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特許7443517フェスツーン装置及びストリップを緩衝するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】フェスツーン装置及びストリップを緩衝するための方法
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/08 20060101AFI20240227BHJP
【FI】
B29D30/08
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2022529104
(86)(22)【出願日】2022-01-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-12
(86)【国際出願番号】 NL2022050013
(87)【国際公開番号】W WO2022164310
(87)【国際公開日】2022-08-04
【審査請求日】2022-07-04
(31)【優先権主張番号】2027462
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】595090635
【氏名又は名称】ヴェーエムイー ホーランド ベー. ヴェー.
【氏名又は名称原語表記】VMI HOLLAND B. V.
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】テュニス ヨハネス フェアブルッヘン
(72)【発明者】
【氏名】ヨチェム ヨハネス ヴァン ステーニス
【審査官】岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-210489(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0216281(US,A1)
【文献】特表2005-506257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 20/34
B65H 20/24
B65H 27/00
B65H 51/22
B29D 30/00-30/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストリップを緩衝するためのフェスツーン装置であって、前記フェスツーン装置が、第1ホルダ及び第2ホルダを備え、前記第1ホルダ及び前記第2ホルダのうちの少なくとも一方が、前記フェスツーン装置の緩衝能を変化させるために緩衝方向において前記第1ホルダ及び前記第2ホルダのうちの他方に向かって及び他方から離れるように移動可能であり、前記フェスツーン装置が、前記第1ホルダ及び前記第2ホルダによってそれぞれ保持される第1組の緩衝ローラ及び第2組の緩衝ローラを更に備え、前記第1組の緩衝ローラの緩衝ローラ及び前記第2組の緩衝ローラの緩衝ローラに沿って交互に延在するそれらの間の蛇行する第1緩衝経路を画定し、前記フェスツーン装置が、前記第1組の緩衝ローラ及び前記第2組の緩衝ローラを駆動するための第1エンドレス駆動素子を更に備え、前記フェスツーン装置が、前記第1組の緩衝ローラ及び前記第2組の緩衝ローラとそれぞれ同軸の第3組の緩衝ローラ及び第4組の緩衝ローラを更に備え、前記第3組の緩衝ローラの緩衝ローラ及び前記第4組の緩衝ローラの緩衝ローラに沿って交互にのびるそれらの間の蛇行する第2緩衝経路を画定し、前記フェスツーン装置が、前記第3組の緩衝ローラ及び前記第4組の緩衝ローラを駆動するための第2エンドレス駆動素子を更に備える、フェスツーン装置。
【請求項2】
前記フェスツーン装置が、前記第1組の緩衝ローラ及び前記第2組の緩衝ローラを取り付けるための複数の第1シャフトを備え、前記フェスツーン装置が、前記第3組の緩衝ローラ及び前記第4組の緩衝ローラを取り付けるための複数の第2シャフトを更に備え、前記複数の第1シャフトは中空であり、前記複数の第2シャフトの各第2シャフトが、前記複数の第1シャフトのそれぞれの第1シャフトを通って同心状に延在する、請求項1に記載のフェスツーン装置。
【請求項3】
前記フェスツーン装置が、前記複数の第1シャフト及び前記複数の第2シャフトにそれぞれ連結された第1組の緩衝ホイール及び第2組の緩衝ホイールを備え、前記第1エンドレス駆動素子が、前記第1組の緩衝ホイールに係合するように配置され、前記第2エンドレス駆動素子が、前記第2組の緩衝ホイールに係合するように配置される、請求項2に記載のフェスツーン装置。
【請求項4】
前記第1ホルダ及び前記第2ホルダが、前記緩衝方向に平行なフェスツーン装置面内に延在し、前記第1組の緩衝ローラ、前記第2組の緩衝ローラ、前記第3組の緩衝ローラ、及び前記第4組の緩衝ローラが、前記フェスツーン装置面の第1側に設置され、前記第1組の緩衝ホイール及び前記第2組の緩衝ホイールが、前記フェスツーン装置面の第1側とは反対の第2側に設置される、請求項3に記載のフェスツーン装置。
【請求項5】
前記フェスツーン装置が、前記第1エンドレス駆動素子及び前記第2エンドレス駆動素子のうちの一方を駆動するための第1駆動装置と、前記第1エンドレス駆動素子を前記第2エンドレス駆動素子に連結するための連結部材とを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のフェスツーン装置。
【請求項6】
前記連結部材が、第3エンドレス駆動素子を備える、請求項5に記載のフェスツーン装置。
【請求項7】
前記フェスツーン装置が、前記第1エンドレス駆動素子と前記第2エンドレス駆動素子との間の張力を平衡させるための張力バランサを更に備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のフェスツーン装置。
【請求項8】
前記フェスツーン装置が、前記第1組の緩衝ローラ及び前記第2組の緩衝ローラを取り付けるための複数の第1シャフトを備え、前記フェスツーン装置が、前記第3組の緩衝ローラ及び前記第4組の緩衝ローラを取り付けるための複数の第2シャフトを更に備え、前記複数の第1シャフトは中空であり、前記複数の第2シャフトの各第2シャフトが、前記複数の第1シャフトのそれぞれの第1シャフトを通って同心状に延在し、前記フェスツーン装置が、前記複数の第1シャフト及び前記複数の第2シャフトにそれぞれ連結された第1組の緩衝ホイール及び第2組の緩衝ホイールを備え、前記第1エンドレス駆動素子が、前記第1組の緩衝ホイールに係合するように配置され、前記第2エンドレス駆動素子が、前記第2組の緩衝ホイールに係合するように配置され、前記張力バランサが、前記緩衝方向に少なくともベクトル構成要素のひとつを有する方向に移動可能な1つ以上のガイドを備え、前記第1組の緩衝ホイール及び/又は前記第2組の緩衝ホイールの少なくとも1つの緩衝ホイールが、前記緩衝方向に前記1つ以上のガイドと共に移動するように前記1つ以上のガイドに取り付けられる、請求項7に記載のフェスツーン装置。
【請求項9】
前記フェスツーン装置が、前記第1エンドレス駆動素子及び前記第2エンドレス駆動素子のうちの一方を駆動するための第1駆動装置と、前記第1エンドレス駆動素子を前記第2エンドレス駆動素子に連結するための連結部材とを備え、前記連結部材が、第3エンドレス駆動素子を備え、前記連結部材が、前記1つ以上のガイドに連結され、前記連結部材の重量の少なくとも一部が、前記緩衝方向に前記1つ以上のガイドをプルダウンする、請求項8に記載のフェスツーン装置。
【請求項10】
前記フェスツーン装置が、前記第1エンドレス駆動素子又は前記第2エンドレス駆動素子を制動するための1つ以上のダンプナを更に備える、請求項1~9のいずれか一項に記載のフェスツーン装置。
【請求項11】
前記第1ホルダ及び前記第2ホルダが、前記緩衝方向に平行なフェスツーン装置面内に延在し、前記フェスツーン装置が、前記フェスツーン装置面に対して斜めに延在する搬送経路に沿って前記第1緩衝経路から前記第2緩衝経路に前記ストリップを搬送するための搬送部材を更に備える、請求項1~10のいずれか一項に記載のフェスツーン装置。
【請求項12】
前記搬送部材が、前記第1緩衝経路から前記ストリップを受け取り、前記第2緩衝経路に前記ストリップを出力するための一組の搬送ローラを備え、前記一組の搬送ローラが、前記フェスツーン装置面に対して斜めに配置される、請求項11に記載のフェスツーン装置。
【請求項13】
前記フェスツーン装置が、前記フェスツーン装置面に対して斜めに延在する搬送コンベヤを備える、請求項11又は12に記載のフェスツーン装置。
【請求項14】
前記搬送コンベヤがエンドレスベルトを備える、請求項13に記載のフェスツーン装置。
【請求項15】
前記フェスツーン装置が、前記搬送コンベヤを駆動するための第2駆動装置を備える、請求項13又は14に記載のフェスツーン装置。
【請求項16】
前記第1緩衝経路及び前記第2緩衝経路が、平行である、請求項1~15のいずれか一項に記載のフェスツーン装置。
【請求項17】
前記第1エンドレス駆動素子及び前記第2エンドレス駆動素子がチェーンである、請求項1~16のいずれか一項に記載のフェスツーン装置。
【請求項18】
前記第1ホルダ及び前記第2ホルダが、前記フェスツーン装置の前記緩衝能を変化させるために前記緩衝方向に対向して移動可能である、請求項1~17のいずれか一項に記載のフェスツーン装置。
【請求項19】
前記フェスツーン装置が、前記フェスツーン装置の前記緩衝能の変化の結果として、前記第1エンドレス駆動素子及び前記第2エンドレス駆動素子のオーバーレングスを回収及び繰り出すためのオーバーレングスコレクタを更に備える、請求項1~18のいずれか一項に記載のフェスツーン装置。
【請求項20】
前記オーバーレングスコレクタが、前記第1緩衝経路の片側のみで前記緩衝方向に設置される、請求項19に記載のフェスツーン装置。
【請求項21】
前記オーバーレングスコレクタが、前記緩衝方向において、前記第1組の緩衝ローラの、前記第2組の緩衝ローラから外方を向く側に設置される、請求項19又は20に記載のフェスツーン装置。
【請求項22】
前記第1組の緩衝ローラが、前記第2組の緩衝ローラの上方に設置され、前記オーバーレングスコレクタが、前記第1組の緩衝ローラの上方に設置される、請求項19~21のいずれか一項に記載のフェスツーン装置。
【請求項23】
前記オーバーレングスコレクタが、第1組のコレクタホイールと、第2組のコレクタホイールとを備え、これらが、前記第1組のコレクタホイールのホイール及び前記第2組のコレクタホイールのホイールに沿って交互に延在する蛇行する第1コレクタ経路をその間に画定し、前記第1エンドレス駆動素子が、前記第1コレクタ経路に沿って延在する、請求項19~22のいずれか一項に記載のフェスツーン装置。
【請求項24】
前記オーバーレングスコレクタが、第3組のコレクタホイールと、第4組のコレクタホイールとを備え、これらが、前記第3組のコレクタホイールのコレクタホイール及び前記第4組のコレクタホイールのコレクタホイールに沿って交互に延在する蛇行する第2コレクタ経路をその間に画定し、前記第2エンドレス駆動素子が、前記第2コレクタ経路に沿って延在する、請求項23に記載のフェスツーン装置。
【請求項25】
前記フェスツーン装置が、前記第1組のコレクタホイール及び前記第2組のコレクタホイールを取り付けるための複数の第3シャフトを備え、前記フェスツーン装置が、前記第3組のコレクタホイール及び前記第4組のコレクタホイールを取り付けるための複数の第4シャフトを更に備え、前記複数の第3シャフトが中空であり、前記複数の第4シャフトの各第4シャフトが、前記複数の第3シャフトの各第3シャフトを通って同心状に延在する、請求項24に記載のフェスツーン装置。
【請求項26】
前記第1コレクタ経路及び第2コレクタ経路が、平行である、請求項24又は25に記載のフェスツーン装置。
【請求項27】
請求項1~26のいずれか一項に記載のフェスツーン装置を使用してストリップを緩衝するための方法であって、
-前記第1緩衝経路に沿って前記フェスツーン装置を通ってストリップを先導する工程、
-前記ストリップを前記第1緩衝経路から前記第2緩衝経路に搬送する工程、
-前記第2緩衝経路を通って前記ストリップを先導する工程、
-前記第1組の緩衝ローラ及び前記第2組の緩衝ローラを前記第1エンドレス駆動素子で駆動する工程、並びに
-前記第3組の緩衝ローラ及び前記第4組の緩衝ローラを前記第2エンドレス駆動素子で駆動する工程、を含む、方法。
【請求項28】
-前記第1ホルダ及び前記第2ホルダのうちの少なくとも一方を、前記第1ホルダ及び前記第2ホルダのうちの他方に向かって又は他方から離れるように前記緩衝方向に移動させることによって、前記フェスツーン装置の前記緩衝能を変化させる工程、並びに
-前記緩衝能の変化に応答して、前記第1エンドレス駆動素子及び前記第2エンドレス駆動素子のオーバーレングスをオーバーレングスコレクタで回収又は繰り出す工程、
を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記ストリップが、前記緩衝ローラに対して前記ストリップを支持するための支持層を使用せずに前記フェスツーン装置を通って先導される、請求項27又は28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェスツーン装置及びストリップ、特にタイヤ成形に使用されるストリップを緩衝するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フェスツーン装置(festooner)は、連続入力と不連続出力との間のストリップの長さを一時的に記憶、蓄積、又は緩衝するために使用される。フェスツーン装置は、例えば、連続ストリップを押し出すための押出機と、当該連続ストリップをタイヤのための長さに合わせた構成要素に切断するためのカッターとの間に配置されてもよい。フェスツーン装置は、フェスツーン装置の緩衝能(buffering capacity)を変化させるために互いに接近及び離間することができるローラの2つのグループを備える。ローラは、ストリップがフェスツーン装置を通って搬送されるときにストリップと共に受動的に回転する。
【0003】
ストリップは、フェスツーン装置に生じる力の結果として変形する場合がある。特に、比較的薄いストリップ又は未硬化のストリップがローラ上に供給される場合、ローラを動作状態にするために克服しなければならない慣性は小さいが、ストリップに引張力を引き起こす可能性がある。この問題を解決するために、フェスツーン装置を通るその経路に沿ってストリップを強化する比較的強い材料のライナをストリップに設けることが知られている。ストリップがフェスツーン装置を出た後、ストリップ及びライナは分離され、ライナはスクラップビンに回収される。
【0004】
韓国特許出願公開第2003-0042666号Aは、薄いストリップが、材料の変形を引き起こす小さな要因に敏感であることを認めている。本発明は、ストリップ内の引張力を排除することができ、したがって外力の結果としてのストリップの変形を防止することができるように、ローラを正しい速度で駆動するチェーンの使用を提案する。本発明は、ストリップの経路に沿って無端ループ内に配置され、ストリップとローラとの間の直接接触を防止するためのライナとして作用するねじれベルトを更に開示する。
【0005】
韓国特許出願公開第2003-0042666号Aによるフェスツーン装置の容量は、そのエンドレスループによって形成される単一の緩衝経路に制限される。当該フェスツーン装置の容量は、単一の緩衝経路の長さ、したがってフェスツーン装置の全体的なフットプリントを増加させることによってのみ増加させることができる。
【0006】
オランダ特許第2001509号C2は、ストリップを第1緩衝経路から第2緩衝経路に戻すための2つの後続の緩衝経路及びリターンローラを形成するために、各シャフト上の少なくとも2つの受動的かつ自由に回転可能なローラ及びリターンローラを有するフェスツーン装置を開示している。このようにして、フェスツーン装置の容量を2倍にすることができる。
【発明の概要】
【0007】
オランダ特許第2001509号C2によるフェスツーン装置において緩衝されるストリップの長さの増加は、速度差及び引張力に対する緩衝ローラとストリップとの間の摩擦及び/又は慣性の影響が、韓国特許出願公開第2003-0042666号Aの単一緩衝経路と比較して更に強いことを意味する。
【0008】
本発明の目的は、摩擦及び/又は慣性の負の影響を軽減しながら、フェスツーン装置の容量を改善することができるフェスツーン装置及びストリップを緩衝するための方法を提供することである。
【0009】
第1の態様によれば、本発明は、ストリップを緩衝するためのフェスツーン装置であって、フェスツーン装置は、第1ホルダ及び第2ホルダを備え、第1ホルダ及び第2ホルダのうちの少なくとも一方は、フェスツーン装置の緩衝能を変化させるために緩衝方向において第1ホルダ及び第2ホルダのうちの他方に向かって及び他方から離れるように移動可能であり、フェスツーン装置は、第1ホルダ及び第2ホルダによってそれぞれ保持される第1組の緩衝ローラ及び第2組の緩衝ローラを更に備え、第1組の緩衝ローラの緩衝ローラ及び第2組の緩衝ローラの緩衝ローラに沿って交互に延在するそれらの間の蛇行する第1緩衝経路を画定し、フェスツーン装置は、第1組の緩衝ローラ及び第2組の緩衝ローラを駆動するための第1エンドレス駆動素子を更に備え、フェスツーン装置は、第1組の緩衝ローラ及び第2組の緩衝ローラとそれぞれ同軸の第3組の緩衝ローラ及び第4組の緩衝ローラを更に備え、第3組の緩衝ローラの緩衝ローラ及び第4組の緩衝ローラの緩衝ローラに沿って交互にのびるそれらの間の蛇行する第2緩衝経路を画定し、フェスツーン装置は、第3組の緩衝ローラ及び第4組の緩衝ローラを駆動するための第2エンドレス駆動素子を更に備える、フェスツーン装置を提供する。
【0010】
第1緩衝経路に沿ってストリップを先導し、次いで第1緩衝経路から第2緩衝経路にストリップを搬送し、次いで第2緩衝経路に沿ってストリップを先導することによって、フェスツーン装置の容量を大幅に増加させることができる。容量は、例えば、2倍にすることができる。フェスツーン装置の容量を更に増加させるために、第3又は更なる緩衝経路を有することさえ想到され得る。
【0011】
摩擦及び/又は慣性に対する容量増加の悪影響は、第1緩衝経路に関連する緩衝ローラを駆動するための第1エンドレス駆動素子と、第2緩衝経路に関連する緩衝ローラを駆動するための第2エンドレス駆動素子とを設けることによって緩和することができる。第1エンドレス駆動素子及び第2エンドレス駆動素子は、それぞれ第1緩衝経路及び第2緩衝経路に沿って延在又は走行させることができ、多かれ少なかれそれぞれの緩衝経路の各々においてストリップと同じように挙動する。したがって、各緩衝ローラが駆動される速度は、それぞれの緩衝ローラにおけるストリップの速度と等しいか又は実質的に等しいままにすることができる。その結果、ストリップは、緩衝ローラの慣性を克服する必要がなく、ストリップに過度の張力を加えることなく、第1緩衝経路に沿って、続いてフェスツーン装置の第2緩衝経路に沿って搬送することができる。
【0012】
したがって、その容量が増加しているにもかかわらず、本発明によるフェスツーン装置は、タイヤ成形に使用されるガムストリップ等のかなりの長さの脆弱な又は容易に変形可能なストリップを、当該ストリップに過度の引張力を加えることなく緩衝するのに適している。
【0013】
さらに、張力が低減又は実質的に存在しないため、当該ストリップを支持するライナを必要とせずに、ストリップを緩衝することができる。
【0014】
好ましくは、フェスツーン装置は、第1組の緩衝ローラ及び第2組の緩衝ローラを取り付けるための複数の第1シャフトを備え、前記フェスツーン装置は、第3組の緩衝ローラ及び第4組の緩衝ローラを取り付けるための複数の第2シャフトを更に備え、前記複数の第1シャフトは中空であり、前記複数の第2シャフトの各第2シャフトは、前記複数の第1シャフトのそれぞれの第1シャフトを通って同心状に延在する。したがって、第3組の緩衝ローラを、第1組の緩衝ローラに対して同軸に取り付けることができる。同様に、第4組の緩衝ローラを、第2組の緩衝ローラに対して同軸に取り付けることができる。その結果、第2緩衝経路は、少なくとも部分的に第1緩衝経路のコピーであり得る。
【0015】
より好ましくは、フェスツーン装置が、複数の第1シャフト及び複数の第2シャフトにそれぞれ連結された第1組の緩衝ホイール及び第2組の緩衝ホイールを備え、第1エンドレス駆動素子は、第1組の緩衝ホイールに係合するように配置され、第2エンドレス駆動素子は、第2組の緩衝ホイールに係合するように配置される。緩衝ホイールは、エンドレス駆動素子のエンドレス運動をそれぞれのシャフトの回転に効果的に変換し、それによってそれぞれの緩衝ローラを駆動することができる。
【0016】
最も好ましくは、第1ホルダ及び第2ホルダは、緩衝方向に平行なフェスツーン装置面内に延在し、第1組の緩衝ローラ、第2組の緩衝ローラ、第3組の緩衝ローラ、及び第4組の緩衝ローラは、フェスツーン装置面の第1側に設置され、第1組の緩衝ホイール及び第2組の緩衝ホイールが、フェスツーン装置面の第1側とは反対の第2側に設置される。したがって、第1シャフト及び第2シャフトは、緩衝ローラを駆動するための駆動機構とストリップを緩衝するための緩衝機構との間の干渉を効果的に防止するために、緩衝ホイールが設置されているフェスツーン装置面の他方の側から突出するように、緩衝ローラが設置されているフェスツーン装置面の一方の側からそれぞれのホルダを通って延在することができる。
【0017】
別の実施形態において、フェスツーン装置は、第1エンドレス駆動素子及び第2エンドレス駆動素子のうちの一方を駆動するための第1駆動装置と、第1エンドレス駆動素子を第2エンドレス駆動素子に結合するための連結部材とを備える。したがって、第1エンドレス駆動素子及び第2エンドレス駆動素子の両方を駆動するために必要な駆動装置は1つでよい。
【0018】
好ましくは、連結部材は、第3エンドレス駆動素子を備える。第3エンドレス駆動素子は、第1エンドレス駆動素子の運動を第2エンドレス駆動素子に、すなわち同軸に取り付けられた連結ホイールを使用して効果的に伝達することができる。
【0019】
別の実施形態では、フェスツーン装置は、第1エンドレス駆動素子と第2エンドレス駆動素子との間の張力を平衡させるための張力バランサを更に備える。張力バランサは、例えば摩耗及び/又は伸長の結果として、エンドレス駆動素子の公差を相殺及び/又は吸収することができる。
【0020】
前述の張力バランサを前述の緩衝ホイールと組み合わせる実施形態では、張力バランサは、緩衝方向の少なくとも1つの構成要素を有する方向に移動可能な1つ以上のガイドを備え、第1組の緩衝ホイール及び/又は第2組の緩衝ホイールの少なくとも1つの緩衝ホイールは、緩衝方向に当該1つ以上のガイドと共に移動するように当該1つ以上のガイドに取り付けられる。したがって、張力を発生させることができ、及び/又は公差を当該緩衝方向に吸収することができる。
【0021】
前述のガイドを前述の連結部材と組み合わせる実施形態では、連結部材は、1つ以上のガイドに連結され、連結部材の重量の少なくとも一部は、緩衝方向に1つ以上のガイドをプルダウンする。したがって、連結部材は、エンドレス駆動素子を相互接続し、当該エンドレス駆動素子に張力をかける機能の両方を実行することができる。このようにして、一方のエンドレス駆動素子は他方に張力をかけることができる。したがって、任意の伸長にかかわらず、一方のエンドレス駆動素子の張力を他方のエンドレス駆動素子の張力と同じ又は実質的に同じに保つことができる。
【0022】
別の実施形態では、フェスツーン装置は、第1エンドレス駆動素子及び/又は第2エンドレス駆動素子を制動するための1つ以上のダンプナを更に備える。したがって、エンドレス駆動素子の小さな振動及び/又は変動を低減及び/又は相殺することができる。
【0023】
別の実施形態では、第1ホルダ及び第2ホルダは、緩衝方向に平行なフェスツーン装置面内に延在し、フェスツーン装置は、フェスツーン装置面に対して斜めに延在する搬送経路に沿って第1緩衝経路から第2緩衝経路にストリップを搬送するための搬送部材を更に備える。したがって、搬送部材は、第1緩衝経路を含む平面から第2緩衝経路を含む平面に向かってストリップを効果的に偏向及び/又は誘導することができる。
【0024】
追加的又は代替的に、搬送部材は、第1緩衝経路からストリップを受け取り、第2緩衝経路にストリップを出力するための一組の搬送ローラを備え、一組の搬送ローラは、フェスツーン装置面に対して斜めに配置される。ストリップは、第1緩衝経路に関連する緩衝ローラのうちの1つから当該搬送ローラのうちの1つへの移行部、及び/又は当該搬送ローラのうちの1つから第2緩衝経路に関連する緩衝ローラのうちの1つへの移行部においてわずかにねじられてもよい。
【0025】
これに加えて、又はこれに代えて、フェスツーン装置は、フェスツーン装置面に対して斜めに、及び/又は搬送経路に平行に延在する搬送コンベヤを備える。搬送コンベヤは、ストリップが搬送経路に沿って効果的に偏向及び/又は誘導されることを確実にするために、搬送経路に沿ったいくつかの位置でストリップと接触することができる。搬送コンベヤは、例えば、ローラコンベヤ又はワイヤコンベヤであってもよい。好ましくは、搬送コンベヤはエンドレスベルトを備える。エンドレスベルトとストリップとの間に摩擦を連続的に発生させて、ストリップが搬送経路に沿って効果的に偏向及び/又は誘導されることを確実にすることができる。
【0026】
別の実施形態では、フェスツーン装置は、搬送コンベヤを駆動するための第2駆動装置を備える。緩衝ローラと同じエンドレス駆動素子を用いて搬送コンベヤを駆動することは困難な場合があるため、フェスツーン装置面に対して斜めの配向のために、搬送コンベヤ及び/又は搬送ローラの速度を制御するために別個の駆動装置を設けることができる。第2駆動装置は、速度差を低減又は防止するために第1駆動装置と電子的に同期されてもよい。
【0027】
別の実施形態では、第1緩衝経路及び第2緩衝経路は、平行又は実質的に平行である。このため、緩衝経路を前後にコンパクトに積み重ねることができる。したがって、フェスツーン装置の全体的なフットプリントを著しく増加させることなく、緩衝経路を第1緩衝経路に追加することができる。
【0028】
別の実施形態では、第1エンドレス駆動素子及び第2エンドレス駆動素子はチェーンである。チェーンは、スプロケットホイールによって効果的に係合することができる。
【0029】
別の実施形態では、第1ホルダ及び第2ホルダは、フェスツーン装置の緩衝能を変化させるために緩衝方向に対向して移動可能である。両方のホルダが互いに向かって移動可能であることにより、ストリップをフェスツーン装置に手動で装填するためのより人間工学的な装填位置を得ることができる。
【0030】
別の実施形態では、フェスツーン装置は、フェスツーン装置の緩衝能の変化の結果として、第1エンドレス駆動素子及び第2エンドレス駆動素子のオーバーレングスを回収及び繰り出すためのオーバーレングスコレクタを更に備える。したがって、第1緩衝経路及び第2緩衝経路に沿って延在するエンドレス駆動素子の部分の長さは、当該それぞれの緩衝経路に沿って延在するストリップの長さと同じに保つことができ、それによって、少なくとも当該緩衝経路に沿って、それぞれのエンドレス駆動素子がストリップと同じように挙動することを保証する。
【0031】
好ましくは、オーバーレングスコレクタは、第1緩衝経路の片側のみで緩衝方向に設置される。駆動素子のオーバーレングスのかなりの部分、好ましくは駆動素子のオーバーレングスの全て又は全体を、フェスツーン装置の一端のみに集めることができる。言い換えれば、第1緩衝経路の他方の側及び/又はフェスツーン装置の他端で駆動素子の回収を担うフェスツーン装置の部分は存在しない。その結果、フェスツーン装置のより多くの空間を使用してストリップを緩衝することができる。したがって、フェスツーン装置の容量を増加させることができ、あるいは、結果として得られるフェスツーン装置は、同じ容量を維持しながらよりコンパクトにすることができる。より具体的には、フェスツーン装置は、反対方向に移動するホルダ間の距離及び/又は当該ホルダの装填位置を改善することができるので、より人間工学的に装填することができる。
【0032】
追加的又は代替的に、オーバーレングスコレクタは、緩衝方向において、第1組の緩衝ローラの、第2組の緩衝ローラから外方を向く側に設置される。したがって、オーバーレングスコレクタは、第2セットの緩衝ローラ及び/又は第2ホルダと干渉しない。
【0033】
その更なる実施形態では、第1組の緩衝ローラは、第2組の緩衝ローラの上方に設置され、オーバーレングスコレクタは、第1組の緩衝ローラの上方に設置される。オーバーレングスコレクタが上方に設置されることにより、ストリップを緩衝するフェスツーン装置の部分は、地面のより近くに、すなわちフェスツーン装置がオペレータによって都合よく装填され得る範囲内に設置され得る。
【0034】
その更なる実施形態では、オーバーレングスコレクタは、第1組のコレクタホイールと、第2組のコレクタホイールとを備え、これらが、第1組のコレクタホイールのホイール及び第2組のコレクタホイールのホイールに沿って交互に延在する蛇行する第1コレクタ経路をその間に画定し、第1エンドレス駆動素子は、第1コレクタ経路に沿って延在する。第1コレクタ経路は、第1緩衝経路がストリップを緩衝するために使用されるのと実質的に同じ方法で、第1エンドレス駆動素子のオーバーレングスを一時的に回収し、続いて繰り出すために使用され得る。
【0035】
好ましくは、オーバーレングスコレクタは、第3組のコレクタホイールと、第4組のコレクタホイールとを備え、これらは、第3組のコレクタホイールのコレクタホイール及び第4組のコレクタホイールのコレクタホイールに沿って交互に延在する蛇行した第2コレクタ経路をその間に画定し、第2エンドレス駆動素子が、第2コレクタ経路に沿って延在する。第2コレクタ経路は、第2緩衝経路がストリップを緩衝するために使用されるのと実質的に同じ方法で、第2エンドレス駆動素子のオーバーレングスを一時的に回収し、続いて繰り出すために使用され得る。
【0036】
より好ましくは、フェスツーン装置は、第1組のコレクタホイール及び第2組のコレクタホイールを取り付けるための複数の第3シャフトを備え、フェスツーン装置は、第3組のコレクタホイール及び第4組のコレクタホイールを取り付けるための複数の第4シャフトを更に備え、複数の第3シャフトは中空であり、複数の第4シャフトの各第4シャフトは、複数の第3シャフトの各第3シャフトを通って同心状に延在する。したがって、第3組のコレクタホイールを、第1組のコレクタホイールに対して同軸に取り付けることができる。同様に、第4組のコレクタホイールを、第2組のコレクタホイールに対して同軸に取り付けることができる。その結果、第2コレクタ経路は、少なくとも部分的に第1コレクタ経路のコピーであり得る。
【0037】
追加的又は代替的に、第1コレクタ経路及び第2コレクタ経路は、平行又は実質的に平行である。このため、コレクタ経路を前後にコンパクトに積み重ねることができる。したがって、フェスツーン装置の全体的なフットプリントを著しく増加させることなく、コレクタ経路を第1コレクタ経路に追加することができる。
【0038】
第2の態様によれば、本発明は、本発明の第1の態様の実施形態のいずれか1つによるフェスツーン装置を使用してストリップを緩衝するための方法を提供し、該方法は、
-第1緩衝経路に沿ってフェスツーン装置を通ってストリップを先導する工程、
-ストリップを第1緩衝経路から第2緩衝経路に搬送する工程、
-第2緩衝経路を通ってストリップを先導する工程、
-第1組の緩衝ローラ及び第2組の緩衝ローラを第1エンドレス駆動素子で駆動する工程、並びに
-第3組の緩衝ローラ及び第4組の緩衝ローラを第2エンドレス駆動素子で駆動する工程、を含む。
【0039】
該方法は、本発明の第1の態様によるフェスツーン装置の実際の実装に関するものであり、したがって同じ技術的利点を有し、以下では繰り返さない。
【0040】
好ましくは、該方法は、
-第1ホルダ及び第2ホルダのうちの少なくとも一方を、第1ホルダ及び第2ホルダのうちの他方に向かって及び/又は他方から離れるように緩衝方向に移動させることによって、フェスツーン装置の緩衝能を変化させる工程、並びに
-緩衝能の変化に応答して、第1エンドレス駆動素子及び第2エンドレス駆動素子のオーバーレングスをオーバーレングスコレクタで回収及び/又は繰り出す工程、を含む。
【0041】
追加的又は代替的に、ストリップは、緩衝ローラに対して当該ストリップを支持するための支持層を使用せずにフェスツーン装置を通って先導される。ライナがない場合、廃棄物が少ないため、緩衝プロセスをより低コスト及び/又はより耐久性とすることができる。
【0042】
本明細書に記載及び図示された様々な態様及び特徴は、可能な限り個別に適用することができる。これらの個々の態様、特に添付の従属請求項に記載された態様及び特徴は、分割特許出願の主題とすることができる。
【0043】
本発明は、添付の概略図に示される例示的な実施形態に基づいて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】最大容量における、本発明の第1の例示的な実施形態によるフェスツーン装置の前面の等角図である。
図2】最大容量における、本発明の第1の例示的な実施形態によるフェスツーン装置の前面の等角図である。
図3】最小容量における、図1によるフェスツーン装置の前面の等角図である。
図4】最小容量における、図2によるフェスツーン装置の前面の等角図である。
図5図1によるフェスツーン装置の後側の等角図である。
図6】本発明の第2例示的な実施形態による代替的なフェスツーン装置の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1は、本発明の第1例示的な実施形態によるフェスツーン装置1を示す。フェスツーン装置1は、押出機(図示せず)の連続押出プロセスと不連続な切断又は塗布プロセスとの間でストリップSを一時的に蓄積又は緩衝するために使用される。ストリップSは、タイヤ成形に使用することができる。この例では、ストリップSは、当該鋭利縁部がタイヤの他の部分に食い込むのを防止するために、ブレーカープライの鋭利縁部の周りに巻き付けられ、又は折り畳まれたガムストリップである。あるいは、ストリップSを、ストリップ巻取りによってタイヤ構成要素を形成するために使用することができる。
【0046】
図1に示されるように、フェスツーン装置1は、地面、すなわち工場の床にフェスツーン装置1を配置するためのベース10と、当該ベース10から直立したフレーム又はカラム11とを備える。フェスツーン装置1は、更に、カラム11に沿って、すなわち互いに向かって、及び互いから離れるように、緩衝方向Bに互いに反対方向に移動可能な第1ホルダ21及び第2ホルダ22を備える。第1ホルダ21及び第2ホルダ22は、緩衝方向Bを横断して、又は緩衝方向Bに対して垂直に延在する棒状体を備えてもよい。この例示的な実施形態では、緩衝方向Bは、カラム11に平行又は実質的に平行である。好ましくは、緩衝方向Bは垂直又は実質的に垂直である。第1ホルダ21及び第2ホルダ22は、緩衝方向Bと平行なフェスツーン装置面Aに延在している。
【0047】
フェスツーン装置1は、第1ホルダ21及び第2ホルダ22にそれぞれ保持又は取り付けられる第1組の緩衝ローラ41及び第2組の緩衝ローラ42を備える。好ましくは、第1組の緩衝ローラ41の緩衝ローラは、第1ホルダ21上に等間隔で分布している。第1組の緩衝ローラ41及び第2組の緩衝ローラ42は、蛇行する、すなわち第1組の緩衝ローラ41の緩衝ローラと第2組の緩衝ローラ42の緩衝ローラとを交互に走行又は延在する第1緩衝経路P1をそれらの間に画定する。第1緩衝経路P1は、フェスツーン装置1を通ってストリップSが走行する経路の第1部分と一致又は実質的に一致する。第1緩衝経路P1は、フェスツーン装置面Aに平行な第1緩衝面内に延在する。
【0048】
フェスツーン装置1は、第1組の緩衝ローラ41及び第2組の緩衝ローラ42を第1ホルダ21及び第2ホルダ22にそれぞれ取り付けるための複数の第1シャフト40を更に備える。第1シャフト40は、フェスツーン装置面Aに対して横方向又は垂直に延在する。第1組の緩衝ローラ41及び第2組の緩衝ローラ42の各緩衝ローラは、当該一方の第1シャフト40と共に回転するように、第1シャフト40のそれぞれに固定されている。第1シャフト40は中空である。
【0049】
図2に示すように、フェスツーン装置1は、第3組の緩衝ローラ43と、第1ホルダ21及び第2ホルダ22によってそれぞれ保持されるか、又はそれらに取り付けられた第4組の緩衝ローラ44とを更に備え、それらの間に蛇行する、すなわち第3組の緩衝ローラ43の緩衝ローラと第4組の緩衝ローラ44の緩衝ローラとを交互に走行又は延在する、第2緩衝経路P2を画定する。第2緩衝経路P2は、フェスツーン装置1を通ってストリップSが走行する経路の第2部分と一致又は実質的に一致する。第2緩衝経路P2は、フェスツーン装置面Aに平行かつ第1緩衝面から離間した第2緩衝面内に延在する。
【0050】
フェスツーン装置1は、第3組の緩衝ローラ43及び第4組の緩衝ローラ44を取り付けるための複数の第2シャフト50を更に備える。複数の第2シャフト50の各第2シャフト50は、複数の第1シャフト40の各第1シャフト40を通って同心円状に延びている。第2シャフト50は、第1シャフト40から突出しており、第3組の緩衝ローラ43及び第4組の緩衝ローラ44を支持している。第3組の緩衝ローラ43及び第4組の緩衝ローラ44の各緩衝ローラは、1つの第2シャフト50と共に回転するように、当該各1つの第2シャフト50の突出部に固定されている。
【0051】
その結果、第3組の緩衝ローラ43及び第4組の緩衝ローラ44は、第1組の緩衝ローラ41及び第2組の緩衝ローラ42に対してそれぞれ同軸に取り付けられ、又は配置され得る。したがって、第2緩衝経路P2は、第1緩衝経路P1のコピーとすることができ、好ましくは、それぞれ第1緩衝面及び第2緩衝面において互いに平行に延在する。
【0052】
フェスツーン装置1は、フェスツーン装置面Aに対して斜めに延在する搬送経路Tに沿って、図1に示すように第1緩衝経路P1から、図2に示すように第2緩衝経路P2にストリップSを搬送するための搬送部材9を更に備える。搬送部材9は、第1緩衝経路P1からストリップSを受け取り、ストリップSを第2緩衝経路P2に出力するための一組の搬送ローラ91を備える。搬送ローラ91のセットは、フェスツーン装置面Aに対して斜めに配置される。ストリップSは、第1緩衝経路P1に関連する緩衝ローラ41の最後から当該搬送ローラ91のうちの1つへの移行部、及び当該搬送ローラ91のうちの1つから第2緩衝経路P2に関連する緩衝ローラ43のうちの最初への移行部においてわずかにねじられる。
【0053】
搬送部材9は、フェスツーン装置面Aに対して斜めに、特に搬送経路Tに平行又は実質的に平行に延在する搬送コンベヤ92を更に備える。この例示的な実施形態では、搬送コンベヤ92はエンドレスベルトを備える。
【0054】
フェスツーン装置1は、フェスツーン装置1に出入りするように、すなわち第1緩衝経路P1に入り、第2緩衝経路P2から出るようにストリップSを先導するための中間部材3をさらに備える。中間部材3は、緩衝方向Bに対して横方向又は垂直に延在する棒状体を含むことができる。中間部材3は、中間部材3が地面から50センチメートル~180センチメートル、好ましくは100センチメートル~180センチメートル、より好ましくは120センチメートル~160センチメートルの範囲の高さHで延在するように、ベース10に対して配置される。あるいは、中間部材3がより高く配置される場合、人間工学的アクセスのためにプラットフォームが使用されてもよい。フェスツーン装置1には、中間部材3に保持された入口ローラ31と出口ローラ32とが設けられており、それぞれストリップSを第1緩衝経路P1に先導し、第2緩衝経路P2から出す。
【0055】
図1及び図2は、緩衝方向Bにおいて中間部材3から最大に離間した第1外側位置及び第2外側位置にある第1ホルダ21及び第2ホルダ22をそれぞれ示す。
【0056】
図3及び図4は、第1ホルダ21及び第2ホルダ22が、中間部材3の可能な限り近くに、中間部材3に直接隣接して、及び/又は中間部材3の反対側で、それぞれ第1装填位置及び第2装填位置に緩衝方向Bに互いに向かって移動された後の状況を示す。当該装填位置では、ストリップSは、オペレータにとって人間工学的な高さHで第1緩衝経路P1及び第2緩衝経路P2に沿って都合よく先導される。特に、オペレータは、ストリップSを手動でフェスツーン装置1に装填するために長距離にわたって上下に手を伸ばす必要がない。
【0057】
図5に示すように、フェスツーン装置1は、第1組の緩衝ローラ41及び第2組の緩衝ローラ42を駆動するために、第1緩衝経路P1に沿って少なくとも部分的に延在する第1エンドレス駆動素子51を更に備える。言い換えれば、第1駆動素子51はループ状に延び、当該ループの少なくとも一部は第1緩衝経路P1に沿って延在する。第1駆動素子51は、一定又は実質的に一定の長さを有する。第1エンドレス駆動素子51は、破線で模式的に表される。
【0058】
フェスツーン装置1には、第1エンドレス駆動素子51をストリップSと同じ速度又は実質的に同じ速度で、すなわち第1緩衝経路P1の入口及び/又は出口におけるストリップSの速度に基づいて、及び/又は押出機の押出速度に基づいて、及び/又は下流ステーション、すなわちカッターにおけるストリップSの速度に基づいて移動させるための1つ以上の第1駆動装置55が設けられている。第1緩衝経路P1に沿った異なる位置で複数の第1駆動装置55を使用することにより、公差の蓄積の結果として第1エンドレス駆動素子51の緩みを低減することができる。第1エンドレス駆動素子51は、第1緩衝経路P1に沿ってストリップSと同じ方向に延び、最終的に第1緩衝経路P1から離れる。次いで、第1エンドレス駆動素子51は、フェスツーン装置1の別のセクションを通って第1緩衝経路P1の開始部に戻されて、ループを完了する。
【0059】
この例示的な実施形態において、第1エンドレス駆動素子51は、チェーンである。また、駆動ベルト、タイミングベルト等を用いてもよい。フェスツーン装置1は、当該第1エンドレス駆動素子51によって駆動されるべき第1エンドレス駆動素子51と係合する第1組の緩衝ホイール71、特にスプロケットホイールを備える。第1組の緩衝ホイール71の各緩衝ホイールは、第1組の緩衝ローラ41及び第2組の緩衝ローラ42の緩衝ローラのそれぞれの一方、又は入口ローラ31及び出口ローラ32の一方に同軸に取り付けられ、及び/又はそれと共に回転可能である。特に、第1組の緩衝ホイール71は、複数の第1シャフト40上で第1組の緩衝ローラ41及び第2組の緩衝ローラ42と同軸に保持される。
【0060】
第1組の緩衝ホイール71が第1エンドレス駆動素子51によって回転駆動されると、第1組の緩衝ローラ41、第2組の緩衝ローラ42、入口ローラ31及び出口ローラ32も回転する。第1組の緩衝ホイール71の直径は、ストリップSが第1組の緩衝ローラ41、第2組の緩衝ローラ42、及び入口ローラ31上に支持されるのと同じ又は実質的に同じ半径で第1エンドレス駆動素子51を支持するように選択される。
【0061】
フェスツーン装置1は、第3組の緩衝ローラ43及び第4組の緩衝ローラ44を駆動するために、第2緩衝経路P2に沿って少なくとも部分的に延在する、第1エンドレス駆動素子51と同様の第2エンドレス駆動素子52を更に備える。第2エンドレス駆動素子52は、第2緩衝経路P2に沿ってストリップSと同じ方向に延び、最終的に第2緩衝経路P2から離れる。次いで、第2エンドレス駆動素子52は、フェスツーン装置1の別のセクションを通って第2緩衝経路P2の開始部に戻されて、ループを完了する。第2エンドレス駆動素子52は、実線で模式的に表される。
【0062】
この例示的な実施形態では、第2エンドレス駆動素子52は、第1エンドレス駆動素子51と同様に、チェーンである。また、駆動ベルト、タイミングベルト等を用いてもよい。フェスツーン装置1は、当該第2エンドレス駆動素子52によって駆動されるべき第2エンドレス駆動素子52と係合する第2組の緩衝ホイール72、特にスプロケットホイールを備える。第2組の緩衝ホイール72の各緩衝ホイールは、第3組の緩衝ローラ43及び第4組の緩衝ローラ44及び出口ローラ32の緩衝ローラのそれぞれに同軸に取り付けられ、及び/又はそれと共に回転可能である。特に、第2組の緩衝ホイール72は、複数の第2シャフト50上で第3組の緩衝ローラ43及び第4組の緩衝ローラ44と同軸に保持される。
【0063】
図1図4図5とを比較することによって、第1組の緩衝ローラ41、第2組の緩衝ローラ42、第3組の緩衝ローラ43、及び第4組の緩衝ローラ44がフェスツーン装置面Aの第1側に設置され、第1組の緩衝ホイール71及び第2組の緩衝ホイール72がフェスツーン装置面Aの第1側とは反対側の第2側に設置されることが分かる。特に、複数の第1シャフト40及び複数の第2シャフト50は、それぞれのホルダ21、22を通ってフェスツーン装置面Aの他方側に延在する。各第2シャフト50は、それぞれの第1シャフト40を通って延在し、それぞれの第1シャフト40から突出して、それぞれの第1シャフト40上の第1組の緩衝ホイール71のそれぞれの緩衝ホイールと同軸関係で、第2組の緩衝ホイール72のそれぞれの緩衝ホイールを担持する。
【0064】
図5に示すように、この例示的な実施形態では、フェスツーン装置1は、第1エンドレス駆動素子51を第2エンドレス駆動素子52に連結するための連結部材80を備える。あるいは、第2エンドレス駆動素子52は、同じ速度又はわずかに異なる速度で作動するように、例えば制御ユニットを介して1つ以上の第1駆動装置55に電子的に連結され得る、それ自体の1つ以上の専用駆動装置(図示せず)によって駆動され得る。
【0065】
この例では、連結部材80は、第1組の緩衝ホイール71の一方の緩衝ホイール及び第2組の緩衝ホイール72の一方の緩衝ホイールに同軸に連結された二つの第1連結ホイール81、特にスプロケットホイールに係合する第3エンドレス駆動素子53、好ましくはチェーンを備え、その結果、それぞれの当該緩衝ホイール71、72と共に回転する。第3エンドレス駆動素子53は、破線で模式的に表される。この例では、第1エンドレス駆動素子51と第2エンドレス駆動素子52とは、1:1の速度伝達比で連結されている。あるいは、例えば、第2緩衝経路P2においてストリップSを伸張又は圧縮するために、等しくない速度伝達比が選択されてもよい。
【0066】
この例示的な実施形態では、連結部材80は、U字形経路に沿って第3エンドレス駆動素子53を先導する、1つ以上の第2連結ホイール82、好ましくはスプロケットホイールを更に備える。
【0067】
フェスツーン装置1は、第1エンドレス駆動素子51と第2エンドレス駆動素子52との間の張力を平衡させるための張力バランサ8を更に備える。この例では、張力バランサ8は、各エンドレス駆動素子51、52のためのガイド85を備える。ガイド85は、少なくとも構成要素の方向に又は緩衝方向Bのベクター構成要素に移動可能である。特に、ガイド85は、中間部材3に取り付けられたレール86上を移動可能である。第1組の緩衝ホイール71及び第2組の緩衝ホイール72のうちの一方の緩衝ホイールは、緩衝方向Bに当該ガイド85と共に移動するように当該ガイド85に取り付けられる。好ましくは、連結部材80は、ガイド85の各々に連結され、連結部材80の重量の少なくとも一部は、緩衝方向Bにガイド85を引き下げる。
【0068】
第1エンドレス駆動素子51を用いて搬送コンベヤ92を駆動することは困難な場合があるため、フェスツーン装置面Aに対するその傾斜した配向のために、搬送コンベヤ92の速度を制御するために別個の第2駆動装置56が設けられてもよい。フェスツーン装置1は、搬送コンベヤ92と搬送ローラ91とを連結するための第4エンドレス駆動素子54、好ましくはチェーンを更に備えてもよく、その結果、それらは全て同じ第2駆動装置56によって駆動され得る。第4エンドレス駆動素子54は、実線で模式的に表される。
【0069】
ストリップSは、入口速度V1でフェスツーン装置1、すなわち入口ローラ31に入り、出口速度V2でフェスツーン装置1、すなわち出口ローラ32を出る。第1ホルダ21及び第2ホルダ22を緩衝方向Bに反対に移動させることによって、フェスツーン装置1の緩衝能を変更することができる。容量が変化する速度は、緩衝方向Bに平行な速度矢印V3で概略的に示されている。第1エンドレス駆動素子51及び第2エンドレス駆動素子52は、ストリップSの第1緩衝経路P1及び第2緩衝経路P2に沿って走行し、ある程度ストリップSと同じように挙動するため、緩衝ローラ41~44のセットの各緩衝ローラが駆動される速度は、それぞれの緩衝ローラにおけるストリップSの速度と等しいか、又は実質的に等しい。言い換えれば、第1エンドレス駆動素子51及び第2エンドレス駆動素子52は、フェスツーン装置1の容量の変化に応答して、緩衝ローラ41~44のセットの各緩衝ローラにその回転速度を自動的に変化させる。具体的には、緩衝ローラ41~44のセットの各緩衝ローラは、入口速度V1、出口速度V2、容量変化速度V3、及びフェスツーン装置1内のそれぞれの緩衝ローラの位置の変化に応答して、第1エンドレス駆動素子51及び第2エンドレス駆動素子52によって正しい速度で自動的に駆動され得る。
【0070】
図1及び図2は、最大容量でのフェスツーン装置1を示す。図3及び図4は、最小容量での同じフェスツーン装置1を示す。フェスツーン装置1が最大容量にあるときの第1緩衝経路P1及び第2緩衝経路P2の長さは、フェスツーン装置1が最小容量にあるときの第1緩衝経路P1及び第2緩衝経路P2の長さよりもかなり長いことが理解されよう。第1緩衝経路P1及び第2緩衝経路P2に沿ってそれぞれ走行する第1エンドレス駆動素子51及び第2エンドレス駆動素子52の長さは、同じ量で変化するが、第1エンドレス駆動素子51及び第2エンドレス駆動素子52の全長は同じままである。フェスツーン装置1の最小容量では、第1エンドレス駆動素子51及び第2エンドレス駆動素子52のかなりのオーバーレングスを一時的に回収する必要がある。この目的のため、フェスツーン装置1は、第1エンドレス駆動素子51及び第2エンドレス駆動素子52のオーバーレングスを回収して繰り出す(又は付加を取り除く(off load))ためのオーバーレングスコレクタ6を備える。
【0071】
本発明のオーバーレングスコレクタ6は、第1緩衝経路P1の片側のみで緩衝方向Bに設置される。この特定の事例では、オーバーレングスコレクタ6は、緩衝方向Bにおいて、第1組の緩衝ローラ41の、第2組の緩衝ローラ42から外方を向く側に設置される。換言すれば、オーバーレングスコレクタ6は、第1緩衝経路P1、第1組の緩衝ローラ41、及び/又は第1ホルダ21の上方に、すなわちフェスツーン装置1の上端又はその付近に設置される。これは、フェスツーン装置1の一方の端部のみでオーバーレングスが回収されるという技術的利点を有する。結果として得られるフェスツーン装置1は、よりコンパクト及び/又はより人間工学的であり得る。特に、オーバーレングスコレクタ6がフェスツーン装置1の頂部又はその近くに設置される場合、ストリップSを緩衝するフェスツーン装置1の部分は、地面のより近くに設置することができる。好都合には、接地面より上の中間部材3の前述の高さHを得ることができ、それにより、-オーバーレングスコレクタ6の存在にもかかわらず-ストリップSを人間工学的にフェスツーン装置1内に装填することができる。
【0072】
図5に示すように、オーバーレングスコレクタ6は、それらの間に蛇行した第1コレクタ経路C1を画定する第1組のコレクタホイール61及び第2組のコレクタホイール62を備える。言い換えれば、第1コレクタ経路C1は、第1組のコレクタホイール61のホイール及び第2組のコレクタホイール62のホイールに沿って交互に走行又は延在する。第1コレクタ経路C1は、オーバーレングスコレクタ6を通って第1エンドレス駆動素子51が走行する経路と一致又は実質的に一致することが明らかであろう。より具体的には、第1緩衝経路P1と同様に、第1コレクタ経路C1は、第1組のコレクタホイール61のコレクタホイールと第2組のコレクタホイール62との間に延在する複数の第2線分を含む。第2線分は、それが相互接続する一対のコレクタホイールに対して従接線である。より具体的には、各第2線分は、第1組のコレクタホイール61の一対のコレクタホイールと第2組のコレクタホイール62との間の外接線として延在する。
【0073】
好ましくは、第1組のコレクタホイール61及び第2組のコレクタホイール62は、チェーンの形態で第1エンドレス駆動素子51と係合することができるスプロケットホイールである。
【0074】
第1組のコレクタホイール61は、第1ホルダ21によって保持されるか、又は取り付けられる。オーバーレングスコレクタ6は、第1ホルダ21が移動する間、緩衝方向Bに静止したままであるように配置されたコレクタフレーム60を更に備える。好ましくは、コレクタフレーム60は、フェスツーン装置1の上端又はその付近でカラム11に取り付けられる。第2組のコレクタホイール62は、当該コレクタフレーム60に取り付けられている。第1組のコレクタホイール61及び第2組のコレクタホイール62は、複数の第3シャフト65を介して第1ホルダ21及びコレクタフレーム60にそれぞれ取り付けられている。第1シャフト40と同様に、当該第3シャフト65は中空である。
【0075】
第1ホルダ21が緩衝方向Bに移動されると、第1組のコレクタホイール61は、第2組のコレクタホイール62から離れるように、又はそれに向かって移動する。したがって、オーバーレングスコレクタ6、すなわち第1コレクタ経路C1における第1エンドレス駆動素子51の長さの増減は、第1組のコレクタホイール61と第2組のコレクタホイール62との間の緩衝方向Bへの相対移動によって画定される。当該相対移動は、第1ホルダ21の緩衝方向Bへの移動によって生成される。対照的に、第1緩衝経路P1における第1エンドレス駆動素子51の長さの増減は、第1ホルダ21及び第2ホルダ22の緩衝方向Bへの反対の移動によって画定される。したがって、それぞれの反対の移動中の第1ホルダ21と第2ホルダ22との間の距離の変化は、第1ホルダ21とコレクタフレーム60との間の距離の変化の2倍である。
【0076】
最小容量であるフェスツーン装置1から生じる全長の全てを回収するため、第1組のコレクタホイール61のコレクタホイールの数は、第1組の緩衝ホイール71の緩衝ホイールの数の2倍である。あるいは、第2線分の数は、第1線分の数の2倍であると定式化される。これにより、第1ホルダ21を緩衝方向Bに移動させると、第1エンドレス駆動素子51の長さは、第1線分の数の2倍の数の第2線分に亘って増減する。これにより、第1コレクタ経路C1は、フェスツーン装置1が最小容量である場合、第1緩衝経路P1に沿って延在する第1エンドレス駆動素子51の長さの減少に等しいか又は実質的に等しい第1エンドレス駆動素子51のオーバーレングスを回収することができ、反対に、フェスツーン装置1が最大容量へと移動するときに第1緩衝経路P1に沿って延在する第1エンドレス駆動素子51の長さの増加に等しいか又は実質的に等しいオーバーレングスを繰り出すか又は負荷を取り除くことができる。言い換えれば、第1ホルダ21が緩衝方向Bの一方向に移動するだけで、第1ホルダ21及び第2ホルダ22の両方が緩衝方向Bに反対に移動する結果、第1緩衝経路P1が減少又は増加した分だけ、第1コレクタ経路C1を増加又は減少させることができる。
【0077】
オーバーレングスコレクタ6は、第1コレクタ経路C1と同様に、それらの間に蛇行した第2コレクタ経路C2を画定する第3組のコレクタホイール63及び第4組のコレクタホイール64を更に備える。第2コレクタ経路C2は、第3組のコレクタホイール63のホイール及び第4組のコレクタホイール64のホイールに沿って交互に走行又は延在する。第2コレクタ経路C2は、オーバーレングスコレクタ6を通って第2エンドレス駆動素子52が走行する経路と一致又は実質的に一致することが明らかであろう。
【0078】
第3組のコレクタホイール63及び第4組のコレクタホイール64は、複数の第4シャフト66上で、それぞれ第1組のコレクタホイール61及び第2組のコレクタホイール62と同軸関係に配置される。第4シャフト66は、第3シャフト65内に同心円状に延在し、及び/又はそれを貫通して延在する。したがって、第2コレクタ経路C2は、好ましくは互いに平行に延在する、第1コレクタ経路C1のコピーであり得る。
【0079】
第2コレクタ経路C2の長さを、第1コレクタ経路C1の長さの変更と同じ方法で、及び/又は同時に増減することができる。これにより、第2コレクタ経路C2は、フェスツーン装置1が最小用量である場合、第2緩衝経路P2に沿って延在する第2エンドレス駆動素子52の長さの減少に等しいか又は実質的に等しい第2エンドレス駆動素子52のオーバーレングスを回収することができ、反対に、フェスツーン装置1が最大容量へと移動するときに第2緩衝経路P2に沿って延在する第2エンドレス駆動素子52の長さの増加に等しいか又は実質的に等しいオーバーレングスを繰り出すか又は負荷を取り除くことができる。
【0080】
図6は、本発明の第2例示的な実施形態による代替的なフェスツーン装置101を示し、これは、そのバランサ108が各エンドレス駆動素子51、52のための回転可能なガイド185を有するという点でのみ上述のフェスツーン装置1とは異なる。各ガイド185は、回転軸Rを中心にシーソーのように移動可能であり、各セットの緩衝ホイールからの一方の緩衝ホイール71、72と、回転軸Rの両側の第1連結ホイール81とを担持する。この例では、各ガイド185は、回転軸Rで中央ヒンジ部材186によって支持されている。ガイド185は、両方の第1連結ホイール81と係合する第3エンドレス駆動素子53の形態で連結部材80によって相互接続されている。第1エンドレス駆動素子51は、第1緩衝ホイール71を担持するガイド185と係合し、第2エンドレス駆動素子52は、第2緩衝ホイール72を担持するガイド185と係合する。その結果、第1エンドレス駆動素子51に関連するガイド185が、当該第1エンドレス駆動素子51の張力の結果として緩衝方向Bに構成要素によって上方に引っ張られると、第1ガイド185のシーソー移動は、第3エンドレス駆動素子53を介して他方のガイド185に移送され、他方のガイドは、それ自体のシーソー移動に応答して、第2エンドレス駆動素子52の張力を上方に解放する。これにより、第1エンドレス駆動素子51と第2エンドレス駆動素子52との間の張力を釣り合わせることができる。
【0081】
代替的なフェスツーン装置101には、エンドレス駆動素子51、52の小さな振動又は変動を制動するために、例えば空気圧シリンダ又はばね等の1つ以上のダンプナ188が更に設けられる。この例では、1つ以上のダンプナ188は、それぞれのガイド185を支持するように構成される。1つ以上のダンプナ188は、代替的に、緩衝ホイール71、72のうちの1つ以上に関連付けられてもよい。1つ以上のダンプナ188はまた、先の実施形態のフェスツーン装置1にも同様に適用されてもよい。
【0082】
ここで、図1図6を参照して、上述のフェスツーン装置1,101を使用してストリップSを緩衝するための方法を簡単に検討する。特に、上記方法は、
-緩衝経路P1に沿ってフェスツーン装置1を通ってストリップSを先導する工程、
-ストリップSを第1緩衝経路P1から第2緩衝経路P2に搬送する工程、
-ストリップSを第2緩衝経路P2を通って先導する工程、
-第1組の緩衝ローラ41及び第2組の緩衝ローラ42の各緩衝ローラを第1エンドレス駆動素子51で駆動する工程、並びに
-第3組の緩衝ローラ43及び第4組の緩衝ローラ44の各緩衝ローラを第2エンドレス駆動素子52で駆動する工程、を含む。
【0083】
前述の工程間に、上記方法は、
-緩衝方向Bにおいて、第1ホルダ21及び第2ホルダ22のうちの少なくとも一方を第1ホルダ21及び第2ホルダ22のうちの他方に向かって及び/又は他方から離れるように移動させることによって、フェスツーン装置1の緩衝能を変化させる工程、並びに
-緩衝能の変化に応答して、第1エンドレス駆動素子51及び第2エンドレス駆動素子52のオーバーレングスをオーバーレングスコレクタ6で回収及び/又は繰り出す工程、を含む。
【0084】
第1緩衝経路P1及び第2緩衝経路P2に沿ってフェスツーン装置1を通ってストリップSを最初に先導するために、第1ホルダ21及び第2ホルダ22は、図3及び図4に示すように、それぞれ第1装填位置及び第2装填位置に互いに向かって緩衝方向Bに移動することができる。続いて、ストリップSを、第1緩衝経路P1及び第2緩衝経路P2に沿ってフェスツーン装置1を通って手動で先導することができるが、第1ホルダ21及び第2ホルダ22は、中間部材3に近接して、すなわち中間部材3の真上及び真下の人間工学的な作業高さに好都合に設置される。
【0085】
前述のフェスツーン装置1は、ストリップSとフェスツーン装置1との間の速度差、及びその結果、ストリップSにおける引張力を最小限に低減することができるという利点を有する。特に、ストリップSに及ぼされる力は、ストリップSがライナなしで、すなわち、フェスツーン装置1のローラと直接接触してフェスツーン装置1を通って案内され得る程度まで低減又は防止され得る。これは、当該ストリップを容易に変形させることができるため、タイヤ成形に使用されるガムストリップ等の薄い又は熱いストリップに特に関連する。ライナがなければ、廃棄物が少なくなるため、緩衝プロセスはより安価で耐久性がある。
【0086】
上記の説明は、好ましい実施形態の操作を説明するために含まれ、本発明の範囲を限定することを意味しないことを理解されたい。上記の検討から、本発明の範囲に包含される多くの変形形態が当業者には明らかであろう。
【0087】
要約すると、本発明は、フェスツーン装置1及びストリップSを緩衝するための方法に関し、フェスツーン装置1は、第1組の緩衝ローラ41及び第2組の緩衝ローラ42を備え、第1組の緩衝ローラ41及び第2組の緩衝ローラ42は、それらの間に蛇行する第1緩衝経路P1を画定し、フェスツーン装置1は、第1組の緩衝ローラ41及び第2組の緩衝ローラ42を駆動するための第1エンドレス駆動素子51を更に備え、フェスツーン装置1は、第1組の緩衝ローラ41及び第2組の緩衝ローラ42とそれぞれ同軸であり、それらの間に蛇行する第2緩衝経路P2を画定する第3組の緩衝ローラ43及び第4組の緩衝ローラ44を更に備え、フェスツーン装置1は、第3組の緩衝ローラ43及び第4組の緩衝ローラ44を駆動するための第2エンドレス駆動素子52を更に備える。
【符号の説明】
【0088】
1 フェスツーン装置
10 ベース
11 カラム
21 第1ホルダ
22 第2ホルダ
3 中間部材
31 入口ローラ
32 出口ローラ
40 第1シャフト
41 第1組の緩衝ローラ
42 第2組の緩衝ローラ
43 第3組の緩衝ローラ
44 第4組の緩衝ローラ
50 第2シャフト
51 第1エンドレス駆動素子
52 第2エンドレス駆動素子
53 第3エンドレス駆動素子
54 第4エンドレス駆動素子
55 第1駆動装置
56 第2駆動装置
6 オーバーレングスコレクタ
60 コレクタフレーム
61 第1組のコレクタホイール
62 第2組のコレクタホイール
63 第2組のコレクタホイール
64 第2組のコレクタホイール
65 第3シャフト
66 第4シャフト
71 第1組の緩衝ホイール
72 第2組の緩衝ホイール
8 張力バランサ
80 連結部材
81 第1連結ホイール
82 第2連結ホイール
85 ガイド
86 レール
9 搬送部材
90 搬送フレーム
91 搬送ローラ
92 搬送コンベヤ
101 代替のフェスツーン装置
108 張力バランサ
185 ガイド
186 ヒンジ部材
188 ダンプナ
A フェスツーン装置面
B 緩衝方向
C1 第1コレクタ経路
C2 第2コレクタ経路
H 高さ
P1 第1緩衝経路
P2 第2緩衝経路
S ストリップ
T 搬送経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6