(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】改善された流動性を示す、リボフラビンを含有する薬剤
(51)【国際特許分類】
A61K 47/22 20060101AFI20240228BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20240228BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240228BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20240228BHJP
A61K 31/164 20060101ALI20240228BHJP
A61K 31/40 20060101ALI20240228BHJP
A61K 31/44 20060101ALI20240228BHJP
A61K 31/5415 20060101ALI20240228BHJP
A61P 3/14 20060101ALI20240228BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
A61K47/22
A61K9/14
A61K9/20
A61K9/48
A61K31/164
A61K31/40
A61K31/44
A61K31/5415
A61P3/14
A61P9/12
(21)【出願番号】P 2021521038
(86)(22)【出願日】2019-10-09
(86)【国際出願番号】 EP2019077270
(87)【国際公開番号】W WO2020094319
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2022-09-28
(32)【優先日】2018-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2018-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1, NL-6411 TE Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】ノヴォトニー, マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ミシク, ズドラヴカ
【審査官】愛清 哲
(56)【参考文献】
【文献】特表平11-504907(JP,A)
【文献】特表平05-501397(JP,A)
【文献】特開昭63-165318(JP,A)
【文献】国際公開第2005/107759(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 47/00-47/69
A61K 9/00- 9/72
A61K 31/00-31/80
A61P 3/00- 3/14
A61P 9/00- 9/14
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)顕微鏡下で観察した場合の板状の結晶を少なくとも50
体積%、
又は、粒径及び粒子形状の解析機器によって測定した場合の球体及び不規則な球体を少なくとも50体積%含む活性成分;及び
b)噴霧乾燥したリボフラビン
を含む組成物
であって、
前記活性成分がアムロジピン、フェロジピン、ヒドロクロロチアジド、エナラプリル及びアテノロール並びにこれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される、組成物。
【請求項2】
前記活性成分と前記噴霧乾燥したリボフラビンとの間の重量比が10:1~1:10である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記活性成分が降圧剤である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記降圧剤がカルシウムチャネル遮断薬である、請求項
3に記載の組成物。
【請求項5】
アムロジピン又はアムロジピンベシル酸塩である、請求項
1~4
のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
錠剤、カプセル剤、又は粉末剤の形態である、請求項1
~5のいずれか一項に記載の組成物を含む経口製剤。
【請求項7】
a)活性成分を、噴霧乾燥したリボフラビンと混合して、活性成分及び噴霧乾燥したリボフラビンを含む組成物を得るステップ、
b)ステップa)の組成物の流速を決定するステップ、及び
c)ステップa)の組成物の流速を、リボフラビンが存在しない活性成分の流速と比較して、流動性が改善されているかどうかを判定するステップ
を含む、活性成分の流動性を改善する方法
であって、
前記活性成分がアムロジピン、フェロジピン、ヒドロクロロチアジド、エナラプリル及びアテノロール並びにこれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される、方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、リボフラビンと組み合わされた、板状の結晶から構成される活性成分を含む組成物を対象とする。板状の結晶を有する組成物は流動性が損なわれており、このため、最終錠剤又は薬剤に適した他の形態に製剤化することが困難な場合がある。噴霧乾燥したリボフラビンは、これらの活性成分に添加された場合、活性成分の流動性を増加させることができる。
【0002】
[発明の背景]
生物学的活性を有する成分は、その生物学的活性により、医薬品又は栄養補助食品として適するのであるが、その多くが結晶形で存在する。結晶は、物質の化学組成及び使用される精製又は結晶化の方法により、多くの形状をとり得る。結晶が板様の形状に、即ち略矩形で平らに構成されている場合、結晶はくっつき合う可能性があり、このため、加工する場合に困難が生じる。
【0003】
多くの医薬化合物が、高血圧症を治療することで知られており、種々のクラスに分類される。これらには以下が含まれる。
1)アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬。これは血管を収縮させるホルモンであるアンジオテンシンの形成を妨げることで作用する。このクラスには、市販の薬物、例えば、エナラプリル、リシノプリル、ラミプリル、ペリンドプリル及びカプトプリルなどが含まれる。
2)アンジオテンシンII受容体遮断薬(ARB)。これはアンジオテンシンの作用を遮断することで機能するが、その形成は遮断しない。このクラスの市販の薬物の例としては、バルサルタン及びロサルタン他が挙げられる。
3)ベータ遮断薬、ベータアドレナリン遮断薬ともいう。これはホルモンであるエピネフリン(アドレナリン)の効果を遮断することで機能し、その結果、心臓の拍動をより遅く、その力をより弱くする。ベータ遮断薬の例としては、メトプロロール、ナドロール、アテノロール及びカルベジロールが挙げられる。
4)レニン阻害薬。これは、血圧の上昇に至る経路に関与する酵素であるレニンの産生を緩慢にする。これにはアリスキレンが含まれる。
5)カルシウムチャネル遮断薬は、心臓及び血管壁の細胞へのカルシウムの移動を緩慢にし、心臓がポンプ作用して血管を広げるのをより容易にする。例としては、アムロジピン、ジルチアゼム、フェロジピン、イスラジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニソルジピン、アゼルニジピン及びベラパミルが挙げられる。
6)利尿薬-これは、腎臓が過剰な水を排泄するのを助けることで作用し、血管中に流体が少なくなり、このため、圧力を減少させ、心臓がポンプ作用するのをより容易にする。例としては、ヒドロクロロチアジド、クロロチアジド、インダパミド及びメトラゾンが挙げられる。
【0004】
これらの薬剤の錠剤、カプセル剤、及び/又は他の経口剤形の製造における問題の1つは、それらの成分は流動性が良好でないことが多く、そのため、製造が困難な場合があることである。流動性が不十分な場合、活性成分が最終製品の全体に均質に分布していないということが起こり得る。この問題の1つの解決法は、種々の流動促進剤/及び又は他のタイプの添加剤、例えば、SiO2、ケイ酸マグネシウム又はタルクなどを添加して、流動性を改善することである。しかしながら、これらの添加剤を以てしても、均質性は保証されない場合がある。
【0005】
欧州特許第0272336号明細書及び米国特許第1904699号明細書は、ポリエチレングリコール中に埋封されたニフェジピン(カルシウム拮抗薬)、及びニフェジピンを基準にして0.5~20重量%のビタミンB2、及び少なくとも1種の界面活性成分について記載している。ビタミンB2は、UV光からの保護、及びニフェジピンの溶解性を付与するために存在する。噴霧乾燥したリボフラビンを使用して流動性を改善するという教示はない。
【0006】
欧州特許第1048668号明細書(エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社(Hoffmann La Roche))は、噴霧乾燥したリボフラビンを調製するプロセスを開示している。
【0007】
米国特許第5300303号明細書(BASF)もまた、結合剤を用いずにリボフラビンの顆粒を調製するプロセスを開示している。
【0008】
Shaikhら、2007、Asian J Pharmaceutics 1(1):124-128は、溶解性が改善されたアムロジピンベシル酸塩の製剤を教示している。
【0009】
流動性を有する粉末でもある降圧薬剤を得ることは望ましいであろう。
[発明の詳細な説明]
【0010】
本発明によれば、結晶構造の活性成分と噴霧乾燥したリボフラビンとの組合せを含む組成物は、活性成分を含むがリボフラビンが存在しない組成物と比較して、流動性が増加していることが見出された。
【0011】
一実施形態では、活性成分は、顕微鏡下で観察した場合の板状の結晶を含み、当該活性成分は、粒径及び粒子形状の解析機器、例えば、Malvern Morpho G3機器(光学顕微鏡法と数学アルゴリズムとを組み合わせて、試料中の粒子の3次元形状及びその体積の両方を決定する)によって測定した場合の球体及び不規則な球体を、少なくとも50体積%含む。さらに、リボフラビンは、顕微鏡下で観察した場合の形状において略球状である、噴霧乾燥したリボフラビン製剤であることが好ましい。
【0012】
特定の好ましい実施形態では、結晶は、顕微鏡下で観察した場合の板状の結晶を含む降圧活性成分であり、当該活性成分は、粒径及び粒子形状の解析機器、例えば、Malvern Morpho G3機器(光学顕微鏡法と数学アルゴリズムとを組み合わせて、試料中の粒子の3次元形状及びその体積の両方を決定する)によって測定した場合の球体及び不規則な球体を、少なくとも50体積%含む。
【0013】
理論に縛られることを望むものではないが、流動性が損なわれていることは、種々の粒径の降圧活性成分の晶癖及び体積に起因する可能性があると考えられる。多くの活性成分が、その生理活性にかかわらず結晶形で存在することが、当技術分野において知られている。結晶の「癖」と呼ばれるその形状は、製造及び製剤のプロセスに重要な結晶の性質の多くを決定することができる。晶癖は、結晶化プロセス中に使用される方法及び条件によって決まる。したがって、1つの活性成分が、その製造プロセスに依存して、1つより多い晶癖を示す場合がある。
【0014】
板状タイプの晶癖は、結晶が略同じ長さ及び幅を有するが、その高さがその長さ又は幅よりかなり小さい場合の晶癖と説明される。この形状が、製剤及び打錠に困難をもたらすと考えられる。活性成分の結晶サイズはばらつきがあり得る。例えば、1つの降圧剤であるアムロジピンベシル酸塩は、d(0.1)10μm、d(0.5)150μm及びd(0.9)500μmのサイズ分布範囲を有する。
【0015】
多くの活性成分が、板状の結晶構造の形態を有していることが知られている。晶癖は、(薬物の生物学的活性に基づいた)特定のクラスの薬物に限定されるものではない。板状の結晶形を有することができる多種多様な活性成分の例としては、以下が挙げられる。
アスピリン(アセチルサリチル酸)、例えば、Jainら、2017、Eur J Pharma Sci 99:318-327を参照されたい。
アルテテル、抗マラリア薬物;例えば、Chadaら、2011、Acta Pharma Sinica B1(2):129-135を参照されたい。
エリスロマイシン、抗生物質;例えば、Mirzaら、2009、AAP PharmSCiTech 19(1)113-119を参照されたい。
シンバスタチン、抗コレステロール薬物;例えば、Bukovecら、Pharmazie71:263-268を参照されたい。
アムロジピン(
図1を参照されたい)を含む種々の降圧剤。
【0016】
Malvern Morpho G3などの機器は、画像解析を使用して、試料の粒径及び形状を決定する。解析技術は「画像解析」に基づいており、3次元の粒子の2次元画像が取得され、2D画像からの種々のサイズ及び形状のパラメーターが計算される。この方法は、粒子を、「球体」、「不規則な球体」、「棒」又は「未分類」として分類することができる。顕微鏡下で略板状のように見える結晶粒子は、この機器により、「不規則な球体」又は「未分類」として検出されることになる。
【0017】
本発明によれば、略球状の噴霧乾燥したリボフラビンの形状は、板状の結晶の流動性を意外にも改善することが見出された。好ましい実施形態では、(Malvern Morpho G3について説明されたような画像解析によって決定されたとおりの)球体及び不規則な球体の体積パーセンテージの合計は、少なくとも50%である。50%未満のパーセンテージでは、板状の結晶にリボフラビンを添加しても、その流動性を大きく改善はしない場合がある。噴霧乾燥したリボフラビン粒子は、レーザー回折を0.1barの圧力で(例えばMalvern Mastersizer 2000)使用して測定した場合、好ましくはd(0.1)30μm、d(0.5)80μm及びd(0.9)150μmのサイズの分布範囲を有する。
【0018】
或いは、上記の粒径及び形状測定器がない場合、リボフラビンの添加の前後で流動性の速度を比較することによって試験して、活性成分が少なくとも50体積%の球体及び不規則な球体を含有するかどうかを調べることができる。リボフラビンの添加によって流速が改善された場合、活性成分は、少なくとも50体積%の球体及び不規則な球体を含んでいる。
【0019】
他の試験では、活性成分を顕微鏡下で検査して、板状の結晶が観察され得るかどうかを判定することができる。観察された場合、噴霧乾燥したリボフラビンの存在下及び非存在下で、活性成分の流動性の速度を決定することができる。リボフラビンの存在下で流動性が改善された場合、活性成分は、少なくとも50体積%の球体及び不規則な球体を含んでいると考えることができる。
【0020】
したがって、本発明の別の態様は、
a)活性成分を、噴霧乾燥したリボフラビンと混合して、活性成分及び噴霧乾燥したリボフラビンを含む組成物を得るステップ、
b)ステップa)の組成物の流速を決定するステップ、及び
c)ステップa)の組成物の流速を、リボフラビンが存在しない活性成分の流速と比較して、流動性が改善されているかどうかを判定するステップ
を含む、活性成分の流動性を改善する方法である。
【0021】
したがって、本発明の別の態様は、
a)降圧剤を、噴霧乾燥したリボフラビンと混合して、降圧剤及び噴霧乾燥したリボフラビンを含む組成物を得るステップ、
b)ステップa)の組成物の流速を決定するステップ、及び
c)ステップa)の組成物の流速を、リボフラビンが存在しない降圧剤の流速と比較して、流動性が改善されているかどうかを判定するステップ
を含む、降圧剤の流動性を改善する方法である。
【0022】
流動性は、任意の標準的な方法によって決定することができる。
【0023】
上記の結晶のサイズ分布及び噴霧乾燥したリボフラビンの粒径分布は両方とも、Malvern Mastersizer 2000(ウースターシャー(Worcestershire)、英国)を使用して解析した。Malvern Mastersizerは、静的光散乱(SLS)の原理を使用して、試料中の粒度を計算する。測定は、0.1barの圧力を使用して、三重反復で行った。
【0024】
降圧活性成分は、カルシウムチャネル遮断薬と呼ばれる降圧成分のクラスから選択することができる。より好ましくは、降圧活性成分は、アムロジピン、ジルチアゼム、フェロジピン、イラジピン(iradipine)、ニカルジピン、ニフェジピン、ニソルジピン、レルカニジピン、ニトレンジピン、アゼルニジピン、ベラパミル及びこれらの薬学的に許容される塩、上述のカルシウムチャネル遮断薬からなる群から選択される。別の実施形態では、降圧活性成分は、ヒドロクロロチアジドなどの利尿薬である。別の実施形態では、降圧活性成分はエナラプリルである。別の実施形態では、降圧活性成分はアテノロールである。
【0025】
一部の好ましい実施形態では、降圧活性成分は、アムロジピン、フェロジピン、ヒドロクロロチアジド、エナラプリル又はアテノロールである。一部の好ましい実施形態では、降圧活性成分はアムロジピンベシル酸塩である。アムロジピンは、ISTIN及びAMLOSTIN、及びノルバスク(NORVASC)の商品名で市販されている。
【0026】
本組合せに使用されるリボフラビンは、好ましくはリボフラビンの噴霧乾燥した製剤である。より好ましい実施形態では、それは
図2に示されているような略球状の形状を有する。そのような1つの製剤は、リボフラビンユニバーサル(RIBOFLAVIN UNIVERSAL)という商標で販売されており、DSMニュートリショナル・プロダクツ(DSM Nutritional Products)、スイスから入手可能である。好ましい実施形態では、リボフラビンは、医薬製品に使用するための規制認可に適切であると考えられる条件下で製造される。
【0027】
本発明によるリボフラビンと降圧活性成分との比は、通常、噴霧乾燥したリボフラビン及び降圧活性成分の重量パーセントに基づいて、1:10~10:1である。驚くべきことに、発明者らは、全ての比においてリボフラビンが流動性を改善する一方で、リボフラビンより多い降圧製品が最良の流動性を有する一部の比が存在することを発見した。好ましくは、リボフラビンと降圧活性成分との比は1:5~5:1の範囲である。一部の好ましい実施形態では、比は1:1である。別の好ましい実施形態では、比は1:4である。
【0028】
[投与量]
活性成分は、その目的とする使用について当技術分野において公知の投与量で使用される。
【0029】
降圧活性成分は、当技術分野において公知の投与量で付与されるべきである。例えばアムロジピンは、一般に、2.5mg、5mg及び10mgの活性を含有する錠剤形態で入手可能である。したがって、リボフラビンの量は、それに合うように上記の比を使用して計算され、よって、2.5mgのアムロジピンの場合、リボフラビンの量は0.5~12.5mgとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】アムロジピンベシル酸塩の結晶(カルシウムチャネル遮断薬)の電子顕微鏡写真である(倍率200×)。
【
図2】噴霧乾燥したリボフラビンの電子顕微鏡写真、倍率200×である。
【
図3A】カルシウムチャネル遮断薬の結晶の電子顕微鏡写真である。
図3Aはジルチアゼムである。倍率200×である。
【
図3B】カルシウムチャネル遮断薬の結晶の電子顕微鏡写真である。
図3Bはフェロジピンである。倍率200×である。
【
図4A】カルシウムチャネル遮断薬の結晶の電子顕微鏡写真である。
図4Aはニフェジピンである。倍率200×。
【
図4b】カルシウムチャネル遮断薬の結晶の電子顕微鏡写真である。
図4bはレルカニジピンである。倍率200×。
【
図5a】結晶の電子顕微鏡写真である。
図5aはインダパミド(利尿薬)である。倍率200×である。
【
図5b】結晶の電子顕微鏡写真である。
図5bはニトレンジピン(カルシウムチャネル遮断薬)である。倍率200×である。
【
図6】ベラパミル塩酸塩(カルシウムチャネル遮断薬)の電子顕微鏡写真である。倍率200×である。
【
図7】ベータ遮断薬アテノロールの電子顕微鏡写真である。
【0031】
本発明の、アムロジピン又は薬学的に許容される塩などの降圧剤及び噴霧乾燥したリボフラビンの組成物は、任意のタイプの経口製剤に製剤化することができる。好ましい製剤には、既知の方法及び既知の製剤添加剤を使用する、錠剤及びカプセル剤などが含まれる。
【0032】
結晶構造の降圧剤を含む組成物は、結晶構造の降圧剤と噴霧乾燥したリボフラビンとを単純に混合することによって製造することができる。一部の実施形態では、板状の結晶構造の癖を有するアムロジピンが、噴霧乾燥したリボフラビンと混合される。
【0033】
以下の非限定的な実施例は、本発明をより詳細に説明するために提示される。
【0034】
[実施例]
[実施例1]
[方法]
[走査型電子顕微鏡法(SEM)]
試験した材料の形態を、走査型電子顕微鏡(TM3030、株式会社日立ハイテク、東京、日本)を倍率200で使用して解析した。
【0035】
[流動性]
Pharmatest PTG-S4自動粉末特性評価機器(Pharma Test Apparatebau AG、ハンブルク(Hamburg)、ドイツ)を用いて、粉末流動性を決定した。このシステムは、現在の欧州薬局方(EP pharmacopoeia)<2.9.36/17>及び米国薬局方(USP pharmacopoeia)<1174>、並びに国際標準化機構(ISO)の国際規格4324に従って、顆粒及び粉末の流動挙動を測定する。
【0036】
質量流量(g/分)を、オリフィスからの流出速度測定法によって決定した。流速は、ある特定量の粉末(10g)が種々の直径のオリフィスから流出するのに要する時間として解釈される。易流動性の粉末は、直径5、7、9及び10mmの全部から流出することができるものとする。流速vs.オリフィスの直径のプロットは流動曲線と呼ばれる。3回の平行測定を実行して流速を決定した。結果を表1に示す。
【0037】
【0038】
[実施例2]
実施例1で概要を述べたものと同じ方法に従って、利尿薬であるヒドロクロロチアジドの流動性を、噴霧乾燥したリボフラビンを添加して、及び添加せずに測定した。結果を下の表2に示す。
【0039】
【0040】
[実施例3]
実施例1で概要を述べたものと同じ方法に従って、ACE阻害薬であるエナラプリルの流動性を、噴霧乾燥したリボフラビンを添加して、及び添加せずに測定した。結果を下の表3に示す。
【0041】
【0042】
[実施例4]
実施例1で概要を述べたものと同じ方法に従って、ベータ遮断薬であるアテノロールの流動性を、噴霧乾燥したリボフラビンを添加して、及び添加せずに測定した。結果を下の表4に示す。
【0043】
【0044】
[実施例5]
[比較例]
上記の実施例1、2、3及び4に記載の方法を使用して、種々の降圧薬物の結晶をリボフラビンと混合した。結果を下に示す。
【0045】
【0046】
[実施例6]
改善された流動性を示した実施例5の化合物を、粒径についてMalvern Morpho G3機器を使用してさらに検査した。「Vol.M.M」は、試料体積の大部分を占める粒子のサイズを反映している。粒径を測定した。結果を下に示す。
d(0.1)は全粒子の10%の直径を表し、d(0.5)は全粒子の50%の直径であり、d(0.9)は試料中の粒子の90%の直径を表す。
【0047】
[アムロジピンベシル酸塩]
d(0.1)=25μm
d(0.5)=72μm
d(0.9)=163μm
Vol.M.M d(4,3):87μm
【0048】
[フェロジピン]
d(0.1)=147μm
d(0.5)=320μm
d(0.9)=478μm
Vol.M.M d(4,3):325μm
【0049】
[ヒドロクロルチアジド(Hydrochlortiazide)]
d(0.1)=123μm
d(0.5)=319μm
d(0.9)=551μm
Vol.M.M.d(4.3):337μm
【0050】
[エナラプリル]
d(0.1)=32μm
d(0.5)=129μm
d(0.9)=304μm
Vol.M.M.d(4,3):157μm
【0051】
[アテノロール]
d(0.1)=36μm
d(0.5)=100μm
d(0.9)=218μm
Vol.M.M d(4,3):117μm
【0052】
[リボフラビンユニバーサル]
d(0.1)=44μm
d(0.5)=93μm
d(0.9)=172μm
Vol.M.M d(4,3):106μm
【0053】
結果:球体/不規則な球体の合計のパーセンテージが少なくとも50%である化合物の全てが、改善された流動性を示した。アムロジピンは60%、フェロジピンは65%、ヒドロクロロチアジドは74%、エナラプリルは78%、及びアテノロールは53%であった。リボフラビンユニバーサルは95%であった。一方、球体/不規則な球体の合計のパーセンテージが50%未満であった場合、リボフラビンは流動性を改善しなかった。これは、ジルチアゼム32%、ニトレンジピン31%、インダパミンド(Indapaminde)13%及びバルサルタン39%について観察された。