(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20240228BHJP
H01G 4/232 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G4/30 201G
H01G4/30 513
H01G4/30 516
H01G4/232 B
(21)【出願番号】P 2020114328
(22)【出願日】2020-07-01
【審査請求日】2023-06-26
(31)【優先権主張番号】10-2019-0103792
(32)【優先日】2019-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ホ イン
(72)【発明者】
【氏名】キム、キョン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】チュン、ジン スン
(72)【発明者】
【氏名】シン、ウー チュル
(72)【発明者】
【氏名】キム、スル ギ
【審査官】清水 稔
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-034010(JP,A)
【文献】特開2007-281400(JP,A)
【文献】特開2015-128175(JP,A)
【文献】国際公開第2019/244541(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0032896(US,A1)
【文献】米国特許第8988854(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
H01G 4/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層及び内部電極を含む本体と、
前記本体に配置され、前記内部電極と連結される電極層、前記電極層上に配置される第1めっき層、及び前記第1めっき層上に配置される導電性樹脂層を含む外部電極と、を含み、
前記第1めっき層は、前記導電性樹脂層との界面において表面粗さを有し、
前記導電性樹脂層は、導電性金属とベース樹脂を含む、積層型電子部品。
【請求項2】
前記第1めっき層が前記導電性樹脂層との界面において有する中心線平均粗さは150~500nmである、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記第1めっき層の厚さは300~2000nmである、請求項1または2に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記第1めっき層は、Cu、Sn、Ni、及びこれらの合金からなる群より選択された1種以上を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記第1めっき層は、前記表面粗さを有する領域にCu
2Oを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記第1めっき層は、前記表面粗さを有する領域にCuOを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記第1めっき層は、前記導電性樹脂層との界面にSnを含む金属間化合物層が配置される、請求項1から6のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記外部電極は、前記導電性樹脂層上に配置される第2めっき層をさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記第2めっき層は、前記導電性樹脂層上に配置されるNiめっき層、及び前記Niめっき層上に配置されるSnめっき層を含む、請求項8に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記電極層は導電性金属とガラスを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記電極層はCuとガラスを含み、前記第1めっき層はCuめっき層である、請求項1から10のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
誘電体層及び内部電極を含む本体と、
前記本体に配置され、前記内部電極と連結される電極層、前記電極層上に配置される第1めっき層、及び前記第1めっき層上に配置される導電性樹脂層を含む外部電極と、を含み、
前記電極層はCuとガラスを含み、前記第1めっき層はCuめっき層である、 前記導電性樹脂層は、導電性金属とベース樹脂を含む、積層型電子部品。
【請求項13】
前記第1めっき層が前記導電性樹脂層との界面において有する中心線平均粗さは150~500nmである、請求項12に記載の積層型電子部品。
【請求項14】
前記第1めっき層の厚さは300~2000nmである、請求項12または13に記載の積層型電子部品。
【請求項15】
前記第1めっき層は、前記導電性樹脂層との界面において表面粗さを有し、前記第1めっき層は、前記表面粗さを有する領域にCu
2
OまたはCuOを含む、請求項12から14のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項16】
前記第1めっき層は、前記導電性樹脂層との界面にSnを含む金属間化合物層が配置される、請求項12から15のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項17】
前記外部電極は、前記導電性樹脂層上に配置される第2めっき層をさらに含む、請求項12から16のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項18】
前記第2めっき層は、前記導電性樹脂層上に配置されるNiめっき層、及び前記Niめっき層上に配置されるSnめっき層を含む、請求項17に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品のうちの一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン、及び携帯電話などの様々な電子製品のプリント回路基板に装着されて電気を充電又は放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサである。
【0003】
かかる積層セラミックキャパシタは、小型でありながら高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子機器の部品として用いられることができる。コンピュータやモバイル機器などの各種電子機器が小型化、高出力化するにつれて、積層セラミックキャパシタに対する小型化及び高容量化の要求が増大しつつある。
【0004】
また、最近の自動車用電装部品に対する業界の関心が高まり、積層セラミックキャパシタに対しても自動車やインフォテイメントシステムに用いられるようにすべく、高信頼性及び高強度特性が要求されている。
【0005】
そこで、高信頼性及び高強度特性を確保するために、従来の電極層で構成される外部電極を電極層と導電性樹脂層の二層構造に変更する方法が提案された。
【0006】
上記の電極層と導電性樹脂層の二層構造は、電極層上に導電性物質を含有する樹脂組成物を塗布することにより、外部からの衝撃を吸収するとともに、めっき液の浸透を防止することで信頼性を向上させることができる。
【0007】
しかし、電極層と導電性樹脂層の熱膨張係数(CTE、Coefficient of Thermal Expansion)が異なるため、内部応力が増加するようになるという問題点がある。内部応力が増加するにつれて、信頼性に悪影響を与えるデラミネーション(Delamination)やクラック(Crack)などが発生する可能性がある。
【0008】
そのため、高信頼性及び高強度特性をより向上させるための方法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】韓国公開特許第10-2014-0021416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明のいくつかの目的のうちの一つは、電極層と導電性樹脂層の間の結合力を向上させることである。
【0011】
本発明のいくつかの目的のうちの他の一つは、電極層と導電性樹脂層の間の電気的連結性を向上させることである。
【0012】
本発明のいくつかの目的のうちのさらに他の一つは、デラミネーション(Delamination)やクラック(Crack)などの発生を抑制することである。
【0013】
但し、本発明の目的は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層及び内部電極を含む本体と、上記本体に配置され、上記内部電極と連結される電極層、上記電極層上に配置される第1めっき層、及び上記第1めっき層上に配置される導電性樹脂層を含む外部電極と、を含み、上記第1めっき層は、上記導電性樹脂層との界面において表面粗さを有し、上記導電性樹脂層は、導電性金属とベース樹脂を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明のいくつかの効果のうちの一つは、外部電極の電極層と導電性樹脂層の間に表面粗さを有するめっき層を配置することにより、外部電極の電極層と導電性樹脂層の間の結合力を向上させるものである。
【0016】
但し、本発明の多様でありながらも有意義な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態による誘電体層及び内部電極が積層された本体を分解して概略的に示す分解斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態による
図2のA領域の拡大図である。
【
図5】本発明の他の一実施形態による
図2のA領域の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、具体的な実施形態及び添付された図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0019】
尚、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示しており、同一の思想の範囲内の機能が同一の構成要素は、同一の参照符号を用いて説明することができる。さらに、明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0020】
図面において、X方向は、第2方向、L方向又は長さ方向、Y方向は、第3方向、W方向又は幅方向、Z方向は、第1方向、積層方向、T方向又は厚さ方向と定義することができる。
【0021】
積層型電子部品
図1は本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示す斜視図であり、
図2は
図1のI-I'線に沿った断面図であり、
図3は本発明の一実施形態による誘電体層及び内部電極が積層された本体を分解して概略的に示す分解斜視図であり、
図4は本発明の一実施形態による
図2のA領域の拡大図である。
【0022】
以下、
図1~
図4を参照して、本発明の一実施形態による積層型電子部品について詳細に説明する。
【0023】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、誘電体層111及び内部電極121、122を含む本体110と、上記本体に配置され、上記内部電極と連結される電極層131a、132a、上記電極層上に配置される第1めっき層131b、132b、及び第1めっき層上に配置される導電性樹脂層131c、132cを含む外部電極131、132と、を含み、上記第1めっき層は、上記導電性樹脂層との界面において表面粗さを有し、上記導電性樹脂層は、導電性金属とベース樹脂を含む。
【0024】
本体110は、誘電体層111と内部電極121、122が交互に積層されて形成されることができる。
【0025】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図面に示すように、本体110は、六面体状やこれと類似した形状からなることができる。また、本体110は、焼成過程で本体110に含まれるセラミック粉末の収縮により、完全な直線を有する六面体状ではないが、実質的に六面体状を有することができる。
【0026】
本体110は、厚さ方向(Z方向)に互いに対向する第1及び第2面1、2、上記第1及び第2面1、2と連結され、長さ方向(X方向)に互いに対向する第3及び第4面3、4、及び第1及び第2面1、2と連結され、第3及び第4面3、4と連結され、且つ幅方向(Y方向)に互いに対向する第5及び第6面5、6を有することができる。
【0027】
本体110を形成する複数の誘電体層111は、焼成された状態であって、隣接する誘電体層111間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0028】
本発明の一実施形態によると、上記誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量を得ることができる限り特に制限されない。例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料又はチタン酸ストロンチウム系材料などを用いることができる。
【0029】
上記誘電体層111を形成する材料は、チタン酸バリウム(BaTiO3)などの粉末に、本発明の目的に応じて、様々なセラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0030】
本体110は、上記本体110の内部に配置され、上記誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量が形成される容量形成部と、上記容量形成部の上部及び下部に形成されるカバー部112、113と、を含むことができる。
【0031】
上記容量形成部は、キャパシタの容量形成に寄与する部分であって、誘電体層111を間に挟んで複数の第1及び第2内部電極121、122を繰り返し積層することで形成することができる。
【0032】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は、単一の誘電体層又は2つ以上の誘電体層を容量形成部の上下面にそれぞれ上下方向に積層して形成することができ、基本的には物理的又は化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0033】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は、内部電極を含まず、誘電体層111と同一の材料を含むことができる。
【0034】
複数の内部電極121、122は、誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置される。
【0035】
内部電極121、122は誘電体層を間に挟んで互いに対向するように交互に配置される第1及び第2内部電極121、122を含むことができる。
【0036】
第1及び第2内部電極121、122は、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ露出することができる。
【0037】
図2を参照すると、第1内部電極121は、第4面4と離隔され、第3面3に露出し、第2内部電極122は、第3面3と離隔され、第4面4に露出することができる。本体の第3面3には、第1外部電極131が配置されて第1内部電極121と連結され、本体の第4面4には、第2外部電極132が配置されて第2内部電極122と連結されることができる。
【0038】
第1及び第2内部電極121、122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されることができる。
【0039】
図3を参照すると、本体110は、第1内部電極121が印刷された誘電体層111と、第2内部電極122が印刷された誘電体層111とを厚さ方向(Z方向)に交互に積層した後、焼成して形成することができる。
【0040】
第1及び第2内部電極121、122を形成する材料は、特に制限されず、例えば、パラジウム(Pd)、パラジウム-銀(Pd-Ag)合金などの貴金属材料、及びニッケル(Ni)及び銅(Cu)のうち1つ以上の物質を含む導電性ペーストを用いて形成することができる。
【0041】
上記導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0042】
外部電極131、132は、本体110に配置され、内部電極121、122と連結される。外部電極131、132は、
図2に示すように、第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ接続された第1及び第2外部電極131、132を含むことができる。
【0043】
上記第1及び第2外部電極131、132は、静電容量を形成するために上記第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ電気的に連結されることができ、上記第2外部電極132は、上記第1外部電極131とは異なる電位に連結されることができる。
【0044】
外部電極131、132は、上記内部電極121、122と連結された電極層131a、132a、上記電極層上に配置された第1めっき層131b、132b、及び第1めっき層上に配置される導電性樹脂層131c、132cを含む。
【0045】
第1めっき層131b、132bは、導電性樹脂層131c、132cとの界面において表面粗さを有する。これにより、アンカ(Anchor)効果により物理的結合力を向上させることができ、電極層131a、132aと導電性樹脂層131c、132cの間の浮き現象を抑制するとともに、内部応力が増加することを抑制することで、信頼性に悪影響を与えるデラミネーション(Delamination)やクラック(Crack)などが発生することを抑制することができる。
【0046】
また、第1めっき層131b、132bは、物理的結合力を向上させるだけでなく、電極層131a、132aと導電性樹脂層131c、132cの間の電気的連結性を向上させる役割を果たすことができる。
【0047】
第1めっき層131b、132bが導電性樹脂層131c、132cとの界面において有する中心線平均粗さ(Ra)は150~500nmであることができる。すなわち、第1めっき層131b、132bの表面粗さは、中心線平均粗さ(Ra)が150~500nmであることができる。
【0048】
表面粗さとは、表面を加工する際に、表面に生じる微細な凹凸の程度を指すものであって、表面粗さともする。
【0049】
表面粗さは、加工に用いられる工具、加工法の適合性、表面のかすれ傷、錆、エッチングなどによって生じるものである。粗さ程度を表すために、表面をそれと直交する平面で切断してその断面を見ると、高低を有している。仮想の中心線からの高さの平均値を中心線平均粗さとし、これをRaと示すことができる。
【0050】
本発明では、第1めっき層131b、132bが導電性樹脂層131c、132cとの界面において有する中心線平均粗さをRaと規定する。
【0051】
具体的には、第1めっき層131b、132bの中心線平均粗さ(Ra)を算出する方法として、第1めっき層131b、132bが導電性樹脂層131c、132cとの界面において有する表面粗さに対して仮想の中心線Rcを描く方法を用いることができる。
【0052】
次に、上記表面粗さの仮想の中心線Rcを基準に、それぞれの距離(例えば、r
1、r
2、r
3...r
n)を測定した後、下記式1のように、各距離の平均値を求めて算出された値をもって、第1めっき層131b、132bが導電性樹脂層131c、132cとの界面において有する中心線平均粗さ(Ra)を算出することができる。
【数1】
【0053】
第1めっき層131b、132bが導電性樹脂層131c、132cとの界面において有する中心線平均粗さ(Ra)が150nm未満の場合には、導電性樹脂層131c、132cとの十分な物理的結合力を確保することが難しくなる可能性がある。
【0054】
これに対し、第1めっき層131b、132bが導電性樹脂層131c、132cとの界面において有する中心線平均粗さ(Ra)が500nmを超えると、第1めっき層131b、132bの厚さが増加しすぎる可能性があり、第1めっき層131b、132bにクラックが発生するおそれがある。
【0055】
第1めっき層131b、132bの厚さtbは300~2000nmであることができる。
【0056】
第1めっき層131b、132bの厚さtbが300nm未満の場合には、十分な表面粗さを確保することが難しくなる可能性がある。
【0057】
これに対し、2000nmを超えると、外部電極131、132が厚くなりすぎるようになり、単位体積当たりの容量が低下するおそれがある。
【0058】
第1めっき層131b、132bを形成する材料は、電極層131a、132aと導電性樹脂層131c、132cを電気的に連結することができる材料であれば特に制限されない。
【0059】
例えば、第1めっき層131b、132bは、Cu、Sn、Ni、及びこれらの合金からなる群より選択された1種以上を含むことができる。
【0060】
また、第1めっき層131b、132bに表面粗さを付与する方法は特に制限しない。
【0061】
例えば、第1めっき層131b、132bに表面粗さを付与するために、物理的加工法を用いてもよく、異方性エッチングのような化学的加工法を用いてもよい。
【0062】
また、酸化物を形成させて第1めっき層131b、132bに表面粗さを付与したり、又はめっき工程の条件を変更してラフにめっきして、表面粗さを付与することもできる。
【0063】
一実施形態において、第1めっき層131b、132bは、上記表面粗さを有する領域にCu2Oを含むことができる。
【0064】
表面粗さを付与するために酸化物を形成させる方法として、ブラック酸化(black oxide)を用いる場合、第1めっき層131b、132bは、上記表面粗さを有する領域にCu2Oを含むことができ、凹凸の先端が丸く、凹凸の長さが短い形状に表面粗さが形成されることができる。
【0065】
一実施形態において、第1めっき層131b、132bは、上記表面粗さを有する領域にCuOを含むことができる。
【0066】
表面粗さを付与するために酸化物を形成させる方法として、ブラウン酸化(brown oxide)を用いる場合、第1めっき層131b、132bは、上記表面粗さを有する領域にCuOを含むことができ、凹凸の先端が鋭く、凹凸のサイズが大きい形状に表面粗さが形成されることができる。
【0067】
図5は本発明の他の一実施形態による
図2のA領域の拡大図である。
【0068】
図5を参照すると、第1めっき層131b'は、導電性樹脂層131cとの界面にSnを含む金属間化合物層131b2が配置されることができる。
【0069】
第1めっき層131b'をSnで形成する場合には、Snの融点が低いため、導電性樹脂層131cとの界面において導電性樹脂層131cに含まれる金属成分とSnが結合して金属間化合物層131b2を形成することができる。これにより、第1めっき層131b'と導電性樹脂層131cの間の電気的連結性をさらに向上させることができる。
【0070】
したがって、本発明の他の一実施形態によると、第1めっき層131b'は、電極層上に配置されるSnを含む層131b1と、Snを含む層131b1上に配置されるSnを含む金属間化合物層131b2と、を含むことができる。
【0071】
電極層131a、132aは、導電性金属とガラスを含むことができる。
【0072】
電極層131a、132aに用いられる導電性金属は、静電容量を形成するために上記内部電極と電気的に連結されることができる材料であれば特に制限されず、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、及びこれらの合金からなる群より選択された1つ以上であることができる。
【0073】
上記電極層131a、132aは、上記導電性金属粉末にガラスフリットを添加して設けられた導電性ペーストを塗布した後、焼成することにより形成することができる。
【0074】
一方、本発明の一実施形態によると、電極層131a、132aがCuとガラスを含み、第1めっき層131b、132bがCuめっき層であることができる。
【0075】
電極層131a、132aに含まれる導電性金属と第1めっき層131b、132bに含まれる金属をCuに同一にすることで接合力及び電気的連結性を向上させることができる。Cuめっき層の場合、上述した様々な方法を介して表面粗さを付与することができるため、本発明による物理的結合力及び電気的連結性の向上効果をさらに増加させることができる。
【0076】
導電性樹脂層131c、132cは、導電性金属とベース樹脂を含む。
【0077】
導電性樹脂層131c、132cに含まれる導電性金属は、第1めっき層131b、132bと電気的に連結されるようにする役割を果たす。
【0078】
導電性樹脂層131c、132cに含まれる導電性金属は、第1めっき層131b、132bと電気的に連結されることができる材料であれば特に制限されず、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、及びこれらの合金からなる群より選択された1つ以上を含むことができる。
【0079】
導電性樹脂層131c、132cに含まれる導電性金属は、球状粉末及びフレーク状粉末のうち1以上を含むことができる。すなわち、導電性金属は、フレーク状粉末のみからなくてもよく、又は球状粉末のみからなくてもよい。あるいは、フレーク状粉末と球状粉末が混合された形であることもできる。
【0080】
ここで、球状粉末は、完全な球形ではない形も含むことができる。一例として、長軸と短軸の長さの比(長軸/短軸)が1.45以下である形を含むことができる。
【0081】
フレーク状粉末は、長く平らな形を有する粉末を意味し、特に制限されるものではないが、例えば、長軸と短軸の長さの比(長軸/短軸)が1.95以上であることができる。
【0082】
上記球状粉末及びフレーク状粉末の長軸と短軸の長さは、積層型電子部品の幅Y方向の中央部で切断したX及びZ方向の断面(L-T断面)を走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)でスキャンして得られたイメージから測定することができる。
【0083】
導電性樹脂層131b、132bに含まれるベース樹脂は、接合性を確保し、衝撃吸収の役割を果たす。
【0084】
導電性樹脂層131b、132bに含まれるベース樹脂は、接合性及び衝撃吸収性を有し、導電性金属粉末と混合してペーストを製造することができるものであれば特に制限されない。ベース樹脂は、例えば、エポキシ系樹脂を含むことができる。
【0085】
また、導電性樹脂層131c、132cは、導電性金属、金属間化合物、及びベース樹脂を含むことができる。
【0086】
外部電極131、132は、上記第3及び第4面3、4にそれぞれ配置される第1及び第2外部電極131、132を含むことができる。
【0087】
第1外部電極131は、上記本体の第3面に配置される接続部と、上記接続部から上記第1及び第2面の一部まで延長されるバンド部と、を含むことができる。同様に、第2外部電極132は、上記本体の第4面に配置される接続部と、上記接続部から上記第1及び第2面の一部まで延長されるバンド部と、を含むことができる。
【0088】
この際、上記バンド部は、第1及び第2面1、2の一部だけでなく、接続部から第5及び第6面5、6の一部までも延長されることができる。
【0089】
一方、外部電極131、132は、実装特性を向上させるために、上記導電性樹脂層131c、132c上に配置された第2めっき層をさらに含むことができる。
【0090】
例えば、第2めっき層は、Niめっき層又はSnめっき層であることができる。また、導電性樹脂層131c、132c上にNiめっき層とSnめっき層が順に形成された形であってもよく、複数のNiめっき層及び/又は複数のSnめっき層を含んでもよい。
【0091】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0092】
100 積層型電子部品
110 本体
121、122 第1及び第2内部電極
111 誘電体層
112、113 カバー部
131、132 第1及び第2外部電極
131a、132a 電極層
131b、132b 第1めっき層
131c、132c 導電性樹脂層