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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】三環系化合物及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 413/14 20060101AFI20240227BHJP
   C07D 417/14 20060101ALI20240227BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20240227BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20240227BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20240227BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240227BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
C07D413/14 CSP
C07D417/14
C07D401/14
A61K31/4439
A61K31/506
A61P29/00
A61P37/02
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022552682
(86)(22)【出願日】2021-03-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-19
(86)【国際出願番号】 CN2021078744
(87)【国際公開番号】W WO2021175225
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】202010144417.0
(32)【優先日】2020-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010464135.9
(32)【優先日】2020-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522125515
【氏名又は名称】ヒーリオイースト ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】522125526
【氏名又は名称】ヒーリオイースト サイエンス アンド テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウー、リンユン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ポン
(72)【発明者】
【氏名】チャオ、ローロー
(72)【発明者】
【氏名】リー、チエン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、シューホイ
【審査官】伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/157813(WO,A1)
【文献】特表2007-515432(JP,A)
【文献】特表2012-530108(JP,A)
【文献】特表2013-510885(JP,A)
【文献】特表2013-510883(JP,A)
【文献】国際公開第2018/028557(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【化1】

(ただし、
Eは、Oから選択され;
環Aは、オキサゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、チアゾリル、1,3,4-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾリル、ピリミジニル及びピラジニルから選択され;
は、C1-3アルキル及びシクロブチルから選択され、前記C1-3アルキル及びシクロブチルは、任意選択で、1、2又は3つのRにより置換され;
は、F、Cl、Br、CN及びCHFから選択され;
は、C1-6アルキルから選択され、前記C1-6アルキルは、任意選択で、1、2又は3つのRにより置換され;
それぞれ独立して、F、Cl、Br、OH、NH及びCOOHから選択され;
それぞれ独立して、F、Cl及びBrから選択される。)
【請求項2】
環Aは、
【化2】

から選択される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
は、それぞれ独立して、OH及びCOOHから選択される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
は、CH、CHCH、CHCHCH及び
【化3】

から選択され、前記CH、CHCH及び
【化4】

は、任意選択で、1、2又は3つのRにより置換される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
は、CHCHOH、CHCOOH、CHCHCOOH及び
【化5】

から選択される、請求項1、3又は4のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
は、Br及びCNから選択される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
は、C1-3アルキルから選択され、前記C1-3アルキルは、任意選択で、1、2又は3つのRにより置換される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
は、CH(CHから選択される、請求項7に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
構造単位
【化6】

は、
【化7】

から選択される、請求項1又は8に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
下記から選択される、請求項1又は4~7のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【化8】
(ただし、
は、請求項1、4又は5のいずれか一項で定義された通りであり;
は、請求項1又は6で定義された通りであり;
は、請求項1、7又は8のいずれか一項で定義された通りであり;
Eは、請求項1で定義された通りであり;
は、O及びSから選択される。)
【請求項11】
下記の式で表される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【化9】
【請求項12】
S1PR1に関連する疾患を治療するための医薬の製造における、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は下記の優先権を主張する:
CN202010144417.0、出願日は:2020年03月04日であり、
CN202010464135.9、出願日は:2020年05月27日である。
【0002】
本発明は、一類の三環系化合物、具体的には、式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩に関する。
【背景技術】
【0003】
スフィンゴシン-1-リン酸(Sphingosine-1-phosphate、S1P)は、細胞膜由来のリゾリン脂質シグナル分子であり、主にGタンパク質共役型受容体ファミリーの一部メンバーを刺激することにより生理学的機能を発揮し、主にスフィンゴシン-1-リン酸受容体(Sphingosine-1-phosphate receptors、S1PRs)ファミリーであり、現在、哺乳類において、スフィンゴシン-1-リン酸受容体1(S1PR1又はEDG1)、スフィンゴシン-1-リン酸受容体2(S1PR2又はEDG5)、スフィンゴシン-1-リン酸受容体3(S1PR3又はEDG3)、スフィンゴシン-1-リン酸受容体4(S1PR4又はEDG6)、スフィンゴシン-1-リン酸受容体5(S1PR5又はEDG8)の5つの異なるS1PRサブタイプが発現・同定された。S1PR1-3はさまざまな組織で広く発現し、S1PR4は主にリンパ系及び血液系で発現し、S1PR5は主に中枢神経系で発現している。リンパ球はS1PR1を介してS1P濃度勾配を感知して、二次リンパ器官からリンパ及び血液循環へのリンパ球の侵入を調節する。S1PR1アゴニストは、リンパ球の表面のS1PR1のエンドサイトーシスを引き起こして、リンパ球がS1P濃度勾配を感知できないようにさせ、リンパ球のリンパ及び血液循環への移動を防ぎ、リンパ球のホーミングを引き起こし、末梢循環系のリンパ球数を減らして、リンパ球が炎症性病変又は移植片の部位に到達することを防ぎ、過度の炎症を軽減し、免疫調節効果を有する。
【0004】
自己免疫疾患とは、自己抗原に対する体の免疫応答によって引き起こされる免疫系が誤って自身の組織を攻撃する病気の総称であり、現在、正確に定義されている病気は80種類を超え、過度の炎症反応は共通の特徴である。S1PR1アゴニストは、過度の炎症を軽減するのに効果的であり、多発性硬化症、炎症性腸疾患(クローン病と及び潰瘍性大腸炎に分類される)、全身性紅斑性狼瘡及び乾癬などの自己免疫疾患の治療又は予防に使用できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、S1PR1アゴニストの体内有効性研究は、自己免疫疾患の治療又は予防に使用されている。ノバルティス社の第1世代非選択的S1PRsアゴニストであるFingolimodは2010年9月に再発性多発性硬化症(RMS)の適応でFDAの承認を受け、ノバルティス社の第2世代選択的S1PR1及びS1PR5アゴニストであるSiponimodも2019年3月に再発性多発性硬化症(RMS)の適応でFDAの承認を受けた。新規S1PRアゴニストの発見と使用は大きく期待されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0007】
【化1】
【0008】
ただし、
Eは、Oから選択され;
環Aは、オキサゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、チアゾリル、1,3,4-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾリル、ピリミジニル及びピラジニルから選択され;
は、C1-3アルキル及びシクロブチルから選択され、前記C1-3アルキル及びシクロブチルは、任意選択で、1、2又は3つのRにより置換され;
は、F、Cl、Br、CN及びCHFから選択され;
は、C1-6アルキルから選択され、前記C1-6アルキルは、任意選択で、1、2又は3つのRにより置換され;
それぞれ独立して、F、Cl、Br、OH、NH及びCOOHから選択される。
それぞれ独立して、F、Cl及びBrから選択される。
【0009】
本発明の一部の形態において、上記環Aは、
【0010】
【化2】
【0011】
から選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0012】
本発明の一部の形態において、上記Rは、それぞれ独立して、OH及びCOOHから選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0013】
本発明の一部の形態において、上記Rは、CH、CHCH、CHCHCH及び
【0014】
【化3】
【0015】
から選択され、前記CH、CHCH及び
【0016】
【化4】
【0017】
は、任意選択で、1、2又は3つのRにより置換され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0018】
本発明の一部の形態において、上記Rは、CHCHOH、CHCOOH、CHCHCOOH及び
【0019】
【化5】
【0020】
から選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0021】
本発明の一部の形態において、上記Rは、Br及びCNから選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
本発明の一部の形態において、上記Rは、C1-3アルキルから選択され、前記C1-3アルキルは、任意選択で、1、2又は3つのRにより置換され、他の変量は本発明で定義された通りである。
本発明の一部の形態において、上記Rは、CH(CHから選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0022】
本発明の一部の形態において、上記構造単位
【0023】
【化6】
【0024】
は、
【0025】
【化7】
【0026】
から選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0027】
本発明の一部の形態において、上記化合物又はその薬学的に許容される塩は、下記から選択される。
【0028】
【化8】
【0029】
ただし、
は、請求項1、4又は5のいずれか一項で定義された通りであり;
は、請求項1又は6で定義された通りであり;
は、請求項1、7又は8のいずれか一項で定義された通りであり;
Eは、請求項1で定義された通りであり;
は、O及びSから選択される。
【0030】
本発明一部の形態は、更に上記の変量を任意の組み合わせにより形成される。
【0031】
本発明は、下記の式で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0032】
【化9】
【0033】
本発明は、更にS1PR1に関連する疾患を治療するための医薬の製造における、前記の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0034】
[技術効果]
本発明の化合物は、有意で予想できないS1PR1アゴニスト活性を有し、より優れたバイオアベイラビリティを有する。
【0035】
[関連定義]
別途に説明しない限り、本明細書で用いられる以下の用語及び連語は以下の意味を含む。一つの特定の用語又は連語は、特別に定義されない場合、不確定又は不明瞭ではなく、普通の定義として理解されるべきである。本明細書で商品名が出た場合、相応の商品又はその活性成分を指す。
【0036】
本明細書で用いられる「薬学的許容される塩」は、それらの化合物、材料、組成物及び/又は剤形に対するもので、これらは信頼できる医学判断の範囲内にあり、ヒト及び動物の組織との接触に適し、毒性、刺激性、アレルギー反応又はほかの問題又は合併症があまりなく、合理的な利益/リスク比に合う。
用語「薬学的に許容される塩」とは、本発明の化合物の塩で、本発明で発見された特定の置換基を有する化合物と比較的に無毒の酸又は塩基とで製造される。本発明の化合物に比較的に酸性の官能基が含まれる場合、単独の溶液又は適切な不活性溶媒において十分な量の塩基でこれらの化合物と接触することで塩基付加塩を得ることができる。薬学的許容される塩基付加塩は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミン又はマグネシウム塩あるいは類似の塩を含む。本発明で化合物に比較的塩基性の官能基が含まれる場合、単独の溶液又は、適切な不活性溶媒において十分な量の酸でこれらの化合物と接触することで酸付加塩を得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩の実例は、無機酸塩及び有機酸塩、さらにアミノ酸(例えばアルギニンなど)の塩、及びグルクロン酸のような有機酸の塩を含み、上記無機酸は、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸水素イオン、リン酸、リン酸一水素イオン、リン酸二水素イオン、硫酸、硫酸水素イオン、ヨウ化水素酸、亜リン酸などを含み、上記有機酸は、例えば酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クエン酸、酒石酸やメタンスルホン酸などの類似の酸を含む。本発明の一部の特定的の化合物は、塩基性及び酸性の官能基を含有するため、任意の塩基付加塩又は酸付加塩に転換することができる。
【0037】
本発明の薬学的許容される塩は、酸基又は塩基性基を含む母体化合物から通常の方法で合成することができる。通常の場合、このような塩の製造方法は、水又は有機溶媒あるいは両者の混合物において、遊離酸又は塩基の形態のこれらの化合物を化学量論量の適切な塩基又は酸と反応させて製造する。
【0038】
本発明の化合物は、特定の幾何又は立体異性体の形態が存在してもよい。本発明は、全てのこのような化合物を想定し、シス及びトランス異性体、(-)-及び(+)-エナンチオマー、(R)-及び(S)-エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、及びそのラセミ混合物並びに他の混合物、例えばエナンチオマー又は非エナンチオマーを多く含有する混合物を含み、全てのこれらの混合物は本発明の範囲内に含まれる。アルキル等の置換基に他の不斉炭素原子が存在してもよい。全てのこれらの異性体及びこれらの混合物はいずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0039】
本発明の化合物は、化合物を構成する一つまた複数の原子には、非天然の原子同位元素が含まれてもよい。例えば三重水素(H)、ヨウ素-125(125I)又はC-14(14C)のような放射性同位元素で化合物を標識することができる。又、例えば重水素を水素に置換して重水素化薬物を形成することができ、重水素と炭素で形成された結合は、通常の水素と炭素で形成された結合よりも強く、重水素化されていない薬物と比較して、重水素化された薬物には、毒性の副作用が軽減され、薬物の安定性が増し、治療効果が向上され、薬物の生物学的半減期が延ばされるという利点がある。本発明の化合物の同位体組成の変換は、放射性であるかいやかに関わらず、本発明の範囲に含まれる。
【0040】
用語「任意」また「任意に」は後記の事項又は状況によって可能であるが必ずしも現れるわけではなく、かつ当該記述はそれに記載される事項又は状況が生じる場合によってその事項又は状況が生じない場合を含むことを意味する。
【0041】
用語「置換された」は特定の原子における任意の一つ又は複数の水素原子が置換基で置換されたことで、特定の原子価状態が正常でかつ置換後の化合物が安定していれば、置換基は重水素及び水素の変形体を含んでもよい。置換基がケト基(即ち=O)である場合、2つの水素原子が置換されたことを意味する。ケト基置換は、芳香族基で生じない。用語「任意により置換される」は、置換されてもよく、置換されなくてもよく、別途に定義しない限り、置換基の種類と数は化学的に安定して実現できれば任意である。
【0042】
変量(例えばR)のいずれかが化合物の組成又は構造に1回以上現れた場合、その定義はいずれの場合においても独立である。そのため、例えば、一つの基が0~2個のRで置換された場合、上記基は任意に2個以下のRで置換され、かついずれの場合においてもRは独立して選択肢を有する。また、置換基及び/又はその変形体の組み合わせは、このような組み合わせであれば安定した化合物になる場合のみ許容される。
【0043】
連結基の数が0の場合、例えば、-(CRR)-は、当該連結基が単結合であることを意味する。
【0044】
そのうち一つの変量が単結合の場合、それで連結する2つの基が直接連結し、例えばA-L-ZにおけるLが単結合を表す場合、この構造は実際にA-Zになる。
【0045】
特に明記しない限り、ある基が一つ以上の結合可能な部位を有する場合、該基の任意の一つ以上の部位は、化学結合によって他の基に結合することができる。該化学結合の結合方式が非局在であり、且つ結合可能な部位にH原子が存在する場合、化学結合を結合すると、該部位のH原子の個数は、結合された化学結合の個数に応じて相応の価数の基に減少する。前記部位が他の基と結合する化学結合は、直線実線結合(
【0046】
【化10】
【0047】
)、直線破線結合(
【0048】
【化11】
【0049】
)、又は波線(
【0050】
【化12】
【0051】
)で表すことができる。例えば、-OCHの直線実線結合は、該基の酸素原子を介して他の基に結合されていることを意味する。
【0052】
【化13】
【0053】
中の直線の破線結合は、該基内の窒素原子の両端が他の基に結合されていることを意味する。
【0054】
【化14】
【0055】
中の波線は、当該フェニルの部位1と2の炭素原子を介して他の基に結合されていることを意味する。
【0056】
【化15】
【0057】
は、当該ピペリジニルの任意の結合可能な部位が1つの化学結合によって他の基に結合できることを意味し、少なくとも
【0058】
【化16】
【0059】
の四つの結合形態を含み、H原子が-N-に描かれていても、
【0060】
【化17】
【0061】
この結合形態の基が含まれるが、1つの化学結合が接続されると、その部位のHは1つ減少して対応する一価ピペリジンになる。
【0062】
別途に定義しない限り、用語「C1-6アルキル」は直鎖又は分枝鎖の1~6個の炭素原子で構成された飽和炭化水素を表す。前記C1-3アルキルにはC1-5、C1-4、C1-3、C1-2、C2-6、C2-4、CとCアルキルなどが含まれ、それは1価(例えばメチル)、2価(例えばメチレン)及び多価(例えばメチン)であってもよい。C1-6アルキルの実例は、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(n-プロピル及びイソプロパノールを含む)、ブチル(n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチルを含む)、ペンチル(n-ペンチル、イソペンチル及びネオペンチルを含む)などを含むが、これらに限定されない。
【0063】
別途に定義しない限り、用語「C1-3アルキル」は直鎖又は分枝鎖の1~3個の炭素原子で構成された飽和炭化水素を表す。前記C1-3アルキルにはC1-2とC2-3アルキルなどが含まれ、それは1価(例えばメチル)、2価(例えばメチレン)及び多価(例えばメチン)であってもよい。C1-3アルキルの実例は、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(n-プロピル及びイソプロパノールを含む)を含むが、これらに限定されない。
【0064】
別途に定義しない限り、Cn-n+m又はC-Cn+mはn~n+m個の炭素の任意の一つの具体的な様態を含み、例えば、C1-12はC、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、及びC12を含み、n~n+mのうちの任意の一つの範囲も含み、例えば、C1-12はC1-3、C1-6、C1-9、C3-6、C3-9、C3-12、C6-9、C6-12、及びC9-12等を含む。同様に、n員~n+m員は環における原子数がn~n+m個であることを表し、例えば、3~12員環は3員環、4員環、5員環、6員環、7員環、8員環、9員環、10員環、11員環、及び12員環を含み、n~n+mのうちの任意の一つの範囲も含み、例えば、3~12員環は3~6員環、3~9員環、5~6員環、5~7員環、6~7員環、6~8員環、及び6~10員環等を含む。
【0065】
本発明の化合物は当業者に熟知の様々な合成方法によって製造することができ、以下に挙げられた具体的な実施形態、他の化学合成方法と合わせた実施形態及び当業者に熟知の同等の代替方法を含み、好適な実施形態は本発明の実施例を含むが、これらに限定されない。
【0066】
本発明の化合物の構造は、当業者に周知の従来の方法によって確認することができ、本発明が化合物の絶対配置に関する場合、絶対配置は、当業者の従来の技術的手段によって確認することができる。例えば、単結晶X線回折(SXRD)、培養された単結晶はBruker D8 venture回折計によって収集され、光源はCuKα放射線、走査方法:φ/□走査、関連データを収集した後、更に直接法は(Shelxs97)結晶構造解析により、絶対配置を確認できる。
【0067】
本発明に使用されたすべての溶媒は市販品から得ることができる。
【0068】
化合物は本分野の通常の名称又はChemDraw(登録商標)ソフトによって名付けられ、市販化合物はメーカーのカタログの名称が使用された。
【発明を実施するための形態】
【0069】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明の不利な制限を意味するものではない。本発明は本明細書で詳細に説明されており、その特定の実施形態も開示されており、当業者にとって、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の特定の実施形態において様々な変更及び修正を行うことができることは明らかである。
【0070】
実施例1
【0071】
【化18】
【0072】
合成ルート:
【0073】
【化19】
【0074】
工程1
化合物1a(1.00g、4.31mmol)及び2-ヨードプロパン(1.47g、8.62mmol)をトルエン(8mL)に溶解させ、次に炭酸銀(3.57g、12.9mmol)を加え、反応溶液を50℃で16時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、残留物に水(100mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(100mL×3)で抽出し、合わせた有機相を飽和食塩水(100mL×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して化合物1bを得た。
MS-ESI計算値[M+H]274及び276、実測値274及び276。
H NMR (400MHz, CDCl) δ = 8.72 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 8.38 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 5.48-5.37 (m, 1H), 3.92 (s, 3H), 1.42 (d, J = 6.2 Hz, 6H)。
【0075】
工程2
化合物1b(1.00g、3.65mmol)を無水N,N-ジメチルホルムアミド(15mL)に溶解させ、シアン化亜鉛(857mg、7.30mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(334mg、365μmol)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(348mg、730μmol)を加え、窒素ガスの保護下で、反応溶液を90℃で12時間撹拌した。反応溶液を濃縮し、残留物に水(50mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(30mL×3)で抽出し、有機相を合わせて飽和食塩水(40mL×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(10:1、石油エーテル/酢酸エチル、Rf=0.4)で分離・精製して化合物1cを得た。
MS-ESI計算値[M+H-Pr]179、実測値179。
【0076】
工程3
化合物1c(100mg、454μmol)をテトラヒドロフラン(1mL)及びメタノール(0.5mL)に溶解させ、水酸化リチウム一水和物(57.2mg、1.36mmol)の水(0.5mL)溶液を反応溶液に滴下し、反応溶液を25℃で1時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮して有機溶媒を除去し、残留物を1Nの塩酸水溶液でpHを約6に調節し、次に水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(50mL×3)で抽出し、有機相を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を薄層シリカゲルクロマトグラフィー(10:1、ジクロロメタン/メタノール、Rf=0.21)で分離・精製して化合物1dを得た。
H NMR (400MHz, CDCl) δ = 9.18-8.74 (m, 1H), 8.70-8.23 (m, 1H), 5.60-5.38 (m, 1H), 1.43 (d, J=6.1 Hz, 6H)。
【0077】
工程4
化合物1f(56.0g、308mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(200mL)に溶解させ、カリウムtert-ブトキシド(34.6g、308mmol)を加え、反応溶液を25℃で2時間撹拌し、次に化合物1e(50.0g、237mmol)をゆっくりと加え、反応溶液を25℃で12時間撹拌した。反応溶液に水(800mL)を加え、酢酸エチル(400mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、有機相をそれぞれ水(500mL×1)及び飽和食塩水(500mL×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(10:1、石油エーテル/酢酸エチル、Rf=0.6、0.7)で分離・精製して化合物1gを得た。
MS-ESI計算値[M+H]267及び269、実測値267及び269。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ = 7.57-7.48 (m, 1H), 7.39-7.29 (m, 1H), 7.24-7.10 (m, 1H), 6.55-6.27 (m, 1H), 3.81-3.70 (m, 3H), 3.63-3.37 (m, 2H), 3.33-3.00 (m, 2H)。
【0078】
工程5
化合物1g(100g、374mmol)をジメチルスルホキシド(400mL)に溶解させ、炭酸セシウム(97.6g、299mmol)を加え、ニトロメタン(68.6g、1.12mol)をゆっくりと滴下し、反応溶液を70℃で16時間撹拌した。水(1600mL)を加えて反応をクエンチし、酢酸エチル(800mL×3)で抽出し、有機相を合わせてそれぞれ水(1000mL×1)及び飽和食塩水(1000mL×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して化合物1hを得た。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ = 7.41 (dd, J = 7.2, 1.6 Hz, 1H), 7.12-7.04 (m, 2H), 4.89 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 4.81 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 3.86 (s, 3H), 3.04-2.96 (m, 3H), 2.78 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 2.44-2.35 (m, 1H), 2.26-2.16 (m, 1H)。
【0079】
工程6
化合物1h(100g、305mmol)をエタノール(300mL)及び水(100mL)の混合溶媒に溶解させ、塩化アンモニウム(48.90g、914mmol)及び鉄粉末(51.1g、914mmol)を加え、反応溶液を80℃で15時間撹拌した。反応溶液を珪藻土で濾過し、濾液に水(1000mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(500mL×3)で抽出し、有機相を合わせてそれぞれ飽和食塩水(500mL×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、粗生成物を酢酸エチル/n-ヘプタンの混合溶液(1:6、1180mL)に加え、25℃で3日間撹拌し、濾過し、ケーキを真空乾燥させて化合物1iを得た。
MS-ESI計算値[M+H]266及び268、実測値266及び268。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ = 7.52-7.32 (m, 1H), 7.25-7.06 (m, 2H), 7.06-6.87 (m, 1H), 3.63-3.32 (m, 2H), 3.08-2.83 (m, 2H), 2.69-2.41 (m, 2H), 2.36-2.10 (m, 2H)。
【0080】
工程7
化合物1i(182g、589mmol)及び化合物1j(422g、1.77mol)をN,N-ジメチルホルムアミド(360mL)に溶解させ、炭酸セシウム(575g、1.77mol)及びヨウ化ナトリウム(44.1g、294mmol)を加え、次に反応溶液を80℃で16時間撹拌した。反応溶液を濾過し、ケーキを酢酸エチル(400mL×4)で洗浄し、濾液に水(4000mL)を加えて希釈し、分液して有機相を集め、水相を酢酸エチル(2000mL×2)で抽出した。有機相を合わせて飽和食塩水(2000mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して化合物1kを得た。
MS-ESI計算値[M+H]424及び426、実測値424及び426。
【0081】
工程8
化合物1k(470g、587mmol)を無水N,N-ジメチルホルムアミド(1200mL)に溶解させ、反応溶液にシアン化亜鉛(103g、880mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(21.5mg、23.5mmol)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(22.4mg、47.0mmol)を順次に加え、窒素ガスの保護下で、反応溶液を90℃で16時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、残留物に水(6000mL)を加え、酢酸エチル(2000mL×3)で抽出し、有機相を合わせて、飽和食塩水(2000mL×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、粗生成物を中性アルミナ(800g)で濾過し、石油エーテル/酢酸エチル/ジクロロメタンの混合溶媒(3/1/1、15L)でケーキを洗浄し、濾液を減圧濃縮し、粗生成物をn-ヘプタン(1.0L)で希釈し、25℃で16時間撹拌し、濾過し、ケーキを更にn-ヘプタン(500mL)で希釈し、25℃で16時間撹拌し、濾過し、ケーキをn-ヘプタン(150mL×1)で洗浄し、ケーキを真空乾燥させて化合物1lを得た。
MS-ESIの計算値[M+H]371、実測値371。
【0082】
工程9
化合物1l(120g、324mmol)をエタノール(600mL)に溶解させ、ジイソプロピルエチルアミン(83.7g、647mmol)及び塩酸ヒドロキシルアミン(45.0g、647mmol)を順次に加え、反応を40℃で16時間撹拌した。水(700mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(400mL×3)で抽出し、有機相を合わせて飽和食塩水(400mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。残留物をn-ヘプタン/イソプロパノールの混合溶液(5/1、560mL)に加え、15℃で65時間撹拌し、濾過し、ケーキをn-ヘプタン/イソプロパノールの混合溶液(5:1、100mL×2)で洗浄し、ケーキを真空乾燥させて化合物1mを得た。
H NMR (400MHz, CDCl) δ = 7.45-7.37 (m, 1H), 7.31-7.25 (m, 2H), 4.84 (s, 2H), 3.81 (t, J = 5.3 Hz, 2H), 3.67 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 3.61 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 3.48 (t, J = 5.3 Hz, 2H), 3.13 (t, J = 7.1 Hz, 2H), 2.69 (d, J = 16.8 Hz, 1H), 2.59 (d, J = 16.8 Hz, 1H), 2.33-2.08 (m, 2H), 0.89 (s, 9H), 0.10-0.04 (m, 6H)。
【0083】
工程10
化合物1d(51.1mg、248μmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(2mL)に溶解させ、溶液に1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(57.0mg、297μmol)及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(40.2mg、297μmol)を加え、反応溶液を25℃で15分間撹拌した。次に化合物1m(100mg、248μmol)を加え、25℃で1時間撹拌し、80℃で16時間撹拌した。反応溶液を水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(50mL×3)で抽出し、有機相を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮した。粗生成物を高速液体クロマトグラフィー{塩酸条件、カラムモデル:Phenomenex Luna C18 150×25mm×10μm;移動相:[水(0.05%のHCl)~アセトニトリル];アセトニトリル%:43%~73%、10分}で精製して化合物1を得た。
MS-ESIの計算値[M+H]460、実測値460。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ = 9.16 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 8.65 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 8.11-8.08 (m, 1H), 7.46-7.41 (m, 2H), 5.62-5.51 (m, 1H), 3.89-3.82 (m, 2H), 3.69-3.61 (m, 2H), 3.57-3.47 (m, 2H), 3.43-3.32 (m, 2H), 2.79 (d, J = 16.9 Hz, 1H), 2.69 (d, J = 16.9 Hz, 1H), 2.41-2.23 (m, 2H), 1.48 (d, J = 6.2 Hz, 6H)。
【0084】
実施例3
【0085】
【化20】
【0086】
合成ルート:
【0087】
【化21】
【0088】
工程1
化合物3a(200mg、862μmol)及びヨードイソプロパン(176mg、1.03mmol)を無水トルエン(3mL)に溶解させ、反応溶液に炭酸銀(238mg、862μmol)を加え、反応溶液を50℃で16時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、粗生成物を水(20mL)で希釈し、酢酸エチル(20mL×1)で抽出し、合わせた有機相を飽和食塩水(20mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して粗生成物化合物3bを得た。
MS-ESI計算値[M+H-Pr]232及び234、実測値232及び234。
【0089】
工程2
化合物3b(260mg、949μmol)を無水テトラヒドロフラン(3mL)、無水メタノール(3mL)及び水(1mL)に溶解させ、反応溶液に水酸化リチウム一水和物(79.6mg、1.90mmol)を加え、反応溶液を25℃で12時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、残留物に1Nの塩酸を加えてPHを約3に調節し、反応溶液が混濁し、濾過してケーキを集め、ケーキを減圧乾燥させて粗生成物化合物3cを得た。
MS-ESI計算値[M+H-Pr]218及び220、実測値218及び220。
【0090】
工程3
化合物3c(90.2mg、347μmol)を無水N,N-ジメチルホルムアミド(5mL)に溶解させ、反応溶液に1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(56.3mg、416μmol)及びN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N-エチルカルボジイミド(79.8mg、416μmol)を加え、反応溶液を25℃で1時間撹拌した。反応溶液に1m(140mg、347μmol)を加え、反応溶液を25℃で1時間撹拌し、80℃で16時間撹拌して反応させた。反応溶液を減圧濃縮し、粗生成物を高速液体クロマトグラフィー{塩酸で調節し、カラムモデル:3_Phenomenex Luna C18 75×30mm×3μm;移動相:[水(0.05%のHCl)~アセトニトリル];アセトニトリル%:66%~86%、7分}で精製して化合物3を得た。
MS-ESI計算値[M+H]513及び515、実測値513及び515。
1H NMR (400 MHz, CDCl) δ = 8.93 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 8.60-8.58 (m, 1H), 8.13-8.08 (m, 1H), 7.45-7.42 (m, 2H), 5.52-5.45 (m, 1H), 3.87 (t, J = 5.0 Hz, 2H), 3.69-3.62 (m, 2H), 3.59-3.50 (m, 2H), 3.43-3.37 (m, 2H), 2.81 (d, J = 16.9 Hz, 1H), 2.70 (d, J = 16.9 Hz, 1H), 2.39-2.27 (m, 2H), 1.47 (d, J = 6.2 Hz, 6H)。
【0091】
実施例4
【0092】
【化22】
【0093】
合成ルート:
【0094】
【化23】
【0095】
工程1
化合物4a(5g、25.1mmol)及びヨードイソプロパン(5.13g、30.2mmol)を無水トルエン(40mL)に溶解させ、反応溶液に炭酸銀(3.46g、12.6mmol)を加え、反応溶液を50℃で16時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、粗生成物を水(100mL)で希釈し、酢酸エチル(100mL×1)で抽出し、合わせた有機相を飽和食塩水(100mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して粗生成物化合物4bを得た。
MS-ESI計算値[M+H-Pr]199及び201、実測値199及び201。
1H NMR (400 MHz, CDCl δ = 8.29 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.86 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 5.32-5.25 (m, 1H), 1.32 (d, J = 6.2 Hz, 6H)。
【0096】
工程2
化合物4b(200mg、830μmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(253mg、996μmol)及び酢酸カリウム(163mg、1.66mmol)を無水ジオキサン(3mL)に溶解させ、窒素ガスの保護下で、反応溶液に1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウムクロリド(60.7mg、83.0μmol)を加え、反応溶液を120℃で3時間反応させた。反応溶液を減圧濃縮し、粗生成物を水(20mL)で希釈し、酢酸エチル(20mL×1)で抽出し、合わせた有機相を飽和食塩水(20mL×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(5:1、石油エーテル/酢酸エチル、Rf=0.7)で分離・精製して化合物4cを得た。
MS-ESI計算値[M+H-Pr]247、実測値247。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 8.64 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 8.20 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 5.50-5.42 (m, 1H), 1.39 (d, J = 6.1 Hz, 6H), 1.25 (s, 12H)。
【0097】
工程3
化合物1k(9g、21.2mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(8.08g、31.8mmol)及び酢酸カリウム(4.16g、42.4mmol)を無水ジオキサン(100mL)に溶解させ、窒素ガスの保護下で、反応溶液に1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウムクロリド(1.55g、2.12mmol)を加え、反応溶液を80℃で12時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、粗生成物を水(200mL)で希釈し、酢酸エチル(150mL×2)で抽出し、合わせた有機相を飽和食塩水(100mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(5:1、石油エーテル/酢酸エチル、Rf=0.13)で分離・精製して化合物4dを得た。
MS-ESIの計算値[M+H]472、実測値472。
【0098】
工程4
化合物4d(200mg、424μmol)、化合物4e(84.6mg、424μmol)及びリン酸カリウム(180mg、848μmol)を無水ジオキサン(5mL)及び水(1mL)に溶解させ、窒素ガスの環境で、反応溶液に1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウムクロリド(31.0mg、42.4μmol)を加え、反応溶液を100℃で12時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、粗生成物を水(30mL)で希釈し、酢酸エチル(30mL×1)で抽出し、合わせた有機相を飽和食塩水(30mL×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して粗生成物化合物4fを得た。
MS-ESI計算値[M+H]508及び510、実測値508及び510。
【0099】
工程5
化合物4f(220mg、433μmol)、化合物4c(125mg、433μmol)及びリン酸カリウム(184mg、865μmol)を無水ジオキサン(5mL)及び水(1mL)に溶解させ、窒素ガスの保護下で、反応溶液に1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウムクロリド(31.7mg、43.3μmol)を加え、反応溶液を80℃で12時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、粗生成物を水(30mL)で希釈し、酢酸エチル(30mL×1)で抽出し、合わせた有機相を飽和食塩水(30mL×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(2:1、石油エーテル/酢酸エチル、Rf=0.2)で分離・精製して化合物4gを得た。
MS-ESIの計算値[M+H]590、実測値590。
【0100】
工程6
化合物4g(113mg、192μmol)を酢酸エチル(1mL)に溶解させ、混合溶液に塩酸/酢酸エチル(4M、1mL)を加え、反応溶液を20℃で1時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、粗生成物を高速液体クロマトグラフィー{塩酸条件、カラムモデル:3_Phenomenex Luna C18 75×30mm×3μm;移動相:[水(0.05%のHCl)~アセトニトリル];アセトニトリル%:56%~76%、7分)で精製して化合物4を得た。
MS-ESIの計算値[M+H]476、実測値476。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 9.33 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 8.82 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 8.05-8.02 (m, 1H), 7.49-7.43 (m, 2H), 5.57-5.50 (m, 1H), 3.90-3.85 (m, 2H), 3.68-3.65 (m, 2H), 3.61-3.48 (m, 2H), 3.37 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.80 (d, J = 16.8 Hz, 1H), 2.71 (d, J = 16.8 Hz, 1H), 2.46-2.32 (m, 2H), 1.47 (d, J = 6.2 Hz, 6H)。
【0101】
実施例5
【0102】
【化24】
【0103】
合成ルート:
【0104】
【化25】
【0105】
工程1
化合物1d(500mg、2.42mmol)を無水ジクロロメタン(5mL)に溶解させ、反応溶液にN,N-ジメチルホルムアミド(17.7mg、242μmol)及び塩化オキサリル(923mg、7.27mmol)を加え、反応溶液を25℃で2時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮して溶媒を除去して粗生成物化合物5aを得た。
【0106】
工程2
化合物5a(520mg、2.31mmol)、2-アミノエタノール(212mg、3.47mmol)を無水ジクロロメタン(5mL)に溶解させ、反応溶液にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(598mg、4.63mmol)を加え、反応溶液を25℃で2時間撹拌した。反応溶液を水(50mL)で希釈し、ジクロロメタン(30mL×2)で抽出し、有機相を水(50mL×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して粗生成物化合物5bを得た。
MS-ESIの計算値[M+H]250、実測値250。
【0107】
工程3
化合物5b(580mg、2.33mmol)を無水ジクロロメタン(10mL)に溶解させ、反応溶液に塩化チオニル(830mg、6.98mmol)を加え、反応溶液を25℃で12時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(3:1、石油エーテル/酢酸エチル、Rf=0.3)で分離・精製して化合物5cを得た。
MS-ESIの計算値[M+H]268、実測値268。
1H NMR (400 MHz, CDCl) δ = 8.68 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 8.24 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 6.52-6.42 (m, 1H), 5.45-5.38 (m, 1H), 3.77-3.72 (m, 2H), 3.70-3.65 (m, 2H), 1.35 (d, J = 6.2 Hz, 6H)。
【0108】
工程4
化合物5c(300mg、1.12mmol)を無水ジクロロメタン(3mL)に溶解させ、反応溶液にトリエチルアミン(340mg、3.36mmol)を加え、反応溶液を80℃で12時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、水(30mL)で希釈し、ジクロロメタン(30mL×2)で抽出し、有機相を水(30mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して粗生成物化合物5dを得た。
MS-ESIの計算値[M+H]232、実測値232。
【0109】
工程5
化合物5d(220mg、851μmol)を四塩化炭素(5mL)に溶解させ、反応溶液にN-ブロモスクシンイミド(508mg、2.85mmol)及びアゾビスイソブチロニトリル(7.81mg、47.6μmol)を加え、反応溶液を80℃で12時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(3:1、石油エーテル/酢酸エチル、Rf=0.31)で分離・精製して化合物5eを得た。
MS-ESI計算値[M+H]308及び310、実測値308及び310。
【0110】
工程6
化合物5e(90.2mg、293μmol)、化合物4d(138mg、293μmol)及びリン酸カリウム(124mg、585μmol)を無水ジオキサン(3mL)に溶解させ、窒素ガスの保護下で、反応溶液に1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウムクロリド(21.4mg、29.3μmol)を加え、反応溶液を80℃で12時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、粗生成物を水(20mL)で希釈し、酢酸エチル(20mL×1)で抽出し、合わせた有機相を飽和食塩水(20mL×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、得られた粗生成物を薄層クロマトグラフィープレート(1:1、石油エーテル/酢酸エチル、Rf=0.13)で分離・精製して化合物5fを得た。
MS-ESIの計算値[M+H]573、実測値573。
【0111】
工程7
化合物5f(100mg、175μmol)を酢酸エチル(1mL)に溶解させ、混合溶液に塩酸/酢酸エチル(4M、1.2mL)を加え、反応溶液を20℃で1時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、粗生成物を高速液体クロマトグラフィー{塩酸条件、カラムモデル:3_Phenomenex Luna C18 75×30mm×3μm;移動相:[水(0.05%のHCl)~アセトニトリル];アセトニトリル%:45%~65%、7分}で精製して化合物5を得た。
MS-ESIの計算値[M+H]459、実測値459。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ = 9.05 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 8.52 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 7.68 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.41-7.36 (m, 2H), 7.29 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 5.55-5.48 (m, 1H), 3.89-3.84 (m, 2H), 3.68-3.61 (m, 2H), 3.58-3.51 (m, 2H), 3.18 (t, J = 7.1 Hz, 2H), 2.82-2.76 (m, 1H), 2.71-2.65 (m, 2H), 2.41-2.29 (m, 2H), 1.46 (d, J = 6.2 Hz, 6H)。
【0112】
実施例6
【0113】
【化26】
【0114】
合成ルート:
【0115】
【化27】
【0116】
工程1
化合物4c(200mg、694μmol)、化合物6a(198mg、694μmol)及びリン酸カリウム(295mg、1.39mmol)を無水ジオキサン(4mL)及び水(1mL)に溶解させ、窒素ガスの保護下で、反応溶液に1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウムクロリド(51.0mg、69.7μmol)を加え、反応溶液を80℃で12時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、粗生成物を水(30mL)で希釈し、酢酸エチル(30mL×2)で抽出し、合わせた有機相を飽和食塩水(30mL×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して粗生成物化合物6bを得た。
MS-ESI計算値[M+H]319及び321、実測値319及び321。
【0117】
工程2
化合物6b(102mg、318μmol)、化合物4d(150mg、318μmol)及びリン酸カリウム(135mg、636μmol)を無水ジオキサン(3mL)及び水(1mL)に溶解させ、窒素ガスの保護下で、反応溶液に1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウムクロリド(23.3mg、31.8μmol)を加え、反応溶液を80℃で12時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、粗生成物を水(30mL)で希釈し、酢酸エチル(30mL×1)で抽出し、合わせた有機相を飽和食塩水(30mL×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(1:1、石油エーテル/酢酸エチル、Rf=0.25)で分離・精製して化合物6cを得た。
MS-ESIの計算値[M+H]584、実測値584。
【0118】
工程3
化合物6c(86mg、147μmol)を酢酸エチル(1mL)に溶解させ、混合溶液に塩酸/酢酸エチル(4M、1mL)を加え、反応溶液を20℃で1時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、粗生成物を高速液体クロマトグラフィー{塩酸条件、カラムモデル:3_Phenomenex Luna C18 75×30mm×3μm;移動相:[水(0.05%のHCl)~アセトニトリル];アセトニトリル%:50%~70%、7分}で精製して化合物6を得た。
MS-ESIの計算値[M+H]470、実測値470。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ = 9.42 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 8.95 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 8.88 (s, 2H), 7.45-7.37 (m, 2H), 7.32 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 5.58-5.51 (m, 1H), 3.91-3.83 (m, 2H), 3.74-3.64 (m, 2H), 3.60-3.49 (m, 2H), 3.09-3.02 (m, 2H), 2.86-2.78 (m, 1H), 2.74-2.67 (m, 1H), 2.66-2.63 (m, 1H), 2.34-2.22 (m, 2H), 1.46 (d, J = 6.1 Hz, 6H)。
【0119】
実施例7
【0120】
【化28】
【0121】
合成ルート:
【0122】
【化29】
【0123】
工程1
化合物4c(300mg、1.04mmol)、化合物7a(171mg、1.04mmol)及びリン酸カリウム(442mg、2.08mmol)を無水ジオキサン(5mL)及び水(1mL)に溶解させ、窒素ガスの保護下で、反応溶液に1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウムクロリド(76.2mg、104μmol)を加え、反応溶液を80℃で12時間撹拌した。反応溶液を水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(50mL×2)で抽出し、合わせた有機相を飽和食塩水(50mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(5:1、石油エーテル/酢酸エチル、Rf=0.53)で分離・精製して化合物7bを得た。
MS-ESIの計算値[M+H]246、実測値246。
【0124】
工程2
化合物7b(92mg、375μmol)を無水N,N-ジメチルホルムアミド(3mL)に溶解させ、0℃で反応溶液にN-ブロモスクシンイミド(134mg、750μmol)を加え、反応溶液を60℃で3時間撹拌した。反応溶液を水(30mL)で希釈し、酢酸エチル(30mL×2)で抽出し、合わせた有機相を飽和食塩水(30mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(5:1、石油エーテル/酢酸エチル、Rf=0.64)で分離・精製して化合物7cを得た。
MS-ESI計算値[M+H]324及び326、実測値324及び326。
【0125】
工程3
化合物7c(62.0mg、191μmol)、化合物4d(90.2mg、191μmol)及びリン酸カリウム(81.2mg、382μmol)を無水ジオキサン(3mL)及び水(1mL)に溶解させ、窒素ガスの保護下で、反応溶液に1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウムクロリド(14.0mg、19.1μmol)を加え、反応溶液を80℃で12時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮して溶媒を除去し、粗生成物を水(15mL)で希釈し、酢酸エチル(15mL×2)で抽出し、合わせた有機相を飽和食塩水(20mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、粗生成物を薄層クロマトグラフィープレート(1:1、石油エーテル/酢酸エチル、Rf=0.40)で分離・精製して化合物7dを得た。
MS-ESIの計算値[M+H]589、実測値589。
【0126】
工程4
化合物7d(102mg、173μmol)を酢酸エチル(1mL)に溶解させ、混合溶液に塩酸/酢酸エチル(4M、1mL)を加え、反応溶液を20℃で1時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、粗生成物を高速液体クロマトグラフィー{塩酸条件、カラムモデル:3_Phenomenex Luna C18 75×30mm×3μm;移動相:[水(0.05%のHCl)~アセトニトリル];アセトニトリル%:52%~72%、7分}で精製して化合物7を得た。
MS-ESIの計算値[M+H]475、実測値475。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ = 8.90 (s, 1H), 8.46 (s, 1H), 7.95 (s, 1H), 7.45 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 7.38-7.28 (m, 2H), 5.54-5.46 (m, 1H), 3.86 (br s, 2H), 3.73-3.62 (m, 2H), 3.60-3.48 (m, 2H), 3.20-3.10 (m, 2H), 2.84-2.75 (m, 1H), 2.73-2.63 (m, 1H), 2.38-2.23 (m, 2H), 1.45 (d, J = 6.1 Hz, 6H)。
【0127】
実施例8
【0128】
【化30】
【0129】
合成ルート:
【0130】
【化31】
【0131】
工程1
化合物1i(500mg、1.88mmol)を無水テトラヒドロフラン(20mL)に溶解させ、0℃の条件下で、混合溶液にカリウムtert-ブトキシド(316mg、2.82mmol)を加え、反応溶液を0℃で0.5時間撹拌し、0℃の条件下で混合溶液に化合物8a(941mg、5.64mmol)を加え、反応溶液を20℃で2時間撹拌した。反応溶液に30mLの水を加えて希釈し、酢酸エチル(30mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、有機相を30mLの水及び30mLの飽和食塩水で順次に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(1:1、石油エーテル/酢酸エチル、Rf=0.39)で分離・精製して化合物8bを得た。
MS-ESI計算値[M+H]352及び354、実測値352及び354。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ = 7.31 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.19 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.07-7.01 (m, 1H), 4.14 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 4.06-4.03 (m, 2H), 3.53 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 3.47 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 2.90 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.64 (d, J = 16.9 Hz, 1H), 2.54 (d, J = 16.9 Hz, 1H), 2.31-2.22 (m, 1H), 2.18-2.09 (m, 1H), 1.22 (t, J = 7.2 Hz, 3H)。
【0132】
工程2
化合物8b(467mg、1.33mmol)を無水N,N-ジメチルホルムアミド(3mL)に溶解させ、混合溶液にシアン化亜鉛(234mg、1.99mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(60.7mg、66.3μmol)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(63.2mg、133μmol)を加え、窒素ガスの保護下で、反応溶液を90℃で12時間撹拌し、反応溶液を濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(5:1~3:1、石油エーテル/酢酸エチル、Rf=0.24)で分離・精製して化合物8cを得た。
MS-ESIの計算値[M+H]299、実測値299。
【0133】
工程3
塩酸ヒドロキシルアミン(143mg、2.07mmol)及びトリエチルアミン(209mg、2.07mmol)を無水エタノール(5mL)に溶解させ、窒素ガス保護下で混合溶液に化合物8c(206mg、690μmol)を加え、窒素ガスの保護下で、反応溶液を80℃で4時間撹拌し、反応溶液を濃縮して溶媒を除去し、粗生成物を高速液体クロマトグラフィー{中立条件、カラムモデル:Waters Xbridge C18 150×50mm×10μm;移動相:[水(10mmの炭酸水素アンモニウム)~アセトニトリル];B%:8%~38%、11.5分}で精製して化合物8dを得た。
MS-ESIの計算値[M+H]332、実測値332。
【0134】
工程4
化合物1d(79.6mg、386μmol)を無水N,N-ジメチルホルムアミド(10mL)に溶解させ、混合溶液に1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(62.6mg、463μmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(88.8mg、463μmol)を加え、反応溶液を25℃で1時間撹拌し、反応溶液に化合物8d(128mg、386μmol)を加え、反応溶液を25℃で2時間撹拌し、反応溶液を80℃で8時間撹拌を続けた。反応溶液に30mLの水を加え、ジクロロメタン(30mL×2)で抽出し、有機相を合わせ、有機相を20mLの水及び20mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して化合物8eを得た。
MS-ESIの計算値[M+H]502、実測値502。
【0135】
工程5
化合物8e(188mg、375μmol)を無水テトラヒドロフラン(8mL)及び無水メタノール(4mL)に溶解させ、混合溶液に水酸化リチウム一水和物(62.9mg、1.50mmol)を溶解させた水(2mL)溶液を加え、反応溶液を25℃で12時間撹拌した。反応溶液を濃縮して溶媒除去し、粗生成物を高速液体クロマトグラフィー{塩酸条件、カラムモデル:3_Phenomenex Luna C18 75×30mm×3μm;移動相:[水(0.05%のHCl)~アセトニトリル];B%:20%~40%、8分}で精製して化合物8fを得た。
MS-ESIの計算値[M+H]432、実測値432。
H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ = 13.48 (br s, 1H), 12.85 (br s, 1H), 8.80 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 8.71 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.00-7.96 (m, 1H), 7.63 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.49-7.43 (m, 1H), 4.08-3.97 (m, 2H), 3.56 (s, 2H), 3.27 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.68 (d, J = 16.5 Hz, 1H), 2.54 (d, J = 16.5 Hz, 1H), 2.38-2.28 (m, 1H), 2.23-2.13 (m, 1H)。
【0136】
工程6
化合物8f(38.4mg、88.9μmol)及び2-ヨードプロパン(45.4mg、267μmol)を無水トルエン(3mL)に溶解させ、混合溶液に炭酸銀(24.5mg、88.9μmol)を加え、反応溶液を50℃で16時間撹拌した。減圧濃縮し、粗生成物を薄層クロマトグラフィー(2:1、石油エーテル/酢酸エチル、Rf=0.15)で精製して化合物8gを得た。
MS-ESIの計算値[M+H]516、実測値516。
【0137】
工程7
化合物8g(22.0mg、42.7μmol)を無水テトラヒドロフラン(2mL)に溶解させ、混合溶液に水酸化ナトリウム(6.83mg、170μmol)の水(0.5mL)溶液を加え、反応溶液を20℃で12時間撹拌した。反応溶液を濃縮し、粗生成物を高速液体クロマトグラフィー{塩酸条件、カラムモデル:3_Phenomenex Luna C18 75×30mm×3μm;移動相:[水(0.05%のHCl)~アセトニトリル];アセトニトリル%:52%~72%、7分}で精製して化合物8を得た。
MS-ESIの計算値[M+H]474、実測値474。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ = 9.15 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 8.64 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 8.09 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.51 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.43 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 5.62-5.51 (m, 1H), 4.30-4.15 (m, 2H), 3.71 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 3.63 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 3.38 (t, J = 6.9 Hz, 2H), 2.82 (d, J = 17.0 Hz, 1H), 2.72 (d, J = 17.0 Hz, 1H), 2.48-2.23 (m, 2H), 1.48 (d, J = 6.2 Hz, 6H)。
【0138】
実施例9
【0139】
【化32】
【0140】
合成ルート:
【0141】
【化33】
【0142】
工程1
化合物1i(5.00g、18.8mmol)を無水N,N-ジメチルホルムアミド(50mL)に溶解させ、混合溶液にシアン化亜鉛(3.31g、28.2mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(516mg、564μmol)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(537mg、1.13mmol)を加え、窒素ガスの保護下で、反応溶液を90℃で12時間撹拌し、反応溶液に100mLの水を加えて希釈し、酢酸エチル(60mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、有機相を50mLの水及び50mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。粗生成物に50mLのエタノールを加え、反応溶液を20℃で12時間撹拌し、濾過し、ケーキを減圧乾燥させて化合物9aを得た。
MS-ESIの計算値[M+H]213、実測値213。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ = 7.53 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.50 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.34 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 5.97 (br s, 1H), 3.55-3.47 (m, 2H), 3.16 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.65-2.51 (m, 2H), 2.42-2.25 (m, 2H)。
【0143】
工程2
化合物9a(100mg、471μmol)を無水エタノール(2mL)に溶解させ、窒素ガスの条件下で、混合溶液に塩酸ヒドロキシルアミン(98.2mg、1.41mmol)及びトリエチルアミン(143mg、1.41mmol)を加え、窒素ガスの保護下で、反応溶液を80℃で4時間撹拌し、反応溶液を濃縮し、粗生成物に5mLの酢酸エチルを加え、反応溶液を20℃で12時間撹拌し、濾過し、ケーキを減圧乾燥させて化合物9bを得た。
MS-ESIの計算値[M+H]246、実測値246。
【0144】
工程3
化合物1d(123mg、594μmol)を無水N,N-ジメチルホルムアミド(10mL)に溶解させ、混合溶液に1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(107mg、793μmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(152mg、793μmol)を加え、反応溶液を25℃で1時間撹拌し、反応溶液に化合物9b(162mg、660μmol)を加え、反応溶液を25℃で2時間撹拌し、反応溶液を80℃で8時間撹拌を続けた。反応溶液に20mLの水を加え、酢酸エチル(30mL×2)で抽出し、有機相を合わせ、有機相を20mLの水及び20mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、粗生成物を薄層クロマトグラフィー(0:1、石油エーテル/酢酸エチル、Rf=0.42)で精製して化合物9cを得た。
MS-ESIの計算値[M+H]416、実測値416。
【0145】
工程4
化合物9c(100mg、241μmol)を無水テトラヒドロフラン(10mL)に溶解させ、0℃の条件下で、混合溶液にカリウムtert-ブトキシド(35.1mg、313μmol)を加え、反応溶液を0℃で0.5時間撹拌し、0℃の条件下で混合溶液に3-ブロモプロパノール(100mg、722μmol)を加え、反応溶液を20℃で2時間撹拌した。反応溶液に30mLの水を加え、酢酸エチル(50mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、有機相を30mLの水及び30mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、粗生成物を薄層クロマトグラフィー(0:1、石油エーテル/酢酸エチル、Rf=0.46)で精製して化合物9dを得た。
MS-ESIの計算値[M+H]474、実測値474。
【0146】
工程5
化合物9d(31.0mg、65.6μmol)を無水ジクロロメタン(2mL)に溶解させ、混合溶液にデス・マーチン酸化剤(46.1mg、109μmol)を加え、反応溶液を20℃で2時間撹拌し、反応溶液に飽和10%の炭酸水素ナトリウム溶液(10mL)を加え、ジクロロメタン(10mL×2)で抽出し、有機相を合わせ、有機相を10mLの水及び10mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して化合物9eを得た。
MS-ESIの計算値[M+H]472、実測値472。
【0147】
工程6
化合物9e(35.0mg、74.2μmol)を無水テトラヒドロフラン(1mL)及びtert-ブタノール(1mL)に溶解させ、混合溶液に2-メチル-2-ブテン(52.0mg、742μmol)、リン酸水素二ナトリウム(105mg、742μmol)及び亜塩素酸ナトリウム(10.0mg、111μmol)の水(1mL)溶液を加え、反応溶液を20℃で1時間撹拌し、反応溶液に水(10mL)を加え、ジクロロメタン(10mL×2)で抽出し、有機相を合わせて、有機相を10mLの水及び10mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、粗生成物を高速液体クロマトグラフィー{塩酸条件、カラムモデル:3_Phenomenex Luna C18 75×30mm×3μm;移動相:[水(0.05%のHCl)~アセトニトリル];アセトニトリル%:50%~70%、7分}で精製して化合物9を得た。
MS-ESIの計算値[M+H]488、実測値488。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ = 9.14 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 8.63 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 8.07 (d, J = 6.2 Hz, 1H), 7.46-7.34 (m, 2H), 5.63-5.51 (m, 1H), 3.74-3.56 (m, 4H), 3.42-3.30 (m, 2H), 2.80-2.60 (m, 4H), 2.40-2.18 (m, 2H), 1.48 (d, J = 6.1 Hz, 6H)。
【0148】
実施例10
【0149】
【化34】
【0150】
合成ルート:
【0151】
【化35】
【0152】
工程1
化合物1i(2.00g、7.52mmol)を無水テトラヒドロフラン(20mL)に溶解させ、反応溶液にバッチで水素化アルミニウムリチウム(570mg、15.0mmol)をゆっくりと加え、反応溶液を70℃で3時間撹拌した。反応溶液に飽和塩化アンモニウム溶液(50mL)を加えてクエンチし、濾過し、濾液を集めて減圧濃縮した。残留物を水(100mL)で希釈し、酢酸エチル(100mL×2)で抽出し、合わせた有機相を飽和食塩水(100mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して粗生成物化合物10aを得た。
MS-ESI計算値[M+H]252及び254、実測値252及び254。
【0153】
工程2
化合物10a(1.22g、4.84mmol)を無水ジクロロメタン(20mL)に溶解させ、混合溶液に二炭酸ジ-tert-ブチル(1.27g、5.81mmol)及びトリエチルアミン(1.18g、11.6mmol)を加え、反応溶液を25℃で2時間撹拌した。反応溶液を濃縮し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5:1、石油エーテル/酢酸エチル、Rf=0.7)で分離・精製して化合物10bを得た。
MS-ESI計算値[M+H-Bu]296及び298、実測値296及び298。
【0154】
工程3
化合物10b(1.44g、4.09mmol)、シアン化亜鉛(720mg、6.13mmol)及び2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2,4,6-トリイソプロピルビフェニル(156mg、327μmol)を無水N,N-ジメチルホルムアミド(20mL)に溶解させ、窒素ガスの保護下で、混合溶液にトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(150mg、164μmol)を加え、反応溶液を90℃で12時間撹拌した。反応溶液に水(100mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(100mL×2)で抽出し、合わせた有機相を飽和食塩水(100mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5:1、石油エーテル/酢酸エチル、Rf=0.25)で分離・精製して化合物10cを得た。
MS-ESI計算値[M+H-Bu]243、実測値243。
【0155】
工程4
化合物10c(720mg、2.41mmol)を無水エタノール(10mL)に溶解させ、混合溶液に塩酸ヒドロキシルアミン(502mg、7.22mmol)及びトリエチルアミン(731mg、7.22mmol)を加え、反応溶液を80℃で3時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、残留物に水(25mL)を加えて希釈し、反応溶液が混濁し、濾過し、ケーキを真空乾燥させて粗生成物化合物10dを得た。
MS-ESIの計算値[M+H]332、実測値332。
【0156】
工程5
化合物1d(790mg、3.83mmol)を無水N,N-ジメチルホルムアミド(10mL)に溶解させ、混合溶液に1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(621mg、4.60mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(882mg、4.60mmol)を加え、反応溶液を25℃で1時間撹拌し、反応溶液に化合物10d(1.27g、3.83mmol)を加え、反応溶液を25℃で2時間撹拌し、反応溶液を80℃で8時間撹拌を続けた。反応溶液に80mLの水を加え、酢酸エチル(60mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、有機相を飽和食塩水(60mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して化合物10eを得た。
MS-ESI計算値[M+H-Bu]446、実測値446。
【0157】
工程6
化合物10e(1.93mg、2.74mmol)を酢酸エチル(30mL)に溶解させ、混合溶液に酢酸エチル塩酸塩(4M、6.85mL)を加え、反応溶液を25℃で1時間撹拌し、濾過し、ケーキを集め、ケーキに酢酸エチル(50mL)を加え、20℃で12時間撹拌し、濾過し、ケーキを減圧乾燥させて化合物10fの塩酸塩を得た。
MS-ESIの計算値[M+H]402、実測値402。
【0158】
工程7
化合物10fの塩酸塩(50.0mg、114μmol)及び化合物10g(43.8mg、343μmol)を1,2-ジクロロメタン(4mL)に溶解させ、混合溶液に氷酢酸(3.43mg、57.9μmol)を加え、反応溶液を20℃で6時間撹拌し、反応溶液にトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(72.6mg、343μmol)を加え、反応溶液を20℃で12時間撹拌した。減圧濃縮し、粗生成物に10%の炭酸水素ナトリウム(10mL)水溶液を加え、酢酸エチル(10mL×2)で抽出し、有機相を合わせて、有機相を水(10mL)及び飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して化合物10hを得た。
MS-ESIの計算値[M+H]514、実測値514。
【0159】
工程8
化合物10h(140mg、273μmol)を無水テトラヒドロフラン(12mL)に溶解させ、混合溶液に水酸化ナトリウム(43.6mg、1.09mmol)の水(3mL)溶液を加え、反応溶液を20℃で12時間撹拌した。1Mの塩酸水溶液を使用してpHを約5に調節し、減圧濃縮し、粗生成物を高速液体クロマトグラフィー{塩酸条件、カラムモデル:3_Phenomenex Luna C18 75×30mm×3μm;移動相:[水(0.05%のHCl)~アセトニトリル];アセトニトリル%:34%~54%、7分}で精製して化合物10を得た。
MS-ESIの計算値[M+H]500、実測値500。
H NMR (400 MHz, MeOH-d) δ = 9.19 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 8.80 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 8.12 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.61 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.53-7.45 (m, 1H), 5.68-5.53 (m, 1H), 4.07-3.67 (m, 3H), 3.55-3.36 (m, 4H), 3.11-2.95 (m, 1H), 2.78-2.67 (m, 2H), 2.58-2.23 (m, 6H), 1.47 (d, J = 6.2 Hz, 6H)。
【0160】
実施例11
【0161】
【化36】
【0162】
合成ルート:
【0163】
【化37】
【0164】
工程1
化合物4d(200mg、424μmol)、化合物11a(103mg、424μmol)、リン酸カリウム(180mg、848μmol)及び1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウムクロリド(31.0mg、42.4μmol)をジオキサン(3mL)及び水(1mL)に溶解させ、窒素ガスの保護下で、反応溶液を80℃で12時間撹拌し、反応溶液を減圧し、残留物に15mLの水を加え、酢酸エチル(10mL×2)で抽出し、有機相を合わせて、有機相を飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、粗生成物を薄層クロマトグラフィー(1:1、石油エーテル/酢酸エチル、Rf=0.17)で分離・精製して化合物11bを得た。
MS-ESI計算値[M+H]508及び510、実測値508及び510。
【0165】
工程2
化合物11b(40.0mg、78.6μmol)、化合物4c(22.6mg、78.6μmol)、リン酸カリウム(33.4mg、157μmol)及び1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウムクロリド(5.76mg、7.87μmol)をジオキサン(3mL)及び水(1mL)に溶解させ、窒素ガスの保護下で、反応溶液を80℃で12時間撹拌し、反応溶液を減圧濃縮し、残留物に水(15mL)を加え、酢酸エチル(10mL×2)で抽出し、有機相を合わせ、有機相を飽和食塩水(10mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して化合物11cを得た。
MS-ESIの計算値[M+H]590、実測値590。
【0166】
工程3
化合物11c(56.0mg、94.9μmol)を酢酸エチル(1mL)に溶解させ、混合溶液に酢酸エチル塩酸塩(4M、1mL)溶液を加え、反応溶液を25℃で1時間撹拌し、反応溶液を減圧濃縮した。粗生成物を高速液体クロマトグラフィー{塩酸条件、カラムモデル:Phenomenex luna C18 150×25mm×10μm;移動相:[水(0.05%のHCl)~アセトニトリル];アセトニトリル%:38%~68%、10分)で精製して化合物11を得た。
MS-ESIの計算値[M+H]476、実測値476。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ = 8.93 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 8.52 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.86-7.76 (m, 1H), 7.48-7.35 (m, 2H), 5.58-5.47 (m, 1H), 3.91-3.78 (m, 2H), 3.72-3.45 (m, 4H), 3.40 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.79 (d, J = 16.8 Hz, 1H), 2.69 (d, J = 16.8 Hz, 1H), 2.43-2.24 (m, 2H), 1.46 (d, J = 6.4 Hz, 6H)。
【0167】
試験例1:S1PR1アゴニスト活性に対する本発明の化合物の体外評価
実験目的:S1PR1に対する化合物のアゴニスト活性を検出するためである。
一. 細胞処理
1. 標準的な手順に従ってPathHunter細胞株を解凍した;
2. 細胞を20μlの384ウェルマイクロプレートに接種し、37℃で適切な時間培養した。
二. アゴニスト
1. アゴニストの測定は、細胞と試験試料を培養し、応答を誘導して実行した;
2. 試験ストック溶液を5倍で緩衝液に希釈した;
3. 5μlの5倍希釈溶液を細胞に加え、37℃で90~180分間培養した。溶媒濃度は1%であった。
三. 信号検出
1. 12.5μL又は15μLの体積比50%のPathHunter検出試料を1回加え、次に室温で1時間培養して検出信号を生成させた;
2. PerkinElmer EnvisionTM機器でマイクロプレートを読み取り、化学発光信号検出を行った。
四. データ分析
1. CBISデータ分析キット(ChemInnovation、CA)を使用して化合物活性を分析した;
2. 計算式:
%活性=100%×(平均試験試料RLU-平均溶媒RLU)/(平均最大対照リガンド-平均溶媒RLU)
実験結果は表1に示された通りである:
【0168】
【表1】
【0169】
結論:本発明の化合物は、いずれも有意で予測できないS1PR1アゴニスト活性を有している。
【0170】
試験例2:化合物のラット薬物動態評価
実験目的:SDラットにおける化合物の薬物動態を試験するためである。
実験材料:
Sprague Dawley ラット(オス、200~300g、7~9週齢、Shanghai Slack)
実験操作:
化合物の静脈内注射及び経口投与後のげっ歯類の薬物動態特性を標準プロトコルで試験し、実験では、候補化合物を透明な溶液に製造してラットに単回静脈内注射及び経口投与した。静脈内注射溶媒は5:95のDMSO及び10%のヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリン水溶液であり、経口溶媒は0.5%w/vのメチルセルロース及び0.2%w/vのトウェイン80水溶液であった。24時間以内の全血試料を収集し、3000gを15分間遠心分離し、上清を分離して血漿試料を得、4倍体積の内部標準を含むアセトニトリル溶液を加えてタンパク質を沈殿させ、遠心分離して上清を取り、同じ体積の水を加えて更に遠心分離して上清を注入し、LC-MS/MS分析法によって血中薬物濃度を定量分析し、ピークに達する濃度、クリアランス、組織分布、半減期、薬物-時間曲線下面積、バイオアベイラビリティなどの薬物動態パラメーターを計算した。
実験結果:
【0171】
【表2】
【0172】
結論:本発明の化合物は、SDラットの薬物動態において、より優れたバイオアベイラビリティ、より高い薬物-時間曲線下面積及びより低いクリアランスを示した。
【0173】
試験例3:化合物のマウス薬物動態評価
実験目的:CD-1マウスにおける化合物の薬物動態を試験するためである。
実験材料:
CD-1マウス(オス、20~40g、6~10週齢、Shanghai Slack)
実験操作:
化合物の静脈内注射及び経口投与後のげっ歯類の薬物動態特性を標準プロトコルで試験し、実験では、候補化合物を透明な溶液に調製してそれぞれ二匹のマウスに単回静脈内注射及び経口投与した。静脈内注射溶媒は5:95のDMSO及び10%のヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリン水溶液であり、経口溶媒は0.5%w/vのメチルセルロース及び0.2%w/vのトウェイン80水溶液であった。24時間以内の全血試料を収集し、3200gを10分間遠心分離し、上清を分離して血漿試料を得、4倍体積の内部標準を含むアセトニトリル溶液を加えてタンパク質を沈殿させ、遠心分離して上清を取り、同じ体積の水を加えて更に遠心分離して上清を注入し、LC-MS/MS分析法によって血中薬物濃度を定量分析し、ピークに達する濃度、組織分布、クリアランス、半減期、薬物-時間曲線下面積、バイオアベイラビリティなどの薬物動態パラメーターを計算した。
実験結果:
【0174】
【表3】
【0175】
結論:本発明の化合物はCD-1マウスの薬物動態において、より優れたバイオアベイラビリティ、より高い薬物-時間曲線下面積及びより低いクリアランスを示した。