(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】充放電検査装置および充放電検査方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/42 20060101AFI20240227BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
H01M10/42 P
H01M10/04 Z
(21)【出願番号】P 2022191211
(22)【出願日】2022-11-30
【審査請求日】2023-04-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000203977
【氏名又は名称】日鉄テックスエンジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】原口 智生
(72)【発明者】
【氏名】石橋 輝人
【審査官】清水 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-140844(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0142711(KR,A)
【文献】特開2002-134176(JP,A)
【文献】特開2014-203778(JP,A)
【文献】特開2019-175670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/00-10/04
H01M 10/06-10/34
H01M 10/42-10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み方向に並べられて配置された複数の二次電池の正極端子および負極端子のそれぞれに、充放電接触子を接触させて充放電を行う充放電検査装置において、
複数の前記二次電池が並べられた方向に沿って並べられた複数の支持板と、
前記支持板と連結する充放電ユニットであり、保持プレートと、前記保持プレートに保持される一の前記充放電接触子と、を含む充放電ユニットと、
前記複数の二次電池が並べられた方向に沿って複数の前記充放電ユニットを同じ方向にそろって移動させる第1の可動機構と、
前記充放電ユニットごとに設けられ、複数の前記二次電池が並べられた方向に沿って複数の前記充放電ユニットをそれぞれ移動させる第2の可動機構と、
を備える充放電検査装置。
【請求項2】
前記第1の可動機構により複数の前記二次電池に対して複数の前記充放電ユニットの位置決めを行うために設けられた第1の倣い歯であり、並べられた複数の前記支持板のうちどちらか一方の端に位置する前記支持板と連結した第1の倣い歯が設けられた請求項1に記載の充放電検査装置。
【請求項3】
前記第2の可動機構により複数の前記二次電池それぞれに対して複数の前記充放電ユニットそれぞれの位置決めを行うために設けられた第2の倣い歯が、複数の前記充放電ユニットにそれぞれ設けられた請求項1または2に記載の充放電検査装置。
【請求項4】
複数の二次電池が厚み方向に並べられた方向に沿って並べられた複数の支持板と、
複数の支持板と連結する充放電ユニットであり、保持プレートと、前記保持プレートに保持される一
の充放電接触子と、を含む充放電ユニットと、
を備える充放電検査装置の厚み方向に並べられて配置された複数の前記二次電池の正極端子および負極端子のそれぞれに、
前記充放電接触子を接触させて充放電を行う充放電検査方法において、
第1の可動機構により、前記複数の二次電池が並べられた方向に沿って前記充放電接触子を有する複数の充放電ユニットを同じ方向にそろって移動させる工程と、
前記充放電ユニットごとに設けられた第2の可動機構により、複数の前記二次電池が並べられた方向に沿って複数の前記充放電ユニットをそれぞれ移動させる工程と、
を有する充放電検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の二次電池を一度に充放電し得る充放電検査装置に関し、特に各二次電池の寸法誤差や、充放電時の形状変化、厚みの異なる種類の二次電池に追従可能な充放電検査装置および充放電検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池の充放電検査において、複数の二次電池を一度に充放電し得る充放電検査装置が知られている。しかし、充放電対象の二次電池はその特性上厚みのバラつきがあり、充放電接触子を確実に接触させることは困難である。そして、二次電池を複数厚み方向に並べた状態で、充放電接触子を接触させることはより困難である。
【0003】
そのため、二次電池を複数厚み方向に並べた状態であっても、二次電池と充放電接触子とを確実に接触させることができる充放電検査装置が求められている。このような充放電検査装置(充放電装置)として、例えば、特許文献1に記載のものがある。
【0004】
特許文献1には、複数の二次電池を厚み方向(幅方向)に重ねるように並べて配置し、当該二次電池の正極端子及び負極端子に充放電接触子(電源側端子)を接触させて(差し込んで)充放電を行う充放電装置が記載されている。
この充放電装置は、複数の二次電池に対して一又は二以上の組みになった二次電池毎に充放電接触子(電源側端子)を持った複数の充放電ユニットを備え、その充放電ユニットが、二次電池の並び方向にスライド可能に取り付けられたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したように、充放電対象の二次電池はその特性上厚みのバラつきがあるため、二次電池を複数厚み方向に並べた場合、その数が多いと、厚みのズレ(誤差)が積算されてしまう。例えば、二次電池の厚みのズレが、一つずつは0.2mm程度のズレであっても、二次電池を複数厚み方向に並べると当該ズレが積算されて、基準位置から離れた位置のものは二次電池の端子と充放電接触子との接続が困難になってしまう。
【0007】
そうすると、特許文献1に記載の充放電装置は、スペーサ35のテーパ面35cのみを利用して充放電接触子(電源側端子24)をスライドさせる機構であるため(特許文献1の
図1,3)、充放電接触子(電源側端子24)のスライド量、つまり対応可能な二次電池の厚みのバラつきや二次電池の個数が、スペーサ35のテーパ面35cのみで決まってしまう。そのため、積算された大きなズレにも対応できるように、必然的にスペーサの厚みが必要となり、結果として、二次電池を受けるトレイおよび充放電装置自身のサイズが大きくなってしまう。
【0008】
よって、本発明は、トレイおよび装置自身のサイズの肥大化を抑えつつ、かつ二次電池を複数厚み方向に並べた状態であっても、二次電池と充放電接触子とを確実に接触させることができる充放電検査装置および充放電検査方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の充放電検査装置は、厚み方向に並べられて配置された複数の二次電池の正極端子および負極端子のそれぞれに、充放電接触子を接触させて充放電を行う充放電検査装置において、複数の二次電池が並べられた方向に沿って充放電接触子を有する複数の充放電ユニットをそろって移動させる(スライドさせる)第1の可動機構と、第1の可動機構と独立して設けられ、複数の二次電池が並べられた方向に沿って複数の充放電ユニットをそれぞれ移動させる(スライドさせる)第2の可動機構と、を備える。
これにより、第1の可動機構によって、複数の充放電ユニットがそろって二次電池が並べられた方向に沿って移動し(スライドし)、検査対象の二次電池の厚みに合わせて充放電ユニット間のピッチが開いたり閉じたりする。加えて、第2の可動機構によって、それぞれの充放電ユニットが個々に二次電池が並べられた方向に沿って移動し(スライドし)、検査対象の二次電池の個々の厚みに合わせて充放電ユニットが移動する(スライドする)。
【0010】
また、充放電検査装置は、第1の可動機構により複数の二次電池に対して複数の充放電ユニットの位置決めを行うための、第1の倣い歯が設けられたものであることが望ましい。
第1の倣い歯を設けることで、簡単な構成で容易に、第1の可動機構によってそろって移動させる複数の充放電ユニットの位置決めを行うことができる。
【0011】
また、充放電検査装置は、第2の可動機構により複数の二次電池それぞれに対して複数の充放電ユニットそれぞれの位置決めを行うための、複数の第2の倣い歯がそれぞれ設けられたものであることが望ましい。
複数の第2の倣い歯を設けることで、簡単な構成で容易に、第2の可動機構によって個々に移動させる充放電ユニットそれぞれの位置決めを行うことができる。
【0012】
なお、本発明の充放電検査方法は、厚み方向に並べられて配置された複数の二次電池の正極端子および負極端子のそれぞれに、充放電接触子を接触させて充放電を行う充放電検査方法において、第1の可動機構により、複数の二次電池が並べられた方向に沿って充放電接触子を有する複数の充放電ユニットをそろって移動させる工程と、第1の可動機構と独立して設けられた第2の可動機構により、複数の二次電池が並べられた方向に沿って複数の充放電ユニットをそれぞれ移動させる工程と、を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の充放電検査装置は、かかる構成により、第1の可動機構によって、複数の充放電ユニットがそろって二次電池が並べられた方向に沿って移動し(スライドし)、検査対象の二次電池の厚みに合わせて充放電ユニット間のピッチが開いたり閉じたりするため、厚みの異なる様々な種類の二次電池を検査する場合であっても、検査対象の二次電池の厚みに合わせて複数の充放電ユニットをそろって移動させる(スライドさせる)ことができる。加えて、第2の可動機構によって、それぞれの充放電ユニットが個々に二次電池が並べられた方向に沿って移動し(スライドし)、検査対象の二次電池の個々の厚みに合わせて充放電ユニットが移動する(スライドする)ため、同じ種類の二次電池(基準厚みが同じである二次電池)ではあるが、寸法誤差や充放電時の形状変化により個々に厚みが異なる場合であっても、二次電池毎に厚みのズレを吸収することができる。
【0014】
また、充放電検査装置は、第1の倣い歯や第2の倣い歯を設けることで、簡単な構成で容易に、充放電ユニットの位置決めを行うことができる。
【0015】
なお、本発明の充放電検査方法によれば、本発明の充放電検査装置と同様の作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態に係る充放電検査装置を示す概略構成図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る充放電検査装置を示す概略構成図である。
【
図3】
図1に示す充放電検査装置の第1の可動機構が可動した状態を示す図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る充放電検査装置を示す概略構成図である。
【
図5】
図4に示す充放電検査装置の第1の可動機構が可動した状態を示す図である。
【
図6】
図4に示す充放電検査装置の第1の可動機構および第2の可動機構が可動した状態を示す図である。
【
図7】本発明の別の実施の形態に係る充放電検査装置を示す概略構成図である。
【
図8】本発明の別の実施の形態に係る充放電検査装置を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施の形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。
【0018】
[充放電検査装置]
図1,2は、本発明の実施の形態に係る充放電検査装置を示す概略構成図である。具体的には、
図1は、本実施の形態に係る充放電検査装置を示した充電時の側面図であり、
図2は、正面図である。つまり、
図2は、縦板14を正面に充放電治具1を見た図である。
【0019】
充放電検査装置100は、厚み方向(幅方向)に並べられて配置された複数の二次電池Bの正極端子および負極端子のそれぞれに、複数の充放電接触子Pを接触させて充放電を行う充放電検査装置である。
また、充放電検査装置100は大きく分けて、充放電接触子Pを有して可動手段(図示せず)により上下動する充放電治具1と、複数の二次電池Bが並べて配置されるトレイ51やセパレータ42などを含む二次電池側治具2とで構成されている。本実施の形態においては、4つの二次電池B(Ba~Bd)がトレイ51に、厚み方向に並べられて配置されている。なお、
図1に示す例において、4つの二次電池B(Ba~Bd)の厚みはそれぞれWである。
【0020】
充放電治具1は、この4つの二次電池B(Ba~Bd)の正極端子および負極端子のそれぞれと接触する複数の充放電接触子P(Pa~Pd)を有している。
図2に示すように、充放電接触子Paには、二次電池Baの正極端子と接触する端子と、二次電池Baの負極端子と接触する端子がそれぞれ存在している。充放電接触子Pb~Pdについても同様である。
【0021】
また、充放電治具1は、複数の二次電池Bが並べられた方向(水平方向)に沿って複数の充放電接触子Pを有する複数の充放電ユニットUをそろって移動させる第1の可動機構10と、第1の可動機構10と独立して設けられ、複数の二次電池Bが並べられた方向に沿って複数の充放電接触子Pを有する複数の充放電ユニットUをそれぞれ移動させる第2の可動機構20とを備えている。
【0022】
[第1の可動機構]
第1の可動機構10は、縦板14と、第1の倣い歯31と、縦板14および第1の倣い歯31の間に設けられる第1の機構部11、支持板12、支持棒13とを備えている。
【0023】
本実施の形態において、第1の機構部11はリンク機構を用いている。具体的には、縦板14と支持板12aが第1の機構部11aで連結されている。同様に、支持板12aと支持板12bが第1の機構部11bで連結されており、支持板12bと支持板12cが第1の機構部11cで連結されており、支持板12cと支持板12dが第1の機構部11dで連結されている。
【0024】
また、支持板12dと第1の倣い歯31は、支持棒13で連結されている。充放電治具1は可動手段(図示せず)により上下動するものであるため、第1の倣い歯31も上下動するものである。また、第1の倣い歯31は、後述するように第1の機構部11により水平方向に動くものである。一方、縦板14は、上下動はするが、水平方向へは動かないものである。
【0025】
[第2の可動機構]
第2の可動機構20は、支持板12に第2の機構部21を介して連結している保持プレート22を備えている。保持プレート22は、縦板14および第1の倣い歯31の間に設けられる支持棒24に対して、スライド可能に設けられている。なお、支持棒24は、
図1から見て手前と奥に2本設けられている(
図2参照)。
また、
図1,2に示すように、保持プレート22には端子台23が固定されており、端子台23には、充放電接触子Pおよび第2の倣い歯32が設けられている。本明細書中において、この保持プレート22、端子台23、充放電接触子Pおよび第2の倣い歯32を有するユニットを、充放電ユニットUと称す。
【0026】
本実施の形態において、第2の可動機構20は、支持板12(12a~12d)に、第2の機構部21(21a~21d)を介してそれぞれ保持プレート22(22a~22d)が連結されている。
そして、それぞれの保持プレート22(22a~22d)に端子台23(23a~23d)が固定されており、それぞれの端子台23(23a~23d)には、充放電接触子P(Pa~Pd)および第2の倣い歯32(32a~32d)が設けられている。なお、第2の倣い歯32は、
図2に示すように、二次電池Bの正極端子と接触する充放電接触子Pa側と、二次電池Bの負極端子と接触する充放電接触子Pa側にそれぞれ設けられている。
【0027】
第2の機構部21には、例えばバネ(コイルバネ)など伸縮性のあるものを用いることができる。保持プレート22は、支持棒24に対してスライド可能に設けられており、かつ支持板12に第2の機構部21を介して連結されている。そのため、
図6を用いて説明すると、充放電治具1が下降して第2の倣い歯32(32d)がセパレータ42(42d)に当たって右側(
図6の右矢印方向)に引っ張られると、第2の機構部21(21d)が伸びて充放電接触子Pdを有する充放電ユニットUdが右側、つまり二次電池Bdのある位置に向かって移動する。
【0028】
逆に、充放電治具1が上昇して第2の倣い歯32とセパレータ42との接触が解除されると、第2の機構部21(バネ)は縮んで保持プレート22は元の位置に戻る。
【0029】
[二次電池]
前述したように、トレイ51には、4つの二次電池B(Ba~Bd)が厚み方向に並べられて配置されている。また、二次電池B間には、セパレータ42が設けられている。
本実施の形態においては、トレイ51と二次電池Baとの間にセパレータ42aが設けられており、二次電池Baと二次電池Bbとの間にセパレータ42bが、二次電池Bbと二次電池Bcとの間にセパレータ42cが、二次電池Bcと二次電池Bdとの間にセパレータ42dがそれぞれ設けられている。
【0030】
セパレータ42は、充放電検査装置100の倣い歯32を受けるためのものであり、本実施の形態においては、セパレータ42aが倣い歯32aを、セパレータ42bが倣い歯32bを、セパレータ42cが倣い歯32cを、セパレータ42dが倣い歯32dをそれぞれ受ける。
【0031】
また、二次電池側には、倣い歯31を受けるための倣い歯受け41が設けられている。倣い歯受け41はローラ41Rを有しており、これに倣い歯31の先端31Tを当てて、倣い歯31を受ける。ローラ41Rは、倣い歯31を受けることができるものであれば特に形状に制限はなく、例えば
図1に示すセパレータ42のような形状であってもよい。
【0032】
[第1の可動機構の動作]
図3は、
図1に示す充放電検査装置の第1の可動機構が可動した状態を示す図である。
図1に示す状態から充放電治具1(第1の倣い歯31)が下降すると、倣い歯31の先端31Tが倣い歯受け41のローラ41Rに当たって、第1の倣い歯31は第1の機構部11が伸びる方向(
図3の右矢印方向)に動く。
【0033】
そうすると、支持棒13を介して接続されている第1の機構部11が伸びて支持板12(12a~12d)間が開き、支持板12(12a~12d)にそれぞれ連結されている保持プレート22(22a~22d)や充放電接触子P(Pa~Pd)などを有する充放電ユニットUは、それぞれ充放電接触子Pと接触する二次電池B(Ba~Bd)のある位置に向かって移動する。
そして、さらに第1の倣い歯31が下降すると、充放電接触子P(Pa~Pd)は二次電池B(Ba~Bd)にさらに近づき、最終的に二次電池B(Ba~Bd)に充放電接触子P(Pa~Pd)がそれぞれ接触する。
【0034】
なお、第1の機構部11(リンク機構)には戻しバネ(図示せず)が設けられている。そのため、二次電池Bと充放電接触子Pの接触解除時は、
図3に示す状態から充放電治具1(第1の倣い歯31)が上昇して倣い歯受け41との接触が解除され、充放電接触子Pは戻しバネに引っ張られて元の位置(
図1に示す位置)へと戻る。
【0035】
[第2の可動機構の動作]
図4は、本発明の実施の形態に係る充放電検査装置を示す概略構成図である。
図4に示す充放電検査装置100は、
図1に示す充放電検査装置100と同じ構成であるため、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0036】
一方、
図4に示す例においては、トレイ51に並べて配置されている二次電池Bの厚さが、二次電池Ba,Bdと二次電池Bb,Bcで異なる。二次電池Bb,Bcの厚みはW2であり、二次電池Ba,Bdの厚みWよりも厚い。
そのため、
図1に示す二次電池Bと比べるとズレが積算されて、基準位置(縦板14)から離れた位置にある充放電接触子Pdと二次電池Bdとの接続が困難になってしまう。例えば「W2=W+α」とすると、
図1に示す例と比較して、充放電接触子Pd(充放電ユニットUd)はさらに「2α」分、二次電池Bdのある位置に向かって移動させなくてはならない。
【0037】
図5は、
図4に示す充放電検査装置の第1の可動機構が可動した状態を示す図である。また、
図6は、
図4に示す充放電検査装置の第1の可動機構および第2の可動機構が可動した状態を示す図である。
【0038】
図4に示す状態から第1の倣い歯31が垂直方向へ動くと、倣い歯31の先端31Tが第2の倣い歯受け41のローラ41Rに当たって、第1の倣い歯31は第1の機構部11が伸びる方向(
図5の右矢印方向)に動く。
【0039】
そうすると、支持棒13を介して接続されている第1の機構部11が伸びて支持板12(12a~12d)間が開き、支持板12(12a~12d)にそれぞれ連結されている保持プレート22(22a~22d)および充放電接触子P(Pa~Pd)は、接触する二次電池B(Ba~Bd)のある位置まで移動するのだが、
図5に示すように、充放電接触子Pdは、二次電池Bdのある位置までさらに「2α」分移動させないといけない。
【0040】
ここで、
図5に示す状態からさらに第1の倣い歯31が下降すると、第2の倣い歯32dがスペーサ42dに当たって、第2の機構部21dが支持板12dに対して水平方向に動く(
図6の右矢印参照)。そして、第2の機構部21dを介して支持板12dに連結されている保持プレート22dや充放電接触子Pdなどを有する充放電ユニットUdは、接触する二次電池Bdのある位置まで移動する。
【0041】
このように、充放電検査装置100は、複数の二次電池の厚みにバラつきがあり、並べて配置したときにズレが積算されて大きな櫛歯状になった場合でも、第2の可動機構20によりこのような厚みのズレを吸収することができる。
なお、本実施の形態においては二次電池Bを4つ用いてズレを説明したが、二次電池Bの数が増えると当然ズレも大きくなる。そうすると、どうしてもこの大きなズレに対応できるようにセパレータ(倣い歯受け)のサイズ(厚み)も大きくなってしまい、トレイおよび装置自身のサイズが肥大化してしまう。しかし、本発明の充放電検査装置100によれば、第1の可動機構10および第2の可動機構20という複数の可動機構により二次電池Bの厚みのズレを吸収することができるため、このような肥大化を防ぐことができる。
【0042】
さらに、第2の可動機構20は第1の可動機構10と独立して設けられ、複数の充放電接触子P(複数の充放電ユニットU)をそれぞれ移動させることができるものであるため、複数の二次電池Bの厚みが全く揃っていなかった場合や、充放電検査において二次電池がそれぞれ膨張した場合などであっても、それぞれの二次電池Bの厚みのズレを個々に吸収することができる。
【0043】
[別の実施の形態]
図7,8は、本発明の別の実施の形態に係る充放電検査装置を示す概略構成図である。
図7に示すように、充放電検査装置200は、充放電検査装置100の構成に加えて、トレイ51内に並べて配置された二次電池Bを加圧するエアシリンダ52を有する。
【0044】
また、充放電検査装置200は、倣い歯受け41のローラ41Rを可動手段(図示せず)により上下動させる(垂直方向に動かす)ことができる。よって、
図1~6に示す例においては、充放電治具1を下降させて第1の倣い歯31の先端31Tをローラ41Rに当てていたが、
図7に示す例においては、ローラ41Rを垂直方向に動かして第1の倣い歯31の先端31Tをローラ41Rに当てることができる。
このように、複数の充放電接触子P(複数の充放電ユニットU)を二次電池Bのある位置まで移動させる構成として、
図7に示すような構成とすることもできる。
【0045】
また、
図8に示すように、充放電検査装置300は、充放電検査装置100の構成に加えて、第1の可動機構10が複数の二次電池Bが並べられた方向に沿って(
図8の矢印方向)可動するように制御する直動機構53を備えている。直動機構53は、例えばサーボモーターおよびボールネジなどで構成される。もちろん、直動機構53は、前述した構成(サーボモーターおよびボールネジ)以外であってもよく、手動で第1の可動機構10を動かすようにしてもよい。
【0046】
なお、
図8に示す例における二次電池Bの種類は、
図1に示す例における二次電池Bの種類と異なる。つまり、
図1に示す二次電池Bと
図8に示す二次電池Bとを比較すると分かるように、
図8に示す例における二次電池B(Ba~Bd)の厚みはそれぞれW3と、
図1に示す例における二次電池Bより薄い種類のものである。
【0047】
このように、検査対象の二次電池Bが変わると二次電池Bの厚みも大きく変わるため、直動機構53により第1の可動機構10を可動させ、充放電ユニットU間のピッチを、変更前の二次電池Bの基準厚み(例えば、W)から変更後の二次電池Bの基準厚み(例えば、W3)に変えることができる。
【0048】
なお、並べられた二次電池Bのズレが積算されることで厚み誤差が大きくなった場合は、直動機構53で第1の可動機構10を可動させた後、第1の倣い歯31(
図8において図示せず)により、さらに第1の可動機構10を可動させて当該厚み誤差を吸収することができる。一方、厚み誤差が小さい場合もあるため、充放電検査装置300は第1の倣い歯31を設けていない構成とすることもできる。
【0049】
その他、本実施の形態における充放電検査装置100,200,300の構成は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜設計変更可能である。例えば、充放電治具1と二次電池側治具2の上下の構成を逆にすることもできる。この場合、二次電池側治具2が上、充放電治具1がその下に位置し、充放電治具1を二次電池側治具2側に向かって上昇させる動きとなる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、トレイおよび装置自身のサイズの肥大化を抑えつつ、かつ二次電池を複数厚み方向に並べた状態であっても、二次電池と充放電接触子とを確実に接触させることができる充放電検査装置および充放電検査方法として様々な場面で利用することができるため、産業上有用である。
【符号の説明】
【0051】
1 充放電治具
2 二次電池側治具
10 第1の可動機構
11,11a,11b,11c,11d 第1の機構部
12,12a,12b,12c,12d 支持板
13 支持棒
14 縦板
20 第2の可動機構
21,21a,21b,21c,21d 第2の機構部
22,22a,22b,22c,22d 保持プレート
23,23a,23b,23c,23d 端子台
24 支持棒
31 第1の倣い歯
31T 第1の倣い歯の先端
32,32a,32b,32c,32d 第2の倣い歯
41 第2の倣い歯受け
41R ローラ
42,42a,42b,42c,42d セパレータ
51 トレイ
52 エアシリンダ
53 直動機構
U,Ua,Ub,Uc,Ud 充放電ユニット
P,Pa,Pb,Pc,Pd 充放電接触子
B,Ba,Bb,Bc,Bd 二次電池
W,W2,W3 二次電池の厚み
100,200,300 充放電検査装置
【要約】
【課題】トレイおよび装置自身のサイズの肥大化を抑えつつ、かつ二次電池を複数厚み方向に並べた状態であっても、二次電池と充放電接触子とを確実に接触させることができる充放電検査装置および充放電検査方法を提供する。
【解決手段】充放電検査装置100は、厚み方向に並べられて配置された複数の二次電池Bの正極端子および負極端子のそれぞれに、充放電接触子Pを接触させて充放電を行う充放電検査装置100において、複数の二次電池Bが並べられた方向に沿って充放電接触子Pを有する複数の充放電ユニットUをそろって移動させる第1の可動機構10と、第1の可動機構10と独立して設けられ、複数の二次電池Bが並べられた方向に沿って複数の充放電ユニットUをそれぞれ移動させる第2の可動機構20と、を備える。
【選択図】
図1