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特許7443759位置推定装置、位置推定方法、プログラム及び位置推定システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】位置推定装置、位置推定方法、プログラム及び位置推定システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/02 20100101AFI20240228BHJP
【FI】
G01S5/02 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019232260
(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2021099298
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】西川 由明
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-200060(JP,A)
【文献】特開2015-197417(JP,A)
【文献】特開2017-003348(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0237480(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00 - 5/14
19/00 - 19/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置が既知である複数の第1観測装置のそれぞれから、信号発信機から発信され且つ各第1観測装置にて受信された所定信号についての電波強度の第1時系列データを取得し、位置が既知でない第2観測装置から、前記信号発信機から発信され且つ前記第2観測装置にて受信された前記所定信号についての電波強度の第2時系列データを取得する取得部と、
前記取得された各第1時系列データから、状態遷移モデルを用いることによって、各第1時系列データに対応する第1観測装置の位置における、ノイズが存在しないときの真の電波強度である電波強度状態を推定すると共に、前記取得された第2時系列データから、前記状態遷移モデルを用いることによって、前記第2観測装置の位置における、ノイズが存在しないときの真の電波強度である電波強度状態を推定する電波強度状態推定部と、
前記複数の第1観測装置のそれぞれについての位置及び前記推定された電波強度状態を用いて、対象空間の各ポイントにおける、ノイズが存在しないときの真の電波強度である電波強度状態を推定する電波強度空間推定部と、
前記推定された各ポイントにおける電波強度状態と前記推定された第2観測装置の位置における電波強度状態とを比較して、前記第2観測装置についての位置を推定する位置推定部と、
前記推定された前記第2観測装置についての位置の第3時系列データに基づいて、前記状態遷移モデルを用いることによって、前記第2観測装置についての、ノイズが存在しないときの真の位置である位置状態を推定する位置状態推定部と、
を具備する位置推定装置。
【請求項2】
前記状態遷移モデルとしてローカルレベルモデルが適用される、
請求項1記載の位置推定装置。
【請求項3】
前記電波強度状態推定部は、各第1時系列データから第1の分散値を算出し、前記算出された第1の分散値に基づいて、前記ローカルレベルモデルにおけるノイズの分散値を設定する第1パラメータ設定部を含む、
請求項2記載の位置推定装置。
【請求項4】
前記第1パラメータ設定部は、前記算出された第1の分散値に対して第1係数を乗算することにより、前記ノイズの分散値を算出し、前記第1係数は、10000から100000000までの範囲に収まる値を有する、
請求項3記載の位置推定装置。
【請求項5】
前記位置状態推定部は、前記第3時系列データから第2の分散値を算出し、前記算出された第2の分散値に基づいて、前記ローカルレベルモデルにおけるノイズの分散値を設定する第2パラメータ設定部を含む、
請求項記載の位置推定装置。
【請求項6】
前記第2パラメータ設定部は、前記算出された第2の分散値に対して第2係数を乗算することにより、前記ノイズの分散値を算出し、前記第2係数は、10000から100000000までの範囲に収まる値を有する、
請求項記載の位置推定装置。
【請求項7】
位置が既知である複数の第1観測装置のそれぞれから、信号発信機から発信され且つ各第1観測装置にて受信された所定信号についての電波強度の第1時系列データを取得し、位置が既知でない第2観測装置から、前記信号発信機から発信され且つ前記第2観測装置にて受信された前記所定信号についての電波強度の第2時系列データを取得し、
前記取得された各第1時系列データから、状態遷移モデルを用いることによって、各第1時系列データに対応する第1観測装置の位置における、ノイズが存在しないときの真の電波強度である電波強度状態を推定すると共に、前記取得された第2時系列データから、前記状態遷移モデルを用いることによって、前記第2観測装置の位置における、ノイズが存在しないときの真の電波強度である電波強度状態を推定し、
前記複数の第1観測装置のそれぞれについての位置及び前記推定された電波強度状態を用いて、対象空間の各ポイントにおける、ノイズが存在しないときの真の電波強度である電波強度状態を推定し、
前記推定された各ポイントにおける電波強度状態と前記推定された第2観測装置の位置における電波強度状態とを比較して、前記第2観測装置についての位置を推定し、
前記推定された前記第2観測装置についての位置の第3時系列データに基づいて、前記状態遷移モデルを用いることによって、前記第2観測装置についての、ノイズが存在しないときの真の位置である位置状態を推定する、
位置推定方法。
【請求項8】
前記状態遷移モデルとしてローカルレベルモデルが適用される、
請求項7記載の位置推定方法。
【請求項9】
位置が既知である複数の第1観測装置のそれぞれから、信号発信機から発信され且つ各第1観測装置にて受信された所定信号についての電波強度の第1時系列データを取得し、位置が既知でない第2観測装置から、前記信号発信機から発信され且つ前記第2観測装置にて受信された前記所定信号についての電波強度の第2時系列データを取得し、
前記取得された各第1時系列データから、状態遷移モデルを用いることによって、各第1時系列データに対応する第1観測装置の位置における、ノイズが存在しないときの真の電波強度である電波強度状態を推定すると共に、前記取得された第2時系列データから、前記状態遷移モデルを用いることによって、前記第2観測装置の位置における、ノイズが存在しないときの真の電波強度である電波強度状態を推定し、
前記複数の第1観測装置のそれぞれについての位置及び前記推定された電波強度状態を用いて、対象空間の各ポイントにおける、ノイズが存在しないときの真の電波強度である電波強度状態を推定し、
前記推定された各ポイントにおける電波強度状態と前記推定された第2観測装置の位置における電波強度状態とを比較して、前記第2観測装置についての位置を推定し、
前記推定された前記第2観測装置についての位置の第3時系列データに基づいて、前記状態遷移モデルを用いることによって、前記第2観測装置についての、ノイズが存在しないときの真の位置である位置状態を推定する、
処理を、位置推定装置に実行させるプログラム。
【請求項10】
位置が既知である複数の第1観測装置と、
位置が既知でない第2観測装置と、
位置推定装置と、
を含み、
前記位置推定装置は、
前記複数の第1観測装置のそれぞれから、信号発信機から発信され且つ各第1観測装置にて受信された所定信号についての電波強度の第1時系列データを取得し、前記第2観測装置から、前記信号発信機から発信され且つ前記第2観測装置にて受信された前記所定信号についての電波強度の第2時系列データを取得する取得部と、
前記取得された各第1時系列データから、状態遷移モデルを用いることによって、各第1時系列データに対応する第1観測装置の位置における、ノイズが存在しないときの真の電波強度である電波強度状態を推定すると共に、前記取得された第2時系列データから、前記状態遷移モデルを用いることによって、前記第2観測装置の位置における、ノイズが存在しないときの真の電波強度である電波強度状態を推定する電波強度状態推定部と、
前記複数の第1観測装置のそれぞれについての位置及び前記推定された電波強度状態を用いて、対象空間の各ポイントにおける、ノイズが存在しないときの真の電波強度である電波強度状態を推定する電波強度空間推定部と、
前記推定された各ポイントにおける電波強度状態と前記推定された第2観測装置の位置における電波強度状態とを比較して、前記第2観測装置についての位置を推定する位置推定部と、
前記推定された前記第2観測装置についての位置の第3時系列データに基づいて、前記状態遷移モデルを用いることによって、前記第2観測装置についての、ノイズが存在しないときの真の位置である位置状態を推定する位置状態推定部と、
を具備する、
位置推定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、位置推定装置、位置推定方法、プログラム及び位置推定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
受信電波強度に基づいて位置を推定する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1に開示されている技術において、位置推定装置は、各無線基地局における無線信号の受信電力を算出するための減衰パラメータの設定値を、各無線基地局における各方位エリアの距離エリア毎に保持している。また、位置推定装置は、各無線基地局から受信電力の測定値を取得する。そして、位置推定装置は、各無線基地局の各距離エリアに設定された減衰パラメータの設定値それぞれを用いて算出可能な、無線信号の送信電力に対する各無線基地局における受信電力の示す減衰傾向が、各無線基地局から取得した受信電力の測定値それぞれに表れる減衰傾向に適合する位置を地図上で探索することで、移動端末の位置を推定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-67529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、特許文献1に開示されている技術では位置推定精度が低い可能性があることを見出した。すなわち、観測装置によって時々刻々と観測される電波強度には、様々な理由によってノイズが重畳しており、その観測値は、確率的に変化する。このような確率的な変動は、観測装置ごとに異なる値をとる。このため、観測値に基づき計算される空間の電波強度にもノイズが現れる。このようなノイズが現れる空間の電波強度に基づいて計算される推定位置にもノイズが現れる。このため、位置推定精度が低くなる可能性がある。
【0005】
本開示の目的は、位置推定精度を向上させることができる、位置推定装置、位置推定方法、プログラム及び位置推定システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様にかかる位置推定装置は、位置が既知である複数の第1観測装置のそれぞれから各第1観測装置にて受信された所定信号についての電波強度の第1時系列データ、及び、位置が既知でない第2観測装置から前記第2観測装置にて受信された前記所定信号についての電波強度の第2時系列データを取得する取得部と、
前記取得された各第1時系列データから、各第1時系列データに対応する第1観測装置の位置における電波強度状態を推定すると共に、前記取得された第2時系列データから、前記第2観測装置の位置における電波強度状態を推定する電波強度状態推定部と、
前記複数の第1観測装置のそれぞれについての位置及び前記推定された電波強度状態を用いて、対象空間の各ポイントにおける電波強度状態を推定する電波強度空間推定部と、
前記推定された各ポイントにおける電波強度状態と前記推定された第2観測装置の位置における電波強度状態とを比較して、前記第2観測装置についての位置を推定する位置推定部と、
前記推定された前記第2観測装置についての位置の第3時系列データに基づいて、前記第2観測装置についての位置状態を推定する位置状態推定部と、
を具備する。
【0007】
第2の態様にかかる位置推定方法は、位置が既知である複数の第1観測装置のそれぞれから各第1観測装置にて受信された所定信号についての電波強度の第1時系列データ、及び、位置が既知でない第2観測装置から前記第2観測装置にて受信された前記所定信号についての電波強度の第2時系列データを取得し、
前記取得された各第1時系列データから、各第1時系列データに対応する第1観測装置の位置における電波強度状態を推定すると共に、前記取得された第2時系列データから、前記第2観測装置の位置における電波強度状態を推定し、
前記複数の第1観測装置のそれぞれについての位置及び前記推定された電波強度状態を用いて、対象空間の各ポイントにおける電波強度状態を推定し、
前記推定された各ポイントにおける電波強度状態と前記推定された第2観測装置の位置における電波強度状態とを比較して、前記第2観測装置についての位置を推定し、
前記推定された前記第2観測装置についての位置の第3時系列データに基づいて、前記第2観測装置についての位置状態を推定する。
【0008】
第3の態様にかかるプログラムは、位置が既知である複数の第1観測装置のそれぞれから各第1観測装置にて受信された所定信号についての電波強度の第1時系列データ、及び、位置が既知でない第2観測装置から前記第2観測装置にて受信された前記所定信号についての電波強度の第2時系列データを取得し、
前記取得された各第1時系列データから、各第1時系列データに対応する第1観測装置の位置における電波強度状態を推定すると共に、前記取得された第2時系列データから、前記第2観測装置の位置における電波強度状態を推定し、
前記複数の第1観測装置のそれぞれについての位置及び前記推定された電波強度状態を用いて、対象空間の各ポイントにおける電波強度状態を推定し、
前記推定された各ポイントにおける電波強度状態と前記推定された第2観測装置の位置における電波強度状態とを比較して、前記第2観測装置についての位置を推定し、
前記推定された前記第2観測装置についての位置の第3時系列データに基づいて、前記第2観測装置についての位置状態を推定する、
処理を、位置推定装置に実行させる。
【0009】
第4の態様にかかる位置推定システムは、位置が既知である複数の第1観測装置と、
位置が既知でない第2観測装置と、
位置推定装置と、
を含み、
前記位置推定装置は、
前記複数の第1観測装置のそれぞれから各第1観測装置にて受信された所定信号についての電波強度の第1時系列データ、及び、前記第2観測装置から前記第2観測装置にて受信された前記所定信号についての電波強度の第2時系列データを取得する取得部と、
前記取得された各第1時系列データから、各第1時系列データに対応する第1観測装置の位置における電波強度状態を推定すると共に、前記取得された第2時系列データから、前記第2観測装置の位置における電波強度状態を推定する電波強度状態推定部と、
前記複数の第1観測装置のそれぞれについての位置及び前記推定された電波強度状態を用いて、対象空間の各ポイントにおける電波強度状態を推定する電波強度空間推定部と、
前記推定された各ポイントにおける電波強度状態と前記推定された第2観測装置の位置における電波強度状態とを比較して、前記第2観測装置についての位置を推定する位置推定部と、
前記推定された前記第2観測装置についての位置の第3時系列データに基づいて、前記第2観測装置についての位置状態を推定する位置状態推定部と、
を具備する。
【発明の効果】
【0010】
本開示により、位置推定精度を向上させることができる、位置推定装置、位置推定方法、プログラム及び位置推定システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態における位置推定システムの一例を示す図である。
図2】第1実施形態における観測装置の一例を示すブロック図である。
図3】第1実施形態における観測装置の一例を示すブロック図である。
図4】第1実施形態における位置推定装置の一例を示すブロック図である。
図5】第1実施形態における位置推定装置の電波強度状態の推定処理の一例を示すフローチャートである。
図6】第1実施形態における位置推定装置の対象空間の各ポイントにおける電波強度状態の推定処理の一例を示すフローチャートである。
図7】第1実施形態における位置推定装置の位置状態の推定処理の一例を示すフローチャートである。
図8】第3実施形態における位置推定装置の一例を示すブロック図である。
図9】位置推定装置のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、実施形態について説明する。なお、実施形態において、同一又は同等の要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0013】
<第1実施形態>
<位置推定システムの概要>
図1は、第1実施形態における位置推定システムの一例を示す図である。図1において位置推定システム1は、観測装置(第1観測装置)10-1~10-3と、観測装置(第2観測装置)20と、位置推定装置(解析装置)30とを含んでいる。以下では、観測装置10-1~10-3を区別しない場合、観測装置10-1~10-3を単に観測装置10と呼ぶことがある。なお、ここでは、説明を簡単にするために、位置推定システム1が含む観測装置10及び観測装置20の数をそれぞれ3つ及び1つとしているが、本開示はこれに限定されるものではない。
【0014】
各観測装置10は、その位置が既知である観測装置である。一方、観測装置20は、位置が既知でない観測装置である。すなわち、位置推定システム1は、観測装置20の位置を推定するシステムである。
【0015】
各観測装置10は、信号発信源(不図示)から順次無線送信された複数の「所定信号」を受信し、受信した各所定信号の「電波強度」を測定する。これにより、電波強度の時系列データ(以下では、「第1時系列データ」と呼ぶことがある)が得られる。すなわち、第1時系列データは、各電波強度が各受信所定信号に対応する複数の電波強度(つまり、「第1電波強度群」)を含む。そして、各観測装置10は、第1時系列データを位置推定装置30に送信する。
【0016】
観測装置20は、信号発信源(不図示)から順次無線送信された複数の「所定信号」を受信し、受信した各所定信号の電波強度を測定する。これにより、電波強度の時系列データ(以下では、「第2時系列データ」と呼ぶことがある)が得られる。すなわち、第2時系列データは、各電波強度が各受信所定信号に対応する複数の電波強度(つまり、「第2電波強度群」)を含む。そして、観測装置20は、第2時系列データを位置推定装置30に送信する。なお、観測装置10と位置推定装置30との間、及び、観測装置20と位置推定装置30との間は、有線によって接続されていてもよいし、無線によって接続されていてもよい。図1では、観測装置10と位置推定装置30とがネットワークを介して有線で接続され、観測装置20と位置推定装置30とがネットワークを介して有線で接続されている例が示されている。
【0017】
位置推定装置30は、各観測装置10から第1時系列データを取得し、観測装置20から第2時系列データを取得する。そして、位置推定装置30は、取得した第1時系列データ及び第2時系列データに基づいて、観測装置20の位置を推定する。
【0018】
<観測装置の構成例>
図2,3は、第1実施形態における観測装置の一例を示すブロック図である。図2において観測装置10は、受信部11と、電波強度測定部12と、送信部13とを有している。
【0019】
受信部11は、信号発信源(不図示)から順次無線送信された複数の「所定信号」を受信する。
【0020】
電波強度測定部12は、受信部11にて受信された各所定信号の「電波強度」を測定(観測)する。これにより、上記の「第1時系列データ」が得られる。
【0021】
送信部13は、電波強度測定部12にて得られた「第1時系列データ」を位置推定装置30に送信する。
【0022】
図3において観測装置20は、受信部21と、電波強度測定部22と、送信部23とを有している。
【0023】
受信部21は、信号発信源(不図示)から順次無線送信された複数の「所定信号」を受信する。
【0024】
電波強度測定部22は、受信部21にて受信された各所定信号の「電波強度」を測定(観測)する。これにより、上記の「第2時系列データ」が得られる。
【0025】
送信部23は、電波強度測定部22にて得られた「第2時系列データ」を位置推定装置30に送信する。
【0026】
ここで、「電波強度」は、一般に、送信電力、受信感度、送受信間の通信環境により決定する。送受信間の通信環境とは、距離やマルチパス、遮蔽、フェージングなどが挙げられる。電波強度の観測値の上限は、これらの情報から決まると考えられており、一般に、送受信間の距離が離れるほど低下する。電波強度の観測値の下限は、一般に、観測装置の性能限界による。電波強度の観測値は、これら上限と下限の間において確率的に出現する。つまり、複数の観測装置がある場合、各観測装置の電波強度の分布範囲の内で上限付近を観測する観測装置や下限付近を観測する観測装置が同時刻に存在しうる。つまり、発信源により近い観測装置が下限付近の電波強度を観測し、且つ、発信源により遠い観測装置が上限付近の電波強度を観測した場合、一般に距離により減衰すると想定される電波強度が増加するように観測される可能性もある。このように、電波強度の観測値には、ノイズが重畳されている。
【0027】
<位置推定装置の構成例>
図4は、第1実施形態における位置推定装置の一例を示すブロック図である。図4において位置推定装置30は、受信部(取得部)31と、電波強度状態推定部32と、電波強度空間推定部33と、位置推定部34と、位置状態推定部35とを有している。
【0028】
受信部31は、各観測装置10から「第1時系列データ」を受信(取得)し、観測装置20から「第2時系列データ」を受信(取得)する。
【0029】
電波強度状態推定部32は、受信部31にて取得された各第1時系列データから、各第1時系列データに対応する観測装置10の位置における「電波強度状態」を推定する。また、電波強度状態推定部32は、受信部31にて取得された第2時系列データから、観測装置20の位置における「電波強度状態」を推定する。なお、上記の通り、第1時系列データは、時系列の「第1電波強度群」であるので、第1時系列データから、時系列の電波強度状態群(以下では、「第1電波強度状態群」と呼ぶことがある)が得られる。また、第2時系列データは、時系列の「第2電波強度群」であるので、第2時系列データから、時系列の電波強度状態群(以下では、「第2電波強度状態群」と呼ぶことがある)が得られる。ここで、「状態推定」とは、観測値(測定値)から、観測(測定)できない状態(state)(つまり、真の状態)を推定することを意味する。本明細書において「電波強度状態を推定すること」は、観測装置10,20による電波強度の観測値から、ノイズが存在しないときの「真の電波強度(つまり、電波強度状態)」を推定することを意味する。
【0030】
電波強度空間推定部33は、観測装置10-1~10-3のそれぞれについての位置及び観測装置10-1~10-3のそれぞれについて推定された「電波強度状態」を用いて、対象空間(対象エリア)の各ポイントにおける電波強度状態を推定する。例えば、電波強度空間推定部33は、対象空間(対象エリア)の各ポイントにおける電波強度状態のリスト(つまり、「電波強度状態マップ」)を形成してもよい。ここで、上記の通り、電波強度状態推定部32では、「第1電波強度状態群」が得られるので、電波強度空間推定部33では、対象空間(対象エリア)の各ポイントにおける時系列の電波強度状態群(以下では、「第3電波強度状態群」と呼ぶことがある)が得られる。なお、観測装置10-1~10-3のそれぞれについての位置に関する情報は、電波強度空間推定部33に保持されていてもよいし、記憶部(不図示)に保持されていてもよい。
【0031】
位置推定部34は、電波強度空間推定部33にて推定された各ポイントにおける電波強度状態と電波強度状態推定部32にて推定された観測装置20の位置における電波強度状態とを比較して、観測装置20についての位置を推定する。この位置の推定には、「Fingerprint方式」と呼ばれる方法が用いられてもよい。すなわち、位置推定部34は、電波強度状態推定部32にて推定された観測装置20の位置における電波強度状態に近い電波強度状態に対応する上記電波強度状態マップのポイントを特定してもよい。例えば、観測装置10,20にて観測される電波強度が信号発信源(不図示)に応じた要素を含むベクトルによって表現されている場合、対象空間の各ポイントにおける電波強度状態もベクトルによって表現されている。このとき、位置推定部34は、電波強度状態推定部32にて推定された観測装置20の位置における電波強度状態と信号発信源(不図示)に応じた要素とを含むベクトルと、上記電波強度状態マップの各ポイントに対応するベクトルとを用いて、各要素についての差分の二乗和が最小となるポイントを特定してもよい。
【0032】
ここで、電波強度空間推定部33では各ポイントにおける「第3電波強度状態群」が得られ、また、電波強度状態推定部32では「第2電波強度状態群」が得られる。このため、例えば、位置推定部34は、対象空間の各ポイントにおける「第3電波強度状態群」と「第2電波強度状態群」とを比較して、「第2電波強度状態群」に含まれる各電波強度に対応する観測装置20の位置を推定する。これにより、推定された観測装置20についての時系列の「位置群」(以下では、「第3時系列データ」と呼ぶことある)が得られる。
【0033】
位置状態推定部35は、観測装置20についての位置の「第3時系列データ」に基づいて、観測装置20の「位置状態」を推定する。ここで、本明細書において「位置状態を推定すること」は、位置推定部34によって推定された位置から、ノイズが存在しないときの「真の位置(つまり、位置状態)」を推定することを意味する。
【0034】
<位置推定装置の動作例>
〈電波強度状態の推定処理〉
図5は、第1実施形態における位置推定装置の電波強度状態の推定処理の一例を示すフローチャートである。
【0035】
受信部31は、各観測装置10から「第1時系列データ」を受信し、観測装置20から「第2時系列データ」を受信する(ステップS101)。
【0036】
電波強度状態推定部32は、受信部31にて取得された各第1時系列データから、各第1時系列データに対応する観測装置10の位置における「電波強度状態」を推定する(ステップS102)。また、電波強度状態推定部32は、受信部31にて取得された第2時系列データから、観測装置20の位置における「電波強度状態」を推定する(ステップS102)。
【0037】
〈対象空間の各ポイントにおける電波強度状態の推定処理〉
図6は、第1実施形態における位置推定装置の対象空間の各ポイントにおける電波強度状態の推定処理の一例を示すフローチャートである。
【0038】
電波強度空間推定部33は、観測装置10-1~10-3のそれぞれについての位置及び「電波強度状態」を取得する(ステップS201)。
【0039】
電波強度空間推定部33は、ステップS201にて取得した「電波強度状態」を用いて、対象空間の各ポイントにおける電波強度状態を推定する(ステップS202)。
【0040】
〈位置状態の推定処理〉
図7は、第1実施形態における位置推定装置の位置状態の推定処理の一例を示すフローチャートである。
【0041】
位置推定部34は、電波強度空間推定部33にて推定された各ポイントにおける電波強度状態を取得する(ステップS301)。
【0042】
位置推定部34は、電波強度状態推定部32にて推定された観測装置20の位置における電波強度状態を取得する(ステップS302)。
【0043】
位置推定部34は、ステップS301にて取得した各ポイントにおける電波強度状態とステップS302にて取得した観測装置20の位置における電波強度状態とを比較して、観測装置20についての位置を推定する(ステップS303)。
【0044】
位置状態推定部35は、観測装置20についての位置の時系列データに基づいて、観測装置20の「位置状態」を推定する(ステップS304)。
【0045】
なお、図5図7に示した処理フローは、それぞれ独立して非同期に実行されてもよいし、一連の処理フローとして実行されてもよい。
【0046】
以上のように第1実施形態によれば、位置推定装置30にて電波強度状態推定部32は、受信部31にて取得された各第1時系列データから、各第1時系列データに対応する観測装置10の位置における「電波強度状態」を推定する。また、電波強度状態推定部32は、受信部31にて取得された第2時系列データから、観測装置20の位置における「電波強度状態」を推定する。電波強度空間推定部33は、観測装置10-1~10-3のそれぞれについての位置及び観測装置10-1~10-3のそれぞれについて推定された「電波強度状態」を用いて、対象空間(対象エリア)の各ポイントにおける電波強度状態を推定する。位置推定部34は、電波強度空間推定部33にて推定された各ポイントにおける電波強度状態と電波強度状態推定部32にて推定された観測装置20の位置における電波強度状態とを比較して、観測装置20についての位置を推定する。位置状態推定部35は、観測装置20についての位置の「第3時系列データ」に基づいて、観測装置20の「位置状態」を推定する。
【0047】
この位置推定装置30の構成により、「電波強度状態の推定」及び「位置状態の推定」という「2段階の状態推定」を行って観測値に含まれるノイズの影響を低減しているので、位置推定精度を向上させることができる。
【0048】
<第2実施形態>
第2実施形態は、より具体的な実施形態に関する。なお、第2実施形態の位置推定システム、観測装置、及び位置推定装置の基本構成は、第1実施形態の位置推定システム1、観測装置10,20、及び位置推定装置30と同じなので、図1~4を参照して説明する。
【0049】
第2実施形態では、位置推定装置30の電波強度状態推定部32及び位置状態推定部35に対して、それぞれ、「状態遷移モデル」としてローカルレベルモデルが適用される。
【0050】
まず、観測装置10-1~10-3のいずれかの観測装置sにおいて時刻tに測定される電波強度を、
【数1】
によって表現する。
【0051】
また、観測装置20(以下、観測装置uと呼ぶことがある)において時刻tに測定される電波強度を、
【数2】
によって表現する。
【0052】
s,tおよびxu,tのそれぞれは、例えば、要素として発信源や周波数など電波の種類ごとの電波強度を持つベクトルである。
【0053】
第2実施形態の位置推定装置30にて受信部31は、電波強度xs,tおよびxu,tを受信する。
【0054】
電波強度状態推定部32は、受信部31にて取得された電波強度xs,tから、観測装置sの位置における「電波強度状態」を推定する。また、電波強度状態推定部32は、受信部31にて取得された電波強度xu,tから、観測装置uの位置における「電波強度状態」を推定する。
【0055】
以下では、電波強度xs,tから推定される電波強度状態を、
【数3】
によって表現し、
電波強度xu,tから推定される電波強度状態を、
【数4】
によって表現する。
【0056】
電波強度状態推定部32は、電波強度xs,tから電波強度状態x’s,tを推定する際に、以下の状態方程式及び観測方程式を用いる。また、電波強度状態推定部32は、電波強度xu,tから電波強度状態x’u,tを推定する際にも同様の状態方程式及び観測方程式を用いる。
【数5】
【0057】
すなわち、上記の通り、電波強度状態推定部32は、状態遷移モデルとしてローカルレベルモデルが適用される。
【0058】
電波強度空間推定部33は、観測装置s(観測装置10-1~10-3)についての電波強度状態x’s,tを受け取ると、観測装置s(観測装置10-1~10-3)のそれぞれについての位置及び電波強度状態x’s,tを用いて、対象空間(対象エリア)の各ポイントにおける電波強度状態を推定する。
【0059】
以下では、任意のポイントpにおける時刻tでの電波強度状態ベクトルを、
【数6】
によって表現する。
【0060】
位置推定部34は、電波強度空間推定部33にて推定された各ポイントにおける電波強度状態xp,tと電波強度状態推定部32にて推定された観測装置uの位置における電波強度状態x’u,tとを比較して、特定の電波強度状態ベクトルxl,tに対応するポイントlを特定する。例えば、位置推定部34は、観測装置uの電波強度状態ベクトルx’u,tと電波強度状態ベクトルxp,tとの間の各要素の差分の二乗和が最小となるポイントlを特定する。この特定されたポイントlは、観測装置uの推定位置である。以下では、時刻tでの観測装置uの推定位置を、
【数7】
によって表現する。
【0061】
位置状態推定部35は、観測装置uについての推定位置lu,tに基づいて、観測装置uの「位置状態」を推定する。以下では、観測装置uの位置状態を、
【数8】
によって表現する。
【0062】
位置状態推定部35は、推定位置lu,tから位置状態l’u,tを推定する際に、以下の状態方程式及び観測方程式を用いる。
【数9】
【0063】
すなわち、上記の通り、位置状態推定部35は、状態遷移モデルとしてローカルレベルモデルが適用される。
【0064】
以上のように第2実施形態によれば、位置推定装置30にて電波強度状態推定部32及び位置状態推定部35は、それぞれ、「状態遷移モデル」としてローカルレベルモデルが適用される。
【0065】
この位置推定装置30の構成により、電波強度状態推定部32及び位置状態推定部35における処理負荷を低減できるので、高速に位置推定を行うことができる。
【0066】
<第3実施形態>
第3実施形態は、ローカルレベルモデルのパラメータ設定に関する。なお、第3実施形態の位置推定システム及び観測装置の基本構成は、第1実施形態の位置推定システム1及び観測装置10,20と同じなので、図1~3を参照して説明する。すなわち、第3実施形態の位置推定システムは、位置推定装置30の代わりに、後述する位置推定装置40を含む。
【0067】
図8は、第3実施形態における位置推定装置の一例を示すブロック図である。図8において位置推定装置40は、受信部(取得部)31と、電波強度空間推定部33と、位置推定部34と、電波強度状態推定部41と、位置状態推定部42とを有している。
【0068】
電波強度状態推定部41は、基本的には、第1実施形態及び第2実施形態で説明した電波強度状態推定部32と同様の処理を実行する。さらに、電波強度状態推定部41は、パラメータ設定部41Aを含む。パラメータ設定部41Aは、上記の各「第1時系列データ」から「分散値(以下では、「第1の分散値」と呼ぶことがある)」を算出し、算出された第1の分散値に基づいて、ローカルレベルモデルにおけるノイズの分散値を設定する。具体的には、パラメータ設定部41Aは、ローカルレベルモデルにおけるノイズの分散値を、第1の分散値よりも大きな値に設定する。例えば、パラメータ設定部41Aは、算出された第1の分散値に対して「第1係数」を乗算することにより、ローカルレベルモデルにおけるノイズの分散値を算出してもよい。
【0069】
例えば、パラメータ設定部41Aは、電波強度xs,tから電波強度状態x’s,tを推定する際に、電波強度xs,t-99から電波強度xs,tを用いて、各要素の共分散ベクトルを算出する。ここで算出される共分散ベクトルを、以下では、
【数10】
によって表現する。
【0070】
そして、パラメータ設定部41Aは、ローカルレベルモデルにおけるノイズの分散値のパラメータとして、vs,tの各要素よりも大きな値を設定する。
【0071】
例えば、パラメータ設定部41Aは、上記の「第1係数」として、10000から100000000までの範囲に収まる値を用いる。すなわち、パラメータ設定部41Aは、ローカルレベルモデルにおけるノイズの分散値のパラメータとして、
【数11】
を設定してもよい。
【0072】
位置状態推定部42は、基本的には、第1実施形態及び第2実施形態で説明した位置状態推定部35と同様の処理を実行する。さらに、位置状態推定部42は、パラメータ設定部42Aを含む。パラメータ設定部42Aは、上記の第3時系列データから分散値(以下では、「第2の分散値」と呼ぶことがある)を算出し、算出された第2の分散値に基づいて、ローカルレベルモデルにおけるノイズの分散値を設定する。具体的には、パラメータ設定部42Aは、ローカルレベルモデルにおけるノイズの分散値を、第2の分散値よりも大きな値に設定する。例えば、パラメータ設定部42Aは、算出された第2の分散値に対して「第2係数」を乗算することにより、ローカルレベルモデルにおけるノイズの分散値を算出してもよい。
【0073】
例えば、パラメータ設定部42Aは、推定位置lu,tから位置状態l’u,tを推定する際に、推定位置lu,t-99から推定位置lu,tを用いて、各要素の共分散ベクトルを算出する。ここで算出される共分散ベクトルを、以下では、
【数12】
によって表現する。
【0074】
そして、パラメータ設定部42Aは、ローカルレベルモデルにおけるノイズの分散値のパラメータとして、cs,tの各要素よりも大きな値を設定する。
【0075】
例えば、パラメータ設定部42Aは、上記の「第2係数」として、10000から100000000までの範囲に収まる値を用いる。すなわち、パラメータ設定部42Aは、ローカルレベルモデルにおけるノイズの分散値のパラメータとして、
【数13】
を設定してもよい。
【0076】
以上のように第3実施形態によれば、位置推定装置40にてパラメータ設定部41Aは、上記の各「第1時系列データ」から「第1の分散値」を算出し、ローカルレベルモデルにおけるノイズの分散値を、第1の分散値よりも大きな値に設定する。また、パラメータ設定部42Aは、上記の第3時系列データから「第2の分散値」を算出し、ローカルレベルモデルにおけるノイズの分散値を、第2の分散値よりも大きな値に設定する。
【0077】
この位置推定装置40の構成により、2段階の状態推定の際により大きな観測ノイズを仮定するので、観測値に含まれるノイズの影響をより低減することができる。これにより、高精度でより安定的に位置推定を行うことができる。
【0078】
また、位置推定装置40にてパラメータ設定部41Aは、算出された第1の分散値に対して第1係数を乗算することにより、ローカルレベルモデルにおけるノイズの分散値を算出する。また、パラメータ設定部42Aは、算出された第2の分散値に対して第2係数を乗算することにより、ローカルレベルモデルにおけるノイズの分散値を算出する。第1係数及び第2係数は、それぞれ、10000から100000000までの範囲に収まる値を有する。
【0079】
この位置推定装置40の構成により、2段階の状態推定の際により適切な大きさの観測ノイズを仮定するので、観測値に含まれるノイズの影響を低減しながら状態自体の時間変化に追随することができる。これにより、高精度でより安定的に位置推定を行うことができる。
【0080】
<他の実施形態>
<1> 第1実施形態から第3実施形態で説明した位置推定システム1は、特に、工場内、商業施設内、イベント会場、競技場などの複雑で時々刻々と変化する無線通信の状況をリアルタイムに可視化することにより、そのエリア内で無線が切れたり、繋がりにくい原因を、把握や改善することに利用が可能である。
【0081】
<2> 図9は、位置推定装置のハードウェア構成例を示す図である。図9において位置推定装置100は、プロセッサ101と、メモリ102と、通信回路103とを有している。プロセッサ101は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processing Unit)、又はCPU(Central Processing Unit)であってもよい。プロセッサ101は、複数のプロセッサを含んでもよい。メモリ102は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。メモリ102は、プロセッサ101から離れて配置されたストレージを含んでもよい。この場合、プロセッサ101は、図示されていないI/Oインタフェースを介してメモリ102にアクセスしてもよい。
【0082】
第1実施形態から第4実施形態の位置推定装置30,40は、図9に示したハードウェア構成を有することができる。第1実施形態から第4実施形態の位置推定装置30,40の電波強度状態推定部32,41と、電波強度空間推定部33と、位置推定部34と、位置状態推定部35,42とは、プロセッサ101がメモリ102に記憶されたプログラムを読み込んで実行することにより実現されてもよい。受信部(取得部)31は、通信回路103によって実現されてもよい。プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、位置推定装置30,40に供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)を含む。さらに、非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/Wを含む。さらに、非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、半導体メモリを含む。半導体メモリは、例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によって位置推定装置30,40に供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムを位置推定装置30,40に供給できる。
【0083】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0084】
1 位置推定システム
10 観測装置(第1観測装置)
11 受信部
12 電波強度測定部
13 送信部
20 観測装置(第2観測装置)
21 受信部
22 電波強度測定部
23 送信部
30 位置推定装置(解析装置)
31 受信部(取得部)
32 電波強度状態推定部
33 電波強度空間推定部
34 位置推定部
35 位置状態推定部
40 位置推定装置
41 電波強度状態推定部
41A パラメータ設定部
42 位置状態推定部
42A パラメータ設定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9