IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴの特許一覧

特許7443451モジュール式冷熱源を備えた完全に受動的な崩壊熱除去(DHR)システムを組み込む液体金属冷却式原子炉
<>
  • 特許-モジュール式冷熱源を備えた完全に受動的な崩壊熱除去(DHR)システムを組み込む液体金属冷却式原子炉 図1
  • 特許-モジュール式冷熱源を備えた完全に受動的な崩壊熱除去(DHR)システムを組み込む液体金属冷却式原子炉 図2
  • 特許-モジュール式冷熱源を備えた完全に受動的な崩壊熱除去(DHR)システムを組み込む液体金属冷却式原子炉 図3
  • 特許-モジュール式冷熱源を備えた完全に受動的な崩壊熱除去(DHR)システムを組み込む液体金属冷却式原子炉 図4
  • 特許-モジュール式冷熱源を備えた完全に受動的な崩壊熱除去(DHR)システムを組み込む液体金属冷却式原子炉 図5
  • 特許-モジュール式冷熱源を備えた完全に受動的な崩壊熱除去(DHR)システムを組み込む液体金属冷却式原子炉 図6
  • 特許-モジュール式冷熱源を備えた完全に受動的な崩壊熱除去(DHR)システムを組み込む液体金属冷却式原子炉 図6A
  • 特許-モジュール式冷熱源を備えた完全に受動的な崩壊熱除去(DHR)システムを組み込む液体金属冷却式原子炉 図7
  • 特許-モジュール式冷熱源を備えた完全に受動的な崩壊熱除去(DHR)システムを組み込む液体金属冷却式原子炉 図8
  • 特許-モジュール式冷熱源を備えた完全に受動的な崩壊熱除去(DHR)システムを組み込む液体金属冷却式原子炉 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】モジュール式冷熱源を備えた完全に受動的な崩壊熱除去(DHR)システムを組み込む液体金属冷却式原子炉
(51)【国際特許分類】
   G21C 15/00 20060101AFI20240227BHJP
   G21C 1/02 20060101ALI20240227BHJP
   G21C 15/02 20060101ALI20240227BHJP
   G21C 15/18 20060101ALI20240227BHJP
   G21C 15/14 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
G21C15/00 F
G21C1/02
G21C15/02 V
G21C15/18 M
G21C15/14
G21C15/18 R
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022160354
(22)【出願日】2022-10-04
(65)【公開番号】P2023055218
(43)【公開日】2023-04-17
【審査請求日】2022-12-02
(31)【優先権主張番号】2110509
(32)【優先日】2021-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アレッサンドロ・パンタノ
(72)【発明者】
【氏名】ローラン・ブリソノー
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム・プヴロー
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-092566(JP,A)
【文献】特開2012-233737(JP,A)
【文献】特開昭51-025863(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0210229(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 15/00-15/28
G21C 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体金属冷却式高速中性子原子炉(1)であって、
- 一次容器と称される容器(10)であって、前記高速中性子原子炉の一次回路の熱伝達流体としての液体金属によって充填されている前記容器(10)と;
- 容器同士の間に空間を形成する前記一次容器の周りに配置されている容器ピット(30)と;
- 前記一次容器の内部に前記液体金属を閉じ込めるための閉鎖スラブ(17)と;
通常動作の間における前記高速中性子原子炉の公称熱及び事故動作の間における崩壊熱の少なくとも幾らかを除去するための除去システム(2)と
を備えている前記高速中性子原子炉(1)において、
前記除去システムが、
熱伝達液体によって充填された閉回路(4)と、
冷熱源(5)と
を少なくとも備えており、
前記閉回路(4)が、
- 前記容器同士の間の前記空間に配置されている複数のU字形状のパイプ(400)から成るアレイ(40)であって、前記複数のU字形状のパイプ(400)が、前記一次容器の周りに分配されており、且つ、前記U字形状の底部が前記一次容器の底部に面した状態で前記一次容器に沿ってそれぞれ延在している、前記アレイ(40)と、
- 第1の低温コレクターと称される第1のコレクター(41)であって、前記第1のコレクター(41)は、前記アレイの前記パイプそれぞれの、低温ブランチと称されるU字のブランチのうちの一方のブランチ(401)に接続されており、前記低温コレクターは、前記閉鎖スラブの上方の外側に配置されている、第1のコレクター(41)と、
- 第1の高温コレクターと称される第2のコレクター(42)であって、前記第2のコレクター(42)は、高温ブランチと称される、前記アレイの中の前記パイプのそれぞれの前記U字の前記ブランチのうちの他の1つ(402)に接続されており、前記高温コレクターが、前記閉鎖スラブの上方において外側に配置されている、前記第2のコレクター(42)と、
- 複数のモノチューブ交換器(43)であって、前記モノチューブ交換器(43)の一方の端部(431)が、前記第1の低温コレクターに接続されており、前記モノチューブ交換器(43)の他方の端部(432)が、前記第1の高温コレクターに接続されている、複数の前記モノチューブ交換器(43)と、
を備えており、
前記閉回路が、自然対流によって前記熱伝達液体が前記閉回路の内部で流れるように構成されており、且つ、前記高速中性子原子炉の公称動作の間、及び、崩壊熱を放出する前記高速中性子原子炉のシャットダウン動作の間の両方において、前記熱伝達液体が液体状態を維持するように構成されており、
冷熱源(5)が、前記一次容器から離隔して且つ前記閉鎖スラブの上方に配置されている少なくとも1つのモジュール式リザーバー(50)を備えており、
前記モジュール式リザーバーが、第2の低温コレクターと称される第3のコレクター(501)であって、前記第1の低温コレクターに接続されている前記第3のコレクター(501)と、第2の高温コレクターと称される第4のコレクター(502)であって、前記第2の低温コレクターの上方に配置された前記第1の高温コレクターに接続されていると共に、前記複数のモノチューブ交換器を介して前記第2の低温コレクターに接続されている前記第4のコレクター(502)と、少なくとも1つの列のボックス(500)に配置されている複数のモジュール(5000)であって、ケーシング(50000)に閉じ込められた固体-液体タイプの相変化材料(PCM)(50001)をそれぞれ格納していると共に、複数の前記モノチューブ交換器のうちの1つのモノチューブ交換器によって冷却されるように配置されている複数の前記モジュール(5000)と、少なくとも前記第2の高温コレクター及び複数の前記ボックスを支持している支持構造体(503)と、を備えており、
前記モジュールそれぞれに存在する前記PCMが、前記モノチューブ交換器の中を循環する前記液体金属との交換の間に、前記高速中性子原子炉の公称動作の間に固体状態にあるように、且つ、崩壊熱が放出される前記高速中性子原子炉の事故条件において、液体状態に移行するようになっている、高速中性子原子炉(1)。
【請求項2】
前記高速中性子原子炉は、ループ型原子炉である、請求項1に記載の高速中性子原子炉(1)。
【請求項3】
前記モノチューブ交換器のチューブは、ストレート形状を有している、請求項1又は2に記載の高速中性子原子炉(1)。
【請求項4】
前記支持構造体(503)は、前記第2の低温コレクター(501)をさらに支持する、請求項1に記載の高速中性子原子炉(1)。
【請求項5】
前記モジュール(5000)それぞれは、立方体状の全体形状を有しており、前記モジュール(5000)の単一の角部又はノッチは、モノチューブ交換器の通過を可能にする形状を有している、請求項1に記載の高速中性子原子炉(1)。
【請求項6】
前記モジュールそれぞれの外壁の少なくとも一部は、強磁性材料の層によってコーティングされている、請求項1に記載の高速中性子原子炉(1)。
【請求項7】
前記モジュールそれぞれを充填する前記PCMは、前記固体状態において、1つ又は複数のブロックの形態になっている、請求項1に記載の高速中性子原子炉(1)。
【請求項8】
1つ又は複数の前記ブロックは、1つ又は複数のスプリング(50002)によって所定の場所に保持された状態で、前記モジュールそれぞれの内側に配置されている、請求項7に記載の高速中性子原子炉(1)。
【請求項9】
スライド機構(507)は、前記モジュールそれぞれの下方に配置されており、前記支持構造体に組み込まれている、請求項1に記載の高速中性子原子炉(1)。
【請求項10】
前記ボックスは、ハンドリング通路(505)を形成する空間の境界を形成するように配置されている、請求項1に記載の高速中性子原子炉(1)。
【請求項11】
二重壁(506)は、モノチューブ交換器(43)と前記モノチューブ交換器(43)が冷却する前記モジュールとの間に配置されており、前記二重壁は、希ガスによって充填されている、請求項1に記載の高速中性子原子炉(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体金属冷却式高速中性子原子炉(特に、ナトリウム高速原子炉)の分野に関し、それは、SFR又はNa冷却式FNRと称され、それは、第4世代と称される原子炉のファミリーの一部を形成している。
【0002】
より具体的には、本発明は、これらの原子炉の崩壊熱除去の改善に関する。
【0003】
本発明は、とりわけ、小型モジュール式原子炉(SMR: small modular reactor)に適用され、それは、典型的に、50MWeから200Mweの間の動作出力を有している。
【0004】
ここで、原子炉の崩壊熱は、核連鎖反応が停止した後に炉心によって作り出される熱であり、それは、核分裂生成物の崩壊エネルギーによって構成されるということが想起されることとなる。
【0005】
本発明は液体ナトリウム冷却式原子炉を参照して説明されているが、本発明は、原子炉の一次回路の中の熱伝達流体として、任意の他の液体金属(例えば、鉛など)に適用される。
【背景技術】
【0006】
原子炉において、常に保証されなければならない基本的な安全機能は、格納、反応性の制御、並びに、熱及び崩壊熱の除去である。
【0007】
崩壊熱を除去するために、より良好な全体的な信頼性を保証するために、システムの受動性及び多様性を改善するための労力が常に注がれている。長期間にわたるステーションブラックアウトの場合でも(それは、福島型シナリオに相当する)、構造体(具体的には、第1(燃料集合体クラッディング)の及び第2(主容器)の格納バリア)の完全性を保存することを目的としている。
【0008】
より具体的には、主容器を通して完全に受動的な方式で液体金属冷却式原子炉からの崩壊熱を除去することが、現在では想定されている。この目的は、大型の原子炉に関しては、出力が大き過ぎるので、実現することが不可能であるように思われるが、それは、低出力のSMRに関しては、主容器及び崩壊熱除去システム(下記では、DHRシステムと称される)を通した崩壊熱除去の安全における本質的な改善を保証するために、現実的に考えられ得る。
【0009】
ナトリウム冷却式原子炉において現在使用されているDHRシステムは、完全に受動的ではない。その理由は、実際には、それらが計装及び制御システム及び/又は人間の介入を利用するからである。加えて、これらのシステムは、故障を示す可能性のある低温空気供給源を備えたナトリウムフロー回路を使用することが多い。そのうえ、現在のシステムは、事故の場合に原子炉の最終的な冷却を提供するヒートシンク(最終的な冷熱源とも示される)に関して、多様化された解決策を有していない。それらは、内部攻撃及び外部攻撃並びに悪意のある行為に対して敏感である可能性がある。
【0010】
すでに存在しているか又は文献において知られているDHRシステムは、一般的に、3つのカテゴリーに分類され得る:
A/エネルギー変換システムの上流にあるループの中に配置されているもの;
B/原子炉の一次容器の内側に少なくとも部分的に配置されているもの;
C/原子炉の一次容器又は二次容器の外側に配置されているもの。
【0011】
A/システムは、液体金属/空気交換器に熱を放出する:[1]。これらのシステムの主な欠点は、それらが最小でも2つの交換器が実装されることを必要とするということ、それらが弱い自然対流性能を有する強制対流によって主に能動的に動作するということ、及び、それらが液体金属/空気交換器タイプの最終的な冷熱源の使用(液体金属の漏れ及び最終的な冷熱源への外部攻撃の場合に化学的な相互作用のリスクを伴う)を必要とすることである。
【0012】
B/システムも、同様に、除去された熱を液体金属/空気交換器タイプの最終的な冷熱源に放出する。
【0013】
これらのB/システムのいくつかは、低温コレクター又は高温コレクターのいずれかを一次容器の内側に配置したものである:[1]。A/システムに関して上記に述べられた主な欠点の他に、それらは、容器の中の放射性液体金属と接触するリスクもあり、また、これらのB/システムの構成コンポーネントをハンドリングする場合に、原子炉がシャットダウンされることを必要とする。
【0014】
特開2013-076675Aは、また、その一部がスラブを通過する受動的な冷却システムとして提示されるB/システムを開示している。提案された解決策は、多数の欠点を有している(すなわち、スラブを通して提供されることとなる漏れ止め性、ドームへの熱の伝達の可能性、システムのコンポーネントをハンドリングする場合に原子炉をシャットダウンする必要性、及び、スラブによって支持されることとなる追加的な重量)。
【0015】
C/システムは、交換器、パイプの束、又は空気フローを含み、それらは、一次容器又は二次容器の外側に配置されている。
【0016】
二次容器の外側の公知のC/システムは、以下の主な欠点を有している:
- 能動的な動作(すなわち、強制対流による動作)を必要とする;
- 使用される内部流体(熱油)は良好な熱伝達媒体ではないので、効率が制限される;
- 300~350℃を上回る温度における熱伝達流体の化学的な不安定性;
- それが二次容器からの放射によって実施されるので、冷却性能が低い。
【0017】
上記に述べられている特開2013-076675Aは、二次容器の外側のC/システムを開示している。それは、ヒートコレクターと、一次容器の周りの下降流路及び上昇流路とを含み、それらは、ヒートコレクターとサイロとの間に、及び、ヒートコレクターとガード容器との間にそれぞれ形成されており、外気が、下降流路の中へ導入され、下向きに流れるようになっており、次いで、最後に外側に排出される前に、サイロの底部へ上向きに流れるようになっている。このシステムの設計は、上記に述べられた欠点(具体的には、より低い効率(空気が良好な熱伝達媒体ではないので)、及び、より低い冷却性能(それが二次容器によって実施されるので))を伴う。そのうえ、外側に露出されている最終的な冷熱源への外部攻撃のリスクが存在している。
【0018】
特許出願KR20150108999Aは、二次容器の外側のC/システムを開示している。ここでも、最終的な冷熱源は、外側に露出されている。加えて、開示されている解決策は、多数の欠陥を有している。第一に、システムのコンポーネントは、二次容器に溶接されていなければならない。そのうえ、システムの動作は、熱伝達流体の相転移を必要とし、それによって、大きな密度の変動を結果として生じさせ、したがって、配管の中の機械的な応力の変動を結果として生じさせ、それは、容器の穿刺及び炉心メルトダウンに先行する局面において非効率的である。
【0019】
出願FR3104311A1において、本出願人は、相変化材料(PCM)を利用する冷熱源を備えたDHRシステムを組み込む液体金属冷却式原子炉を提案しており、それは、原子炉(それらの建物を含む)の修正なしに、又は、非常にわずかな修正のみで、上記の述べられたA/、B/、及びC/システムの欠点を克服する。上述の特許出願において冷熱源に関して提案された解決策は、以下の理由のために、完全に満足できるものではない:
- PCMにおける熱分布が最適ではない;
- 構造体の熱膨張に対して十分な考慮がなされていない;
- 実装することが困難である;
- PCMをハンドリングすること、交換すること、及び検査することが困難である可能性がある;
- 冷熱源のコンパクトさが不十分である。
【0020】
したがって、液体金属冷却式原子炉のDHRシステムを改善する必要性、とりわけ、特許出願FR3104311A1において提案されている解決策を改善する必要性が存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【文献】特開2013-076675A
【文献】KR20150108999A
【文献】FR3104311A1
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0022】
これを行うために、本発明の態様のうちの1つは、液体金属冷却式高速中性子原子炉であって、原子炉は、
- 一次容器と称される容器であって、容器は、原子炉の一次回路の熱伝達流体として液体金属によって充填されている、容器と;
- 容器間の空間を形成する、一次容器の周りに配置されている容器ピットと;
- 一次容器の内側に液体金属を閉じ込めるための閉鎖スラブと;
- 原子炉の公称熱及び崩壊熱の少なくとも幾らかを同時に除去するための除去システムと
を含み、
システムは、
熱伝達液体によって充填された閉回路と、
冷熱源と
を含み、
閉回路は、
- 容器間の空間の中に配置されている複数のU字形状のパイプのアレイであって、複数のU字形状のパイプは、一次容器の周りに分配されており、それぞれは、U字形状の底部が一次容器の底部に面した状態で、一次容器に沿って延在している、アレイと、
- 第1の低温コレクターと称される第1のコレクターであって、第1のコレクターは、低温ブランチと称される、アレイの中のパイプのそれぞれのU字のブランチのうちの1つに接続されており、低温コレクターは、閉鎖スラブの上方の外側に配置されている、第1のコレクターと、
- 第1の高温コレクターと称される第2のコレクターであって、第2のコレクターは、高温ブランチと称される、アレイの中のパイプのそれぞれのU字のブランチのうちの他の1つに接続されており、高温コレクターは、閉鎖スラブの上方の外側に配置されている、第2のコレクターと、
- 複数のモノチューブ交換器であって、モノチューブ交換器の一方の端部は、第1の低温コレクターに接続されており、モノチューブ交換器の他方の端部は、第1の高温コレクターに接続されている、複数のモノチューブ交換器と
を少なくとも含み、
回路は、自然対流によって熱伝達液体がその中を流れるように構成されており、また、原子炉の公称動作の間、及び、崩壊熱を放出する原子炉のシャットダウン動作の間の両方において、熱伝達液体が液体状態を維持するように構成されており、
冷熱源は、少なくとも1つのモジュール式リザーバーを含み、少なくとも1つのモジュール式リザーバーは、一次容器から所定の距離に、閉鎖スラブの上方に配置されており、リザーバーは、第2の低温コレクターと称される第3のコレクターと、第2の高温コレクターと称される第4のコレクターと、複数のモジュールと、支持構造体とを含み、第3のコレクターは、第1の低温コレクターに接続されており、第4のコレクターは、第1の高温コレクターに接続されており、第1の高温コレクターは、第2の低温コレクターの上方に配置されており、複数のモノチューブ交換器を介して第2の低温コレクターに接続されており、複数のモジュールは、少なくとも1つの列のボックスで配置されており、それぞれのモジュールは、固体-液体タイプの相変化材料(PCM)を格納しており、相変化材料(PCM)は、ケーシングの中に閉じ込められており、複数のモノチューブ交換器のうちの1つによって冷却されるように配置されており、支持構造体は、少なくとも第2の高温コレクター及び複数のボックスを支持し、それぞれのモジュールの中に存在するPCMは、モノチューブ交換器の中を循環する液体金属との交換の間に、原子炉の公称動作の間に固体状態にあり、崩壊熱が放出される原子炉の事故条件において、液体状態に移行するように設計されている、原子炉に関する。
【0023】
有利な変形例によれば、モノチューブ交換器のチューブは、ストレート形状を有している。
【0024】
有利な実施形態によれば、支持構造体は、また、第2の低温コレクターを支持する。
【0025】
有利には、それぞれのモジュールは、立方体の全体的な形状を有しており、その単一の角部又はノッチは、モノチューブ交換器の通過を可能にするように設計された形状を有している。
【0026】
典型的に、それぞれのモジュールのケーシングは、ステンレス鋼439(少なくとも17%Cr及び1%Ti)から作製されている。このフェライト鋼は、腐食に対して抵抗力があり、良好な熱伝導体であり、304/316タイプのステンレス鋼よりも低い熱膨張係数を有している。同様に、それは、ハンドリングマシンによって把持されるために、良好な磁気的な固定を可能にするように使用され得る。
【0027】
有利な実施形態の変形例によれば、それぞれのモジュールを充填するPCMは、固体状態において、1つ又は複数のブロック(好ましくは、Zamakから作製されている)の形態になっており、1つ又は複数のブロックは、好ましくは、1つ又は複数のスプリングによってそれぞれのモジュールの内側の所定の場所に保持されるように配置されている。Zamakは、おおよそ385℃の溶融温度を有しており、Zamakは、その著しい熱慣性及び潜熱に起因して熱の大部分を吸収することを可能にし、一方では、一次容器の臨界動作温度を下回る温度に熱伝達流体の温度を依然として維持することを可能にする。事故シナリオにおける動作のための膨張を補償するために、好ましくは、モジュールの壁とZamakのブロックとの間の空間が提供される。
【0028】
有利な実施形態において、(好ましくは、転がり軸受の形態の)スライド機構は、それぞれのモジュールの下に配置されており、支持構造体の中に組み込まれている。そのようなメカニズムは、モジュールを自動的に移動させることを可能にし、それは、事故局面の間にモジュールが加熱された後のその膨張の補償を伴う。
【0029】
有利には、ボックスの配置は、ハンドリング通路を形成する空間を区切る。
【0030】
有利な実施形態によれば、二重壁が、モノチューブ交換器の中に組み込まれている。それは、それを冷却することとなる基本モジュールと自由に接触して位置付けされており、二重壁は、不活性ガス(典型的に、ヘリウム)によって充填されている。この二重壁は、有利には、316タイプのオーステナイトステンレス鋼から作製されている。その機能は、熱伝達流体と空気との間の直接的な接触を回避すること、又は、熱伝達媒体が交換器チューブを通って漏れる場合に、熱伝達媒体漏出と液体PCMとの間の直接的な接触を回避することである。熱伝導率を改善するために、及び、漏れが検出されることを可能にするために、壁間の空間は、ヘリウムによって充填されている。
【0031】
したがって、本発明によるシステムは、上述の出願FR3104311A1のものと同様に、崩壊熱除去(DHR)機能を果たし、また、第1の放射線バリア(燃料クラッディング)及び第2の放射線バリア(主容器)の完全性を保存することによって、放射能が閉じ込められることを保証する。
【0032】
したがって、本発明は、本質的に、同時に以下のことを保証するシステムを組み込む原子炉を作り出すことにある:
- 事故が発生した瞬間から完全に受動的な方式での崩壊熱除去;
- 一次容器を通した熱除去;
- ナトリウム(又はNaK)と最終的な冷熱源として作用する材料との間の化学的な相互作用のリスクの低減;
- 先行技術において使用されているナトリウム/空気又はNaK/空気交換器と同じ機能を提供するが、異なる性質(PCMを有するリザーバー)を有する最終的な冷熱源の存在。
【0033】
したがって、本発明によるDHRシステムは、一次容器の外側を介して、熱が受動的に除去され、高い温度においてそれが容器間の空間に向けて放射するという事実を利用するという点において、先行技術システムから区別される。先行技術システムとは対照的に、内部流体の循環を支援するための補助システムの必要性は存在しない。
【0034】
上述の出願FR3104311A1とは異なり、冷熱源は、モジュール式であり、複数のモジュールを含み、そのそれぞれは、PCMによって充填されており、それらは、アッセンブリにおいて一緒にグループ化されており、それぞれが、モノチューブ交換器によって冷却され、追加的な高温コレクター及び低温コレクターは、複数の交換器の中の熱伝達流体の分配を保証する。
【0035】
したがって、本発明によるDHRシステムは、出願FR3104311A1からのものと比較して、PCM内の熱の分配を改善することを可能にし、また、外側に向けた交換表面積を増加させることを可能にし、これは、ボックスの壁を通した放射によって熱の幾らかを分散させるのに有用である。
【0036】
換言すれば、出願FR3104311A1のシステムと比較して、以下のことが保証される:
- 交換器チューブによる一定数及び同等数のモジュール(及び、ボックス)の連結による、PCMの中の熱のより効率的な分配;
- 事故シナリオにおける及び相転移の間の構造体及びPCMの熱膨張が考慮されている;
- 体積潜熱及び熱慣性の観点からカドミウムよりも良好な性能を有する(有利には、ブロックの形態の)PCM(Zamak);
- モジュールの使用に起因して、支持構造体の上の段の中に貯蔵されるように、より容易に実装される。貯蔵は、ハンドリングマシンを使用して実施され、ハンドリングマシンの通過は、ボックス間の空間によって解放された通路によって可能にされる。同様に、それぞれのモジュール(ひいては、全体的なシステムも)を検査することがより容易である。
【0037】
したがって、システムは、他の公知の使用されているDHRシステムに関して、強力な多様性及び破壊の態様を有しており、それは、内部流体の恒久的な循環を所与として、改善された受動的な安全特徴をそれに与え、介入の遅延を与えない。その思想は、ステーションブラックアウト(SBO)の場合に、コマンド制御、オペレーター、又は外部冷熱源を必要とすることなく、DHR機能が保証されるということである。したがって、本質的な安全性又は「放置安全(walk-away safe)」原子炉が参照される。
【0038】
DHRシステムは、公称熱を伴う原子炉の通常動作の間、及び、事故動作の間の両方において、恒久的に稼働する。
【0039】
公称動作の間に、本発明によるDHRシステムは、一次容器とパイプのアレイとの間の温度差から生じる熱を除去する。
【0040】
崩壊熱は、事故の開始時から、内部熱伝達流体の恒久的な自然循環を介して、完全に受動的な方式で除去され、それは、同様に、通常動作の間に起こる。この恒久的な自然循環は、U字形状のパイプの高温ブランチと低温ブランチとの間の流体の密度の著しい差に起因して、及び、それらの高さに起因して可能になる。
【0041】
一次容器を通した熱の除去は有利である。その理由は、重大な事故又は地震の場合にも(これは、容器の内側の構造体の著しい変形を引き起こす)、この機能が先験的に保証され得るからである。そのような極端な条件では、既存のもののような容器の内側のシステムは、この安全機能を適正に果たすことができなかった。
【0042】
二重壁のモノチューブ交換器を備えた冷熱源の存在は、ナトリウム(又はNaK)と冷却機能を提供する材料(PCM)との間の化学的な相互作用のリスクの低減を保証する。
【0043】
冷熱源の多様性、及び、本発明によるDHRシステムの受動的な動作は、外部攻撃及び別のシステムの故障に関して、据え付けの安全性の概念を強化する。
【0044】
そのうえ、PCMの利用は、液体金属/空気タイプの最終的な冷熱源よりもコンパクトな寸法を取得することを可能にする。
【0045】
必要な場合には、閉回路の中の熱伝達液体の循環流量を改善するために、ヒートポンプの追加を想定することが可能である。
【0046】
本発明は、それらの構成に関係なく、典型的に50MWeから200MWeの間の動作出力を有する小型モジュール式原子炉又はSMRタイプの、すべての液体ナトリウム冷却式原子炉(一次回路のモードを特徴付ける)に適用され、具体的には:
- 一次ポンプ及び交換器が、炉心を囲む主容器の内側に完全に格納されており、前記容器の閉鎖スラブを通して前記主容器の冷却流体の中に浸漬されている、一体型のFNR;
- 一次ポンプのみが、炉心を囲む主容器の内側に格納されている、部分的に一体型の(「ハイブリッド」)FNR;
- 一次ポンプ及び中間熱交換器が、原子炉の主容器の外側にある専用の容器の中に設置されており、ここで、主容器は、炉心及び内部構造体のみを格納しており、主容器及びコンポーネント容器は、一次配管によって接続されている、「ループ型FNR」と称されるFNR。
【0047】
回路の熱伝達液体は、好ましくは、鉛/ビスマス(Pb-Bi)二元合金、ナトリウム-カリウム(NaK)二元合金、ナトリウム、又は、液体金属の他の三元合金から選ばれる液体金属である。
【0048】
リザーバーを充填するPCMは、好ましくは、鉛、カドミウム、Zamak、及び、53%のKNO3、40%のNaNO2、7%のNaNOから構成された塩の混合物の中から選ばれる。
【0049】
高温コレクター及び低温コレクター、及び、回路のパイプ、並びに、適切な場合には、ループのコンポーネントは、好ましくは、ステンレス鋼AISI 316L、フェライト鋼、ニッケル基合金、インコネル、及びハステロイの中から選択された材料から作製されている。
【0050】
本発明の好適な用途は、GenIVファミリーの小型原子炉、特に、ナトリウム及び鉛冷却式原子炉である。
【0051】
安全態様以外では、本発明は、負荷追従のフレキシビリティーを高めるために、通常動作のためにも利用され得る。
【0052】
本発明の他の利点及び特徴は、以下の図を参照して、本発明の例示的な実施形態の詳細な説明を読むと(それは、非限定的な図示として与えられている)、より明確に明らかになることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】本発明によるDHRシステムを備えた液体ナトリウム冷却式原子炉(SFR)の斜視概略図である。
図2】部分的な断面の図で図1のパーツを繰り返して示す図である。
図3】原子炉SFRの一次容器及び燃料集合体のいくつか、また、本発明によるDHRシステムのパイプのアレイの一部を示す部分的な縦断面の図である。
図4】熱絶縁材料層が存在しない状態で図3を繰り返して示す図である。
図5】本発明によるDHRシステムの冷熱源としてのモジュール式リザーバーの概略側面図である。
図6】モジュール(ボックス)の1つの段を通した、図5のリザーバーの概略断面図である。
図6A図6の詳細図である。
図7】本発明の1つの変形例によるモジュール式リザーバーの支持構造体の上のボックスのカラムを通る縦断面での概略図である。
図8】モジュールを通る断面の図であり、その形状は、モノチューブ交換器との自由な接触を可能にし、PCMとしてZamakから作製されたブロックに対するその相対的な配置を示す、図である。
図9】モジュールの概略断面図であり、モジュールの内側のPCMブロック、及び、その横方向移動を区切るスプリングの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本出願の全体を通して、「垂直方向の」、「下側」、「上側」、「低い」、「高い」、「底部」、及び「上部」という用語は、垂直方向の動作構成にあるときの、液体ナトリウムによって充填された一次容器を参照して理解されるべきである。
【0055】
図1及び図2は、液体ナトリウム冷却式原子炉(SFR)1を示しており、それは、ループ型のアーキテクチャーを有しており、それは、本発明による原子炉の公称熱及び崩壊熱の少なくとも幾らかを同時に除去するための除去システム2を有している。
【0056】
そのような原子炉1は、液体ナトリウム(一次液体と称される)によって充填されている一次容器10又は原子炉容器を有しており、その内側には、炉心11と、横方向中性子シールド(LNS: lateral neutron shield)の集合体110とがあり、炉心11では、燃料の核分裂を通して熱エネルギーを発生させる複数の燃料集合体110が据え付けられている。
【0057】
容器10は、一次回路の中のナトリウムの重量、及び、内部コンポーネントの重量を支持する。
【0058】
炉心11は、支持機能及び冷却流体供給機能を炉心から切り離すことを可能にする2つの別個の構造体によって支持されている:
- 第1の機械的に加圧溶接された構造体(ダイアグリッド12と称される)(ダイアグリッド12の中に、燃料集合体110のベースが位置決めされており、ダイアグリッド12は、一次ポンプによって低温ナトリウム(400℃)を供給される);
- 第2の機械的に溶接された構造体(ストロングバック13と称される)(ダイアグリッドがストロングバック13に当接している(bear against));ストロングバックは、一般的に、一次容器10の底部パーツの中の内壁の一部に当接している。
【0059】
典型的に、ダイアグリッド12及びストロングバック13は、ステンレス鋼AISI 316Lから作製されている。
【0060】
集合体110のクラッディングは、第1の格納バリアを構成しており、一方では、容器10は、第2の格納バリアを構成している。
【0061】
図示されているように、一次容器10は、中心軸線Xの円筒状の形状を有しており、それは、半球形の底部によって続けられている。典型的に、一次容器10は、高温における亀裂のリスクから保護するために、非常に低いホウ素含有量を有するステンレス鋼AISI 316Lから作製されている。その外部表面は、予備酸化処理によって高い放射率を与えられており、予備酸化処理は、崩壊熱を除去する局面の間に外側に向けた熱の放射を促進させるために実施される。
【0062】
プラグ14(炉心カバープラグと称される)が、垂直方向に炉心11の上方に配置されている。
【0063】
そのような原子炉1では、炉心11の中での核反応の間に作り出される熱は、図示されている例では容器10の外側に配置されている中間交換器15に向けて一次ナトリウムを循環させるためのポンピング手段150(原子炉容器10の中に配置されている)を使用することによって抽出される。
【0064】
したがって、熱は、二次ナトリウムを介して抽出され、その供給ダクト152を介して中間交換器15に低温で到着し、その後、その出口ダクト151を介して高温でそれを出て行く。
【0065】
次いで、抽出された熱は、蒸気発生器(それらは示されていない)の中で水蒸気を作り出すために使用され、作り出された蒸気は、1つ又は複数のタービン及び交流発電機(それらも同様に示されていない)に供給される。タービンは、蒸気の機械的エネルギーを電気エネルギーに変換する。
【0066】
原子炉容器10は、原子炉容器10の内側に配置されている少なくとも1つの容器16によって構成された分離デバイスによって、2つの個別のゾーンに分離されている。この分離デバイスは、バッフルとも称され、ステンレス鋼AISI 316Lから作製されている。一般に、図2に図示されているように、分離デバイスは、単一の内部容器16によって構成されており、内部容器16は、少なくともその上部パーツにおいて、円筒状の形状を有している。
【0067】
バッフル16は、一般的に、図3及び図4に示されているように、ダイアグリッド12に溶接されている。
【0068】
図1に図示されているように、内部容器16によって内側に区切られている一次ナトリウムゾーンは、炉心11を出て行くナトリウムを収集する。それは、ナトリウムがその最も高温になるゾーンを構成しており、したがって、それは、一般に、高温ゾーン160又は高温コレクターと称される。内部容器16と原子炉容器10との間に区切られている一次ナトリウムゾーン161は、一次ナトリウムを収集し、ポンピング手段を供給する。それは、ナトリウムがその最も低温になるゾーンを構成しており、したがって、それは、一般に、低温ゾーン又は低温コレクター161と称される。
【0069】
図2に図示されているように、原子炉容器10は、アンカー固定されており、閉鎖スラブ17によって閉鎖されており、閉鎖スラブ17は、さまざまなコンポーネント(例えば、ポンピング手段など)(それらは示されていない)、(下記に特定されることとなるような)除去システム2の幾つかのコンポーネント、及び炉心カバープラグ18を支持している。したがって、閉鎖スラブ17は、液体ナトリウムを一次容器10の内側に閉じ込める上側カバーである。典型的に、スラブ17は、非合金鋼(A42)から作製されている。
【0070】
一次容器10の漏れ止め性は、閉鎖スラブ17と炉心カバープラグ18との間の金属シールによって保証されている。
【0071】
炉心カバープラグ18は、ロータリープラグであり、ロータリープラグは、炉心(制御ロッドを含む)(制御ロッドの数は、炉心のタイプ及びその出力に依存する)をモニタリングするために必要なすべてのハンドリングシステム及びすべての計装、並びに、熱電対及び他のモニタリングデバイスを組み込んでいる。典型的に、カバープラグ18は、ステンレス鋼AISI 316Lから作製されている。
【0072】
閉鎖スラブ17とナトリウムのないレベルとの間の空間(一般にカバー-ガスプレナムと称される)は、一般に、ナトリウムに対して不活性なガス(典型的にはアルゴン)によって充填されている。
【0073】
支持及び格納システム3が、一次容器10の周りに、その閉鎖スラブ17の下方に配置されている。
【0074】
より具体的には、図3及び図4に示されているように、このシステム3は、容器ピット30を含み、容器ピット30の内側には、外側から内側の順に、熱絶縁材料層31、ライナータイプの被覆材料32、及び、原子炉の一次容器10が挿入されている。
【0075】
容器ピット30は、スラブ17の重量、ひいては、それが支持するコンポーネントの重量を支持する、平行六面体の全体的な外側形状を有するブロックである。容器ピット30は、生物学的な保護及び外部攻撃に対する保護を提供する機能を有しており、また、低温を維持するために外部環境を冷却する機能も有している。容器ピット30は、典型的に、コンクリートのブロックである。
【0076】
熱絶縁材料層31は、容器ピット30の熱絶縁性を保証する。層31は、典型的に、ポリウレタンフォーム又はケイ酸塩から作製されている。
【0077】
ライナー被覆材料32は、一次容器10からの漏れの場合における一次ナトリウムの保持、及び、容器ピット30の保護を保証する。ライナー32は、容器ピット30に当接しており、その上部パーツは、閉鎖スラブ17に溶接されている。典型的に、ライナー32は、ステンレス鋼AISI 316Lから作製されている。
【0078】
ライナー被覆材料32と一次容器との間の空間E(容器間の空間と称される)は、一次容器10の表面を冷却するために、熱伝導性ガス(例えば、窒素など)を充填されている。それは、使用される検査システムの位置決めを可能にするのに十分でなければならない。容器間の空間Eの厚さは、典型的に、おおよそ30cmである。
【0079】
ここで、一次容器10を通して崩壊熱を除去するための本発明による崩壊熱除去(DHR: decay heat removal)システム2が、(より具体的には、図3図6、及び図7を参照して)説明されることとなる。
【0080】
本発明によるDHRシステム2は、容器間の空間Eにおける高温での放射を捕捉することによって、完全に受動的な方式で、一次容器10の外側の崩壊熱を除去することを可能にすることとなる。
【0081】
システム2は、まず、液体金属によって充填された閉回路4を含み、閉回路4は、
- 容器間の空間Eの中に配置されている複数のU字形状のパイプ400のアレイ40であって、そのパイプは、一次容器10の周りに分配されており、そのそれぞれは、U字形状の底部が一次容器10の底部に面した状態で、一次容器10に沿って延在している、アレイ40と、
- 第1の低温コレクター41であって、第1の低温コレクター41は、アレイの中のパイプのそれぞれのU字のブランチ401(低温ブランチと称される)のうちの1つに直接的に溶接されており、低温コレクターは、閉鎖スラブ17の上方の外側に配置されている、第1の低温コレクター41と、
- 第1の高温コレクター42であって、第1の高温コレクター42は、アレイの中のパイプのそれぞれのU字のブランチ402(高温ブランチと称される)のうちの他の1つに直接的に溶接されており、高温コレクターは、閉鎖スラブ17の上方の外側に配置されており、好ましくは、垂直方向に第1の低温コレクター41の上方に配置されている、第1の高温コレクター42と、
- 複数のモノチューブ交換器43であって、その一方の端部431は、第1の高温コレクター42に接続されており、その他方の端部432は、第1の低温コレクター41に接続されている、複数のモノチューブ交換器43と
を含む。
【0082】
閉鎖スラブ17は、その上側パーツにおいて、低温コレクター41及び高温コレクター42を支持するパーツの重量を支持する。
【0083】
閉鎖スラブ17は、アレイ40のそれぞれのパイプ400の挿入を可能にするためのさまざまなタイプの開口部を有している。したがって、それぞれのチューブ400は、スラブ17の上部を介して進入する及び出て行く。
【0084】
図示されているようなループ型原子炉のケースでは、幾つかのパイプ400は、それらが一次容器10の側面を通って出て行く/進入する場合には、一次回路のブランチをバイパスする。
【0085】
図4に示されているように、U字形状のパイプ400の低温ブランチ401は、その温度を低減させるために、熱絶縁層31の内側に完全に挿入されており、流体のフローを反転させる現象を回避し、最終的にそれぞれのパイプ400の内側の液体金属の自然なフローを可能にする。
【0086】
パイプのアレイ40は、一次容器10の直径の関数である直径と、求められる熱除去のために必要な表面積を有するのに十分な高さとを有している。
【0087】
換言すれば、アレイ40を構成するU字形状のパイプ400の合計数及び寸法は、一次容器10の直径、及び、原子炉の炉心11の出力に依存する。例えば、アレイの中のパイプのピッチは、10cmに等しくなっていることが可能であり、これは、製造及び放射による熱の吸収のための良好な妥協点である。
【0088】
同様に、例えば、水頭損失を最小化するために、容器間の空間Eの中のパイプの嵩を低減させるために、及び、一次容器10に露出される表面を最大化するために、それぞれのパイプ400の外径は、5cmの標準寸法において固定されている。それぞれのパイプの厚さは、その内側の液体金属によって及びその重量によって働かされる機械的な応力に依存する。
【0089】
それぞれのパイプ400の材料は、熱を吸収する高温ブランチ402の側において、良好な放射率特質を有していなければならない。典型的に、パイプの材料は、ステンレス鋼AISI 316L、フェライト鋼、ニッケル、インコネル、及びハステロイの中から選択される。この材料は、閉回路4のために使用される内部流体に依存する。
【0090】
この内部熱伝達流体Cは、液体金属であり、その液体金属は、化学的に安定しており、低い粘度を有しており、良好な熱の伝導体及び良好な熱伝達媒体であり、回路4の配管のすべてと化学的に適合しており、150~600℃の間の温度範囲において自然対流によって動作することができる。典型的に、回路4の液体金属は、NaK合金、Pb-Bi合金、ナトリウム、又は、液体金属の三元合金のうちの1つなどの中から選択され得る。
【0091】
図3に示されているように、低温コレクター41及び高温コレクター42は、一次容器10の中心軸線(X)を中心としたトロイダル状の全体的な形状を有している。これらのコレクター41、42は、閉鎖スラブ17に直接的に溶接されている支持パーツ44に当接している。
【0092】
それぞれのモノチューブ交換器43は、流体が出て行くときに流体を冷却することによって、及び、特許出願FR1913942において提案されている冷熱源のものよりも良好に実施する崩壊熱の除去を可能にすることによって、システム2の内側の流体によって吸収される熱を除去する機能を有している。図示されているように、それぞれのモノチューブ交換器43は、好ましくは、ストレートチューブである。典型的に、それぞれのモノチューブ交換器43は、ステンレス鋼AISI 316から作製されている。
【0093】
図2及び図5に図示されているように、本発明によるDHRシステム2は、同様に、冷熱源5を含み、冷熱源5は、パイプ400のアレイ40の全体を通して一次容器10からの放射によって除去された熱を吸収するように構成されている。冷熱源5の寸法決めは、原子炉の炉心11の出力(それは、除去されることとなる崩壊熱を実際に決定する)、及び、支持されることとなる想定される移行の持続期間の(それは、したがって、実質的に比例した熱慣性を必要とする)の両方に依存する。
【0094】
冷熱源5は、少なくとも1つのリザーバー50を含み、少なくとも1つのリザーバー50は、一次容器10から所定の距離に配置されており、閉鎖スラブ17よりも高いレベルに配置されている。
【0095】
本発明によれば、リザーバー50は、少なくとも1つの列に配置されているボックス500の形態で一緒にグループ化された複数のモジュール5000を備えたモジュール式に設計されたリザーバーであり、それぞれのモジュール5000は、ブロックの形態の、固体-液体タイプの相変化材料(PCM)50001を格納するケーシング50000から形成されている。
【0096】
図5及び図6に図示されている例では、ボックス500は、複数の列において整合されており、その重量は、支持構造体503によって支持されている。また、図示されているように、それぞれのモジュール5000は、(例えば、おおよそ60cmの辺を有する)立方体の全体的な形状を有している。それぞれのモジュール5000の壁50000は、好ましくは、フェライト系ステンレス鋼から(典型的に、鋼439)から作製されている。ハンドリングは、磁化されたアームマシンを使用して行われ、それは、その外部表面を介してモジュールを容易に掴むことが可能である。
【0097】
より具体的には、リザーバー50は、一次容器10から所定の距離に配置されており、閉鎖スラブ17の上方に配置されている。
【0098】
モジュール式リザーバー50は、第2の低温コレクター501と、第2の高温コレクター502とを含み、第2の低温コレクター501は、第1の低温コレクター41に接続されており、第2の高温コレクター502は、第1の高温コレクター42に接続されており、第2の低温コレクター501の上方に配置されており、複数のモノチューブ交換器43を介して第2の低温コレクター501に接続されている。より具体的には、モノチューブ交換器43の端部432は、第2の低温コレクター501に接続されており、第2の低温コレクター501自身は、第1の低温コレクター41に接続されている。そして、モノチューブ交換器43の端部431は、第2の高温コレクター502に接続されており、第2の高温コレクター502自身は、第1の高温コレクター42に接続されている。
【0099】
交換器43のチューブの端部において低温コレクター501及び高温コレクター502を利用することは、液体金属熱伝達媒体の流量を最適に分配することを可能にし、したがって、その冷却を推進することを可能にする。
【0100】
4つのモジュール5000(それは、1つのボックス500を形成する)のそれぞれのグループは、ストレートのモノチューブ交換器43のうちの1つによって垂直方向に通過される。
【0101】
最後に、モジュール式リザーバー50は、第2の低温コレクター501、第2の高温コレクター502、及び複数のボックス500を支持する支持構造体503を含む。
【0102】
支持構造体503は、有利には、金属プロファイル504の機械的に溶接されたアッセンブリであることが可能である。支持構造体503は、典型的に、鋼304から作製されている。
【0103】
図5に図示されているように、ボックス500は、好ましくは、ハンドリング通路505を生成させるために、相対的に配置されている。これらの通路505は、例えば、磁石を装備しているハンドリングユニットの通過のために寸法決めされ得、磁石は、それぞれのモジュール5000をロックすることが可能であり、また、ケーシング50000の外部強磁性層に引き付けられることに起因して、それを移動させることが可能である。そのような移動は、例えば、モジュール5000の内側のPCMの溶融の場合に実現され得、又は、システムテストの後の簡単な制御のために実現され得る。
【0104】
この図5にも示されているように、モジュール式リザーバーのコレクター501、502の位置決めは、ハンドリング通路505を完全に解放されたままにすることを可能にすることが意図されており、したがって、ハンドリング動作は、より複雑になるようにされない。
【0105】
それぞれのモジュール5000の形状は、ボックス500を通してモノチューブ交換器43(熱伝達媒体Cが自然対流によってその中を流れる)を垂直方向に通すことを可能にする。
【0106】
図7に図示されているように、二重壁506の熱伝導率を改善するために、及び、適切な場合には、漏れが検出されることを可能にするために、モノチューブ交換器43は、希ガスによって充填された二重壁506を介在させることによって、モジュール5000との直接的な接触から間隔を離して配置され得る。
【0107】
この二重壁506は、チューブ43からの熱伝達流体Cの漏出の場合に、空気と熱伝達流体Cとの間の直接的な接触を回避する機能を有しており、また、事故の場合に熱伝達流体とPCMブロック50001との間の起こり得る化学反応を回避する機能を有している。
【0108】
典型的に、二重壁は、ステンレス鋼316又はタイプ439の鋼から作製されており、希ガスは、ヘリウムであり、二重壁506の壁間の空間は、0.5mmの厚さを有している。
【0109】
モジュール式リザーバー50は、すべてのボックス500の壁からの自然対流及び放射によって、事故局面の間に除去される少量の熱を分散させ、また、原子炉が公称出力において動作している間にシステム2によって除去される熱のすべてを分散させる。
【0110】
それぞれのモジュール5000の寸法決め、及び、ボックス500のアッセンブリの寸法決めは、それが格納するPCMに依存し、また、通常動作の間に、また、事故の場合にも分散されることとなる熱に依存する。(公称条件における)通常動作点は、モジュールの寸法及び合計数に影響を及ぼし、一方では、事故シナリオは、PCMの必要体積に影響を及ぼす。
【0111】
PCMは、サーマルバッファーとして作用し、サーマルバッファーは、モノチューブ交換器の液体金属との交換の間に、原子炉の公称動作の間に固体状態にあるように選択され、また、崩壊熱を放出する原子炉のシャットダウン動作の間に液体状態に移行するように選択される。
【0112】
換言すれば、原子炉の公称動作局面の間に、PCMは、固体状態になっており、それは、それぞれのモノチューブ交換器43によって放棄された熱を伝導によって伝達し、次いで、それは、対流及び放射によって、それぞれのモジュール5000の壁に放出される。
【0113】
事故局面の間に、及び、公称局面において、液体状態のPCMは、モノチューブ交換器43によって放棄される熱を貯蔵しなければならず、したがって、回路2の液体金属を冷却する。
【0114】
好ましくは、固体状態において、PCMは、ブロック50001から構成されており、ブロック50001は、図8に図示されているように、それぞれのモジュール5000の内側の所定の場所に配置及び保持されている。より具体的には、図9に示されているように、ブロック50001は、重ねられたプレートの様式で、それぞれのモジュール5000の内側に互いに積み重ねられている。具体的には、PCMブロック50001が固体状態にあるときのPCMブロック50001のわずかに凹形の形状に起因して、それらは、相互にインターロックされ得る。
【0115】
事故シナリオにおける動作のための膨張を補償するために、有利には、モジュール5000の内壁とブロック50001との間の空間が提供されている。良好な内部熱伝導率を保証するために、及び、ステーションブラックアウト(SBO)を伴う過渡型事故の初期局面の間に熱を効率的に伝達するために、それぞれのモジュール5000の内側の雰囲気は、好ましくは、希ガス(例えば、ヘリウムなど)によって構成されている。
【0116】
ブロックのすべての横方向移動を制限するために、随意的なスプリング50002が、端部ブロック50001とモジュール5000の壁との間において、スタック端部に配置され得る(図9)。
【0117】
公称原子炉出力において、静止状態での適正な動作のために、PCMは、高い熱伝導率を有していなければならない。
【0118】
事故状態での適正な動作のために、PCMは、上昇した熱慣性(上昇した比熱容量及び密度)、250℃から400℃の間の融点、150℃(固体状態)から600℃(液体状態)の間の使用温度、及び、上昇した潜熱という特質を有している。
【0119】
当然のことながら、PCMは、また、閉回路2の内側の流体と化学的に適合していなければならず、モノチューブ交換器43からの漏れの後の相互作用の場合に問題が生じないようになっている。
【0120】
典型的に、PCMは、閉回路2の内側の熱伝達流体がNaK合金であるときには、Zamakから作製されており、又は、熱伝達流体がPb-Bi合金であるときには、鉛から作製されている。
【0121】
事故局面の間に、交換器チューブ43は、それが加熱された後に、半径方向に膨張する可能性がある。
【0122】
この膨張を補償するために、スライド機構507(支持構造体503の一部を形成する)をそれぞれのモジュール5000の下に配置することが可能である。図7に概略的に図示されているように、スライド機構507は、転がり軸受から構成され得、それは、支持構造体504のそれぞれの段において、モジュール5000(チューブ43と接触している)を移動させることを可能にする。
【0123】
モジュール式リザーバー50は、好ましくは、格納建造物52の中に格納されている。したがって、本発明によるシステム2の最終的な冷熱源5は、起こり得る外部攻撃に対して保護される。
【0124】
格納建造物52の内壁は、好ましくは、そこに収容されているモジュール式リザーバー50の外壁によって放射される熱をより容易に除去するために、高い放射率の特質を有する。
【0125】
一次容器10から最適な距離に冷熱源5を置くために、液圧回路2は、接続ループ45を含み、接続ループ45は、低温コレクター41及び高温コレクター42とそれぞれのモノチューブ交換器43との間に、配管及び(適切な場合には)弁のアッセンブリを含む。
【0126】
より具体的には、図1及び図2に図示されているように、接続ループ45は、液圧ブランチ451及び液圧ブランチ452を含み、液圧ブランチ451は、第2の低温コレクター501を介して、第1の低温コレクター41をそれぞれのモノチューブ交換器43の低温端部431に接続しており、液圧ブランチ452は、第2の高温コレクター502を介して、第1の高温コレクター42をそれぞれのモノチューブ交換器43の高温端部432に接続している。
【0127】
したがって、第1の低温コレクター41は、低温ブランチ451の内側の液体金属のフローを、U字形状の底部におけるそれぞれのチューブ400のそれぞれの低温ブランチ401に向けて分配し、第1の高温コレクター42は、U字形状の底部におけるそれぞれのチューブ400のそれぞれの高温ブランチ402から来る内部液体金属を収集し、それを高温ブランチ452に供給する。
【0128】
有利には、低温ブランチ451及び高温ブランチ452は、そこからの水頭損失を低減させるために、及び、閉じた液圧回路4の中の自然対流流量を増加させるために、それらが可能な限り短い長さを有するように寸法決めされている。
【0129】
したがって、本発明によれば、今説明されてきた閉じた液圧回路4は、自然対流によって熱伝達液体金属がその中を流れるように構成されており、また、原子炉の公称動作の間、及び、崩壊熱を放出する原子炉のシャットダウン動作の間の両方において、熱伝達液体金属が液体状態を維持するように構成されている。
【0130】
原子炉の公称出力動作の間に、それぞれのモノチューブ交換器は、1つのボックス500を構成するモジュール5000のそれぞれと自由に接触している。モノチューブ交換器43によって放出される熱は、対流及び伝導によって、主に、(典型的に、Zamakブロック50001の形態の)固体状態のPCMに伝達される。
【0131】
事故局面の間に、PCM50001は、液体になり、それぞれの交換器43によって放棄される熱を貯蔵し、したがって、閉じた液圧回路4の内側の液体金属を冷却する。
【0132】
今提示されてきた構成(それは、任意のタイプの液体金属冷却式原子炉に適用され得る)は、数日(典型的に、おおよそ7日)のステーションブラックアウト持続期間のために、コンパクトな及び完全に受動的なシステム2によって、既存の解決策に関してDHR機能を多様化することを目的とする。
【0133】
原子炉の出力及びモジュール式リザーバー50のサイズに応じて、適用持続期間は変化する。
【0134】
サーマルバッファーの動作持続期間をさらに延長することが求められる場合には(又は、対照的に、それを短縮することが求められる場合には)、必要とされる熱慣性及び全体的な貯蔵容量を増加させる(又は、低減させる)ために、第一に、利用可能な合計潜熱に応じて、モジュール式リザーバー50のより大きい(又は、より小さい)体積が必要になることとなる。
【0135】
他方では、原子炉の出力は、貯蔵されることとなる合計エネルギーに直接的に影響を与える。したがって、原子炉の出力を増加させることは、貯蔵容量に(ひいては、PCMの合計体積に)変化がない場合には、モジュール式リザーバー50の有用性の持続期間を短縮する。
【0136】
本発明者らは、400MWthの出力、8mの容器直径、及び、12mの高さを有する、AMR-SFR ATRIUMという名称によって知られている先進モジュール式原子炉のドラフトの例に関して、リザーバーの及びDHRシステム2の基本モジュールとして、モジュール5000の寸法決めを計算した。
【0137】
考慮中の計算に関して、モジュール5000の幾何学形状は、立方体であり、それは、鋼439から作製されているということが留意されるべきである。
【0138】
これらの計算の結果が、下記のTable 1(表1)及びTable 2(表2)にそれぞれ与えられている。
【0139】
【表1】
【0140】
【表2】
【0141】
この適用例は、例示的なケースを表している。モジュール5000のコンパクトさの増大又はそれらの配置の修正に起因して、その土地の使用量を低減させるために、それに最適化研究を行うことが可能であることとなる。
【0142】
本発明は、今説明された例に限定されず、とりわけ、図示されていない変形例の中で、図示されている例の特質を互いに組み合わせることが可能である。
【0143】
それによって本発明の範囲から逸脱することなく、他の変形例及び実施形態が想定され得る。
【0144】
図示されている例のすべてにおいて、DHRシステム2は、単一のモジュール式リザーバー50及び関連の配管を備えて説明されており、これは、小さい設置面積を発生させるという利点を有しているが、冗長性(安全)の目的のために、複数のモジュール式リザーバーを提供することも可能であるということは言うまでもない。
【0145】
ループ型原子炉に関係して今説明されたDHRシステムは、一体型原子炉において完全に実装され得る。
【0146】
一体型の原子炉設計のケースでは、パイプのアレイ40は、一次容器10全体を均一に取り囲む。
【0147】
幾つかのループ型原子炉において、一次回路の側面に位置付けされているパイプ400は、関係するU字形状のパイプ400のための起こり得る高温点を回避するために、ブランチにおいてマイクロコレクターの中で合流することが可能である。
【0148】
引用文献一覧
[1]: HOURCADE E.等, “ASTRID Nuclear Island design: update in French-Japanese joint team development of Decay Heat Removal system”, 2018, ICAPP
【符号の説明】
【0149】
1 液体ナトリウム冷却式原子炉(SFR)
10 原子炉容器、一次容器
110 燃料集合体
11 炉心
12 ダイアグリッド
13 ストロングバック
15 中間交換器
150 ポンピング手段
151 出口ダクト
152 供給ダクト
16 内部容器
160 高温ゾーン、高温コレクター
161 一次ナトリウムゾーン、低温ゾーン、低温コレクター
17 閉鎖スラブ
18 炉心カバープラグ
2 除去システム、閉回路
3 支持及び格納システム
30 容器ピット
31 熱絶縁材料層
32 ライナー被覆材料
4 閉回路
40 アレイ
400 U字形状のパイプ
401 低温ブランチ
402 高温ブランチ
41 第1の低温コレクター
42 第1の高温コレクター
43 モノチューブ交換器
431 一方の端部
432 他方の端部
45 接続ループ
451 液圧ブランチ、低温ブランチ
452 液圧ブランチ、高温ブランチ
5 冷熱源
50 リザーバー
52 格納建造物
500 ボックス
5000 モジュール
50000 ケーシング
50001 固体-液体タイプの相変化材料(PCM)、PCMブロック
50002 スプリング
501 第2の低温コレクター、第3のコレクター
502 第2の高温コレクター、第4のコレクター
503 支持構造体
504 支持構造体、金属プロファイル
505 ハンドリング通路
506 二重壁
507 スライド機構
C 熱伝達媒体
E 空間
X 中心軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図6A
図7
図8
図9