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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】電動車両の料金設定システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240227BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022003153
(22)【出願日】2022-01-12
(65)【公開番号】P2023102583
(43)【公開日】2023-07-25
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】山内 豊
(72)【発明者】
【氏名】久保 章
(72)【発明者】
【氏名】前田 礼造
(72)【発明者】
【氏名】中村 昂章
(72)【発明者】
【氏名】池田 康彦
(72)【発明者】
【氏名】東 晴美
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/054171(WO,A1)
【文献】特開2013-084199(JP,A)
【文献】特開2013-232129(JP,A)
【文献】特開2021-086816(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両に搭載された電池の電池健康度を取得する取得部と、
前記電池健康度と、基準健康度とを比較し、前記電池健康度が前記基準健康度よりも良くなるにしたがって、前記電動車両に対する貸出単価を安く設定し、前記電池健康度が前記基準健康度よりも悪くなるにしたがって、前記電動車両に対する前記貸出単価を高く設定する単価設定部と、
を備えた、電動車両の料金設定システム。
【請求項2】
前記電池健康度は、前記電動車両に搭載された前記電池の劣化度である、請求項1に記載された電動車両の料金設定システム。
【請求項3】
前記基準健康度は、事業者が管理している複数の前記電動車両に搭載された前記電池の前記電池健康度の平均である、請求項1または2に記載された電動車両の料金設定システム。
【請求項4】
基準単価が記憶された記憶部を備え、
前記単価設定部は、
前記電池健康度に応じて補正係数を決定する係数決定部と、
前記基準単価と前記補正係数に基づいて、前記貸出単価を算出する算出部と、
を有する、請求項1から3までの何れか1つに記載された電動車両の料金設定システム。
【請求項5】
前記算出部は、前記基準単価と前記補正係数を乗算して前記貸出単価を算出する、請求項4に記載された電動車両の料金設定システム。
【請求項6】
前記補正係数は、前記電動車両の車格またはタイプごとに変更可能に構成された、請求項4または5に記載された電動車両の料金設定システム。
【請求項7】
前記補正係数をY、前記電池健康度をH、前記基準健康度をH0、および、補正係数スロープをAとしたとき、
Y=-(H-H0)×A+1
の式で表され、
前記補正係数スロープは、前記電動車両の車格またはタイプごとに変更可能に構成された、請求項6に記載された電動車両の料金設定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両の料金設定システムに関する。詳しくは、電動車両を貸し出す事業において、電動車両を貸し出す際の単価を設定する電動車両の料金設定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、料金設定装置が開示されている。料金設定装置は、カーシェアリング店舗やカーレンタル店舗で使用される装置であり、電動車両を貸し出す際の使用料金を設定する装置である。
【0003】
料金設定装置では、まず電動車両に搭載された二次電池の充電率を取得する。そして、取得した充電率に基づいて、充電率が二次電池の劣化を早める非推奨充電率範囲内の場合には、充電率が二次電池の劣化を早めない推奨充電率範囲内の場合と比較して、電動車両に対して高い使用料金を設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-232129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、カーシェアリング店舗やカーレンタル店舗では、複数の電動車両を所有している。各電動車両に搭載された電池は、所定の期間が過ぎると交換される。複数の電動車両に対して電池を交換する時期は様々である。電池を交換するメンテナンス作業の観点から、同じ時期に電池を交換する対象となる電動車両は多い方が好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここで提案される電動車両の料金設定システムは、取得部と、単価設定部とを備えている。取得部は、電動車両に搭載された電池の電池健康度を取得する。単価設定部は、電池健康度と、基準健康度とを比較し、電池健康度が基準健康度よりも良くなるにしたがって、電動車両に対する貸出単価を安く設定し、電池健康度が基準健康度よりも悪くなるにしたがって、電動車両に対する貸出単価を高く設定する。
【0007】
ここで提案される電動車両の料金設定システムによれば、電池健康度が基準健康度よりも良い電動車両の貸出単価を安くすることで、電池健康度が基準健康度よりも悪い電動車両よりも使用頻度を高くすることができる。よって、例えば事業者が管理する電動車両が複数の場合、複数の電動車両に搭載された電池の電池健康度を平準化させ易い。よって、複数の電動車両の電池を交換するタイミングを、同じ時期にすることができる。したがって、電池を交換するメンテナンス作業の煩わしさを抑えることができる。
【0008】
ここで提案される電動車両の料金設定システムによれば、電池健康度は、電動車両に搭載された電池の劣化度であってもよい。
【0009】
ここで提案される電動車両の料金設定システムによれば、基準健康度は、事業者が管理している複数の電動車両に搭載された電池の電池健康度の平均であってもよい。
【0010】
ここで提案される電動車両の料金設定システムは、基準単価が記憶された記憶部を備えていてもよい。単価設定部は、電池健康度に応じて補正係数を決定する係数決定部と、基準単価と補正係数に基づいて、貸出単価を算出する算出部と、を有していてもよい。算出部は、基準単価と補正係数を乗算して貸出単価を算出してもよい。
【0011】
ここで提案される電動車両の料金設定システムによれば、補正係数は、電動車両の車格またはタイプごとに変更可能に構成されてもよい。補正係数をY、電池健康度をH、基準健康度をH0、および、補正係数スロープをAとしたとき、
Y=-(H-H0)×A+1
の式で表されてもよい。補正係数スロープは、電動車両の車格またはタイプごとに変更可能に構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る料金設定システムを示す概念図である。
図2】実施形態に係る料金設定システムを示すブロック図である。
図3】電動車両に対する貸出料金を設定する手順を示したフローチャートである。
図4】電池健康度と補正係数との関係を示したグラフである。
図5】電動車両のタイプごとの基準単価と補正係数スロープを示す図である。
図6】電動車両のタイプごとに、電池健康度と貸出単価との関係を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、ここで開示される電動車両の料金設定システムの一実施形態について図面を参照して説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。本発明は、特に言及されない限りにおいて、ここで説明される実施形態に限定されない。また、同一の作用を奏する部材・部位には、適宜に同一の符号を付し、重複する説明は適宜に省略されるものとする。
【0014】
図1は、本実施形態に係る電動車両10の料金設定システム(以下、単に「料金設定システム」ともいう。)100を示す概念図である。本実施形態では、料金設定システム100は、電動車両10を貸し出す際の電動車両10の貸出料金を設定するシステムである。
【0015】
本実施形態では、電動車両10を貸し出す事業者が料金設定システム100を使用することが好ましい。ここで、電動車両10を貸し出す事業者とは、電動車両10をレンタカーとして使用するレンタカー業者、または、電動車両10をカーシェアリング用の車として使用するカーシェアリング業者などである。事業者は、例えば複数の電動車両10を所有し、かつ、管理している。
【0016】
ここで、電動車両10には、電動自動車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車などの電力をエネルギー源とした車が含まれる。電動車両10は、四輪車であってもよいし、二輪車であってもよい。電動車両10には、電池5が搭載されている。電池5は、充電および放電が可能な二次電池であり、例えばリチウムイオン二次電池である。ここでは、電動車両10は、電池5を動力源とした車両である。
【0017】
本実施形態では、料金設定システム100は、例えばクライアントサーバシステムによって実現される。ただし、料金設定システム100は、クラウドコンピューティングによって実現されるものであってもよい。図1に示すように、料金設定システム100は、ユーザ端末20と、管理サーバ30とを備えている。
【0018】
ユーザ端末20は、電動車両10を借りるユーザが使用する端末である。ユーザ端末20は、例えばユーザが使用するスマートフォンやタブレット端末であってもよいし、デスクトップ型やラップトップ型のパーソナルコンピュータ(以下、単にコンピュータという。)であってもよい。図2は、料金設定システム100を示すブロック図である。図2に示すように、ユーザ端末20は、画面21と、キーボード、マウスまたはタッチパネルなどのユーザが操作して入力する入力手段22と、端末制御装置23とを備えている。端末制御装置23は、画面21および入力手段22と通信可能に接続されている。
【0019】
管理サーバ30は、ユーザ端末20と通信可能に接続されている。また、管理サーバ30は、事業者が管理する電動車両10と通信可能に接続されている。管理サーバ30は、単一のコンピュータによって実現されてもよいし、複数のコンピュータが協働して実現されるものであってもよい。管理サーバ30は、制御装置33を備えている。なお、図示は省略されているが、管理サーバ30は、ユーザ端末20と同様に、画面と、入力手段とを備えてもよい。
【0020】
制御装置33の構成は特に限定されない。ここでは、制御装置33は、例えばマイクロコンピュータである。制御装置33は、例えばI/Fと、CPUと、ROMと、RAMと、を備えている。本実施形態では、図2に示すように、制御装置33は、記憶部50と、第1通信部51と、第2通信部52とを備えている。制御装置33は、更に、貸出情報取得部61と、取得部62と、基準健康度算出部63と、単価設定部64と、料金算出部65とを備えている。制御装置33を構成する各部50~65は、1つまたは複数のプロセッサによって実現されるものであってもよいし、回路に組み込まれるものであってもよい。
【0021】
第1通信部51は、電動車両10を借りるユーザが使用するユーザ端末20と通信可能に構成されている。ここでは、第1通信部51は、ユーザ端末20の端末制御装置23と通信可能に接続されている。第1通信部51は、ユーザ端末20との間で各種の情報を送受信可能に構成されている。第2通信部52は、事業者に管理されている電動車両10と通信可能に構成されている。第2通信部52は、電動車両10との間で各種の情報を送受信可能に構成されている。
【0022】
ところで、図1に示すように、事業者が管理する複数の電動車両10には、電池5が搭載されている。電池5は、繰り返し充放電されることで劣化するため、例えば電動車両10が所定の期間、または、所定の回数(もしくは距離)使用されることで、交換されるものである。複数の電動車両10において、電池5を交換する時期は様々である。例えば電池5を交換する度に、電動車両10に対してメンテナンス作業が発生する。メンテナンス作業は、複数の電動車両10に対して同じ時期に行われることで、煩わしさが低減される。同じ時期に電池5を交換する対象となる電動車両10を多くするためには、例えば電池5の劣化度を平準化させることが好ましい。複数の電動車両10に搭載された電池5の劣化度を平準化させることで、電池5を交換するタイミングを同じ時期にし易くすることができる。
【0023】
複数の電動車両10に搭載された電池5の劣化度を平準化させるためには、複数の電動車両10の使用頻度を平準化させることが好ましい。そこで、本実施形態では、事業者が貸し出す電動車両10に対する貸出料金を、電池5の状態に応じて可変とする。このことで、電動車両10の使用頻度を平準化させることができる。その結果、複数の電動車両10に搭載された電池5の劣化度を平準化することができ、メンテナンス作業の煩わしさを低減させることができる。
【0024】
本実施形態では、貸し出す電動車両10に対する貸出料金を設定する際に使用する指標として、電池5の電池健康度H(図3参照)を用いる。ここで、電池健康度Hとは、電動車両10に搭載された電池5の状態を示すものである。電池健康度Hは、例えば電池5の寿命であってもよいが、ここでは電池5の劣化度である。電池5の劣化度は、電動車両10の使用環境、使用方法、電池5の経年に応じて変化するものである。電池5が劣化しているほど、電池5の劣化度が高くなり、電池5が劣化していないほど、電池5の劣化度が低くなる。なお、電池5の劣化度の算出方法は、特に限定されず、電池5の劣化度は、従来の手法を用いて算出することができる。例えば電池5の劣化度は、電池5の内部抵抗値に基づいて算出されることが可能である。ただし、電池5の劣化度は、電池5の容量維持率や、電池5の満充電時における電動車両10の走行可能距離であってもよい。ここで、電池5の容量維持率とは、例えば初期状態の電池5の満充電容量に対する、測定時の電池5の満充電容量の割合である。
【0025】
本実施形態では、電池健康度Hが良いとは、電池健康度Hが高いと同じ意味である。電池健康度Hが高いとは、電池5が劣化しておらず、劣化の度合いが小さいことを言う。電池健康度Hが悪いとは、電池健康度Hが低いと同じ意味である。電池健康度Hが低いとは、電池5が劣化し、劣化の度合いが大きいことを言う。言い換えると、電池健康度Hが高いとは、電池5の劣化度が低いことを意味する。一方、電池健康度Hが低いとは、電池5の劣化度が高いことを意味する。ここでは、電池5の劣化度が高くなる、すなわち電池5が劣化するにしたがって、電池健康度Hが低くなる。すなわち、電池5を使用することで、電池健康度Hは徐々に低くなる。ここでは、電池健康度Hは、1-劣化度と表すことができる。
【0026】
次に、貸し出す対象となる電動車両10に対する貸出料金を設定する手順について、図3のフローチャートに沿って説明する。
【0027】
まず図3のステップS101では、図2の貸出情報取得部61は、ユーザに貸し出す電動車両10の貸出情報D1を取得する。貸出情報D1とは、ユーザに貸し出す電動車両10に関する情報、言い換えるとユーザが借りたい電動車両10に関する情報のことである。貸出情報D1には、例えばユーザが借りたい電動車両10のタイプ、車格、使用時間などが含まれる。電動車両10のタイプとは、例えばボディタイプのことである。ボディタイプとして、例えばセダン、SUV、ミニバン、コンパクトカー、軽自動車などが挙げられる。電動車両10の車格とは、例えばサイズ、価格、メーカー、エンジン排気量などを指標としてクラス分けしたものをいう。使用時間とは、ユーザが電動車両10を借りたい時間のことをいう。
【0028】
本実施形態では、貸出情報D1は、ユーザ端末20(図2参照)から取得される。ここでは、例えばユーザ端末20には、電動車両10を借りる(または予約する)ための専用のアプリケーションがインストールされている。ユーザは、ユーザ端末20から当該アプリケーションを起動し、入力手段22を介して貸出情報D1を入力する。貸出情報D1を入力した後、貸出情報D1は、ユーザ端末20から、管理サーバ30の第1通信部51(図2参照)を介して管理サーバ30へ送信される。貸出情報取得部61は、管理サーバ30へ送信された貸出情報D1を受信することで、ユーザ端末20から貸出情報D1を取得する。なお、ユーザ端末20から取得した貸出情報は、図2の記憶部50に記憶される。
【0029】
次に、図3のステップS103では、取得部62は、貸出情報D1に基づいた電動車両10に搭載された電池5の電池健康度Hを取得する。ここで、貸出情報D1に基づいた電動車両10とは、例えば貸出情報D1のタイプ、車格に該当する電動車両10であって、貸出情報D1の使用時間に既に予約されていない電動車両10のことである。
【0030】
本実施形態では、電動車両10の電池健康度Hは、図2の記憶部50に予め記憶されている。そのため、取得部62は、管理サーバ30の記憶部50から、電動車両10の電池健康度H(例えば電池5の劣化度)を取得する。ここでは、例えば管理サーバ30は、事業者が管理する複数の電動車両10から、電池健康度H(例えば電池5の劣化度)などの車両情報を、定期的に取得している。取得した車両情報は、その都度、記憶部50に記憶されることで、記憶部50に記憶された電池健康度Hが更新されてもよい。この場合、記憶部50には、最新の電池健康度Hが記憶されていることになる。そのため、取得部62は、記憶部50から電動車両10の最新の電池健康度Hを取得することができる。
【0031】
なお、取得部62は、電動車両10から電池健康度Hを取得してもよい。例えば電動車両10には、電池5の電池健康度Hとして、電池5の劣化度が記憶されている。取得部62は、第2通信部52(図2参照)を介して、電動車両10から電池5の劣化度を取得することで、電池健康度Hを取得してもよい。
【0032】
次に、図3のステップS105では、図2の基準健康度算出部63は、基準健康度H0を算出する。基準健康度H0は、電動車両10の電池健康度Hと比較して、貸出単価P1(図6参照)を設定する際に使用されるものである。ここでは、基準健康度H0は、事業者が管理している複数の電動車両10の電池健康度Hの平均である。なお、基準健康度H0は、事業者が管理している全ての電動車両10のうちの、予め定められた複数の電動車両10の電池健康度Hの平均であってもよいが、ここでは、当該全ての電動車両10の電池健康度Hの平均である。
【0033】
本実施形態では、上述のように、事業者が管理する全ての電動車両10の電池健康度Hは、記憶部50に記憶されている。そのため、基準健康度算出部63は、まず記憶部50に記憶された複数の電動車両10の電池健康度Hを取得する。その後、基準健康度算出部63は、取得した複数の電池健康度Hの平均を算出する。そして、基準健康度算出部63は、複数の電池健康度Hの平均の値を基準健康度H0とする。なお、基準健康度算出部63によって算出された基準健康度H0は、記憶部50に記憶される。
【0034】
次に、図3のステップS107では、図2の単価設定部64は、貸出単価P1を設定する。貸出単価P1は、例えば単位時間当たりの貸出料金P2のことである。ここでは、単価設定部64は、ステップS103で取得した電池健康度Hと、ステップS105で算出した基準健康度H0とを比較する。そして、単価設定部64は、電池健康度Hが基準健康度H0よりも良くなるにしたがって、電動車両10に対する貸出単価P1を安く設定する。言い換えると、単価設定部64は、電池健康度Hが基準健康度H0よりも高くなるにしたがって、電動車両10に対する貸出単価P1を安く設定する。一方、単価設定部64は、電池健康度Hが基準健康度H0よりも悪くなるにしたがって、電動車両10に対する貸出単価P1を高く設定する。言い換えると、単価設定部64は、電池健康度Hが基準健康度H0よりも低くなるにしたがって、電動車両10に対する貸出単価P1を高く設定する。
【0035】
本実施形態では、貸出単価P1は、図3に示すように、ステップS1071と、ステップS1073を順に実行することで設定される。ここでは、図2に示すように、単価設定部64は、係数決定部71と、算出部72とを有している。図3のステップS1071は、係数決定部71によって実行される処理である。
【0036】
ステップS1071では、係数決定部71は、補正係数Yを決定する。図4は、電池健康度Hと補正係数Yとの関係を示したグラフである。図4に示すように、補正係数Yは、電池健康度Hに応じて決定されるものである。補正係数Yは、対象となる電池健康度Hの電動車両10の車格またはタイプごとに変更可能に構成されている。例えば補正係数Yは、電動車両10のタイプごとに異なる値が設定される。
【0037】
本実施形態では、補正係数Yは、補正係数スロープをAとしたとき、電池健康度H、基準健康度H0、補正係数スロープAを使用して、下記の式(1)から算出される。
Y=-(H-H0)×A+1 ・・・(1)
【0038】
上記式(1)によって、例えば電池健康度Hと基準健康度H0が同じ値の場合には、図4に示すように、補正係数Yは1になる。電池健康度Hが基準健康度H0よりも高い場合には、補正係数Yは1よりも小さい値になる。一方、電池健康度Hが基準健康度H0よりも低い場合には、補正係数Yは1よりも大きい値になる。本実施形態では、電池健康度Hが70%未満の場合には、電動車両10の電池5を交換するタイミングであることを意味している。そのため、図4に示すように、電池健康度Hが70%未満の場合には、補正係数Yは0になる。すなわち、上記式(1)は、電池健康度Hが70%以上のときに使用される式である。
【0039】
図5は、電動車両10のタイプごとの基準単価P10と補正係数スロープAを示す図である。ここで、補正係数スロープAは、電動車両10の車格またはタイプごとに変更可能に構成されている。例えば図5に示すように、補正係数スロープAは、1より小さい正の値であり、電動車両10のタイプごとに設定される値である。本実施形態では、人気が高い電動車両10のタイプ、すなわち予約頻度(言い換えると使用頻度)が高い電動車両10のタイプには、補正係数スロープAとして、より高い値が設定される。例えばコンパクトカーおよびミニバンよりもSUVの方が、予約頻度が高い場合には、SUVに対する補正係数スロープAが、コンパクトカーおよびミニバンに対する補正係数スロープAよりも高い。なお、補正係数スロープAは、図2の記憶部50に予め記憶されている。電動車両10のタイプごとの補正係数スロープAは、事業者や作業者によって編集可能である。例えば事業者用の端末(図示せず)を通じて、記憶部50に記憶された補正係数スロープAを編集することができる。
【0040】
以上のようにして、補正係数Yを決定した後、図3のステップS1073を実行する。ステップS1073は、図2の算出部72によって実行される処理である。ステップS1073では、算出部72は、図5に示す基準単価P10と、補正係数Yとに基づいて、貸出単価P1を算出する。本実施形態では、算出部72は、基準単価P10と補正係数Yとを乗算して貸出単価P1を算出する。
【0041】
ここで、図5に示すように、基準単価P10とは、電動車両10の車格またはタイプごとに変更可能に構成されている。基準単価P10は、電動車両10のタイプに応じて設定される。例えばコンパクトカーは、SUVやミニバンに比べて、車体が小さい電動車両10である。そのため、コンパクトカーの基準単価P10には、SUVやミニバンに比べて低い基準単価P10が設定されている。また、ミニバンは、SUVに比べて、車体が大きい電動車両10であり得る。そのため、ミニバンの基準単価P10には、SUVに比べて高い基準単価P10が設定されている。
【0042】
図6は、電動車両10のタイプごとに、電池健康度Hと貸出単価P1との関係を示したグラフである。図6に示すように、本実施形態では、電動車両10の車格またはタイプに応じて、同じ電池健康度Hであっても貸出単価P1が異なる。また、図5に示すように、SUVでは、コンパクトカーやミニバンに比べて、補正係数スロープAが高い値に設定されている。そのため、図6に示すように、SUVでは、電池健康度Hが高くなる程、貸出単価P1がより安くなるように設定される。一方、SUVでは、電池健康度Hが低くなる程、貸出単価P1がより高くなるように設定される。すなわち、補正係数スロープAの値が高い程、電池健康度Hに応じて貸出単価P1の差が大きくなる。
【0043】
以上のようにして、貸出単価P1が設定された後、図3のステップS109では、図2の料金算出部65は、貸出料金P2を算出する。ここでは、料金算出部65は、ステップS1073において算出された貸出単価P1と、ステップS101において取得された貸出情報D1に含まれる使用時間に基づいて貸出料金P2を算出する。詳しくは、料金算出部65は、貸出単価P1と使用時間とを乗算することで貸出料金P2を算出する。貸出料金P2とは、ユーザが該当する電動車両10を、貸出情報D1の使用時間だけ使用したときに支払う料金のことである。
【0044】
本実施形態では、貸出料金P2は、ユーザ端末20の画面21(図2参照)に表示される。ユーザは、画面21に表示された貸出料金P2で電動車両10を借りる場合には、入力手段22を介して電動車両10を借りる予約を行う。
【0045】
以上、本実施形態では、図2に示すように、料金設定システム100は、取得部62と、単価設定部64とを備えている。取得部62は、図3のステップS103において、電動車両10に搭載された電池5の電池健康度Hを取得する。単価設定部64は、図3のステップS107において、電池健康度Hと、基準健康度H0とを比較し、電池健康度Hが基準健康度H0よりも良くなるにしたがって、電動車両10に対する貸出単価P1を安く設定し、電池健康度Hが基準健康度H0よりも悪くなるにしたがって、電動車両10に対する貸出単価P1を高く設定する。このことによって、電池健康度Hが基準健康度H0よりも良い電動車両10の貸出単価P1を安くすることで、電池健康度Hが基準健康度H0よりも悪い電動車両10よりも使用頻度を高くすることができる。よって、例えば事業者が管理する電動車両10が複数の場合、電動車両10に搭載された電池5の電池健康度Hを平準化させ易い。よって、複数の電動車両10の電池5を交換するタイミングを、同じ時期にすることができる。したがって、電池5を交換するメンテナンス作業の煩わしさを抑えることができる。
【0046】
本実施形態では、電池健康度Hは、電動車両10に搭載された電池5の劣化度である。例えば単価設定部64は、電池5の劣化度と、基準健康度H0(例えば基準劣化度)とを比較し、電池5の劣化度が基準劣化度よりも良くなる(ここでは低くなる)にしたがって、電動車両10に対する貸出単価P1を安く設定し、電池5の劣化度が基準劣化度よりも悪くなる(ここでは高くなる)にしたがって、電動車両10に対する貸出単価P1を高く設定する。ここでは、電池5の劣化度が高い程、劣化が進行しており、電池健康度Hが低い。一方、電池5の劣化度が低い程、劣化が進行しておらず、電池健康度Hが高い。よって、電池5の劣化度に基づいて電池健康度Hを設定することで、電池5の健康状態を適切に判断することができる。
【0047】
本実施形態では、基準健康度H0は、事業者が管理している複数の電動車両10に搭載された電池5の電池健康度Hの平均である。このことによって、複数の電動車両10の電池5の電池健康度Hに応じて、基準健康度H0の値が変更され、複数の電池5の電池健康度Hの平均よりも電池健康度Hが高い場合には、電動車両10の貸出単価P1を安く設定し、電動車両10の使用頻度を高めることができる。よって、電池健康度Hを、複数の電池5の電池健康度Hの平均に近づけることができる。
【0048】
本実施形態では、図2の係数決定部71は、図3のステップS1071において、電池健康度Hに応じて補正係数Yを決定する。図2の算出部72は、図3のステップS1073において、基準単価P10(図5参照)と補正係数Yに基づいて、貸出単価P1を算出する。補正係数Yは、電動車両10の車格またはタイプごとに変更可能に構成されている。このことによって、図6に示すように、電動車両10の車格またはタイプごとに、貸出単価P1を設定することができる。そのため、例えば予約頻度に応じて、電動車両10の車格またはタイプごとに、貸出単価P1を設定することができる。ここでは、図4に示すように、例えば電動車両10の電池健康度Hが基準健康度H0よりも高い場合には、補正係数Yを1より小さくして、電池健康度Hが基準健康度H0よりも低い場合には、補正係数Yを1より大きくする。よって、電池健康度Hが高い、例えば新しい電池5が搭載された電動車両10の貸出単価P1を安くすることで、複数の電動車両10の電池健康度Hを平準化させ易い。したがって、複数の電動車両10の電池5の交換のタイミングを同じ時期にすることができる。
【0049】
本実施形態では、図2の算出部72は、基準単価P10と補正係数Yを乗算して貸出単価P1を算出する。このように、基準単価P10と補正係数Yとを乗算するという簡単な方法で貸出単価P1を算出することができる。
【0050】
本実施形態では、補正係数Yは、電動車両10の電池健康度H、基準健康度H0、および、補正係数スロープAを使用して、上記式(1)から算出される。図5に示すように、補正係数スロープAは、電動車両10の車格またはタイプごとに変更可能に構成されている。このことによって、電動車両10の車格またはタイプごとに、補正係数スロープAを設定することで、電動車両10の車格またはタイプごとに、貸出単価P1を設定することができる。そのため、例えば予約頻度に応じて、電動車両10の車格またはタイプごとに、貸出単価P1を設定することができる。
【符号の説明】
【0051】
5 電池
10 電動車両
50 記憶部
61 貸出情報取得部
62 取得部
63 基準健康度算出部
64 単価設定部
65 料金算出部
71 係数決定部
72 算出部
100 料金設定システム(電動車両の料金設定システム)
A 補正係数スロープ
H 電池健康度
H0 基準健康度
P1 貸出単価
P2 貸出料金
P10 基準単価
Y 補正係数
図1
図2
図3
図4
図5
図6