(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】燃料タンク装置
(51)【国際特許分類】
F02M 37/08 20060101AFI20240228BHJP
F02M 37/00 20060101ALI20240228BHJP
F02M 37/18 20060101ALI20240228BHJP
F02D 43/00 20060101ALI20240228BHJP
F01N 3/023 20060101ALI20240228BHJP
F01N 3/033 20060101ALI20240228BHJP
F01N 3/035 20060101ALI20240228BHJP
F01N 3/18 20060101ALI20240228BHJP
F01N 3/24 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
F02M37/08 A
F02M37/00 301R
F02M37/18
F02D43/00 301T
F02D43/00 301Z
F01N3/023 A
F01N3/033 Z
F01N3/035 E
F01N3/18 B
F01N3/24 C
F01N3/24 E
(21)【出願番号】P 2020004105
(22)【出願日】2020-01-15
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002424
【氏名又は名称】ケー・ティー・アンド・エス弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】栗田 裕記
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 智
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0051701(US,A1)
【文献】特開2010-31675(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 43/00-45/00
F01N 3/01
F01N 3/02- 3/038
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンを搭載した車両に設けられる燃料タンクと、
前記燃料タンク内に設けられるリザーバカップと、
前記リザーバカップ内の燃料を前記エンジン側に供給する第1ポンプと、
前記燃料タンク内の燃料を前記リザーバカップ内に供給する第2ポンプと、
前記燃料タンク内の燃料残量が第1所定値以下となった場合、前記第2ポンプの駆動を停止させるポンプ制御部と、
前記エンジンの排気路に設けられた排気浄化装置と、
前記エンジンへの燃料噴射量を増加させることで前記排気浄化装置を昇温または再生させる再生制御の指示を行う再生制御部と、
を備え、
前記ポンプ制御部は、前記再生制御部により前記再生制御の指示が行われている場合、前記第2ポンプの駆動の停止を
禁止、または、間欠運転させる、
燃料タンク装置。
【請求項2】
前記再生制御部は、前記排気浄化装置の状態に基づいて前記再生制御の要求を行う再生要求部と、前記再生要求部からの要求に基づいて前記再生制御を実施する再生実施部と、を有し、
前記ポンプ制御部は、前記再生実施部により前記再生制御が実施されている場合は、前記第2ポンプの駆動の停止を
禁止、または、間欠運転させる、
請求項1に記載の燃料タンク装置。
【請求項3】
前記再生制御部は、前記排気浄化装置の状態に基づいて再生制御の要求を行う再生要求部と、前記再生要求部からの要求に基づいて前記再生制御を実施する再生実施部と、を有し、
前記ポンプ制御部は、前記再生要求部により前記再生制御が要求されている場合、前記第2ポンプの駆動の停止を
禁止、または、間欠運転させる、
請求項1に記載の燃料タンク装置。
【請求項4】
前記ポンプ制御部は、
前記車両がアイドル停車中である場合、前記第2ポンプを停止させ、
前記再生実施部により前記再生制御が実施されている状態において前記車両がアイドル停車した場合、前記第2ポンプの停止を
禁止、または、間欠運転させる、
請求項2または3に記載の燃料タンク装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に設けられる燃料タンクにおいて、燃料タンク内に設けられる燃料ポンプ(以下インタンクポンプと記す)を用いた燃料タンク装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1の燃料タンク装置では、インタンクポンプによって燃料タンク内の燃料を吸い上げるとともに、吸い上げた燃料を、燃料供給路を介してエンジンの燃料噴射装置まで供給する。
【0003】
また、従来、エンジンに高圧ポンプ(以下サプライポンプと記す)が設けられる燃料タンク装置が知られている(例えば特許文献2参照)。特許文献2の燃料タンク装置では、サプライポンプは燃料タンクの燃料を吸い上げるとともに、燃料を昇圧してエンジンの燃料噴射装置に供給する。
【0004】
一方、インタンクポンプを用いた燃料タンク装置において、タンク内にリザーバカップを設け、リザーバカップの中の燃料を吸い上げてエンジンに供給する燃料タンク装置が知られている(例えば特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-214891号公報
【文献】特開2010-281252号公報
【文献】特許第5896129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の燃料タンク装置は、インタンクポンプが燃料を吸入できる場合にのみインタンクポンプを駆動させることで、燃料供給路に対する空気混入を防止する。また、特許文献3の燃料タンク装置において、特許文献2の燃料タンク装置のようなサプライポンプを用いる場合、サプライポンプは、リザーバカップ内の燃料をエンジンに供給する一方、インタンクポンプは、燃料タンク内の燃料をリザーバカップに供給する。
【0007】
しかし、このような燃料タンク装置において、特許文献1の燃料タンク装置のようにインタンクポンプ停止させた状態で、サプライポンプによってリザーバカップからエンジンに供給する燃料が増加すると、リザーバカップの燃料液面が低下する。リザーバカップの燃料液面が低下すると、サプライポンプは、エンジンの運転に必要な燃料をリザーバカップからエンジン側に供給できなくなる。この結果、エンジンが停止するおそれがある。
【0008】
本発明の課題は、リザーバカップからエンジンに供給する燃料の不足によってエンジンが停止することを防止しつつ、燃料への空気混入を抑制できる燃料タンク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る燃料タンク装置は、燃料タンクと、リザーバカップと、第1ポンプと、第2ポンプと、ポンプ制御部と、排気浄化装置と、再生制御部と、を備える。燃料タンクはエンジンを搭載した車両に設けられる。リザーバカップは、燃料タンク内に設けられる。第1ポンプは、リザーバカップ内の燃料をエンジン側に供給する。第2ポンプは、燃料タンク内の燃料をリザーバカップ内に供給する。ポンプ制御部は、燃料タンク内の燃料残量が第1所定値以下となった場合、第2ポンプの駆動を停止させる。排気浄化装置は、エンジンの排気路に設けられる。再生制御部は、エンジンへの燃料噴射量を増加させることで排気浄化装置を昇温または再生させる再生制御の指示を行う。ポンプ制御部は、再生制御部により再生制御の指示が行われている場合、第2ポンプの駆動の停止を禁止、または、間欠運転させる。
【0010】
この燃料タンク装置によれば、ポンプ制御部は、燃料タンク内の燃料残量が第1所定値以下となった場合、第2ポンプの駆動を停止させる。これによって、サプライポンプに供給される燃料の空気混入を抑制できる。一方、再生制御部により排気浄化装置の再生が行われている場合、ポンプ制御部は第2ポンプの駆動の停止を抑制できる。すなわち、排気浄化装置の再生が行われている場合、再生制御部は、エンジンの燃料噴射量を増加させるので、サプライポンプがリザーバカップからエンジン側に供給する燃料が増加する。これによって、インタンクポンプが停止状態となると、リザーバカップ内の燃料液面が低下する。ポンプ制御部は、再生制御部によって排気浄化装置の再生指示がされている場合、第2ポンプの駆動の停止を抑制することで、リザーバカップ内の燃料液面の低下を抑制する。このため、サプライポンプがエンジンの運転に必要な燃料を、リザーバカップからエンジン側に供給できなくなることを防止できる。この結果、リザーバカップからエンジンに供給する燃料の不足によってエンジンが停止することを防止しつつ、燃料への空気混入を抑制できる燃料タンク装置を提供できる。
【0011】
再生制御部は、排気浄化装置の状態に基づいて再生制御の要求を行う再生要求部と、再生要求部からの要求に基づいて再生制御を実施する再生実施部と、を有してもよい。ポンプ制御部は、再生実施部により再生制御が実施されている場合は、第2ポンプの駆動の停止を禁止、または、間欠運転させてもよい。
【0012】
この構成によれば、ポンプ制御部は、実際に再生制御が実施されている場合、第2ポンプの駆動の停止を抑制する。これによって、ポンプ制御部は、現実に再生制御が実施されるまで、第2ポンプの駆動の停止を抑制しない。このため、ポンプ制御部は、第2ポンプの駆動の停止を抑制する機会が減少する。この結果、サプライポンプに供給される燃料の空気混入を抑制できる。
【0013】
再生制御部は、排気浄化装置の状態に基づいて再生制御の要求を行う再生要求部と、再生要求部からの要求に基づいて再生制御を実施する再生実施部と、を有してもよい。ポンプ制御部は、再生要求部により再生が要求されている場合、第2ポンプの駆動の停止を禁止、または、間欠運転させてもよい。
【0014】
この構成によれば、ポンプ制御部は、再生の要求があった場合、第2ポンプの駆動の停止を抑制する。これによって、ポンプ制御部は、現実に再生が実施されていなくても再生の要求があれば、第2ポンプの駆動の停止を抑制する。このため、ポンプ制御部は、再生制御によってリザーバカップ内の燃料液面が低下することを抑制できる。
【0015】
ポンプ制御部は、車両がアイドル停車中である場合に第2ポンプを停止させ、再生実施部により再生制御が実施されている状態において車両がアイドル停車した場合、第2ポンプの停止を禁止、または、間欠運転させてもよい。
【0016】
この構成によれば、ポンプ制御部は、サプライポンプがエンジンに供給する燃料が安定しているアイドル状態で車両が停車している場合、第2ポンプを停止させる。一方、再生実施部によって再生制御が実施されている場合、第2ポンプを停止させない。これによって、アイドル停車中であっても再生制御が実施されている場合、サプライポンプがエンジンの運転に必要な燃料を、リザーバカップからエンジン側に供給できなくなることを防止できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、リザーバカップからエンジンに供給する燃料の不足によってエンジンが停止することを防止しつつ、燃料への空気混入を抑制できる燃料タンク装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態による燃料タンク装置のシステム図。
【
図2】本発明の一実施形態によるインタンクポンプ付近の拡大図。
【
図3】本発明の第1実施形態による制御部および再生制御部が行う処理の示すフローチャート。
【
図4】本発明の第2実施形態による制御部および再生制御部が行う処理の示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1に示すように、燃料タンク装置1は、燃料タンク2と、リザーバカップ4と、サプライポンプ(第1ポンプの一例)6と、インタンクポンプ(第2ポンプの一例)8と、ポンプ制御部10と、排気浄化装置30と、再生制御部32と、を備える。
【0021】
燃料タンク2は、エンジン12を搭載した車両に設けられる。燃料タンク2は、エンジン12と燃料供給路14を介して接続される。燃料タンク2は、エンジン12に供給する燃料を貯蔵する。本実施形態では、燃料タンク2は、主燃料タンク室2aと、副燃料タンク室2bと、を有し、主燃料タンク室2aと、副燃料タンク室2bの上部を連結して一体形成した鞍型の燃料タンク2である。このような鞍型の燃料タンク2は、例えば車両が4輪駆動車や後輪駆動車の場合、後輪に駆動力を伝達するプロペラシャフトが主燃料タンク室2aと、副燃料タンク室2bの間に設けられ、プロペラシャフトと燃料タンク2の干渉を防止する。
【0022】
リザーバカップ4は、燃料タンク2内に設けられる。本実施形態では、リザーバカップ4は、主燃料タンク室2aに設けられる。リザーバカップ4は、主燃料タンク室2aおよび副燃料タンク室2bから供給された燃料を一旦貯蔵する。このような、リザーバカップ4を設けることで、車両が旋回している場合や傾斜地を走行している場合であっても、燃料を燃料供給路14に安定的に供給できる。
【0023】
サプライポンプ6は、エンジン12に取り付けられる。サプライポンプ6は、エンジン12のカムによって駆動され、燃料を昇圧してエンジン12の燃料噴射装置16に供給する。本実施形態では、エンジン12はディーゼルエンジンであり、昇圧した燃料を貯蔵するコモンレール16aと、燃料噴射弁16bと、を有する。また、サプライポンプ6は、リザーバカップ4内の燃料を、燃料供給路14および燃料供給路14上に設けられた燃料フィルタ14aを介して吸い上げ、エンジン12側に供給する。また、サプライポンプ6は、リターン配管18と接続され、燃料を昇圧する際に余った燃料をリザーバカップ4および主燃料タンク室2aに戻す。リターン配管18には、サーモバルブ18aが設けられ、燃料の温度が低い場合、リザーバカップ4に燃料を戻す。一方、燃料の温度が高い場合、主燃料タンク室2aに燃料を戻す。
【0024】
インタンクポンプ8は、燃料タンク2内の燃料をリザーバカップ4内に供給する。インタンクポンプ8は、インタンクポンプフィルタ8aを介してリザーバカップ4内の燃料を吸い上げ、レギュレータ8bに供給する。レギュレータ8bでは、燃料の一部がサプライポンプ6から吸い上げられ、残りがフィリングジェット8cおよびサクションジェット8dに流れる。インタンクポンプ8は、ポンプ制御部10と電気的に接続される。
【0025】
図2に示すように、フィリングジェット8cは、絞り8fと、吐出口8gと、を有する。レギュレータ8bに流れた燃料は、絞り8fで絞られ、絞り8fの下流の圧力が下がる。絞り8fの下流には、主燃料タンク室2aに繋がる通路8eが接続される。主燃料タンク室2aの燃料は、絞り8fの下流で圧力が下がった燃料に吸い込まれて、吐出口8gを介してリザーバカップ4に供給される。
【0026】
また、サクションジェット8dは、絞り8hと、吐出口8iと、を有する。レギュレータ8bに流れた燃料は、絞り8hで絞られ、絞り8hの下流の圧力が下がる。絞り8hの下流には、副燃料タンク室2bに繋がる移送通路(以下サクション通路と記す)20(
図1参照)が接続される。副燃料タンク室2bの燃料は、絞り8hの下流で圧力が下がった燃料に吸い込まれ、吐出口8iを介してリザーバカップ4に供給される。
【0027】
図1に示すように、排気浄化装置30は、排気路30aに設けられ、エンジン12の排気を浄化する。本実施形態では、排気浄化装置30は、酸化触媒30bと、ディーゼル微粒子捕集フィルタ30cと、NOx吸蔵触媒30dと、を有する。酸化触媒30bは、排気路30aのエンジン12側に配置され、エンジン12の排気を浄化する触媒である。ディーゼル微粒子捕集フィルタ30cは、酸化触媒30bの下流に配置され、排気に含まれるディーゼル微粒子を補集する。NOx吸蔵触媒30dは、ディーゼル微粒子捕集フィルタ30cの下流に配置され、排気に含まれるNOxを吸着する。
【0028】
このような構成の排気浄化装置30では、排気浄化装置30の触媒を再生するために、エンジン12の燃料噴射量を増加させてエンジン12をリッチ化して運転し、排気空燃比をリッチ化する。排気空燃比をリッチ化すると、排気温度が上昇し、酸化触媒30bの温度が上昇する。酸化触媒30bの温度が上昇すると、排気浄化装置30を高温に保つことができる。このように、排気浄化装置30を高温に保つことで、ディーゼル微粒子捕集フィルタ30cの温度を上昇させ、ディーゼル微粒子捕集フィルタ30cに堆積した煤を燃やすことで排気浄化装置30を再生する。さらに、排気浄化装置30は、排気空燃比をリッチ化させることで、吸着したNOxの分解、吸蔵された硫黄分の放出(以下Sパージと記す)を行うことで排気浄化装置30の再生を行う。なお、このような排気浄化装置30の再生は、排気浄化装置30が所定温度W2(例えば、700℃程度)以上の場合に行われる。その他、例えば、尿素SCR触媒などの選択還元型触媒において、触媒の機能を十分に発揮するために、エンジン12の燃料噴射量を増加させて排気温度を上昇させ、触媒の昇温を行うことも、本実施形態では再生制御の一つとして扱う。
【0029】
ポンプ制御部10は、ECU(Electrоnic Control Unit)22に記憶されるソフトウェアによって実現される機能構成である。ECU22は、サプライポンプ6、インタンクポンプ8、および燃料噴射弁16bなどの各種装置と電気的に接続される。ECU22は、実際には、演算装置と、メモリと、入出力バッファ等とを含むマイクロコンピュータによって構成される。ECU22は、各センサおよび各種装置からの信号、ならびにメモリに格納されたマップおよびプログラムに基づいて、燃料タンク装置1が、所望の運転状態となるように各装置を制御する。
【0030】
再生制御部32は、エンジン12への燃料噴射量を増加させることで排気浄化装置30の再生指示を行う。再生制御部32は、再生要求部32aと、再生実施部32bと、を有する。再生要求部32aは、排気浄化装置30の状態に基づいて再生制御の要求を行う。再生実施部32bは、再生要求部32aからの要求に基づいて再生制御を実施する。再生制御部32はポンプ制御部10と同様に、ECU(Electrоnic Control Unit)22に記憶されるソフトウェアによって実現される機能構成である。ECU22は、各センサおよび各種装置からの信号、ならびにメモリに格納されたマップおよびプログラムに基づいて、排気浄化装置30の触媒の再生を指示する。具体的には、ECU22は、再生制御部32からエンジン12の燃料噴射装置16へ指示を送り、燃料噴射量を増加させることで排気浄化装置30の触媒の再生を指示する。
【0031】
次に、
図3のフローチャートを用いて、ポンプ制御部10および再生制御部32が実施する制御手順について説明する。ポンプ制御部10および再生制御部32は、図示しないイグニッションスイッチがオンされると、
図3のフローチャートの制御手順を開始する。
【0032】
ポンプ制御部10は、アイドル停車中か否か判断する(S1)。ここで、アイドル停車中とは、車両が停止し、エンジン12がアイドル運転状態であるこという。このような状態では、エンジン12は車両の走行による負荷受けない状態となるため、エンジン12が安定して運転される。すなわち、サプライポンプ6がリザーバカップ4からエンジン12側へ供給する燃料量が安定する。また、車両が停車しているので、燃料タンク2内の燃料の液面が安定する。すなわち、インタンクポンプ8が燃料タンク2からリザーバカップ4へ供給する燃料量が安定する。ポンプ制御部10は、アイドル停車中であると判断した場合(S1 Yes)、S2へ処理を進める。一方、ポンプ制御部10は、アイドル停車中でないと判断した場合(S1 No)、処理をS1の前に戻し、燃料タンク装置1がエンジン12の負荷に合わせた所望の運転状態(以下、通常運転状態と記す)なるように各装置を制御する。
【0033】
S2では、再生制御部32は、エンジン12の燃料噴射量を増加させることで再生指示を行う。より具体的には、再生制御部32の再生要求部32aは、エンジン12の累積運転時間などから排気浄化装置30の状態を検知し、再生実施部32bに排気浄化装置30の再生制御を要求するか否か判断する(S2)。再生要求部32aは、再生制御を要求すると判断した場合(S2 Yes)、S3に処理を進める。S3では、再生制御を実施したか否か判断する。すなわち、排気浄化装置30の再生を行う再生制御を実施するには、排気浄化装置30がある程度高温となっている必要がある。このため、排気浄化装置30が温まっていない場合には、排気浄化装置30の再生が実施できない。したがって、再生制御部32は、排気浄化装置30が所定温度W2以上であれば、再生実施部32bを制御して、エンジン12の燃料噴射量を増加させ、排気浄化装置30の再生制御を実施したと判断する(S3 Yes)。一方、再生制御部32は、排気浄化装置30が所定温度未満であれば、再生実施部32bが再生制御を実施していないと判断し(S3 No)、S4に処理を進める。
【0034】
S4では、ポンプ制御部10は、インタンクポンプ8を停止させる停止制御を禁止する条件が成立していないか否かを判断する。ここで、停止制御を禁止する条件は、例えば、車両に搭載されるバッテリの電圧が所定電圧以下の場合である。このような場合、インタンクポンプ8の駆動力が低下する。インタンクポンプ8の駆動力が低下すると、サクションジェット8dの負圧が下がり、サクション通路20の燃料移送量が低下する。この結果、副燃料タンク室2bからリザーバカップ4への燃料供給量が減る。また、フィリングジェット8cの負圧も低下し、主燃料タンク室2aから、リザーバカップ4への燃料供給量が減る。その他、車両の車速センサ、車輪の回転数センサ、アクセルポジションセンサの故障により、車両がアイドル停車中か否か正しく判断できない場合なども、停止制御を禁止する。また、エンジン12がアイドル運転中であっても、エンジン12の回転数が所定回転するよりも高い場合は、停止制御を禁止する。このような場合は、サプライポンプ6によってリザーバカップ4からエンジン側へ供給される燃料が多くなり、リザーバカップ4の燃料液面が低下しやすい。
【0035】
また、停止制御を禁止する条件は、外気温Wが所定温度W1未満の場合を含む。すなわち、外気温Wが所定温度W1未満の場合、燃料の粘度が高くなり、燃料がフィリングジェット8c、サクションジェット8d、およびサクション通路20を通過する際の抵抗が大きくなる。この結果、インタンクポンプ8のポンプ能力が落ちる。このような状態では、インタンクポンプ8を停止しないほうが好ましい。すなわち、ポンプ制御部10は、外気温Wが所定温度W1以上の場合であれば、インタンクポンプ8を停止する。さらに、ポンプ制御部10は、外気温Wが高い場合であっても燃料の温度が低い温度の場合、停止制御を禁止してもよい。燃料の温度は、燃料タンク2や燃料供給路14に温度センサを設けて取得してもよい。
【0036】
ポンプ制御部10は、インタンクポンプ8を停止させる停止制御を禁止する条件が成立していないと判断した場合(S4 Yes)、S5に処理を進める。S5では、ポンプ制御部10は、燃料タンク2の燃料残量FLを検知し、S6へ処理を進める。燃料残量FLは、例えば、図示しない燃料レベルセンサによって検知できる。一方、ポンプ制御部10は、インタンクポンプ8を停止させる停止制御を禁止する条件が成立していると判断した場合(S4 No)、S1の前に処理を戻す。すなわち、ポンプ制御部10は、停止制御を禁止する条件が成立している間は、インタンクポンプ8の停止制御を実施しない。
【0037】
S6では、ポンプ制御部10は、燃料残量FLが、第1所定値FL1以下、かつ、第2所定値FL2以上であるか否かを判断する。すなわち、ポンプ制御部10は、燃料残量FLが所定範囲FLw以内であるか否か判断する。第1所定値FL1は、リザーバカップ4内に十分な燃料があることが予想される燃料残量FLである。本実施形態では、第1所定値FL1は、主燃料タンク室2a内の燃料の液面がインタンクポンプ8の上端よりも高くなるような燃料残量FLに設定されている。一方、主燃料タンク室2aに十分な燃料があっても、副燃料タンク室2bに十分な燃料が無い場合もある。燃料残量FLが第1所定値FL1の場合、このように副燃料タンク室2bの燃料が主燃料タンク室2aよりも少なくなるおそれがある。このような場合、副燃料タンク室2bからサクションジェット8dを介してリザーバカップ4に供給する燃料に空気混入のおそれが生じる。すなわち、第1所定値FL1は、燃料タンク2の形状に応じて変化する値である。本実施形態では、第1所定値FL1は、例えば、燃料タンク2が貯蔵可能な燃料の半分以上の値である。
【0038】
また、第2所定値FL2は、第1所定値FL1よりも小さい値であり、インタンクポンプ8を停止した場合、サプライポンプ6がリザーバカップ4からエンジン12側に供給する燃料が不足するおそれが生じる燃料残量FLである。本実施形態では、第2所定値FL2は、リザーバカップ4内の液面が、フィリングジェット8cの吐出口8gやサクションジェット8dの吐出口8iよりも低いと予測される燃料残量FLに設定される。これは、インタンクポンプ8を停止した場合、サプライポンプ6により吐出口8g、吐出口8iから燃料が吸い上げられることになるが、リザーバカップ4内の液面が吐出口8g、吐出口8iよりも低い場合、サプライポンプ6により燃料と一緒に空気も吸い上げることになるためである。本実施形態では、第2所定値FL2は、例えば、燃料タンク2が貯蔵可能な燃料の5分の1以下の値である。ポンプ制御部10は、燃料残量FLが、第1所定値FL1以下、かつ、第2所定値FL2以上の所定範囲FLw以内であると判断した場合(S6 Yes)、S7に処理を進める。
【0039】
S7では、ポンプ制御部10は、燃料残量FLが第3所定値FL3以上か否か判断する。ここで、第3所定値FL3は、インタンクポンプ8を停止した場合、リザーバカップ4内の燃料液面が低下しすぎるおそれが生じる燃料残量FLである。リザーバカップ4内の燃料液面が低下しすぎると、サプライポンプ6がリザーバカップ4からエンジン12側に供給する燃料が不足するおそれ、および、サプライポンプ6が吸い込む燃料に空気混入するおそれがある。すなわち、第3所定値FL3は、サプライポンプ6のポンプ能力や、リザーバカップ4の容量によって変化する値である。また、第3所定値FL3は、第2所定値FL2より大きく、第1所定値FL1より小さい値である。本実施形態では、第3所定値FL3は、例えば、燃料タンク2が貯蔵可能な燃料の4分の1以下の値である。ポンプ制御部10は、燃料残量FLが第3所定値FL3以上であると判断した場合(S7 Yes)、S8に処理を進める。
【0040】
S8では、ポンプ制御部10は、インタンクポンプ8の駆動時間(所定期間)Tdが第2所定時間T2経過したか否か判断する。ここで、第2所定時間T2は、インタンクポンプ8を駆動することで主燃料タンク室2aおよび副燃料タンク室2bからリザーバカップ4に十分な燃料が供給される時間である。すなわち、第2所定時間T2は、インタンクポンプ8およびサプライポンプ6のポンプ能力、ならびにリザーバカップ4の容量によって変化する時間である。ポンプ制御部10は、インタンクポンプ8の駆動時間Tdが第2所定時間T2経過していないと判断した場合(S11 No)、処理をS10の前に戻し、インタンクポンプ8の駆動時間Tdが第2所定時間T2経過するまでインタンクポンプ8を駆動する。ポンプ制御部10は、インタンクポンプ8の駆動時間Tdが第2所定時間T2経過したと判断した場合、処理をS1の前に戻す。
【0041】
ポンプ制御部10は、S9でインタンクポンプ8を停止し、S10に処理を進める。S10では、ポンプ制御部10は、インタンクポンプ8の停止時間(所定時間)Tsが第1所定時間T1経過したか否か判断する。第1所定時間T1は、リザーバカップ4内に十分な燃料が存在する状態でインタンクポンプ8を停止しても、リザーバカップ4内の燃料液面が低下しすぎない時間である。ポンプ制御部10は、インタンクポンプ8の停止時間Tsが第1所定時間T1経過したと判断した場合(S10 Yes)、S11に処理を進め、インタンクポンプ8を駆動し(S11)、処理をS1の前に戻す。
【0042】
S6でポンプ制御部10は、燃料残量FLが、所定範囲FLw以内にないと判断した場合(S6 No)、S12に処理を進める。S12では、ポンプ制御部10は、燃料残量FLが第2所定値FL2未満か否か判断する。ポンプ制御部10は、燃料残量FLが第2所定値FL2未満であると判断した場合(S12 Yes)、S13に処理を進める。S13では、インタンクポンプ8の停止を禁止し、処理をS1の前に戻す。ポンプ制御部10は、このようにインタンクポンプ8の停止を禁止することで、リザーバカップ4内の燃料が無くなることを防止し、サプライポンプ6がエンジン12側に燃料を供給できず、エンジン12が停止することを防止する。一方、ポンプ制御部10は、燃料残量FLが第2所定値FL2未満でないと判断した場合(S12 No)、すなわち、燃料残量FLが第1所定値FL1よりも多い場合、処理をS1の前に戻す。つまり、ポンプ制御部10は、通常運転状態のインタンクポンプ8の制御を行いつつ、再度、インタンクポンプ8を停止させるか否かの判断を行う。
【0043】
S7では、ポンプ制御部10は、燃料残量FLが第3所定値FL3未満であると判断した場合(S7 No)、処理をS14に進める。S14では、S8と同様に、ポンプ制御部10は、インタンクポンプ8の駆動時間(所定期間)Tdが第2所定時間T2経過したか否か判断する。ポンプ制御部10は、インタンクポンプ8を第2所定時間T2駆動していないと判断すると(S14 No)、処理をS1の前に戻す。ポンプ制御部10は、インタンクポンプ8を第2所定時間T2駆動したと判断すると(S14 Yes)、処理をS15に進める。S15では、ポンプ制御部10は、インタンクポンプ8を停止し、処理をS16に進める。S16では、ポンプ制御部10は、インタンクポンプ8の停止時間Tsが第3所定時間T3経過したか否か判断する。ポンプ制御部10は、インタンクポンプ8の停止時間Tsが第3所定時間T3経過したと判断した場合(S16 Yes)、S17に処理を進める。S17では、ポンプ制御部10は、インタンクポンプ8を駆動する。ポンプ制御部10は、S15でインタンクポンプ8を駆動すると、処理をS1の前に戻す。
【0044】
ここで、第3所定時間T3は、第1所定時間T1よりも短い時間である。すなわち、ポンプ制御部10は、燃料残量FLが少ないほど、インタンクポンプ8の停止時間Tsを短くする。これによって、ポンプ制御部10はリザーバカップ4内の燃料液面の低下を抑制する。すなわち、燃料残量FLが第3所定値FL3未満の場合、インタンクポンプ8が停止すると、サプライポンプ6がリザーバカップ4内の燃料をエンジン側に供給することで、リザーバカップ4内の燃料液面が過度に低下するおそれのある状態となる。より具体的には、燃料タンク2(本実施形態では副燃料タンク室2b)内の燃料液面の高さがリザーバカップ4内の燃料液面の高さよりも低い位置になると、リザーバカップ4内の燃料は、サプライポンプ6によって燃料が持ち去られることに加え、サイフォンの原理によってサクション通路20を通り燃料タンク2へと流れ出る。このとき、燃料残量FLが少ない(例えば、燃料残量FLが第3所定値FL3未満)場合、燃料残量FLが多い場合(例えば、燃料残量FLが第3所定値FL3以上)に比べて、リザーバカップ4内の燃料は、リザーバカップ4内の燃料液面がより低い位置となるまで、サクション通路20を通り燃料タンク2へと流れ出る。この結果、第3所定値FL3未満におけるリザーバカップ4内の液面が過度に低下するまでの時間は、燃料残量FLが第3所定値FL3以上における液面が過度に低下するまでの時間に比べて短い。ポンプ制御部10は、このようにインタンクポンプ8の停止時間Tsを第1所定時間T1よりも短い第3所定時間T3とすることで、サプライポンプ6によってリザーバカップ4内の燃料が減りすぎないようにし、リザーバカップ4内の過度な液面低下を抑制する。
【0045】
S10でポンプ制御部10が、インタンクポンプ8の停止時間Tsが第1所定時間T1経過してないと判断した場合(S10 No)、インタンクポンプ8を停止させる停止制御を禁止する条件が成立していないか否か判断する(S18)。ポンプ制御部10は、停止制御を禁止する条件が成立していないと判断した場合(S18 Yes)、S19へ処理を進める。S19では、燃料残量FLが第3所定値FL3以上か否か判断する(S19)。ポンプ制御部10は、燃料残量FLが第3所定値FL3以上でないと判断した場合(S19 No)、処理をS20に進める。S20では、インタンクポンプ8の停止時間Tsが第3所定時間T3経過しているか否か判断する。ポンプ制御部10は、第3所定時間T3経過していないと判断した場合(S20 No)、処理をS16の前に処理を進める。また、ポンプ制御部10は、第3所定時間T3経過している場合(S20 Yes)、S17に処理を進め、インタンクポンプ8を駆動する。
【0046】
すなわち、ポンプ制御部10は、インタンクポンプ8が第1所定時間T1まで停止する間に、燃料残量FLが第3所定値FL3未満まで減少した場合、インタンクポンプ8の停止時間Tsを第3所定時間T3に切り替える。さらに、ポンプ制御部10は、燃料残量FLが第3所定値FL3未満まで減少したときのインタンクポンプ8の停止時間Tsが第3所定時間T3経過している場合は、インタンクポンプ8を駆動する。
【0047】
一方、ポンプ制御部10は、インタンクポンプ8を停止させる停止制御を禁止する条件が成立していると判断した場合(S18 No)、処理をS1の前に戻す。さらに、ポンプ制御部10は、燃料残量FLが第3所定値FL3以上であると判断した場合(S19 Yes)、処理をS10の前に戻し、インタンクポンプ8の停止を続ける。
【0048】
また、ポンプ制御部10は、インタンクポンプ8の停止時間Tsが第3所定時間T3経過してないと判断した場合(S16 No)、S21に処理を進める。S21では、ポンプ制御部10は、インタンクポンプ8を停止させる停止制御を禁止する条件が成立していないか否か判断する。ポンプ制御部10は、停止制御を禁止する条件が成立していないと判断した場合(S21 Yes)、処理をS16の前に戻して、第3所定時間T3が経過するまでインタンクポンプ8を停止する。ポンプ制御部10は、S21でインタンクポンプ8を停止させる停止制御を禁止する条件が成立していると判断した場合(S21 No)、処理をS1の前に戻す。
【0049】
ポンプ制御部10は、S3で再生実施部32bにより再生制御が実施されていると判断した場合(S3 Yes)、S13に処理を進める。S13では、インタンクポンプ8の停止を禁止する。すなわち、ポンプ制御部10は、現実に再生制御が実施されるまで、インタンクポンプ8の停止を禁止しない。S3で再生制御が実施されると、ポンプ制御部10は、S4に処理を進める。S4では、ポンプ制御部10は、インタンクポンプ8の停止を禁止し、S1の前に処理を戻す。なお、ポンプ制御部10は、車両がアイドル停車中である場合(S1 Yes)、インタンクポンプ8を停止させる一方、再生実施部32bにより再生制御が実施されている状態において(S3 Yes)は、インタンクポンプ8の停止は禁止されている(S13)。このため、ポンプ制御部10は、再生実施部32bにより再生制御が実施されている状態においては、車両がアイドル停車した場合(S1)であっても、インタンクポンプ8の停止は禁止された状態となる。
【0050】
以上説明した通り、本発明の燃料タンク装置1によれば、再生制御部32が実際に排気浄化装置30の再生を行う再生制御が実際に行われているときに、インタンクポンプ8の停止を禁止できる。これによって、実際にエンジン12の燃料噴射量が増加しているときにインタンクポンプ8の停止を禁止し、排気浄化装置30の再生が行われず、エンジン12の燃料噴射量が増加していないときはインタンクポンプ8を停止することができるので、インタンクポンプ8の停止頻度が高まる。このため、サプライポンプ6に供給される燃料の空気混入が抑制できる。この結果、リザーバカップ4からエンジン12に供給する燃料の不足によってエンジン12が停止することを防止しつつ、燃料への空気混入を抑制できる燃料タンク装置1を提供できる。
【0051】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について
図4のフローチャートを用いて説明する。なお、第2実施形態の燃料タンク装置201は、第1実施形態の燃料タンク装置1と同じ構成であり、ポンプ制御部10および再生制御部32の行う処理が異なる。このため、本発明の第2実施形態の燃料タンク装置1の説明では、ポンプ制御部10および再生制御部32の行う処理の異なる部分のみ説明する。
【0052】
図4のフローチャートに示すように、再生制御部32は、エンジン12の燃料噴射量を増加させることで再生指示を行う。ポンプ制御部10は、再生制御部32の再生指示している場合、インタンクポンプ8の停止を禁止する。より具体的には、再生要求部32aは、再生制御が要求されているか否か判断し(S202)、再生制御を要求している場合(S202 Yes)、再生実施部32bに再生を指示する。このとき、ポンプ制御部10は、インタンクポンプ8の停止を禁止する(S221)。すなわち、ポンプ制御部10は、再生要求部32aによって再生制御が要求されると、インタンクポンプ8の停止を禁止する。
【0053】
再生実施部32bは、排気浄化装置30の再生制御が可能な状態となるとエンジン12の燃料噴射量を増加させて再生制御を行う(S222)。一方、再生要求部32aは再生制御を要求されていない場合(S202 No)、S203に処理を進める。
【0054】
その他、第2実施形態におけるS201の処理は、第1実施形態のS1の処理と同じため、説明を省略する。また、第2実施形態におけるS203からS220までの処理は、第1実施形態におけるS4からS21の処理と同じため説明を省略する。
【0055】
以上説明した通り、本発明の燃料タンク装置201によれば、再生制御部32が排気浄化装置30の再生を行う再生制御を要求しているときに、インタンクポンプ8の停止を禁止できる。これによって、ポンプ制御部10は、現実に再生が実施されていなくとも再生の要求があれば、インタンクポンプ8の駆動の停止を禁止する。このため、ポンプ制御部10は、再生制御が実施される前にリザーバカップ4内の燃料量を十分に確保することができる。この結果、リザーバカップ4からエンジン12に供給する燃料の不足によってエンジン12が停止することを防止しつつ、燃料への空気混入を抑制できる燃料タンク装置201を提供できる。
【0056】
<他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0057】
(a)本実施形態では、エンジン12はディーゼルエンジンを例に説明したが、本発明はこれに限定されない。エンジン12は、サプライポンプ6を有する筒内噴射型のガソリンエンジンであってもよい。エンジン12がガソリンエンジンの場合、ガソリン微粒子捕集フィルタやHC吸蔵触媒を配置してもよい。このような排気浄化装置30であっても同様に、排気浄化装置30を高温に保つことで、ガソリン微粒子捕集フィルタに堆積した煤の燃焼や、HC吸蔵触媒に吸蔵されたHCを分解すことで、排気浄化装置30を再生する。
【0058】
(b)上記実施形態では、主燃料タンク室2aと副燃料タンク室2bを有する燃料タンク2を例に説明したが、本発明はこれに限定されない。燃料タンク2は、主燃料タンク室2aのみ有する燃料タンク2であってもよい。この場合、サクションジェット8d、サクション通路20は、不要である。
【0059】
(c)上記実施形態では、燃料タンク2は、主燃料タンク室2aと副燃料タンク室2bの上部を連結して一体形成した鞍型の燃料タンク2を例に説明したが、本発明はこれに限定されない。主燃料タンク室2aと副燃料タンク室2bは、別体で設けられてもよい。
【0060】
(d)上記実施形態では、インタンクポンプ8の停止時間Tsは、燃料残量FLが第3所定値FL3以上の場合に第1所定時間T1とし、第3所定値FL3未満の場合に第1所定時間T1よりも短い第3所定時間T3とする例に説明したが、本発明はこれに限定されない。インタンクポンプ8の停止時間Tsは、燃料タンク内の燃料残量FLに応じて設定すればよい。なお、インタンクポンプ8の停止時間Tsは、燃料タンク内の燃料残量FLが少ないほど長く設定してもよい。すなわち、燃料タンク内の燃料残量FLが少ないほど、インタンクポンプ8により空気を吸うことになるため、インタンクポンプ8を長く停止させてリザーバカップ4内の燃料に空気が混入することを防止してもよい。
【0061】
(e)上記実施形態では、ポンプ制御部10は再生指示が行われている場合、インタンクポンプ8の停止を禁止する例を用いて説明したが、本発明はこれに限定されない。ポンプ制御部10は、再生制御によってエンジン12の燃料噴射量が増加した場合、リザーバカップ4の液面低下を抑制すればよく、インタンクポンプ8の停止を禁止しないまでも、間欠運転させるなど、インタンクポンプ8の停止を抑制してもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 201:燃料タンク装置,2:燃料タンク,4:リザーバカップ
6:サプライポンプ,8:インタンクポンプ,10:ポンプ制御部,12:エンジン
30:排気浄化装置,32:再生制御部
FL:燃料残量,FL1:第1所定値