(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】機械的にプログラム可能な閉じた流体作動システム
(51)【国際特許分類】
B25J 9/14 20060101AFI20240227BHJP
F15B 7/08 20060101ALI20240227BHJP
F15B 7/06 20060101ALI20240227BHJP
F16H 53/02 20060101ALI20240227BHJP
F15B 15/18 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
B25J9/14
F15B7/08
F15B7/06
F16H53/02 Z
F15B15/18
(21)【出願番号】P 2022520236
(86)(22)【出願日】2020-10-02
(86)【国際出願番号】 US2020054144
(87)【国際公開番号】W WO2021067868
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-03-31
(32)【優先日】2019-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511077292
【氏名又は名称】ユニバーサル シティ スタジオズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ジェロミン アーロン チャンドラー
(72)【発明者】
【氏名】ガルニエ ティモシー フィッツジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】クラウトハマー アキヴァ メイア
(72)【発明者】
【氏名】ミアサンド アンドリュー ジェイス
【審査官】杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0296838(US,A1)
【文献】米国特許第04247017(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0108605(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0056526(US,A1)
【文献】米国特許第2877752(US,A)
【文献】中国実用新案第205807400(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 ~ 21/02
F15B 7/00 ~ 7/10
F15B 15/00 ~ 15/28
F16H 53/00 ~ 53/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソフトロボットを作動させるための作動システムであって、
カムシャフトと、
回転軸の周りを回転するように前記カムシャフトを駆動するように構成されたモータと、
エアブラダであって、前記エアブラダの圧縮中に前記エアブラダから流体を排出し、前記エアブラダの減圧中に前記エアブラダに流体を吸入するように構成された、エアブラダと、
前記カムシャフトに結合されたカムであって、
前記カムシャフト
が駆動されるときに、前記回転軸の周りを回転し、
前記カムが前記回転軸の周りを回転するときの前記カムの物理的プロファイルに基づいて、前記エアブラダを圧縮または減圧する、
ように構成されたカムと、
前記エアブラダに結合されたソフトロボットであって、前記エアブラダの圧縮中に前記ソフトロボットに挿入された前記エアブラダから排出された流体、または前記エアブラダの減圧中に前記エアブラダに吸入された前記ソフトロボットから除去された流体に基づいて動くように作動される、ソフトロボットと、
を備える、作動システム。
【請求項2】
前記カムと連携するように構成されたヒンジと、
前記ヒンジに形成された指と、
を更に備え、
前記ヒンジは、前記カムが前記回転軸の周りを回転するときの前記カムの物理的プロファイルに基づいて、前記回転軸から離れる方向または前記回転軸に向かう方向に動き、
前記指は、前記ヒンジが前記回転軸から離れる方向に動くときに前記エアブラダを圧縮し、前記ヒンジが前記回転軸に向かう方向に動くときに前記エアブラダを減圧する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の作動システム。
【請求項3】
前記流体が液体または気体である、請求項1に記載の作動システム。
【請求項4】
前記ソフトロボットがホースを介して前記エアブラダに結合された、請求項1
に記載の作動システム。
【請求項5】
前記ソフトロボットの容積容量が前記エアブラダの容積容量に等しい、請求項1
に記載の作動システム。
【請求項6】
少なくとも1つの他のエアブラダであって、前記少なくとも1つの他のエアブラダの圧縮中に、前記少なくとも1つの他のエアブラダから流体を排出し、前記少なくとも1つの他のエアブラダの減圧中に、前記少なくとも1つの他のエアブラダに流体を吸入するように構成された、少なくとも1つの他のエアブラダと、
前記カムシャフトに結合された少なくとも1つの他のカムであって、
前記カムシャフトの駆動されるときに、前記回転軸の周りを回転し、
前記少なくとも1つの他のカムが前記回転軸の周りを回転するときに、前記少なくとも1つの他のカムの物理的プロファイルに基づいて、前記少なくとも1つの他のエアブラダを圧縮または減圧する、
ように構成された、少なくとも1つの他のカムと、
前記少なくとも1つの他のエアブラダに結合された、少なくとも1つの他のソフトロボットであって、前記少なくとも1つの他のエアブラダの圧縮中に前記少なくとも1つの他のソフトロボットに挿入された前記少なくとも1つの他のエアブラダから排出された流体、または前記少なくとも1つの他のエアブラダの減圧中に前記少なくとも1つの他のエアブラダに吸入された前記少なくとも1つの他のソフトロボットから除去された流体に基づいて動くように作動される、少なくとも1つの他のソフトロボットと、
を更に備える、請求項1に記載の作動システム。
【請求項7】
前記カムおよび前記少なくとも1つの他のカムは、更に
、同一のエアブラダを圧縮または減圧するように構成された、請求項6に記載の作動システム。
【請求項8】
前記ソフトロボットは、第1空気室と、第2空気室とを備え、
前記エアブラダは、前記第1空気室に流体を排出し、または前記第1空気室から流体を吸入するように構成され、
前記少なくとも1つの他のエアブラダは、前記第2空気室に流体を排出し、または前記第2空気室から流体を吸入するように構成された、
請求項6に記載の作動システム。
【請求項9】
ソフトロボットを作動させるための方法であって、
回転軸の周りを回転するようにカムシャフトを駆動するステップと、
前記カムシャフトが駆動されるときに、前記カムシャフトに結合されたカムを前記回転軸の周りに回転させるステップと、
前記カムが前記回転軸の周りを回転するときの前記カムの物理的プロファイルに基づいて、エアブラダを圧縮または減圧するステップと、
前記エアブラダの圧縮中に前記エアブラダから流体を排出し、前記エアブラダの減圧中に前記エアブラダに流体を吸入するステップと、
前記エアブラダの圧縮中に前記ソフトロボットに挿入された前記エアブラダから排出された前記流体、または前記エアブラダの減圧中に前記エアブラダに吸入された前記ソフトロボットから除去された前記流体に基づいて、前記エアブラダに結合されたソフトロボットを動かすように作動させるステップと、
を含む方法。
【請求項10】
前記エアブラダを圧縮または減圧するステップは、
前記カムが前記回転軸の周りを回転するときの前記カムの前記物理的プロファイルに基づいて、前記回転軸から離れる方向または前記回転軸に向かう方向にヒンジを動かすステップと、
前記ヒンジが前記回転軸から離れる方向に動くと、前記ヒンジに形成された指で前記エアブラダを圧縮し、前記ヒンジが前記回転軸に向かう方向に動くと、前記指で前記エアブラダを減圧するステップと、
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記流体が液体または気体である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記ソフトロボットがホースを介して前記エアブラダに結合された、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記ソフトロボットの容積容量が前記エアブラダの容積容量に等しい、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記カムシャフトの駆動されるときに、前記カムシャフトに結合された少なくとも1つの他のカムを前記回転軸の周りに回転させるステップと、
前記少なくとも1つの他のカムが前記回転軸の周りを回転するときに、前記少なくとも1つの他のカムの物理的プロファイルに基づいて、少なくとも1つの他のエアブラダを圧縮または減圧するステップと、
前記少なくとも1つの他のエアブラダの圧縮中に、前記少なくとも1つの他のエアブラダから流体を排出し、前記少なくとも1つの他のエアブラダの減圧中に、前記少なくとも1つの他のエアブラダに流体を吸入するステップと、
前記少なくとも1つの他のエアブラダに結合された少なくとも1つの他のソフトロボットを作動させるステップであって、前記少なくとも1つの他のエアブラダの圧縮中に前記少なくとも1つの他のソフトロボットに挿入された前記少なくとも1つの他のエアブラダから排出された前記流体、または前記少なくとも1つの他のエアブラダの減圧中に前記少なくとも1つの他のエアブラダに吸入された前記少なくとも1つの他のソフトロボットから除去された前記流体に基づいて動くように作動させるステップと、
を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記カムおよび前記少なくとも1つの他のカムが、前記同一のエアブラダを圧縮または減圧する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ソフトロボットは、第1空気室と第2空気室とを備え、
前記エアブラダは、前記第1空気室に流体を排出し、または前記第1空気室から流体を吸入するステップと、
前記少なくとも1つの他のエアブラダは、前記第2空気室内に流体を排出し、または前記第2空気室から流体を吸入するステップと、
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
ソフトロボットを作動させるための作動システムであって、
メインカムシャフトと、
第1回転軸の周りを回転するように前記メインカムシャフトを駆動するように構成されたモータと
、
前記メインカムシャフトに非同軸に結合された分岐カムシャフトであって、前記メインカムシャフトが前記第1回転軸の周りを回転するときに、第2回転軸の周りを回転する、分岐カムシャフトと、
エアブラダであって、前記エアブラダの圧縮中に前記エアブラダから流体を排出し、前記エアブラダの減圧中に前記エアブラダに流体を吸入するように構成された、エアブラダと、
前記分岐カムシャフトに結合されたカムであって、
前記
分岐カムシャフトが
回転されるときに、前記第2回転軸の周りを回転し、
前記カムが前記第2回転軸の周りを回転するときに、前記カムの物理的プロファイルに基づいて、前記エアブラダを圧縮または減圧する、
ように構成されたカムと、
前記エアブラダに結合されたソフトロボットであって、前記エアブラダの圧縮中に前記ソフトロボットに挿入された前記エアブラダから排出された前記流体、または前記エアブラダの減圧中に前記エアブラダに吸入された前記ソフトロボットから除去された前記流体に基づいて動くように作動された、ソフトロボットと、
を備える、作動システム。
【請求項18】
前記分岐カムシャフトが、自在継手を介して前記メインカムシャフトに結合された、請求項17に記載の作動システム。
【請求項19】
前記流体が液体または気体である、請求項17に記載の作動システム。
【請求項20】
前記ソフトロボットがホースを介して前記エアブラダに結合された、請求項17に記載の作動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2019年10月3日に出願された「機械的にプログラム可能な閉じた流体作動システム(MECHANICALLY PROGRAMMABLE CLOSED FLUID ACTUATION SYSTEM)」という名称の米国仮特許出願第62/910,367号と、2020年10月1日に出願された「機械的にプログラム可能な閉じた流体作動システム(MECHANICALLY PROGRAMMABLE CLOSED FLUID ACTUATION SYSTEM)」という名称の米国非仮特許出願第17/061,527号とに基づく優先権およびその利益を主張するものであり、これらの文献はその全体が以下に完全に記載されているかのように参照により本書に組み込まれ、すべての目的で引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本開示は、一般に流体作動システムに関し、より具体的には、ソフトロボットを作動させるための流体作動システムに関する。
【背景技術】
【0003】
ロボット工学は、製造業、産業用途、医療用途など、多くの産業で利用されている。ほとんどのロボットシステムは「ハード」、すなわち、従来の軸受に基づく接合部を備えた金属構造で構成されている。ロボットが作動する環境の範囲を拡大するために、近年、ソフトロボット工学が大きな関心を集めている。従来、ソフトロボット工学は、物体を把持するためのロボットシステムに関連して使用される、柔らかく、共形で、適応性のある把持器を提供する。例えば、物体が棚や移動ベルトの上にある場合、あるいは棚からベルトに移動している場合、エンドエフェクタは様々な方向から物体を拾い上げるように適合することができる。ソフトロボット工学の分野が発展するにつれて、食用ソフトロボットを利用した食品分野への応用など、他の応用も出現している。
【0004】
一般に、ソフトロボットは、圧力下で展開、伸張、および/または曲がるように構成された弾性材料(例えば、ゴム、プラスチック、またはゼラチン)、または他の適切な比較的軟質な材料で形成することができる。ソフトロボットは、例えば、弾性材料の1以上の断片を所望の形状に成形することによって作成することもできる。ソフトロボットは、ソフトロボットを加圧、膨張、および/または作動させるために、空気(または他の気体)または水(または他の液体)などの流体で満たすことができる中空の内部を含むことができる。作動させると、ソフトロボットの形状またはプロファイルが変化する。場合によっては、作動によりソフトロボットが、所定の目標形状に湾曲または直線化することがある。ソフトロボットを部分的に膨張させることによって、完全に作動しない形状と完全に作動する形状との間の1以上の中間の目標形状を達成することができる。代替的にまたは追加的に、ソフトロボットは、真空を使用して作動させて、ソフトロボットから膨張流体を除去し、それによって、ソフトロボットが曲がる、ねじれる、および/または伸びる程度を変化させることができる。このように、ソフトロボットは、従来のソフトロボットでは実現困難な類型の動きまたは動きの組み合わせ(曲げ、ねじり、伸長、膨張、および収縮を含む)が可能となる。
【0005】
ソフトロボット工学分野が更に発展するにつれて、従来のソフトロボット作動システムよりも電力消費が少なく、電子的に複雑でなく、保守が容易なソフトロボットを作動させるシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
以下では、そのような実施例の基本的な理解を提供するために、本開示の1以上の実施例の簡略化された概要を示す。この概要は、本開示のすべての想定される特徴の広範な概要ではなく、本開示のすべての実施例の重要なまたは重要な要素を特定することも、本開示の任意のまたはすべての実施例の範囲を画定することも意図していない。その唯一の目的は、後に提示されるより詳細な説明の前置きとして、本開示の1以上の実施例のいくつかの概念を簡略化した形で提示することである。
【0007】
本開示の実施例では、ソフトロボットを作動させるための方法、装置、およびシステムに関する。作動システムは、カムシャフトと、回転軸の周りを回転するようにカムシャフトを駆動するように構成されたモータと、圧縮中にエアブラダから流体を排出し、減圧中にエアブラダに流体を吸入するように構成されたエアブラダとを含む。システムは、カムシャフトが駆動されるときに回転軸の周りを回転し、カムが回転軸の周りを回転するときのカムの物理的プロファイルに基づいて、エアブラダを圧縮または減圧するように構成された、カムシャフトに結合されたカムを更に含む。本システムはまた、エアブラダに結合されたソフトロボットを含み、ソフトロボットは、圧縮中にソフトロボットに挿入された流体、または減圧中にソフトロボットから除去された流体に基づいて動くように作動される。他の実施例、実施形態、および特徴もまた、請求され、説明される。
【0008】
一実施例では、ソフトロボットを作動させるための作動システムが開示されている。本作動システムは、カムシャフトと、回転軸の周りを回転するようにカムシャフトを駆動するように構成されたモータと、エアブラダの圧縮中にエアブラダから流体を排出し、エアブラダの減圧中にエアブラダに流体を吸入するように構成されたエアブラダと、カムシャフトに結合されたカムであって、カムシャフトが駆動されるときに、回転軸の周りを回転し、カムが回転軸の周りを回転するときのカムの物理的プロファイルに基づいて、エアブラダを圧縮または減圧するように構成されたカムと、エアブラダに結合されたソフトロボットと、を含み、ソフトロボットは、エアブラダの圧縮中にソフトロボットに挿入されたエアブラダから排出された流体、またはエアブラダの減圧中にエアブラダに吸入されたソフトロボットから除去された流体に基づいて、ソフトロボットが動くように作動させる。
【0009】
一実施例では、ソフトロボットを作動させるための方法が開示されている。本方法は、回転軸の周りを回転するようにカムシャフトを駆動するステップと、カムシャフトが駆動されるときにカムシャフトに結合されたカムを回転軸の周りで回転させるステップと、カムが回転軸の周りを回転するときのカムの物理的プロファイルに基づいて、エアブラダを圧縮または減圧するステップと、エアブラダの圧縮中にエアブラダから流体を排出し、エアブラダの減圧中にエアブラダへ流体を吸入するステップと、エアブラダの圧縮中にソフトロボットに挿入されたエアブラダから排出された流体、またはエアブラダの減圧中にエアブラダに吸入されたソフトロボットから除去された流体に基づいて、エアブラダに結合されたソフトロボットを動くように作動させるステップと、を含む。
【0010】
一実施例では、ソフトロボットを作動させるための作動システムが開示されている。本作動システムは、メインカムシャフトと、第1回転軸の周りを回転するようにメインカムシャフトを駆動するように構成されたモータと、メインカムシャフトに非同軸に結合された分岐カムシャフトであって、メインカムシャフトが第1回転軸の周りを回転するときに、分岐カムシャフトが第2回転軸の周りを回転するように構成された分岐カムシャフトと、エアブラダの圧縮中にエアブラダからの流体を排出し、エアブラダの減圧中にエアブラダへ流体を吸入するように構成されたエアブラダと、分岐カムシャフトに結合され、メインカムシャフトが駆動されるときに第2回転軸の周りを回転し、カムが第2回転軸の周りを回転するときのカムの物理的プロファイルに基づいて、エアブラダを圧縮または減圧するように構成されたカムと、エアブラダに結合されたソフトロボットと、を備え、ソフトロボットは、エアブラダの圧縮中にソフトロボットに挿入されたエアブラダから排出された流体、またはエアブラダの減圧中にエアブラダに吸入されたソフトロボットから除去された流体に基づいて動くように作動させる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示のある実施例による、機械的にプログラム可能な閉じた流体作動システムの一例の側面図である。
【
図2】本開示のある実施例による、機械的にプログラム可能な閉じた流体作動システムの他の例の斜視図である。
【
図3】本開示の別のある実施例による、機械的にプログラム可能な閉じた流体作動システムの一実施例を示す図である。
【
図4】本開示のある実施例による、回転カムシャフト上に形成されるか、またはそれに結合されるときに、所望のまたは記録された圧力プロファイルを生成するカム形状に変換するための例示的なプロセスを示す流れ図である。
【
図5】本開示のある実施例による、ソフトロボットを作動させるための例示的なプロセスを示す流れ図である。
【0012】
[詳細な説明]
添付図面に関連して以下に記載される詳細な説明は、様々な構成の説明として意図されており、本明細書に記載される概念を実施することができる唯一の構成を表すことを意図していない。詳細な説明には、様々な概念を完全に理解することを目的に、具体的な詳細を含んでいる。しかし、これらの概念は、これらの具体的な詳細がなくても実施され得ることは、当業者には明らかであろう。場合によっては、そのような概念を曖昧にすることを避けるために、周知の構造および構成要素がブロック図形式で示されることがある。本出願では、いくつかの例に対する例示によって実施例および実施形態を説明するが、当業者は、追加の実装および使用例が多くの異なる配置およびシナリオで実現され得ることを理解するであろう。本明細書に記載される革新は、多くの異なるプラットフォームの種類、機器、システム、形状、大きさ、および/または実装配置にわたって実装され得る。
【0013】
ソフトロボットを作動させるための以前の方法は、ソフトロボットを曲げ、ねじり、および/または伸ばすために流体(例えば、気体または液体)を直接操作するために多数の電動アクチュエータを使用する作動システムを含む。以前の作動システムは、例えば、電子計算制御システムを使用して、圧縮またはバルブのいずれかによって流体を流れ易くする。そのため、以前の作動システムは、電力を大量に消費し、電子的に複雑なものとなり得る。さらに、ポンプベースのシステム(例えば、圧縮用)またはバルブベースのシステム(例えば、バルブ用)の使用は、システム内の気密封止を維持することを困難にする場合がある。例えば、ソフトロボットキャンディなどの食品用途では、気密封止されたシステムが必要になる場合がある。しかし、食品汚染物がポンプベースまたはバルブベースのシステムのすべての構成要素へ侵入することを防ぐことは、困難および/またはコストがかかり得る。したがって、本開示の実施例では、以前のソフトロボット作動システムよりも、電力消費が少なく、電子的に複雑でなく、気密封止することが容易なソフトロボットを作動させるように構成された、機械的にプログラム可能な閉じた流体作動システムを提供する。
【0014】
本開示の実施例は、ソフトロボット流体作動システムの制御を機械的にプログラムするためのシステムおよび方法に関する。プログラム制御により、単一の定速回転運動を入力して、複雑な出力挙動を伴う閉じたシステムで多数の圧力駆動アクチュエータを駆動することができる。ここで、閉じたシステムとは、流体がシステム自体に含まれている流体作動システムを指す。
【0015】
閉じた圧力駆動システムでは、モータを使用して作動させることができるシリンダ、バルブ、チューブ、またはシリンジなどの機械的装置を介して、流体を加圧することができる。単一のモータを使用して閉じたシステムを作動させることができる。例えば、一連のシリンジを単一の実験用シリンジポンプを介して制御することができる。その結果、すべてのシリンジを同じ方法で(すなわち、同時に、同圧力で)作動させることができる。シリンジを複雑な方法で作動させる(例えば、シリンジを異なる速度、時間などで圧送される)ために、依然として1つの入力制御を使用しながら、シリンジは、カムシャフト、連携システム、またはシリンジを押す部品を有する回転ディスクなどの機構を介して作動させることができる。
【0016】
本開示のある実施例は、カムシャフト上のカムローブの形状を変更することによる、圧力駆動作動システムの挙動を機械的にプログラミングするための方法に関する。例えば、単一の制御源(例えば、モータ、手動クランク、風、または水駆動の発電機など)によって作動される一連のシリンジを使用するシステムでは、シリンジは、様々な形状および向きのカムローブを有するカムシャフトを回転させることによって、異なる時間および速度で駆動されることができる。
【0017】
ある実施例では、異なるアクチュエータの組み合わせを互いに直列に接続することによって、圧力駆動システムの作動を制御するために、組合せ論理を使用することができる。例えば、作動システムは、カムシャフト上に3つのローブを含むことができ、各ローブは単一のシリンジを圧縮する。3つのローブに異なる組み合わせのシリンジを接続することによって、7種類の異なる圧力出力挙動が可能となる。この実施例は、空気圧計算機を作成するために実装することができる。
【0018】
本開示のある実施例は、所望のまたは記録された圧力プロファイル(物理的またはシミュレーションのいずれであっても)を、回転カムシャフト上に形成されたときに所望のまたは記録されたプロファイルを生成するカムローブまたは他の形状の機器に変換する方法またはプログラム(例えば、ソフトウェアプログラム)に関する。結果として得られるプロファイルは、3D印刷またはその他の方法により製造することができる。
【0019】
本開示の機械的にプログラム可能な閉じた流体作動システムは、複雑な作動挙動をプログラムするためにバルブまたは電子制御システムを必要としないため、以前の作動システムと比較して、複雑さが軽減し、製造コストが低減した。むしろ、本流体駆動作動システムは、それぞれが異なる複雑な圧力挙動で機械的に設計された多数のアクチュエータを駆動するために1つの回転運動源を利用することができる。以前のシステムは、アクチュエータを駆動するために、バルブおよび/または回転運動または直線運動の多くの源、および計算制御システムを必要とした。
【0020】
図1は、本開示のある実施例による、機械的にプログラム可能な閉じた流体作動システム100の一例の側面図を示す。
図2は、本開示のある実施例による、機械的にプログラム可能な閉じた流体作動システム100の別の例の斜視図を示す。
図1と
図2を参照すると、作動システム100は、内部棚152および上部棚154を含むハウジング150内に形成することができる。作動システム100は、カムシャフト104を駆動して回転軸の周りを回転するように構成されたモータ102を含む。モータ102は、電動モータ、空気圧モータ、コンピュータ制御モータ、DCモータ、手回しモータなど、任意の適切なモータであり得る。一実施例では、モータ102は、支持構造物140を介してカムシャフト104に結合され得る。利用されるモータの種類は、作動システム100が使用される用途の規模に依存し得る。カムシャフト104の回転は、支持ブロック108に固定され得る1以上の軸受アセンブリ106により容易となる。
【0021】
多数のカム(またはカムローブ)110、112、114は、カムシャフト104上に形成されるか、またはカムシャフト104に結合されることができる。各カムは、カムシャフト104がモータ102によって駆動されるとき、カムシャフト104と共に回転する。図には合計3つのカムが描かれているが、モータ102およびカムシャフト104の回転させる強さに応じて、任意の数のカム(またはカムローブ)を作動システム100に実装することができると考えられる。カムは任意の種類の材料で作ることができる。例えばカムは、容易に摩耗しない材料で作ることができ、および/または、低摩擦プラスチックまたは高密度低摩擦ポリマーなどの低摩擦材料で作ることができる。
【0022】
作動システム100は、ブラケット126によってハウジング150の背壁に固定されたヒンジ122を更に含むことができる。ヒンジ122の各々は、対応する回転カム110、112、または114によって接触されるときに、回転軸から離れ、回転軸に向かって動く(例えば、上下に旋回する)ように構成される。ヒンジ122が回転軸から離れ、回転軸に向かって動く(例えば、上下に動く)距離(例えば、高さ)および動く速度(例えば、上下に動く)は、カム110、112、または114の物理的プロファイルに依存する。例えば、カムの物理的プロファイルが4つの小さなカムローブを含む場合、ヒンジ122は、カムがヒンジに接触するときに、比較的低い最大高さで1回転あたり4回上下に動くことになる。別の例では、カムの物理的プロファイルが2つの大きなカムローブを含む場合、ヒンジ122は、カムがヒンジに接触するときに、比較的高い最大高さで1回転あたり2回上下に動くことになる。
【0023】
指124は、エアブラダ116、118、120の圧縮および減圧を補助するために、ヒンジ122上に形成されることができ、またはヒンジ122に結合されることができる。例えば、指124は、ヒンジ122の動きを増幅して、エアブラダにより強い力を及ぼすのを助ける。ある実施例では、カムシャフト104がカム110、112、または114を回転させてヒンジ122を回転軸から離れるように(例えば、上方向に)動かすと、指124はエアブラダに圧力を加えてエアブラダを圧縮させ、その結果、エアブラダの開口部(例えば、ノズル)を通して流体(例えば、ガスまたは液体)を排出させることになる。カムシャフト104が更にカム110、112、または114を回転させてヒンジ122を回転軸に向かって(例えば、下方向に)動かすと、指124はエアブラダに加えられた圧力を解放してエアブラダを減圧し、その結果、開口部を介してエアブラダ内に流体を吸入させることになる。ある実施例では、エアブラダは、図に描かれているように、バルブシリンジであり得る。しかし、ある圧力で流体を排出/吸入することができる任意の他の種類のシリンジまたはエアブラダを、作動システム100に実装することができる。
【0024】
エアブラダ116、118、120は、内部棚152を介してハウジング150内で支持され得る。さらに、エアブラダ116、118、120の一部は、ソフトロボットなどの作動される構成要素との結合を容易にするために、ハウジング150の上部棚154を通して露出され得る。
図1に示すように、第1エアブラダ116は第1ソフトロボット132に結合され、第2エアブラダ118は第2ソフトロボット134に結合され、第3エアブラダ120は第3ソフトロボット136に結合される。ある実施例では、第2エアブラダ118が第2ソフトロボット134に直接結合される場合のように、エアブラダはソフトロボットに直接結合され得る。他の実施例では、第1エアブラダ116がホース128を介して第1ソフトロボット132に結合される場合、および第3エアブラダ120がホース130を介して第3ソフトロボット136に結合される場合のように、エアブラダはホース(またはチューブ)を介してソフトロボットに間接的に結合され得る。ホースの使用は、対応するソフトロボットの作動がエアブラダから離れた距離で起こることを可能にする。したがって、作動システム100を駆動するモータ102が、ユーザがより少ない強度でモータ102を聞くようにソフトロボットから離れた距離に位置する場合、音の減衰が容易になり得る。
【0025】
カムシャフト104が回転すると、カム110、112、または114は、ソフトロボット132、134、または136を作動させるために、エアブラダ116、118、または120を圧縮して流体を排出させる(例えば、ヒンジ122および指124を介して)。ある実施例では、ソフトロボット132、134、または136は、弾性材料(例えば、ゴム、プラスチック、またはゼラチン)、またはエアブラダ116、118、または120から排出される流体の圧力下で展開、伸張、および/または曲がるように構成される他の好適な軟質材料で形成されている。ソフトロボット132、134、または136は、例えば、弾性材料の1以上の断片を所望の形状に成形することによって作成することができる。ソフトロボットは、ソフトロボットを加圧、膨張、および/または作動させるために前述の流体で満たすことができる中空の内部(またはチャンバ)を含むことができる。作動させると、ソフトロボットの形状またはプロファイルが変化する。例えば、作動は、ソフトロボットを所定の目標形状に湾曲または直線化させることができる。さらに、完全に作動していない形状と完全に作動している形状との間の中間の目標形状は、ソフトロボットを部分的に膨張させることによって達成することができる。代替的にまたは追加的に、真空を使用してソフトロボットを作動させ、ソフトロボットから膨張流体を除去し、それによってソフトロボットが曲がる、ねじれる、および/または伸びる程度を変化させることができる。
【0026】
本開示のある実施例では、作動システム100は、ソフトロボット132、134、または136がグミキャンディなどのソフトロボットキャンディである、テーマパークのレストランおよびアトラクションで使用のために実施され得る。グミキャンディは、エアブラダ116、118、または120から排出される流体で膨張可能な可撓性空気チャンバを含む。グミキャンディのチャンバの形状は、エアブラダによって作動したときにグミキャンディが望むよう動くように、注意深く設計することができる。ある例示的なシナリオでは、作動システム100の構成要素の多くは、レストランのカウンター(または食品陳列台)の下に置かれ、一方、グミキャンディのトレイは、グミキャンディがエアブラダ116、118、120に結合することができるように、上部棚154に近接してカウンターの上に置かれることができる。したがって、作動システム100が作動すると、エアブラダは流体を排出し、グミキャンディを設計通りに動かして(例えば、曲げ、ねじり、伸び、拡張、収縮など)、顧客にキャンディを購入して食べるように促すことができる。ある実施例では、モータ102から延びる、またはモータ102と通信するスイッチまたはセンサを、上部棚154または作動システム100の他の外面上またはその近くに配置することができる。したがって、例えば、スイッチが(例えば、グミキャンディのトレイによって)押されたとき、またはセンサが入力(例えば、顧客の手)を感知したとき、モータ102が作動(またはモータ速度が増加/減少)し、ソフトロボットを作動させることができる。
【0027】
いくつかの実施例では、エアブラダの容積容量およびソフトロボットの容積容量を考慮することができる。例えば、エアブラダの容積容量が小さく、一方、ソフトロボットの容積容量が大きい場合、エアブラダがソフトロボットに流体を排出するときに、ソフトロボットが過小膨張する可能性がある。あるいは、エアブラダの容積容量が大きく、ソフトロボットの容積容量が小さい場合、エアブラダがソフトロボットに流体を排出するときに、ソフトロボットが過大膨張および/または爆発する可能性がある。したがって、ソフトロボットを意図的に過小膨張または過大膨張させる用途(例えば、演劇的/劇的効果のためにソフトロボットを急に動かす)でない限り、エアブラダとソフトロボットの容積容量の比率は1対1が好ましい場合がある。さらに、ソフトロボットの過大膨張を防ぐために、作動システム100に圧力解放バルブを実装することができる。
【0028】
作動システム100の利点は、ソフトロボットの所望の動きをプログラミングするための複雑でない方法を提供することである。以前のソフトロボット作動システムでは、個々のリニアアクチュエータまたはバルブが、所望の圧力プロファイルを実行するためにプログラム制御される。したがって、システム全体をアクチュエータ/バルブを制御するために電子的にプログラムする必要がある。これに対して、作動システム100は、圧力プロファイルをカムシャフト104に直接プログラムするため、単純化する。
図2に示されるように、カムシャフト104は、様々な形状のカム110、112、114を有することができ、その形状を所望の圧力プロファイルで符号化/設計する。いくつかの圧力プロファイルの例には、心拍プロファイル(ソフトロボットが心拍のように脈動する)、ソフトロボットを特定の速度で膨張/収縮させるプロファイル、などがある。
【0029】
本開示のある実施例では、作動システム100の2以上のカムを組み合わせることができる。例えば、第1カム110によって作動される第1エアブラダ116に結合されたホース128は、第3カム114によって作動される第3エアブラダ130に結合されたホース130と組み合わせることができる。このように、一方のホースが低圧または負圧で流体を排出し、他方のホースが正圧で流体を排出する場合、組み合わせに基づいて圧力の混合が可能になる。
【0030】
ある実施例では、作動システム100は単一のモータ102を有するように示されているが、複数のモータを実装することができる。例えば、2つのカムシャフトが利用され、それぞれが同じ速度または異なる速度の対応するモータによって駆動されることができる。このようにして、一方のモータは増加した速度で動作し、他方のモータは減少した速度で動作することができる。したがって、各カムシャフトからの圧力プロファイルを結合して、結合された圧力プロファイルを生成することができる。このような実装により、入力モータの数を最小限に抑えながら、潜在的な圧力プロファイルの数を増やすことができる。別の実施例では、複数のカムシャフトを、カムシャフトが同じモータに取り付けられるが異なる速度で駆動されるようにギア化することができる。
【0031】
ある実施例では、カムとエアブラダを、ソフトロボットに対するカムの組み合わせの設定がどのようになっているかに応じて、ソフトロボットがほぼランダムに動いているように見える(すなわち、ソフトロボットの動きが長期間繰り返されない)ように、1以上のソフトロボットを特に作動させるように設計することができる。したがって、カムとエアブラダ、およびそれらの組み合わせを、ソフトロボットの動きがランダムに見えるように、一定時間にわたって十分な変化で作動するように設計することができる。さらなる実施例では、カムとエアブラダ、およびそれらの組み合わせを、任意の圧力プロファイルを生成するように設計することができる。これは、様々な空気圧操作、例えば、空気圧に基づいて動く口や、対話に基づいて動く任意の特定の口プロファイルを有するアニメーションのフィギュアに有用である場合がある。
【0032】
ある実施例では、単一のソフトロボットは、2つの別個の空気チャンバを含むことができる。1つのカムによって作動する1つのエアブラダがソフトロボットの1つの空気チャンバで作動し、一方、異なるカムによって作動する別のエアブラダがソフトロボットの他の空気チャンバで作動することができる。結果例として、ソフトロボットは、一方のカムからの作動に基づいて左に傾くようになり、他方のカムからの作動に基づいて右に傾くようになり得る。さらに、一方のエアブラダにより一方の空気チャンバを膨張させ、他方のエアブラダにより他方の空気チャンバから空気を吸入すると、ソフトロボットが左右に傾く動きが激しくなる可能性がある。
【0033】
本開示のある実施例では、カムシャフト104を使用する代わりに、他の種類の駆動機構を、エアブラダを作動させるために使用することができる。例えば、作動システム100は、エアブラダ116、118、120を作動させる隆起、窪み、谷、または溝を有するディスクを利用することができる。ディスクは、レコードプレーヤでのレコードの回転と同様に、垂直軸の周りを回転することができる。別の実施例では、作動システム100は、ドラムの内壁および/または外壁に形成された隆起を有するドラムを利用することができ、隆起はエアブラダを作動させる。さらなる実施例では、作動システム100は、エアブラダを作動させるための隆起または溝を有するベルトを利用することができる。
【0034】
ある実施例では、記録型作動システムのディスク上の隆起または溝を増幅することができる。例えば、レバーまたはバー連携システムを、トルクを犠牲にして運動の程度を増幅するために使用することができる。すなわち、作動システムで使用されるモータが十分な量のトルクを有し、隆起または溝に対する可動要素の力が十分に大きい場合、可動要素の運動を増幅することができる。したがって、非常に小さな隆起または溝は、ソフトロボットに非常に大きな端効果を生じさせる可能性がある。
【0035】
ある実施例では、記録型作動システムのディスクを実装する場合、ヒンジ122の代わりにローラ付きピストンを利用することができる。ディスクの隆起または溝が垂直軸の周りを回転すると、ローラが隆起または溝に沿って回転し、ピストンを上下に動かすことができる。これは、ヒンジ122を使用して可能なものよりも多くの作動機構を作動システム100に実装するのに有用である場合がある。
【0036】
ある実施例では、ソフトロボットから空気を吸入する場合、エアブラダが少なくとも部分的に圧縮されているとき、ソフトロボットをエアブラダ(またはエアブラダに結合されたホース)に取り付けることができる。エアブラダが膨張すると、エアブラダはソフトロボットから空気を吸入する。その後、エアブラダは、その最初の部分的に圧縮された状態を超えて圧縮され、ソフトロボットを膨張させることができる。さらなる実施例では、作動システム100は、システム内の圧力を中和するために定期的にまたは要求に応じてエアブラダに係合することができるリセットカムを含むことができる。リセットカムは、エアブラダを初期状態またはデフォルト状態にリセットするために、エアブラダを開いた状態に保持する。
【0037】
本開示のある実施例では、複数のエアブラダを単一のカムによって作動させることができる。例えば、作動システムは垂直方向を有する駆動シャフトを含むことができる。
したがって、カムが垂直軸の周りを回転するために駆動シャフトによって駆動されるときに、駆動シャフトに結合された単一のカムがエアブラダを作動させるように構成されるように、複数のエアブラダを垂直方向に向いた駆動シャフトの周りに配置することができる。
【0038】
本開示のある実施例では、単一のモータが複雑な継手構造を通じて複数のカムシャフトを駆動することができるように、継手機構を介して2以上のカムシャフトを組み合わせることができる。例えば、
図3では、本開示のある実施例による機械的にプログラム可能な閉じた流体作動システム300の一例を示している。流体作動システム300は、モータ302と、メインカムシャフト304とを含む。メインカムシャフト304は、垂直方向に向けられている。したがって、モータ302は、メインカムシャフト304を駆動して、第1回転軸(例えば、垂直軸)の周りを回転させるように構成されている。メインカムシャフト304は、自在継手308を介して、分岐カムシャフト306に角度をつけて(非同軸に)結合されている。モータ302がメインカムシャフト304を駆動して第1回転軸の周りを回転させると、モータ302の回転力がある角度で(自在継手308を介して)分岐カムシャフト306に伝達され、分岐カムシャフト306を第2回転軸の周りを回転させることができる。分岐カムシャフト306が回転すると、分岐カムシャフト306に結合されたカム310が回転し、エアブラダ316を圧縮する(例えば、図示しないヒンジおよび/または指を介して)。圧縮されると、エアブラダ316は、ソフトロボット332を作動させるために流体を排出する(例えば、ホース328を介して)。
【0039】
ある実施例では、
図3の作動システム300を、1以上の分岐を有する装飾的なツリー構造で実施することができる。モータ302をツリーの基部に収容することができ、メインカムシャフト304をツリーの幹内で垂直に延びることができる。さらに、分岐カムシャフト306、カム310、およびエアブラダ316を、ツリーの枝内に収容することができ、ソフトロボット332を枝の外部に配置することができる。
【0040】
本開示のある実施例では、本開示の作動システムで使用される流体は、大気、酸素、窒素などの、食べてもおよび/または呼吸しても安全な気体(食品安全気体)である。窒素が使用される場合、作動システムは、エアブラダおよびソフトロボットに窒素を注入するための別個のバルブを更に含むことができる。2つの構成要素を結合する前に、エアブラダとソフトロボットに窒素を注入することができる。これにより、システム内の大気をより効率的な方法で窒素に置き換えることができる。動作中、窒素で満たされたソフトロボットがエアブラダから切り離されると、窒素は安全に大気中に漏出する。
【0041】
本開示のある実施例では、本開示の作動システムは、同じソフトロボットに結合された2つのブラダを含むことができ、第1ブラダは気体(例えば、空気)で満たされ、第2ブラダは液体(例えば、水またはジュース)で満たされる。各ブラダは、異なるカムによって作動させることができる。第1ブラダに対応するカムを回転させることによって、作動システムは、気体で満たされた第1ブラダを作動させて、ソフトロボットを動かす(例えば、曲げる、ねじる、伸ばすなど)ことができる。その後、ソフトロボットが作動システムから切り離された結果、または時折、第2ブラダに対応するカムが作動システムによって回転されて、液体で満たされた第2ブラダを押して、液体が噴霧されることを引き起こすことができる。
【0042】
図4は、本開示のある実施例による、回転カムシャフト上に形成されるかまたはそれに結合されるときに、所望のまたは記録された圧力プロファイルを生成するカム(またはカムローブ)形状に変換するための、例示的なプロセス400を示す流れ図である。結果として得られるプロファイルは、製造機(例えば、3Dプリンタ、レーザ切断機など)により生成することができる。いくつかの例では、コンピュータまたは以下に説明する機能またはアルゴリズムを実施するための任意の適切な装置または手段によって、プロセス400を実行することができる。
【0043】
ブロック402では、動きプロファイルを分析する。例えば、アニメータは、所望の動きまたは動きプロファイルに従ってデジタルキャラクタをアニメ化することができる。したがって、本プロセスでは、所望の動きをソフトロボットに変換するために、動きプロファイルを分析することを含む。
【0044】
ブロック404では、動きプロファイルに対応してソフトロボットの物理的設計を決定する。すなわち、本プロセスは、動きプロファイルに基づいて予想される動きの種類を考慮して、ソフトロボットの物理的な寸法を決定することを含む。
【0045】
ブロック406では、ソフトロボットの動きプロファイルと物理的設計とに基づいて、圧力プロファイルを決定する。例えば、本プロセスは、ソフトロボットの動きプロファイルと物理的設計とを分析し、ソフトロボットが動きプロファイルを実行するために必要な圧力特性(例えば、圧力の種類、圧力量、圧力速度など)を決定することを含む。
【0046】
ブロック408では、圧力プロファイルに基づいてカムの形状およびサイズを計算する。すなわち、本プロセスは、カムが圧力プロファイルを作成するために、カム(またはカムローブ)をどのように機械的に製造し、成形し、大きさを決定するかを含む。本プロセスは、圧力プロファイルを作成するカムを回転させるための、理想的なモータ速度を更に含むことができる。
【0047】
図5は、本開示のある実施例による、ソフトロボットを作動させるための例示的なプロセス500を示す流れ図である。以下に説明するように、本開示の範囲内の特定の実装において、いくつかのまたはすべての図示された特徴は省略され得、いくつかの図示された特徴は、すべての実施形態の実装に必要とされない場合がある。いくつかの例では、プロセス500は、
図1および
図2に示される流体作動システムにより実行することができる。いくつかの例では、プロセス500は、以下に説明する機能またはアルゴリズムを実行するための任意の適切な装置または手段により実施することができる。
【0048】
ブロック502で、作動システムは、カムシャフト(例えば、カムシャフト104)を駆動して、回転軸の周りを回転させる。
【0049】
ブロック504で、作動システムは、カムシャフトが駆動されると、カムシャフトに結合されたカム(例えば、カム110、112、または114)を回転軸の周りを回転させる。
【0050】
ブロック506で、作動システムは、カムが回転軸の周りを回転するときに、カムの物理的プロファイルに基づいて、エアブラダ(例えば、エアブラダ116、118、または120)を圧縮または減圧させる。ある実施例では、作動システムは、カムが回転軸の周りを回転するときに、カムの物理的プロファイルに基づいて、ヒンジ(例えば、ヒンジ122)を回転軸から離れる方向(例えば、上方向)または回転軸に向かう方向(例えば、下方向)に動かすことによって、エアブラダの圧縮または減圧を実行する。エアブラダは、ヒンジが回転軸から離れる方向に動くときに、ヒンジに形成される指(例えば、指124)で圧縮され、ヒンジが回転軸に向かう方向に動くときに、指で減圧され得る。
【0051】
ブロック508で、作動システムは、エアブラダの圧縮中にエアブラダから流体を排出し、エアブラダの減圧中にエアブラダに流体を吸入する。流体は、液体または気体であり得る。
【0052】
ブロック510で、作動システムは、エアブラダの圧縮中にソフトロボットに挿入されたエアブラダから排出された流体、またはエアブラダの減圧中にエアブラダに吸入されたソフトロボットから除去された流体に基づいて、エアブラダに結合されたソフトロボット(例えば、ソフトロボット132、134または136)を動かす(例えば、曲げる、ねじる、伸ばす、拡張する、縮小する等)ように作動させる。ある実施例では、ソフトロボットは、ホース(例えば、ホース128または130)を介してエアブラダに結合される。ある実施例では、ソフトロボットの容積容量は、エアブラダの容積容量に等しい。
【0053】
ある実施例では、作動システムは、カムシャフトが駆動されたときにカムシャフトに結合された少なくとも1つの他のカム(例えば、カム110、112、または114)を回転軸の周りを回転させ(ブロック504)、少なくとも1つの他のカムが回転軸の周りを回転するときに、少なくとも1つの他のカムの物理的プロファイルに基づいて、少なくとも1つの他のエアブラダ(例えば、エアブラダ116、118、または120)を圧縮または減圧することができる(ブロック506)。作動システムは、さらに、少なくとも1つの他のエアブラダの圧縮中に少なくとも1つの他のエアブラダから流体を排出し、少なくとも1つの他のエアブラダの減圧中に少なくとも1つの他のエアブラダ内に流体を吸入することができる(ブロック508)。作動システムは、少なくとも1つの他のエアブラダに結合された少なくとも1つの他のソフトロボット(例えば、ソフトロボット132、134、または136)を、少なくとも1つの他のエアブラダの圧縮中に少なくとも1つの他のソフトロボットに挿入された少なくとも1つの他のエアブラダから排出された流体、または少なくとも1つの他のエアブラダの減圧中に少なくとも1つの他のエアブラダに吸入された少なくとも1つの他のソフトロボットから除去された流体に基づいて、動くように作動させることができる。
【0054】
ある実施例では、カム(例えば、カム110)および少なくとも1つの他のカム(例えば、カム114)は、同じエアブラダを圧縮または減圧することができる。別の実施例では、ソフトロボットは、第1空気室と第2空気室とを含む。したがって、エアブラダ(例えば、エアブラダ116)は、第1空気室内に流体を排出するか、または第1空気室から流体を吸入することができ、少なくとも1つの他のエアブラダ(例えば、エアブラダ120)は、第2空気室内に流体を排出し、または第2空気室から流体を吸入することができる。
【0055】
本開示内では、「例示的」という用語は、「例、実例、または図示として機能する」ことを意味するために使用される。本明細書で「例示的」として説明される任意の実装または実施例は、必ずしも、本開示の他の実施例よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。同様に、「実施例」という用語は、本開示のすべての実施例が、議論された特徴、利点、または作動形態を含むことを必要としない。「結合」という用語は、本明細書では、2つの物体間の直接的または間接的な結合を指すために使用される。例えば、物体Aが物体Bに物理的に接触し、物体Bが物体Cに接触する場合、物体AとCは、物理的に直接接触していなくても、互いに結合していると考えられる場合がある。例えば、第1の物体が第2の物体と物理的に直接接触していなくても、第1の物体は第2の物体に結合している場合がある。
【0056】
図1~5に示される1以上の構成要素、ステップ、特徴および/または機能は、単一の構成要素、ステップ、特徴、または機能に再配列および/または結合され得、または複数の構成要素、ステップ、または機能に具現化され得る。追加の要素、構成要素、ステップ、および/または機能もまた、本明細書に開示される新規な特徴から逸脱することなく追加され得る。
図1~5に示された装置、機器、および/または構成要素は、本明細書に記載される方法、特徴、またはステップのうちの1以上を実行するように構成され得る。本明細書で説明される新規なアルゴリズムはまた、ソフトウェアに効率的に実装され、および/またはハードウェアに組み込まれ得る。
【0057】
開示される方法におけるステップの特定の順序または階層は、例示的なプロセスの例示であることが理解されるべきである。設計の好みに基づいて、方法におけるステップの特定の順序または階層は、再配置され得ることが理解される。添付の方法の請求項は、サンプルの順序で様々なステップの要素を提示し、そこに具体的に記載されていない限り、提示される特定の順序または階層に限定されることを意図するものではない。
【0058】
これまでの説明は、当業者であれば誰でも本明細書に記載される様々な実施例を実施することができるようにするために提供されている。これらの実施例に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義される一般的な原理は、他の実施例に適用することができる。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示される実施例に限定されることを意図するものではなく、特許請求の範囲の文言と一致する全範囲が与えられるものであり、単数形の要素への言及は、特にそう明記されない限り、「1つだけ」を意味することを意図するものではなく、「1以上」を意味することを意図している。特に断りのない限り、「いくつかの(some)」という用語は、1以上を指す。項目のリストの「少なくとも1つ(at least one of)」に言及する語句は、単一メンバーを含む、それらの項目の任意の組み合わせを指す。例として、「a、b、cのうちの少なくとも1つ」は、a;b;c;aおよびb;aおよびc;bおよびc;a、bおよびc、を対象とすることを意図している。当業者にとって既知であるか、または後に既知となる、本開示を通じて説明される様々な実施例の要素に対するすべての構造的および機能的等価物は、参照により本明細書に明示的に組み込まれ、特許請求の範囲に包含されることを意図している。さらに、本明細書に開示されたものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかにかかわらず、一般に公開されることを意図していない。請求項の要素は、その要素が「ための手段(means for)」という語句を用いて明示的に記載されているか、または方法の請求項の場合には「ためのステップ(step for)」という語句を用いて記載されていなければ、米国特許法112条(f)の規定に基づいて解釈されることはない。
【符号の説明】
【0059】
100 機械的にプログラム可能な閉じた流体作動システム
102 モータ
104 カムシャフト
106 軸受アセンブリ
108 支持ブロック
110、112、114 カム
116、118、120 エアブラダ
122 ヒンジ
124 指
126 ブラケット
128、130 ホース
132、134、136 ソフトロボット
140 支持構造物
150 ハウジング
152 内部棚
154 上部棚