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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】エレベータシステム
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20240227BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
B66B5/00 G
B66B3/00 R
B66B3/00 S
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022201400
(22)【出願日】2022-12-16
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】豊田 雄介
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-178403(JP,A)
【文献】特開平9-025063(JP,A)
【文献】特開2018-016477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00
B66B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物件にそれぞれ設置されるエレベータと、前記エレベータの運転制御を行うためのソフトウェアを保持する制御装置と、前記制御装置に接続されたコントローラと、前記コントローラを介して前記制御装置と通信するサーバと、前記ソフトウェアを更新するための更新指示を前記サーバに送信するコンピュータ端末と、を備えるエレベータシステムであって、
前記サーバは、
前記各物件から、エレベータの利用状況を示す利用状況情報をそれぞれ取得する取得手段と、
前記各物件毎に、前記取得された利用状況情報に基づいて、少なくとも1つの更新候補日を特定する特定手段と、
前記コンピュータ端末から前記更新指示を受信した日時と、前記各物件の更新候補日とに基づいて、前記各物件を、更新優先度の高い物件を含む第1グループと、前記第1グループよりも更新優先度の低い物件を含む第2グループとに分類する分類手段と、
前記第1グループに分類された物件に設置されている制御装置のソフトウェアを、前記第2グループに分類された物件に設置されている制御装置のソフトウェアよりも優先的に更新する更新手段と、
を具備することを特徴とする、エレベータシステム。
【請求項2】
前記分類手段は、
前記特定された少なくとも1つの更新候補日のうちの最先の更新候補日が前記更新指示を受信した日時から第1期間内の日にちであり、かつ、前記最先の更新候補日の次の更新候補日が前記最先の更新候補日から第2期間以上先の日にちである物件を、前記第1グループに分類し、
前記最先の更新候補日が前記更新指示を受信した日時から前記第1期間内の日にちでない物件、あるいは、前記最先の更新候補日が前記更新指示を受信した日時から前記第1期間内の日にちであり、かつ、前記次の更新候補日が前記最先の更新候補日から前記第2期間以上先の日にちでない物件を、前記第2グループに分類することを特徴とする、
請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項3】
前記分類手段は、
前記各物件を、前記第1グループと、前記第2グループと、前記第1グループよりも更新優先度が低く、前記第2グループよりも更新優先度が高い物件を含む第3グループとに分類し、
前記特定された少なくとも1つの更新候補日のうちの最先の更新候補日が前記更新指示を受信した日時から第1期間内の日にちであり、かつ、前記最先の更新候補日の次の更新候補日が前記最先の更新候補日から第2期間以上先の日にちである物件を、前記第1グループに分類し、
前記最先の更新候補日が前記更新指示を受信した日時から前記第1期間内の日にちでない物件を、前記第2グループに分類し、
前記最先の更新候補日が前記更新指示を受信した日時から前記第1期間内の日にちであり、かつ、前記最先の更新候補日の次の更新候補日が前記最先の更新候補日から前記第2期間以上先の日にちでない物件を、前記第3グループに分類することを特徴とする、
請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項4】
前記第1期間は1日であり、前記第2期間は1週間であることを特徴とする、
請求項2または請求項3に記載のエレベータシステム。
【請求項5】
前記更新手段は、
前記コンピュータ端末から受信した更新指示に、前記ソフトウェアの優先的な更新が必要な物件を示す物件情報が含まれていた場合、前記物件情報により示される物件に設置されている制御装置のソフトウェアを、前記第1グループに分類された物件に設置されている制御装置のソフトウェアよりも優先的に更新することを特徴とする、
請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項6】
複数の物件にそれぞれ設置されるエレベータと、前記エレベータの運転制御を行うためのソフトウェアを保持する制御装置と、前記制御装置に接続されたコントローラと、前記コントローラを介して前記制御装置と通信するサーバと、前記ソフトウェアを更新するための更新指示を前記サーバに送信するコンピュータ端末と、を備えるエレベータシステムであって、
前記サーバは、
前記各物件から、エレベータの利用状況を示す利用状況情報をそれぞれ取得する取得手段と、
前記各物件毎に、前記取得された利用状況情報に基づいて、少なくとも1つの更新候補日を特定する特定手段と、
前記コンピュータ端末から前記更新指示を受信した日時と、前記各物件の更新候補日とに基づいて、前記各物件の更新順序を決定する決定手段と、
前記決定された更新順序に従って、前記各物件にそれぞれ設置されている制御装置のソフトウェアを更新する更新手段と、
を具備することを特徴とする、エレベータシステム。
【請求項7】
前記決定手段は、
前記特定された少なくとも1つの更新候補日のうちの最先の更新候補日から、前記最先の更新候補日の次の更新候補日までの期間が第1期間以上である物件の更新順序を、前記最先の更新候補日から前記次の更新候補日までの期間が前記第1期間以上でない物件の更新順序よりも早くすることを特徴とする、
請求項6に記載のエレベータシステム。
【請求項8】
前記決定手段は、
前記最先の更新候補日が、前記更新指示を受信した日時に近い物件から順に更新順序を決定することを特徴とする、
請求項7に記載のエレベータシステム。
【請求項9】
前記第1期間は1週間であることを特徴とする、
請求項7に記載のエレベータシステム。
【請求項10】
前記更新手段は、
前記コンピュータ端末から受信した更新指示に、前記ソフトウェアの優先的な更新が必要な物件を示す物件情報が含まれていた場合、前記物件情報により示される物件に設置されている制御装置のソフトウェアを、最も早い更新順序で優先的に更新することを特徴とする、
請求項6に記載のエレベータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの制御装置(エレベータ制御装置または制御盤とも称する)は、乗りかごの運転制御の他、巻上機やブレーキの駆動制御、ドアの開閉制御など、エレベータの運転に関わる一連の制御を実行している。エレベータ制御装置は、このような一連の制御を、当該エレベータ制御装置にインストールされたソフトウェアに従って実行する。エレベータ制御装置のソフトウェアは、例えば、制御内容の変更や仕様変更などがあると、それに合わせて修正変更したバージョンに更新する必要がある。
【0003】
一般に、エレベータ制御装置のソフトウェアを更新する場合、保守員が現場に出向いて手作業でソフトウェアを更新する。しかしながら、このような更新作業は、保守員にかかる負担が大きく、時間もかかる。そこで、保守員が現場に出向くことなく、エレベータ制御装置のソフトウェアを遠隔から更新する方法が考えられている。
【0004】
しかしながら、保守員が現場に出向いてソフトウェアを更新する場合であっても、ソフトウェアを遠隔から更新する場合であっても、ソフトウェア更新中はエレベータの運転を停止しておく必要があり、その間、エレベータの利用者に迷惑をかけることになる。このため、エレベータ制御装置のソフトウェアの更新は、利用者が少ない曜日や時間帯に行われることが望ましい。
【0005】
一方、複数の物件に設置された複数のエレベータ制御装置のソフトウェアを更新する場合、更新可能な機会は物件毎に異なることが想定される。物件によっては、更新可能な機会を一度逃してしまうと、次に更新可能な機会が訪れるまで間隔が空いてしまい、なかなかソフトウェアを更新できない可能性がある。したがって、複数の物件に設置された複数のエレベータ制御装置のソフトウェアを、遠隔から効率よく更新可能なシステムの実現が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-44643号公報
【文献】特開2022-38642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、エレベータ制御装置のソフトウェアを、遠隔から効率よく更新可能なエレベータシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態に係るエレベータシステムは、複数の物件にそれぞれ設置されるエレベータと、前記エレベータの運転制御を行うためのソフトウェアを保持する制御装置と、前記制御装置に接続されたコントローラと、前記コントローラを介して前記制御装置と通信するサーバと、前記ソフトウェアを更新するための更新指示を前記サーバに送信するコンピュータ端末と、を備える。前記サーバは、前記各物件から、エレベータの利用状況を示す利用状況情報をそれぞれ取得する取得手段と、前記各物件毎に、前記取得された利用状況情報に基づいて、少なくとも1つの更新候補日を特定する特定手段と、前記コンピュータ端末から前記更新指示を受信した日時と、前記各物件の更新候補日とに基づいて、前記各物件を、更新優先度の高い物件を含む第1グループと、前記第1グループよりも更新優先度の低い物件を含む第2グループとに分類する分類手段と、前記第1グループに分類された物件に設置されている制御装置のソフトウェアを、前記第2グループに分類された物件に設置されている制御装置のソフトウェアよりも優先的に更新する更新手段と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、各実施形態に係るエレベータシステムの概略構成例を示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係るサーバの一構成例を示すブロック図である。
図3図3は、同実施形態に係るエレベータシステムの動作の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、同実施形態に係る更新候補日情報のデータ構造の一例を説明するための図である。
図5図5は、同実施形態に係るエレベータシステムの動作の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、同実施形態に係る分類部により実行される処理手順の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、同実施形態に係る分類部により実行される処理を説明するための図である。
図8図8は、第1実施形態の変形例に係る分類部により実行される処理手順の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、同変形例に係る分類部により実行される処理を説明するための図である。
図10図10は、第2実施形態に係るサーバの一構成例を示すブロック図である。
図11図11は、同実施形態に係るエレベータシステムの動作の一例を示すフローチャートである。
図12図12は、同実施形態に係る決定部により実行される処理手順の一例を示すフローチャートである。
図13図13は、同実施形態に係るエレベータシステムの動作の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照数字を付して、詳細な説明を省略する場合もある。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、各実施形態に係るエレベータシステムの概略構成例を示す図である。
図1に示すように、エレベータシステムは、複数の物件A~Cにそれぞれ設置されたエレベータ1A~1Cと、クラウドC内に設置されたサーバ2と、サーバ2と通信可能に接続されたコンピュータ端末3とを備える。
【0012】
物件A~Cは、エレベータ1A~1Cが設置された建物であり、例えば、オフィスビルやマンションビル等である。エレベータ1A~1Cはそれぞれ、乗りかご11A~11C、エレベータ制御装置12A~12C及びコントローラ13A~13Cを有する。なお、以下の説明においては、各物件A~Cに含まれる要素を特に区別する必要がない場合は、単に、「エレベータ1」、「乗りかご11」、「エレベータ制御装置12」、「コントローラ13」と称して説明する。
【0013】
エレベータ制御装置12は「制御盤」とも称され、乗りかご11を昇降動作させるための図示せぬ巻上機の制御、ドアの戸開閉制御、乗りかご11内の各種機器類(例えば、照明等)の制御等、乗りかご11に関わる各種制御を行う。
【0014】
エレベータ制御装置12には、制御ソフトウェアSW(以下、制御ソフトSWと表記)が記憶されており、乗りかご11の制御に必要な機能は、エレベータ制御装置12が当該制御ソフトSWを実行することで実現される。エレベータ制御装置12は、仲介装置として機能するコントローラ13を介してクラウドC内のサーバ2に接続されている。
【0015】
コントローラ13は、エレベータ制御装置12とサーバ2との間の通信を制御し、エレベータ制御装置12とサーバ2との間でやり取りされるデータ及び各種信号を仲介するためのインターフェース機能およびハブ機能を備えた仲介装置である。コントローラ13は、サーバ2より送信されたデータ及び各種信号を一時的に記憶する記憶部を有している。
【0016】
サーバ2は、エレベータ1の関連会社が構築したクラウドC上に存在する。サーバ2は、エレベータ制御装置12に記憶された制御ソフトSWを更新するための更新データを記憶する。更新データは、当該更新データがリリースされるたびにコンピュータ端末3から送信され、サーバ2に記憶される。サーバ2は、後述する更新指示に基づき、更新データを各物件に送信し、各物件に設置されたエレベータ制御装置12の制御ソフトSWを更新する。
【0017】
コンピュータ端末3は、例えば、エレベータ1の保守作業を行う保守員によって操作される端末である。コンピュータ端末3は、例えば保守員の操作に応じて、各物件に設置されたエレベータ制御装置12の制御ソフトSWを更新するための更新指示をサーバ2に送信する。更新指示は、更新対象の物件を示すデータを少なくとも含む。なお、更新指示は、更新対象の物件を示すデータに加えて、制御ソフトSWを更新するための更新データをさらに含んでいてもよい。但し、更新データは、更新指示とは別にコンピュータ端末3からサーバ2に送信されてもよい。
【0018】
図2は、図1に示したクラウドC内のサーバ2の一構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、サーバ2は、一般的なコンピュータの構成として、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、などを備える。制御部21は、ハードウェアプロセッサ(CPU)からなり、各種演算処理などを実行する。
【0019】
本システムを実現するための機能として、制御部21は、取得部21aと、特定部21bと、分類部21cと、更新部21dと、を備えている。
【0020】
取得部21aは、通信部23を介して、各物件からエレベータの利用状況を示す利用状況情報を取得する。
【0021】
特定部21bは、取得部21aにより取得された利用状況情報に基づいて、各物件毎に、制御ソフトSWの更新のためにエレベータの運転を停止したとしても、当該エレベータを利用する利用者に影響の少ない曜日や時間帯(つまり、利用者の少ない曜日や時間帯)を、更新候補日として特定する。なお、更新候補日は、例えば利用状況情報を統計解析することにより特定することができる。特定部21bにより特定された各物件の更新候補日を示す更新候補日情報22aは記憶部22に記憶される。
【0022】
分類部21cは、コンピュータ端末3から更新指示を受信した日時と、当該更新指示により示される更新対象の物件の更新候補日とに基づいて、当該更新対象の物件を、更新優先度の高い第1グループと、当該更新優先度の高い第1グループよりも更新優先度の低い第2グループとに分類する。
【0023】
更新部21dは、通信部23を介して、各物件に更新データを送信する。より詳しくは、更新部21dは、更新優先度の高い第1グループに分類された物件に設置されたエレベータ制御装置12の制御ソフトSWが、更新優先度の低い第2グループに分類された物件に設置されたエレベータ制御装置12の制御ソフトSWよりも優先的に更新されるように、まず、第1グループに分類された物件に更新データを送信し、第1グループに分類された物件への更新データの送信が完了した後に、第2グループに分類された物件に更新データを送信する。なお、更新部21dは、同一グループに分類された複数の物件には任意の順序で更新データを送信して構わない。
【0024】
記憶部22は、例えばROMやRAMなどのメモリデバイスからなり、特定部21bにより特定された更新候補日を示す更新候補日情報22aを記憶する。また、記憶部22は、コンピュータ端末3から送信された更新データであって、エレベータ制御装置12の制御ソフトSWを更新するための更新データを記憶する。
【0025】
通信部23は、所定の通信プロトコルを有する通信デバイスからなり、サーバ2とコントローラ13との間の通信処理や、サーバ2とコンピュータ端末3との間の通信処理を行う。
【0026】
次に、図3のフローチャートを参照して、本実施形態に係るエレベータシステムの動作の一例について説明する。図3では、各物件毎に、少なくとも1つの更新候補日を特定する動作について説明する。
【0027】
まず、サーバ2に含まれる制御部21の取得部21aは、各物件から、エレベータの利用状況を示す利用状況情報を取得する(ステップS1)。
【0028】
続いて、制御部21の特定部21bは、ステップS1の処理において取得された利用状況情報に基づいて、各物件毎に少なくとも1つの更新候補日を特定する(ステップS2)。
【0029】
しかる後、制御部21の特定部21bは、ステップS2の処理において特定した各物件の更新候補日を示す更新候補日情報22aを記憶部22に記憶し(ステップS3)、ここでの動作を終了させる。
【0030】
図4は、記憶部22に記憶される更新候補日情報22aのデータ構造を説明するための図である。
更新候補日情報22aは、図4に示すように、物件名と、更新候補日とを対応づけて含む情報である。物件名は、物件の名称を示し、例えばオフィスビルやマンションビルの名称等がこれに相当する。更新候補日は、対応づけられた物件名の物件において、制御ソフトSWの更新のためにエレベータの運転を停止したとしても、当該エレベータを利用する利用者に影響の少ない曜日や時間帯を示す。
【0031】
図4に示す例では、更新候補日情報22aは、更新候補日情報22a~22aを含む。
【0032】
更新候補日情報22aは、物件名「物件A」と、更新候補日「木曜日 午前中」とを対応づけて含む。このような更新候補日情報22aによれば、物件Aに設置されたエレベータ制御装置12Aの制御ソフトSWは、木曜日の午前中に更新可能である(更新されることが望ましい)ことが示される。
【0033】
更新候補日情報22aは、物件名「物件B」と、更新候補日「金曜日 夜間」とを対応づけて含む。このような更新候補日情報22aによれば、物件Bに設置されたエレベータ制御装置12Bの制御ソフトSWは、金曜日の夜間に更新可能である(更新されることが望ましい)ことが示される。
【0034】
更新候補日情報22aは、物件名「物件C」と、更新候補日「休日 朝」とを対応づけて含む。このような更新候補日情報22aによれば、物件Cに設置されたエレベータ制御装置12Cの制御ソフトSWは、休日の朝に更新可能である(更新されることが望ましい)ことが示される。
【0035】
次に、図5のフローチャートを参照して、本実施形態に係るエレベータシステムの動作の一例について説明する。図5では、更新対象の物件を更新優先度に基づく複数のグループに分類し、当該更新対象の物件の制御ソフトSWを更新する動作について説明する。
【0036】
サーバ2の通信部23により、コンピュータ端末3から送信された更新指示が受信されると(ステップS11)、制御部21の分類部21cは、当該更新指示を受信した日時と、当該更新指示により示される更新対象の物件に対応する更新候補日情報22aとに基づいて、当該更新対象の物件を、更新優先度の高い第1グループと、更新優先度の低い第2グループとに分類する(ステップS12)。なお、ステップS12の処理の詳細は後述するため、ここではその詳しい説明を省略する。
【0037】
しかる後、更新部21dは、分類部21cにより更新優先度の高い第1グループに分類された物件から順に、記憶部22に記憶された更新データを送信し、更新対象の物件に設置されたエレベータ制御装置12の制御ソフトSWを更新して(ステップS13)、ここでの動作を終了させる。
【0038】
なお、サーバ2から送信された更新データは、例えば、各物件のコントローラ13の記憶部に一時的に記憶され、各物件の更新候補日になると、コントローラ13からエレベータ制御装置12に更新データが出力され、エレベータ制御装置12の制御ソフトSWは更新される。
【0039】
図6は、図5のステップS12の処理をより詳細に説明するためのフローチャートである。
上記したステップS11の処理において更新指示が受信されると、分類部21cは、当該更新指示により示される更新対象の物件の1つに着目する(ステップS21)。そして、分類部21cは、ステップS21の処理において着目した物件に対応する更新候補日情報22aを参照して、当該物件の最先の更新候補日が、当該更新指示を受信した日時から第1期間内の日時か否かを判断する(ステップS22)。
【0040】
ステップS22の処理において、最先の更新候補日が更新指示を受信した日時から第1期間内の日時でないと判断された場合(ステップS22のNo)、分類部21cは、ステップS21の処理において着目した物件を、更新優先度の低い第2グループに分類し(ステップS23)、後述するステップS26の処理を実行する。
【0041】
一方、ステップS22の処理において、最先の更新候補日が更新指示を受信した日時から第1期間内の日時であると判断された場合(ステップS22のYes)、分類部21cは、ステップS21の処理において着目した物件に対応する更新候補日情報22aを参照して、当該物件の最先の更新候補日の次の更新候補日が、当該最先の更新候補日から第2期間以上先の日時か否かを判断する(ステップS24)。なお、ステップS24の処理において、次の更新候補日が最先の更新候補日から第2期間以上先の日時でないと判断された場合(ステップS24のNo)、分類部21cは、上記したステップS23の処理を実行する。つまり、分類部21cは、ステップS21の処理において着目した物件を、更新優先度の低い第2グループに分類する。
【0042】
一方、ステップS24の処理において、次の更新候補日が最先の更新候補日から第2期間以上先の日時であると判断された場合(ステップS24のYes)、分類部21cは、ステップS21の処理において着目した物件を、更新優先度の高い第1グループに分類する(ステップS25)。
【0043】
しかる後、分類部21cは、上記したステップS11の処理において受信された更新指示により示される全ての更新対象の物件に着目したか否かを判断し(ステップS26)、全ての更新対象の物件に着目したと判断した場合(ステップS26のYes)、ここでの動作を終了させる。
【0044】
一方、ステップS26の処理において、全ての更新対象の物件に着目していないと判断した場合(ステップS26のNo)、分類部21cは、上記したステップS21の処理に戻り、まだ着目していない更新対象の物件に着目して、再度同様な処理を実行する。
【0045】
ここで、具体的な状況を想定して、更新対象の物件を、更新優先度に基づく複数のグループ(例えば、2つのグループ)に分類する処理について説明する。
ここでは、図7に示すように、サーバ2の通信部23によって、更新対象の物件として物件A~Cを示す更新指示が、金曜日の午前中に受信された場合を想定する。また、ここでは、更新対象の物件A~Cに対応する更新候補日情報22aとして、図7に示す更新候補日情報22a~22aが、サーバ2の記憶部22に記憶されているものとする。さらに、ここでは、上記した第1期間が1日に設定され、上記した第2期間が1週間に設定されている場合を想定する。
【0046】
まず、更新対象の物件Aに着目すると、当該物件Aの最先の更新候補日は、更新候補日情報22aに示されるように木曜日の午前中(この場合、来週の木曜日の午前中)であり、更新指示が受信された金曜日の午前中から1日以内の日時でないため、当該物件Aは、更新優先度の低い第2グループに分類される。
【0047】
次に、更新対象の物件Bに着目すると、当該物件Bの最先の更新候補日は、更新候補日情報22aに示されるように金曜日の夜間(この場合、今週の金曜日の夜間)であり、更新指示が受信された金曜日の午前中から1日以内の日時であり、かつ、当該物件Bの次の更新候補日は、この場合来週の金曜日の夜間であり、最先の更新候補日である今週の金曜日の夜間から1週間以上先の日時のため、当該物件Bは、更新優先度の高い第1グループに分類される。
【0048】
さらに、更新対象の物件Cに着目すると、当該物件Cの最先の更新候補日は、更新候補日情報22aに示されるように休日の朝(この場合、今週の土曜日の朝)であり、更新指示が受信された金曜日の午前中から1日以内の日時であり、かつ、当該物件Cの次の更新候補日は、この場合次の日曜日の朝であり、最先の更新候補日である今週の土曜日の朝から1週間以上先の日時でないため、当該物件Cは、更新優先度の低い第2グループに分類される。
【0049】
以上説明した図7に示す動作によれば、更新対象の物件A~Cのうち、物件Bを更新優先度の高い第1グループに分類し、物件A,Cを更新優先度の低い第2グループに分類することができる。これによれば、最先の更新候補日に制御ソフトSWを更新できなかった場合、次の更新候補日まで1週間以上空いてしまう物件Bに設置されたエレベータ制御装置12Bの制御ソフトSWを、物件A,Cに設置されたエレベータ制御装置12A,12Cの制御ソフトSWよりも優先的に更新することが可能である。
【0050】
以上説明した第1実施形態に係るエレベータシステムは、更新指示を受信した日時と更新対象の物件の更新候補日とに基づいて、当該更新対象の物件を、更新優先度の高い第1グループと更新優先度の低い第2グループとに分類し、当該第1グループに分類された物件に設置されているエレベータ制御装置12の制御ソフトSWを、当該第2グループに分類された物件に設置されているエレベータ制御装置12の制御ソフトSWよりも優先的に更新する。これによれば、更新優先度の高い第1グループに分類された物件から順に、エレベータ制御装置12の制御ソフトSWを更新することが可能である。
【0051】
また、本実施形態に係るエレベータシステムは、最先の更新候補日が更新指示を受信した日時から第1期間内の日時(例えば1日以内の日時)であり、かつ、最先の更新候補日の次の更新候補日が当該最先の更新候補日から第2期間以上先の日時(例えば1週間以上先の日時)である物件を、更新優先度の高い第1グループに分類する。これによれば、最先の更新候補日に制御ソフトSWを更新できなかった場合、次の更新候補日までかなりの期間空いてしまう物件(つまり、更新機会がなかなか訪れない物件)を更新優先度の高い第1グループに分類して、エレベータ制御装置12の制御ソフトSWを更新することが可能である。
【0052】
以下、第1実施形態の変形例について説明する。
(変形例)
図8は、第1実施形態の変形例に係る分類部21cにより実行される処理手順の一例を示すフローチャートである。図6では、分類部21cが、更新対象の物件を更新優先度に基づく2つのグループに分類する場合について説明したが、図8では、分類部21cが、更新対象の物件を更新優先度に基づく3つのグループに分類する場合について説明する。なお、図6と同様な処理には、図6と同一のステップ番号を付して説明する。
【0053】
上記したステップS11の処理において更新指示が受信されると、分類部21cは、当該更新指示により示される更新対象の物件の1つに着目する(ステップS21)。そして、分類部21cは、ステップS21の処理において着目された物件に対応する更新候補日情報22aを参照して、当該物件の最先の更新候補日が、当該更新指示を受信した日時から第1期間内の日時か否かを判断する(ステップS22)。
【0054】
ステップS22の処理において、最先の更新候補日が更新指示を受信した日時から第1期間内の日時でないと判断された場合(ステップS22のNo)、分類部21cは、ステップS21の処理において着目した物件を、更新優先度の低い第2グループに分類し(ステップS23)、後述するステップS26の処理を実行する。
【0055】
一方、ステップS22の処理において、最先の更新候補日が更新指示を受信した日時から第1期間内の日時であると判断された場合(ステップS22のYes)、分類部21cは、ステップS21の処理において着目した物件に対応する更新候補日情報22aを参照して、当該物件の最先の更新候補日の次の更新候補日が、当該最先の更新候補日から第2期間以上先の日時か否かを判断する(ステップS24)。
【0056】
ステップS24の処理において、次の更新候補日が最先の更新候補日から第2期間以上先の日時であると判断された場合(ステップS24のYes)、分類部21cは、ステップS21の処理において着目した物件を、更新優先度の高い第1グループに分類し(ステップS25)、後述するステップS26の処理を実行する。
【0057】
一方、ステップS24の処理において、次の更新候補日が最先の更新候補日から第2期間以上先の日時でないと判断された場合(ステップS24のNo)、分類部21cは、ステップS21の処理において着目した物件を、更新優先度が高い第1グループより更新優先度が低く、更新優先度が低い第2グループより更新優先度が高い第3グループに分類し(ステップS27)、後述するステップS26の処理を実行する。
【0058】
しかる後、分類部21cは、上記したステップS11の処理において受信された更新指示により示される全ての更新対象の物件に着目したか否かを判断し(ステップS26)、全ての更新対象の物件に着目したと判断した場合(ステップS26のYes)、ここでの動作を終了させる。
【0059】
一方、ステップS26の処理において、全ての更新対象の物件に着目していないと判断した場合(ステップS26のNo)、分類部21cは、上記したステップS21の処理に戻り、まだ着目していない更新対象の物件に着目して、再度同様な処理を実行する。
【0060】
ここで、具体的な状況を想定して、更新対象の物件を、更新優先度に基づく複数のグループ(例えば、3つのグループ)に分類する処理について説明する。
ここでは、図9に示すように、サーバ2の通信部23によって、更新対象の物件として物件A~Cを示す更新指示が、金曜日の午前中に受信された場合を想定する。また、ここでは、更新対象の物件A~Cに対応する更新候補日情報22aとして、図9に示す更新候補日情報22a~22aが、サーバ2の記憶部22に記憶されているものとする。さらに、ここでは、上記した第1期間が1日に設定され、上記した第2期間が1週間に設定されている場合を想定する。
【0061】
まず、更新対象の物件Aに着目すると、当該物件Aの最先の更新候補日は、更新候補日情報22aに示されるように木曜日の午前中(この場合、来週の木曜日の午前中)であり、更新指示が受信された金曜日の午前中から1日以内の日時でないため、当該物件Aは、更新優先度の低い第2グループに分類される。
【0062】
次に、更新対象の物件Bに着目すると、当該物件Bの最先の更新候補日は、更新候補日情報22aに示されるように金曜日の夜間(この場合、今週の金曜日の夜間)であり、更新指示が受信された金曜日の午前中から1日以内の日時であり、かつ、当該物件Bの次の更新候補日は、この場合来週の金曜日の夜間であり、最先の更新候補日である今週の金曜日の夜間から1週間以上先の日時のため、当該物件Bは、更新優先度の高い第1グループに分類される。
【0063】
さらに、更新対象の物件Cに着目すると、当該物件Cの最先の更新候補日は、更新候補日情報22aに示されるように休日の朝(この場合、今週の土曜日の朝)であり、更新指示が受信された金曜日の午前中から1日以内の日時であり、かつ、当該物件Cの次の更新候補日は、この場合次の日曜日の朝であり、最先の更新候補日である今週の土曜日の朝から1週間以上先の日時でないため、当該物件Cは、第1グループより更新優先度が低く、第2グループより更新優先度が高い第3グループに分類される。
【0064】
以上説明した図9に示す動作によれば、更新対象の物件A~Cのうち、物件Bを更新優先度が最も高い第1グループに分類し、物件Cを更新優先度が2番目に高い第3グループに分類し、物件Aを更新優先度が最も低い第2グループに分類することができる。これによれば、最先の更新候補日に制御ソフトSWを更新できない場合、次の更新候補日まで1週間以上空いてしまう物件Bに設置されたエレベータ制御装置12Bの制御ソフトSWを最優先で更新し、次の更新候補日まで1週間以上空かないが、最先の更新候補日が1日以内である物件Cに設置されたエレベータ制御装置12Cの制御ソフトSWを、物件Bの次に更新すること(つまり、物件Aより優先的に更新すること)が可能である。
【0065】
以上説明した第1実施形態の変形例に係るエレベータシステムは、上記した第1実施形態に係るエレベータシステムに比べて、更新対象の物件を、より細分化したグループに分類することが可能であり、更新対象の物件に設置されたエレベータ制御装置12の制御ソフトSWをより効率的に更新することが可能である。
【0066】
なお、本実施形態においては、サーバ2に含まれる制御部21は、受信された更新指示により示される更新対象の物件を、更新優先度に基づく複数のグループに分類し、当該分類結果に従って、更新対象の各物件に設置されたエレベータ制御装置12の制御ソフトSWを更新するが、例えば、受信された更新指示に優先的な更新が必要な物件を示す情報がさらに含まれていた場合、制御部21は、当該優先的な更新が必要な物件に設置されたエレベータ制御装置12の制御ソフトSWを、更新優先度が高い第1グループに分類された物件に設置されたエレベータ制御装置12の制御ソフトSWより優先的に更新してもよい。これによれば、エレベータ制御装置12の制御ソフトSWの更新をすぐに行いたい物件(例えば、最近利用者からクレームがあった物件、故障発報したエレベータが設置された物件等)を優先的に更新することが可能である。
【0067】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態に係るエレベータシステムは、更新対象の物件を更新優先度に基づく複数のグループに分類するのではなく、当該更新対象の物件の更新順序を決定する点で、第1実施形態と相違している。以下では、第1実施形態と同様な構成についての説明を省略し、主に、第1実施形態と相違する構成について説明する。
【0068】
図10は、第2実施形態係るサーバ2の一構成例を示すブロック図である。
図10に示すように、サーバ2は、分類部21cに代えて、決定部21eを備えている。決定部21eは、コンピュータ端末3から更新指示を受信した日時と、当該更新指示により示される更新対象の物件の更新候補日とに基づいて、当該更新対象の物件の更新順序(より詳しくは、更新対象の物件に設置されたエレベータ制御装置12の制御ソフトSWを更新する順序)を決定する。
更新部21dは、決定部21eにより決定された更新順序に従って各物件に更新データを送信し、各物件に設置されたエレベータ制御装置12のソフトウェアSWを更新する。
【0069】
ここで、図11のフローチャートを参照して、本実施形態に係るエレベータシステムの動作の一例について説明する。図11では、更新対象の物件の更新順序を決定し、当該更新対象の物件の制御ソフトSWを更新する動作について説明する。
【0070】
サーバ2の通信部23により、コンピュータ端末3から送信された更新指示が受信されると(ステップS31)、制御部21の決定部21eは、当該更新指示を受信した日時と、当該更新指示により示される更新対象の物件に対応する更新候補日情報22aとに基づいて、当該更新対象の物件の更新順序を決定する(ステップS32)。なお、ステップS32の処理の詳細は後述するため、ここではその詳しい説明を省略する。
【0071】
しかる後、更新部21dは、決定部21eにより決定された更新順序に従って、記憶部22に記憶された更新データを更新対象の物件に送信し(つまり、更新順序の早い物件から順に更新データを送信し)、更新対象の物件に設置されたエレベータ制御装置12の制御ソフトSWを更新して(ステップS33)、ここでの動作を終了させる。
【0072】
図12は、図11のステップS32の処理をより詳細に説明するためのフローチャートである。
上記したステップS31の処理において更新指示が受信されると、決定部21eは、当該更新指示により示される更新対象の物件の中に更新日時が未決定の物件があるか否かを判断する(ステップS41)。
【0073】
ステップS41の処理において、更新対象の物件の中に更新日時が未決定の物件があると判断された場合(ステップS41のYes)、決定部21eは、更新日時が未決定の物件の中で、更新指示を受信した日時に最も近い更新候補日を有した物件を抽出する(ステップS42)。その後、決定部21eは、ステップS42の処理において複数の物件が抽出されたか否かを判断する(ステップS43)。
【0074】
ステップS43の処理において、複数の物件が抽出されていないと判断された場合(ステップS43のNo)、決定部21eは、ステップS42の処理において抽出された1つの物件に対応する更新候補日情報22aを参照して、当該物件の更新日時を、最先の更新候補日に決定し(ステップS44)、上記したステップS41の処理に戻る。
【0075】
一方、ステップS43の処理において、複数の物件が抽出されたと判断された場合(ステップS43のYes)、決定部21eは、抽出された複数の物件のうち1つに着目する(ステップS45)。そして、決定部21eは、ステップS45の処理において着目した物件に対応する更新候補日情報22aを参照して、当該物件の最先の更新候補日の次の更新候補日が、当該最先の更新候補日から第1期間以上先の日時か否かを判断する(ステップS46)。なお、ステップS46の処理において、次の更新候補日が最先の更新候補日から第1期間以上先の日時でないと判断された場合(ステップS46のNo)、決定部21eは、ステップS45の処理において着目した物件の更新日時を、次の更新候補日に決定し(ステップS47)、後述するステップS49の処理を実行する。
【0076】
一方、ステップS46の処理において、次の更新候補日が最先の更新候補日から第1期間以上先の日時であると判断された場合(ステップS46のYes)、決定部21eは、ステップS45の処理において着目した物件の更新日時を、最先の更新候補日に決定する(ステップS48)。
【0077】
しかる後、決定部21eは、ステップS42の処理において抽出された全ての物件に着目したか否かを判断し(ステップS49)、全ての物件に着目していないと判断した場合(ステップS49のNo)、決定部21eは、上記したステップS45の処理に戻り、まだ着目していない物件に着目して、再度同様な処理を実行する。
【0078】
一方、ステップS49の処理において、全ての物件に着目したと判断した場合(ステップS49のYes)、決定部21eは、上記したステップS41の処理に戻り、更新日時が未決定の物件について、再度同様な処理を実行し、当該ステップS41の処理において、更新対象の物件の中に更新日時が未決定の物件がないと判断された場合(ステップS41のNo)、ここでの動作を終了させる。
【0079】
ここで、具体的な状況を想定して、更新対象の物件の更新順序を決定する動作について説明する。
ここでは、図13に示すように、サーバ2の通信部23によって、更新対象の物件として物件A~Cを示す更新指示が、金曜日の午前中に受信された場合を想定する。また、ここでは、更新対象の物件A~Cに対応する更新候補日情報22aとして、図13に示す更新候補日情報22a~22aが、サーバ2の記憶部22に記憶されているものとする。さらに、ここでは、上記した第1期間が1週間に設定されている場合を想定する。
【0080】
この場合、まず、更新指示が受信された金曜日の午前中に最も近い更新候補日を有する物件として、金曜日の夜間を更新候補日に含む物件A,Bが抽出される。
【0081】
物件Aの最先の更新候補日の次の更新候補日は、更新候補日情報22aに示されるように木曜日の午前中(この場合、来週の木曜日の午前中)であり、最先の更新候補日である金曜日の夜間から1週間以上先の日時でないため、当該物件Aの更新日時は、次の更新候補日である来週の木曜日の午前中に決定される。
【0082】
物件Bの最先の更新候補日の次の更新候補日は、更新候補日情報22aに示されるように金曜日の夜間(この場合、来週の金曜日の夜間)であり、最先の更新候補日である今週の金曜日の夜間から1週間以上先の日時のため、当該物件Bの更新日時は、最先の更新候補日である今週の金曜日の夜間に決定される。
【0083】
その後、まだ更新日時が未決定の物件Cが、更新指示が受信された金曜日の午前中に最も近い更新候補日を有する物件として抽出され、当該物件Cの更新日時は、更新候補日情報22aに示されるように、最先の更新候補日である今週の土曜日の朝に決定される。
【0084】
以上説明した図13に示す動作によれば、更新対象の物件Aの更新日時を来週の木曜日の午前中に決定し、更新対象の物件Bの更新日時を今週の金曜日の夜間に決定し、更新対象の物件Cの更新日時を今週の土曜日の朝に決定することができる。つまり、更新対象の物件A~Cの更新順序を「物件B、物件C、物件A」に決定することができる。これによれば、最先の更新候補日に制御ソフトSWを更新できなかったとしても、次の更新候補日まで1週間以上空かない物件Aに設置されたエレベータ制御装置12Aの制御ソフトSWの更新を後回しにし、最先の更新候補日に制御ソフトSWを更新できなかった場合、次の更新候補日まで1週間以上空いてしまう物件Bに設置されたエレベータ制御装置12Bの制御ソフトSWの更新を優先的に行うことが可能である。
【0085】
以上説明した第2実施形態に係るエレベータシステムは、更新指示を受信した日時と更新対象の物件の更新候補日とに基づいて、当該更新対象の物件の更新順序を決定し、決定された更新順序に従って当該更新対象の物件に設置されているエレベータ制御装置12の制御ソフトSWを更新する。これによれば、更新順序の早い物件から順に、エレベータ制御装置12の制御ソフトSWを更新することが可能である。
【0086】
また、本実施形態に係るエレベータシステムは、次の更新候補日が最先の更新候補日から第1期間以上先の日時(例えば1週間以上先の日時)である物件の更新順序を、次の更新候補日が最先の更新候補日から第1期間以上先の日時でない物件の更新順序より早くする。これによれば、最先の更新候補日に制御ソフトSWを更新できなかった場合、次の更新候補日までかなりの期間空いてしまう物件(つまり、更新機会がなかなか訪れない物件)の更新順序を早く設定して、エレベータ制御装置12の制御ソフトSWを更新することが可能である。
【0087】
さらに、本実施形態に係るエレベータシステムは、最先の更新候補日が更新指示を受信した日時に近い物件から順に更新順序を決定するため、更新対象の物件の更新順序を効率よく決定することが可能である。
【0088】
なお、本実施形態においては、サーバ2に含まれる制御部21は、受信された更新指示により示される更新対象の物件の更新順序を決定し、当該更新順序に従って、更新対象の各物件に設置されたエレベータ制御装置12の制御ソフトSWを更新するが、例えば、受信された更新指示に優先的な更新が必要な物件を示す情報がさらに含まれていた場合、制御部21は、当該優先的な更新が必要な物件に設置されたエレベータ制御装置12の制御ソフトSWを、最も早い更新順序で優先的に更新してもよい。これによれば、エレベータ制御装置12の制御ソフトSWの更新をすぐに行いたい物件(例えば、最近利用者からクレームがあった物件、故障発報したエレベータが設置された物件等)を優先的に更新することが可能である。
【0089】
一般的に、サーバ2が一度に更新データを送信可能な物件数は、当該サーバ2の処理能力に依存したスレッド数(例えば5)によって制限(規定)される。このため、どの物件の制御ソフトSWを優先的に更新するかを決定することは重要である。以上説明した各実施形態に係るエレベータシステムは、更新対象の物件を更新優先度の高いグループと更新優先度の低いグループとに分類する、あるいは、更新対象の物件の更新順序を決定することができるため、どの物件の制御ソフトSWを優先的に更新するかを決定することができ、上記したスレッド数による制限がある中でも、制御ソフトSWを効率的に更新することが可能である。
【0090】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、エレベータ制御装置のソフトウェアを、遠隔から効率よく更新可能なエレベータシステムを提供することができる。
【0091】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0092】
1A~1C…エレベータ、11A~11C…乗りかご、12A~12C…エレベータ制御装置、13A~13C…コントローラ、C…クラウド、2…サーバ、3…コンピュータ端末、21…制御部、21a…取得部、21b…特定部、21c…分類部、21d…更新部、21e…決定部、22…記憶部、22a…更新候補日情報、23…通信部。
【要約】
【課題】エレベータ制御装置のソフトウェアを、遠隔から効率よく更新可能なエレベータシステムを提供すること。
【解決手段】一実施形態に係るエレベータシステムは、各物件から、エレベータの利用状況を示す利用状況情報をそれぞれ取得し、各物件毎に、取得された利用状況情報に基づいて、少なくとも1つの更新候補日を特定し、更新指示を受信した日時と各物件の更新候補日とに基づいて、各物件を、更新優先度の高い物件を含む第1グループと、第1グループよりも更新優先度の低い物件を含む第2グループとに分類し、第1グループに分類された物件に設置されているエレベータの制御装置のソフトウェアを、第2グループに分類された物件に設置されているエレベータの制御装置のソフトウェアよりも優先的に更新する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13