IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東洋製罐グループホールディングス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-二重構造体 図1
  • 特許-二重構造体 図2
  • 特許-二重構造体 図3
  • 特許-二重構造体 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】二重構造体
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/08 20060101AFI20240228BHJP
   B29C 49/22 20060101ALI20240228BHJP
   B29C 49/06 20060101ALI20240228BHJP
   B65D 1/02 20060101ALI20240228BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20240228BHJP
   B65D 65/46 20060101ALI20240228BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
B32B27/08
B29C49/22
B29C49/06
B65D1/02 110
B65D65/40 D
B65D65/46
B32B27/00 H
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019198393
(22)【出願日】2019-10-31
(65)【公開番号】P2020082730
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】P 2018216444
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003768
【氏名又は名称】東洋製罐グループホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(72)【発明者】
【氏名】澤 芳樹
(72)【発明者】
【氏名】村松 かんな
(72)【発明者】
【氏名】山田 俊樹
【審査官】印出 亮太
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-019496(JP,A)
【文献】特表2008-517108(JP,A)
【文献】特開2014-151632(JP,A)
【文献】特開平11-349713(JP,A)
【文献】特開2004-345646(JP,A)
【文献】特開2018-134813(JP,A)
【文献】特開2018-021128(JP,A)
【文献】特開平04-191039(JP,A)
【文献】特開平05-310265(JP,A)
【文献】国際公開第2021/156908(WO,A1)
【文献】特開2021-151893(JP,A)
【文献】特開2022-089617(JP,A)
【文献】特開2016-137910(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第879595(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 17/00 - 17/04
B29C 49/00 - 49/46
B29C 49/58 - 49/68
B29C 49/72 - 51/28
B29C 51/42
B29C 51/46
B32B 1/00 - 43/00
B65D 1/00 - 1/48
B65D 65/00 - 65/46
C08J 11/00 - 11/28
C09D 1/00 - 10/00
C09D101/00 -201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容器用プリフォームと、該内容器用プリフォームを収容している外容器用プリフォームとからなり、該内容器用プリフォームの外面に、水溶性バインダを含む水洗除去可能なバリアコーティングが設けられているスタックプリフォームから得られる二重構造容器であって、
前記内容器用プリフォームから成形された内容器の外面と前記外容器用プリフォームから成形された外容器の内面との間には、前記バリアコーティングのみが存在しており、
前記内容器及び前記外容器は、同種の熱可塑性樹脂から形成されていることを特徴とする二重構造容器。
【請求項2】
前記バリアコーティングが、前記水溶性バインダに、該水溶性バインダの酸素遮断性を高めるための機能性材料が分散されている構造を有する請求項1に記載の二重構造容器。
【請求項3】
前記機能性材料が被酸化性有機化合物である請求項2に記載の二重構造容器。
【請求項4】
前記被酸化性有機化合物が、下記式(1):
【化1】
式中、環Xは、1つの不飽和結合を有する脂肪族環であり、
Yは、アルキル基である、
で表わされる酸無水物、該酸無水物から誘導されるエステル、アミド、イミド又はジカルボン酸、及び該酸無水物に由来する構成単位を有する重合体からなる群より選択された少なくとも一種である請求項3に記載の二重構造容器。
【請求項5】
前記水溶性バインダがポリビニルアルコール系ポリマー、またはポリカルボン酸系ポリマーである請求項1~4の何れかに記載の二重構造容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重構造体に関するものであり、特にリサイクル性に優れた二重構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年において、プラスチックは、種々の形状に容易に成形できることから、各種の用途に使用されている。しかしながら、プラスチック製品は、金属製品やガラス製品に比して、ガスバリア性が劣っている。
このため、容器やフィルムなどの包装材として使用されるプラスチック製品のように、酸素等に対するバリア性が要求される用途に使用されるものでは、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂等のパッシブバリア材の層を用いた多層構造が導入されている。
一方、最近では、被酸化性有機化合物のようなアクティブバリア材も開発されており(例えば特許文献1参照)、包装材等の分野で使用されるようになっている。
また光バリアを目的に着色することで遮光性を付与して使用されることもある。
【0003】
しかしながら、上述したバリア材によりガスバリア性が高められた包装材や着色された樹脂は、リサイクル性に難があり、再利用が難しいという欠点がある。
即ち、上記のようなバリア材を用いたバリア層を有する多層構造の容器では、このバリア材を他の容器素材樹脂(例えば、PETやポリオレフィン)などから分離することができず、同様に着色剤も容器素材樹脂から分離できず、これら素材樹脂の再利用を困難としている。素材樹脂の再利用性を考慮したバリア技術については、ほとんど検討されていない。
【0004】
例えば、最近では、内容器と外容器とからなる二重構造を有している二重構造容器が、醤油等の調味液が収容されるエアレス容器として実用されている。かかる二重構造容器は、逆止弁付のキャップと組み合わせで使用されるものであり、外容器であるボトルの胴部壁を外部からスクイズして凹ませることにより、内容器に充填されている内容物がキャップに形成されている注出路から排出され、ボトルの胴部壁の押圧を停止することにより内容物の排出を終了させると、逆止弁の作用により、空気は内容器には導入されず、キャップの注出路とは異なる流路を通って、内容器と外容器との間の空間に導入されることとなる。これにより、内容器は、内容物が排出された分だけ収縮することとなり、内容物を排出する毎に、内容器が収縮していく。このような方法により内容物が排出される二重構造容器では、内容物を小出しできると共に、内容物が充填されている内容器への空気の侵入が有効に防止されるため、内容物の酸化劣化を有効に回避でき、内容物の鮮度を長期間にわたって保持できるという利点がある。
【0005】
上記のような二重構造容器においても、内容物の排出のために、内容器と外容器との間に空気を導入することが必要であるため、内容器に酸素バリア性を付与することが望まれる。例えば、特許文献2には、内容器用のプリフォームと外容器用のプリフォームを重ねて延伸成形を行って二重構造を有する容器を製造するに際して、内容器用のプリフォームと外容器用のプリフォームとの間に、有機系の酸素吸収剤や脱臭剤など、延伸温度で分解しない薬剤を施しておくという技術が提案されている。
しかるに、かかる技術では、粉末状の薬剤を内容器と外容器との間の空間に充填しているに過ぎないため、薬剤と内容器もしくは外容器との密着性が不十分である。また、このような粉末状の薬剤が、容器素材樹脂の再利用性を阻害するために、実用されるには至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-21128号公報
【文献】特開平5-228988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、2つの成形体が重なりあった状態で使用される二重構造容器であって、バリア材により酸素の透過が有効に抑制され、しかもバリア材の除去を容易に行うことができ、各成形体を構成している樹脂等の素材の再利用を有効に行うことができる二重構造容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、
内容器用プリフォームと、該内容器用プリフォームを収容している外容器用プリフォームとからなり、該内容器用プリフォームの外面に、水溶性バインダを含む水洗除去可能なバリアコーティングが設けられているスタックプリフォームから得られる二重構造容器であって、
前記内容器用プリフォームから成形された内容器の外面と前記外容器用プリフォームから成形された外容器の内面との間には、前記バリアコーティングのみが存在しており、
前記内容器及び前記外容器は、同種の熱可塑性樹脂から形成されていることを特徴とする二重構造容器が提供される。
【0009】
本発明の二重構容器においては、以下の態様が好適に採用される。
(1)前記バリアコーティングが、前記水溶性バインダに、該水溶性バインダの酸素遮断性を高めるための機能性材料が分散されている構造を有すること。
(2)前記機能性材料が被酸化性有機化合物であること。
(3)前記被酸化性有機化合物が、下記式(1):
【化1】
式中、環Xは、1つの不飽和結合を有する脂肪族環であり、
Yは、アルキル基である、
で表わされる酸無水物、該酸無水物から誘導されるエステル、アミド、イミド又はジカルボン酸、及び該酸無水物に由来する構成単位を有する重合体からなる群より選択された少なくとも一種であること。
(4)前記水溶性バインダがポリビニルアルコール系ポリマーまたはポリカルボン酸系ポリマーであること。
【0010】
本発明によれば、被酸化性有機化合物と水溶性バインダとを含むバリアコーティング形成用組成物が提供される。
【0011】
本発明のバリアコーティング形成用組成物においては、
(10)前記水溶性バインダ100質量部当り、10~300質量部の範囲で前記被酸化性有機化合物を含んでいること、
(11)前記水溶性バインダがポリビニルアルコール系ポリマー、またはポリカルボン酸系ポリマーであること、
が好適である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の二重構造体は、プラスチック製の第1の成形体に第2の成形体を重ねて使用されるものであるが、第1の成形体と第2の成形体との間に、水洗により除去可能なバリアコーティングが設けられている点に重要な特徴を有している。
即ち、このバリアコーティングは、第1の成形体表面或いは第2の成形体の表面へのコーティングにより設けられ、これにより、第1の成形体への酸素透過を有効に防止することができる。しかも、使用済みの二重構造体からこのバリアコーティングは水洗により容易に除去することができ、第1の成形体と第2の成形体に分離される。従って、水洗することにより、これらの成形体、或いはこれら成形体を形成している素材を容易に再利用することができる。
【0013】
本発明の二重構造体は、特にスタックプリフォーム法により製造される二重構造容器に効果的に適用することができ、例えば、内容器用プリフォームの外面にバリアコーティングを設け、これを外容器用プリフォームの内部に挿入保持することにより得られるスタックプリフォームを、延伸ブロー成形することにより、内容器と外容器との間にバリアコーティングを備えた二重構造容器を得ることができる。このような二重構造容器は、内容器内への酸素の透過が有効に防止され、内容器内に収容されている内容物の鮮度をより効果的に保持することができる。しかも、このような二重構造容器は、リサイクル工程での水洗により、バリアコーティングを容易に除去することができ、内容器と外容器に分離される。従って、この二重構造容器は、内容器や外容器を形成している樹脂素材を容易に再利用することができるのでリサイクル性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の二重構造体を説明するための概念図。
図2】本発明の二重構造体の好適例である二重構造容器の成形直後における概略側断面図。
図3図2の二重構造容器の製造に用いる第1のプリフォーム(外容器成形用プリフォーム)形成と第2のプリフォーム(内容器成形用プリフォーム)とを示す概略側断面図。
図4】第2のプリフォームが第1のプリフォーム内に収容されて保持されているスタックプリフォームを示す概略側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を参照して、本発明の二重構造体100は、第1の成形体101の上に第2の成形体103を重ねることにより形成されるものであるが、第1の成形体101の表面にバリアコーティング105が形成されている。即ち、第1の成形体101のバリアコーティング105上に、第2の成形体103が重ねられる。
【0016】
<第1の成形体101及び第2の成形体103>
第1の成形体101は、プラスチック製であり、その用途に応じて、適宜の形状を有してればよい。例えば、このプラスチック製の第1の成形体101を包装等の用途に使用する場合、包装される物質の形態に応じて、フィルムないしはシート等の形態を有していてよいし、また、容器のような形態を有するものであってもよい。さらに、第2の成形体103は、第1の成形体101を覆うように、接着せずに、単に重ねて使用されるものであり、例えば、簡単な包装に使用されるものであり、その材質は特に限定されず、紙製、金属箔等であってもよいが、一般的には、第1の成形体101の形態に応じて、これを覆うような形態に容易に成形できることから、第1の成形体101と同様、プラスチック製であることが好ましい。また、上述した水洗により除去可能なバリアコーティング105が第1の成形体101と第2の成形体103との間に設けられている本発明の二重構造体100の形態を有するフイルム乃至シート状の成形体に対して、真空成形、圧空成形、張出成形、プラグアシスト成形等の手段に付することにより、カップ状、トレイ状等の容器とすることもできる。
【0017】
一般に、包装分野に使用する場合には、第1の成形体101及び第2の成形体103は、以下の熱可塑性樹脂により形成されていることが好適である。
オレフィン系樹脂、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ1-ブテン、ポリ4-メチル-1-ペンテンあるいはエチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン等のα-オレフィン同士のランダムあるいはブロック共重合体、環状オレフィン共重合体など;
エチレン・ビニル系共重合体、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)等;
スチレン系樹脂、例えば、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α-メチルスチレン・スチレン共重合体等;
ビニル系樹脂、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等;
ポリアミド樹脂、例えば、ナイロン6、ナイロン6-6、ナイロン6-10、ナイロン11、ナイロン12等;
ポリエステル樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンフラノエート(PEF)、ポリトリメチレンフラノエート(PTF)及びこれらの共重合ポリエステル等;
ポリカーボネート樹脂;
ポリフエニレンオキサイド樹脂;
生分解性樹脂、例えば、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)及びこれらの共重合体等;
勿論、成形性が損なわれない限り、これらの熱可塑性樹脂のブレンド物を使用することもできる。また、包装材の分野では、特に上記の中でも、ポリエチレンテフタレート等のポリエステルや、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂が最も好適に使用される。
【0018】
尚、使用形態によっては、第2の成形体103の第1の成形体101側の表面或いはその反対側の表面に、蒸着等により酸化珪素等の金属酸化物の蒸着膜が設けられていてもよい。
【0019】
ところで、第1の成形体101は、プラスチック製であることから、その酸素透過度は、金属材料等に比して大きいことから、この第1の成形体101には、酸素等に対するバリア性を付与することが要求される。特に、第2の成形体103は、第1の成形体101上に接着せずに重ねているに過ぎないため、図1に示されているように、第1の成形体101と第2の成形体103との間に、微小な空隙CLが形成される場合があり、この空隙CLにともなって空気層が存在しうる。従って、第1の成形体101の酸素透過を抑制することが求められるわけである。
【0020】
<バリアコーティング105>
本発明においては、第1の成形体101への酸素透過を抑制するために、バリアコーティング105が設けられる。即ち、このようなバリアコーティング105を設けることにより、酸素透過度の大きいプラスチック製の第1の成形体101を透過する酸素を有効に抑制することができる。
【0021】
尚、本発明においては、図1に示されているように、バリアコーティング105は、第1の成形体101の表面(第2の成形体103側の表面)に設けられていることが最も好適であり、これにより、空隙CLに存在する空気の第1の成形体105の透過を有効に防止することができる。しかるに、第2の成形体103がプラスチック製或いは紙製である場合、第2の成形体103の表面(即ち、第1の成形体101側の表面)にバリアコーティング105を設けることもできる。即ち、これにより、第2の成形体103及び空隙CLを通っての酸素の透過を防止することができるからである。勿論、第1の成形体101と第2の成形体103との間に存在することを条件として、第1の成形体101の表面及と第2の成形体103の表面との両方にバリアコーティング105を設けることもできる。
【0022】
本発明において、上記のバリアコーティング105は、スプレー噴霧、ディッピング、ロールコート等の塗布により形成されるものであるが、特に、重要な点には、このバリアコーティング105は、水洗により除去が可能となっていることである。
即ち、種々のプラスチック製品の廃棄物は、この製品を形成しているプラスチック毎に回収され、プラスチックと共に使用されている他の部品と機械的に分離されて回収され、これにより、各種のプラスチック或いは他の部品等再利用が可能となるが、プラスチック製品がバリア材を含む多層構造となっている場合、このバリア材を除去することができず、プラスチックの再利用が困難となってしまう。
しかるに、本発明では、バリアコーティング105が水洗による除去が可能となっているため、例えば、PETボトルリサイクル推進協議会の公表している指定PETボトルの自主設計ガイドラインに示された90℃に加熱した1.5%アルカリ水溶液中に15分浸漬することで容易に取り除くことができるため、第1の成形体の酸素透過を有効に抑制し、第1の成形体によって覆われている領域に存在する物質の酸化劣化を有効に防止することができるばかりか、第1の成形体101や第2の成形体103を形成しているプラスチック素材等の再利用も可能となる。
【0023】
本発明において、上記のような水洗により除去可能なバリアコーティング105は、水溶性バインダを含むものであり、この水溶性バインダに、酸素遮断性を高めるための機能性材料が分散している構造を有している。
【0024】
水溶性バインダ;
上記の水溶性バインダとしては、成膜性を有しており、水洗による除去可能な水溶性を有しているものであれば、種々の水溶性材料を使用することができる。
例えば、その具体例としては、これに限定されるものではないが、ポリビニルアルコール系ポリマー、ポリカルボン酸系ポリマー、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、等のポリマー類や、澱粉、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ソーダ等の多糖類もしくはその誘導体を挙げることができる。
上記ポリビニルアルコール系ポリマーは、ビニルエステル系化合物を重合し、次いでこれを完全または部分的にけん化することにより得られるものである。本発明における、水洗による除去を可能とする観点からは、未変性のポリビニルアルコール樹脂を用いることが好ましいが、部分的に変性された変性ポリビニルアルコール系樹脂を用いてもよい。
また、上記ポリカルボン酸系ポリマーには、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、アクリル酸-メタクリル酸コポリマー等のカルボキシル基を有するモノマーの単独重合体又は共重合体、及びこれらの部分中和物を使用することができ、好適には、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸を用いることが好ましい。これらポリマーの中でも、特に入手のし易さ、成膜性等の観点からポリビニルアルコール系ポリマーが最も好適である。
【0025】
機能性材料;
酸素遮断性を高めるための機能性材料には、所謂、パッシブバリア材とアクティブバリア材がある。
【0026】
パッシブバリア材としては、例えば、モンモリロナイト等の層状粘土鉱物や、所謂ガスバリア性樹脂を使用することができるが、特に層状粘土鉱物が、上記の水溶性バインダ中に均一に分散することができ、高い酸素バリア性を示すという観点から、本発明では好適に使用される。
【0027】
また、アクティブバリア材は、酸素と反応して容易に酸化されるものであり、有機及び無機の各種材料が知られているが、特に前述した水溶性バインダ中に均一に分散することができ、透明性の観点から、有機系の被酸化性材料が好適に使用される。
【0028】
有機系の被酸化性材料としては、例えば、アスコルビン酸(ビタミンC)、トコフェロール(ビタミンE)、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エルソルビン酸ナトリウム、没食子酸プロピルなどの所謂酸素吸収剤もしくは酸化防止剤として知られている化合物や、ポリブタジエンやポリイソプレン等の脂肪族不飽和結合を有するポリエン重合体、さらには、不飽和脂環構造を有する化合物等が代表的であるが、中でも、不飽和脂環構造を有する化合物が好適に使用される。このような有機系被酸化性材料は、酸素遮断性が高いばかりか、着色の問題が無く、透明性を必要とする用途に好適に使用できる。
尚、不飽和脂環構造を有する化合物は、これが酸素と接触したとき、環内の不飽和結合の部分が容易に酸化され、これにより、酸素が吸収され、酸素吸収性が発揮されるが、芳香族環内に存在する不飽和結合では、このような被酸化性は示さない。
【0029】
本発明において、上記のような不飽和脂環構造を有する化合物(不飽和脂環構造化合物)としては、メチルテトラヒドロインデン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、5-ビニリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペニル-2-ノルボルネン、ジシクロペンタジエン等があるが、本発明においては、特に下記式(1):
【化2】
式中、環Xは、1つの不飽和結合を有する脂肪族環であり、
Yは、アルキル基である、
で表わされる酸無水物、該酸無水物から誘導されるエステル、アミド、イミド又はジカルボン酸、及び該酸無水物に由来する構成単位を有する重合体からなる群より選択された少なくとも一種が、最も好適に使用される。
【0030】
上記の式(1)において、脂肪族環Xは、一つの不飽和結合を有する6員環、即ち、シクロヘキセン環であり、不飽和結合の位置は、3位及び4位の何れでもよいが、特に3位であることが被酸化性の観点から好適である。また、アルキル基としては、特に制限されないが、一般的には、合成上及び被酸化性の観点から、炭素数が3以下の低級アルキル基、特にメチル基が好ましく、その結合位置は、一般に3位或いは4位の何れでもよい。このような酸無水物は、アルキルテトラヒドロ無水フタル酸であり、無水マレイン酸とジエンとのディールスアルダー反応により得られ、それぞれ異性体の混合物の形態で得られ、その混合物のまま、機能性材料として使用することができる。
本発明において、上記酸無水物の最も好適な例としては、下記式(2)で表される3-メチル-Δ-テトラヒドロフタル酸無水物、及び下記式(3)で表される4-メチル-Δ-テトラヒドロフタル酸無水物を挙げることができる。
【0031】
【化3】
【0032】
【化4】
【0033】
また、上記の酸無水物は、それ自体公知の方法で誘導体を形成し得るが、不飽和脂環構造が維持されている限り、このような誘導体を酸素吸収成分(B)として使用することができる。即ち、上記の酸無水物から誘導されるエステル、アミド、イミド、或いはジカルボン酸を、被酸化性の機能性材料して使用することができる。
【0034】
上記のエステルは、アルキルテトラヒドロ無水フタル酸等の酸無水物と各種アルコールと反応させて得られるエステルであり、エステル化に用いるアルコールとしては、特に制限されず、メチルアルコールやエチルアルコールやプロピルアルコール等の脂肪族アルコールやフェノールやベンジルアルコール等の芳香族アルコールの何れも使用することができる。さらにグリコール等の多価アルコールも使用することができる。この場合には、1分子中のアルコールの数に相当する数の不飽和脂環構造を導入することができる。
また、かかるエステルは、上記酸無水物の部分エステルであってもよい。
即ち、このようなエステルは、例えば下記式で表される。
R-O-OC-Z-CO-O-R
HOOC-Z-CO-O-R
或いは
HOOC-Z-CO-O-R-O-CO-Z-COOH
式中、Zは、酸無水物が有する不飽和脂環であり、
Rは、反応に用いたアルコールに由来する有機基である。
【0035】
また、上記のアミドは、アルキルテトラヒドロ無水フタル酸等の酸無水物と各種アミン化合物と反応させて得られるものである。
用いるアミンは、特に制限されず、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン等の脂肪族アミンや、フェニルアミン等の芳香族アミンの何れも使用することができ、酸無水物基を形成している2個のカルボニル基の内の一方がアミド化されたものであってもよいし、両方がアミド化されたものであってもよい。さらに、モノアミンに限定されず、ジアミン、トリアミン等の多価アミンも使用することができ、この場合には、1分子中のアミンの数に相当する数の不飽和脂環構造を導入することができる。
【0036】
また、イミドは、上記のアミドを熱処理してイミド化したものであり、例えば、下記式;
HOOC-Z-CONH-R
或いは
HOOC-Z-CONH-R-CONH-Z-COOH
式中、Zは、酸無水物が有する不飽和脂環であり、
Rは、反応に用いたアミンに由来する有機基である、
で表されるアミドを熱処理することにより得られ、下記式;
Z-(CO)-N-R
或いは
Z-(CO)-N-R-N-(CO)-Z
式中、Z及びRは、上記と同じである、
で表される。
【0037】
さらに、ジカルボン酸は、酸無水物が加水分解して酸無水物基が開裂したものであり、下記式で表される。
HOOC-Z-COOH
式中、Z及びRは、上記と同じである。
【0038】
さらに、前述した酸無水物に由来する構成単位を有する重合体も、酸素吸収性を示すため、水溶性バインダ中に配合する機能性材料として使用することができる。即ち、前述した式(1)で表される酸無水物は、ポリエステルを形成する二塩基酸成分として使用することができる。このような共重合ポリエステルは、分子鎖中に不飽和脂環構造を有しており、従って、所定の酸素吸収性(被酸化性)を示すため、酸素遮断性を付与する機能性材料として使用することが可能となるわけである。
【0039】
また、本発明においては、上述した一般式で表される酸無水物、或いは該酸無水物から誘導される化合物の中でも、特に分子量が2000以下、より好ましくは1000以下の非ポリマー型の化合物(即ち、繰り返し単位を分子中に有していない化合物)が好適である。このような低分子量の非ポリマー型化合物は分子の運動性が高いため、特に酸素との反応性が高く、また水溶性バインダとの相溶性も高いので、高い酸素吸収性と透明性を示すからである。また、このような低分子量の非ポリマー型の化合物の中でも、特に前記一般式(1)の酸無水物とアミンとの反応物であるアミドを熱処理して得られるイミド化合物が特に高い酸素吸収能を示し、より好適に使用される。
【0040】
このようなイミド化合物の製造に使用される前記アミンとしては、脂肪族アミン及び芳香族アミンのいずれも使用することができる。
【0041】
なお、上記の脂肪族アミン及び芳香族アミンの例としては、メチルアミン、メチレンジアミン、プロピルアミン、プロピレンジアミン、ブチルアミン、ブチレンジアミン、ペンチルアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキシルアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプチルアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクチルアミン、オクタメチレンジアミン、ノニルアミン、ノナメチレンジアミン、デシルアミン、デカメチレンジアミン、ウンデシルアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデシルアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデシルアミン、トリデカメチレンジアミン、テトラデシルアミン、テトラデカメチレンジアミン、ペンタデシルアミン、ペンタデカメチレンジアミン、ヘキサデシルアミン、ヘキサデカメチレンジアミン、ヘプタデシルアミン、ヘプタデカメチレンジアミン、オクタデシルアミン、オクタデカメチレンジアミン、ノナデシルアミン、ノナデカメチレンジアミン、エイコシルアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、トリス(2-アミノエチル)アミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、p-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、2,4,6-トリアミノー1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリアミノピリミジン等を挙げることができる。
【0042】
本発明においては、上述した各種の機能性材料の中でも、特に高い酸素遮断性を示すという観点から、脂肪族不飽和結合或いは不飽和脂環構造を有する化合物が好適に使用され、特に不飽和脂環構造を有する化合物が最も好適に使用される。
【0043】
本発明において、上述した機能性材料は、その種類に応じて、十分な酸素吸収性、即ち、酸素遮断性が得られるような量で水溶性バインダ中に配合されていればよい。具体的な配合量は、その種類によって異なるため、一概に規定することはできないが、一般的には、水溶性バインダ100質量部当り、10~300質量部、特に50~250質量部の量で使用されていることが好ましい。この量が少な過ぎると、十分な酸素遮断性を確保することができず、また、多すぎると、水溶性バインダの成膜性が損なわれ、一様な厚みのコーティング105を形成することが困難となるおそれがある。
【0044】
また、上述した機能性材料として、脂肪族不飽和結合或いは不飽和脂環構造を有する化合物が使用される場合には、不飽和結合と酸素との反応(酸素吸収性)を促進させるため、それ自体公知の遷移金属触媒をバリアコーティング105中に分散させておくこともできる。
このような遷移金属触媒は、所謂触媒量で使用することができ、通常、上記化合物当り、遷移金属換算で1000ppm以下の量で、遷移金属の低価数の無機塩、有機塩或いは錯塩の形で適宜使用することができる。
【0045】
かかる遷移金属触媒において、遷移金属としては、鉄、コバルト、ニッケル等の周期律表第VIII族金属が好適であるが、他に銅、銀等の第I族金属、錫、チタン、ジルコニウム等の第IV族金属、バナジウム等の第V族金属、クロム等の第VI族金属、マンガン等の第VII族金属等であってもよい。これらの中でも特にコバルトは、酸素吸収性(酸化性有機成分の酸化)を著しく促進させるため、特に好適である。
【0046】
また、上記遷移金属の無機塩としては、塩化物などのハライド、硫酸塩等のイオウのオキシ塩、硝酸塩などの窒素のオキシ酸塩、リン酸塩などのリンオキシ塩、ケイ酸塩等が挙げられる。
【0047】
遷移金属の有機塩としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩などが挙げられるが、本発明においては、カルボン酸塩が好適である。その具体例としては、酢酸、プロピオン酸、イソプロピオン酸、ブタン酸、イソブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、イソヘプタン酸、オクタン酸、2-エチルヘキサン酸、ノナン酸、3,5,5-トリメチルヘキサン酸、デカン酸、ネオデカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸、リンデル酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ギ酸、シュウ酸、スルファミン酸、ナフテン酸等の遷移金属塩を挙げることができる。
【0048】
遷移金属の錯体としては、β-ジケトンまたはβ-ケト酸エステルとの錯体が挙げられる。
【0049】
本発明に用いるバリアコーティング105には着色剤や紫外線吸収剤を配合することで酸素バリア性に加え遮光性を付与することができる。着色剤としては公知の顔料や染料を用いることができる。
さらに、バリアコーティング105には、着色剤や紫外線吸収剤以外にも、その特性を損なわない範囲内で、粘度調整剤、消泡剤、充填剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、金属セッケン、ワックス、改質用樹脂乃至ゴム等の公知の配合剤を、それ自体公知の処方に従って配合することもできる。
【0050】
上記のような水溶性バインダと機能性材料とからなるバリアコーティング105の厚みは、二重構造体100の用途に応じて、要求される酸素遮断性が確保できるような厚みに設定される。
【0051】
尚、バリアコーティング105の形成は、例えば、前述した水溶性バインダ、機能性材料及び適宜使用される遷移金属触媒を、水やエタノール等の揮発性の溶剤に投入して混合し、得られた塗布液を、必要に応じ塗布性を高めるための表面処理やアンカーコートを施した第1の成形体101(或いは第2の成形体103)の表面に塗布し、乾燥することにより容易に行うことができる。
【0052】
<二重構造体100の好適な形態>
上述した水洗により除去可能なバリアコーティング105が第1の成形体101と第2の成形体103との間に設けられている本発明の二重構造体100は、種々の形態に適用することができるが、特に二軸延伸ブロー成形によって成形される二重構造容器として好適に使用される。
【0053】
このような二重構造容器の形態は、例えば図2に示されている。
図2において、本発明の二重構造体100が適用された二重構造容器は、全体として10で示されており、外容器1と、外容器1の内部に収容されている内容器3とから構成されており、外容器1の内面と、内容器3の外面との間にバリアコーティング5が設けられている。即ち、この例では、外容器1が第2の成形体103に対応し、内容器3が第1の成形体101に対応し、バリアコーティング5は、水洗により除去可能なものとなっている。
【0054】
図2において、外容器1は、首部1a、首部1aに連なる胴部1b及び胴部1bの下端を閉じている底部1cとから形成されており、胴部1b及び底部1cがブロー延伸されている部分であり、首部1aは、ブロー延伸されていない固定部であり、ブロー延伸による薄肉化はされていない。また、首部1aには空気導入口7が形成され、胴部1bの中央部分には、スクイズし易いように、凹んだスクイズ領域が形成されている。
【0055】
また、図2の例では、外容器1の首部1aの外面にサポートリング1dが形成されている。
【0056】
一方、内容器3は、非延伸部である首部3aと、ブロー延伸されて袋状に薄肉となっている胴部3bとを有しており、成形直後の段階では、胴部3bの外面は、外容器1の胴部1b及び底部1cの内面に密着している。
このような内容器3において、首部3aは、外容器1の首部1a内に嵌めこまれており、図1の例では、この首部3aの上方部分が外容器1の首部1aから突出しており、この突出した部分に、キャップを螺子固定するための螺子3cが形成されており、さらに、螺子3cの下方部分に、内容器3が外容器1内に深く侵入しないように、ストッパーとなる突起3dが形成されている。
勿論、本発明が適用される二重構造容器10の形態は、図2に示されている形態に限定されるものではなく、例えば、内容器3の首部3aの上端に、ストッパーとなる突起3dのみを設け、外容器1の首部1aの外面(サポートリング1dの上方部)に、キャップを装着するための螺子を設けることもできる。
【0057】
本発明において、上述した外容器1は、ブロー成形可能な熱可塑性樹脂により形成されており、このような熱可塑性樹脂としては、先に述べたように、第2の成形体103の成形に使用される樹脂、例えば、オレフィン系樹脂やポリエステル樹脂等により形成することができるが、ブロー成形性、容器強度、透明性の観点で、ポリエステル樹脂、最適にはPETにより形成される。
【0058】
さらに、内容器3は、外容器1と同様、ブロー成形可能な熱可塑性樹脂により形成され、特にブロー延伸条件の設定が容易であることから、内容器3形成用の熱可塑性樹脂と外容器1を形成している熱可塑性樹脂とが同種であることが好ましい。
【0059】
本発明が適用される二重構造容器10では、図2に示されているように、外容器1の内面と内容器3の外面との間に、前述した水洗除去可能なバリアコーティング105に相当するコーティング5が存在している。
即ち、このコーティング5により、内容器3内への酸素の透過が有効に抑制され、内容器3内に収容される内容物の酸化劣化を有効に回避し、その鮮度を長期にわたって維持することができる。しかも、このコーティング5は水洗により容易に除去することができるため、使用後に廃棄された二重構造容器10を稀アルカリ水溶液等による水洗によって速やかに取り除くことにより外容器1と内容器3を分離できる。従って、内容器3(或いは外容器1)を形成しているPET等の樹脂の再利用が容易となる。
【0060】
上記のバリアコーティング105に相当するコーティング5は、外容器1の内面に設けることもできるし、内容器3の外面に設けられていてもよいが、このボトル10は両者を接着していないので、両者の間には空隙が形成され空気層が存在しうる。従って、内容器3の外面にコーティング5を設けることが好適である。
【0061】
上述した二重構造容器10は、上記のようなコーティング5が設けられるため、所謂スタックプリフォーム法により製造される。
即ち、外容器1用の樹脂を用いての射出成形により得られた第1のプリフォーム(外容器成形用プリフォーム)と、内容器3用の樹脂を用いての射出成形により得られた第2のプリフォーム(内容器成形用プリフォーム)を使用し、第2のプリフォームを第1のプリフォーム内に挿入して多重構造のスタックプリフォームを形成し、このスタックプリフォームについて二軸延伸ブロー成形を行うという方法により製造される。
即ち、かかる方法によれば、第2のプリフォームの外面(或いは第1のプリフォームの内面)に、コーティング5を容易に形成することができる。
【0062】
上記のスタックプリフォーム法を説明するための図3及び図4において、図2の二重構造容器成形用のスタックプリフォームは、図4において全体として20で示されており、図3に示されているように何れも試験管形状を有している第1のプリフォーム11(図3(a)参照)と第2のプリフォーム13(図3(b)参照)とから形成される。
即ち、第1のプリフォーム11が外容器成形用のプリフォーム、第2のプリフォーム13が内容器成形用のプリフォームであり、第2のプリフォーム13を第1のプリフォーム内に挿入して嵌合保持することにより、ブロー延伸工程に供されるスタックプリフォーム20が組み合立てられる。
【0063】
図3から理解されるように、第1のプリフォーム11及び第2のプリフォーム13は、何れも外容器1の首部1a及び内容器3の首部3aに相当する部分を有している。即ち、これらの部分は、何れも延伸成形されない部分であり、第1のプリフォーム11は、サポートリング1d及び射出成形後の後加工により形成された空気導入口7を有しており、第2のプリフォーム13は、螺子3c及び突起3dを有している。
また、第1のプリフォーム11の首部1aの下方部分の下端が閉じられた筒状部11bが延伸成形される部分であり、ブロー延伸により、外容器1の胴部1b及び底部1cの形態に賦形される。
さらに、第2のプリフォーム13の首部3aの下方部分の下端が閉じられた筒状部13bが延伸成形される部分であり、ブロー延伸により、内容器3の胴部3bの形態に賦形される。即ち、延伸成形により胴部3となる部分に、通常、前述した水溶性バインダ及び機能性材料を含むコーティング5(バリアコーティング105)が塗布により形成されることとなる。
【0064】
このような第1のプリフォーム11内に、第2のプリフォーム13を挿入することによって図4に示す形態のスタックプリフォーム20を組み立て、ブロー金型内に配置し、所定の治具で首部1a,3aを含む部分を固定し(図4においてXで示す領域)、高周波加熱等により、このスタックプリフォーム20を延伸成形可能な温度(プリフォーム11,13を形成している樹脂のガラス転移点温度以上、融点未満)に加熱し、このスタックプリフォーム20(第2のプリフォーム13)内に、ストレッチロッド(図示せず)を挿入して一軸方向に延伸し、さらに、エア等のブロー流体を供給し、周方向に膨張させることにより、図2に示す形態の二重構造容器10が得られる。即ち、図4において、スタックプリフォーム20のYで示す領域が延伸成形される部分となる。
【0065】
本発明においては、上記のような方法により二重構造容器10を成形することにより、水溶性バインダ及び機能性材料を含むコーティング5(バリアコーティング105)を容易に、外容器1と内容器3との間に形成することができる。
例えば、共射出成形によりプリフォームを成形し、これを二軸延伸ブロー成形する方法では、外容器1と内容器3との間にバリア層を形成するためには、熱可塑性のバリア性樹脂を用いる、もしくはバリア材を分散させた熱可塑性樹脂を用いるという手段を取らざるを得ない。既に述べたように、このような方法で酸素に対するバリア性を付与する場合には、使用後に廃棄されたボトルからバリア材を除去することができず、リサイクル性が損なわれてしまう。
しかるに、上述したスタック法を採用した場合には、外容器1用のプリフォーム(第1のプリフォーム11)と内容器3用のプリフォーム(第2のプリフォーム13)とが別個に成形されるため、これらプリフォーム11,13の間の所定部分に容易にコーティング5を形成することができ、しかもかかるコーティング5は水洗により容易に除去できるため、リサイクル性が損なわれることもない。
【0066】
尚、上述した二重構造容器10においては、コーティング5(バリアコーティング105)は、先にも述べたように、水やエタノール等の揮発性溶剤を用いて塗布液を調製し、この塗布液を、噴霧或いはディッピング等により、第2のプリフォームの延伸成形される部分(筒状部13b)の外面に施し、次いで乾燥することにより、容易に形成することができ、この場合のコーティング5は、通常、コーティング5中の機能性材料が、1g/m以上の量で分布するように形成することが好適である。
このようにしてコーティング5が設けられているスタックプリフォーム20をブロー延伸成形することにより、図2に示されているように、外容器1と内容器3との間に水洗除去可能なコーティング5を設けることができる。
尚、かかるブロー延伸成形に際しては、コーティング5中の水溶性バインダ(さらには機能性材料)は流動状態にあるため、膜切れ等を生じることなく、第1のプリフォーム11及び第2のプリフォーム13と共に引き延ばされ、所定の領域にコーティング5を設けることができる。
【0067】
上記のようにして製造された二重構造容器10は、予め、もしくは後加工により外容器1の内面と内容器3の外面との間に空気を導入するための経路を設けることで、内容器3の胴部3bに内容物を収容した後、この外容器1の首部1aに、それ自体公知の逆止弁付キャップを装着することによりエアレス容器しての使用に供することもできる。
【0068】
このような本発明が適用された二重構造容器10では、内袋3に充填された内容物は、例えば、外容器1の胴部1bの凹んでいる部分(スクイズ領域)をスクイズ(押圧)することにより、押圧されて凹んだ分ずつ排出されていき、内容物が排出されて内容器3の胴部3bが減容するが、その分空気導入口7から胴部3bと外容器1の胴部1bの内面との間に空気が導入されて空気層が形成されるため、その後の内容物の排出も有効に行われる。
かかるボトルでは、内容器3の胴部3bからの内部への酸素の侵入がコーティング5により有効に抑制防止でき、内容物の酸化劣化を有効に防止できるばかりが、使用後に廃棄されたボトルからのコーティング5を水洗により容易に除去できるため、優れたリサイクル性が確保されている。
【実施例
【0069】
本発明を次の例によりさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、以下の例において、比較例1~9と共に、実施例11~15,26~29,34,35,38及び39は、本発明の範囲外の例である。
次に実施例及び比較例で使用した材料及び試験方法を示す。
【0070】
<被酸化性有機成分の合成例>
攪拌装置、窒素導入管、滴下漏斗を備えた1000mLの4ツ口セパラブルフラスコに4-メチル-Δ-テトラヒドロ無水フタル酸を45重量%およびcis-3-メチル-Δ-テトラヒドロ無水フタル酸を21重量%含有するメチルテトラヒドロ無水フタル酸混合物(HN-2200:日立化成製)250gを仕込んだ。ここへエタノール200mLに溶解させたアミン成分;メタキシレンジアミン(東京化成工業製)101gを徐々に加えた。全量投入後、窒素雰囲気下120℃~180℃で、生成する水を取り除きながら約5時間反応させることにより被酸化性有機成分MXBIを得た。
【0071】
<コーティング液の調整>
(コーティング液A)
水溶性バインダとしてポリビニルアルコール(富士フイルム和光純薬製:ポリビニルアルコール1,000完全けん化型)10gを蒸留水100gに加え95℃に加熱し完全に溶解するまで攪拌することでコーティング液Aを調整した。
【0072】
(コーティング液B)
水溶性バインダとしてポリビニルアルコール(富士フイルム和光純薬製:ポリビニルアルコール1,000完全けん化型)10gを蒸留水100gに加え95℃に加熱し完全に溶解するまで攪拌し、さらに被酸化性有機成分としてL(+)-アスコルビン酸(富士フイルム和光純薬製)5g加え溶解させることでコーティング液Bを調整した。
【0073】
(コーティング液C)
水溶性バインダとしてポリアクリル酸(富士フイルム和光純薬製:ポリアクリル酸250,000)2gをエタノール(富士フイルム和光純薬製)100gに加え完全に溶解させ、さらに被酸化性有機成分としてMXBI5g加え溶解させることでコーティング液Cを得た。
【0074】
(コーティング液D)
水溶性バインダとしてポリアクリル酸(富士フイルム和光純薬製:ポリアクリル酸250,000)2gをエタノール(富士フイルム和光純薬製)100gに加え完全に溶解させ、さらに被酸化性有機成分としてMXBI5g、酸化促進成分としてN-ヒドロキシフタルイミド(東京化成工業製)2.5mg加え溶解させることでコーティング液Dを得た。
【0075】
(コーティング液E)
水溶性バインダとしてポリアクリル酸(富士フイルム和光純薬製:ポリアクリル酸250,000)2gをエタノール(富士フイルム和光純薬製)100gに加え完全に溶解させ、さらに被酸化性有機成分としてMXBI5g、遷移金属触媒としてステアリン酸コバルト(和光純薬製)5.3mg加え溶解させることでコーティング液Eを得た。
【0076】
(コーティング液F)
水溶性バインダとしてポリアクリル酸(富士フイルム和光純薬製:ポリアクリル酸250,000)2gをエタノール(富士フイルム和光純薬製)100gに加え完全に溶解させ、さらに被酸化性有機成分としてMXBI1g加え溶解させることでコーティング液Fを得た。
【0077】
(コーティング液G)
水溶性バインダとしてポリアクリル酸(富士フイルム和光純薬製:ポリアクリル酸250,000)2gをエタノール(富士フイルム和光純薬製)100gに加え完全に溶解させ、さらに被酸化性有機成分としてMXBI2g加え溶解させることでコーティング液Gを得た。
【0078】
(コーティング液H)
水溶性バインダとしてポリビニルアルコール(富士フイルム和光純薬製:ポリビニルアルコール1,000完全けん化型)10gを蒸留水100gに加え95℃に加熱し完全に溶解させ、さらに食用色素茶色を添加することでコーティング液Hを調製した。
【0079】
(コーティング液I)
水溶性バインダとしてブタンジオールビニルアルコール共重合体(三菱ケミカル製:GポリマーBVE8049Q)20gを蒸留水100gに加え95℃に加熱し完全に溶解するまで攪拌することでコーティング液Iを調製した。
【0080】
(コーティング液J)
水溶性バインダとしてブタンジオールビニルアルコール共重合体(三菱ケミカル製:GポリマーBVE8049Q)25gを蒸留水100gに加え95℃に加熱し完全に溶解するまで攪拌することでコーティング液Jを調製した。
【0081】
<実施例1>
イソフタル酸(共重合比率=1.8mol%)共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(5015w:新光合繊製、IV=0.83)から内容器用プリフォーム(12g)と外容器用プリフォーム(17g)をそれぞれ射出成形により得た。この内容器用プリフォームをマイクロ波プラズマ表面処理装置(Micro Labo-PS2:(株)ニッシン製)を用いて酸素プラズマによる表面処理を施した後、外面にディッピングによりコーティング液Aを塗布しドライヤーで乾燥し(コーティング液Aの乾燥塗布量は0.35g)、外容器用プリフォームを重ねて500mL用ボトルへ二軸延伸ブロー成形した。
【0082】
<実施例2>
コーティング液Aをコーティング液Bに変更し、その乾燥塗布量を表1に示す量とした以外は、実施例1と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを得た。
【0083】
<実施例3>
コーティング液Aをコーティング液Cに変更し、その乾燥塗布量を表1に示す量とした以外は、実施例1と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを得た。
【0084】
<実施例4>
コーティング液Aをコーティング液Dに変更し、その乾燥塗布量を表1に示す量とした以外は、実施例1と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを得た。
【0085】
<実施例5>
コーティング液Aをコーティング液Eに変更し、その乾燥塗布量を表1に示す量とした以外は、実施例1と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを得た。
【0086】
<実施例6>
コーティング液Aをコーティング液Fに変更し、その乾燥塗布量を表1に示す量とした以外は、実施例1と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを得た。
【0087】
<実施例7>
コーティング液Aをコーティング液Gに変更し、その乾燥塗布量を表1に示す量とした以外は、実施例1と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを得た。
【0088】
<実施例8>
コーティング液Eの乾燥塗布量を表1に示す量に変更した以外は、実施例5と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを得た。
【0089】
<比較例1>
コーティングを施さずに作成した以外は実施例1と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを得た。
【0090】
<比較例2>
バレル設定温度を260~280℃とした造粒設備付帯二軸押出機(TEM-35B:東芝機械(株)製)を用い、イソフタル酸(共重合比率=1.8mol%)共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(5015w:新光合繊製、IV=0.83)に被酸化性有機成分MXBIを10%混合混練しストランド状に押出、酸素吸収性樹脂ペレットを得た。被酸化性有機成分MXBIは液体フィーダー(モーノポンプ:兵神装備製)により押出機中途の開口部より添加した。イソフタル酸(共重合比率=1.8mol%)共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(5015w:新光合繊製、IV=0.83)90重量部、酸素吸収性樹脂ペレット10重量部、ネオデカン酸コバルト(OMG製)0.015重量部をドライブレンドし、射出成形により31g単層プリフォームを成形した。次いで、成形したプリフォームを500mL用ボトルに二軸延伸ブロー成形した。
【0091】
<実施例9>
コーティング液Aをコーティング液Hに変更し、その乾燥塗布量を表1に示す量とした以外は、実施例1と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを得た。
【0092】
<比較例3>
イソフタル酸(共重合比率=1.8mol%)共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(5015w:新光合繊製、IV=0.83)100重量部に、赤色と緑色の有機顔料からなる茶色PET樹脂用着色マスターバッチを3重量部ドライブレンドし単層プリフォームを射出成形により得た。次いで、成形したプリフォームを500mL用ボトルへ二軸延伸ブロー成形した。
【0093】
上記実施例及び比較例で作製された二軸延伸ブローボトルについて、下記の方法でバリア性、リサイクル性或いは遮光性を評価し、その結果を、使用したコーティング液の種類、塗布量と共に表1或いは表2に示した。
【0094】
(バリア性能の評価/溶存酸素濃度の測定)
無酸素水製造器(LOW DISSOLVED OXYGEN:三浦工業(株)製)で酸素濃度が0.1ppm以下である無酸素水を作成し、これを成形したボトルに満注充填し、プラスチックキャップで密封した。23℃50%RHで28日間保管した後のボトル内水中溶存酸素濃度を非破壊高感度酸素濃度計(Oxy-4 Trace v3:Presens社製)で測定した。
この溶存酸素濃度の値が小さい程、酸素バリア性が優れていることを示す。
【0095】
(遮光性評価)
成形したボトル胴壁を切り出し、分光光度計(UV-3100:(株)島津製作所製)に付属の積分球装置を装着して透過率を測定した。380nmから780nmの範囲での平均透過率から遮光性を評価した。
この平均透過率が小さい程、遮光性が優れていることを示す。
【0096】
(リサイクル性の評価)
成形したボトルの胴部を1cm角に切り、90℃に加熱した1.5%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬した。15分後に取り出し水道水で洗浄した後、目視、フーリエ変換赤外分光光度計(FTS7000 SIRIES:VARIAN社製)を用いATR法により表面測定、分光光度計(UV-3100:(株)島津製作所製)に付属の積分球装置を装着して透過率測定を行いバリア成分の有無によりリサイクル性を評価した。
〇:リサイクル性に優れている。(バリア成分が除去されている。)
×:リサイクル性が劣っている。(バリア成分が残存している。)
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】
<実施例10>
コーティング液Aをコーティング液Iに変更し、その乾燥塗布量を表1に示す量とした以外は、実施例1と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを得た。
【0100】
<実施例11>
イソフタル酸(共重合比率=1.8mol%)共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(5015w:新光合繊製、IV=0.83)から内容器用プリフォーム(20g)を射出成形により得た。この内容器用プリフォームをマイクロ波プラズマ表面処理装置(Micro Labo-PS2:(株)ニッシン製)を用いて酸素プラズマによる表面処理を施した後、外面にディッピングによりコーティング液Aを塗布しドライヤーで乾燥した(コーティング液Aの乾燥塗布量は0.21g)。コーティングを覆うように内容器用プリフォームの外側に射出成形により外容器用プリフォーム(10g)を成形し、得られたプリフォームを500mL用ボトルへ二軸延伸ブロー成形した。ボトル胴部での内容器の厚みは約200μm、外容器の厚みは約100μmであった。
【0101】
<実施例12>
コーティング液Aの乾燥塗布量を表1に示す量に変更した以外は、実施例11と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを得た。
【0102】
<実施例13>
コーティング液Aをコーティング液Iに変更し、その乾燥塗布量を表1に示す量とした以外は、実施例11と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを得た。
【0103】
<実施例14>
コーティング液Iの乾燥塗布量を表1に示す量に変更した以外は、実施例13と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを得た。
【0104】
<実施例15>
コーティング液Aをコーティング液Jに変更し、その乾燥塗布量を表1に示す量とした以外は、実施例11と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを得た。
【0105】
上記の実施例10~15で作製された二軸延伸ブローボトルについて、実施例1と同様の手法でバリア性及びリサイクル性を評価し、その結果を、使用したコーティング液の種類、塗布量と共に表3に示した。
【0106】
【表3】
【0107】
<実施例16>
コーティング液Aの乾燥塗布量を表3に示す量に変更した以外は、実施例1と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを得た。得られたボトルの酸素バリアの評価は塩化カルシウムを5g充填することにより内部を0%RHに調湿して22℃60%RHの保存環境で行った。
【0108】
<実施例17>
コーティング液Aをコーティング液Hに変更し、乾燥塗布量を表3に示す量に変更した以外は、実施例16と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを作成し、同様の条件で酸素バリアを評価した。
【0109】
<実施例18>
コーティング液Aをコーティング液Iに変更し、乾燥塗布量を表3に示す量に変更した以外は、実施例16と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを作成し、同様の条件で酸素バリアを評価した。
【0110】
<実施例19>
コーティング液Aをコーティング液Jに変更し、乾燥塗布量を表3に示す量に変更した以外は、実施例16と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを作成し、同様の条件で酸素バリアを評価した。
【0111】
<比較例4>
コーティングを施さずに作成した以外は実施例16と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを作成し、同様の条件で酸素バリアを評価した。
【0112】
<実施例20>
実施例16と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを得た。得られたボトルの酸素バリアの評価は塩化カルシウムを5g充填することにより内部を0%RHに調湿して30℃80%RHの保存環境で行った。
【0113】
<実施例21>
実施例17と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを得た。得られたボトルの酸素バリアの評価は塩化カルシウムを5g充填することにより内部を0%RHに調湿して30℃80%RHの保存環境で行った。
【0114】
<実施例22>
実施例18と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを得た。得られたボトルの酸素バリアの評価は塩化カルシウムを5g充填することにより内部を0%RHに調湿して30℃80%RHの保存環境で行った。
【0115】
<実施例23>
実施例19と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを得た。得られたボトルの酸素バリアの評価は塩化カルシウムを5g充填することにより内部を0%RHに調湿して30℃80%RHの保存環境で行った。
【0116】
<比較例5>
比較例4と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを得た。得られたボトルの酸素バリアの評価は塩化カルシウムを5g充填することにより内部を0%RHに調湿して30℃80%RHの保存環境で行った。
【0117】
<実施例24>
実施例16と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを得た。得られたボトルの酸素バリアの評価はグリセリン水溶液を5ml充填することにより内部を70%RHに調湿して22℃60%RHの保存環境で行った。
【0118】
<実施例25>
実施例18と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを得た。得られたボトルの酸素バリアの評価はグリセリン水溶液を5ml充填することにより内部を70%RHに調湿して22℃60%RHの保存環境で行った。
【0119】
<実施例26>
コーティング液Aの乾燥塗布量を表3に示す量に変更した以外は、実施例11と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを得た。得られたボトルの酸素バリアの評価はグリセリン水溶液を5ml充填することにより内部を70%RHに調湿して22℃60%RHの保存環境で行った。
【0120】
<実施例27>
コーティング液Aをコーティング液Hに変更し、乾燥塗布量を表3に示す量に変更した以外は、実施例26と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを作成し、同様の条件で酸素バリアを評価した。
【0121】
<実施例28>
コーティング液Aをコーティング液Iに変更し、乾燥塗布量を表3に示す量に変更した以外は、実施例26と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを作成し、同様の条件で酸素バリアを評価した。
【0122】
<実施例29>
コーティング液Aをコーティング液Jに変更し、乾燥塗布量を表3に示す量に変更した以外は、実施例26と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを作成し、同様の条件で酸素バリアを評価した。
【0123】
<比較例6>
比較例4と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを得た。得られたボトルの酸素バリアの評価はグリセリン水溶液を5ml充填することにより内部を70%RHに調湿して22℃60%RHの保存環境で行った。
【0124】
<実施例30>
実施例16と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを得た。得られたボトルの酸素バリアの評価はグリセリン水溶液を5ml充填することにより内部を70%RHに調湿して30℃80%RHの保存環境で行った。
【0125】
<実施例31>
実施例18と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを得た。得られたボトルの酸素バリアの評価はグリセリン水溶液を5ml充填することにより内部を70%RHに調湿して30℃80%RHの保存環境で行った。
【0126】
<比較例7>
比較例4と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを得た。得られたボトルの酸素バリアの評価はグリセリン水溶液を5ml充填することにより内部を70%RHに調湿して30℃80%RHの保存環境で行った。
【0127】
<実施例32>
実施例16と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを得た。得られたボトルの酸素バリアの評価は水を5ml充填することにより内部を100%RHに調湿して22℃60%RHの保存環境で行った。
【0128】
<実施例33>
実施例18と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを得た。得られたボトルの酸素バリアの評価は水を5ml充填することにより内部を100%RHに調湿して22℃60%RHの保存環境で行った。
【0129】
<実施例34>
実施例26と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを得た。得られたボトルの酸素バリアの評価は水を5ml充填することにより内部を100%RHに調湿して22℃60%RHの保存環境で行った。
【0130】
<実施例35>
実施例28と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを得た。得られたボトルの酸素バリアの評価は水を5ml充填することにより内部を100%RHに調湿して22℃60%RHの保存環境で行った。
【0131】
<比較例8>
比較例4と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを得た。得られたボトルの酸素バリアの評価は水を5ml充填することにより内部を100%RHに調湿して22℃60%RHの保存環境で行った。
【0132】
<実施例36>
実施例16と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを得た。得られたボトルの酸素バリアの評価は水を5ml充填することにより内部を100%RHに調湿して30℃80%RHの保存環境で行った。
【0133】
<実施例37>
実施例18と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを得た。得られたボトルの酸素バリアの評価は水を5ml充填することにより内部を100%RHに調湿して30℃80%RHの保存環境で行った。
【0134】
<実施例38>
実施例26と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを得た。得られたボトルの酸素バリアの評価は水を5ml充填することにより内部を100%RHに調湿して30℃80%RHの保存環境で行った。
【0135】
<実施例39>
実施例28と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを得た。得られたボトルの酸素バリアの評価は水を5ml充填することにより内部を100%RHに調湿して30℃80%RHの保存環境で行った。
【0136】
<比較例9>
比較例4と同様の手法で二軸延伸ブローボトルを得た。得られたボトルの酸素バリアの評価は水を5ml充填することにより内部を100%RHに調湿して30℃80%RHの保存環境で行った。
【0137】
上記の実施例16~39及び比較例4~9で作成されたボトルについては、以下の方法でボトル内酸素濃度を測定することによりバリア性を評価し、その結果を、使用したコーティング液の種類、塗布量と共に表4に示した。
【0138】
(バリア性能の評価/ボトル内酸素濃度の測定)
成形したボトルを窒素置換したグローブボックス内にてアルミ箔積層フィルムで密封した。この際、ボトル内部が0%RH、70%RHまたは100%RHになるように調湿した。22℃60%RHまたは30℃80%RH環境下で保存し、28日間保管した後のボトル内酸素濃度を非破壊高感度酸素濃度計(Oxy-4 Trace v3:Presens社製)で測定した。
この酸素濃度の値が小さい程、酸素バリア性能が優れていることを示す。
【0139】
【表4】
【符号の説明】
【0140】
100:二重構造体
101:第1の成形体
103:第2の成形体
105:バリアコーティング
1:外容器
3:内容器
5:コーティング(バリアコーティング105)
7:空気導入口
10:二重構造容器
11:第1のプリフォーム
13:第2のプリフォーム
図1
図2
図3
図4