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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】定着装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
G03G15/20 515
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019158386
(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公開番号】P2021039148
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】上原 雅和
(72)【発明者】
【氏名】高橋 裕徳
(72)【発明者】
【氏名】綿谷 友宏
(72)【発明者】
【氏名】酒井 雄大
(72)【発明者】
【氏名】中元 史人
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-185328(JP,A)
【文献】特開2016-035555(JP,A)
【文献】特開2004-281286(JP,A)
【文献】特開2012-252186(JP,A)
【文献】特開2003-316180(JP,A)
【文献】特開2007-079507(JP,A)
【文献】特開平11-231695(JP,A)
【文献】特開平10-247026(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0161497(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/20
15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状の定着ベルトと、
前記定着ベルトの内周面と対向する加熱部と、
前記定着ベルトの両方の端部を回転可能に保持するベルト保持部と
を備え、
前記加熱部は、
前記定着ベルトを加熱するヒーターと、
前記ヒーターを保持するヒーター保持部材と
を有し、
前記ヒーター保持部材は、
本体部と、
前記定着ベルトの形状を規制する複数の突条と
を有し、
前記複数の突条の各々は、前記本体部から突出し、
前記複数の突条は、
前記本体部のうち、前記定着ベルトの両端部が対向する第1方向の中央部に配置される複数の第1突条と、
前記本体部のうち、前記中央部とは異なる位置に配置される複数の第2突条と
を含み、
前記ベルト保持部は、前記定着ベルトの前記内周面と接触する接触部を有し、
前記複数の第2突条は、
前記本体部のうち、前記定着ベルトの幅方向の少なくとも一方の端部に配置される複数の第3突条と、
前記本体部のうち、前記複数の第3突条とは異なる複数の第4突条と
を含み、
前記複数の第3突条は、第1間隔を開けて配置され、
前記複数の第4突条は、第2間隔を開けて配置され、
前記第1間隔は、前記第2間隔よりも小さくされ、
(a)前記第1方向に直交し、前記ヒーターのヒーター面に平行な第2方向において、前記接触部の最大幅は、前記ヒーター保持部材の中央部のうち前記複数の第1突条が配置された領域の最大幅を示す第1最大幅と同一であり、かつ前記第1最大幅は、前記ヒーター保持部材のうち、前記複数の第2突条が配置された領域の最大幅を示す第2最大幅以上である、又は
(b)前記第2方向において、前記接触部の最大幅は、前記第1最大幅より広く、かつ前記第1最大幅は、前記第2最大幅よりも広い、定着装置。
【請求項2】
前記複数の第2突条は、
前記本体部のうち、前記定着ベルトの幅方向の両方の端部に配置される前記複数の第3突条と、
前記本体部のうち、前記複数の第3突条とは異なる前記複数の第4突条と
を含む、請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記ヒーターが面状ヒーターである、請求項1または請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の定着装置と、
記録媒体にトナー像を形成する画像形成部と
を備え、
前記定着装置は、前記トナー像を前記記録媒体に定着させる、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、トナー像を用紙に定着する定着装置を備える。定着装置は、定着アセンブリと、加圧ローラーとを有する。加圧ローラーは、定着アセンブリを押圧して定着ニップ部を形成する。
【0003】
特許文献1に記載の定着アセンブリは、定着フィルムと、ヒーターと、断熱ホルダーと、金属ステーとを有する。定着フィルムは、筒状である。定着フィルムは、加圧ローラーの回転駆動に伴って従動回転する。ヒーターは、定着フィルムの内面に接触して、定着フィルムを加熱する。断熱ホルダーは、ヒーターを保持する。金属ステーは、断熱ホルダーを加圧ローラーに抗して押圧する。特許文献1に記載の断熱ホルダーは、複数のリブを有する。複数のリブの各々は、定着フィルムの幅方向に直交する方向において、断熱ホルダーの側壁から突出している。複数のリブは、定着フィルムの幅方向に沿って等間隔で配置されている。複数のリブの各々の高さは同一である。リブの高さは、定着フィルムの幅方向に直交する方向において、複数のリブの各々の断熱ホルダーの側壁から突出する長さを示す。リブは、定着フィルムが回転する際に、定着フィルムの形状を維持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-97143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、定着フィルムの内側に配置される部材の形状を最適にしないと、定着フィルムの幅方向の中央部が凹むことがある。定着フィルムの幅方向の中央部の凹みが大きいと、この凹みに起因して、定着フィルムに亀裂が発生するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、定着ベルトが凹みにくい定着装置、及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る定着装置は、定着ベルトと、加熱部と、ベルト保持部とを備える。前記定着ベルトは、無端状である。前記加熱部は、前記定着ベルトの内周面と対向する。前記ベルト保持部は、前記定着ベルトの両方の端部を回転可能に保持する。前記加熱部は、ヒーターと、ヒーター保持部材とを有する。前記ヒーターは、前記定着ベルトを加熱する。前記ヒーター保持部材は、前記ヒーターを保持する。前記ヒーター保持部材は、本体部と、複数の突条とを有する。前記複数の突条は、前記定着ベルトの形状を規制する。前記複数の突条の各々は、前記本体部から突出する。前記複数の突条は、複数の第1突条と、複数の第2突条とを含む。前記複数の第1突条は、前記本体部のうち、前記定着ベルトの両端部が対向する第1方向の中央部に配置される。前記複数の第2突条は、前記本体部のうち、前記中央部とは異なる位置に配置される。前記ベルト保持部は、前記定着ベルトと接触する接触部を有する。前記定着装置は、(a)又は(b)を満たす。前記(a)は、前記第1方向に直交する第2方向において、前記接触部の最大幅が、第1最大幅と同一であり、かつ前記第1最大幅が、第2最大幅以上であることを示す。前記第1最大幅は、前記ヒーター保持部材の中央部の最大幅を示す。前記第2最大幅は、前記ヒーター保持部材のうち、前記複数の第2突条が配置された領域の最大幅を示す。前記(b)は、前記第2方向において、前記接触部の最大幅が、前記第1最大幅より広く、かつ前記第1最大幅が、前記第2最大幅よりも広いことを示す。
【0008】
本発明に係る画像形成装置は、前記定着装置と、画像形成部とを備える。前記画像形成部は、記録媒体にトナー像を形成する。前記定着装置は、前記トナー像を前記記録媒体に定着させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の定着装置及び画像形成装置によれば、定着ベルトが凹みにくい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る定着装置の要部を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る定着装置を示す分解斜視図である。
図4図2の切断線IVで切断した断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る一対のベルト保持部の斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係るヒーター保持部材及びベルト保持部の斜視図である。
図7】本発明の実施形態に係るヒーター保持部材及びベルト保持部の上面図である。
図8図7中の領域Rの拡大図である。
図9】(a)は、図7の切断線IXAで切断した断面図である。(b)は、図7の切断線IXBで切断した断面図である。(c)は、図7の切断線IXCで切断した断面図である。
図10】(a)は、図2の切断線XAで切断した部分断面図である。(b)は、定着装置の静止状態において、ヒーター保持部材のY軸方向の中央部における本発明の実施形態に係る突条と、定着ベルトとの部分断面図である。
図11】(a)は、定着装置の駆動状態において、ヒーター保持部材のY軸方向の中央部における本発明の実施形態に係る突条と、定着ベルトとの部分断面図である。(b)は、定着装置の駆動状態において、ヒーター保持部材のY軸方向の中央部における比較例の突条と、定着ベルトとの中央部の部分断面図である。
図12】(a)は、ヒーター保持部材の第1端部をZ軸正側から見た拡大図である。(b)は、ヒーター保持部材の第1端部をX軸負側から見た図である。
図13】(a)は、ヒーター保持部材の第2端部側から定着ベルトがヒーター保持部材に挿入されている状態を示す断面図である。(b)は、定着ベルトがヒーター保持部材に挿入された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、本実施形態では、図中に、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を示す。Z軸は鉛直面に平行であり、X軸及びY軸は水平面に平行である。
【0012】
図1を参照して、本発明の実施形態に係る画像形成装置100について説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置100を示す図である。画像形成装置100は、例えば、複写機、ファクシミリ、又はこれらの機能を兼ね備えた複合機である。本実施形態では、画像形成装置100はモノクロ複合機である。
【0013】
図1に示すように、画像形成装置100は、読取部3と、原稿搬送部4と、給紙部5と、搬送部6と、画像形成部2と、定着装置1と、排出部7とを備える。
【0014】
読取部3は、原稿Dの画像を読み取る。読取部3は、読み取った画像から画像データを生成する。原稿搬送部4は、原稿Dを読取部3に搬送する。給紙部5は、複数の用紙Pを収容する。給紙部5は、搬送部6へ用紙Pを給送する。用紙Pは、例えば、紙製又は合成樹脂製である。用紙Pは、記録媒体の一例である。搬送部6は、複数の搬送ローラー対を含む。搬送部6は、画像形成部2を経由して排出部7まで用紙Pを搬送する。
【0015】
画像形成部2は、画像データに基づいて、電子写真方式によって用紙Pにトナー像を形成する。画像データは、例えば、原稿Dの画像を示す。画像形成部2は、例えば、感光体ドラムと、帯電装置と、露光装置と、現像装置と、補給装置と、転写ローラーと、クリーニング装置と、除電装置とを有する。
【0016】
定着装置1は、トナー像を加熱及び加圧して、用紙Pにトナー像を定着させる。搬送部6は、トナー像の定着された用紙Pを排出部7に搬送する。排出部7は、画像形成装置100の筐体の外部に用紙Pを排出する。
【0017】
次に、図2図4を参照して、本実施形態の定着装置1の構成の詳細について説明する。図2は、本実施形態に係る定着装置1の要部を示す斜視図である。
【0018】
図2に示すように、定着装置1は、定着ベルト10と、加圧部材20と、加熱部30と、一対のベルト保持部60とを備える。
【0019】
定着ベルト10は、トナー像が転写された用紙Pを加熱する。定着ベルト10は、無端状である。定着ベルト10は、略円筒形状を有する。定着ベルト10は、可撓性を有する。定着ベルト10は、第1回転軸線L1を軸心として回転自在である。第1回転軸線L1と、Y軸とは平行である。定着ベルト10は、第1回転軸線L1に沿って延びる。
【0020】
第1方向DYを定義する。第1方向DYは、第1回転軸線L1の延びる方向DYを示す。以下、第1方向DYを「定着ベルト10の幅方向DY」と記載する場合がある。以下、第1方向DYの加熱部30が配置される側を「第1方向DYの一端側」とし、その反対側を「第1方向DYの他端側」と記載する場合がある。
【0021】
定着ベルト10は、複数の層を有する。定着ベルト10は、例えば、ポリイミド層と、離型層とを有する。離型層は、ポリイミド層の外周面上に形成される。離型層は、例えば、フッ素樹脂製の耐熱性フィルムである。
【0022】
定着ベルト10は、第1端部101及び第2端部102を有する。第1端部101は、定着ベルト10の第1方向DYの他端側の端部である。第2端部102は、定着ベルト10の第1方向DYの一端側の端部である。
【0023】
一対のベルト保持部60は、定着ベルト10を回転可能に保持する。詳しくは、一対のベルト保持部60は、第1保持部材61と、第2保持部材62とを有する。第1保持部材61は、定着ベルト10の第1端部101に装着される。第2保持部材62は、定着ベルト10の第2端部102に装着される。
【0024】
加圧部材20は、定着ベルト10とともに、トナー像が転写された用紙Pを加圧する。詳しくは、加圧部材20は略円柱状であって、定着ベルト10に対向して配置される。加圧部材20は、定着ベルト10に押圧される。換言すると、加圧部材20は、定着ベルト10を加圧する。加圧部材20は、例えば、加圧ローラーである。加圧部材20は、第1方向DYに沿って延びる。
【0025】
加圧部材20は、芯金21と、弾性層22と、離型層23とを有する。芯金21は、円柱状である。弾性層22は、芯金21上に形成される。弾性層22は、円筒状である。離型層23は、弾性層22の表面を覆うように形成される。芯金21は、第2回転軸線L2を軸心として回転自在である。第2回転軸線L2と第1回転軸線L1とは略平行である。芯金21の材質は、例えば、ステンレス又はアルミニウムである。弾性層22は、弾性を有する。弾性層22の材質は、例えば、シリコーンゴムである。離型層23の材質は、例えば、フッ素樹脂である。
【0026】
図3は、本実施形態に係る定着装置1を示す分解斜視図である。図3に示すように、加熱部30は、ヒーター31と、ヒーター保持部材32と、補強部材33と、複数の感熱体34と、複数のカバー部材37とを有する。
【0027】
ヒーター31は、定着ベルト10を加熱する。ヒーター31は、第1方向DYに沿って延びる。具体的には、ヒーター31は、ヒーター面310を有する。ヒーター面310は、面形状、又は細長薄板形状を有する。ヒーター31は、例えば、面状ヒーター、又は細長薄板状ヒーターである。ヒーター31は、例えば、セラミックヒーターである。セラミックヒーターは、セラミック基板と、抵抗発熱体とを有する。ヒーター31の厚さは、例えば、1mmである。
【0028】
第2方向DX及び第3方向DZを定義する。第2方向DXは、ヒーター31のヒーター面310に直交する方向を示す。第2方向DXと、X軸とは平行である。第2方向DXにおいて、加圧部材20が配置される側を「第2方向DXの一端側」と記載し、その反対側を「第2方向DXの他端側」と記載する場合がある。第3方向DZは、第1方向DY及び第2方向DXに直交する方向を示す。第3方向DZと、Z軸とは平行である。
【0029】
ヒーター保持部材32は、ヒーター31を保持する。ヒーター保持部材32は、例えば、耐熱樹脂製である。ヒーター保持部材32は、第1方向DYに沿って延びる。第1方向DYにおけるヒーター保持部材32の2つの端部のうちの定着ベルト10の第2端部102と近い側の端部は、例えば、画像形成装置100の本体に配置されるコネクターと直接的又は間接的に嵌合可能である。
【0030】
ヒーター保持部材32は、本体部321と、複数の突条320とを有する。複数の突条320は、定着装置1の駆動時において、定着ベルト10の形状を規制する。複数の突条320の各々は、本体部321から突出している。ヒーター保持部材32の詳細については、図6図8を参照して後述する。
【0031】
複数の感熱体34は、ヒーター31の熱を感知する。複数の感熱体34は、ヒーター31と対向する。複数の感熱体34の各々は、ヒーター保持部材32に配置される。例えば、感熱体34の中央部は、ヒーター保持部材32に形成された開口に挿入されて、ヒーター31と隣接する。複数の感熱体34は、第1感熱体34Aと、第2感熱体34Bとを含む。
【0032】
感熱体34は、サーモカット、サーモスタット、又はサーミスターを含む。サーモカットは、ワンショット型のサーモスタットのような保護素子である。サーモカットは、ヒーター31の温度が閾値以上である場合、ヒーター31への電力の供給を遮断する。サーモカットでは、一旦ヒーター31の温度に応じて電力の供給が遮断されると、電力の供給が復帰されない。サーモスタットは、ヒーター31の温度が閾値以上である場合、ヒーター31への電力の供給を遮断する。サーモスタットは、ヒーター31の温度が閾値未満である場合、ヒーター31への電力の供給を復帰させる。サーミスターは、ヒーター31の温度を計測する半導体素子である。画像形成装置100は、サーミスターの計測した温度に基づいてヒーター31を制御する。
【0033】
複数のカバー部材37は、感熱体34を介してヒーター保持部材32と対向する。詳細には、カバー部材37は、ヒーター31と、ヒーター保持部材32と、感熱体34とに、第2方向DXにおいて重なる。カバー部材37は、ヒーター31と、ヒーター保持部材32と、感熱体34とに、第2方向DXにおいて重なる。カバー部材37は、例えば、樹脂製の箱状部材であり、耐熱性を有する。複数のカバー部材37は、それぞれ、対応する感熱体34の少なくとも一部を覆う。複数のカバー部材37は、第1カバー部材37Aと、第2カバー部材37Bとを含む。具体的には、第1カバー部材37Aは、第1感熱体34Aの少なくとも一部を覆う。また、第2カバー部材37Bは、第2感熱体34Bの少なくとも一部を覆う。
【0034】
第2カバー部材37Bには、複数の付勢部材35が装着されている。付勢部材35は、例えば、コイルばねである。付勢部材35は、例えば、円筒形状、円錐形状、又は樽形状を有する。複数の付勢部材35は、第1方向DYに沿って配列される。1つの第2カバー部材37Bには、2つの付勢部材35が装着されている。2つの付勢部材35は、第2カバー部材37Bを介して第2感熱体34Bを付勢する。
【0035】
補強部材33は、ヒーター保持部材32を補強する。補強部材33は、例えば、細長状の金属製ステー部材である。補強部材33は、第1方向DYに沿った方向からの断面視において、略逆U字形状を有する。補強部材33は、第1方向DYに沿って延びる。補強部材33は、ヒーター保持部材32と対向して固定される。
【0036】
図4は、図2の切断線IVで切断した断面図である。なお、理解を容易にするために、図4では、定着ベルト10の内部の一部を省略している。
【0037】
図4に示すように、定着ベルト10は、外周面103及び内周面104を更に有する。また、加圧部材20は、外周面201を有する。定着ベルト10の外周面103は、定着ニップ領域RNに用紙Pが無い状態で、加圧部材20の外周面201と当接する。なお、図4では、外周面103は、用紙Pを介して外周面201に対向している。
【0038】
定着ベルト10の内周面104は、加熱部30と対向する。換言すると、加熱部30は、定着ベルト10の内部の空間に配置される。具体的には、加熱部30のヒーター保持部材32は、定着ベルト10の内周面104側に配置される。ヒーター保持部材32は、ヒーター31を介して定着ベルト10と対向する。ヒーター31は、定着ベルト10を介して加圧部材20からの圧力を受ける。ヒーター31は、ヒーター保持部材32を介して補強部材33からの圧力を受ける。
【0039】
定着ベルト10の外周面103と、加圧部材20の外周面201とは、互いに当接して定着ニップ領域RNを形成する。
【0040】
加圧部材20は、第2回転軸線L2を軸心として回転自在である。加圧部材20が回転すると、定着ベルト10が加圧部材20に従動して回転する。これらの構成により、用紙Pが定着ニップ領域RNを通過すると、トナー像が用紙Pに定着される。なお、用紙Pは、シート搬送方向T(Z軸正側)に搬送される。
【0041】
以下、シート搬送方向Tの上流側を「第3方向DZの一端側」と記載し、その反対側を「第3方向DZの他端側」と記載する場合がある。
【0042】
次に、図5を参照して、一対のベルト保持部60の構成について更に説明する。図5は、本実施形態に係る一対のベルト保持部60の斜視図である。第1保持部材61と第2保持部材62との構成は同一であるため、第1保持部材61の構成について説明し、第2保持部材62の構成についての説明は省略する。
【0043】
図5に示すように、第1保持部材61は、ガイド部611と、規制部612とを有する。ガイド部611は、第1方向DYに沿って規制部612から立設されている。規制部612は、第1保持部材61に定着ベルト10の第1端部101が装着された際、定着ベルト10の幅方向DYの他端側への移動を規制する。規制部612は、平板形状である。
【0044】
ガイド部611は、定着ベルト10を支持する。第1方向DYからガイド部611を見たときに、ガイド部611の外周面は略C字形状を有する。ガイド部611は、規制部612から第1方向DYの一端側に向かって先細りとなる形状である。ガイド部611は、接触部611A、傾斜部611B、及び先端部611Cを有する。接触部611A、傾斜部611B及び先端部611Cは、この順に規制部612から第1方向DYの一端側に向かって形成されている。
【0045】
接触部611Aは、定着ベルト10と接触する。詳しくは、接触部611Aは、定着ベルト10の内周面104と接触して、定着ベルト10を回転可能に保持する。傾斜部611B及び先端部611Cは、定着装置1の静止状態及び駆動状態において、定着ベルト10の内周面104と接触しにくい。
【0046】
次に、図6図8を参照して、加熱部30の構成について更に説明する。図6は、ヒーター保持部材32及び一対のベルト保持部60の斜視図である。図7は、ヒーター保持部材32及び一対のベルト保持部60の上面図である。図8は、図7中の領域Rの拡大図である。
【0047】
図6に示すように、ヒーター保持部材32は、本体部321と、複数の突条320とを有する。本体部321は、第3方向DZの他端側の第1側壁部3211と、第3方向DZの一端側の第2側壁部3212と、底壁部3213とを有する。第1側壁部3211は、底壁部3213の第3方向DZの他端側の端部から第2方向DXの他端側に向かって立設されている。第2側壁部3212は、底壁部3213の第3方向DZの一端側の端部から第2方向DXの他端側に向かって立設されている。第1側壁部3211、第2側壁部3212及び底壁部3213の各々は、板状物である。
【0048】
複数の突条320は、第1側壁部3211に配置されている。複数の突条320は、第1側壁部3211から第3方向DZの他端側に向けて突出している。図6に示すように、突条320の形状は、第1方向DYから見たときに、略三角形状である。
【0049】
第1側壁部3211は、中央部PAと、一端側部PBと、他端側部PCとを有する。他端側部PC、中央部PA及び一端側部PBは、この順に第1側壁部3211の第1方向DYの一端側から他端側にかけて連続的に形成されている。一端側部PBは、第1端部PBA及び第1中間部PBBを含む。第1端部PBAは、本体部321のうち、第1側壁部3211及び第2側壁部3212における第1方向DYの他端側の端部を含む。第1中間部PBBは、第1方向DYにおいて、本体部321のうち、第1側壁部3211及び第2側壁部3212における中央部PAから第1端部PBAまでの領域を示す。他端側部PCは、第2端部PCA及び第2中間部PCBを含む。第2端部PCAは、本体部321のうち、第1側壁部3211及び第2側壁部3212における第1方向DYの一端側の端部を含む。第2中間部PCBは、第1方向DYにおいて、本体部321のうち、第1側壁部3211及び第2側壁部3212における中央部PAから第2端部PCAまでの領域を示す。中央部PA、第1端部PBA及び第2端部PCAの各々の第1方向DYの長さは、用紙Pのサイズに応じて調整される。例えば、用紙PのサイズがA4である場合、第1方向DYにおいて、ヒーター保持部材32の全体の長さは約240mmであり、中央部PA、第1端部PBA及び第2端部PCAの各々の長さは約20mmである。
【0050】
複数の突条320は、第1方向DYにおいて、第1側壁部3211の第1端部PBAから第2端部PCAにかけて並設されている。複数の突条320は、複数の第1突条320Aと、複数の第2突条320Bとを含む。複数の第1突条320Aは、第1側壁部3211の中央部PAに形成されている。複数の第2突条320Bは、第1側壁部3211の第1側壁部3211の中央部PAとは異なる部位に形成されている。本実施形態では、第1側壁部3211の中央部PAには3本の第1突条320Aが形成され、第1端部PBA及び第2端部PCAには3本の第2突条320Bが形成されている。第1端部PBA及び第2端部PCAの第2突条320Bは第3突条の一例である。第1中間部PBB及び第2中間部PCBの第2突条320Bは第4突条の一例である。
【0051】
本実施形態では、複数の突条320は、第1方向DYにおいて、第1側壁部3211の一端側の端部、他端側の端部、及び中央部では密に形成され、第1側壁部3211のその他の部位では疎に形成されている。換言すると、中央部PA、第1端部PBA及び第2端部PCAにおいて、隣接する突条320の間隔は、他の領域よりも狭い。以下、隣接する突条320の間隔を「突条間隔」と記載する。詳しくは、図7に示すように、中央部PA、第1端部PBA及び第2端部PCAにおける複数の第1突条320Aの各々の突条間隔は、第1間隔d1である。残りの突条間隔は、第2間隔d2である。具体的に、第1中間部PBB及び第2中間部PCBにおける第2突条320Bの各々の突条間隔は、第2間隔d2である。更に、第1端部PBAの最も第1方向DYの一端側の第2突条320Bと、第1中間部PBBの最も第1方向DYの他端側の第2突条320Bとの突条間隔は、第2間隔d2である。第1中間部PBBの最も第1方向DYの一端側の第2突条320Bと、中央部PAの最も第1方向DYの他端側の第1突条320Aとの突条間隔は、第2間隔d2である。中央部PAの最も第1方向DYの一端側の第1突条320Aと、第2中間部PCBの最も第1方向DYの他端側の第2突条320Bとの突条間隔は、第2間隔d2である。第2中間部PCBの最も第1方向DYの一端側の第2突条320Bと、第2端部PCAの最も第1方向DYの他端側の第2突条320Bとの突条間隔は、第2間隔d2である。
【0052】
第1間隔d1は、第2間隔d2よりも小さい。例えば、第1間隔d1は、第2間隔d2の半分である。第2間隔d2は、例えば、7mm~10mmである。
【0053】
図7に示すように、複数の突条320は、第2側壁部3212に配置されている。複数の突条320は、第2側壁部3212から第1側壁部3211の複数の突条320とは反対方向に向けて突出している。複数の突条320は、第1方向DYにおいて、第2側壁部3212の第1端部PBAから第2端部PCAにかけて形成されている。第2側壁部3212の複数の突条320の各々の突条間隔と、第1側壁部3211の複数の突条320の各々の突条間隔とは同一である。
【0054】
図8に示すように、第1突条320Aの本体部321からの高さh1は、第2突条320Bの本体部321からの高さh2よりも高い。以下、第1突条320Aの本体部321からの高さh1を「第1突条320Aの高さh1」と記載し、第2突条320Bの本体部321からの高さh2を「第2突条320Bの高さh2」と記載する場合がある。第1突条320Aの高さh1とは、第3方向DZにおいて、第1側壁部3211の第1突条320Aについては第1側壁部3211から第1突条320Aの頂点までの距離を示し、第2側壁部3212の第1突条320Aについては、第2側壁部3212から第1突条320Aの頂点までの距離を示す。第2突条320Bの高さh2とは、第3方向DZにおいて、第1側壁部3211の第2突条320Bについては第1側壁部3211から第2突条320Bの頂点までの距離を示し、第2側壁部3212の第2突条320Bについては第2側壁部3212から第2突条320Bの頂点までの距離を示す。
【0055】
次に、図9(a)~図9(c)を参照して、定着装置1の構成について更に説明する。図9(a)は、図7の切断線IXAで切断した断面図である。詳しくは、図9(a)は、第1方向DYにおいて、突条320を有しない部位における一対のベルト保持部60が装着されたヒーター保持部材32の断面図である。図9(b)は、図7の切断線IXBで切断した断面図である。詳しくは、図9(b)は、第1方向DYにおいて、第1突条320Aを有する部位における一対のベルト保持部60が装着されたヒーター保持部材32の断面図である。図9(c)は、図7の切断線IXCで切断した断面図である。詳しくは、図9(c)は、第1方向DYにおいて、第2突条320Bを有する部位における一対のベルト保持部60が装着されたヒーター保持部材32の断面図である。
【0056】
図9(a)に示すように、第1保持部材61のガイド部611の接触部611Aは、第3方向DZにおいて、最大幅W1を有する。最大幅W1は、接触部611Aの第3方向DZの他端側の頂点611TAと、接触部611Aの第3方向DZの一端側の頂点611TBとを結んだ直線の長さを示す。
【0057】
図9(b)に示すように、ヒーター保持部材32は、第3方向DZにおいて、第1最大幅W2を有する。ヒーター保持部材32の第1最大幅W2は、第1側壁部3211から突出する第1突条320Aの第3方向DZの他端側の頂点320AAと、第2側壁部3212から突出する第1突条320Aの第3方向DZの一端側の頂点320ABとを結んだ直線の長さを示す。つまり、第3方向DZにおいて、ヒーター保持部材32の第1最大幅W2は、ヒーター保持部材32の中央部PAにおける最も広い幅を示す。
【0058】
本実施形態では、ヒーター保持部材32の第1最大幅W2は、接触部611Aの最大幅W1と同一である。つまり、第1方向DYから見たときに、第1側壁部3211から突出する第1突条320Aの第3方向DZの他端側の頂点320AAと、接触部611Aの第3方向DZの他端側の頂点611TAとは重なり合う。同様に、第1方向DYから見たときに、第2側壁部3212から突出する第1突条320Aの第3方向DZの一端側の頂点320ABと、接触部611Aの第3方向DZの一端側の頂点611TBとは重なり合う。そのため、一対のベルト保持部60が定着ベルト10に装着されると、定着装置1の静止状態において、第1突条320Aは、定着ベルト10の内周面104と接触しやすい。また、定着装置1の駆動状態において、第1突条320Aは、定着ベルト10の内周面104と接触しやすい。特に、シート搬送方向Tの上流側の第2側壁部3212から突出する第1突条320Aは、定着装置1の駆動状態において、定着ベルト10の内周面104と接触する。
【0059】
図9(c)に示すように、ヒーター保持部材32は、第3方向DZにおいて、第2最大幅W3を有する。ヒーター保持部材32の第2最大幅W3は、第1側壁部3211から突出する第2突条320Bの第3方向DZの他端側の頂点320BAと、第2側壁部3212から突出する第2突条320Bの第3方向DZの一端側の頂点320BBとを結んだ直線の長さを示す。つまり、第3方向DZにおいて、ヒーター保持部材32の第2最大幅W3は、ヒーター保持部材32の一端側部PB及び他端側部PCにおける最も広い幅を示す。
【0060】
本実施形態において、ヒーター保持部材32の第2最大幅W3は、接触部611Aの最大幅W1よりも狭い。換言すると、ヒーター保持部材32の第2最大幅W3は、ヒーター保持部材32の第1最大幅W2よりも狭い。つまり、第1方向DYから見たときに、第1側壁部3211から突出する第2突条320Bの第3方向DZの他端側の頂点320BAは、接触部611Aの第3方向DZの他端側の頂点611TAよりも第3方向DZの一端側に位置する。同様に、第1方向DYから見た場合、第2側壁部3212から突出する第2突条320Bの第3方向DZの一端側の頂点320BBと、接触部611Aの第3方向DZの一端側の頂点611TBよりも第3方向DZの他端側に位置する。そのため、一対のベルト保持部60が定着ベルト10に装着されると、定着装置1の静止状態及び駆動状態において、第2突条320Bは、定着ベルト10の内周面104と接触しにくい。
【0061】
このように、本実施形態では、第3方向DZにおいて、接触部611Aの最大幅W1は、ヒーター保持部材32の第1最大幅W2と同一である。更に、ヒーター保持部材32の第1最大幅W2は、ヒーター保持部材32の第2最大幅W3より広い。
【0062】
次に、図10(a)~図11(b)を参照して、定着装置1の構成について更に説明する。図10(a)は、図2の切断線XAで切断した部分断面図である。図10(b)は、定着装置1の静止状態において、ヒーター保持部材32のY軸方向の中央部PAにおける本実施形態の突条320と、定着ベルト10との部分断面図である。図11(a)は、定着装置1の駆動状態において、ヒーター保持部材32のY軸方向の中央部PAにおける本実施形態の突条320と、定着ベルト10との部分断面図である。図11(b)は、比較例の定着装置の駆動状態において、ヒーター保持部材32のY軸方向の中央部PAにおける比較例の突条320と、定着ベルト10との部分断面図である。比較例の定着装置の構成は、ヒーター保持部材32の中央部PAにおいて、第1突条320Aの代わりに第2突条320Bが形成され、かつヒーター保持部材32の中央部PAの突条間隔が第2間隔d2である他は本実施形態の定着装置1と同一の構成である。
【0063】
図10(a)に示すように、定着装置1の静止状態において、定着ベルト10の内周面104は、第1保持部材61の接触部611Aと、第2保持部材62の接触部611Aとが接触している。本実施形態では、定着装置1の静止状態において、定着ベルト10の内周面104と、第1突条320Aとは接触しやすい。一方、定着装置1の静止状態において、定着ベルト10の内周面104と、第2突条320Bとは接触しにくい。つまり、図10(b)に示すように、第3方向DZにおいて、複数の第1突条320Aの高さh1は、接触部611Aの本体部321からの高さh3と略同一である。また、複数の第2突条320Bの高さh2は、複数の第1突条320Aの高さh1より低い。接触部611Aの本体部321からの高さh2とは、図10(a)に示すように、Z方向において、第1側壁部3211又は第2側壁部3212から接触部611Aまでの距離を示す。
【0064】
本実施形態の定着装置1の駆動状態において、定着ベルト10の幅方向DYの中央部は凹む場合がある。特に、シート搬送方向Tの上流側における定着ベルト10の幅方向DYの中央部は凹みやすい。図11(a)に示すように、本実施形態の定着装置1の駆動状態において、定着ベルト10の幅方向DYの中央部が凹んだ際、定着ベルト10の中央部の内周面104は、中央部PAの3本の第1突条320Aと接触する。つまり、中央部PAの3本の第1突条320Aは、定着ベルト10の形状の変形を規制しようとする。この際、定着ベルト10の最大凹み深さは、比較的小さい第1深さF1となる。
【0065】
一方、図11(b)に示すように、比較例の定着装置の駆動状態において、定着ベルト10の幅方向DYの中央部が凹んだ際、定着ベルト10の中央部の内周面104は、中央部PAの2本の第2突条320Bと接触する。この際、定着ベルト10の最大凹み深さは、比較的大きい第2深さF2となる。比較例の定着装置では、中央部PAの第2突条320Bの高さh2は、第1突条320Aの高さh1より低い。更に、中央部PAの第2突条320Bの各々の第2間隔d2は、第1間隔d1より広い。そのため、比較例の定着装置では、本実施形態の定着装置1よりも定着ベルト10の幅方向DYの中央部は、より深く凹む。つまり、第2深さF2は、第1深さF1より大きい。その結果、比較例の定着装置では、本実施形態の定着装置1よりも、定着ベルト10に亀裂が発生しやすくなる。
【0066】
次に、図12(a)及び図12(b)を参照して、本実施形態の加熱部30の構成について更に説明する。図12(a)は、ヒーター保持部材32の第2端部PCA側をZ軸正側から見た拡大図である。図12(b)は、ヒーター保持部材32の第2端部PCA側をX軸負側から見た図である。
【0067】
図12(a)及び図12(b)に示すように、複数の第2突条320Bは、第1側壁部3211及び第2側壁部3212上に配置されている。詳しくは、図7を参照して説明したように、第2端部PCAでは、隣接する第2突条320Bは、第1方向DYにおいて、第1間隔d1を開けて配置されている。第2中間部PCBでは、隣接する第2突条320Bは、第1方向DYにおいて、第2間隔d2を開けて配置されている。また、第2端部PCAの最も第1方向DYの他端側に位置する第2突条320Bと、第2中間部PCBの最も第1方向DYの一端側に位置する第2突条320Bとは、第2間隔d2を開けて配置されている。
【0068】
図13(a)及び図13(b)を参照して、本実施形態の定着ベルト10と加熱部30とについて説明する。図13(a)は、ヒーター保持部材32の第2端部PCA側から定着ベルト10がヒーター保持部材32に挿入されている状態を示す断面図である。図13(b)は、定着ベルト10がヒーター保持部材32に挿入された状態を示す断面図である。なお、図13(a)及び図13(b)は、定着ベルト10の幅方向DYに沿った断面をX軸負側から見た断面を示す。
【0069】
作業者は、定着ベルト10の幅方向DYに沿って加熱部30を移動させる。これにより、定着ベルト10の内周面104内に加熱部30を配置させることができる。なお、定着ベルト10は、薄くて壊れやすい。そのため、機械は、加熱部30を、定着ベルト10の内周面104内に挿入することができない。
【0070】
詳しくは、加熱部30は、次のようにして定着ベルト10内に挿入される。まず、作業者が、定着ベルト10の第1端部101から所定の距離離れた部分を指で押圧する。定着ベルト10が押圧されると、定着ベルト10の第1端部101が変形する。詳しくは、定着ベルト10の第1端部101が第2方向DXに押圧されると、定着ベルト10の第1端部101は第3方向DZに長い楕円形に変形する。定着ベルト10の第1端部101が広がると、加熱部30を定着ベルト10の第1端部101から挿入し易くなる。
【0071】
次に、作業者が、定着ベルト10の第1端部101から加熱部30を挿入する。図13(a)に示すように、加熱部30が定着ベルト10内に挿入されると、第2端部PCAの第2突条320Bが、定着ベルト10の内周面104と接触する。この際、本実施形態では、第2端部PCAの第2突条320Bのリブ間隔が第1間隔d1であるので、第2端部PCAの第2突条320Bのリブ間隔が第2間隔d2である場合に比べて、定着ベルト10の第1端部101は、第2端部PCAの第2突条320Bにひっかかりにくい。そのため、作業者は、加熱部30を定着ベルト10の内部に容易に挿入することができる。図13(b)に示すように、定着ベルト10の第1端部101が加熱部30に挿入されれば、作業者は、加熱部30の残りの部分を定着ベルト10に安定して挿入できる。
【0072】
図1図13を参照して説明したように、定着装置1は、定着ベルト10と、加熱部30と、一対のベルト保持部60とを備える。加熱部30は、ヒーター31と、ヒーター保持部材32とを有する。ヒーター保持部材32は、本体部321と、複数の突条320とを有する。複数の突条320は、複数の第1突条320Aと、複数の第2突条320Bとを含む。第3方向DZにおいて、接触部611Aの最大幅W1は、ヒーター保持部材32の第1最大幅W2と同一である。ヒーター保持部材32の第1最大幅W2は、ヒーター保持部材32の第2最大幅W3より広い。これにより、定着装置1では、接触部611Aの最大幅W1がヒーター保持部材32の第1最大幅W2よりも広い場合よりも、定着装置1の駆動時に、定着ベルト10の幅方向DYの中央部が凹んだ際、定着ベルト10の内周面104は中央部PAの突条320よりも接触しやすい。これにより、定着装置1は、定着ベルト10の幅方向DYの中央部の凹みのサイズをより小さくすることができる。その結果、定着装置1は、定着ベルト10の亀裂の発生をより抑制することができる。
【0073】
図1図13を参照して説明したように、複数の第2突条320Bは、第1端部PBA及び第2端部PCAの複数の第2突条320Bと、第1中間部PBB及び第2中間部PCBの複数の第2突条320Bとを含む。第1端部PBA及び第2端部PCAの複数の第2突条320Bは、第1間隔d1を開けて配置されている。第1中間部PBB及び第2中間部PCBの複数の第2突条320Bは、第2間隔d2を開けて配置されている。第1間隔d1は、第2間隔d2よりも小さい。これにより、定着装置1では、第1端部PBA及び第2端部PCAの複数の第2突条320Bの突条間隔が第2間隔d2である場合よりも、加熱部30が定着ベルト10内に挿入される際、定着ベルト10の第1端部101又は第2端部102は、第1端部PBA又は第2端部PCAの第2突条320Bとひっかかりにくい。その結果、定着装置1は、作業者に、定着ベルト10の第1端部101及び第2端部102のどちらからでも、加熱部30を定着ベルト10の内部に容易に挿入させることができる。
【0074】
以上、図1図13を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である(例えば、下記に示す(1)~(5))。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質や形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0075】
(1)図1図13を参照して説明したように、本発明の実施形態では、画像形成装置100がモノクロ複合機であるが、本発明はこれに限定されない。例えば、画像形成装置100はモノクロプリンターでもよい。あるいは、画像形成装置100はカラー複合機、又はモノクロ複合機でもよい。
【0076】
(2)図1図13を参照して説明したように、本発明の実施形態では、第3方向DZにおいて、接触部611Aの最大幅W1は、ヒーター保持部材32の第1最大幅W2と同一であるが、本発明はこれ限定されない。例えば、第3方向DZにおいて、接触部611Aの最大幅W1が、ヒーター保持部材32の第1最大幅W2よりも広く、かつヒーター保持部材32の第1最大幅W2が、ヒーター保持部材32の第2最大幅W3より広くてもよい。この場合、最大幅W1がヒーター保持部材32の第1最大幅W2よりも広く、かつ第1最大幅W2が、ヒーター保持部材32の第2最大幅W3より狭い場合よりも、定着装置1の駆動時に、定着ベルト10の幅方向DYの中央部が凹んだ際、定着ベルト10の内周面104は中央部PAの突条320よりも接触しやすい。これにより、定着装置1は、定着ベルト10の幅方向DYの中央部の凹みのサイズをより小さくすることができる。その結果、定着装置1は、定着ベルト10の亀裂の発生をより抑制することができる。
【0077】
(3)図1図13を参照して説明したように、本発明の実施形態では、第3方向DZにおいて、ヒーター保持部材32の第1最大幅W2が、ヒーター保持部材32の第2最大幅W3より広いが、本発明はこれに限定されない。例えば、ヒーター保持部材32の第1最大幅W2は、ヒーター保持部材32の第2最大幅W3と同一であってもよい。この場合、ヒーター保持部材32の第1最大幅W2が、ヒーター保持部材32の第2最大幅W3より広い場合よりも、定着装置1の駆動時に、定着ベルト10の凹みの発生をより確実に抑制することができる。これにより、定着ベルト10は、長期に渡って使用しても、亀裂が発生しにくい。その結果、定着装置1は、定着ベルト10をより安定して駆動することができる。
【0078】
(4)図1図13を参照して説明したように、本発明の実施形態では、中央部PA、第1端部PBA及び第2端部PCAの複数の突条320の突条間隔は、第1間隔d1であるが、本発明はこれに限定されない。例えば、中央部PA、第1端部PBA及び第2端部PCAの複数の突条320の突条間隔は、第2間隔d2であってもよい。また、中央部PAのみの複数の突条320の突条間隔が第1間隔d1であり、残りの複数の突条320の突条間隔が第2間隔d2以上であってもよい。
【0079】
(5)図1図13を参照して説明したように、本発明の実施形態では、第1側壁部3211及び第2側壁部3212の中央部PA、第1端部PBA及び第2端部PCAの各々には、3本の突条320が形成されているが本発明はこれに限定されない。例えば、第1側壁部3211及び第2側壁部3212の中央部PAに配置される突条320は、1本又は2本であってもよいし、4本以上であってもよい。また、第1側壁部3211及び第2側壁部3212の第1端部PBA及び第2端部PCAの各々に配置される突条320は、2本であってもよいし、4本以上であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、画像形成装置の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0081】
1 定着装置
10 定着ベルトと、
104 内周面
30 加熱部
31 ヒーター
32 ヒーター保持部材
321 本体部
320 突条
320A 第1突条
320B 第2突条
60 ベルト保持部
611A 接触部
W1 接触部の最大幅
W2 ヒーター保持部材の第1最大幅
W3 ヒーター保持部材の第2最大幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13