(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】化粧料容器およびそれに用いられる網体もしくは覆い体
(51)【国際特許分類】
A45D 33/00 20060101AFI20240227BHJP
【FI】
A45D33/00 650E
A45D33/00 650C
(21)【出願番号】P 2023137618
(22)【出願日】2023-08-25
【審査請求日】2023-08-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(74)【代理人】
【識別番号】100128886
【氏名又は名称】横田 裕弘
(74)【代理人】
【識別番号】100130878
【氏名又は名称】鶴目 朋之
(72)【発明者】
【氏名】胡口 智紀
(72)【発明者】
【氏名】藤井 幸司
(72)【発明者】
【氏名】作道 さかえ
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-099867(JP,A)
【文献】特開2011-239971(JP,A)
【文献】特表2017-500071(JP,A)
【文献】実公昭62-014973(JP,Y2)
【文献】特開2017-093487(JP,A)
【文献】特開2001-017232(JP,A)
【文献】韓国公開実用新案第20-2014-0001194(KR,U)
【文献】米国特許出願公開第2022/0143248(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 33/00~33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料を収容する容器本体と、
前記容器本体の容器開口内であって前記容器本体に収容された化粧料よりも上方に固定され、前記容器本体の内周面から前記容器本体の内部に向かう向きに突出する支持部
と、前記容器本体の周壁上端部に係止するフランジを有する支持体と、
前記支持体内に着脱可能に設置され、前記容器本体に収容される化粧料を覆う網体と、
を備え、
前記網体は、
前記支持部に配置可能に形成された枠部と、
前記枠部に固定され前記枠部の開口に張り渡された網部と
を備える、
化粧料容器。
【請求項2】
前記網部は、前記網体を前記支持部に配置したときに前記枠部と前記支持部の間に挟まれる
ことを特徴とする請求項1に記載の化粧料容器。
【請求項3】
前記網体は、前記枠部より突出して設けられたつまみ部を備えた
ことを特徴とする請求項1または2に記載の化粧料容器。
【請求項4】
前記つまみ部は、前記網体を支持体の支持部に配置したときに前記支持体の内周面に沿って起立する
ことを特徴とする請求項3に記載の化粧料容器。
【請求項5】
前記支持体の周壁の内周面には、前記支持体の内側方向へ突出する支持体凸条部を備え、
前記網体の枠部の外周面には、前記枠部の外側方向へ突出する網体凸条部を備え、
前記網体を前記支持体に取り付けた状態において、前記
支持体凸条部と前記網体凸条部は互いに係合する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の化粧料容器。
【請求項6】
前記支持体の支持部の上面には、前記支持部に沿って環状に連続する他の支持体凸条部を備え、
前記他の支持体凸条部は前記網体を支持する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の化粧料容器。
【請求項7】
前記つまみ部の外側面には、前記網体を前記支持部に配置したときに前記支持体の内周面に向けて突出するつまみ部突起を設けた
ことを特徴とする請求項4に記載の化粧料容器。
【請求項8】
前記網体は、前記枠部の下面に凹部を設けた
ことを特徴とする請求項1または2に記載の化粧料容器。
【請求項9】
化粧料を収容する容器本体と、
前記容器本体の容器開口内であって前記容器本体に収容された化粧料よりも上方に固定され、前記容器本体の内周面から前記容器本体の内部に向かう向きに突出する支持部
と、前記容器本体の周壁上端部に係止するフランジを有する支持体と、
前記支持体内に着脱可能に設置され、前記容器本体に収容される化粧料を覆う覆い体と、
を備え、
前記覆い体は、
前記支持部に配置可能に形成され、複数の貫通孔が形成されたプレートを備える
化粧料容器。
【請求項10】
前記覆い体は、前記プレートより突出して設けられたつまみ部を備えた
ことを特徴とする請求項9に記載の化粧料容器。
【請求項11】
前記つまみ部は、前記覆い体を支持体の支持部に配置したときに前記支持体の内周面に沿って起立する
ことを特徴とする請求項10に記載の化粧料容器。
【請求項12】
前記つまみ部の外側面には、前記覆い体を前記支持部に配置したときに前記支持体の内周面に向けて突出するつまみ部突起を設けた
ことを特徴とする請求項11に記載の化粧料容器。
【請求項13】
化粧料を収容する容器本体内に固定され、前記容器本体の内周面から前記容器本体の内部に向かう向きに突出する支持部を有する支持体に設置され、前記容器本体に収容される化粧料を覆う網体であって、
環状に形成された枠部と、
前記枠部に固定され、前記枠部の開口に張り渡された網部と、
前記枠部の外周縁より起立するつまみ部と、を備え、
前記つまみ部の外側面には、前記網体を前記支持部に配置したときに前記支持体の内周面に向けて突出するつまみ部突起を設けた
網体。
【請求項14】
前記網部は、前記枠部の下面に貼付された
ことを特徴とする請求項13に記載の網体。
【請求項15】
前記枠部の下面に凹部を設けた
ことを特徴とする請求項13または14に記載の網体。
【請求項16】
化粧料を収容する容器本体内に固定されて前記容器本体の内周面から前記容器本体の内部に向かう向きに突出する支持部を有する支持体に設置され、前記容器本体に収容される化粧料を覆う覆い体であって、
複数の貫通孔が形成されたプレートと、
前記プレートの外周縁より起立するつまみ部と、を備え
前記つまみ部の外側面には、前記覆い体を前記支持部に配置したときに前記支持体の内周面に向けて突出するつまみ部突起を設けた
覆い体。
【請求項17】
化粧料を収容する容器本体と、
前記容器本体の容器開口内であって前記容器本体に収容された化粧料よりも上方に固定され、前記容器本体の内周面から前記容器本体の内部に向かう向きに突出する支持部
と、前記容器本体の周壁上端部に係止するフランジを有する支持体と、
前記支持体内に着脱可能に設置され、前記容器本体に収容される化粧料を覆う網体と、
を備え、
前記網体は、
前記支持部に配置可能に形成された枠部と、
前記枠部に固定され前記枠部の開口に張り渡された網部と
を備える、
化粧料容器と、
前記化粧料容器の容器本体内に収容された化粧料と、
塗布体と、
を備える化粧品。
【請求項18】
化粧料を収容する容器本体と、
前記容器本体の容器開口内であって前記容器本体に収容された化粧料よりも上方に固定され、前記容器本体の内周面から前記容器本体の内部に向かう向きに突出する支持部
と、前記容器本体の周壁上端部に係止するフランジを有する支持体と、
前記支持体内に着脱可能に設置され、前記容器本体に収容される化粧料を覆う覆い体と、
を備え、
前記覆い体は、
前記支持部に配置可能に形成され、複数の貫通孔が形成されたプレートと、
を備える
化粧料容器と、
前記化粧料容器の容器本体内に収容された化粧料と、
塗布体と、
を備える化粧品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料容器で使用される網体もしくは覆い体と、該網体もしくは該覆い体を備えた化粧料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、SDGsなどの問題意識の高まりもあり、ルースパウダーなどの粉末状化粧料でも、使い切った後に容器本体を捨てずに、化粧料を直接容器本体へ詰め替える需要が増えている。
【0003】
かかる粉末状化粧料容器として、特許文献1には、化粧料を覆うように設けられた板状部材に複数の貫通孔を備えたものが記載されている。また、特許文献2および3には、化粧料を覆うように設けられた網部材を備えたものが記載されている。しかしながら、これらの化粧料容器は、いずれも化粧料の詰め替えを想定したものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-171565号公報
【文献】特開2018-89013号公報
【文献】特開2011-239971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、内容物の粉末状化粧料を簡単に詰め替えることができる化粧料容器とそれに用いる網体もしくは覆い体の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、化粧料を収容する容器本体と、前記容器本体の容器開口内に固定され、前記容器本体の内周面から前記容器本体の内部に向かう向きに突出する支持部を有する支持体と、前記支持体内に設置され、前記容器本体に収容される化粧料を覆う網体と、を備え、前記網体は、前記支持部に配置可能に形成された枠部と、前記枠部に固定され前記枠部の開口に張り渡された網部とを備える、化粧料容器である。
【0007】
また、本発明は、前記網部は、前記網体を前記支持部に配置したときに前記枠部と前記支持部の間に挟まれることを特徴とする化粧料容器である。
【0008】
また、本発明は、前記網体は前記枠部より突出して設けられたつまみ部を備えたことを特徴とする化粧料容器である。
【0009】
また、本発明は、前記つまみ部は前記網体を支持体の支持部に配置したときに前記支持体の内周面に沿って起立することを特徴とする化粧料容器である。
【0010】
また、本発明は、前記支持体の周壁の内周面には、前記支持体の内側方向へ突出する支持体凸条部を備え、前記網体の枠部の外周面には、前記枠部の外側方向へ突出する網体凸条部を備え、前記網体を前記支持体に取り付けた状態において、前記支持体凸条部と前記網体凸条部は互いに係合することを特徴とする化粧料容器である。
【0011】
また、本発明は、前記支持体の支持部の上面には、前記支持部に沿って環状に連続する他の支持体凸条部を備え、前記他の支持体凸条部は前記網体を支持することを特徴とする化粧料容器である。
【0012】
また、本発明は、前記つまみ部の外側面には、前記網体を前記支持部に配置したときに前記支持体の内周面に向けて突出するつまみ部突起を設けたことを特徴とする化粧料容器である。
【0013】
また、本発明は、前記網体は前記枠部の下面に凹部を設けたことを特徴とする化粧料容器である。
【0014】
また、本発明は、化粧料を収容する容器本体と、前記容器本体の容器開口内に固定され、前記容器本体の内周面から前記容器本体の内部に向かう向きに突出する支持部を有する支持体と、前記支持体内に設置され、前記容器本体に収容される化粧料を覆う覆い体と、を備え、前記覆い体は、前記支持部に配置可能に形成され、複数の貫通孔が形成されたプレートを備える化粧料容器である。
【0015】
また、本発明は、前記覆い体は、前記プレートより突出して設けられたつまみ部を備えたことを特徴とする化粧料容器である。
【0016】
また、本発明は、前記つまみ部は、前記覆い体を支持体の支持部に配置したときに前記支持体の内周面に沿って起立することを特徴とする化粧料容器である。
【0017】
また、本発明は、前記つまみ部の外側面には、前記覆い体を前記支持部に配置したときに前記支持体の内周面に向けて突出するつまみ部突起を設けたことを特徴とする化粧料容器である。
【0018】
また、本発明は、化粧料を収容する容器本体内に設置され、前記容器本体に収容される化粧料を覆う網体であって、環状に形成された枠部と、前記枠部に固定され、前記枠部の開口に張り渡された網部と、前記枠部の外周縁より起立するつまみ部と、を備えた網体である。
【0019】
また、本発明は、前記網部は前記枠部の下面に貼付されたことを特徴とする網体である。
【0020】
また、本発明は、前記つまみ部の外側面には、前記網体を前記支持部に配置したときに前記支持体の内周面に向けて突出するつまみ部突起を設けたことを特徴とする網体である。
【0021】
また、本発明は、前記枠部の下面に凹部を設けたことを特徴とする網体である。
【0022】
また、本発明は、化粧料を収容する容器本体内に設置され、前記容器本体に収容される化粧料を覆う覆い体であって、複数の貫通孔が形成されたプレートと、前記プレートの外周縁より起立するつまみ部と、を備えた覆い体である。
【0023】
また、本発明は、前記つまみ部の外側面には、前記網体を前記支持部に配置したときに前記支持体の内周面に向けて突出するつまみ部突起を設けたことを特徴とする覆い体である。
【0024】
また、本発明は、化粧料を収容する容器本体と、前記容器本体の容器開口内に固定され、前記容器本体の内周面から前記容器本体の内部に向かう向きに突出する支持部を有する支持体と、前記支持体内に設置され、前記容器本体に収容される化粧料を覆う網体と、を備え、前記網体は、前記支持部に配置可能に形成された枠部と、前記枠部に固定され前記枠部の開口に張り渡された網部とを備える、化粧料容器と、前記化粧料容器の容器本体内に収容された化粧料と、塗布体と、を備える化粧品である。
【0025】
さらに、本発明は、化粧料を収容する容器本体と、前記容器本体の容器開口内に固定され、前記容器本体の内周面から前記容器本体の内部に向かう向きに突出する支持部を有する支持体と、前記支持体内に設置され、前記容器本体に収容される化粧料を覆う覆い体と、を備え、前記覆い体は、前記支持部に配置可能に形成され、複数の貫通孔が形成されたプレートと、を備える化粧料容器と、前記化粧料容器の容器本体内に収容された化粧料と、塗布体と、を備える化粧品である。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る化粧料容器およびそれに用いられる網体もしくは覆い体は、粉末状化粧料を簡単に詰め替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図2】本発明に係る本発明に係る化粧料容器の容器部の分解斜視図である。
【
図3】本発明に係る化粧料容器の網体を下面側から表した斜視図である。
【
図4】本発明に係る化粧料容器を組み立てた状態における断面図である。
【
図5】(A)本発明の化粧料容器の変形例1を表す図、(B)本発明の化粧料容器の変形例2を表す図、(C)本発明の化粧料容器の変形例3を表す図である。
【
図6】本発明の化粧料容器の変形例4を表す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の化粧料容器およびそれに用いられる網体もしくは覆い体の実施形態を、図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施形態に何ら制約されるものではない。
【0029】
<化粧料容器1の全体構成>
図1は、本発明に係る化粧料容器1の斜視図である。
図1に示すように、本発明の化粧料容器1は、化粧料を収容可能な容器部10と、容器部10の開口を閉塞可能に設けた蓋部30とを備える。
【0030】
図2は、本発明に係る容器部10の分解斜視図である。
図2に示すように、容器部10は、内部に化粧料を収容可能な広口の容器本体110と、容器本体110内に装着される支持体150と、支持体150内に設置される網体170とを備える。以下、各部の詳細について説明する。
【0031】
<容器本体110>
容器本体110は、底部112と底部112の周縁から立ち上がって形成された円筒状の周壁113により有底皿状に形成され、周壁113の上部には開口111が形成されている。また、周壁113の外周面114の上部には、蓋部30を螺着可能な雄ネジ117が形成されている。
【0032】
<支持体150>
支持体150は、略円筒状の周壁152を有している。かかる周壁152は容器本体110の開口111から容器本体110内に挿入可能に形成されている。かかる周壁152の内部は、後述する網体170を設置し、パフ210等の塗布具を収納することができる。本実施形態の周壁152は、その高さが容器本体110の周壁113の約半分の高さに形成されている。周壁152の高さはこれに限定されず、容器本体110に収容される化粧料の量や支持体150内に収納されるパフ等の大きさに応じて適宜設定することができる。
【0033】
周壁152の上端部には、支持体150の外側方向に略水平に突出するフランジ159が設けられている。かかるフランジ159は、周壁152の周方向に沿って連続する鍔状に形成されている。フランジ159は、支持体150を容器本体110に装着したときに、容器本体110の周壁113の上端部119に係止するように形成されている。
【0034】
また、周壁152の内周面155の下端部には、支持体150の内側方向に略水平に突出する支持部161が形成されている。かかる支持部161は、周壁152の内周面155に沿って周方向に連続する環状に形成され、その内側が化粧料を出し入れ可能な開口151を形成している。このように、支持部161が内周面155側から内側方向へせり出すように形成されていることで、化粧料の詰め替え時に舞い上がった化粧料が外部へ漏れだすことを抑制することができる。
【0035】
支持部161の幅は、特に限定されないが、後述する網体170の枠部171を載置可能な幅であって、且つ、その内側の開口151が化粧料を出し入れするのに十分な広さを確保できる幅であればよい。なお、ここで支持部161の「幅」とは、支持体150における径方向の寸法を意味する。
【0036】
また、本実施形態では、支持体150の外周面153には周方向に連続して形成された凸条の環状突起157を設けている。かかる環状突起157は、支持体150を容器本体110に取り付けた状態で容器本体110の内周面115に隙間なく密接するように設けられている。これにより、容器本体110と支持体150の隙間から化粧料が漏出することを防ぐことができる。さらに、支持体150の内周面155には、後述する網体170を係止するための支持体突起165が設けられている(
図4参照)。
【0037】
支持体150の材質は特に限定されないが、合成樹脂が好ましく、特に、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系の合成樹脂が好ましい。
【0038】
<網体170>
網体170は、中央に開口173を有する薄板の枠状に形成された枠部171と、開口173に張り渡された伸縮性を有する網部175とを備える。本実施形態の枠部171は、支持体150の内周面155に沿って湾曲する環状に形成され、その外寸が支持体150の内周面155の内寸と略同一となるように形成されている。なお、網部175の材質としては、弾性のある繊維、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ナイロン、レーヨン、絹等を好適に使用することができる。
【0039】
本実施形態の枠部171は、支持体150の支持部161と略同一の幅に形成されており、網体170を支持体150内に設置した際、枠部171が支持部161とほぼ重なるように形成されている。なお、枠部171と支持部161の幅は必ずしも略同一に限らず、互いに異なっていてもよい。例えば、枠部171の幅が支持部161の幅よりも広く、あるいは狭くなるように設けてもよい。ただし、化粧料の漏れを抑制するためには、枠部171と支持部161の幅は略同一にすることが好ましい。なお、ここで枠部171の「幅」、支持部161の「幅」とは、支持体150における径方向の寸法を意味する。
【0040】
図3は、枠部171を下面183側から表した斜視図とその部分拡大図である。
図3に示すように、本実施形態では、網部175は枠部171の下面183に貼付されている。枠部171に対する網部175の固定方法は特に限定されず、接着剤を用いた接着、熱溶着、シール材を用いた固定方法など、公知の固定付方法を適宜使用することができる。
【0041】
このように、網部175を枠部171の下面183に貼付することにより、パフ210を網体170の上に載置したときに、パフ210と網部175との間に空間が形成され、これによりパフ210の粉含みが良くなる。なお、本実施形態では網部175は枠部171の下面183に貼付されているが、網部175の貼付する位置はこれに限らず、枠部171の上面181や、中間に挟み込んでも良い。なお、ここで枠部171の「上面」、「下面」とは、容器内に枠部171を設置した際の上下関係を基準とし、設置時に蓋部30と対向する面を「上面」といい、支持部161と対向する面を「下面」という。
【0042】
また、本実施形態では、
図3に示すように、枠部171の下面183には、枠部171の他の下面183よりも凹んだ凹部185を設けている。本実施形態の凹部185は円形の凹みとして形成されており、枠部171の周方向に沿って所定の間隔で複数設けられている。かかる凹部185の形状や大きさ、数は特に限定されない。また、凹部185を形成する際に、網部175を併せて押し込んで枠部171に固定してもよい。なお、本実施形態では枠部171の下面183に凹部185が形成されているが、凹部185は必ずしも設けなくてもよい。
【0043】
<つまみ部177>
図2、3に示すように、網体170には、枠部171の外周縁から突出するつまみ部177が設けられている。つまみ部177は、網体170を支持体150に設置した際に、支持体150の内周面155に沿って起立するように設けられ、指で保持可能な小片に形成されている。かかるつまみ部177を指で保持することにより、網体170の取り付け、取り外しが容易となる。
【0044】
なお、つまみ部177は、予め枠部171より起立していなくてもよく、網体170の取り付け時に起立可能に形成してもよい。例えば、つまみ部177と枠部171は同一平面上に形成し、網体170を支持体150に取り付ける際につまみ部177を枠部171との境界部分より屈曲させ、上方へと起立させる構成としてもよい。
【0045】
つまみ部177は、その高さが支持体150の周壁152の高さと略同一に形成されている。つまみ部177は、その高さが支持体150の周壁152の高さと略同一とすることで、網体170を支持体150から取り外す際にも保持しやすく、好ましい。さらに、蓋部30の取り付け時に蓋部30と接するなどの障害にならなければ、支持体150の周壁152よりも高くなるように形成してもよい。
【0046】
本実施形態のつまみ部177は、矩形の小片状に形成されているが、形状はこれに限らず、その他の形状としてもよい。なお、つまみ部177の先端側の角部を丸めるか、あるいは、先端全体を丸めた凸状とすることが好ましい。このように、先端側に角を設けないことにより、パフ210を収納する際に引っかかることを防ぐことができる。
【0047】
本実施形態のつまみ部177は、枠部171に対して1か所設けられているが、数はこれに限らず、複数設けてもよい。また、つまみ部177を設ける位置は特に限定はされないが、例えば2つのつまみ部177を設ける場合は、複数のつまみ部177を枠部171の互いに対向する位置に設けることが好ましい。複数のつまみ部177を互いに対向する位置に設けることにより、後述するつまみ部177とつまみ部突起191による網体170の固定がより確実になる。
【0048】
また、本実施形態の枠部171とつまみ部177は、同一の材質により一体成形されているが、別部材としてそれぞれ形成し、固定してもよい。さらに、つまみ部177は、少なくとも枠部171との境目部分では弾性変形する可撓性を有する材質が好ましく、具体的にはポリエチレンやポリプロピレンなどの合成樹脂で形成することが好ましい。このように、つまみ部177の少なくとも枠部171との境目部分では弾性変形する可撓性を有する材質で形成することにより、後述するつまみ部177とつまみ部突起191による網体170の固定の効果を得ることができる。
【0049】
本実施形態では、つまみ部177の外側面につまみ部突起191が設けられている。なお、ここでつまみ部177の「外側面」とは、支持体150内に枠部171を設置した際に支持体150の内周面155と対向する面をいう。
【0050】
本実施形態のつまみ部突起191は、つまみ部177の上部で水平方向に延伸する1本の凸条に形成されている。このように、つまみ部突起191を横方向に延伸する凸条に形成することにより、つまみ部突起191を設けた部分のつまみ部177の強度が向上する。また、つまみ部突起191を設けた部分は板厚が厚くなるため、つまみ部177の可撓性が損なわれる可能性があるが、本実施形態のようにつまみ部177の上部につまみ部突起191を設ければつまみ部177下部の板厚は厚くならないため、つまみ部177が内側へ倒れる際の可撓性は確保される。
【0051】
本実施形態のつまみ部突起191は凸条に形成されているが、支持体150の内周面155に向かって突出していれば凸条に限らず、つまみ部177の外側面の任意の位置から突出する突起部でもよい。かかる突起部の形状は特に限定されず、その断面形状が半円形、半楕円形、四角形、台形などであってもよい。
【0052】
また、つまみ部突起191の設ける位置や数も特に限定されず、ひとつのつまみ部177に対して複数のつまみ部突起191を設けてもよい。さらに、複数のつまみ部突起191を設ける場合は、つまみ部突起191を設ける位置に応じてその突出高さを変えてもよい。例えば、つまみ部177を起立させたときに、より上方に位置するつまみ部突起191は、より下方に位置するつまみ部突起191よりもその突出高さを高くなるように形成してもよい。
【0053】
かかるつまみ部突起191は、網体170を支持体150へ取り付けた際に支持体150の内周面155に当接する。そして、つまみ部177は枠部171の外周縁より内周面155に沿って起立するように形成されているため、つまみ部突起191がつまみ部177から突出する高さ分、つまみ部177が弾性変形し、支持体150の内側方向へと倒れる(
図4参照)。
【0054】
そして、弾性変形させたつまみ部177には元の角度へ戻ろうとする復元力が働くため、つまみ部突起191が内周面155に対して押し付けられ、これにより内周面155に対して突っ張り力が生じて、網体170を支持体150に対して固定することが可能となる。
【0055】
さらに、つまみ部177の外側面とは反対側の内側面に、さらにつまみ部突起(図示せず)を設けてもよい。このように、つまみ部突起をつまみ部177の内側に設けることにより、つまみ部177を指で保持する際の滑り止めとなる。
【0056】
<組み立てた状態の化粧料容器の構成>
図4は、本発明に係る化粧料容器1の組み立てた状態における断面図(蓋部は省略)である。
図4に示すように、支持体150は、容器本体110の開口111内に挿入され、容器本体110の雄ネジ117が設けられた部分にほぼ対応する内周面155に装着されている。支持体150は、フランジ159が容器本体110の周壁113の上端部119に係止した状態で固定されている。
【0057】
本実施形態の支持体150は、支持体150の外周面153に設けられた環状突起157が容器本体110の内周面115に押し当てられた状態で容器本体110内に嵌入されている。このように、支持体150の環状突起157が強く内周面115に押し当てられることにより、支持体150が容器本体110に無理嵌め状に固定される。なお、支持体150の固定方法はこれに限定されず、その他の固定方法で固定してもよい。
【0058】
このように支持体150が容器本体110に固定された状態では、支持体150の外周面153に沿って環状に設けられた環状突起157が容器本体110の内周面115に隙間なく密接して支持体150と容器本体110の間をシールし、支持体150と容器本体110の隙間から化粧料が外部に漏れ出ることを防ぐことができる。
【0059】
さらに、支持体150の周壁152に設けられたフランジ159が、容器本体110の上端部119に係止し、フランジ159の下面と上端部119の上面が互いに密接している。これにより、上記の環状突起157と相まって、支持体150と容器本体110の間のシール性が向上し、化粧料の漏れ防止効果を得ることができる。
【0060】
支持体150内には網体170が設置されている。網体170により、容器本体110の内部は、化粧料を収容するための下部空間と、パフ210等の塗布具を収納するための上部空間に仕切られる。網体170の設置方法は、網部175側を下側にして、網体170を支持体150内に落とし込み、支持体150の支持部161に網体170の枠部171を載置すればよい。
【0061】
このように、網部175側を下側にして、枠部171と支持部161の間に網部175を挟むように網体170を設置することで、枠部171と支持部161との隙間に化粧料が入り込んだときに網部175の網目内に粉体が捕集され、使用時に網体170が滑って回転移動することを防ぐことができる。
【0062】
また、網部175側を枠部171と支持部161の間に挟むようにすることで、網部175内に粉体が捕集され、網体170より上のパフ側に粉体が漏れることを防ぐことができる。さらに、枠部171の下面183に凹部185を設けたものは、凹部185に粉体が捕集されることで、粉体の漏れを防ぐことができる。さらに凹部185に粉体が捕集されることで、網体170の移動も防ぐことができる。
【0063】
図に示すように、網体170のつまみ部177は支持体150の内周面155に沿って起立し、つまみ部177のつまみ部突起191が支持体150の内周面155に当接している。そして、つまみ部突起191がつまみ部177より突出している分、つまみ部177が枠部171との境界部分で弾性変形し、支持体150の内側方向へ倒れこんでいる(
図4の角度D)。弾性変形したつまみ部177は元の状態へ復元しようとするため、つまみ部177は支持体150の内周面155へ付勢された状態となる。
【0064】
このように、つまみ部177が支持体150の内周面155へ付勢されると、枠部171にはつまみ部177が設けられている側とその反対側の内周面155に対して突っ張る力が働く。かかるつまみ部177による突っ張り力の作用により、網体170が支持体150内においてガタついたり、回転するなどの動きを防ぐことができる。さらに、枠部171が誤って外れることを防ぐことができる。
【0065】
また、本発明の化粧料容器1を使用していない状態では、網体170の上にはパフ210が載置されるが、支持体150の内側に傾斜したつまみ部177により、パフ210を固定することができる。
【0066】
さらに、本実施形態の支持体150は内周面155の下部に支持体突起165を備えている。網体170を着脱する際は、枠部171を弾性変形させたり、枠部171を傾けた状態で取り付けるなどして、かかる支持体突起165を乗り越えさせることができる。支持体150内に設置された網体170は、支持体突起165により係止されるため、網体170の脱落を確実に防ぐことができる。
【0067】
<変形例1>
図5(A)は、本発明の化粧料容器の変形例1を表す。この変形例1では、網体170の代わりに、複数の貫通孔が形成された覆い体370を備える。覆い体370は支持体150の内周面155の内寸とほぼ同一の外寸に形成された円板状のプレート371を備え、プレート371の縁部を支持体150の支持部161に載置することで支持体150内に設置することができる。そして、プレート371には、支持体150に取り付けた際に、支持体150の開口151と重なる領域内において複数の貫通孔372が形成されている。さらに、かかるプレート371の外周縁にはつまみ部177が設けられている。つまみ部177は、外側面につまみ部突起191が設けられている。
【0068】
<変形例2>
図5(B)は、本発明の化粧料容器の変形例2の部分拡大図を表す。この変形例2では、支持体150の内周面155につまみ部177が収まる凹部156が形成されている。かかる凹部156につまみ部177が収まるとつまみ部177が支持体150内に突出せず、パフ210を収納するときなどにつまみ部177が邪魔になることがない。また、つまみ部177が凹部156内に収納されることにより、網体170を支持体150に対して固定することができる。なお、かかる凹部156は1か所だけでなく、内周面155の周方向へ複数設けてもよい。
【0069】
<変形例3>
図5(C)は、本発明の化粧料容器の変形例3の部分拡大図を表す。この変形例3では、つまみ部177の外側面に半球状のつまみ部突起191が形成されている。そして、支持体150の内周面155には、かかるつまみ部突起191を収納可能な凹部が形成されている(図示は省略)。かかる凹部内につまみ部突起191が収納されることにより、網体170を支持体150に対して固定することができる。なお、かかる凹部は1か所だけでなく、内周面155の周方向へ複数設けてもよい。
【0070】
さらに、凹部158はつまみ部突起191を収納できればその形状や大きさは特に制限されず、例えば、つまみ部突起191を収納可能な横溝を周方向へ延伸するように設けてもよい。かかる横溝の凹部158につまみ部突起191を収納することで、網体170の上下方向の動きを規制することができる。
【0071】
さらに、凹部158として、縦方向に延伸する縦溝を設けてもよい。かかる縦溝は、支持体150の内周面155の周方向に複数設けてもよい。かかる縦溝の凹部158につまみ部突起191を収納することで、網体170の回転方向の動きを規制することができる。
【0072】
<変形例4>
図6は、本発明の化粧料容器の変形例4を表す。なお、
図6では、支持体150のみ断面図で表している。この変形例4では、網体170の枠部171の外周面182に、枠部171の外側方向へ突出する網体凸条部187が設けられている。かかる網体凸条部187は、外周面182の周方向に連続して1本の凸条を形成している。
【0073】
また、支持体150の周壁152の内周面155の下方には、支持体150の内側方向へ突出する支持体凸条部167が設けられている。かかる支持体凸条部167は、内周面155の周方向に連続して1本の凸条を形成している。
【0074】
網体凸条部187と支持体凸条部167の突出高さはともにほぼ同一に形成されている。そして、
図6に示すように、網体170を支持体150内に取り付けた状態において、網体凸条部187の上部の一部が支持体凸条部167の下部の一部に当接している。これにより、網体凸条部187と支持体凸条部167は互いに係合し、網体170は支持体150に対して固定される。なお、網体170の固定は、支持体凸条部167により網体凸条部187が上から押さえられ、完全に上下動が規制された状態での固定でもよいが、網体170の多少の上下動を許容しつつ、支持体凸条部167から上方向への移動が規制される固定であってもよい。
【0075】
さらに、変形例4では、支持体150の支持部161の上面に、枠部171の下面183側へ突出する支持体凸条部168が形成されている。かかる支持体凸条部168は、支持部161に沿って環状に連続する1本の凸条を形成している。かかる支持体凸条部168は、その先端部が網部175を介して網体170の下面183に当接し、網体170を下方から支持している。
【0076】
網体170が固定された状態において、網体凸条部187の先端部は周壁152の内周面155に押し付けられ、また、支持体凸条部167の先端部は枠部171の外周面182に押し付けられている。さらに、網体凸条部187と支持体凸条部167の接触部分も互いに密接しているため、これにより、網体凸条部187と支持体凸条部167は容器の密封性を高めるシールの役割を果たしている。
【0077】
さらに、網体170が固定された状態において、支持体凸条部168の先端部は枠部171の下面183に押し付けられている。これにより、支持体凸条部168は容器の密封性を高めるシールの役割を果たしている。このように、網体凸条部187、支持体凸条部167および支持体凸条部168によるシール効果により、持ち運び等の振動により、容器本体110内の粉体が拡がってしまう現象を抑制することができる。
【0078】
また、網体170の下面183と支持部161の上面はともに平面状に形成されており、経時でこれらの平面同士が付着するおそれがある。このように、網体170の下面183と支持部161の上面が互いに付着すると、網体170の取り外しが困難となり、無理に取り外そうとすると、化粧料がこぼれるなどして好ましくない。その点、支持体凸条部168により網体170の下面183と支持部161の上面の間に一定の空間が形成されるため、付着を防ぐことができる。
【0079】
変形例4の網体170を支持体150に取り付けるには、支持体150内に網体170を挿入し、支持体150の支持体凸条部167の上部に網体170の網体凸条部187の下部が接するところまで網体170の挿入を進める。そして、さらにそのまま網体170を下方へと圧入することにより、網体凸条部187は支持体凸条部167を乗り越えて下方へと移動し、
図6の位置に嵌め込むことができる。
【0080】
なお、変形例4では網体170を用いて説明したが、網体170の代わりに前記の変形例1で用いた覆い体370に覆い体凸条部を設けたものであってもよい。また、変形例4では、つまみ部177は枠部171の上面181より立設している。かかるつまみ部177にはつまみ部突起191が設けられていないが、これを設けてもよい。
【0081】
<本発明の化粧料容器の使用方法>
本発明の化粧料容器1を使用する際は、一般の化粧料容器と同様、網部175介してパフ210などの塗布体に化粧料200を付着させ、肌に塗布する。そして、化粧料容器1内の化粧料が残り少なくなってきたときは、網体170を外して使用することができる。そして、使用後には、パフ210は網体170の上に載置されて収納される。
【0082】
化粧料を充填する際は、つまみ部177を指で保持して網体170を支持体150から取り外し、化粧料を支持体開口151から充填すればよい。なお、ルースパウダーなどの粉末状化粧料を支持体150の中央に設けられた支持体開口151から充填すると、容器本体110の内周面115に沿って粉体が舞い上がり、容器部10外へ漏れ出るおそれがある。その点、本発明の化粧料容器1は、支持体150の支持部161が内側へ突出していることにより、容器本体110の周壁113付近で舞い上がる化粧料が支持部161より下方へ戻され(
図4の矢印A)、外部へ漏出することを効果的に防ぐことができる。
【0083】
化粧料の詰め替え完了後、網体170を支持体150内に設置する。網体170の設置は、網体170を支持体150内に落とし込んで支持部161に載置するだけのため、支持体150を容器内へ押し込む際に内圧が上昇し、隙間からエアーとともに化粧料が漏れ出るおそれもない。
【0084】
本発明の化粧料容器1は、簡単に網体170を交換することができるため、網部175が汚れたり、伸びきった場合などは網体170のみ交換すればよく、容器本体110は継続して使用することができる。
【0085】
さて、上記では種々の実施形態および変形例を説明したが、これらの実施形態や変形例同士を組み合わせて構成してももちろんよい。
また、本開示は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0086】
1…化粧料容器
10…容器部
30…蓋部
110…容器本体
150…支持体
161…支持部
167…支持体凸条部
168…支持体凸条部
170…網体
177…つまみ部
187…網体凸条部
191…つまみ部突起
200…化粧料
210…パフ
370…覆い体
【要約】
【課題】 粉末状化粧料を簡単にリフィルすることができ、使用感も損なわない化粧料容器とそれに用いる網体もしくは覆い体の提供。
【解決手段】 化粧料を収容する容器本体と、前記容器本体の容器開口内に固定され、前記容器本体の内周面から前記容器本体の内部に向かう向きに突出する支持部を有する支持体と、前記支持体内に設置され、前記容器本体に収容される化粧料を覆う網体と、を備え、前記網体は、前記支持部に配置可能に形成された枠部と、前記枠部に固定され前記枠部の開口に張り渡された網部とを備える、化粧料容器。
【選択図】
図1