(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】有機発光表示装置
(51)【国際特許分類】
H10K 50/12 20230101AFI20240227BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20240227BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240227BHJP
H10K 50/15 20230101ALI20240227BHJP
H10K 50/16 20230101ALI20240227BHJP
H10K 50/17 20230101ALI20240227BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240227BHJP
H10K 85/60 20230101ALI20240227BHJP
【FI】
H10K50/12
C09K11/06 660
C09K11/06 690
G09F9/30 365
H10K50/15
H10K50/16
H10K50/17
H10K59/10
H10K85/60
(21)【出願番号】P 2022171889
(22)【出願日】2022-10-27
【審査請求日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0176762
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【氏名又は名称】岡部 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100209808
【氏名又は名称】三宅 高志
(72)【発明者】
【氏名】シン インエ
(72)【発明者】
【氏名】ミン ヒェリ
(72)【発明者】
【氏名】リュ ヤンジュ
(72)【発明者】
【氏名】イ ジエ
(72)【発明者】
【氏名】イム ギファン
(72)【発明者】
【氏名】キム ジュンユン
【審査官】岩井 好子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0185633(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0119145(US,A1)
【文献】特表2019-503041(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113659084(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/12
C09K 11/06
G09F 9/30
H10K 50/15
H10K 50/16
H10K 50/17
H10K 59/10
H10K 85/60
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1画素領域ないし第3画素領域を含む基板と、
透過電極、反射電極、そして前記透過電極と前記反射電極との間に位置する発光層を含み、前記基板の上部に位置し、前記第1画素領域ないし前記第3画素領域に対応する有機発光ダイオードとを含み、
前記第1画素領域の有機発光ダイオードにおいて、前記発光層は、蛍光発光物質層である第1発光物質層を含む第1発光部と、前記第1発光物質層と前記透過電極との間に位置する燐光発光物質層である第2発光物質層を含む第2発光部とを含み、
前記第2画素領域の有機発光ダイオードにおいて、前記発光層は、燐光発光物質層である第3発光物質層を含む第3発光部と、前記第3発光物質層と前記透過電極との間に位置する蛍光発光物質層である第4発光物質層を含む第4発光部とを含
み、
前記第1発光物質層は、第1化合物ないし第3化合物を含み、
前記第1化合物は化学式6-1で表され、
(化学式6-1)
【化1】
前記化学式6-1中、a1およびa2のそれぞれは、独立して0~4の整数であり、
R1およびR2のそれぞれは、独立して重水素、置換もしくは非置換C
1
~C
10
のアルキル基から選択され、隣接するR1およびR2は、互いに結合してOまたはSを含む環を形成することができ、
XはO、S、NR3から選択され、
R3は水素、重水素、置換もしくは非置換C
1
~C
10
のアルキル基、置換もしくは非置換C
6
~C
30
のアリール基、置換もしくは非置換C
5
~C
30
のヘテロアリール基から選択され、
前記第2化合物は、化学式7-1で表され、
前記化学式7-1中、Yは化学式7-2で表され、
b1は1~4の整数であり、
(化学式7-1)
【化2】
(化学式7-2)
【化3】
前記化学式7-2中、R11およびR12のそれぞれは、独立して重水素、置換もしくは非置換C
1
~C
10
のアルキル基、置換もしくは非置換C
6
~C
30
のアリール基、置換もしくは非置換C
5
~C
30
のヘテロアリール基から選択され、
b2およびb3のそれぞれは、独立して0~4の整数であり、
前記第3化合物は、化学式9-1で表され、
(化学式9-1)
【化4】
前記化学式9-1中、R21、R22、R23およびR24のそれぞれは、独立して、置換もしくは非置換C
6
~C
30
のアリール基であり、R25、R26およびR27のそれぞれは、独立して水素、重水素、置換もしくは非置換C
1
~C
10
のアルキル基、置換もしくは非置換C
6
~C
30
のアリール基、置換もしくは非置換C
5
~C
30
のヘテロアリール基から選択され、
前記第1発光物質層および第3発光物質層は、蛍光化合物および遅延蛍光化合物を含むことを特徴とする有機発光表示装置。
【請求項2】
前記化学式6-1は、化学式6-2で表され、
(化学式6-2)
【化5】
前記化学式6-2中、R1、R2、X、a1、a2は、化学式6-1において定義された通りであることを特徴とする、請求項
1に記載の有機発光表示装置。
【請求項3】
前記第1化合物は、化学式6-4の化合物のうち、1つであることを特徴とする、請求項
1に記載の有機発光表示装置。
(化学式6-4)
【化6】
【請求項4】
前記化学式7-1は、化学式8-1で表され、
(化学式8-1)
【化7】
前記化学式8-1中、Yは前記化学式7-2で表され、
b1は、前記化学式7-1において定義された通りであることを特徴とする、請求項
1に記載の有機発光表示装置。
【請求項5】
前記第2化合物は、化学式(8-3)の化合物のうち、1つであることを特徴とする、請求項
1に記載の有機発光表示装置。
(化学式8-3)
【化8】
【請求項6】
前記第3化合物は、化学式9-2の化合物のうち、1つであることを特徴とする、請求項
1に記載の有機発光表示装置。
(化学式9-2)
【化9】
【請求項7】
前記第2発光物質層は、第1ホストおよび第1燐光ドーパントを含み、
前記第1ホストは、化学式15で表される化合物であり、
前記第1燐光ドーパントは、化学式16で表される化合物のうち、1つであることを特徴とする、請求項
1に記載の有機発光表示装置。
(化学式15)
【化10】
(化学式16)
【化11】
【請求項8】
前記第
4発光物質層は、第4化合物ないし第6化合物を含み、
前記第4化合物は、前記化学式6-1で表され、
前記第5化合物は、前記化学式7-1で表され、
前記第6化合物は、化学式10-1で表され、
(化学式10-1)
【化12】
前記化学式10-1中、R31、R32、R33およびR34のそれぞれは、独立して水素、置換もしくは非置換C
1~C
10のアルキル基から選択され、
R31、R32、R33およびR34のうち、少なくとも1つは、置換もしくは非置換C
1~C
10のアルキル基であり、
R35、R36およびR37のそれぞれは、独立して水素、重水素、置換もしくは非置換C
1~C
10のアルキル基、置換もしくは非置換C
6~C
30のアリール基、置換もしくは非置換C
5~C
30のヘテロアリール基から選択されることを特徴とする、請求項1または請求項
1に記載の有機発光表示装置。
【請求項9】
前記化学式6-1は、化学式6-3で表され、
(化学式6-3)
【化13】
前記化学式6-3中、R1、R2、X、a1、a2は、前記化学式6-1において定義された通りであることを特徴とする、請求項
8に記載の有機発光表示装置。
【請求項10】
前記第4化合物は、化学式6-4の化合物のうち、1つであることを特徴とする、請求項
8に記載の有機発光表示装置。
(化学式6-4)
【化14】
【請求項11】
前記化学式7-1は、化学式8-2で表され、
(化学式8-2)
【化15】
前記化学式8-2中、Yは前記化学式7-2で表され、
b4は、0~3の整数であることを特徴とする、請求項
8に記載の有機発光表示装置。
【請求項12】
前記第5化合物は、化学式8-3の化合物のうち、1つであることを特徴とする、請求項
8に記載の有機発光表示装置。
(化学式8-3)
【化16】
【請求項13】
前記第6化合物は、化学式10-2の化合物のうち、1つであることを特徴とする、請求項
8に記載の有機発光表示装置。
(化学式10-2)
【化17】
【請求項14】
前記第
3発光物質層は、第2ホストおよび第2燐光ドーパントを含み、
前記第2ホストは、化学式17で表される化合物であり、
前記第2燐光ドーパントは、化学式18で表される化合物のうち、1つであることを特徴とする、請求項
8に記載の有機発光表示装置。
(化学式17)
【化18】
(化学式18)
【化19】
【請求項15】
前記第1発光部は、前記第1発光物質層の一側の第1正孔輸送層と、前記第1発光物質層の他
側の第1電子輸送層と、前記第1発光物質層と前記第1電子輸送層との間の第1正孔遮断層とをさらに含み、
前記第2発光部は、前記第2発光物質層の一側の第2正孔輸送層と、前記第2発光物質層の他
側の第2電子輸送層とをさらに含み、
前記第3発光部は、前記第3発光物質層の一側の第3正孔輸送層と、前記第3発光物質層の他
側の第3電子輸送層とをさらに含み、
前記第4発光部は、前記第4発光物質層の一側の第4正孔輸送層と、前記第4発光物質層と前記第4正孔輸送層との間の第1電子遮断層と、前記第4発光物質層の他
側の第4電子輸送層とをさらに含み、
前記第1発光物質層の他
側は前記第1正孔遮断層に接触し、
前記第2発光物質層の他
側は前記第2電子輸送層に接触し、
前記第3発光物質層の一側は前記第3正孔輸送層に接触し、
前記第4発光物質層の一側は前記第2電子輸送層に接触することを特徴とする、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項16】
前記第1発光部は、前記第1発光物質層と前記第1正孔輸送層との間の第2電子遮断層をさらに含み、
前記第4発光部は、前記第4発光物質層と前記第4電子輸送層との間の第2正孔遮断層をさらに含み、
前記第1発光物質層の一側は前記第2電子遮断層に接触し、
前記第2発光物質層の一側は前記第2正孔輸送層に接触し、
前記第3発光物質層の他
側は前記第3電子輸送層に接触し、
前記第4発光物質層の他
側は前記第2正孔輸送層に接触することを特徴とする、請求項
15に記載の有機発光表示装置。
【請求項17】
前記第2発光物質層の半値幅は、前記第1発光物質層の半値幅より小さく、
前記第2発光物質層の量子効率は、前記第1発光物質層の量子効率より大きく、
前記第4発光物質層の半値幅は、前記第3発光物質層の半値幅より小さく、
前記第4発光物質層の量子効率は、前記第3発光物質層の量子効率より大きいことを特徴とする、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光表示装置に関し、さらに詳細には、優れた表示性能を示す有機発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置の大型化に伴い、スペース占有の少ないフラット表示素子に対する要求が増加している。かかるフラット表示素子の1つとして、有機発光ダイオードを備え、有機電界発光素子(Organic Electroluminescent Device、OELD)とも呼ばれる有機発光表示装置(Organic Light Emitting Display Device)に関する技術が急速に進展している。
【0003】
有機発光ダイオードでは、陽極から注入された正孔(Hole)と陰極から注入された電子(Electron)が発光物質層で結合し、励起子を形成して不安定な励起状態(Excited state)になり、この状態から安定した基底状態(Ground state)へ戻る際に光が放出される。
【0004】
蛍光物質は、発光体として有機発光ダイオードに用いることができる。ところが、蛍光物質は、一重項励起子だけが発光に寄与するため、発光効率の面で限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、蛍光物質の発光効率が低い問題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため、本発明は、第1ないし第3画素領域を含む基板と、透過電極、反射電極、そして前記透過電極と前記反射電極との間に位置する発光層を含み、前記基板の上部に位置し、前記第1ないし第3画素領域に対応する有機発光ダイオードとを含み、前記第1画素領域の有機発光ダイオードにおいて、前記発光層は、蛍光発光物質層である第1発光物質層を含む第1発光部と、前記第1発光物質層と前記透過電極との間に位置する燐光発光物質層である第2発光物質層を含む第2発光部とを含み、前記第2画素領域の有機発光ダイオードにおいて、前記発光層は、燐光発光物質層である第3発光物質層を含む第3発光部と、前記第3発光物質層と前記透過電極との間に位置する蛍光発光物質層である第4発光物質層を含む第4発光部とを含むことを特徴とする有機発光表示装置を提供する。
【0007】
本発明の有機発光表示装置において、前記第1発光物質層は、第1ないし第3化合物を含み、前記第1化合物は化学式6-1で表される。
(化学式6-1)
【化1】
【0008】
前記化学式6-1中、a1およびa2のそれぞれは、独立して0~4の整数である。R1およびR2のそれぞれは、独立して重水素、置換もしくは非置換C
1~C
10のアルキル基から選択され、隣接するR1およびR2は、互いに結合してO、もしくはSを含む環を形成することができる。XはO、S、NR3から選択され、R3は水素、重水素、置換もしくは非置換C
1~C
10のアルキル基、置換もしくは非置換C
6~C
30のアリール基、置換もしくは非置換C
5~C
30のヘテロアリール基から選択される。前記第2化合物は、化学式7-1で表され、前記化学式7-1中、Yは化学式7-2で表され、b1は、1~4の整数である。
(化学式7-1)
【化2】
(化学式7-2)
【化3】
【0009】
前記化学式7-2中、R11およびR12のそれぞれは、独立して重水素、置換もしくは非置換C
1~C
10のアルキル基、置換もしくは非置換C
6~C
30のアリール基、置換もしくは非置換C
5~C
30のヘテロアリール基から選択され、b2およびb3のそれぞれは、独立して0~4の整数であり、前記第3化合物は、化学式9-1で表される。
(化学式9-1)
【化4】
【0010】
前記化学式9-1中、R21、R22、R23およびR24のそれぞれは、独立して、置換もしくは非置換C6~C30のアリール基であり、R25、R26およびR27のそれぞれは、独立して水素、重水素、置換もしくは非置換C1~C10のアルキル基、置換もしくは非置換C6~C30のアリール基、置換もしくは非置換C5~C30のヘテロアリール基から選択されることを特徴とする。
【0011】
本発明の有機発光表示装置において、前記化学式6-1は、化学式6-2で表される。
(化学式6-2)
【化5】
【0012】
前記化学式6-2中、R1、R2、X、a1、a2は、化学式6-1において定義された通りであることを特徴とする。
【0013】
本発明の有機発光表示装置において、前記化学式7-1は、化学式8-1で表される。
(化学式8-1)
【化6】
【0014】
前記化学式8-1中、Yは化学式7-2で表され、b1は、化学式7-1において定義された通りであることを特徴とする。
【0015】
本発明の有機発光表示装置において、前記第2発光物質層は、第1ホストおよび第1燐光ドーパントを含み、前記第1ホストは、化学式15で表される化合物であり、前記第1燐光ドーパントは、化学式16で表される化合物のうち、1つであることを特徴とする。
(化学式15)
【化7】
(化学式16)
【化8】
【0016】
本発明の有機発光表示装置において、前記第3発光物質層は、第4ないし第6化合物を含み、前記第4化合物は前記化学式6-1で表され、前記第5化合物は前記化学式7-1で表され、前記第6化合物は化学式10-1で表される。
(化学式10-1)
【化9】
【0017】
前記化学式10-1中、R31、R32、R33およびR34のそれぞれは、独立して水素、置換もしくは非置換C1~C10のアルキル基から選択され、R31、R32、R33およびR34のうち、少なくとも1つは、置換もしくは非置換C1~C10のアルキル基であり、R35、R36およびR37のそれぞれは、独立して水素、重水素、置換もしくは非置換C1~C10のアルキル基、置換もしくは非置換C6~C30のアリール基、置換もしくは非置換C5~C30のヘテロアリール基から選択されることを特徴とする。
【0018】
本発明の有機発光表示装置において、前記化学式6-1は化学式6-3で表される。
(化学式6-3)
【化10】
【0019】
前記化学式6-3中、R1、R2、X、a1、a2は、化学式6-1において定義された通りであることを特徴とする。
【0020】
本発明の有機発光表示装置において、前記化学式7-1は化学式8-2で表される。
(化学式8-2)
【化11】
【0021】
前記化学式8-2中、Yは化学式7-2で表され、b4は、0~3の整数であることを特徴とする。
【0022】
本発明の有機発光表示装置において、前記第4発光物質層は、第2ホストおよび第2燐光ドーパントを含み、前記第2ホストは、化学式17で表される化合物であり、前記第2燐光ドーパントは、化学式18で表される化合物のうち、1つであることを特徴とする。
(化学式17)
【化12】
(化学式18)
【化13】
【0023】
本発明の有機発光表示装置において、前記第1発光部は、前記第1発光物質層の一側の第1正孔輸送層と、前記第1発光物質層の他測の第1電子輸送層と、前記第1発光物質層と前記第1電子輸送層との間の第1正孔遮断層とをさらに含み、前記第2発光部は、前記第2発光物質層の一側の第2正孔輸送層と、前記第2発光物質層の他測の第2電子輸送層とをさらに含み、前記第3発光部は、前記第3発光物質層の一側の第3正孔輸送層と、前記第3発光物質層の他測の第3電子輸送層とをさらに含み、前記第4発光部は、前記第4発光物質層の一側の第4正孔輸送層と、前記第4発光物質層と前記第4正孔輸送層との間の第1電子遮断層と、前記第4発光物質層の他測の第4電子輸送層とをさらに含み、前記第1発光物質層の他測は前記第1正孔遮断層に接触し、前記第2発光物質層の他測は前記第2電子輸送層に接触し、前記第3発光物質層の一側は前記第3正孔輸送層に接触し、前記第4発光物質層の一側は前記第2電子輸送層に接触することを特徴とする。
【0024】
本発明の有機発光表示装置において、前記第1発光部は、前記第1発光物質層と前記第1正孔輸送層との間の第2電子遮断層をさらに含み、前記第4発光部は、前記第4発光物質層と前記第4電子輸送層との間の第2正孔遮断層をさらに含み、前記第1発光物質層の一側は前記第2電子遮断層に接触し、前記第2発光物質層の一側は前記第2正孔輸送層に接触し、前記第3発光物質層の他測は前記第3電子輸送層に接触し、前記第4発光物質層の他測は前記第2正孔輸送層に接触することを特徴とする。
【0025】
本発明の有機発光表示装置において、前記第2発光物質層の半値幅は、前記第1発光物質層の半値幅より小さく、前記第2発光物質層の量子効率は、前記第1発光物質層の量子効率より大きく、前記第4発光物質層の半値幅は、前記第3発光物質層の半値幅より小さく、前記第4発光物質層の量子効率は、前記第3発光物質層の量子効率より大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明の有機発光表示装置において、赤色の画素領域および緑色の画素領域のそれぞれにおける有機発光ダイオードは、遅延蛍光特性を有する化合物および蛍光特性を有する化合物を含む発光部(TADF発光部)と、燐光特性を有する化合物を含む発光部(燐光発光部)とを含む二重スタック構造であり、その結果、有機発光表示装置の発光効率が向上する。
【0027】
また、赤色の画素領域における有機発光ダイオードでは、燐光発光部が表示面側に位置し、緑色の画素領域における有機発光ダイオードでは、TADF発光部が表示面側に位置することにより、有機発光表示装置の特性がさらに向上する。
【0028】
さらに、燐光発光部が、発光物質層の下部に位置する電子遮断層と、発光物質層の上部に位置する正孔遮断層のうち、少なくとも1つをさらに含むことにより、有機発光表示装置の特性がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明に係る有機発光表示装置の概略的な回路図である。
【
図2】本発明の第1実施例に係る有機発光表示装置の概略的な断面図である。
【
図3】本発明の第2実施例に係る有機発光表示装置の概略的な断面図である。
【
図4】本発明の第1実施例に係る有機発光表示装置における1つの画素領域を示す断面図である。
【
図5】本発明の第3実施例に係る有機発光ダイオードの概略的な断面図である。
【
図6】本発明の第4実施例に係る有機発光ダイオードにおける赤色の画素領域の概略的な断面図である。
【
図7】本発明の第4実施例に係る有機発光ダイオードにおける緑色の画素領域の概略的な断面図である。
【
図8】本発明の第5実施例に係る有機発光ダイオードにおける赤色の画素領域の概略的な断面図である。
【
図9】本発明の第5実施例に係る有機発光ダイオードにおける緑色の画素領域の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照し、本発明に係る好適な実施例について説明する。
【0031】
図1は、本発明に係る有機発光表示装置の概略的な回路図である。
【0032】
図1に示すように、有機発光表示装置には、互いに交差して画素領域Pを画定するゲート配線GL、データ配線DLおよびパワー配線PLが形成される。画素領域Pには、スイッチング薄膜トランジスタTs、駆動薄膜トランジスタTd、ストレージキャパシタCstおよび有機発光ダイオードDが形成される。画素領域Pは、赤色の画素領域、緑色の画素領域および青色の画素領域を含むことができる。
【0033】
スイッチング薄膜トランジスタTsは、ゲート配線GLおよびデータ配線DLに接続され、駆動薄膜トランジスタTdおよびストレージキャパシタCstは、スイッチング薄膜トランジスタTsとパワー配線PLの間に接続される。有機発光ダイオードDは、駆動薄膜トランジスタTdに接続される。
【0034】
かかる有機発光表示装置では、ゲート配線GLに印加されたゲート信号により、スイッチング薄膜トランジスタTsがオンすると、データ配線DLに印加されたデータ信号がスイッチング薄膜トランジスタTsを介し、駆動薄膜トランジスタTdのゲート電極およびストレージキャパシタCstの一電極に印加される。
【0035】
駆動薄膜トランジスタTdは、ゲート電極に印加されたデータ信号によりオンする。その結果、データ信号に比例する電流が、パワー配線PLから駆動薄膜トランジスタTdを介して有機発光ダイオードDに流れるようになり、有機発光ダイオードDは、駆動薄膜トランジスタTdを介して流れる電流に比例する輝度に発光する。
【0036】
このとき、ストレージキャパシタCstは、データ信号に比例する電圧に充電され、1フレームの間、駆動薄膜トランジスタTdのゲート電極の電圧が一定に保持されるようにする。
【0037】
したがって、有機発光表示装置は、希望する映像を表示することができる。
【0038】
図2は、本発明の第1実施例に係る有機発光表示装置の概略的な断面図である。
【0039】
図2に示すように、有機発光表示装置100は、第1ないし第3画素領域P1、P2、P3が画定された基板110と、基板110の上部に位置する薄膜トランジスタTrと、薄膜トランジスタTrの上部に位置し、薄膜トランジスタTrに接続される有機発光ダイオードDとを含む。
【0040】
例えば、第1画素領域P1は赤色の画素領域であり、第2画素領域P2は緑色の画素領域であり、第3画素領域P3は青色の画素領域であり得る。第1ないし第3画素領域P1、P2、P3は単位画素を構成する。あるいは、単位画素は、白色の画素領域である第4画素領域をさらに含むことができる。
【0041】
基板110は、ガラス基板であってもよく、フレキシブル基板であってもよい。
【0042】
基板110上にバッファー層112が形成され、バッファー層112上に薄膜トランジスタTrが形成される。バッファー層112は省略してもよい。
【0043】
薄膜トランジスタTrは、バッファー層112上に位置する。薄膜トランジスタTrは半導体層、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極を含み、駆動素子として働く。すなわち、薄膜トランジスタTrは、駆動薄膜トランジスタ(
図1のTd)であり得る。
【0044】
薄膜トランジスタTr上には平坦化層150が位置する。平坦化層150はその上面が平坦であり、薄膜トランジスタTrのドレイン電極を露出するドレインコンタクトホール152を有する。
【0045】
有機発光ダイオードDは、平坦化層150上に位置し、薄膜トランジスタTrのドレイン電極に接続される第1電極210、第1電極210上に順次積層される発光層220および第2電極230を含む。有機発光ダイオードDは、第1ないし第3画素領域P1、P2、P3のそれぞれに位置し、互いに異なる色の光を発する。例えば、第1画素領域P1の有機発光ダイオードDは赤色光を発し、第2画素領域P2の有機発光ダイオードDは緑色光を発し、第3画素領域P3の有機発光ダイオードDは青色光を発することができる。
【0046】
第1電極210は、第1ないし第3画素領域P1、P2、P3毎に分離して形成され、第2電極230は、第1ないし第3画素領域P1、P2、P3に対応して一体に形成される。
【0047】
第1電極210は陽極と陰極のうち、一方であり、第2電極230は他方であり得る。また、第1電極210は反射電極であり、第2電極230は透過電極(または半透過電極)である。すなわち、有機発光ダイオードDからの光は第2電極を透過し、映像が表示される(トップエミッション型の有機発光表示装置)。
【0048】
例えば、第1電極210は陽極であり、仕事関数が比較的に大きい導電性物質、例えば透明導電性酸化物(TCO)からなる透明導電性酸化物層と、反射層を含むことができる。
【0049】
第2電極230は陰極であり、仕事関数が比較的に小さい導電性物質からなり得る。第2電極230はその厚さが薄く、光透過(半透過)性を示す。
【0050】
発光ユニットである発光層220は、発光物質層(Emitting Material Layer、EML)の単層構造を有することができる。あるいは、発光層220は、正孔注入層(Hole Injection Layer、HIL)、正孔輸送層(Hole Transport Layer、HTL)、電子遮断層(Electron Blocking Layer、EBL)、正孔遮断層(Hole Blocking Layer、HBL)、電子輸送層(Electron Transport Layer、ETL)、電子注入層(Electron Injection Layer、EIL)のうち、少なくとも1つをさらに含み、多層構造を有することができる。また、2つ以上の発光層を互いに離間して配置することで、有機発光ダイオードDをタンデム構造にすることもできる。
【0051】
図に示していないが、有機発光ダイオードDは、第2電極230上に位置するキャッピング層をさらに含むことができる。キャッピング層により、有機発光表示装置100の光効率がさらに向上する。
【0052】
第2電極230上には、外部の水分が有機発光ダイオードDへ浸透することを防ぐため、封止フィルム170(Encapsulation Film)が形成される。封止フィルム170は、無機絶縁層と有機絶縁層の積層構造を有することができる。
【0053】
図に示していないが、有機発光表示装置100は、赤色・緑色・青色の画素領域に対応するカラーフィルター(不図示)を含むことができる。例えば、カラーフィルターは、有機発光ダイオードDの上部、または封止フィルム170の上部に位置することができる。
【0054】
また、有機発光表示装置100では、封止フィルム170、またはカラーフィルター(不図示)上にカバーウィンドウ(不図示)を取り付けることができる。このとき、基板110とカバーウィンドウがフレキシブルな素材からなる場合は、フレキシブル有機発光表示装置を構成することができる。
【0055】
図3は、本発明の第2実施例に係る有機発光表示装置の概略的な断面図である。
【0056】
図3に示すように、有機発光表示装置100は、第1ないし第3画素領域P1、P2、P3が画定された基板110と、基板110の上部に位置する薄膜トランジスタTrと、薄膜トランジスタTrの上部に位置し、薄膜トランジスタTrに接続される有機発光ダイオードDとを含む。
【0057】
例えば、第1画素領域P1は赤色の画素領域であり、第2画素領域P2は緑色の画素領域であり、第3画素領域P3は青色の画素領域であり得る。第1ないし第3画素領域P1、P2、P3は単位画素を構成する。あるいは、単位画素は、白色の画素領域である第4画素領域をさらに含むことができる。
【0058】
基板110は、ガラス基板であってもよく、フレキシブル基板であってもよい。
【0059】
基板110上にバッファー層112が形成され、バッファー層112上に薄膜トランジスタTrが形成される。バッファー層112は省略してもよい。
【0060】
薄膜トランジスタTrは、バッファー層112上に位置する。薄膜トランジスタTrは半導体層、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極を含み、駆動素子として働く。すなわち、薄膜トランジスタTrは、駆動薄膜トランジスタ(
図1のTd)であり得る。
【0061】
薄膜トランジスタTr上には平坦化層150が位置する。平坦化層150はその上面が平坦であり、薄膜トランジスタTrのドレイン電極を露出するドレインコンタクトホール152を有する。
【0062】
有機発光ダイオードDは、平坦化層150上に位置し、薄膜トランジスタTrのドレイン電極に接続される第1電極210、第1電極210上に順次積層される発光層220および第2電極230を含む。有機発光ダイオードDは、第1ないし第3画素領域P1、P2、P3のそれぞれに位置し、互いに異なる色の光を発する。例えば、第1画素領域P1の有機発光ダイオードDは赤色光を発し、第2画素領域P2の有機発光ダイオードDは緑色光を発し、第3画素領域P3の有機発光ダイオードDは青色光を発することができる。
【0063】
第1電極210は、第1ないし第3画素領域P1、P2、P3毎に分離して形成され、第2電極230は、第1ないし第3画素領域P1、P2、P3に対応して一体に形成される。
【0064】
第1電極210は陽極と陰極のうち、一方であり、第2電極230は他方であり得る。また、第1電極210は透過電極(または半透過電極)であり、第2電極230は反射電極である。すなわち、有機発光ダイオードDからの光は第1電極を透過し、基板110側で映像が表示される(ボトムエミッション型の有機発光表示装置)。
【0065】
例えば、第1電極210は陽極であり、仕事関数が比較的に大きい導電性物質、例えば透明導電性酸化物(TCO)を含むことができる。
【0066】
第2電極230は陰極であり、仕事関数が比較的に小さい導電性物質からなり得る。
【0067】
発光ユニットである発光層220は、発光物質層(EML)の単層構造を有することができる。あるいは、発光層220は、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、電子遮断層(EBL)、正孔遮断層(HBL)、電子輸送層(ETL)、電子注入層(EIL)のうち、少なくとも1つをさらに含み、多層構造を有することができる。また、2つ以上の発光層を互いに離間して配置することで、有機発光ダイオードDをタンデム構造にすることもできる。
【0068】
第2電極230上には、外部の水分が有機発光ダイオードDへ浸透することを防ぐため、封止フィルム170が形成される。封止フィルム170は、無機絶縁層と有機絶縁層の積層構造を有することができる。
【0069】
図に示していないが、有機発光表示装置100は、赤色・緑色・青色の画素領域に対応するカラーフィルター(不図示)を含むことができる。例えば、カラーフィルターは、有機発光ダイオードDと基板110との間に位置することができる。
【0070】
図4は、本発明の第1実施例に係る有機発光表示装置における1つの画素領域を示す断面図である。
【0071】
図4に示すように、有機発光表示装置100は、基板110と、基板110の上部に位置する薄膜トランジスタTrと、平坦化層150上に位置し、薄膜トランジスタTrに接続される有機発光ダイオードDとを含む。
【0072】
基板110は、ガラス基板であってもよく、フレキシブル基板であってもよい。例えば、フレキシブル基板は、ポリイミド(PI)基板、ポリエーテルスルホン(PES)基板、ポリエチレンナフタレート(PEN)基板、ポリエチレンテレフタレート(PET)基板、およびポリカーボネート(PC)基板のうち、いずれか1つであり得る。
【0073】
基板110上にバッファー層122が形成され、バッファー層122上に薄膜トランジスタTrが形成される。バッファー層122は省略してもよい。また、バッファー層122は酸化シリコン、または窒化シリコンのような無機絶縁物質から形成することができる。
【0074】
バッファー層122の上部に半導体層120が形成される。例えば、半導体層120は、酸化物半導体物質から形成することができる。半導体層120が酸化物半導体物質からなる場合、半導体層120の下部に遮光パターン(不図示)を形成することができる。遮光パターンは、半導体層120へ光が入射することを防止し、半導体層120が光によって劣化することを防止する。あるいは、半導体層120は多結晶シリコンから形成することもできるが、この場合、半導体層120の両端部に不純物をドープすることがある。
【0075】
半導体層120の上部には、ゲート絶縁膜124が基板110の全面に亘って形成される。ゲート絶縁膜124は、シリコン酸化物(SiOx)、またはシリコン窒化物(SiNx)のような無機絶縁物質から形成することができる。
【0076】
ゲート絶縁膜124の上部には、金属のような導電性物質からなるゲート電極130が半導体層120の中央に対応して形成される。
図4において、ゲート絶縁膜124は、基板110の全面に亘って形成されているが、ゲート絶縁膜124は、ゲート電極130と同じ形にパターニングしてもよい。
【0077】
ゲート電極130の上部には、層間絶縁膜132が基板110の全面に亘って形成される。層間絶縁膜132は、シリコン酸化物やシリコン窒化物のような無機絶縁物質で形成してもよく、ベンゾシクロブテンやフォトアクリルのような有機絶縁物質で形成してもよい。
【0078】
層間絶縁膜132は、半導体層120の両側上面を露出する第1および第2半導体層コンタクトホール134、136を有する。第1および第2半導体層コンタクトホール134、136は、ゲート電極130の両側に、ゲート電極130と離間して位置する。
図4において、第1および第2半導体層コンタクトホール134、136は、層間絶縁膜132およびゲート絶縁膜124に形成されている。あるいは、ゲート絶縁膜124がゲート電極130と同じ形にパターニングされる場合、第1および第2半導体層コンタクトホール134、136は、層間絶縁膜132内にのみ形成されてもよい。
【0079】
層間絶縁膜132の上部には、金属のような導電性物質からなるソース電極144およびドレイン電極146が形成される。ソース電極144とドレイン電極146は、ゲート電極130を介在し、離間して位置し、それぞれ第1および第2半導体層コンタクトホール134、136を介して、半導体層120の両側に接触する。
【0080】
半導体層120、ゲート電極130、ソース電極144、およびドレイン電極146は、薄膜トランジスタTrを構成し、薄膜トランジスタTrは、駆動素子として働く。すなわち、薄膜トランジスタTrは、
図1の駆動薄膜トランジスタTrである。
【0081】
図4に示した薄膜トランジスタTrは、半導体層120の上部にゲート電極130、ソース電極144およびドレイン電極146が位置するコプラナ構造を有する。あるいは、薄膜トランジスタTrは、半導体層の下部にゲート電極が位置し、半導体層の上部にソース電極とドレイン電極が位置する逆スタッガード(Inverted staggered)構造を有することができる。この場合、半導体層は、非晶質シリコンからなり得る。
【0082】
図に示していないが、有機発光表示装置において、ゲート配線とデータ配線が互いに交差して画素領域Pを画定し、ゲート配線およびデータ配線に接続されるスイッチング素子であるスイッチング薄膜トランジスタがさらに形成される。スイッチング素子は、駆動素子である薄膜トランジスタTrに接続される。また、有機発光表示装置には、ゲート配線またはデータ配線に平行に離間してパワー配線が形成され、1フレームの間、薄膜トランジスタTrのゲート電極の電圧を一定に維持するためのストレージキャパシタがさらに設けられてもよい。
【0083】
基板110の全面に亘り、ソース電極144およびドレイン電極146の上部には平坦化層150が形成される。平坦化層150はその上面が平坦であり、薄膜トランジスタTrのドレイン電極146を露出するドレインコンタクトホール152を有する。
【0084】
有機発光ダイオードDは、平坦化層150上に位置し、薄膜トランジスタTrのドレイン電極146に接続される第1電極210、第1電極210上に順次積層される発光層220および第2電極230を含む。有機発光ダイオードDは、赤色の画素領域、緑色の画素領域および青色の画素領域のそれぞれに位置し、それぞれ赤色光、緑色光、青色光を発することができる。
【0085】
第1電極210は、画素領域毎に分離して形成される。第1電極210は陽極であり、仕事関数が比較的に大きい導電性物質、例えば透明導電性酸化物(TCO)からなる透明導電性酸化物層と、反射層を含むことができる。
【0086】
一方、本発明の第2実施例に係る有機発光表示装置においては、第1電極210が透明導電性酸化物層の単層構造であり得る。この場合、キャッピング層290は省略される。
【0087】
第1電極210の透明導電性酸化物層は、インジウム・スズ酸化物(Indium Tin Oxide、ITO)、インジウム・亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide、IZO)、インジウム・スズ・亜鉛酸化物(Indium Tin Zinc Oxide、ITZO)、スズ酸化物(SnO)、亜鉛酸化物(ZnO)、インジウム・銅酸化物(Indium Copper Oxide、ICO)、およびアルミニウム:酸化亜鉛(Al:ZnO、AZO)のうち、いずれか1つからなり、反射層は、銀(Ag)またはアルミニウム・パラジウム・銅(Aluminum Palladium Copper、APC)合金からなることができる。例えば、第1電極210は、ITO/Ag/ITO、またはITO/APC/ITOの三層構造を有することができる。
【0088】
また、平坦化層150上には、第1電極210の端部を覆うバンク層160が形成される。バンク層160は、画素領域に対応し、第1電極210の中央を露出させる。
【0089】
第1電極210上には、発光ユニットである発光層220が形成される。発光層220は、発光物質層(EML)の単層構造を有することができる。あるいは、発光層220は、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、電子遮断層(EBL)、正孔遮断層(HBL)、電子輸送層(ETL)、電子注入層(EIL)のうち、少なくとも1つをさらに含み、多層構造を有することができる。また、2つ以上の発光層を互いに離間して配置することで、有機発光ダイオードDをタンデム構造にすることもできる。
【0090】
後述するが、赤色の画素領域および緑色の画素領域において、発光物質層は、遅延蛍光特性を有する化合物と蛍光特性を有する化合物を含み、その結果、高い発光効率と狭い半値幅(Full Width at Half Maximum、FWHM)を有する。
【0091】
発光層220の形成された基板110の上部に、第2電極230が形成される。第2電極230は、表示領域の全面に位置し、仕事関数が比較的に小さい導電性物質からなり、陰極(カソード)として用いることができる。例えば、第2電極230は、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、銀(Ag)、またはこれらの合金、例えば、マグネシウム・銀(MgAg)合金からなり得る。第2電極230はその厚さが薄く、例えば、10nm~30nmの厚さを有し、光透過(半透過)性を示す。
【0092】
図に示していないが、有機発光ダイオードDは、第2電極230上に位置するキャッピング層をさらに含むことができる。キャッピング層により、有機発光表示装置100の光効率がさらに向上する。
【0093】
第2電極230上には、外部の水分が有機発光ダイオードDへ浸透することを防ぐため、封止フィルム170が形成される。封止フィルム170は、第1無機絶縁層172と有機絶縁層174、第2無機絶縁層176の積層構造を有することができるが、これに限定されるものではない。
【0094】
図に示していないが、有機発光表示装置100は、赤色・緑色・青色の画素領域に対応するカラーフィルター(不図示)を含むことができる。例えば、カラーフィルターは、有機発光ダイオードDの上部、または封止フィルム170の上部に位置することができる。
【0095】
また、有機発光表示装置100では、封止フィルム170、またはカラーフィルター(不図示)上にカバーウィンドウ(不図示)を取り付けることができる。このとき、基板110とカバーウィンドウがフレキシブルな素材からなる場合は、フレキシブル有機発光表示装置を構成することができる。
【0096】
図5は、本発明の第3実施例に係る有機発光ダイオードの概略的な断面図である。
【0097】
図5に示すように、有機発光ダイオードD1は、互いに対向する第1電極210および第2電極230と、第1電極210と第2電極230との間に位置する発光層220とを含む。発光層220は発光物質層240(EML)を含む。また、有機発光ダイオードD1は、光取り出し向上のためのキャッピング層290をさらに含むことができる。
【0098】
有機発光表示装置は、赤色の画素領域、緑色の画素領域および青色の画素領域を含み、有機発光ダイオードD1は、赤色の画素領域、緑色の画素領域および青色の画素領域のそれぞれに位置することができる。
【0099】
第1電極210は陽極であり、第2電極230は陰極であり得る。また、第1電極210は反射電極であり、第2電極230は透過(半透過)電極である。例えば、第1電極210はITO/Ag/ITO構造を有し、第2電極230はMgAgからなり得る。
【0100】
発光層220は、第1電極210と発光物質層240との間に位置する正孔輸送層260(HTL)と、発光物質層240と第2電極230との間に位置する電子輸送層270(ETL)のうち、少なくともいずれか1つをさらに含むことができる。
【0101】
また、発光層220は、第1電極210と正孔輸送層260との間に位置する正孔注入層250(HIL)と、電子輸送層270と第2電極230との間に位置する電子注入層280(EIL)のうち、少なくともいずれか1つをさらに含むことができる。
【0102】
また、発光層220は、発光物質層240と正孔輸送層260との間に位置する電子遮断層265(EBL)と、発光物質層240と電子輸送層270との間に位置する正孔遮断層275(HBL)のうち、少なくともいずれか1つをさらに含むことができる。
【0103】
例えば、正孔輸送層260は、化学式1で表される化合物のうち、1つからなり得る。
(化学式1)
【化14】
【0104】
あるいは、正孔輸送層260は、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン;TPD、NPB(NPD)、4,4’-ビス(N-カルバゾリル)-1,1’-ビフェニル;CBP、ポリ[N,N’-ビス(4-ブチルフェニル)-N,N’-ビス(フェニル)-ベンジジン];Poly-TPD、ポリ[(9,9-ジオクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-co-(4,4’-(N-(4-sec-ブチルフェニル)ジフェニルアミン))];TFB、ジ-[4-(N,N-ジ-p-トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン;TAPC、3,5-ジ(9H-カルバゾール-9-イル)-N,N-ジフェニルアニリン;DCDPA、N-(ビフェニル-4-イル)-9,9-ジメチル-N-(4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル)-9H-フルオレン-2-アミン、N-(ビフェニル-4-イル)-N-(4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル)ビフェニル)-4-アミン、および化学式1で表される化合物のうち、少なくとも1つからなり得る。
【0105】
正孔注入層250は、化学式1で表される化合物の1つに、化学式2で表される化合物をドープして形成することができる。正孔注入層250中、化学式2で表される化合物は、約1重量%~10重量%であり得る。
(化学式2)
【化15】
【0106】
あるいは、正孔注入層250は、4,4’,4”-トリス(3-メチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン;MTDATA、4,4’,4”-トリス(N,N-ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン;NATA、4,4’,4”-トリス(N-(ナフタレン-1-イル)-N-フェニルアミノ)トリフェニルアミン;1T-NATA、4,4’,4”-トリス(N-(ナフタレン-2-イル)-N-フェニルアミノ)トリフェニルアミン;2T-NATA、フタロシアニン銅;CuPC、トリス(4-カルバゾイル-9-イル-フェニル)アミン;TCTA、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(1-ナフチル)-1,1’-ビフェニル-4,4”-ジアミン;NPB;NPD、1,4,5,8,9,11-ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル(ジピラジノ[2,3-f:2’,3’-h]キノキサリン-2,3,6,7,10,11-ヘキサカルボニトリル;HAT-CN、1,3,5-トリス[4-(ジフェニルアミノ)フェニル]ベンゼン;TDAPB、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホン酸;PEDOT/PSS、N-(ビフェニル-4-イル)-9,9-ジメチル-N-(4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル)-9H-フルオレン-2-アミンのうち、少なくとも1つからなり得る。
【0107】
電子輸送層270は、化学式3で表される化合物のうち、少なくとも1つからなり得る。
(化学式3)
【化16】
【0108】
あるいは、電子輸送層270は、オキサジアゾール系化合物、トリアゾール系化合物、フェナントロリン系化合物、ベンゾオキサゾール系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物のうち、いずれか1つからなり得る。例えば、電子輸送層270は、トリス(8-ヒドロキシキノリン)アルミニウム;Alq3、2-ビフェニル-4-イル-5-(4-t-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール;PBD、スピロ-PBD、リチウムキノラート;Liq、1,3,5-トリス(N-フェニルベンゾイミダゾール-2-イル)ベンゼン;TPBi、ビス(2-メチル-8-キノリノラト-N1,08)-(1,1’-ビフェニル-4-オラト)アルミニウム;BAlq、4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン;Bphen、2,9-ビス(ナフタレン-2-イル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン;NBphen、2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン;BCP、3-(4-ビフェニル)-4-フェニル-5-tert-ブチルフェニル-1,2,4-トリアゾール;TAZ、4-(ナフタレン-1-イル)-3,5-ジフェニル-4H-1,2,4-トリアゾール;NTAZ、1,3,5-トリス(p-ピリド-3-イル-フェニル)ベンゼン;TpPyPB、2,4,6-トリス(3’-(ピリジン-3-イル)ビフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン;TmPPPyTz、ポリ[(9,9-ビス(3’-((N,N-ジメチル)-N-エチルアンモニウム)-プロピル)-2,7-フルオレン)-アルト-2,7-(9,9-ジオクチルフルオレン)];PFNBr、トリス(フェニルキノキサリン);TPQ、ジフェニル-4-トリフェニルシリル-フェニルホスフィンオキシド;TSPO1のうち、少なくとも1つからなり得る。
【0109】
電子注入層280は、LiF、CsF、NaF、BaF2のようなアルカリハライド系物質を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0110】
正孔輸送層260と発光物質層240との間に位置し、発光物質層240から正孔輸送層260への電子移動を防止するための電子遮断層265は、化学式4で表される化合物からなり得る。
(化学式4)
【化17】
【0111】
あるいは、電子遮断層265は、TCTA、トリス[4-(ジエチルアミノ)フェニル]アミン、N-(ビフェニル-4-イル)-9,9-ジメチル-N-(4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル)-9H-フルオレン-2-アミン、TAPC、MTDATA、1,3-ビス(カルバゾール-9-イル)ベンゼン;mCP、3,3’-ビス(N-カルバゾリル)-1,1’-ビフェニル;mCBP、CuPC、N,N’-ビス[4-[ビス(3-メチルフェニル)アミノ]フェニル]-N,N’-ジフェニル-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミン;DNTPD、TDAPB、DCDPA、2,8-ビス(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)ジベンゾ[b,d]チオフェン、および化学式4で表される化合物のうち、少なくとも1つを含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0112】
また、発光物質層240と電子輸送層270との間に位置し、発光物質層240から電子輸送層270への正孔移動を防止するための正孔遮断層275は、化学式5で表される化合物からなり得る。
(化学式5)
【化18】
【0113】
あるいは、正孔遮断層275は、発光物質層240に含まれる物質に比べ、HOMOエネルギー準位の低い物質、例えば、BCP、BAlq、Alq3、PBD、スピロ-PBD、Liq、ビス-4,6-(3,5-ジ-3-ピリジルフェニル)-2-メチルピリミジン;B3PYMPM、ビス[2-(ジフェニルホスフィン)フェニル]エーテルオキシド;DPEPO、9-(6-(9H-カルバゾール-9-イル)ピリジン-3-イル)-9H-3,9’-ビカルバゾール、TSPO1、および化学式5で表される化合物のうち、少なくとも1つからなり得る。
【0114】
キャッピング層290は第2電極230上に位置し、化学式1で表される化合物のうち、1つからなり得る。
【0115】
赤色の画素領域である第1画素領域P1において、発光物質層240は、ホストである第1化合物、遅延蛍光物質(化合物)である第2化合物、蛍光物質(化合物)である第3化合物を含む。第2化合物は、補助ホスト、または補助ドーパントであり、第3化合物は発光体であり得る。
【0116】
第2化合物の最低空軌道(Lowest Unoccupied Molecular Orbital、LUMO)エネルギー準位は、-3.0eVより低いか等しい。また、第1化合物の最高被占軌道(Highest Occupied Molecular Orbital、HOMO)エネルギー準位と第2化合物のHOMOエネルギー準位との差は、0.4eVより小さいか等しい。また、第2化合物のLUMOエネルギー準位と第3化合物のLUMOエネルギー準位との差は、0.3eVより小さいか等しい。第3化合物のエネルギーバンドギャップは、1.8eV~2.2eVである。
【0117】
公知の多様な方法により、HOMOエネルギー準位を決定(測定)することができる。例えば、HOMOエネルギー準位は、RKI機器製のAC3表面分析機といった既存の表面分析機器を使用し、決定することができる。表面分析機器は、厚さが50nmの化合物の単体フィルム(純粋なフィルム)を測定するため、用いることができる。LUMOエネルギー準位は、次のように計算することができる。LUMO=HOMO-バンドギャップ。バンドギャップは、厚さが50nmの単体フィルムのUV‐vis測定のように当業者に公知された任意の通常の方法で計算することができる。例えば、バンドギャップは、SCINCO社製のS‐3100分光光度計を使用し、測定することができる。本発明に開示された化合物のHOMO値およびLUMO値は、かかる方法で決定することができる。言い換えると、HOMO値およびLUMO値は、50nmフィルムのような薄膜を用いて実験的、または経験的に決定した値であり得る。
【0118】
また、緑色の画素領域である第2画素領域P2において、発光物質層240は、ホストである第4化合物、遅延蛍光物質(化合物)である第5化合物、蛍光物質(化合物)である第6化合物を含む。第5化合物は、補助ドーパント(または補助ホスト)であり、第6化合物は発光体であり得る。
【0119】
第5化合物のLUMOエネルギー準位は、-3.0eVより低いか等しい。また、第4化合物のHOMOエネルギー準位と第5化合物のHOMOエネルギー準位との差は、0.4eVより小さいか等しい。また、第5化合物のLUMOエネルギー準位と第6化合物のLUMOエネルギー準位との差は、0.3eVより小さいか等しい。第6化合物のエネルギーバンドギャップは、2.2eV~2.4eVである。
【0120】
第1化合物と第4化合物のそれぞれは、化学式6-1で表される。
(化学式6-1)
【化19】
【0121】
化学式6-1中、a1およびa2のそれぞれは、独立して0~4の整数である。R1およびR2のそれぞれは、独立して重水素、置換もしくは非置換C1~C10のアルキル基から選択され、隣接するR1およびR2は、互いに結合してOまたはSを含む環を形成することができる。XはO、S、NR3から選択され、R3は水素、重水素、置換もしくは非置換C1~C10のアルキル基、置換もしくは非置換C6~C30のアリール基、置換もしくは非置換C5~C30のヘテロアリール基から選択される。
【0122】
例えば、R3は、C6~C30のアリール基(例えば、フェニル)であり得る。
【0123】
すなわち、赤色の画素領域である第1画素領域P1における発光物質層240のホストである第1化合物と、緑色の画素領域である第2画素領域P2における発光物質層240のホストである第4化合物は、同じ化学構造式を持ち、互いに同一化合物であってもよく、異なる化合物であってもよい。
【0124】
本発明の明細書において、C6~C30のアリール基は、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ペンタレニル基、インデニル基、インデノインデニル基、ヘプタレニル基、ビフェニルレニル基、インダセニル基、フェナレニル基、フェナントレニル基、ベンゾフェナントレニル基、ジベンゾフェナントレニル基、アズレニル基、ピレニル基、フルオランテニル基、トリフェニルレニル基、クリセニル基、テトラフェニル基、テトラセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、フルオレニル基、インデノフルオレニル基、スピロフルオレニル基からなる群から選択することができる。
【0125】
また、本発明の明細書において、C3~C40のヘテロアリール基は、ピロリル基、ピリジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、テトラジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、インドリル基、イソインドリル基、インダゾリル基、インドリジニル基、ピロリジニル基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ジベンゾカルバゾリル基、インドロカルバゾリル基、インデノカルバゾリル基、ベンゾフロカルバゾリル基、ベンゾチエノカルバゾリル基、キノリニル基、イソキノリニル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、シノリニル基、キナゾリニル基、キノゾリニル基、キノリジニル基、プリニル基、ベンゾキノリニル基、ベンゾイソキノリニル基、ベンゾキナゾリニル基、ベンゾキノキサリニル基、アクリジニル基、フェナントロリニル基、ペリミジニル基、フェナントレジニル基、プテリジニル基、シンノリニル基、ナフタリジニル基、フラニル基、ピラニル基、オキサジニル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、ジオキシニル基、ベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、チオピラニル基、ザンテニル基、クロメニル基、イソクロメニル基、チオアジニル基、チオフェニル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾチオフェニル基、ジフロピラジニル基、ベンゾフロジベンゾフラニル基、ベンゾチエノベンゾチオフェニル基、ベンゾチエノジベンゾチオフェニル基、ベンゾチエノベンゾフラニル基、ベンゾチエノジベンゾフラニル基からなる群から選択することができる。
【0126】
また、本明細書において、アルキル基、アリール基、および/またはヘテロアリール基が置換された場合、置換基は、重水素、三重水素、シアノ基、ハロゲン、C1~C20のアルキル基、C1~C10のアルコキシ基、C6~C30のアリール基からなる群から選択することができる。
【0127】
化学式6-1で表される化合物が、赤色の画素領域である第1画素領域P1の発光物質層におけるホストの第1化合物である場合、化学式6-1は、化学式6-2で表すことができる。
(化学式6-2)
【化20】
【0128】
化学式6-2中、R1、R2、X、a1、a2は、化学式6-1において定義された通りである。
【0129】
化学式6-1で表される化合物が、緑色の画素領域である第2画素領域P2の発光物質層におけるホストの第4化合物である場合、化学式6-1は、化学式6-3で表すことができる。
(化学式6-3)
【化21】
【0130】
化学式6-3中、R1、R2、X、a1、a2は、化学式6-1において定義された通りである。
【0131】
すなわち、赤色の画素領域である第1画素領域P1における発光物質層240のホストである第1化合物と、緑色の画素領域である第2画素領域P2における発光物質層240のホストである第4化合物は、リンカー(ビフェニレン、ジベンゾフラニレン、またはジベンゾチオフェニレン)に対する両側のヘテロアリール基の相対的な結合位置に相違点があり得る。言い換えると、赤色の画素領域である第1画素領域P1における発光物質層240のホストである第1化合物において、リンカーと両側のヘテロアリール基はパラ位置で結合する一方、緑色の画素領域である第2画素領域P2における発光物質層240のホストである第4化合物において、リンカーと両側のヘテロアリール基はメタ位置で結合する。
【0132】
第1化合物と第4化合物のそれぞれは、独立して、化学式6-4で表される化合物のうち、1つであり得る。
(化学式6-4)
【化22】
【0133】
例えば、第1化合物は、化合物1-5ないし化合物1-12のうち、1つであり、第4化合物は、化合物1-1ないし化合物1-4、化合物1-13、化合物1-14のうち、1つであり得る。
【0134】
第2化合物および第5化合物は、化学式7-1で表される。
(化学式7-1)
【化23】
【0135】
化学式7-1中、Yは化学式7-2で表され、b1は1~4の整数である。ここで、b1が2以上の場合、Yは互いに同じであってもよく、異なってもよい。
(化学式7-2)
【化24】
【0136】
化学式7-2中、R11およびR12のそれぞれは、独立して重水素、置換もしくは非置換C1~C10のアルキル基、置換もしくは非置換C6~C30のアリール基、置換もしくは非置換C5~C30のヘテロアリール基から選択され、b2およびb3のそれぞれは、独立して0~4の整数である。
【0137】
例えば、b1は3であってもよく、4であってもよいが、好ましくは4であり、b2およびb3のそれぞれは、独立して0、または1であり得る。R11およびR12のそれぞれは、独立してC1~C10のアルキル基(例えば、メチル基)、C5~C30のヘテロアリール基(例えば、カルバゾリル基)から選択することができる。
【0138】
すなわち、赤色の画素領域である第1画素領域P1における発光物質層240の補助ドーパントである第2化合物と、緑色の画素領域である第2画素領域P2における発光物質層240の補助ドーパントである第5化合物は、同じ化学構造式を持ち、互いに同一化合物であってもよく、異なる化合物であってもよい。
【0139】
化学式7-1で表される化合物が、赤色の画素領域である第1画素領域P1の発光物質層における補助ドーパントの第2化合物である場合、化学式7-1は、化学式8-1で表すことができる。
(化学式8-1)
【化25】
【0140】
化学式8-1中、Yは化学式7-2で表され、b1は化学式7-1において定義された通りである。
【0141】
化学式7-1で表される化合物が、緑色の画素領域である第2画素領域P2の発光物質層における補助ドーパントの第5化合物である場合、化学式7-1は化学式8-2で表すことができる。
(化学式8-2)
【化26】
【0142】
化学式8-2中、Yは化学式7-2で表され、b4は0~3の整数である。例えば、b4は2であってもよく、3であってもよく、2つのシアノ基(CN)は、オルト位置に結合することができる。
【0143】
すなわち、赤色の画素領域である第1画素領域P1における発光物質層240の補助ドーパントである第2化合物と、緑色の画素領域である第2画素領域P2における発光物質層240の補助ドーパントである第5化合物は、フェニレン基に対する2つのシアノ基の相対的な結合位置に相違点があり得る。言い換えると、赤色の画素領域である第1画素領域P1における発光物質層240の補助ドーパントである第2化合物において、2つのシアノ基はパラ位置でフェニレン基に結合する一方、緑色の画素領域である第2画素領域P2における発光物質層240の補助ドーパントである第5化合物において、2つのシアノ基はメタ位置でフェニレン基に結合する。
【0144】
第2化合物と第5化合物のそれぞれは、独立して、化学式8-3で表される化合物のうち、1つであり得る。
(化学式8-3)
【化27】
【0145】
例えば、第2化合物は、化合物2-1、化合物2-2、化合物2-4、化合物2-5のうち、1つであり、第5化合物は、化合物2-3、化合物2-6、化合物2-7のうち、1つであり得る。
【0146】
第3化合物は、化学式9-1で表される。
(化学式9-1)
【化28】
【0147】
化学式9-1中、R21、R22、R23およびR24のそれぞれは、独立して、置換もしくは非置換C6~C30のアリール基であり、R25、R26およびR27のそれぞれは、独立して水素、重水素、置換もしくは非置換C1~C10のアルキル基、置換もしくは非置換C6~C30のアリール基、置換もしくは非置換C5~C30のヘテロアリール基から選択される。
【0148】
例えば、R21、R22、R23およびR24のそれぞれは、独立して、置換もしくは非置換C1~C10のアルキル基(例えば、メチル、もしくはtert-ブチル)で置換されたフェニル基であり得る。また、R25およびR26は水素であり、R27は、C1~C10のアルコキシ基(例えば、メトキシ)もしくはC6~C30のアリール基(例えば、tert-ブチルフェニル)で置換されたC6~C30のアリール基(フェニル)、置換もしくは非置換C5~C30のヘテロアリール基(例えば、ジベンゾフラニル、もしくはカルバゾイル)から選択することができる。
【0149】
第3化合物は、化学式9-2で表される化合物のうち、1つであり得る。
(化学式9-2)
【化29】
【0150】
第6化合物は、化学式10-1で表される。
(化学式10-1)
【化30】
【0151】
化学式10-1中、R31、R32、R33およびR34のそれぞれは、独立して水素、置換もしくは非置換C1~C10のアルキル基から選択され、R31、R32、R33およびR34のうち、少なくとも1つは置換もしくは非置換C1~C10のアルキル基である。R35、R36およびR37のそれぞれは、独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換C1~C10のアルキル基、置換もしくは非置換C6~C30のアリール基、置換もしくは非置換C5~C30のヘテロアリール基から選択される。
【0152】
例えば、R31、R32、R33およびR34のうち、2つまたは4つは、C1~C10のアルキル基(例えば、メチル)であり得る。また、R35およびR36のそれぞれは、独立して、水素、C1~C10のアルキル基(例えば、エチル)から選択することができる。R37は、非置換またはC1~C10のアルキル基(例えば、メチル)、もしくはC6~C30のアリール基(例えば、tert-ブチルフェニル)で置換されたC6~C30のアリール基(フェニル)、置換もしくは非置換C5~C30のヘテロアリール基(例えば、ジベンゾフラニル)から選択することができる。
【0153】
第6化合物は、化学式10-2で表される化合物のうち、1つであり得る。
(化学式10-2)
【化31】
【0154】
赤色の画素領域である第1画素領域P1の発光物質層240において、第2化合物の重量比は、第1化合物の重量比より小さく、かつ第3化合物の重量比より大きくあり得る。例えば、第1画素領域P1の発光物質層240において、第1化合物は45重量%~55重量%であり、第2化合物は40重量%~50重量%であり、第3化合物は0.1重量%~5重量%であり得る。
【0155】
緑色の画素領域である第2画素領域P2の発光物質層240において、第5化合物の重量比は、第4化合物の重量比より小さいか等しく、かつ第6化合物の重量比より大きくあり得る。例えば、第2画素領域P2の発光物質層240において、第4化合物および第5化合物のそれぞれは、45重量%~50重量%であり、第6化合物は0.1重量%~5重量%であり得る。
【0156】
第1画素領域P1の発光物質層240における第3化合物の重量比は、第2画素領域P2の発光物質層240における第6化合物の重量比と等しいか、それより大きくあり得る。
【0157】
青色の画素領域である第3画素領域P3において、発光物質層240は、ホストである第7化合物、および蛍光物質(化合物)である第8化合物を含む。第8化合物は、発光体であり得る。
【0158】
第7化合物は、アントラセン誘導体であり得る。例えば、第7化合物は、化学式11で表される化合物のうち、1つであり得る。
(化学式11)
【化32】
【0159】
第8化合物は、ピレン誘導体であり得る。例えば、第8化合物は、化学式12で表される化合物のうち、1つであり得る。
(化学式12)
【化33】
【0160】
本発明の有機発光ダイオードD1は、第1画素領域P1および第2画素領域P2のそれぞれにおける発光物質層240が、高い量子効率を持つ第2化合物と、狭い半値幅を持つ第3化合物を含むことで、超蛍光を実現する。
【0161】
陽極である第1電極210からの正孔と、陰極である第2電極230からの電子が第1化合物で結合し、第1化合物で励起子が形成される。励起子は第2化合物に移動し、第2化合物において、三重項励起子は一重項励起子へと変換する。第2化合物の一重項励起子が第3化合物に移動することで、第3化合物において最終的な発光が起こり、有機発光ダイオードD1は、狭い半値幅と高い発光効率を持つ。
【0162】
有機発光ダイオード1
陽極、正孔注入層(化学式12-1の化合物+化学式2の化合物(8重量%)、10nm)、正孔輸送層(化学式12-1の化合物、70nm)、電子遮断層(化学式4の化合物、10nm)、発光物質層(45nm)、正孔遮断層(化学式5の化合物、10nm)、電子輸送層(化学式12-2の化合物、25nm)、電子注入層(LiF、5nm)、陰極(Al、80nm)を順次積層し、赤色の画素領域の有機発光ダイオードを作製した。
(化学式12-1)
【化34】
(化学式12-2)
【化35】
(化学式12-3)
【化36】
【0163】
1.比較例
(1)比較例1(Ref1)
化学式13の化合物6-1(50重量%)、化学式14の化合物5-1(49.5重量%)、および化学式9-2の化合物3-1(0.5重量%)を用いて発光物質層を形成した。
【0164】
(2)比較例2(Ref2)
化学式13の化合物6-1(50重量%)、化学式14の化合物5-2(49.5重量%)、および化学式9-2の化合物3-1(0.5重量%)を用いて発光物質層を形成した。
【0165】
(3)比較例3(Ref3)
化学式13の化合物6-1(50重量%)、化学式8-3の化合物2-1(49.5重量%)、および化学式9-2の化合物3-1(0.5重量%)を用いて発光物質層を形成した。
【0166】
(4)比較例4(Ref4)
化学式13の化合物6-1(50重量%)、化学式8-3の化合物2-2(49.5重量%)、および化学式9-2の化合物3-1(0.5重量%)を用いて発光物質層を形成した。
【0167】
(5)比較例5(Ref5)
化学式13の化合物6-2(50重量%)、化学式8-3の化合物2-1(49.5重量%)、および化学式9-2の化合物3-1(0.5重量%)を用いて発光物質層を形成した。
【0168】
(6)比較例6(Ref6)
化学式6-4の化合物1-5(50重量%)、化学式14の化合物5-1(49.5重量%)、および化学式9-2の化合物3-1(0.5重量%)を用いて発光物質層を形成した。
【0169】
2.実験例
(1)実験例1(Ex1)
化学式6-4の化合物1-1(50重量%)、化学式8-3の化合物2-1(49.5重量%)、および化学式9-2の化合物3-1(0.5重量%)を用いて発光物質層を形成した。
【0170】
(2)実験例2(Ex2)
化学式6-4の化合物1-13(50重量%)、化学式8-3の化合物2-1(49.5重量%)、および化学式9-2の化合物3-1(0.5重量%)を用いて発光物質層を形成した。
【0171】
(3)実験例3(Ex3)
化学式6-4の化合物1-7(50重量%)、化学式8-3の化合物2-1(49.5重量%)、および化学式9-2の化合物3-1(0.5重量%)を用いて発光物質層を形成した。
【0172】
(4)実験例4(Ex4)
化学式6-4の化合物1-5(50重量%)、化学式8-3の化合物2-1(49.5重量%)、および化学式9-2の化合物3-1(0.5重量%)を用いて発光物質層を形成した。
(化学式13)
【化37】
(化学式14)
【化38】
【0173】
比較例1ないし比較例6、実験例1ないし実験例4の有機発光ダイオードの発光特性(駆動電圧(Voltage)、外部量子効率(EQE)、最大発光波長(ELmax)、半値幅(FWHM))を測定し、下記の表1に記載した。
【0174】
【0175】
表1に示すように、比較例1ないし比較例6の有機発光ダイオードに比べ、化学式6-1の第1化合物、化学式7-1の第2化合物、化学式9-1の第3化合物が赤色の発光物質層に含まれた実験例1ないし実験例4の有機発光ダイオードは、駆動電圧、発光効率(外部量子効率)、半値幅のうち、少なくとも1つにおいて長所がある。
【0176】
すなわち、比較例1ないし比較例6に用いられた第1化合物、第2化合物、および第3化合物が前述した条件を満たさず、その結果、比較例1ないし比較例6の有機発光ダイオードの特性が低下する。
【0177】
しかしながら、本発明の有機発光ダイオードでは、第1化合物、第2化合物、および第3化合物が前述した条件を満たし、第1化合物からのエネルギーが第2化合物を通じ、第3化合物へ効率的に移動し、第3化合物で発光が起こることで、本発明の有機発光ダイオードの特性が向上する。
【0178】
さらに、化学式6-3で表される第1化合物(化合物1-1、化合物1-13)を用いた実験例1および実験例2の有機発光ダイオードに比較し、化学式6-2で表される第1化合物(化合物1-7、化合物1-5)を用いた実験例3および実験例4の有機発光ダイオードにおいて、駆動電圧が大きく減少する。
【0179】
図6は、本発明の第4実施例に係る有機発光ダイオードにおける赤色の画素領域の概略的な断面図であり、
図7は、本発明の第4実施例に係る有機発光ダイオードにおける緑色の画素領域の概略的な断面図である。
【0180】
図6に示すように、有機発光ダイオードD2-1は、反射電極である第1電極210と、第1電極210に対向し、透過電極(または半透過電極)である第2電極230と、第1電極210と第2電極230との間に位置する発光層220とを含む。発光層220は、蛍光発光層である第1発光物質層320を含む第1発光部310と、第1発光部310と第2電極230との間に位置する燐光発光層である第2発光物質層340を含む第2発光部330とを含む。発光層220は、第1発光部310と第2発光部330との間に位置する電荷発生層350をさらに含むことができる。また、有機発光ダイオードD2-1は、透過電極である第2電極230の外側に位置する光取り出し向上のためのキャッピング層390をさらに含むことができる。
【0181】
有機発光表示装置100は、赤色の画素領域、緑色の画素領域および青色の画素領域を含み、有機発光ダイオードD2-1は、赤色の画素領域である第1画素領域P1に位置する。
【0182】
第1電極210は陽極であり、第2電極230は陰極であり得る。
【0183】
第1電極210は、ITO/Ag/ITO構造を有し、第2電極230は、MgAgからなり得る。あるいは、第1電極210は、ITOからなる単層構造の透過電極であり、第2電極230は反射電極であり得る。この場合、燐光発光層である第2発光物質層340を含む第2発光部330が第1電極210側に位置し、蛍光発光層である第1発光物質層320を含む第1発光部310が第2電極230側に位置する。
【0184】
すなわち、赤色の画素領域である第1画素領域P1に位置する有機発光ダイオードD2-1において、燐光発光層である第2発光物質層340が、透過電極側、すなわち、表示面側に位置し、蛍光発光層である第1発光物質層320は、反射電極側に位置する。言い換えると、蛍光発光層である第1発光物質層320は、反射電極と燐光発光層である第2発光物質層340との間に位置し、燐光発光層である第2発光物質層340は、透過電極と蛍光発光層である第1発光物質層320との間に位置する。
【0185】
第1発光部310は、第1発光物質層320の下部に位置する正孔注入層312と、正孔注入層312と第1発光物質層320との間に位置する第1正孔輸送層314と、第1発光物質層320の上部に位置する第1電子輸送層316のうち、少なくとも1つをさらに含むことができる。
【0186】
第1発光物質層320は、化学式6-1で表される第1化合物322と、化学式7-1で表される第2化合物324と、化学式9-1で表される第3化合物326とを含む。第1化合物322はホストであり、第2化合物324は補助ドーパント(または補助ホスト)であり、第3化合物326は発光体である。すなわち、前述した通り、第1発光物質層320は、蛍光物質である第3化合物で発光が起こる蛍光発光層である。
【0187】
例えば、第1化合物322は化学式6-2で表し、第2化合物324は化学式8-1で表すことができる。第1化合物322は化学式6-4の化合物のうち、1つであり、第2化合物324は化学式8-3の化合物のうち、1つであり、第3化合物326は化学式9-2の化合物のうち、1つであり得る。
【0188】
第1発光物質層320において、第2化合物324の重量比は、第1化合物322の重量比より小さく、かつ第3化合物326の重量比より大きくあり得る。例えば、第1発光物質層320において、第1化合物322は45重量%~55重量%であり、第2化合物324は40重量%~50重量%であり、第3化合物326は0.1重量%~5重量%であり得る。
【0189】
第2発光部330は、第2発光物質層340の下部に位置する第2正孔輸送層332と、第2発光物質層340の上部に位置する電子注入層336と、第2発光物質層340と電子注入層336との間に位置する第2電子輸送層334のうち、少なくとも1つをさらに含むことができる。
【0190】
第2発光物質層340は、第1ホスト342と赤色の燐光ドーパント344とを含む。第1ホスト342は、赤色の燐光ドーパント344より大きい重量比で含まれる。例えば、赤色の燐光ドーパント344は、第1ホスト342に対し、0.1重量比~5重量比を有することができる。
【0191】
第1ホスト342は、化学式15で表される化合物である。
(化学式15)
【化39】
【0192】
赤色の燐光ドーパント344は、化学式16で表される化合物のうち、1つである。
(化学式16)
【化40】
【0193】
電荷発生層350は、第1発光部310と第2発光部330との間に位置する。すなわち、第1発光部310と第2発光部330は、電荷発生層350を介在して接続される。電荷発生層350は、N型電荷発生層352とP型電荷発生層354が接合されたPN接合型電荷発生層であり得る。
【0194】
N型電荷発生層352は、第1電子輸送層316と第2正孔輸送層332との間に位置し、P型電荷発生層354は、N型電荷発生層352と第2正孔輸送層332との間に位置する。N型電荷発生層352は、電子を第1発光部310の第1発光物質層320に伝達し、P型電荷発生層354は、正孔を第2発光部330の第2発光物質層340に伝達する。
【0195】
N型電荷発生層352は、化学式3の化合物の1つに、Liをドープして形成することができる。N型電荷発生層352において、Liは1重量%~10重量%であり得る。
【0196】
P型電荷発生層354は、化学式1の化合物の1つに、化学式2の化合物をドープして形成することができる。P型電荷発生層354において、化学式2の化合物は1重量%~10重量%であり得る。
【0197】
図7に示すように、有機発光ダイオードD2-2は、反射電極である第1電極210と、第1電極210に対向し、透過電極(または半透過電極)である第2電極230と、第1電極210と第2電極230との間に位置する発光層220とを含む。発光層220は、燐光発光層である第1発光物質層420を含む第1発光部410と、第1発光部410と第2電極230との間に位置する蛍光発光層である第2発光物質層440を含む第2発光部430とを含む。発光層220は、第1発光部410と第2発光部430との間に位置する電荷発生層450をさらに含むことができる。また、有機発光ダイオードD2-1は、透過電極である第2電極230の外側に位置する光取り出し向上のためのキャッピング層490をさらに含むことができる。有機発光ダイオードD2-1のキャッピング層390と、有機発光ダイオードD2-2のキャッピング層490は一体に形成することができる。
【0198】
有機発光表示装置100は、赤色の画素領域、緑色の画素領域、および青色の画素領域を含み、有機発光ダイオードD2-2は、緑色の画素領域である第2画素領域P2に位置する。
【0199】
第1電極210は陽極であり、第2電極230は陰極であり得る。
【0200】
第1電極210は、ITO/Ag/ITO構造を有し、第2電極230は、MgAgからなり得る。あるいは、第1電極210は、ITOからなる単層構造の透過電極であり、第2電極230は反射電極であり得る。この場合、蛍光発光層である第2発光物質層440を含む第2発光部430が第1電極210側に位置し、燐光発光層である第1発光物質層420を含む第1発光部410が第2電極230側に位置する。
【0201】
すなわち、緑色の画素領域である第2画素領域P2に位置する有機発光ダイオードD2-2において、蛍光発光層である第2発光物質層440が、透過電極側、すなわち、表示面側に位置し、燐光発光層である第1発光物質層420は、反射電極側に位置する。言い換えると、燐光発光層である第1発光物質層420は、反射電極と蛍光発光層である第2発光物質層440との間に位置し、蛍光発光層である第2発光物質層440は、透過電極と燐光発光層である第1発光物質層420との間に位置する。
【0202】
第1発光部410は、第1発光物質層420の下部に位置する正孔注入層412と、正孔注入層412と第1発光物質層420との間に位置する第1正孔輸送層414と、第1発光物質層420の上部に位置する第1電子輸送層416のうち、少なくとも1つをさらに含むことができる。
【0203】
第1発光物質層420は、第2ホスト422と緑色の燐光ドーパント424とを含む。第2ホスト422は、緑色の燐光ドーパント424より大きい重量比で含まれる。例えば、緑色の燐光ドーパント424は、第2ホスト422に対し、0.1重量比~5重量比を有することができる。
【0204】
第2ホスト422は、化学式17で表される化合物である。
(化学式17)
【化41】
【0205】
緑色の燐光ドーパント424は、化学式18で表される化合物のうち、1つである。
(化学式18)
【化42】
【0206】
第2発光部430は、第2発光物質層440の下部に位置する第2正孔輸送層432と、第2発光物質層440の上部に位置する電子注入層436と、第2発光物質層440と電子注入層436との間に位置する第2電子輸送層434のうち、少なくとも1つをさらに含むことができる。
【0207】
第2発光物質層440は、化学式6-1で表される第4化合物442と、化学式7-1で表される第5化合物444と、化学式10-1で表される第6化合物446とを含む。第4化合物442はホストであり、第5化合物444は補助ドーパント(または補助ホスト)であり、第6化合物446は発光体である。すなわち、前述した通り、第2発光物質層440は、蛍光物質である第6化合物で発光が起こる蛍光発光層である。
【0208】
例えば、第4化合物442は化学式6-3で表し、第5化合物444は化学式8-2で表すことができる。第4化合物442は化学式6-4の化合物のうち、1つであり、第5化合物444は化学式8-3の化合物のうち、1つであり、第6化合物446は化学式10-2の化合物うち、1つであり得る。
【0209】
第2発光物質層440において、第5化合物444の重量比は、第4化合物442の重量比より小さいか等しく、かつ第6化合物446の重量比より大きくあり得る。例えば、第2発光物質層440において、第4化合物442と第5化合物444のそれぞれは45重量%~50重量%であり、第6化合物446は0.1重量%~5重量%であり得る。
【0210】
電荷発生層450は、第1発光部410と第2発光部430との間に位置する。すなわち、第1発光部410と第2発光部430は、電荷発生層450を介在して接続される。電荷発生層450は、N型電荷発生層452とP型電荷発生層454が接合されたPN接合型電荷発生層であり得る。
【0211】
N型電荷発生層452は、第1電子輸送層416と第2正孔輸送層432との間に位置し、P型電荷発生層454は、N型電荷発生層452と第2正孔輸送層432との間に位置する。N型電荷発生層452は、電子を第1発光部410の第1発光物質層420に伝達し、P型電荷発生層454は、正孔を第2発光部430の第2発光物質層440に伝達する。
【0212】
N型電荷発生層452は、化学式3の化合物の1つにLiをドープして形成することができる。N型電荷発生層452において、Liは1重量%~10重量%であり得る。
【0213】
P型電荷発生層454は、化学式1の化合物の1つに、化学式2の化合物をドープして形成することができる。P型電荷発生層454において、化学式2の化合物は1重量%~10重量%であり得る。
【0214】
一方、青色の画素領域である第3画素領域P3において、有機発光ダイオードは、第1電極210と、第2電極230と、第1電極210と第2電極230との間に位置する発光層220とを含み、発光層220は、蛍光発光層である第1発光物質層を含む第1発光部と、第1発光部と第2電極230との間に位置する蛍光発光層である第2発光物質層を含む第2発光部とを含む。発光層220は、第1発光部と第2発光部との間に位置する電荷発生層をさらに含むことができる。また、有機発光ダイオードは、光取り出し向上のためのキャッピング層をさらに含むことができる。
【0215】
青色の画素領域である第3画素領域P3の有機発光ダイオードにおいて、第1発光物質層と第2発光物質層のそれぞれは、アントラセン誘導体であるホストとピレン誘導体である蛍光ドーパントを含むことができる。例えば、ホストは化学式11の化合物のうち、1つであり、蛍光ドーパントは化学式12の化合物のうち、1つであり得る。第1発光物質層のホストと第2発光物質層のホストは、互いに同じであってもよく、異なってもよい。また、第1発光物質層の蛍光ドーパントと第2発光物質層の蛍光ドーパントは、互いに同じであってもよく、異なってもよい。
【0216】
本発明の有機発光表示装置100における赤色の画素領域である第1画素領域P1の有機発光ダイオードD2-1および緑色の画素領域である第2画素領域P2の有機発光ダイオードD2-2において、透過電極側に位置する第2発光物質層340、440の半値幅は、反射電極側に位置する第1発光物質層320、420の半値幅より小さい。また、透過電極側に位置する第2発光物質層340、440の発光効率(量子効率)は、反射電極側に位置する第1発光物質層320、420の発光効率より大きい。
【0217】
赤色の画素領域である第1画素領域P1の有機発光ダイオードD2-1において、化学式15で表される第1ホスト342と、化学式16で表される化合物の1つである赤色の燐光ドーパント344とを含む第2発光物質層340の半値幅は、化学式6-1で表される第1化合物322と、化学式7-1で表される第2化合物324と、化学式9-1で表される第3化合物326とを含む第1発光物質層320の半値幅より小さい。また、化学式15で表される第1ホスト342と、化学式16で表される化合物の1つである赤色の燐光ドーパント344とを含む第2発光物質層340の発光効率は、化学式6-1で表される第1化合物322と、化学式7-1で表される第2化合物324と、化学式9-1で表される第3化合物326とを含む第1発光物質層320の発光効率より大きい。したがって、透過電極である第2電極230に隣接して第2発光物質層340を配置し、反射電極である第1電極210に隣接して第1発光物質層320を配置することで、第1画素領域P1に位置する有機発光ダイオードD2-1におけるキャビティ効果が増幅し、発光効率および寿命が向上する。
【0218】
一方、緑色の画素領域である第2画素領域P2の有機発光ダイオードD2-2において、化学式6-1で表される第4化合物442と、化学式7-1で表される第5化合物444と、化学式10-1で表される第6化合物446とを含む第2発光物質層440の半値幅は、化学式17で表される第2ホスト422と、化学式18で表される化合物の1つである緑色の燐光ドーパント424とを含む第1発光物質層420の半値幅より小さい。また、化学式6-1で表される第4化合物442と、化学式7-1で表される第5化合物444と、化学式10-1で表される第6化合物446とを含む第2発光物質層440の発光効率は、化学式17で表される第2ホスト422と、化学式18で表される化合物の1つである緑色の燐光ドーパント424とを含む第1発光物質層420の発光効率より大きい。したがって、透過電極である第2電極230に隣接して第2発光物質層440を配置し、反射電極である第1電極210に隣接して第1発光物質層420を配置することで、第2画素領域P2に位置する有機発光ダイオードD2-2におけるキャビティ効果が増幅し、発光効率および寿命が向上する。
【0219】
図8に示すように、有機発光ダイオードD3-1は、反射電極である第1電極210と、第1電極210に対向し、透過電極(または半透過電極)である第2電極230と、第1電極210と第2電極230との間に位置する発光層220とを含む。発光層220は、蛍光発光層である第1発光物質層520、そして第1発光物質層520上に位置する正孔遮断層517を含む第1発光部510と、第1発光部510と第2電極230との間に位置する燐光発光層である第2発光物質層540を含む第2発光部530とを含む。発光層220は、第1発光部510と第2発光部530との間に位置する電荷発生層550をさらに含むことができる。また、有機発光ダイオードD3-1は、透過電極である第2電極230の外側に位置する光取り出し向上のためのキャッピング層590をさらに含むことができる。
【0220】
有機発光表示装置100は、赤色の画素領域、緑色の画素領域、および青色の画素領域を含み、有機発光ダイオードD3-1は、赤色の画素領域である第1画素領域P1に位置する。
【0221】
第1電極210は陽極であり、第2電極230は陰極であり得る。
【0222】
第1電極210は、ITO/Ag/ITO構造を有し、第2電極230は、MgAgからなり得る。あるいは、第1電極210は、ITOからなる単層構造の透過電極であり、第2電極230は反射電極であり得る。この場合、燐光発光層である第2発光物質層540を含む第2発光部530が第1電極210側に位置し、蛍光発光層である第1発光物質層520を含む第1発光部510が第2電極230側に位置する。
【0223】
すなわち、赤色の画素領域である第1画素領域P1に位置する有機発光ダイオードD3-1において、燐光発光層である第2発光物質層540が、透過電極側、すなわち、表示面側に位置し、蛍光発光層である第1発光物質層520は、反射電極側に位置する。言い換えると、蛍光発光層である第1発光物質層520は、反射電極と燐光発光層である第2発光物質層540との間に位置し、燐光発光層である第2発光物質層540は、透過電極と蛍光発光層である第1発光物質層520との間に位置する。
【0224】
第1発光部510は、第1発光物質層520の下部に位置する正孔注入層512と、正孔注入層512と第1発光物質層520との間に位置する第1正孔輸送層514と、正孔遮断層517上に位置する第1電子輸送層516のうち、少なくとも1つをさらに含むことができる。また、第1発光部510は、第1発光物質層520と第1正孔輸送層514との間に位置する電子遮断層(不図示)をさらに含むことができる。
【0225】
電子遮断層は化学式4の化合物からなり、正孔遮断層517は化学式5の化合物からなり得る。
【0226】
第1発光物質層520は、化学式6-1で表される第1化合物522と、化学式7-1で表される第2化合物524と、化学式9-1で表される第3化合物526とを含む。第1化合物522はホストであり、第2化合物524は補助ドーパント(または補助ホスト)であり、第3化合物526は発光体である。すなわち、前述した通り、第1発光物質層520は、蛍光物質である第3化合物で発光が起こる蛍光発光層である。
【0227】
例えば、第1化合物522は化学式6-2で表し、第2化合物524は化学式8-1で表すことができる。第1化合物522は化学式6-4の化合物のうち、1つであり、第2化合物524は化学式8-3の化合物のうち、1つであり、第3化合物526は化学式9-2の化合物うち、1つであり得る。
【0228】
第1発光物質層520において、第2化合物524の重量比は、第1化合物522の重量比より小さく、かつ第3化合物526の重量比より大きくあり得る。例えば、第1発光物質層520において、第1化合物522は45重量%~55重量%であり、第2化合物524は40重量%~50重量%であり、第3化合物526は0.1重量%~5重量%であり得る。
【0229】
第2発光部530は、第2発光物質層540の下部に位置する第2正孔輸送層532と、第2発光物質層540の上部に位置する電子注入層536と、第2発光物質層540と電子注入層536との間に位置する第2電子輸送層534のうち、少なくとも1つをさらに含むことができる。
【0230】
第1発光部510と異なり、第2発光部530は、電子遮断層および正孔遮断層を含まない。例えば、第1発光部510において、第1発光物質層520と第1電子輸送層516との間には正孔遮断層517が存在するため、第1発光物質層520は正孔遮断層517に接触するが、第1電子輸送層516には接触しない。一方、第2発光部530において、第2電子輸送層534は第2発光物質層540に接触する。
【0231】
すなわち、赤色の画素領域である第1画素領域P1の有機発光ダイオードD3-1において、正孔遮断層は、蛍光発光層である第1発光物質層520を含む第1発光部510に設けられ、燐光発光層である第2発光物質層540を含む第2発光部530には設けられない。電子遮断層は、第1発光部510にのみ設けられてもよく、第1発光部510と第2発光部530の両方共に設けられなくてもよい。
【0232】
第2発光物質層540は、第1ホスト542および赤色の燐光ドーパント544を含む。第1ホスト542は、赤色の燐光ドーパント544より大きい重量比で含まれる。例えば、赤色の燐光ドーパント544は、第1ホスト542に対し、0.1重量比~5重量比を有することができる。
【0233】
第1ホスト542は化学式15の化合物であり、赤色の燐光ドーパント544は化学式16の化合物のうち、1つである。
【0234】
電荷発生層550は、第1発光部510と第2発光部530との間に位置する。すなわち、第1発光部510と第2発光部530は、電荷発生層550を介在して接続される。電荷発生層550は、N型電荷発生層552とP型電荷発生層554が接合されたPN接合型電荷発生層であり得る。
【0235】
N型電荷発生層552は、第1電子輸送層516と第2正孔輸送層532との間に位置し、P型電荷発生層554は、N型電荷発生層552と第2正孔輸送層532との間に位置する。N型電荷発生層552は、電子を第1発光部510の第1発光物質層520に伝達し、P型電荷発生層554は、正孔を第2発光部530の第2発光物質層540に伝達する。
【0236】
図9に示すように、有機発光ダイオードD3-2は、反射電極である第1電極210と、第1電極210に対向し、透過電極(または半透過電極)である第2電極230と、第1電極210と第2電極230との間に位置する発光層220とを含む。発光層220は、燐光発光層である第1発光物質層620を含む第1発光部610と、第1発光部610と第2電極230との間に位置し、蛍光発光層である第2発光物質層640、第2発光物質層640の下部の電子遮断層633、そして第2発光物質層640上の正孔遮断層635を含む第2発光部630とを含む。発光層220は、第1発光部610と第2発光部630との間に位置する電荷発生層650をさらに含むことができる。また、有機発光ダイオードD3-2は、透過電極である第2電極230の外側に位置する光取り出し向上のためのキャッピング層690をさらに含むことができる。有機発光ダイオードD3-1のキャッピング層590と、有機発光ダイオードD3-2のキャッピング層690は一体に形成することができる。
【0237】
有機発光表示装置100は、赤色の画素領域、緑色の画素領域、および青色の画素領域を含み、有機発光ダイオードD3-2は、緑色の画素領域である第2画素領域P2に位置する。
【0238】
第1電極210は陽極であり、第2電極230は陰極であり得る。
【0239】
第1電極210は、ITO/Ag/ITO構造を有し、第2電極230は、MgAgからなり得る。あるいは、第1電極210は、ITOからなる単層構造の透過電極であり、第2電極230は反射電極であり得る。この場合、蛍光発光層である第2発光物質層640を含む第2発光部630が第1電極210側に位置し、燐光発光層である第1発光物質層620を含む第1発光部610が第2電極230側に位置する。
【0240】
すなわち、緑色の画素領域である第2画素領域P2に位置する有機発光ダイオードD3-2において、蛍光発光層である第2発光物質層640が、透過電極側、すなわち、表示面側に位置し、燐光発光層である第1発光物質層620は、反射電極側に位置する。言い換えると、燐光発光層である第1発光物質層620は、反射電極と蛍光発光層である第2発光物質層640との間に位置し、蛍光発光層である第2発光物質層640は、透過電極と燐光発光層である第1発光物質層620との間に位置する。
【0241】
第1発光部610は、第1発光物質層620の下部に位置する正孔注入層612と、正孔注入層612と第1発光物質層620との間に位置する第1正孔輸送層614と、第1発光物質層620の上部に位置する第1電子輸送層616のうち、少なくとも1つをさらに含むことができる。
【0242】
第1発光物質層620は、第2ホスト622と緑色の燐光ドーパント624とを含む。第2ホスト622は、緑色の燐光ドーパント624より大きい重量比で含まれる。例えば、緑色の燐光ドーパント624は、第2ホスト622に対し、0.1重量比~5重量比を有することができる。
【0243】
第2ホスト622は、化学式17の化合物であり、緑色の燐光ドーパント624は、化学式18の化合物のうち、1つである。
【0244】
第2発光部630は、電子遮断層633の下部に位置する第2正孔輸送層632と、正孔遮断層635の上部に位置する電子注入層636と、正孔遮断層635と電子注入層636との間に位置する第2電子輸送層634のうち、少なくとも1つをさらに含むことができる。
【0245】
第2画素領域P2の有機発光ダイオードD3-2においては、第2発光部640と異なり、第1発光部610は、電子遮断層および正孔遮断層を含まない。例えば、第2発光部630において、第2発光物質層640と第2正孔輸送層632との間、そして第2発光物質層640と第2電子輸送層634との間には、電子遮断層633と正孔遮断層635がそれぞれ存在するため、第2発光物質層640は電子遮断層633および正孔遮断層635に接触するが、第2正孔輸送層632および第2電子輸送層634には接触しない。一方、第1発光部610において、第1正孔輸送層614および第1電子輸送層616は第1発光物質層620に接触する。
【0246】
すなわち、緑色の画素領域である第2画素領域P2の有機発光ダイオードD3-2において、正孔遮断層および電子遮断層は、蛍光発光層である第2発光物質層640を含む第2発光部630に設けられ、燐光発光層である第1発光物質層620を含む第1発光部610には設けられない。
【0247】
第2発光物質層640は、化学式6-1で表される第4化合物642と、化学式7-1で表される第5化合物644と、化学式10-1で表される第6化合物646とを含む。第4化合物642はホストであり、第5化合物644は補助ドーパント(または補助ホスト)であり、第6化合物646は発光体である。すなわち、前述した通り、第2発光物質層640は、蛍光物質である第6化合物で発光が起こる蛍光発光層である。
【0248】
例えば、第4化合物642は化学式6-3で表され、第5化合物644は化学式8-2で表される。第4化合物642は化学式6-4の化合物のうち、1つであり、第5化合物644は化学式8-3の化合物のうち、1つであり、第6化合物326は化学式10-2の化合物うち、1つであり得る。
【0249】
第2発光物質層640において、第5化合物644の重量比は、第4化合物642の重量比より小さいか等しく、かつ第6化合物646の重量比より大きくあり得る。例えば、第2発光物質層640において、第4化合物642と第5化合物644のそれぞれは、45重量%~50重量%であり、第6化合物646は0.1重量%~5重量%であり得る。
【0250】
電子遮断層633は化学式4の化合物からなり、正孔遮断層635は化学式5の化合物からなり得る。
【0251】
電荷発生層650は、第1発光部610と第2発光部630との間に位置する。すなわち、第1発光部610と第2発光部630は、電荷発生層650を介在して接続される。電荷発生層650は、N型電荷発生層652とP型電荷発生層654が接合されたPN接合型電荷発生層であり得る。
【0252】
N型電荷発生層652は、第1電子輸送層616と第2正孔輸送層632との間に位置し、P型電荷発生層654は、N型電荷発生層652と第2正孔輸送層632との間に位置する。N型電荷発生層652は、電子を第1発光部610の第1発光物質層620に伝達し、P型電荷発生層654は、正孔を第2発光部630の第2発光物質層640に伝達する。
【0253】
一方、青色の画素領域である第3画素領域P3において、有機発光ダイオードは、第1電極210と、第2電極230と、第1電極210と第2電極230との間に位置する発光層220とを含み、発光層220は、蛍光発光層である第1発光物質層を含む第1発光部と、第1発光部と第2電極230との間に位置する蛍光発光層である第2発光物質層を含む第2発光部とを含む。発光層220は、第1発光部と第2発光部との間に位置する電荷発生層をさらに含むことができる。また、有機発光ダイオードは、光取り出し向上のためのキャッピング層をさらに含むことができる。
【0254】
青色の画素領域である第3画素領域P3の有機発光ダイオードにおいて、第1発光物質層と第2発光物質層のそれぞれは、アントラセン誘導体であるホストとピレン誘導体である蛍光ドーパントを含むことができる。例えば、ホストは化学式11の化合物のうち、1つであり、蛍光ドーパントは化学式12の化合物のうち、1つであり得る。第1発光物質層のホストと第2発光物質層のホストは、互いに同じであってもよく、異なってもよい。また、第1発光物質層の蛍光ドーパントと第2発光物質層の蛍光ドーパントは、互いに同じであってもよく、異なってもよい。
【0255】
本発明の有機発光表示装置100における赤色の画素領域である第1画素領域P1の有機発光ダイオードD3-1および緑色の画素領域である第2画素領域P2の有機発光ダイオードD3-2において、透過電極側に位置する第2発光物質層540、640の半値幅は、反射電極側に位置する第1発光物質層520、620の半値幅より小さい。また、透過電極側に位置する第2発光物質層540、640の発光効率(量子効率)は、反射電極側に位置する第1発光物質層520、620の発光効率より大きい。
【0256】
赤色の画素領域である第1画素領域P1の有機発光ダイオードD3-1において、化学式15で表される第1ホスト542と、化学式16で表される化合物の1つである赤色の燐光ドーパント544とを含む第2発光物質層540の半値幅は、化学式6-1で表される第1化合物522と、化学式7-1で表される第2化合物524と、化学式9-1で表される第3化合物526とを含む第1発光物質層520の半値幅より小さい。また、化学式15で表される第1ホスト542と、化学式16で表される化合物の1つである赤色の燐光ドーパント544とを含む第2発光物質層540の発光効率は、化学式6-1で表される第1化合物522と、化学式7-1で表される第2化合物524と、化学式9-1で表される第3化合物526とを含む第1発光物質層520の発光効率より大きい。したがって、透過電極である第2電極230に隣接して第2発光物質層540を配置し、反射電極である第1電極210に隣接して第1発光物質層520を配置することで、第1画素領域P1に位置する有機発光ダイオードD3-1におけるキャビティ効果が増幅し、発光効率および寿命が向上する。
【0257】
一方、緑色の画素領域である第2画素領域P2の有機発光ダイオードD3-2において、化学式6-1で表される第4化合物642と、化学式7-1で表される第5化合物644と、化学式10-1で表される第6化合物646とを含む第2発光物質層640の半値幅は、化学式17で表される第2ホスト622と、化学式18で表される化合物の1つである緑色の燐光ドーパント624とを含む第1発光物質層620の半値幅より小さい。また、化学式6-1で表される第4化合物642と、化学式7-1で表される第5化合物644と、化学式10-1で表される第6化合物646とを含む第2発光物質層640の発光効率は、化学式17で表される第2ホスト622と、化学式18で表される化合物の1つである緑色の燐光ドーパント624とを含む第1発光物質層620の発光効率より大きい。したがって、透過電極である第2電極230に隣接して第2発光物質層640を配置し、反射電極である第1電極210に隣接して第1発光物質層620を配置することで、第2画素領域P2に位置する有機発光ダイオードD3-2におけるキャビティ効果が増幅し、発光効率および寿命が向上する。
【0258】
有機発光ダイオード2
陽極、正孔注入層(化学式12-1の化合物+化学式2の化合物(8重量%)、70nm)、第1正孔輸送層(化学式12-1の化合物、30nm)、第1発光物質層(45nm)、第1電子輸送層(化学式12-2の化合物、15nm)、N型電荷発生層(化学式12-2の化合物+Li(2重量%)、10nm)、P型電荷発生層(化学式12-1の化合物+化学式2の化合物(8重量%)、8nm)、第2正孔輸送層(化学式12-1の化合物、30nm)、第1発光物質層(45nm)、第2電子輸送層(化学式12-2の化合物、30nm)、電子注入層(LiF、5nm)、陰極(Ag:Mg、15nm)、キャッピング層(化学式12-3の化合物、100nm)を順次積層し、赤色の画素領域の有機発光ダイオードを作製した。
(化学式19)
【化43】
【0259】
1.比較例
(1)比較例7(Ref7)
化学式6-4の化合物1-5(50重量%)、化学式8-3の化合物2-1(49.5重量%)、および化学式9-2の化合物3-1(0.5重量%)を用いて、第1および第2発光物質層を形成した。
【0260】
(2)比較例8(Ref8)
化学式15の化合物(98重量%)、および化学式16の化合物16-1(2重量%)を用いて第1発光物質層を形成し、化学式6-4の化合物1-5(50重量%)、化学式8-3の化合物2-1(49.5重量%)、および化学式9-2の化合物3-1(0.5重量%)を用いて第2発光物質層を形成した。
【0261】
2.実験例
(1)実験例5(Ex5)
化学式6-4の化合物1-5(50重量%)、化学式8-3の化合物2-1(49.5重量%)、および化学式9-2の化合物3-1(0.5重量%)を用いて第1発光物質層を形成し、化学式15の化合物(98重量%)、および化学式16の化合物16-1(2重量%)を用いて第2発光物質層を形成した。
【0262】
(2)実験例6(Ex6)
化学式6-4の化合物1-5(50重量%)、化学式8-3の化合物2-1(49.5重量%)、および化学式9-2の化合物3-1(0.5重量%)を用いて第1発光物質層を形成し、化学式15の化合物(98重量%)、および化学式16の化合物16-1(2重量%)を用いて第2発光物質層を形成した。また、第1発光物質層と第1電子輸送層との間に、化学式5の化合物を用いて正孔遮断層(10nm)を形成した。
【0263】
(3)実験例7(Ex7)
化学式6-4の化合物1-5(50重量%)、化学式8-3の化合物2-1(49.5重量%)、および化学式9-2の化合物3-1(0.5重量%)を用いて第1発光物質層を形成し、化学式15の化合物(98重量%)、および化学式16の化合物16-1(2重量%)を用いて第2発光物質層を形成した。また、第1発光物質層と第1正孔輸送層との間に、化学式4の化合物を用いて電子遮断層(10nm)を形成し、第1発光物質層と第1電子輸送層との間に、化学式5の化合物を用いて正孔遮断層(10nm)を形成した。
【0264】
比較例7および比較例8、実験例5ないし実験例7の有機発光ダイオードの発光特性(駆動電圧(Voltage)、発光効率(cd/A)、色座標、寿命(T95))を測定し、下記の表2に記載した。
【0265】
【0266】
表2に示すように、2つの蛍光発光層を含む有機発光ダイオード(Ref7)に比べ、蛍光発光層および燐光発光層を含む有機発光ダイオード(Ref8、Ex5、Ex6、Ex7)が駆動電圧、発光効率、および寿命において長所がある。
【0267】
一方、透過電極である陰極側に蛍光発光層が配置される有機発光ダイオード(Ref8)に比べ、透過電極である陰極側に燐光発光層が配置される有機発光ダイオード(Ex5、Ex6、Ex7)が駆動電圧、発光効率、および寿命において長所がある。
【0268】
また、蛍光発光層に隣接して正孔遮断層および電子遮断層が形成される有機発光ダイオード(Ex6、Ex7)が、発光効率、および寿命において大きな長所がある。
【0269】
さらに、電子遮断層を設けず、蛍光発光層に隣接して正孔遮断層が形成される有機発光ダイオード(Ex6)の発光効率、および寿命がさらに向上する。
【0270】
有機発光ダイオード3
陽極、正孔注入層(化学式12-1の化合物+化学式2の化合物(8重量%)、70nm)、第1正孔輸送層(化学式12-1の化合物、30nm)、第1発光物質層(45nm)、第1電子輸送層(化学式12-2の化合物、15nm)、N型電荷発生層(化学式12-2の化合物+Li(2重量%)、10nm)、P型電荷発生層(化学式12-1の化合物+化学式2の化合物(8重量%)、8nm)、第2正孔輸送層(化学式12-1の化合物、30nm)、第1発光物質層(45nm)、第2電子輸送層(化学式12-2の化合物、30nm)、電子注入層(LiF、5nm)、陰極(Ag:Mg、15nm)、キャッピング層(化学式12-3の化合物、100nm)を順次積層し、赤色の画素領域の有機発光ダイオードを作製した。
【0271】
1.比較例
(1)比較例9(Ref9)
化学式6-4の化合物1-1(49.9重量%)、化学式8-3の化合物2-6(49.9重量%)、および化学式10-2の化合物4-1(0.2重量%)を用いて、第1および第2発光物質層を形成した。
【0272】
(2)比較例10(Ref10)
化学式6-4の化合物1-1(49.9重量%)、化学式8-3の化合物2-6(49.9重量%)、および化学式10-2の化合物4-1(0.2重量%)を用いて第1発光物質層を形成し、化学式17の化合物(98重量%)、化学式18の化合物18-4(8重量%)を用いて第2発光物質層を形成した。
【0273】
2.実験例
(1)実験例8(Ex8)
化学式17の化合物(98重量%)、および化学式18の化合物18-4(8重量%)を用いて第1発光物質層を形成し、化学式6-4の化合物1-1(49.9重量%)、化学式8-3の化合物2-6(49.9重量%)、および化学式10-2の化合物4-1(0.2重量%)を用いて第2発光物質層を形成した。
【0274】
(2)実験例9(Ex9)
化学式17の化合物(98重量%)、および化学式18の化合物18-4(8重量%)を用いて第1発光物質層を形成し、化学式6-4の化合物1-1(49.9重量%)、化学式8-3の化合物2-6(49.9重量%)、および化学式10-2の化合物4-1(0.2重量%)を用いて第2発光物質層を形成した。また、第2発光物質層と第2正孔輸送層との間に、化学式4の化合物を用いて電子遮断層(10nm)を形成した。
【0275】
(3)実験例10(Ex10)
化学式17の化合物(98重量%)、および化学式18の化合物18-4(8重量%)を用いて第1発光物質層を形成し、化学式6-4の化合物1-1(49.9重量%)、化学式8-3の化合物2-6(49.9重量%)、および化学式10-2の化合物4-1(0.2重量%)を用いて第2発光物質層を形成した。
【0276】
また、第2発光物質層と第2正孔輸送層との間に、化学式4の化合物を用いて電子遮断層(10nm)を形成し、第2発光物質層と第2電子輸送層との間に、化学式5の化合物を用いて正孔遮断層(10nm)を形成した。
【0277】
比較例9および比較例10、実験例8ないし実験例10の有機発光ダイオードの発光特性(駆動電圧(Voltage)、発光効率(cd/A)、色座標、寿命(T95))を測定し、下記の表3に記載した。
【0278】
【0279】
表3に示すように、2つの蛍光発光層を含む有機発光ダイオード(Ref9)に比べ、蛍光発光層および燐光発光層を含む有機発光ダイオード(Ref10、Ex8、Ex9、Ex10)が駆動電圧、発光効率、および寿命において長所がある。
【0280】
一方、透過電極である陰極側に燐光発光層が配置される有機発光ダイオード(Ref10)に比べ、透過電極である陰極側に蛍光発光層が配置される有機発光ダイオード(Ex8、Ex9、Ex10)が駆動電圧、発光効率、および寿命において長所がある。
【0281】
また、蛍光発光層に隣接して正孔遮断層および電子遮断層が形成される有機発光ダイオード(Ex9、Ex10)が、発光効率、および寿命において大きなメリットがある。一方、正孔遮断層を設けず、蛍光発光層に隣接して電子遮断層が形成される有機発光ダイオード(Ex9)は、寿命において長所がある。
【0282】
以上、本発明の例示的な実施形態および実施例に基づき、本発明を説明したが、本発明が必ずしも該実施形態および該実施例に記載の技術思想に限定されるものではない。むしろ、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、前述した実施形態および実施例に基づき、様々な変形および変更を容易に推考することができる。また、かかる変形および変更が本発明の権利範囲に属することは、請求の範囲から明らかになる。
【符号の説明】
【0283】
100 有機発光表示装置
210 第1電極
220 発光層
230 第2電極
240、320、340、420、440、520、540、620、640 発光物質層
D、D1、D2-1、D2-2、D3-1、D3-2 有機発光ダイオード