(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】エレベータ制御装置、エレベータ制御システムおよびエレベータ制御方法
(51)【国際特許分類】
B66B 1/06 20060101AFI20240227BHJP
B66B 5/00 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
B66B1/06 E
B66B1/06 F
B66B5/00 G
(21)【出願番号】P 2023126227
(22)【出願日】2023-08-02
【審査請求日】2023-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅野 豊明
(72)【発明者】
【氏名】曽根 祐輝
(72)【発明者】
【氏名】千葉 貴博
(72)【発明者】
【氏名】玉置 伸
(72)【発明者】
【氏名】西田 岳人
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-220076(JP,A)
【文献】国際公開第2020/016925(WO,A1)
【文献】特開平5-286653(JP,A)
【文献】特開昭62-230572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00-1/52
B66B 5/00-5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗りかごに自律的に移動可能な自律移動体が乗車可能なエレベータを制御するエレベータ制御装置と、前記自律移動体と、前記エレベータ制御装置とネットワークで接続され、前記乗りかごの昇降を制御する昇降機用サーバと、前記自律移動体と前記昇降機用サーバとにネットワークで接続される自律移動体用サーバと、を備えるエレベータ制御システムにおける前記エレベータ制御装置であって、
前記自律移動体を乗車した状態での前記乗りかごの運転が可能な自律移動体運転を実行する自律移動体運転制御部と、
前記自律移動体運転を実行中に、前記乗りかごがいずれかの階に着床して戸開し、かつ、前記階の乗り場で乗車待ちの前記自律移動体が存在する場合に、前記戸開から戸閉までの時間より短い第1の時間内に、前記乗り場の自律移動体が移動したか否かを判断する移動判断部と、
前記戸開から前記第1の時間内に、前記乗り場の前記自律移動体が移動しない場合には、前記エレベータが正常に運行可能か否か診断する自動診断運転を実行する自動診断運転制御部と、を備え、
前記自律移動体運転制御部は、前記エレベータが正常に運行可能であると判断された場合に、前記乗り場の自律移動体が故障していると判断し、前記自律移動体運転を停止する、
エレベータ制御装置。
【請求項2】
前記戸開から前記第1の時間内に、前記乗り場の前記自律移動体が移動しない場合には、前記昇降機用サーバを介して前記自律移動体用サーバに、前記自律移動体の乗込ができない旨を送信する送信部、
をさらに備える請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項3】
前記送信部は、さらに、前記エレベータが正常に運行可能であると判断された場合に、管制室に、前記自律移動体用サーバに前記自律移動体が異常であることを連絡する旨の指示を送信する、
請求項2に記載のエレベータ制御装置。
【請求項4】
前記移動判断部は、さらに、前記自律移動体運転の実行中に、前記自律移動体が乗車している前記乗りかごがいずれかの階に着床して戸開した場合に、前記戸開から戸閉までの時間より短い第2の時間内に、前記乗りかご内の自律移動体が移動したか否かを判断し、
前記送信部は、前記第2の時間内に、前記乗りかご内の自律移動体が移動しない場合に、前記自律移動体を手動で降車させる指示を管制室に送信し、
前記自動診断運転制御部は、前記自律移動体が降車した後に、前記自動診断運転を実行し、
前記自律移動体運転制御部は、前記エレベータが正常に運行可能であると判断された場合に、前記乗り場の自律移動体が故障していると判断し、前記自律移動体運転を停止する、
請求項3に記載のエレベータ制御装置。
【請求項5】
前記送信部は、さらに、前記戸開から前記第2の時間内に、前記乗りかご内の前記自律移動体が移動しない場合には、前記昇降機用サーバを介して前記自律移動体用サーバに、前記自律移動体運転ができない旨を送信する、
をさらに備える請求項4に記載のエレベータ制御装置。
【請求項6】
前記送信部は、さらに、前記エレベータが正常に運行可能であると判断された場合に、前記管制室に、前記自律移動体用サーバに前記自律移動体が異常であることを連絡する旨の指示を送信する、
請求項5に記載のエレベータ制御装置。
【請求項7】
乗りかごに自律的に移動可能な自律移動体が乗車可能なエレベータを制御するエレベータ制御装置と、前記自律移動体と、前記エレベータ制御装置とネットワークで接続され、前記乗りかごの昇降を制御する昇降機用サーバと、前記自律移動体と前記昇降機用サーバとにネットワークで接続される自律移動体用サーバと、を備えるエレベータ制御システムであって、
前記自律移動体を乗車した状態での前記乗りかごの運転が可能な自律移動体運転を実行する自律移動体運転制御部と、
前記自律移動体運転を実行中に、前記乗りかごがいずれかの階に着床して戸開し、かつ、前記階の乗り場で乗車待ちの前記自律移動体が存在する場合に、前記戸開から戸閉までの時間より短い第1の時間内に、前記乗り場の自律移動体が移動したか否かを判断する移動判断部と、
前記戸開から前記第1の時間内に、前記乗り場の前記自律移動体が移動しない場合には、前記エレベータが正常に運行可能か否か診断する自動診断運転を実行する自動診断運転制御部と、を備え、
前記自律移動体運転制御部は、前記エレベータが正常に運行可能であると判断された場合に、前記乗り場の自律移動体が故障していると判断し、前記自律移動体運転を停止する、
エレベータ制御システム。
【請求項8】
前記エレベータ制御装置は、
前記戸開から前記第1の時間内に、前記乗り場の前記自律移動体が移動しない場合には、前記昇降機用サーバに、前記自律移動体の乗込ができない旨を送信する送信部、をさらに備え、
前記昇降機用サーバは、前記エレベータ制御装置から前記自律移動体の乗込ができない旨を受信した場合、前記自律移動体の乗込ができない旨を前記自律移動体用サーバに送信し、
前記自律移動体用サーバは、前記昇降機用サーバから前記自律移動体の乗込ができない旨を受信した場合に、前記乗り場の自律移動体に対して、乗り場待機の指示を送信し、
前記自律移動体は、前記自律移動体用サーバから前記乗り場待機の指示を受信した場合には、運転を停止して前記乗り場で待機する、
請求項7に記載のエレベータ制御システム。
【請求項9】
前記送信部は、さらに、前記エレベータが正常に運行可能であると判断された場合に、管制室に、前記自律移動体用サーバに前記自律移動体が異常であることを連絡する旨の指示を送信し、
前記自律移動体用サーバは、さらに、前記管制室から、前記自律移動体が異常である旨を受信した場合に、前記乗り場の自律移動体に対して、運転停止の指示を送信し、
前記自律移動体は、さらに、前記自律移動体用サーバから前記運転停止の指示を受信した場合には、運転を停止する、
請求項8に記載のエレベータ制御システム。
【請求項10】
前記移動判断部は、さらに、前記自律移動体運転の実行中に、前記自律移動体が乗車している前記乗りかごがいずれかの階に着床して戸開した場合に、前記戸開から戸閉までの時間より短い第2の時間内に、前記乗りかご内の自律移動体が移動したか否かを判断し、
前記送信部は、前記第2の時間内に、前記乗りかご内の自律移動体が移動しない場合に、前記自律移動体を手動で降車させる指示を管制室に送信し、
前記自動診断運転制御部は、前記自律移動体が降車した後に、前記自動診断運転を実行し、
前記自律移動体運転制御部は、前記エレベータが正常に運行可能であると判断された場合に、前記乗り場の自律移動体が故障していると判断し、前記自律移動体運転を停止する、
請求項9に記載のエレベータ制御システム。
【請求項11】
前記送信部は、さらに、前記戸開から前記第2の時間内に前記乗りかご内の前記自律移動体が移動しない場合には、前記自律移動体運転できない旨を前記昇降機用サーバに送信し、
前記昇降機用サーバは、さらに、前記エレベータ制御装置から前記自律移動体運転できない旨を受信した場合に、前記自律移動体運転できない旨を前記自律移動体用サーバに送信し、
前記自律移動体用サーバは、さらに、前記昇降機用サーバから前記自律移動体運転できない旨を受信した場合に、前記乗り場の自律移動体に対して、運転停止の指示を送信し、
前記自律移動体は、前記自律移動体用サーバから、前記運転停止の指示を受信した場合、運転を停止する、
請求項10に記載のエレベータ制御システム。
【請求項12】
前記送信部は、さらに、前記エレベータが正常に運行可能であると判断された場合に、前記管制室に、前記自律移動体が異常であることを前記自律移動体用サーバに連絡する旨の指示を送信し、
前記自律移動体用サーバは、さらに、前記管制室から前記自律移動体が異常である旨を受信した場合に、前記乗り場の自律移動体に対して、運転停止の指示を送信し、
前記自律移動体は、さらに、前記自律移動体用サーバから、前記運転停止の指示を受信した場合、運転を停止する、
請求項11に記載のエレベータ制御システム。
【請求項13】
乗りかごに自律的に移動可能な自律移動体が乗車可能なエレベータを制御するエレベータ制御装置と、前記自律移動体と、前記エレベータ制御装置とネットワークで接続され、前記乗りかごの昇降を制御する昇降機用サーバと、前記自律移動体と前記昇降機用サーバとにネットワークで接続される自律移動体用サーバと、を備えるエレベータ制御システムで実行されるエレベータ制御方法であって、
前記自律移動体を乗車した状態での前記乗りかごの運転が可能な自律移動体運転を実行するステップと、
前記自律移動体運転を実行中に、前記乗りかごがいずれかの階に着床して戸開し、かつ、前記階の乗り場で乗車待ちの前記自律移動体が存在する場合に、前記戸開から戸閉までの時間より短い第1の時間内に、前記乗り場の自律移動体が移動したか否かを判断するステップと、
前記戸開から前記第1の時間内に、前記乗り場の前記自律移動体が移動しない場合には、前記エレベータが正常に運行可能か否か診断する自動診断運転を実行するステップと、
前記エレベータが正常に運行可能であると判断された場合に、前記乗り場の自律移動体が故障していると判断し、前記自律移動体運転を停止するステップと、
を含むエレベータ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータ制御装置、エレベータ制御システムおよびエレベータ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のエレベータ制御システムにおいては、ロボット等の自律移動体をエレベータの乗りかごに乗車させて各種作業を実行させて目的階に移動する等の自律移動体運転を行っている。ここで、エレベータ自体、または自律移動体自体、あるいは自律移動体と当該自律移動体を制御する自律移動体用サーバとの間、もしくは、当該自律移動体用サーバとエレベータの昇降を制御する昇降機用サーバとの間のいずれかで異常が発生した場合、自律移動体がエレベータを使用した目的階への移動ができなくなる。
【0003】
このような問題を解決するため、従来から、エレベータの乗りかごの扉を開放してからの経過時間が所定の設定時間内に、乗りかご内への無人搬送車の乗車が完了しなかった場合に、乗りかごの扉を閉じ、無人搬送車専用運転モードを解除して通常運転モードに入る技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、乗りかご内で自律移動体に異常が発生し動作ができなくなった場合に、自律移動体の異常情報に基づいて異常を判定し、判定した異常情報に基づいて自律移動体を回収する回収階を決定する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平5-286653号公報
【文献】特許第6930637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来技術では、自律移動体の乗りかごへの乗り込みを長時間待ってから判断しているため、ビル全体の運転効率が低下してしまう。また、異常の原因がエレベータと自律移動体のどちらにあるのかが不明である。
【0006】
実施形態の課題の一つは、異常が発生した場合に、エレベータと自律移動体のいずれに問題があったのかを早期に判断することができ、エレベータおよびエレベータが設置されたビル全体の運用効率を向上させることができるエレベータ制御装置、エレベータ制御システムおよびエレベータ制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態のエレベータ制御装置は、乗りかごに自律的に移動可能な自律移動体が乗車可能なエレベータを制御するエレベータ制御装置と、前記自律移動体と、前記エレベータ制御装置とネットワークで接続され、前記乗りかごの昇降を制御する昇降機用サーバと、前記自律移動体と前記昇降機用サーバとにネットワークで接続される自律移動体用サーバと、を備えるエレベータ制御システムにおける前記エレベータ制御装置であって、前記自律移動体を乗車した状態での前記乗りかごの運転が可能な自律移動体運転を実行する自律移動体運転制御部と、前記自律移動体運転を実行中に、前記乗りかごがいずれかの階に着床して戸開し、かつ、前記階の乗り場で乗車待ちの前記自律移動体が存在する場合に、前記戸開から戸閉までの時間より短い第1の時間内に、前記乗り場の自律移動体が移動したか否かを判断する移動判断部と、前記戸開から前記第1の時間内に、前記乗り場の前記自律移動体が移動しない場合には、前記エレベータが正常に運行可能か否か診断する自動診断運転を実行する自動診断運転制御部と、を備え、前記自律移動体運転制御部は、前記エレベータが正常に運行可能であると判断された場合に、前記乗り場の自律移動体が故障していると判断し、前記自律移動体運転を停止する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態にかかるエレベータ制御システムの全体構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態にかかる制御盤の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態にかかるロボット管理DBのデータ構造の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態にかかるコントローラの機能的構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態にかかる昇降機クラウド内のサーバの機能的構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、実施形態にかかるロボットクラウド内のサーバの機能的構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、実施形態にかかるロボットの機能的構成の一例を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、実施形態にかかる乗車時のエレベータ制御処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図9】
図9は、実施形態にかかる乗車時のエレベータ制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施形態にかかる乗車時のエレベータ制御処理の手順(続き)の一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、実施形態にかかる降車時のエレベータ制御処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図12】
図12は、実施形態にかかる降車時のエレベータ制御処理の流れ(続き)の一例を示すシーケンス図である。
【
図13】
図13は、実施形態にかかる降車時のエレベータ制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、実施形態にかかる降車時のエレベータ制御処理の手順(続き)の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本実施形態にかかるエレベータ制御システム1の全体構成の一例を示す図である。本実施形態のエレベータ制御システム1は、
図1に示すように、エレベータ2A,2Bごとに設けられる制御盤100A,100Bと、エレベータ2A,2Bごとに設けられるコントローラ150A、150Bと、管制室160と、昇降機クラウド200内のサーバ210と、ロボットクラウド300内のサーバ310と、監視センター400と、を主に備えている。
【0010】
本実施形態では、オフィスビルやマンションビル等のビル3に、二つのエレベータ2A、2Bが設置されている。エレベータ2A,2Bのそれぞれは、各昇降路20A,20B内に乗りかご50A,50Bを備える。この他、各昇降路20A,20B内には、不図示の巻上機およびカウンターウェイトを備える。乗りかご50A,50Bとカウンターウェイトは、それぞれに昇降路20A,20B内に立設された不図示の一対のガイドレールに昇降自在に支持されており、ロープを介して昇降動作する。
【0011】
乗りかご50A,50Bには、利用者5Aの他、自律移動体としてのロボット500A、500Bも乗車可能となっている。
【0012】
乗りかご50A,50Bには、操作盤4A,4Bと、カメラ7A,7Bと、荷重センサ8A,8Bと、が設けられている。
操作盤4A,4Bは、利用者から各種操作を受け付けたり、乗りかご50に各種を報知を行うものである。操作盤4A,4Bには、行き先階の指定や乗りかご50A,50Bの扉を開閉するための押しボタンや非接触センサ、スピーカ、液晶表示部等(いずれも不図示)が設けられている。また、操作盤4A,4Bは、制御盤100A,100Bに有線または無線で接続されている。利用者5A,5Bからの行き先階押しボタンの押下や非接触センサによる検知により、行き先階呼びが制御盤100A,100Bに送出される。
【0013】
カメラ7A,7Bは、乗りかご50A,50B内部を撮影し、撮像画像を制御盤100A,100Bに送出する。また、乗り場において、乗りかご50A,50Bの扉が開いている場合には、カメラ7A,7Bは、乗り場を撮像可能となっており、撮像画像を制御盤100A,100Bに送出する。
【0014】
荷重センサ8A,8Bは、乗りかご50A,50Bの底面に設けられ、乗りかご50の重量を検知する。乗りかご50A,50B内に利用者5Aやロボット500A,500Bが乗車している場合には、荷重センサ8A,8Bは、乗りかご50自体の重量の他、乗車している利用者5Aの体重、ロボット500A,500Bの重量も加算されて検知する。荷重センサ8A,8Bは、検知した重量を検知信号として制御盤100A,100Bに送出する。
【0015】
昇降路20A,20Bのそれぞれの内部には、制御盤100A,100Bとコントローラ150A,150Bとが設けられる。制御盤100A、100Bは、乗りかご50A、50Bに設けられた操作盤4A,4Bと無線または有線で接続される。
【0016】
制御盤100A、100Bのそれぞれは、エレベータ2A,2B内の乗りかご50A,50Bの運行を制御する。制御盤100A,100Bのそれぞれは、コントローラ150A,150Bのそれぞれに、有線または無線で接続されている。
【0017】
コントローラ150A,150Bのそれぞれは、ネットワークで昇降機クラウド200内のサーバ210に接続される。コントローラ150A,150Bは、制御盤100A,100Bとサーバ210との間の通信を制御し、制御盤100A,100Bとサーバ210との間でやり取りされる各種信号を仲介するためのインターフェース機能およびハブ機能を備えた仲介装置である。制御盤100A、100Bおよびコントローラ150A,150Bの詳細については後述する。
【0018】
管制室160には、ビル3の管理人が在席し、制御盤100A,100Bに対する各種指示を与える。また、管制室160の管理人は、PCや端末装置を介して、制御盤100A,100Bからメール等により各種指示を受信する。
【0019】
昇降機クラウド200内のサーバ210は、エレベータ2A,2Bの乗りかご50A,50Bに対する各種制御をコントローラ150A,150Bを介して制御盤100A,100Bに指示したり、制御盤100A,100Bからの各種要求や各種データをコントローラ150A,150Bを介して受信する。昇降機クラウド200内のサーバ210は、ネットワークで監視センター400(社内サーバ)とロボットクラウド300のサーバ310とに接続される。
【0020】
監視センター400には、不図示の社内サーバが設置されている。社内サーバは、エレベータ11の関連会社内に設置されるサーバであり、エレベータ2の保守管理や遠隔監視に必要な情報を、エレベータ2A,2Bより収集している。これによれば、エレベータ2A,2Bに不具合が発生した場合に、保守員は、監視センター400の社内サーバに収集された保守管理に必要な情報を参照して、当該発生した不具合に対応することが可能である。また、昇降機クラウド200を通じて機能やサービスが実行される際、必要に応じて監視センター400の社内サーバにアクセスして建物やエレベータ情報を参照したり、保守員がエレベータの管理に必要な情報を取得したりすることが可能である。
【0021】
ロボットクラウド300のサーバ310は、昇降機クラウド200のサーバ210から各種要求や各種データを受信する。ロボットクラウド300のサーバ310は、ネットワークで、ビル3内の複数のロボット500A,500B、500Cと接続されており、複数のロボット500A,500B、500Cのそれぞれに対して各種指示を送信する。
昇降機クラウド200のサーバ210、ロボットクラウド300のサーバ310の詳細については後述する。
【0022】
なお、エレベータの数は二つに限定されるものではなく、ビル3内に一つ、あるいは三つ以上設けられていてもよい。このため、昇降路20A、20B、乗りかご50A,50B、制御盤100A、100B、コントローラ150A,150Bの数もエレベータ2A,2Bの数に応じて変わってくる。ここで、二つのエレベータ2A,2B、二つの昇降路20A、20B、二つの乗りかご50A,50B、二つの制御盤100A,100B、二つのコントローラ150A,150Bのそれぞれを区別しない場合には、エレベータ2、昇降路20、乗りかご50、制御盤100、コントローラ150と称する。操作盤4A,4B、カメラ7A,7B、荷重センサ8A,8Bのそれぞれを区別しない場合には、操作盤4、カメラ7、荷重センサ8と称する。
【0023】
次に制御盤100について説明する。
図2は、実施形態にかかる制御盤100の機能的構成の一例を示すブロック図である。制御盤100は、エレベータ制御装置の一例である。
制御盤100は、一般的なコンピュータの構成であり、
図2に示すように、制御部120と、通信部102と、記憶部110と、を主に備えている。
【0024】
また、制御盤100は、
図2に示すように、火災センサ103と地震計104と荷重センサ8とカメラ7と、に有線または無線で接続されている。火災センサ103と地震計104は、例えば、乗りかご50内や昇降路20A,20B内に設けられている。荷重センサ8(8A,8B)は上述したとおり乗りかご50に設けられている。カメラ7は、乗りかご50の天井付近に乗りかご50内、および乗りかご50の扉が開いた状態では乗り場を撮像可能に設けられている。
【0025】
火災センサ103は、エレベータ2での火災の発生を検知し、検知信号を制御部120に送出する。地震計104は、地震の発生を検知し、検知信号を制御部120に送出する。ここで、火災発生の旨の検知信号は、火災管制信号とも称される。また、地震発生の旨の検知信号は、地震管制信号とも称される。
【0026】
記憶部110は、例えばROMやRAMなどの記憶媒体(すなわち、メモリデバイス)である。記憶部110には、ロボット管理データベース111(これ以降、「ロボット管理DB111」と称する)と、運行制御プログラム112と、ロボット運転制御プログラム115と、自動診断運転プログラム116と、が記憶されている。
また、記憶部110には、乗りかご50自体の重量と、乗りかご50にロボット500が乗車した状態での乗りかご50の重量を記憶している。
【0027】
ロボット管理DB111は、エレベータ2を利用するロボット500を管理するためのデータベースである。ロボット管理DB111は、ロボットIDと、重量と、乗車状態と、を対応付けたデータベースである。ここで、ロボットIDは、ロボット500を識別するための情報である。重量は、ロボットIDのロボット500の重量である。乗車状態は、ロボットIDのロボット500が現在、乗りかご50に乗車中か否かを示す情報である。
【0028】
図3は、実施形態にかかるロボット管理DB111のデータ構造の一例を示す図である。
図3の例では、ロボットID「A001」のロボット500が乗りかご50に乗車中であり、ロボット500の重量が「xxkg」であることを示している。また、ロボットID「A002」のロボット500が乗りかご50に乗車していない(例えば、乗り場にいる等)であり、その重量が「yykg」でることを示している。
【0029】
なお、このロボット500の重量は、移動判断部127の判断においてが必要となる場合があるため、ロボットクラウド300のサーバ310から昇降機クラウド200のサーバ210、コントローラ150を介して、あるいは直接、ロボット500から、ロボット500の重量を予めダウンロードしておき、ロボット管理DB111に登録しておく。また、ロボット500の重量の他、ロボット500に関する他の情報を同様にダウンロードし、ロボット管理DB111に登録するように制御盤100を構成してもよい。
【0030】
ロボット管理DB111には、一定時間ごと、あるいは乗車状態が変化したタイミングで、ロボット500が自己の状態をロボットIDとともにロボットクラウド300内のサーバ310に通知する。そして、通知を受けたロボットクラウド300内のサーバ310から、昇降機クラウド200のサーバ210、コントローラ150を介して制御盤100に、ロボットIDと現在の乗車状態とが通知され、制御部120がロボット管理DB111における対応するロボットIDのレコードに登録している。
【0031】
図2に戻り、運行制御プログラム112は、エレベータ2の運行制御に必要な主要機能を実現するプログラムである。ここで主要機能としては、例えば、巻上機を駆動制御する機能、乗りかご50の速度制御などを行う安全機能、乗りかご50の戸開閉を制御する機能、乗りかご50の照明を制御する機能、乗場呼びや行き先階呼び(かご呼びとも称される)を登録する機能、などが含まれる。
【0032】
ロボット運転制御プログラム115は、ロボット運転制御、すなわち、エレベータ2をロボット500が利用する場合のエレベータ2の運行制御を実現する機能である。ロボット運転とは、ロボット専用運転あるいはロボット非専用運転のいずれかの運転条件で、ロボット500を載せて運転している状況を示す。ロボット専用運転は、乗りかご50内にロボット500のみが乗車して行う運転である。ロボット非専用運転は、乗りかご50内にロボット500と利用者5とが同乗して行う運転である。ロボット運転制御プログラム115は、ロボット専用運転の制御とロボット非専用運転の制御と実現可能に構成されている。
【0033】
自動診断運転プログラム116は、エレベータ2が正常に運行可能か否か診断する自動診断運転を実現するプログラムである。
【0034】
制御部120は、ハードウェアプロセッサ(CPU)からなる。制御部120は、
図2に示すように、運行制御部121と、ロボット運転制御部122と、自動診断運転制御部125と、移動判断部127と、を主に備えている。
【0035】
制御部120は、記憶部110から、運行制御プログラム112、ロボット運転制御プログラム115、自動診断運転プログラム116のそれぞれのプログラムを読み出して実行することにより、運行制御部121、ロボット運転制御部122、自動診断運転制御部125および移動判断部127が主記憶上に生成される。
【0036】
運行制御部121は、エレベータ2の運行制御に必要な主要機能として、例えば、巻上機を駆動制御する機能、乗りかご50の速度制御などを行う安全機能、乗りかご50の戸開閉を制御する機能、乗りかご50の照明を制御する機能、乗場呼びや行き先階呼びを登録する機能を実行する。
【0037】
ロボット運転制御部122は、エレベータ2をロボット500が利用する場合のエレベータ2の運行制御を実現する機能を実行する。具体的には、ロボット運転制御部122は、乗りかご50内にロボット500のみが乗車して運転を行うロボット専用運転の制御と、乗りかご50内にロボット500と利用者5とが同乗して運転可能なロボット非専用運転の制御を実行する。ロボット運転制御部122は、ロボット専用運転を実行したか、ロボット非専用運転を実行したかを、記憶部110に保存しておく。
【0038】
なお、ビル3内にはロボット専用運転のエレベータ2とロボット非専用運転のエレベータ2とが混在して設けられていても良い。
【0039】
移動判断部127は、ロボット専用運転またはロボット非専用運転のいずれかのロボット運転実行中に、乗りかご50がいずれかの階に着床して乗りかご50の扉が開き、かつ、当該階の乗り場で乗車待ちのロボット500が存在する場合に、乗りかご50の扉が開いてから扉が閉まるまでの予め定められた設定時間より短い第1の時間内に、乗り場のロボット500が移動したか否かを判断する。
【0040】
具体的には、移動判断部127は、カメラ7からの乗り場の撮像画像を解析して、ロボット500が移動したか否か、すなわち乗りかご50に乗車しようとしているか否かを判断する。ここで、これ以降、扉が開くことを「戸開」と称し、扉が閉まることを「戸閉」と称する。
【0041】
移動判断部127は、さらに、ロボット専用運転またはロボット非専用運転のいずれかのロボット運転の実行中に、ロボット500が乗車している乗りかご50がいずれかの階に着床して戸開した場合に、上記設定時間より短い第2の時間内に、乗りかご50内のロボット500が移動したか否かを判断する。
【0042】
具体的には、移動判断部127は、カメラ7からの乗りかご50内の撮像画像を解析して、ロボット500が移動したか否か、すなわち乗りかご50から降車しようとしているか否かを判断する。
【0043】
ここで、設定時間は、任意に定めることができ、例えば3分等とすることができる。第1の時間は、設定時間より短ければ任意に定めることができ、例えば、15秒間等とすることができる。第2の時間は、設定時間より短ければ任意に定めることができ、例えば、5秒間等とすることができる。設定時間、第1の時間および第2の時間の値は、これに限定されるものではない。設定時間、第1の時間および第2の時間は、制御盤100あるいは昇降機クラウド200のサーバ210によって可変とすることが可能である。
【0044】
なお、荷重センサ8で検知された乗りかご50の重量が、記憶部110に記憶されているロボット500の重量分だけ増加した場合に、ロボット500が移動して乗りかご50に乗車したと判断するように移動判断部127を構成してもよい。また、荷重センサ8で検知された乗りかご50の重量が、記憶部110に記憶されているロボット500の重量分だけ減少した場合に、ロボット500が移動して乗りかご50から降車したと判断するように移動判断部127を構成してもよい。
【0045】
また、ロボット500Aに設けられたカメラ506(
図7参照)から撮像画像としての連続する静止画像あるいは動画像を取得し、取得した撮像画像を解析して、ロボット500が移動して乗りかご50に乗車しようとしているか否か、あるいは移動して乗りかご50から降車しようとしているか否かを判断するように、移動判断部127を構成してもよい。
【0046】
自動診断運転制御部125は、エレベータ2が正常に運行可能か否か診断する自動診断運転の制御を行う。ここで、診断項目には、巻上機ブレーキの診断、各階の扉の開閉の診断、定格速度の診断、床と乗り場のレベル差の診断、中間階での速度検知、速度パターン通りの速度か加速度が生じているかの診断、乗りかご50内のインターホンの動作の診断、照明の診断、荷重センサ8の診断等がある。
【0047】
本実施形態では、自動診断運転制御部125は、ロボット500の乗りかご50への乗車時において、移動判断部127により戸開から第1の時間内に、乗り場のロボット500が移動しないと判断された場合であって、かつ、当該判断の後、エレベータ2が全サービスを終了した後に、自動診断運転を実行する。
【0048】
自動診断運転制御部125は、ロボット500の乗りかご50からの降車時において、移動判断部127により戸開から第2の時間内に、乗りかご50内のロボット500が移動しないと判断された場合であって、ロボット500が管理人により手動で乗りかご50から降車され、手動で戸閉された後に、自動診断運転を実行する。
【0049】
ロボット運転制御部122は、乗車時および降車時おいて、自動診断運転制御部125によりエレベータ2が正常に運行可能であると判断された場合に、乗り場のロボット500が故障して移動できないと判断し、ロボット運転を停止する。一方、ロボット運転制御部122は、乗車時および降車時おいて、自動診断運転制御部125によりエレベータ2が正常に運行可能でないと判断された場合には、ロボット500には異常がないと判断する。
【0050】
ここで、ロボット500側の故障としては、例えば、ロボット500の乗りかご50への乗車直前または乗りかご50からの降車直前に、乗り場または乗りかご50の扉またはその近傍に ロボット500がぶつかるまたはこすれたりして、ロボット500本体が破損する場合が挙げられる。また、ロボット500本体の側面や各種センサ505またはロボット500の移動ローラがぶつかったりして破損する場合が挙げられる。
【0051】
一方、エレベータ2側の故障としては、例えば、ロボット500自体には故障はないが、乗りかご50の扉とぶつかったり、こすれたりして扉側に故障が発生する場合が上げられる。
なお、これらは故障の一例であり、これらに限定されるものではない。
【0052】
通信部102は、所定の通信プロトコルを有する通信デバイスからなり、制御盤100とコントローラ150との間の通信処理を行う。また、通信部102は、管制室160の管理人の携帯端末やPC等との間で各種指示や通知を送受信する。
【0053】
本実施形態では、通信部102は、ロボット500の乗りかご50への乗車時において、移動判断部127によって戸開から第1の時間内にロボット500が移動しないと判断された場合に、コントローラ150および昇降機クラウド200のサーバ210を介してロボットクラウド300のサーバ310に、当該ロボット500のロボットIDとともに、ロボット500の乗込ができない旨を送信する。具体的には、通信部102は、ロボットIDとともにロボット500の乗込ができない旨をコントローラ150に送信する。これにより、ロボット500の乗込ができない旨は、ロボットIDとともに、コントローラ150から昇降機クラウド200のサーバ210へ、昇降機クラウド200のサーバ210からロボットクラウド300のサーバ310へ通知される。
【0054】
また、本実施形態では、通信部102は、ロボット500の乗りかご50への乗車時において、自動診断運転制御部125によりエレベータ2が正常に運行可能であると判断された場合に、管制室160の管理人に、ロボットクラウド300のサーバ310に対して当該ロボット500のロボットIDとともに、ロボット500が異常であることを連絡する旨の指示を送信する。これにより、ロボット500が異常である旨は、ロボットIDとともに、管制室160の管理人からロボットクラウド300のサーバ310へ順に通知される。
【0055】
本実施形態では、通信部102は、ロボット500の乗りかご50からの降車時において、移動判断部127によって戸開から第2の時間内にロボット500が移動しないと判断された場合に、コントローラ150および昇降機クラウド200のサーバ210を介してロボットクラウド300のサーバ310に、当該ロボット500のロボットIDとともに、ロボット500がロボット運転できない旨を送信する。具体的には、通信部102は、ロボットIDとともにロボット500がロボット運転できない旨をコントローラ150に送信する。これにより、ロボット500がロボット運転できない旨は、ロボットIDとともに、コントローラ150から昇降機クラウド200のサーバ210へ、昇降機クラウド200のサーバ210からロボットクラウド300のサーバ310へ順に通知される。
【0056】
また、通信部102は、ロボット500の乗りかご50からの降車時において、戸開から第2の時間内に、乗りかご50内のロボット500が移動しない場合に、ロボット500を手動で降車させる指示を管制室160の管理人の携帯端末やPC等に送信する。
【0057】
また、本実施形態では、通信部102は、ロボット500の乗りかご50からの降車時において、自動診断運転制御部125によりエレベータ2が正常に運行可能であると判断された場合に、管制室160の管理人に、ロボットクラウド300のサーバ310対して当該ロボット500のロボットIDとともに、ロボット500が異常であることを連絡する旨の指示を送信する。これにより、ロボット500が異常である旨は、ロボットIDとともに、管制室160の管理人からロボットクラウド300のサーバ310へ通知される。
【0058】
次に、コントローラ150について説明する。
図4は、実施形態にかかるコントローラ150の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【0059】
コントローラ150は、
図4に示すように、一般的なコンピュータの構成として、制御部151と、通信部152と、記憶部155と、を主に備えている。
【0060】
制御部151は、ハードウェアプロセッサ(CPU)からなり、通信部152の動作を制御する。
記憶部155は、例えばROMやRAMなどの記憶媒体(すなわち、メモリデバイス)からなり、記憶部155には、制御盤100に記憶される運行制御プログラム112、ロボット運転制御プログラム115、自動診断運転プログラム116、およびこれらを更新するための更新プログラムなどが一時的に記憶される。
【0061】
通信部152は、所定の通信プロトコルを有する通信デバイスからなり、制御盤100とコントローラ40との間の通信処理や、コントローラ150と昇降機クラウド200内のサーバ210との間の通信処理を行う。例えば、通信部152は、制御盤100より送信された運転信号を受信すると、当該運転信号を昇降機クラウド200内のサーバ210に送信する。
【0062】
本実施形態では、通信部152は、制御盤100から、ロボットIDとともに、ロボット500が乗り込み不可の旨、ロボット500がロボット運転不可の旨、ロボット500に異常がある旨を受信する。そして、通信部152は、ロボット500が乗り込み不可の旨、ロボット500がロボット運転不可の旨、ロボット500に異常がある旨を受信した場合、ロボット500が乗り込み不可の旨、ロボット500がロボット運転不可の旨、ロボット500に異常がある旨を、ロボットIDとともにそのまま昇降機クラウド200のサーバ210に送信する。
【0063】
次に、昇降機クラウド200内のサーバ210について説明する。
図5は、実施形態にかかる昇降機クラウド200内のサーバ210の機能的構成の一例を示すブロック図である。サーバ210は、一般的なコンピュータの構成として、制御部211と、通信部212と、記憶部220と、を主に備える。
【0064】
記憶部220は、例えばROMやRAMなどの記憶媒体(メモリデバイス)である。記憶部220には、運行制御プログラム222、ロボット運転制御プログラム225、自動診断運転プログラム226が記憶される。
【0065】
運行制御プログラム222、ロボット運転制御プログラム225、および自動診断運転プログラム226は、制御盤100の記憶部110に保存されている各プログラムの更新プログラムである。なお、運行制御プログラム222、ロボット運転制御プログラム225および自動診断運転プログラム226のそれぞれは、ビル3、エレベータ2の号機ごとに異なるプログラムを準備しておいてもよい。
【0066】
通信部212は、所定の通信プロトコルを有する通信デバイスからなり、サーバ210とコントローラ150との間の通信処理や、サーバ210とロボットクラウド300内のサーバ310との間の通信処理を行う。
【0067】
本実施形態では、通信部212は、コントローラ150から、ロボットIDとともに、ロボット500が乗り込み不可の旨、ロボット500がロボット運転不可の旨、ロボット500に異常がある旨を受信する。そして、通信部212は、ロボット500が乗り込み不可の旨、ロボット500がロボット運転不可の旨、ロボット500に異常がある旨を受信した場合、ロボット500が乗り込み不可の旨、ロボット500がロボット運転不可の旨、ロボット500に異常がある旨を、ロボットIDとともにそのままロボットクラウド300のサーバ310に送信する。
【0068】
制御部211は、ハードウェアプロセッサ(CPU)からなる。制御部211は、運行制御プログラム222、ロボット運転制御プログラム225および自動診断運転プログラム226が更新された場合に、制御盤100にコントローラ150を介して送信する。制御部211は、ロボット運転制御プログラム225が更新された場合に、ロボットクラウド300内のサーバ310から更新されたロボット運転制御プログラム225を受信して記憶部220に保存する。
【0069】
次に、ロボットクラウド300内のサーバ310について説明する。
図6は、実施形態にかかるロボットクラウド300内のサーバ310の機能的構成の一例を示すブロック図である。
サーバ310は、一般的なコンピュータの構成として、制御部311と、通信部312と、記憶部320と、を主に備える。
【0070】
記憶部320は、例えばROMやRAMなどの記憶媒体(メモリデバイス)である。記憶部320には、ロボット基本プログラム321と、ロボット運転制御プログラム325と、が記憶されている。
【0071】
ロボット基本プログラム321は、ロボット500で、エレベータ2での動作を定めたプログラムである。例えば、ロボット基本プログラム321は、エレベータ2の清掃や点検等の処理が定められている。また、ロボット基本プログラム321においては、ロボット500が降車するための目的階がロボット500ごとに定められている。
【0072】
ロボット運転制御プログラム325は、昇降機クラウド200内のサーバ210に応じて、昇降機クラウド200内のサーバ210に送信するプログラムであり、上述した制御盤100の記憶部110、昇降機クラウド200内のサーバ210の記憶部220に記憶されたロボット運転制御プログラム115、225として保存されるものである。
【0073】
通信部312は、所定の通信プロトコルを有する通信デバイスからなり、サーバ310と昇降機クラウド200内のサーバ210との間の通信処理や、サーバ310とロボット500との間の通信処理を行う。
【0074】
本実施形態では、通信部312は、昇降機クラウド200内のサーバ210からロボットIDとともにロボット500が乗り込み不可の旨、ロボット500がロボット運転不可の旨、ロボット500に異常がある旨を受信する。そして、通信部312は、昇降機クラウド200内のサーバ210からロボット500が乗り込み不可の旨を受信した場合には、ロボットIDのロボット500に対して、乗り場待機の指示を送信する。通信部312は、昇降機クラウド200内のサーバ210からロボット500がロボット運転不可の旨またはロボット500が異常である旨を受信した場合には、ロボットIDのロボット500に対して運転停止の指示を送信する。
【0075】
制御部311は、ハードウェアプロセッサ(CPU)からなる。制御部311は、ロボット500に関するエレベータに関する各種処理の制御を行う。本実施形態では、制御部311は、昇降機クラウド200内のサーバ210からの要求により、記憶部320に保存されたロボット運転制御プログラム325を昇降機クラウド200内のサーバ210に送信する。また、制御部311は、ロボット運転制御プログラム325が更新された場合、ロボット運転制御プログラム325の更新プログラムを昇降機クラウド200内のサーバ210に送信する。
【0076】
制御部311は、ロボット500からの要求により、記憶部320に保存されたロボット基本プログラム321をロボット500に送信する。また、制御部311は、ロボット基本プログラム321が更新された場合、ロボット基本プログラム321の更新プログラムをロボット500に送信する。
【0077】
次に、ロボット500について説明する。
図7は、実施形態にかかるロボット500の機能的構成の一例を示すブロック図である。ロボット500は、
図7に示すように、カメラ506と、各種センサ505と、制御部501と、通信部502と、駆動部503と、記憶部510と、を主に備えている。
【0078】
カメラ506は、ロボット500の周囲を撮像し、撮像画像をロボットクラウド300のサーバ310に送信する。さらに撮像画像を制御盤100に送信するようにロボット500を構成してもよい。
【0079】
各種センサ505は、例えば、人感センサ、加速度センサ、荷重センサ等が該当するが、これらに限定されるものではない。
【0080】
記憶部510は、例えばROMやRAMなどの記憶媒体(メモリデバイス)である。記憶部510には、ロボット基本プログラム511が記憶される、ロボット基本プログラム511は、ロボットクラウド300内のサーバ310から受信して記憶部510に保存されたプログラムである。ロボット基本プログラム511には、サーバ310内のロボット基本プログラム321と同様に、エレベータ2での動作が定められている。ロボット基本プログラム511には、ロボット500が降車するための目的階が定められている。
【0081】
通信部502は、所定の通信プロトコルを有する通信デバイスからなり、ロボット500とロボットクラウド300内のサーバ310との間の通信処理を行う。
本実施形態では、通信部502は、ロボットクラウド300内のサーバ310から乗り場で待機の指示や運転停止の指示を受信する場合がある。
【0082】
駆動部503は、ロボット500の駆動を行って走行させる。
制御部501は、ハードウェアプロセッサ(CPU)からなる。制御部501は、エレベータ2の通常運行時には、記憶部510のロボット基本プログラム511を読み出して実行することより、エレベータ2での各種動作を実行する。
【0083】
本実施形態では、制御部501は、通信部502により、乗り場で待機の指示を受信した場合、および運転停止の指示を受信した場合、駆動部503の駆動を停止させることで、運転停止を実行する。
【0084】
なお、ロボット500の上記構成は一例であり、この他、スピーカ等の音声出力部やタッチパネル等の入力部をさらに備えていてもよい。
【0085】
次に、以上のように構成された本実施形態のエレベータ制御システム1の制御盤100によるエレベータ制御処理について説明する。
まず、乗車時におけるエレベータ制御処理について説明する。
図8は、実施形態にかかるエレベータ制御システム1による乗車時のエレベータ制御処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0086】
エレベータ2は稼働中であるものとする(S101)。また、制御盤100は、ロボット運転を実行中であるものとする(S102)。ここで、ロボット運転はロボット専用運転、ロボット非専用運転を問わない。
【0087】
次に、制御盤100は、乗車時のエレベータ制御処理を開始する(S103)。
図9、10は、実施形態にかかる制御盤100による乗車時のエレベータ制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0088】
乗りかご50がいずれかの階の階床に到着すると、制御盤100の運行制御部121は、戸開する(S201)。そして、制御盤100の移動判断部127は、乗り場の乗車しようとしているロボット500の移動の検知を開始する(S202)。また、運行制御部121は、戸開時間の計測を開始する(S203)。そして、移動判断部127は、戸開から第1の時間が経過したか否かを判断する(S204)。移動判断部127は、第1の時間が経過するまで待機する(S204:No)。
【0089】
戸開から第1の時間が経過したら(S204:Yes)、移動判断部127は、乗り場のロボット500が移動して乗車しようとしているか否かを判断する(S205)。ロボット500が移動していると判断した場合には(S205:Yes)、運行制御部121は、戸開を維持する(S206)。
【0090】
そして、移動判断部127は、ロボット500の乗りかご50内への移動(すなわち、乗車)の完了を判断する(S207)。ロボット500の乗りかご50内への移動がまだ完了していない間は(S207:No)、処理はS206へ戻り、戸開を維持した状態とする。
【0091】
一方、ロボット500の乗りかご50内への移動が完了した場合には(S207:Yes)、運行制御部121は戸閉する(S208)。そして、運行制御部121は、乗りかご50を移動させ(S209)、その後、処理は終了する。
【0092】
S205において、乗り場のロボット500の移動を検知しない場合には(S205:No、S104)、運行制御部121は、戸閉する(S210)。そして、ロボット運転制御部122は、ロボット運転を停止する(S211、S105)。次に、通信部102は、乗り場のロボット500のロボットIDとともに、ロボット500が乗り込み不可である旨の通知をコントローラ150に送信する(S212、S106)。
【0093】
コントローラ150は、制御盤100から、ロボットIDとともにロボット500が乗り込み不可である旨の通知を受信したら、ロボットIDとともにロボット500が乗り込み不可である旨の通知を、昇降機クラウド200のサーバ210に送信する(S107)。
【0094】
昇降機クラウド200のサーバ210は、コントローラ150からロボットIDとともにロボット500が乗り込み不可である旨の通知を受信したら、ロボットIDとともにロボット500が乗り込み不可である旨の通知を、ロボットクラウド300のサーバ310に送信する(S108)。
【0095】
ロボットクラウド300のサーバ310は、昇降機クラウド200のサーバ210からロボットIDとともにロボット500が乗り込み不可である旨の通知を受信したら、ロボットIDのロボット500に対して乗り場で待機の指示を送信する(S109)。
乗り場のロボット500は、ロボットクラウド300のサーバ310から乗り場で待機の指示を受信したら、移動せずに乗り場で待機する(S110)。
【0096】
次に、制御盤100では、S213で、運行制御部121は全ての運行サービスが終了したか否かを判断する(S213)。まだ全ての運行サービスが終了していない場合には(S213:No)、運行制御部121は、運行サービスを継続し(S214)、全ての運行サービスが終了待ちとなる。
【0097】
全ての運行サービスが終了したら(S213:Yes)、自動診断運転制御部125は、エレベータ2の自動診断を行う自動診断運転を実行する(S215、S111)。
自動診断運転制御部125は、自動診断が終了したら、自動診断の結果、エレベータ2に異常があるか否かを判断する(S216)。エレベータ2に異常があると判断された場合には(S216:Yes)、通信部102は、保守センターにエレベータ2に異常発生の通知を送信する(S217)。ここで、保守センターとしては、例えば、監視センター400等があげられるがこれに限定されるものではない。
【0098】
次に、運行制御部121は、乗りかご50を予め定められた基準階(主として、1階)に移動し(S218)、運行サービスを終了する(S219)。この後、処理は終了する。
【0099】
一方、S216でエレベータ2に異常は無いと判断された場合には(S216:No)、制御部120は、ロボット500に異常があると判断する(S112)。このため、通信部102は、管制室16の管理人の携帯端末やPC等にロボットクラウド300のサーバ310にロボット500の異常を連絡する旨の指示をロボットIDとともに送信する(S220、S113)。制御盤100での処理は、この後、終了する。
【0100】
管制室160の管理人は、制御盤100からロボットクラウド300のサーバ310に、連絡する旨を携帯端末やPC等で受信すると、ロボットクラウド300のサーバ310に、ロボットIDのロボット500が異常である旨の通知を送信する(S114)。
【0101】
ロボットクラウド300のサーバ310は、管理人からロボットIDのロボット500が異常である旨の通知を受信すると、ロボットIDの乗り場のロボット500に対してロボット運転停止の指示を送信する(S115)。ロボット500は、ロボットクラウド300のサーバ310からロボット運転停止の指示を受信すると、ロボット運転を停止する(S116)。
【0102】
次に、ロボットクラウド300のサーバ310は、ロボット会社にロボットIDのロボット500の復帰対応を指示する(S117)。当該指示を受けたロボット会社は、ロボットIDの乗り場のロボット500に対して復帰対応を行う(S118)。ロボットクラウド300のサーバ310は、ロボット会社から復帰対応完了の通知を受領すると(S119)、当該ロボット500に対して復帰指示を送信する(S120)。復帰指示を受信したロボット500はロボット運転を再開する(S121)。
【0103】
次に、降車時におけるエレベータ制御処理について説明する。
図11,12は、実施形態にかかるエレベータ制御システム1による降車時のエレベータ制御処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0104】
エレベータ2は稼働中であるものとする(S301)。また、制御盤100は、ロボット運転を実行中であるものとする(S302)。ここで、ロボット運転はロボット専用運転、ロボット非専用運転を問わない。
次に、制御盤100は、降車時のエレベータ制御処理を開始する(S303)。
【0105】
図13、14は、実施形態にかかる制御盤100による降車時のエレベータ制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
乗りかご50がいずれかの階の階床に到着すると、制御盤100の運行制御部121は、戸開する(S401)。そして、制御盤100の移動判断部127は、乗りかご50内で降車しようとしているロボット500の移動の検知を開始する(S402)。また、運行制御部121は、戸開時間の計測を開始する(S403)。移動判断部127は、戸開から第2の時間が経過したか否かを判断する(S404)。移動判断部127は、第2の時間が経過するまで待機する(S404:No)。
【0106】
戸開から第2の時間が経過したら(S404:Yes)、移動判断部127は、乗りかご50内のロボット500が移動して降車しようとしているか否かを判断する(S405)。ロボット500が移動していると判断した場合には(S405:Yes)、運行制御部121は、戸開を維持する(S406)。
【0107】
そして、移動判断部127は、ロボット500の乗りかご50から乗り場への移動(すなわち、降車)の完了を判断する(S407)。ロボット500の乗りかご50からの移動がまだ完了していない間は(S407:No)、処理はS406へ戻り、戸開を維持した状態とする。
【0108】
一方、ロボット500の乗りかご50内からの移動が完了した場合には(S407:Yes)、運行制御部121は戸閉する(S408)。そして、運行制御部121は、乗りかご50を移動させ(S409)、その後、処理は終了する。
【0109】
S405において、乗り場のロボット500の移動を検知しない場合には(S405:No、S304)、運行制御部121は、戸閉する(S410)。次に、通信部102は、乗りかご50内のロボット500のロボットIDとともに、ロボット500が運転不可である旨の通知をコントローラ150に送信する(S411、S305)。
【0110】
コントローラ150は、制御盤100から、ロボットIDとともにロボット500が運転不可である旨の通知を受信したら、ロボットIDとともにロボット500が運転不可である旨の通知を、昇降機クラウド200のサーバ210に送信する(S306)。
【0111】
昇降機クラウド200のサーバ210は、コントローラ150からロボットIDとともにロボット500が運転不可である旨の通知を受信したら、ロボットIDとともにロボット500が運転不可である旨の通知を、ロボットクラウド300のサーバ310に送信する(S307)。
【0112】
ロボットクラウド300のサーバ310は、昇降機クラウド200のサーバ210からロボットIDとともにロボット500が運転不可である旨の通知を受信したら、ロボットIDのロボット500に対して運転停止の指示を送信する(S308)。
乗りかご50内のロボット500は、ロボットクラウド300のサーバ310から運転停止の指示を受信したら、運転を停止する(S309)。
【0113】
次に、制御盤100では、S412で、ロボット運転制御部122は、ロボット運転を停止する(S412、S310)。そして、運行制御部112は、全ての運行サービスが終了したか否かを判断する(S413)。まだ全ての運行サービスが終了していない場合には(S413:No)、運行制御部121は、運行サービスを継続し(S414)、全ての運行サービスが終了待ちとなる。
【0114】
全ての運行サービスが終了したら(S413:Yes)、運行制御部121は、新たな乗り場呼びの対応を禁止する(S415)。すなわち、運行制御部121は、新たな乗り場呼びを受信しても無視する。そして、運行制御部121は、乗りかご50に移動指示を出して(S311)、乗りかごを基準階に移動させる(S416、S312)。
【0115】
次に、通信部102は、管制室16の管理人の携帯端末やPC等に、乗りかご50内のロボット500を手動で降車させる旨の指示をロボットIDとともに送信する(S417、S313)。
【0116】
管制室160の管理人は、当該指示を受信すると、ロボットIDのロボット500の乗りかご50へ行き、手動で戸開し(S314)、乗りかご50内のロボット500を手動で降車させる(S315)。その後、管理人は、手動で乗りかご50を戸閉する(S316)。
【0117】
制御盤100では、運行制御部112は戸閉の確認待ち状態となっている(S418、S418:No)。そして、戸閉が確認されると(S418:Yes)、自動診断運転制御部125は、エレベータ2の自動診断を行う自動診断運転を実行する(S419、S317)。
【0118】
自動診断運転制御部125は、自動診断が終了したら、自動診断の結果、エレベータ2に異常があるか否かを判断する(S420)。エレベータ2に異常があると判断された場合には(S420:Yes)、通信部102は、保守センターにエレベータ2に異常発生の通知を送信する(S421)。ここで、保守センターとしては、例えば、監視センター400等があげられるがこれに限定されるものではない。
【0119】
次に、運行制御部121は、乗りかご50を予め定められた基準階(主として、1階)に移動し(S422)、運行サービスを終了する(S423)。この後、処理は終了する。
【0120】
一方、S420でエレベータ2に異常は無いと判断された場合には(S420:No)、制御部120は、ロボット500に異常があると判断する(S318)。このため、通信部102は、管制室16の管理人の携帯端末やPC等にロボットクラウド300のサーバ310にロボット500の異常を連絡する旨の指示をロボットIDとともに送信する(S424、S319)。制御盤100での処理は、この後、終了する。
【0121】
管制室160の管理人は、制御盤100からロボットクラウド300のサーバ310に、連絡する旨を携帯端末やPC等で受信すると、ロボットクラウド300のサーバ310に、ロボットIDのロボット500が異常である旨の通知を送信する(S320)。
【0122】
ロボットクラウド300のサーバ310は、管理人からロボットIDのロボット500が異常である旨の通知を受信すると、ロボットIDの乗り場のロボット500に対してロボット運転停止の指示を送信する(S321)。ロボット500は、ロボットクラウド300のサーバ310からロボット運転停止の指示を受信すると、ロボット運転を停止する(S322)。
【0123】
次に、ロボットクラウド300のサーバ310は、ロボット会社にロボットIDのロボット500の復帰対応を指示する(S323)。当該指示を受けたロボット会社は、ロボットIDの乗り場のロボット500に対して復帰対応を行う(S324)。ロボットクラウド300のサーバ310は、ロボット会社から復帰対応完了の通知を受領すると(S325)、当該ロボット500に対して復帰指示を送信する(S326)。復帰指示を受信したロボット500はロボット運転を再開する(S327)。
【0124】
このように本実施形態では、エレベータ制御システム1において、制御盤100は、ロボット500を乗車した状態での乗りかご50の運転が可能なロボット運転を実行するロボット運転制御部122と、ロボット運転を実行中に、乗りかご50がいずれかの階に着床して戸開し、かつ、階の乗り場で乗車待ちのロボット500が存在する場合に、戸開から戸閉までの設定時間より短い第1の時間内に、乗り場のロボット500が移動したか否かを判断する移動判断部127と、戸開から第1の時間内に、乗り場のロボット500が移動しない場合には、エレベータ2が正常に運行可能か否か診断する自動診断運転を実行する自動診断運転制御部125と、を備える。ロボット運転制御部122は、エレベータ2が正常に運行可能であると判断された場合に、乗り場のロボット500が故障していると判断し、ロボット500運転を停止する。
【0125】
このため、本実施形態では、ロボット運転中に、乗り場のロボット500の乗りかご50への乗車時において、乗りかご50の戸開から戸閉までの設定時間より短い第1の時間内に、乗り場のロボット500が移動しない場合に、エレベータの自動診断を行って、移動しない原因がエレベータ2側かロボット500側かを判断することができる。従って、本実施形態によれば、異常が発生した場合に、エレベータ2とロボット500のいずれに問題があったのかを早期に判断することができ、エレベータ2およびエレベータ2が設置されたビル3全体の運用効率を向上させることができる。
【0126】
また、本実施形態では、制御盤100は、戸開から第1の時間内に、乗り場のロボット500が移動しない場合には、コントローラ150を介して昇降機クラウド200のサーバ210に、ロボット500の乗込ができない旨を送信する通信部102を備える。昇降機クラウド200のサーバ210は、制御盤100からコントローラ150を介してロボット500の乗込ができない旨を受信した場合、ロボット500の乗込ができない旨をロボットクラウド300のサーバ310に送信する。ロボットクラウド300のサーバ310は、昇降機クラウド200のサーバ210からロボット500の乗込ができない旨を受信した場合に、乗り場のロボット500に対して、乗り場待機の指示を送信する。ロボット500は、ロボットクラウド300のサーバ310から乗り場待機の指示を受信した場合には、運転を停止して乗り場で待機する。
【0127】
このため、本実施形態では、ロボット運転中に、乗り場のロボット500の乗りかご50への乗車時において、戸開から第1の時間内に、乗り場のロボット500が移動しない場合には、異常の原因がロボット500側にある可能性も考慮して、ロボット500を乗り場に待機させる。従って、本実施形態によれば、異常が発生した場合に、異常の原因の誤判断を未然に防止することができる。
【0128】
また、本実施形態では、制御盤100の通信部102は、エレベータ2が正常に運行可能であると判断された場合に、管制室160の管理人に、ロボットクラウド300のサーバ310に対してロボット500にが異常であることを連絡する旨の指示を送信する。ロボットクラウド300のサーバ310は、管制室160の管理人からロボット500が異常である旨を受信した場合に、乗り場のロボット500に対して、運転停止の指示を送信する。ロボット500は、ロボットクラウド300のサーバ310から運転停止の指示を受信した場合には、運転を停止する。
【0129】
このため、本実施形態では、ロボット運転中に、乗り場のロボット500の乗りかご50への乗車時において、エレベータ2の自動診断において、エレベータ2が正常に運行可能であると判断された場合に、異常の原因がロボット500側にあると判断してロボット500の運転を停止させる。従って、本実施形態によれば、異常の原因を、早期かつ正確に判断することができ、エレベータ2およびエレベータ2が設置されたビル3全体の運用効率を向上させることができる。
【0130】
また、本実施形態では、制御盤100の移動判断部127は、ロボット運転の実行中に、ロボット500が乗車している乗りかご50がいずれかの階に着床して戸開した場合に、戸開から戸閉までの設定時間より短い第2の時間内に、乗りかご50内のロボット500が移動したか否かを判断し、通信部102は、第2の時間内に、乗りかご50内のロボット500が移動しない場合に、ロボット500を手動で降車させる指示を管制室160の管理人に送信し、自動診断運転制御部125は、ロボット500が降車した後に、自動診断運転を実行し、ロボット運転制御部122は、エレベータ2が正常に運行可能であると判断された場合に、乗り場のロボット500が故障していると判断し、ロボット運転を停止する。
【0131】
このため、本実施形態では、ロボット運転中に、乗りかご50内のロボット500の乗りかご50からの降車時において、乗りかご50の戸開から戸閉までの設定時間より短い第2の時間内に、乗り場のロボット500が移動しない場合に、エレベータの自動診断を行って、移動しない原因がエレベータ2側かロボット500側かを判断することができる。従って、本実施形態によれば、異常が発生した場合に、エレベータ2とロボット500のいずれに問題があったのかを早期に判断することができ、エレベータ2およびエレベータ2が設置されたビル3全体の運用効率を向上させることができる。
【0132】
また、本実施形態では、制御盤100の通信部102は、戸開から第2の時間内に乗りかご50内のロボット500が移動しない場合には、ロボット運転できない旨をコントローラ150を介して昇降機クラウド200のサーバ210に送信する。昇降機クラウド200のサーバ210は、制御盤100からコントローラ150を介してロボット運転できない旨を受信した場合に、ロボット運転できない旨をロボットクラウド300のサーバ310に送信する。ロボットクラウド300のサーバ310は、昇降機クラウド200のサーバ210からロボット運転できない旨を受信した場合に、乗り場のロボット500に対して、運転停止の指示を送信する。ロボット500は、ロボットクラウド300のサーバ310から、運転停止の指示を受信した場合、運転を停止する。
【0133】
このため、本実施形態では、ロボット運転中に、乗りかご50内のロボット500の乗りかご50からの降車時において、戸開から第2の時間内に、乗り場のロボット500が移動しない場合には、異常の原因がロボット500側にある可能性も考慮して、ロボット500の運転を停止させる。従って、本実施形態によれば、異常が発生した場合に、異常の原因の誤判断を未然に防止することができる。
【0134】
また、本実施形態では、制御盤100の通信部102は、エレベータ2が正常に運行可能であると判断された場合に、管制室160の管理人に、ロボットクラウド300のサーバ310に対してロボット500が異常であることを連絡する旨指示を送信する。ロボットクラウド300のサーバ310は、管制室160の管理人からロボット500が異常である旨を受信した場合に、乗りかご50内のロボット500に対して、運転停止の指示を送信する。ロボット500は、ロボットクラウド300のサーバ310から、運転停止の指示を受信した場合、運転を停止する。
【0135】
このため、本実施形態では、ロボット運転中に、乗りかご50内のロボット500の乗りかご50からの降車時において、エレベータ2の自動診断において、エレベータ2が正常に運行可能であると判断された場合に、異常の原因がロボット500側にあると判断してロボット500の運転を停止させる。従って、本実施形態によれば、異常の原因を、早期かつ正確に判断することができ、エレベータ2およびエレベータ2が設置されたビル3全体の運用効率を向上させることができる。
【0136】
なお、本実施形態では、自動診断によりエレベータ2が正常であると判断された場合に、制御盤100が管制室160の管理人に、ロボットクラウド300のサーバ310に対してロボット500に異常があることを連絡する旨の指示を送信し、管制室160の管理人がロボットクラウド300のサーバ310にロボット500に異常がある旨の連絡を送信しているが、これに限定されるものではない。
【0137】
例えば、自動診断によりエレベータ2が正常であると判断された場合に、コントローラ150にロボット500に異常があることを送信するように制御盤100の通信部102を構成し、コントローラ150から昇降機クラウド200のサーバ、ロボットクラウド300のサーバ310へ順に、ロボット500に異常がある旨を送信するように構成することができる。この場合には、より確実にロボット500に異常があることをロボットクラウド300のサーバ310に伝達することが可能である。
【0138】
また、ロボット運転中において、ロボット509が乗りかご50へ乗車する前に、乗りかご50のカメラ7またはロボット500のカメラ506により、乗りかご50内の利用者の暴れを検知した場合には、ロボット500の乗車を停止し、ロボット運転から通常運転へ復帰するように制御盤100、ロボット500、ロボットクラウド300のサーバ310等を構成することができる。
【0139】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0140】
1…エレベータ制御システム、2,2A,2B…エレベータ、3…ビル、4,4A,4B…操作盤、5A…利用者、7、7A,7B…カメラ、8、8A,8B…荷重センサ、20,20A,20B…昇降路、50,50A,50B…乗りかご、100,100A,100B…制御盤(エレベータ制御装置)、120,151,211,311,501…制御部、102,152,212,312,502…通信部、103…火災センサ、104…地震計、110,155,220,320,510…記憶部、111…ロボット管理DB、112,222…運行制御プログラム、115,225、325…ロボット運転制御プログラム、116,226…自動診断運転プログラム、121…運行制御部、122…ロボット運転制御部、125…自動診断運転制御部、127…移動判断部、150,150A,150B…コントローラ、160…管制室、200…昇降機クラウド、210…サーバ、300…ロボットクラウド、310…サーバ、321,511…ロボット基本プログラム、500,500A,500B,500C…ロボット,503…駆動部。
【要約】
【課題】異常が発生した場合に、エレベータと自律移動体のいずれに問題があったのかを早期に判断することができ、エレベータおよびエレベータが設置されたビル全体の運用効率を向上させること。
【解決手段】エレベータ制御装置であって、自律移動体を乗車した状態での前記乗りかごの運転が可能な自律移動体運転を実行する自律移動体運転制御部と、自律移動体運転を実行中に、前記乗りかごがいずれかの階に着床して戸開し、かつ、階の乗り場で乗車待ちの前記自律移動体が存在する場合に、戸開から戸閉までの時間より短い第1の時間内に、乗り場の自律移動体が移動したか否かを判断する移動判断部と、戸開から第1の時間内に、乗り場の自律移動体が移動しない場合には、エレベータが正常に運行可能か否か診断する自動診断運転を実行する自動診断運転制御部と、を備え、自律移動体運転制御部は、エレベータが正常に運行可能であると判断された場合に、乗り場の自律移動体が故障していると判断し、自律移動体運転を停止する。
【選択図】
図2