(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/21 20060101AFI20240228BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
B41J2/21
B41J2/01 201
(21)【出願番号】P 2019228870
(22)【出願日】2019-12-19
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 眞也
【審査官】高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-177527(JP,A)
【文献】特開2014-097650(JP,A)
【文献】特開2005-088520(JP,A)
【文献】特開2016-055463(JP,A)
【文献】特開2005-144749(JP,A)
【文献】特開2005-199659(JP,A)
【文献】特開2017-154256(JP,A)
【文献】特開2018-153967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に下地印刷を行う第1の色及び下地印刷された記録媒体に対して印刷を行う第2の色のインクを吐出するヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットを制御して、前記記録媒体の前記第2の色による印刷の画素位置とずれた画素位置に前記第1の色の下地印刷を行い、当該下地印刷の後に、当該記録媒体に前記第2の色による印刷を行わせる制御部と、を備え
、
前記制御部は、前記第2の色による印刷の後に、前記ヘッドユニットを制御して、当該第2の色による印刷の画素位置に前記第1の色による印刷を行わせるインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記ヘッドユニットは、前記第1の色のインクのヘッドユニットを複数含む請求項
1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
記録媒体に下地印刷を行う第1の色及び下地印刷された記録媒体に対して印刷を行う第2の色のインクを吐出するヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットを制御して、前記記録媒体の前記第2の色による印刷の画素位置とずれた画素位置に前記第1の色の下地印刷を行い、当該下地印刷の後に、当該記録媒体に前記第2の色による印刷を行わせる制御部と、を備え
、
前記ヘッドユニットは、前記記録媒体の搬送方向の上流から下流へ、前記下地印刷用の第1のヘッドユニットと、前記第2の色のインクによる印刷用の第2のヘッドユニットと、前記第1の色のインクによる印刷用の第3のヘッドユニットと、を順に有し、
前記制御部は、前記第1のヘッドユニットを制御して、前記記録媒体に前記下地印刷を行わせ、当該下地印刷の後に、前記第2のヘッドユニットを制御して、前記記録媒体に前記第2の色による印刷を行わせ、当該第2の色の印刷の後に、前記第3のヘッドユニットを制御して、前記記録媒体に前記第1の色による印刷を行わせるインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2の色による印刷の後に、前記
第3のヘッドユニットを制御して、当該第2の色による印刷の画素位置に前記第1の色による印刷を行わせる請求項
3に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1の色のインクの吐出タイミングを、前記第2の色のインクの通常吐出タイミングとずらす請求項1
から4のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記第1の色の画素位置と前記第2の色の画素位置とは、2分の1画素に対応する距離ずれている請求項
5に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記記録媒体を搬送する搬送部を備え、
前記ヘッドユニットは、前記搬送部に対して固定されており、
前記制御部は、前記第1の色の画素位置を、前記第2の色の画素位置と前記記録媒体の搬送方向にずらす請求項
5又は
6に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記ヘッドユニットを前記記録媒体の搬送方向に直交する主走査方向に移動するキャリッジを備え、
前記制御部は、前記キャリッジを制御し、前記第1の色の画素位置を、前記第2の色の画素位置と前記主走査方向にずらす請求項
5又は
6に記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
前記記録媒体を搬送する搬送部を備え、
前記制御部は、前記搬送部の制御により、前記下地印刷の後に、当該下地印刷の画素位置に対して、前記記録媒体を搬送方向に所定距離搬送させ
、前記下地印刷の画素位置を前記第2の色による印刷の画素位置と前記搬送方向に前記所定距離ずれた画素位置にする請求項
8に記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
前記所定距離は、2分の1画素に対応する距離である請求項
9に記載のインクジェット記録装置。
【請求項11】
前記第1の色のインクと前記第2の色のインクとで画素位置をずらす第1の下地印刷モードと、前記第1の色のインクと前記第2の色のインクとで画素位置をずらさない第2の下地印刷モードとの選択入力を受け付ける操作部を備え、
前記制御部は、前記選択された第1の下地印刷モード又は第2の下地印刷モードに応じて、前記記録媒体に前記第1の色の下地印刷及び前記第2の色による印刷を行う請求項1から
10のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項12】
前記ヘッドユニットは、前記下地印刷用の第1のヘッドユニットと、前記第2の色による印刷用の第2のヘッドユニットと、を含み、
前記第1のヘッドユニットは、前記第2のヘッドユニットと
前記記録媒体の搬送方向又は当該搬送方向に直交する方向に前記所定距離ずれた位置に配置され
、前記下地印刷の画素位置を前記第2の色による印刷の画素位置と前記搬送方向又は前記直交する方向に前記所定距離ずれた画素位置にする請求項1
から4のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項13】
前記所定距離は、2分の1画素に対応する距離である請求項
12に記載のインクジェット記録装置。
【請求項14】
前記第1の色は、白であり、
前記第2の色は、カラー印刷を行うための色である請求項1から
13のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項15】
記録媒体に下地印刷を行う第1の色及び下地印刷された記録媒体に対して印刷を行う第2の色のインクを吐出するヘッドユニットを制御して、前記記録媒体の前記第2の色による印刷の画素位置とずれた画素位置に前記第1の色の下地印刷を行う下地印刷工程と、
前記下地印刷の後に、前記ヘッドユニットを制御して、前記記録媒体に前記第2の色による印刷を行わせる印刷工程と、を含
み、
前記印刷工程において、前記第2の色による印刷の後に、前記ヘッドユニットを制御して、当該第2の色による印刷の画素位置に前記第1の色による印刷を行わせるインクジェット記録方法。
【請求項16】
記録媒体に下地印刷を行う第1の色及び下地印刷された記録媒体に対して印刷を行う第2の色のインクを吐出するヘッドユニットを制御して、前記記録媒体の前記第2の色による印刷の画素位置とずれた画素位置に前記第1の色の下地印刷を行う下地印刷工程と、
前記下地印刷の後に、前記ヘッドユニットを制御して、前記記録媒体に前記第2の色による印刷を行わせる印刷工程と、を含
み、
前記ヘッドユニットは、前記記録媒体の搬送方向の上流から下流へ、前記下地印刷用の第1のヘッドユニットと、前記第2の色のインクによる印刷用の第2のヘッドユニットと、前記第1の色のインクによる印刷用の第3のヘッドユニットと、を順に有し、
前記印刷工程において、前記第1のヘッドユニットを制御して、前記記録媒体に前記下地印刷を行わせ、当該下地印刷の後に、前記第2のヘッドユニットを制御して、前記記録媒体に前記第2の色による印刷を行わせ、当該第2の色の印刷の後に、前記第3のヘッドユニットを制御して、前記記録媒体に前記第1の色による印刷を行わせるインクジェット記録方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送される記録媒体に対し、記録ヘッドに設けられた複数のノズルからインクを吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置が知られている。インクジェット記録装置で画像を形成する場合、Y(イエロー)M(マゼンタ)C(シアン)K(黒)の4色のインクを用いて画像形成を行うのが一般的であるが、さらにW(白)のインクを加えて5色構成で画像形成を行うインクジェット記録装置が知られている。
【0003】
白インクの用途は大きく分けて2種類ある。第一の用途は、透明又は色付きの記録媒体(透明媒体又は色付き媒体)上に画像生成する場合に、下地となる白ベタ部分を形成する目的の用途であり、以下『前白印刷』又は『下地印刷』とする。第二の用途は、画像のハイライト部分や白文字などを際立たせる目的で吐出の順番で最後に白色を塗布する目的の用途であり、以下『後白印刷』とする。
【0004】
例えば、白インクの背景用記録ヘッドが通常のYCMKのカラー用記録ヘッドの前後にあり、表刷り及び裏刷りの前白印刷を行うシングルパス型のインクジェット記録装置が知られている(特許文献1参照)。シングルパス型は、ヘッドユニット(記録ヘッド)の位置が固定され、搬送される記録媒体に印刷する方式である。
【0005】
また、吐出ヘッドの同一ライン上に白のノズル列と通常のカラー印刷用のノズル列とが存在し、下地印刷モードと、通常印刷モードとで独立したスキャン動作をとり、前白印刷及び後白印刷を行うスキャン型のインクジェットプリンターが知られている(特許文献2参照)。スキャン型は、ヘッドユニット(記録ヘッド)の位置が記録媒体の搬送方向(副走査方向)と直交する主走査方向に移動され、搬送される記録媒体に印刷する方式である。特許文献2のインクジェットプリンターは、下地の白を印刷する際にドット径を大きくして、記録媒体の露出部分の隠蔽率を上げている。
【0006】
また、白などのカラーノズル群と通常の色のカラーノズル群とが重ならない位置に搭載されており、前白印刷を先行して実施できるスキャン式の液体吐出装置が知られている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2004-306591号公報
【文献】特開2018-176610号公報
【文献】特開2017-105192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般にインクジェットプリンターでは、色付きの文字、細線の再現性を考慮すると同一画素での各色のインク着弾位置は同じ位置にあることが望ましい。一方で、同じ位置に一定量を超えたインクが吐出されると、インクが固まりにくくなったり、(インクがUV(Ultra Violet)硬化型インクの場合)表面に光沢ムラ(表面に高低差が生じてしまう)が発生する。しかし、引用文献1~3に記載の装置では、下地印刷と同じ位置に通常のカラー印刷を行う構成であった。
【0009】
さらに、下地印刷を目的とした前白印刷については、記録媒体の色味の影響を避けるため、記録媒体の露出部分を隠蔽する割合である隠蔽率をある程度上げることが求められる。隠蔽率は、記録媒体の面積に対する同面積内の印刷部分の面積の割合である。
【0010】
本発明の課題は、下地印刷を行うにあたり、インクが固まりにくくなること及び光沢ムラを防ぎ、記録媒体の露出部分の隠蔽率を上げることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明のインクジェット記録装置は、
記録媒体に下地印刷を行う第1の色及び下地印刷された記録媒体に対して印刷を行う第2の色のインクを吐出するヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットを制御して、前記記録媒体の前記第2の色による印刷の画素位置とずれた画素位置に前記第1の色の下地印刷を行い、当該下地印刷の後に、当該記録媒体に前記第2の色による印刷を行わせる制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第2の色による印刷の後に、前記ヘッドユニットを制御して、当該第2の色による印刷の画素位置に前記第1の色による印刷を行わせる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェット記録装置において、
前記ヘッドユニットは、前記第1の色のインクのヘッドユニットを複数含む。
請求項3に記載の発明のインクジェット記録装置は、
記録媒体に下地印刷を行う第1の色及び下地印刷された記録媒体に対して印刷を行う第2の色のインクを吐出するヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットを制御して、前記記録媒体の前記第2の色による印刷の画素位置とずれた画素位置に前記第1の色の下地印刷を行い、当該下地印刷の後に、当該記録媒体に前記第2の色による印刷を行わせる制御部と、を備え、
前記ヘッドユニットは、前記記録媒体の搬送方向の上流から下流へ、前記下地印刷用の第1のヘッドユニットと、前記第2の色のインクによる印刷用の第2のヘッドユニットと、前記第1の色のインクによる印刷用の第3のヘッドユニットと、を順に有し、
前記制御部は、前記第1のヘッドユニットを制御して、前記記録媒体に前記下地印刷を行わせ、当該下地印刷の後に、前記第2のヘッドユニットを制御して、前記記録媒体に前記第2の色による印刷を行わせ、当該第2の色の印刷の後に、前記第3のヘッドユニットを制御して、前記記録媒体に前記第1の色による印刷を行わせる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のインクジェット記録装置において、
前記制御部は、前記第2の色による印刷の後に、前記第3のヘッドユニットを制御して、当該第2の色による印刷の画素位置に前記第1の色による印刷を行わせる。
【0012】
請求項5は、請求項1から4のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置において、
前記制御部は、前記第1の色のインクの吐出タイミングを、前記第2の色のインクの通常吐出タイミングとずらす。
【0013】
請求項6は、請求項5に記載のインクジェット記録装置において、
前記第1の色の画素位置と前記第2の色の画素位置とは、2分の1画素に対応する距離ずれている。
【0014】
請求項7は、請求項5又は6に記載のインクジェット記録装置において、
前記記録媒体を搬送する搬送部を備え、
前記ヘッドユニットは、前記搬送部に対して固定されており、
前記制御部は、前記第1の色の画素位置を、前記第2の色の画素位置と前記記録媒体の搬送方向にずらす。
【0015】
請求項8は、請求項5又は6に記載のインクジェット記録装置において、
前記ヘッドユニットを前記記録媒体の搬送方向に直交する主走査方向に移動するキャリッジを備え、
前記制御部は、前記キャリッジを制御し、前記第1の色の画素位置を、前記第2の色の画素位置と前記主走査方向にずらす。
【0016】
請求項9は、請求項8に記載のインクジェット記録装置において、
前記記録媒体を搬送する搬送部を備え、
前記制御部は、前記搬送部の制御により、前記下地印刷の後に、当該下地印刷の画素位置に対して、前記記録媒体を搬送方向に所定距離搬送させ、前記下地印刷の画素位置を前記第2の色による印刷の画素位置と前記搬送方向に前記所定距離ずれた画素位置にする。
【0017】
請求項10は、請求項9に記載のインクジェット記録装置において、
前記所定距離は、2分の1画素に対応する距離である。
【0018】
請求項11は、請求項1から10のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置において、
前記第1の色のインクと前記第2の色のインクとで画素位置をずらす第1の下地印刷モードと、前記第1の色のインクと前記第2の色のインクとで画素位置をずらさない第2の下地印刷モードとの選択入力を受け付ける操作部を備え、
前記制御部は、前記選択された第1の下地印刷モード又は第2の下地印刷モードに応じ
て、前記記録媒体に前記第1の色の下地印刷及び前記第2の色による印刷を行う。
【0019】
請求項12は、請求項1から4のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置において、
前記ヘッドユニットは、前記下地印刷用の第1のヘッドユニットと、前記第2の色による印刷用の第2のヘッドユニットと、を含み、
前記第1のヘッドユニットは、前記第2のヘッドユニットと前記記録媒体の搬送方向又は当該搬送方向に直交する方向に前記所定距離ずれた位置に配置され、前記下地印刷の画素位置を前記第2の色による印刷の画素位置と前記搬送方向又は前記直交する方向に前記所定距離ずれた画素位置にする。
【0020】
請求項13は、請求項12に記載のインクジェット記録装置において、
前記所定距離は、2分の1画素に対応する距離である。
【0023】
請求項14に記載の発明は、請求項1から13のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置において、
前記第1の色は、白であり、
前記第2の色は、カラー印刷を行うための色である。
【0024】
請求項15に記載の発明のインクジェット記録方法は、
記録媒体に下地印刷を行う第1の色及び下地印刷された記録媒体に対して印刷を行う第2の色のインクを吐出するヘッドユニットを制御して、前記記録媒体の前記第2の色による印刷の画素位置とずれた画素位置に前記第1の色の下地印刷を行う下地印刷工程と、
前記下地印刷の後に、前記ヘッドユニットを制御して、前記記録媒体に前記第2の色による印刷を行わせる印刷工程と、を含み、
前記印刷工程において、前記第2の色による印刷の後に、前記ヘッドユニットを制御して、当該第2の色による印刷の画素位置に前記第1の色による印刷を行わせる。
請求項16に記載の発明のインクジェット記録方法は、
記録媒体に下地印刷を行う第1の色及び下地印刷された記録媒体に対して印刷を行う第2の色のインクを吐出するヘッドユニットを制御して、前記記録媒体の前記第2の色による印刷の画素位置とずれた画素位置に前記第1の色の下地印刷を行う下地印刷工程と、
前記下地印刷の後に、前記ヘッドユニットを制御して、前記記録媒体に前記第2の色による印刷を行わせる印刷工程と、を含み、
前記ヘッドユニットは、前記記録媒体の搬送方向の上流から下流へ、前記下地印刷用の第1のヘッドユニットと、前記第2の色のインクによる印刷用の第2のヘッドユニットと、前記第1の色のインクによる印刷用の第3のヘッドユニットと、を順に有し、
前記印刷工程において、前記第1のヘッドユニットを制御して、前記記録媒体に前記下地印刷を行わせ、当該下地印刷の後に、前記第2のヘッドユニットを制御して、前記記録媒体に前記第2の色による印刷を行わせ、当該第2の色の印刷の後に、前記第3のヘッドユニットを制御して、前記記録媒体に前記第1の色による印刷を行わせる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、下地印刷を行うにあたり、インクが固まりにくくなること及び光沢ムラを防ぐことができ、記録媒体の露出部分の隠蔽率を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の第1の実施の形態のインクジェット記録装置の概略構成を示す図である。
【
図4】第1の実施の形態のインクジェット記録装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図6】第1の下地印刷モードの下地印刷を示す図である。
【
図7】第1の下地印刷モードのカラー印刷及び後白印刷を示す図である。
【
図8】第2の実施の形態のインクジェット記録装置の概略構成を示す図である。
【
図9】第3の実施の形態のインクジェット記録装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図10】ヘッドユニットの主走査方向往路移動時の下地印刷を示す図である。
【
図11】記録媒体の媒体搬送方向の搬送を示す図である。
【
図12】ヘッドユニットの主走査方向復路移動時のカラー印刷及び後白印刷を示す図である
【発明を実施するための形態】
【0027】
添付図面を参照して本発明に係る第1~第3の実施の形態を順に詳細に説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
【0028】
(第1の実施の形態)
図1~
図7を参照して、本発明に係る第1の実施の形態を説明する。まず、
図1~
図4を参照して、本実施の形態の装置構成を説明する。
図1は、本実施の形態のインクジェット記録装置1の概略構成を示す図である。
図2は、搬送ドラム21の概略構成を示す斜視図である。
図3は、搬送ドラム21の概略構成を示す断面図である。
図4は、インクジェット記録装置1の機能構成を示すブロック図である。
【0029】
本実施の形態のインクジェット記録装置1は、シングルパス型のインクジェット記録装置である。
図1に示すように、インクジェット記録装置1は、給紙部10と、画像記録部20と、排紙部30と、制御部41(
図4)と、を備える。インクジェット記録装置1は、制御部41による制御下で、給紙部10に格納された記録媒体(媒体)Pを画像記録部20に搬送し、画像記録部20で記録媒体Pに画像を記録(形成)し、画像が記録された記録媒体Pを排紙部30に搬送する。記録媒体Pは、用紙とするが、これに限定されるものではなく、布帛又はシート状の樹脂など、表面に吐出されたインク(色材)を固着させることが可能な種々の媒体を用いることができる。
【0030】
給紙部10は、記録媒体Pを格納する給紙トレイ11と、給紙トレイ11から画像記録部20へ記録媒体Pを搬送する搬送ユニット12とを有する。搬送ユニット12は、内側が2本のローラー121,122により支持された輪状のベルト123を備える。搬送ユニット12は、ベルト123上に記録媒体Pを載置した状態でローラー121,122を回転させることで記録媒体Pを搬送する。
【0031】
画像記録部20は、搬送ドラム21と、受け渡しユニット22と、媒体加熱部23と、ヘッドユニット50と、定着部24と、媒体検知部25と、デリバリー部27と、を有する。
【0032】
図2、
図3に示すように、搬送ドラム21は、中空部212を有する円筒状の搬送部材211と、搬送部材211の両側部を覆う一対の支持部213,214と、搬送ドラムモーター(図示略)と、を備える。搬送ドラム21は、円筒状の外周面211a(搬送面)上に記録媒体Pを吸着させ、
図1の図面に垂直な方向(以下X方向と記す)に延びた回転軸を中心に回転することで記録媒体Pを外周面211aに沿った搬送方向(以下、Y方向、媒体搬送方向と記す)に搬送する。搬送ドラム21は、搬送ドラムモーターの回転量に比例した角度だけ回転する。
【0033】
搬送部材211の外周面211aには、搬送部材211の外周面211aとの間で記録媒体Pの端部を挟持することで記録媒体Pを保持する複数の爪部215が設けられている。爪部215は、搬送部材211の外周面211aに形成された凹部217内にX方向に沿って複数収容されている。爪部215は、先端部216が凹部217内に収容された状態と搬送部材211の外周面211aから突出した状態との間で可動に構成されており、先端部216と搬送部材211の外周面211aとによって記録媒体Pの端部を挟持することで記録媒体Pを保持する。また、円筒状の搬送部材211には、外周面211aから搬送部材211を貫通する複数の通気孔218(吸着孔)が形成されている。通気孔218は、外周面211a上で互いに約1cmの間隔を空けて配置される。なお、外周面211a上での通気孔218の配置間隔は、通気孔218の大きさなどに応じて変更することができる。
【0034】
支持部213には、搬送部材211の中空部212と連通する連通口219が形成されている。この連通口219は、吸引ポンプ47(
図4)と接続されている。吸引ポンプ47により連通口219から中空部212内の空気が吸引されることで、外周面211aの反対側(搬送部材211の内周面側)から複数の通気孔218を介して吸気が行われ、中空部212の気圧が搬送ドラム21の外部の気圧に対して低下し、負圧となる。爪部215により端部が挟持されて記録媒体Pが搬送部材211の外周面211aに載置された状態で吸引ポンプ47により吸気されることで、外周面211aのうち通気孔218の位置で記録媒体Pが吸着される。搬送ドラム21は、このような機構により外周面211aに記録媒体Pを吸着させた状態で記録媒体Pを搬送する。また、記録媒体Pは、当該機構により搬送ドラム21の外周面211aに吸着される程度の気密性を有したものが用いられる。
【0035】
図1に示すように、受け渡しユニット22は、給紙部10の搬送ユニット12により搬送された記録媒体Pを搬送ドラム21に引き渡す。受け渡しユニット22は、給紙部10の搬送ユニット12と搬送ドラム21との間の位置に設けられ、搬送ユニット12から搬送された記録媒体Pの一端をスイングアーム部221で保持して取り上げ、受け渡しドラム222を介して搬送ドラム21に引き渡す。
【0036】
媒体検知部25は、搬送方向について受け渡しドラム222の下流側の位置において、搬送ドラム21の回転軸方向の幅に亘って配置され、搬送ドラム21により吸着、搬送される記録媒体Pを検知する。媒体検知部25は、例えば光源と、光電変換素子としてのフォトダイオードとを備えるセンサーを用いることができる。また、媒体検知部25は、記録媒体Pの検知信号を制御部41に出力する。
【0037】
媒体加熱部23は、制御部41の制御により、媒体検知部25による記録媒体Pの検知に応じて、搬送ドラム21に保持された記録媒体Pを加熱する。媒体加熱部23は、例えば、赤外線ヒーターなどを有し、当該赤外線ヒーターは通電に応じて発熱する。媒体加熱部23は、搬送ドラム21の外周面211aの近傍であって、記録媒体Pの搬送方向についてヘッドユニット50の上流側に位置するよう設けられる。媒体加熱部23は、搬送ドラム21に保持されて媒体加熱部23の近傍を通過する記録媒体Pが所定の温度となるようにその発熱を制御部41により制御される。
【0038】
ヘッドユニット50は、搬送ドラム21に保持された記録媒体Pに対してインクを吐出して画像を記録する。ヘッドユニット50は、インク吐出面が搬送ドラム21の外周面211aに対向して所定の距離を置いて配置される。本実施形態のインクジェット記録装置1は、ホワイト(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の5色のインクにそれぞれ対応する5つのヘッドユニット50W,50Y,50M,50C,50K(以下、各ヘッドユニット50とも記す)を備え、これら5つのヘッドユニット50は、記録媒体Pの搬送方向に沿って上流側からW,Y,M,C,Kの色の順に所定の間隔で配列されている。
【0039】
各ヘッドユニット50は、複数の記録素子が配列された記録ヘッド(図示略)を複数(例えば4つ)備える。記録ヘッドに含まれる記録素子の各々は、インクを貯留する圧力室と、圧力室の壁面に設けられた圧電素子と、ノズルと、を含む。記録ヘッドの駆動回路としての記録ヘッド駆動部49(
図4)から圧電素子へ駆動電圧が印加されると、駆動電圧の大きさに応じて圧力室内の圧力が変化し、圧力室に連通するノズルからインクが吐出される。記録素子のノズルは、各ヘッドユニット50の搬送ドラム21側の面(インク吐出面)に開口部が設けられている。複数の記録素子のノズルは、記録ヘッドの搬送ドラム21との対向面において、記録媒体Pの搬送方向(Y方向)と直交する幅方向(X方向)に記録媒体Pへの記録幅に亘って配列されている。記録素子は、例えばX方向に等間隔に配列される。なお、記録素子のノズルの列は、搬送方向と交差する向きに配置されていればよく、必ずしも搬送方向に直交する方向に配置されていなくてもよい。ヘッドユニット50に含まれる記録素子のX方向についての配置範囲は、搬送ドラム21により保持、搬送される記録媒体Pのうち画像が記録される領域のX方向の幅をカバーしており、ヘッドユニット50は、画像の記録時には搬送ドラム21に対して位置が固定されて用いられる。このように、インクジェット記録装置1は、シングルパス型のインクジェット記録装置である。
【0040】
記録素子のノズルから吐出されるインクとしては、温度によってゲル状又はゾル状に相変化し、紫外線などのエネルギー線を照射することにより硬化する性質を有するものが用いられる。ここで、ゲル状とは、ラメラ構造、非共有結合や水素結合により形成される高分子網目、物理的な凝集状態によって形成される高分子網目、微粒子の凝集構造、析出した微結晶などにおいて生じる相互作用により、物質が独立した運動を失って集合し、固化又は半固化された状態をいう。また、ゾル状とは、上記ゲル状での固化又は半固化された状態が解消された流動性を有する液体状態のことを指す。また、本実施の形態では、例えば、常温でゲル状であり加熱されることによりゾル状となるインクが用いられる。ヘッドユニット50は、各ヘッドユニット50内に貯留されるインクを加熱するインク加熱部48(
図4)を備える。インク加熱部48は、制御部41による制御下で動作し、貯留されるインクをゾル状となる温度に加熱する。記録ヘッドは、加熱されてゾル状となったインクを吐出する。このゾル状のインクが記録媒体Pに吐出されると、インク滴が記録媒体Pに着弾した後、自然冷却されることで速やかにインクがゲル状となって固化する。このため、吐出されたインクに対し通気孔218側へ引き込む力が作用していない場合、インクが記録媒体Pに十分に浸み込む前にインク滴の形状がある程度保持された状態で固化される。この状態で固化されたインクの表面は、インクの材質に応じた光沢を有する。
【0041】
定着部24は、X方向に搬送ドラム21の回転軸方向の幅に亘って配置された発光部を有し、搬送ドラム21の外周面211aに吸着された記録媒体Pに対して当該発光部から紫外線などのエネルギー線を照射して記録媒体P上に吐出されたインクを硬化させて定着させる。定着部24は、搬送方向についてヘッドユニット50の下流側に配置される。エネルギー線として紫外線が照射される場合、定着部24の発光部としては、例えば、蛍光管(低圧水銀ランプ、殺菌灯)、冷陰極管、紫外レーザー、数100Paから1MPaまでの動作圧力を有する低圧、中圧、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、LED(Light Emitting Diode)などが用いられる。
【0042】
デリバリー部27は、内側が2本のローラー271,272により支持された輪状のベルト273と、記録媒体Pを搬送ドラム21からベルト273に受け渡す円筒状の受け渡しドラム274とを有し、受け渡しドラム274により搬送ドラム21からベルト273上に受け渡された記録媒体Pをベルト273により搬送して排紙部30に送出する。
【0043】
排紙部30は、デリバリー部27により画像記録部20から送り出された記録媒体Pが載置される板状の排紙トレイ31を有する。なお、インクジェット記録装置1は、受け渡しドラム274から引き渡された記録媒体Pの表裏を反転して再度搬送ドラム21に引き渡すスイッチバック部を備える構成としてもよい。
【0044】
ついで、
図4を参照して、インクジェット記録装置1の主要な機能構成を説明する。インクジェット記録装置1は、制御部41と、操作部42と、表示部43と、記憶部44と、通信部45と、媒体検知部25と、媒体加熱部23と、定着部24と、搬送制御部46と、吸引ポンプ47と、インク加熱部48と、インクジェット印刷部I1と、を備える。インクジェット印刷部I1は、記録ヘッド駆動部49と、ヘッドユニット50と、を有する。制御部41、操作部42、表示部43、記憶部44、通信部45、媒体検知部25、媒体加熱部23、定着部24、搬送制御部46、吸引ポンプ47、インク加熱部48及び記録ヘッド駆動部49は、バス2を介して接続されている。
【0045】
制御部41は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)を有し、各種演算処理を行い、また、インクジェット記録装置1の全体動作を統括制御する。特に、制御部41のCPUは、ROMに記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開し、RAMに展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。RAMは、揮発性のメモリーであり、各種情報及び各種プログラムを一時的に記憶する。ROMは、情報の読み出しを可能に記憶するメモリーであり、各種データ及びプログラムを記憶している。なお、ROM43に代えてEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)やフラッシュメモリーなどの書き換え可能な不揮発性メモリーが用いられてもよい。
【0046】
例えば、制御部41は、記録媒体Pに記録される画像の画像データに応じて、記録ヘッド駆動部49を介してヘッドユニット50の記録ヘッドを動作させることで、記録ヘッドからインクを吐出させて記録媒体Pに画像を記録させる。また、制御部41は、媒体検知部25により記録媒体Pを検知する。また、制御部41は、搬送制御部46により、搬送ドラム21の搬送ドラムモーターへ制御信号を出力させて動作させることで搬送ドラム21を回転させる。また、制御部41は、吸引ポンプ47の駆動回路に制御信号を出力することで吸引ポンプ47に搬送ドラム21の中空部212からの吸気を行わせる。また、制御部41は、インク加熱部48の駆動回路に制御信号を出力することでインク加熱部48にヘッドユニット50内に貯留されたインクを加熱させる。また、制御部41は、操作部42を介するユーザーからの入力に応じて、後述する通常印刷モード、第1の下地印刷モード又は第2の下地印刷モードに対応する印刷(画像形成)処理を実行する。
【0047】
操作部42は、表示部43の表示パネル上に設けられたタッチパネルや各種キーを有し、ユーザーからのタッチ操作、キー操作に応じた操作情報を制御部41に出力する。
【0048】
表示部43は、LCD(Liquid Crystal Display)、EL(ElectroLuminescence)などの表示パネル上に設けられたタッチパネルや各種キーを有し、制御部41からの表示情報に応じて各種表示を行う。
【0049】
記憶部44は、DRAM(Dynamic RAM)などで構成され、通信部45を介して外部装置から入力された画像データなどが記憶される。なお、これらのデータは制御部41のRAMに記憶されてもよい。
【0050】
通信部45は、PC(Personal Computer)、プリントサーバーなどの外部装置との間でデータの送受信を行うインターフェースであり、各種シリアルインターフェース、各種パラレルインターフェース、又は有線若しくは無線のLAN(Local Area Network)の通信カードなどで構成される。
【0051】
媒体検知部25は、搬送ドラム21上の記録媒体Pを検知し、検知信号を制御部41に出力する。媒体加熱部23は、制御部41の制御により、搬送ドラム21上の記録媒体Pを加熱する。定着部24は、制御部41の制御により、搬送ドラム21上のインクが着弾された記録媒体Pにエネルギー線を照射してインクを硬化する。
【0052】
記録ヘッド駆動部49は、制御部41の制御により、記憶部44に記憶された画像データに基づいて、ヘッドユニット50の記録ヘッドの記録素子の圧電素子に印加される駆動電圧のタイミング及び大きさを定める制御信号を当該記録ヘッドに出力する。
【0053】
搬送制御部46は、制御部41の制御により、搬送ユニット12、受け渡しユニット22、搬送ドラム21の搬送ドラムモーター、デリバリー部27などの搬送部を動作させる。
【0054】
つぎに、
図5~
図7を参照して、インクジェット記録装置1の動作を説明する。
図5は、通常印刷モードの印刷を示す図である。
図6は、第1の下地印刷モードの下地印刷を示す図である。
図7は、第1の下地印刷モードのカラー印刷及び後白印刷を示す図である。
【0055】
インクジェット記録装置1は、通常印刷モード、第1の下地印刷モード及び第2の下地印刷モードの印刷モードを有する。通常印刷モードは、通常のカラー印刷のYMCKで記録媒体Pに印刷する印刷モードである。第1の下地印刷モードは、YMCKでの通常のカラー印刷と画素位置をずらしてWの下地を印刷(前白印刷)し通常のカラー印刷をする印刷モードであり、YMCKでの通常のカラー印刷後、さらにWで後白印刷も可能である。第2の下地印刷モードは、YMCKでの通常のカラー印刷と画素位置を同じにしてWの下地を印刷(前白印刷)し通常のカラー印刷をする印刷モードであり、YMCKでの通常のカラー印刷後、さらにWで後白印刷も可能である。
【0056】
まず、通常印刷モードでの印刷を説明する。インクジェット記録装置1において、操作部42を介して、ユーザーから通常印刷モードが設定入力され、通信部45を介して、印刷用の画像データが外部装置から受信されて記憶部44に記憶され、制御部41は、通常印刷モードで、記憶部44に記憶された印刷用の画像データを印刷する。例えば、
図5に示すように、白色の記録媒体P1上に、YMCKでの通常のカラー印刷を行うものとする。
【0057】
図5において、白矢印を搬送部(搬送ドラム21)による記録媒体(記録媒体P1)の媒体搬送方向(Y方向)とし、破線をヘッドユニット(ヘッドユニット50)の通常のカラー印刷のインクの吐出タイミング(通常吐出タイミング)を示す線とし、
図6、
図7、
図10~
図12でも同様とする。
【0058】
制御部41は、搬送制御部46を制御し、搬送ドラム21により媒体搬送方向に記録媒体P1を搬送するとともに、記録ヘッド駆動部49を制御し、ヘッドユニット50Y,50M,50C,50Kにより、これらの配列に応じた色順で通常吐出タイミングに、YMCKのインクの液滴を記録媒体P1上に同じドット径の画素として通常のカラー印刷の画素位置に吐出し、カラー画像を形成する。このようにして、カラー画像のYの画素pY、Mの画素pM、Cの画素pC、Kの画素pKが形成される。
図5の破線の円で示される画素位置には、インクが吐出されていない。なお、印刷に伴う、搬送ユニット12、受け渡しユニット22、媒体検知部25、媒体加熱部23、定着部24、媒体検知部25、デリバリー部27などの制御の説明は省略するものとし、下記の説明でも同様とする。
【0059】
ついで、第1の下地印刷モードでの印刷を説明する。インクジェット記録装置1において、操作部42を介して、ユーザーから第1の下地印刷モードが設定入力され、通信部45を介して、印刷用の画像データが外部装置から受信されて記憶部44に記憶され、制御部41は、第1の下地印刷モードで、記憶部44に記憶された印刷用の画像データを印刷する。例えば、
図6に示すように、白色以外の色(赤、黒などの色や透明も含める。ここでは例えば、茶色とする)の記録媒体P2上に、Wでの下地印刷と、YMCKでの通常のカラー印刷と、Wでの後白印刷と、を行うものとする。
【0060】
制御部41は、搬送制御部46を制御し、搬送ドラム21の一周目の回転により媒体搬送方向に記録媒体P2を搬送するとともに、記録ヘッド駆動部49を制御し、ヘッドユニット50Wにより、通常吐出タイミングから媒体搬送方向に所定距離(1/2画素とする)ずれた画素位置(
図6の一点鎖線)の吐出タイミングで、Wのインクの液滴を記録媒体P2上に(カラー画像と)同じドット径の画素として吐出し、下地画像を形成する。このように、下地のWの画素pW1が形成される。所定距離は、1/2画素が好ましいが、これに限定されるものではない。例えば、搬送ドラム21に搬送方向の位置を計測するエンコーダーがついており、制御部41は、エンコーダーからのエンコーダー値に基づいて、吐出タイミングをずらす。
【0061】
つづいて、
図7に示すように、制御部41は、搬送制御部46を制御し、搬送ドラム21の同じ一周目の回転により媒体搬送方向に記録媒体P2を搬送するとともに、記録ヘッド駆動部49を制御し、ヘッドユニット50Y,50M,50C,50Kにより、これらの配列に応じた色順で通常吐出タイミングの画素位置(
図7の破線)に、YMCKのインクの液滴を記録媒体P2上に(下地画像と)同じドット径の画素pY,pM,pC,pKとして吐出し、カラー画像を形成する。そして、後白印刷する場合には、制御部41は、搬送制御部46を制御し、搬送ドラム21の二周目の回転により媒体搬送方向に記録媒体P2を搬送するとともに、記録ヘッド駆動部49を制御し、ヘッドユニット50Wにより、通常吐出タイミングの画素位置(
図7の破線)に、Wのインクの液滴を記録媒体P2上に同じドット径の画素として吐出し、後白画像を形成する。このように、後白印刷のWの画素pW2が形成される。
【0062】
ついで、第2の下地印刷モードでの印刷を説明する。インクジェット記録装置1において、操作部42を介して、ユーザーから第2の下地印刷モードが設定入力され、通信部45を介して、印刷用の画像データが外部装置から受信されて記憶部44に記憶され、制御部41は、第2の下地印刷モードで記憶部44に記憶された印刷用の画像データを印刷する。例えば、白色以外の色の記録媒体P2上に、Wでの下地印刷と、YMCKでの通常のカラー印刷と、を行うものとする。
【0063】
制御部41は、搬送制御部46を制御し、搬送ドラム21の一周目の回転により媒体搬送方向に記録媒体P2が搬送されるとともに、記録ヘッド駆動部49を制御し、ヘッドユニット50Wにより、通常吐出タイミングの画素位置に、Wのインクの液滴を記録媒体P2上に同じドット径の画素として吐出し、下地画像を形成する。
【0064】
そして、制御部41は、搬送制御部46を制御し、搬送ドラム21の同じ一周目の回転により媒体搬送方向に記録媒体P2が搬送されるとともに、記録ヘッド駆動部49を制御し、ヘッドユニット50Y,50M,50C,50Kにより、これらの配列に応じた色順で通常吐出タイミングの画素位置(
図7の破線)に、YMCKのインクの液滴を記録媒体P2上に同じドット径の画素として吐出し、カラー画像を形成する。
【0065】
この第2の下地印刷モードの印刷例は、
図5で記録媒体P1を記録媒体P2にし、破線の円を白の画素(実線)としたイメージとなる。なお、さらに、搬送ドラム21の二周目の回転により、通常吐出タイミングで、ヘッドユニット50WによるWのインクの吐出により後白印刷がされてもよい。また、通常のカラー印刷がされない画素に対応して、通常吐出タイミングでのWのインクによる下地印刷がされない構成(
図5の破線の円の白画素を形成しない構成)としてもよい。
【0066】
図7の第1の下地印刷モードの印刷画像は、
図5の通常印刷モードの印刷画像又は第2の下地印刷モードの印刷画像に比べて、画素間の隙間の面積が小さくなり(又は無くなり)、記録媒体Pの露出部分の隠蔽率が上がっている。
【0067】
また、記録媒体Pの隠蔽率とインクの消費量とは比例関係にある。記録媒体Pの隠蔽率を上げると必然的にインクの消費量が上がる。このように、第1の下地印刷モードは、下地の隠蔽率が上がるが、その分インクの消費量が多くなる傾向にある。記録媒体Pの隠蔽率があまり要求されないケースでは、第2の下地印刷モードを選択し、かつ通常吐出タイミングの画素位置に対しては、下地のWのインクの吐出を行わない制御を行うことで下地として塗布する白のインク量を節約できるというメリットがある。下地の隠蔽率を上げることを優先するか、隠蔽率が多少低下しても下地用の白インクを節約するかによって、2種類の下地モードを使い分ける。
【0068】
以上、本実施の形態によれば、インクジェット記録装置1は、記録媒体P2に下地印刷を行う第1の色としての白及び下地印刷された記録媒体P2に対して印刷を行う第2の色としてのカラーのインクを吐出するヘッドユニット50と、ヘッドユニット50を制御して、記録媒体P2の通常のカラー印刷の画素(画素pY,pM,pC,pK)の位置とずれた画素(画素pW1)の位置に白の下地印刷を行い、下地印刷の後に、記録媒体P2にカラーによる印刷を行わせる制御部41と、を備える。このため、下地印刷を行うにあたり、WのインクとYMCKのインクとが同位置に吐出(着弾)されないので、インクが固まりにくくなること及び光沢ムラを防ぐことができ、下地画像(及びカラー画像)の部分の面積を大きくして記録媒体P2の露出部分の隠蔽率を上げることができる。
【0069】
また、制御部41は、ヘッドユニット50Wの白のインクの吐出タイミングを、ヘッドユニット50Y,50M,50C,50Kのカラーのインクの通常吐出タイミングとずらす。このため、インクが固まりにくくなること及び光沢ムラを容易に防ぐことができ、記録媒体P2の露出部分の隠蔽率を容易に上げることができる。
【0070】
また、白の画素位置とカラーの画素位置とは、2分の1画素に対応する距離ずれている。このため、インクが固まりにくくなること及び光沢ムラを防ぐことと、記録媒体P2の露出部分の隠蔽率を上げることとを、効果的に行うことができる。
【0071】
また、インクジェット記録装置1は、記録媒体P2を搬送する搬送ドラム21などの搬送部を備える。ヘッドユニット50は、搬送部に対して位置が固定されている。制御部41は、白の画素位置を、カラーの画素位置と記録媒体P2の媒体搬送方向にずらす。このため、下地印刷の画像を媒体搬送方向にずらすことにより、インクが固まりにくくなること及び光沢ムラを防ぐことができ、記録媒体P2の露出部分の隠蔽率を上げることができる。
【0072】
また、インクジェット記録装置1は、白のインクとカラーのインクとで画素位置をずらす第1の下地印刷モードと、白のインクとカラーのインクとで画素位置をずらさない第2の下地印刷モードとの選択入力を受け付ける操作部42を備える。制御部41は、選択された第1の下地印刷モード又は第2の下地印刷モードに応じて、記録媒体P2に白の下地印刷及びカラーによる印刷を行う。このため、第1の下地印刷モードにより、インクが固まりにくくなること及び光沢ムラを防ぐことができ、記録媒体P2の露出部分の隠蔽率を上げることができ、第2の下地印刷モードにより、カラー印刷がない部分の下地のWの画素を形成しないことで、Wのインクを抑制できる。
【0073】
また、制御部41は、カラーによる印刷の後に、ヘッドユニット50Wを制御して、カラーによる印刷の画素位置(とずれていない画素位置)に白の印刷(後白印刷)を行わせる。このため、正確な位置に後白印刷を行うことができる。
【0074】
(第2の実施の形態)
図8を参照して、本発明に係る第2の実施の形態を説明する。
図8は、本実施の形態のインクジェット記録装置1Aの概略構成を示す図である。
【0075】
本実施の形態の装置構成は、第1の実施の形態のインクジェット記録装置1に代えて、
図8に示すインクジェット記録装置1Aを用いる。インクジェット記録装置1Aについて、インクジェット記録装置1と異なる部分を主として説明し、同様の部分の説明を省略する。
【0076】
図8に示すように、インクジェット記録装置1Aは、インクジェット記録装置1のヘッドユニット50をヘッドユニット50Aに代えたものである。ヘッドユニット50は、搬送ドラム21の外周面211a上に、媒体搬送方向の上流から下流へ、ヘッドユニット50W1,50Y,50M,50C,50K,50W2を順に有する。ヘッドユニット50W1は、ヘッドユニット50Wと同様に、白色のインクのヘッドユニットであり、前白印刷(下地印刷)を行う。ヘッドユニット50W2は、ヘッドユニット50Wと同様に、白色のインクのヘッドユニットであり、後白印刷を行う。
【0077】
つぎに、インクジェット記録装置1Aの動作を説明する。インクジェット記録装置1Aにおいて、通常印刷モードで印刷を行う場合、第1の実施の形態の通常印刷モードの印刷と同様となる。
【0078】
そして、インクジェット記録装置1Aにおいて、第1の下地印刷モードで印刷を行う場合、まず、制御部41は、搬送制御部46を制御し、搬送ドラム21の一周目の回転により媒体搬送方向に記録媒体P2を搬送するとともに、記録ヘッド駆動部49を制御し、ヘッドユニット50W1により、通常吐出タイミングから媒体搬送方向に所定距離(1/2画素)ずれた画素位置に、Wのインクの液滴を記録媒体P2上に同じドット径の画素として吐出し、下地画像を形成する。つづいて、制御部41は、搬送制御部46を制御し、搬送ドラム21の同じ一周目の回転により媒体搬送方向に記録媒体P2を搬送するとともに、記録ヘッド駆動部49を制御し、ヘッドユニット50Y,50M,50C,50Kにより、これらの配列に応じた色順で通常吐出タイミングの画素位置に、YMCKのインクの液滴を記録媒体P2上に同じドット径の画素として吐出し、カラー画像を形成する。さらに、後白印刷する場合には、制御部41は、搬送制御部46を制御し、搬送ドラム21の同じ一周目の回転により媒体搬送方向に記録媒体P2を搬送するとともに、記録ヘッド駆動部49を制御し、ヘッドユニット50W2により、通常吐出タイミングの画素位置に、Wのインクの液滴を記録媒体P2上に同じドット径の画素として吐出し、後白画像を形成する。
【0079】
インクジェット記録装置1Aにおいて、第2の下地印刷モードで印刷を行う場合、まず、制御部41は、搬送制御部46を制御し、搬送ドラム21の一周目の回転により媒体搬送方向に記録媒体P2を搬送するとともに、記録ヘッド駆動部49を制御し、ヘッドユニット50W1により、通常吐出タイミングの画素位置に、Wのインクの液滴を記録媒体P2上に同じドット径の画素として吐出し、下地画像を形成する。つづいて、制御部41は、搬送制御部46を制御し、搬送ドラム21の同じ一周目の回転により媒体搬送方向に記録媒体P2を搬送するとともに、記録ヘッド駆動部49を制御し、ヘッドユニット50Y,50M,50C,50Kにより、これらの配列に応じた色順で通常吐出タイミングの画素位置に、YMCKのインクの液滴を記録媒体P2上に同じドット径の画素として吐出し、カラー画像を形成する。
【0080】
さらに、後白印刷する場合には、制御部41は、搬送制御部46を制御し、搬送ドラム21の同じ一周目の回転により媒体搬送方向に記録媒体P2を搬送するとともに、記録ヘッド駆動部49を制御し、ヘッドユニット50W2により、通常吐出タイミングの画素位置に、Wのインクの液滴を記録媒体P2上に同じドット径の画素として吐出し、後白画像を形成する。なお、通常のカラー印刷がされない画素位置に対応して、通常吐出タイミングでのWのインクによる下地印刷がされない構成としてもよい。
【0081】
以上、本実施の形態によれば、インクジェット記録装置1Aのヘッドユニット50Aは、白のインクのヘッドユニット50W1,50W2を含む。このため、ヘッドユニット50W1により下地印刷し、ヘッドユニット50W2により後白印刷できるので、記録媒体P2の搬送回数を少なくすることができ、印刷時間を短縮できる。
【0082】
(第3の実施の形態)
図9~
図12を参照して、本発明に係る第3の実施の形態を説明する。
図9は、本実施の形態のインクジェット記録装置1Bの機能構成を示すブロック図である。
図10は、ヘッドユニット70の主走査方向往路移動時の下地印刷を示す図である。
図11は、記録媒体P2の媒体搬送方向の搬送を示す図である。
図12は、ヘッドユニット70の主走査方向復路移動時のカラー印刷及び後白印刷を示す図である。
【0083】
第1、第2の実施の形態では、装置構成として、シングルパス型のインクジェット記録装置1,1Aを用いたが、本実施の形態では、
図9に示すスキャン型のインクジェット記録装置1Bを用いるものとする。
【0084】
図9に示すように、インクジェット記録装置1Bは、制御部61と、操作部62と、表示部63と、記憶部64と、通信部65と、搬送制御部66と、インクジェット印刷部I2と、を備える。インクジェット印刷部I2は、記録ヘッド駆動部67と、走査駆動部68と、キャリッジ69と、ヘッドユニット70と、を有する。制御部61、操作部62、表示部63、記憶部64、通信部65、搬送制御部66、記録ヘッド駆動部67、走査駆動部68がバス2Bを介して接続されている。
【0085】
制御部61は、CPU、RAM、ROMなどを備える。制御部61は、インクジェット記録装置1Bの全体動作を統括制御する。特に、制御部61は、CPUにより、ROMに記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開し、RAMに展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。RAMは、揮発性のメモリーであり、各種情報及び各種プログラムを一時的に記憶する。ROMは、情報の読み出しを可能に記憶するメモリーであり、各種データ及びプログラムを記憶している。
【0086】
操作部62、表示部63、記憶部64、通信部65は、インクジェット記録装置1の操作部42、表示部43、記憶部44、通信部45と同様である。
【0087】
搬送制御部66は、制御部61の制御により、記録媒体Pの供給トレイからの供給から排出トレイへの排出までの搬送部(搬送ベルトなど(いずれも図示略))を制御し、記録媒体Pの媒体搬送方向の移動及び停止を行う。
【0088】
記録ヘッド駆動部67は、制御部61の制御に基づき、ヘッドユニット70の記録ヘッドの圧電素子を所望のパターンで変形させるための電圧信号を出力する。電圧信号の波形パターンなどは予め設定されて保持されていてよい。
【0089】
ヘッドユニット70は、YMCKWの各色に設けられ、それぞれ、インクのタンク、流路、記録ヘッド(圧電素子など)、複数のノズルなどを有する。圧電素子は、ノズルからインクを吐出させるためにノズル内のインクに圧力変動を付与するアクチュエーターである。なお、アクチュエーターとしては、圧電素子に限られるものではなく、他のもの、例えば、ノズル内のインクを加熱して気泡を生じさせる電熱線などであってもよい。ヘッドユニット70は、Yのインクを吐出するヘッドユニット70Yと、Mのインクを吐出するヘッドユニット70Mと、Cのインクを吐出するヘッドユニット70Cと、Kのインクを吐出するヘッドユニット70Kと、Wのインクを吐出するヘッドユニット70Kと、を有する(
図10)。
【0090】
キャリッジ69は、ヘッドユニット70が搭載され、ヘッドユニット70を移動させる駆動部である。キャリッジ69は、例えば、モーター(図示略)により回転動作する2つのプーリー間に架け渡されたベルトなどを有し、走査駆動部68が出力する駆動信号に基づくモーターの回転動作によりヘッドユニット70(、記録ヘッド駆動部67)を媒体搬送方向に直交する主走査方向に移動させる。走査駆動部68は、制御部61の制御に基づき、駆動信号を生成してキャリッジ69に出力して駆動し、ヘッドユニット70(、記録ヘッド駆動部67)を主走査方向に走査させる。ここでは、キャリッジ69のモーターは逆回転可能であり、走査駆動部68は、モーターをいずれの方向にも回転可能に駆動信号を出力することができるものとする。
【0091】
つぎに、
図10~
図12を参照して、インクジェット記録装置1Bの動作を説明する。まず、
図10に示すように、ヘッドユニット70において、ヘッドユニット70Y,70M,70C,70K,70Wが、左から右の方向(ヘッドユニット70走査時の主走査方向の往路方向)に順に配置されているものとする。また、ヘッドユニット70Y,70M,70C,70K,70Wの長手方向は、記録媒体Pの搬送方向(副走査方向、媒体搬送方向)に平行にされている。
【0092】
インクジェット記録装置1Bは、通常印刷モード、第1の下地印刷モード及び第2の下地印刷モードの印刷モードを有するものとする。
【0093】
まず、通常印刷モードでの印刷を説明する。インクジェット記録装置1Bにおいて、操作部62を介して、ユーザーから通常印刷モードが設定入力され、通信部65を介して、印刷用の画像データが外部装置から受信されて記憶部64に記憶され、制御部61は、通常印刷モードで、記憶部64に記憶された印刷用の画像データを印刷する。
【0094】
制御部61は、搬送制御部66を制御し、媒体搬送方向に記録媒体P1を搬送及び停止し、走査駆動部68を制御し、キャリッジ69を主走査方向の往路方向(
図10)へ走査するとともに、記録ヘッド駆動部67を制御し、ヘッドユニット70Y,70M,70C,70Kにより、通常吐出タイミングに、YMCKのインクの液滴を記録媒体P1上に同じドット径の画素として通常のカラー印刷の画素位置に吐出し、カラー画像を形成する。そして、制御部61は、走査駆動部68を制御し、キャリッジ69の主走査方向の復路方向(
図12)への走査を行う。これらの搬送、主走査方向の往復の走査及びインク吐出を繰り返すことにより、全てのカラー画像が形成されていく。
【0095】
ついで、第1の下地印刷モードでの印刷を説明する。インクジェット記録装置1Bにおいて、操作部62を介して、ユーザーから第1の下地印刷モードが設定入力され、通信部65を介して、印刷用の画像データが外部装置から受信されて記憶部64に記憶され、制御部61は、第1の下地印刷モードで、記憶部64に記憶された印刷用の画像データを印刷する。例えば、白色以外の色の記録媒体P2上に、Wでの下地印刷と、YMCKでの通常のカラー印刷と、Wでの後白印刷と、を行うものとする。
【0096】
まず、
図10に示すように、制御部61は、搬送制御部66を制御し、媒体搬送方向に記録媒体P2を搬送及び停止し、走査駆動部68を制御し、キャリッジ69の主走査方向の往路方向へ走査するとともに、記録ヘッド駆動部67を制御し、ヘッドユニット70Wにより、通常吐出タイミングから主走査方向に所定距離(1/2画素とする)ずれた画素位置(
図10の一点鎖線)の吐出タイミングで、Wのインクの液滴を記録媒体P2上に同じドット径の画素として吐出し、下地画像を形成する。このように、下地のWの画素pW1が形成される。
【0097】
そして、
図11に示すように、制御部61は、搬送制御部66を制御し、媒体搬送方向に、通常吐出タイミングから所定距離(1/2画素とする)だけずれた位置(
図11の一点鎖線)に、記録媒体P2を搬送及び停止する。主走査方向、媒体搬送方向の所定距離は、1/2画素が好ましいが、これに限定されるものではない。また、媒体搬送方向に所定距離ずれた位置への記録媒体P2の搬送を行わない構成としてもよい。
【0098】
そして、
図12に示すように、制御部61は、走査駆動部68を制御し、キャリッジ69の主走査方向の復路方向へ走査するとともに、記録ヘッド駆動部67を制御し、ヘッドユニット70Y,70M,70C,70K,70Wにより、通常吐出タイミングの画素位置(
図12の破線)に、YMCKWのインクの液滴を記録媒体P2上に同じドット径の画素として吐出し、カラー画像及び後白印刷画像を形成する。このように、カラー画像のYMCKの画素pY,pM,pC,pKが形成され、その上から、後白印刷の画素pW2が形成される。
【0099】
ついで、第2の下地印刷モードでの印刷を説明する。インクジェット記録装置1Bにおいて、操作部62を介して、ユーザーから第2の下地印刷モードが設定入力され、通信部65を介して、印刷用の画像データが外部装置から受信されて記憶部64に記憶され、制御部61は、第2の下地印刷モードで、記憶部64に記憶された印刷用の画像データを印刷する。例えば、白色以外の色の記録媒体P2上に、Wでの下地印刷と、YMCKでの通常のカラー印刷と、Wでの後白印刷と、を行うものとする。
【0100】
まず、制御部61は、搬送制御部66を制御し、媒体搬送方向に記録媒体P2を搬送及び停止し、走査駆動部68を制御し、キャリッジ69の主走査方向の往路方向へ走査するとともに、記録ヘッド駆動部67を制御し、ヘッドユニット70Wにより、通常吐出タイミングの画素位置(
図10の破線)に、Wのインクの液滴を記録媒体P2上に同じドット径の画素として吐出し、下地画像を形成する。
【0101】
そして、制御部61は、走査駆動部68を制御し、キャリッジ69の主走査方向の復路方向へ走査するとともに、記録ヘッド駆動部67を制御し、ヘッドユニット70Y,70M,70C,70K,70Wにより、通常吐出タイミングの画素位置(
図10の破線)に、YMCKWのインクの液滴を記録媒体P2上に同じドット径の画素として吐出し、カラー画像及び後白印刷画像を形成する。
【0102】
以上、本実施の形態によれば、インクジェット記録装置1Bは、ヘッドユニット70を記録媒体P2の媒体搬送方向に直交する主走査方向に移動するキャリッジ69を備える。制御部61は、キャリッジ69を制御し、白の画素位置を、カラーの画素位置と主走査方向にずらす。このため、下地印刷の画素位置とカラー印刷の画素位置とを主走査方向にずらすので、インクが固まりにくくなること及び光沢ムラを防ぐことができ、記録媒体P2の露出部分の隠蔽率を上げることができる。
【0103】
また、インクジェット記録装置1Bは、記録媒体P2を搬送する搬送ベルトなどの搬送部を備える。制御部61は、搬送部の制御により、下地印刷の後に、下地印刷の画素位置に対して、記録媒体P2を媒体搬送方向に所定距離搬送させる。このため、下地印刷の画素位置とカラー印刷の画素位置とを媒体搬送方向にずらすので、インクが固まりにくくなること及び光沢ムラを防ぐことができ、媒体の露出部分の隠蔽率を上げることができる。
【0104】
また、所定距離は、2分の1画素に対応する距離である。このため、インクが固まりにくくなること及び光沢ムラを防ぐことと、記録媒体P2の露出部分の隠蔽率を上げることとを、効果的に行うことができる。
【0105】
なお、上記各実施の形態における記述は、本発明に係る好適なインクジェット記録装置及び画像形成方法の一例であり、これに限定されるものではない。上記第1~第3の実施の形態を適宜組み合わせる構成としてもよい。例えば、第3の実施の形態で、ヘッドユニット70がWのヘッドユニットを2つ(例えば、YMCKのヘッドユニットの両端位置に各1つ)配置された構成としてもよい。
【0106】
また、上記各実施の形態では、Wの下地印刷を、通常吐出タイミングでの画素位置、又は通常吐出タイミングから所定距離(例えば1/2画素)離れた画素位置のWのインク吐出印刷により行う構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、通常吐出タイミングから所定距離離れた画素位置でのWのインク吐出による1回目の下地印刷と、通常吐出タイミングでの画素位置でのWのインク吐出による2回目の下地印刷と、により、下地印刷を行う構成としてもよい。なお、通常吐出タイミングの画素位置でのWのインク吐出による1回目の下地印刷と、通常吐出タイミングから所定距離離れた画素位置でのWのインク吐出による2回目の下地印刷と、により、下地印刷を行う構成としてもよい。
【0107】
これらの構成では、第1の実施の形態では、下地印刷、通常のカラー印刷及び後処理印刷を行うのに、搬送ドラム21を3周(1周目:ヘッドユニット50Wによる1回目の下地印刷、2周目:ヘッドユニット50Wによる2回目の下地印刷及びヘッドユニット50Y,50M,50C,50Kによる通常のカラー印刷、3周目:ヘッドユニット50Wによる後白印刷)回転しうる。同様に、第2の実施の形態では、下地印刷、通常のカラー印刷及び後処理印刷を行うのに、搬送ドラム21を2周(1周目:ヘッドユニット50W1による1回目の下地印刷、ヘッドユニット50W2による2回目の下地印刷、2周目:ヘッドユニット50Y,50M,50C,50Kによる通常のカラー印刷、ヘッドユニット50Wによる後白印刷)回転しうる。
【0108】
同様に、第3の実施の形態では、ヘッドユニット70の主走査方向の往路方向への走査時に、ヘッドユニット70Wにより、1回目の下地印刷が行われ、ヘッドユニット70の主走査方向の復路方向への走査時に、ヘッドユニット70Wにより、2回目の下地印刷が行われ(、媒体搬送方向への記録媒体P2の所定距離の搬送後)、ヘッドユニット70の主走査方向の往路方向への走査後、主走査方向の復路方向への走査時に、ヘッドユニット70Y,70M,70C,70K,70Wにより、通常のカラー印刷及び後白印刷が行われる。あるいは、2回の下地印刷の後、ヘッドユニット70の主走査方向の往路方向への走査時に、ヘッドユニット70Y,70M,70C,70Kにより、通常のカラー印刷が行われ、主走査方向の復路方向への走査時に、ヘッドユニット70Wにより、後白印刷が行われる。この下地印刷を2回行う構成によれば、記録媒体P2の露出分の隠蔽率をさらに上げることができる。
【0109】
また、第1の実施の形態のインクジェット記録装置1において、ヘッドユニット50Wが、ヘッドユニット50Y,50M,50C,50Kに対して、媒体搬送方向に直交する方向(主走査方向に対応する方向)に所定距離(例えば1/2画素)ずらして配置される構成としてもよい。この構成では、制御部41が、インクの吐出タイミングや搬送を制御しなくても、記録媒体P2に下地印刷及びカラー印刷を通常に行うと、下地印刷の画素位置がカラー印刷の画素位置に対して所定距離(例えば1/2画素)ずれる。ただし、ヘッドユニット50Wで、カラー印刷の画素位置への後白印刷ができない。
【0110】
第2の実施の形態のインクジェット記録装置1Aにおいて、ヘッドユニット50W1が、ヘッドユニット50Y,50M,50C,50Kに対して、媒体搬送方向に直交する方向(主走査方向に対応する方向)に所定距離(例えば1/2画素)ずらして配置され、ヘッドユニット50W2が、ヘッドユニット50Y,50M,50C,50Kに対して、媒体搬送方向に直交する方向に所定距離ずらさずに配置される構成としてもよい。この構成では、ヘッドユニット50W1による下地印刷の画素位置がカラー印刷の画素位置に対して所定距離(例えば1/2画素)ずれるとともに、ヘッドユニット50W2により、カラー印刷の画素位置に後白印刷を行うことができる。
【0111】
第3の実施の形態のインクジェット記録装置1Bにおいて、ヘッドユニット70Wが、ヘッドユニット70Y,70M,70C,70Kに対して、媒体搬送方向に所定距離(例えば1/2画素)ずらして配置される構成としてもよい。この構成では、制御部61が、インクの吐出タイミングや搬送を制御しなくても、記録媒体P2に下地印刷及びカラー印刷を通常に行うと、ヘッドユニット70Wによる下地印刷の画素位置がカラー印刷の画素位置に対して媒体搬送方向に所定距離(例えば1/2画素)ずれる。
【0112】
これにより、下地印刷を行うにあたり、インクの吐出タイミングや搬送を制御しなくても、インクが固まりにくくなること及び光沢ムラを容易に防ぎ、記録媒体P2の露出部分の隠蔽率を容易に上げるができる。
【0113】
また、ヘッドユニット50W(50W1,70W)の画素位置と、ヘッドユニット50Y,50M,50C,50K(70Y,70M,70C,70K)の画素位置との距離を、2分の1画素に対応する距離とすることにより、インクが固まりにくくなること及び光沢ムラを防ぐことと、記録媒体P2の露出部分の隠蔽率を上げることとを、効果的に行うことができる。
【0114】
また、上記各実施の形態では、インクの色に関し、第1の色として白を用い、第2の色としてカラー印刷を行うための色(YMCK)を用いたが、これに限定されるものではない。第1の色として、メタリックなど、他の色を用いてもよく、第2の色として、他の色を用いてもよい。
【0115】
また、以上の実施の形態におけるインクジェット記録装置1,1A,1Bを構成する各部の細部構成及び細部動作に関して本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0116】
1,1A,1B インクジェット記録装置
10 給紙部
11 給紙トレイ
12 搬送ユニット
121,122 ローラー
123 ベルト
20 画像記録部
21 搬送ドラム
211 搬送部材
211a 外周面
212 中空部
213,214 支持部
215 爪部
216 先端部
217 凹部
218 通気孔
219 連通口
22 受け渡しユニット
221 スイングアーム部
222 受け渡しドラム
23 媒体加熱部
24 定着部
25 媒体検知部
27 デリバリー部
271,272 ローラー
273 ベルト
274 受け渡しドラム
30 排紙部
31 排紙トレイ
41,61 制御部
42,62 操作部
43,63 表示部
44,64 記憶部
45,65 通信部
46,66 搬送制御部
47 吸引ポンプ
48 インク加熱部
I1,I2 インクジェット印刷部
49,67 記録ヘッド駆動部
68 走査駆動部
69 キャリッジ
50,50W,50Y,50M,50C,50K,50A,50W1,50W2,70,70Y,70M,70C,70K,70W ヘッドユニット
バス 2,2B
P,P1,P2 記録媒体