(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】密封箱及び静置装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/058 20100101AFI20240227BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
H01M10/058
H01M10/04 Z
(21)【出願番号】P 2022574735
(86)(22)【出願日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 CN2021135143
(87)【国際公開番号】W WO2022188479
(87)【国際公開日】2022-09-15
【審査請求日】2022-12-02
(31)【優先権主張番号】202110254674.4
(32)【優先日】2021-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522471386
【氏名又は名称】無錫先導智能装備股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002181
【氏名又は名称】弁理士法人IP-FOCUS
(72)【発明者】
【氏名】肖 江連
(72)【発明者】
【氏名】孫 一舟
【審査官】冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-164187(JP,A)
【文献】特開2003-059485(JP,A)
【文献】特開2010-212227(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110259945(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/058
H01M 10/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上蓋と、
前記上蓋に取り外し可能に接続され、且つ
リチウム電池を収容するための収納室を前記上蓋と囲んで形成し、前記上蓋を向く側に前記収納室を囲むシール溝が設けられる下蓋と、
前記シール溝内に密封設置され、且つ前記上蓋と密封接触する密封端と、前記シール溝内に収容される変形端と、を含む弾性シールリングと、を含み、
前記下蓋に前記シール溝と連通するガス通孔が設けられ、前記変形端は、前記ガス通孔から前記シール溝内に充填される気流の作用下で変形して前記シール溝の溝壁を押し出し、前記密封端を押して前記上蓋に向かって移動する作用力が生じる、密封箱。
【請求項2】
前記変形端に凹溝が設けられ、且つ前記変形端は、前記凹溝の両側に位置する二つの弾性部を含み、前記ガス通孔は、前記凹溝に向けて配置され、二つの前記弾性部は、前記ガス通孔から前記凹溝内に充填される気流の作用下で前記シール溝の溝壁と密着する、請求項1に記載の密封箱。
【請求項3】
前記弾性シールリングの前記シール溝内に収容される部分と前記シール溝の溝壁が密着している、請求項1に記載の密封箱。
【請求項4】
静置装置であって、前記静置装置は、支持フレーム、複数の横ステー、複数のグリッパアセンブリ及び請求項1から3のいずれか一項に記載の密封箱を含み、
複数の前記横ステーは、いずれも前記支持フレームに固定接続され、前記上蓋と前記下蓋を収容するための収容位置を囲んで形成し、それぞれの前記横ステーに、前記上蓋と前記下蓋を締め付けるための少なくとも一つの前記グリッパアセンブリが設けられる、静置装置。
【請求項5】
それぞれの前記グリッパアセンブリは、取付フレーム、グリッパ及び駆動部材を含み、前記取付フレームは、前記横ステーに設けられ、前記グリッパは、前記収容位置に向かって近づける、又は離れることができるように前記取付フレームに接続され、前記駆動部材は、前記グリッパに伝導接続される、請求項4に記載の静置装置。
【請求項6】
それぞれの前記グリッパアセンブリは、浮動構造を更に含み、前記浮動構造は、前記横ステーに設けられ、且つ外力の作用下で前記グリッパの移動方向に垂直な第一方向に沿って浮動することができる浮動端を有し、
前記取付フレームは、前記浮動端に固定接続される、請求項5に記載の静置装置。
【請求項7】
前記第一方向に沿って貫通するガイドホールがそれぞれの前記横ステーに設けられ、
それぞれの前記浮動構造は、ガイド柱、弾性部材及びストッパを含み、前記ガイド柱は、対応する前記ガイドホールを貫通して設けられ、且つ前記ガイド柱の一端を前記浮動端とし、前記取付フレームに固定接続され、前記ガイド柱の他端は、前記ストッパに伝導接続され、前記弾性部材は、前記ストッパと前記横ステーの間に当接する、請求項6に記載の静置装置。
【請求項8】
それぞれの前記グリッパアセンブリは、摺動板を更に含み、前記グリッパは、前記摺動板に固定接続され、前記摺動板にスライドレールが設けられ、
前記取付フレームにスライダーが設けられ、前記スライダーは、前記スライドレールに摺動結合され、
前記駆動部材は、前記摺動板に固定取付され、且つ前記駆動部材の駆動端は、前記取付フレームに接続される、請求項5に記載の静置装置。
【請求項9】
それぞれの前記グリッパアセンブリの前記摺動板に複数のグリッパが固定接続される、請求項8に記載の静置装置。
【請求項10】
前記上蓋と前記下蓋の前記グリッパに対応する位置に耐摩耗性ガスケットが設けられる、請求項5に記載の静置装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年03月09日に出願された、出願番号202110254674.4の発明名称が「密封箱及び静置装置」である中国特許出願の優先権を主張し、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、電池製造の技術分野に関し、特に、密封箱及び静置装置に関する。
【背景技術】
【0003】
リチウム電池は、動作電圧が高い、エネルギー密度が大きい、サイクル寿命が長い、メモリ効果が無い等の利点を有するグリーンエネルギーであり、すでに各産業において幅広く適用されており、特に、近年、電気自動車が大きく発展している。
【0004】
リチウム電池生産プロセスにおいて、注液は重要な工程の一つであり、電池の使用性能に直接影響する。電池内に注入する電解液の加速湿潤を保証するために、注液後の電池を密封箱体内に静置するとともに、静置プロセスにおいて、密封箱体内を加圧(即ち、ガスの充填)又は吸引(真空引き)する必要がある。密封箱体内にガスを充填する時、密封箱体の底蓋への下向きの圧力により、底蓋と箱本体の間の密封性に影響し、加圧が困難となり、静置効果に影響する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに基づき、先行技術において、静置装置の加圧が困難で、静置効果が悪い問題について、上記欠点を改善する密封箱及び静置装置を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術課題を解決するために、本願が採用する技術案の一つは、
上蓋と、
前記上蓋に取り外し可能に接続され、且つワークを収容するための収納室を前記上蓋と囲んで形成し、前記上蓋を向く側に前記収納室を囲むシール溝が設けられる下蓋と、
前記シール溝内に密封設置され、且つ前記上蓋と密封接触する密封端と、前記シール溝内に収容される変形端と、を含む弾性シールリングと、を含み、
前記下蓋に前記シール溝と連通するガス通孔が設けられ、前記変形端は、前記ガス通孔から前記シール溝内に充填される気流の作用下で変形して前記シール溝の溝壁を押し出し、前記密封端を押して前記上蓋に向かって移動する作用力が生じる、密封箱を提供する。
【0007】
そのうち一つの実施例において、前記変形端に凹溝が設けられ、且つ前記変形端は、前記凹溝の両側に位置する二つの弾性部を含み、前記ガス通孔は、前記凹溝に向けて配置され、二つの前記弾性部は、前記ガス通孔から前記凹溝内に充填される気流の作用下で前記シール溝の溝壁と密着する。
【0008】
そのうち一つの実施例において、前記弾性シールリングの前記シール溝内に収容される部分と前記シール溝の溝壁が密着している。
【0009】
上記技術課題を解決するために、本願が採用する技術案の一つは、
支持フレーム、複数の横ステー、複数のグリッパアセンブリ及び上記実施例のいずれかに記載された密封箱を含み、
複数の前記横ステーは、いずれも前記支持フレームに固定接続され、前記上蓋と前記下蓋を収容するための収容位置を囲んで形成し、それぞれの前記横ステーに、少なくとも一つの前記グリッパアセンブリが設けられ、
それぞれの前記グリッパアセンブリは、前記収容位置内の前記上蓋と前記下蓋を締め付けるのに用いられる、静置装置を提供する。
【0010】
そのうち一つの実施例において、それぞれの前記グリッパアセンブリは、取付フレーム、グリッパ及び駆動部材を含み、前記取付フレームは、前記横ステーに設けられ、前記グリッパは、前記収容位置に向かって近づける、又は離れることができるように前記取付フレームに接続され、前記駆動部材は、前記グリッパに伝導接続される。
【0011】
そのうち一つの実施例において、それぞれの前記グリッパアセンブリは、浮動構造を更に含み、前記浮動構造は、前記横ステーに設けられ、且つ外力の作用下で前記グリッパの移動方向に垂直な第一方向に沿って浮動することができる浮動端を有し、
前記取付フレームは、前記浮動端に固定接続される。
【0012】
そのうち一つの実施例において、前記第一方向に沿って貫通するガイドホールがそれぞれの前記横ステーに設けられ、
それぞれの前記浮動構造は、ガイド柱、弾性部材及びストッパを含み、前記ガイド柱は、対応する前記ガイドホールを貫通して設けられ、且つ前記ガイド柱の一端を前記浮動端とし、前記取付フレームに固定接続され、前記ガイド柱の他端は、前記ストッパに伝導接続され、前記弾性部材は、前記ストッパと前記横ステーの間に当接する。
【0013】
そのうち一つの実施例において、それぞれの前記グリッパアセンブリは、摺動板を更に含み、前記グリッパは、前記摺動板に固定接続され、前記摺動板にスライドレールが設けられ、
前記取付フレームにスライダーが設けられ、前記スライダーは、前記スライドレールに摺動結合され、
前記駆動部材は、前記摺動板に固定取付され、且つ前記駆動部材の駆動端は、前記取付フレームに接続される。
【0014】
そのうち一つの実施例において、それぞれの前記グリッパアセンブリの前記摺動板に複数のグリッパが固定接続される。
【0015】
そのうち一つの実施例において、前記上蓋と前記下蓋の前記グリッパに対応する位置に耐摩耗性ガスケットが設けられる。
【発明の効果】
【0016】
上記密封箱及び静置装置において、下蓋と上蓋は、取り外し可能に接続され、収納室を囲んで形成し、電解液が十分に浸潤するように、注液後の電池を該収納室内に静置する。静置するプロセスにおいて、収納室内に不活性ガスを充填して、収納室内を増圧し、電池を高圧環境下にすることができ、湿潤速度を向上させるのに有利である。
【0017】
しかしながら、収納室内にガスを充填して増圧するプロセスにおいて、ガス圧の作用下で上蓋から離れる第一圧力が下蓋に加えられる。第一圧力が下蓋と上蓋の間の密封性に影響するのを回避するために、下蓋のガス通孔によってシール溝内にガスを充填して、弾性シールリングの変形端を変形させてシール溝の溝壁を押し出す(即ち、変形端とシール溝の溝壁を密着させる)ことができ、同時に、密封端を押して上蓋に向かって移動する作用力が生じて、密封性に対する第一圧力の影響を取り除き、上蓋と下蓋の間の密封性が破壊されないことを確保する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本願の実施例における密封箱の構造概略図である。
【
図5】本願の実施例における静置装置の構造概略図である。
【
図6】
図5の静置装置のA-A方向に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本願は、密封箱及び静置装置を提供する。本願の目的、技術案及び効果をより明らかにするために、以下、図面を参照し、実施例を用いて、本願を更に詳細に説明する。ここで説明される具体的な実施例は、本願を説明するためだけであり、本願を限定するためではないことを理解しなければならない。
【0020】
図1、
図2及び
図3を参照すると、本願の実施例が提供する密封箱は、上蓋10、下蓋20及び弾性シールリング30を含む。下蓋20は、上蓋10に取り外し可能に接続され、ワークを収容するための収納室aを上蓋10と囲んで形成する。下蓋20の上蓋10を向く側に収納室aを囲むシール溝21が設けられ、弾性シールリング30は、該シール溝21に設けられ、上蓋10と下蓋20の間の間隙を密封するのに用いられる。弾性シールリング30は、上蓋10と密封接触する密封端32と、シール溝21内に収容される変形端33と、を含む。任意で、ワークは、静置する必要がある電池であってもよく、当然ながら、収納室a内に静置する必要がある他の製品でもよく、ここでは限定しない。理解しやすくするために、本文は、電池を例に説明する。
【0021】
下蓋20に前記シール溝21と連通するガス通孔22が設けられ、変形端33は、ガス通孔22からシール溝21内に充填される気流の作用下で変形してシール溝21の溝壁を押し出し、弾性シールリング30の密封端32を押して上蓋10に向かって移動する作用力が生じて、変形端33とシール溝21の溝壁が密着を保ち、且つ密封端32と上蓋10が密着して、弾性シールリング30による上蓋10と下蓋20の間の間隙の密封を確保する。
【0022】
上記密封箱において、下蓋20と上蓋10は、取り外し可能に接続され、収納室aを囲んで形成し、電解液が十分に浸潤するように、注液後の電池を該収納室a内に静置する。静置するプロセスにおいて、収納室a内に不活性ガスを充填して、収納室a内を増圧し、電池を高圧環境下にすることができ、湿潤速度を向上させるのに有利である。
【0023】
しかしながら、収納室a内にガスを充填して増圧するプロセスにおいて、ガス圧の作用下で上蓋10から離れる第一圧力が下蓋20に加えられる。第一圧力が下蓋20と上蓋10の間の密封性に影響するのを回避するために、下蓋20のガス通孔22によってシール溝21内にガスを充填して、弾性シールリング30の変形端33を変形させてシール溝21の溝壁を押し出す(即ち、変形端33とシール溝21の溝壁を密着させる)ことができ、同時に、密封端32を押して上蓋10に向かって移動する作用力が生じて、密封端32と上蓋10を密着させ、密封性に対する第一圧力の影響を取り除き、上蓋10と下蓋20の間の密封性が破壊されないことを確保する。
【0024】
理解できることとして、収納室a内にガスを充填するために、上蓋10又は下蓋20に収納室aに連通するガス孔が設けられてもよく、外部ガス源により不活性ガスを収納室a内に充填するために、該ガス孔は外部ガス源と連通する。
【0025】
具体的な実施例において、下蓋20の収納室aに向かう側に電池を固定するための固定位置を有する。このように、電池の注液後、電池を下蓋20の固定位置に固定してから、下蓋20を上蓋10に嵌合させて接続し、電池を収納室a内に静置させる。電池の静置が完了した後、下蓋20と上蓋10を分離して、電池を下蓋20から取り出す。
【0026】
具体的な実施例において、変形端33に凹溝31が設けられ、該変形端33は、二つの弾性部331を含み、該二つの弾性部331は、凹溝31の両側に位置する。ガス通孔22は、該凹溝31に向けて配置され、ガス通孔22から充填される気流を凹溝31内に入れる。二つの弾性部331は、ガス通孔22から凹溝31内に充填される気流の作用下で互いに離れる方向に変形して、シール溝21の溝壁と密着すると同時に、密封端32を押して上蓋10に向かって移動する作用力が生じて、上蓋10と下蓋20の間の密封性に対する上記第一圧力の影響を取り除き、第一圧力の作用下で上蓋10と下蓋20の間の密封性が破壊されるのを回避する。
【0027】
具体的な実施例において、弾性シールリング30のシール溝21内に収容される部分とシール溝21の溝壁が密着している。弾性シールリング30の密封端32と上蓋10が密着している。このように、初期状態において(即ち、シール溝21にガスが充填されていない時)、弾性シールリング30のシール溝21内に収容される部分(該部分は、変形端33を含む)とシール溝21の溝壁が密着し、弾性シールリング30の密封端32と上蓋10が密着するため、密封効果を奏する。シール溝21にガスが充填される時、弾性シールリング30のシール溝21内に収容される部分とシール溝21の溝壁が更に密着し、密封効果を更に向上させる。
【0028】
図3を引き続き参照すると、具体的な実施例において、シール溝21は、二つの溝壁と、二つの溝壁の間に接続される底壁に囲まれて形成される。変形端33の凹溝31は、該底壁に向けて配置され、ガス通孔22の一端は、シール溝21の底壁を貫通して、ガス通孔22から充填される気流を凹溝31内に入れて、変形端33の二つの弾性部331を互いに離れる方向に変形させて、対応する二つの溝壁にそれぞれ密着することができる。外部ガス源に接続するために、ガス通孔22の他端は、下蓋20の上蓋10から離れた側を貫通する。
【0029】
上記密封箱に基づき、本願は、上記実施例のいずれかに記載された密封箱を含む静置装置を更に提供する。
【0030】
図5及び
図6を参照すると、本願の実施例において、静置装置は、支持フレーム40、複数の横ステー41及び複数のグリッパアセンブリ50を更に含み、複数の横ステー41は、支持フレーム40に固定接続され、複数の横ステー41は、上蓋10と下蓋20を収容するための収容位置(不図示)を囲んで形成し、それぞれの横ステー41に少なくとも一つのグリッパアセンブリ50が設けられる。それぞれのグリッパアセンブリ50は、収容位置内の上蓋10と下蓋20を締め付けて、上蓋10と下蓋20を互いに嵌合させて締結させるのに用いられる。このように、電池注液後、電池を下蓋20の固定位置に固定してから、下蓋20を上蓋10に嵌合させて、複数のグリッパアセンブリ50により上蓋10と下蓋20を締め付け、電池を収納室a内に静置させる。電池の静置が完了した後、各グリッパアセンブリ50は、下蓋20と上蓋10の締め付けを解除して、下蓋20から電池を取り出す。
【0031】
いくつかの実施例において、それぞれのグリッパアセンブリ50は、取付フレーム51、グリッパ52及び駆動部材53を含む。該取付フレーム51は、横ステー41に設けられ、グリッパ52は、収容位置に向かって近づける、又は離れることができるように取付フレーム51に接続される。駆動部材53は、グリッパ52に伝導接続され、グリッパ52を駆動して取付フレーム51に対して収容位置に向かって近づける、又は離れるのに用いられる。このように、グリッパアセンブリ50が上蓋10と下蓋20を締め付ける必要がある時、駆動部材53は、グリッパ52を駆動して収容位置に向かって近づけるように移動して、グリッパ52が上蓋10と下蓋20を締め付けるまで、グリッパ52を収容位置内の上蓋10と下蓋20に徐々に近づける。上蓋10と下蓋20の締め付けを解除する必要がある時、駆動部材53は、グリッパ52を駆動して、グリッパ52が上蓋10と下蓋20から完全に分離するまで収容位置から離れるように移動して、上蓋10と下蓋20の締め付けが解除される。任意で、駆動部材53は、シリンダであってもよい。
【0032】
具体的な実施例において、それぞれのグリッパアセンブリ50は、浮動構造(不図示)を更に含み、該浮動構造は、横ステー41に設けられ、且つ外力の作用下でグリッパ52の移動方向に垂直な第一方向に沿って浮動することができる浮動端(不図示)を有する。取付フレーム51は、該浮動端に固定接続され、グリッパ52を浮動端と共に第一方向に沿って浮動させることができる。各部材(例えば、支持フレーム40)の加工及び組付の誤差により、各グリッパ52と上蓋10及び下蓋20は、第一方向において完全には揃わなくなり、グリッパ52が上蓋10と下蓋20を締め付けることができなくなる。本実施例において、浮動構造の設置により、駆動部材53の駆動下でグリッパ52が収容位置内の上蓋10と下蓋20に向かって移動するプロセスにおいて、グリッパ52は、上蓋10及び下蓋20に接触して生じる作用力の作用下で適応するように第一方向に沿って浮動して、上蓋10と下蓋20をグリッパ52内に入れて、グリッパ52に締め付けられることを確保する。
【0033】
更に、第一方向に沿って横ステー41を貫通するガイドホールがそれぞれの横ステー41に設けられる。それぞれの浮動構造は、ガイド柱55、弾性部材56及びストッパ57を含む。ガイド柱55は、対応するガイドホールを貫通して設けられ、且つガイド柱55の一端を浮動端とし、取付フレーム51に固定接続されて、取付フレーム51をガイド柱55と共にガイドホール(即ち、第一方向)に沿って移動させる。ガイド柱55の他端は、ストッパ57に伝導接続され、弾性部材56は、ストッパ57と横ステー41の間に当接して、グリッパ52がガイド柱55と共に第一方向に沿って移動する時、弾性部材56は、グリッパ52を駆動して復帰する回復力を提供する。任意で、弾性部材56は、バネであってもよい。
【0034】
具体的には、
図5及び
図6に示す実施例において、グリッパ52が高めである時、グリッパ52が上蓋10と下蓋20を締め付けるプロセスにおいて、下向きに浮動して(弾性部材56を縮めて)、上蓋10と下蓋20をグリッパ52内に入れて把持される。グリッパ52が低めである時、グリッパ52が上蓋10と下蓋20を締め付けるプロセスにおいて、上向きに浮動して(弾性部材56が伸びて)、上蓋10と下蓋20をグリッパ52内に入れて把持される。
【0035】
説明が必要なこととして、それぞれの浮動構造は、複数(即ち、二つ以上)のガイド柱55と複数(即ち、二つ以上)の弾性部材56を含んでもよく、浮動構造の安定性と信頼性を向上させるのに有利である。
【0036】
いくつかの実施例において、それぞれのグリッパアセンブリ50は、摺動板54を更に含み、グリッパ52は、摺動板54に固定接続される。該摺動板54にスライドレール541が設けられる。取付フレーム51にスライダー511が設けられ、スライダー511は、スライドレール541に摺動結合されて、スライドレール541とスライダー511によって取付フレーム51に対する摺動板54の移動をガイドして、グリッパ52を収容位置に向かって近づける、又は離れるように移動するのを実現する。
【0037】
更に、それぞれのグリッパアセンブリ50の駆動部材53は、対応する摺動板54に固定取付され、且つ該駆動部材53の駆動端は、取付フレーム51に接続され、摺動板54を駆動して取付フレーム51に対して移動して、摺動板54上のグリッパ52を駆動して収容位置に向かって近づける、又は離れるように移動させる。
【0038】
更に、それぞれのグリッパアセンブリ50の摺動板54に複数(即ち、二つ以上)のグリッパ52が固定接続される。好ましくは、それぞれのグリッパアセンブリ50の摺動板54に二つのグリッパ52が固定接続され、二つのグリッパ52が駆動部材53の両側に対称的に配置されて、上蓋10と下蓋20を締め付けるプロセスにおいて、グリッパアセンブリ50が受ける力をより平均させて、動作がより安定し信頼できる。
【0039】
具体的な実施例において、上蓋10と下蓋20のグリッパ52に対応する位置に耐摩耗性ガスケット23(
図4参照)が設けられ、グリッパ52が上蓋10と下蓋20を締め付ける時に、上蓋10と下蓋20に直接接触せず、対応する耐摩耗性ガスケット23に接触して、上蓋10と下蓋20の摩耗を回避して、使用寿命を向上させる。
【0040】
具体的には、
図3から
図6に示す実施例において、上蓋10と下蓋20の形状は矩形であり、横ステー41を四つ含み、上蓋10と下蓋20を収容するために、四つの横ステー41は、矩形を呈する収容位置を囲んで形成する。四つの横ステー41上のグリッパアセンブリ50は、上蓋10と下蓋20の四辺をそれぞれ締め付けるのに用いられる。更に、各横ステー41のいずれにも二つのグリッパアセンブリ50が取り付けられる。
【0041】
説明が必要なこととして、静置装置は、下蓋20を収容位置に搬送し、収容位置内の上蓋10に嵌合させるための下蓋搬送機構を更に含む。このように、まず、注液後の電池を下蓋20の固定位置に取り付ける。次に、下蓋搬送機構は、該下蓋20を収容位置に搬送し、収容位置内の上蓋10に嵌合させる。それから、各グリッパアセンブリ50の駆動部材53は、グリッパ52を駆動して上蓋10と下蓋20を締め付ける。具体的には、該下蓋搬送機構は、マニピュレータ等であってもよいが、ここでは限定しない。
【0042】
理解できることとして、当業者は、本願の技術案及び発明構想に基づいて置換又は変更することができ、これらの変更又は置換は、いずれも本願の請求項の保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0043】
10:上蓋
20:下蓋
21:シール溝
22:ガス通孔
23:耐摩耗性ガスケット
30:弾性シールリング
31:凹溝
32:密封端
33:変形端
331:弾性部
40:支持フレーム
41:横ステー
50:グリッパアセンブリ
51:取付フレーム
511:スライダー
52:グリッパ
53:駆動部材
54:摺動板
541:スライドレール
55:ガイド柱
56:弾性部材
57:ストッパ
a:収納室