(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】MEMSガスセンサー、及びそのアレイ、製造方法
(51)【国際特許分類】
G01N 27/12 20060101AFI20240227BHJP
【FI】
G01N27/12 B
(21)【出願番号】P 2023500116
(86)(22)【出願日】2020-07-10
(86)【国際出願番号】 CN2020101423
(87)【国際公開番号】W WO2021189719
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-09-20
(31)【優先権主張番号】202010222310.3
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522372522
【氏名又は名称】ウィーナー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュー,レイ
(72)【発明者】
【氏名】シエ,ドンチェン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ドンリャン
【審査官】小澤 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-153135(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0097421(KR,A)
【文献】特開2017-090188(JP,A)
【文献】特開2015-200644(JP,A)
【文献】特開2004-037180(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0285772(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微小電気機械システム(MEMS)ガスセンサーであって、第1表面に第1キャビティーが開設される第1基板と、第1キャビティーの開口に設置されるN個のガス検知アセンブリと、を備え、N≧2であり、Nが正整数であり、
各ガス検知アセンブリは、サポートアーム及び前記サポートアームに設置されるガス検知部を含み、前記ガス検知部は順に積層設置されるストリップ加熱電極部、絶縁層、ストリップ検知電極部及びガス感応材料部を含み、前記ストリップ検知電極部は第1検知電極部及び第2検知電極部を含み、前記第1検知電極部と第2検知電極部との間に第1開口が設置され、前記ガス感応材料部は前記第1開口の位置に設置され、前記ガス感応材料部の第1端は前記第1検知電極部に接続され、前記ガス感応材料部の第2端は前記第2検知電極部に接続され、
各の前記ガス検知アセンブリにおけるストリップ加熱電極部は順に接続され、1つのヒーターを構成
し、前記第1キャビティーは複数であり、複数の第1キャビティーに対応するヒーターは互いに接続される、微小電気機械システム(MEMS)ガスセンサー。
【請求項2】
前記第1基板に設置される第1加熱電極ピン、第2加熱電極ピンを更に備え、
前記第1加熱電極ピンは前記ヒーターの第1端に接続され、前記第2加熱電極ピンは前記ヒーターの第2端に接続される、請求項1に記載のMEMSガスセンサー。
【請求項3】
前記第1基板に設置される1つ又はN個の第1検知電極ピン及び1つ又はN個の第2検知電極ピンを更に備え、
1つの第1検知電極部の第1端は1つのガス感応材料部の第1端に接続され、前記第1検知電極部の第2端は1つの第1検知電極ピンに接続され、
1つの第2検知電極部の第1端は1つのガス感応材料部の第2端に接続され、前記第2検知電極部の第2端は1つの第2検知電極ピンに接続される、請求項1に記載のMEMSガスセンサー。
【請求項4】
N個のガス検知アセンブリはNペアの第1検知電極ピン及び第2検知電極ピンを含み、
前記Nペアの第1検知電極ピン及び第2検知電極ピンは、それぞれN個のガス検知アセンブリにおける第1検知電極部及び第2検知電極部に接続される、請求項3に記載のMEMSガスセンサー。
【請求項5】
複数の第1検知電極部の第2端は1つの第1検知電極ピンに接続され、及び/又は、
複数の第2検知電極部の第2端は1つの第2検知電極ピンに接続される、請求項3に記載のMEMSガスセンサー。
【請求項6】
前記第1検知電極部と前記第2検知電極部は互いに
線対称であり、前記第1開口は前記第1検知電極部と前記第2検知電極部との対称軸の位置に位置する、請求項1に記載のMEMSガスセンサー。
【請求項7】
各ガス検知アセンブリにおける前記第1検知電極部は第1屈曲点を備え、前記第1屈曲点により前記第1検知電極部は第1検知電極セグメントと第2検知電極セグメントに分けられ、
各ガス検知アセンブリにおける前記第2検知電極部は第2屈曲点を備え、前記第2屈曲点により前記第2検知電極部は第3検知電極セグメントと第4検知電極セグメントに分けられ、
前記ストリップ検知電極部は順に接続される第2検知電極セグメント
と第1検知電極セグメント、
並びに第1検知電極セグメントから第1開口を隔ててさらに順に接続される第3検知電極セグメント及び第4検知電極セグメントを含み、前記第1開口は前記第1検知電極セグメントと前記第3検知電極セグメントとの間に設置され、N個のガス検知アセンブリにおける前記第1検知電極セグメントと前記第3検知電極セグメントは一緒に第1形状を構成し、前記第1形状は
線対称形状であり、
各ガス検知アセンブリにおける前記ストリップ加熱電極部は、前記ガス検知アセンブリにおける第1屈曲点と第2屈曲点との間の領域に設置される、請求項1に記載のMEMSガスセンサー。
【請求項8】
前記第1形状は
線対称ジオメトリ形状を含む、請求項7に記載のMEMSガスセンサー。
【請求項9】
前記ヒーターの形状は前記第1形状と
重なる、請求項7に記載のMEMSガスセンサー。
【請求項10】
前記N個のガス検知アセンブリにおけるN個のガス感応材料部に採用されるガス感応材料はいずれも異なり、又は、少なくとも2つのガス感応材料部に採用されるガス感応材料は同じである、請求項1に記載のMEMSガスセンサー。
【請求項11】
前記ヒーターの形状は
線対称ジオメトリ形状である、請求項1に記載のMEMSガスセンサー。
【請求項12】
MEMSガスセンサーアレイであって、複数のセンサーを含み、前記センサーは請求項1~11のいずれか1項に記載のMEMSガスセンサーである、MEMSガスセンサーアレイ。
【請求項13】
MEMSガスセンサーの製造方法であって、前記MEMSガスセンサーは請求項1~
11のいずれか1項に記載のMEMSガスセンサーであり、前記
製造方法は、
第1基板を用意することと、
第1基板の第1表面においてN個のガス検知アセンブリを製造し、N≧2であり、Nが正整数であり、前記ガス検知アセンブリは、サポートアーム及び前記サポートアームに設置されるガス検知部を含み、前記ガス検知部は順に積層設置されるストリップ加熱電極部、絶縁層、ストリップ検知電極部及びガス感応材料部を含み、前記ストリップ検知電極部は第1検知電極部及び第2検知電極部を含み、前記第1検知電極部と第2検知電極部との間に第1開口が設置され、前記ガス感応材料部は前記第1開口の位置に設置され、前記ガス感応材料部の第1端は前記第1検知電極部に接続され、前記ガス感応材料部の第2端は前記第2検知電極部に接続され、各の前記ガス検知アセンブリにおけるストリップ加熱電極部は順に接続され、1つのヒーターを構成することと、を含むMEMSガスセンサーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2020年3月26日に中国特許庁に提出された、出願番号が202010222310.3であり、発明名称が「MEMSガスセンサー、及びそのアレイ、製造方法」である中国特許出願の優先権を要求し、その内容は引用の方式で本願に取り込まれるように理解されるべきである。
【0002】
本願はガス検知の技術分野に関するが、それに限らず、特にMEMSガスセンサー、及びそのアレイ、製造方法を指す。
【背景技術】
【0003】
匂いの識別はガスセンサーの重要な適用分野の1つである。金属酸化物半導体式ガスセンサーはその低消費電力、低コスト、高集積度、複数種のガスに対する良好な応答等の優れた特性により、匂い識別装置に幅広く適用される。MOS(Metal-Oxide Semiconductor、金属酸化物半導体)類MEMS(Micro-Electro-Mechanical System、微小電気機械システム)ガスセンサーは、主に閉鎖膜式と懸濁膜式に基づく研究が多く、前者は比較的高い機械強度を有し、後者は比較的速い熱応答速度を有する。しかし、上記タイプのガスセンサーには依然として消費電力が比較的高いという問題が存在する。
【発明の概要】
【0004】
以下は、本明細書に記載されるテーマに対する概要である。本概要は特許請求の範囲の保護範囲を限定するものではない。
【0005】
本開示の実施例はMEMSガスセンサー、及びそのアレイ、製造方法を提供する。
【0006】
一態様で、本開示の実施例はMEMSガスセンサーを提供し、第1表面に第1キャビティーが開設される第1基板と、第1キャビティーの開口に設置されるN個のガス検知アセンブリと、を備えてもよく、N≧2であり、Nが正整数であり、
各ガス検知アセンブリは、サポートアーム及び前記サポートアームに設置されるガス検知部を含み、前記ガス検知部は順に積層設置されるストリップ加熱電極部、絶縁層、ストリップ検知電極部及びガス感応材料部を含み、前記ストリップ検知電極部は第1検知電極部及び第2検知電極部を含み、前記第1検知電極部と第2検知電極部との間に第1開口が設置され、前記ガス感応材料部は前記第1開口の位置に設置され、前記ガス感応材料部の第1端は前記第1検知電極部に接続され、前記ガス感応材料部の第2端は前記第2検知電極部に接続され、
各の前記ガス検知アセンブリにおけるストリップ加熱電極部は順に接続され、1つのヒーターを構成する。
【0007】
他の態様で、本開示の実施例は、複数の上記のいずれか1つのMEMSガスセンサーを含むMEMSガスセンサーアレイを提供する。
【0008】
更に他の態様で、本開示の実施例はMEMSガスセンサーの製造方法を提供し、前記MEMSガスセンサーは上記のいずれか1つのMEMSガスセンサーであり、前記方法は、
第1基板を用意することと、
第1基板の第1表面においてN個のガス検知アセンブリを製造し、N≧2であり、Nが正整数であり、前記ガス検知アセンブリは、サポートアーム及び前記サポートアームに設置されるガス検知部を含み、前記ガス検知部は順に積層設置されるストリップ加熱電極部、絶縁層、ストリップ検知電極部及びガス感応材料部を含み、前記ストリップ検知電極部は第1検知電極部及び第2検知電極部を含み、前記第1検知電極部と第2検知電極部との間に第1開口が設置され、前記ガス感応材料部は前記第1開口の位置に設置され、前記ガス感応材料部の第1端は前記第1検知電極部に接続され、前記ガス感応材料部の第2端は前記第2検知電極部に接続され、各の前記ガス検知アセンブリにおけるストリップ加熱電極部は順に接続され、1つのヒーターを構成することと、を含んでもよい。
【0009】
図面及び詳細の説明を読んで理解した後、他の方面を理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は本開示の1つの例示的な実施例におけるMEMSガスセンサーのキャビティー部分の断面図である。
【
図2】
図2は本開示の1つの例示的な実施例におけるMEMSガスセンサーの上面図である。
【
図3】
図3は本開示の例示的な実施例における2つのガス検知アセンブリにおけるストリップ検知電極部が1ペアの第1検知電極ピン及び第2検知電極ピンを共用する構造模式図である。
【
図4(a)】
図4(a)は本開示の例示的な実施例の第1検知電極部と前記第2検知電極部からなる第1種の形状の模式図である。
【
図4(b)】
図4(b)は本開示の例示的な実施例の第1検知電極部と前記第2検知電極部からなる第2種の形状の模式図である。
【
図4(c)】
図4(c)は本開示の例示的な実施例の第1検知電極部と前記第2検知電極部からなる第3種の形状の模式図である。
【
図4(d)】
図4(d)は本開示の例示的な実施例の第1検知電極部と前記第2検知電極部からなる第4種の形状の模式図である。
【
図4(e)】
図4(e)は本開示の例示的な実施例の第1検知電極部と前記第2検知電極部からなる第5種の形状の模式図である。
【
図4(f)】
図4(f)は本開示の例示的な実施例の第1検知電極部と前記第2検知電極部からなる第6種の形状の模式図である。
【
図4(g)】
図4(g)は本開示の例示的な実施例の第1検知電極部と前記第2検知電極部からなる第7種の形状の模式図である。
【
図4(h)】
図4(h)は本開示の例示的な実施例の第1検知電極部と前記第2検知電極部からなる第8種の形状の模式図である。
【
図4(i)】
図4(i)は本開示の例示的な実施例の第1検知電極部と前記第2検知電極部からなる第9種の形状の模式図である。
【
図4(j)】
図4(j)は本開示の例示的な実施例の第1検知電極部と前記第2検知電極部からなる第10種の形状の模式図である。
【
図5】
図5は本開示の例示的な実施例の1つのm字型のガス検知アセンブリの構造模式図である。
【
図6】
図6は本開示の例示的な実施例の2ペアの第1検知電極セグメントと第3検知電極セグメントからなるV字型の形状のMEMSガスセンサーの構造模式図である。
【
図7a】
図7aは本開示の例示的な実施例の第1形状が丸鋸歯形である場合の構造模式図である。
【
図7b】
図7bは本開示の例示的な実施例の第1形状が丸鋸歯形である場合の他の構造模式図である。
【
図8】
図8は本開示の例示的な実施例の第1形状が丸鋸歯形である場合の別の構造模式図である。
【
図9】
図9は本開示の例示的な実施例の第1形状が丸鋸歯形である場合の更なる構造模式図である。
【
図10】
図10は本開示の例示的な実施例の第1形状が複数のm字型の頂端の波打つ形状からなる場合の模式図である。
【
図11】
図11は本開示の例示的な実施例の第1形状が複数のn字型の頂端の凸形からなる場合の模式図である。
【
図12】
図12は本開示の例示的な実施例の第1形状が複数の類n字型の頂端の凹形からなる場合の模式図である。
【
図13】
図13は本開示の例示的な実施例の第1キャビティーが複数である場合の模式図である。
【
図14】
図14は本開示の例示的な実施例の第1キャビティーが複数である時に、複数の第1キャビティーの開口でのヒーターが1つの総ヒーターを構成する場合の模式図である。
【
図15】
図15は本開示の例示的な実施例の正多角形のMEMSガスセンサーの構造透視図である。
【
図16】
図16は本開示の例示的な実施例の正六角形のMEMSガスセンサーの温度分布シミュレーション結果の模式図である。
【
図17】
図17は本開示の例示的な実施例の正六角形のMEMSガスセンサーの6つのガス感応材料の分布の模式図である。
【
図18】
図18は本開示の例示的な実施例の正六角形のMEMSガスセンサーのガス検知電極層の模式図である。
【
図19】
図19は本開示の例示的な実施例の正六角形のMEMSガスセンサーの隔離膜層の模式図である。
【
図20】
図20は本開示の例示的な実施例の正六角形のMEMSガスセンサーのヒーター層の模式図である。
【
図21】
図21は本開示の例示的な実施例の正六角形のMEMSガスセンサーの支持膜層の模式図である。
【
図22】
図22は本開示の例示的な実施例の正六角形のMEMSガスセンサーの基板層の模式図である。
【
図23】
図23は本開示の例示的な実施例のMEMSガスセンサーアレイの構成模式図である。
【
図24】
図24は本開示の例示的な実施例のMEMSガスセンサーの製造方法のフローチャートである。
【
図25】
図25は本開示の例示的な実施例の支持膜においてガス検知部、第1加熱電極ピン、第2加熱電極ピン、第1検知電極ピン及び第2検知電極ピンを製造する方法のフローチャートである。
【
図26】
図26は本開示の例示的な実施例のMEMSガスセンサーの各層を製造する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本文は複数の実施例を説明するが、該説明は例示的なものであり、制限のためのものではない。特に制限しない限り、いかなる実施例のいかなる特徴又は要素は、いかなる他の実施例におけるいかなる他の特徴又は要素とを組合わせて使用でき、又はいかなる他の実施例におけるいかなる他の特徴又は要素を替えることができる。
【0012】
1つの例示的な実施例において、MEMSガスセンサーAを提供し、
図1、
図2に示すように、第1表面に第1キャビティーA1が開設される第1基板A2と、第1キャビティーの開口に設置されるN個のガス検知アセンブリA3と、を備えてもよく、N≧2であり、Nが正整数であり、
各ガス検知アセンブリA3は、サポートアームA31及び前記サポートアームA31に設置されるガス検知部A32を含んでもよく、前記ガス検知部A32は順に積層設置されるストリップ加熱電極部A321、絶縁層A322、ストリップ検知電極部A323及びガス感応材料部A324を含んでもよく、前記ストリップ検知電極部A323は第1検知電極部A323-1及び第2検知電極部A323-2を含んでもよく、前記第1検知電極部A323-1と第2検知電極部A323-2との間に第1開口A325が設置され、前記ガス感応材料部A324は前記
第1開口A325の位置に設置され、前記ガス感応材料部A324の第1端は前記第1検知電極部A323-1に接続され、前記ガス感応材料部A324の第2端は前記第2検知電極部A323-2に接続され、
各の前記ガス検知アセンブリA3におけるストリップ加熱電極部A321は順に接続され、1つのヒーターA8を構成する。
【0013】
1つの例示的な実施例において、前記各ガス検知アセンブリA3におけるストリップ加熱電極部A321が順に接続されて1つのヒーターA8を構成することは、前記N個のガス検知アセンブリA3におけるN個のストリップ加熱電極部A321が共通で一緒に接続されて1つのヒーターを形成することを指し、下記の状況1、状況2のうちのいずれか1つを含む。
【0014】
状況1
前記第1基板A2の第1表面には1つ又は複数のキャビティーが開設され、少なくとも1つのキャビティーは上記第1キャビティーA1であり、第1キャビティーA1におけるN個のガス検知アセンブリA3におけるストリップ加熱電極部A321は順に接続され、1つのヒーターA8を構成する。
【0015】
状況2
前記第1基板A2の第1表面には複数の第1キャビティーA1が開設され、一部又は全部の第1キャビティーA1におけるすべてのガス検知アセンブリA3におけるストリップ加熱電極部A321は順に接続され、1つのヒーターA8を構成する。
【0016】
上記の順に接続されることは、位置関係に基づいて順に接続されることであってもよく、即ち、隣接するガス検知アセンブリにおけるストリップ加熱電極部は一緒に接続され、位置関係によらない接続は除外されない。
【0017】
1つの例示的な実施例において、前記N個のガス検知アセンブリA3におけるガス検知部A32は対称的に設置されてもよい。
【0018】
1つの例示的な実施例において、前記ストリップ検知電極部A323は第1検知電極部A323-1及び第2検知電極部A323-2を含んでもよく、前記第1検知電極部A323-1と第2検知電極部A323-2との間に第1開口A325が設置され、前記ガス感応材料部A324は前記第1開口A325の位置に設置され、前記ガス感応材料部A324の第1端は前記第1検知電極部A323-1に接続され、前記ガス感応材料部A324の第2端は前記第2検知電極部A323-2に接続される。
【0019】
1つの例示的な実施例において、該サポートアームA31は第1基板A2に形成される支持膜の一部であってもよく、即ち支持膜は第1キャビティーの開口での領域に架設される。
【0020】
1つの例示的な実施例において、第1基板A2の第1表面に開設される第1キャビティーA1は1つ又は複数であってもよく、各第1キャビティーA1の開口に設置されるガス検知アセンブリA3は複数であってもよく、対応的に、各第1キャビティーA1に架設されるサポートアームA31は複数であってもよい。本文は第1キャビティーA1、サポートアームA31の数量を制限しない。
【0021】
1つの例示的な実施例において、複数のガス検知アセンブリA3は対称的に設置されてもよく、非対称的に設置されてもよい。各ガス検知アセンブリA3自体は対称的に設置されてもよく、非対称的に設置されてもよい。
【0022】
本文の例示的な実施例において、第1キャビティーA1のサイズ、形状及び形成位置はいずれも制限されない。
【0023】
本文の例示的な実施例において、サポートアームA31のサイズ(例えば、幅)は制限されない。
【0024】
本開示の例示的に実施例に記載のMEMSガスセンサーは、MEMSプロセスにより製造され、単一プロセスセンサーの製造パッケージングを実現し、ガスセンサー大量製造過程は簡単化され、コストは大幅に低減され、効率は向上し、製造周期は短縮され、センサーの一致性と安定性の向上に役立つ。ストリップサポートアーム構造を採用して、センサーの有効領域をストリップサポートアームに製作することにより、蛇行巻き、らせん巻き、又は折返し巻きのヒーター構造及び櫛型電極構造を省略し、ガスセンサーの消費電力を大幅に低減し、熱応答時間を減少することができる。特に、N個のストリップサポートアームにおけるガス検知部A32は対称的に設置される場合、熱応答速度を向上させ、消費電力を低減することができる。ガス検知アセンブリにおけるN個のサポートアームは安定な多角形を構成する場合、加熱電極部は通電した後、特にガス感応材料を比較的高い温度に加熱する必要がある時、比較的良い支持性と安定性を確保し、高温による構造変形による熱応答速度への影響を回避することができる。また、N個のストリップ加熱電極部は1つの閉ループのヒーターを共用するため、N-1個のヒーターを減少し、それによりヒーターの金属線から伝導された熱量が少なくなり、消費電力が低減し、そしてヒーターの占める面積を効果的に減少でき、ガスセンサーの集積度を向上させることができる。
【0025】
1つの例示的な実施例において、前記MEMSガスセンサーAは、前記第1基板A2に設置される第1加熱電極ピンA4、第2加熱電極ピンA5を更に備えてもよく、
前記第1加熱電極ピンA4は前記ヒーターA8の第1端に接続され、前記第2加熱電極ピンA5は前記ヒーターA8の第2端に接続され、それにより加熱回路を形成する。
【0026】
1つの例示的な実施例において、前記MEMSガスセンサーAは、前記第1基板A2に設置される1つ又はN個の第1検知電極ピンA6及び1つ又はN個の第2検知電極ピンA7を更に備えてもよく、
第1検知電極部A323-1の第1端は前記ガス感応材料部A324の第1端に接続され、前記第1検知電極部A323-1の第2端は1つの第1検知電極ピンA6に接続され、第2検知電極部A323-2の第1端は前記ガス感応材料部A324の第2端に接続され、前記第2検知電極部A323-2の第2端は1つの第2検知電極ピンA7に接続され、それにより検知回路を形成する。即ち、1つの第1検知電極部の第1端は1つのガス感応材料部の第1端に接続され、該第1検知電極部の第2端は1つの第1検知電極ピンに接続され、1つの第2検知電極部の第1端は1つのガス感応材料部の第2端に接続され、該第2検知電極部の第2端は1つの第2検知電極ピンに接続される。
【0027】
1つの例示的な実施例において、
図2に示すように、N個のガス検知アセンブリA3はNペアの検知電極ピンを含んでもよく、各ペアの検知電極ピンは1つの第1検知電極ピンA6及び1つの第2検知電極ピンA7を含み、以下ではNペアの第1検知電極ピンA6及び第2検知電極ピンA7と称する。
【0028】
前記Nペアの第1検知電極ピンA6及び第2検知電極ピンA7は、それぞれN個のガス検知アセンブリA3における第1検知電極部A323-1及び第2検知電極部A323-2に接続される。例えば、第1検知電極ピンA6は第1検知電極部A323-1に接続され、第2検知電極ピンA7は第2検知電極部A323-2に接続される。
【0029】
1つの例示的な実施例において、各ガス検知部A32はそれぞれ対応的に1ペアの検知電極ピンを設置してもよく、第1検知電極ピンA6及び第2検知電極ピンA7を含む。第1検知電極ピンA6及び第2検知電極ピンA7のうち、1つはグランドピンであってもよく、他の1つは電圧ピンであってもよく、又は、1つは正極ピンであり、他の1つは負極ピンである。
【0030】
1つの例示的な実施例において、1つの第1キャビティーA1の開口に設置される全部のストリップ検知電極部A323における任意の複数のストリップ検知電極部A323は、1ペアの第1検知電極ピンA6及び第2検知電極ピンA7を共用でき、即ち、複数の第1検知電極部の第2端は1つの第1検知電極ピンに接続され、及び/又は、複数の第2検知電極部の第2端は1つの第2検知電極ピンに接続される。
図3に示すように、
図3は2つのガス検知アセンブリにおけるストリップ検知電極部A323が1ペアの第1検知電極ピンA6及び第2検知電極ピンA7を共用する実施例を示す。
図3における点線枠aと点線枠bで囲まれる2つのガス検知アセンブリにおけるストリップ検知電極部A323は第1検知電極ピンA6-1及び第2検知電極ピンA7-1を共用する(実際にA6-1とA7-1を形成する際に、これらの2つのピンが交差する領域に絶縁膜を設置することができる)。
図3におけるピンの接続方式は一例に過ぎず、前記ピンは外部回路との接続に用いられる。ストリップ検知電極部と検知電極ピンとの間は、直接に接続されてもよく、又はリードを介して接続されてもよい。1つの例示的な実施例において、1つの第1キャビティーA1の開口に設置される全部のストリップ検知電極部A323における1組又は複数組は、1ペアの第1検知電極ピンA6及び第2検知電極ピンA7を共用でき、また、第1検知電極ピンA6及び第2検知電極ピンA7を他のストリップ検知電極部A323共用しない少なくとも1つのストリップ検知電極部A323を含んでもよい。
【0031】
ヒーターは検知電極部の下層に位置する加熱部、及び加熱電極ピンに接続されるリードアウト部を含んでもよい。
図2及び
図3に示すように、リードアウト部は検知電極部とサポートアームを共用できる。又は、
図6及び
図7aに示すように、リードアウト部は自体のサポートアームを備えてもよい。ヒーターを加熱部とリードアウト部に分けることは説明の便利のためのものであり、加熱部とリードアウト部はいずれも前記加熱電極部である。
図3に示す例において、ヒーターのリードアウト部と検知電極部は第1サポートアームL1及び第2サポートアームL2を共用する。前記第1サポートアームL1及び第2サポートアームL2は独立に設置されてもよく、即ち各サポートアームの幅はそれに支持されるストリップ検知電極部とストリップ加熱電極部の幅に等しく、又はそれに支持されるストリップ検知電極部とストリップ加熱電極部の幅よりもやや大きい。他の実施例において、前記第1サポートアームL1及び前記第2サポートアームL2は一体となるように設置されてもよく、即ち、製造する際に、第1サポートアームL1と第2サポートアームL2との間の支持膜部分はエッチングされない。
【0032】
1つの例示的な実施例において、第1検知電極ピンA6及び第2検知電極ピンA7を共用するストリップ検知電極部A323、及び第1検知電極ピンA6及び第2検知電極ピンA7を共用しないストリップ検知電極部A323は、分布配列を行う時に、それぞれ組合わせて対称配列を行うことができ(例えば、第1検知電極ピンA6及び第2検知電極ピンA7を共用する複数のストリップ検知電極部A323は1つの対称形状に組合わせ、第1検知電極ピンA6及び第2検知電極ピンA7を共用しない複数のストリップ検知電極部A323は1つの対称形状に組合わせる)、又は一体となるように組合わせて対称的に配列することができる(例えば、第1検知電極ピンA6及び第2検知電極ピンA7を共用する複数のストリップ検知電極部A323、及び第1検知電極ピンA6及び第2検知電極ピンA7を共用しない複数のストリップ検知電極部A323は一緒に配列され、1つの対称形状を構成する)。
【0033】
1つの例示的な実施例において、1つの第1キャビティーA1の開口に架設される複数の前記サポートアームA31におけるガス検知アセンブリにおけるストリップ検知電極部A323は、1つのヒーターを共用できる。このため、1つの第1キャビティーA1は、第1加熱電極ピンA4及び第2加熱電極ピンA5を含む1ペアの加熱電極ピンを採用できる。第1加熱電極ピンA4及び第2加熱電極ピンA5のうち、1つはグランドピンであってもよく、他の1つは電圧ピンであってもよく、又は、1つは正極ピンであり、他の1つは負極ピンである。
【0034】
1つの例示的な実施例において、各ガス検知アセンブリA3自体は対称的に設置されてもよい。例えば、前記第1検知電極部A323-1と前記第2検知電極部A323-2は互いに対称し、前記第1開口A325は前記第1検知電極部A323-1と前記第2検知電極部A323-2との対称軸(対称軸の位置)に位置してもよい。
【0035】
1つの例示的な実施例において、前記第1検知電極部A323-1と前記第2検知電極部A323-2は、対称的に設置されなくてもよい。
【0036】
1つの例示的な実施例において、
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)、
図4(d)、
図4(e)、
図4(f)、
図4(g)、
図4(h)、
図4(i)及び
図4(j)に示すように、前記第1検知電極部A323-1と前記第2検知電極部A323-2からなる対称形状は、対称ジオメトリ形状、対称字形、対称パターン及び対称的な任意の不規則パターンのうちのいずれか1つ又は複数のものを含んでもよいが、それらに限らない。
【0037】
1つの例示的な実施例において、例えば、前記第1検知電極部A323-1と前記第2検知電極部A323-2は対称弧形を構成してもよく、第1開口A325は弧形の頂点に位置してもよい。例えば、
図4(b)、
図4(j)に示すように、前記第1検知電極部A323-1と前記第2検知電極部A323-2は半円形又はΛ字型等を構成してもよく、第1開口A325は半円形又はΛ字型の頂点に位置してもよい。前記頂点とは、該線形と線形の対称軸との交点を指す。例えば、弧形の頂点とは、弧形の対称軸と弧形との交点を指す。
【0038】
1つの例示的な実施例において、例えば、前記第1検知電極部A323-1と前記第2検知電極部A323-2は下底のない対称台形、長方形又は正方形等を構成してもよい。第1開口A325は対称台形、長方形、正方形等の上底の中間位置に位置してもよい。
図4(a)に示すのは、第1検知電極部A323-1と第2検知電極部A323-2が下底のない対称台形を構成する実施例である。
【0039】
1つの例示的な実施例において、例えば、前記第1検知電極部A323-1と前記第2検知電極部A323-2は対称字形を構成してもよく、第1開口A325は対称点、又は該対称字形自体が対称線部位とする頂点(即ち、字形の対称軸と該字形との交点)に位置してもよい。例えば、前記第1検知電極部A323-1と前記第2検知電極部A323-2は一緒にm、n又はM字型等を構成してもよく、第1開口A325のm、n又はM字型での設置位置は、
図4(g)、
図4(h)、
図4(c)に示すようにしてもよい。
図4(d)、
図4(e)、
図4(f)、
図4(i)に示すのはM字型の変形である。本文に示される図形は一例に過ぎず、他の実施例において他の変形態様であってもよい。
【0040】
1つの例示的な実施例において、
図2、
図5に示すように、前記第1検知電極部A323-1と前記第2検知電極部A323-2が対称ジオメトリ形状(例えば、対称台形、又は等辺台形と呼ばれる)、対称字形(例えば、M字型)を構成できる場合、下記の特徴を有してもよい。
前記第1検知電極部A323-1には第1屈曲点X1が含まれてもよく、前記第1検知電極部A323-1は前記第1屈曲点X1において屈曲を有し、前記第1屈曲点X1により前記第1検知電極部A323-1は第1検知電極セグメントA323-1-1と第2検知電極セグメントA323-1-2に分けられ、
前記第2検知電極部A323-2には第2屈曲点X2が含まれてもよく、前記第2検知電極部A323-2は前記第2屈曲点X2において屈曲を有し、前記第2屈曲点X2により前記第2検知電極部A323-2は第3検知電極セグメントA323-2-1と第4検知電極セグメントA323-2-2に分けられ、
前記第1開口A325は、前記第1検知電極セグメントA323-1-1と前記第3検知電極セグメントA323-2-1との間に設置され、N個のガス検知アセンブリA3における前記第1検知電極セグメントA323-1-1と前記第3検知電極セグメントA323-2-1は一緒に第1形状を構成してもよく、前記第1形状は対称形状であり、
図2に示すように、4つのガス検知アセンブリA3からなる第1形状は正方形であり、
各ガス検知アセンブリA3におけるストリップ加熱電極部A321は、第1検知電極セグメントA323-1-1と前記第3検知電極セグメントA323-2-1の対応位置に設置され、即ち、第1屈曲点X1と第2屈曲点X2との間の領域に設置される。
【0041】
上記実施例では、第1検知電極部A323-1と前記第2検知電極部A323-2が一緒に対称ジオメトリ形状(例えば、対称台形、又は等辺台形と呼ばれる)又は対称字形(例えば、n字型、m字型又はM字型)を構成することを例として屈曲点の位置を説明した。例示的な実施例において、前記屈曲点の位置は対称的なものでなくてもよい。例えば、第1検知電極部と第2検知電極部は非対称的なジオメトリ形状又は非対称的な字型を構成する場合、屈曲点の位置は第1検知電極部と第2検知電極部との間の中線に対して対称しない可能性がある。例示的な実施例において、屈曲点の位置において、検知電極部は形状上の明確な屈曲を有しなくてもよい。例えば、検知電極部は弧形である場合、前記屈曲点は弧形における任意の1つの点であってもよい。
【0042】
1つの例示的な実施例において、第1形状は、任意の隣接する2つのガス検知アセンブリA3における前記第1検知電極セグメントA323-1-1と前記第3検知電極セグメントA323-2-1からなるものであってもよい。前記第1検知電極セグメントA323-1-1と第3検知電極セグメントA323-2-1は、互いに近づくが、連結しないものである。例えば、任意の隣接する2つのガス検知アセンブリA3において、第1ガス検知アセンブリにおける第3検知電極セグメントA323-2-1は、第2ガス検知アセンブリにおける第1検知電極セグメントA323-1-1に近づき、前記第1検知電極セグメントA323-1-1と前記第3検知電極セグメントA323-2-1との距離は所定の距離範囲を満足できる。該距離範囲は需要又はプロセス条件に応じて自主的に定義されてもよく、ここでは制限しない。
【0043】
1つの例示的な実施例において、前記第1検知電極セグメントA323-1-1と前記第3検知電極セグメントA323-2-1は直線を構成してもよい。例えば、
図2に示すように、1つのガス検知アセンブリにおける第1検知電極セグメントA323-1-1と第3検知電極セグメントA323-2-1は同一の直線に位置してもよい。又は、
図8に示すように、隣接する2つのガス検知アセンブリのうち、第1ガス検知アセンブリにおける第3検知電極セグメントと第2ガス検知アセンブリにおける第1検知電極セグメントは同一の直線に位置する。
【0044】
前記第1形状は対称ジオメトリ形状を含んでもよいが、それに限らない。
【0045】
1つの例示的な実施例において、ガス検知アセンブリA3は2つである場合、前記第1形状はV字型又は逆V字型(Λ)であってもよい。
図6に示すように、2つのガス検知アセンブリにおける2ペアの第1検知電極セグメントA323-1-1と第3検知電極セグメントA323-2-1からなる形状はV字型である。
【0046】
1つの例示的な実施例において、ガス検知アセンブリA3は2つ以上である場合、前記第1形状は正多角形(例えば、正三角形、正方形、正五角形、六角形等)であってもよい。例えば、各ガス検知アセンブリA3において、前記第1検知電極セグメントA323-1-1と前記第3検知電極セグメントA323-2-1は、V字型又はΛ字型を構成してもよい。そうすると、複数のガス検知アセンブリA3の検知電極部からなる第1形状は、正多角形(
図8における黒色の線条で示すように)又は丸鋸歯形を含んでもよいが、それに限らない。前記丸鋸歯形は
図7~
図9に示され、
図7aに示すのは3つの鋸歯を含む鋸歯形であり、
図7bに示すのは4つの鋸歯を含む鋸歯形である。
図8に示すのは6つの鋸歯を含む鋸歯形である。
図8における各鋸歯の夾角により、各鋸歯の一部と、隣接する鋸歯の一部は近似直線を構成できるため、該鋸歯形は正六角形と近似する。
図9に示すのは4つの鋸歯を含む鋸歯形である。上記の例は例示のためのものであり、他の実施例において、鋸歯形における鋸歯の個数、及び各鋸歯の夾角は需要に応じて設けられてもよく、本文ではこれを制限しない。
【0047】
1つの例示的な実施例において、ガス検知アセンブリA3は2つ以上である場合、前記第1形状は波状又は近似円形であってもよい。例えば、前記第1検知電極セグメントA323-1-1と前記第3検知電極セグメントA323-2-1は、弧線(例えば、
図10における黒色の太線に示すように、m頂端の波打つ形状であり、又は、
図11における黒色の太線に示すように、n字型の頂端の凸形である)を構成してもよい。そうすると、前記第1形状はリングウェーブを含んでもよいが、それに限らない。例えば、この時、複数のm(又はn)は隣接する場合、m頂端の波打つ形状(又はn字型の頂端の凸形)は順に組合わせて波状を構成してもよく、該波状は端から端まで隣接してリングウェーブを構成してもよい。複数のm字型及び/又はn字型は対称的な第1形状を構成するために、円形又は類円形に囲んでもよく、それにより該波状は端から端まで隣接して円形又は類円形に囲む。更に、例えば、前記第1検知電極セグメントA323-1-1と前記第3検知電極セグメントA323-2-1からなる弧線は類n字型であってもよい。
図12における黒色の太線で示すように、該類n字型の頂端は凹形を有し、複数の類n字型が隣接する場合、n字型の頂端の凹形は順に組合わせて逆波状を構成でき、該逆波状は端から端まで隣接して逆リングウェーブを構成できる。各類n字型の頂端の凹形の弧度を制御すれば、複数の類n字型が隣接する場合、n字型の頂端の凹形は順に組合わせて1つの近似円形を構成できる。
【0048】
1つの例示的な実施例において、前記ヒーターの形状と前記第1形状は同じであってもよい。
【0049】
1つの例示的な実施例において、例えば、前記ヒーターの形状は対称ジオメトリ形状、丸鋸歯形、リングウェーブ又は円形等を含んでもよいが、それらに限らない。例えば、加熱部とリードアウト部を含むヒーターは対称ジオメトリ形状であり、前記加熱部は丸鋸歯形、リングウェーブ又は円形等であってもよい。
【0050】
1つの例示的な実施例において、N個のガス検知アセンブリA3におけるストリップ加熱電極部A321は、N個のガス検知アセンブリA3における前記第1検知電極セグメントA323-1-1と前記第3検知電極セグメントA323-2-1との組合せに対応して第1形状を形成する場合、N個のガス検知アセンブリA3のうちの任意の隣接する2つのガス検知アセンブリA3におけるストリップ加熱電極部A321は互いに接続され、それにより1つのヒーターを構成し、該ヒーターが対応的に構成する第1形状は閉ループと近似する。
【0051】
本文の例示的な実施例に記載の形状、例えば前記正三角形、正方形、正五角形、六角形又は正六角形、m字型、n字型、M字型等とは、近似形状を指す。例えば、前記正三角形、正方形、正五角形、正六角形は近似正三角形、近似正方形、近似正五角形及び近似正六角形の場合を含み、厳密的に辺長が等しい形状であることに限らず、一定の誤差が許容される。
【0052】
1つの例示的な実施例において、前記第1キャビティーA1は複数であってもよく、
図13では2つの第1キャビティーA1を含む実施例を示す。
図13における各キャビティーの開口にはそれぞれ2つのガス検知アセンブリA3が設置され、前記2つのガス検知アセンブリA3はV字型であり、前記2つのガス検知アセンブリにおけるストリップ加熱電極部は一緒に1つのV字型のヒーターを構成し、前記ヒーターは2つの加熱電極ピンに接続される。該実施例において、
図13におけるA4とA5のように、各キャビティーの開口でのヒーターは自体の加熱電極ピンを有する。
【0053】
1つの例示的な実施例において、第1キャビティーが複数であり、且つ各第1キャビティーに複数のガス検知アセンブリが設置される場合、該複数のキャビティーの複数のガス検知アセンブリにおける加熱電極部は加熱電極ピンを共用できる。
図14に示すように、複数の第1キャビティーA1に対応するヒーターは互いに接続され、1つの総ヒーターA9を構成する。
【0054】
これから分かるように、1つの第1キャビティーA1の開口に設置される全部のガス検知アセンブリA3は1つのヒーターを共用できる。前記第1キャビティーA1は複数である場合、複数の第1キャビティーA1に対応するヒーターは互いに接続されて、1つの総ヒーターA9を構成できる。複数の第1キャビティーA1の開口に設置される全部のガス検知アセンブリA3は、該総ヒーターA9を共用できる。該総ヒーターA9の形状は複数のヒーターの形状からなる組合せ形状である。
【0055】
1つの例示的な実施例において、空間を節約するために、検知電極ピンは共用できる。
図14に示す2つの第2検知電極ピンA7-2は1つのピンに合併して、ピンの共用を実現でき、2つの第1検知電極ピンA6-2は1つのピンに合併して、ピンの共用を実現できる。
【0056】
1つの例示的な実施例において、1つの第1キャビティーA1の開口でのガス検知アセンブリにおけるヒーターA8の第1加熱電極ピンA4と第2加熱電極ピンA5は、1ペアの第1検知電極ピンA6と第2検知電極ピンA7とそれぞれサポートアーム(例えば、サポートアームにおいて第1基板に接続される1つのセグメント、例えば、屈曲点を有するサポートアームにおける第2検知電極セグメントA323-1-2と前記第4検知電極セグメントA323-2-2に対応するセグメント)を共用してリードアウトされる。同様に、複数の第1キャビティーA1の開口での総ヒーターA9の第1加熱電極ピンA4と第2加熱電極ピンA5は、任意の1つの第1キャビティーA1の開口での1ペアの第1検知電極ピンA6及び/又は第2検知電極ピンA7と1つのサポートアームを共用してリードアウトされることができる。又は、複数の第1キャビティーA1の開口での総ヒーターA9の第1加熱電極ピンA4と第2加熱電極ピンA5は、任意の複数の第1キャビティーA1の開口での任意の1つの第1検知電極ピンA6及び第2検知電極ピンA7と1つのサポートアームを共用してリードアウトされることができる。
【0057】
上記実施例の方案により、ガスセンサーの製造過程におけるサポートアームの形成数量を減少して、プロセスを簡素化することができる。
【0058】
下記の例示的な実施例では、正多角形のMEMSガスセンサーの実施例を示す。前記のように、ここに記載の正多角形は近似正多角形の場合を含む。
【0059】
例示的な実施例において、正多角形のMEMSガスセンサーは1つの第1キャビティーA1を備えてもよい。該1つの第1キャビティーA1の開口にはN個、例えば6つのガス検知アセンブリA3が設置されてもよく、対応的にN個のサポートアームA31が設置されてもよく、各サポートアームA31には1つのガス検知部A32が設置されてもよい。
【0060】
例示的な実施例において、該サポートアームA31は第1基板A2に形成される支持膜の一部であってもよく、即ち支持膜は第1キャビティーの開口での領域に架設される。
【0061】
例示的な実施例において、正多角形のMEMSガスセンサーは、N個のガス検知部A32における複数のストリップ検知電極部A323に対応するNペアの第1検知電極ピンA6及び第2検知電極ピンA7を備えてもよい。例えば、第1キャビティーA1の開口に設置される6つのサポートアームA31における検知電極部に対して、基板においてそれぞれ各検知電極部のために1ペアの第1検知電極ピンA6及び第2検知電極ピンA7を設置し、検知電極部と第1検知電極ピン及び第2検知電極ピンとの間にはそれぞれ検知電極リードを介して接続される。
【0062】
例示的な実施例において、N個(例えば、6つ)のガス検知部A32におけるN個(6つ)のストリップ加熱電極部A321は順に接続され、1つのヒーターA8を構成する。
【0063】
例示的な実施例において、1つの第1キャビティーA1の開口には1つのヒーターA8のみがある。そうすると、正多角形のMEMSガスセンサーは、該1つのヒーターA8に接続される1ペアの第1加熱電極ピンA4及び第2加熱電極ピンA5を備えてもよく、第1加熱電極ピンA4及び第2加熱電極ピンA5は加熱電極リードを介して、それぞれヒーターA8の2つの端子に接続される。
【0064】
例示的な実施例において、正多角形のMEMSガスセンサーにおける各ストリップ検知電極部A323における前記第1検知電極部A323-1は、第1屈曲点X1を備えてもよく、前記第2検知電極部A323-2は第2屈曲点X2を備えてもよい。各ストリップ検知電極部A323における第1検知電極セグメントA323-1-1と第3検知電極セグメントA323-2-1は、1本の直線(又は直線に近似する線)に設置されてもよく、N個(例えば、6つ)のガス検知アセンブリA3における第1検知電極セグメントA323-1-1と第3検知電極セグメントA323-2-1からなる第1形状は、正多角形(又は近似正多角形)、例えば正六角形(開ループ)であってもよい。
【0065】
例示的な実施例において、正多角形のMEMSガスセンサーにおけるヒーターA8の形状は、閉ループの正六角形であってもよい。
【0066】
例示的な実施例において、
図15に示すように、正多角形のMEMSガスセンサーは、ガス感応材料層1(ガス感応材料部A324の所在する層)、ガス検知電極層2(ストリップ検知電極部A323、第1検知電極ピンA6及び第2検知電極ピンA7の所在する層)、隔離膜層3(ストリップ加熱電極部A321とストリップ検知電極部A323との間の絶縁層A322の所在する層)、ヒーター層4(ストリップ加熱電極部A321、第1加熱電極ピンA4及び第2加熱電極ピンA5の所在する層)、支持膜層5(サポートアームA31の所在する層)及び基板層6(第1基板A2の所在する層)を備えてもよい。
【0067】
例示的な実施例において、正六角形のMEMSガスセンサーは6つの有効なガスセンサーを有する。
【0068】
該実施例は多角形構造を採用して、細長い辺をガスセンサーの感知部位とすることにより、消費電力を大幅に低減する。6つのガスセンサーは1つの閉ループのヒーターを共用するため、5つのヒーターを減少し、それによりヒーターの金属線から伝導された熱量が少なくなり、消費電力を低減でき、そしてヒーターの占める面積を効果的に減少して、センサーの集積度を向上させることができる。
【0069】
例示的な実施例において、正六角形のMEMSガスセンサーの領域は正六角形の6本の辺7(即ち、6ペアの第1検知電極セグメントA323-1-1と第3検知電極セグメントA323-2-1)と6本のビーム8(即ち、6ペアの第2検知電極セグメントA323-1-2と第4検知電極セグメントA323-2-2であり、該例示では、1ペアの第2検知電極セグメントA323-1-2と第4検知電極セグメントA323-2-2は1つのビームを共用する)で構成されてもよい。6本の辺7は6本のビーム8により支持され、6本のビーム8は6本の辺と基板(例えば、シリコン基板)を接続し、それにより構造の安定性を確保する。前記実施例におけるサポートアームは該例示における辺とビームを含む。
【0070】
例示的な実施例において、辺7とビーム8の幅は実際の需要に応じて自主的に定義されてもよく、ここでは制限しない。例えば、各ビーム8の幅は各辺7の幅の1.5~2.5倍であってもよい。例えば、各ビーム8の幅は各辺7の幅の2倍であってもよい。
【0071】
例示的な実施例において、6つのガス検知部A32は6本の辺7に設置され、棒状の辺をガスセンサーの感知部位とすることにより、熱質量が小さく、消費電力が低い。
【0072】
例示的な実施例において、正六角形はすべての正多角形と同様に対称性を有するため、ガス検知アセンブリを正六角形の各辺に設置することにより、各ガス検知アセンブリの温度分布が基本的に一致に維持することを確保できる。
【0073】
図16に示すのは正六角形のガスセンサーの温度分布シミュレーション結果の模式図である。
図16において、黒色に近いほど、領域の温度が高くなるため、高温領域は各辺の中心領域である。
【0074】
例示的な実施例において、ガス感応材料11とガス感応材料11を格納するための電極検知部位22(即ち、第1開口A325)は、いずれも各辺7の中間領域に設置されてもよい。
図18に示すように、前記電極検知部位22は各辺7の中間位置に設置されてもよい。
【0075】
例示的な実施例において、前記ガス感応材料11は前記電極検知部位22の位置をカバーしてもよい。例えば、第1検知電極部と第2検知電極部との間の第1開口A325をカバーしてもよく、又は該第1開口A325の内部に充填されてもよく、それぞれ第1検知電極部及び第2検知電極部との有効な電気的な接続を確保すればよい。
【0076】
図17では正六角形のガスセンサーの6つのガス感応材料11-1、11-2、11-3、11-4、11-5及び11-6の分布の模式図を示す。該6つのガス感応材料は同一種類の材料又は異なる種類の材料であってもよく、それにより6つの同一種類又は異なる種類のガスセンサーを形成する。
【0077】
例示的な実施例において、6本の辺の位置でのガス感応材料はいずれも異なってもよい。又は、少なくとも2本の辺の位置でのガス感応材料は同じである。6本の辺の位置でのガス感応材料はいずれも異なる場合、6種類の異なるガスの検知に用いられ得る6種類のガスセンサーに相当する。
【0078】
例示的な実施例において、それぞれ異なるガス感応材料が設置される6つのガス検知アセンブリは組合わせて使用される場合、より多くの種類のガスを検知できる。
【0079】
1つの例示的な実施例において、正六角形のMEMSガスセンサーにおける6つのガス感応材料11-1、11-2、11-3、11-4、11-5及び11-6は、同一種類の材料又は異なる種類の材料であってもよく、それにより6つの同一種類又は異なる種類のガスセンサーを形成する。
【0080】
例示的な実施例において、ガス感応材料11は、酸化スズ、酸化インジウム、酸化タングステン及び酸化亜鉛のうちのいずれか1つ又は複数のものを含んでもよいが、それに限らない。
【0081】
前記のように、N本の辺はN個の独立の同一種類又は異なる種類のガスセンサーを形成できる。1つの正N角形のガスセンサーにはN個のそれぞれ設置される有効なガスセンサーがある。同一種類又は異なるガス感応材料を添加することにより、同一種類又は異なる種類のガスセンサーアレイを容易に形成し得る。センサーアレイの形成に有利であり、複数種類のガスの識別応用に役立つ。
【0082】
例示的な実施例において、
図18に示すように、ガス検知電極層2にはガス検知電極21(即ち、ストリップ検知電極部A323)、電極検知部位22(即ち、
第1開口A325)、第1電極ピン23(即ち、第1検知電極ピンA6)及び第2電極ピン24(即ち、第2検知電極ピンA7)が設置される。第1電極ピン23及び第2電極ピン24は直接に、又は検知電極リードを介して、ガス検知電極21に接続される。各ガス検知電極21は電極検知部位22に位置するガス感応材料11に電気的に接続されて、ガス検知回路を形成する。
【0083】
該例示的な実施例において、正六角形のMEMSガスセンサーにとって、6つのガス検知アセンブリを含んでもよい。
図4(a)に示すように、各ガス検知アセンブリのキャビティーの開口での形状は台形に類似してもよい。他の例示的な実施例において、
図2、
図3に示すように、4つのガス検知アセンブリを含む場合、正方形のMEMSガスセンサーを形成できる。図面において、各ガス検知アセンブリは等辺台形に類似する。ストリップ検知電極部A323は該等辺台形における上底及び2つの側辺の位置に設置され、ガス感応材料部A324は該等辺台形の上底の第1開口A325(電極検知部位22)に設置される。
【0084】
図19に示すのは前記隔離膜層3の模式図である。前記隔離膜層3はガス検知電極層2と前記ヒーター層4を隔離することに用いられる。前記隔離膜層3は1つの第1絶縁膜31により形成されてもよい。前記第1絶縁膜31には第1ウィンドウ32と第2ウィンドウ33が設置されて、隔離膜層3が形成される。
前記第1ウィンドウ32は、ヒーター41の加熱電極ピンを露出させることに用いられ、
前記第2ウィンドウ33はエッチングウィンドウであり、例えば第2形状に設置されてもよい。前記第2形状は複数(例えば、6つ)の等辺台形の中空部分が前記隔離膜層3に垂直投影することにより形成される形状であり、
図19における6つの第2ウィンドウ33の間の領域のように、隔離膜層3に垂直投影される際に、該形状は第2ウィンドウ33を決定できる。
【0085】
該第2ウィンドウにより、例えば湿式エッチングを利用してキャビティーを形成してもよい。前記第2ウィンドウ33は第1形状を形成するための湿式エッチングウィンドウである。該第2ウィンドウは複数のサブウィンドウを含んでもよい。サブウィンドウの数量は、MEMSセンサーにおけるガス検知アセンブリの数量、及びこれらのガス検知アセンブリからなる形状により決められる。
【0086】
該例示的な実施例において、ヒーター層4には1つのヒーターアセンブリが設置される。
図20に示すように、前記ヒーターアセンブリは1つのヒーター41(即ち、前記ヒーターA8)、及び前記ヒーター41の両端に接続される加熱電極42を含んでもよい。ヒーター41は加熱電極リードを介して加熱電極に接続されてもよい。前記ヒーター41はリングヒーターであってもよく、設置位置は正六角形構造に対応してもよい。
【0087】
例示的な実施例において、正多角形構造を採用すれば、ヒーター41は細長い金属線により形成される多角形のヒーターであってもよく、1つのガス検知部あたり1本のビームのみにより熱量が伝導され、全体の消費電力が低い。
【0088】
該例示的な実施例において、
図21に示すように、前記支持膜層5は1つの第2絶縁膜51から形成されてもよい。前記第2絶縁膜51には例えばエッチングの方式で第3形状体52が形成されてもよい。前記第3形状体52の形状は第2形状の形状と同じである。
【0089】
該例示的な実施例において、支持膜層5に設置される支持膜は絶縁膜(即ち、第2絶縁膜51)であり、第3形状体52は湿式エッチングウィンドウであり、エッチングしてキャビティーを形成することに用いられる。
【0090】
例示的な実施例において、
図22に示すように、基板層6は中空溝62(即ち、第1キャビティーA1)が設置される基板61(即ち、第1基板A2)を含んでもよい。該基板61は<100>結晶配向のシリコン基板であってもよく、中空溝62は湿式エッチングによる中空溝であってもよく、ガスセンサーの断熱に用いられる。
【0091】
例示的な実施例において、該中空溝62の構造形状は、直円柱体、斜円柱体、直円台形体(上底面と下底面の面積が異なる円柱体であり、即ち、側面が上底面及び下底面に垂直しない)、斜円台形体、多角形体(例えば、長方体、正方体、正六角形体等)、斜多角形体、正多角形体、多角台形体(上底面と下底面の面積が異なる円柱体であり、即ち、側面が上底面及び下底面に垂直しない)、正多角台形体、斜多角台形体、側面が任意の曲面である台形体、上底面及び/又は下底面が任意形状である台形体、側面が任意の曲面であり且つ上底面及び/又は下底面が任意形状である台形体等に設置されてもよくが、それらに限らない。
【0092】
一方で、本開示の実施例はMEMSガスセンサーアレイBを更に提供し、
図23に示すように、前記センサーアレイBは上記のいずれか1つの実施例に記載のMEMSガスセンサーAを含んでもよい。
【0093】
1つの例示的な実施例において、該ガスセンサーアレイBは複数のガスセンサーを含んでもよい。少なくとも1つのガスセンサーは上記実施例に記載のMEMSガスセンサーである。
【0094】
例えば、1つのガスセンサーアレイBは全部で5つのガスセンサーを含み、そのうちの2つのガスセンサーは本開示の実施例に記載のMEMSガスセンサーであり、又は、これらの5つのガスセンサーは全部で本開示の実施例に記載のMEMSガスセンサーである。上記の数量は例示に過ぎず、本文は1つのガスセンサーアレイBに含まれる本開示の実施例に記載のMEMSガスセンサーの数量を制限せず、含まれる本開示の実施例に記載のMEMSガスセンサーの分布領域、配列方式、及び他のガスセンサーとの接続関係等についても制限しない。
【0095】
更に、本開示の実施例はMEMSガスセンサーの製造方法を提供し、前記MEMSガスセンサーは上記のいずれか1つの実施例に記載のMEMSガスセンサーである。
図24に示すように、前記方法はステップS11~S14を含んでもよい。
【0096】
ステップS11では、第1基板を用意する。
【0097】
例示的な実施例において、前記第1基板は例えばシリコン基板であってもよい。
【0098】
ステップS12では、前記第1基板の第1表面において支持膜を形成する。
【0099】
1つの例示的な実施例において、前記第1基板の第1表面において支持膜を形成することは、前記第1基板の第1面に第1所定厚さの第1ケイ素化合物の単層膜又は複合膜を前記支持膜として堆積することを含んでもよい。
【0100】
例えば、酸化ケイ素膜、又は窒化ケイ素膜、又は酸化ケイ素層及び窒化ケイ素層からなる複合膜であってもよい。1セットの酸化ケイ素層及び窒化ケイ素層であってもよく、複数セットの酸化ケイ素層及び窒化ケイ素層であってもよい。
【0101】
1つの例示的な実施例において、前記方法は更に、前記第1基板の第1面において前記支持膜を形成した後、前記第1基板の第2面(例えば、第1表面に対向する表面)に、第2所定厚さの第2ケイ素化合物を保護膜として堆積することを含んでもよい。
【0102】
ステップS13では、前記支持膜においてガス検知部、第1加熱電極ピン、第2加熱電極ピン、第1検知電極ピン、第2検知電極ピン及び1つのヒーターを形成する。
【0103】
1つの例示的な実施例において、
図25に示すように、前記支持膜においてガス検知部、第1加熱電極ピン、第2加熱電極ピン、第1検知電極ピン及び第2検知電極ピンを形成することは、ステップS131~S134を含んでもよい。
【0104】
ステップS131では、前記支持膜においてガス検知部におけるストリップ加熱電極部、第1加熱電極ピン及び第2加熱電極ピンを形成し、全部のストリップ加熱電極部は順に接続されて、1つのヒーターを構成する。
【0105】
選択肢として、1つの例示的な実施例において、加熱電極部と第1加熱電極ピンとの間にリードを更に形成してもよく、及び/又は、加熱電極部と第2加熱電極ピンとの間にリードを形成する。リードを形成するかどうかは、加熱電極部とピンとの距離により決定されてもよい。
【0106】
1つの例示的な実施例において、上記ステップS131は、
支持膜における1つ又は複数の第1領域に第3所定厚さの金属体を前記ストリップ加熱電極部として堆積して、前記第1領域以外の1つ又は複数の第2領域に第3所定厚さの金属体を第1加熱電極ピン及び第2加熱電極ピンとして堆積し、全部の前記ストリップ加熱電極部は順に接続されて、1つのヒーターを構成することを含んでもよい。
【0107】
選択肢として、1つの例示的な実施例において、第1加熱電極ピンと加熱電極部との間にリードを更に形成してもよく、及び/又は、第2加熱電極ピンと加熱電極部との間にリードを形成する。
【0108】
ステップS132では、前記第1基板において、前記ストリップ加熱電極、前記第1加熱電極ピン及び第2加熱電極ピンの上層に隔離膜を形成し、前記ストリップ加熱電極部における隔離膜はストリップ加熱電極部とストリップ検知電極部との間の絶縁層(ストリップ絶縁層)を構成する。
【0109】
前記第1基板において、前記ストリップ加熱電極、前記第1加熱電極ピン及び第2加熱電極ピンの上層に隔離膜を形成することは、
前記第1基板において、前記ストリップ加熱電極、前記第1加熱電極ピン及び第2加熱電極ピンの上層に第4所定厚さの第3ケイ素化合物を隔離膜として堆積することを含んでもよい。
【0110】
ステップS133では、前記ストリップ加熱電極の上方の絶縁層においてストリップ検知電極部を形成して、前記隔離膜における非絶縁層の領域において第1検知電極ピンと第2検知電極ピンを形成し、前記ストリップ検知電極部は第1検知電極部と第2検知電極部を含み、前記第1検知電極部と前記第2検知電極部との間には第1開口が設置される。
【0111】
選択肢として、1つの例示的な実施例において、検知電極ピンと検知電極部との間にリードを更に形成してもよく、及び/又は、第2グランドピンと検知電極部との間にリードを形成する。
【0112】
前記ストリップ加熱電極の上方の絶縁層においてストリップ検知電極部を形成して、前記隔離膜における非絶縁層の領域において第1検知電極ピンと第2検知電極ピンを形成することは、
前記絶縁層の第1部分に第5所定厚さの導体を前記第1ストリップ検知電極部として堆積し、前記絶縁層の第2部分に第5所定厚さの導体を前記第2ストリップ検知電極部として堆積し、選択肢として、第1ストリップ検知電極部と第2ストリップ検知電極部を同時に堆積してもよく、前記絶縁層は前記第1部分、前記第2部分及び第3部分を含み、前記第3部分は前記第1部分と前記第2部分との間に位置し、前記第1開口に対応することを含んでもよい。
【0113】
1つの例示的な実施例において、前記ストリップ加熱電極の上方の絶縁層においてストリップ検知電極部を形成して、前記隔離膜における非絶縁層の領域において第1検知電極ピンと第2検知電極ピンを形成した後、前記方法は更に、前記第1加熱電極ピン及び第2加熱電極ピンの上方の隔離膜を加工して、前記第1加熱電極ピン及び前記第2加熱電極ピンを露出させることを含んでもよい。1つの例示的な実施例において、フォトリソグラフィプロセス及び/又は乾式エッチングプロセスを採用して、前記第1加熱電極ピンと第2加熱電極ピンの上方の隔離膜を加工(エッチング)してもよい。
【0114】
ステップS134では、前記第1開口にガス感応材料部を形成する。
【0115】
前記ガス感応材料部は気相法、液相法又は固相法により製造されてもよい。該ステップはステップS14の後に、即ちキャビティーのエッチングの後に製造してもよい。
【0116】
ステップS14では、前記支持膜を加工してサポートアームを取得し、前記第1基板の第1表面において1つ又は複数の第1キャビティーを形成する。
【0117】
1つの例示的な実施例において、前記支持膜を加工してサポートアームを取得することは、前記支持膜において乾式エッチングプロセス(例えば、反応性イオンエッチング)を採用して、少なくとも2つの中空形状を形成して、前記サポートアーム(2つの中空形状の間に位置する)を形成することを含んでもよい。
【0118】
1つの例示的な実施例において、前記第1基板の第1表面において1つ又は複数の第1キャビティーを形成することは、前記第1基板において所定化合物の異方性エッチング液を採用して前記第1キャビティーを形成することを含んでもよい。
【0119】
例えば、エッチングの時、前記キャビティーが第1基板を貫くようにし、又は、前記キャビティーの深さを制御して、前記ガス検知アセンブリと前記キャビティーの底部との間に断熱のための隙間を保留することができる。
【0120】
1つの例示的な実施例において、エッチングの時、層ごとに隔離膜と支持膜を一度エッチングすることができる。
【0121】
以下、1つの例示的な実施例で、上記MEMSガスセンサーの製造方法を説明する。該例示的な実施例において、
図26に示すように、順にシリコン基板層、支持膜層、ヒーター層、隔離膜層、ガス検知電極層及びガス感応材料層を製造し、ステップS21~S29を含んでもよい。
【0122】
ステップS21では、シリコン基板を選択して第1基板を製作し、該第1基板はシリコン基板層を含んでもよいがそれに限らず、前記シリコン基板は片面研磨又は両面研磨シリコンウェーハを含んでもよい。
【0123】
該例示的な実施例において、<100>結晶配向の片面研磨又は両面研磨シリコンウェーハを基板として選択してもよい。
【0124】
ステップS22では、前記第1基板の第1面に第1所定厚さの第1ケイ素化合物の単層膜又は複合膜を支持膜として堆積し、支持膜層を形成し、前記第1基板の第2面に第2所定厚さの第2ケイ素化合物を保護膜として堆積する。
【0125】
1つの例示的な実施例において、前記第1所定厚さは1.5ミクロン~2.5ミクロンを含んでもよく、前記第1ケイ素化合物は酸化ケイ素及び/又は窒化ケイ素を含んでもよい。前記第2所定厚さは200ナノ~500ナノを含んでもよく、前記第2ケイ素化合物は窒化ケイ素を含んでもよい。
【0126】
該例示的な実施例において、シリコンウェーハの正面(即ち上記の第1面であり、通常は研磨面であり、非研磨面であってもよい)において、PECVD(plasma enhanced chemical vapor deposition、プラズマ増強化学気相堆積)又はLPCVD(low pressure chemical vapor deposition、低圧化学気相堆積)により、第1ケイ素化合物(例えば、酸化ケイ素及び窒化ケイ素)の単層膜又は複合膜を支持膜として堆積してもよく、総厚さ(即ち、上記第1所定厚さ)は2ミクロンであってもよい。
【0127】
1つの例示的な実施例において、シリコンウェーハの裏面(即ち上記の第2面であり、通常は非研磨面であり、研磨面であってもよい)において、PECVD又はLPCVDにより、200ナノ~500ナノ(第2所定厚さ)の第2ケイ素化合物(例えば、窒化ケイ素)を湿式エッチングの保護膜として堆積してもよい。
【0128】
該保護膜は第1基板の1つの面又は複数の面に設置されてもよい。
【0129】
ステップS23では、支持膜に第3所定厚さの金属体をヒーターとして堆積し、ヒーター層を形成する。
【0130】
1つの例示的な実施例において、前記第3所定厚さは150ナノ~250ナノを含んでもよく、前記金属体材料はプラチナを含んでもよい。
【0131】
1つの例示的な実施例において、フォトリソグラフィプロセス及び金属コーティングプロセスを採用して、支持膜に第3所定厚さ(例えば、200ナノ)の金属体(例えば、プラチナ)を堆積して、ヒーター層を形成してもよい。
【0132】
前記フォトリソグラフィプロセスは紫外線リソグラフィであってもよく、コーティングプロセスは、電子ビーム蒸着コーティング又はマグネトロンスパッタリングコーティングであってもよい。
【0133】
ステップS24では、前記ヒーター層に第4所定厚さの第3ケイ素化合物を隔離膜として堆積し、隔離膜層を形成する。
【0134】
1つの例示的な実施例において、前記第4所定厚さは350ナノ~500ナノを含んでもよく、前記第3ケイ素化合物は窒化ケイ素を含んでもよい。
【0135】
1つの例示的な実施例において、PECVDを採用して第4所定厚さ(例えば、350ナノ~500ナノ)の第3ケイ素化合物(例えば、窒化ケイ素)を隔離膜として堆積してもよい。
【0136】
ステップS25では、隔離膜に第5所定厚さの導体をガス検知電極として堆積し、ガス検知電極層を形成する。
【0137】
1つの例示的な実施例において、前記第5所定厚さは150ナノ~250ナノを含んでもよく、前記金属体はプラチナ又は金を含んでもよい。
【0138】
1つの例示的な実施例において、ステップS133に記載のプロセスを採用してガス検知電極層を製作してもよい。即ち、隔離膜に第5所定厚さ(例えば、200ナノ)の導体を検知電極として堆積し、検知電極材料はプラチナ又は金であってもよい。
【0139】
ステップS26では、前記隔離膜において加工して、ヒーターの加熱電極ピン領域を露出させる。
【0140】
1つの例示的な実施例において、フォトリソグラフィプロセス及び乾式エッチングプロセスを採用して加工し、ヒーターの加熱電極ピン領域を露出させてもよい。乾式エッチングプロセスは反応性イオンエッチング(RIE)又は誘導結合プラズマエッチング(ICP-Etch)であってもよい。
【0141】
ステップS27では、所定の加工プロセスを採用して、前記隔離膜において正多角形のセンサーの辺とビーム構造を加工し得て、同時にエッチングウィンドウを形成する。
【0142】
1つの例示的な実施例において、前記所定の加工プロセスはフォトリソグラフィプロセス及び/又は乾式エッチングプロセスを含んでもよい。即ち、フォトリソグラフィプロセス及び乾式エッチングプロセス(RIE又はICP-Etch)を採用して、正多角形のMEMSガスセンサーの辺とビーム構造を形成してもよい。
【0143】
ステップS28では、所定化合物の異方性エッチング液を採用して、エッチングウィンドウによりシリコン基板に中空溝を形成する。
【0144】
1つの例示的な実施例において、前記所定化合物は、水酸化カリウム(KOH)又は水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)溶液を含んでもよい。即ち、水酸化カリウム又は水酸化テトラメチルアンモニウム溶液等のシリコンの異方性エッチング液を採用して辺とビーム構造を形成し、同時にシリコン基板に中空溝を形成してもよい。
【0145】
ステップS29では、前記電極検知部位にガス感応材料を添加する。
【0146】
1つの例示的な実施例において、該ステップはステップS27又はS28の前に実施されてもよい。
【0147】
電極検知部位に半導体ガス感応材料、例えば酸化スズ、酸化インジウム、酸化タングステン又は酸化亜鉛等を添加してもよい。
【0148】
以上は本開示の実施例に過ぎず、本開示の保護範囲を制限するためのものではない。当業者が理解できるように、本開示の実施例の技術方案の精神と範囲を逸脱せずに、本開示の実施例の技術方案に対して変更又は等同置換を行うことができる。それらの変更又は等同置換はいずれも本願の請求項の範囲に含まれるべきである。