(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】センサ集積回路
(51)【国際特許分類】
G01L 9/16 20060101AFI20240227BHJP
G01L 19/12 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
G01L9/16
G01L19/12 J
(21)【出願番号】P 2022529548
(86)(22)【出願日】2020-03-04
(86)【国際出願番号】 US2020020914
(87)【国際公開番号】W WO2021107968
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-09-02
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501105602
【氏名又は名称】アレグロ・マイクロシステムズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【氏名又は名称】鳥居 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100201743
【氏名又は名称】井上 和真
(72)【発明者】
【氏名】ハース,デビッド,ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】セサレッティ,ファン・マヌエル
(72)【発明者】
【氏名】テイラー,ウィリアム・ピー
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第3415870(EP,A1)
【文献】特開2017-194466(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0128160(US,A1)
【文献】特開2001-183254(JP,A)
【文献】特開平10-170377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/00 - 23/32
G01L 27/00 - 27/02
G01D 3/00 - 3/10
G01D 21/00 - 21/02
H01L 29/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ集積回路(500)であって、
第1のダイアフラム(535)を形成する第1のキャビティ(533)と第2のダイアフラム(539)を形成する第2のキャビティ(537)とを含む基板(550)であって、前記第1のダイアフラム(535)が前記第1のダイアフラム(535)にかかる圧力差によって変形可能であり、前記第2のダイアフラム(539)が前記第2のダイアフラム(539)にかかる圧力差によって変形可能である、基板(550)と、
第1のアナログ信号(520a)に応答して第1の処理済信号(530a)を生成する第1の処理チャネル(516)であって、前記第1のダイアフラム(535)の変形を検出することによって前記第1のダイアフラム(535)にかかる前記圧力差を検出するように構成され、前記第1のダイアフラム(535)に隣接して配置された第1の感知素子(512)によって前記第1のアナログ信号(520a)が供給される、第1の処理チャネル(516)と、
第2のアナログ信号(520b)に応答して第2の処理済信号(530b)を生成する第2の処理チャネル(518)であって、前記第2のダイアフラム(539)の変形を検出することによって前記第2のダイアフラム(539)にかかる前記圧力差を検出するように構成され、前記第2のダイアフラム(539)に隣接して配置された第2の感知素子(514)によって前記第2のアナログ信号(520b)が供給される、第2の処理チャネル(518)と、
前記第1の処理済信号(530a)および前記第2の処理済信号(530b)に応答し、前記第1の処理済信号(530a)および前記第2の処理済信号(530b)が所定量を超えて互いに異なるときに前記センサ集積回路(500)の故障を検出して前記故障を示す故障信号(542)を生成するように構成されたチェッカ回路(534)とを備え、
前記チェッカ回路(534)は、前記第1の処理済信号(530a)をサンプリングして第1のサンプリング信号を生成するように構成された第1のサンプル回路(206;256)と、前記第2の処理済信号(530b)を処理して第2のサンプリング信号を生成するように構成された第2のサンプル回路(208;258)と、前記第1のサンプリング信号および前記第2のサンプリング信号に応答し、前記故障信号(542)を生成するように構成されたウィンドウコンパレータ(220;270)とを含む、センサ集積回路(500)において、
前記第1の感知素子(512)は前記第1のキャビティ(533)よりなる第1の圧力感知素子(512)を含み、前記第2の感知素子(514)は前記第2のキャビティ(537)よりなる第2の圧力感知素子(514)を含み、
前記第1の圧力感知素子(512)および第2の圧力感知素子(514)は、磁場感知素子(543,545;521,527)を含むとともに、前記磁場感知素子(543,545;521,527)に隣接するバックバイアス磁石、永久磁石またはコイル(521,527)のうちの1つを備え、
前記第1の圧力感知素子(512)によって検出される磁場の強さは、前記第1のダイアフラム(535)の変形に応じて変化し、前記第2の圧力感知素子(514)によって検出される磁場の強さは、前記第2のダイアフラム(539)の変形に応じて変化する、
センサ集積回路(500)。
【請求項2】
前記基板(550)は、半導体ウェハ、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)ウェハ、またはシリコンウェハを含む、請求項1に記載のセンサ集積回路(500)。
【請求項3】
前記基板(550)は、ガラスウェハを含む、請求項1に記載のセンサ集積回路(500)。
【請求項4】
前記第1
のダイアフラムの幅(W1)は、前記第2
のダイアフラムの幅(W2)より大きい、請求項1に記載のセンサ集積回路(500)。
【請求項5】
前記第1のダイアフラム(535)の厚さ(t1)は、前記第2のダイアフラム(539)の厚さ(t2)より大きい、請求項1に記載のセンサ集積回路(500)。
【請求項6】
前記第1のダイアフラム(535)は、第1の材料を含み、前記第2のダイアフラム(539)は、前記第1の材料と異なる第2の材料を含む、請求項1に記載のセンサ集積回路(500)。
【請求項7】
前記第1のダイアフラム(535)と前記第2のダイアフラム(539)は、表面マイクロマシニング、および、バルクマイクロマシニングで作成された、請求項1に記載のセンサ集積回路(500)。
【請求項8】
前記第1のダイアフラム(535)および前記第2のダイアフラム(539)に隣接する強磁性材料をさらに備える、請求項
1に記載のセンサ集積回路(500)。
【請求項9】
前記第1の圧力感知素子(512)は第1の容量感知素子を含み、前記第2の圧力感知素子(514)は第2の容量感知素子を含み、前記第1の圧力感知素子(512)によって検出される静電容量の量は、前記第1のダイアフラム(535)の変形に応じて変化し、前記第2の圧力感知素子(514)によって検出される静電容量の量は、前記第2のダイアフラム(539)の変形に応じて変化する、
請求項1に記載のセンサ集積回路(500)。
【請求項10】
前記第1の容量感知素子は、前記第1のキャビティ(533)の反対側に第1の対をなす電極(521,543)を含み、前記第2の容量感知素子は、前記第2のキャビティ(537)の反対側には、第2の対をなす電極(527,545)を含む、
請求項9に記載のセンサ集積回路(500)。
【請求項11】
前記第1の圧力感知素子(512)および第2の圧力感知素子(514)は、圧電感知素子(524,554,556,558)を含み、前記第1の圧力感知素子(512)によって検出される電圧量は、前記第1のダイアフラム(535)の変形に応じて変化し、前記第2の圧力感知素子(514)によって検出される電圧量は、前記第2のダイアフラム(539)の変形に応じて変化する、
請求項1に記載のセンサ集積回路(500)。
【請求項12】
前記第1のダイアフラム(535)および前記第2のダイアフラム(539)に、前記磁場感知素子(543,545;521,527)、および、前記磁場感知素子(543,545;521,527)に隣接するバックバイアス磁石、永久磁石またはコイル(521,527)のうちの1つが配置されている、請求項1に記載のセンサ集積回路(500)。
【請求項13】
前記第1のダイアフラム(535)および前記第2のダイアフラム(539)に、軟質強磁性材料が配置されている、請求項8に記載のセンサ集積回路(500)。
【請求項14】
前記第1の処理チャネル(516)は、第1の精度を有し、前記第2の処理チャネル(518)は、前記第1の精度と異なる第2の精度を有する、請求項1に記載のセンサ集積回路(500)。
【請求項15】
前記基板(550)は、前記第1の感知素子(512)および前記第2の感知素子(514)を支持するようにさらに構成される、請求項1に記載のセンサ集積回路(500)。
【請求項16】
前記基板(550)とは別の第2の基板を含み、
前記基板(550)は、前記第1の感知素子(512)を支持するように構成され、
前記第2の基板が、前記第2の感知素子(514)を支持するように構成される、
請求項1に記載のセンサ集積回路(500)。
【請求項17】
前記基板(550)は、前記第1の処理チャネル(516)、前記第2の処理チャネル(518)、および前記チェッカ回路(534)を支持するように構成される、請求項16に記載のセンサ集積回路(500)。
【請求項18】
前記基板(550)は、深部反応性イオンエッチングプロセスまたは等方性シリコンウェットエッチングプロセスのうちの少なくとも一方を用いて形成される、請求項1に記載のセンサ集積回路(500)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、センサ集積回路に関するものであり、より詳細には、厳しい安全要件を満たすように設計された回路および関連する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
知られているように、センサは様々な用途で様々な機能を発揮するために使用されている。いくつかのセンサは、例として、歯車またはリング磁石の形態の強磁性体などの対象物の近接または運動に関連する磁場を感知するため、または電流を感知するために、ホール効果素子または磁気抵抗素子などの1つまたは磁場感知素子を備えている。
【0003】
センサは、電子回路をサポートする1つまたは複数の半導体ダイを含む集積回路(IC)の形で提供されることが多く、オプションとして、磁石などの追加要素および/またはコンデンサ、インダクタ、もしくは抵抗などの受動部品も備える。
【0004】
センサ集積回路は、自動車制御システムなど安全性が重要視される用途に広く使用されている。センサの許容品質レベル、故障率、全体的な機能安全に関する要件を定めた様々な仕様がある。このような要求を満たすための1つの方法として、センサ集積回路に冗長な同一回路を使用することがある。
【発明の概要】
【0005】
本明細書では、第1のダイアフラムにかかる圧力差によって変形可能な第1のダイアフラムを形成する第1のキャビティと、第2のダイアフラムにかかる圧力差によって変形可能な第2のダイアフラムを形成する第2のキャビティとを含む基板を備えたセンサ集積回路を説明する。センサ集積回路に備わるのは、第1のアナログ信号に応答して第1の処理済信号を生成することができる第1の処理チャネルである。第1のアナログ信号は、第1のダイアフラムの変形を検出することによって第1のダイアフラムにかかる圧力差を検出するように構成され、第1のダイアフラムに隣接して配置された第1の感知素子によって供給され得る。また、センサ集積回路には、第2のアナログ信号に応答して第2の処理済信号を生成することができる第2の処理チャネルが備わる。第2のアナログ信号は、第2のダイアフラムの変形を検出することによって第2のダイアフラムにかかる圧力差を検出するように構成され、第2のダイアフラムに隣接して配置された第2の感知素子によって供給され得る。センサ集積回路には、第1の処理済信号および第2の処理済信号に応答し、第1の処理済信号および第2の処理済信号が所定量を超えて互いに異なるときにセンサ集積回路の故障を検出して故障を示す故障信号を生成するように構成することができるチェッカ回路が備わる。チェッカ回路は、第1の処理済信号をサンプリングして第1のサンプリング信号を生成するように構成された第1のサンプル回路と、第2の処理済信号を処理して第2のサンプリング信号を生成するように構成された第2のサンプル回路と、第1のサンプリング信号および第2のサンプリング信号に応答し、故障信号を生成するように構成されたウィンドウコンパレータとを含むことができる。
【0006】
センサ集積回路の基板は、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)ウェハ、シリコンウェハ、またはガラスウェハを含むことができる。センサ集積回路の第1のダイアフラムの幅は、センサ集積回路の第2のダイアフラムの幅より大きくすることができる。いくつかの例では、第1のダイアフラムの厚さは、第2のダイアフラムの厚さよりも大きくすることができる。
【0007】
実施形態において、第1のダイアフラムおよび第2のダイアフラムは、センサ膜内に形成することができる。他の実施形態では、第1のダイアフラムは、第1の材料を含み、第2のダイアフラムは、第1の材料とは異なる第2の材料を含む。センサ集積回路は、センサ膜上に配置される表面マイクロマシニング圧力センサおよびバルクマイクロマシニング圧力センサを備えることができる。
【0008】
他の実施形態では、センサ集積回路は、複数の圧力感知素子を備えることができ、第1のキャビティは、第1の圧力感知素子を含むことができ、第2のキャビティは、第2の圧力感知素子を含むことができる。第1および第2の圧力感知素子は、磁場感知素子を含むことができ、第1の感知素子によって検出される磁場の強さは、第1のダイアフラムの変形に応じて変化し、第2の素子によって検出される磁場の強さは、第2のダイアフラムの変形に応じて変化し得る。センサ集積回路は、第1のダイアフラムおよび第2のダイアフラムに隣接し得る強磁性材料を備えることができ、磁場感知素子に隣接するバックバイアス磁石、永久磁石またはコイルのうちの1つを備えることができる。第1および第2の圧力感知素子は、第1の感知素子によって検出される静電容量の量が第1のダイアフラムの変形に応じて変化し、第2の素子によって検出される静電容量の量が第2のダイアフラムの変形に応じて変化し得るように、容量感知素子を含むことができる。
【0009】
いくつかの例では、センサ集積回路は、第1のキャビティが第1の対をなす圧力感知用電極を含み、第2のキャビティが第2の対をなす圧力感知用電極を含むように、複数の圧力感知用電極を備えることができる。第1の対をなす圧力感知用電極および第2の対をなす圧力感知用電極は、ピエゾ抵抗器またはピエゾトランジスタを含み得る圧電センサであり得る。
【0010】
さらに他の例では、センサ集積回路は、第1の感知素子によって検出される電圧の量が第1のダイアフラムの変形に応じて変化し、第2の素子によって検出される電圧の量が第2のダイアフラムの変形に応じて変化する圧電感知素子を含む第1および第2の圧力感知素子を備えることができる。
【0011】
センサ集積回路は、第1のダイアフラムおよび第2のダイアフラムに配置される磁性体素子を備えることができ、この磁性体素子は、硬質強磁性材料または軟質強磁性材料であり得る。他の例では、第1の処理チャネルは、第1の精度を有することができ、第2の処理チャネルは、第1の精度とは異なる第2の精度を有することができる。さらに他の例では、基板は、第1の感知素子および第2の感知素子を支持するようにさらに構成することができる。
【0012】
実施形態では、基板は、第1の感知素子を支持するようにさらに構成され、第1の感知素子を支持する基板とは別の第2の基板が、第2の感知素子を支持するように構成される。いくつかの例では、基板は、第1の処理チャネル、第2の処理チャネル、およびチェッカ回路を支持するように構成され得る。
【0013】
他の実施形態では、基板は、深部反応性イオンエッチングプロセスまたは等方性シリコンウェットエッチングプロセスのいずれかを使用して形成することができる。
【0014】
また、第1のアナログ信号に応答して第1の処理済信号を生成することができる第1の処理チャネルを備えることができるセンサ集積回路が説明され、第1のアナログ信号は、入射光子を検出するように構成された第1の半導体構造によって供給され得る。センサ集積回路は、第2のアナログ信号に応答して第2の処理済信号を生成することができる第2の処理チャネルを備えることができ、第2のアナログ信号は、入射光子を検出するように構成された第2の半導体構造によって供給され得る。センサ集積回路は、第1の処理済信号および第2の処理済信号に応答し、第1の処理済信号および第2の処理済信号が所定量を超えて互いに異なるときにセンサ集積回路の故障を検出して故障を示す故障信号を生成するように構成されたチェッカ回路を備えることもできる。チェッカ回路は、第1の処理済信号をサンプリングして第1のサンプリング信号を生成するように構成された第1のサンプル回路と、第2の処理済信号を処理して第2のサンプリング信号を生成するように構成された第2のサンプル回路と、第1のサンプリング信号および第2のサンプリング信号に応答し、故障信号を生成するように構成されたウィンドウコンパレータとを含むことができる。
【0015】
いくつかの例では、第1の半導体構造は第1の材料を含むことができ、第2の半導体構造は第2の材料を含むことができ、第1の材料は第2の材料と異なる。
【0016】
他の例では、第1の半導体構造は、第1の表面積を有することができ、第2の半導体構造は、第2の表面積を有することができ、第1の表面積は、第2の表面積よりも大きい。
【0017】
さらに他の例では、基板は、第1の半導体構造および第2の半導体構造を支持するように構成することができる。
【0018】
センサ集積回路は、第1の半導体構造、第1の処理チャネル、第2の処理チャネル、およびチェッカ回路を支持するように構成することができる第1の基板と、第2の半導体構造を支持するように構成することができる第2の基板とを備えることができる。
【0019】
本開示の前述の特徴、および本開示自体は、以下の図面の詳細な説明からより完全に理解され得る。図面は、開示された技術を説明し、理解する上で助けとなる。全ての可能な実施形態を図示し説明することはしばしば非現実的または不可能であるため、提供される図は、1つまたは複数の例示的な実施形態を描いている。したがって、図は、本発明の範囲を限定することを意図していない。図中の同様の符号は、同種の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】非同種(non-homogenous)の処理チャネルを備えるセンサ集積回路のブロック図である。
【
図1A】例示的なアナログセンサ集積回路のブロック図である。
【
図1B】例示的なデジタルセンサ集積回路のブロック図である。
【
図1C】
図1Bのデジタルセンサ集積回路のための例示的なI/O回路構成のブロック図である。
【
図3】例示的なアナログ-デジタル変換器の概略図である。
【
図3A】代替のアナログ-デジタル変換器の概略図である。
【
図4】例示的なデジタル信号経路のブロック図である。
【
図4A】代替的なデジタル信号経路のブロック図である。
【
図5】代替的なセンサ集積回路のブロック図である。
【
図5A】
図5のセンサ集積回路の実施形態の断面図である。
【
図5B】
図5のセンサ集積回路の実施形態の断面図である。
【
図5C】
図5のセンサ集積回路の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1を参照すると、センサ集積回路(IC)10は、第1の精度で第1の処理済信号30aを生成するための第1のアナログ信号20aに応答する第1の処理チャネル16と、第2の精度で第2の処理済信号30bを生成するための第2のアナログ信号20bに応答する第2の処理チャネル18とを備える。第2の処理チャネル18の第2の精度は、第1の処理チャネル16の第1の精度と異なる。チェッカ回路、すなわちエラー検出器34は、第1の処理済信号30aおよび第2の処理済信号30bに応答し、第1の処理済信号30aおよび第2の処理済信号30bが所定量を超えて互いに異なるときに、センサIC10の故障を検出するように構成される。
【0022】
第1および第2の処理チャネル16、18はそれぞれ、アナログ信号20a、20bを処理して外部パラメータを感知し、感知したパラメータを示すそれぞれの処理済信号30a、30bを供給するように設計されている。実施形態において、第1の処理チャネル16は、より厳しい一連の要件(例えば、より速い処理速度および/または精度)を満たすように設計された第1の処理チャネルと称されることがあり、第2の処理チャネル18は、それほど厳しくない要件を満たすがそれでも適用される安全規格を満たすために動作冗長を達成するには十分であるように設計された第2の処理チャネルと称されることがある。処理済信号30a、30bが(チェッカ回路34によって判定されるように)所定量を超えて互いに異なることは、センサIC10内で故障が発生したことを示す指標を提供する。
【0023】
より一般的には、2つの固有の(すなわち、非同種(non-homogenous)の)処理チャネル16、18と、2つのチャネルの出力を比較するチェッカ回路34とを用いることによって、高いレベルの安全基準適合を達成することができる。「非同種の」処理チャネル16、18が意味するのは、チャネルが少なくとも1つの点で互いに異なるということである。処理チャネル16、18間の非同種性の例は、処理チャネルに異なる精度を与えること、処理チャネルに1つまたは複数の異なるタイプの回路要素および/または回路を与えること、各処理チャネルに異なるアナログ入力信号を与えること、および/または処理チャネルに異なる感知方法を実装することを含む。さらに、処理チャネルは、互いに対して複数の非同種性を有することができる。処理チャネルの非同種性のタイプの具体例は、以下で説明される。
【0024】
安全規格の中には、一点故障や潜伏故障など、異なるタイプの故障に対して異なる故障動作要件を規定しているものがある。さらに、特定のアプリケーションは、センサによって故障が削除されなければならない異なる故障報告時間(故障許容時間と呼ばれることもある)を要求することがある。非同種処理チャネル16、18は、異なる処理精度を有し、かつ、故障動作要件を満たすことができる。例えば、第1の処理チャネル16は、第2の処理チャネル18よりも正確な感知を実施することができる。処理チャネル16、18の間に1つまたは複数の非同種性があっても、チャネルは、それぞれの第1および第2の処理済信号30a、30bを生成するために同じまたは異なる精度を有するように設計できることが理解されるであろう。
【0025】
各処理チャネル16、18は、処理チャネル16における第1の信号経路24aおよび第2の処理チャネル18における第2の信号経路24bのような、少なくともそれぞれの信号経路を含む。処理チャネル16、18は、図示のように、それぞれの増幅器22a、22bをさらに含んでもよい。
【0026】
各処理チャネル16、18は、本明細書ではセンサ12、14として図示されている感知素子または複数の感知素子によって生成されるアナログ信号に応答する。いくつかの実施形態では、各処理チャネル16、18は、それぞれのセンサ12、14によって生成されたそれぞれのアナログ信号20a、20bに応答し、他の実施形態では、各処理チャネル16、18は、同じセンサ12によって生成された同じアナログ信号(例えば、信号20a)に応答する。処理チャネル16、18が同じアナログ信号に応答し得る1つの例示的なアプリケーションは、両方の処理チャネルにアナログ信号を供給するセンサが相電流を測定するように構成されたシャント抵抗器である三相モータ制御装置である。センサ12、14は、以下で説明されるように、センサIC10の一部を形成することができ(すなわち、センサIC10と一体化またはセンサIC10に内蔵する)、あるいは、センサIC10の外付けとすることもできる。
【0027】
一般に、センサ12、14は、外部パラメータを感知するための1つまたは複数の感知素子を備える。例として、いくつかの実施形態では、センサ12、14は、ターゲット物体の動きによって影響され得るような、または導体を通る電流の流れから生じ得るような磁場を感知する1つまたは複数の磁場感知素子、または磁場変換器を備える。他のタイプのデバイスが感知素子を提供してもよい。例えば、センサは、電流を示す電圧信号を生成するように構成された抵抗器、光学的感知素子、または圧力感知素子を含んでもよい。
【0028】
このようなセンサ12、14によって生成されたアナログ信号に応答するセンサIC10は、磁場の方向の角度を感知する角度センサ、導体を通る電流によって発生する磁場を感知する電流センサ、物体の近接を感知する磁気スイッチ、磁場センサがバックバイアス磁石または他の磁石と組み合わせて使用される場合、例えばリング磁石または強磁性ターゲット(例えば、歯車の歯)の磁区である回転物体の特徴を感知する回転検出器、磁場の磁場密度を感知するリニア磁場センサ、圧力センサ、光検出器、およびモータ制御回路などを含むがこれらに限定されない様々な用途で使用することができる。
【0029】
センサ12、14が1つまたは複数の磁場感知素子を備える実施形態では、そのような素子は、ホール効果素子、磁気抵抗素子、または磁気トランジスタであり得るが、これらに限定されるものではない。知られているように、ホール効果素子には異なるタイプがあり、例えば、平面ホール素子、垂直ホール素子、および円形垂直ホール(CVH:Circular Vertical Hall)素子がある。また、知られているように、磁気抵抗素子には異なるタイプがあり、例えば、アンチモン化インジウム(InSb)などの半導体磁気抵抗素子、巨大磁気抵抗(GMR:Giant MagnetoResistance)素子(スピンバルブ構造を含む)、異方性磁気抵抗素子(AMR:Anisotropic MagnetoResistance element)、トンネル磁気抵抗(TMR:Tunneling MagnetoResistance)素子、および磁気トンネル接合(MTJ:Magnetic Tunnel Junction)などが存在する。磁場感知素子は、単一の素子であってもよいし、あるいは、ハーフブリッジまたはフル(ホイートストン)ブリッジなど、様々な構成で配置された2つ以上の磁場感知素子を含んでもよい。デバイスのタイプおよび他の用途要件に応じて、磁場感知素子は、シリコン(Si)またはゲルマニウム(Ge)などのIV型半導体材料、またはガリウムヒ素(GaAs)またはインジウム化合物、例えばアンチモン化インジウム(InSb)などのIII-V型半導体材料でできたデバイスであり得る。
【0030】
センサIC10は、1つまたは複数の出力信号を生成する。例えば、第1の信号経路24aからの第1の処理済信号30aおよび第2の信号経路24bからの第2の処理済信号30bのうちの一方または両方は、IC10の外部の回路およびシステムに供給されることによって、センサ12、14によって感知されたパラメータの表示を提供し得る。さらに、チェッカ回路34は、さらなる処理またはアクションのために外部の回路およびシステムに結合され得る故障信号42を供給してもよい。いくつかの実施形態では、チェッカ回路34からの故障信号42は、「複合」出力信号、または故障情報だけでなくセンサIC10によって感知されたパラメータに関する情報を伝える信号を供給するために、第1および/または第2の処理済信号30a、30bと結合されてもよい。
【0031】
センサIC出力信号を生成するために使用される第1のおよび第2の処理チャネル16、18の特定の信号処理機能は、感知されたパラメータおよびIC10の目的に依存する。例えば、センサIC10が電流センサを形成する実施形態では、処理チャネル16、18は、
図1Aの例示的実施形態に関連して以下で説明されるように、1つまたは複数の磁場感知素子または抵抗器の形態のセンサによって生成されたアナログ電圧信号を増幅してもよく、このアナログ電圧信号は、導体を通る電流のレベルを示す大きさを有している。別の例として、センサIC10が角度センサを形成する実施形態では、処理チャネル16、18は、1つまたは複数の磁場感知素子からのアナログ信号に応答してもよく、
図1Bの例示的な実施形態に関連して以下で説明されるように、磁場信号のデジタル化バージョンのアークタンジェントを算出することにより磁場の角度を決定してもよい。
【0032】
上述した配置は、特定の用途および/または安全要件に適合するように、様々なオプションを備えることができる。オプションの要素および接続は、特定の点線接続および要素の外形によって図に示されている。
【0033】
いくつかの実施形態では、センサIC10は、さらに、第2のチェッカ回路36を備える。第2のチェッカ回路36は、第1のチェッカ回路34と同様に、第1の処理済信号30aおよび第2の処理済信号30bに応答し、第1の処理済信号30aおよび第2の処理済信号30bが所定量を超えて互いに異なるときにセンサIC10における故障を検出するように構成される。第2のチェッカ回路36によって生成された故障信号44は、IC10の出力信号として外部の回路および/またはシステムに供給され得る。
【0034】
第1および第2のチェッカ回路34、36の両方を利用するいくつかの実施形態では、各チェッカ回路によって生成された故障信号42、44を論理回路(ここでは、論理またはゲート40)に結合することによって、故障信号42または故障信号44のいずれかがセンサICにおける故障状態を示すときに、センサIC10における故障を示す故障信号46を生成することができる。そのような実施形態において、論理回路40の出力信号46は、外部回路および/またはシステムに対するIC10のさらなる(または代替の)出力信号として供給され得る。さらに、第1および第2のチェッカ回路34、36は、同一であってもよく、または非同種のチェッカ回路であってもよい。
【0035】
センサIC10は、全体的に、電子回路を支持する1つまたは複数の半導体ダイと、ICの外部からIC回路への電気接続が可能な複数のリードを有するリードフレームとを備え、任意選択で追加のディスクリート部品を含んでもよい。少なくとも半導体ダイおよびリードフレームの一部を含むIC10の一部は、ICパッケージを形成する非導電性のモールド材料によって囲まれているが、他の部分(リードの接続部分など)はモールド材料によって囲まれておらず、IC内の接続点へのアクセスを許可する。
【0036】
点線のボックス50、50a、50b、50c、および50d、ならびに60は、センサICパッケージ内の可能な個々の半導体ダイを表す。上述したように、センサ12、14は、センサIC10の内部にあってもよいし、あるいは、ICの外部にあってもよい。説明した回路を1つまたは複数のダイに分割する点では多くのバリエーションが可能であり、どのバリエーションを採用するかは、一般に、安全要件とスペースおよびコストの考慮に基づいて決定される。
【0037】
いくつかの実施形態では、IC10は、第1の処理チャネル16、第2の処理チャネル18、およびチェッカ回路34を支持する単一の半導体ダイ(ここではボックス50bおよび50dを含む)だけを備えている。一方または両方のセンサ12、14がICに内蔵されているそのような単一ダイの実施形態では、単一ダイは、センサ12、14を追加的に支持でき、その場合、そのような単一ダイは、ボックス50によって表され得る。
【0038】
他の実施形態では、IC10は、それぞれが回路の一部を支持し、他のダイと同じパッケージで提供される複数の半導体ダイを備えることができる。センサ12、14がIC10の外部にある第1のマルチダイの実施形態を考えると、そのような例示的な実施形態は、第1の処理チャネル16および第1のチェッカ回路34が第1のダイ50bによって支持され、第2の処理チャネル18、第2のチェッカ回路36、および論理回路40が第2のダイ50dによって支持される。センサ12、14がIC10内に含まれるマルチダイ実施形態において、そのような例示的な実施形態は、第1のセンサ12、第1の処理チャネル16、および第1のチェッカ回路34がボックス50aおよび50bによって表される第1のダイによって支持され、第2のセンサ14、第2の処理チャネル18、第2のチェッカ回路36、およびロジック回路40がボックス50cおよび50dによって表される第2のダイによって支持される。複数の半導体ダイの間の回路の特定のパーティショニングは、変化させることができることが理解されるであろう。
【0039】
いくつかの実施形態では、ボックス50内、またはボックス50b、50c内に示される上述の回路を重複させることによって、追加の冗長性を提供することが望ましい場合がある。そのような例の1つでは、センサIC10は、ボックス50内の全ての回路と、同一のボックス60内のそのような回路の複製を備える。より詳細には、この種のそのような例において、第1の半導体ダイ50は、第1のセンサ12、第2のセンサ14、第1の処理チャネル16、第2の処理チャネル18、およびチェッカ回路34を支持することができる。ボックス60で表すことができるような(同じICパッケージ内の)第2の半導体ダイは、第1のセンサ12と同じまたは類似の第3のセンサ、第2のセンサ14と同じまたは類似の第4のセンサ、第1の処理チャネル16と同じまたは類似の第3の処理チャネル、および第2の処理チャネル18と同じまたは類似の第4の処理チャネル、ならびに、チェッカ回路34と同じまたは類似のチェッカ回路を支持することができる。この配置により、2つの同一のダイからの故障信号が、どちらのダイがIC出力を与えることを「任せる」ことができるかの指標を提供するので、追加のレベルの冗長性および安全完全性が達成され得る。言い換えれば、一方のダイからのチェッカ回路が故障を示し、他方のダイからのチェッカ回路が故障を示さないとき、故障が検出されないダイからの出力信号に基づいてシステム動作を継続することができる。
【0040】
図1Aを参照すると、例示的なセンサIC10’は、リニア磁場センサまたは電流センサのようなアナログセンサの形態で提供される。実施形態において、センサ12’は、GMR素子などの1つまたは複数の磁気抵抗素子を含み、センサ14’は、垂直ホール素子などの1つまたは複数のホール効果素子を含む。各センサ12’、14’は、それぞれの処理チャネル16’、18’に結合するためのそれぞれのアナログ磁場感知信号20a’、20b’を生成する。例えば、そのような磁場信号20a’、20b’のそれぞれは、近接する導体(図示せず)を通る電流の流れによって発生する磁場などの磁場に応答して発生する実質的に正弦波の信号の形態をとることができる。
【0041】
第1の処理チャネル16’は、増幅器22a’および第1の信号経路24a’を含み、第2の処理チャネル18’は、増幅器22b’および第2の信号経路24b’を含む。実施形態では、信号経路24a’、24b’のそれぞれは、アナログフィルタの形態をとる。例えば、信号経路24a’は、スイッチキャパシタフィルタであってもよく、信号経路24b’は、RCフィルタであってもよい。したがって、第1の信号経路24a’によって生成される第1の処理済信号30a’は、アナログフィルタされた信号であってもよく、第2の信号経路24b’によって生成される第2の処理済信号30b’は、アナログフィルタされた信号であるが第1の処理済信号30a’とは異なるフィルタタイプでフィルタされた信号であってもよい。
【0042】
第1のアナログ信号経路24a’の出力に結合されたバッファ70は、センサIC10’の外部の回路およびシステムに結合され得るように、センサ出力信号72を供給する。したがって、この例では、GMRセンサ12’によって検出された磁場は、センサIC出力信号72を供給するために、信号経路24’によってフィルタリングされる。
【0043】
第2の処理チャネル18’は、第1の処理チャネル16’における故障の検出を可能にするために、非同種的な冗長性のために提供される。しかしながら、処理済信号30b’もまた、冗長な出力信号を与えるために、センサIC10’の外部の回路およびシステムに供給され得ることが理解されよう。
【0044】
チェッカ回路34’は、第1の処理済信号30a’および第2の処理済信号30b’を受信するように結合された入力を有し、図示のように、出力において故障信号42’を生成する。様々なタイプのチェッカ回路が可能である。アナログセンサIC10’’のための好適な例示のアナログチェッカ回路34’は、
図2に示され、以下に説明される。ここでは、チェッカ回路34’は、第1の処理済信号30a’と第2の処理済信号30b’との比較を行い、信号30a’、30b’が所定量を超えて異なるときに、センサICの故障を示す故障信号42’を生成する、ということで十分であろう。
図1AのアナログセンサIC10’は1つのチェッカ回路34’のみを備えるが、第2のチェッカ回路(例えば、
図1のチェッカ回路36)が設けられ得ることが理解されよう。
【0045】
センサ10’は、処理チャネル16および18が複数の意味で異なる(すなわち、複数の非同種性を有する)センサの例である。特に、第1の処理チャネル16は、第2の処理チャネル18とは異なる回路タイプを含む(すなわち、スイッチキャパシタフィルタ24a’は、RCフィルタ24b’とは異なる)。さらに、第1の処理チャネル16’は、第1のセンサタイプ(例えば、GMR素子)からのアナログ信号20a’に応答し、第2の処理チャネル18’は、第1のセンサタイプとは異なる、第2のセンサタイプ(例えば、垂直ホール効果素子)からのアナログ信号20b’に応答する。
【0046】
図1Bを参照すると、例示的なセンサIC10’’は、デジタル信号経路24a’’および24b’’を備える。デジタルセンサIC10’’は、図示のように、センサ12’’、14’’からのアナログ入力信号20a’’、20b’’に対して信号処理機能を実行するために様々な形態を取り得る。例として、センサIC10’’は、磁場方向の角度を感知する角度センサ、対象物の回転などの移動速度を感知する速度センサ、またはモータ位相電流を感知するように構成されたモータ制御器であってもよい。
【0047】
実施形態において、センサIC10’’は角度センサであり、センサ12’’は円形垂直ホール(CVH)素子を含み、センサ14’’は
図4および4Aに関連して以下で説明されるように1つまたは複数の平面ホール効果素子を含む。各センサ12’’、14’’は、それぞれの処理チャネル16’’、18’’に結合するためのそれぞれの磁場感知信号20a’’、20b’’を生成する。例えば、そのような磁場信号20a’’、20b’’のそれぞれは、その角度が決定されるべき磁場に応答して生成され得るように、実質的に正弦波の信号の形態を取り得る。
【0048】
処理チャネル16’’は、増幅器22a’’、アナログ-デジタル変換器(ADC)26a、および第1のデジタル信号経路24a’’を含む。処理チャネル18’’は、増幅器22b’’、ADC26b、および第2のデジタル信号経路24b’’を含む。より詳細には、第1のデジタル信号経路24a’’は、ADC26aからデジタル出力信号を受信するように結合され、第1の処理済信号30a’’を生成し、第2のデジタル信号経路24bは、ADC26bからデジタル出力信号を受信するように結合され、第2の処理済信号30b’’を生成する。
【0049】
各処理チャネル16’’、18’’は、異なるタイプのADC26a、26bを含んでもよい。例えば、ADC26aは、
図3に示すようなシグマ・デルタ型ADCの形態をとってよく、ADC26bは、
図3Aに示すようなデュアルスロープADCの形態をとってよく、これら両方は後述される。この例示的な実施形態では、ADC26aは、ADC26bよりも速いデータ変換速度を有していてもよい。他のタイプのADCも可能であり、例えば逐次比較型ADCなどである。
【0050】
デジタル信号経路24a’’、24b’’のそれぞれは、入力デジタル磁場信号サンプルを処理し、感知された磁場の角度を示すそれぞれの処理済信号30a’’、30b’’を生成するために異なる感知方法を実装してもよい。実施形態において、CVH生成磁場信号20a’’を処理する第1のデジタル信号経路24a’’は、
図4に示されるようなゼロ交差検出器を含み、それぞれの直交に位置する垂直ホール効果素子によって生成された直交磁場信号を処理する第2のデジタル信号経路24b’’は、
図4Aに示されるようなCORDIC処理器を含み、これらはいずれも以下に記載する通りである。感知された磁場の角度を示す処理済信号を生成するために、他のタイプの感知方法、例えば、位相ロックループ(PLL)の使用を含む方法が使用されてもよい。
【0051】
チェッカ回路34’’は、第1の処理済信号30a’’および第2の処理済信号30b’’を受信するように結合された入力を有し、図示のように、出力において故障信号42’’を生成する。様々なタイプのチェッカ回路が可能である。デジタルセンサIC10’’の好適な例のデジタルチェッカ回路34’’は、
図2Aに示され、以下に説明される。ここでは、チェッカ回路34’’は、第1の処理済信号30a’’と第2の処理済信号30b’’の比較を行い、信号30a’’、30b’’が所定量を超えて異なるときに、センサICの故障を示す故障信号42’’を生成する、ということで十分であろう。
図1BのデジタルセンサIC10’’は1つのチェッカ回路34’’のみを備えるが、第2のチェッカ回路(例えば、
図1のチェッカ回路36)が設けられ得ることが理解されよう。
【0052】
故障信号42’’および第1および第2の処理済信号30a’’、30b’’のそれぞれは、入力/出力(I/O)回路80に結合され、この回路は、図示のように、センサの出力信号82を供給する。I/O回路80は、外部回路またはシステムと適合するフォーマットでセンサ出力信号82を供給するように構成されたデジタルレジスタを含んでもよい。例として、センサ出力信号82は、信号30a’’および/または30b’’からの感知された磁場角と、コントローラエリアネットワーク(CAN:Controller Area Network)、シングルエッジニブル伝送(SENT:Single Edge Nibble Transmission)、マンチェスター(Manchester)、シリアル周辺インターフェース(SPI:Serial Peripheral Interface)、相互集積回路(I2C)等を含む様々な既知の通信フォーマットまたはプロトコルで符号化された故障情報とを提供することができる。より詳細には、センサ出力信号82は、故障情報だけでなくセンサによって感知されたパラメータに関する情報を伝えるデジタルワードのような複合出力信号であり得る。
【0053】
図1Cも参照すると、
図1BのI/O回路80を提供し得るような例示的なI/O回路84は、PWM信号フォーマットでセンサ出力信号82を生成するように構成される。I/O回路84は、PWM発生器86、マルチプレクサ90、およびプルダウン抵抗器94を含む。より詳細には、第1の処理チャネル16’’からの処理済信号30a’’は、PWM発生器102に結合され、この発生器は、デジタル処理済信号30a’’の値に応じて変化するデューティサイクルを有するPWM出力信号82(すなわち、デジタルパルス列または方形波信号)を生成する。
【0054】
チェッカ回路34’’の故障出力信号42’’(
図1B)は、故障出力信号42’’の状態に応じて、マルチプレクサ90が、PWM発生器出力信号88、またはグラウンド92などの基準信号のいずれかをセンサIC出力82に結合するように、マルチプレクサ90を制御する。より詳細には、故障信号42’’がIC故障を示すレベルであるとき、センサ出力82をグラウンドに結合することができ、一方、故障信号42’’が故障の存在を示さないレベルであるときは、PWM発生器出力信号88をセンサ出力82に結合することができる。プルダウン抵抗器94は、PWM信号88がアクティブであり、センサ出力82に結合されているとき、PWM信号88がセンサ出力信号82を与えるするような通常の動作を妨げないように、十分に高いインピーダンスを有する。
【0055】
この配置により、センサ出力82におけるPWM信号の不在は、処理済信号30a’’、30b’’が所定量を超えて異なることによる故障以外の故障の存在を示すと解釈することが可能である。一例として、IC10’’内の内部レギュレータが故障したとき、信号経路16’’、18’’とチェッカ回路34’’の両方が故障することが考えられる。このシナリオでは、チェッカ回路34’’が故障表示またはフラグを提供するためにもはや機能しないにもかかわらず、プルダウン抵抗器94はセンサIC出力82をローに維持し、それによって、故障信号42’’によってフラグが立てられた故障状態だけではない追加の条件下でPWM出力信号の不在が発生することを許容する。
【0056】
センサ10’’は、処理チャネル16’’および18’’が複数の意味で異なる(すなわち、複数の非同種性を有する)例示的なセンサである。特に、第1の処理チャネル16’’は、第2の処理チャネル18’’と異なる回路タイプを含む(すなわち、シグマ・デルタ型ADC26aはデュアルスロープADC26bと異なる)ことが示されている。さらに、第1の処理チャネル16’’は、第1のセンサタイプ(例えば、CVH素子)からのアナログ信号20a’’に応答し、第2の処理チャネル18’’は、第1のセンサタイプとは異なる第2のセンサタイプ(例えば、垂直ホール効果素子)からのアナログ信号20b’’に応答する。さらに、各処理チャネル16’’、18’’は、異なる感知手法を実装する(すなわち、デジタル信号経路24a’’は、磁場角度を決定するためにゼロ交差検出を用い、デジタル信号経路24b’’は、CORDICプロセッサでアークタンジェント計算を使用する)。
【0057】
上述したように、デジタルセンサIC10’’は、速度センサの形態を取り得る。例えば、実施形態において、第1のデジタル信号経路24a’’および第2のデジタル信号経路24b’’は、異なるタイプのピーク検出器(例えば、いわゆるピークツーピーク率検出器、ピーク参照検出器、または閾値検出器)を含むことができる。この例では、処理済信号30a’’、30b’’のそれぞれは、ターゲットの速度を示す周期を有するデジタルパルス列の形態をとることができる。
【0058】
例示的なチェッカ回路は、
図2および2Aに示されている。処理チャネル16、18は非同種であり、いくつかの実施形態では、異なる速度を有する処理済信号30a、30bをもたらし得る異なる精度を有することがあるので、チェッカ回路34は、処理済信号の正確な比較を可能にするために、そのようなチャネルのミスマッチに対処するように構成される。以下で明らかになるように、
図2のチェッカ回路200は、サンプリングの前により遅いチャネルを「待つ」ことによって本質的にチャネルミスマッチに対処し、
図2Aのチェッカ回路250は、サンプリングの前により速いチャネルを「遅延させる」ことによって本質的にチャネルミスマッチに対処する。
【0059】
図2を参照すると、例示的なチェッカ回路200は、第1のサンプル回路206、第2のサンプル回路208、時間遅延同期化器230、およびウィンドウコンパレータ220を含む。チェッカ回路200は、入力信号202、204(
図1Aのアナログ処理済信号30a’、30b’、または
図1Bのデジタル処理済信号30a’’、30b’’と同一または類似であってよい)に応答し、出力信号222(
図1Aの故障信号42’または
図1Bの故障信号42’’と同一または類似であってよい)を生成するよう構成される。
【0060】
サンプル回路206は、入力信号202をサンプリングしてサンプリング信号212をウィンドウコンパレータ220の入力に供給し、サンプル回路208は、入力信号204をサンプリングしてサンプリング信号216をウィンドウコンパレータ220の入力に供給する。チェッカ回路200がアナログセンサIC(例えば、
図1AのIC10’)に設けられる実施形態では、サンプル回路206、208は、スイッチおよびコンデンサを含むように、サンプル・ホールド回路を含んでもよく、それによってアナログ入力信号からの電荷は、スイッチが閉じられたときにコンデンサに選択的に蓄積され、スイッチが開いたときにコンデンサに保持される。チェッカ回路200がデジタルセンサIC(例えば、
図1BのIC10’’)に設けられている実施形態では、サンプル回路206、208は、デジタルレジスタまたは他の適切なデジタルストレージを含んでもよい。
【0061】
時間遅延同期化器230は、図示のようにサンプル回路206、208の入力、およびウィンドウコンパレータ220の入力に結合するための1つまたは複数の同期、またはクロック信号、ここでは信号232、234、236を生成する。上述のように、チェッカ入力信号202、204を与える処理済信号(例えば、
図1Aの処理済信号30a’、30b’または
図1Bの処理済信号30a’’、30b’’)は、異なる処理速度から生じる場合があり、したがって、それ自体異なる速度特性を有する場合がある。したがって、同期信号232、236は、サンプリング信号212、216がウィンドウコンパレータ220による比較のために同じ速度を有することを保証するために、それぞれのサンプル回路206、208を制御する(例えば、サンプル・ホールド回路におけるそれぞれのスイッチを制御する)。例えば、入力信号202が入力信号204の2倍の速度を有するとき、同期信号236は、同期信号232がサンプル回路206を制御して入力信号204をサンプルする場合の2倍の速度でサンプル回路208を制御して入力信号202をサンプルし、それによって同じ速度のサンプリング信号212、216を生成させることができる。同期信号234は、ウィンドウコンパレータ220に結合され、サンプリング信号212、216の間の比較の時間を制御する。
【0062】
ウィンドウコンパレータ220は、サンプリング信号212、216を比較し、信号212、216が所定量を超えて異なるときに、故障を示す故障信号222を生成するように構成される。この構成では、サンプリング信号212、216のうちの一方がコンパレータ閾値電圧を供給し、他方のサンプリング信号がコンパレータ入力を与える。この構成により、コンパレータ出力信号222は、第1および第2のサンプリング信号212、216間の差が、ウィンドウコンパレータ内の抵抗分圧器によって確立され得るように、所定量より小さいとき第1の論理状態にあり、第1および第2のサンプリング信号212、216間の差が、所定量より大きいとき第2の論理状態にあるように提供される。実施形態において、所定量は、センサ出力の絶対的な許容変動で規定されてもよい(例えば、角度センサにおいて、所定量は、例えば10°の磁場角度誤差に対応してもよい)。いくつかの実施形態では、所定量は、パーセント差であり得る(例えば、角度センサでは、所定量は、センサ出力が実際の磁場角度の5%以内であることに対応し得る)。また、所定量は、プログラム可能な値または選択可能な値とすることもできる。
【0063】
故障信号222は、第1および第2のサンプリング信号212、216の間の差に依存して上記に規定されたようなレベルを有する論理信号など、様々な形態を取り得ることが理解されるであろう。例えば代替として、故障信号222は、サンプリング信号212、216の間の差が所定量だけ異なるときに設定され、例えば何らかのシステム機能が発生するまで、またはシステムプロセッサによってクリアされるまでクリアされないフラグの形態をとることができる。
【0064】
図2Aを参照すると、代替のチェッカ回路250は、第1のサンプル回路256、第2のサンプル回路258、遅延素子260、およびウィンドウコンパレータ270を含む。チェッカ回路250は、入力信号252、254(これは、
図1Aのアナログ処理済信号30a’、30b’または
図1Bのデジタル処理済信号30a’’、30b’’と同じか類似していてもよい)に応答し、出力信号272(これは、
図1Aの故障信号42’または
図1Bの故障信号42’’と同じか類似していてもよい)を生成するよう構成される。
【0065】
遅延素子260は、サンプル回路256によるサンプリングのために入力信号を遅延させるために、入力信号252とサンプル回路256との間に直列に結合される。チェッカ回路250が例えばチェッカ回路34’(
図1A)を提供する実施形態では、入力信号252、254がそれぞれ処理済信号30a’、30b’によって与えられるように、処理済信号30a’を、さらなる処理のために入力信号30b’と同じ速度の信号を供給するように遅延させることが可能である。例えば、入力信号252が入力信号254の2倍の速度を有するとき、遅延素子260は、入力信号254と同じ速度を有するように、入力信号252を遅延させることができる。したがって、遅延素子260は、2つの処理チャネルのうちより高速なものと直列に設けられることが企図される。実施形態において、排他的論理和(XOR)論理回路は、処理チャネルのうちの選択された(すなわち、より速い)1つと直列に遅延素子260を効果的に結合するために提供され得る。
【0066】
いくつかの実施形態において、より遅い処理済信号の調整を同様に可能にするために、第2の遅延素子(図示せず)をさらにより遅い処理チャネルと直列に設け、それによって、後続のサンプリングのためにほぼ同じ速度を有するサンプル回路256、258の入力信号を生成してもよいことが理解されるであろう。
【0067】
サンプル回路256、258は、図示のように、ウィンドウコンパレータ270の入力に結合するためのそれぞれのサンプリング信号264、268を供給するように、サンプル回路206、208と同じか類似するものとすることができる。したがって、チェッカ回路250がアナログセンサIC(例えば、
図1AのIC10’)の一部を形成する実施形態では、サンプル回路256、258は、サンプル・ホールド回路を含んでもよく、チェッカ回路250がデジタルセンサIC(例えば、
図1BのIC10’’)に設けられる実施形態では、サンプル回路256、258は、デジタルレジスタまたは他の適当なデジタルストレージを含んでもよい。
【0068】
ウィンドウコンパレータ270は、ウィンドウコンパレータ220(
図2)と同じか類似することができ、サンプリング信号264、268を比較し、信号264、268が所定量を超えて異なるときに故障を示すために故障信号272を生成するように構成され、所定量は再び例として所定の絶対量または所定の割合の形態をとることができる。故障信号222と同じか類似することができる故障信号272は、様々な形態をとることができる。
【0069】
図1Bに関連して上述したように、各処理チャネル16’’、18’’は、異なる(すなわち、非同種の)タイプのADC26a、26bを含むことができる。各処理チャネルに対して選択される特定のADCタイプは、第1のおよび第2のチャネル16’’、18’’に対するアプリケーション要件を満たすために、少なくともADCの精度および速度に基づく。
【0070】
図3を参照すると、2次シグマ・デルタ変換器の形態の例示的なADC300は、ADC26a(
図1B)を提供し得る。ADC300は、加算素子(例えば、差動増幅器)306、314、積分器310、318、およびデジタル出力信号326を生成する量子化器322、を含むフォワードパスを備える。デジタル出力信号326から第1の加算素子306への第1のフィードバックパスは、デジタル-アナログ変換器(DAC)330および利得段(すなわち、フィードバック係数)334を含む。デジタル出力信号326から第2の加算素子314への第2のフィードバックパスは、図示のように、DAC330およびフィードバック係数332を含む。
【0071】
ADC300の動作により、デジタル出力信号326は、アナログ入力信号302のレベルに比例する値を有する。
図3のシグマ・デルタ型ADC300が
図1BのADC26aを提供する実施形態では、ADC入力信号302は増幅器22a’’の出力に対応でき、ADCのデジタル出力信号326は、デジタル入力信号を第1のデジタル信号経路24’’に与える。
【0072】
図3Aを参照すると、デュアルスロープ変換器の形態の例示的なADC350は、ADC26b(
図1B)を提供し得る。ADC350は、制御信号360の制御下で、アナログ入力電圧352または(入力電圧と反対の極性の)参照電圧354を積分器に選択的に結合するように構成されたスイッチ358を含む。積分器は、演算増幅器368、抵抗器364、およびコンデンサ372を含む。コンデンサ372と並列に結合されたスイッチ376は、制御信号378の制御下で、コンデンサ電圧を周期的にリセットする。増幅器368の出力は、コンパレータ380の入力に結合され、このコンパレータは、コンパレータ出力信号390をコントローラ392に供給するためにゼロ交差検出器を形成し得るように基準電圧382に結合された第2の入力を有する。コントローラ392は、コンパレータ出力信号390に応答して、スイッチ制御信号360、378およびADC出力信号394を生成する。制御信号360は、スイッチ358にアナログ入力電圧352を一定時間積分器に結合させ、その後に制御信号360は、スイッチ358に基準電圧354を積分器に結合させる。コンパレータ出力信号390の遷移は、コンデンサ電圧がゼロに戻ったことを示し、積分器368の出力がゼロに戻るのにかかる時間は、ADCコントローラ392によって測定され、アナログ入力電圧352のレベルに比例する値を有するデジタル出力信号394が供給される。
【0073】
図3のシグマ・デルタ型ADC300および
図3AのデュアルスロープADC350は、ADCが使用されるそれぞれの処理チャネルについて所望の速度および/または精度を達成するように設計できることが理解されるであろう。非同種性は、2つの処理チャネル(例えば、
図1Bのチャネル16’’、18’’)において異なるタイプのADCを使用することによって簡単に達成される。追加の非同種性は、異なる精度(例えば、解像度)および/または異なる変換速度を提供するように選択された設計上の選択によって達成され得る。
【0074】
図1Bに関連して上で説明したように、デジタル信号経路24a’’、24b’’のそれぞれは、入力デジタル磁場信号サンプルを処理してそれぞれの処理済信号30a’’、30b’’を生成するために異なる感知方法を実装し得る。例えば、両方のデジタル信号経路が感知された磁場を処理して角度測定信号を生成する角度センサの実施形態では、それぞれが異なる感知方法に従ってそうすることができる。
【0075】
図4を参照すると、1つのそのような角度感知方法は、デジタル信号経路400(この経路は、
図1Bのデジタル信号経路24a’’を与えてもよい)で達成され得る。この実施形態では、センサ12’’は、増幅器22a’’に磁場信号20’’を供給するCVH素子であり得、その出力はADC26a(
図1B)によりデジタル信号402に変換される。
【0076】
デジタル信号経路400は、間引きフィルタ(デシメーションフィルタ)408、さらなるフィルタ412、ゼロ交差検出器416、および基準クロック発生器420、を含むことができる。デジタル信号経路400は、CVHセンサ12’’の実質的に正弦波の出力のデジタル化されたバージョンを表すデジタル入力信号402に応答する。デジタル化された信号402は、フィルタ408および412によってフィルタリングされ、フィルタリングされた信号426は、ゼロ交差検出器416に結合される。基準クロック発生器420からの基準信号422に応答して、ゼロ交差検出器416は、フィルタリングされた信号426がゼロ基準点を横切るときを決定する。ゼロ交差検出器と基準信号422の遷移間の位相シフトは磁場角度に比例するので、ゼロ交差検出器416の出力信号430は、したがって、感知された磁場の角度を示すものである。
【0077】
図4Aを参照すると、代替の角度感知方法は、デジタル信号経路450(この経路は、
図1Bのデジタル信号経路24b’’を与えてもよい)で実現することができる。この実施形態では、センサ14’’は、アナログ磁場信号X
A、Y
A(集合的に信号20b’’、
図1B)を増幅器回路(集合的に増幅器22b’’、
図1B)に供給するデュアル垂直ホール効果構成を含むことができる。この例では、センサ14’’は、素子のうちの一方の出力信号X
Aが第1のX軸に関して感知された磁場を表し、他方の素子の出力信号Y
Aが第2の直交するY軸に関して感知された磁場を表すように互いに対して直交して位置付けられた一対のホール効果素子を含むことができる。増幅器回路22b’’は、第1のセンサ出力信号X
Aに結合された増幅器452と、第2のセンサ出力信号Y
Aに結合された増幅器454と、制御信号460の制御下で増幅器出力信号のうちの1つをデジタル信号経路450に選択的に結合するマルチプレクサ458とを含む。増幅器回路22b’’の出力は、ADC26b(
図1B)により、デジタル信号462に変換される。
【0078】
デジタル信号経路450は、デュアルサンプルレジスタ470、CORDICプロセッサ474、およびマルチプレクサコントローラ478を含むことができる。マルチプレクサコントローラ478は、ADC26bおよびデュアルサンプルレジスタ470の動作を同期させ、それによってそれぞれのアナログ磁場信号XA、YAのデジタル化されたサンプルを表す直交デジタル信号XD、YDを生成するために、マルチプレクサ458、ADC26b、およびデュアルサンプルレジスタ479に制御信号を印加する。直交信号XD、YDを生成した後、CORDICプロセッサ474は、直交信号XD、YDのアークタンジェントを計算し、それによって、感知された磁場の角度を示す値を有するチャネル出力信号480を生成する。
【0079】
少なくとも
図4Aのデジタル信号経路450に関連する時間多重化のために、このデジタル信号経路450は、
図4のデジタル信号経路400によって実行される角度感知よりも遅くなり得ることが理解されるであろう。このより遅い処理は、経路450による角度感知が故障許容時間要件を満たすのに十分速い限り、非同種の冗長性を達成するために、第2の処理チャネル18’’(
図1B)において使用するのに十分であり得る。
【0080】
図5を参照すると、センサ集積回路(IC)500の一実施形態が示されている。この実施形態は、
図1に図示されたセンサICと同様に、本明細書に記載された任意の処理チャネルを含むことができるがこれに限定されない2つ以上の処理チャネル516、518を有することができる。特に、センサIC500は、第1の精度で第1の処理済信号530aを生成するために第1のアナログ信号520aに応答する第1の処理チャネル516と、第2の精度で第2の処理済信号530bを生成するために第2のアナログ信号520bに応答する第2の処理チャネル518とを備える。第2の処理チャネル518の第2の精度は、第1の処理チャネル516の第1の精度と異なっていてもよい。センサIC500は、本明細書に記載される任意のチェッカ回路などのチェッカ回路、またはエラー検出器534を含むこともできる。
【0081】
第1および第2の処理チャネル516、518は、アナログ信号520a、520bを処理して、感知されたパラメータを示すそれぞれの処理済信号530a、530bを供給することによって、外部パラメータを感知するように設計することができる。代替の実施形態では、センサ512、513、514が、圧力センサスイッチまたは光スイッチによって出力されるデジタル信号などのデジタル出力を供給するとき、信号520a、520bはデジタル信号であり得る。いくつかの例では、処理済信号530a、530bが(チェッカ回路534によって判定されるように)所定量を超えて互いに異なることは、センサIC500内で故障が発生したことを示す。2つの固有の(すなわち、非同種の)処理チャネル516、518と、2つのチャネルの出力を比較するチェッカ回路534とを用いることによって、高いレベルの安全基準適合性を達成することができる。処理チャネル516、518は、本明細書に記載される任意の非同種性を含むことができる。
【0082】
各処理チャネル516、518は、処理チャネル516の第1の信号経路524a、第2の処理チャネル518の第2の信号経路524bなど、少なくともそれぞれの信号経路を含む。処理チャネル516、518は、図示のように、さらに、それぞれの増幅器522a、522bを含み得る。
【0083】
各処理チャネル516、518は、本明細書ではセンサ512、514として図示されている感知素子または複数の感知素子によって生成されるアナログ信号に応答する。いくつかの実施形態では、各処理チャネル516、518は、それぞれのセンサ512、514によって生成されたそれぞれのアナログ信号520a、520bに応答し、他の実施形態では、各処理チャネル516、518は、同じセンサ512によって生成された同じアナログ信号(例えば、信号520a)に応答する。
図5は、2つの感知素子512、514を図示しているが、センサIC500は、任意選択の第3センサ513によって示されるように、3つの感知素子を含むことができる。この任意選択の第3のセンサ513は、第3の処理チャネル(図示せず)、または既存の処理チャネル516、518のうちの1つで処理することができるアナログ信号を出力する。
【0084】
センサ512、513、514は、本明細書に記載される任意のセンサであり得、圧力、光、または表面に入射する光子の数などの外部パラメータを感知する1つまたは複数の感知素子を含み得る。センサIC500は、ガスセンサ、荷重センサ、検出センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、または生体センサなどのセンサクラスのいずれかの一部とすることができる。センサクラスは異なる機能性を提供するが、センサIC500は、本明細書に記載される構造および方法の一部または全部を利用してもよく、または、追加の感知技術と共に本明細書に記載される構造および方法を利用してもよい。例えば、センサ512、513、514は、LIDARまたはLADARシステムに含まれ得る。
【0085】
いくつかの例では、センサ512、513、514は、本明細書に記載される磁場感知素子のいずれかを含み得る。他の例では、センサ512、513、514は、フォトダイオード、フォトトランジスタ、または光子を電気信号に変換することができる任意の他の材料を含むことができる。また、センサ512、513、514は、圧電センサ、磁気ベースの圧力センサ、トランジスタベースの圧力センサ、または容量性もしくは抵抗性ベースの圧力センサを含むことができる。各例において、センサ512、513、514は、圧力または機械的応力を感知し、感知されたパラメータを電気信号に変換するように構成される。センサ512、513、514の構成は、
図5A-5Cにおいて以下でより詳細に説明される。
【0086】
上述した配置は、特定の用途および/または安全要件に適合するために、様々なオプションを備えることができる。オプションの要素および接続は、特定の点線接続および要素の外形によって図に示されている。
【0087】
図1で説明したセンサIC10と同様に、センサIC500は、さらなる処理または動作のために外部回路およびシステムに供給することができる1つまたは複数の出力信号を生成することができる。いくつかの実施形態では、チェッカ回路534からの故障信号542は、「複合」出力信号、または故障情報だけでなくセンサIC500によって感知されたパラメータに関する情報を伝える信号を供給するために、第1および/または第2の処理済信号530a、530bと結合されてもよい。
【0088】
いくつかの実施形態では、センサIC500は、さらに、第2のチェッカ回路536を含む。第2のチェッカ回路536は、第1のチェッカ回路534と同様に、第1の処理済信号530aおよび第2の処理済信号530bに応答し、第1の処理済信号530aおよび第2の処理済信号530bが所定量を超えて互いに異なるときにセンサIC500の故障を検出するよう構成される。第2のチェッカ回路536によって生成された故障信号544は、IC500の出力信号として外部の回路および/またはシステムに供給され得る。
【0089】
センサIC500は、各チェッカ回路によって生成された故障信号542、544が論理回路(ここでは、論理またはゲート540)に結合され、それによって、故障信号542または故障信号544のいずれかがセンサIC500の故障状態を示すときにセンサIC500の故障を示す故障信号546を生成するように、第1および第2のチェッカ回路534、536を共に使用するように構成することも可能である。このような実施形態では、論理回路540の出力信号546は、IC500のさらなる(または代替の)出力信号として、外部の回路および/またはシステムに供給され得る。さらに、第1および第2のチェッカ回路534、536は、同一であってもよく、または非同種的なチェッカ回路であってもよい。
【0090】
センサ512、513、514は、センサIC500の一部を形成する(すなわち、センサIC500と一体化またはセンサIC500に内蔵する)ことができ、あるいは、センサIC500の外部にあってもよい。センサ512、513、514のうちの1つまたは複数がセンサIC500の外部に位置する場合、外部センサは、センサIC500が外部センサからセンサ情報を受信することを可能にするリードまたはワイヤを介してセンサIC500に電気的に接続され得る。センサIC500は、電子回路を支持する1つまたは複数の半導体ダイと、ICの外部からIC回路への電気接続が可能な複数のリードを有するリードフレームとを備え、任意選択で追加のディスクリート部品を含んでもよい。少なくとも半導体ダイおよびリードフレームの一部を含むIC500の部分は、ICパッケージを形成する非導電性のモールド材料によって囲まれているが、他の部分(圧力が圧力感知素子に達するための開口部、または光が光学感知素子に達するための開口部など)は、モールド材料によって囲まれず、IC内の接続点へのアクセスを許可している。センサIC500の他の部分は、コンピュータ、回路基板、またはワイヤハーネスもしくはハウジングを含み得るがこれらに限定されない別の回路要素へのセンサIC500の電気的および/または機械的接続を可能にする外部リード部分を有し得る。ICパッケージは、ダイがその活性面をリードフレームに対向させてリードフレームに取り付けられる「ダイアップ」パッケージ、ダイがその活性面をリードフレームに向けてリードフレームに取り付けられる「フリップチップ」パッケージ、または、リードフレームがダイの上に位置する「リードオンチップ」パッケージ、または、ダイの活性面がリードフレームの下面にあり、ダイの活性面、すなわち上面からリードフレームの上面まで電気接続が可能なリードオンチップパッケージ、として構成することができる。
【0091】
点線のボックス550、550b、550c、および550d、および560は、センサICパッケージ内の可能な個々の半導体ダイを表す。センサ512、513、514は、センサIC500の内部にあってもよいし、あるいは、ICの外部にあってもよい。例えば、外部センサは、PC基板、またはアルミナ基板を含むがこれに限定されないハイブリッド回路基板上に形成された圧力センサを含んでいてもよく、外部センサはセンサIC500に接続される。説明した回路を1つまたは複数のダイに分割する点では多くのバリエーションが可能であり、どのバリエーションを採用するかは、一般に、安全要件とスペースおよびコストの考慮に基づいて決定される。
【0092】
例えば、センサIC500は、IC500内の回路と共に1つの半導体ダイ(すなわち、550a、550bおよび550dとラベル付けされた部分を含む半導体ダイ)上に集積することができる第1のセンサ512と、550cとラベル付けされた半導体ダイのように別の半導体ダイによって支持することができる第2のセンサ514とを備えることができる。この例では、第2のセンサ514は、550a、550b、550dとラベル付けされた部分を含む半導体ダイ構造に、ワイヤボンド、フリップチップ接続、またはその他の方法で通信的および電気的に接続され得る。
【0093】
さらに別の例では、センサIC500は、第1および第2のセンサ512、514を備えることができ、各センサ512、514は、それぞれ別の半導体ダイ550a、550cによって支持することができる。センサIC500内の追加の回路は、550bおよび550dとラベル付けされた部分を含む半導体ダイによって支持することができる。センサ512、514は、電気的接続を介してIC回路と通信することができる。
【0094】
センサIC500の半導体ダイは、センサIC500の能動素子および他の機能が形成され得る1つまたは複数の層またはサブ層を含み得るので、より一般的に基板と称され得る。基板は、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)ウェハ、シリコンウェハ、ガラスウェハ、または他の任意の適切なウェハまたは基板タイプを含むことができる。レーザーアブレーションプロセス、深部反応性イオンエッチング(DRIE)プロセス、またはウェットエッチングプロセスを使用して、圧力センサに使用されるようなウェハ内の空洞を含むセンサIC500の特徴を形成することができる。シリコンウェハまたはSOIウェハが使用されるいくつかの例では、センサIC500の特徴は、異方性シリコンウェットエッチングプロセスを使用して形成することができる。
【0095】
センサIC500は、1つの構造を別の構造に成長、堆積または付着させるためにウェハレベルで使用される標準、非標準、後処理または任意の他の製造技術を使用して形成された複数のサブ層、層、ダイまたは基板を含むことができる。
図5A、5Bおよび5Cを参照すると、図示されているのは、センサIC500内の様々な例示的な層を示すセンサIC500の断面図である。センサIC500に含まれるのは、対向する表面を有する第2のウェハ528である。第2のウェハ528の底面は、ウェハ、ハンドル、またはハンドルウェハと呼ぶことができるハンドルウェハ557に接合されてもよい。ハンドルウェハ557は、センサIC500におけるSOIウェハ551の一部であり、SOIウェハ551は、ハンドルウェハ557に取り付けられた絶縁層555に取り付けられたデバイス層553を含む。SOIウェハ551および第2のウェハ528は、ウェハの形態で接着され、ダイに分離されるか、またはダイの形態で切断され、接着されてもよい。いくつかの例では、SOIウェハ551がリードフレームに接着されるように、第2のウェハ528の代わりにリードフレームを使用することができる。これらの例では、リードフレームは、銅または半導体パッケージ内のリードフレームとして使用するのに適した同様の材料から形成することができる。
【0096】
絶縁体と呼ぶことができ、二酸化ケイ素または酸化ケイ素などの絶縁材料の1つまたは複数の層を含むことができる絶縁層555。絶縁層555は、ハンドルウェハ557とデバイス層553との間に配置することができる。
図5に図示された様々な電気部品は、デバイス層553に形成することができる。いくつかの例では、デバイス層553は、最高品質のシリコンを含む活性層とすることができる。
【0097】
ここで
図5Aを参照すると、センサ膜535、539は、圧力センサとして使用され得る膜またはダイアフラムを形成するためにデバイス層553に作製され得る。これらのセンサ膜535、539は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)または半導体プロセス層を使用して作製され得る。いくつかの例では、センサ膜535、539は、対応するシリコン・オン・インシュレータ(SOI)ウェハの裏面を介してエッチングすることによって形成することができる。このエッチングは、高アスペクト比DRIEを使用する深部反応性イオンエッチング(DRIE)、またはSOIウェハ上で実行可能な任意の類似プロセスの結果であってもよい。他の例では、センサ膜535、539は、水酸化カリウム(KOH)ウェットエッチングまたは他のタイプの等方性ウェットエッチングプロセス、すなわち、エチレンジアミンピロカテコール(EDP)水溶液、または水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液を用いたウェットエッチングを用いて形成することができる。DRIEなどのドライエッチングを用いる場合、SOIウェハ551は、シリコンウェハ、ガラス基板、または他の種類のウェハとすることができる。さらに他の例では、センサ膜535、539は、表面マイクロマシニングおよびバルクマイクロマシニングプロセスを使用して作成することができる。さらに、センサ膜535、539は、シリコン以外の材料、例えば二酸化シリコン、酸化シリコン、または窒化シリコンとすることができ、二フッ化キセノンを使用してエッチングすることができるシリコン犠牲層上に形成することができる。さらに他の例では、センサ膜535、539は、ポリマーから形成することができる。
【0098】
センサ512、514は、センサ膜535、539と第2のウェハ528との間に形成されたキャビティ533、537を含むことができる。第1のセンサ512は、センサ膜535と第2のウェハ528との間に形成されたキャビティ533を有することができ、第2のセンサ514は、センサ膜539とウェハ528との間に形成されたキャビティ537を有することができる。
【0099】
圧力センサ512は、第2のウェハ528上の電極521と膜535上の電極543との間の静電容量の変化を測定することによって形成することができる。圧力センサ514は、第2のウェハ528上の電極527と膜539上の電極545との間の静電容量の変化を測定することによって形成することができる。第2のウェハ528がリードフレーム528であるか、リードフレーム材料を含む実施形態では、電極521、527は、リードフレーム528の表面に形成されてもよく、またはリードフレーム528自体であってもよい。これらの実施形態では、電極521、527は、同一またはそれに近い電位を有するようにリードフレーム528の同じ部分から形成することができ、他の実施形態では、電極521、527は、異なるダイパドルなどで電極521、527が互いに電気的に絶縁されるように異なるリードフレーム528部分から形成することができる。
【0100】
キャビティ533、537は、それぞれ特徴的な幅、W1、W2を有する。センサダイアフラム535、539は、各ダイアフラムのそれぞれのキャビティ533、537の特徴幅に対応する幅を有する。各センサ512、514の幅、したがって各ダイアフラム535、539の幅を変化させると、発揮される圧力をセンサ512、514が異なるレベルの感度で感知するように、各センサ512、514の分解能または感度を変化させることが可能である。このセンサIC500の文脈における幅は、形状の中央を横切る直径、サイズまたは他の測定値であり得ることを理解されたい。
【0101】
キャビティ533、537の幅が大きいほど、センサ512、514は、ダイアフラム535、539の変形に対してより敏感になる。例えば、第1のセンサ512の特徴幅(W1)は、第2のセンサ514の特徴幅(W2)よりも大きい。したがって、第1のセンサ512の感度は、第2のセンサ514の感度よりも大きく、したがって、第2のセンサの圧力範囲よりも大きい。ダイアフラムの感度は、センサ膜535、539の剛性に反比例する。センサ512、514の幅が減少すると、センサ膜535、539の剛性が増加し、それによってセンサ膜535、539は、圧力によって引き起こされる動きまたは撓みの影響をより受けにくくなり、感知された圧力をより少ない分解能で出力する。センサ512、514の幅が大きくなると、センサ膜535、539の剛性が低下し、それによってセンサ膜535、539が圧力による動きや撓みに対してより影響を受けやすくなり、感知した圧力が高い解像度で出力される。いくつかの例では、ダイアフラムまたは膜535、539は、幅W1およびW2が膜535、539の直径を表すように、実質的に円形の形状を有し得る。他の膜形状も、本発明から逸脱することなく形成することができる。円形の膜は、DRIEプロセスのようなプロセスによって、シリコンウェハにより容易に形成することができる。
【0102】
センサ512、514は、電極543、545の代わりに、代替または追加の感知能力を提供することができる追加または代替の感知素子(ここでは、第2の感知素子と呼ばれる)を含むことができる。いくつかの例では、この代替または第2の感知素子は、磁気抵抗効果、ホール効果または圧電ホール効果を用いて各膜またはダイアフラム535、539の撓みを感知するためにセンサ膜535、539に設置されるホールプレート、磁気抵抗素子、または他の磁場感知素子であり得る。膜またはダイアフラム535、539が撓むまたは動くと、磁場センサ543、545からの信号が変化し、その変化量は膜に加えられた圧力の指標とすることができる。永久磁石521、527は、永久磁石521、527が第2のウェハ528の表面上に配置されるように各キャビティ533、537の底部に堆積されてもよいし、磁石523、525の一部が第2のウェハ528の表面下にあるようにウェハ528に部分的に埋め込まれてもよい。別の実施形態では、磁石は、リードフレームまたはウェハ528の背後に少なくとも1つの磁石、またはコイル、または他の磁場源として配置され得る。いくつかの実施形態では、磁気源は、膜535、539の上方に配置される。
【0103】
他の実施形態では、1つまたは複数の電極521、527は、ホール効果、または磁気抵抗感知素子であり得る磁場感知素子であってもよい。これらの実施形態において、センサIC500は、磁場を生成するための永久磁石、バックバイアス磁石、またはコイルを含むことができる。例えば、永久磁石は、バックバイアス磁場を供給するために、各センサ膜535、539の表面上に印刷または他の方法で配置することができる。さらに、磁石は、バックバイアス磁場を供給するために、センサIC500を支持するリードフレーム上またはその下に取り付けるか、センサIC500のパッケージングに含めることができる。そのような場合、磁場感知素子521、527によって磁束の変化を測定することを可能にするために、膜535、539上に軟強磁性材料が堆積され得る。磁気感知素子521、527と磁石または強磁性材料とが使用される例では、センサ膜535、539に貼り付けられた磁石または磁性材料が圧力によって移動し、それによって磁気感知素子521、527に関連する磁場を変化させると、圧力を感知することができる。
【0104】
自動運転車、自律走行車、または半自律走行車における自動車安全度水準(ASIL)要件を実施するものなどの多くの用途は、光学センサを必要とする。これらの用途において、センサ512、514は、光学的感知材料を含むことができる。センサ512、514に貼り付けられるか、またはセンサIC500と組み合わせて使用されるレンズは、各センサ512、514によって吸収される光子の量または数を変更し、それによって各センサ512、514の感知分解能を変更するために使用され得る。代替的に、第1のセンサ512は、第2のセンサ514よりも大きな幅または感知領域を有することができ、したがって、より多くの光子を吸収することができる。
【0105】
他の実施形態では、光学センサ512は、例えば電子機器と同じような、
図5の550Bおよび550dの基板またはダイ上にあってもよく、光学センサ514は、例えばGaAsに限らないが、異なる材料で作られた別のダイ上にあってもよい。
【0106】
センサ膜535、539の厚さを変える、センサ膜535、539の材料を変える、ダイアフラム535、539の直径または幅を変える、またはセンサ膜535、539にエンボス加工または形状または特徴を加える、ことを含む圧力感知範囲を変更する複数の方法が存在する。これらの方法のいくつかは、
図5Cと関連して後述する。
【0107】
図5Aに描かれた実施形態と同様に、
図5Bに示されたセンサ500は、ダイアフラム535、539と、センサ膜535、539およびウェハまたはリードフレーム528によって結合されたセンサキャビティ533、537とを含む2つのセンサ512、514を有している。各センサキャビティ533、537は、ダイアフラムの剛性、したがってセンサ512、514の感度を規定する特徴幅W1、W2を有する。
【0108】
図5Bのセンサ512、514は、ピエゾ抵抗器、ピエゾトランジスタ、または任意の他のタイプの圧電センサを構成することができる複数の圧電センサを含む。実施形態において、各センサ512、514は、ダイアフラム535、539の表面上に配置されたまたは表面内に埋め込まれた一対の圧電センサを含むことができる。例えば、第1のセンサ512は、そのダイアフラム535の片側に設置された1つの圧電センサ552と、そのダイアフラム535の反対側に設置された第2の圧電センサ554とを含むことができる。同様に、第2のセンサ514は、そのダイアフラム539の片側に設置された1つの圧電センサ556と、そのダイアフラム539の反対側に設置された第2の圧電センサ558とを含むことができる。これらの圧電センサ552、554、556、558は、各ダイアフラム535、539に圧力や機械的ストレスが加わると、抵抗値などの特性が変化する。ピエゾ抵抗器の場合、抵抗器は、抵抗の変化が電気回路によって電圧の変化として測定され得るように、それを通る既知の電流を有していてもよい。他の実施形態では、抵抗器に一定の電圧を印加すると、電気回路によって検出される電流の変化が生じる可能性がある。ある場合には、ピエゾ抵抗器を通る電流の変化は、電気回路の別の部分の感知抵抗器にかかる電圧として感知され得る。ある例では、圧電センサ552、554、556、558は、ダイアフラム535、539の表面上に設置することができる。他の例では、圧電センサ552、554、556、558は、圧電センサ552、554、556、558の一部がダイアフラム535、539内に封入されるように、ダイアフラム535、539の表面に埋め込むことができる。
【0109】
構造アーム(図示せず)または機能部品は、各センサ512、514がセンサキャビティ533、537の中心に向かってキャビティ壁の両側から延びる2つの構造アームを有するように、キャビティ壁の両側から延びることができる。この実施形態では、キャビティ壁は、絶縁層557またはデバイス層553の一部を含むことができる。圧電センサ552、554、556、558は、センサ膜535、539に加えられる圧力の量を感知するために構造アームに設置される。センサ膜535、539に加えられる機械的ストレスまたは圧力は、構造アームに集中することができ、したがって、構造アームに圧電センサ552、554、556、558を設置することは、センサ出力の分解能を増加させる。
【0110】
いくつかの例では、ダミー圧電センサを基板または半導体ダイの一部に設置することができる。このダミーセンサは、温度補償を行うためにホイートストンブリッジと組み合わせて使用することができる。
【0111】
図5Cに図示されるのは、それぞれ異なる厚さt1 582およびt2 584をもつセンサ膜535、539を有するセンサIC500である。場合によっては、膜539を厚さt2 584まで薄くするために、深さt1 582の追加エッチングが実行されてもよい。センサ膜539を深さt1 582までエッチングすると、第1のセンサ膜535がデバイス層533と同じ厚さt1 582を有し、第2のセンサ膜539がデバイス層533のものよりも小さい厚さt2 584を有するように、第1のセンサ膜535が第2のセンサ膜539よりも厚くなる、すなわち、t1 582の値がt2 584の値よりも大きくなる。
図5Cは、より厚い第1膜535およびより薄い第2膜539を図示しているが、他の実施形態は、より薄い第1膜535およびより厚い第2膜539を含み得ることを理解されたい。さらに、両膜535、539は、センサ512、514の性能をさらに制御するために、デバイス層533とは異なる厚さをそれぞれ有するようにエッチングされ得る。センサ膜535、539は、本明細書に記載される任意のエッチング方法を用いてエッチングされ得る。
【0112】
いくつかの例では、第1のセンサ膜535の厚さt1 582が第2のセンサ514の膜539よりも厚くなるように、第1のセンサ512または両方のセンサ512、514の上に追加層を作製または設置することが可能である。この実施形態では、第2のセンサ514は、追加の膜を欠いており、したがって、膜の厚さt2 584を有する。追加の膜材料は、ダイアフラムまたは膜535、539の機械的特性を変更するために、ポリシリコン、二酸化ケイ素、酸化ケイ素、または他の材料とすることができる。別の実施形態では、膜535、539の両方は、材料が追加されていてもよい。これらの添加された材料は、2つの膜535、539上で同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。場合によっては、膜535、539は、エッチングされておらず、デバイス層553の厚さを有していてもよい。他の実施形態では、膜は、ウェハ材料535、539の上に追加された材料で形成されてもよく、535、539の材料、例えばシリコンは、除去されてもよい。
【0113】
図5A-5Cに図示されたセンサ512、514は、異なる処理精度を有する非同種の処理チャネル516、518をもたらす異なる感知解像度を有する。これらの非同種の処理チャネル516、518は、センサ512、514の態様を変化させることによって、またはレイアウト、回路要素間の接続、より精度の低い利得段、より少ない数のアナログ-デジタル変換器、または異なるサイズの半導体ダイなどのセンサIC500内のシステムの他の態様を変化させることによって、作成することが可能である。
【0114】
場合によっては、センサに供給される電力を変更して、センサ512、514の間に差異を生じさせてもよい。例えば、各センサ512、514に供給される電流または電圧の量を変えることによって、センサ512、514の動作を変更することができる。一方のセンサにより高い電流または電力を供給することで、他方のセンサと比較して感知分解能を高めることができる。同様に、いくつかのセンサでは、感知素子に供給される電圧を変更することで、感知素子の性能を変更することができる。
【0115】
別の例では、各センサ512、514は、異なるタイプの感知材料を含み得る。例えば、一方のセンサ512、514は、GaAs、InGaAs、または他の化合物半導体材料などの半導体ベースのチャネルまたはセンサを含んでもよく、他方のセンサ512、514は、シリコンベースのセンサを含む。他の例では、センサ512、514は、ダイ上で電気的に接続されていなくてもよく、または、ワイヤボンド、はんだバンプ、ピラーバンプまたは任意の他の電気接続材料などの電気接続が感知素子を
図5の回路550b、550dに接続するために使用されてもよい別のダイ上に形成されていてもよい。さらに他の例では、別個のセンサ素子は、第2のダイ上に存在することができる。さらに、一方の光学センサは、感知層としてポリシリコン層を含むことができ、他方の光学センサは、単結晶シリコン層を使用することができる。この例では、単結晶シリコン層を使用するセンサは、特定の波長の光に対する応答性が高く、したがって、ポリシリコン層を有するセンサよりも高い解像度を有する。また、ポリシリコン光学センサは、他の回路の上に形成することができ、したがって、総ダイ面積を減少させることができる。
【0116】
上述したように、センサIC500は、センサIC500の態様が1つの半導体ダイ上に存在し得る一方で、センサIC500の他の態様が第2の別の半導体ダイ上に存在するように、セグメント化され得る。センサ512、514がシリコン感知素子を含む場合、前記素子は、センサIC500の回路と同じ半導体ダイ上に存在し得る。他の例では、各センサ512、514および回路は、別個のダイ上に存在し得る。
【0117】
図5A-5Cに示したセンサ512、514は、感知解像度に関して異なり、したがって、それぞれの処理チャネル516、518で使用される場合、チャネルは、異なる処理精度を有する非同種の処理チャネル516、518である。これらの非同種の処理チャネル516、518は、感知と故障検出の両方の能力を提供するために活用され得る。特に、より精度の高いセンサ512、514を有する処理チャネル516、518は、正確なセンサ出力を供給するために使用することができ、より精度の低いセンサ512、514は、より精度の高いセンサの出力をチェックするために使用することができる。チェッカ回路534は、より精度の低いセンサの出力を使用して、より精度の高いセンサの出力をチェックする。別の例では、センサ膜535、537のうちの1つを撓ませるのに必要な圧力は、より低い圧力レベルで発生し、したがって、より精度の低いセンサ512、514は、圧力がある閾値を越えて上昇すると電気信号を切り替えるデジタルスイッチとして使用することが可能である。
【0118】
センサIC500内に3つのセンサ512、513、514が含まれる実施形態では、3つの感知値を使用して、実際の感知圧力値を出力し、感知圧力値が高圧閾値を超えるかどうかをチェックし、別の感知圧力値が低圧閾値を下回るかどうかをチェックすることができる。これらの実施形態において、チェッカ回路534および第2のチェッカ回路536は、共通の入力ワイヤまたは回路を使用して、実際の感知圧力値の出力をチェックし、それが高圧閾値および低圧閾値の両方の範囲内にあるかどうかを判定するように構成することが可能である。別の例では、センサのうちの1つを実際の感知された圧力値を出力するために使用することができる一方、他の2つのセンサは、圧力閾値に達すると特定のチェック回路をオンにするカスケード故障検出器に使用することができる。別の例では、3つのチェック回路があってもよい。
【0119】
本明細書で引用した全ての文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0120】
好ましい実施形態を説明したが、それらの概念を組み込んだ他の実施形態が使用され得ることが、当業者には明らかになるであろう。
【0121】
例えば、
図1、1A、1Bおよび5のセンサICは、2つの処理チャネルを有するように示されているが、コストおよびスペースを考慮して許されるならば、2つより多い処理チャネルが使用され得ることが理解されよう。
【0122】
したがって、これらの実施形態は、開示された実施形態に限定されるべきではなく、むしろ、添付の請求項の精神および範囲によってのみ限定されるべきである。