザ動作の前記シーケンスが、前記UIDを開放し、前記UIDを閉鎖し、前記UID及び前記ロボット把持器が適合するまで前記UIDを開放することを含む、請求項1に記載の外科用ロボットシステム。
【請求項5】
前記UIDが適合すると判定するために、かつ前記外科用ロボットシステムを前記遠隔操作モードに遷移させるために、前記1つ又は2つ以上のプロセッサが、
前記UIDが開放するのを待ち、前記UIDが開放した後に閉鎖し始めるときに不適合閉鎖状態に遷移するための不適合開放状態と、
前記UIDが閉鎖するのを待ち、前記UIDが閉鎖した後に開放し始めるときに適合中状態に遷移するための前記不適合閉鎖状態と、
前記UIDが前記ロボット把持器に適合するのを待ち、前記UIDが前記ロボット把持器と適合しているときに適合済状態に遷移するための前記適合中状態と、
前記UIDが前記ロボット把持器に適合しているときのための、及び前記遠隔操作モードへの前記遷移のための前記適合済状態と、を含む状態マシンを動作させるように更に構成されている、請求項4に記載の外科用ロボットシステム。
【請求項6】
前記1つ又は2つ以上のプロセッサが、
前記外科用ロボットシステムが遠隔操作モードを一時停止させるために、前記UIDが前記ロボット把持器を制御することから係合解除された状態である遠隔操作一時停止モードにあると判定することと、
前記遠隔操作一時停止モードにあると判定された場合に、
前記UID及び前記ロボット把持器を適合させるためのユーザ動作を受信することと、
前記外科用ロボットシステムを前記遠隔操作モードに遷移させることと、を行うように更に構成されている、請求項1に記載の外科用ロボットシステム。
【請求項7】
前記1つ又は2つ以上のプロセッサが、
前記UIDに対する操作に関するユーザ動作
のシーケンスに関するガイダンスを提供するように更に構成されている、請求項1に記載の外科用ロボットシステム。
【請求項8】
前記1つ又は2つ以上のプロセッサが、
前記ロボット把持器の角度又は把持力に変換された前記UIDに対するユーザ入力が前記ジョー角度又は前記把持力と適合すると判定したことに応じて、前記遠隔操作モードに遷移させることをユーザに通知するように更に構成されている、請求項1に記載の外科用ロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、ユーザ入力デバイス、ロボット又はロボット把持器、及びロボット把持器の遠隔操作に関する。他の実施形態も、記載されている。
【背景技術】
【0002】
外科用ロボットシステムでは、その遠位端に取り付けられた外科用ツールを有するロボットアームが外科医によって遠隔で操作される。これはまた、遠隔操作とも称される。用途としては、内視鏡手術が挙げられ、これは、患者の身体内を見て、いくつかのロボットアームの端部に取り付けられた内視鏡及び他の外科用ツールを使用して、内部、例えば、腹腔で手術を行うことを伴う。システムは、外科医に手術部位の近接撮影視野を与え、それと同時に、外科医が全てリアルタイムで、ハンドヘルドユーザインターフェースデバイス(user interface device、UID)を操作することによって、アームに取り付けられたツールを遠隔操作することを可能にする。ツールは、ジョー、カッター、ビデオカメラ、又は凝固に使用されるレーザなどのエネルギーエミッタを有するグリッパであってもよい。したがって、ツールは、ハンドヘルドUIDを操作する外科医に従って、正確な方法で、かつ高い器用さで、システムによって制御される。
【0003】
UIDのコア機能は、外科用ツールのエンドエフェクタの並進、回転、及び把持などの他の動作を制御するための入力デバイスとして機能することである。1つのタイプのツールは、把持器であり、これは、ジョーを閉鎖するために圧搾又は押圧することができる、UIDの把持連結部又は変形可能な表面の開放及び閉鎖運動によって制御される2つのジョーを有する。他のUIDは、他のタイプの連結部又は機構を有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
遠隔操作のための外科用ロボット把持器にユーザインターフェースデバイス(UID)を係合する方法を実行する外科用ロボットシステムの様々な態様が、本明細書に記載される。これらの実施形態は、ロボット把持器が手術中に患者の組織を損傷する、装置を損傷する、又は不注意に組織を解放するリスクを減少させるように、手術セッションの開始時にいつ及びどのように最初に遠隔操作に係合するかの問題、及びまた(システムが進行中の手術セッションにおける遠隔操作中に一時停止又は係合解除になる)一時停止モード又は係合解除モードからいつ及びどのように遠隔操作に再係合するかの問題を解決することを支援する。UIDは、連結部などの把持器部分、圧搾若しくは押圧することができる変形可能な表面、又は電子ユーザ入力信号(ユーザ入力)としてその位置若しくは配向が感知される他の指作動機構を有する。遠隔操作が係合されると、ユーザ入力は、一般的な意味で、遠隔操作中の外科用ロボット把持器の角度及び/又は力を比例的に制御するように、制御システムによって処理される。
【0005】
一実施形態では、外科用ロボットシステムは、2つのジョーを有するロボット把持器と、感知電子機器によって感知された信号(ユーザ入力)が生成される把持器部分を有するユーザインターフェースデバイス(UID)と、UID感知電子機器及びロボット把持器と通信可能に結合された1つ又は2つ以上のプロセッサ(一般的には、本明細書では便宜上「プロセッサ」と称される)と、を有する。プロセッサは、ロボット把持器がUIDからのユーザ入力によって制御される遠隔操作モードに係合又は再係合することが許容されるときを判断するプロセスを実行するように構成される。
【0006】
一実施形態では、プロセッサは、最初に、外科用ロボットシステムが非遠隔操作モード(例えば、一時停止モード若しくは「クラッチ」モード、係合解除モード、又は手術セッションの開始時に遠隔操作が開始されるのを待っている)にあると判定し得る。プロセッサは、UIDを介して検出されたユーザ動作(本明細書ではユーザ入力とも称される)のシーケンスを受信する。プロセッサは、受信したユーザ入力に基づいて、UID(その把持器部分)がi)ロボット把持器のジョー角度(ロボット把持器の2つのジョーの間の角度)、又はii)ロボット把持器の2つのジョーによって影響される把持力と適合するときを判定する。プロセッサは、UIDがロボット把持器のジョー角度又は把持力と適合するとの判定に応じて、外科用ロボットシステムを遠隔操作モードに遷移させる。
【0007】
別の実施形態では、外科用ロボットシステムは、以下のように、遠隔操作に再係合する方法を実行する。最初に、システムのプロセッサは、外科用ロボットシステムが遠隔操作中に係合解除モードに遷移したと判定し、それに応じて、複数の状態を有する有限状態マシンを実行することを開始する。状態マシンを実行している間に、プロセッサは、UIDの把持器部分のユーザ指作動を含む、検出されたユーザ動作(ユーザ入力)のシーケンスを受信する。この検出されたユーザ入力のシーケンスは、システムによって解釈され、状態マシンをいわゆる不適合/適合アルゴリズムのいくつかの状態間で遷移させる。UIDユーザ入力がロボット把持器のジョー角度又は把持力に適合することに対応するそのアルゴリズムの状態に状態マシンが到達すると、外科用ロボットシステムは、ロボット把持器の遠隔操作に再係合する。
【0008】
上記の概要は、本発明の全ての態様の網羅的なリストを含まない。本発明は、上記に要約された様々な態様の全ての好適な組み合わせから実施することができる全てのシステム及び方法、並びに以下の「発明を実施するための形態」に開示されているもの、特に本出願と共に提出された「特許請求の範囲」において指摘されているものを含むことが企図される。そのような組み合わせは、上記の概要に具体的に記載されていない特定の利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の実施形態は、添付図面の図において、限定としてではなく例として示され、同様の参照記号は、類似の要素を示す。本開示における本発明の「1つの(an)」又は「1つの(one)」実施形態への言及は、必ずしも同じ実施形態に対するものではなく、それらは、少なくとも1つを意味することに留意されたい。また、簡潔さ及び図の総数を減らす目的で、所与の図が、本発明の1つより多くの実施形態の特徴を例示するために使用され得、図中の全ての要素が、所与の実施形態に必要とされるわけではない場合がある。
【
図1】手術室内の例示的な外科用ロボットシステムの立体図である。
【
図2A】ユーザ入力デバイス(UID)の一実施例を例示する。
【
図2B】外科用ロボットアームに取り付けられた外科用ロボット把持器の一実施例を例示する。
【
図3】外科用ロボット把持器に適合されたUIDを用いて遠隔操作を実施するための、UID、外科用ロボットアーム、外科用ロボット把持器、及び制御コンピュータシステムを有する外科用ロボットシステムのブロック図である。
【
図4A】2つの異なるツールについての、UID値(ユーザ入力)から外科用ロボット把持器の角度及び力への例示的なマッピングのグラフである。
【
図4B】2つの異なるツールについての、UID値から外科用ロボット把持器の角度及び力への別の例示的なマッピングのグラフである。
【
図5A】一実施形態における、外科用ロボット把持器にUIDを適合させるための状態図である。
【
図5B】更なる実施形態における、外科用ロボット把持器にUIDを適合させるための更なる状態図である。
【
図6A】外科用ロボットシステムの遠隔操作に係合する方法のフローチャートである。
【
図6B】外科用ロボットシステムの遠隔操作に係合する別の方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで添付の図面を参照して本発明のいくつかの実施形態について説明する。実施形態に記載される部分の形状、相対位置、及び他の態様が明示的に定義されていない場合はいつでも、本発明の範囲は、図示された部分にのみ限定されるものではなく、これは単に例示の目的を意図するものである。また、数多くの詳細が記載されているが、本発明のいくつかの実施形態は、これらの詳細なしに実施され得ることが理解される。他の場合では、周知の回路、構造、及び技術は、本説明の理解を不明瞭にしないように詳細には示されていない。
【0011】
本明細書に記載される外科用ロボットシステム及びアルゴリズムは、外科用ロボット把持器のジョー角度及び/又は把持力に関して、インターフェースデバイス(UID)が外科用ロボット把持器と適合しない限り、遠隔操作が係合されないことを確実にする。一実施形態では、係合解除(非アクティブ)モードから遠隔操作が再係合されている場合、UIDとロボット把持器との間の不整合(又は「不適合」)は、適合前に、(指作動UID把持器上のユーザ動作を介して)最初に意図的に形成されなければならない。対照的に、一時停止モード(クラッチモードとも称される(ユーザがUIDの一時停止ボタン若しくはクラッチボタンを作動させたことに応じて、又はユーザが別の形態の一時停止コマンド若しくはクラッチコマンドを開始したことに応じて、制御システムがロボット把持器を凍結している場合))から遠隔操作に再係合しようとするとき、アルゴリズムは、初期の不適合を探す必要はなく、その代わりに、UIDユーザ入力が外科用ロボット把持器の保持されたジョー角度及び/又は把持力と適合することを検出すると、遠隔操作の再係合を可能にすることができる。
【0012】
図1を参照すると、これは、手術室内の例示的な外科用ロボットシステム1の立体図である。ロボットシステム1は、ユーザコンソール2と、制御タワー3と、外科用ロボットプラットフォーム5、例えばテーブル、ベッドなどにある1つ又は2つ以上の外科用ロボットアーム4と、を含む。システム1は、患者6に対して手術を行うために使用される任意の数のデバイス、ツール、又は付属品を組み込むことができる。例えば、システム1は、手術を行うために使用される1つ又は2つ以上の外科用ツール7を含み得る。外科用ツール7は、外科処置を実行するために外科用アーム4の遠位端に取り付けられたエンドエフェクタであってもよい。
【0013】
各外科用ツール7は、手術中に、手動で、ロボットで、又はその両方で操作され得る。例えば、外科用ツール7は、患者6の内部解剖学的構造に入る、それを見る、又は操作するために使用されるツールであってもよい。一実施形態では、外科用ツール7は、患者の組織を把持することができる把持器である。外科用ツール7は、ベッドのそばの操作者8によって手動で制御され得、又はそれが取り付けられた外科用ロボットアーム4の作動運動によってロボット制御され得る。ロボットアーム4は、テーブルに装着されたシステムとして示されているが、他の構成では、アーム4は、カート、天井、若しくは側壁、又は別の好適な構造的支持体に装着され得る。
【0014】
一般に、外科医などの遠隔操作者9は、ユーザコンソール2を使用して、アーム4及び/又は取り付けられた外科用ツール7を遠隔操作し得る(例えば、遠隔操作)。ユーザコンソール2は、
図1に示すように、システム1の残りの部分と同じ手術室内に位置し得る。しかしながら、他の環境では、ユーザコンソール2は、隣接する部屋若しくは近くの部屋に位置し得るか、又は遠隔位置、例えば、異なる建物、都市、若しくは国にあってもよい。ユーザコンソール2は、シート10と、足踏み式制御部13と、1つ又は2つ以上のハンドヘルドユーザ入力デバイス、UID14と、例えば、患者6内の手術部位の視野を表示するように構成された、少なくとも1つのユーザディスプレイ15と、を備え得る。例示的なユーザコンソール2では、遠隔操作者9は、アーム4及び(アーム4の遠位端に装着された)外科用ツール7を遠隔制御するために、足踏み式制御部13及びハンドヘルドUID14を操作しながら、シート10に座ってユーザディスプレイ15を見ている。
【0015】
いくつかの実施形態では、UID14は、外科用ロボットシステムの別の構成要素に対して接地されていないポータブルハンドヘルドユーザ入力デバイス又はコントローラであってもよい。例えば、UID14は、ユーザコンソール2からつながれている、又はつながれていない、のいずれかである間に、接地されていなくてもよい。用語「接地されていない」は、例えば、1つ又は2つ以上のUIDがユーザコンソール2に対して機械的にも運動学的にも拘束されていない実装を指すことを意図している。例えば、ユーザは、手にUID14を保持して、例えば、ユーザコンソールの追跡機構によってのみ制限された、空間内の任意の可能な位置及び配向に自由に移動し得る。対照的に、接地されたUIDは、その位置/配向/把持を保持することができる。
【0016】
いくつかの変形例では、ベッドのそばの操作者8はまた、ベッドのそばの操作者8(ユーザ)がここで患者6の側面にいて、例えば、片手に保持したハンドヘルドUID14でロボット駆動型ツール(アーム4に取り付けられたエンドエフェクタ)を、手動腹腔鏡ツールと同時に操作している、「ベッド対面」モードでシステム1を操作し得る。例えば、ベッドのそばの操作者の左手は、ロボット構成要素を制御するためにハンドヘルドUIDを操作していてもよく、一方、ベッドのそばの操作者の右手は、手動腹腔鏡ツールを操作していてもよい。したがって、これらの変形例では、ベッドのそばの操作者8は、患者6に対してロボット支援型低侵襲手術及び手動腹腔鏡手術の両方を行い得る。
【0017】
例示的な処置(手術)の間、患者6は、麻酔を達成するために、滅菌されて準備され覆われている。手術部位への初期アクセスは、(手術部位へのアクセスを容易にするために)ロボットシステム1のアームが収容構成又は撤収構成にある間に、手動で実行され得る。アクセスが完了すると、そのアーム4を含むロボットシステム1の初期配置又は準備が実行され得る。次に、手術は、ユーザコンソール2の遠隔操作者9が足踏み式制御部13及びUID14を利用して、様々なエンドエフェクタ及びおそらくは撮像システムを操作し手術を行って、進行する。手動支援はまた、組織の後退、手動再配置の実行、及びロボットアーム4のうちの1つ又は2つ以上に対するツール交換などのタスクを実行し得る、滅菌ガウンを着たベッドのそばの要員、例えば、ベッドのそばの操作者8によって、処置ベッド又はテーブルで提供され得る。また、ユーザコンソール2の遠隔操作者9を支援するために、非滅菌要員が存在し得る。処置又は手術が完了すると、システム1及びユーザコンソール2は、洗浄又は滅菌などの術後処置及びユーザコンソール2を介した医療記録の入力又は印刷を容易にする状態に構成又は設定することができる。
【0018】
一実施形態では、遠隔操作者9は、UID14を保持して移動させて、ロボットシステム1のロボットアームアクチュエータ17を移動させるための入力コマンドを提供する。UID14は、例えば、コンソールコンピュータシステム16を介して、ロボットシステム1の残りの部分に通信可能に結合され得る。UID14は、UID14の移動、例えば、UIDのハンドヘルドハウジングの位置及び配向に対応する空間状態信号を生成することができ、空間状態信号は、ロボットアームアクチュエータ17の動きを制御するための入力信号であってもよい。ロボットシステム1は、空間状態信号から導出された制御信号を使用して、アクチュエータ17の比例運動を制御し得る。一実施形態では、コンソールコンピュータシステム16のコンソールプロセッサは、空間状態信号を受信し、対応する制御信号を生成する。アーム4のセグメント又はリンクを移動させるためにアクチュエータ17がどのように通電されるかを制御する、これらの制御信号に基づいて、アームに取り付けられた対応する外科用ツールの移動は、UID14の移動を模倣し得る。同様に、遠隔操作者9とUID14との間の相互作用により、例えば、外科用ツール7の把持器のジョーを閉鎖させて患者6の組織を把持させる、把持制御信号を生成することができる。
【0019】
外科用ロボットシステム1は、各UIDについてそれぞれのアーム4のアクチュエータ及び外科用ツール(エンドエフェクタ)を制御するそれぞれの制御信号が生成される、いくつかのUID14を含み得る。例えば、遠隔操作者9は、第1のUID14を移動させて、左ロボットアーム内にあるアクチュエータ17の動きを制御し得、アクチュエータは、そのアーム4内の連結部、ギアなどを移動させることによって応答する。同様に、遠隔操作者9による第2のUID14の移動は、別のアクチュエータ17の動きを制御し、これは、次いでロボットシステム1の他の連結部、ギアなどを移動させる。ロボットシステム1は、患者の右側にベッド又はテーブルに固定された右アーム4と、患者の左側にある左アーム4と、を含み得る。アクチュエータ17は、例えば、患者に対して、そのアームに取り付けられた外科用ツール7の内視鏡又は把持器の配向を変化させるために、アーム4の関節の回転を駆動するように制御される、1つ又は2つ以上のモータを含み得る。同じアーム4内のいくつかのアクチュエータ17の動きは、特定のUID14から生成された空間状態信号によって制御することができる。UID14はまた、それぞれの外科用ツール把持器の動きを制御することができる。例えば、各UID14は、患者6内の組織を把持するために外科用ツール7の遠位端にある把持器のジョーを開放及び閉鎖するアクチュエータ、例えばリニアアクチュエータの動きを制御するための、それぞれの把持信号を生成することができる。
【0020】
いくつかの態様では、プラットフォーム5とユーザコンソール2との間の通信は、制御タワー3を介し得、制御タワー3は、ユーザコンソール2から(より具体的には、コンソールコンピュータシステム16から)受信したユーザコマンドをロボットプラットフォーム5上のアーム4に送信されるロボット制御コマンドに変換し得る。制御タワー3はまた、プラットフォーム5からユーザコンソール2に状態及びフィードバックを送信して戻し得る。ロボットプラットフォーム5、ユーザコンソール2、及び制御タワー3間の通信接続は、様々なデータ通信プロトコルの任意の好適なものを使用して、有線及び/又は無線リンクを介し得る。任意の有線接続が、手術室の床及び/又は壁若しくは天井に任意選択的に内蔵され得る。ロボットシステム1は、手術室内のディスプレイ、並びにインターネット又は他のネットワークを介してアクセス可能である遠隔ディスプレイを含む、1つ又は2つ以上のディスプレイにビデオ出力を提供し得る。ビデオ出力又はフィードはまた、プライバシーを確保するために暗号化され得、ビデオ出力の全て又は一部分は、サーバ又は電子医療記録システムに保存され得る。
【0021】
外科用ロボットシステム1において解決されるべき1つの問題は、組織損傷をもたらし得る外科用ツールの意図していない移動を引き起こすことなく、どのように又はいつ安全に遠隔操作に係合又は再開する(すなわち、再係合する)かである。本明細書に記載される解決策がないと、特に、何らかの理由で遠隔操作が中断された(システムが係合解除モードに入った)場合に、遠隔操作に再係合することにより、外科用ロボット把持器が突然に開放する、突然に閉鎖する、組織に対して過度に締め付ける、又は以前に把持されていた組織を解放することになり得る、リスクが存在する。
【0022】
本システムは、ユーザインターフェースデバイス(UID)からのユーザ入力が外科用ロボット把持器の把持器角度又は把持器力と適合するときを判定し、その時点で、ロボット把持器の遠隔操作が係合され得る。UIDは、外科用ツールと同じ位置、配向、及び把持器の角度又は力を維持するように機械的に拘束されていない。したがって、実行されると、システムが遠隔操作に係合又は再開(すなわち、再係合)する前に、UIDの把持器部分が外科用ツールの把持器と適合している(角度及び力に関して、すなわち、UID及び外科用ロボット把持器が互いに一致する許容可能な閾値内にある)ときを検出するアルゴリズムが記載される。このアルゴリズムは、ユーザによって解放されたときにその位置又は配向を保持しない、接地されていないUIDに特に有用であり得る。この文脈において、適合する2つのデバイスは、2つのデバイスの位置及び配向又は他の関連する値が互いに一致の閾値内にあることを意味する。適合するプロセスとは、2つのデバイスの位置及び配向又は他の関連する値を互いに一致の閾値内に持ってくるプロセスを意味する。UIDの把持器部分からのユーザ入力は、外科用ロボット把持器の角度及び把持力に変換される。一実施形態におけるシステムは、最初に、UID及びロボット把持器がまだ適合していない場合を探す(例えば、システムは、UIDからのユーザ入力がロボット把持器の現在の角度及び/又は力との一致の閾値の外側になるように十分に変化するまで待つ)。その後いずれ、UIDのユーザの指操作により、ユーザ入力が外科用把持器の現在静止している角度及び/又は力と適合することになる。この適合を検出すると、システムは、ユーザへの警告、及び外科用ロボット把持器の遠隔操作に係合することで応答し得る。
【0023】
一実施形態では、ユーザは、UIDを開放し、UID開放閾値を過ぎ、又は開放位置若しくは配向でUIDを開始することが予想される。例えば、ユーザは、UIDの把持クランクをUID開放閾値よりも大きい角度に設定することができる。次いで、ユーザは、UIDを閉鎖する。例えば、ユーザは、UID閉鎖閾値を過ぎてUIDを閉鎖することができる。この時間の間、アルゴリズムは、開放から閉鎖へのUIDの把持器部分の変化を反映するユーザ入力を監視している。UIDの把持器部分を閉鎖した後で、どの遠隔操作が係合されるかに応じて、ユーザ入力が外科用把持器と適合することをアルゴリズムが判定するまで、アルゴリズムがユーザ入力を依然として監視している間に、ユーザは、それを開放する。遠隔操作に係合する前にツール把持器にUIDを適合させることにより、外科用ツール及び組織への損傷を防止するのに役立つ。最初にUIDを開放及び閉鎖することによって不整合、次いで外科用ロボット把持器へのUIDの適合を必要とすることにより、当て推量を除去し、したがって、(ロボット把持器の遠隔操作が無効化される)係合解除モードから遠隔操作有効モードへの安全な遷移を確実にするのを助ける(
図5Aを参照)。
【0024】
図2Aは、UID14(
図1を参照)の一部であり得る、UID把持器部分(UID把持器22)の一実施例を例示する。UID把持器22は、1つ又は2つ以上の可動把持クランク23と、把持クランク23の位置を感知することができる関連する電子回路(図示せず)と、を有する。UID14の一部としてのUID把持器22は、開放構成でユーザの手に保持されており、その把持クランク23は、図示されるように完全開放位置にある。UID把持器22は、ユーザの指が指圧搾動作によってその位置の範囲(把持クランク23と軸25との間の角度26)にわたって把持クランク23を操作することを可能にするように設計されており、この位置は、関連する電子回路によって感知され、次いでコントローラ39(
図3を参照)によって外科用ツール7の把持器のジョーを作動させるための対応する位置(角度)コマンドに変換される。ユーザの手は、様々な方法でUID把持器22を操作することができる。更に、把持クランク23は、ユーザの手が軸25に向かって内側に把持クランク23をつまむ又は圧搾して、角度26を低減する(すなわち、UID14を「閉鎖する」)ときに、ユーザ又は外科医に触覚フィードバックを提供することができる。したがって、そのようなUID14は、外科用ロボットツールを制御するための向上した器用さ及び移動の精度を提供する。例えば、そのUID把持器22が
図2Aに示されるバージョンとは異なるものを含む、外科用ロボットシステムの更なる実施形態では、他のUIDを使用することができる。
【0025】
図2Bは、外科用ロボットアーム4に取り付けられた外科用ロボット把持器30の一実施例を例示する。ジョー2及びジョー1とラベル付けされた2つのジョー31、32は、センサ37によって感知される2つのジョー31、32の間の角度33を通って、アクチュエータ35によって移動される。外科用ロボットシステムでは、ジョー31、32は、組織を把持するために使用され、角度33は、センサ37による測定に基づいて、アクチュエータ35を駆動することによって制御される。センサ37はまた、ジョー31、32によって及ぼされる把持の力を測定する。外科用ロボットシステムの更なる実施形態では、他の外科用ロボット把持器又はエンドエフェクタ及びツールを使用することができる。
【0026】
図3は、外科用ロボット把持器に適合されたUIDを用いて遠隔操作を実施するための、UID14(UID把持器22を有する)、外科用ロボットアーム4、外科用ロボット把持器30、及びコンピュータシステムを含む外科用ロボットシステムのブロック図である。コンピュータシステムは、(メモリに記憶された)ソフトウェアを実行する1つ又は2つ以上のプロセッサ(プロセッサ42)を有する。これらは、状態マシン45を含む適合/不適合コントローラ39を含む。加えて、遠隔操作コントローラ43は、UID14からのユーザ入力に従って外科用ロボットアーム4及び外科用ロボット把持器30の遠隔操作を制御する。遠隔操作コントローラ43は、UID14のセンサ測定値(並進、回転、及び把持を含む)を外科用ロボットアーム4及び外科用ロボット把持器30の遠隔操作のための入力コマンドに転換又は変換する、入力コマンド生成器47を有する。
図3に示すコンピュータシステムは、制御タワー3(
図1を参照)の一部として実装され得る。
【0027】
いくつかの実装形態では、UID把持器22は、把持連結部又は変形可能な表面と、(把持連結部又は変形可能な表面の圧搾などのユーザ動作に従って)ロボット把持器30のジョー角度及び把持力を制御するユーザ入力として把持信号を生成する、ユーザコンソール2の一部としての1つ又は2つ以上のセンサと、を含む。これらの把持信号は、検出されるユーザ動作の例である。例えば、把持信号は、把持連結部又は変形可能な表面のユーザの指の作動によって引き起こされる角度26のセンサ測定値(又は、UID表面の変形度)を含み得る。把持信号は、制御コンピュータシステムに入力されて、制御コマンドを生成し、制御コマンドは、ロボット把持器の2つのジョーを特定のジョー角度に開放及び閉鎖させる、かつ/又は特定の力を及ぼさせる。適合/不適合プロセスの目的は、ユーザが把持連結部又は変形可能な表面を圧搾するときに、センサ測定値(したがって把持信号)がその時点でロボット把持器の現在のジョー角度及び力に対応する、すなわち、適合していることである。その結果、ロボットシステムがその時点で遠隔操作に係合/再係合されると、ロボット把持は、いかなる突然の移動も伴わずに、係合解除又は一時停止されたときに有していたのと同じジョー角度及び把持力を維持する。
【0028】
適合/不適合プロセスは、(ソフトウェアとして)状態マシン45を実行するプロセッサ42によって実行され得る。状態マシン45の機能は、
図5A及び
図5Bを参照して以下でより詳細に考察する。より一般的には、状態マシン45は、UID及び外科用ロボット把持器30の遠隔操作モード並びに不適合/適合状態の追跡を維持する。それは、UIDからのユーザ入力が外科用ロボット把持器の角度及び/又は力に適合すると(又はそれに応じて)、適合済状態の指標51を出力する。この指標51は、トーン、サウンド、若しくはスピーチなどのオーディオメッセージ、光の点灯若しくは点滅などの視覚警告、ユーザコンソール2のディスプレイ15上に表示するテキスト若しくはグラフィックメッセージ、例えば、ユーザコンソール2のUID14、アームレスト、若しくはシートのバイブレータの振動などの触覚警告、又はユーザコンソール2でのユーザへの他の通知の形態でユーザに提示され得る。又は、様々な実施形態では、指標51は、更なる通知を伴って又は伴わずに、遠隔操作の係合をトリガし得る。
【0029】
図4Aは、UIDユーザ入力値から外科用ロボット把持器制御コマンドに変換するためのグラフであり、後者は、外科用ロボット把持器の角度及び/又は力を指定する値である。2つの異なるツールのグラフ、グラフ52、53を示す。UID状態(例えば、開放、閉鎖、ロボット把持器に適合している、又はロボット把持器に適合していない)は、UID値の分析並びに感知された外科用ロボット把持器の角度及び力の分析から導出することができる。遠隔操作中、UIDは、(稼働中の制御システムにより)外科用ロボット把持器と連続的に適合すると推定され、これは、測定された対(UID値、ロボット把持器値)が任意の所与の瞬間に(その特定のツールの)グラフ52の周囲の閾値帯上又は内にある点を定義することを意味する。しかし、測定された対がグラフ52の周囲の閾値帯内にない点を定義する場合、UID及びロボット把持器は、適合していないと言われる。後者は、非遠隔操作モードの間にのみ生じるべきである。
【0030】
グラフ52は、x軸上のUID値(角度)とy軸上の外科用ロボット把持器の角度との間の直線関係を説明する。グラフ52は、把持器角度制御から把持器力制御を通ってUIDの最小角度~最大角度及び外科用ロボット把持器の最小角度~最大角度の範囲にわたって延びる。概して、図示されるように、x軸(UID変数)の一部分は、把持器角度に変換し、UID変数の別の部分は、把持力に変換する。UIDは、UID値がgu,open以下、したがって、gu,minのガード帯閾値以内であるとき、開放していると見なされる。範囲の反対側の端部において、UIDは、UID値がgu,closed以上、したがって、gu,maxのガード帯閾値内であるとき、閉鎖していると見なされる。別のツールの(破線の)別のグラフ53は、UIDの角度と外科用ロボット把持器の角度との間の同様の直線関係を示すが、外科用ロボット把持器の最小角度~最大角度の異なる範囲を通ってシフトされている。様々なツールの角度と力との間の曲線又はセグメント化された関係を有するものを含む他のグラフが、本明細書の教示を踏まえて容易に開発され、理解される。
【0031】
図4Bは、更なる実施形態における、2つの異なるツールのUID値から外科用ロボット把持器の角度及び力へのマッピングのグラフである。1つのツールの(実線の)1つのグラフ55は、把持器角度制御のためのUIDの値(この場合、角度の測定値)と外科用ロボット把持器の角度との間の直線関係を示し、把持器力制御のための異なる傾きに遷移する。別のツールの(破線の)別のグラフ56は、把持器角度制御から把持器力制御を通って傾きの変化なしに延びる、UIDの値(角度)と外科用ロボット把持器の角度との間の直線関係を示す。両方のグラフ55、56は、UIDの同じ角度(例えば、ゼロ)で把持器角度制御から把持力制御に遷移する。様々なツールの他の遷移点、他の傾き、及び角度と力との間の他の関係を示すことを含む他のグラフが、容易に開発され、理解される。
【0032】
不適合/適合アルゴリズムは、係合解除(非アクティブ)モードから遠隔操作に係合する前に、UIDをロボット把持器に不適合させ、次いで適合させるために、UIDが一連の状態を通って遷移することを必要とする、状態マシンからなり得る。一実施形態では、(係合解除又は非アクティブモードではなく)一時停止モードから遠隔操作に係合するとき、アルゴリズムは、特定の不適合条件の検出を必要とせず、代わりに適合条件を直接探す。換言すれば、その場合、UID及びロボット把持器が最初に不適合であるとの判定は、必要とされない。
【0033】
ロボット把持器は、開放角度及び把持力によって表され、これは、g
r=[θ
g,f
g]として示される。g
uとして示されるUID値は、数値の範囲を使用して表される。遠隔操作中、UID入力は、例えば、
図4A及び
図4Bに示されるグラフ並びにこれらの変形例に従って、ロボット把持器の開放角度及び把持力(制御コマンド)に変換される。UID値をロボット把持器値に変換する関数は、g
r=f(g
u)として表される。UID把持器値の下限及び上限数値は、g
u,min及びg
u,maxそれぞれによって与えられる。下限g
u,minは、UIDが完全に開放している位置に対応し、上限g
u,maxは、UIDが完全に閉鎖した位置に対応する。ロボット把持器角度に関しては、その下限及び上限は、θ
g,min及びθ
g,maxそれぞれによって与えられる。ロボット把持器力は、(0,f
g,max)によって境界付けられる。関数fは、UID完全開放をロボット把持器最大開放角度及びゼロ力に変換する。UID完全閉鎖は、ロボット把持器が最大力を適用することに変換され、これは、把持されている組織の幅に応じて、ロボット把持器開放角度の範囲にわたって生じ得る。
【0034】
不適合/適合アルゴリズムによって本UID値と比較されることになるロボット把持器値は、逆マッピング:
【0035】
【数1】
を使用して計算され得る。逆関数は、現在のロボット把持器の角度及び力をUID単位に変換するので、UID及びロボット把持器の値は、不適合/適合アルゴリズムによって一貫した単位で比較することができる。逆変換は、以下の式によって表される。
【0036】
【0037】
パラメータkangle_to_forceは、負の値のパラメータであり、量1/kangle_to_forceは、力を負の角度に変換して、グリッパ角度及び力の両方をUIDの単位に変換する。変数αは、UID単位とロボット把持器角度との間の倍率変更である。パラメータεf>0は、測定されたグリッパ力を推定する精度に基づいて設定することができる。
【0038】
上記の変換により、最小グリッパ角度がゼロよりも大きいことを可能にすることに留意されたい。ほとんどの場合、最小グリッパ角度はゼロであることを考慮すると、この場合、式は以下のように簡略化することができる。
【0039】
【0040】
不適合/適合アルゴリズムは、所与のUID及びロボット把持器の特性に従って調整することができる3つのパラメータを使用し得る。グリッパ開放閾値としてgu,open(≧gu,min)を定義し、グリッパ閉鎖閾値としてgu,closed(≦gu,max)を定義する。適合閾値は、δgmatchとして示される。UID及びロボット把持器は、
【0041】
【数4】
である場合に、「適合している」と見なされる。
【0042】
不適合/適合アルゴリズムは、以下の4つの状態からなり得る。
【0043】
【0044】
アルゴリズム状態マシン論理は、
図5A及び
図5Bの図に示されている。
図5Aは、一実施形態における、外科用ロボット把持器にUIDを適合させるための様々な遠隔操作モード及びアルゴリズムの図である。
図4A及び
図4Bは、遠隔操作中にUIDが外科用ロボット把持器に適合した状態での外科用ロボット把持器の角度及び力に対するUID値(この場合、角度)の範囲の対応関係を示しているが、
図5Aでは、左列は、{係合解除57、一時停止59、係合60}の遠隔操作モードを示す。
図5Aの右列は、不適合/適合アルゴリズムの状態{不適合_開放61、不適合_閉鎖62、適合中65、適合済67}を示す。矢印は、状態とモードとの間の許容可能な遷移を示す。
図5Aは、遠隔操作モード間で遷移するために必要とされ得る他の動作の詳細を、それらが本明細書で提案される不適合/適合アルゴリズムの一部ではないため、示していないことに留意されたい。係合解除57の遠隔操作モードは、不適合/適合アルゴリズムを不適合_開放61の状態に向かわせる(システムは、UIDが開放するのを待っている)。ユーザがUID把持器22を開放したことに応じて、アルゴリズムは、不適合_閉鎖62の状態に遷移する(システムは、UIDが閉鎖するのを待っている)。次いで、ユーザは、UID把持器22を閉鎖し、アルゴリズムは、それを検出して、適合中65に遷移することによって、それに応答する(システムは、UIDが外科用ロボット把持器に適合するのを待っている)。次いで、ユーザは、UID値(ユーザ入力)がロボット把持器の角度及び/又は力と閾値内まで一致することをアルゴリズムが検出し、適合中65から適合済67への遷移を行うことによって応答するまで、UID把持器22を開放する(システムは、UID及び外科用ロボット把持器が適合していると判定した)。適合済67の状態が達成されると、遠隔操作モードは、係合60になる。すなわち、UID14による外科用ロボット把持器30の遠隔操作は、適合済67の状態によって示されるように、UIDが外科用ロボット把持器と適合していると判定したことに応じて、係合される。
【0045】
図5Bは、更なる実施形態における、外科用ロボット把持器にUIDを適合させるための更なる状態図である。遠隔操作が係合されている間に、ユーザ、例えば外科医は、例えば、休息し、患者又は手術の進行を観察し、追加の外科的戦略又は命令を取得し、他の手術要員と相談するなどのために、外科用ロボットシステムを一時停止(又はクラッチ)する必要があり得る。外科用ロボットシステムを一時停止させることは、音声コマンド、ユーザインターフェースとの相互作用、UID上のボタン、又は他の制御部などによって実行され得、これらのいずれも、様々な実施形態において、外科用ロボットシステムを一時停止59のモードにし得る。ユーザが遠隔操作を再開する準備ができているとき、それは、UIDが放置されていた、移動された、開放された、又は閉鎖されたなどの場合があるため、UIDがもはや外科用ロボット把持器の凍結位置と適合しない場合であり得る。
図5Bの状態図は、一時停止59のモードから遠隔操作を再開することができるように、UIDを外科用ロボット把持器に再び適合させることができる方法を示す。2つの可能性が、状態図において明示的に考慮される。1つの可能性は、システムがロボット把持器力>F
min(値71)で一時停止されている、例えば、外科用ロボット把持器30が組織に対して締め付けていることである。別の可能性は、システムがロボット把持器力<F
min(値73)で一時停止されている、例えば、ロボット把持器が開放しており、かつ、何に対しても締め付けていないことである。
【0046】
一時停止59の遠隔操作モードは、ロボット把持器力の値に従って、適合中65の不適合/適合アルゴリズム状態から適合済67の状態への遷移を指示する。ロボット把持器力が閾値Fminより大きい間にシステムが一時停止されている場合、適合中65から適合済67への遷移は、UID把持器22が(開放されていることから)閉鎖したことに応じて、行われ得る。これは、UIDが外科用ロボット把持器の角度に近づいて適合する際に、外科用ロボット把持器力がより容易に維持され、組織に対して締め付けているようにである。この条件下で、ユーザは、UID把持器22を開放し、次いでUID14からのユーザ入力が外科用ロボット把持器と適合するまで、UID把持器22を(例えば、徐々に)閉鎖することが予想され、この時点で、システムは、適合済を示すことができ、したがって、遠隔操作を再開することができる(その時点で、UIDからのユーザ入力は、外科用ロボット把持器にマッピングされる)。
【0047】
しかしながら、ロボット把持器力が最小閾値Fmin未満(例えば、本質的にゼロ、かつ把持器30が開放しており、何も締め付けていない場合)であったときにシステムが一時停止されていた場合、適合中65から適合済67への遷移は、UID把持器22が(閉鎖されていることから)開放しているとき、又はUID把持器22が(開放されていることから)何らか閉鎖しているときのいずれかに、行われ得る。これは、適合閾値がどれだけ大きいか、及びロボット把持器変数及びUID変数の値(例えば、角度)に依存する。例えば、ロボット把持器が半ば開放しており、かつUID把持器が完全に開放している場合、ユーザは、(適合閾値が全範囲の半分でない限り)適合するために、UID把持器をいくらか閉鎖することが予想される。ロボット把持器が半ば開放しており、かつUID把持器が完全に閉鎖されている場合、ユーザは、適合するために、UID把持器をいくらか開放することが予想される。適合済67の状態に入ると、アルゴリズムは、係合60の遠隔操作モードを再開され得ることを示す。このようにして、外科用ロボット把持器力は、UIDが外科用ロボット把持器に近づいて適合する際に患者組織又は装置を損傷する場合がある、突然の増加の可能性が低い。
【0048】
図5Aを参照すると、係合解除57から係合60の遠隔操作モードに進むために、不適合/適合アルゴリズム状態は、不適合_開放61として初期化され、次いで、{不適合_閉鎖62、適合中65、適合済67}の後続のシーケンスを通過する。不適合_開放61及び不適合_閉鎖62の状態は、UID把持器が開放から閉鎖の全範囲をカバーすることを必要とし、したがって、最初にUID把持器22と外科用ロボット把持器30との間の不整合が常に生じることを確実にする。これは、システムが係合解除されると、外科用ロボット把持器30はUID14に追従するように制御されておらず、UIDが外科用ロボット把持器と適合するという保証がないからである。システムが一時停止又は係合解除されている間のUID把持器22のほんの少しの操作であっても、UIDと外科用ロボット把持器との間の不整合(不適合)が生じる。係合解除57のモードから遠隔操作に再係合するために、ユーザは、UID把持器22を開放し(例えば、解放し、バネ式機構に依存して自己開放する)、次いでUID把持器22を閉鎖し、次いでUID14からのユーザ入力が外科用ロボット把持器30の感知された角度及び/又は力と適合するまでUID把持器22を開放することが予想される。これにより、ユーザ入力の初期値並びに外科用ロボット把持器30の角度及び力の初期値に関係なく、必要なユーザ入力の一貫したセットを提供し、したがって、最小限の訓練を必要とし、かつ当て推量を必要としない、単純なユーザインターフェースを作り出す。
【0049】
不適合が完了すると、状態は、適合中65に遷移し、アルゴリズムは、適合済67の状態に最終的に遷移する前に、UIDが外科用ロボット把持器30と適合するのを待つ。適合済67の状態になると、遠隔操作モードは、係合60の状態で、遠隔操作に係合することができる。不適合を実行するためのUID動作は、開放され、次いで閉鎖される(その逆はない)ように選択され得、それにより、適合は、典型的にはUID把持器22の開放方向で生じ(例えば、解放)、したがって、ユーザが組織に高い把持器力を意図せずに加えることになる可能性がより低い。ロボット把持器が組織をしっかりと把持しながら大きな力を加えている場合には、適合は、閉鎖方向(例えば、圧搾)で生じることが可能になる。開放方向で外科用ロボット把持器30にUIDを適合させることにより、ユーザが把持された組織を意図せずに落下させることになるため、この挙動は、望ましい。
【0050】
閉鎖方向で適合を行うことができる、圧力の単位で表されるロボット把持器の範囲は、アルゴリズムパラメータから
【0051】
【数5】
として判定することができる。パラメータg
u,noiseは、0より大きな何らかの小さい値であり、これは、閉鎖閾値g
u,closedが正確にg
u,closedのUID値で交差しない場合があるため、センサのノイズ特性によって判定することができる。
【0052】
システムが遠隔操作から係合解除されている場合とは対照的に、システムが一時停止されている(かつそのため、一時停止59のモードに入る)場合を考える。そこで、アルゴリズムは、一時停止時にロボット把持器が自動的にその最後の姿勢に保持されているため、UIDが最後に保持されたロボット把持器値(一時停止したときにロボット把持器が制御システムによって保持又は凍結されていることに対応する)と「再適合」するのを待つ。一時停止59から係合60の遠隔操作モードに進むために、アルゴリズム状態は、適合中65として初期化され、遠隔操作に係合することを可能にする適合済67の状態に遷移するために、UID22が外科用ロボット把持器30と適合するのを待つ(
図5Bを参照)。一時停止した遠隔操作モードでは、ユーザは警告され、偶発的な係合が生じないことが想定される。
【0053】
1)外科用ロボット把持器値からUIDの対応する単位に変換するための代替的な実施形態:
前のセクションで説明した外科用ロボット把持器gr=[θg,fg]からUIDの対応する単位
【0054】
【数6】
へのマッピングは、異なる範囲のUID値が異なる器具(
図4A及び
図4B参照)の外科用ロボット把持器角度33(
図2B参照)及び力にマッピングされることになり得る。外科用ロボット把持器角度33に変換されるUID範囲及び外科用ロボット把持器力に変換されるUID範囲を異なる外科用器具にわたって一貫させることが望ましい場合がある。この場合、逆変換
【0055】
【0056】
【0057】
パラメータgu,zeroは、外科用ロボット把持器が最小グリッパ角度及びゼロ力にあることと同等のUID圧力値である。
【0058】
2)外科用ロボット把持器値をUID単位で推定するための代替的な実施形態:
外科用ロボット把持器gr=[θg,fg]からUIDの対応する単位
【0059】
【数9】
へのマッピングのための2つの異なる方法が提案された。しかしながら、把持器力を正確に推定することが困難であることを考慮して、追加の代替的な実施形態を使用することができる。遠隔操作(係合80のモード)の間、外科用ロボット把持器30は、変換関数g
r=f(g
u)に従って、UID g
uに追従するように命令される。妥当な追跡性能を仮定すると、外科用ロボット把持器は、命令された外科用ロボット把持器変数に非常に近いことになり、これは、UID g
uから計算される。したがって、対応するUID単位での外科用ロボット把持器
【0060】
【数10】
は、遠隔操作がアクティブ(すなわち、係合60のモード)であるときはいつでも、UID g
uに非常に近い。遠隔操作が係合60から一時停止59又は係合解除57のモードのいずれかに遷移するとき、遠隔操作は、非アクティブであり、外科用ロボット把持器30は、最後の命令された姿勢で保持される。遠隔操作がアクティブ(係合60のモード)であるときのみ外科用ロボット把持器30が姿勢を変化させることを考慮し、かつ外科用ロボット把持器30がコマンドを適切に追跡するという条件で、(対応するUID単位での)外科用ロボット把持器
【0061】
【数11】
は、遠隔操作がアクティブ(係合60)であるときはいつでも、UID g
uに設定することができる。遠隔操作が非アクティブである(係合解除57又は一時停止59のいずれかに変化する)とき、
【0062】
【数12】
は、係合60におけるg
uの最後の値にラッチされる。
【0063】
図6Aは、実施形態上で又は実施形態によって実施することができる、外科用ロボットシステムの遠隔操作に係合する方法のフローチャートである。
【0064】
動作81では、外科用ロボットシステムは、遠隔操作モードに係合する指令を検出する。例えば、システムは、i)UIDがユーザによって持ち上げられる、若しくは別の方法でシステムのそのドックから取り外されること、ii)ユーザの視線がシステムのユーザコンソールのディスプレイに集中していること、又はiii)ペダル動作がシステムのフットペダルで生じることを検出し得る。これら若しくは他の検出された動作又はイベントは、遠隔操作に係合する指令としてシステムによって解釈される。一実施形態では、検出された動作又はイベントは、システムを一時停止しない(遠隔操作を再開する)ユーザの意図を示すクラッチ解放プロセスの一部である。
【0065】
動作83では、システムは、それが非遠隔操作モードにあると判定する。例えば、システムは、係合解除モードにあり得る。システムは、代替的に、一時停止モードにあり得る。両方のモードでは、UIDは、ロボット把持器を制御することを防止される。しかしながら、係合解除モードでは、不適合/適合アルゴリズムが遠隔操作に再係合することを可能にするために、システムによって精巧なプロセス又は一連のチェックを実行する必要がある。対照的に、一時停止モードでは、システムは、遠隔操作において再係合を可能にする単純なプロセスを実行し、例えば、ユーザがクラッチを「解放」したことを検出する。
【0066】
動作85では、システムは、遠隔操作に再係合するように指示されており、ユーザインターフェースデバイス(UID)を介して検出されたユーザ動作のシーケンスを受信する。1つのバージョンでは、ユーザ動作のシーケンスは、UIDを開放し、UIDを閉鎖し、次いで、ユーザ動作のシーケンスの結果としてUID及びロボット把持器が適合することをシステムが検出するまで(動作87)、再びUIDを開放することを含む。次に、動作89では、動作87で検出された適合に応じて、外科用ロボットシステムは、遠隔操作モードに遷移する。
【0067】
上記の方法を拡張するために、外科用ロボットシステムの一実施形態は、ユーザ動作のシーケンスに関するガイダンスを提供する。例えば、システムは、ユーザコンソール上のディスプレイ上に命令、図、若しくは画像を表示するか、オーディオ命令を与えるか、UID上の一連の照明された矢印を配列するか、又は別の方法で、ユーザ動作のシーケンスを生成する方法に関する視覚的、聴覚的、若しくは触覚的ガイダンスをユーザに与え得る。上記の方法の別の拡張形態では、外科用ロボットシステムの一実施形態は、遠隔操作モードへの遷移の指標を表示する。例えば、システムは、可聴警告を生成するか、ユーザコンソール上のディスプレイ上にメッセージ、図、若しくは画像を表示するか、光を作動させるか、又は別の方法で、遠隔操作が係合されているという指標をユーザに表示し得る。
【0068】
図6Bは、実施形態上で又は実施形態によって実施することができる、外科用ロボットシステムの遠隔操作に再係合する方法のフローチャートである。動作92では、外科用ロボットシステムは、遠隔操作に再係合する指令を検出する。例えば、システムは、UIDが持ち上げられるか、若しくは別の方法でシステムのドックから取り外されること、ユーザの視線がシステムのユーザコンソールのディスプレイに集中していること、又はペダル動作がシステムのフットペダルで生じることを検出し得る。これら若しくは他の検出された動作又はイベントは、遠隔操作に再係合する指令としてシステムによって解釈される。
【0069】
動作94では、システムは、それが非遠隔操作モードにあると判定する。
【0070】
動作96では、システムは、状態マシンを実行する。1つのバージョンでは、状態マシンは、UIDがロボット把持器と適合するのを待つための適合中状態と、UIDがロボット把持器と適合しているときのための適合済状態とを有する。システムは、UIDがロボット把持器と適合したことに応じて、UIDがロボット把持器と適合するのを待つための適合中状態からUIDがロボット把持器と適合しているときのための適合済状態に遷移する。システムは、適合済状態にあるときに、遠隔操作に係合する。
【0071】
別のバージョンでは、状態マシンは、適合状態に遷移する前に、UID把持器が十分に閉鎖するのを待つ不適合閉鎖状態に遷移する前に、UID把持器が十分に開放するのを待つ不適合開放状態を有する。
【0072】
動作98では、システムは、ユーザインターフェースデバイス(UID)を介してユーザ動作のシーケンスを受信する。このユーザ動作のシーケンスは、状態マシンを状態間で遷移させる。1つのバージョンでは、ユーザ動作のシーケンスは、UIDを開放し、UID及びロボット把持器が適合するまでUIDを閉鎖することを含む。
【0073】
動作99では、UIDが外科用ロボットシステムのロボット把持器のジョー角度又は把持力に適合することに対応する状態に状態マシンが到達したと判定したことに応じて、外科用ロボットシステムは、UID及びロボット把持器を遠隔操作に係合する。
【0074】
特定の実施形態を説明し添付の図面に示してきたが、このような実施形態は、広義の発明の単なる例示であり、広義の発明を限定するものではなく、当業者には様々な他の修正が着想され得るため、本発明は、図示及び記載された具体的な構成及び配置に限定されないことを理解されたい。例えば、
図2A及び
図2Bは、UID把持器22及び外科用ロボット把持器30の特定の実施例を示しているが、他のUID、把持器、及びツールが可能である。UID把持器22は、
図1の実施例に示されるように接地されていないデバイスである(ベース又はフレームに機械的に連結されていない)、UID14の一部であってもよい。代替的に、UID把持器22は、ベース又はフレームに接地された、すなわち機械的に連結された、UID14の一部であってもよい。したがって、本説明は、限定的な代わりに、例示的なものと見なされるべきである。
【0075】
〔実施の態様〕
(1) 外科用ロボットシステムであって、
2つのジョーを有するロボット把持器と、
ユーザインターフェースデバイス(UID)と、
前記UID及び前記ロボット把持器に通信可能に結合された1つ又は2つ以上のプロセッサであって、
前記ロボット把持器が前記UIDから受信したユーザ入力によって制御される遠隔操作モードに係合又は再係合する指令を検出することと、
前記外科用ロボットシステムが非遠隔操作モードにあると判定することと、
前記UIDを介して検出されたユーザ動作のシーケンスを受信することと、
検出されたユーザ動作の前記シーケンスの結果として、前記UIDが前記2つのジョーの間のジョー角度又は前記ロボット把持器の前記2つのジョーによって影響される把持力と適合すると判定することと、
前記UIDが前記ジョー角度又は前記把持力と適合するとの判定に応じて、前記外科用ロボットシステムを遠隔操作モードに遷移させることと、を行うように構成されている、1つ又は2つ以上のプロセッサと、を備える、外科用ロボットシステム。
(2) 前記遠隔操作モードに係合又は再係合する前記指令が、前記UIDがユーザによってドックから取り外されること、ユーザコンソールのディスプレイへのユーザの視線の集中、又はユーザによるペダル動作のうちの少なくとも1つによって示される、実施態様1に記載の外科用ロボットシステム。
(3) 前記非遠隔操作モードが、係合解除モード又は一時停止モードのうちの1つを含み、
前記係合解除モードが、遠隔操作セッションの前に、前記UIDが前記ロボット把持器を制御することから係合解除された状態であり、
前記一時停止モードが、遠隔操作セッションを一時停止させるために、前記UIDが前記ロボット把持器を制御することから係合解除された状態である、実施態様1に記載の外科用ロボットシステム。
(4) 検出されたユーザ動作の前記シーケンスが、前記UIDを開放し、前記UIDを閉鎖し、前記UID及び前記ロボット把持器が適合するまで前記UIDを開放することを含む、実施態様1に記載の外科用ロボットシステム。
(5) 前記UIDが適合すると判定するために、かつ前記外科用ロボットシステムを前記遠隔操作モードに遷移させるために、前記1つ又は2つ以上のプロセッサが、
前記UIDが開放するのを待ち、前記UIDが開放しており、かつ閉鎖し始めるときに不適合閉鎖状態に遷移するための不適合開放状態と、
前記UIDが閉鎖するのを待ち、前記UIDが閉鎖しており、かつ開放し始めるときに適合中状態に遷移するための前記不適合閉鎖状態と、
前記UIDが前記ロボット把持器に適合するのを待ち、前記UIDが前記ロボット把持器と適合しているときに適合済状態に遷移するための前記適合中状態と、
前記UIDが前記ロボット把持器に適合しているときのための、及び前記遠隔操作モードへの前記遷移のための前記適合済状態と、を含む状態マシンを動作させるように更に構成されている、実施態様1に記載の外科用ロボットシステム。
【0076】
(6) 前記1つ又は2つ以上のプロセッサが、
前記外科用ロボットシステムが一時停止モードにあると判定することと、
前記UID及び前記ロボット把持器を適合させるためのユーザ動作を受信することと、
前記外科用ロボットシステムを前記遠隔操作モードに遷移させることと、を行うように更に構成されている、実施態様1に記載の外科用ロボットシステム。
(7) 前記1つ又は2つ以上のプロセッサが、
検出されたユーザ動作の前記シーケンスに関するガイダンスを提供するように更に構成されている、実施態様1に記載の外科用ロボットシステム。
(8) 前記1つ又は2つ以上のプロセッサが、
前記UIDが前記ジョー角度又は前記把持力と適合すると判定したことに応じて、適合状態の指標を表示するように更に構成されている、実施態様1に記載の外科用ロボットシステム。
(9) 外科用ロボットシステムの遠隔操作に再係合する方法であって、
ユーザインターフェースデバイス(UID)及びロボット把持器に通信可能に結合された1つ又は2つ以上のプロセッサによって、遠隔操作に再係合する指令を検出することと、
前記外科用ロボットシステムが非遠隔操作モードにあると判定することと、
前記1つ又は2つ以上のプロセッサによって、複数の状態を有する状態マシンを実行させることと、
前記状態マシンを前記複数の状態の間で遷移させるための、前記UIDを介したユーザ動作のシーケンスを受信することと、
前記UIDが前記ロボット把持器のジョー角度又は把持力と適合することに対応する状態に前記状態マシンが到達したと判定したことに応じて、前記外科用ロボットシステムを遠隔操作に係合することと、を含む、方法。
(10) 前記複数の状態が、前記UIDが前記ロボット把持器に適合するのを待つための適合中状態を含む、実施態様9に記載の方法。
【0077】
(11) 前記複数の状態が、前記UIDが前記ロボット把持器と適合しているときのための適合済状態を含む、実施態様9に記載の方法。
(12) 前記状態マシンを実行させることが、前記UIDが前記ロボット把持器に適合したことに応じて、前記UIDが前記ロボット把持器と適合するのを待つための第1の状態から、前記UIDが前記ロボット把持器と適合しているときのための第2の状態に遷移することを含む、実施態様9に記載の方法。
(13) 前記第1の状態から前記第2の状態への遷移をもたらす検出されたユーザ動作の前記シーケンスが、前記ユーザがUID把持器連結部又は変形可能な表面を圧搾しているときである、実施態様12に記載の方法。
(14) 外科用ロボットシステムによって実行される、前記外科用ロボットシステムの遠隔操作に係合する方法であって、
2つのジョーを有するロボット把持器がユーザ入力デバイス(UID)から受信したユーザ入力によって制御される遠隔操作モードに係合する指令を検出することと、
前記外科用ロボットシステムが非遠隔操作モードにあると判定することと、
前記UIDを介してユーザ動作のシーケンスを受信することと、
ユーザ動作の前記シーケンスの結果として、前記UIDが前記2つのジョーの間のジョー角度又は前記ロボット把持器の前記2つのジョーによって影響される把持力と適合すると判定することと、
前記UIDが前記ジョー角度又は前記把持力と適合すると判定した結果として、前記外科用ロボットシステムを遠隔操作モードに遷移させることと、を含む、方法。
(15) 前記遠隔操作モードに係合又は再係合する前記指令を前記検出することが、ユーザによるクラッチ解放、前記UIDがドックから取り外されること、ユーザコンソールのディスプレイへのユーザの視線の集中、又はペダル動作のうちの少なくとも1つを検出することを含む、実施態様14に記載の方法。
【0078】
(16) 前記非遠隔操作モードが、係合解除モード又は一時停止モードのうちの1つを含み、
前記係合解除モードが、遠隔操作を可能にする前に、前記システムが精巧なプロセスを実行するときであり、
前記一時停止モードが、遠隔操作を可能にする前に、前記システムが単純なプロセスを実行するときである、実施態様14に記載の方法。
(17) ユーザ動作の前記シーケンスが、前記UIDを開放し、前記UIDを閉鎖し、前記UID及び前記ロボット把持器が適合するまで前記UIDを開放することを含む、実施態様14に記載の方法。
(18) 前記外科用ロボットシステムが一時停止モードにあると判定することと、
前記UID及び前記ロボット把持器を適合させるためのユーザ動作を受信することと、
前記外科用ロボットシステムを前記遠隔操作モードに遷移させることと、
を更に含む、実施態様14に記載の方法。
(19) ユーザ動作の前記シーケンスに関するガイダンスを提供することを更に含む、実施態様14に記載の方法。
(20) 前記外科用ロボットシステムを前記遠隔操作モードに前記遷移させることの指標を表示することを更に含む、実施態様14に記載の方法。