IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 厚元技術(香港)有限公司の特許一覧 ▶ アキュラ エレクトロニック テクノロジーズ プライベート リミテッドの特許一覧 ▶ アクルア テクノロジー インクの特許一覧 ▶ アキュラ コミュニケーション エレクトロニック カンパニー プライベート リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-MEMS構造に基づく可変キャパシタ 図1
  • 特許-MEMS構造に基づく可変キャパシタ 図2
  • 特許-MEMS構造に基づく可変キャパシタ 図3
  • 特許-MEMS構造に基づく可変キャパシタ 図4
  • 特許-MEMS構造に基づく可変キャパシタ 図5
  • 特許-MEMS構造に基づく可変キャパシタ 図6
  • 特許-MEMS構造に基づく可変キャパシタ 図7
  • 特許-MEMS構造に基づく可変キャパシタ 図8
  • 特許-MEMS構造に基づく可変キャパシタ 図9
  • 特許-MEMS構造に基づく可変キャパシタ 図10
  • 特許-MEMS構造に基づく可変キャパシタ 図11
  • 特許-MEMS構造に基づく可変キャパシタ 図12
  • 特許-MEMS構造に基づく可変キャパシタ 図13
  • 特許-MEMS構造に基づく可変キャパシタ 図14
  • 特許-MEMS構造に基づく可変キャパシタ 図15
  • 特許-MEMS構造に基づく可変キャパシタ 図16
  • 特許-MEMS構造に基づく可変キャパシタ 図17
  • 特許-MEMS構造に基づく可変キャパシタ 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】MEMS構造に基づく可変キャパシタ
(51)【国際特許分類】
   H01G 5/16 20060101AFI20240227BHJP
   H01G 5/011 20060101ALI20240227BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20240227BHJP
   H01G 5/01 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
H01G5/16
H01G5/011
B81B3/00
H01G5/01 B
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2023512259
(86)(22)【出願日】2020-08-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-02
(86)【国際出願番号】 CN2020110778
(87)【国際公開番号】W WO2022027738
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2022-11-08
(31)【優先権主張番号】202010771747.2
(32)【優先日】2020-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522437717
【氏名又は名称】厚元技術(香港)有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】522248722
【氏名又は名称】アキュラ エレクトロニック テクノロジーズ プライベート リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】522437728
【氏名又は名称】アクルア テクノロジー インク
(73)【特許権者】
【識別番号】522437739
【氏名又は名称】アキュラ コミュニケーション エレクトロニック カンパニー プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100142365
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】孟慶南
【審査官】清水 稔
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-253155(JP,A)
【文献】特開2003-282359(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0171097(US,A1)
【文献】西元琢真、山下喜市、大畠賢一,CS2-1 低電圧駆動・広ダイナミックレンジMEMS可変キャパシタ,電子情報通信学会2007年総合大会講演論文集 エレクトロニクス1,日本,社団法人電子情報通信学会,2007年03月07日,S-29
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 5/16
H01G 5/011
B81B 3/00
H01G 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下電極板(A)、可動電極板(B)、上電極板(C)、固定装置(D)及び接続線導体(E)を含み、前記固定装置(D)の下端は、下電極板(A)に固定接続され、固定装置(D)の上端は、上電極板(C)に固定接続され、前記可動電極板(B)には、固定装置(D)と嵌合して自由に平行移動可能な構造(B4)が設けられており、可動電極板(B)は、構造(B4)によって固定装置(D)に取付けられ、かつ固定装置(D)に沿って上下に移動可能であり、
前記下電極板(A)には下部電極(A1)が設けられており、前記可動電極板(B)には可動電極(B1)及び調整電極(B2)が設けられており、
前記下部電極(A1)と可動電極(B1)はセルキャパシタを構成し、下部電極(A1)と可動電極(B1)との間は誘電体によって分離されており、
前記上電極板(C)には上部電極(C1)、調整電極(C2)が設けられており、前記接続線導体(E)の両端は、それぞれ上部電極(C1)、可動電極(B1)に電気的に接続され、
前記調整電極(C2)と調整電極(B2)は調整ユニットを構成し、調整電極(C2)と調整電極(B2)との間は誘電体によって分離されており、
前記下部電極(A1)は、作動状態に常に作動電圧が印加されており、作動電圧は可動電極(B1)に静電吸引力を発生させ、調整電極(C2)に印加される可変電圧または調整電極(C2)の面積、間隔、材料を制御することによって、調整電極(C2)の調整電極(B2)に対する静電吸引力を調節し、可動電極板(B)は、下部電極(A1)の吸引力と調整電極(C2)の吸引力の大きさ関係によって変化され、それにより、可動電極板Bが固定装置(D)に沿って上下に移動してキャパシタの容量値を調整するようにする、ことを特徴とするMEMS構造に基づく可変キャパシタ。
【請求項2】
前記下部電極(A1)と可動電極(B1)はセルキャパシタを構成し、前記下部電極(A1)には、下部電極(A1)と可動電極(B1)とを分離させるための誘電体層(A2)が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載のMEMS構造に基づく可変キャパシタ。
【請求項3】
前記調整電極(C2)と調整電極(B2)は調整ユニットを構成し、調整電極(C2)には、調整電極(C2)と調整電極(B2)とを分離させるための誘電体層(C3)が設けられており、調整電極(C2)は可動電極(B1)及び下部電極(A1)と重ならず、調整電極(B2)は上部電極(C1)及び下部電極(A1)と重ならない、ことを特徴とする請求項1に記載のMEMS構造に基づく可変キャパシタ。
【請求項4】
前記下電極板(A)は誘電体材料で構成され、下電極板(A)の誘電体材料の表面には金属導体が覆われたり、嵌め込まれたりして下部電極(A1)を形成し、下部電極(A1)の表面には、下部電極(A1)と可動電極(B1)とを分離させると共に、キャパシタの容量値及びQ値を調整可能な単層または多層の誘電体材料層(A2)が設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載のMEMS構造に基づく可変キャパシタ。
【請求項5】
前記可動電極板(B)は誘電体材料で構成され、可動電極板(B)の中央部には、固定装置と嵌合して自由に平行移動可能な構造(B4)が設けられ、可動電極板自体または構造(B4)によって固定装置(D)に外嵌めされており、可動電極板(B)の誘電体材料の表面には、金属導体が覆われたり、嵌め込まれたりして可動電極(B1)及び調整電極(B2)を形成し、調整電極(B2)は、可動電極(B1)の外周に分布されて誘電体によって互いに分離されており、可動電極(B1)は、下部電極(A1)及び上部電極(C1)と同じ形状で垂直面に整列されており、調整電極(B2)及び調整電極(C2)は同じ形状で垂直面に整列される、ことを特徴とする請求項1に記載のMEMS構造に基づく可変キャパシタ。
【請求項6】
前記上電極板(C)は誘電体材料で構成され、上電極板(C)の誘電体材料の表面には金属導体が覆われたり、嵌め込まれたりして上部電極(C1)を形成し、上部電極(C1)の外周の誘電体材料の表面には金属導体が覆われたり、嵌め込まれたりして調整電極(C2)を形成し、上部電極(C1)と調整電極(C2)とは誘電体材料により分離され、調整電極(C2)の表面には誘電体層(C3)が設けられており、上電極板(C)には制御層(C4)が設けられており、調整電極(C2)は制御層(C4)におけるスイッチの一端に接続され、スイッチの他端は可変セルキャパシタの可変電圧ピンに接続される、ことを特徴とする請求項1に記載のMEMS構造に基づく可変キャパシタ。
【請求項7】
前記固定装置(D)は、一端が上電極板(C)の上部電極(C1)に固定され、他端が下電極板(A)の下部電極(A1)に固定され、上電極板(C)及び下電極板(A)を支持し、上電極板と下電極板との平行を維持し、当該固定の方法には、溶接、圧接、接着が含まれる、ことを特徴とする請求項1に記載のMEMS構造に基づく可変キャパシタ。
【請求項8】
前記接続線導体(E)は1~M本の接続線導体で構成され、前記可動電極(B1)の上面には、1~M個のスロットが対応して設計されており、前記上部電極(C1)の下面には、1~M個のスロットが対応して設けられており、前記1~M本の接続線導体の一端は、上部電極(C1)の下面の1~M個のスロットに電気的に接続され、1~M本の接続線導体の他端は、可動電極(B1)上面の1~M個のスロットに電気的に接続され、1~M本の接続線は上部電極(C1)と可動電極(B1)とを電気的に接続し、1~M本の接続線の抵抗値が小さいほど良く、1~M本の接続線導体の長さが等しいことによって、可動電極板が自然状態で上電極板、下電極板と平行を維持可能であり、
前記接続線導体(E)は、静止状態及び移動状態のいずれでも、調整電極(C2)及び調整電極(B2)と短絡せず、前記接続線導体(E)は伸縮性を備えており、その引張り及び弾性力は変化せず、そのサイズは、可動電極板(B)が圧縮されると上電極板(C)と密着可能で、下に引張られると下電極板(A)と密着可能なサイズを満たす、ことを特徴とする請求項1に記載のMEMS構造に基づく可変キャパシタ。
【請求項9】
前記接続線導体(E)、下部電極(A1)、可動電極(B1)、調整電極(B2)、上部電極(C1)及び調整電極(C2)は、いずれも金属材料で製造されており、前記下電極板(A)、可動電極板(B)、上電極板(C)の基板パネル材料は、いずれも誘電体材料で構成される、ことを特徴とする請求項1に記載のMEMS構造に基づく可変キャパシタ。
【請求項10】
作動電圧が印加されると、前記下部電極(A1)が可動電極(B1)に対して発生する静電吸引力はFxであり、可変電圧が印加されると、調整電極(C2)が調整電極(B2)に対して発生する静電吸引力はFsであり、FsがFxよりも小さい場合、可動電極板(B)は下電極板(A)の側に移動して近接し、このとき、可変セルキャパシタの容量値が最大となり、FsがFxよりも大きい場合、可動電極板(B)は上電極板(C)の側に移動して近接し、このとき、可変セルキャパシタの容量値が最小となり、調整電極(C2)に印加される可変電圧がゼロで、下部電極(A1)に印加される作動電圧がゼロではない場合、可動電極板(B)は下電極板(A)の側に移動され、可変セルキャパシタの容量値を最大状態に維持する、ことを特徴とする請求項1に記載のMEMS構造に基づく可変キャパシタ。
【請求項11】
前記セルキャパシタは、可動電極板(B)を介して調整ユニットと可変セルキャパシタを構成し、可変セルキャパシタにおいて、下部電極(A1)が作動電圧ピンに接続され、上部電極(C1)がアースピンに接続され、調整電極(C2)が金属ビアホールを介して制御層(C4)のスイッチの一端に接続され、スイッチの他端は可変電圧ピンに接続され、スイッチデータ送受信バスは制御ピンに接続され、プロセッサは、バスを介してスイッチのオンオフ及び可変電圧ピンの電圧を制御することによって、可変セルキャパシタにおける可動電極の移動を制御し、それにより、可変セルキャパシタの容量値を変更する、ことを特徴とする請求項1に記載のMEMS構造に基づく可変キャパシタ。
【請求項12】
非金属材料でキャパシタの2つのピンが密封されないように上電極板及び下電極板をパッケージし、アースピン、作動電圧ピンまたは制御ピンをマークし、制御ピンが、キャパシタピンで空けられた位置またはそのうちアースピン内に配置された隙間位置を制御ピンとして、最後にパッケージして密封するか、または、上電極板(C)及び下電極板(A)をデバイスパッケージの一部として、パッケージ材料を外から付加することによって、MEMSキャパシタのパッケージを実現する、ことを特徴とする請求項1に記載のMEMS構造に基づく可変キャパシタ。
【請求項13】
下部電極(A1)に誘電体材料層(A2)を覆う形状、厚さのパラメータを設定することによって、2つの信号は、振幅が等しく、位相が逆になり、互いに相殺するか、または無線周波数信号を印加後に生じる共振を防止する、ことを特徴とする請求項1に記載のMEMS構造に基づく可変キャパシタ。
【請求項14】
前記N個の可変セルキャパシタは結合キャパシタを構成し、
前記結合キャパシタを構成する方法のうちの1番目は、N個の可変セルキャパシタを縦方向に積層して1つの結合キャパシタを構成可能で、N個のセルキャパシタの下部電極(A1)は、リード線を介して結合キャパシタの作動電圧ピンに接続され、N個のセルキャパシタの上部電極(C1)は、リード線を介して結合キャパシタのアースピンに接続され、N個のセルキャパシタの調整電極(C21)~調整電極(C2N)は、それぞれリード線を介してN個のセルキャパシタの上電極板におけるN個のスイッチの一端に接続され、N個のスイッチの他端は、結合キャパシタにおけるN個の可変電圧の制御ピンの1つに接続され、N個の下部電極はすべて1つの作動電圧ピンに接続され、N個の上部電極はすべてアースに接続されるか、または、
前記結合キャパシタを結合構成する方法のうちの2番目は、結合キャパシタにおけるN個の上部電極が1つの下電極板に分布され、かつリード線を介して結合キャパシタのアースピンに接続され、N個の下部電極が1つの下電極板に分布され、かつリード線を介して結合キャパシタの作動電圧ピンに接続され、N個の調整電極(C2)1~調整電極(C2)Nは、それぞれ金属ビアホールを介して制御層(C4)に分布されたN個のスイッチの一端に接続され、N個のスイッチの他端は、結合キャパシタのN個の可変電圧の制御ピンに接続され、全てのリード線は、上部電極(C1)、可動電極(B1)及び下部電極(A1)と重ならないか、または、
前記結合キャパシタを構成する方法のうちの3番目は、まず、M個の結合キャパシタを前記2番目の方法に従って横方向に拡張し、M個のセルキャパシタを横方向に拡張して得られたN個の結合キャパシタを前記1番目の方法のように縦方向に積層して拡張することで結合キャパシタを構成し、新しい結合キャパシタの各層のM個のセルキャパシタにおけるM個の上部電極(C1)が、リード線を介して接続された後、結合キャパシタのアースピンに接続され、M個の下部電極(A1)が、リード線を介して接続された後、結合キャパシタの作動電圧ピンに接続され、M個の調整電極(C21)~調整電極(C2M)が、それぞれM個のスイッチの一端に接続され、M個のスイッチの他端が、それぞれリード線を介して結合キャパシタのM個の可変電圧の制御ピンに接続され、結合キャパシタは、合計M*N個の可変電圧ピンを備える、ことを特徴とする請求項1に記載のMEMS構造に基づく可変キャパシタ。
【請求項15】
前記結合キャパシタにおいて、制御層のN個のスイッチのうちの各スイッチのバス制御器は、それぞれ制御バスに接続され、バスに接続されるN個のスイッチのうちの各スイッチには、1つのアドレスが割り当てられており、バス制御プロトコールは、アドレスを介して各スイッチを具体的に識別し、外部または内部のメイン制御器は、アドレスを介して各スイッチのオンオフに対する制御を実現し、前記バスは、対応する導線を介してキャパシタパッケージの外部の対応するバス制御ピンに接続され、前記導線は、上電極板の電極層の上部電極、可動電極板の可動電極、下電極板の電極層の下部電極と重ならず、外部のプロセッサが、各スイッチのアドレスに基づいてN個のスイッチのオンオフを制御することによって、結合キャパシタのステッピング調整、及び結合キャパシタ容量値に対する任意の調整を実現し、内部の制御器と外部の制御器はバスを介して接続され、必要なキャパシタの容量値を転送する、ことを特徴とする請求項14に記載のMEMS構造に基づく可変キャパシタ。
【請求項16】
前記結合キャパシタにおいて、N個の可変セルキャパシタの使用モードは、最初の使用またはリセット使用時の動作モードであり、制御器によりスイッチのマトリックスを順に制御することによって、各可変セルキャパシタの上電極板の調整電極に、可変電圧を印加するかまたは可変電圧を印加せず、各下電極板の下部電極に作動電圧を印加しないかまたは作動電圧を印加することによって、結合キャパシタにおけるN個の可変セルキャパシタの容量値が最小値または最大値になり、最初またはリセットを完了し、
電源が印加された後に結合キャパシタの容量値が最小の場合、結合キャパシタのすべての下部電極に作動電圧を印加し、制御器を調整することで、スイッチマトリックスのスイッチのオンオフを制御し、可変電圧の大きさを調整するか調整しないことによって、結合キャパシタの総容量値を所望の容量値状態に調整すると共に、制御スイッチマトリックスのスイッチ状態及び対応するスイッチのアドレスを保存し、
電源が印加された後に結合キャパシタの容量値が最大の場合、結合キャパシタのすべての調整電極を制御して調整電圧を印加することによって、すべての下部電極に作動電圧を印加し、スイッチマトリックスのオンオフを制御することを調整し、可変電圧の大きさを調整するか調整しないことによって、結合キャパシタの総容量値を所望の容量値状態に調整すると共に、このとき制御スイッチマトリックスのスイッチ状態及び対応するスイッチのアドレスを保存し、
結合キャパシタが結合キャパシタの所望容量値に調整されると、電源を再印加した後、メイン制御器のスイッチマトリックスアドレスに対する記憶を利用して、スイッチマトリックスを結合キャパシタの所望容量値のスイッチマトリックスのオンオフ状態に調整し、下部電極の作動電圧及び調整電極の調整電圧を再印加することによって、結合キャパシタの所望の容量値を実現可能で、実現した後、結合キャパシタの容量値は、制御器でスイッチマトリックスにおける対応するアドレスのオンオフを制御することによって、新しい結合キャパシタの容量値の調整が実現可能で、
前記可変セルキャパシタの電源印加順番と容量値の調整変化、及び初期容量値が、使用回路に影響を与える場合、該結合キャパシタを適用する回路に保護措置を設計する必要があり、可変キャパシタの容量値を適切な位置に調整した後、アプリケーション回路を作動状態にする、ことを特徴とする請求項15に記載のMEMS構造に基づく可変キャパシタ。
【請求項17】
前記結合キャパシタのパッケージシェルは、N個の可変キャパシタを1つの密封空間にパッケージし、結合キャパシタの外部作動電圧ピン、アースピン、可変電圧ピン及び制御ピンは、それぞれリード線とビアホールを介して、上電極板及び下電極板のパネルの下部電極、上部電極、調整電極及び制御スイッチに接続されることによって、N個の可変キャパシタに対するパッケージを実現する、ことを特徴とする請求項14に記載のMEMS構造に基づく可変キャパシタ。
【請求項18】
前記作動電圧ピン、アースピン及び制御ピンの表面には、いずれも材料コーディングが溶接されており、前記パッケージシェルは、非金属材料である、ことを特徴とする請求項12に記載のMEMS構造に基づく可変キャパシタ。
【請求項19】
前記結合キャパシタにおいて、各可変セルキャパシタは、いずれも個別に調整することが可能で、複数のキャパシタを任意に組合せて調整することも可能で、結合キャパシタの様々な調整ステッピングを実現し、具体的な実現方法は、内部または外部のプロセッサを利用して、制御層(C4)におけるN個の無線周波数スイッチのオンオフを制御することによって、N個の可変キャパシタの容量値に対する調整を実現することで、キャパシタの全体の容量値に対する調整を実現することである、ことを特徴とする請求項1または請求項15に記載のMEMS構造に基づく可変キャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャパシタデバイスの技術分野に属し、具体的に、MEMS構造に基づく可変キャパシタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の無線周波数回路の適用では、同じ無線周波数回路を異なる動作周波数帯域で動作させる必要がよくある。無線周波数回路が異なる周波数帯域で動作する場合、最高の無線周波数性能を得るには、その対応する整合回路のキャパシタの容量値を適宜に調整する必要がある。したがって、無線周波数回路を異なる周波数帯域で動作させるには、無線周波数回路における整合キャパシタのパラメータ値を調整する必要がある。このタイプの無線周波数回路では可変キャパシタの使用が最適な設計ソリューションであり、現在、可変キャパシタを実現するには4つの方法がある。第1の方法は、バラクタダイオードを利用してキャパシタを調整することで、バラクタダイオードの容量値は、バラクタダイオードのバイアス電圧値を調整することで調整できるが、バラクタダイオードを使用する場合、その耐電圧値が比較的に低いため、低電力の無線周波数回路にのみ適用でき、無線周波数の高電力増幅器における高電力及び高耐電圧の要件を満たすことができないという問題が存在する。可変キャパシタを実現する第2の方法は、機械的可変キャパシタを使用することであり、キャパシタの容量値は、キャパシタの上電極板と下電極板の機械的サイズまたは間隔を調整することによって調整できる。純機械的構造を利用して実現する可変キャパシタソリューションには、可変キャパシタの体積が比較的に大きくて、キャパシタの調整可能なステップとキャパシタの調整可能な範囲が制限されており、リアルタイムの調整が実現できないという問題が存在する。可変キャパシタを実現する第3の方法は、複数組のキャパシタを直列または並列に接続し、直列及び並列の回線の中央部に無線周波数スイッチを直列に接続して、無線周波数スイッチのオンオフを制御することによって、異なる直列または並列キャパシタの組み合わせを実現することである。ただし、第3の方法は、可変キャパシタが高耐電圧と高耐電流値を必要とするため、対応するスイッチも高電力のスイッチを選択する必要があり、これに対応するコストが比較的に高く、また、スイッチが過剰損失をもたらし効率に影響を与えるという欠点がある。また、第3の方法は、調整可能な範囲と調整可能なステップが固定され変更できないか、任意に調整できない。第4の方法は、誘電体スイッチタイプのMEMSキャパシタを使用することである。通常、コンタクトアームはキャパシタの一端であり、回路の適用に高い直流バイアスをかけると、コンタクトアームとキャパシタの他端との間に静電引力が発生し、スイッチキャパシタをオンにすることが困難になり、また、コンタクトが曲がったり変形したりするため、閉じた時の静電容量が比較的に減少する。以上の様々な可変キャパシタに存在する問題を考慮して、容量値を任意に段階的に調整可能で、高いQ値、高耐圧値、小型で低コストを有する可変キャパシタを開発することは、詳細に研究する価値のある課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、従来の可変キャパシタの欠陥を考慮して、高いQ値、高耐電圧値、小型で低コストを有する可変キャパシタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで、本発明の構成は、下電極板A、可動電極板B、上電極板C、固定装置D及び接続線導体Eを含み、前記固定装置Dの下端は、下電極板Aに固定接続され、固定装置Dの上端は、上電極板Cに固定接続され、前記可動電極板Bには、固定装置Dと嵌合して自由に平行移動可能な構造B4が設けられており、可動電極板Bは、構造B4によって固定装置Dに取付けられ、かつ固定装置Dに沿って上下に移動可能である。
【0005】
前記下電極板Aには下部電極A1が設けられており、前記可動電極板Bには可動電極B1及び調整電極B2が設けられている。
【0006】
前記下部電極A1と可動電極B1はセルキャパシタを構成し、下部電極A1と可動電極B1との間は誘電体によって分離されている。
【0007】
前記上電極板Cには上部電極C1、調整電極C2が設けられており、前記接続線導体Eの両端は、それぞれ上部電極C1、可動電極B1に電気的に接続されている。
【0008】
前記調整電極C2と調整電極B2は調整ユニットを構成し、調整電極C2と調整電極B2との間は誘電体によって分離されている。
【0009】
前記下部電極A1は、作動状態に常に作動電圧が印加され、作動電圧は可動電極B1に静電吸引力を発生させ、調整電極C2に印加される可変電圧または調整電極C2の面積、間隔、材料を制御することによって、調整電極C2の調整電極B2に対する静電吸引力を調節し、可動電極板は、下部電極A1の吸引力と調整電極C2の吸引力の大きさ関係によって変化され、それにより、可動電極板Bが固定装置Dに沿って上下に移動してキャパシタの容量値を調整する。
【0010】
好ましくは、前記下部電極A1と可動電極B1はセルキャパシタを構成し、前記下部電極A1には、下部電極A1と可動電極B1とを分離させるための誘電体層A2が設けられている。
【0011】
好ましくは、前記調整電極C2と調整電極B2は調整ユニットを構成し、調整電極C2には、調整電極C2と調整電極B2とを分離させるための誘電体層C3が設けられており、調整電極C2は可動電極B1、下部電極A1と重ならず、調整電極B2は上部電極C1及び下部電極A1と重ならない。
【0012】
好ましくは、前記下電極板Aは誘電体材料で構成され、下電極板Aの誘電体材料の表面には金属導体が覆われたり、嵌め込まれたりして下部電極A1を形成し、下部電極A1の表面には単層または多層の誘電体材料層A2が設けられ、下部電極A1と可動電極Bとを分離させると共に、キャパシタの容量値及びQ値を調整できる。
【0013】
好ましくは、前記可動電極板Bは誘電体材料で構成され、可動電極板Bの中央部には、固定装置と嵌合して自由に平行移動可能な構造B4が設けられ、構造B4によって固定装置Dに外嵌めされており、可動電極板Bの誘電体材料の表面には金属導体が覆われたり、嵌め込まれたりして可動電極B1及び調整電極B2を形成し、調整電極B2は、可動電極B1の外周に分布されて誘電体によって互いに分離されており、可動電極B1は、下部電極A1及び上部電極C1と同じ形状で垂直面に整列されており、調整電極B2及び調整電極C2は同じ形状で垂直面に整列される。
【0014】
好ましくは、前記上電極板Cは誘電体材料で構成され、上電極板Cの誘電体材料の表面には金属導体が覆われたり、嵌め込まれたりして上部電極C1を形成し、上部電極C1の外周の誘電体材料の表面には金属導体が覆われたり、嵌め込まれたりして調整電極C2を形成し、上部電極C1と調整電極C2とは誘電体材料により分離され、調整電極C2の表面には誘電体層C3が設けられており、上電極板Cには制御層C4が設けられており、調整電極C2は制御層C4におけるスイッチの一端に接続され、スイッチの他端は可変セルキャパシタの可変電圧ピンに接続される。
【0015】
好ましくは、前記固定装置Dは、一端が上電極板Cの上部電極C1に固定され、他端が下電極板Aの下部電極A1に固定され、上電極板C及び下電極板Aを支持し、上電極板と下電極板との平行を維持し、当該固定の方法には、溶接、圧接、接着が含まれるが、これらに限定されない。
【0016】
好ましくは、前記接続線導体Eは1~M本の接続線導体で構成され、前記可動電極B1の上面には、1~M個のスロットが対応して設計されており、前記上部電極C1の下面には、1~M個のスロットが対応して設計されており、前記1~M本の接続線導体の一端は、上部電極C1の下面の1~M個のスロットに電気的に接続され、1~M本の接続線導体の他端は、可動電極B1上面の1~M個のスロットに電気的に接続され、1~M本の接続線導体の長さが等しいことによって、可動電極板が自然状態で上電極板、下電極板と平行を維持可能である。
【0017】
好ましくは、前記接続線導体Eは、静止状態及び移動状態のいずれでも、調整電極C2及びB2と短絡せず、前記接続線導体Eは伸縮性を備えており、その引張り及び弾性力は変化せず、そのサイズは、可動電極板Bが圧縮されると上電極板Cと密着可能で、下に引張られると下電極板Aと密着可能なサイズであることを満すことができる。
【0018】
好ましくは、前記接続線導体E、下部電極A1、可動電極B1、調整電極B2、上部電極C1及び調整電極C2は、いずれも金属材料で製造されており、前記電極板A、可動電極板B、電極板Cの基板パネル材料は、いずれも誘電体材料で構成される。
【0019】
好ましくは、作動電圧が印加されると、前記下部電極A1が可動電極B1に対して発生する静電吸引力はFxであり、可変電圧が印加されると、調整電極C2が調整電極B2に対して発生する静電吸引力はFsであり、FsがFxより小さい場合、可動電極板Bは下電極板Aに移動して近接し、このとき、可変セルキャパシタの容量値が最大となり、FsがFxより大きい場合、可動電極板Bは上電極板Cに移動して近接し、このとき、可変セルキャパシタの容量値が最小となり、調整電極C2に印加される可変電圧がゼロで、下部電極A1に印加される作動電圧がゼロではない場合、可動電極板Bは下電極板Aに移動され、可変セルキャパシタの容量値を最大状態に維持する。
【0020】
好ましくは、前記セルキャパシタは、可動電極板Bを介して調整ユニットと可変セルキャパシタを構成し、可変セルキャパシタにおいて、下部電極A1が作動電圧ピンに接続され、上部電極C1がアースピンに接続され、調整電極C2が金属ビアホールを介して制御層C4のスイッチの一端に接続され、スイッチの他端は可変電圧ピンに接続され、スイッチデータ送受信バスは制御ピンに接続され、プロセッサは、バスを介してスイッチのオンオフ及び可変電圧ピンの電圧を制御することによって、可変セルキャパシタにおける可動電極の移動を制御し、それによって、可変セルキャパシタの容量値を変更する。
【0021】
好ましくは、非金属材料で結合キャパシタの2つのピンが密封されないように下電極板及び下電極板をパッケージし、アースピンをマークし、制御ピンが、キャパシタピンで空けられた位置またはそのうちアースピン内に配置された隙間位置を制御ピンとして、最後にパッケージして密封するか、または上電極板C及び下電極板Aをデバイスパッケージの一部として、パッケージ材料を外から付加ことによって、MEMSキャパシタのパッケージを実現する。
【0022】
好ましくは、下部電極A1に誘電体材料層A2を覆う形状、厚さのパラメータを設定することによって、2つの信号は、振幅が等しく、位相が逆になり、互いに相殺するか、または無線周波数信号を印加後に生じる共振を防止する。
【0023】
好ましくは、前記N個の可変セルキャパシタは結合キャパシタを構成する。
【0024】
好ましくは、前記結合キャパシタを構成する方法のうちの1番目は、N個の可変セルキャパシタを縦方向に積層して1つの結合キャパシタを構成することができ、N個のセルキャパシタの下部電極A1は、リード線を介して結合キャパシタの作動電圧ピンに接続され、上部電極C1は、リード線を介してアースピンに接続され、調整電極C2は、所在するキャパシタのスイッチの一端に接続され、スイッチの他端は、結合キャパシタにおけるN個の可変電圧の制御ピンの1つに接続され、N個の下部電極は全て1つの作動電圧ピンに接続され、N個の上部電極は全てアースに接続される。
【0025】
好ましくは、前記結合キャパシタを結合構成する方法のうちの2番目は、結合キャパシタにおけるN個の上部電極が1つの下電極板に分布され、かつリード線を介して結合キャパシタのアースピンに接続され、N個の下部電極が1つの下電極板に分布され、かつリード線を介して結合キャパシタの作動電圧ピンに接続され、N個の調整電極C21~調整電極C2Nは、それぞれ金属ビアホールを介して制御層C4に分布されたN個のスイッチの一端に接続され、N個のスイッチの他端は、結合キャパシタのN個の可変電圧の制御ピンに接続され、全てのリード線は、上部電極C1、可動電極B1及び下部電極A1と重ならない。
【0026】
好ましくは、前記結合キャパシタを構成する方法のうちの3番目は、まず、M個の結合キャパシタを請求項17の方法に従って横方向に拡張し、N個のM個の組合せが請求項16に従って縦方向に拡張し結合キャパシタを構成する。
【0027】
好ましくは、前記結合キャパシタにおいて、制御層のN個のスイッチのうちの各スイッチのバス制御器は、それぞれ制御バスに接続され、バスに接続されるN個のスイッチのうちの各スイッチには、1つのアドレスが割り当てられており、バス制御プロトコールは、アドレスを介して各スイッチを具体的に識別し、外部または内部のメイン制御器は、アドレスを介して各スイッチのオンオフに対する制御を実現し、前記バスは、対応する導線を介してキャパシタパッケージの外部の対応するバス制御ピンに接続され、前記導線は、上電極板の電極層の上部電極、可動電極板の可動電極、下電極板の電極層の下部電極と重ならず、外部のプロセッサが、各スイッチのアドレスに基づいてN個のスイッチのオンオフを制御することによって、結合キャパシタのステッピング調整、及び結合キャパシタ容量値に対する任意の調整を実現し、そのうち、内部の制御器と外部の制御器はバスを介して接続され、必要なキャパシタの容量値を転送する。
【0028】
好ましくは、前記結合キャパシタにおいて、N個の可変セルキャパシタの使用モードは、最初の使用またはリセット使用時の動作モードであり、制御器によりスイッチのマトリックスを順に制御することによって、各可変セルキャパシタの上電極板の調整電極に、可変電圧を印加するかまたは可変電圧を印加せず、各下電極板の下部電極に作動電圧を印加しないかまたは作動電圧を印加することによって、結合キャパシタにおけるN個の可変セルキャパシタの容量値が最小値または最大値になり、最初またはリセットを完了する。
【0029】
電源が印加された後に結合キャパシタの容量値が最小の場合、結合キャパシタのすべての下部電極に作動電圧を印加し、制御器を調整することで、スイッチマトリックスのスイッチのオンオフを制御し、可変電圧の大きさを調整するか調整しないことによって、結合キャパシタの総容量値を所望の容量値状態に調整すると共に、スイッチマトリックスのアドレス記憶に対する制御を維持して保存する。
【0030】
電源が印加された後に結合キャパシタの容量値が最大の場合、結合キャパシタのすべての調整電極を制御して調整電圧を印加することによって、すべての下部電極に作動電圧を印加し、スイッチマトリックスのオンオフを制御することを調整し、可変電圧の大きさを調整するかまたは調整しないことによって、結合キャパシタの総容量値を所望の容量値状態に調整すると共に、このときスイッチのアドレス記憶に対する制御を維持して保存する。
【0031】
結合キャパシタが結合キャパシタの所望容量値に調整されると、電源を再印加し、メイン制御器のスイッチマトリックスアドレスに対する記憶を利用して、スイッチマトリックスを結合キャパシタの所望容量値のスイッチマトリックスのオンオフ状態に調整し、下部電極の作動電圧及び調整電極の調整電圧を再印加することによって、結合キャパシタの所望の容量値を実現することができ、実現した後、結合キャパシタの容量値は、制御器でスイッチマトリックスにおける対応するアドレスのオンオフを制御することによって、新しい結合キャパシタの容量値の調整が実現できる。
【0032】
上記の可変セルキャパシタの電源印加順番と容量値の調整変化、及び初期容量値が、使用回路に影響を与える場合、本結合キャパシタを適用する回路に保護措置を設計する必要があり、例えば、可変キャパシタの容量値を適切な位置に調整した後、アプリケーション回路を作動状態にする。
【0033】
好ましくは、前記結合キャパシタのパッケージシェルは、N個の可変キャパシタを1つの密封空間にパッケージし、結合キャパシタの外部作動電圧ピン、アースピン、可変電圧ピン及び制御ピンは、それぞれリード線とビアホールを介して、上電極板及び下電極板のパネルの下部電極、上部電極、調整電極及び制御スイッチに接続されることによって、N個の可変キャパシタに対するパッケージを実現する。
【0034】
好ましくは、前記作動電圧ピン、アースピン及び制御ピンの表面には、いずれも材料コーディングが溶接されており、前記パッケージシェルは、非金属材料である。
【0035】
好ましくは、前記結合キャパシタにおいて、各可変セルキャパシタは、いずれも個別に調整することが可能で、複数のキャパシタを任意に組合せて調整することも可能で、結合キャパシタの様々な調整ステッピングを実現し、具体的な実現方法は、内部または外部のプロセッサを利用して、制御層C4におけるN個の無線周波数スイッチのオンオフを制御することによって、N個の可変キャパシタの容量値に対する調整を実現することで、キャパシタの全体の容量値に対する調整を実現することである。
【発明の効果】
【0036】
本発明の有益な効果は、以下のとおりである。本発明に提供される、MEMS構造に基づく可変キャパシタは、高いQ値を有するだけでなく、高耐電圧および高耐電流の能力を有し、複数のセルキャパシタを1つのパッケージにパッケージすることによって、結合キャパシタの容量値を、連続的及び段階的に調整することができる。キャパシタの容量値は、外部または内部のプロセッサを利用してプログラム及び調整可能であり、適用環境の適合性が良好である。調整電極は可動電極であり、電位状態が固定されているため、可変キャパシタ両端の無線周波数回路の直流バイアスがスイッチアームの移動に与える影響を防止する。従来の可変キャパシタとの違いは、可動電極が水平に上下に移動し、電極自体に変形がないため、寄生容量を低減しかつ容量変化の直線性をより高めることができる。調整電極は常に電界ブロック状態にあり、外部の機械的振動の影響を低減する。半導体と誘電体材料は、より低温度の溶接を用いて溶接し、同時にウェハーレベルのパッケージを実現する。
【0037】
以下、添付図面を参照しながら、本発明をさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の第1の実施例に係る可変キャパシタの全体構成の断面図である。
図2】本発明の第1の実施例に係る可変キャパシタの下電極板の構造図である。
図3】本発明の第1の実施例に係る可変キャパシタの可動電極板の実施例の構造図である。
図4】本発明の第1の実施例に係る可変キャパシタの上電極板電極の実施例の構造図である。
図5】本発明の第1の実施例に係る可変キャパシタの上電極板電極の制御層の実施例の構造図である。
図6】本発明の第1の実施例に係る可変キャパシタの固定装置の構造図である。
図7】本発明の第1の実施例に係る可変キャパシタの接続線導体の構造図である。
図8】本発明の第1の実施例に係る可変キャパシタのパッケージの構造図である。
図9】本発明の第2の実施例に係る結合キャパシタの横断面の解析構造図である。
図10】本発明の第2の実施例に係る結合キャパシタの下電極板の構造図である。
図11】本発明の第2の実施例に係る結合キャパシタの上電極板の構造図である。
図12】本発明の第2の実施例に係る結合キャパシタの上電極板の制御層の構造図である。
図13】本発明の第2の実施例に係る可変セルキャパシタの構成全体の断面図である。
図14】本発明の第2の実施例に係る結合キャパシタのパッケージの底面図である。
図15】本発明の第2の実施例に係る結合キャパシタの接続線導体の構造図である。
図16】本発明の第2の実施例に係る結合キャパシタのパッケージの上面図である。
図17】本発明の第3の実施例に係る結合キャパシタのうちの2番目の組合せを示す図である。
図18】本発明の第3の実施例に係る結合キャパシタのうちの3番目の組合せを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明が所定の目的を達成するために採用される技術的手段及び効果をさらに説明するために、添付図面及び実施例を参照して、本発明の具体的な実施形態、構造の特徴及びその効果について詳細に説明する。
【0040】
以下、本発明の実施例の添付図面を参照しながら、本発明の実施例の技術案を明瞭かつ完全に説明する。説明される実施例は、本発明の一部の実施例にすぎず、全ての実施例ではないことが無論である。本発明の実施例を基に、当業者が創造的な作業がなされていない前提下で得られた全てのその他の実施例も、本発明の保護範囲に属する。
【0041】
本発明の説明において、「中心」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「整列」、「重なる」、「底」、「内」、「外」等の用語で指示される方位または位置関係は、添付図面に示される方位または位置関係に基づいており、本発明の説明を便利し、説明を簡単にするだけであって、指摘される装置または素子が必ずしも特定の方位を有したり、特定の方位で構造や操作されたりすることを、指示または示唆することではないため、本発明を限定すると理解されてはならない。
【0042】
用語「第1」、「第2」は、説明の目的でのみに使用され、相対的な重要性を指示または示唆するか、または指示される技術的特徴の数を暗黙的に示すと理解されてはならない。したがって、「第1」、「第2」と限定されている特徴は、該特徴の1つまたはそれ以上が明示的または暗黙的に含まれることができる。本発明の説明において、特に明記がない限り、「複数」の意味は2つ以上であることを意味する。
【0043】
(実施例1)
本発明により提供される、MEMS構造に基づく可変キャパシタは、下電極板A、可動電極板B、上電極板C、固定装置D及び接続線導体Eを含む。前記固定装置Dの下端は、下電極板Aに垂直に接続固定され、固定装置Dの上端は、上電極板Cに垂直に接続固定される。前記可動電極板Bの中央部には、スロットまたは貫通孔B4が設けられており、可動電極板Bは、スロットまたは貫通孔B4によって固定装置Dの中央部に設けられ、可動電極板Bは、固定装置Dで上下に移動する。前記下電極板Aには下部電極A1が設けられており、前記可動電極板Bには可動電極B1及び調整電極B2が設けられている。前記下部電極A1と可動電極B1はセルキャパシタを構成し、該セルキャパシタは平行板キャパシタである。前記上電極板Cには上部電極C1、調整電極C2が設けられており、前記接続線導体Eの両端は、それぞれ上部電極C1、可動電極B1に電気的に接続されており、前記調整電極C2と調整電極B2は調整ユニットを構成する。
【0044】
前記接続線導体Eは、接続線導体E1と接続線導体E2とを含む。前記可動電極B1の上面には溝B3-1と溝B3-2が設けられており、前記上部電極C1の下面には溝C-1と溝C1-2が設けられている。前記接続線導体E1の一端は、上部電極C1の溝C1-1に電気的に接続され、接続線導体E1の他端は、可動電極B1の溝B3-1に電気的に接続されている。前記接続線導体E2の一端は、上部電極C1の溝C1-2に電気的に接続され、接続線導体E2の他端は、可動電極B1の溝B3-2に電気的に接続されている。このようにして、可動電極B1と上部電極C1は電気的接続を維持し、可動電極B1と上部電極C1との間の回路は連通状態になる。
【0045】
前記調整電極B2は、調整電極B2-1と調整電極B2-2とを含み、前記調整電極C2は、調整電極C2-1と調整電極C2-2とを含む。前記調整電極C2-1は調整電極B2-1と対向して設けられており、前記調整電極C2-2は調整電極B2-2と対向して設けられている。
【0046】
前記上電極板Cの上面には、接続リード線C4-2、接続リード線C4-3及びスイッチC4-1を含む制御層C4が設けられている。前記接続リード線C4-2は、上部電極C1をセルキャパシタパッケージのアースピンに接続し、前記接続リード線C4-3は、調整電極C2-1と調整電極C2-2とを接続させた後、スイッチC4-1の一端に接続し、スイッチC4-1の他端は、セルキャパシタの可変電圧ピンに接続される。
【0047】
前記下部電極A1の上面には誘電体分離層A2が設けられている。
【0048】
前記調整電極C2の下面には誘電体分離層C3が設けられている。
【0049】
具体的に言うと、前記固定装置Dの一端は、下電極板Aの電極層の下部電極A1の中心位置に固定され、下部電極A1と垂直に維持されており、固定装置Dの他端は、上電極板の電極層の上部電極C1の中心位置に固定され、上部電極C1と垂直に維持されている。固定装置Dにより、上電極板C及び下電極板Aを固定及び支持し、上電極板Cと下電極板Aとの間を、所定の間隔を離れるように、平行に維持する。可動電極板Bは静電力の作用下で、上電極板Cと下電極板Aとの間で上下に移動することができる。可動電極板Bの移動により、可動電極B1と下部電極A1との間の距離が変化し、それにより、セルキャパシタの大きさが変化する。前記調整電極C2と調整電極B2は調整ユニットを構成し、調整電極C2は、上部電極C1の外周に位置され、誘電体材料を介して上部電極C1と分離されている。調整電極C2は、可動電極B1及び下部電極A1と重ならず、調整電極C2と可動電極板Bの調整電極B2とは、誘電体分離層C3を介して分離されている。調整電極B2は、可動電極B1の外周に位置し、調整電極B2と可動電極B1は誘電体材料を介して分離されている。調整電極B2は、上部電極C1及び下部電極A1と重ならず、下部電極A1、可動電極B1、調整電極B2及び上部電極C1、調整電極C2は、いずれも金属により構成される。
【0050】
前記下電極板A、可動電極板B、上電極板Cは、いずれも単結晶シリコンにより製造される。
【0051】
本実施例において、可変キャパシタの容量値は、具体的に下部電極A1、可動電極B1の面積、下部電極A1に覆われる誘電体分離層A2の層数、厚さ及び誘電体分離層A2の誘電率、下部電極A1と可動電極B1との間の距離により決定され、具体的な計算プロセスは次のとおりである。
【0052】
本実施例において、下部電極A1に覆われる誘電体分離層A2は、本実施例で単層であるが、多層であってもよい。誘電体分離層A2の厚さはdで、誘電率はεであり、可動電極B1と下部電極A1との間の空気距離はdで、空気誘電率はそれぞれεであり、両者の容量はそれぞれC、Cである。本実施例において、可動電極B1及び下部電極A1の面積はいずれもSであり、該平行板キャパシタの計算式によると、以下の通りである。
【数1】
【数2】
【0053】
本実施例において、可変セルキャパシタCは、C1及びC2の直列値の合計で、以下の通りである。
【数3】
【0054】
ここで、dは可動電極B1と下部電極A1の間の距離であり、静電力を調整することによってdの値を調整することができ、dの具体的な調整方法は以下のとおりである。
【0055】
本実施例において、作動電圧Vが印加されると、下電極板Aの電極層の下部電極A1が可動電極板Bの可動電極B1に対して発生する静電力がFxで、可変電圧V1が印加されると、上電極板Cの電極層の調整電極C2が可動電極板Bの調整電極B2に対して発生する静電力がFsで、可動電極板Bの自己重力がFgで、可動電極板Bが固定装置Dで移動するときに固定装置Dとの間の摩擦力がFzで、接続線導体E1及び接続線導体E2の引張力の合力は、引っ張られる過程全体でずっと均一でかつ引張力値がF1であり、接続線導体E1及び接続線導体E2の弾性力は、接続線導体が圧縮される過程全体でずっと均一でかつ弾性力値がFtであり、Fs>Fx+Fg+Fz+Ftの場合、可動電極板Bは、上向きの静電力により上電極板Cに向かって引き寄せられ、このときdの値が最大になる。式3から分かるように、その他のパラメータが変更せず、d値が最大の場合、可変セルキャパシタの容量値Cは最小になる。Fx+Fg>Fs+Fl+Fzの場合、可動電極板は、下向きの静電引力によって下電極板に向かって引き寄せられ、このときdの値が最小になる。式3から分かるように、その他のパラメータが変更せず、dの値が最小の場合、可変セルキャパシタの容量値は最大になる。Fs+Fl=Fx+Fg+Ftの場合、可動電極板Bは、上電極板と下電極板との間のある不確定の位置にあり、このとき可変セルキャパシタの容量値は中間の不確定値になる。可変キャパシタの容量値が不確定状態になることを防ぐために、可変電圧の電圧値を制御することによって、Fs+Fl=Fx+Fg+Ftのような状態が出現するのを回避する必要があり、それにより、可変セルキャパシタの容量値が不確定状態になることを回避する。
【0056】
また、本実施例における可変キャパシタは、外部の機械的摂動または振動を受けると、振動によりdは微小に変化し、変化量がΔdで、対応する総容量Cの変化量はΔCであると仮定する。上記の式3に基づいて、dを自己変数のCに関する関数として、C= f(d2)であり、微分を求めると得ることができる。
【数4】
計算して得られる総容量変化のパーセンテージは、
【数5】
である。
【0057】
上記の式によれば、

よりもはるかに小さいと結論付けることができ、該構造は外部の機械的振動の影響を効果的に克服し、静電容量値に対する外部の摂動の影響を無視できることを説明する。
【0058】
本実施例において、前記可変キャパシタのQ値の計算式は、Q=1/wCRであり、そのうち、Rはキャパシタの等価抵抗値であり、該値は主に、下部電極A1からキャパシタピンまでの抵抗R1、下部電極の抵抗値R2、可動電極B1の抵抗値R3、上部電極C1の抵抗値R4、接続線導体E1及び接続線導体E2の抵抗値の合計R5で構成され、R=R1+R2+R3+R4+R5である。Rの値が最小になるように保証するためには、各部分の抵抗値が全て最小値を取るように保証する必要がある。このとき、本実施例における可変セルキャパシタのQ値は最小となることができる。
【0059】
前記本実施例において、上部電極C1、可動電極B1及び下部電極A1は、形状及びサイズが完全に同じの長方形であり、前記上電極板Cの調整電極C2と可動電極板Bの調整電極B2は、調整電極C2-1と調整電極C2-2、及び調整電極B2-1と調整電極B2-2により構成される。調整電極C2-1と調整電極C2-2は、上部電極C1の両側に対称的に分布されており、調整電極B2-1と調整電極B2-2は、可動電極B1の両側に対称的に分布されている。調整電極C2-1と調整電極B2-1は、垂直方向に重なっており、調整電極C2-2と調整電極B2-2は、垂直方向に重なっている。固定装置Dの一端は、上部電極C1の中心位置に固定され、固定装置Dの他端は、下部電極A1の中心位置に固定されている。可動電極板Bの中心位置には、スロットまたは貫通孔B4が形成されている。スロットまたは貫通孔B4の形状は、固定装置Dの横断面の形状と同じで、サイズが若干大きい。2つの接続線導体E1と接続線導体E2の固定点は、可動電極板の中心平衡線にあり、接続線導体E1と接続線導体E2が自然に吊り下げられている場合、可動電極板Bは、上電極板C及び下電極板Aと自然に平行になることができ、上記のサイズと外観の設計により、電源が印加されると、調整電極C2-1と調整電極C2-2が、調整電極B2-1と調整電極B2-2に対する静電吸引力の均一と対称性を確保し、電源が印加されると、下部電極A1が可動電極B1に対して発生する静電力の均一と対称性を確保し、それにより、可動電極板Bが、上電極板Cと下電極板Aとの間で上下に移動するときに安定して移動することができ、可動電極板Bと固定装置Dとの間で発生する摩擦力が最小になるように保証する。
【0060】
図2は、本実施例に係る可変キャパシタの下電極板Aの構造の斜視図及び断面図である。本実施例における下電極板Aの実現プロセスは、まず、単結晶シリコンに下電極板Aの基板を形成し、キャパシタ領域に浅い溝をエッチングして形成し、金属をスパッタリングして可変キャパシタの下部電極A1を形成してから、可変キャパシタの下部電極A1に誘電体材料を沈殿させて誘電体分離層A2を形成し、沈殿される該誘電体材料の層数は、必要に応じて実現されるキャパシタの容量値及びQ値に基づいて選択することができる。本実施例において、沈殿される誘電体材料は一層であるが、多層でもよく、沈殿される誘電体分離層A2の表面は平滑な表面であるため、可動電極B1が下部電極A1に接近する場合、誘電体分離層A2と可動電極B1とが容易に密接に接触することができる。それにより、この状態でのキャパシタの振動防止能力が増強されると共に、誘電体材料層A2の厚み値の選択は、可変キャパシタの動作周波数帯域も参照する必要があり、可変キャパシタの共振周波数及びキャパシタの動作周波数は、共振の発生を防止するように異なる周波数とする。下部電極A1に無線周波数信号と直流型信号とを同時に印加する場合、振動信号の振幅が等しく、位相が逆になり、互いに相殺するか、または無線周波数信号を印加後に生じる共振を防止する。同時に、下部電極A1の金属導体の抵抗値は可変キャパシタのQ値にも影響を与え、その抵抗値が小さいほど、可変キャパシタのQ値は大きくなる。同時に、下部電極A1及びその上に覆われる誘電体材料A2の抵抗値とサイズは、可変キャパシタの下部電極の耐電圧と耐電流の能力にも影響を与える。
【0061】
図3は、本実施例に係る可変キャパシタの可動電極板Bの構造の斜視図及び横断面図である。本実施例において、その実現プロセスは、単結晶シリコンを基板として可動電極板Bを製造する。可動電極の領域と調整電極の領域にそれぞれ浅い溝をエッチングし、金属をスパッタリングして平坦化し、溝の内部に金属を充填して可動電極B1及び調整電極B2をそれぞれ形成する。そのうち、可動電極B1の面積及び形状は、下部電極A1の面積及び形状と完全に一致することによって、電源が印加されると、下部電極A1が可動電極B1に対する静電力を可動電極の各ストレスポイントで均一で対称的に分布するように保証する。調整電極B2-1と調整電極B2-2の面積及び形状は、調整電極C2-1と調整電極C2-2の面積及び形状と完全に一致することによって、電源が印加されると、調整電極C2が調整電極B2に対する各ストレスポイントを均一で対称的に分布するように確保する。可動電極板Bは中央部に、固定装置の断面形状と同じのスロットまたは貫通孔B4をエッチングすることによって、固定装置Dと嵌合して上下に安定して移動することを実現し、スロットまたは貫通孔B4の両側に対称する可動電極板Bの縦方向の中軸線に接続線導体を固定する箇所に、溝B3-1及び溝B3-2が設けられる。スロットの深さは、接続線導体E1と接続線導体E2が圧縮された後、可動電極板の溝B3-1と溝B3-2の内部に少なくとも50%隠れるように確保することができ、接続線導体E1と接続線導体E2の一端を、溝B3-1と溝B3-2の内部にそれぞれ固定することによって、接続線導体E1と接続線導体E2とがそれぞれ可動電極と回路で連通する。
【0062】
図4は、本実施例に係る可変キャパシタの上電極板Cの構造の斜視図及び横断面図である。本実施例において、その実現プロセスは、単結晶シリコンを基板として上電極板Cを製造する。上部電極の領域及びその両側の調整電極の領域に浅い溝をエッチングし、浅い溝を形成した後、可変電極の領域の中央部に引き続き穴を開けて深い溝をエッチングし、金属をスパッタリングして平坦化する。溝の内部に金属を充填し、上層の浅い溝の金属は、可変キャパシタの上部電極C1、調整電極C2-1及び調整電極C2-2を形成し、調整電極C2-1及び調整電極C2-2は、調整電極B2-1及び調整電極B2-2と位置が対向し、形状が似ていることによって、可変電圧が印加されると、調整電極C2は可動電極B2の各ストレスポイントに対する静電吸引力を均一で対称的に分布する。調整電極C2-1及び調整電極C2-2の表面に誘電体を沈殿して、誘電体保護層C3-1及び誘電体保護層C3-2を形成して、誘電体層C3の表面が滑らかになるように保護し、調整電極C2と調整電極B2とを分離することに用いられる。上部電極C1の横方向の中軸線で両側に対称する位置と、可動電極板の調整電極に類似して対応する位置に、それぞれエッチングを利用して溝C1-1及び溝C1-2を設け、溝の深さと幅のサイズは、接続線導体E1と接続線導体E2とが圧縮されたとき、スロットの内部に50%以上隠れる要件を満たす必要があり、接続線導体E1と接続線導体E2の他端をそれぞれ溝C1-1と溝C1-2の内部に固定することによって、接続線導体Eと上部電極C1は回路で連通を維持する。
【0063】
図5は、本実施例に係る可変キャパシタの上電極板の制御層の断面図である。上電極板Cの上表層は制御層C4であり、制御層C4には主に接続リード線C4-2、接続リード線C4-3及びスイッチC4-1が分布されている。ここで、接続リード線C4-2は、主に上部電極C1をキャパシタのパッケージに接続するアースピンである。接続リード線C4-3の役割は、調整電極C2-1と調整電極C2-2とを接続させた後にスイッチC4-1に接続する。スイッチC4-1の他端は、可変キャパシタの可変電圧ピンに接続されると共に、スイッチC4-1のデータ送受信制御バスは、リード線を介してキャパシタの制御ピンに接続される。
【0064】
図6は、本実施例に係る可変キャパシタの固定装置Dの実施例の構造図である。その具体的な実現プロセスは、堆積またはボンディング方法により固定装置Dを実現することができる。固定装置Dの一端は、下電極板Aの下部電極A1の中心に固定され、下電極板Aと垂直になる。固定装置Dの他端は、可変キャパシタの上電極板Cの上部電極C1の中心位置に固定され、上電極板Cと垂直になる。固定装置Dは、上電極板Cと下電極板Aとの間で上電極板Cと下電極板Aとを支持し、かつ上電極板Cと下電極板Aとの平行を維持する。固定装置Dの固定形態には、固定軸、固定パネル、固定キャビティ、固定バネ等の形態が含まれるが、これらに限定されない。
【0065】
図7は、本実施例に係る可変キャパシタの接続線導体Eの実施例の構造図である。前記接続線導体E1と接続線導体E2は、伸縮性能を備える金属導体で構成される。接続線導体E1の一端は溝B3-1の内部に固定され、接続線導体E1の他端は溝C1-1の内部に固定される。接続線導体E2の一端は溝B3-2の内部に固定され、接続線導体E2の他端は溝C1-2の内部に固定される。構造図から分かるように、接続線導体E1と接続線導体E2は3つの典型的な状態を有し、それぞれは以下のとおりである。第1の形態は、接続線導体E1と接続線導体E2が最長状態に引張られ、このとき、可動電極B1が受けた下電極板の下部電極A1に作動電圧が印加され、かつ作動電圧により発生する静電力に可動電極板の自己重力を加えた合計は、可動電極板の摩擦力、上向きの引張り力、上電極板の調整電極C2-1、C2-2が可動電極板に対する静電吸引力の合計よりも大きくなると、可動電極板Bは下電極板Aに密接に接触する。第2の状態は、接続線導体E1と接続線導体E2が最短状態に圧縮され、このとき、可動電極板Bの調整電極B2-1と調整電極B2-2は、上電極板Cの調整電極C2-1及び調整電極C2-2に可変電圧が印加された後に発生する静電力を受け、それは、可動電極板の自己重力、摩擦力、下向きの弾性力、下電極板の下部電極A1が可動電極板に対する静電力の合計よりも大きい。このとき、上電極板の調整電極C2-1及び調整電極C2-2は、可動電極板Bを吸引して上電極板Cに密接に接触させ、このような状態下で、接続線導体E1と接続線導体E2は溝B3-1、溝B3-2及び溝C1-1、溝C1-2の内部に隠される。第3の状態は、接続線導体Eが中間の任意値の状態であり、通常はキャパシタの動作過程でこのような状態が現れることを回避すべきである。その理由は、該状態下で、可変キャパシタの容量値は不確定値になるため、選択される接続線導体E1と接続線導体E2は疲労耐性の特徴があり、引張りと圧縮が繰り返して行われることができ、接続線導体が切断されず、同時に引張りと圧縮の過程において、接続線導体の引張り力と圧縮されるときの弾性力は、常に所定値に維持される。接続線導体の抵抗値が可変キャパシタのQ値に与える影響を低減するために、選択される接続線導体の材料は高導電率の材料である。
【0066】
図8は、本実施例に係る可変キャパシタパッケージの実施例の構造図である。単一の可変キャパシタは、金属をスパッタリングしてキャパシタの下部電極A1を形成し、下部電極A1の基に誘電体材料を沈殿して誘電体分離層A2を形成する。キャパシタの下部電極A1は、堆積された金属リード線に接続して、作動電圧ピンに引き出される。堆積またはボンディング方法により、誘電体分離層A2の中央位置に固定装置Dを製造し、固定装置の形態には、固定軸、固定パネル、固定キャビティ、固定バネ等の形態を含まれるが、これらに限定されない。固定装置Dは、可動電極板Bを上電極板Cと下電極板Aとの間で上下に安定して移動させ、かつ水平方向に偏移せず、移動するときに引っ掛からず、抵抗を増加させない。
【0067】
単結晶シリコンを基板として可動電極板Bを製造し、可動電極B1の領域及び調整電極B2の領域にそれぞれ浅い溝をエッチングし、金属をスパッタリングして平坦化する。溝の内部に金属を充填して可動電極B1及び調整電極B2を形成し、可動電極板に溝B3-1及び溝B3-2を設ける。そして、可動電極板の中央部に固定装置の断面形状と同じのスロットまたは貫通孔B4をエッチングする。可動電極板のスロットまたは貫通孔B4は、固定装置Dを貫通し、可動電極B1の面は下に向いており、調整電極B2の面は上に向いている。溝B3-1及び溝B3-2には、それぞれ接続線導体E1と接続線導体E2の一端が固定される。
【0068】
単結晶シリコンを基板として上電極板Cを製造し、キャパシタの領域及びその両側の可変電極の領域に浅い溝をエッチングする。浅い溝を形成した後、可変電極の領域の中央部に引き続き穴を開けて深い溝をエッチングし、金属をスパッタリングして平坦化する。溝の内部に金属を充填し、上層の浅い溝の金属はキャパシタの上部電極C1、調整電極C2-1及び調整電極C2-2を形成し、下部の深い溝に金属を充填してリード線を形成し、かつスイッチC4-1に接続する。堆積された金属リード線は上部電極及び調整電極を上電極板のエッジに引き出す。上電極板の製造を完了した後、上電極板Cを固定装置Dにボンディングすることによって、上電極板Cと下電極板Aとを電気的に組み立て、パッケージの両端から、上電極板Cにおける制御層C4の上部電極のリード線、スイッチの制御リード線及び可変電圧リード線を、それぞれキャパシタの両端の側面からキャパシタのアースピン、制御ピン及び可変電圧ピンにそれぞれ引き出す。
【0069】
(実施例2)
図9図16に示すように、本実施例は、9個の可変セルキャパシタにより構成される結合キャパシタを提供する。9個の可変セルキャパシタの上部電極C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、及び9ペアの上電極板の調整電極C211とC221、C212とC222、C213とC223、C214とC224、C215とC225、C216とC226、C217とC227、C218とC228、C219とC229は、1つの上電極板に共に分布されており、互いに分離されている。そのうち、上部電極C11、C12、C13は、電極層で互いに接続されて1組になり、上部電極C14、C15、C16は、電極層で互いに接続されて1組になり、上部電極C17、C18、C19は、電極層で互いに接続されて1組になり、合計3組を形成する。各組は1つのメインリード線導体にそれぞれ接続され、メインリード線導体はキャパシタのアースピンに接続される。上電極板の9ペアの調整電極における各ペアの調整電極は、いずれもリード線導体を介して互いに接続されており、各ペアの調整電極は、スイッチマトリックスにおける1つのスイッチの一端にさらに接続され、該スイッチの他端は、いずれもリード線導体を介して可変セルキャパシタの可変電圧ピンに接続される。結合キャパシタにおける9個の下部電極A11、A12、A13、A14、A15、A16、A17、A18、A19は、1つの下電極板に共に分布しており、互いに分離されている。下部電極A11、A12、A13は、互いに接続されて1組になり、下部電極A14、 A15、A16は、互いに接続されて1組になり、下部電極A17、A18、A19は、互いに接続されて1組になる。合計3組の下部電極は、さらに1本のリード線導体にそれぞれ接続され、リード線導体は、結合キャパシタの作動電圧ピンに接続される。このうち、上電極板の電極層における上部電極と上部電極のリード線の間、上部電極と調整電極のリード線との間は、誘電体により互いに絶縁分離され、下電極板の下部電極同士のリード線とリード線の間は分離されている。リード線と上電極板の電極層の上部電極、調整電極、下電極板の下部電極との間は分離されているかまたは重ならない。9個の上部電極と9個の下部電極は同じ外形寸法を有し、また、垂直方向で厳密に整列している。対応する9個の固定装置と9組の接続線導体は、共に結合キャパシタを構成し、下電極板の電極層に分布される9個の下部電極と、9個の固定装置で移動できる9個の対応する可動電極板の可動電極は、9個のセルキャパシタを構成する。各セルキャパシタにおいて、可動電極板の可動電極は、下電極板の下部電極と垂直方向に厳密に整列される。そのうち、9個の可動電極板の可動電極における対応する9ペアのスロットは、それぞれ対応する9ペアの接続線導体の一端に接続し、9ペアの接続線導体の他端は、9個の可動電極板の可動電極に対応する上電極板の電極層の9個の上部電極における9ペアのスロットに接続する。上電極板の電極層に分布される9個の上部電極の中心位置は、9個の対応する固定装置の中心位置にそれぞれ垂直に接続して固定され、9個の固定装置の中心位置の他端は、9個の下部電極の中心位置にそれぞれ垂直に接続して固定される。9個の固定装置により結合キャパシタの上電極板と下電極板を固定することによって、結合キャパシタの上電極板と下電極板は所定の距離を離れるように平行しており、上電極板と下電極板の外周は整列されている。9個の可動電極板は、上電極板と下電極板との間で、それぞれ任意に組合せて移動することによって、結合キャパシタの大きさを調節する。前記上電極板の電極層の9個の調整電極は、9個の固定装置における平行に移動可能な9個の平行可動電極板に対応する調整電極と9個の調整ユニットを構成し、前記結合キャパシタにおける9個のセルキャパシタと9個の対応する調整ユニットは、9個の固定装置に組み立てられた9個の可動電極板により、9個の可変セルキャパシタを構成する。
【0070】
本実施例に係る結合キャパシタにおいて、9個の可変セルキャパシタの各キャパシタの容量値は、いずれも個別に調整可能で、また、複数の可変セルキャパシタの容量値を任意に組合せて調整することも可能で、それにより、結合キャパシタの異なる容量値を実現する。具体的な調整方法は、IICバスを介して外部の制御器を本実施例に係る結合キャパシタのIIC制御ピンに接続し、外部にはメイン制御器を設け、結合キャパシタの内部の9個のスイッチにおけるIICは、いずれもサブ制御器である。9個のセルキャパシタにおける各セルキャパシタの制御スイッチには、いずれも1つのアドレスが割り当てられており、バスアドレスを介してメイン制御器が9個のスイッチの各スイッチを具体的に識別し、具体的にある1つまたは1組のスイッチを正確にオン、オフ制御することを実現し、それにより、結合キャパシタの異なる容量値を実現する。
【0071】
前記本実施例に係る結合キャパシタの適用過程において、制御器への電源印加順番が必要であり、具体的な電源印加順番は、まず、可変電圧ピンに可変電圧を印加し、次に、作動電圧ピンに作動電圧を印加する。また、整合回路の動作需要に基づいて、スイッチマトリックスにおける9個のスイッチのオンオフの制御を調整することによって、結合キャパシタの容量値の所要の容量値への調整を実現する。キャパシタの容量値を調整した後、最後に、適用回路に作動電圧を印加し、該結合キャパシタをパワーアンプ回路に適用する場合、上記の順に従ってキャパシタの容量値を調整した後、最後にパワーアンプチューブのグリッド電圧に給電し、それにより、容量値の調整と切り替え過程において、適用回路に不安定をもたらす問題を避けることができる。
【0072】
図10は、本発明の第2の実施例に係る結合キャパシタの下電極板の構造図である。本実施例において、前記下電極板には9個の下部電極A11、A12、A13、A14、A15、A16、A17、A18、A19が分布されており、9個の下部電極の間は誘電体材料を介して互いに分離されている。そのうち、下部電極A11、A12及びA13は、リード線導体をスパッタリングすることによって互いに接続された後、下部電極A14、A15及びA16は、リード線導体をスパッタリングすることによって互いに接続され、下部電極A17、A18及びA19は、リード線導体をスパッタリングすることによって互いに接続される。そして、3組の下部電極は、1本のメインリード線導体にそれぞれ接続され、該メインリード線導体は、結合キャパシタの作動電圧ピンに接続される。上記の全てのリード線導体はルーティング過程に、上電極板の電極層の上部電極、可動電極板の可動電極のいずれとも重ならず、それにより、リード線によって発生する可能性のある寄生容量を回避する。同時に、リード線導体と1つの下部電極の材料、サイズ、抵抗値によって、結合キャパシタの作動電圧電極の耐電圧能力が決定される。各下部電極の上面に覆われる誘電体材料は、分離層A21、A22、A23、A24、A25、A26、A27、A28及びA29をそれぞれ形成し、各可変キャパシタにおける可動電極と下部電極を分離するために用いられる。
【0073】
図11は、第2の本実施例に係る結合キャパシタの上電極板の電極層の構造の模式図である。本実施例において、上電極板の電極層には、9個の上部電極C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19が分布されており、それぞれ対応する下電極板における9個の下部電極A11、A12、A13、A14、A15、A16、A17、A18、A19と形状及び面積の大きさが同じで、かつ整列に分布され、9個の上部電極の間は誘電体材料を介して互いに分離される。そのうち、上部電極C11、C12及びC13はリード線導体を介して互いに接続された1組であり、上部電極C14、C15及びC16はリード線導体を介して互いに接続された1組であり、上部電極C17、C18及びC19はリード線導体を介して互いに接続された1組である。各組の上部電極は、リード線を介して1本のメインリード線に接続され、該メインリード線は、キャパシタの側辺のパッケージの外経路を介して、キャパシタのアースピンにさらに接続される。各上部電極の両側には1ペアの調整電極がそれぞれ分布されており、合計9ペアの調整電極は、それぞれ調整電極C211とC221、調整電極C212とC222、調整電極C213とC223、調整電極C214とC224、調整電極C215とC225、調整電極C216とC226、調整電極C217とC227、調整電極C218とC228、調整電極C219とC229である。9ペアの調整電極における各ペアの調整電極は、それぞれ対応する9個の可動電極板のうち1つの可動電極板の1ペアの調整電極と整列し、各調整電極には、上電極板の制御層の対応するリード線導体に接続される金属ビアホールがある。上記の前記リード線導体は、上電極板の電極層の上部電極、可動電極板の可動電極、下電極板の電極層の下部電極のいずれとも重ならず、リード線とリード線との間は、できる限り交差を回避し、それにより、発生可能な寄生キャパシタを低減する。
【0074】
図12は、第2の本実施例に係る結合キャパシタの上電極板の制御層の構造の模式図である。本実施例において、前記結合キャパシタの上電極板の制御層に分布される9個のスイッチは、それぞれスイッチC41、C42、C43、C44、C45、C46、C47、 C48、C49である。各ペアの調整電極は、いずれも金属ビアホールを介して制御層の9個のスイッチのうち1つのスイッチの一端に接続される。3個のスイッチごとに1組を形成し制御バスに接続されており、制御バスには各スイッチに1つのアドレスが割り当てられており、9個のスイッチには合計9個のアドレスが割り当てられる。外部または内部のプロセッサは、バスアドレスを利用して各スイッチを識別して、各スイッチに対するオンオフ制御を実現する。最後に、9個のスイッチの他端は互いに接続された後、リード線を介してキャパシタの可変電圧ピンに接続し、前記バスは、対応するリード線を介してキャパシタパッケージの外部の対応するバス制御ピンに接続する。上記の前記リード線は、上電極板の電極層の上部電極、可動電極板の可動電極、下電極板の電極層の下部電極のいずれとも重ならない。
【0075】
図13図16は、本実施例に係る結合キャパシタパッケージの関連模式図である。前記結合キャパシタは1つの密封空間にパッケージされており、具体的なパッケージの実現過程は以下のとおりである。まず、単結晶シリコンの上で、単結晶シリコンを用いて、単結晶シリコンにエッチングすることによって、結合キャパシタの下電極板及びパッケージの周りの壁板を形成する。下電極板の表面に、スパッタリングにより形状が規則的な9個の下部電極を形成し、9個の下部電極の表面に、高いQ値及び高誘電率の誘電体を沈殿することによって、9個の下部電極に分離層をそれぞれ形成する。そして、金属リード線をスパッタリングすることによって、9個の下部電極を3組に分割し、各列の3個の下部電極を互いに接続させた後、1つのスパッタリングしたバスに接続し、バスは結合キャパシタの作動電圧ピンに接続する。その後、堆積またはボンディング方法により、下電極板の9個の下部電極の中心位置に、9個の固定装置を形成または製造する。固定装置の形態には、固定軸、固定パネル、固定キャビティ、固定バネ等の形態が含まれるが、これらに限定されない。また、単結晶シリコンを基板として、同じ形状と同じサイズの9枚の可動電極板を製造する。各可動電極板の両側の可動電極の領域及び調整電極の領域には、それぞれ溝をエッチングし、金属をスパッタリングして平坦化し、溝の内部に金属を充填することによって、各可動電極板の可動電極及び調整電極を形成する。可動電極板の真中には、固定装置の断面形状と同じで、サイズが若干大きい貫通孔をエッチングすると共に、可動電極の上面に接続線導体の接続に用いられるスロットをエッチングして、各可動電極板のスロットの内部には、1つの接続線導体が固定される。
【0076】
単結晶シリコンを基板として上電極板を製造し、上電極板に9個の可動電極板の面積及び形状が同じの9ブロックの領域を分布する。この9ブロックの領域の一面は電極層として、それぞれ金属をスパッタリングすることによって、上電極板の調整電極及び上部電極を形成し、他面は制御層として対応するスイッチのウェハー回路を制御層にエッチングし、かつ対応する接続線導体をスパッタリングすることによって、全てのスイッチ及び接続線導体は、いずれも上部電極と調整電極との間の隙間に分布され、上部電極及び調整電極と重ならない。金属化のビアホールを開けることによって、調整電極を対応するスイッチに接続し、対応する接続リード線を電極層及び制御層のエッジにスパークリングして、結合キャパシタのアース極と可変電圧電極に引き出して接続することに用いる。最後に、9個の可動電極板の接続線導体の他端を、それぞれ9個の上部電極のスロットに対応して接続及び固定し、上電極板全体及び9個の可動電極板を、下電極板のベース溝に取り付け、結合キャパシタ全体に対する密封及び外部ピンの表層の処理を行うことによって、最終的にキャパシタのパッケージを実現する。
【0077】
説明の便宜上、上記装置は説明では、単一の可変セルキャパシタ及び9個の可変セルキャパシタから構成される結合キャパシタのみが、それぞれ説明されている。もちろん、本出願を実施する場合、N個の異なるセルキャパシタを任意に組合せて、各モジュールまたはユニットの機能を、1つ又は複数のハードウェアで実現することができる。当業者は、本出願の実施例が方法、デバイス、実現プロセス及び製品として提供され得ることを、理解できる。
【0078】
図17は、本発明の実施例のうちの3番目である。本実施例において、N個の結合キャパシタを縦方向に積層して結合キャパシタを形成することができる。本実施例では、N個の積層するキャパシタのうち、2個のキャパシタを選択して積層し、結合キャパシタを形成する模式図である。該実施例において、2個の可変セルキャパシタ100と可変セルキャパシタ200を縦方向に積層して結合キャパシタを形成し、可変セルキャパシタ100の下電極板A0と可変セルキャパシタ200の上電極板Cは、1つの電極板を共用する。可変セルキャパシタ200の調整電極B2は、ビアホールを介して制御層のスイッチの一端に接続され、スイッチの他端は、リード線を介して可変電圧の制御ピンY2に接続される。可変セルキャパシタ100の調整電極B22は、ビアホールを介して制御層のスイッチの一端に接続され、スイッチの他端は、リード線を介して可変電圧の制御ピンY3に接続される。可変電圧の制御ピンY2及びY3は、それぞれ異なる制御電圧を印加されることによって、個別に制御されるか、同じ制御電圧に接続されて共に制御されることができる。前記可変セルキャパシタ100の上部電極C11及び可変セルキャパシタ200の上部電極C1は、それぞれリード線を介してアースピンY0に接続される。前記可変セルキャパシタ100の下部電極A0及び可変セルキャパシタ200の下部電極A1は、それぞれリード線を介して給電用の作動電圧ピンY1に接続される。縦方向にパッケージされた結合キャパシタにおけるN個の可変セルキャパシタは、縦方向にパッケージされており、キャパシタのパッケージが小さく、占有面積が小さいという特徴がある。
【0079】
図18は、本発明の実施例のうちの3番目である。本実施例において、まず、横方向に組合せられた3個の可変セルキャパシタ300、310、320は、1つの結合キャパシタ500を構成し、また、横方向に組み合わせられた3個の可変セルキャパシタ330、340、350は、1つの結合キャパシタ400を構成する。2つの結合キャパシタ400及び結合キャパシタ500を積層して、新しい結合キャパシタを構成し、結合キャパシタ400の下電極板と結合キャパシタ500の上電極板は、同じ電極板を共用する。そのうち、可変セルキャパシタ300、310、320の下部電極A11、A12、A13は、いずれも同じ下電極板に分布され、誘電体材料を介して互いに分離されており、3個の下部電極は、リード線を介して互いに接続された後、最後に給電電圧ピンY1に接続される。可変セルキャパシタ300、310、320の上部電極C11、C12、C13は、いずれも同じ上電極板に分布され、誘電体材料を介して互いに分離されており、3個の上部電極は、リード線を介して互いに接続された後、結合キャパシタのアースピンY0にさらに接続される。可変セルキャパシタ300、310、320の調整電極B211、B221は、リード線を介して互いに接続された後、さらにリード線を介してスイッチC41の一端に接続され、スイッチC41の他端は、リード線を介して可変電圧の制御ピンY2に接続される。調整電極B212、B222は、リード線を介して互いに接続された後、さらにリード線を介してスイッチC42の一端に接続され、スイッチC42の他端は、リード線を介して可変電圧の制御ピンY2に接続される。調整電極B213、B223は、リード線を介して互いに接続された後、さらにリード線を介してスイッチC43の一端に接続され、スイッチC43の他端は、リード線を介して可変電圧の制御ピンY2に接続される。
【0080】
そのうち、可変セルキャパシタ330、340、350の下部電極A14、A15、A16は、いずれも1つの下電極板に分布され、誘電体材料を介して互いに分離されており、3個の下部電極は、リード線を介して互いに接続された後、最後に給電電圧ピンY1に接続する。可変セルキャパシタ330、340、350の上部電極C14、C15、C16は、いずれも上電極板に分布され、誘電体材料を介して互いに分離されており、3個の上部電極は、リード線を介して互いに接続された後、結合キャパシタのアースピンY0にさらに接続される。可変セルキャパシタ330、340、350の調整電極B214、B224は、リード線を介して互いに接続された後、さらにリード線を介してスイッチC44の一端に接続され、スイッチC44の他端は、リード線を介して可変電圧の制御ピンY3に接続される。調整電極B215、B225は、リード線を介して互いに接続された後、さらにリード線を介してスイッチC45の一端に接続され、スイッチC45の他端は、リード線を介して可変電圧の制御ピンY3に接続される。調整電極B216、B226は、リード線を介して互いに接続された後、さらにリード線を介してスイッチC46の一端に接続され、スイッチC46の他端は、リード線を介して可変電圧の制御ピンY3に接続される。
【0081】
上記のように、MEMS構造に基づく可変キャパシタは、高いQ値を有するだけでなく、同時に高耐電圧、高耐電流の能力も有する。また、複数の可変キャパシタを1つのパッケージにパッケージすることによって、結合キャパシタの容量値を連続的、段階的に調整することができ、キャパシタの容量値が外部または内部のプロセッサを利用してプログラム及び調整可能であるため、適用環境への適応性が良好で、また、調節電極が移動可能な電極であり、電位状態が固定されることによって、可変キャパシタの両端の無線周波数回路の直流バイアスがスイッチアームの移動に与える影響を回避する。従来の可変キャパシタとの違いは、可動電極が水平に上下に移動し、電極自体に変形がないため、寄生容量が減少でき、容量変化の直線性をより高めることができる。調節電極は、常に電界ブロック状態にあるため、外部の機械的振動の影響を低減する。半導体と誘電体材料は、低温の半田を用いて溶接し、同時にウェハーレベルのパッケージを実現する。
【0082】
上記の内容は、具体的な好ましい実施形態を参照して、本発明をさらに詳細に説明したものである。本発明の具体的な実施が、これらの説明に限定されると考えてはならない。本発明が属する技術分野の通常の技術者にとって、本発明の思想を逸脱しない範囲で、いくつかの簡単な推論または置換えを行うことができ、これらはいずれも本発明の保護範囲内に属するものと見なすべきである。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18