(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】注入装置
(51)【国際特許分類】
A61M 5/24 20060101AFI20240227BHJP
A61M 5/145 20060101ALI20240227BHJP
A61M 5/162 20060101ALI20240227BHJP
A61M 5/158 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
A61M5/24
A61M5/145 510
A61M5/162 500
A61M5/158 500
(21)【出願番号】P 2022097166
(22)【出願日】2022-06-16
(62)【分割の表示】P 2020169790の分割
【原出願日】2016-03-10
【審査請求日】2022-07-14
(32)【優先日】2015-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597160510
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100207837
【氏名又は名称】小松原 寿美
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】アーノット、レイチェル ペイジ
(72)【発明者】
【氏名】バージェス、バート イー.
(72)【発明者】
【氏名】クピチャ、マイケル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ゴラルトチョウク、アレクセイ
(72)【発明者】
【氏名】グリグス、ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ステルマー、マイク
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-530582(JP,A)
【文献】米国特許第03605744(US,A)
【文献】特表2011-508634(JP,A)
【文献】特表2005-534433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/24
A61M 5/145
A61M 5/162
A61M 5/158
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入装置であって、
流体を充填するように構成されている容器であって、第1の端部、第2の端部、およびその中に配置された可動ピストンを有している容器と、
前記容器の第2の端部の開口部を囲んでいるシールと、
後退状態から展開状態へ移動可能な導管と、
前記可動ピストンを駆動するように構成されている駆動部材と、
圧縮状態および拡張状態を有するとともに、前記導管に結合されている拡張可能要素であって、前記導管が後退状態にあるときに、圧縮状態にある、拡張可能要素と、
ロックであって、第1の位置にある間、前記拡張可能要素を圧縮状態に維持するように構成されており、前記駆動部材から可動ピストンに対して力を加えることで、ロックが第1の位置から移動して、前記拡張可能要素を圧縮状態から拡張状態に移動させるとともに、
前記シールを通して前記導管を
後退状態から展開状態へ移動させて前記容器に充填された流体と連通させるように構成されている、ロックと、を備えている注入装置。
【請求項2】
前記ロックが、前記第1の位置にある間、前記拡張可能要素の経路を妨害することによって前記拡張可能要素の拡張を防止し、前記駆動部材から力を加えることで、前記ロックが前記第1の位置からかつ前記経路から半径方向外向きに移動する、請求項1に記載の注入装置。
【請求項3】
前記拡張可能要素が圧縮状態から拡張状態へ移動すると、前記導管が少なくとも10mm/秒の速度で前記容器の第1の端部に向かって移動する、請求項1に記載の注入装置。
【請求項4】
前記シールが空洞を有するブート部分を含
んでおり、
前記導管が後退状態にある間、該導管の穿刺端部が前記空洞内に封入されており、
前記導管が展開状態にある間、前記穿刺端部が前記容器の中へ延びる、請求項1に記載の注入装置。
【請求項5】
前記シールが、前記ブート部分と一体または別体の隔壁をさらに備えており、前記隔壁が前記容器の第2の端部を少なくとも部分的に封止している、請求項4に記載の注入装置。
【請求項6】
前記シールの開口部が、前記導管の周囲に摺動シールを形成している、請求項4に記載の注入装置。
【請求項7】
前記ロックが、
前記容器の第2の端部に結合されているカラーであって、先端軸方向縁部を有しているカラーと、
前記カラーに対して摺動可能なリテーナ部材であって、半径方向または横方向内向きに延在するカム、ラッチまたは作動部分を有しており、前記カラーの先端軸方向縁部が、カム、ラッチまたは作動部分を係合するように構成されている、リテーナ部材と、
前記導管に結合されている保持部分と、を有しており、
前記拡張可能要素が、前記リテーナ部材と保持部分との間で圧縮状態に保持されており、前記拡張可能要素が圧縮状態にある間、前記保持部分が、前記カム、ラッチまたは作動部分に当接しており、
前記容器が前記導管に向かって並進した後で、前記カム、ラッチまたは作動部分を前記カラーによって半径方向外向きに移動させることで、前記拡張可能要素が圧縮状態から拡張状態に移動することができ、それによって前記導管を展開状態に移動させる、請求項1に記載の注入装置。
【請求項8】
前記容器の第2の端部に結合されているカラーであって、先端軸方向縁部を有しており、カラーの先端軸方向縁部が、前記ロックと係合するように構成されている、カラーをさらに備えている、請求項1に記載の注入装置。
【請求項9】
前記ロックおよびカラーが、互いに対して摺動可能である、請求項8に記載の注入装置。
【請求項10】
前記導管が後退状態にあるとき、前記ロックが横方向内向きに延びている、請求項1記載の注入装置。
【請求項11】
注入装置であって、
流体を充填するように構成されている容器であって、第1の端部および第2の端部を有している容器と、
前記容器の第2の端部の開口部を囲んでいるシールと、
後退状態から展開状態へ移動可能な導管と、
圧縮状態および拡張状態を有するとともに、前記導管に結合されている拡張可能要素であって、前記導管が後退状態にあるとき、
拡張可能要素はロックによって圧縮状態に
維持されており、
ロックが拡張可能要素を解放して、拡張可能要素が圧縮状態から拡張状態へ移動することで、前記シールを通して前記導管を展開状態に駆動する、拡張可能要素と、
前記容器の第1の端部から第2の端部に向かって移動するように構成されているピストンと、
前記ピストンを
前記容器の第1の端部から第2の端部に向かって駆動するように構成されている駆動部材と、を備えている注入装置。
【請求項12】
前記ロック
が、第1の位置にある間、前記拡張可能要素を圧縮状態に維持するように構成されており、前記駆動部材から前記ピストンに対して力を加えることで、
前記ロックが第1の位置から移動して、前記拡張可能要素を圧縮状態から拡張状態に移動させるように構成されてい
る、請求項11に記載の注入装置。
【請求項13】
前記ロックが、前記第1の位置にある間、前記拡張可能要素の経路を妨害することによって前記拡張可能要素の拡張を防止し、前記駆動部材から力を加えることで、前記ロックが前記第1の位置からかつ前記経路から半径方向外向きに移動する、請求項12に記載の注入装置。
【請求項14】
前記拡張可能要素がばねである、請求項11に記載の注入装置。
【請求項15】
前記導管が後退状態にあるとき、前記シールが該導管の第1の端部を囲むチャンバを有している、請求項11に記載の注入装置。
【請求項16】
前記駆動部材からピストンに力を加えることによって、前記容器が前記導管の方へ並進するように構成されており、
前記容器が前記導管の方へ並進することによって、
前記ロックが前記拡張可能要素
を解放する、請求項11に記載の注入装置。
【請求項17】
前記容器が前記導管に向かって並進した後で該導管が展開状態に移動する、請求項16に記載の注入装置。
【請求項18】
前記ロックが、
前記容器の第2の端部に結合されているカラーであって、先端軸方向縁部を有しているカラーと、
前記カラーに対して摺動可能なリテーナ部材であって、半径方向または横方向内向きに延在するカム、ラッチまたは作動部分を備えており、前記カラーの先端軸方向縁部が、カム、ラッチまたは作動部分を係合するように構成されている、リテーナ部材と、
を備えている、請求項11に記載の注入装置。
【請求項19】
前記導管に結合されている保持部分をさらに備えており、
前記保持部分が、前記カム、ラッチまたは作動部分に当接して、前記拡張可能要素を圧縮状態に維持するように構成されている、請求項18に記載の注入装置。
【請求項20】
前記容器が前記導管の方へ並進することによって、前記カム、ラッチまたは作動部分が半径方向外向きに移動するため、前記拡張可能要素が圧縮状態から拡張状態に移動することが可能になり、それによって前記導管を展開状態に移動させる、請求項19に記載の注入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、薬剤を投与する送達システムに関する。より詳細には、本発明は、無菌穿刺システムに関するが、これに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
現在、針がバイアル、一次容器またはカートリッジ内に導入される前に、滅菌環境を維持するためにアルコール拭取り(alcohol wipe)を用いてバイアル隔壁の表面を滅菌する必要がある。バイアル隔壁の滅菌が適切に行われない場合、薬剤は汚染される可能性があり、または汚染物質が患者に送達される可能性がある。さらに、こうした拭取りは、行うのが余分なステップであり、容器が送達デバイスの内部にある場合には実用的でない。通常、バイアル隔壁の表面の拭取りはまた、滅菌プロセスにおいて別のステップを追加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第3605744号明細書
【文献】特開昭64-005565号公報
【文献】特開昭48-076390号公報
【文献】特開平08-052213号公報
【文献】特表平07-501234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、汚染のリスクなしに滅菌環境を確保する無菌穿刺システムが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の態様は、無菌バイアル穿刺および滅菌システムを提供する。本開示はまた、無菌バイアル穿刺システムを組み立て、使用し、かつ滅菌する方法も提供する。
一態様では、本開示は、無菌一次容器穿刺機構を形成する方法を提供する。本方法は、第1端部、第1空洞、第1空洞と連通する開口部を備えた第2端部、開口部を少なくとも部分的に封止する隔壁、および第1空洞内の製品を含む滅菌前一次容器を取得するステップを含む。本方法は、中空流路形成部材の第1端部分を含む注入アセンブリを取得するステップをさらに含む。本方法はまた、流路形成部材の第1端部分の周囲にかつ一次容器まで延在する第2空洞を形成するために、非滅菌環境で注入アセンブリを一次容器の第2端部に組み付けるステップも含む。さらに、本方法は、第2空洞とその中の流路形成部材の第1端部分とを最終的に滅菌するステップを含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、最終的に滅菌するステップの前に、第2空洞と流路形成部材の第1端部分とは非滅菌状態であり得る。いくつかの実施形態では、第2空洞と流路形成部材の第1端部分とを最終的に滅菌するステップは、流路形成部材を通してかつそれにより第2空洞内に滅菌剤を注入することを含み得る。いくつかのこうした実施形態では、滅菌剤は、注入アセンブリの外部に配置された流路形成部材の第2端部分を介して流路形成部材内に導入され得る。
【0007】
いくつかの他のこうした実施形態では、一次容器は、第2空洞を形成するブート部分を含むことができる。いくつかのこうした実施形態では、ブート部分および隔壁は一体型であり得る。いくつかのこうした実施形態では、注入アセンブリを一次容器の第2端部に組み付けるステップは、ブート部分の開口部であって、それを通して延在する流路形成部材の周囲に摺動シールを形成するブート部分の開口部を通して、流路形成部材を挿入することができる。いくつかのこうした実施形態では、開口部は、注入された滅菌剤が流路形成部材および第2空洞内の雰囲気を洗い流すように、正の圧力を排出するように構成され得る。いくつかのこうした実施形態では、本方法は、流路形成部材を通してかつそれにより第2空洞内に不活性ガスを注入して、流路形成部材および第2空洞から滅菌剤を洗い流すステップをさらに含むことができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、注入アセンブリおよび一次容器のアセンブリは、流路形成部材の第1端部分に向かう一次容器の軸方向並進により、流路形成部材がブート部材および隔壁を通して駆動されることが実現され、それにより、流路形成部材が第2空洞を通して延在し、および第1端部分が製品と流体連通して第1空洞内に配置されるように構成され得る。いくつかのこうした実施形態では、一次容器は、流路形成部材の第1端部分においてブート部材および隔壁を突き刺すための距離にわたり、流路形成部材の第1端部分に対して軸方向に並進し得、それにより、流路形成部材は第2空洞を通って延在し、および第1端部分は製品と流体連通して第1空洞内に配置される。いくつかのこうした実施形態では、一次容器は、注入アセンブリの作動が引き起こされ、およびそれにより、注入アセンブリが流路形成部材を一次容器に向かって軸方向に駆動して、ブート部材および隔壁を通して流路形成部材の第1端部分を突き刺し、それにより、流路形成部材が第2空洞を通って延在し、および第1端部分が製品と流体連通して第1空洞内に配置される程度まで、流路形成部材の第1端部分に対して軸方向に並進し得る。いくつかのこうした実施形態では、注入アセンブリの作動は、注入アセンブリの弾性部材の予荷重エネルギーを解放して、流路形成部材に結合されたドライバ部材を軸方向に駆動することができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、流路形成部材の第1端部分は、滅菌され、かつキャップ部材によって覆われることができ、注入アセンブリは、第2空洞と連通する透過性窓を含むことができる。いくつかのこうした実施形態では、第2空洞および流路形成部材の第1端部を最終的に滅菌するステップは、透過性窓を通してかつ第2空洞内に、およびそれにより第1端部分内に滅菌剤を拡散させること、および透過性窓を通してかつ第2空洞内に紫外線光を向けることのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0010】
別の態様では、本開示は、滅菌一次容器と、一次容器に組み付けられている、流路形成部材を含む注入アセンブリとを含む、無菌穿刺システムを提供する。滅菌一次容器は、第1端部、第1空洞、第1空洞と連通する開口部を備える第2端部、開口部を少なくとも部分的に封止する隔壁、第1空洞内の製品、および第2空洞を形成するブート部分を含む。流路形成部材は、ブート部分の開口部を通って延在し、それにより、流路形成部材の第1端部分は第2空洞内に配置される。ブート部分の開口部は、流路形成部材の周囲に摺動シールを形成する。流路形成部材の第1端部分に向かう一次容器の軸方向並進は、流路形成部材の第1端部分ならびに一次容器のブート部材および隔壁の相対的な並進を実現し、それにより、流路形成部材は第2空洞を通って延在し、および第1端部分は製品と流体連通して第1空洞内に配置される。
【0011】
いくつかの実施形態では、ブート部分および隔壁は一体型であり得、摺動シールは、第2空洞内の正の圧力を排出するように構成され得る。いくつかの実施形態では、流路形成部材の第1端部分に対する一次容器の軸方向並進は、流路形成部材の第1端部分の上でブート部材および隔壁を突き刺し得、それにより、流路形成部材は第2空洞を通って延在し、および第1端部分は製品と流体連通して第1空洞内に配置される。
【0012】
いくつかの実施形態では、流路形成部材の第2端部分は、封止された第3空洞内で注入アセンブリの外部に配置され得る。いくつかの実施形態では、流路形成部材の第1端部分に対する一次容器の軸方向並進は、ブート部材および隔壁を通して流路形成部材の第1端部分を突き刺すように、流路形成部材を一次容器に向かって軸方向に駆動するように注入アセンブリを作動させることができ、それにより、流路形成部材は第2空洞を通って延在し、および第1端部分は製品と流体連通して第1空洞内に配置される。いくつかのこうした実施形態では、注入アセンブリは、一次容器の第2端部に固定されたカラーと、カラーに軸方向に摺動可能に結合されたドライバリテーナと、ドライバリテーナに軸方向に摺動可能に結合されかつ流路形成部材に固定されたドライバ部材と、ドライバリテーナの一部とドライバ部材との間に配置された弾性部材とを含むことができる。いくつかのこうした実施形態では、システムの作動前状態において、弾性部材は、一次容器の第2端部に向かって軸方向に作用する予荷重力をドライバ部材にかけることができ、注入アセンブリの作動は、ドライバ部材に対する弾性部材の予荷重力を解放して、流路形成部材を一次容器に向かって軸方向に駆動して、ブート部材および隔壁を通して流路形成部材の第1端部分を突き刺し、それにより、流路形成部材は第2空洞を通して延在し、および第1端部分は製品と流体連通して第1空洞内に配置される。
【0013】
本発明のこれらのおよび他の目的、特徴および利点は、添付図面とともに本発明のさまざまな態様の以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。
本明細書に組み込まれかつその一部を構成する添付図面は、本開示の実施形態を例示し、本明細書の詳細な説明とともに、本開示の原理を説明する役割を果たす。図面は、単に好ましい実施形態を例示するためのものであり、本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。業界の慣例に従って、さまざまな特徴が正確な尺度で描かれていないことが強調される。実際には、さまざまな特徴の寸法は、考察を明確にするために、任意に増大または低減している場合がある。本開示の上述したおよび他の目的、特徴および利点は、添付図面とともに以下の詳細な説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の態様による、無菌バイアル穿刺システムの組立分解斜視図である。
【
図2】本発明の態様による、
図1の無菌バイアル穿刺システムの組立分解側面図である。
【
図3】本発明の態様による、透明コネクタアセンブリを備えた
図1の無菌バイアル穿刺システムの組立斜視図である。
【
図4】本発明の態様による、透明コネクタアセンブリを備えた
図3の無菌バイアル穿刺システムの側面図である。
【
図5】本発明の態様による、透明コネクタアセンブリを備えた
図3の組み立てられた無菌バイアル穿刺システムの斜視図である。
【
図6】本発明の態様による、
図3の無菌バイアル穿刺システムの一部の拡大斜視図である。
【
図7】本発明の態様による、透明窓シール、支持部材、折畳み式部材、支持リングおよび衝撃クッションを備えた
図1の無菌バイアル穿刺システムの組立斜視図である。
【
図8】本発明の態様による
図7の無菌バイアル穿刺システムの側面図である。
【
図9】本発明の態様による
図7の無菌バイアル穿刺システムの斜視図である。
【
図10】本発明の態様による
図1の無菌バイアル穿刺システムの組立斜視図である。
【
図11】本発明の態様による
図10の無菌バイアル穿刺システムの側面図である。
【
図12】本発明の態様による
図10の無菌バイアル穿刺システムの斜視図である。
【
図13】本発明の態様による、完全伸長位置にある折畳み式部材を示す、
図10の無菌バイアル穿刺システムの一部の拡大斜視図である。
【
図14】本発明の態様による、折畳み位置にある折畳み式部材を示す、
図10の無菌バイアル穿刺システムの一部の拡大斜視図である。
【
図15】本発明の別の態様による作動前状態にある無菌バイアル穿刺システムの組立断面図である。
【
図16】本発明の別の態様による、流路形成部材が一次容器と流体連通して無菌結合されている、作動状態にある
図15の無菌バイアル穿刺システムの組立断面図である。
【
図17】本発明の別の態様による、作動前状態にある無菌バイアル穿刺システムの組立断面図である。
【
図18】本発明の別の態様による、流路形成部材が一次容器と流体連通して無菌結合されている、作動状態にある無菌バイアル穿刺システムの組立断面図である。
【
図19】非滅菌組立後の
図17の無菌バイアル穿刺システムの流路形成部材内への滅菌剤の導入を示す。
【
図20】滅菌剤を介する、
図17の組み立てられた無菌バイアル穿刺システムの流路形成部材の端部分およびブート部材の空洞の滅菌を示す。
【
図21】本発明の別の態様による、作動前状態にある無菌バイアル穿刺システムの組立断面図である。
【
図22】本発明の別の態様による、流路形成部材が一次容器と流体連通して無菌で結合されている、作動状態にある
図21の無菌バイアル穿刺システムの組立断面図である。
【
図23】
図21の無菌バイアル穿刺システムの滅菌部分および非滅菌部分、ならびに非滅菌部分のあり得る組立後滅菌を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
概説すると、本明細書には、無菌バイアル穿刺および滅菌システムが開示されている。さらに、無菌バイアル、一次容器および/またはカートリッジ穿刺システムを組み立て、使用し、かつ滅菌する方法が考察される。それらのシステムおよび方法は、アルコール拭取りを行う必要なく、かつ/または、同様の患者/提供者相互作用のために薬物容器を装置内に組み付けて穿刺場所を滅菌する必要なく、滅菌条件下での流路機構(たとえば、針)によるバイアル、一次容器またはカートリッジの穿刺を提供する。
【0016】
この詳細な説明および続く特許請求の範囲において、基端(proximal)、先端(distal)、前、後、内側(medial)、外側(lateral)、上(superior)および下(inferior)という用語は、身体に対するデバイスの相対的な配置、または基準となる方向の用語に従ってデバイスの特定の部分を示すために、それらの標準的な使用法によって定義される。たとえば、「基端」は、取付箇所に最も近いデバイスの部分を意味し、「先端」は、取付箇所から最も遠いデバイスの部分を示す。方向の用語に関して、「前」は、デバイスの正面側に向かう方向であり、「後」はデバイスの背面側に向かう方向を意味し、「内側」はデバイスの中央線に向かう方向を意味し、「外側」はデバイスの側部に向かう、すなわちデバイスの中央線から離れる方向であり、「上」は別の物体または構造より上の方向を意味し、「下」はそれより下の方向を意味する。
【0017】
いくつかの図を通して同様のまたは類似する構成要素を示すために同様の参照数字が用いられる図面を参照し、特に
図1~
図14を参照すると、無菌穿刺システム100が示されている。「無菌穿刺システム」、「無菌バイアル穿刺システム」および「無菌カートリッジ穿刺システム」という用語は、本質的に、無菌流路形成機構(たとえば、針)穿刺システムまたは構造を指すため、本明細書では同義で用いる場合がある。無菌穿刺システム100は、第1端部104および第2端部106を備える、一次容器、チャンバ、シリンジ、バイアルまたはカートリッジ102を含む。一次容器またはバイアル102はまた、第1端部104において開口しかつ第2端部106に向かって延在している空洞108も含むことができる。第2端部106は、首部110を含むことができ、キャップ112が首部110と係合して、一次容器またはバイアル102の第2端部106を閉鎖する。一次容器またはバイアル102とキャップ112との間に隔壁114を配置して、一次容器またはバイアル102の第2端部106の閉鎖を補助し、隔壁を通して、一次容器またはバイアル102内に針152(たとえば、固定針(staked needle))を挿入するのを可能にし得る。一次容器またはバイアル102の空洞108は、薬剤または流体が空洞108の内部にあるときに一次容器またはバイアル102の第1端部104を閉鎖するようにピストン116を受け入れるように寸法が設定され得る。ピストン116はまた、後にさらに説明するように、薬剤または流体の送達にも役立つことができる。無菌穿刺システム100は、シール118も含むことができる。シール118は、たとえば、キャップ112と係合し隔壁114を包囲するような形状および大きさであるリングであってもよい。
【0018】
無菌穿刺システム100はまた、
図1および
図2に示すように、コネクタアセンブリ120も含むことができる。コネクタアセンブリ120は、コネクタ本体122、支持部材140、針カバー150、流路形成部材または針152(たとえば、固定針)、折畳み式部材160、支持リング162、無菌シール164および衝撃クッション170を含むことができる。コネクタ本体122は、基礎部分124および少なくとも1つの結合部材126を含むことができる。基礎部分124は、開口部128、凹部130および窓132を含むことができる。開口部128は、コネクタ本体122の長手方向軸に沿って、基礎部分124の第1端部から第2端部まで延在することができる。凹部130は、基礎部分124の第1端部に配置することができる。少なくとも1つの結合部材126は、たとえば、リング部材(図示せず)または少なくとも2つの付勢脚部126であり得る。少なくとも2つの脚部126は、各々、コネクタアセンブリ120を一次容器またはバイアル102に固定するようにキャップ112と係合する係合部材134を含むことができる。係合部材134は、たとえば、少なくとも2つの脚部126からコネクタ本体122の中心に向かって内向きに延在する突起とすることができ、係合部材134に角度を付けることができる。
【0019】
コネクタアセンブリ120はまた、
図1~
図7に示すように、少なくとも1つの滅菌インジケータ136および窓シール138も含むことができる。滅菌インジケータ136は、たとえば、使用者に対して、コネクタアセンブリ120が滅菌されて使用の用意ができている場合を知らせることができる。滅菌インジケータ136は、開口部128内に位置決めされ、窓132を通して見ることができるように位置決めされ得る。窓シール138は、たとえば、使用者が窓132、および基礎部分124の開口部128の少なくとも一部内を見ることができるように、部分的にまたは完全に透明であり得る。窓シール138はまた、窓132を閉鎖して、流路形成部材152のための滅菌環境を形成することも可能である。
【0020】
支持部材140は、基礎部分142と、基礎部分142の第2端部におけるフランジ部材146とを含むことができる。フランジ部材146は、基礎部分142に対して概して垂直であり得る。支持部材140はまた、第1端部から第2端部まで延在する開口部144も含むことができる。フランジ部材146は、コネクタ本体122の基礎部分124における凹部130と係合するように寸法が設定され得る。針カバー150は、たとえば、支持部材140の開口部144に嵌まるように寸法が設定され得る。針カバー150はまた、たとえば、開口部144の形状と一致するような形状とすることも可能であるが、開口部144と係合する他の形状も企図される。流路形成部材152は、
図3~
図9に示すように、注入前に針カバー150内に部分的に挿入することができる。流路形成部材152は、たとえば、一次容器またはバイアル102から薬剤または流体を注入するために隔壁114を通過するように、コネクタアセンブリ120全体を通して延在するように寸法が設定され得る。
【0021】
続けて
図1および
図2を参照すると、折畳み式部材160は、たとえば、支持部材140と係合するような形状および大きさの円筒状であってもよい。別法として、折畳み式部材160は、たとえば、折畳み式部材160の長さの少なくとも一部に沿って延在する、リブのような円筒状アコーディオンを備えた円筒形状部材であり得る。流路形成部材152は、折畳み式部材160全体を通して延在することができる。折畳み式部材160に支持リング162を結合することができる。コネクタアセンブリ120内の滅菌環境の維持に役立つように、流路形成部材152が折畳み式部材160から延出する流路形成部材152の周囲に無菌シール164を配置することができる。衝撃クッション170は、支持リング162および折畳み式部材160と係合することができる。流路形成部材152が静止したままである間に一次容器またはバイアル102を前方に移動させると、衝撃クッション170は、前方運動を制限して流路形成部材152と係合し、折畳み式部材160を折り畳んで、流路形成部材152が隔壁114を穿刺するようにする。
【0022】
無菌穿刺システム100はまた、
図1~
図5および
図7~
図12に示すように、注入アセンブリ180も含むことができる。注入アセンブリ180は、チューブ182、注入部材184および針カバー186を含むことができる。チューブ182は、第1端部において流路形成部材152に結合し、第2端部において注入部材184に結合することができる。針カバー186は、チューブ182とは反対側の端部において注入部材184と係合することができる。「針カバー」、「キャップ」、「カバー」および「シールド」という用語は、各々、注入部材184の周囲に滅菌野を維持し、患者および医療専門家が注入部材184によって偶発的に刺されないよう保護するように使用される構造を指すため、本明細書では同義で用いる場合がある。注入部材184は、たとえば、皮下注射のための針、マイクロニードル、カニューレ等、または皮膚、パッチ等への局所適用のためのチューブ、分注針等であり得る。
【0023】
無菌穿刺システム100は、たとえば、コネクタ本体122の開口部128内に少なくとも1つの滅菌インジケータ136を挿入することによって組み立てることができる。窓シール138は、コネクタ本体122の窓132の上に固定され得る。次に、支持部材140は、コネクタ本体122の凹部130内に配置され得る。流路形成部材152は、針カバー150に結合され得る。その後、結合された流路形成部材152およびカバー150は、支持部材140の開口部144内に挿入され、所望の位置に配置され得る。結合された流路形成部材152およびカバー150は、支持部材140の周囲に位置する折畳み式部材160内に配置することも可能である。次に、結合された流路形成部材152およびカバー150をコネクタ本体122に固定するために、折畳み式部材160に支持リング162を結合することができる。流路形成部材152が折畳み式部材160を通って延在する場所に無菌シール164を配置して、その開口部からいかなる汚染物質も侵入しないようにすることができる。その後、衝撃クッション170が支持リング162、折畳み式部材160および支持部材140の上に配置され得る。流路形成部材152は、衝撃クッション170の開口部172を通って延在し、注入アセンブリ180に結合することができる。次に、流路形成部材152にチューブ182の第1端部を結合することができ、注入部材184にチューブ182の第2端部を結合することができる。注入部材184は、結合されたチューブ182とは反対側の端部に配置されたカバー186を有することができる。コネクタアセンブリ120および注入アセンブリ180が組み立てられると、それらを滅菌することができる。コネクタアセンブリ120は、たとえば、ガンマ滅菌によって滅菌されて、滅菌された一次薬剤通路を形成することができる。
【0024】
コネクタアセンブリ120が滅菌された後、シールリング118が一次容器またはバイアル102のキャップ112の上に配置され得、コネクタアセンブリ120を一次容器またはバイアル102に固定するために、キャップ112の上に少なくとも1つの結合部材126を挿入することができる。患者に注入するために薬剤または流体が一次容器またはバイアル102に充填され得る。次に、一次容器またはバイアル102、および窓132の下の針環境が滅菌される必要がある。窓シール138の下を滅菌するのを可能にするために、窓シール138は、たとえば、タイベック(Tyvek)(登録商標)または他の同様の材料から作製することができる。その後、エチレンオキシド(ETO)滅菌を用いて、一次容器またはバイアル102およびコネクタアセンブリ120を滅菌することができる。ETO滅菌は、窓シール138を浸透して、一次容器またはバイアル102の第2端部106におけるバイアル面、シールリング118、針カバー150および適当な針領域152を滅菌することができる。
【0025】
無菌穿刺システム100を使用する方法は、たとえば、滅菌インジケータ136を見て、無菌穿刺システム100においてガンマ滅菌およびETO滅菌の両方が行われたことを確認するステップを含むことができる。滅菌が完了したことをインジケータ136が明らかにした場合、カバー186は、注入部材184から取り外され得、注入部材184が患者と結合される。その後、一次容器またはバイアル102は前方に移動され得、衝撃クッション170は、流路形成部材152の前方の移動を制限することができる。一次容器またはバイアル102が移動する際、折畳み式部材160は折り畳まれ、一次容器またはバイアル102の続く前方の動きにより、
図14に示すように、流路形成部材152が強制的に固定カバー150を通って延在するようにすることができる。折畳み式部材160は、
図13に示すように、たとえば距離「d」を移動することができる。距離「d」は、たとえば、流路形成部材152が隔壁114を穿刺するために強制される必要がある距離に等しくすることができる。固定された流路形成部材152がカバー150を穿刺すると、
図14に示すように、流路形成部材152は、一次容器またはバイアル102の隔壁114を穿刺する。流路形成部材152が隔壁114を通過して一次容器またはバイアル102内に入ると、一次容器またはバイアル102内の薬剤または流体が注入アセンブリ180を通って患者の体内に流れ込むのを可能にする流体接続が形成される。
【0026】
図15および
図16は、全体として参照数字200によって示される無菌穿刺システムの代替実施形態を示す。無菌穿刺システム200は、上述しかつ
図1~
図14に示す無菌穿刺システム100と同様であり、したがって、数字「1」と異なり「2」が先行する同様の参照数字を用いて、同様に機能する要素を示す。
図15に示すように、一次容器またはバイアル202は、提供されたままの状態または装填状態で薬物、薬剤、または他の液体もしくは液体状物質を収容することができる。システム200を送達デバイスまたはその一部と利用することができ、送達デバイスは、一次容器202の内容物を、流路または流路形成部材252(たとえば、固定針)にかつそれを通して最終的に患者の体内に送達するようにシステムを作動させる。
【0027】
また、
図15に示すように、システム200は、内容物の後方の一次容器202の空洞208内に摺動可能に受け入れられるピストン216を含むことができ、それにより、内容物は、ピストン216と一次容器202の第2端部206との間に(提供されたままの状態または装填状態で)配置される。ピストン216と一次容器202の内部とは、病原体または他の汚染物質がそれらの間にかつ内容物中に入るのを防止する無菌または滅菌シールを形成することができる。一次容器202の内面を含む一次容器の内部、内容物、およびピストンの内面は、滅菌されているかまたは無菌であり得る。それにより、ピストン216は、一次容器202の内部の滅菌性を維持することができる。いくつかの実施形態では、ピストンはゴムから作製される。
【0028】
システム200はまた、
図15に示すように、一次容器202の第2端部206に配置されたブートまたはニップル部分254も含むことができる。ブート254は、上述したように、一次容器202の第2端部206の開口部におけるキャップ212(たとえば、クリンプキャップ)の上に(かつ/または少なくとも部分的にその下に)配置された基礎部分255を含むことができる。同様に上述したように、キャップ212は、一次容器202の第2端部206において開口部の上にかつ/またはその中に隔壁214を結合することができる。したがって、基礎部分255は、隔壁214と一次容器202の開口部との上に重なることができる。少なくとも一次容器202、隔壁214、キャップ212およびブート254のアセンブリは、(さらに後述するように)システムの他の部品を組み付ける前に滅菌することができ、それにより、後にさらに説明するように、流路形成部材252が通過する(後にさらに説明するようにブートの空洞257を除く)少なくともその内部または非露出面は滅菌されている。
【0029】
図15に示すように、ブート部分254は、ピストン216から少なくとも概して離れる方向において基礎部分255から延在するチャンバ部分256を含むことができる。チャンバ部分256は、
図15に示すように、空洞またはチャンバ257を画定する。チャンバ部分256は、
図15に示すように、空洞257と連通する開口部258を含む。いくつかの実施形態では、ブート部分254を隔壁214と統合することができる(すなわち、一体型または一部品構造)。いくつかの代替実施形態(図示せず)では、ブート254は、流路形成部材252に設けるかまたは最初に組み付けることができ、一次容器202に/一次容器202内に直接設置されない、かつ/または、隔壁214と一体化されない。たとえば、他の実施形態に関して本明細書においてさらに説明するように、ブート254に、一次容器202とは別個に滅菌され、非滅菌環境で一次容器202が組み付けられる(場合により組立後に非破壊的に滅菌される)サブアセンブリを設けることができる。
【0030】
また、
図15に示すように、針、チューブ等、流路形成部材252の一部がチャンバ部分256の開口部258を通ってブート254の空洞257内に、ただし基礎部分255を通らずに延在することができる。それにより、流路形成部材252の第1チップ部分または第1端部分は空洞257内に配置され得る。開口部258は、予め形成することができ、またはチャンバ部分256を通る流路形成部材252の貫通によって形成することができる。チャンバ部分256の開口部258は、流路形成部材252の周囲の滅菌摺動シールを形成することができ、それにより、病原体または他の汚染物質がそれらの間にかつ空洞257内に入るのが防止され、流路形成部材252は、それらの間の滅菌シールを破壊することなく、ブート部分254に対して軸方向に並進することができる。空洞257の内面および空洞257内に配置された流路形成部材252の第1端部分が滅菌されているように、空洞257は、滅菌されているかまたは無菌とすることができる。別の実施形態に関して後にさらに説明するように、空洞257は、最初は滅菌されていない場合があり、流路形成部材252の第1端部分が開口部258を通して空洞257内に挿入された後に滅菌することができる。代替実施形態では、ブート254ではなく、回旋状の可撓性(たとえば、ゴム)ベローズまたはブラダ部材が、空洞257を形成し、流路形成部材252の第1端部分に対する一次容器202の軸方向並進を可能にし得る(またはその逆も可能である)。可撓性部材はまた、その滅菌後に流路形成部材252の第1端部分の周囲で空洞254を封止するかまたは空洞254を形成することも可能である。
【0031】
流路形成部材252は、一次容器202およびそれに固定された構成要素に対して位置的に固定することができる。換言すれば、流路形成部材252は、空間的に実質的に固定する(システムがともに利用されるデバイスに固定する等)ことができ、一次容器202およびそれに固定された構成要素は、流路形成部材252に対して移動可能または並進可能(システムがともに利用されるデバイスに対して移動可能または並進可能等)であり得る。たとえば、流路形成部材252は、一次容器202が移動可能に取り付けられる相対的に大きいデバイスまたはシステムに固定することができる。
【0032】
図15に示すように、並進機構266にピストン216を結合することができ、並進機構266は、一次容器202(およびそれに結合された構成要素)に対してピストン216を第2端部206に向かって軸方向に並進させるように構成されている。並進機構は、一次容器202(およびそれに結合された構成要素)に対してピストン216を第2端部206に向かって選択的に軸方向に並進させるのに有効な任意の機構であり得る。
図16に示すように、一次容器202(およびそれに固定された構成要素)に対するピストン216の軸方向移動により、ピストン216は、内容物(たとえば、薬物、薬剤)に対して作用する。システム200の設計および/またはピストン216の一次容器202との摩擦により、一次容器202はピストン216より容易に軸方向に移動し、それにより一次容器202が最初に並進機構266を介して軸方向に並進することが可能になり、またはそのように決定付けられる。例として、ピストン216の軸方向移動は、一次容器202の内容物を圧縮し、それにより、一次容器の第2端部206に対する軸方向の力を伝達して一次容器202およびそれに固定された構成要素を軸方向に並進させようとしてもよい。
【0033】
図16に示すように、並進機構266は、静止したまたは固定の流路形成部材252の第1端部分がブート254、隔壁214、および一次容器202の空洞208を穿刺し貫通しまたはそれを通って延在し、それにより一次容器202の内容物と流体連通する程度まで、ピストン216および、それにより一次容器202およびそれに固定された構成要素を軸方向に並進させることができる。換言すれば、並進機構266は、ブート254の基礎部分255が静止したまたは固定の流路形成部材252の第1端部分に突き刺され、それにより、流路形成部材252が隔壁214を通って一次容器202の空洞208内に延在し、その結果、その内容物と流体連通する程度まで、ピストン216および、それにより一次容器202およびそこに固定された構成要素を軸方向に並進させることができる。いくつかの実施形態では、システム200は、作動後、流路形成部材252の、作動前にチャンバ部分256の滅菌空洞257内に配置されていた部分以外の部分が一次容器202の空洞208内に延在しないように構成され得る。その結果、ピストン216および軸方向並進機構266を介する一次容器202の軸方向の移動により、流路形成部材252の、一次容器202の空洞208(およびその中の内容物)との滅菌結合が実現される。これにより、一次容器202が使用まで完全なままであり、一次容器202の空洞208内の内容物に対してより優れた保管の安定性が与えられ、かつ使用前に流路形成部材252からの漏れが防止される。
【0034】
流路形成部材252の第1端部分が一次容器202の空洞208内に延在し、それによりその内容物と流体連通すると、並進機構266を介する一次容器202およびそれに固定された構成要素のさらなる軸方向並進が阻止され得る。たとえば、システム200が設置されるデバイスまたはシステムは、一次容器202の限られた軸方向並進のみを可能にするように構成された止め具を含むことができる。したがって、
図16に示すように、流路形成部材252の第1端部分が一次容器202の空洞208内に延在し、それによりその内容物と流体連通した後の並進機構266を介するピストン216のさらなる軸方向並進により、一次容器202内の内容物が流路形成部材252によって形成された流路を強制的に通される。上述したように、流路形成部材252は、最終的に、たとえば皮下注射または局所適用として患者に内容物を送達するように構成することができる。
【0035】
並進機構266は、任意の態様または方法を介して、ピストン216の軸方向運動、それにより、一次容器202の軸方向並進、および流路形成部材252を通る空洞208の内容物の圧送を実現または達成することができる。たとえば、
図15および
図16に示す例示的な実施形態は、軸を中心とする相対的な回転時に軸方向に延在する、ピストン216の背面に結合された送りねじ機構を含む。送りねじ機構の基部は、ピストン216の移動を実現するように位置的に固定するかまたは静止した状態にすることができる。別の例示的な実施形態(図示せず)では、並進機構266は、使用者によってピストン216を軸方向に並進させるように手動で操作される、手動で作動可能な面または部材を含むことができる。たとえば、システム200は、ピストン216を軸方向に並進させるように手動で作動させ軸方向に並進させる、ピストン216の背面に結合されたカートリッジまたはプランジャを含むことができる。別の例示的な実施形態(図示せず)では、並進機構266は、一次容器202の軸方向並進および一次容器202に対するピストン216の軸方向並進を提供する、使用者が作動または始動させる空気圧または液圧駆動部材を含むことができる。空気圧または液圧駆動部材は、空気圧または液圧を利用して、駆動部材を軸方向に並進させることができる。駆動部材は、たとえば、拡張ベローズ、拡張ブラダ、拡張ダイヤフラム、または摺動シールもしくはピストンの形態であり得る。駆動部材は、一次容器202の軸方向並進を可能にするかまたは提供することができ、直接の空気圧または液圧は、ピストン216を軸方向に並進させることができる。
【0036】
図17~
図20は、全体として参照数字300によって示す無菌穿刺システムの例示的な代替実施形態を示す。例示的な無菌穿刺システム300は、上述しかつ
図1~
図14に示す例示的な無菌穿刺システム100、ならびに上述しかつ
図15および
図16に示す例示的な無菌穿刺システム200と同様であり、したがって、数字「1」または「2」と異なり数字「3」が先行する同様の参照数字を用いて、同様に機能する要素を示す。
図17に示すように、無菌穿刺システム300の一次容器302、その中の内容物、ピストン316、並進機構366、キャップ312、隔壁314、およびブート354の構成は、上述しかつ
図15および
図16に示す無菌穿刺システム200の構成と実質的に同じであり得る。
図17および
図18の無菌穿刺システム300は、流路形成部材352を一次容器302の空洞に滅菌結合する態様である、
図15および
図16の無菌穿刺システム200と異なり得る。
【0037】
図17および
図18に示すように、
図15および
図16の無菌穿刺システムに関して上述したように、流路形成部材353の端部分内にかつそれを通してブート354の基礎部分355および隔壁314を突き刺す(すなわち、静止したまたは固定の流路形成部材353に対して一次容器302を並進させる)のではなく、無菌穿刺システム300は、流路形成部材353の端部分を、ブート354の基礎部分355および隔壁314内にかつそれを通して一次容器302の空洞308内に入るように駆動し、それにより、その中の内容物と流体連通させる(すなわち、固定の一次容器302に対して流路形成部材353を並進させる)。
【0038】
図17および
図18に示すように、無菌穿刺システム300は、一次容器302の第2端部306に結合または固定されたカラー390を含む。カラー390は、一次容器302の首部領域310と係合しかつそれを包囲する複数の周方向に間隔を空けて配置された指部392を含むことができる。このように、一次容器302の第2端部306にカラーを固定することができる。しかしながら、一次容器302の第2端部306に、他の方法でカラー390を結合することができる。カラー390は、首部領域310、第2端部306の開口部、キャップ312、隔壁314および/またはブート354の周囲に少なくとも部分的に延在する、軸方向に延在した壁部分391を含むことができる。カラー390の壁部分391は、首部領域310の半径方向または横方向外向きに配置され、かつ/または首部領域310、キャップ312および隔壁314を通過して軸方向に延在することができる。カラー390の壁部分391は、また、
図17および
図18に示すように、基礎部分355を通過し、部分的にチャンバ部分356を通過する等、ブート354の少なくとも一部を通過して軸方向に延在することも可能である。
【0039】
図17に示すようなシステム300の作動前状態では、カラー390の少なくとも1つの係合部分または先端軸方向縁部393が、ドライバリテーナ部材395の対応する少なくとも1つの半径方向または横方向内向きに延在するカム、ラッチまたは作動部分394と係合することができる。リテーナ部材395は、カラー390に、軸方向に摺動可能にまたは並進可能に結合することができる。
図17に示す作動前状態または配置において、リテーナ部材395のカムまたは作動部分394の少なくとも一部が、リテーナ部材395内に軸方向に摺動可能にまたは並進可能に結合されたドライバ部材398の保持部分399の軸方向に直接後方に配置される。
図17に示すように、ドライバ部材398の流路係合部分391は、リテーナ部材395の軸方向端部キャップ部分396内にかつそれを通ってリテーナ部材395の内部部分内に軸方向に延在することができ、ドライバ部材398の保持部分399は、流路係合部分391から延在することができる。いくつかの実施形態では、ドライバ部材398の流路係合部分391は、実質的に円筒状とすることができ、ドライバ部材398の保持部分399は、
図17に示すように、流路係合部分391の軸方向端部の周囲に延在するフランジであり得る。
【0040】
同様に
図17に示すように、システム300の作動前状態では、リテーナ部材395のキャップ部分396とドライバ部材398の保持部分399との間に、弾性変形する付勢または弾性部材397が軸方向に配置され得る。それにより、付勢部材397は、システム300の作動前状態において、一次容器302に向かう方向に作用する軸方向の予荷重力をドライバ部材398にかけることができる。
図18を参照して後に考察するように、付勢部材397は、作動前状態にあるときに軸方向予荷重力を加え、その後、作動時にこうした予荷重力を解放するのに有効な任意の部材であり得る。いくつかの実施形態では、付勢部材397はばねであり得る。
【0041】
ドライバ部材398に流路形成部材352を固定または結合することができ、それにより、流路形成部材352は、ドライバ部材398とともに軸方向に摺動または並進する。上述したように、システム300の作動前状態では、流路形成部材352の第1端部分は、ブート354のチャンバ部分356の滅菌空洞357内に、ただしブート354の基礎部分355、隔壁314を通らずにかつ/または一次容器の空洞308内に入ることなく配置することができる。
図17に示すように、作動前状態では、流路形成部材352の第1端部分は、ブート354の基礎部分355から軸方向に間隔を空けて配置することができる。
【0042】
後にさらに説明するように、ドライバ部材398、流路形成部材352、付勢部材397およびドライバリテーナ部材395のアセンブリは、システム300の作動前状態中、かつドライバ398の解放前の作動時に軸方向に固定することができる。換言すれば、ドライバ部材398、流路形成部材352、付勢部材397およびドライバリテーナ部材395は、空間的に実質的に軸方向に固定する(システム300がともに利用されるデバイスに固定する等)ことができ、一次容器302およびそれに固定された構成要素は、システム300の作動前状態中かつドライバ398の解放前の作動時、ドライバ部材398、流路形成部材352、付勢部材397およびドライバリテーナ部材395に対して軸方向に移動可能または並進可能(システムがともに利用されるデバイスに対して移動可能または並進可能等)であり得る。たとえば、ドライバ部材398、流路形成部材352、付勢部材397およびドライバリテーナ部材395は、一次容器302(およびそれに固定された構成要素)が移動可能に取り付けられる相対的に大きいデバイスまたはシステムに軸方向に固定することができる。
【0043】
図18に示すように(かつ
図17と比較して)システム300を作動させるとき、ピストン316を一次容器302の第2端部306に向かって軸方向に並進させるように、並進機構366を(上述したように)始動または作動させることができる。上述したように、一次容器302の空洞308内のピストン316のこうした軸方向移動は、空洞308内の内容物を圧縮し、最終的に、第1端部304から第2端部306まで延在する軸方向において、一次容器302およびそれに固定された構成要素を軸方向に並進させるように作用する。
図18に示すようなシステム300の作動時、並進機構366は、カラー390の少なくとも1つの係合部分393がドライバリテーナ部材395の少なくとも1つのカムまたは作動部分394と係合し、それをドライバ部材398の保持部分399の軸方向後方から出て半径方向にまたは横方向に偏向または並進させる程度まで、一次容器302を軸方向に並進させることができる。このように、ドライバ部材398の保持部分399は、ドライバリテーナ部材395の少なくとも1つのカムまたは作動部分394を越えて、付勢部材397の予荷重力がドライバ398およびそれに固定された流路形成部材352を一次容器302の第2端部306に向かって軸方向に並進させるのを可能にし得る。
【0044】
少なくとも1つのカムまたは作動部分394を解放する一次容器302およびカラー390の軸方向並進が、流路形成部材352の第1端部分がブート354の基礎部分355および/または隔壁314を穿刺しかつ/またはそれを通って延在するようには作用することができないように、システム300を構成し得ることに留意されたい。たとえば、作動前状態では、流路形成部材352の第1端部分は、ブート354の基礎部分355および/または隔壁314から軸方向に十分に間隔を空けて配置することができ、それにより、少なくとも1つのカムまたは作動部分394を解放する一次容器302およびカラー390の軸方向並進は、流路形成部材352の第1端部分がブート354の基礎部分355および/または隔壁314を穿刺しかつ/またはそれを通って延在するように作用しない。
【0045】
図18に示すように、一次容器302の第2端部306に向かうドライバ398および流路形成部材352の軸方向並進により、流路形成部材352の第1端部分は、ブート354の基礎部分355、隔壁314、および一次容器302の空洞308を穿刺および貫通するかまたはそれを通って延在し、それにより、一次容器302の内容物と流体連通する。換言すれば、並進機構366は、ドライバ398が「解放され」ブート354および隔壁を突き刺し、それにより、流路形成部材352が一次容器302の空洞308内に延在し、その結果その内容物と流体連通する程度まで、ピストン316および、それにより、一次容器302、およびカラー390等、それに固定された構成要素を軸方向に並進させることができる。いくつかの構成では、システム300は、作動時、流路形成部材352の、作動前にチャンバ部分356の滅菌空洞357内に配置されていた部分以外が一次容器302の空洞308内に延在しないように構成され得る。その結果、ドライバ398および流路形成部材352の軸方向移動により、一次容器302の空洞308(およびその中の内容物)との流路形成部材352の滅菌結合が実現される。これにより、一次容器302が使用まで完全なままにされて、一次容器302の空洞308内の内容物に対してより優れた保管の安定性が与えられ、かつ使用前の流路形成部材352からの漏れが防止される。
【0046】
付勢部材397は、流路形成部材352が、少なくとも約10mm/秒等、実質的に高速でブート354および/または隔壁314を突き刺すように構成され得る。いくつかの実施形態では、付勢部材は、流路形成部材352が約40mm/秒でブート354および/または隔壁314を突き刺すように構成され得る。付勢部材397を介するブート354および/または隔壁314の比較的迅速な穿刺により、流路形成部材352が部分的に貫通される間、ピストン316を介して圧力がかけられている空洞308の内容物の漏れを有利に防止することができる。
【0047】
少なくとも1つのカム394が解放され、流路形成部材352の第1端部分が一次容器302の空洞308内に延在し、それによりその内容物と流体連通すると、並進機構366を介する一次容器302およびそれに固定された構成要素のさらなる軸方向並進が阻止され得る。したがって、
図17に示すように、流路形成部材352の第1端部分が一次容器302の空洞308内に延在し、それによりその内容物と流体連通した後の並進機構366を介するピストン316のさらなる軸方向並進により、流路形成部材352によって形成された流路を内容物が強制的に通される。上述したように、流路形成部材352は、最終的に、たとえば皮下注射または局所適用として内容物を患者に送達するように構成することができる。
【0048】
図19および
図20は、ブート354のチャンバ部分356の空洞357と、流路形成部材352の第1端部分または第1チップ部分とを滅菌するシステムおよび方法を示す。いくつかの実施形態では、最初に、ブート354が一次容器302に非滅菌状態で結合され得る。同様に、たとえば、
図17に示すように、システム300が最初に組み立てられるとき、空洞357内に流路形成部材352の第1端部分が非滅菌状態で挿入され得る。システム300のこうした構成では、ガス状滅菌剤等の滅菌剤は、流路形成部材352の経路を通して第1端部分から空洞357内に注入され得る。このように、流路形成部材352の経路、空洞357内の流路形成部材352の第1端部分の外面、および空洞357自体が、システム300の組み立てられた状態で滅菌され得る。滅菌剤は、流路形成部材352、空洞357内の流路形成部材352の第1端部分の外面、および空洞357を滅菌するのに有効な任意の滅菌剤であり得る。たとえば、滅菌剤は、エチレンオキシドガス(EtO)、蒸気化過酸化水素(VHP)、二酸化窒素(NO
2)、二酸化塩素(ClO
2)またはそれらの組合せであり得る。
【0049】
図19に示すように、滅菌剤は、流路形成部材352の第2端部分を介して流路形成部材352内に導入することができる。流路形成部材352の第2端部分は、空洞323を画定するシール321内に延在することができる。シール321は、システム300、またはシステム300が利用または設置されるシステムもしくはデバイスの外壁または外側部分327に隣接して配置することができる。このように、
図19に示すように、針または他の挿入部材325を、外壁327およびシール321を通って空洞323内に延在するように利用することができる。シール321は、流路形成部材352および挿入部材325を除き、実質的に気密であり得る。このように、
図19において矢印によって示すように、滅菌剤は、挿入部材325を介して空洞323内に、それから流路形成部材352内に導入することができる。シール321は、滅菌剤が導入された後、挿入部材325および/または流路形成部材352によってもたらされるいかなる開口部も封止するように構成され得る。
【0050】
図20に示すように、滅菌剤は、流路形成部材352を通って第1端部から第2端部にかつブート354のチャンバ部分256の空洞357内に流れ込むことができる。
図20において矢印によって示すように、チャンバ部分356は、流路形成部材352の第1端部分の周囲で開口部358から正の圧力を排出して、滅菌剤が流路形成部材352の内側の雰囲気から空洞357内に流れ出るのを可能にするように構成することができる。その結果、流路形成部材352、空洞357内の流路形成部材352の第1部分の外面、および空洞357自体によって形成される流路は、システム300が組み立てられた後に滅菌することができる。滅菌後、流路形成部材352および空洞357内の滅菌剤は、滅菌剤が流路形成部材352および空洞357内の非滅菌雰囲気を洗い流して滅菌するために導入され利用されたときと同様に、一次容器302の内容物に対して損害を与えないように不活性ガス(たとえば、窒素)とともに洗い流すことができる。
【0051】
図21~
図23は、全体として参照数字400によって示す無菌穿刺システムの例示的な代替実施形態を示す。例示的な無菌穿刺システム400は、上述しかつ
図1~
図14に示す例示的な無菌穿刺システム100、上述しかつ
図15および
図16に示す例示的な無菌穿刺システム200、および上述しかつ
図17~
図20に示す例示的な無菌穿刺システム300と同様であり、したがって、数字「1」、「2」または「3」と異なり数字「4」が先行する同様の参照数字を用いて、同様に機能する要素を示す。
【0052】
図21において作動前状態で示し、
図22において作動状態で示すように、システム400は、上述しかつ
図17~
図20に示す無菌穿刺システム300と同様の一次容器402穿刺構成を利用することができ、それは、流路形成部材452が隔壁414内にかつそれを通って一次容器402の空洞408内に押し込まれ、その中の内容物と流体連通するためである。システム400とシステム300との間の1つの相違は、
図21および
図22に示すように、少なくとも1つのラッチまたはカム部分494が、カラー490ではなくドライバリテーナ部材495の一部であることである。
【0053】
図21に示すように、システム400は、システム300の作動前状態に流路形成部材452の第1端部分を収容する空洞を形成するチャンバ部分を含むブート部材を含まない点でシステム300とさらに異なる。むしろ、システム400は、
図21に示すように、作動前状態で流路形成部材452の第1端部分が配置されるプラグ451を含む。プラグ部材451は、流路形成部材452の第1端部分の周囲に無菌シールを提供することができる。いくつかの実施形態では、一次容器402が組み付けられる前に、少なくともプラグ451と、その中の流路形成部材452の第1端部分とを滅菌する(たとえば、放射線を当てる)ことができ、それにより、流路形成部材452の第1端部分が滅菌されており、プラグ451はこうした滅菌性を維持する。いくつかの実施形態では、プラグ451はゴムであり得る。
【0054】
作動時、並進機構466は、一次容器402およびカラー490を並進させることができ、それにより、少なくとも1つの作動部分493は、ドライバリテーナ495の少なくとも1つのラッチ494を付勢して、付勢部材497がドライバ498および流路形成部材452を一次容器402の第2端部406に向かって駆動する。一次容器402の第2端部406に向かって駆動されている間、流路形成部材452の第1端部分におけるプラグ451は、カラー490、キャップ412、隔壁414、および/または一次容器402の第2端部406に結合されたまたはそれに近接する別の構成要素と接触することができ、それにより、プラグ451のさらなる軸方向の並進が阻止される。プラグ451のさらなる軸方向並進が阻止されると、流路形成部材452は、一次容器402の第2端部406に向かってさらに軸方向に並進し得、それにより、流路形成部材452の第1端部分は、プラグ451を通り、隔壁414内にかつそれを通り、一次容器402の空洞408内に駆動され、その結果、その中の内容物と流体連通する。
【0055】
図23に示すように、システム400は、組立前の部分的な滅菌、非無菌組立、および一次容器402の内容物に悪影響を与えない組立後滅菌を提供する。たとえば、ドライバリテーナ495、弾性部材497、ドライバ498、流路形成部材452の第1端部分、プラグ451および/またはカラー490等、グループまたはサブアセンブリAを形成する構成要素は、一次容器402およびそれに固定された構成要素が組み付けられる前に、ユニットとして組み立てて滅菌することができる。たとえば、サブアセンブリAに対して、ガンマ線を当てるか、または一次容器402の内容部が存在する場合に許容可能ではない他の滅菌技法を施すことができる。上述したように、プラグ451は、流路形成部材452の第1端部分の滅菌を維持することができる。流路形成部材452の第2端部は、同様に、流路形成部材452の経路、ならびに/または流路形成部材452の第1端部分および第2端部分の完全な滅菌を確保するために、プラグ部材を含むことができる。
【0056】
上述したように、一次容器402は、内容物および空洞408が無菌であるように滅菌され得る。したがって、
図23に示すように、非滅菌環境において、流路形成部材452の第1端部分の滅菌性に影響を与えることなく、首部領域410およびカラー490を介して一次容器402に滅菌サブアセンブリAが結合され得る。しかしながら、サブアセンブリAおよび一次容器402の組立後、
図23に示すように、一次容器402とプラグ451または流路形成部材452の第1端部分との間の隙間空間Bは滅菌されていない可能性がある。
【0057】
隙間空間Bを滅菌するために、
図23に示すように、システム400は、窓432および窓シール438を含むことができる。たとえば、
図1~
図14のシステム100に関して上述したように、窓シール438は、滅菌剤(たとえば、EtOまたはVHP等の滅菌ガス)が窓シール438を通って拡散し、隙間空間Bに入って隙間空間Bを滅菌するのを可能にする、透過性材料(たとえば、タイベック(Tyvek(登録商標))ファブリック)であり得る。窓シール438の透過性は、滅菌後に病原体(たとえば、ウイルス等)が隙間空間Bに入ることができないように小さいものであり得る。別の例として、窓シール438は、UV光が窓シール438を通って隙間空間Bに浸透して隙間空間Bを滅菌することができるように透明または半透明であり得る。
【0058】
本明細書で用いる用語は、単に特定の実施形態について説明するためのものであり、本発明を限定するように意図されていない。本明細書で用いる「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」という単数形は、文脈において別段明確な指示がない限り、同様に複数形を含むように意図される。「備える(comprise)」(ならびに「備える(comprises)」および「備えている(comprising)」等、「備える」の任意の形態)、「有する(have)」(ならびに「有する(has)」および「有している(having)」等、「有する」の任意の形態)、「含む(include)」(ならびに「含む(includes)」および「含んでいる(including)」等、「含む」の任意の形態)および「含有する(contain)」(ならびに「含有する(contains)」および「含有している(containing)」等、「含有する」の任意の形態)という用語は、限定的でない連結動詞であることがさらに理解されるであろう。その結果、1つまたは複数のステップまたは要素を「備える」、「有する」、「含む」または「含有する」方法またはデバイスは、それらの1つまたは複数のステップまたは要素を有するが、それらの1つまたは複数のステップまたは要素のみを有することに限定されない。同様に、1つまたは複数の特徴を「備える」、「有する」、「含む」または「含有する」、方法のステップまたはデバイスの要素は、それらの1つまたは複数の特徴を有するが、それらの1つまたは複数の特徴のみを有することに限定されない。さらに、いくつかの方法で構成されるデバイスまたは構造体は、少なくともそのように構成されるが、列挙されない方法で構成することも可能である。
【0059】
本発明について、好ましい実施形態を参照して説明した。本明細書に記載する構造的および動作的実施形態は、同じ全体的な特徴、特性および全体的なシステム動作を提供する複数のあり得る構成を例示するものであることが理解されるであろう。上述した説明を読み理解するとき、変更形態および改変形態が想到されるであろう。本発明は、こうした変更形態および改変形態をすべて含むものとして解釈されるように意図されている。