(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】加熱装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20240228BHJP
G03G 15/16 20060101ALN20240228BHJP
【FI】
G03G15/20 510
G03G15/16
(21)【出願番号】P 2020007752
(22)【出願日】2020-01-21
【審査請求日】2022-12-23
(31)【優先権主張番号】P 2019117616
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 充博
(72)【発明者】
【氏名】小寺 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】下平 善樹
(72)【発明者】
【氏名】山田 光介
(72)【発明者】
【氏名】山下 真登
(72)【発明者】
【氏名】山下 孝幸
【審査官】三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-006471(JP,U)
【文献】実開昭56-023956(JP,U)
【文献】特開2002-258643(JP,A)
【文献】実開昭55-041898(JP,U)
【文献】実開昭58-113057(JP,U)
【文献】特開2009-163065(JP,A)
【文献】特開2019-215474(JP,A)
【文献】特開2004-053855(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0039643(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
G03G 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送材を保持する保持部と、
前記保持部が取り付けられ、自らが周回することで前記被搬送材を搬送方向に搬送する周回部と、
前記周回部によって前記搬送方向に搬送される被搬送材に対して非接触で該被搬送材を加熱する加熱手段と、
前記被搬送材に対する前記加熱手段側とは反対側で、前記搬送方向に交差する対向方向に前記加熱手段に対して対向する対向部と、
を備え、
前記加熱手段における前記搬送方向及び前記対向方向に交差する交差方向の長さが、前記対向部における前記交差方向の長さより長
く、
前記対向部は、
前記周回部に搬送される被搬送材へ送風する送風口を有し、該送風口を通過する送風により前記被搬送材を浮かす送風板である
加熱装置。
【請求項2】
前記加熱手段の加熱領域における交差方向の長さが、前記対向部における前記交差方向の長さより長い
請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
被搬送材を保持する保持部と、
前記保持部が取り付けられ、自らが周回することで前記被搬送材を搬送方向に搬送する周回部と、
前記周回部によって前記搬送方向に搬送される被搬送材に対して非接触で該被搬送材を加熱する加熱手段と、
前記被搬送材に対する前記加熱手段とは反対側で、前記搬送方向に交差する対向方向に前記加熱手段に対して対向する対向部と、
を備え、
前記加熱手段における前記搬送方向及び前記対向方向に交差する交差方向の端部が、前記対向部に対して前記交差方向に張り出し、
前記対向部は、
前記周回部に搬送される被搬送材へ送風する送風口を有し、該送風口を通過する送風により前記被搬送材を浮かす送風板である
加熱装置。
【請求項4】
前記加熱手段における交差方向の両端部が、前記対向部に対して前記交差方向に張り出している
請求項3に記載の加熱装置。
【請求項5】
前記周回部は、前記加熱手段における前記対向部から張り出した張出部に対する前記対向方向であって、前記対向部に対する前記加熱手段側に配置され、
前記周回部と該張出部との間には、前記加熱手段の熱を遮蔽する遮蔽部が設けられている
請求項1~4のいずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項6】
前記遮蔽部は、前記対向部に対して離れている
請求項5に記載の加熱装置。
【請求項7】
被搬送材としての記録媒体に画像を形成する形成部と、
前記形成部によって画像が形成された記録媒体を加熱する請求項1~6のいずれか1項に記載の加熱装置と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、印刷用紙等の転写材上に形成された未定着印刷画像を、赤外放射線ヒータを用いて定着、乾燥、及び定着前予熱を行う加熱装置であって、前記転写材に対峙する前記赤外放射線ヒータの背面に設置され、赤外放射線ヒータの背面への放射線を前記転写材に戻す背面反射板に加えて、前記転写材の幅方向両側に、前記転写材の幅方向に移動可能な側面反射板を備えたことを特徴とする加熱装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
搬送方向に搬送される被搬送材を非接触で加熱する加熱手段と、被搬送材に対する加熱手段側とは反対側で加熱手段に対して対向する対向部と、を備える構成において、例えば、加熱手段の搬送方向の長さが対向部の搬送方向の長さ以下である場合では、対向部に温度分布が生じる場合がある。
【0005】
本発明は、加熱手段の搬送方向の長さが対向部の搬送方向の長さ以下である、又は、加熱手段の交差方向の長さが、対向部の交差方向の長さ以下である構成に比べ、対向部に温度分布が生じることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様は、搬送方向に搬送される被搬送材に対して非接触で該被搬送材を加熱する加熱手段と、前記被搬送材に対する前記加熱手段側とは反対側で、前記搬送方向に交差する対向方向に前記加熱手段に対して対向する対向部と、を備え、前記加熱手段の前記搬送方向の長さが、前記対向部の前記搬送方向の長さより長い、又は、前記加熱手段における前記搬送方向及び前記対向方向に交差する交差方向の長さが、前記対向部における前記交差方向の長さより長い加熱装置である。
【0007】
第2態様は、前記加熱手段における交差方向の長さが、前記対向部における前記交差方向の長さより長い第1態様に係る加熱装置である。
【0008】
第3態様は、前記加熱手段の加熱領域における交差方向の長さが、前記対向部における前記交差方向の長さより長い第2態様に係る加熱装置である。
【0009】
第4態様は、搬送方向に搬送される被搬送材に対して非接触で該被搬送材を加熱する加熱手段と、前記被搬送材に対する前記加熱手段とは反対側で、前記搬送方向に交差する対向方向に前記加熱手段に対して対向する対向部と、を備え、前記加熱手段の前記搬送方向の端部が、前記対向部に対して前記搬送方向に張り出している、又は、前記加熱手段における前記搬送方向及び前記対向方向に交差する交差方向の端部が、前記対向部に対して前記交差方向に張り出している加熱装置である。
【0010】
第5態様は、前記加熱手段の前記搬送方向の両端部が、前記対向部に対して前記搬送方向に張り出している、又は、前記加熱手段における交差方向の両端部が、前記対向部に対して前記交差方向に張り出している第4態様に係る加熱装置である。
【0011】
第6態様は、前記対向部は、前記被搬送材へ送風する送風口を有し、該送風口を通過する送風により前記被搬送材を浮かす送風板である第1態様から第5態様のいずれか1つの態様に係る加熱装置である。
【0012】
第7態様は、前記加熱手段における前記対向部から張り出した張出部に対する前記対向方向に配置された部品と、該張出部と、の間に設けられ、前記加熱手段の熱を遮蔽する遮蔽部を備える第1態様から第6態様のいずれか1つの態様に係る加熱装置である。
【0013】
第8態様は、前記遮蔽部は、前記対向部に対して離れている第7態様に係る加熱装置である。
【0014】
第9態様は、前記遮蔽部は、前記対向部に対する前記加熱手段側とは反対側に配置されている第8態様に係る加熱装置である。
【0015】
第10態様は、前記対向方向に見て、前記遮蔽部が前記対向部と重なっている第9態様に係る加熱装置である。
【0016】
第11態様は、前記被搬送材を保持する保持部と、前記保持部が取り付けられ、自らが周回することで前記被搬送材を搬送する前記部品としての周回部と、を備え、前記遮蔽部は、前記周回部と前記張出部との間に配置されている第8態様から第10態様のいずれか1つの態様に係る加熱装置である。
【0017】
第12態様は、被搬送材としての記録媒体に画像を形成する形成部と、前記形成部によって画像が形成された記録媒体を加熱する第1態様から第11態様のいずれか1つの態様に係る加熱装置と、を備える画像形成装置である。
【発明の効果】
【0018】
第1態様の構成によれば、加熱手段の搬送方向の長さが対向部の搬送方向の長さ以下である、又は、加熱手段の交差方向の長さが、対向部の交差方向の長さ以下である構成に比べ、対向部に温度分布が生じることが抑制される。
【0019】
第2態様の構成によれば、加熱手段の交差方向の長さが、対向部の交差方向の長さ以下である構成に比べ、対向部に交差方向に温度分布が生じることが抑制される。
【0020】
第3態様の構成によれば、加熱手段の加熱領域の交差方向の長さが、対向部の交差方向の長さ以下である構成に比べ、対向部に交差方向に温度分布が生じることが抑制される。
【0021】
第4態様の構成によれば、加熱手段の搬送方向の端部が、搬送方向において対向部内に納まる構成、又は、加熱手段の交差方向の端部が、交差方向において対向部内に納まる構成に比べ、対向部に温度分布が生じることが抑制される。
【0022】
第5態様の構成によれば、加熱手段の搬送方向の一端部のみが、搬送方向において対向部に対して張り出している構成、又は、加熱手段の交差方向の一端部のみが、交差方向において対向部に対して張り出している構成に比べ、対向部に温度分布が生じることが抑制される。
【0023】
第6態様の構成によれば、加熱手段の搬送方向の長さが対向部の搬送方向の長さ以下である、又は、加熱手段の交差方向の長さが、対向部の交差方向の長さ以下である構成に比べ、被搬送材の送風板への接触が抑制される。
【0024】
第7態様の構成によれば、加熱手段における対向部から張り出した張出部に対する対向方向に配置された部品と該張出部との間に空間のみが設けられている構成に比べ、部品の温度上昇が抑制される。
【0025】
第8態様の構成によれば、遮蔽部が対向部に接触する構成に比べ、遮蔽部と対向部との間での伝熱が抑制される。
【0026】
第9態様の構成によれば、遮蔽部が対向部に対する加熱手段側に配置される構成に比べ、対向部に温度分布が生じることが抑制される。
【0027】
第10態様の構成によれば、対向方向に見て、遮蔽部が対向部に対して離れている構成に比べ、部品の温度上昇が抑制される。
【0028】
第11態様の構成によれば、遮蔽部が周回部に対する加熱手段側とは反対側に配置される構成に比べ、周回部の温度上昇が抑制される。
【0029】
第12態様の構成によれば、加熱手段の搬送方向の長さが対向部の搬送方向の長さ以下である、又は、加熱手段の交差方向の長さが、対向部の交差方向の長さ以下である構成に比べ、記録媒体の加熱不良が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本実施形態に係る画像形成装置を示す概略図である。
【
図2】本実施形態に係る二次転写体及び搬送部の一部を示す斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る加圧体、加熱ロール及び搬送部の一部を示す斜視図である。
【
図4】本実施形態に係るグリッパを示す斜視図である。
【
図5】本実施形態に係る送風板及び搬送部の一部を示す平面図である。
【
図6】本実施形態に係るヒータ、送風部及び遮蔽板を示す側断面図である。
【
図7】第1比較例に係るヒータ、送風部及び遮蔽板を示す側断面図である。
【
図8】
図7に示される構成において、送風板が変形した状態を示す側断面図である。
【
図9】第5比較例に係るヒータ及び送風部を示す側断面図である。
【
図10】第1変形例に係るヒータ、送風部及び遮蔽板を示す側断面図である。
【
図11】第1変形例において、ヒータの装置奥行方向長さが、送風板の装置奥行方向長さ以下の長さとされる構成を示す側断面図である。
【
図12】第2変形例に係るヒータ、送風部及び加熱板を示す正断面図である。
【
図13】第2変形例に係るヒータ、送風部及び加熱板を示す平面図である。
【
図14】第2変形例において、加熱板の搬送方向長さが、送風板の搬送方向長さよりも長くされた構成を示す平面図である。
【
図15】第2変形例において、加熱板の装置奥行方向長さが送風板の装置奥行方向長さよりも長くされ、且つ、加熱板の搬送方向長さが送風板の搬送方向長さよりも長くされた構成を示す平面図である。
【
図16】第4変形例に係るヒータ、送風部及び遮蔽板を示す側断面図である。
【
図17】第5変形例に係るヒータ、送風部及び遮蔽板を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0032】
(画像形成装置10)
本実施形態に係る画像形成装置10の構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置10の構成を示す概略図である。
【0033】
図1に示される画像形成装置10は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置の一例である。具体的には、画像形成装置10は、用紙等の記録媒体Pにトナー像(画像の一例)を形成する電子写真式の画像形成装置である。さらに具体的には、画像形成装置10は、画像形成部14と、第一搬送体11と、第二搬送体12と、定着装置16と、を備えている。以下、画像形成装置10の各部(画像形成部14、第一搬送体11、第二搬送体12及び定着装置16)の構成について説明する。
【0034】
(画像形成部14)
画像形成部14は、記録媒体に画像を形成する形成部の一例である。具体的には、画像形成部14は、被搬送材の一例としての記録媒体Pにトナー像を形成する機能を有している。さらに具体的には、画像形成部14は、トナー像形成部22と、転写装置17と、を有している。
【0035】
(トナー像形成部22)
図1に示されるトナー像形成部22は、トナー像を形成する機能を有している。このトナー像形成部22は、色ごとにトナー像を形成するように複数備えられている。本実施形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の計4色のトナー像形成部22が設けられている。
図1に示す(Y)、(M)、(C)、(K)は、上記各色に対応する構成部分を示している。
【0036】
なお、各色のトナー像形成部22は、用いるトナーを除き同様に構成されているので、各色のトナー像形成部22を代表して、
図1ではトナー像形成部22(Y)の各部に符号を付している。
【0037】
各色のトナー像形成部22は、具体的には、一方向(例えば、
図1における反時計回り方向)に回転する感光体ドラム32(感光体)を有している。さらに、各色のトナー像形成部22は、帯電器23と、露光装置36と、現像装置38と、を有している。
【0038】
各色のトナー像形成部22では、帯電器23が、感光体ドラム32を帯電させる。さらに、露光装置36が、帯電器23によって帯電された感光体ドラム32を露光して、感光体ドラム32に静電潜像を形成する。また、現像装置38が、露光装置36によって感光体ドラム32に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する。
【0039】
(転写装置17)
図1に示される転写装置17は、トナー像形成部22で形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する装置である。具体的には、転写装置17は、各色の感光体ドラム32のトナー像を、中間転写体としての転写ベルト24に重ねて一次転写し、該重ねられたトナー像を二次転写位置T2で記録媒体Pに二次転写する。さらに具体的には、転写装置17は、
図1に示されるように、転写ベルト24と、一次転写ロール26と、二次転写体27と、対向ロール42Aと、を備えている。
【0040】
(一次転写ロール26)
図1に示される一次転写ロール26の各々は、各色の感光体ドラム32のトナー像を、感光体ドラム32と一次転写ロール26との間の一次転写位置T1にて転写ベルト24に転写させるロールである。本実施形態では、一次転写ロール26と感光体ドラム32との間に一次転写電界が印加されることで、感光体ドラム32に形成されたトナー像が、一次転写位置T1にて転写ベルト24に転写される。
【0041】
(転写ベルト24)
図1に示される転写ベルト24は、各色の感光体ドラム32からトナー画像が外周面に転写される。具体的には、転写ベルト24は、以下のように構成されている。転写ベルト24は、
図1に示されるように、環状を成している。さらに、転写ベルト24は、駆動ロール42D、対向ロール42Aを含む複数のロール42に巻き掛けられて姿勢が決められている。転写ベルト24は、例えば、複数のロール42のうち、駆動ロール42Dが、駆動部(図示省略)によって回転駆動することで、予め定められた矢印A方向へ周回する。
【0042】
(二次転写体27及び対向ロール42A)
図1に示される二次転写体27は、記録媒体Pにトナー画像を転写する機能を有している。二次転写体27は、具体的には、
図2に示されるように、転写胴28と、一対のスプロケット29と、を有している。この二次転写体27は、駆動部(図示省略)によって、矢印B方向へ回転駆動される。
【0043】
図1に示されるように、転写胴28と対向ロール42Aとは、転写ベルト24を介して対向して配置されている。本実施形態では、転写胴28と対向ロール42Aとの間が、転写ベルト24から記録媒体Pにトナー像が転写される二次転写位置T2とされている。そして、転写胴28と対向ロール42Aとの間に二次転写電界が印加されることで、転写ベルト24に一次転写されたトナー像が、二次転写位置T2にて記録媒体Pに転写される。
【0044】
図2に示されるように、転写胴28の外周には、後述の搬送部15のグリッパ54及び取付部材55が収容される複数(具体的には、2つ)の凹部28Dが形成されている。なお、凹部28Dの数は、後述のチェーン52の周回方向Cに沿ったグリッパ54の配置間隔に応じて決定され、凹部28Dの数は1つであっても3つ以上であってもよい。
【0045】
一対のスプロケット29は、
図2に示されるように、転写胴28の軸方向両端側に配置されており、後述の一対のチェーン52が巻き掛けられる。この一対のスプロケット29は、転写胴28の同軸上に配置されており、転写胴28と一体に回転する構成とされている。
【0046】
(第一搬送体11及び第二搬送体12)
図1に示される第一搬送体11は、記録媒体Pを後述の搬送部15へ搬送する搬送体である。具体的には、第一搬送体11は、記録媒体Pを搬送し、該記録媒体Pを後述の搬送部15のグリッパ54に受け渡す機能を有している。さらに具体的には、第一搬送体11は、一対のロール11Aに巻き掛けられた環状の搬送ベルト11Bで構成されている。
【0047】
図1に示される第二搬送体12は、後述の搬送部15から搬送された記録媒体Pを搬送する搬送体である。具体的には、第二搬送体12は、後述の搬送部15のグリッパ54による保持が解除された記録媒体Pを受け取り、該記録媒体Pを搬送する機能を有している。さらに具体的には、第二搬送体12は、一対のロール12Aに巻き掛けられた環状の搬送ベルト12Bで構成されている。
【0048】
(定着装置16)
図1に示される定着装置16は、形成部によって画像が形成された記録媒体を加熱する加熱装置の一例である。具体的には、定着装置16は、転写胴28によって記録媒体Pに転写されたトナー像を該記録媒体Pに定着する装置である。さらに具体的には、定着装置16は、
図1に示されるように、加熱部70と、送風部80と、加圧体67と、加熱ロール68と、搬送部15と、遮蔽板90(
図6参照)と、を有している。
【0049】
(加圧体67)
加圧体67は、
図3に示されるように、加圧ロール69と、一対のスプロケット19と、を有している。加圧体67は、駆動部(図示省略)によって、矢印E方向へ回転駆動される。
【0050】
加圧ロール69は、加熱ロール68との間に記録媒体Pを挟んで記録媒体Pを加圧する機能を有している。さらに、加圧ロール69の外周には、搬送部15のグリッパ54及び取付部材55が収容される複数(具体的には、2つ)の凹部69Dが形成されている。なお、凹部69Dの数は、後述のチェーン52の周回方向Cに沿ったグリッパ54の配置間隔に応じて決定され、凹部69Dの数は1つであっても3つ以上であってもよい。
【0051】
一対のスプロケット19は、
図3に示されるように、加圧ロール69の軸方向両端側に配置されており、後述の一対のチェーン52が巻き掛けられる。この一対のスプロケット19は、加圧ロール69の同軸上に配置されており、加圧ロール69と一体に回転する構成とされている。
【0052】
(加熱ロール68)
加熱ロール68は、記録媒体Pを加熱する機能を有している。加熱ロール68は、ハロゲンランプ等の加熱源68Bを有している。加熱ロール68は、加圧ロール69とで記録媒体Pを挟んで、トナー画像を加熱して、トナー画像を記録媒体Pに定着する。
【0053】
(搬送部15)
図1に示される搬送部15は、記録媒体Pを搬送方向X(矢印X方向)に搬送する機能を有している。具体的には、搬送部15は、二次転写位置T2から加熱ロール68と加圧ロール69との間の定着位置T3まで記録媒体Pを搬送する機能を有している。なお、搬送方向Xは、
図1における左方向である。
【0054】
さらに具体的には、搬送部15は、
図2及び
図3に示されるように、一対のチェーン52と、グリッパ54と、を有している。グリッパ54は、被搬送材を保持する保持部の一例である。一対のチェーン52は、保持部が取り付けられ自らが周回することで前記被搬送材を搬送する周回部の一例である。なお、
図1では、チェーン52及びグリッパ54を簡略化して示している。また、
図5では、チェーン52を簡略化して示している。
【0055】
一対のチェーン52は、
図1に示されるように、環状に形成されている。この一対のチェーン52は、
図2及び
図3に示されるように、装置奥行方向Dに間隔をおいて配置されている。この一対のチェーン52は、それぞれ、二次転写体27が有する一対のスプロケット29(
図2参照)と、加圧体67が有する一対のスプロケット19(
図3参照)と、に巻き掛けられている。そして、一対のスプロケット29を有する二次転写体27、及び、一対のスプロケット19を有する加圧体67が回転することで、チェーン52が周回方向C(
図1、
図2及び
図3の矢印C方向)へ周回する構成とされている。
【0056】
一対のチェーン52には、
図2、
図3及び
図4に示されるように、グリッパ54が取り付けられた取付部材55が装置奥行方向Dに沿って掛け渡されている。取付部材55は、チェーン52の周方向(周回方向C)に沿って予め定められた間隔で複数が一対のチェーン52に固定されている。
【0057】
グリッパ54は、装置奥行方向Dに沿って予め定められた間隔で複数が取付部材55に取り付けられている。換言すれば、グリッパ54は、取付部材55を介して、チェーン52に取り付けられている。このグリッパ54は、記録媒体Pの前端部を保持する機能を有している。具体的には、グリッパ54は、
図4に示されるように、爪54Aと爪台54Bとを有している。グリッパ54では、爪54Aと爪台54Bとの間に記録媒体Pの前端部を挟むことで記録媒体Pを保持する構成とされている。換言すれば、グリッパ54は、記録媒体Pを厚み方向に挟持する挟持部ともいえる。なお、記録媒体Pの前端部とは、記録媒体Pにおける搬送方向Xの下流端部である。
【0058】
さらに具体的には、グリッパ54は、記録媒体Pの画像領域外において、記録媒体Pの前端部を保持する。記録媒体Pの画像領域とは、記録媒体Pにおいて、トナー像が転写される領域である。なお、グリッパ54は、例えば、爪54Aが爪台54Bに対してバネ等により押し付けられる共に、カム等の作用により爪54Aが爪台54Bに対して開閉される。
【0059】
そして、搬送部15では、第一搬送体11から送られた記録媒体Pの前端部を、
図4に示されるように、グリッパ54で保持する。さらに、搬送部15では、
図1に示されるように、グリッパ54が記録媒体Pの前端部を保持した状態でチェーン52が周回方向Cへ周回することで、グリッパ54を移動させて記録媒体Pを搬送し、グリッパ54で記録媒体Pを保持したまま、グリッパ54と共に二次転写位置T2を通過させる。なお、チェーン52がスプロケット29に巻き掛けられた部分では、グリッパ54は、転写胴28の凹部28Dに収容された状態で、転写胴28と一体に転写胴28の回転方向(B方向)へ移動する。
【0060】
さらに、搬送部15では、記録媒体Pを、二次転写位置T2を通過させた後、さらに、グリッパ54で記録媒体Pを保持したまま、グリッパ54と共に定着位置T3を通過させる。なお、チェーン52がスプロケット19に巻き掛けられた部分では、グリッパ54は、加圧ロール69の凹部69Dに収容された状態で、加圧ロール69と一体に加圧ロール69の回転方向(E方向)へ移動する。
【0061】
(加熱部70)
図1に示される加熱部70は、搬送部15で搬送方向Xに搬送される記録媒体Pを非接触で加熱する機能を有している。具体的には、加熱部70は、記録媒体Pの表面に形成された未定着のトナー画像を非接触で予備加熱する。さらに具体的には、加熱部70は、ヒータ72と、反射板73と、を有している。
【0062】
ヒータ72は、搬送方向に搬送される被搬送材に対して非接触で該被搬送材を加熱する加熱手段の一例である。具体的には、ヒータ72は、搬送部15で搬送方向Xに搬送される記録媒体Pに対して非接触で記録媒体Pを加熱する加熱部材である。さらに具体的には、ヒータ72は、以下のように構成されている。
【0063】
すなわち、ヒータ72は、
図2に示されるように、搬送方向Xに沿って間隔をあけて複数配置されている。このヒータ72は、装置奥行方向Dに長さを有する円柱状の赤外線ヒータで構成されている。具体的には、
図6に示されるように、ヒータ72は、円筒状のガラス管72Aと、ガラス管72Aの内部に収容されたフィラメント72Bと、を有している。ヒータ72は、フィラメント72Bが発熱し、その輻射熱によって記録媒体Pを加熱する。なお、本実施形態では、
図1及び
図2に示されるように、ヒータ72は4本設けられているが、ヒータ72の数は4本に限られない。
【0064】
反射板73は、ヒータ72からの赤外線を装置下側(すなわち、搬送部15で搬送される記録媒体P側)へ反射する機能を有している。具体的には、反射板73は、装置下側が開放された箱状に形成されている。この反射板73は、例えば、アルミニウム板等の金属板を用いて形成されている。
【0065】
なお、本実施形態では、ヒータ72を加熱手段の一例として説明したが、加熱部70を加熱手段の一例と把握してもよい。
【0066】
(送風部80)
図1に示される送風部80は、搬送部15で搬送される記録媒体Pに対する加熱部70側(すなわち上方側)とは反対側(すなわち下方側)で、上下方向Zに加熱部70に対して対向している。
【0067】
具体的には、送風部80は、搬送部15で搬送される記録媒体Pの下面に対して送風する機能を有している。さらに具体的には、送風部80は、未定着画像が形成された表面とは反対側の裏面が非接触状態で、搬送部15によって記録媒体Pが搬送されるように、記録媒体Pへの送風により記録媒体Pを浮かして当該非接触状態を維持する機能を有している。
【0068】
さらに説明すると、送風部80は、本体82と、送風部材としての送風板83と、送風機84と、を有している。本体82は、上方に開口する空間82Aを内部に有している。
【0069】
送風機84は、本体82の下部に設けられている。送風機84は、本体82の空間82Aに空気を送る。送風機84としては、一例として、軸方向へ送風する軸流送風機が用いられている。なお、送風機84としては、多翼送風機(例えば、シロッコファン)などの、遠心方向へ送風する遠心送風機を用いてもよい。
【0070】
送風板83は、被搬送材に対する加熱手段側とは反対側で、搬送方向に交差する対向方向に加熱手段に対して対向する対向部の一例である。具体的には、搬送部15で搬送される記録媒体Pに対する加熱部70側(すなわち上方側)とは反対側(すなわち下方側)で、上下方向Zに加熱部70に対して対向している。なお、上下方向Zは、搬送方向Xに交差する対向方向の一例である。
【0071】
さらに具体的には、
図6に示されるように、送風板83は、金属製又は樹脂製の板状とされ、且つ上下方向Zに貫通する複数の送風孔83Aを有している。送風孔83Aは、被搬送材へ送風する送風口の一例である。なお、送風口の一例としては、単一の送風口であってもよい。送風板83は、本体82に対して、装置奥行方向Dに移動可能に取り付けられている。具体的には、送風板83は、例えば、送風板83に形成され装置奥行方向Dに長い長孔85に通されたピン86によって、本体82の上部に取り付けられている。これにより、ピン86が長孔85内を装置奥行方向Dに移動する範囲で、送風板83が本体82に対して移動可能とされている。この結果、熱膨張による装置奥行方向Dへの送風板83の伸長が吸収される。
【0072】
そして、送風板83は、送風機84から本体82の空間82Aに送られた空気を、複数の送風孔83Aで上方へ通過させて記録媒体Pの下面に当てることで、記録媒体Pを浮かせる。
【0073】
本実施形態では、送風板83を対向部の一例として説明したが、送風部80を対向部の一例と把握してもよい。
【0074】
(送風板83とヒータ72との長さ及び位置関係)
図5及び
図6に示されるように、ヒータ72における装置奥行方向Dの長さは、送風板83における装置奥行方向Dの長さよりも長くされている。具体的には、ヒータ72の加熱領域72Rにおける装置奥行方向Dの長さが、送風板83における装置奥行方向Dの長さよりも長くされている。なお、装置奥行方向Dは、搬送方向X及び上下方向(対向方向の一例)に交差する交差方向の一例である。
【0075】
ヒータ72の加熱領域72Rとは、ヒータ72において発熱する部分である。ヒータ72の加熱領域72Rは、本実施形態では、フィラメント72Bが配置された配置部分に相当する。なお、フィラメント72Bの長さは、ガラス管72Aの長さよりも短くなっている。
【0076】
さらに、ヒータ72における装置奥行方向Dの両端部が、送風板83に対して装置奥行方向Dに張り出している。具体的には、ヒータ72の加熱領域72Rにおける装置奥行方向Dの両端部が、送風板83に対して装置奥行方向Dに張り出している。換言すれば、ヒータ72は、送風板83に対して装置奥行方向Dに張り出す張出部72Eを有している。本実施形態では、ヒータ72は、装置奥行方向Dの両端部に張出部72Eを有している。この張出部72Eの各々は、チェーン52の各々の上方に配置されている。
【0077】
(遮蔽板90)
遮蔽板90は、加熱手段の熱を遮蔽する遮蔽部の一例である。具体的には、この遮蔽板90は、ヒータ72の張出部72Eに対する下方に配置された各チェーン52(部品の一例)と、ヒータ72の各張出部72Eとの間に設けられている。すなわち、遮蔽板90は、ヒータ72の張出部72Eとチェーン52との間で、ヒータ72の熱を遮蔽する。換言すれば、遮蔽板90は、ヒータ72の熱がチェーン52へ到達することを抑制する機能を有している。
【0078】
なお、
図6では、チェーン52及び遮蔽板90を簡略化して示している。本実施形態では、遮蔽板90は、送風板83に対する上方側に配置されている。換言すれば、遮蔽板90は、送風板83に対する加熱部70側(すなわち、ヒータ72側)に配置されている。
【0079】
さらに、遮蔽板90は、送風板83に対して離れている。具体的には、遮蔽板90は、送風板83に対して上方側に離れて配置されている。
【0080】
遮蔽板90は、上下方向Zが厚み方向とされた板状に形成されている。遮蔽板90は、送風板83の装置奥行方向Dの端部83Sから外側(矢印S方向)に向かって張り出している。遮蔽板90の装置奥行方向Dの一端部90Aは、装置奥行方向Dにおいて、送風板83の装置奥行方向Dの端部83Sと同じ位置に配置されている。なお、遮蔽板90の装置奥行方向Dの一端部90Aは、例えば、送風板83の装置奥行方向Dの端部83Sよりも若干、外側(矢印S方向)に配置されていてもよいし、送風板83の装置奥行方向Dの端部83Sよりも若干、内側(矢印S方向の反対方向)に配置されていてもよい。一方、遮蔽板90の装置奥行方向Dの他端部90Bは、例えば、ヒータ72の装置奥行方向Dの端部72Sの外側(矢印S方向)に配置されている。なお、遮蔽板90の装置奥行方向Dの他端部90Bは、チェーン52の外側であって、ヒータ72の装置奥行方向Dの端部72Sの内側(矢印S方向の反対方向)に配置されていてもよい。
【0081】
遮蔽板90は、搬送方向Xの長さが、例えば、加熱部70の搬送方向Xの長さよりも長くされている。具体的には、遮蔽板90の搬送方向Xの両端部が、加熱部70に対して搬送方向Xに張り出している。遮蔽板90としては、例えば、耐熱性を有する材料(例えば、金属材料)で構成された板材が用いられる。
【0082】
(本実施形態に係る作用)
本実施形態に係る画像形成装置10(
図1参照)によれば、第一搬送体11から送られた記録媒体Pの前端部を搬送部15のグリッパ54で保持する。さらに、グリッパ54が記録媒体Pの前端部を保持した状態でチェーン52が周回方向Cへ周回することで、グリッパ54を移動させて記録媒体Pを搬送し、二次転写位置T2を通過させる。二次転写位置T2において、転写ベルト24に重ねられたトナー像が、転写ベルト24から記録媒体Pへ転写される。
【0083】
トナー像が転写された記録媒体Pは、搬送部15によってさらに搬送されて、加熱部70と送風部80の送風板83との間を通過する。このとき、記録媒体Pは、送風板83の送風孔83Aから送られる空気によって浮いた状態で搬送される。また、記録媒体Pは、加熱部70のヒータ72の輻射熱によって、記録媒体Pの表面に形成された未定着画像が非接触で予備加熱される。
【0084】
予備加熱された記録媒体Pは、搬送部15によってさらに定着位置T3まで搬送されて、加熱ロール68及び加圧ロール69によって、加熱及び加圧されて、トナー画像が定着される。なお、本実施形態では、例えば、搬送部15で搬送される記録媒体Pと記録媒体Pとの隙間M(
図5参照)において、送風板83がヒータ72の輻射熱によって加熱される。
【0085】
ここで、本実施形態では、前述のように、ヒータ72における装置奥行方向D(交差方向の一例)の長さは、送風板83における装置奥行方向Dの長さよりも長くされている。
【0086】
ところで、ヒータ72における装置奥行方向Dの長さが、
図7に示されるように、送風板83における装置奥行方向Dの長さ以下の長さである構成(第1比較例)では、ヒータ72によって加熱された送風板83に、装置奥行方向Dに温度分布が生じる場合がある。具体的には、第1比較例では、送風板83の装置奥行方向Dの両端部よりも中央部で加熱量が大きく温度が上昇しやすい。そして、第1比較例では、送風板83の装置奥行方向Dの両端部よりも中央部で熱膨張が大きくなるため、当該中央部と当該両端部とでの温度差が大きい場合では、
図8に示されるように、送風板83が、例えば加熱部70側(上方側)へ凸状に変形しやすい。このように、送風板83が上方側へ凸状に変形すると、記録媒体Pへ空気を送る送風板83と記録媒体Pとの距離が部分的に変化し、記録媒体Pが送風板83に接触する等の搬送不良が生じる場合がある。さらに、例えば、画像形成装置10が記録媒体Pの両面に画像を形成する装置(後述の変形例参照)である場合には、記録媒体Pの画像が送風板83に接触することによる画像不良が生じる場合がある。なお、
図8では、送風板83の変形を誇張して示している。また、送風板83は、温度分布が生じた結果、例えば、下方側へ凸状に変形する場合や、上下に凹凸状に変形する場合(すなわち、波打つように変形する場合)も考えられる。
【0087】
これに対して、本実施形態では、
図6に示されるように、ヒータ72における装置奥行方向D(交差方向の一例)の長さは、送風板83における装置奥行方向Dの長さよりも長くされているので、第1比較例に比べ、送風板83の装置奥行方向Dの中央部と両端部とでの温度差が小さくなる。したがって、本実施形態の構成によれば、第1比較例に比べ、送風板83に温度分布が生じることが抑制される。この結果、本実施形態の構成によれば、第1比較例に比べ、送風板83で生じる温度分布に起因する送風板83の変形が抑制される。これにより、本実施形態の構成によれば、第1比較例に比べ、記録媒体Pへ空気を送る送風板83と記録媒体Pとの距離が部分的に変化しにくく、記録媒体Pの送風板83への接触が抑制される。
【0088】
この結果、本実施形態の構成によれば、第1比較例に比べ、ヒータ72と記録媒体Pとの距離も部分的に変化しにくく、記録媒体Pの加熱不良が抑制される。
【0089】
具体的には、
図6に示されるように、本実施形態では、ヒータ72の加熱領域72Rにおける装置奥行方向Dの長さが、送風板83における装置奥行方向Dの長さよりも長くされている。このため、ヒータ72の加熱領域72Rにおける装置奥行方向Dの長さが、送風板83における装置奥行方向Dの長さ以下の長さである構成(第2比較例)に比べ、送風板83の装置奥行方向Dの中央部と両端部とでの温度差が小さくなる。したがって、本実施形態の構成によれば、第2比較例に比べ、送風板83に温度分布が生じることが抑制される。この結果、本実施形態の構成によれば、第2比較例に比べ、送風板83で生じる温度分布に起因する送風板83の変形が抑制される。
【0090】
さらに、本実施形態では、
図6に示されるように、ヒータ72における装置奥行方向Dの両端部が、送風板83に対して装置奥行方向Dに張り出している。このため、ヒータ72における装置奥行方向Dの両端部が装置奥行方向Dにおいて送風板83内に納まる構成(第3比較例)、及び、ヒータ72における装置奥行方向Dの一端部のみが送風板83に対して装置奥行方向Dに張り出す構成(第4比較例)に比べ、送風板83の装置奥行方向Dの中央部と両端部とでの温度差が小さくなる。したがって、本実施形態の構成によれば、第3比較例及び第4比較例に比べ、送風板83に温度分布が生じることが抑制される。この結果、本実施形態の構成によれば、第3比較例及び第4比較例に比べ、送風板83で生じる温度分布に起因する送風板83の変形が抑制される。
【0091】
さらに、本実施形態では、
図6に示されるように、遮蔽板90は、ヒータ72の張出部72Eとチェーン52との間で、ヒータ72の熱を遮蔽する。ここで、
図9に示されるように、ヒータ72の張出部72Eとチェーン52との間に空間のみが設けられている構成(第5比較例)では、チェーン52の温度が上昇して、チェーン52が熱膨張する場合がある。チェーン52が熱膨張すると、チェーン52の周回方向Cの長さが長くなり、二次転写位置T2及び定着位置T3への搬送タイミングがばらつく場合がある。また、一対のチェーン52の一方と他方との間で熱膨張差が生じて周回方向Cの長さが変わると、記録媒体Pが斜めに搬送されるスキューが発生する場合もある。
【0092】
これに対して、本実施形態では、遮蔽板90は、ヒータ72の張出部72Eとチェーン52との間で、ヒータ72の熱を遮蔽するので、第5比較例に比べ、チェーン52の温度上昇が抑制される。これにより、本実施形態の構成によれば、第5比較例に比べ、チェーン52の熱膨張に起因する搬送タイミングのばらつきや、スキューの発生が抑制される。
【0093】
また、本実施形態では、
図6に示されるように、遮蔽板90は、送風板83に対して離れている。このため、遮蔽板90が送風板83に接触する構成(第6比較例)に比べ、遮蔽板90と送風板83との間での伝熱が抑制される。これにより、本実施形態の構成によれば、第6比較例に比べ、送風板83に温度分布が生じることが抑制される。
【0094】
(加熱部70の変形例)
本実施形態では、
図6に示されるように、ヒータ72における装置奥行方向Dの両端部が、送風板83に対して装置奥行方向Dに張り出していたが、これに限られない。例えば、
図10に示されるように、ヒータ72における装置奥行方向Dの一端部のみが、送風板83に対して装置奥行方向Dに張り出す構成(第1変形例)であってもよい。この構成によれば、ヒータ72における装置奥行方向Dの両端部が装置奥行方向Dにおいて送風板83内に納まる構成(第3比較例)に比べ、送風板83における装置奥行方向Dのヒータ72が張り出した側の一端部と、送風板83の装置奥行方向Dの中央部とにおいて、少なくとも温度差が小さくなる。したがって、本実施形態の構成によれば、第3比較例に比べ、送風板83に温度分布が生じることが抑制される。この結果、本実施形態の構成によれば、第3比較例に比べ、送風板83で生じる温度分布に起因する送風板83の変形が抑制される。
【0095】
第1変形例においては、
図10に示されるように、ヒータ72における装置奥行方向Dの長さが、送風板83における装置奥行方向Dの長さよりも長くされている。さらに、第1変形例においては、
図11に示されるように、ヒータ72における装置奥行方向Dの長さが、送風板83における装置奥行方向Dの長さ以下の長さとされる構成であってもよい。
【0096】
また、本実施形態では、
図1及び
図6に示されるように、加熱手段の一例としては、ヒータ72を用いたが、これに限られない。例えば、
図12に示されるように、複数のヒータ72と、搬送部15で搬送される記録媒体Pと、の間に配置される加熱板172を、加熱手段の一例として用いる構成(第2変形例)であってもよい。
【0097】
第2変形例では、複数のヒータ72が加熱板172を加熱し、その加熱板172が輻射熱により記録媒体Pを加熱する。加熱板172としては、例えば黒色板が用いられる。第2変形例では、
図13に示されるように、加熱板172の装置奥行方向Dの長さが、送風板83における装置奥行方向Dの長さよりも長くされる。なお、加熱板172は、装置奥行方向Dの少なくとも一端部が、送風板83に対して装置奥行方向Dに張り出していればよい。
【0098】
なお、第2変形例では、ヒータ72の装置奥行方向Dの長さは、送風板83における装置奥行方向Dの長さよりも長くされている必要はない。また、ヒータ72の装置奥行方向Dの端部が、送風板83に対して装置奥行方向Dに張り出している必要はない。
【0099】
また、第2変形例では、
図14に示されるように、加熱板172の装置奥行方向Dの長さが、送風板83における装置奥行方向Dの長さよりも長くされることに替えて、加熱板172の搬送方向Xの長さが、送風板83における搬送方向Xの長さよりも長くされていてもよい。
【0100】
さらに、第2変形例では、
図15に示されるように、加熱板172の装置奥行方向Dの長さが、送風板83における装置奥行方向Dの長さよりも長くされることに加えて、加熱板172の搬送方向Xの長さが、送風板83における搬送方向Xの長さよりも長くされていてもよい。
【0101】
換言すれば、加熱板172を用いた構成では、加熱板172の装置奥行方向Dの長さが、送風板83における装置奥行方向Dの長さよりも長い、又は、加熱板172の搬送方向Xの長さが、送風板83における搬送方向Xの長さよりも長い構成とすることができる。
【0102】
第2変形例において、加熱板172の搬送方向Xの長さが、送風板83における搬送方向Xの長さよりも長い構成とすることで、加熱板172の搬送方向Xの長さが、送風板83における搬送方向Xの長さ以下の長さである構成(第7比較例)に比べ、送風板83の搬送方向Xの中央部と両端部とでの温度差が小さくなる。したがって、本実施形態の構成によれば、第7比較例に比べ、送風板83に温度分布が生じることが抑制される。
【0103】
さらに、加熱板172を用いた構成では、加熱板172の装置奥行方向Dの少なくとも一端部が送風板83に対して装置奥行方向Dに張り出すことに替えて又は加えて、加熱板172の搬送方向Xの少なくとも一端部が送風板83に対して搬送方向Xに張り出していてもよい。換言すれば、加熱板172を用いた構成では、加熱板172の装置奥行方向Dの少なくとも一端部が送風板83に対して装置奥行方向Dに張り出す、又は、加熱板172の搬送方向Xの少なくとも一端部が送風板83に対して搬送方向Xに張り出す構成とすることができる。
【0104】
第2変形例において、加熱板172の搬送方向Xの少なくとも一端部が送風板83に対して搬送方向Xに張り出す構成とすることで、加熱板172の搬送方向Xの少なくとも端部が搬送方向Xにおいて送風板83内に納まる構成(第8比較例)に比べ、送風板83の搬送方向Xの中央部と両端部とでの温度差が小さくなる。したがって、本実施形態の構成によれば、第8比較例に比べ、送風板83に温度分布が生じることが抑制される。
【0105】
(遮蔽板90の変形例)
本実施形態では、
図6に示されるように、遮蔽板90は、送風板83に対するヒータ72側に配置されていたが、これに限られない。例えば、遮蔽板90は、
図16に示されるように、送風板83に対するヒータ72側とは反対側(すなわち、下方側)に配置される構成(第3変形例)であってもよい。
【0106】
第3変形例では、
図16に示されるように、例えば、送風板83がチェーン52の上方側に配置され、遮蔽板90が送風板83の下方側であってチェーン52の上方側において、チェーン52と、ヒータ72の各張出部72Eとの間に設ける構成(第4変形例)としてもよい。なお、第4変形例の構成では、例えば、取付部材55とチェーン52とを連結する連結部155を有する構成とされる。連結部155は、例えば、チェーン52から内側(矢印S方向の反対方向)へ張り出すと共に上方側へ延び出ており、搬送方向Xに見てL字状に形成されている。
【0107】
第3変形例の構成によれば、遮蔽板90は、送風板83に対するヒータ72側に配置される構成(第9比較例)に比べ、遮蔽板90がヒータ72による送風板83の加熱を妨げにくいので、送風板83に温度分布が生じることが抑制される。
【0108】
なお、第3変形例の構成では、
図17に示されるように、例えば、遮蔽板90は、チェーン52とは異なる機能部品152と、ヒータ72の張出部72Eとの間に配置して、ヒータ72の熱を遮蔽する構成(第5変形例)としてもよい。機能部品152としては、耐熱性が低く、特定の機能を有する部品である。具体的には、例えば、送風機84の構成部品や、グリッパ54やチェーン52の位置を検知する透過型フォトセンサ、更にグリッパ54やチェーン52、その他機内の温度を検出する温度センサなどが該当する。
【0109】
さらに、第5変形例の構成では、
図17に示されるように、上下方向Zに見て、遮蔽板90が送風板83と重なる構成(第6変形例)であってもよい。すなわち、第6変形例では、遮蔽板90の装置奥行方向Dの一端部90Aが、送風板83の装置奥行方向Dの端部83Sよりも内側(矢印S方向の反対方向)に配置されている。
【0110】
ここで、上下方向Zに見て、遮蔽板90が送風板83に対して離れている構成(第10比較例)では、遮蔽板90と送風板83との間を通じて、機能部品152が加熱される場合がある。これに対して、第6変形例の構成では、第10比較例に比べ、機能部品152が加熱されにくく、機能部品152の温度上昇が抑制される。
【0111】
(他の変形例)
本実施形態では、対向部の一例として送風板83を用いた例について説明したが、これに限られない。例えば、対向部の一例としては、搬送される記録媒体Pに送風せずに、記録媒体Pを案内する案内部であってもよい。当該案内部は、例えば、孔を有せず記録媒体Pの下面に接触して記録媒体Pを案内する案内板(すなわち、ガイド板)とされる。
【0112】
また、本実施形態では、グリッパ54で記録媒体Pを保持した状態で搬送する構成であったが、これに限られない。例えば、搬送ベルトや搬送ロール等の搬送体を用いて搬送する構成であってもよい。この構成では、搬送ベルトや搬送ロール等の搬送体を、対向部の一例として用いてもよい。
【0113】
また、本実施形態では、被搬送材の一例として記録媒体Pを用いた例について説明したが、これに限られない。例えば、被搬送材の一例としては、画像が形成されることを目的とせず、加熱されることを目的とする被加熱材であってもよい。
【0114】
また、本実施形態では、グリッパ54は、記録媒体Pの前端部を保持していたが、これに限られない。例えば、グリッパ54は、記録媒体Pの側端側から記録媒体Pの前端側を保持する構成であってもよい。なお、記録媒体の前端側とは、記録媒体における搬送方向の中央より下流側(前側)の部分である。
【0115】
また、本実施形態では、周回部の一例として、チェーン52を用いた例について説明したが、これに限られない。例えば、周回部の一例としては、タイミングベルト等の周回部材を用いてもよい。
【0116】
本実施形態では、加熱装置の一例として、トナー画像を加熱する定着装置を用いた例について説明したが、これに限られない。加熱装置の一例としては、例えば、インクが吐出された記録媒体Pを加熱することで、インクの水分を乾燥させる乾燥装置や、液体現像剤によるトナー画像が転写された記録媒体Pを加熱することで、液体現像剤のキャリアオイルを乾燥させる乾燥装置として用いてもよい。
【0117】
また、本実施形態では、加熱手段の一例として、輻射熱により記録媒体Pを加熱するヒータ72を用いたが、これに限られない。例えば、温風により記録媒体P等の被搬送材を加熱する温風ヒータを用いた構成であってもよい。なお、温風により加熱する温風ヒータでは、送風板83の表面に空気が当たることで空気が拡散し、送風板83全体に温風が当たりやすいため、送風板83に温度分布が生じることが抑制される。
【0118】
一方、輻射熱により記録媒体Pを加熱するヒータ72では、上記の温風加熱に比べ、送風板83の全体に熱が伝わりにくいため、ヒータ72における装置奥行方向D(又は搬送方向X)の長さが、送風板83における装置奥行方向D(又は搬送方向X)の長さ以下の長さである構成(第1比較例)において、送風板83に温度分布が生じやすい。このため、ヒータ72における装置奥行方向D(又は搬送方向X)の長さを、送風板83における装置奥行方向D(又は搬送方向X)の長さよりも長くする構成が特に有効である。
【0119】
また、本実施形態の画像形成装置10としては、記録媒体Pの両面に画像を形成する画像形成装置として構成されていてもよい。記録媒体Pの両面に画像を形成する画像形成装置としては、例えば、記録媒体Pの一方の面に転写された画像が定着装置16で定着された後に、記録媒体Pの表裏を反転して二次転写位置T2に搬送し、記録媒体Pの他方の面に画像を転写、定着する構成とされる。
【0120】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。
【符号の説明】
【0121】
10 画像形成装置
14 画像形成部(形成部の一例)
16 定着装置(加熱装置の一例)
52 チェーン(部品の一例、周回部の一例)
54 グリッパ(保持部の一例)
72 ヒータ(加熱手段の一例)
72E 張出部
72R 加熱領域
83 送風板(対向部の一例)
83A 送風孔(送風口の一例)
90 遮蔽板(遮蔽部の一例)
152 機能部品(部品の一例)
D 装置奥行方向(交差方向の一例)
P 記録媒体(被搬送材の一例)
X 搬送方向
Z 上下方向(対向方向の一例)