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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】給紙装置、画像形成装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/12 20060101AFI20240228BHJP
   B65H 3/48 20060101ALI20240228BHJP
   B65H 1/04 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
B65H3/12 310C
B65H3/48
B65H1/04 324
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019235391
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021102520
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 元
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-110464(JP,A)
【文献】特開2017-024841(JP,A)
【文献】特開2010-269939(JP,A)
【文献】特開2009-274837(JP,A)
【文献】特開2010-137963(JP,A)
【文献】特開2007-008619(JP,A)
【文献】特開平07-061657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00-3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を給紙する給紙装置において、
用紙に側方からエアーを吹き付けて、用紙を浮き上がらせる送風部と、
浮き上がった用紙を吸引し、搬送する吸引搬送部と、
前記吸引搬送部による搬送開始前に、浮上した用紙を搬送方向と直交する幅方向に整合する整合部と、
前記整合部による整合時の前記吸引搬送部の吸引力を、用紙搬送時の前記吸引搬送部の吸引力より弱くするよう制御する制御部と、
を備え
前記制御部は、前記整合部による整合時の前記吸引搬送部の吸引力を、用紙の種類に応じて変更することを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
前記制御部は、
用紙の坪量が所定の基準値以上の場合、前記整合部による整合時の前記吸引搬送部の吸引力を、用紙搬送時の前記吸引搬送部の吸引力より弱い所定値とし、
用紙の坪量が前記基準値未満の場合、前記整合部による整合時に前記吸引搬送部による吸引を行わないことを特徴とする請求項に記載の給紙装置。
【請求項3】
用紙を給紙する給紙装置において、
用紙に側方からエアーを吹き付けて、用紙を浮き上がらせる送風部と、
浮き上がった用紙を吸引し、搬送する吸引搬送部と、
前記吸引搬送部による搬送開始前に、浮上した用紙を搬送方向と直交する幅方向に整合する整合部と、
前記整合部による整合時の前記吸引搬送部の吸引力を、用紙搬送時の前記吸引搬送部の吸引力より弱くするよう制御する制御部と、
を備え
前記制御部は、用紙を浮き上がらせる際の前記吸引搬送部の吸引力を、用紙の種類に応じて変更することを特徴とする給紙装置。
【請求項4】
用紙を給紙する給紙装置において、
用紙に側方からエアーを吹き付けて、用紙を浮き上がらせる送風部と、
浮き上がった用紙を吸引し、搬送する吸引搬送部と、
前記吸引搬送部による搬送開始前に、浮上した用紙を搬送方向と直交する幅方向に整合する整合部と、
前記整合部による整合時の前記吸引搬送部の吸引力を、用紙搬送時の前記吸引搬送部の吸引力より弱くするよう制御する制御部と、
浮き上がった用紙を検出する検出部と、を備え、
前記制御部は、前記検出部により用紙を検出した状態で、前記整合部による整合を行うことを特徴とする給紙装置。
【請求項5】
用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部に用紙を給紙する請求項1からのいずれか一項に記載の給紙装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
用紙に側方からエアーを吹き付けて、用紙を浮き上がらせる送風部と、
浮き上がった用紙を吸引し、搬送する吸引搬送部と、
前記吸引搬送部による搬送開始前に、浮上した用紙を搬送方向と直交する幅方向に整合する整合部と、
を備えた給紙装置のコンピューターを、
前記整合部による整合時の前記吸引搬送部の吸引力を、用紙搬送時の前記吸引搬送部の吸引力より弱くするよう制御する制御手段として機能させ
前記制御手段は、前記整合部による整合時の前記吸引搬送部の吸引力を、用紙の種類に応じて変更するプログラム。
【請求項7】
用紙に側方からエアーを吹き付けて、用紙を浮き上がらせる送風部と、
浮き上がった用紙を吸引し、搬送する吸引搬送部と、
前記吸引搬送部による搬送開始前に、浮上した用紙を搬送方向と直交する幅方向に整合する整合部と、
を備えた給紙装置のコンピューターを、
前記整合部による整合時の前記吸引搬送部の吸引力を、用紙搬送時の前記吸引搬送部の吸引力より弱くするよう制御する制御手段として機能させ
前記制御手段は、用紙を浮き上がらせる際の前記吸引搬送部の吸引力を、用紙の種類に応じて変更するプログラム。
【請求項8】
用紙に側方からエアーを吹き付けて、用紙を浮き上がらせる送風部と、
浮き上がった用紙を吸引し、搬送する吸引搬送部と、
前記吸引搬送部による搬送開始前に、浮上した用紙を搬送方向と直交する幅方向に整合する整合部と、
浮き上がった用紙を検出する検出部と、
を備えた給紙装置のコンピューターを、
前記整合部による整合時の前記吸引搬送部の吸引力を、用紙搬送時の前記吸引搬送部の吸引力より弱くするよう制御する制御手段として機能させ
前記制御手段は、前記検出部により用紙を検出した状態で、前記整合部による整合を行うプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給紙装置、画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トレイに積載された用紙の端面にエアーを吹き付け、浮上した用紙を搬送ベルトに吸着して1枚ずつ送り出す給紙装置が知られている。
かかる給紙装置においては、エアーが吹付けられているために用紙は自由な姿勢をとれてしまうので、用紙曲りや片寄りを起こしやすく、そこで、用紙の側面を規制する側面ガイドを設ける構成がある(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、あまりに厳密に隙間を空けないようにセットしてしまうと、側面ガイドとの摩擦抵抗の影響で用紙が浮上しなくなってしまうため、所定の隙間が出来るようにすることが行われている(例えば、特許文献2参照)。このように、側面ガイドは用紙をガイドするものであるが、浮上を妨げないようにしなければならないため、側面ガイドで用紙を整合するのは困難である。
そこで、枚葉紙パイルの上面で枚用紙をさばいて整列させる装置であって、吸引して用紙を持ち上げ、整合するものが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-110464号公報
【文献】特開2007-8619号公報
【文献】特開平07-61657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献3の装置は、用紙がどこまで浮上したかや、用紙を持ち上げている吸引をどのようにするかを考えないと成立しないものであり、実際に用紙を精度よく整合するには不十分であった。
【0005】
本発明の課題は、浮上した用紙に対して幅方向の整合を精度よく行うことのできる給紙装置、画像形成装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、
用紙を給紙する給紙装置において、
用紙に側方からエアーを吹き付けて、用紙を浮き上がらせる送風部と、
浮き上がった用紙を吸引し、搬送する吸引搬送部と、
前記吸引搬送部による搬送開始前に、浮上した用紙を搬送方向と直交する幅方向に整合する整合部と、
前記整合部による整合時の前記吸引搬送部の吸引力を、用紙搬送時の前記吸引搬送部の吸引力より弱くするよう制御する制御部と、
を備え
前記制御部は、前記整合部による整合時の前記吸引搬送部の吸引力を、用紙の種類に応じて変更することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の画像形成装置は、
用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部に用紙を給紙する上記給紙装置と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明のプログラムは、
用紙に側方からエアーを吹き付けて、用紙を浮き上がらせる送風部と、
浮き上がった用紙を吸引し、搬送する吸引搬送部と、
前記吸引搬送部による搬送開始前に、浮上した用紙を搬送方向と直交する幅方向に整合する整合部と、
を備えた給紙装置のコンピューターを、
前記整合部による整合時の前記吸引搬送部の吸引力を、用紙搬送時の前記吸引搬送部の吸引力より弱くするよう制御する制御手段として機能させ
前記制御手段は、前記整合部による整合時の前記吸引搬送部の吸引力を、用紙の種類に応じて変更する。
また、本発明のプログラムは、
用紙に側方からエアーを吹き付けて、用紙を浮き上がらせる送風部と、
浮き上がった用紙を吸引し、搬送する吸引搬送部と、
前記吸引搬送部による搬送開始前に、浮上した用紙を搬送方向と直交する幅方向に整合する整合部と、
を備えた給紙装置のコンピューターを、
前記整合部による整合時の前記吸引搬送部の吸引力を、用紙搬送時の前記吸引搬送部の吸引力より弱くするよう制御する制御手段として機能させ、
前記制御手段は、用紙を浮き上がらせる際の前記吸引搬送部の吸引力を、用紙の種類に応じて変更する。
また、本発明のプログラムは、
用紙に側方からエアーを吹き付けて、用紙を浮き上がらせる送風部と、
浮き上がった用紙を吸引し、搬送する吸引搬送部と、
前記吸引搬送部による搬送開始前に、浮上した用紙を搬送方向と直交する幅方向に整合する整合部と、
浮き上がった用紙を検出する検出部と、
を備えた給紙装置のコンピューターを、
前記整合部による整合時の前記吸引搬送部の吸引力を、用紙搬送時の前記吸引搬送部の吸引力より弱くするよう制御する制御手段として機能させ、
前記制御手段は、前記検出部により用紙を検出した状態で、前記整合部による整合を行う。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、浮上した用紙に対して幅方向の整合を精度よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す正面図である。
図2】本実施形態に係る画像形成装置の制御構造を示す機能ブロック図である。
図3】給紙装置の概略構成を示す斜視図である。
図4】給紙装置の側面ガイド部材を示す模式図である。
図5】給紙装置の吸引搬送部を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
[構成]
本実施形態に係る画像形成装置1の構成について説明する。
図1は、画像形成装置1の概略構成を示す正面図である。図2は、画像形成装置1の制御構造を示す機能ブロック図である。
図1及び図2に示すように、画像形成装置1は、本体装置10と、本体装置10に用紙を給紙する給紙ユニット20と、を備えて構成されている。
【0013】
本体装置10は、制御部11と、画像読取部12と、画像形成部13と、記憶部14と、操作パネル15(表示部151、操作部152)と、通信部16と、を備えて構成されている。
【0014】
制御部11は、CPU、RAM、ROM等を備えて構成される。CPUは、操作部152から入力される操作信号又は通信部16により受信される指示信号に応じて、ROMに記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、RAMに展開した各種プログラムとの協働により、画像形成装置1の動作を統括的に制御する。
【0015】
画像読取部12は、図示しない原稿台又は自動原稿搬送部(ADF:Auto Document Feeder)に載置された原稿の画像を走査露光装置の光学系により走査露光し、その反射光をラインイメージセンサーにより読み取り、これにより、画像信号を得る。この画像信号は、A/D変換、シェーディング補正、圧縮等の処理が施された後、画像データとして制御部11に入力される。なお、制御部11に入力される画像データとしては、画像読取部12で読み取ったものに限らず、例えば、通信部16を介して外部装置(図示省略)から受信したものであってもよい。
【0016】
画像形成部13は、画像処理された原画像の各画素の4色の画素値に応じて、C、M、Y及びKの4色からなる画像を用紙上に形成する。
画像形成部13は、図1に示すように、4つの書込部131、中間転写ベルト132、2次転写ローラー133、定着部134等を備えて構成されている。
【0017】
4つの書込部131は、中間転写ベルト132のベルト面に沿って直列(タンデム)に配置され、C、M、Y及びKの各色の画像を形成する。各書込部131は、形成する画像の色が異なるだけで構成は同じであり、光走査部131a、感光体131b、現像部131c、帯電部131d、クリーニング部131e及び1次転写ローラー131fを備えて構成されている。
【0018】
画像形成時、各書込部131では、帯電部131dにより感光体131bを帯電させた後、原画像に基づいて光走査部131aにより出射した光束で感光体131b上を走査し、静電潜像を形成する。現像部131cによりトナー等の色材を供給して現像すると、感光体131b上に画像が形成される。
4つの書込部131の感光体131b上にそれぞれ形成した画像を、それぞれの1次転写ローラー131fにより、中間転写ベルト132上に順次重ねて転写(1次転写)する。これにより、中間転写ベルト132上には各色からなる画像が形成される。中間転写ベルト132は、複数のローラーに巻き回されて回動する像担持体である。1次転写後、クリーニング部131eにより感光体131b上に残留する色材を除去する。
【0019】
画像形成部13では、回動する中間転写ベルト132上の画像が2次転写ローラー133の位置に至るタイミングに合わせて、給紙ユニット20又は給紙トレイT1から用紙を給紙する。2次転写ローラー133は、対をなす一方のローラーが中間転写ベルト132に圧接し、他方が中間転写ベルト132を巻き回す複数のローラーのうちの1つを構成している。2次転写ローラー133の圧接により、中間転写ベルト132から用紙上に画像を転写(2次転写)すると、定着部134に用紙を搬送して定着処理を施し、排紙トレイT2へ排紙する。定着処理は、定着ローラー134aにより用紙を加熱及び加圧して画像を用紙に定着させる処理である。用紙の両面に画像を形成する場合、反転経路135に用紙を搬送して用紙面を反転させた後、2次転写ローラー133の位置へ再度用紙を給紙する。
【0020】
記憶部14は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等により構成される不揮発性の記憶手段であり、各種プログラムや各種設定データ等を制御部11から読み書き可能に記憶する。
【0021】
操作パネル15は、ユーザーに対して各種情報を表示する表示部151と、ユーザーによる操作入力を受け付ける操作部152と、を備えて構成されている。
表示部151は、カラー液晶ディスプレイなどで構成され、制御部11から入力される表示制御信号に従って、操作画面等(各種設定画面、各種ボタン、各機能の動作状況等)を表示する。
操作部152は、表示部151の画面上に設けられるタッチパネルと、表示部151の画面周囲に配置される各種ハードキーと、を備えて構成されている。操作部152は、画面上に表示されたボタンが手指やタッチペン等で押下された場合、押下された力点のXY座標を電圧値で検出し、検出された位置に対応付けられた操作信号を制御部11に出力する。なお、タッチパネルは感圧式に限らず、例えば静電式や光式等であってもよい。また、操作部152は、ハードキーが押下された場合、押下されたキーに対応付けられた操作信号を制御部11に出力する。ユーザーは、操作部152を操作して、画質設定、倍率設定、応用設定、出力設定及び用紙設定等の画像形成に関する設定、用紙搬送指示、並びに装置の停止操作などを行うことができる。
【0022】
通信部16は、本体装置10を通信ネットワークに接続するインターフェースである。通信部16は、通信用IC及び通信コネクタなどを有し、制御部11の制御の下、所定の通信プロトコルを用いて通信ネットワークに接続されている外部装置と各種情報の送受信を行う。また、通信部16は、USBを介して各種情報の入出力を行うことも可能である。
【0023】
給紙ユニット20は、本体装置10に取付けられ、本体装置10に用紙を給紙する。
なお、給紙ユニット20と制御部11により、給紙装置が構成されている。
給紙ユニット20は、載置トレイ21を備えている。載置トレイ21には、同一種類の(紙種、坪量、サイズ等が同一の)複数枚の用紙が積層された用紙束が載置されており、用紙束の最上部の用紙から一枚ずつ本体装置10へと搬送される。
本実施形態では、用紙として、坪量150g/m未満を薄紙とし、坪量150g/m以上を厚紙とする。
【0024】
図3は、給紙ユニット20の概略構成を示す斜視図である。図4(a)(b)は、給紙ユニット20の側面ガイド部材22を示す模式図である。図5は、給紙ユニット20の吸引搬送部24を示す模式図である。
図3に示すように、給紙ユニット20は、例えば、用紙の側面をガイドする一対の側面ガイド部材22と、用紙にエアーを吹き付けて上方に浮き上がらせる送風部23と、浮き上がった用紙を吸引して本体装置10(画像形成部13)に向けて搬送する吸引搬送部24と、吸引搬送部24に吸引された用紙を、本体装置10に搬送する前に整合する一対の整合部25と、を備えている。
【0025】
一対の側面ガイド部材22は、扁平な直方体状に形成され、用紙の搬送方向にその壁面が沿うように立設されて、用紙の側面をガイドする。
一対の側面ガイド部材22は、用紙(用紙束)の端部に対して接触せず、隙間があることが望ましい。例えば、図4(a)に示すように、側面ガイド部材22の上部内側に凹部22aを設け、断面視において段差が形成されているような構成や、図4(b)に示すように、一対の側面ガイド部材22の下部から上部に向かって徐々に開くような構成とすることで、隙間を形成することができる。
【0026】
送風部23は、例えば、一対の側面ガイド部材22の内部に設けられて用紙の側方からエアーを吹き付ける側方送風部23aと、用紙の前方からエアーを吹き付ける前方送風部23bとを備え、用紙の前方及び/又は側方からエアーを吹き付けて、用紙を吸引搬送部24に向けて浮き上がらせる。
側方送風部23a及び前方送風部23bは、例えば、エアーを吹き付けるエアー吹き出し機構及びダクトから構成される。
なお、送風部23は、用紙にエアーを吹き付けて上方に浮き上がらせることのできるものであれば、その構成や配置は上記したものに限定されない。
【0027】
吸引搬送部24は、例えば、複数のプーリーに張架された無端ベルト241と、無端ベルト241の内周側に設けられた吸引部242と、を備えて構成され、無端ベルト241に形成された吸引口241aからエアーを吸引することで、浮き上がった用紙を吸着する。また、無端ベルト241の回転により、吸着した用紙を本体装置10(画像形成部13)に向けて送り出す。
【0028】
吸引搬送部24には、用紙が浮上してきたときにこれを検出するための検出部243が設けられている。検出部243としては、例えば、図5に示すように、無端ベルト241の下面(吸着面)から下方に突出し、用紙の接触により回動するセンサーが用いられる。
【0029】
なお、用紙の浮上を検出可能であれば、検出部243の構成は上記センサーに限定されない。
例えば、検出部243としては、吸引部242の吸引圧を検出するものであってもよい。これは、用紙が吸引され、吸引口241aに用紙が張り付つくことで吸引圧が変わることを検出するものであり、かかる構成でも用紙が浮上してきたことを検出することができる。
或いは、用紙束の側方に反射型のセンサー設けて、これにより所定の高さまで用紙が浮き上がったことを検出することとしても良い。
【0030】
吸引搬送部24は、制御部11の制御のもと、所定の吸引力で用紙を吸引することができる。本実施形態では、吸引力は、例えば2段階に切り替え可能であり、具体的には、用紙を搬送するときの吸引力P1と、搬送前の用紙の整合時の吸引力P2(P1>P2)とで、切り替えることができる。
【0031】
一対の整合部25は、吸引搬送部24に吸引された状態の用紙に対して、幅方向の整合を行う。整合動作は、公知の排紙部等で用紙を整列させるものと同じである。
一対の整合部25は、例えば、吸引搬送部24の両側方に、吸引搬送部24を挟んで設けられている。また、用紙の浮上や、用紙の搬送に際して、用紙の動作を妨げないように、一対の側面ガイド部材22よりその間隔が広い状態で、一対の整合部25を待機させている構成とすることが好ましい。
なお、引出式の給紙装置の場合、整合部25は引出可能となるように退避する機能も持つことが好ましい。
【0032】
また、整合位置としては、用紙に両側から均等に押圧力抑え、載置トレイ21と用紙の幅方向の中心位置が揃うように行われる。しかしながら、例えば、本体装置10に対して給紙ユニット20を取り付ける場合、装置同士の位置合わせの代わりに、整合位置を本体装置10の搬送中心位置に合わせるように制御することで、装置同士の位置合わせを行わずに搬送位置を合わせることも可能である。
【0033】
[動作]
給紙ユニット20の動作について説明する。
給紙ユニット20は、本体装置10の制御部11の制御のもと、以下のように動作する。
【0034】
(1)まず、載置トレイ21に積載された用紙に対して、送風部23によりエアーの吹き付けを開始する。エアーは、用紙の側方や先方から吹き付けられ、これにより用紙が浮上する。このとき、吸引搬送部24による吸引は行われていない。
【0035】
(2)次に、検出部243により用紙が吸引搬送部24まで浮上したことが検出されると、吸引搬送部24の吸引力が、吸引力P2とされる。
【0036】
(3)次に、用紙に対して整合部25により整合動作を実施する。このとき、吸引搬送部24の吸引力は、吸引力P2のまま維持する。
なお、用紙が厚紙(坪量が所定の基準値以上)の場合、上記のように整合時に吸引力P2で維持し、用紙が薄紙(坪量が基準値未満)の場合、整合時に吸引搬送部24による吸引を行わないこととしてもよい。
【0037】
(4)次に、整合部25による整合動作が完了すると、吸引搬送部24の吸引力をP1(P1>P2)に変更する。
【0038】
(5)次に、吸引搬送部24により用紙を本体装置10(画像形成部13)に向けて搬送する。このとき、吸引力はP1のままである。
【0039】
上述したように、整合部25による整合動作は、用紙の浮上を検出してから搬送開始までの間で行われる。また、整合動作は、吸引搬送部24まで用紙が到達したと検出部243が検知したときに開始される。
この理由として、用紙の浮上中に整合すると、用紙が薄紙の場合、用紙に対しての抑えが無いため、用紙の中央部付近で座屈してしまうことがある。そこで、整合動作を上記したように制御することで、座屈を抑えつつ精度よく整合することができる。
【0040】
また、吸引搬送部24の吸引力は、整合動作時に相対的に弱い吸引力P2として、搬送時に相対的に強い吸引力P1とする。
この理由として、吸引搬送部24の吸引力は用紙搬送するために必要となるが、この力は整合時に用紙を動かす抵抗となってしまう。特に、用紙が薄紙の場合は抵抗が強すぎるため、整合で用紙が動けずに座屈してしまう。また、用紙が厚紙の場合は整合部25に当たったとき、力が強すぎると用紙が勢いよく跳ねてしまい狙いの位置に整合できない可能性がある。そこで、吸引力を上記したように制御することで、用紙の動きをゆっくりにし、座屈を抑えつつ精度よく整合することができる。
【0041】
なお、用紙を浮上させる際、吸引搬送部24による吸引は行われていないこととしたが、用紙が厚紙の場合には、用紙を浮上させるときから整合時の吸引力P2としても良い。
さらに、例えば、エアーで用紙を持ち上げるときの補助として吸引エアーを用いる場合や、用紙によって吸引搬送部24の近傍で姿勢が安定せずに検出部243での検出ができない場合などには、用紙を浮上させる際、搬送時の吸引力P1にして、用紙を浮上させて検出部243での検出ができてから、吸引力P2にすることとしても良い。
【0042】
[効果]
以上のように、本実施形態に係る画像形成装置1の給紙装置は、用紙に側方からエアーを吹き付けて、用紙を浮き上がらせる送風部23と、浮き上がった用紙を吸引し、搬送する吸引搬送部24と、吸引搬送部24による搬送開始前に、浮上した用紙を搬送方向と直交する幅方向に整合する整合部25と、整合部25による整合時の吸引搬送部24の吸引力を、用紙搬送時の吸引搬送部24の吸引力より弱くするよう制御する制御部11と、を備える。
このため、整合動作が行いやすくなるので、浮上した用紙に対して幅方向の整合を精度よく行うことができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、制御部11は、整合部25による整合時の吸引搬送部24の吸引力を、用紙の種類に応じて変更する。
具体的には、制御部11は、用紙の坪量が所定の基準値以上の場合、整合部25による整合時の吸引搬送部24の吸引力を、用紙搬送時の吸引搬送部24の吸引力より弱い所定値とし、用紙の坪量が基準値未満の場合、整合部25による整合時に吸引搬送部24による吸引を行わない。
このため、どのような坪量の用紙であっても、幅方向の整合を精度よく行うことができる。
【0044】
また、本実施形態によれば、制御部11は、用紙を浮き上がらせる際の吸引搬送部24の吸引力を、用紙の種類に応じて変更する。
このため、どのような種類の用紙であっても、用紙を安定して浮き上がらせることができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、浮き上がった用紙を検出する検出部243を備え、制御部11は、検出部243により用紙を検出した状態で、整合部25による整合を行う。
このため、適正な状態の用紙に対して、整合を行うことができる。
【0046】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
きる。
【0047】
例えば、上記実施形態では、本体装置10の制御部11が給紙ユニット20を制御することとしたが、給紙ユニット20が制御部を備え、本体装置10の制御部11と通信することとしてもよい。
また、上記実施形態では、本体装置10と給紙ユニット20が別体であって、本体装置10に対して給紙ユニット20を取り付ける構成としたが、これらが一体であっても良い。
【符号の説明】
【0048】
1 画像形成装置
10 本体装置
11 制御部(給紙装置)
13 画像形成部
20 給紙ユニット(給紙装置)
21 載置トレイ
22 側面ガイド部材
22a 凹部
23 送風部
23a 側方送風部
23b 前方送風部
24 吸引搬送部
243 検出部
25 整合部
図1
図2
図3
図4
図5