(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】低軌道収集を利用したマルチスタティック合成開口レーダー
(51)【国際特許分類】
H04B 7/185 20060101AFI20240227BHJP
H01Q 19/17 20060101ALI20240227BHJP
H01Q 21/24 20060101ALI20240227BHJP
H01Q 25/00 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
H04B7/185
H01Q19/17
H01Q21/24
H01Q25/00
(21)【出願番号】P 2023528048
(86)(22)【出願日】2020-11-13
(86)【国際出願番号】 US2020060602
(87)【国際公開番号】W WO2022103403
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-11-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513180451
【氏名又は名称】ヴィアサット,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ViaSat,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,クレイグ,エイ.
(72)【発明者】
【氏名】グリーニッジ,デイビッド,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ビュアー,ケネス,ヴイ.
(72)【発明者】
【氏名】ハンシャリック,デイビッド,ジェイ.
【審査官】前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/274611(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/090990(US,A1)
【文献】米国特許第10574338(US,B1)
【文献】国際公開第2019/173149(WO,A1)
【文献】国際公開第2022/087450(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/173654(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/185
H01Q 19/17
H01Q 21/24
H01Q 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって:
第1の衛星(120)から、地理的領域(625)を照らすアンテナ(121)を介して、第1の複数のフォワードダウンリンク信号(170)を送信するステップであって、前記地理的領域(625)内の第1の複数のフォワードダウンリンクビーム(125)のそれぞれは、前記第1の複数のフォワードダウンリンク信号(170)の少なくとも1つのサブセットから形成される、送信するステップと;
前記第1の複数のフォワードダウンリンクビーム(125)の反射を備える、それぞれの第1の信号(128)を、複数の第2の衛星(122)によって受信するステップと;
前記第1の複数のフォワードダウンリンクビーム(125)を形成するために使用される第1のビームフォーミングマトリクス(823)に、少なくとも部分的に基づき、前記複数の第2の衛星(122)によって受信する前記それぞれの第1の信号(128)を、前記地理的領域(625)の画像(850)を取得するために、
マルチスタティックSARプロセッサ(145)によって処理するステップと;
を備える方法。
【請求項2】
前記第1の複数のフォワードダウンリンクビーム(125)は、偏波および周波数帯域の第1の組み合わせを有する複数のフォワードダウンリンクビーム(125)を備え、また、前記それぞれの第1の信号(128)の少なくとも1つのサブセットは、前記偏波および周波数帯域の第1の組み合わせを有する前記複数のフォワードダウンリンクビーム(125)からの、それぞれの複合反射を備え、
前記処理するステップは:
前記複数のフォワードダウンリンクビーム(125)のそれぞれの信号データに、少なくとも部分的に基づき、前記複数のフォワードダウンリンクビーム(125)のそれぞれに関連付けられた前記それぞれの第1の信号(128)の、少なくとも前記サブセットのコンポーネントを確定するステップを備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の複数のフォワードダウンリンク信号(170)は、第1の継続期間に対応し、前記方法は:
前記第1の衛星から、第2の継続期間に対応する第2の複数のフォワードダウンリンク信号(170)を送信するステップであって、前記第2の複数のフォワードダウンリンク信号(170)は、前記地理的領域(625)上で第2の複数のフォワードダウンリンクビーム(125)を形成する、送信するステップと;
前記複数の第2の衛星(122)によって、前記第2の複数のフォワードダウンリンクビーム(125)の反射を備える、それぞれの第2の信号(128)を受信するステップと;
前記地理的領域(625)の前記画像(850)を取得するために、少なくとも部分的には、前記第2の複数のフォワードダウンリンクビーム(125)の形成に使用される第2のビームフォーミングマトリクス(823)に基づいて、前記複数の第2の衛星(122)によって受信される前記それぞれの第2の信号(128)を処理するステップと;
をさらに備える、
請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の複数のフォワードダウンリンクビーム(125)は、第1の偏波および第1の周波数帯域に関連付けられる第1の複数のビームカバレッジエリア(126)を備える、第1のビームカバレッジパターンと関連付けられ、前記第2の複数のフォワードダウンリンクビーム(125)は、前記第1の偏波および前記第1の周波数帯域に関連付けられる第2の複数のビームカバレッジエリア(126)を備える、第2のビームカバレッジパターンに関連付けられ、前記第2の複数のビームカバレッジエリア(126)は、前記第1の複数のビームカバレッジエリア(126)からオフセットされる、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の複数のフォワードダウンリンクビーム(125)は、偏波および周波数帯域の第1の組み合わせに関連付けられる第1のビームカバレッジエリア(126)を備える、第1のビームカバレッジパターンに関連付けられ、前記第2の複数のフォワードダウンリンクビーム(125)は、偏波および周波数帯域の第2の組み合わせに関連付けられる第2のビームカバレッジエリア(126)を備える、第2のビームカバレッジパターンに関連付けられ、前記第2のビームカバレッジエリア(126)は、前記第1のビームカバレッジエリア(126)と概ね重複している、
請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の衛星(120)から前記第1の複数のフォワードダウンリンク信号(170)を送信するステップは:
前記第1の複数のフォワードダウンリンク信号(170)を取得するために、前記第1の衛星(120)において、衛星アクセスノード(130)から受信した複数のフォワードアップリンク信号(175)に、前記第1のビームフォーミングマトリクス(823)を適用するステップを備える、
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の衛星(120)から、前記第1の複数のフォワードダウンリンク信号(170)を送信するステップは:
複数の衛星アクセスノード(130)からそれぞれのフォワードアップリンク信号(175)を送信するステップと;、
前記第1の衛星(120)の、複数の送信/受信信号経路によって、前記それぞれのフォワードアップリンク信号(175)を中継するステップであって、
前記第1の複数のフォワードダウンリンク信号(170)のそれぞれは、前記の各フォワードアップリンク信号(175)の少なくとも1つのサブセットの複合体を備える、中継するステップと;
を備える、
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の複数のフォワードダウンリンク信号(170)は、前記地理的領域(625)内の複数のユーザー端末(150)に送信するための、複数のフォワードユーザーデータストリームを備える、
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の衛星(120)は静止(GEO)衛星であり、前記複数の第2の衛星(122)は低軌道(LEO)衛星である、
請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
イメージングシステムであって:
地理的領域(625)を照らすアンテナ(121)を介して、第1の複数のフォワードダウンリンク信号(170)を送信するように構成された第1の衛星(120)であって、地理的領域(625)内の第1の複数のフォワードダウンリンクビーム(125)のそれぞれは、前記第1の複数のフォワードダウンリンク信号(170)の少なくとも1つのサブセットから形成される、第1の衛星(120)と;
前記第1の複数のフォワードダウンリンクビーム(125)の反射を備える、それぞれの第1の信号(128)を受信するように構成された、複数の第2の衛星(122)と;
前記第1の複数のフォワードダウンリンクビーム(125)を形成するために使用される第1のビームフォーミングマトリクス(823)に、少なくとも部分的に基づき、前記複数の第2の衛星(122)によって受信される、前記それぞれの第1の信号(128)を、前記地理的領域(625)の画像(850)を取得するために処理するように構成された少なくとも1つの
マルチスタティックSARプロセッサ(145)と;
を備えるイメージングシステム。
【請求項11】
前記第1の複数のフォワードダウンリンクビーム(125)は、偏波および周波数帯域の第1の組み合わせを有する複数のフォワードダウンリンクビーム(125)を備え、また、前記それぞれの第1の信号(128)の少なくとも1つのサブセットは、前記偏波および周波数帯域の第1の組み合わせを有する前記複数のフォワードダウンリンクビーム(125)からのそれぞれの複合反射を備え、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記複数のフォワードダウンリンクビーム(125)のそれぞれの信号データに、少なくとも部分的に基づき、前記複数のフォワードダウンリンクビーム(125)のそれぞれに関連付けられた前記それぞれの第1の信号(128)の、少なくとも前記サブセットのコンポーネントを確定するように構成された、
請求項10に記載のイメージングシステム。
【請求項12】
前記第1の複数のフォワードダウンリンク信号(170)は、第1の継続期間に対応し、ここで:
前記第1の衛星(120)は、第2の継続期間に対応する第2の複数のフォワードダウンリンク信号(170)を送信するように構成され、前記第2の複数のフォワードダウンリンク信号(170)は、前記地理的領域(625)上の第2の複数のフォワードダウンリンクビーム(125)を形成し;
前記複数の第2の衛星(122)は、前記第2の複数のフォワードダウンリンクビーム(125)の反射を備える、それぞれの第2の信号(128)を受信するように構成され;
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記第2の複数のフォワードダウンリンクビーム(125)を形成するために使用される第2のビームフォーミングマトリクス(823)に少なくとも部分的に基づいて、前記地理的領域(625)の前記画像(850)を取得するために、前記複数の第2の衛星(122)によって受信される、前記それぞれの第2の信号(128)を処理するように構成されている、
請求項10または請求項11に記載のイメージングシステム。
【請求項13】
前記第1の複数のフォワードダウンリンクビーム(125)は、第1の偏波および第1の周波数帯域に関連付けられる第1の複数のビームカバレッジエリア(126)を備える、第1のビームカバレッジパターンに関連付けられ、前記第2の複数のフォワードダウンリンクビーム(125)は、前記第1の偏波および前記第1の周波数帯域に関連付けられる第2の複数のビームカバレッジエリア(126)を備える、第2のビームカバレッジパターンに関連付けられ、前記第2の複数のビームカバレッジエリア(126)は、前記第1の複数のビームカバレッジエリア(126)からオフセットされる、
請求項12に記載のイメージングシステム。
【請求項14】
前記第1の複数のフォワードダウンリンクビーム(125)は、偏波および周波数帯域の第1の組み合わせに関連付けられる第1のビームカバレッジエリア(126)を備える、第1のビームカバレッジパターンに関連付けられ、前記第2の複数のフォワードダウンリンクビーム(125)は、偏波および周波数帯域の第2の組み合わせに関連付けられる第2のビームカバレッジエリア(126)を備える、第2のビームカバレッジパターンに関連付けられ、前記第2のビームカバレッジエリア(126)は、前記第1のビームカバレッジエリア(126)と概ね重複している、
請求項12に記載のイメージングシステム。
【請求項15】
前記第1の衛星(120)は、前記第1の複数のフォワードダウンリンク信号(170)を取得するために、衛星アクセスノード(130)から受信した複数のフォワードアップリンク信号(175)に、前記第1のビームフォーミングマトリクス(823)を適用するように構成された、
請求項10~請求項14のいずれか1項に記載のイメージングシステム。
【請求項16】
それぞれのフォワードアップリンク信号(175)を送信するように構成された複数の衛星アクセスノード(130)であって、
前記第1の衛星(120)は、前記それぞれのフォワードアップリンク信号(175)を中継するように構成された複数の送信/受信信号経路を備え、それぞれの前記第1の複数のフォワードダウンリンク信号(170)は、前記それぞれのフォワードアップリンク信号(175)の少なくとも1つのサブセットの複合体を備える、
複数の衛星アクセスノード(130)をさらに備える、
請求項10~請求項14のいずれか1項に記載のイメージングシステム。
【請求項17】
前記第1の複数のフォワードダウンリンク信号(170)は、前記地理的領域(625)内の複数のユーザー端末(150)に送信するための、複数のフォワードユーザーデータストリームを備える、
請求項10~請求項16のいずれか1項に記載のイメージングシステム。
【請求項18】
前記第1の衛星(120)は静止(GEO)衛星であり、前記複数の第2の衛星(122)は低軌道(LEO)衛星である、
請求項10~請求項17のいずれか1項に記載のイメージングシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
以下は、概して多軌道衛星システム、より具体的には低軌道収集を使用するマルチスタティック合成開口レーダーに関する。合成開口レーダーは、レーダーイルミネーターまたはレーダー受信機の複数の位置と関連付けられる信号を組み合わせることによって空間分解能を向上させるために使用することができる。合成開口レーダーの用途には、科学的または環境的なモニタリング、資産や軍事情報のための目的対象物の動きの監視が含まれる。
【発明の概要】
【0002】
本明細書で述べる技術は、低軌道収集を利用したマルチスタティック合成開口レーダーに対応した、改良型の方法、システム、デバイス、および装置に関するものである。一部の実施例では、イルミネーション衛星が第1の軌道にあり、複数の収集衛星が第2の軌道にある場合がある。イルミネーション衛星は、ビームフォーミングされた通信信号など、ビームフォーミングされた照度信号を、さまざまなビームカバレッジエリアに送信することができる。それぞれの収集衛星は、ビームフォーミングされた照度信号の反射を受信することができる。収集衛星で受信した反射信号は、ビームフォーミングされた照度信号を送信して地理的領域の画像を取得するために使用される、ビームフォーミングマトリクスを考慮して処理することができる。場合によっては、ビームフォーミングされた照度信号は、カバレッジエリア内のユーザー端末を対象とした通信信号(例えば、変調データ)を伝送することがある。場合によっては、収集衛星が受信した信号を中継して、イルミネーション衛星経由で処理することがある。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】
図1Aは、本明細書に開示された複数の実施例に拠る、低軌道収集を利用したマルチスタティック合成開口レーダーに対応した衛星システムの略図を示す。
図1Bは、本明細書に開示された複数の実施例に拠る、低軌道収集を利用したマルチスタティック合成開口レーダーに対応した衛星のアンテナアセンブリの略図を示す。
図1Cは、本明細書に開示された複数の実施例に拠る、マルチスタティック合成開口レーダーに対応したアンテナアセンブリのフィードアレイアセンブリを示している。
【
図2】
図2A~
図2Dは、本明細書に開示された複数の実施例に拠る、マルチスタティック合成開口レーダーに対応した、フィードアレイアセンブリを有するアンテナアセンブリに関するアンテナ特性の例を示している。
【
図3】
図3Aおよび
図3Bは、本明細書に開示された複数の実施例に拠る、ネイティブアンテナパターンのカバレッジエリア上にスポットビームカバレッジエリアを形成するビームフォーミングの一例を示している。
【
図4】
図4は、本明細書に開示された複数の実施例に拠る、マルチスタティック合成開口レーダーに対応した受信処理システムの一例を示している。
【
図5】
図5は、本明細書に開示された複数の実施例に拠る、マルチスタティック合成開口レーダーに対応した複合ビームカバレッジパターンの一例を示している。
【
図6】
図6は、本明細書に開示された複数の実施例に拠る、マルチスタティック合成開口レーダーの技術に対応したデバイスを含むシステムの略図を示す。
【
図7】
図7は、本明細書に開示された複数の実施例に拠る、マルチスタティック合成開口レーダーの技術に対応したプロセスフローを示している。
【
図8】
図8は、本明細書に開示された複数の実施例に拠る、低軌道収集を利用したマルチスタティック合成開口レーダーの技術に対応した、マルチスタティックSARプロセッサの略図を示す。
【
図9】
図9は、本明細書に開示された複数の実施例に拠る、マルチスタティック合成開口レーダーの技術に対応したデバイスを含むシステムの略図を示す。
【
図10】
図10は、本明細書に開示された複数の実施例に拠る、低軌道収集を利用したマルチスタティック合成開口レーダーに対応した方法を示すフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本明細書に記載されている技術に拠るシステムは、低軌道収集を利用したマルチスタティック合成開口レーダーのさまざまな実施例に対応することができる。場合によっては、通信衛星がマルチスタティック合成開口レーダーの照明光源として使用され得る。例えば、通信衛星は静止軌道上にあり、マルチスポットビームモードで作動し、地球のさまざまな領域に向けられたいくつかの比較的狭いスポットビームに従って送信または受信することができる。イルミネーション衛星を含む衛星システムでは、衛星上のオンボードビームフォーミング、地上ビームフォーミング、またはエンドツーエンドビームフォーミングを用いることができる。
【0005】
衛星システムには、イルミネーション衛星とは異なる軌道(例えば、低軌道)にあっても良い複数の収集衛星が含まれ得る。イルミネーション衛星によって送信される照度信号は、物体やその他の地形を含む地球の表面に反射し、マルチスタティック構成の収集衛星によって受信することができる。収集衛星は、受信した信号からの情報(例えばデジタルサンプル)を1つ以上の地上局に送信することができる(例えば、直接またはイルミネーション衛星のような1つ以上の他の衛星を経由して)。受信した信号をイメージングするための開口部は、複数の方向に反射された信号を受信する収集衛星の数によって定義付けることができる。これには、収集衛星間の空間的関係性、およびイルミネーション衛星の被照射領域とその位置に対する収集衛星の相対的な動きとが含まれる。同一の時限における反射された信号を意味する、複数の収集衛星の各々からの複数のサンプリングされた信号(例えば、複数のビーム信号を意味する)から得られるマルチスタティックデータは、複数の収集衛星の位置のディメンションと関連する開口部上の地理空間情報を特定するために使用され得る。マルチスタティック開口部は、各照明光源の合成開口部と組み合わせることができる(例えば、収集衛星がそれらの軌道を横切るとき)。領域の画像(例えば、1つ以上のビームカバレッジエリアを含む)は、反射された信号およびビーム情報(例えば、ビーム係数、ビーム信号)から取得することができる。
【0006】
本明細書の記述は、低軌道収集を利用したマルチスタティック合成開口レーダーの技術についてさまざまな実施例を提供しており、そのような実施例は、本明細書に記載されている原理に拠る実施例の範囲、適用可能性、または構成を制限するものではない。むしろ、次に続く記述は、本明細書に記載されている原理の実施形態の実現を可能にする説明を当業者に提供するであろう。要素の機能や編成にはさまざまな改変を加えて良い。
【0007】
したがって、本明細書に開示されている実施例に拠るさまざまな実施形態では、必要に応じてさまざまな手順またはコンポーネントを省略、代替、または追加することができる。例えば、これらの方法は記載されている順序とは異なる順序で実行されても良く、またさまざまなステップを追加、省略、または組み合わせて実行しても良いことを認識しておくべきである。また、特定の実施例に関連して記述されている態様や要素は、他のさまざまな実施例に組み込むことができる。また、以下のシステム、方法、デバイス、およびソフトウェアは、個別にまたは集合的に、より大規模なシステムのコンポーネントとなり得ること、その場合、他の手順の方が優先される、あるいはその他、使い方が変更される可能性があることも認識しておくべきである。
【0008】
図1は、本明細書に開示された複数の実施例に拠る、低軌道収集を利用したマルチスタティック合成開口レーダーに対応した衛星システム100の略図である。衛星システム100は、宇宙セグメント101や地上セグメント102を含む多くのネットワークアーキテクチャを使用することができる。宇宙セグメント101は、1つ以上の衛星120を含むことができる。地上セグメント102には、1つ以上のアクセスノード端末130(例えば、ゲートウェイ端末、地上局)、ならびにネットワークオペレーションセンター(NOC)または衛星およびゲートウェイ端末コマンドセンター(不図示)などの他の中央処理センターまたはデバイスが含まれ得る。一部の実施例では、地上セグメント102には、衛星120を介した通信サービスが提供されるユーザー端末150も含まれ得る。
【0009】
さまざまな実施例では、衛星120は、サービスカバレッジエリアにある1つ以上のアクセスノード端末130および/またはさまざまなユーザー端末150間の無線通信に対応するように構成され得るが、一部の実施例では、これが衛星120の主要な任務または使命となる場合がある。一部の実施例では、衛星120は、地上の機器に対する軌道位置が比較的固定されているか、運用上の許容範囲内または他の軌道ウィンドウ内(例えば、軌道スロット内)に固定されているようにして、静止軌道(GEO)に展開されても良い。他の実施例では、衛星120は任意の適切な軌道(例えば、低軌道(LEO)、中軌道(MEO、その他)で動作し得る。
【0010】
衛星120は、フェーズドアレイアンテナアセンブリ(例えば、直接放射アレイ(DRA))、フェーズドアレイ給電リフレクター(PAFR)アンテナ、または信号の受信もしくは送信に用いる当技術分野では公知のその他のメカニズム(例えば、通信もしくは放送サービス、またはデータ収集サービス用のメカニズム)などの、アンテナアセンブリ121を使用しても良い。通信サービスに対応する場合、衛星120は、アクセスノード端末130からフォワードアップリンク信号175を受信し、フォワードダウンリンク信号170を1つ以上のユーザー端末150に送信することができる。衛星120は、1つ以上のユーザー端末150からリターンアップリンク信号171も受信し、リターンダウンリンク信号176を1つ以上のアクセスノード端末130に送信することができる。衛星120は、アクセスノード端末130間またはユーザー端末150間の信号の通信に、さまざまな物理層伝送変調方式および符号化技術を使用することができる(例えば、適応型符号化および変調(ACM))。
【0011】
アンテナアセンブリ121は、1つ以上のビームフォーミングされたスポットビーム125を介した通信またはその他の信号受信に対応することができる。スポットビーム125は、サービスビーム、衛星ビーム、またはその他の適切な用語で呼ばれる場合がある。信号は、スポットビーム125の空間電磁放射パターンに応じて、アンテナアセンブリ121を介して送ることができる。通信サービスに対応する場合、スポットビーム125は、1つの周波数や隣接する周波数帯域など、シングルキャリアを使用することができ、これは単一偏波を伴う場合もある。一部の実施例では、スポットビーム125がユーザースポットビームまたはユーザービームと呼ばれる場合がある。例えば、ユーザースポットビーム125は、衛星120とユーザー端末150の間の1つ以上のフォワードダウンリンク信号170および/または1つ以上のリターンアップリンク信号171に対応するように構成することができる。衛星120とアクセスノード端末130との間の通信は、アクセスノードのスポットビーム(不図示)を介しても良く、これはゲートウェイビームとも呼ばれる。
【0012】
スポットビーム125は、スポットビームカバレッジエリア126内における、ターゲットデバイス(例えば、ユーザー端末150および/またはアクセスノード端末130)間の通信サービス、またはその他の信号受信に対応していても良い。スポットビームカバレッジエリア126は、地面またはその他の基準面に投影された時、閾値(例えば、絶対閾値またはビームの中心に対する閾値)を超えるスポットビーム125の信号電力、信号対ノイズ比(SNR)、または信号対干渉プラスノイズ比(SINR)を有する、関連スポットビーム125の電磁放射パターンの面積によって定義付けることができる。スポットビームカバレッジエリア126は、任意の適切なサービスエリア(例えば、円形、楕円、六角形、局所、地域、国)をカバーすることができ、かつスポットビームカバレッジエリア126内にある任意の数量のターゲットデバイスとの通信サービスに対応することができる。さまざまな実施例では、飛行中または水面下のターゲットデバイスなどのターゲットデバイスが、スポットビーム125内には位置しているが、スポットビームカバレッジエリア126の基準面(例えば、基準面160、これは、地上面、陸表面、湖や海などの水域の表面、または標高もしくは海抜の基準面であり得る)にはない場合がある。
【0013】
通信リンクのビームフォーミングは、ネイティブフィード素子パターンが重複している、1つ以上のアンテナアセンブリ121の複数のフィード素子によって送信および/または受信される信号の信号位相(または時間遅延)、および場合によって信号振幅を調整することで実行できる。一部の実施例では、オンボードビームフォーミング(OBBF)、地上ビームフォーミング(GBBF)、エンドツーエンドビームフォーミング、またはその他のタイプのビームフォーミングのさまざまな実施例を可能にするように協働する、構成要素たる受信および/または送信フィード素子の配列として、一部またはすべてのフィード素子を編成することができる。
【0014】
衛星120は、それぞれのスポットビームカバレッジエリア126をカバーする複数のビームフォーミングされたスポットビーム125に対応することができ、それぞれが隣接するスポットビームカバレッジエリア126と重複しても良いし、重複しなくても良い。例えば、衛星120は、任意の数(例えば、何十、何百、何千)のスポットビームカバレッジエリア126の組み合わせで形成されたサービスカバレッジエリア(例えば、地域カバレッジエリア、全国カバレッジエリア、半球カバレッジエリア)に対応することができる。衛星120は、1つ以上の周波数帯域,および任意の数のそれのサブバンドを経由して通信サービスに対応することができる。例えば、衛星120は国際電気通信連合(ITU)によるKu、K、またはKa帯、C帯、X帯、S帯、L帯、V帯などでの運用に対応することができる。
【0015】
一部の実施例では、サービスカバレッジエリアは、そこから、および/またはそこに向けて、地上の送信元または地上の受信機のいずれかが、衛星120を介した通信サービスに参加する(例えば、通信サービスと関連する信号を送信する、および/または受信する)ことができるカバレッジエリアとして定義される場合があり、また、複数のスポットビームカバレッジエリア126によって定義される場合もある。システムによっては、各通信リンクのサービスカバレッジエリア(例えば、フォワードアップリンクカバレッジエリア、フォワードダウンリンクカバレッジエリア、リターンアップリンクカバレッジエリア、および/またはリターンダウンリンクカバレッジエリア)が異なる場合がある。サービスカバレッジエリアは、衛星120が稼働中(例えば、サービス軌道上にある)の場合にのみアクティブになり得るが、衛星120はアンテナアセンブリ121の物理的な構成要素とそれらの相対的な位置に基づいた、ネイティブアンテナパターンを有して(例えば、そのようなネイティブアンテナパターンを有するように設計または構成されて)いても良い。衛星120のネイティブアンテナパターンは、衛星のアンテナアセンブリ121に関するエネルギーの配分(例えば、アンテナアセンブリ121から送信される、および/またはアンテナアセンブリ121が受信するエネルギー)を指す場合がある。
【0016】
一部のサービスカバレッジエリアでは、隣接するスポットビームカバレッジエリア126に、ある程度の重複部分があっても良い。一部の実施例では、マルチカラー(例えば、2色、3色、または4色のリユースパターン)が使用される場合があり、ここで「色」は直交通信リソース(例えば、周波数リソース、偏波、その他)の組み合わせを指す。4色パターンの一実施例では、重複するスポットビームカバレッジエリア126のそれぞれに4色のいずれかを割り当てることができ、また、各色には、周波数(例えば、周波数の一帯域または複数の帯域、1つ以上のチャンネル)および/または信号偏波(例えば、右旋円偏波(RHCP)、左旋円偏波(LHCP)、その他)、またはその他の直交リソースの一意的な組み合わせを割り当てることができる。重複する領域を持つ各スポットビームカバレッジエリア126に異なる色を割り当てると、(例えば、各色に応じてそれぞれのスポットビームに対応する送信をスケジューリングすることにより、各色に応じてそれぞれのスポットビームに対応する送信をフィルタリングすることにより、)これらの重複するスポットビームカバレッジエリア126に関連付けられているスポットビーム125間の干渉を軽減または排除することができる。これらの周波数とアンテナ偏波の組み合わせは、繰り返される重複しない「4色」のリユースパターンで適切に再利用され得る。一部の実施例では、より多くの、またはより少ない数の色を使用して通信サービスが提供され得る。付加的に、あるいは択一的に、スポットビーム125間のタイムシェアリング、および/またはその他の干渉緩和技術を使用しても良い。例えば、スポットビーム125は、ACM、干渉キャンセル、時空符号化などの緩和技術を使用して干渉を緩和しながら、同じリソース(同じ偏波および周波数帯域)を同時に使用しても良い。
【0017】
一部の実施例では、衛星120を「ベントパイプ」衛星として構成し得る。ベントパイプの構成では、衛星120は、信号をその宛先に再送信する前に、受信したキャリア信号の周波数および偏波の変換を行う場合がある。一部の実施例では、(例えば、GBBFを経由して)衛星120は、比較的小さなスポットビーム125を生成する際に使用されるフェーズドアレイアンテナを用いた、未処理のベントパイプアーキテクチャに対応する場合がある。衛星120は、K一般経路に対応することができ、それぞれの経路を任意の瞬間にフォワード経路またはリターン経路として割り当てることができる。比較的大きなリフレクターは、フェーズドアレイ型アンテナフィード素子による照射を受け、リフレクターの大きさとアンテナフィード素子の数と配置によって決まる制約の範囲内で、さまざまなパターンのスポットビーム125を生成する機能に対応することができる。アップリンク信号の受信、ダウンリンク信号の送信、またはその両方にフェーズドアレイ給電リフレクターを使用することができる。
【0018】
衛星120は、地球のさまざまな領域に向けられたいくつかの比較的狭いスポットビーム125に従って送信または受信する、マルチスポットビームモードで作動することができる。これにより、ユーザー端末150をさまざまな狭いスポットビーム125に分離すること、あるいはその他、送信された、または受信された信号の空間的分離に対応することを可能にし得る。一部の実施例では、受信(Rx)または送信(Tx)フェーズドアレイに関連付けられたビームフォーミングネットワーク(BFN)は動的であって、Txスポットビーム125(例えば、ダウンリンクスポットビーム125)およびRxスポットビーム125(例えば、アップリンクスポットビーム125)の位置の移動を可能にし得る。
【0019】
ユーザー端末150は、衛星120と信号を通信するように構成されたさまざまなデバイスを含むことができる。これには、固定端末(例えば、地上固定端末)、またはボート、航空機、地上車両などに乗っている端末といったモバイル端末が含まれ得る。ユーザー端末150は、衛星120を介してデータおよび情報をやりとりすることができ、これには、ネットワークデバイス141、またはネットワーク140に関連付けられた他のデバイスもしくは分散サーバーといった宛先デバイスとの、アクセスノード端末130を介した通信が含まれ得る。ユーザー端末150は、例えば、デジタルビデオ放送衛星第2世代(DVB-S2)、全世界相互運用マイクロ波アクセス(WiMAX)、ロングタームエボリューション(LTE)もしくは第5世代(5G)プロトコルといったセルラー通信プロトコル、または、ケーブルによるデータサービスインターフェース標準(DOCSIS)規格によって定義付けられるものを含む、さまざまな物理層送信変調方式および符号化技術に従って、信号をやりとりすることができる。
【0020】
アクセスノード端末130は、衛星120とのやりとりで、フォワードアップリンク信号175およびリターンダウンリンク信号176を提供することができる。アクセスノード端末130は、地上局、ゲートウェイ、ゲートウェイ端末、またはハブとしても知られている場合がある。アクセスノード端末アンテナシステム131は双方向対応であってもよく、衛星120と確実に通信を行うための十分な送信電力と受信感度を備えて設計され得る。一部の実施例では、アクセスノード端末130は、衛星120の方向には高い指向性を持ち、他の方向には低い指向性を持つパラボラ型リフレクターを備え得る。アクセスノード端末130は、さまざまな代替構成を備えていても良く、直交偏波間の高度な分離、動作周波数帯域における高い効率、低ノイズなどの作動上の特徴を含んでいても良い。
【0021】
通信サービスに対応する場合、アクセスノード端末130はユーザー端末150へのトラヒックをスケジューリングしても良い。択一的に、このようなスケジューリングは、衛星システム100の他の部分で実行することもできる(例えば、1つ以上のネットワークデバイス141で実行することもでき、これにはNOCおよび/またはゲートウェイコマンドセンターが含まれ得る)。
図1には、1つのアクセスノード端末130が示されているが、本開示に拠る実施例は、複数のアクセスノード端末130を有する通信システムに実装することができ、各アクセスノード端末は互いに、および/または、1つ以上のネットワーク140もしくはネットワークデバイス141に結合されても良い。
【0022】
衛星120は、1つ以上のアクセスノードスポットビームを介してリターンダウンリンク信号176を送信し、および/または、フォワードアップリンク信号175を受信することにより、アクセスノード端末130と通信できる。アクセスノードスポットビームは、それぞれアンテナアセンブリ121の別個のリターンフィード(例えば、GBBF)と関連付けることができる。あるいは、各アクセスノードスポットビームをアンテナアセンブリ121の複数のフィード(例えば、OBBFまたはエンドツーエンドビームフォーミング)と関連付けることもできる。
【0023】
アクセスノード端末130は、ネットワーク140と衛星120との間のインターフェイスを提供することができ、また一部の実施例では、ネットワーク140と1つ以上のユーザー端末150との間に向けられたデータおよび情報を受信するように構成することができる。アクセスノード端末130は、それぞれのユーザー端末150に届けるために、データおよび情報をフォーマットすることができる。同様に、アクセスノード端末130は、衛星120からの信号を受信するように構成することができる(例えば、1つ以上のユーザー端末150を起点とし、ネットワーク140経由でアクセス可能な宛先に向けられる)。アクセスノード端末130は、ネットワーク140上で送信するために、受信した信号をフォーマットすることもできる。
【0024】
ネットワーク140は、どのようなタイプのネットワークであっても良く、例えば、インターネット、インターネットプロトコル(IP)ネットワーク、イントラネット、ワイドエリアネットワーク(WAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、仮想プライベートネットワーク(VPN)、仮想LAN(VLAN)、光ファイバーネットワーク、 ハイブリッドファイバ同軸ネットワーク、ケーブルネットワーク、公衆交換電話ネットワーク(PSTN)、公衆交換データネットワーク(PSDN)、公衆陸上移動ネットワーク、および/または本明細書に記載されているデバイス間の通信に対応するその他の種類のネットワークを含み得る。ネットワーク140は、有線接続および無線接続の両方、ならびに光リンクを含み得る。ネットワーク140は、アクセスノード端末130を、同じ衛星120または異なる衛星120もしくは他の乗り物と通信し得る他のアクセスノード端末と接続しても良い。
【0025】
1つ以上のネットワークデバイス141は、アクセスノード端末130と組み合わせても良く、また衛星システム100の態様を制御しても良い。さまざまな実施例において、ネットワークデバイス141は、アクセスノード端末130と同一場所に配置する、またはその他アクセスノード端末130の近傍に配置することができる、あるいは、アクセスノード端末130やネットワーク140と有線および/または無線通信リンクを介して通信するリモート設備であっても良い。ネットワークデバイス141にはビームフォーミングプロセッサ135が含まれる場合があり、そのプロセッサ135は、(例えば、OBBF、GBBF、エンドツーエンドビームフォーミングのための)ビームフォーミングの係数の生成、および(例えば、GBBFやエンドツーエンドビームフォーミングのための)係数の適用に関連する態様を実行することができる。例えば、ビームフォーミングプロセッサ135は、ビーム信号に適用される係数を生成し、その係数をビーム信号に適用して、1つ以上のアクセスノード端末130から送信されるアクセスノード信号を取得することができ、またアクセスノード信号を1つ以上のアクセスノード端末130に提供して送信を行うことができる。
【0026】
通信衛星120は、マルチスタティック合成開口レーダーの照明光源として使用され得る。衛星システム100には、衛星120とは異なる軌道にある1つ以上の収集衛星122も含まれ得る。例えば、イルミネーション衛星120はGEO衛星であって良く、収集衛星122はLEO衛星またはMEO衛星であって良い。衛星120によって送信される照度信号(例えば、フォワードダウンリンク信号170)は、表面160または物体155に反射し、マルチスタティック構成の収集衛星122によって受信されても良い。すなわち、同じ照度信号(例えば、フォワードダウンリンク信号170)が、1つ以上のスポットビームカバレッジエリア126を含む同時視野を持ち、さまざまな軌道スロットにある収集衛星によってさまざまな角度で反射され、受信されても良い。このようにして、それぞれの地点および時点において、各収集衛星122は、さまざまな方向に反射された同じ信号をサンプリングすることができる。さらに、収集衛星122は複数のタイムインスタンスをまたいで信号をサンプリングすることができる。例えば、収集衛星122がそれらの軌道上を横切る際に、所与のスポットビームカバレッジエリア126から反射された、信号(例えば、フォワードダウンリンク信号170)のサンプルをいくつか作ることができる。したがって、受信した信号をイメージングするための開口部は、複数の方向に反射された信号のサンプリングを実行する収集衛星122の数量によって定義することができ、これには、収集衛星122間の空間的関係性、ならびに被照射領域(例えば、所与のスポットビームカバレッジエリア126)およびイルミネーション衛星120に対する相対的な収集衛星122の動きが含まれる。
【0027】
場合によっては、収集衛星122が、受信した信号からの情報(例えば、デジタルサンプル)を、1つ以上の地上局に送信しても良い。例えば、収集衛星122は、衛星120を介して1つ以上のアクセスノード端末130に情報を送信することができる。場合によっては、収集衛星122は、衛星120が提供する通信サービスに関連付けられた通信リンク172で情報を送信しても良い。場合によっては、通信リンク172を使って収集衛星122により送信される信号を、衛星120またはアクセスノード端末130が使って、収集衛星122の位置を決定することができる。例えば、通信リンク172は、衛星120と同期する、またはタイムスタンプ情報を含むことができ、収集衛星122の位置をタイミング情報に基づいて決定することができる。場合によっては、前記の位置を、タイミング情報と収集衛星122の既知の軌道に基づいて決定しても良い。
【0028】
一部の実施例では、衛星システム100は、照射のために複数の衛星を含むことがある。例えば、衛星システム100が複数のGEO衛星を含み、それぞれがスポットビーム125を送信し、複数のGEO衛星からのスポットビームの一部が、少なくとも部分的に重複している場合がある。同じ領域を照らす複数のGEO衛星は、時間および空間ダイバーシティを通じてさらに高い精度を提供し得る。例えば、第1の照度信号は第1のGEO衛星から送信されて複数のLEO収集衛星の各々によって収集されることができ、また第2の照度信号は第2のGEO衛星から送信されて複数のLEO収集衛星の各々によって収集されることができる。したがって、複数のイルミネーション衛星および収集衛星によってもたらされる長いベースライン三角測量の結果、クロストラックインターフェロメトリを利用して、範囲と方位角の精度を改善することができる。より大きく効果的な開口部は、合成開口部よりも高い精度を提供することができ、そのうえ、各照明光源について合成開口部と組み合わせることができる(例えば、収集衛星がそれらの軌道を横切るとき)。複数の照明光源は、さまざまな角度への複数の信号を同時に受信する結果、散在するターゲットの実効断面積を増加もさせ得る。
【0029】
GEO衛星120を照射に使用することは、他の利点ももたらし得る。例えば、合成レーダー開口部の照度信号の送信には大量の電力(例えば、1キロワット以上)が使用され得る。これにより、LEO衛星の送信のデューティサイクルが、短いバーストまたは軌道周期の一部に制限される可能性がある。一方、GEO通信衛星は概してかなり大きく、連続運用を意図して設計されている。LEO収集衛星122は、照度信号を送信しないため、より簡単で経済的に生産できる可能性がある。
【0030】
場合によっては、イルミネーション衛星(例えば、GEO衛星120)は、収集衛星122が受信した信号の周波数、位相、または到着時刻を決定するために使用される基準信号(例えば、ビーコン信号)を送信することができる。例えば、GEO衛星120は、ビームカバレッジエリア126と収集衛星122を有するサービスエリア全体を含む広いエリア全体に、ビーコン信号180を送信することができる。場合によっては、収集衛星122はビーコン信号180を使用して、反射ビーム信号128の周波数、位相、または到着時間を決定しても良い。付加的に、あるいは択一的に、収集衛星122は、フォワードダウンリンク信号170を(例えば、反射される前に直接)受信し、フォワードダウンリンク信号170を基準として使用して反射ビーム信号128の周波数、位相、または到着時間を決定しても良い。
【0031】
場合によっては、ビーム信号170を変調してタイミングおよび位相基準情報を含めても良い。例えば、ビーム信号170は、複数のタイミング期間ごとにタイムスタンプを含んでいても良い。付加的に、あるいは択一的に、ビーム信号170には、位相基準記号などの位相基準情報が含まれる場合があり、この情報を利用して、収集衛星122がビーコン信号の位相基準情報と一致させ、反射信号の位相情報を提供することができる。
【0032】
場合によっては、収集衛星122が反射された信号をサンプリングし、サンプリングした信号をマルチスタティックSARプロセッサ145に送って処理しても良い。収集衛星122は、GEO衛星120を介してサンプリングされた信号を1つ以上のアクセスノード端末130に送信しても良く、そこからサンプリングされた信号をネットワークデバイス141に送ることができる。例えば、収集衛星122-aは、通信リンク172-aのリターンアップリンクでサンプリングされた信号を送信しても良く、また収集衛星122-bは通信リンク172-bのリターンアップリンクでサンプリングされた信号を送信しても良い。場合によっては、衛星120はエンドツーエンドリレーであり、したがって複数のアクセスノード端末130がそれぞれ、GEO衛星120の送信/受信経路のそれぞれのサブセットを介して、サンプリングされた信号の複合信号を受信することができる。ビームフォーミングプロセッサ135は、複数のアクセスノード端末130で受信した複合信号を結合して(例えば、リターンビームフォーミングマトリクスに従って)収集衛星からサンプリングされた信号を得ることができる。ビームフォーミングプロセッサ135は、サンプリングされた信号をマルチスタティックSARプロセッサ145に送って処理しても良い。
【0033】
マルチスタティックSARプロセッサ145は、一定期間、1つ以上の各収集衛星122からサンプリングされた信号を受信することができ、また、埋め込まれたタイミングおよび位相情報を使用し(例えば、ビーコン信号に基づいて確定された収集衛星からの位相情報と組み合わせて)、また既知のビーム信号情報を使用して、反射された各ビーム信号の地理空間情報を確定することができる。マルチスタティックSARプロセッサ145は、同一の時限における反射された信号を表す、複数の収集衛星の各々からの複数のサンプリングされた信号(例えば、複数のビーム信号を指す)から得られるマルチスタティックデータを合成し、複数の収集衛星の位置のディメンションと関連する開口部上の地理空間情報を特定するために使用され得る。一部の実施例では、マルチスタティックSARプロセッサ145は、複数の収集衛星、複数のビーム信号からの情報を、時限をまたいで組み合わせて、分解能および精度を向上させるためのマルチスタティックかつ合成の開口を得ることができる。図には別々に示されているが、マルチスタティックSARプロセッサ145は、ネットワークデバイス141に含まれる、または同一場所に配置されても良い。
【0034】
図2Aは、本明細書に開示された実施例に拠る、低軌道収集を利用したマルチスタティック合成開口レーダーに対応した、衛星システム120のアンテナアセンブリ121を示している。
図2Aに示すように、アンテナアセンブリ121には、フィードアレイアセンブリ127と、遠くのソースから受信したときに電磁信号(例えば、インバウンド電磁信号280)が集中する焦点領域123を有するように形作られたリフレクター122とが含まれ得る。同様に、焦点領域123にあるフィードアレイアセンブリ127から放たれた信号は、リフレクター122によって反射され、発信平面波(例えば、発信電磁波280)となる。フィードアレイアセンブリ127およびリフレクター122は、フィードアレイアセンブリ127の複数のフィード素子128の各々のネイティブフィード素子パターンの複合体によって形成されたネイティブアンテナパターンと関連付けることができる。
【0035】
本明細書に記載されている通り、衛星120がサービス軌道にある場合、衛星120はアンテナアセンブリ121のネイティブアンテナパターンに従って作動することができる。ネイティブアンテナパターンは、少なくとも部分的には、フィードアレイアセンブリ127のフィード素子128のパターン、リフレクター122に対するフィードアレイアセンブリ127の相対位置(例えば、焦点オフセット距離129、または、焦点位置におけるそれの欠如)、その他に基づくことができる。ネイティブアンテナパターンは、ネイティブアンテナパターンのカバレッジエリアと関連付けられ得る。本明細書に記載されているアンテナアセンブリ121は、アンテナアセンブリ121のネイティブアンテナパターンのカバレッジエリアによって、特定のサービスカバレッジエリアに対応するように設計することができ、また、さまざまな設計特性は、計算的に(例えば、分析やシミュレーションによって)決定する、および/または、実験的に (例えば、アンテナのテスト場で、または実際の使用中に) 測定することができる。
【0036】
図2Aに示すように、アンテナアセンブリ121のフィードアレイアセンブリ127は、リフレクター122とリフレクター122の焦点領域123との間に配置されている。具体的には、フィードアレイアセンブリ127は、焦点領域123からの焦点オフセット距離129の所に配置されている。したがって、アンテナアセンブリ121のフィードアレイアセンブリ127は、リフレクター122に対してデフォーカス位置に配置され得る。
図2Aには、ダイレクトオフセットフィードアレイアセンブリ127として図示されているが、フロントフィードアレイアセンブリ127、および第2リフレクタ(例えば、カセグレンアンテナなど)の使用を含む他の構成、あるいはリフレクター122なしの構成(例えば、DRA)を使用しても良い。
【0037】
図2Bは、本明細書に開示された実施例に拠る、低軌道収集を利用したマルチスタティック合成開口レーダーに対応した、アンテナアセンブリ121のフィードアレイアセンブリ127を示している。
図2Bに示すように、フィードアレイアセンブリ127は、信号(例えば、通信サービスに関連付けられた信号、衛星120の構成または制御に関連する信号、データ収集またはセンサー配列の受信信号)を伝達するための複数のフィード素子128を備え得る。
【0038】
本明細書で使用する時、フィード素子128は、受信アンテナエレメント、送信アンテナエレメント、または送信と受信の両方に対応するように構成されたアンテナエレメント(例えば、トランシーバエレメント)を指し得る。受信アンテナエレメントには、電磁信号を電気信号に変換する物理的なトランスデューサー(例えば、無線周波数(RF)トランスデューサー)が含まれる場合があり、また送信アンテナエレメントには、電気信号によって励起されたときに電磁信号を発する物理的なトランスデューサーが含まれる場合がある。場合によっては、送信と受信に同じ物理的トランスデューサーを使用しても良い。
【0039】
各フィード素子128には、例えば、フィードホーン、偏波トランスデューサー(例えば、セプタム偏波ホーン、これは異なる偏波を持つ2つの素子の組み合わせとして機能し得る)、マルチポートマルチバンドホーン(例えば、デュアルバンド20GHz/30GHz、デュアル偏波LHCP/RHCP)、キャビティ付きスロット、逆F、導波管スロット、ビバルディ、ヘリカル、ループ、パッチ、またはその他のアンテナエレメント構成、もしくは相互接続されたサブエレメントの組み合わせによる構成が含まれ得る。各フィード素子128には、RF信号トランスデューサー、低ノイズアンプ(LNA)、またはパワーアンプ(PA)も含まれる場合、あるいはその他これらと結合されている場合があり、また、周波数変換、ビームフォーミング処理などの他の信号処理を行うことができる衛星120内のトランスポンダと結合される場合もある。
【0040】
リフレクター122は、フィードアレイアセンブリ127と1つ以上のターゲットデバイス(例えば、ユーザー端末150、アクセスノード端末130)または物体(例えば、地形、車両、建物、空中物体)との間の信号を反射するように構成され得る。フィードアレイアセンブリ127の各フィード素子128は、それぞれのネイティブフィード素子パターンと関連付けることができ、このパターンは、投影されたネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア(例えば、リフレクター122からの反射後に地上の表面、平面、または立方積に投影されたエリア)と関連付けることができる。マルチフィードアンテナのネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリアの集合は、ネイティブアンテナパターンと呼ばれることがある。フィードアレイアセンブリ127には、任意の数(例えば、数十、数百、数千)のフィード素子128を含めることができ、これらを任意の適切な配列(例えば、線形配列、弧状配列、平面配列、ハニカム配列、多面体配列、球状配列、楕円体配列、またはそれらの組み合わせ)に編成することができる。フィード素子128は、円形、楕円、正方形、長方形、六角形、およびその他などのさまざまな形状のポートまたは開口部を備え得る。
【0041】
図3A、
図3B、
図4A、および
図4Bは、本明細書に開示された複数の実施例に拠る、低軌道収集を利用したマルチスタティック合成開口レーダーに対応した、フィードアレイアセンブリ127-aを有するアンテナアセンブリ121-aに関するアンテナ特性の例を示している。アンテナアセンブリ121-aは、所与の位置から受信した通信を複数のフィード素子128-aに拡散する条件か、もしくはフィード素子128-aから送信された電力を比較的広い領域に拡散する条件か、またはその両方で作動することができる。
【0042】
図3Aは、フィードアレイアセンブリ127-aのフィード素子128-aに関連付けられた、ネイティブフィード素子パターン210-aの略
図201を示す。具体的には、略
図201は、フィード素子128-a-1、128-a-2、および128-a-3にそれぞれ関連付けられたネイティブフィード素子パターン210-a-1、210-a-2、および210-a-3を示している。ネイティブフィード素子パターン210-aは、それぞれのフィード素子128に関連付けられた空間放射パターンを表し得る。例えば、フィード素子128-a-2が送信している場合、送信された電磁信号はリフレクター122-aに反射され、概して円錐形のネイティブフィード素子パターン210-a-2で伝播し得る(ただし、フィード素子128および/またはリフレクター122の特性によっては他の形状も可能)。アンテナアセンブリ121-aに関して3つのネイティブフィード素子パターン210-aが示されているが、アンテナアセンブリ121の各フィード素子128は、それぞれのネイティブフィード素子パターン210と関連付けられる。アンテナアセンブリ121-aに関連するネイティブフィード素子パターン210-a(例えば、ネイティブフィード素子パターン210-a-1、210-a-2、210-a-3、および図示されていないその他のネイティブフィード素子パターン210-a)の複合体は、ネイティブアンテナパターン220-aと呼ばれることがある。
【0043】
各フィード素子128-a は、ネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211-a(例えば、フィード素子128-a-1、128-a-2、および128-a-3にそれぞれ関連付けられるネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211-a-1、211-a-2、および211-a-3)にも関連付けることができ、基準面(例えば、地面もしくは水面、標高の基準面、またはその他の基準平面もしくは基準面)上のネイティブフィード素子パターン210-aの投影を表している。ネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211は、さまざまなデバイス(例えば、アクセスノード端末130および/またはユーザー端末150)が、それぞれのフィード素子128から送信された信号を受信できるエリアを表している。
付加的に、あるいは択一的に、ネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211は、さまざまなデバイスからの通信がそれぞれのフィード素子128によって受信され得るエリアを表すことができる。例えば、ネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211-a-1、211-a-2、および211-a-3内の対象領域230-aにあるデバイスは、フィード素子128-a-1、128-a-2、および128-a-3から送信された信号を受信することができ、フィード素子128-a-1、128-a-2、および128-a-3が受信した通信を有することができる。アンテナアセンブリ121-aと関連付けられるネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211-aの複合体(例えば、ネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211-a-1、211-a-2、211-a-3、および図示されていないその他のネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211-a)は、ネイティブアンテナパターンのカバレッジエリア221-aと呼ばれることがある。
【0044】
フィードアレイアセンブリ127-aは、リフレクター122-aに対してデフォーカス位置で作動しても良く、これによりネイティブフィード素子パターン210-a、つまりネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211-aは実質的に重複している。したがって、ネイティブアンテナパターンカバレッジエリア221-a の各位置は、複数のフィード素子128と関連付けることができ、これにより、対象ポイントへの送信、または対象ポイントからの受信に複数のフィード素子128を使用することができる。略
図201は原寸に比例して描かれておらず、ネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211は、それぞれ概してリフレクター122-aよりもはるかに大きいことを理解すべきである。
【0045】
図3Bは、対象ポイント230-aからの送信240-aについて、アンテナアセンブリ121-aの信号受信を示す略
図202である。対象ポイント230-aからの送信240-aは、リフレクター122-a全体またはリフレクター122-aの一部を照らすことができ、次にリフレクター122-aの形状およびリフレクター122-a上での送信240の入射角に応じて、フィードアレイアセンブリ127-aの方向に、焦点を合わせて向けられ得る。フィードアレイアセンブリ127-aは、リフレクター122-aに関してデフォーカス位置で作動する場合があり、これにより、送信240-aは複数のフィード素子128(例えば、それぞれが対象ポイント230-bを含む、ネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211-a-1、211-a-2、および211-a-3と関連付けられる、フィード素子128-a-1、128-a-2、および128-a-3)に焦点を合わせることができる。
【0046】
図4Aは、フィードアレイアセンブリ127-aの3つのフィード素子128-aに関連付けられる、ネイティブフィード素子パターンのゲインプロファイル250-aであって、ゼロオフセット角度235-aから測定された角度を基準にしたものの略
図203を示す。例えば、ネイティブフィード素子パターンのゲインプロファイル250-a-1、250-a-2、および250-a-3は、フィード素子128-a-1、128-a-2、および128-a-3にそれぞれ関連付けることができ、したがって、ネイティブフィード素子パターン210-a-1、210-a-2、および210-a-3のゲインプロファイルを表すことができる。略
図203に示すように、各ネイティブフィード素子パターンのゲインプロファイル250のゲインは、ピークゲインからいずれかの方向にオフセットした角度で減衰し得る。略
図203では、ビーム輪郭レベル255-aは、アンテナアセンブリ121-aを介した通信サービスまたはその他の受信もしくは送信サービスに対応するための、望ましい(例えば、望ましい情報速度を提供するための)ゲインレベルを表すことができる。したがって、それぞれのネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211-a(例えば、ネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211-a-1、211-a-2、および211-a-3)の境界を画成するために使用することができる。ビーム輪郭レベル255-aは、例えば、ピークゲインから-1dB、-2dB、もしくは-3dBの減衰を表すことができる、または、絶対信号強度、SNRレベル、もしくはSINRレベルによって定義付けることができる。3つのネイティブフィード素子パターンのゲインプロファイル250-aが示されているが、他のネイティブフィード素子パターンのゲインプロファイル250-aを他のフィード素子128-aに関連付けても良い。
【0047】
略
図203に示すように、各ネイティブフィード素子パターンのゲインプロファイル250-aは、ビーム輪郭レベル255-aを超えるゲインプロファイルのかなりの部分について、別のネイティブフィード素子パターンのゲインプロファイル250-aと交差している場合がある。したがって、略
図203は、フィードアレイアセンブリ127の複数のフィード素子128が、特定の角度(例えば、ネイティブアンテナパターン220-aの特定の方向)における信号通信に対応することができる、ネイティブフィード素子パターンのゲインプロファイル250の編成を示している。一部の実施例において、この状態は、重複度が高いフィードアレイアセンブリ127のフィード素子128、またはネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211を有している、と見なされ得る。
【0048】
図4Bは、フィードアレイアセンブリ127-aのいくつかのフィード素子128(例えば、フィード素子128-a-1、128-a-2、および128-a-3を含む)の、理想化されたネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211の2次元配列を示す略
図204である。ネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211は、基準面(例えば、通信衛星から離れた平面、地面から少し離れた平面、ある高度にある球面、地面など)を基準にして示すことができ、また付加的に、基準面に隣接する立方積(例えば、基準面と通信衛星との間の概ね円錐形の立方積、基準面の下の立方積など)を含めても良い。複数のネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211-aは、集合的にネイティブアンテナパターンカバレッジエリア221-aを形成し得る。8つのネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211-aが示されているが、フィードアレイアセンブリ127には、(例えば、8より少ない、または8を超える)任意の数量のフィード素子128を備え、それぞれがネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211に関連付けられていても良い。
【0049】
それぞれのネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211の境界は、ビーム輪郭レベル255-aにおける各ネイティブフィード素子パターン210に対応していて良く、また、各ネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211のピークゲインは、“x”で示される位置(例えば、それぞれのネイティブフィード素子パターン210またはネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211の名目上のアラインメントまたは軸)を有しても良い。ネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211-a-1、211-a-2、および211-a-3は、ネイティブフィード素子パターンのゲインプロファイル250-a-1、250-a-2、および250-a-3にそれぞれ関連付けられたネイティブフィード素子パターンの投影に対応していて良く、ここで略
図203は、略
図204の切断面260-aに沿ったネイティブフィード素子パターンのゲインプロファイル250を示している。
【0050】
本明細書では、ネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211が理想化されたと表現されており、これは、カバレッジエリアが単純化のために円形で表示されているためである。ただし、さまざまな実施例において、ネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211は、円以外の形状(例えば、楕円、六角形、長方形など)であり得る。したがって、タイル状のネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211は、略
図204に示す以上に、互いに重複している場合がある。(例えば、場合によっては、4つ以上のネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211が重複し得る)。
【0051】
フィードアレイアセンブリ127-aがリフレクター122-aに関してデフォーカス位置にある状態を表し得る略
図204では、各ネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211のかなりの部分(例えば、大部分)が、隣接するネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211と重複している。サービスカバレッジエリア(例えば、アンテナアセンブリ121の複数のスポットビームの総カバレッジエリア)内にある複数の位置は、2つ以上のフィード素子128の、ネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211内に位置していて良い。例えば、アンテナアセンブリ121-aは、3つ以上のネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211が重複するエリアを最大化するように構成され得る。一部の実施例において、この状態も、重複度が高いフィードアレイアセンブリ127のフィード素子128、またはネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211を有している、と見なされ得る。8つのネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211が図示されているが、フィードアレイアセンブリ127は、同様にネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211に関連付けられた、任意の数のフィード素子128を備えることができる。
【0052】
場合によっては、単一のアンテナアセンブリ121を使用して、ユーザー端末150間、またはアクセスノード端末130間で信号を送受信することができる。他の実施例では、衛星120に、信号の受信と送信のための別々のアンテナアセンブリ121が含まれている場合がある。衛星120の受信アンテナアセンブリ121は、衛星120の送信アンテナアセンブリ121と同じ、または類似のサービスカバレッジエリアに向けられ得る。したがって、受信用に構成されたアンテナフィード素子128の一部のネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211は、送信用に構成されたフィード素子128のネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211と自然に一致し得る。このような場合、受信フィード素子128を、対応する送信フィード素子128と同様の方法でマッピングし(例えば、種々のフィードアレイアセンブリ127の類似のアレイパターンを使用して、信号処理ハードウェアへの類似の配線および/または回路接続、同様のソフトウェア構成および/またはアルゴリズムなどを使用して)、送受信ネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211に、類似した信号経路および処理をもたらすことができる。ただし、場合によっては、受信フィード素子128と送信フィード素子128を異なる方法でマッピングするほうが有利な場合もある。
【0053】
重複度の高い複数のネイティブフィード素子パターン210をビームフォーミングによって組み合わせることで、1つ以上のスポットビーム125を提供することができる。スポットビーム125のビームフォーミングは、重複するネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211を有する1つ以上のフィードアレイアセンブリ127の複数のフィード素子128によって送信および/または受信される信号の、信号位相もしくは時間遅延および/または信号振幅を調整することで実行できる。このような位相および/または振幅の調整は、ビームウェイト(例えば、ビームフォーミング係数)をフィード素子信号に適用すること、と表現し得る。(例えば、フィードアレイアセンブリ127の送信フィード素子128から)の送信の場合、送信される信号の相対位相、また場合によっては振幅が調整され、フィード素子128によって送信されるエネルギーが所望の場所(例えば、スポットビームのカバレッジエリア126の場所)で、確実に重ね合わされる。受信(フィードアレイアセンブリ127の受信フィード素子128によるなど)の場合、受信信号の相対位相、および場合によっては(例えば、同一の、または異なるビームウェイトを適用することによって)振幅が調整され、所望の場所(例えば、スポットビームのカバレッジエリア126の場所)からフィード素子128が受信するエネルギーが、所与のスポットビームカバレッジエリア126に対して確実に重ね合わされる。
【0054】
ビームフォーミングという用語は、送信、受信、またはその両方のいずれに対しても、ビームウェイトを適用することを指すように使われ得る。ビームウェイトまたは係数の計算には、通信チャネル特性の直接的または間接的な発見が必要とされ得る。ビームウェイトの計算およびビームウェイト適用のプロセスは、同一の、または異なるシステムコンポーネントで実行することができる。適応型のビームフォーマーには、ビームウェイトまたは係数の動的な計算に対応できる機能が含まれ得る。
【0055】
スポットビーム125は、さまざまなビームウェイトを適用することによって、誘導され、選択的に形成され、および/またはその他の方法で再構成され得る。例えば、アクティブなネイティブフィード素子パターン210またはスポットビームカバレッジエリア126の数、スポットビーム125の形状の寸法、ネイティブフィード素子パターン210および/またはスポットビーム125の相対ゲイン、ならびにその他のパラメータを、時間の経過とともに変化させても良い。アンテナアセンブリ121は、ビームフォーミングを応用して比較的狭いスポットビーム125を形成しても良く、またゲイン特性が改善されたスポットビーム125を形成できる可能性がある。狭いスポットビーム125では、1つのビームで送信された信号が、他のスポットビーム125で送信された信号と区別されるようにできるため、例えば送信信号もしくは受信信号間の干渉を回避し得るか、または受信信号の空間的な間隔を見分けることができる。
【0056】
一部の実施例において、狭いスポットビーム125は、より大きなスポットビーム125が形成される場合よりも、周波数と偏波を再利用できる可能性を高めることができる。例えば、狭く形成されたスポットビーム125は、重複していない不連続スポットビームカバレッジエリア126を介した信号通信に対応することができる一方、重複しているスポットビーム125は、周波数、偏波、または時間を直交させることができる。一部の実施例において、より小さなスポットビーム125を使用することで再利用が増えると、送信および/または受信されるデータ量を増加させることができる。付加的に、または択一的に、ビームフォーミングを使ってビームエッジでよりシャープなゲインロールオフを実現することで、スポットビーム125のより大きな部分を通過するより高いビームゲインを可能にすることができる。したがって、ビームフォーミング技術は、所与の量のシステム帯域幅に対して、より高い周波数再利用および/またはより大きなシステム容量を提供することができ得る。
【0057】
一部の衛星120は、一連のフィード素子128を介して送信されるおよび/または受信される信号を電子的に誘導するために、OBBFを利用することができる(例えば、衛星120でフィード素子信号にビームウェイトを適用する)。例えば、衛星120は、位相アレイの1ビームあたり複数のフィード(MFPB)方式のオンボードビームフォーミング能力を備え得る。一部の実施例において、ビームウェイトは(例えば、アクセスノード端末130にある、ネットワークデバイス141にある、通信サービスマネージャにある)地上の計算センターで計算されても良く、その後、衛星120に送信されても良い。一部の実施例において、ビームウェイトはオンボードアプリケーションのために衛星120で事前設定され得る、またはその他の方法で決定され得る。
【0058】
場合によっては、スポットビーム125の形成に使用される各フィード素子128の位相とゲインを制御するため、衛星120には、かなり大きな処理能力が伴い得る。このような処理能力は、衛星120をより複雑化させる可能性がある。したがって、場合によっては、衛星120はGBBFと連携しながら、衛星120の複雑さを軽減しながら、それでも狭いスポットビーム125を電子的に形成することの利点をもたらすことができる。一部の実施例において、ビームウェイトまたは係数は、関連の信号を衛星120に送信する前に、地上セグメント102(例えば、1つ以上の地上局)で適用されても良く、これには、いくつかの信号処理の中でも特に、さまざまな時間、周波数、または空間多重化技術に拠る、地上セグメント102でのフィード素子信号の多重化が含まれ得る。その結果、衛星120は、このような信号を受信し、場合によっては逆多重化したうえ、関連するフィード素子信号をそれぞれのアンテナフィード素子128を介して送信し、少なくとも部分的には地上セグメント102で適用されるビームウェイトに基づいた、送信スポットビーム125を形成することができる。一部の実施例において、衛星120はそれぞれのアンテナフィード素子128を介してフィード素子信号を受信し、受信したフィード素子信号を地上セグメント102(例えば、1つ以上の地上局)に送信することができる。これには、いくつかの信号処理の中でも特に、さまざまな時間、周波数、または空間多重化技術に拠る、衛星120でのフィード素子信号の多重化が含まれ得る。その結果、地上セグメント102は、このような信号を受信し、場合によっては逆多重化したうえ、受信したフィード素子信号にビームウェイトを適用して、それぞれのスポットビーム125に対応するスポットビーム信号を生成することができる。
【0059】
別の実施例では、本開示に拠る衛星システム100が、さまざまなエンドツーエンドビームフォーミング技術に対応している場合があり、これは、衛星120またはエンドツーエンドリレーとして動作する他の媒体を介した、エンドツーエンドスポットビーム125の形成を伴い得る。例えば、衛星120は、それぞれが受信フィード素子と送信フィード素子との間で結合された、複数の送信/受信信号経路(例えば、トランスポンダ)を含むことができる。エンドツーエンドのビームフォーミングシステムでは、ビームウェイトが地上セグメント102の中央処理システム(CPS)(例えば、ビームフォーミングプロセッサ135)で計算されて良く、エンドツーエンドのビームウェイトは衛星120ではなく地上セグメント102内で適用され得る。エンドツーエンドのスポットビーム125内の信号は、一連のアクセスノード端末130において送信および受信され得るが、これは衛星アクセスノード(SAN)であっても良い。エンドツーエンドビームフォーミングシステムでは、適切なタイプのエンドツーエンドリレーを使用することができ、また、さまざまなタイプのアクセスノード端末130を使用して、さまざまなタイプのエンドツーエンドリレーと通信することができる。
【0060】
CPS内のエンドツーエンドビームフォーマーは、(1)エンドツーエンドリレーまでの無線信号アップリンク経路、(2)エンドツーエンドリレーを介した送信/受信信号経路、および(3)エンドツーエンドリレーからの無線信号ダウンリンク経路、を考慮した、1セットのエンドツーエンドビームウェイトを計算することができる。ビームウェイトは、数学的にマトリクスとして表すことができる。一部の実施例では、OBBFおよびGBBF衛星システムは、アンテナアセンブリ121上のフィード素子128の数によって定められるビームウェイトベクトルのディメンションを有する場合がある。対照的に、エンドツーエンドのビームウェイトベクトルは、エンドツーエンドリレー上のフィード素子128の数ではなく、アクセスノード端末130の数によって定められるディメンションを有する場合がある。一般に、アクセスノード端末130の数は、エンドツーエンドリレー上のフィード素子128の数と同じではない。さらに、形成されたエンドツーエンドスポットビーム125は、エンドツーエンドリレーの送信または受信フィード素子128で終結されない。むしろ、エンドツーエンドスポットビーム125には、アップリンク信号経路、リレー信号経路(衛星120またはその他の適切なエンドツーエンドリレーを介した経路)、およびダウンリンク信号経路があり得るため、形成されたエンドツーエンドスポットビーム125は有効に中継され得る。
【0061】
エンドツーエンドビームフォーミングシステムでは、ユーザーリンクおよびフィーダーリンクの両方、ならびにエンドツーエンドリレーが考慮され得るため、特定の方向に所望のエンドツーエンドスポットビーム125(例えば、フォワードスポットビーム125またはリターンスポットビーム125)を形成するために必要なビームウェイトのセットは1セットのみである。したがって、1セットのエンドツーエンドフォワードビームウェイトにより、アクセスノード端末130から、フォワードアップリンクを経由し、エンドツーエンドリレーを経由し、さらにフォワードダウンリンクを経由して送信された信号が、結合されてエンドツーエンドフォワードスポットビーム125を形成することになる。逆に、リターンユーザーからリターンアップリンクを経由し、エンドツーエンドリレー、さらにリターンダウンリンクを経由して送信される信号は、エンドツーエンドリターンスポットビーム125を形成するために適用される、エンドツーエンドリターンビームウェイトを有している。状況によっては、アップリンクおよびダウンリンクの特性を区別することが困難または不可能な場合がある。したがって、形成されたフィーダリンクスポットビーム125、形成されたスポットビームの指向性、ならびに個々のアップリンクおよびダウンリンクのキャリア対干渉比(C/I)は、システム設計においてもはや従来の役割を果たさない可能性があるが、アップリンクおよびダウンリンクの信号対ノイズ比(Es/No)およびエンドツーエンドC/Iの概念は依然として意味があり得る。
【0062】
図5Aおよび5Bは、本明細書に開示された複数の実施例に拠る、ネイティブアンテナパターンカバレッジエリア221-b上にスポットビームカバレッジエリア126を形成するための、ビームフォーミングの一例を示している。
図5Aにおいて、略
図300は、デフォーカスされたマルチフィードアンテナアセンブリ121によって提供され得る、複数のネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211を含むネイティブアンテナパターンのカバレッジエリア221-bを示している。それぞれのネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211は、アンテナアセンブリ121のフィードアレイアセンブリ127の、個々のフィード素子128と関連付けることができる。
図5Bにおいて、略
図350は、米国本土のサービスカバレッジエリア310上における、スポットビームカバレッジエリア126のパターンを示している。スポットビームカバレッジエリア126は、
図5Aの複数のネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211と関連付けられるフィード素子128を介して伝送される信号に、ビームフォーミング係数を適用することによって与えられ得る。
【0063】
それぞれのスポットビームカバレッジエリア126には、関連付けられるスポットビーム125があり得るが、これは、一部の実施例において、それぞれのスポットビームカバレッジエリア126内で通信サービスまたはその他のプライマリまたはリアルタイムミッションに対応するように設定された、所定のビームフォーミング構成に基づく場合がある。それぞれのスポットビーム125は、それぞれのスポットビームカバレッジエリア126を含むネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211に対する複数のフィード素子128を介して伝送される、信号の複合体から形成することができる。例えば、
図5Bに示すスポットビームカバレッジエリア126-cと関連付けられたスポットビーム125は、
図5A中に太い実線で示されているネイティブフィード素子パターンのカバレッジエリア211-bと関連付けられる8つのフィード素子128を介した信号の複合体であり得る。さまざまな実施例では、重複するスポットビームカバレッジエリア126を有するスポットビーム125は、周波数、偏波、および/または時間が直交している場合があるが、一方重複していないスポットビーム125は互いに直交していない場合がある(例えば、タイル状の周波数再利用パターン)。他の実施例では、非直交スポットビーム125は、ビーム間干渉を制御するために使用されるACM、干渉キャンセル、または時空間コーディングなどの干渉緩和技術を使用することで、さまざまな重複度合いを変える場合がある。
【0064】
ビームフォーミングは、OBBF、GBBF、またはエンドツーエンドのビームフォーミング送信/受信信号経路を使用し、衛星を介して送信または受信される信号に適用することができる。したがって、
図5Bに示すスポットビームカバレッジエリア126上で提供されるサービスは、アンテナアセンブリ121のネイティブアンテナパターンのカバレッジエリア221-b、ならびに適用されるビームウェイトに基づくものであり得る。サービスカバレッジエリア310は、(例えば、等しい、または概ね等しいビームカバレッジエリアのサイズと重複量を有する)概ね均一なパターンのスポットビームカバレッジエリア126を介して提供されているように図示されているが、一部の実施例では、サービスカバレッジエリアの310のスポットビームカバレッジエリア126は均一でない場合がある。例えば、比較的人口密度の高い地域では相対的に小さいスポットビーム125を使用した通信サービスが提供される一方、比較的人口密度の低い地域では相対的に大きなスポットビーム125を使用した通信サービスが提供されても良い。
【0065】
図6は、本明細書に開示された複数の実施例に拠る、低軌道収集を利用したマルチスタティック合成開口レーダーに対応した衛星システム600の略図である。衛星システム600には、イルミネーション衛星120-aおよび複数の収集衛星122が含まれ得る。例えば、衛星システム600には、GEO衛星120-aおよび複数の収集衛星122(例えば、収集衛星122-cおよび122-d)が含まれ得る。一部の実施例では、衛星システム600は2つ以上のイルミネーション衛星120を含み、それぞれが似たような軌道(例えば、異なるGEO軌道スロット)にあっても良い。収集衛星122は、イルミネーション衛星とは異なる軌道にあっても良い(例えば、LEOまたはMEO)。
【0066】
イルミネーション衛星120-aは通信衛星であって良く、また複数のフィードを介して送信しスポットビームを生成しても良い(例えば、ビームフォーミングされたスポットビーム125)。
図6には、3つのスポットビーム、スポットビーム125-a、125-b、および125-cが示されている。それぞれのスポットビーム125は、対応するユーザービームカバレッジエリア126と関連付けることができる。ユーザービームカバレッジエリア126-a、126-b、および126-cは互いに隣接しているため、それぞれに対応するスポットビーム125-a、125-b、および125-cでは、周波数帯域および偏波の異なる組み合わせ(例えば、「色」)を使用する場合がある。例えば、スポットビーム125-a、125-b、および125-cは、それぞれ同じ偏波(例えば、RHCPまたはLHCP)に関連付けられても良く、異なる周波数帯域を使っても良い。またはスポットビーム125-a、125-b、および125-cのうち2つの周波数帯域が同じでも良く、2つのスポットビームが異なる(例えば、直交する)偏波を使用しても良い。
【0067】
通信衛星120によって送信される通信信号は、マルチスタティック合成開口レーダーの照明光源として使用され得る。例えば、フォワードダウンリンク信号170は、表面160または物体155に反射し、マルチスタティック構成の収集衛星122によって受信されても良い。
図6に示す通り、複数の収集衛星は、少なくとも部分的に重複する視野620を有することができる。一部の実施例では、イルミネーション衛星の視野620は、同じ「色」を持つスポットビーム125に関連付けられた限られた数(例えば、1つ、2つなど)のユーザービームカバレッジエリア126を網羅するエリアを占めるように編成し得る。例えば、同じ色のスポットビームのユーザービームカバレッジエリア126は隔離距離によって分離することができ、視野620は、隔離距離の一定の倍数よりも大きく広がっていないエリアを占めるように編成し得る。収集衛星122は、各スポットビーム125を含む帯域幅範囲にわたって、反射信号128を受信することができる。例えば、スポットビーム125では、4色、5色、6色、7色、または8色の「色」編成を使用することができ、ここで、ビーム信号170の送信に使用される周波数帯域を、異なるスポットビーム125と関連付けられた2つ、3つ、または4つのサブバンドに分割しても良い。収集衛星122はそれぞれ、周波数帯域の全範囲と複数の偏波を受信することができ、したがって異なるスポットビームと関連付けられた反射信号128を同時に受信することができる。
【0068】
収集衛星122は、デジタル化(例えば、サンプリング)や圧縮を含む信号処理を実施し、サンプリングされた信号をマルチスタティックSARプロセッサ145に送信して処理することができる。一部の実施例において、収集衛星122は、イルミネーション衛星120(例えば、ビーム信号125を送信した衛星と同じ衛星で、その反射ビーム信号128をキャプチャする)を介して、サンプリングされた信号をマルチスタティックSARプロセッサ145に送信する場合がある。一部の実施例において、イルミネーション衛星120は、エンドツーエンドリレーであっても良く、またはGBBFシステムで使用されても良い。また、収集衛星122は、通信リンク172でリターンアップリンク信号をイルミネーション衛星120に送信しても良い(例えば、収集衛星122-cは通信リンク172-cでリターンアップリンク信号を送信しても良く、収集衛星122-dは通信リンク172-dでリターンアップリンク信号を送信しても良い)。イルミネーション衛星120は、リターンダウンリンク信号(不図示)内のリターンアップリンク信号を、1つ以上のアクセスノード端子(不図示)に中継することができる。アクセスノード端末は、リターンダウンリンク信号を受信し、リターンダウンリンク信号をビームフォーミングプロセッサ135に送信して処理することができる。ビームフォーミングプロセッサ135は、収集衛星122によって送信されたアップリンクビーム信号(例えば、サンプリングされた反射ビーム信号128を含む)を回収し、アップリンクビーム信号をマルチスタティックSARプロセッサ145に送ることができる。ビームフォーミングプロセッサ135は、ビーム信号125の生成に使用されたビームフォーミング係数を、マルチスタティックSARプロセッサ145に送ることもできる。
【0069】
マルチスタティックSARプロセッサ145は、各収集衛星122からのサンプリングされた反射ビーム信号128を処理して、ユーザービームカバレッジエリア126に対応するマルチスタティックSARデータを得ることができる。例えば、ユーザービームカバレッジエリア126-aに対応するマルチスタティックSARデータを取得するために、マルチスタティックSARプロセッサ145は、スポットビーム信号170-aに関連づけられる周波数帯域について、サンプリングされた反射ビーム信号128(例えば、反射ビーム信号128-cおよび128-dに相当)をフィルタリングすることができる。さらに、マルチスタティックSARプロセッサ145は、ビームカバレッジエリア126-a上のユーザービーム125-aのゲインプロファイルに従って、サンプリングされた反射ビーム信号128を処理することができる。例えば、信号電力が高いエリアは、処理された信号がより大きく重み付けされていても良い。複数の収集衛星を空間的に分離することで、クロストラックインターフェロメトリを用いる機会がもたらされ得る。さらに、複数の収集衛星122の空間的および時間的多様性によって、さらなる解像度が得られる可能性がある。例えば、所与のユーザービームカバレッジエリア126-aが、ある期間にわたっていくつかの異なる収集衛星122の視野620内に入る場合がある。マルチスタティックSARプロセッサ145は、視野、ならびに信号情報(例えば、ビーム信号)に基づいて、異なるスポットビーム信号170を区別することができる。場合によっては、いくつかの収集衛星(そのうち2つのみが示されている)が、所与の期間のさまざまなポイントにおいてユーザービームカバレッジエリア126-a上を通過することがある。マルチスタティックSARプロセッサ145は、各収集衛星122からのサンプリングされた反射ビーム信号128を処理して、多様なクロストラックインターフェロメトリと時間的多様性を与え、ユーザービームカバレッジエリア126-a内の反射信号と関連づけられた画像データを取得することができる。さらに、(例えば、これらは種々の周波数帯域や偏波を使用し得る)同じ領域の種々のイルミネーション衛星120によって送信される信号から、種々の反射信号を得ることができる。マルチスタティックSARプロセッサ145は、各ユーザービームカバレッジエリア126(例えば、スポットビーム信号170-bおよび170-dを伴うユーザービームカバレッジエリア125-bおよび125-c)に対して類似した操作を実行でき、また各ユーザービームカバレッジエリア126からのデータを組み合わせて、所望の地理的エリア(625)の画像を生成することができる。
【0070】
図7は、本明細書に開示された複数の実施例に拠る、低軌道収集を利用したマルチスタティック合成開口レーダーに対応したフロー図の一例700を示す。フロー
図700は、衛星システム100または200に実装することができる。例えば、フロー図は、マルチスタティックSARプロセッサ145-a、ビームフォーミングプロセッサ135-a、1つ以上のアクセスノード端末130-a、1つ以上のイルミネーション衛星120-a、1つ以上の収集衛星122-eを含む衛星システムに実装することができる。場合によっては、1つ以上のイルミネーション衛星120-aが,複数のユーザースポットビームを介して複数のユーザービームカバレッジエリアへの通信サービスを提供する場合があり、またGEO衛星である場合がある。1つ以上の収集衛星122-eは、LEO衛星またはMEO衛星であって良い。
【0071】
イルミネーション衛星120-aはビーコン信号180-aを送信することができ、これは収集衛星122-eによって周波数および/または位相基準として使用され得る。例えば、収集衛星122-eは、タイミングをビーコン信号180-aに同期させ,受信した反射信号の位相情報を決定することができる。
【0072】
ビームフォーミングプロセッサ135-aは、705においてフォワードリンク(FL)ビーム信号を得ることができる。例えば、ユーザー端末を対象としたダウンリンクデータを特定してFLビーム信号に形成(例えば、エンコード、変調)し、所与の期間(例えば、スロットまたはフレーム)内に送信することができる。710では、ビームフォーミングプロセッサ135-aが、FLビーム信号にビームフォーミング係数を適用してFL AN信号720を得ることができる。例えば、FL AN信号720は、GBBFのための衛星120-bのフィード素子に対応する信号であって良く、または、エンドツーエンドのビームフォーミングシステムの、アクセスノード端末130-aによる送信のための信号であっても良い。ビームフォーミングプロセッサ135-aは、FL AN信号720をアクセスノード端末130-aに提供することができる。
【0073】
アクセスノード端末130-aは、ビームフォーミングプロセッサ135-aから受信したFL AN信号720に基づいて、フォワードアップリンク(F-UL)信号725を送信することができる。衛星120-bは、F-UL信号725を受信し、フォワードダウンリンク(F-DL)信号730を送信することができ、これが、ビームフォーミングプロセッサ135-aによって適用されるビームフォーミング係数に基づいてスポットビームを形成し得る。例えば、GBBFシステムにおいて、衛星120-bの各フィードはアクセスノード端末130-aから受信した信号を送信することができ、これを結合してスポットビームを形成することができる。択一的に、エンドツーエンドのビームフォーミングシステムでは、衛星120-bは多数の送信/受信信号経路を含むことができ、それぞれの送信/受信信号経路は、1つ以上のアクセスノード端末130-aから受信したF-UL信号725の複合体を送信することができる。
【0074】
ビーム信号を運ぶスポットビームを形成するF-DL信号730は、反射ビーム信号732として表面160-bに反射することができ、また収集衛星122-eによって受信され得る。収集衛星122-eは、反射ビーム信号732をサンプリングし、サンプリングした反射ビーム信号732をマルチスタティックSARプロセッサ145-aに送信して処理することができる。収集衛星122-eは、F-DL信号730を(例えば、反射がなく)直接受信しても良く、またF-DL信号730を使ってサンプリングした反射ビーム信号732に関するさまざまな情報を確定しても良い。例えば、ビーコン信号180-aの利用に付加して、または択一的に、収集衛星122-eは、F-DL信号730を反射ビーム信号732の周波数、位相、または到着時間を確定するための基準として使用することができる。さらに、収集衛星122-eは、反射ビーム信号732の大気補正またはコヒーレンスを決定するために、F-DL信号730を使用しても良い。収集衛星122-eは、サンプリングされた反射ビーム信号を含むリターンアップリンク(R-UL)信号745を、衛星120-b(イルミネーション衛星衛星と同じ衛星でも、場合によっては別の衛星でも良い)に送信することができる。衛星120-bは、ノード端末130-aにアクセスするために、R-DL信号755のR-UL信号を中継することができる。アクセスノード端末130-aは、R-DL信号755を受信して処理(例えば、サンプリング)し、サンプリングされたR-DL信号755を含むRL信号760を、ビームフォーミングプロセッサ135-aに送ることができる。
【0075】
ビームフォーミングプロセッサ135-aは、775におけるRL信号760に、RLビーム係数を適用し得る。例えば、GBBFシステムでは、衛星120-bの各受信フィードは別々のR-DL信号755に含まれ得る。択一的に、エンドツーエンドのビームフォーミングシステムでは、衛星120-bは複数の送信/受信経路を介してR-UL信号745を中継しても良く、したがって、アクセスノード端末130-aによって受信される各R-DL信号755は、衛星120-bの複数の送信/受信信号経路の少なくとも1つのサブセットによって伝送される複数のRLスポットビームからの信号を含む複合信号であり得る。このように、ビームフォーミングプロセッサ135-aは、複数のアクセスノード端末130-aのそれぞれから複合信号を受信し、RLビームと複数アクセスノード端末130-aとの間のエンドツーエンドビームフォーミングマトリクスを表すRLビームフォーミング係数を適用して、RLビーム信号を回復することができる。ビームフォーミングプロセッサ135-aは、RLビーム信号をマルチスタティックSARプロセッサ145-aに送って処理することができる。
【0076】
マルチスタティックSARプロセッサ145-aは、RLビーム信号780からサンプリングされた反射ビーム信号732を取得しても良い。択一的に、マルチスタティックSARプロセッサ145-aは、サンプリングされた反射ビーム信号732を別のルート経由で取得しても良い。例えば、収集衛星122-eは、サンプリングされた反射ビーム信号を直接地上局(不図示)に送信しても良い。マルチスタティックSARプロセッサ145-aは、各収集衛星122-eからのサンプリングされた反射ビーム信号732を処理して、F-DL信号730のユーザービームカバレッジエリアに対応するマルチスタティックSARデータを取得することができる。マルチスタティックSARプロセッサ145-aは、ビームフォーミングプロセッサ135-aからF-DL信号730の信号情報を取得することもできる。例えば、ビームフォーミングプロセッサ135-aは、FLビーム信号765をマルチスタティックSARプロセッサ145-aに供給することができる。さらに、ビームフォーミングプロセッサ135-aは、マルチスタティックSARプロセッサ145-aにビーム係数770を提供することができる。
【0077】
マルチスタティックSARプロセッサ145-aは、785において、FLビーム信号765およびビーム係数770に基づき、サンプリングされた反射ビーム信号732を処理することができる。例えば、イルミネーション衛星120-bによって形成された所与のFLビームについて、マルチスタティックSARプロセッサ145-aは、FLビームの一部またはすべてを含む視野を備えた各収集衛星122-eからのサンプリングされた反射ビーム信号732を評価することができる。例えば、マルチスタティックSARプロセッサ145-aは、ビーム係数770を使用して、ゲインプロファイルを含むFLビームの特性を確定することができ、FLビーム信号765を使用して、F-DL信号730が遭遇する地形または物体に起因する、反射ビーム信号732関連のレーダー情報(例えば、範囲、反射率)を確定することができる。マルチスタティックSARプロセッサ145-aは、複数の収集衛星122-eからの同時(例えば、位相に相関性がある)F-DL信号730に対応する、サンプリングされた反射ビーム信号732を使用して、範囲と精度を向上させることができる。さらに、マルチスタティックSARプロセッサ145-aは、複数の時点から送られた、複数の収集衛星122-eからのサンプリングされた反射ビーム信号732を使用して、FLビームに伴うイメージング情報に対応する合成開口を取得することができる。したがって、マルチスタティックSARプロセッサ145-aは、一定期間にわたって少なくとも部分的にビームカバレッジエリアと重複する視野を持つ複数の収集衛星122-eからのサンプリングされた反射ビーム信号732に基づいて、各FLビームのビームカバレッジエリアの画像を作成することができる。例えば、マルチスタティックSARプロセッサ145-aは、各収集衛星122-eの視野とビームカバレッジエリアの重複量を判定し、重複およびビームゲインプロファイルを適用して、各収集衛星122-eからのサンプリングされた反射ビーム信号732を、それぞれの時点について重み付けすることができる。
【0078】
図8は、本明細書に開示された複数の実施例に拠る、低軌道収集を利用したマルチスタティック合成開口レーダーの技術に対応した、マルチスタティックSARプロセッサ145-bの略図である。マルチスタティックSARプロセッサ145-bには、マルチスタティックSAR信号検出器810、SARビーム信号検出器820、SARビーム信号プロセッサ830、および画像プロセッサ840が含まれ得る。これらの各モジュールは、(例えば、1つ以上のバスを介して)直接または間接的に相互に通信することができる。
【0079】
マルチスタティックSAR信号検出器810は、1つ以上のイルミネーション衛星サテライトおよび1つ以上の収集衛星を備えたマルチスタティックシステムで、サンプリングされた反射ビーム信号805を受信することができる。例えば、1つ以上のイルミネーション衛星はGEO衛星であって良く、収集衛星は別の軌道(例えば、LEOあるいはMEO)にあって良い。1つ以上のイルミネーション衛星は通信衛星であって良く、複数のフィードを介して送信を行い、スポットビームを生成しても良い。スポットビームからの信号は地形や物体に反射して良く、反射信号は収集衛星で受信およびサンプリングされて良い。収集衛星は、ビーコン信号(例えば、ビーコン信号180)またはスポットビーム信号自体(例えば、直接的な、反射していないスポットビーム信号)を、反射ビーム信号の周波数、位相、または到着時間を確定するための基準として使用して良い。マルチスタティックSAR信号検出器810は、サンプリングされた反射ビーム信号805を処理して、複数のスポットビームそれぞれの信号情報を(例えば、収集衛星の周波数帯域、偏波、または視野に基づいて)取得することができる。マルチスタティックSAR信号検出器810は、スポットビーム信号情報815をSARビーム信号検出器820に送ることができる。
【0080】
SARビーム信号検出器820は、マルチスタティックSAR信号検出器810からスポットビーム信号情報815を受信することができる。SARビーム信号検出器820は、ビーム情報822を受信することもでき、これには、ビームフォーミングされたスポットビームに関連するビーム信号またはビーム係数(例えば、フォワードダウンリンクビームを形成するために使用されるビームフォーミングマトリクス823)が含まれ得る。SARビーム信号検出器820は、各ビームカバレッジエリアについて、スポットビーム信号情報815およびビーム情報822に基づき、反射信号情報(例えば、範囲、反射率)を確定することができる。例えば、SARビーム信号検出器820は、各収集衛星で受信した各ビーム信号の反射信号情報を確定し、反射信号情報825をSARビーム信号プロセッサ830に送ることができる。例えば、SARビーム信号検出器820は、スポットビーム信号ゲインプロファイルおよびビーム信号に基づいて、反射信号情報825を確定することができる。
【0081】
SARビーム信号プロセッサ830は、反射信号情報825を受信することができ、また反射信号情報825に基づいて、それぞれのスポットビームカバレッジエリアに関連付けられた画像情報を確定することができる。SARビーム信号プロセッサ830は、種々の収集衛星からの反射信号情報825によるインターフェロメトリを適用することができ、また、さまざまな期間にわたる複数の収集衛星からの反射信号情報に基づいて、各スポットビームカバレッジエリア内でイメージング用の開口をさらに合成することができる。例えば、SARビーム信号プロセッサ830は、各時点で収集衛星の位置情報を受信し、複数の収集衛星ならびに複数の収集衛星を使用して、時間の経過とともに開口を合成することができる。SARビーム信号プロセッサ830は、ビーム画像情報835を、画像プロセッサ840に送ることができる。
【0082】
画像プロセッサ840は、ビーム画像情報835から画像850を生成することができる。例えば、画像プロセッサ840は、種々のビームカバレッジエリアに関するビーム画像情報835を結合することができ、またはビーム画像情報835に基づいて、画像のピクセルに画像プロパティ(例えば、明るさ、色相)を割り当てることができる。
【0083】
図9は、本明細書に開示された複数の実施例に拠る、マルチスタティック合成開口レーダーの技術に対応したデバイス905を含むシステム900の略図である。デバイス905は、本明細書に記載されている受信処理システムのコンポーネントの一例であり得る、またはそのようなコンポーネントを含み得る。デバイス905には、情報を送信および受信するためのコンポーネントを含む双方向データ通信用のコンポーネントが含まれて良く、これには、マルチスタティックSARプロセッサ910、I/Oコントローラ915、データベースコントローラ920、メモリ925、プロセッサ930、およびデータベース935が含まれ得る。これらのコンポーネントは、1つ以上のバス(例えば、バス940)を介して電子通信を行うことができる。
【0084】
マルチスタティックSARプロセッサ910は、本明細書に記載されているマルチスタティックSARプロセッサ145の一例であり得る。場合によっては、マルチスタティックSARプロセッサ910は、ハードウェア、プロセッサによって実行されるソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせにおいて実装され得る。例えば、マルチスタティックSARプロセッサ910は、サンプリングされた反射ビーム信号を受信することができ(例えば、I/Oコントローラ915経由で)、サンプリングされた反射ビーム信号を処理してマルチスタティック合成レーダー開口画像を生成することができる。サンプリングされた反射ビーム信号は、1つ以上の収集衛星が受信した信号に対応していて良く、システム900が衛星を介して(例えば、イルミネーション衛星を介して)受信するか、または収集衛星から地上局へと直接受信することができる。マルチスタティックSARプロセッサ910は、サンプリングされた反射ビーム信号をビーム情報(例えば、ビーム信号、ビーム係数)に従って処理し、一定期間にわたって各収集衛星のビーム情報を取得することができる。マルチスタティックSARプロセッサ910は、処理されたビーム情報および収集衛星に関連する追加情報(例えば、位置、大気補正)に基づいて、画像ピクセル値(例えば、強度、色相)を生成することができる。マルチスタティックSARプロセッサ910は、(例えば、ディスプレイ装置上に表示するため、またはストレージ媒体に格納するため)I/Oコントローラ915を介して出力信号950に画像を出力することができる。
【0085】
I/Oコントローラ915は、デバイス905に関する入力信号945および出力信号950を管理して良い。I/Oコントローラ915は、デバイス905に組み込まれていない周辺機器も管理しても良い。場合によっては、I/Oコントローラ915が外部周辺機器への物理的な接続部またはポートに相当していても良い。場合によっては、I/Oコントローラ915は、iOS(登録商標)、Android(登録商標)、MS-DOS(登録商標)、MS-Windows(登録商標)、OS/2(登録商標)、UNIX(登録商標)、Linux(登録商標)、または別の既知のオペレーティングシステムなどのオペレーティングシステムを活用しても良い。他の場合では、I/Oコントローラ915が、モデム、キーボード、マウス、タッチスクリーン、または同様のデバイスに相当し得るか、またはそれらと情報をやりとりできる。場合によっては、I/Oコントローラ915がプロセッサの一部として実装され得る。場合によっては、ユーザーはI/Oコントローラ915、またはI/Oコントローラ915によって制御されるハードウェアコンポーネントを介して、デバイス905と情報をやりとりできる。
【0086】
データベースコントローラ920は、データベース935のデータ保存および処理を管理できる。場合によっては、ユーザーがデータベースコントローラ920と情報をやりとりできる。他の場合では、データベースコントローラ920はユーザーとの情報のやりとりなしに、自動的に動作し得る。データベース935は、単一のデータベース、分散データベース、複数の分散データベース、データストア、データレイク、または緊急バックアップデータベースの一例であり得る。データベース935には、例えばマルチスタティックビームフォーミングシステム910で使用するための複数のビームウェイトセットが保存され得る。
【0087】
メモリ925には、ランダムアクセスメモリ(RAM)および読み取り専用メモリ(ROM)が含まれ得る。メモリ925には、(例えば、プロセッサ930によって)実行された場合、本明細書に記載されているさまざまな機能をプロセッサに実行させる命令を含む、コンピュータ読取可能、コンピュータ実行可能なソフトウェアが保存され得る。例えば、メモリ925には、本明細書に記載されているマルチスタティックSARプロセッサ910の動作に関する命令が格納され得る。場合によっては、メモリ925には、とりわけ周辺機器やデバイスとの情報のやりとりなど、基本的なハードウェアまたはソフトウェアの動作を制御し得る基本入出力システム(BIOS)が含まれている場合がある。
【0088】
プロセッサ930には、インテリジェントハードウェアデバイス(例えば、汎用プロセッサ、DSP、中央処理装置(CPU)、マイクロコントローラ、ASIC、FPGA、プログラマブル・ロジック・デバイス、ディスクリート・ゲートまたはトランジスタ・ロジックコンポーネント、ディスクリート・ハードウェアコンポーネント、またはそれらの任意の組み合わせ)が含まれ得る。場合によっては、プロセッサ930がメモリコントローラを使用してメモリアレイを動作させるように構成されても良い。他の場合では、メモリコントローラがプロセッサ930に組み込まれている場合もある。プロセッサ930は、メモリ925に格納されたコンピュータ読取可能な命令を実行して、さまざまな機能を実行するように構成することができる。
【0089】
図10は、本明細書に開示された複数の実施例に拠る、低軌道収集を利用したマルチスタティック合成開口レーダーに対応した方法1000を示すフローチャートである。方法1000の操作は、本明細書に記載の通り、衛星システムまたはそのコンポーネントによって実施することができる。例えば、方法1000の操作は、衛星システム100または衛星システム600によって実行され得る。一部の実施例では、衛星システムのコンポーネントが、以下に記載する機能を実行するために、衛星システムの機能要素を制御する一連の命令を実行することができる。付加的に、または択一的に、衛星システムのコンポーネントが、専用のハードウェアを使用して以下に記載する機能の態様を実行することができる。
【0090】
ステップ1005において、衛星システムの第1の衛星は、地理的領域を照らすアンテナを介して第1の一連のフォワードダウンリンク信号を送信することができ、ここで、地理的領域内の第1の一連のフォワードダウンリンクビームはそれぞれ、第1の一連のフォワードダウンリンク信号の少なくとも1つのサブセットから形成される。第1の衛星から第1の複数のフォワードダウンリンク信号を送信することは、第1の衛星で、衛星アクセスノードから受信した複数のフォワードアップリンク信号に第1のビームフォーミングマトリクスを適用して、第1の複数のフォワードダウンリンク信号を取得することから成る場合がある。択一的に、第1の衛星から第1の複数のフォワードダウンリンク信号を送信することは、複数の衛星アクセスノードから、それぞれのフォワードアップリンク信号を送信し、第1の衛星の複数の送信/受信信号経路により、それぞれのフォワードアップリンク信号を中継することから成る場合もある。ここで、第1の複数のフォワードダウンリンク信号の各々は、それぞれのフォワードアップリンク信号の少なくとも1つのサブセットの複合体で構成されている。第1の一連のフォワードダウンリンク信号は、第1の一連のフォワードダウンリンクビーム内の、ユーザー端末用通信データを伝送するビーム信号であり得る。第1の衛星はGEO衛星であっても良い。1005の操作は、本明細書に記載されている方法で実行することができる。一部の実施例では、1005の操作の態様は、
図1または
図6を参照して記載されているイルミネーション衛星120によって実行され得る。
【0091】
ステップ1010において、一連の第2の衛星は、第1の一連のフォワードダウンリンクビームの反射を含む、それぞれの第1の信号を受信することができる。第2の一連の衛星は、LEO衛星またはMEO衛星であって良い。1010の操作は、本明細書に記載されている方法で実行することができる。一部の実施例では、1010の操作の態様は、
図1または
図6を参照して記載されている収集衛星122によって実行され得る。
【0092】
ステップ1015において、マルチスタティックSARプロセッサは、一連のフォワードダウンリンクビームそれぞれの信号データに基づいて、一連のフォワードダウンリンクビームのそれぞれに関連付けられる各々の第1の信号の、少なくともサブセットのコンポーネントを確定することができる。例えば、第1の複数のフォワードダウンリンクビームは、偏波および周波数帯域の第1の組み合わせを持つ、複数のフォワードダウンリンクビームで構成されて良く、また、それぞれの第1の信号の少なくともサブセットは、偏波および周波数帯域の第1の組み合わせを持つ複数のフォワードダウンリンクビームからのそれぞれの複合反射で構成されて良い。1015の操作は、本明細書に記載されている方法で実行することができる。一部の実施例では、1015の操作の態様は、
図8を参照して記載されているSARビーム信号検出器によって実行され得る。
【0093】
ステップ1020において、マルチスタティックSARプロセッサは、第1の一連のフォワードダウンリンクビームを形成するために使用される第1のビームフォーミングマトリクスに基づいて、地理的領域の画像を取得するために一連の第2の衛星によって受信された、それぞれの第1の信号を処理することができる。画像を取得するために一連の第2の衛星によって受信されるそれぞれの第1の信号の処理は、第1の一連のフォワードダウンリンクビームのビーム信号に基づく処理であって良い。1020の操作は、本明細書に記載されている方法で実行することができる。一部の実施例では、1020の操作の態様は、
図8を参照して記載されているSARビーム信号プロセッサ830によって実行され得る。
【0094】
ステップ1005、1010、1015、または1020の態様は、複数の継続期間にわたって実行され得る。例えば、第1の衛星は、第2の継続期間に対応する第2の複数のフォワードダウンリンク信号を送信して良く、ここで、第2の複数のフォワードダウンリンク信号は、地理的領域上に第2の複数のフォワードダウンリンクビームを形成する。複数の第2の衛星は、第2の複数のフォワードダウンリンクビームの反射を含む、それぞれの第2の信号を受信することができる。マルチスタティックSARプロセッサは、複数の第2の衛星が受信したそれぞれの第2の信号を処理して、地理的領域の画像を取得することができる。それぞれの第2の信号の処理は、第1の複数のフォワードダウンリンク信号の生成に使用されるのと同じビームフォーミングマトリクスに基づいて良く、または、場合によっては第2の異なるビームフォーミングマトリクスに基づいて行っても良い。
【0095】
説明されている技術は、可能性がある実装について述べたもので、操作やコンポーネントは再編成、またはその他変更することができ、他の実装も可能であることに注意すべきである。2つ以上の方法または装置から更なる部分を組み合わせても良い。
【0096】
本明細書に記載されている情報および信号は、さまざまなテクノロジーおよび技術のいずれかを使用して表現することができる。例えば、 記述全体を通じて参照されるデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁場もしくは粒子、光学フィールドもしくは粒子、またはそれらの任意の組み合わせで表され得る。
【0097】
本明細書の開示に関連して記述されている各種の説明ブロックおよびモジュールは、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、もしくはその他のプログラマブル・ロジック・デバイス、ディスクリート・ゲートもしくはトランジスタ・ロジック、ディスクリート・ハードウェア・コンポーネント、または本明細書に記載されている機能を実行するように設計されたこれらの任意の組み合わせを使用して実装または実行することができる。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであって良いが、代替として、該プロセッサは、任意の従来型のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、またはステートマシンであっても良い。プロセッサは、計算装置の組み合わせとして実装することもできる(例えば、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1つ以上のマイクロプロセッサ、または同じようなその他の構成)。
【0098】
本明細書に記載されている機能は、ハードウェア、プロセッサによって実行されるソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせにおいて実装され得る。プロセッサによって実行されるソフトウェアで実装された場合、機能はコンピュータ読取可能媒体上に格納され得るか、または1つ以上の命令もしくはコードとしてコンピュータ読取可能媒体上に送信され得る。その他の実施例および実装は、開示および添付の特許請求の範囲の枠内に入っている。例えば、ソフトウェアの性質上、本明細書に記載されている機能は、プロセッサ、ハードウェア、ファームウェア、ハード配線、またはこれらのうちいずれかの組み合わせによって実行されるソフトウェアを使用して実装することが可能である。機能を実装する機構は、機能の一部が異なる物理的な位置に実装される形で分散されるなど、さまざまな位置に物理的に配置される場合もある。
【0099】
コンピュータ読取可能媒体には、ある場所から別の場所へのコンピュータプログラムの転送を容易にするあらゆるメディアを含む、通信メディアおよび非一時的なコンピュータストレージ媒体の双方が含まれる。非一時的なストレージ媒体は、汎用または専用のコンピュータからアクセス可能なあらゆる利用可能な媒体であり得る。限定的ではなく、例示として、非一時的なコンピュータ読取可能媒体には、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、電気的消去可能プログラム可能ROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、コンパクトディスク(CD)ROM、もしくはその他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージ、もしくはその他の磁気ストレージデバイス、または、命令もしくはデータ構造の形で所望のプログラムコード手段を持ち運ぶかもしくは保存するために使用でき、汎用もしくは専用のコンピュータ、もしくは汎用もしくは専用のプロセッサからアクセスできる、その他の非一時的な媒体、が含まれ得る。また、どのような接続部も、正しくコンピュータ読取可能媒体と呼ばれる。例えば、ソフトウェアが同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL)、または赤外線、無線、およびマイクロ波などの無線技術を使用してウェブサイト、サーバー、またはその他の遠隔ソースから送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、ツイストペア、DSL、または赤外線、無線、およびマイクロ波などの無線技術は媒体の定義に含まれる。本明細書で使用される場合、ディスク(disk)およびディスク(disc)には、CD、レーザーディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピーディスク、およびブルーレイディスクが含まれるが、ここでdiskは通常、磁気的にデータを再生するものであり、一方discはレーザーを使って光学的にデータを再生するものである。上記の組み合わせについても、コンピュータ読取可能媒体の範囲に含まれる。
【0100】
特許請求の範囲も含め本明細書で使用される場合、項目リストで使用される「または」(例えば、「少なくとも1つの」または「1つ以上の」などの語句で始まる項目リスト)は、包括的なリストを示すので、例えば、少なくとも1つのA、B、またはCというリストは、AまたはBまたはCまたはABまたはACまたはBCまたはABC(すなわち、AおよびBおよびC)を意味する。また、本明細書で使用される場合、「に基づいて」という表現は、条件の閉集合を指すものと解釈してはならない。例えば、「条件Aに基づいて」と記載されている例示的なステップは、本開示の範囲から逸脱することなく、条件Aおよび条件Bの両方に基づくことができる。言い換えれば、ここでいう「に基づいて」という表現は、「少なくとも部分的に基づいている」という表現と同じように解釈されねばならない。
【0101】
添付の図では、類似のコンポーネントまたは機構が同一の参照ラベルを有し得る。さらに、同じ種類のさまざまなコンポーネントは、参照ラベルの後にダッシュおよび類似したコンポーネントを区別する第2のラベルを付けて、区別する場合がある。仕様書内で第1の参照ラベルのみが使用されている場合、第2の参照ラベルまたは後続の他の参照ラベルに関係なく、同じ第1の参照ラベルを持つ類似コンポーネントのいずれかに記述内容が適用される。
【0102】
添付図面に関連して本明細書に記載されている説明内容は、実施例の構成例を説明しており、実装され得る、または特許請求の範囲の範囲内にある全ての実施例を表すものではない。本明細書で使用される用語「例示的」とは、「例示、実例、例証としての役割を果たす」ことを意味し、「好ましい」または「他の例よりも有利な」という意味ではない。詳細な説明には、説明されている技術への理解を与える目的で、具体的な詳細が含まれている。ただし、これらの技術は、これらの具体的な詳細なしに実践することができる。場合によっては、説明されている実施例の概念を曖昧にしないように、よく知られている構造および装置がブロック図の形で示されている。
【0103】
本明細書に記載されている説明は、当業者が開示内容を作成または活用できるように提供されている。開示内容へのさまざまな変更は、当業者にとって明白であり、本明細書で定義されている一般原則は、開示の範囲から逸脱することなく、他のバリエーションに適用することができる。したがって、開示内容は、本明細書に記載されている実施例や意匠に限定されるものではなく、本明細書に開示されている原則や新しい機構に合致する、最も広い範囲を与えられるべきものである。