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特許7443478矢印灯取付金具およびこれを用いた車線規制装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】矢印灯取付金具およびこれを用いた車線規制装置
(51)【国際特許分類】
   E01F 9/681 20160101AFI20240227BHJP
   E01F 9/615 20160101ALI20240227BHJP
   E01F 15/04 20060101ALI20240227BHJP
   E01F 15/06 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
E01F9/681
E01F9/615
E01F15/04 A
E01F15/06 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022191722
(22)【出願日】2022-11-30
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】508001431
【氏名又は名称】西日本高速道路メンテナンス九州株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】中石 隆博
(72)【発明者】
【氏名】中里 晃基
(72)【発明者】
【氏名】古賀 顕一
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特許第3949472(JP,B2)
【文献】特開2017-025488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 1/00-15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガードレールの波形断面のビームの谷部に当接するガードレール当接部を有するガードレール支持部と、
前記ガードレール支持部の上部を支点として回転することにより前記ビームの上端部を前記ガードレール当接部との間で挟持可能なアーム部であり、矢印灯を装着可能な矢印灯装着部を有するアーム部と
ガードロープの上下に並設されたロープのうち上側のロープを挟持するために前記ガードレール支持部および前記アーム部にそれぞれ形成された凹部と、
前記ガードレール支持部より前記ガードロープの上下に並設されたロープのうち下側のロープへ向かって進退可能に設けられたロープ支持部であり、前記下側のロープに係合可能な凹部を有するロープ支持部と
を含む矢印灯取付金具。
【請求項2】
前記ガードレール支持部は、前記ビームの上端部に嵌め込み可能な切欠部を有するものである請求項記載の矢印灯取付金具。
【請求項3】
ガードレールの波形断面のビームの谷部に当接するガードレール当接部を有するガードレール支持部と、
前記ガードレール支持部の上部を支点として回転することにより前記ビームの上端部を前記ガードレール当接部との間で挟持可能なアーム部であり、矢印灯を装着可能な矢印灯装着部を有するアーム部と
を含み、
前記矢印灯装着部は、前記矢印灯を上下2段に並べて装着可能な第1装着部および第2装着部と、前記矢印灯を前記第1装着部または前記第2装着部に対して水平方向に並べて装着可能な第3装着部とを有する矢印灯取付金具。
【請求項4】
前記矢印灯装着部は、前記矢印灯を上下2段に並べて装着可能な第1装着部および第2装着部と、前記矢印灯を前記第1装着部または前記第2装着部に対して水平方向に並べて装着可能な第3装着部とを有するものである請求項1または2に記載の矢印灯取付金具。
【請求項5】
前記アーム部の回転を規制する第1ロック部を有する請求項1から3のいずれか1項に記載の矢印灯取付金具。
【請求項6】
前記ロープ支持部の進退位置を規制する第2ロック部を有する請求項1または記載の矢印灯取付金具。
【請求項7】
2つの矢印灯と、
ガードレールの波形断面のビームの谷部に当接するガードレール当接部を有するガードレール支持部と、
前記ガードレール支持部の上部を支点として回転することにより前記ビームの上端部を前記ガードレール当接部との間で挟持可能なアーム部であり、前記矢印灯を装着可能な矢印灯装着部を有するアーム部と
を含み、
前記矢印灯装着部は、前記矢印灯を上下2段に並べて装着可能な第1装着部および第2装着部と、前記矢印灯を前記第1装着部または前記第2装着部に対して水平方向に並べて装着可能な第3装着部とを有するものである
車線規制装置。
【請求項8】
ガードロープの上下に並設されたロープのうち上側のロープを挟持するために前記ガードレール支持部および前記アーム部にそれぞれ形成された凹部と、
前記ガードレール支持部より前記ガードロープの上下に並設されたロープのうち下側のロープへ向かって進退可能に設けられたロープ支持部であり、前記下側のロープに係合可能な凹部を有するロープ支持部と
を含む請求項7記載の車線規制装置。
【請求項9】
前記ガードレール支持部は、前記ビームの上端部に嵌め込み可能な切欠部を有するものである請求項7または8に記載の車線規制装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば高速道路の車線を規制するための矢印灯をガードレールまたはガードロープに取り付けるための矢印灯取付金具およびこれを用いた車両規制装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路の車線を規制するための装置として、例えば特許文献1には、車道の側方位置に設けられる駆動本体部と、この駆動本体部に起伏自在に設けられ、伏状態において車道上に水平突出状態となり車両の通行を遮断する通行遮断バーとからなる車線規制装置であって、駆動本体部は、遠隔操作機器から送信される無線信号に基づき駆動するように設けられており、通行遮断バーは遠隔操作機器による遠隔操作により起伏動するように構成されている車線規制装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】登録実用新案第3224688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記車線規制装置では、手作業で誘導看板を設置する必要がないが、装置が非常に大掛かりとなる。また、車線規制装置は常設されることになるため、工事や事故等により一時的に車線規制する場合には利用することができない。
【0005】
そこで、本発明においては、一時的に車線規制する場合に、車線を規制するための矢印灯を簡単に設置および撤去することが可能な矢印灯取付金具および車両規制装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の矢印灯取付金具は、ガードレールの波形断面のビームの谷部に当接するガードレール当接部を有するガードレール支持部と、ガードレール支持部の上部を支点として回転することによりビームの上端部をガードレール当接部との間で挟持可能なアーム部であり、矢印灯を装着可能な矢印灯装着部を有するアーム部とを含むものである。
【0007】
本発明の矢印灯取付金具によれば、ガードレールの波形断面のビームの谷部にガードレール支持部のガードレール当接部を当接させ、矢印灯を矢印灯装着部に装着したアーム部をガードレール支持部の上部を支点として回転させると、アーム部がビームの上端部をガードレール当接部との間で挟持する。これにより、矢印灯が矢印灯取付金具とともにガードレールに設置される。一方、アーム部をガードレール支持部の上部を支点として逆回転させると、ビームの上端部の挟持が解かれ、矢印灯を矢印灯取付金具とともにガードレールから撤去することができる。
【0008】
本発明の矢印灯取付金具は、ガードロープの上下に並設されたロープのうち上側のロープを挟持するためにガードレール支持部およびアーム部にそれぞれ形成された凹部と、ガードレール支持部よりガードロープの上下に並設されたロープのうち下側のロープへ向かって進退可能に設けられたロープ支持部であり、下側のロープに係合可能な凹部を有するロープ支持部を含むものであることが望ましい。
【0009】
これにより、矢印灯をガードロープへ設置する場合には、ガードロープの上下に並設されたロープのうち上側のロープをガードレール支持部およびアーム部のそれぞれの凹部の間に挟むようにしてアーム部を回転させ、ガードレール支持部およびアーム部のそれぞれの凹部により挟持させるとともに、ロープ支持部をガードレール支持部より下側のロープへ向かって進出させ、凹部をロープに係合することにより、矢印灯が矢印灯取付金具とともにガードレールに設置される。一方、ガードロープ支持部を下側のロープから退去させると、下側のロープの係合が解かれ、矢印灯を矢印灯取付金具とともにガードロープから撤去することができる。
【0010】
本発明に係るガードレール支持部は、ビームの上端部に嵌め込み可能な切欠部を有するものであることが望ましい。これにより、ガードレール支持部の切欠部をビームの上端部に嵌め込むことによっても、矢印灯を矢印灯取付金具とともにガードレールに設置することができる。一方、ガードレール支持部の切欠部をビームの上端部から抜き取ることで、矢印灯を矢印灯取付金具とともにガードレールから撤去することができる。
【0011】
本発明に係る矢印灯装着部は、矢印灯を上下2段に並べて装着可能な第1装着部および第2装着部と、矢印灯を第1装着部または第2装着部に対して水平方向に並べて装着可能な第3装着部とを有するものであることが望ましい。これにより、第1装着部および第2装着部により矢印灯を上下2段に並べて装着したり、第1装着部または第2装着部と第3装着部とにより矢印灯を水平方向に並べて装着したりすることが可能となる。
【0012】
本発明の矢印灯取付金具は、アーム部の回転を規制する第1ロック部を有することが望ましい。これにより、アーム部を回転させてビームの上端部をガードレール当接部との間で挟持したのち、第1ロック部によりアーム部の回転を規制することで、矢印灯を矢印灯取付金具とともにガードレールにしっかりと固定することが可能となる。
【0013】
本発明の矢印灯取付金具は、ロープ支持部の進退位置を規制する第2ロック部を有することが望ましい。これにより、ロープ支持部が不要な場合には、ロープ支持部が邪魔にならない進退位置で第2ロック部により規制することが可能となる。また、ロープ支持部を下側のロープへ向かって進出させ、凹部をロープに係合したのち、第2ロック部によりロープ支持部の進退位置を規定することで、矢印灯を矢印灯取付金具とともにガードロープにしっかりと固定することも可能となる。
【0014】
本発明の車線規制装置は、2つの矢印灯と、ガードレールの波形断面のビームの谷部に当接するガードレール当接部を有するガードレール支持部と、ガードレール支持部の上部を支点として回転可能することによりビームの上端部をガードレール当接部との間で挟持可能なアーム部であり、矢印灯を装着可能な矢印灯装着部を有するアーム部とを含み、矢印灯装着部は、矢印灯を上下2段に並べて装着可能な第1装着部および第2装着部と、矢印灯を前記第1装着部または前記第2装着部に対して水平方向に並べて装着可能な第3装着部とを有するものである。
【0015】
本発明の車線規制装置によれば、2つの矢印灯を第1装着部および第2装着部により上下2段に並べて装着するか、第1装着部または第2装着部と第3装着部とにより水平方向に並べて装着するかして、ビームの谷部にガードレール支持部のガードレール当接部を当接させ、アーム部をガードレール支持部の上部を支点として回転させると、アーム部がビームの上端部をガードレール当接部との間で挟持する。これにより、2つの矢印灯がガードレールに設置される。一方、アーム部をガードレール支持部の上部を支点として逆回転させると、ビームの上端部の挟持が解かれ、矢印灯をガードレールから撤去することができる。
【発明の効果】
【0016】
(1)波形断面のビームの谷部に当接するガードレール当接部を有するガードレール支持部と、ガードレール支持部の上部を支点として回転することによりビームの上端部をガードレール当接部との間で挟持可能なアーム部であり、矢印灯を装着可能な矢印灯装着部を有するアーム部とを含む矢印灯取付金具によれば、波形断面のビームを有するガードレールに矢印灯を簡単に設置および撤去することが可能となる。
【0017】
(2)ガードロープの上下に並設されたロープのうち上側のロープを挟持するためにガードレール支持部およびアーム部にそれぞれ形成された凹部と、ガードレール支持部よりガードロープの上下に並設されたロープのうち下側のロープへ向かって進退可能に設けられたロープ支持部であり、下側のロープに係合可能な凹部を有するロープ支持部とを含む構成により、ガードレールだけでなくガードロープにも矢印灯を簡単に設置および撤去することが可能となる。
【0018】
(3)ビームの上端部に嵌め込み可能な切欠部を有する構成により、ガードレールのビームの波形断面の谷部がガードレール当接部に合わず、ガードレール当接部がビームの谷部にうまく当接しない場合には、ガードレール支持部の切欠部をビームの上端部に嵌め込むことによって、矢印灯を簡単に設置および撤去することが可能となる。
【0019】
(4)矢印灯を上下2段に並べて装着可能な第1装着部および第2装着部と、矢印灯を第1装着部または第2装着部に対して水平方向に並べて装着可能な第3装着部とを有する構成により、第1装着部および第2装着部により矢印灯を上下2段に並べて装着することで全長を短くして矢印灯を設置したり、矢印灯を矢印灯装着部に装着したまま収納したりすることが可能となる。また、第1装着部または第2装着部と第3装着部とにより矢印灯を水平方向に並べて装着することで、全長を長くして矢印灯を設置したりすることが可能となる。
【0020】
(5)アーム部の回転を規制する第1ロック部を有する構成により、矢印灯を矢印灯取付金具とともにガードレールにしっかりと固定することが可能となる。
【0021】
(6)ロープ支持部の進退位置を規制する第2ロック部を有する構成により、ロープ支持部が不要な場合には、ロープ支持部が邪魔にならない位置で第2ロック部により規制することが可能となる。また、矢印灯を矢印灯取付金具とともにガードロープにしっかりと固定することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態における車線規制装置の正面図である。
図2図1の車線規制装置の平面図である。
図3図1の車線規制装置の左側面図である。
図4図1の車線規制装置の使用時の状態を示す正面図である。
図5図1の車線規制装置の矢印灯を水平方向に並べてガードレールに装着した状態を示す正面図である。
図6図1の車線規制装置の矢印灯を上下2段に並べてガードレールに装着した状態を示す正面図である。
図7A図1の車線規制装置の2山タイプのガードレールへの取り付け手順を示す説明図である。
図7B図1の車線規制装置の2山タイプのガードレールへの取り付け手順を示す説明図である。
図7C図1の車線規制装置の2山タイプのガードレールへの取り付け手順を示す説明図である。
図8図1の車線規制装置の3山タイプのガードレールへの取り付け手順を示す説明図である。
図9A図1の車線規制装置のガードロープへの取り付け手順を示す説明図である。
図9B図1の車線規制装置のガードロープへの取り付け手順を示す説明図である。
図9C図1の車線規制装置のガードロープへの取り付け手順を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は本発明の実施の形態における車線規制装置の正面図、図2は平面図、図3は左側面図、図4は使用時の状態を示す正面図である。
【0024】
図1図4に示すように、本発明の実施の形態における車線規制装置1は、矢印灯2と、矢印灯2をガードレール100(図5図8参照。)またはガードロープ110(図9A図9C参照。)に取り付けるための矢印灯取付金具3とから構成される。ガードレール100は、支柱101と、支柱101に支持された波形断面のビーム102とから構成される防護柵である。ガードロープ110は、支柱111と、支柱111に支持され、上下に並設されるワイヤー製のロープ112とから構成される防護柵である。
【0025】
矢印灯2は、円筒状の本体部20の表面の長手方向に複数の赤色LED21Aが直線状に配置されたものである。また、矢印灯2は、本体部20の側面の凹部(図示せず。)内に折り畳んで収納可能なブレード22(図4参照。)を備えている。ブレード22の表面の長手方向には複数の赤色LED21Bが直線状に配置されている。矢印灯2は、ブレード22を広げることで赤色LED21A,21Bが矢印形に配置され、矢印形の誘導灯として使用可能となっている。
【0026】
また、矢印灯2の基端部23は、本体部20に対して脱着可能となっている。本実施形態においては、矢印灯2の基端部23は、ねじ込み式になっている。矢印灯2は、基端部23を緩めると、本体部20と基端部23との間に溝部24が形成される。なお、矢印灯2は市販のものを使用することが可能である。
【0027】
矢印灯取付金具3は、ビーム102の谷部103に当接するガードレール当接部30を有するガードレール支持部31と、ガードレール支持部31の上部の回転軸32を支点として回転することによりビーム102の上端部104をガードレール当接部30との間で挟持可能なアーム部33とを有する。
【0028】
ガードレール当接部30は、ガードレール100のビーム102の谷部103の内面に部分的に接触するように凸形状に形成されている。アーム部33は、ガードレール当接部30をビーム102の谷部103の内面に接触させた状態で、回転軸32を支点としてビーム102の上端部104に向かって回転した際に、ビーム102の上端部104の外面105に接触してビーム102の上端部104をガードレール当接部30との間で挟持する。ガードレール支持部31は、このビーム102を挟持した状態でアーム部33の回転を規制する第1ロック部40を有する。
【0029】
第1ロック部40は、アーム部33に設けられたピン孔41と、ピン孔41に対して進退可能なピン42と、ピン42の進退方向を規制するガイド43と、ピン42をスライドさせるための摘み部44とを備える。ガイド43はガードレール支持部31内に固定されている。摘み部44を摘まんでピン42をピン孔41内に挿入することにより、ビーム102を挟持した状態でアーム部33の回転が規制される。一方、ピン42をピン孔41から退去させると、アーム部33の回転の規制が解除され、アーム部33を回転させることが可能となる。
【0030】
アーム部33は、矢印灯2を装着可能な矢印灯装着部34を有する。矢印灯装着部34は、矢印灯2を上下2段に並べて装着可能な第1装着部34Aおよび第2装着部34Bと、矢印灯2を第1装着部34Aに対して水平方向に並べて装着可能な第3装着部34Cとを有する。矢印灯装着部34は、矢印灯取付金具3をガードレール100のビーム102に取り付けた状態で、各矢印灯2の本体部20の表面の長手方向に直線状に配置された複数の赤色LED21Aが水平方向に並ぶ方向に各矢印灯2が装着されるようになっている。
【0031】
第1装着部34Aは、アーム部33の側壁部35の下側に円形の孔を開けることにより形成されている。矢印灯2は、第1装着部34Aに対し、基端部23を緩めて取り外した状態で本体部20の基端部分を通し、基端部23を締め込むことにより固定される。また、第1装着部34Aには、この第1装着部34Aに固定された矢印灯2を囲むカバー36が設けられている。カバー36は、正面側および背面側が開放され、矢印灯2の全体が見えるようになっている。また、カバー36の上面および下面には、矢印灯2のブレード22を広げることができるように長孔37が形成されている。
【0032】
第2装着部34Bは、アーム部33の側壁部35の上側を切り欠くことにより形成されている(図3参照。)。矢印灯2は、この第2装着部34Bに対し、上方より基端部23の溝部24を合わせて差し込み、基端部23を締め込むことにより固定される。第3装着部34Cは、カバー36の側壁部36Aの側方を切り欠くことにより形成されている(図3参照。)。矢印灯2は、この第3装着部34Cに対し、側方より基端部23の溝部24を合わせて差し込み、基端部23を締め込むことにより固定される。
【0033】
また、ガードレール支持部31は、ガードロープ110(図9A図9C参照。)の上下に並設されたロープ112のうち上側のロープ112を挟持するためにガードレール支持部31およびアーム部33にそれぞれ形成された凹部50A,50Bと、下側のロープ112に係合可能な凹部51が形成されたロープ支持部52を有する。ロープ支持部52は、ガードレール支持部31より下側のロープ112に向かって進退可能に設けられている。
【0034】
矢印灯取付金具3をガードロープ110へ設置する場合には、ガードロープ110の上下に並設されたロープ112のうち上側のロープ112をガードレール支持部31およびアーム部33のそれぞれの凹部50A,50Bの間に挟むようにしてアーム部33を回転させ、ガードレール支持部31およびアーム部33のそれぞれの凹部50A,50Bにより挟持させ、第1ロック部40によりアーム部33の回転を規制するとともに、ロープ支持部52を下側のロープ112へ向かって進出させ、凹部51を下側のロープ112に係合する。
【0035】
第2ロック部60は、ロープ支持部52の上部に設けられた凸部61と、ガードレール支持部31の側壁部31Aに設けられ、側壁部31Aの外側からロープ支持部52に向かって締結可能な蝶ボルト62とから構成されている。第2ロック部60は、ロープ支持部52をガードレール支持部31内に収納した位置、すなわち、ロープ支持部52がガードレール当接部30から突出しない進退位置で蝶ボルト62を締めると、凸部61が蝶ボルト62の先端部に引っ掛かり、ロープ支持部52が下がらないように構成されている。
【0036】
なお、図示しないが、第2ロック部60は、ガードレール支持部31は、ロープ支持部52の凹部51を下側のロープ112に係合した状態で、ロープ支持部52の進退位置を規制するように構成することも可能である。これにより、矢印灯2を矢印灯取付金具3とともにガードロープ110にしっかりと固定することも可能となる。
【0037】
さらに、ガードレール支持部31は、ガードレール100のビーム102の上端部104に嵌め込み可能な切欠部70を有する。また、ガードレール支持部31の側壁部31Aには、車線規制装置1を把持するための把手80が設けられている。
【0038】
次に、上記構成の車線規制装置1の使用方法について説明する。図5図1の車線規制装置の矢印灯を水平方向に並べてガードレールに装着した状態を示す正面図、図6図1の車線規制装置の矢印灯を上下2段に並べてガードレールに装着した状態を示す正面図である。
【0039】
車線規制装置1は、使用しない場合には、図1に示すように2つの矢印灯2を矢印灯取付金具3の第1装着部34Aおよび第2装着部34Bに取り付けた状態で保管しておく。そして、使用時には、第2装着部34Bに取り付けた矢印灯2を図4に示すように第3装着部34Cへ付け替え、各矢印灯2のそれぞれのブレード22を広げて、図5に示すようにガードレール100のビーム102に取り付けて、矢印形の誘導灯が2列に並んだ状態とする。
【0040】
また、車線規制装置1は、図6に示すように2つの誘導灯2を矢印灯取付金具3の第1装着部34Aおよび第2装着部34Bに取り付けた状態のまま、各矢印灯2のそれぞれ一方のブレード22を広げることにより、1列の矢印形の誘導灯として使用することもできる。
【0041】
次に、車線規制装置1の取り付け手順について説明する。
<2山タイプのガードレールへの取り付け>
図7A図7C図1の車線規制装置1の2山タイプのガードレールへの取り付け手順を示す説明図である。
図7Aに示すように、車線規制装置1を2山タイプのガードレール100へ取り付ける際には、矢印灯取付金具3のアーム部33を回転軸32を支点として上方へ開き、矢印灯取付金具3のガードレール支持部31をビーム102の上側の谷部103に嵌め込む。
【0042】
次に、図7Bに示すように、ガードレール当接部30をビーム102の谷部103の内面に接触させた状態で、回転軸32を支点としてビーム102の上端部104に向かって回転させ、ビーム102の上端部104をアーム部33とガードレール当接部30との間で挟持する。そして、図7Cに示すように、ビーム102を挟持した状態で第1ロック部40によりアーム部33の回転を規制する。
【0043】
このように、本実施形態における車線規制装置1によれば、図5に示すように、波形断面のビーム102を有する2山タイプのガードレール100に矢印灯2を簡単に設置することが可能である。一方、矢印灯2を撤去する場合には、第1ロック部40を解除して、アーム部33をガードレール支持部31の上部の回転軸32を支点として逆回転させると、ビーム102の上端部の挟持が解かれるので、簡単に撤去することができる。
【0044】
<3山タイプのガードレールへの取り付け>
図8図1の車線規制装置1の3山タイプのガードレールへの取り付け手順を示す説明図である。
車線規制装置1を3山タイプのガードレール105へ取り付ける場合、ガードレール105のビーム106の上側の谷部107の形状が、2山タイプのガードレール100のそれとは異なり、矢印灯取付金具3のガードレール支持部31をビーム106の谷部107に嵌め込むことが困難な場合ある。
【0045】
そこで、3山タイプのガードレール105に対しては、ガードレール支持部31の切欠部70をビーム106の上端部108に嵌め込むことにより設置する。このとき、蝶ボルト62を緩めてロープ支持部52を下げ、ロープ支持部52が切欠部70に重ならないようにしておく。
【0046】
このように、本実施形態における車線規制装置1によれば、図8に示すように、波形断面のビーム106を有する3山タイプのガードレール105に対しても矢印灯2を簡単に設定することが可能である。一方、矢印灯2を撤去する場合には、ビーム106の上端部108から抜き取るだけで良い。
【0047】
<ガードロープへの取り付け>
図9A図9C図1の車線規制装置1のガードロープへの取り付け手順を示す説明図である。
図9Aに示すように、車線規制装置1をガードロープ110へ取り付ける際には、蝶ボルト62を緩めるとともに、矢印灯取付金具3のアーム部33を回転軸32を支点として上方へ開き、ガードロープ110の上下に並設されたロープ112のうち上側のロープ112をガードレール支持部31の凹部50Aに嵌め込む。
【0048】
次に、図9Bに示すように、ロープ112をガードレール支持部31およびアーム部33のそれぞれの凹部50A,50Bの間に挟むようにしてアーム部33を回転させ、ガードレール支持部31およびアーム部33のそれぞれの凹部50A,50Bにより挟持させる。また、ロープ支持部52を下側のロープ112へ向かって進出させ、凹部51を下側のロープ112に係合する。そして、図9Cに示すように、第1ロック部40によりアーム部33の回転を規制する。
【0049】
このように、本実施形態における車線規制装置1によれば、ガードレールだけでなくガードロープ110にも矢印灯2を簡単に設置することが可能である。一方、矢印灯2を撤去する場合には、ロープ支持部52を退去させて下側のロープ112の係合を解き、第1ロック部40を解除して、アーム部33をガードレール支持部31の上部の回転軸32を支点として逆回転させると、上側のロープ112の挟持が解かれるので、簡単に撤去することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、例えば高速道路の車線を規制するための矢印灯をガードレールまたはガードロープに取り付けるための矢印灯取付金具およびこれを用いた車両規制装置として有用である。特に、本発明は、一時的に車線規制する場合に、車線を規制するための矢印灯を簡単に設置および撤去することが可能な矢印灯取付金具および車両規制装置として好適である。
【符号の説明】
【0051】
1 車線規制装置
2 矢印灯
20 本体部
21A,21B 赤色LED
22 ブレード
23 基端部
24 溝部
3 矢印灯取付金具
30 ガードレール当接部
31 ガードレール支持部
32 回転軸
33 アーム部
34 矢印灯装着部
34A 第1装着部
34B 第2装着部
34C 第3装着部
35 側壁部
36 カバー
36A 側壁部
37 長孔
40 第1ロック部
41 ピン孔
42 ピン
43 ガイド
44 摘み部
50A,50B 凹部
51 凹部
52 ロープ支持部
60 第2ロック部
61 凸部
62 蝶ボルト
70 切欠部
80 把手
【要約】
【課題】一時的に車線規制する場合に、車線を規制するための矢印灯を簡単に設置および撤去することが可能な矢印灯取付金具および車両規制装置の提供。
【解決手段】矢印灯取付金具3は、ガードレールの波形断面のビーム102の谷部103に当接するガードレール当接部30を有するガードレール支持部31と、ガードレール支持部31の上部を支点として回転することによりビーム102の上端部105をガードレール当接部30との間で挟持可能なアーム部33であり、矢印灯2を装着可能な矢印灯装着部34を有するアーム部33とを含む。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B
図9C