(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】画像形成装置、ジョブ課金システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/34 20060101AFI20240228BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20240228BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20240228BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240228BHJP
G03G 21/02 20060101ALI20240228BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240228BHJP
G06Q 30/0207 20230101ALI20240228BHJP
G06Q 30/0242 20230101ALI20240228BHJP
【FI】
H04N1/34 200
B41J29/00 Z
B41J29/42 F
G03G21/00 386
G03G21/02
H04N1/00 C
G06Q30/0207 328
G06Q30/0242
(21)【出願番号】P 2020008389
(22)【出願日】2020-01-22
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野川 博司
【審査官】鈴木 圭一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-195579(JP,A)
【文献】特開2009-116653(JP,A)
【文献】特開2006-343992(JP,A)
【文献】特開2017-059977(JP,A)
【文献】特開2010-061457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/34
B41J 29/00
B41J 29/42
G03G 21/00
G03G 21/02
H04N 1/00
G06Q 30/0242
G06Q 30/0207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が表示される表示部と、
ジョブを実行するジョブ実行部と、
前記ジョブ実行部による前記ジョブの実行中に広告を再生して、前記広告を前記表示部に表示させる制御を行う再生制御部と、
前記ジョブの実行中に前記表示部に表示された前記広告の再生時間に基づいて前記ジョブの課金を変更し、変更した課金を管理する課金管理部と
、
前記表示部に表示される前記広告を視認可能な位置にいるユーザーを検出するユーザー検出部と、を備え
、
前記再生制御部は、前記ジョブ実行部による前記ジョブの完了時に前記広告の再生を停止し、前記ジョブの実行中に再生した前記広告の再生時間、前記広告の再生完了の有無を含む再生管理データを作成し、
前記課金管理部は、前記再生管理データに基づいて前記課金に対する減額を計算し、前記広告が再生されている間であっても、前記ユーザー検出部が前記ユーザーを検出していない時間を、前記減額の対象時間から除外する
画像形成装置。
【請求項2】
前記表示部に表示する広告を選択する広告選択部を備え、
前記再生制御部は、前記ジョブ実行部による前記ジョブの実行中に、前記広告選択部が選択した前記広告を再生する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記課金管理部は、前記広告が動画である場合に、前記表示部に前記広告が最後まで再生されたか否かにより前記減額を変更する
請求項
2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
実行が指示された前記ジョブの実行時間を算出するジョブ実行時間算出部を備え、
前記広告選択部は、前記ジョブの実行時間に基づいて、前記ジョブの実行中に再生可能な前記広告を選択する
請求項2
又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ジョブの実行が指示される操作部を備え、
前記広告選択部は、前記操作部から前記ジョブの実行が指示されたタイミングで、前記広告を選択する
請求項
4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記操作部は、前記表示部に前記広告が表示されている途中で、前記広告の再生を停止する指示を入力可能であり、
前記再生制御部は、前記操作部から停止する指示が入力されると、前記広告の再生を停止する
請求項
5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記課金管理部は、前記広告の再生時間と、前記広告の記録時間との比率に基づいて計算した減額により前記課金を変更する
請求項
1~
5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記広告選択部は、選択可能な前記広告が複数である場合は、複数の前記広告の記録時間を合計した時間が、前記ジョブの実行時間に収まるような前記広告を選択し、
前記課金管理部は、前記広告選択部が選択した複数の前記広告のうち、前記ジョブの実行中に再生が完了した前記広告に対する前記減額を、再生途中で停止された前記広告に対する前記減額よりも大きくする
請求項
6に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記課金管理部は、前記広告が再生されている間、前記ジョブの開始から完了まで前記ユーザー検出部が前記ユーザーを検出した場合に、再生が完了した前記広告に対する前記減額をさらに大きくする
請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記広告を記憶する広告データベースを備え、
前記広告選択部は、前記広告データベースを参照して前記広告を選択し、
前記再生制御部は、前記広告データベースから前記広告を読み出す
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記再生管理データを記憶する再生管理データベースを備え、
前記再生制御部は、前記再生管理データを前記再生管理データベースに書き込み、
前記課金管理部は、前記再生管理データベースを参照して前記ジョブの課金を管理する
請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記広告は、静止画を含む
請求項1~
11のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記操作部は、前記表示部と一体化される
請求項
5に記載の画像形成装置。
【請求項14】
広告サーバーと、画像形成装置と、課金管理サーバーとを備え、
前記広告サーバーは、
広告を記憶する広告データベースと、
前記画像形成装置に前記広告を配信する広告配信部と、を有し、
前記画像形成装置は、
画像が表示される表示部と、
前記表示部に表示する広告を選択する広告選択部と、
ジョブを実行するジョブ実行部と、
前記広告選択部により選択された前記広告を再生して、前記ジョブ実行部による前記ジョブの実行中に広告を再生して、前記広告を前記表示部に表示させる制御を行う再生制御部と
、
前記表示部に表示される前記広告を視認可能な位置にいるユーザーを検出するユーザー検出部と、を有し、
前記課金管理サーバーは、
前記ジョブの実行中に前記表示部に表示された前記広告の再生時間に基づいて前記ジョブの課金を変更し、変更した課金を管理する課金管理部を有
し、
前記再生制御部は、前記ジョブ実行部による前記ジョブの完了時に前記広告の再生を停止し、前記ジョブの実行中に再生した前記広告の再生時間、前記広告の再生完了の有無を含む再生管理データを作成し、
前記課金管理部は、前記再生管理データに基づいて前記課金に対する減額を計算し、前記広告が再生されている間であっても、前記ユーザー検出部が前記ユーザーを検出していない時間を、前記減額の対象時間から除外する
ジョブ課金システム。
【請求項15】
前記再生制御部は、前記広告配信部からストリーミング配信された前記広告を前記表示部に表示させる制御を行う
請求項
14に記載のジョブ課金システム。
【請求項16】
前記画像形成装置は、前記広告配信部から配信された前記広告を記憶する広告データベースを備える
請求項
14に記載のジョブ課金システム。
【請求項17】
画像形成装置のジョブ実行部がジョブを実行中に広告を再生して、前記画像形成装置の表示部に表示される前記広告の再生時間を含む再生管理データを前記画像形成装置から受信する手順と、
前記再生管理データから読み出した前記広告の再生時間に基づいて、前記ジョブの課金を変更し、変更した課金を管理する手順と
、
前記再生管理データに基づいて前記課金に対する減額を計算し、前記広告が再生されている間であっても、前記画像形成装置のユーザー検出部が、前記表示部に表示される前記広告を視認可能な位置にいるユーザーを検出していない時間を、前記減額の対象時間から除外する手順と、を
課金管理サーバーに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、ジョブ課金システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザーが画像形成装置にジョブを実行させると、ジョブに応じて課金が行われる。課金はジョブの量、ジョブの実行回数に応じて変動する。ユーザーの費用負担を軽減するため、ジョブの実行に合わせて広告主がユーザーに広告を提供し、課金を減額する運用が行われることがあった。画像形成装置の広告による減額に関する技術として、例えば、特許文献1及び2に開示された技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、「ユーザーから利用料金を徴収するウェブサイトにおいて、ユーザーがサービスを利用中に広告の詳細を閲覧した時間や閲覧した回数等によってサービスの利用料金を変動させる。」と記載されている。特許文献1に開示された技術によれば、ユーザーがサービスサイトに掲載されている広告をクリックして表示される広告主のサイトの閲覧状態(閲覧時間、閲覧回数)によって課金されるサービス料金が減額される。
【0004】
また、特許文献2には、情報処理システムが、広告を閲覧するためのURL(Uniform Resource Locator)を、画像形成装置を使用したユーザーに提供し、提供されたURLを用いてユーザーが広告を閲覧した場合、使用料金を減額することが記載されている。この技術により、例えば、ユーザーがスキャンを利用する場合、広告のURLがユーザーの端末装置へ送信されることで、ユーザーはいつでも端末装置から広告を閲覧でき、閲覧に応じた減額を受けられるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-224871号公報
【文献】特開2017-59977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
画像形成装置の広告による減額に関する技術は多く存在する。しかし、その多くが画像形成装置の出力物(プリント、スキャンデータ)に対して広告を挿入するものであり、広告により出力物に手が加えられること無く、ユーザーが煩わしさを感じない広告による減額方法があまり無かった。
【0007】
また、特許文献1に開示された技術では、ログイン総時間から広告閲覧総時間を差し引いて求めた時間数に、非閲覧時単価を掛け合わせて、広告非閲覧時の利用料金が算出される。しかし、ユーザーが広告をクリックして広告主のサイトを閲覧しなければならず、ユーザーが積極的に操作をしなければ、広告がユーザーに届かない。
【0008】
また、特許文献2に開示された技術では、いつでもユーザーの端末装置で広告情報が見られるが、ユーザーが自発的に広告を見る操作が必要となる。このため、ユーザーは、煩わしさを感じると自発的に広告を見ないことが多かった。このように特許文献1及び2に開示された技術を用いると、ユーザーが余計な操作を行う必要があるため、ユーザーに広告が届かないばかりか、実行されるジョブの課金も適正でないことがあった。
【0009】
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、画像形成装置にて実行されるジョブの課金を適正にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映した画像形成装置は、画像が表示される表示部と、ジョブを実行するジョブ実行部と、ジョブ実行部によるジョブの実行中に広告を再生して広告を表示部に表示させる制御を行う再生制御部と、ジョブの実行中に表示部に表示された広告の再生時間に基づいてジョブの課金を変更し、変更した課金を管理する課金管理部と、表示部に表示される広告を視認可能な位置にいるユーザーを検出するユーザー検出部と、を備え、再生制御部は、ジョブ実行部によるジョブの完了時に広告の再生を停止し、ジョブの実行中に再生した広告の再生時間、広告の再生完了の有無を含む再生管理データを作成し、課金管理部は、再生管理データに基づいて課金に対する減額を計算し、広告が再生されている間であっても、ユーザー検出部がユーザーを検出していない時間を、減額の対象時間から除外する。
なお、上記の画像形成装置は本発明の一態様であり、本発明の一側面を反映したジョブ課金システム及びプログラムについても、上記の画像形成装置と同様に構成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像形成装置がジョブの実行中に表示部に表示される広告の再生時間に基づいてジョブの課金が変更されるので、実行されるジョブの課金が適正になる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の内部構成例を示す機能ブロック図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態に係る広告DBの構成例を示す図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態に係る再生管理DBの構成例を示す図である。
【
図5】本発明の第1の実施の形態に係る課金管理DBの構成例を示す図である。
【
図6】本発明の第1の実施の形態に係る広告再生及び課金処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の第1の実施の形態に係る広告再生及び課金処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の第2の実施の形態に係るジョブ課金システムの内部構成例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0014】
[一実施の形態]
図1は、画像形成装置の概略構成例を示すブロック図である。
画像形成装置1は、画像処理部10、画像形成部20、画像読取部30、操作表示部40、ユーザー検出部41、ストレージ50及びメインコントローラー60を備える。
【0015】
画像処理部10は、不図示のPC(Personal Computer)等から受信した画像に対してラスタライズ処理等を施したり、色調整等を行ったりする画像処理を行う。
画像形成部20は、PC等から指定されるジョブを実行して、画像処理された画像を記録材に形成する画像形成処理を行う。なお、記録材は、例えば、用紙、樹脂製のシート等を含む。
【0016】
画像読取部30には、例えばインラインスキャナが用いられる。画像読取部30は、画像形成部20から出力される画像形成済みの記録材から画像を読み取る。画像読取部30が読み取った画像は、品質検査の対象として、例えば、事前に用意された参照画像と比較される。
【0017】
操作表示部40は、例えばタッチパネルディスプレイが用いられ、操作表示部40に画像が表示される。本実施の形態では、操作表示部40に静止画又は動画の広告が表示される。また、ユーザーは、操作表示部40を通じてジョブの設定及び実行を指示したり、表示されたジョブの実行結果を確認したりする。また、ユーザーは、操作表示部40を通じて、操作表示部40に広告が表示されている途中で、広告の再生を停止する指示を入力可能である。
【0018】
ユーザー検出部41は、操作表示部40に表示される広告を視認可能な位置にいるユーザーを検出する。ユーザー検出部41として、例えば、人感センサー、光電センサー、カメラ等が設けられる。ユーザー検出部41がユーザーを検出すると、メインコントローラー60にユーザー検出情報が出力される。
【0019】
ストレージ50は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の大容量の記録装置である。PC等から受信した画像等がストレージ50に保存される。ストレージ50としては、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ又は不揮発性のメモリ等が用いられてもよい。
【0020】
メインコントローラー60には、画像処理部10、画像形成部20、画像読取部30、操作表示部40及びストレージ50が接続される。画像処理部10、画像形成部20、画像読取部30及び操作表示部40は、メインコントローラー60からの制御を受け、画像形成装置としての機能を提供する。メインコントローラー60は、自身に接続された各部に対して処理の実行指示、処理結果の取得、データの送受信等を行う。このメインコントローラー60は、CPU(Central Processing Unit)61、ROM(Read Only Memory)62、RAM(Random Access Memory)63及びフラッシュメモリ64を備える。
【0021】
CPU61は、本実施の形態に係る各機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをROM62から読み出してRAM63にロードし、実行する。フラッシュメモリ64には、OS(Operating System)、各種のパラメーターの他に、メインコントローラー60を機能させるためのプログラムが記録されている。ROM62及びフラッシュメモリ64は、CPU61が動作するために必要なプログラムやデータ等を記録しており、メインコントローラー60によって実行されるプログラムを格納したコンピューター読取可能な非一過性の記憶媒体の一例として用いられる。
【0022】
RAM63には、CPU61の演算処理の途中で発生した変数やパラメーター等が一時的に書き込まれ、これらの変数やパラメーター等がCPU61によって適宜読み出される。ただし、CPU61に代えてMPU(Micro Processing Unit)を用いてもよい。
【0023】
フラッシュメモリ64は、RAM63より大容量のデータを記憶可能である。このため、画像処理部10により画像処理された画像のファイル、画像読取部30が読み取った画像のファイル等がフラッシュメモリ64に記憶可能である。
【0024】
図1には、画像形成装置として用いられる一般的な複合機として、画像形成部20及び画像読取部30等を備える構成とした画像形成装置1を例示した。しかし、画像形成部20及び画像読取部30、は必須ではない。例えば、画像読取部30を持たない単機能のプリンタや、電話回線との通信機能を有したファクシミリ装置として複合機が構成されてもよい。
【0025】
<画像形成装置の内部構成例>
図2は、画像形成装置1の内部構成例を示す機能ブロック図である。本実施の形態では、広告再生及び課金管理に関わる処理の機能について説明し、画像形成に関わる処理の機能については詳細な説明を省略する。
【0026】
画像形成装置1は、
図1に示した操作表示部40に加えて、制御部70及び記憶部80を備える。制御部70は、例えば、CPU61がプログラムを実行することで実現される機能を表す。また、記憶部80は、例えば、ストレージ50の機能を表す。
【0027】
始めに、記憶部80について説明する。記憶部80は、ジョブデータベース(DB:Data Base)81、広告データベース82、再生管理データベース83及び課金管理データベース84を備える。以下、それぞれジョブDB81、広告DB82、再生管理DB83、課金管理DB84と略記する。
【0028】
ジョブDB81は、画像形成装置1で実行されるジョブを記憶する。ジョブとしては、例えば、印刷ジョブ、コピージョブ、スキャンジョブ等がある。また、各ジョブに設定された設定情報(コピー枚数、用紙サイズ等)についてもジョブDB81に記憶される。
【0029】
広告DB82は、ジョブ実行部74がジョブ実行中に再生され、操作表示部40に表示される広告を記憶する。再生される広告には、動画又は静止画が含まれる。
再生管理DB83は、再生管理データを記憶している。再生管理データには、広告の再生時間、広告の再生回数等が書き込まれている。
【0030】
課金管理DB84は、操作表示部40に表示された広告の再生時間、広告の再生回数等に基づいて、画像形成装置1がジョブを実行した際の課金をジョブごとに管理する。なお、広告が表示されなかったジョブについても、実行されたジョブであれば、課金管理DB84に課金が記憶される。
【0031】
制御部70は、ジョブ実行時間算出部71、広告選択部72、再生制御部73、ジョブ実行部74及び課金管理部75を備える。
【0032】
ジョブ実行時間算出部71は、ユーザーが操作表示部40を通じてジョブの実行を指示する操作が行われると、ジョブDB81を参照して、実行が指示されたジョブの実行時間を算出する。例えば、ジョブの種類がコピージョブであれば、ジョブ実行時間算出部71は、ユーザーが実行開始ボタンを押した時間をジョブの開始時間とし、画像形成装置1が、設定された枚数のコピーを終了し、排出を完了するまでの時間をジョブの終了時間として、開始時間から終了時間までをジョブの実行時間として算出する。ジョブの実行時間は、ジョブの実行開始前にユーザーが設定した、ジョブの設定情報(コピー枚数、用紙サイズ等)により変わりうる。そして、ジョブ実行時間算出部71は、算出したジョブ実行時間を、広告選択部72に出力する。
【0033】
広告選択部72は、操作表示部40に表示する広告を選択する。このため、広告選択部72は、広告DB82を参照して、ジョブ実行時間算出部71から入力したジョブ実行時間に合わせて、ジョブ実行部74がジョブを実行中に再生可能な広告を選択する。この際、広告選択部72は、再生管理DB83を参照して、未再生の広告を優先して再生するように広告を選択する。広告選択部72が広告を選択するのは、例えば、操作表示部40からジョブの実行が指示されたタイミングである。
【0034】
再生制御部73は、ジョブ実行部74によるジョブの実行中に再生した広告を操作表示部40に表示させる制御を行う。再生制御部73は、例えば、ジョブの実行時間に合わせて広告を再生する場合、広告選択部72が選択した広告を広告DB82から読み出し、この広告を再生する。再生する広告が一つしかない場合、又は予め再生順が決定されている場合等であれば、再生制御部73は、広告選択部72の広告選択の処理結果を得なくても、広告を再生する制御が可能である。また、広告選択部72は、選択可能な広告が一つである場合、再生制御部73により広告が繰り返し再生されるように広告を選択してもよい。
【0035】
再生制御部73は、ジョブ実行部74によるジョブの完了時に広告の再生を停止し、ジョブの実行中に再生した広告の再生時間、広告の再生完了の有無を含む再生管理データを作成する。そして、再生制御部73は、広告の再生時間等を含む再生管理データを再生管理DB83に書き込む。なお、ジョブ実行時間が広告の再生時間より短ければ、再生制御部73は、ジョブの終了時に再生していた広告を途中で停止する。そして、再生制御部73は、広告が途中で再生停止したことを再生管理DB83に書き込む。
【0036】
また、広告の再生停止は、ユーザーが指示してもよい。例えば、広告の再生途中で、ユーザーが操作表示部40を操作して再生停止の指示を入力することが可能である。そして、操作表示部40から停止する指示が入力された場合にも、再生制御部73は広告の再生を停止する。また、ユーザー検出部41から再生制御部73にユーザー検出情報が入力しない間、再生された広告をユーザーが見ていないと考えられる。このため、再生制御部73は、ユーザー検出部41からユーザー検出情報が入力しない場合にも、広告の再生を停止する。
【0037】
ジョブ実行部74は、ジョブDB81から読み出したジョブを実行する。また、ジョブ実行部74は、ジョブの実行開始時刻、ジョブの終了時刻を再生制御部73に通知する。
【0038】
課金管理部75は、ジョブの実行中に操作表示部40に表示された広告の再生時間に基づいてジョブの課金を変更し、変更した課金を管理する。この際、課金管理部75は、再生管理DB83を参照し、再生管理DB83から取得した再生管理データに含まれる、ジョブの実行中に再生された広告の再生時間、再生回数等に基づいて、実行されるジョブに対する課金からの減額を計算する。ここで、課金管理部75は、広告が動画である場合に、操作表示部40に広告が最後まで再生されたか否かにより減額を変更する。課金管理部75が変更した減額により算出した課金は、課金管理DB84に記憶される。
【0039】
また、課金管理部75は、ユーザー検出部41からユーザー検出情報が入力しない場合には、ユーザーが広告を見ていないと判断する。そこで、課金管理部75は、操作表示部40に広告が表示されている間であっても、ユーザー検出部41がユーザーを検出していない時間を、減額の対象時間から除外する。
【0040】
<各データベースの構成例>
次に、記憶部80の各データベースの構成例について、
図3~
図5を参照して説明する。なお、ジョブDB81は図示を省略するが、ジョブの実行順を表すジョブ番号、実行されるジョブ等を関連付けて記憶している。
【0041】
図3は、広告DB82の構成例を示す図である。
広告DB82は、広告名、記録時間、広告ファイルの各フィールドで構成される。
【0042】
広告名フィールドには、広告を特定する情報として広告名が格納される。広告名の代わりに広告ID等の識別符号が広告名フィールドに格納されてもよい。
記録時間フィールドには、広告の記録時間が格納される。広告は、長くても数分程度である。また、広告が静止画である場合は、記録時間がゼロとされる。
広告ファイルフィールドには、再生される広告の動画ファイルが格納される。動画ファイルは、操作表示部40で再生可能な形式(例えば、MPEG-4)で保存される。また、広告が静止画である場合は、例えば、JPEG(Joint Photographic Experts Group)形式で保存される。
【0043】
図4は、再生管理DB83の構成例を示す図である。
図4の上側には、ジョブの実行前における再生管理DB83の例が示され、
図4の下側には、ジョブの実行時における再生管理DB83の例が示される。広告選択部72は、選択可能な広告が複数である場合は、複数の広告の記録時間を合計した時間が、ジョブの実行時間に収まるような広告を選択する。本実施の形態では、ジョブ実行部74がジョブの実行中に、再生制御部73が、2つの広告(広告動画1、広告動画2)を再生可能である。
【0044】
再生管理DB83は、ジョブ情報、広告情報、再生情報の大フィールドと、それぞれの大フィールドに含まれる複数の小フィールドとで構成される。
ジョブ情報フィールドは、ジョブ実行部74で実行されるジョブのジョブ情報を格納する。ジョブ情報フィールドは、番号、開始ページ、完了ページ、ジョブ完了Flagの各小フィールドで構成される。
【0045】
番号フィールドには、実行されるジョブのジョブ番号が格納される。
開始ページフィールドには、再生される広告ごとにジョブの開始ページが格納される。
完了ページフィールドには、広告の再生が完了した時点で実行されたジョブのページ数が格納される。
ジョブ完了Flagフィールドには、ジョブの完了Flagが格納される。ジョブが未完了であれば「False」、ジョブが完了すれば「True」が格納される。
【0046】
広告情報フィールドは、広告名、時間の各小フィールドで構成される。
広告名フィールドには、広告DB82に格納される広告の広告名が格納される。
時間フィールドには、各広告の記録時間が格納される。
【0047】
再生情報フィールドは、時間、開始Flag、完了Flagの各小フィールドで構成される。
時間フィールドには、各広告の再生時間が格納される。
開始Flagフィールドには、広告の再生開始を意味する開始Flagが格納される。未再生の広告では「False」、再生した広告では「True」が格納される。
完了Flagフィールドには、広告の再生完了を意味する完了Flagが格納される。途中で再生が中止され、再生完了していない広告では「False」、中止されずに再生完了した広告では「True」が格納される。
【0048】
図4の上側に示すように、ジョブの実行前では、ジョブ情報フィールドの開始ページ及び完了ページはいずれもゼロであり、ジョブ完了Flagは「False」である。また、再生情報フィールドの開始Flag及び完了Flagはいずれも「False」である。
【0049】
図4の下側に示すように、ジョブの実行中では、ジョブ情報フィールドが変化する。実行されるジョブは、例えば、カラー印刷とモノクロ印刷が混在した45ページ以上のコピージョブとする。そして、ジョブの1ページ目の実行開始と共に、広告動画1の再生が開始され、30ページまではカラー印刷が行われる。ここで、ジョブが30ページ目に達した時点で、広告動画1の再生が終了したと想定する。この場合、引き続き、ジョブの31ページ目で広告動画2の再生が開始され、モノクロ印刷が行われる。また、ジョブの45ページ目の時点では、ジョブが終了しておらず、広告動画2の再生も完了していない。このため、番号1のジョブ完了Flagは、いずれも「False」である。
【0050】
また、広告動画1の再生時間は1分であり、広告動画1は全て再生されている。このため、再生情報フィールドにおける広告動画1の開始Flag及び完了Flagはいずれも「True」である。一方、広告動画2の再生は開始されたが、完了していない。このため、再生情報フィールドにおける広告動画2の開始Flagは「True」であり、完了Flagは「False」である。
【0051】
図5は、課金管理DB84の構成例を示す図である。
課金管理DB84は、実行ジョブ名、広告名、再生時間、未再生時間、減額、課金の各フィールドで構成される。
【0052】
実行ジョブ名フィールドには、実行されたジョブのジョブ名が格納される。記憶される。
広告名フィールドには、ジョブの実行に伴って再生された広告の広告名が格納される。
【0053】
再生時間フィールドには、再生された広告の再生時間が格納される。
未再生時間フィールドには、再生開始した広告のうち、再生途中で停止した等により未再生となった未再生時間が格納される。広告が途中で停止することなく再生された場合、未再生時間はゼロ秒である。しかし、広告が途中で停止されると、停止以降の広告が未再生となるので、再生制御部73により未再生時間フィールドに未再生時間が書き込まれる。
【0054】
減額フィールドは、広告の再生時間及び未再生時間に基づいて、広告時間に対する広告の再生時間の割合により決定された減額が格納される。例えば、広告動画1が途中で停止することなく再生された場合、広告時間と再生時間が同じであるため、減額がy1と決定される。また、広告動画2が途中で停止することなく再生された場合にも、広告時間と再生時間が同じであるため、減額がy2と決定される。課金管理部75は、広告の再生時間と、広告の記録時間との比率に基づいて計算した減額により課金を変更する。
【0055】
しかし、広告動画2の再生が途中で停止した場合、再生時間分だけ減額が決定される。なお、広告動画1と広告動画2とでそれぞれ減額を算出するための値(y1,y2)が異なるが、同じ値としてもよい。
【0056】
課金フィールドには、課金管理部75が計算した減額が格納される。例えば、ジョブ1の課金がJ1円であったとする。この場合、ジョブ1の課金(J1円)から、広告動画1が再生されている時間に応じて算出された減額(y1円)と、広告動画2が再生されている時間に応じて算出された減額(2/3×y2円)とを引いた値が課金される。広告動画2についても同様であり、ジョブ2の課金(J2円)から、広告動画1が再生されている時間に応じて算出された減額(y1円)を引いた値が課金される。
【0057】
なお、減額の計算には様々な方法が想定される。
まず、上述した広告の再生時間と、広告の記録時間との比率に基づいて減額を計算する方法がある。
次に、1つの広告が全て再生された場合には、通常の減額よりも大きくしてもよい。例えば、45ページ以上のコピージョブが実行される場合、1~30Pのコピージョブの実行中に広告動画1が全て流れると、課金管理部75は、通常の減額に、追加の減額を加えてもよい。しかし、31~45Pのコピージョブの実行が完了した時点で広告動画2の再生が途中で終了した場合、課金管理部75は、通常の減額のみとする。
【0058】
そして、課金管理部75は、広告選択部72が選択した複数の広告のうち、ジョブの実行中に再生が完了した広告に対する減額を、再生が完了しなかった広告に対する減額よりも大きくする。また、課金管理部75は、広告が再生されている間、ジョブの開始から完了までユーザー検出部41がユーザーを検出した場合に、再生が完了した広告に対する減額をさらに大きくする。
【0059】
次に、画像形成装置1で行われる広告再生及び課金処理について、
図6と
図7のフローチャートを参照して説明する。
図6と
図7は、広告再生及び課金処理の一例を示すフローチャートである。
【0060】
始めに、ジョブ実行時間算出部71は、操作表示部40からジョブの実行開始が指示されたか否かを判断する(S1)。ジョブの実行開始が指示されていなければ(S1のNO)、ジョブ実行時間算出部71は待機する。一方、ユーザーが操作表示部40を通じてジョブの実行操作をした場合、ジョブ実行時間算出部71は、ジョブの実行開始が指示されたと判断する(S1のYES)。ユーザーにより実行開始が指示されるジョブは、例えば、コピージョブであるとする。
【0061】
次に、ジョブ実行時間算出部71は、実行指示されたジョブの実行開始前に、ジョブの設定情報(コピー枚数、用紙サイズ等)に基づいて、ジョブ実行部74により実行されるジョブの実行時間を算出する(S2)。そして、ジョブ実行時間算出部71は、算出したジョブの実行時間を広告選択部72に出力する。
【0062】
広告選択部72は、ジョブの実行時間に基づいて再生管理DB83を参照し、操作表示部40に表示する広告を広告DB82から選択する(S3)。このとき広告選択部72は、算出されたジョブの実行時間内に再生時間が収まるような広告を選択する。ただし、ジョブの実行時間が長ければ、複数の広告を連続再生した時の再生時間がジョブの実行時間内に収まる広告を選択する。本実施の形態では、広告動画1、広告動画2が選択されたとする。
【0063】
次に、再生制御部73は、実行されるジョブのジョブ情報と、ジョブ実行中に再生される広告情報と、再生時間等を含む再生情報とを再生管理データとして、再生管理DB83に登録する(S4)。そして、ジョブ実行部74は、ジョブの実行を開始する(S5)。
【0064】
次に、再生制御部73は、再生管理DB83を参照して、ジョブの実行中に未再生の広告があるか否かを判断する(S6)。本実施の形態では、未再生の広告動画1があるとする。再生制御部73は、
図4の上段に示す再生管理データの再生情報の開始FlagがFalseであること、又は時間が「0:00」であることのいずれかにより、未再生の広告の有無を判断する。未再生の広告がある場合(S6のYES)、再生制御部73は、再生する広告動画1の再生管理データの再生情報の開始FlagをTrueに変更して、再生時間のカウントを開始する(S7)。
【0065】
次に、再生制御部73は、再生管理データのジョブ情報の開始ページを設定する(S8)。例えば、ジョブの実行開始直後は、広告動画1の広告管理データのジョブ情報の開始ページに「1」が設定される。次に、再生制御部73は、広告DB82から読み出した広告を再生して、操作表示部40に広告を表示させる(S9)。例えば、広告動画1が、操作表示部40に表示される。
【0066】
そして、接続子Aに接続される
図7のステップS11にて、再生制御部73は、再生中の広告が完了したか否かを判断する(S11)。再生中の広告として、広告動画1の再生が完了した場合(S11のYES)、再生制御部73は、広告動画1の再生管理データの再生情報の完了FlagをTrueに変更する(S12)。
【0067】
次に、再生制御部73は、広告動画1の再生管理データの再生情報の再生時間のカウントを停止する(S13)。このとき、再生制御部73は、広告動画1の再生管理データの再生情報の時間のカウントを「1:00」で停止する。
【0068】
そして、再生制御部73は、広告動画1の再生管理データのジョブ情報の完了ページを設定する(S14)。その後、接続子Bに接続される
図6のステップS6に戻って、再生制御部73は、ジョブの実行中に未再生の広告があるか否かを再び判断する(S6)。
【0069】
本実施の形態では、ジョブの実行中に未再生の広告動画2があるとする(S6のYES)。このため、再生制御部73は、再生する広告動画2の再生管理データの再生情報の開始FlagをTrueに変更して、再生時間のカウントを開始する(S7)。
【0070】
次に、再生制御部73は、広告動画2の再生管理データのジョブ情報の開始ページを設定する(S8)。例えば、広告動画2の広告管理データのジョブ情報の開始ページに「1」が設定される。次に、再生制御部73は、広告DB82から読み出した広告動画2を再生して、操作表示部40に広告動画2を表示させる(S9)。
【0071】
そして、接続子Aに接続される
図7のステップS11にて、再生制御部73は、再生中の広告動画2が完了したか否かを判断する(S11)。広告動画2の再生が完了していない場合(S11のNO)、再生制御部73は、ユーザーが操作表示部40を通じて広告動画2の再生を停止したかどうか判断する(S15)。ユーザーが操作表示部40を通じて広告動画2の再生を停止しなければ(S15のNO)、再生制御部73は、ステップS11に移って処理を続ける。
【0072】
本実施の形態では、画像形成装置1で実行中のコピージョブの原稿スキャンが完了し、プリント実行のみとなったとする。このため、ユーザーは次のスキャンジョブを実行するので、操作表示部40を操作して、操作表示部40に再生されている広告動画2を停止させたとする(S15のYES)。
【0073】
次に、再生制御部73は、広告動画2の再生管理データの再生情報の再生時間のカウントを停止する(S16)。そして、再生制御部73は、広告動画2の再生管理データのジョブ情報の完了ページを設定する(S17)。
【0074】
次に、再生制御部73は、操作表示部40の表示をジョブ設定画面に戻す(S18)。次に、再生制御部73は、ジョブが完了したか否かを判断する(S19)。例えば、再生制御部73は、ジョブ実行部74からジョブの完了情報を受信すると、ジョブが完了したと判断できる。ジョブが完了していなければ(S19のNO)、ジョブが完了するまでステップS19の処理を繰り返す。
【0075】
ジョブが完了していれば(S19のYES)、課金管理部75は、再生管理データのジョブ情報の開始ページ、完了ページ、ジョブ完了Flag、再生情報の時間、完了Flagに基づいて、実行されたコピージョブに対する課金の減額を計算する(S20)。そして、課金管理部75は、計算した減額を課金管理DB84に保存する。その後、接続子Dに接続される
図6のステップS1に戻って、ジョブの実行開始を待つ。
【0076】
また、ステップS6にて、ジョブの実行中に未再生の広告がないと判断した場合(S6のNO)、ジョブの実行中に再生した広告の再生管理データのジョブ情報のジョブ完了FlagをTrueにする(S10)。そして、接続子Cに接続される
図7のステップS18に移って、以降の処理を続ける。
【0077】
以上説明した第1の実施の形態に係る画像形成装置1では、ユーザーが画像形成装置1でコピー、スキャン等のジョブ実行中に操作表示部40に広告が再生表示される。このため、課金管理部75は、広告の再生時間に応じて、ジョブの課金を減額することができる。画像形成装置1のユーザーの観点では、コピーやスキャン等のジョブ実行した場合、画像形成装置1の前でジョブ完了まで待つ必要があるので、その間に画像形成装置1のパネルに広告が表示されても煩わしさを感じにくい。また、広告表示中は実行中ジョブの課金が安くなるため、効率的で金銭的なメリットがある。
【0078】
一方、画像形成装置1の販売側の観点では、ユーザーが負担する料金が安くなるため、より気軽に画像形成装置1を使用してもらえるので、画像形成装置1の利用頻度(ジョブの実行回数、実行時間等)が上がりやすい。また、広告主の観点では、ユーザーが注目しやすい操作表示部40に効果的に広告を表示するため、広告をユーザーに効果的に届けることができる。
【0079】
このように、画像形成装置1では、ユーザーが有料サービスを利用している時間にユーザーのサービスを阻害することなく広告を表示し、その表示時間に応じてユーザーから徴収するサービス料金を減額させる。このため、ユーザーが利用したいサービスを止めることなく、広告による減額を受けられる点が優れている。
【0080】
ただし、操作表示部40に表示される広告は、ユーザーが任意のタイミングで停止することができる。例えば、広告表示を止めるのは、次のジョブ実行を要求し、スキャナをすぐ使いたい他のユーザーなどが想定される。操作表示部40に広告が表示されていても、広告の再生を停止して、次のジョブをすぐに実行することが可能であり、ユーザーは最後まで広告を見る必要がなく、煩わしさを感じにくくなる。
【0081】
広告には動画と静止画がある。広告が動画である場合、課金管理部75は、ユーザーが動画を途中で止めた場合と最後まで動画を見た場合で減額を変えてよい。ジョブの実行時間内に複数の動画が流れる場合、どこでユーザーが止めたかで減額を変えることができる。例えば、ユーザーが1つ目の動画を最後まで見て、2つ目の動画を途中で止めた場合には、課金管理部75は、1つ目の動画再生中に発生したジョブ課金に対して減額を大きくし、2つ目の動画再生中に発生したジョブ課金に対して減額が小さくする。このように課金管理部75は、減額を柔軟に変更することが可能である。
【0082】
また、課金管理部75は、ユーザーが広告を見たか否かを、ユーザー検出部41から入力するユーザー検出情報により判断する。ユーザー検出部41は、ユーザーが操作表示部40の前にいれば、ユーザー検出情報を出力する。このため、課金管理部75は、ユーザー検出情報が入力されない場合には、ユーザーが操作表示部40の前にいないと判断して、たとえ広告が表示されていたとしても減額を止める。ただし、ユーザーが操作表示部40の前にいなければ、再生制御部73が広告の表示を停止してもよい。
【0083】
なお、画像形成装置1には、操作部と表示部とが別体として設けられてもよいし、本実施の形態のように操作部と表示部とが一体化されてもよい。操作部と表示部とが別体として設けられていれば、ユーザーがボタン等で構成される操作部を押すことで、ジョブの実行を指示し、又は表示部に表示された広告の再生を停止できるようにしてもよい。
【0084】
また、再生制御部73は、広告選択部72による選択処理を省略して、ストレージ50又はフラッシュメモリ64に予め記憶させた広告を、ジョブの実行中に自動的に再生してもよい。
【0085】
また、複数のジョブを連続して実行させるユーザーが1人であれば、ジョブ実行時間算出部71が全てのジョブの実行時間を算出し、この実行時間に合わせて広告選択部72が広告を選択してよい。そして、再生制御部73は、1つのジョブが完了した時点で、再生中の広告が途中までしか再生されていなければ、広告の再生を停止せず、次のジョブの開始時に、引き続き広告を再生したままとしてよい。これにより、例えば、複数の印刷ジョブが連続して実行される場合に、印刷ジョブのページ数が、10ページ、100ページのように異なっていても、ジョブの実行完了ごとに広告が停止しないので、ユーザーが広告を見やすくなる。
【0086】
また、特別な広告の再生を希望するユーザーがいる場合、このユーザーが操作表示部40を通じて、この広告の再生を指示してもよい。この場合、広告選択部72は、ユーザーが指示した広告を優先して選択し、再生制御部73が、この広告を再生制御する。そして、課金管理部75は、ユーザーの指示により再生された広告の再生時間等に合わせて、課金を増額してもよい。
【0087】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係るジョブ課金システムの構成例について、
図8を参照して説明する。第2の実施の形態に係るジョブ課金システムは、課金管理サーバーが課金処理を行う。
【0088】
図8は、ジョブ課金システム5の内部構成例を示す機能ブロック図である。
ジョブ課金システム5は、互いにインターネット等で接続された画像形成装置1A、広告サーバー2及び課金管理サーバー3を備える。
【0089】
画像形成装置1Aの基本構成は、
図2に示した画像形成装置1と同様であるが、
図2に示した課金管理部75、広告DB82、再生管理DB83及び課金管理DB84を備えない点が異なる。このため、広告選択部72は、広告サーバー2にアクセスして、再生する広告を選択し、再生制御部73は、広告サーバー2から配信された広告の再生を制御する。そして、再生制御部73は、再生した広告の再生管理データを課金管理サーバー3に送信する。
【0090】
広告サーバー2は、広告配信部90及び広告DB91を備える。
広告DB91の構成例は、
図3に示した広告DB82の構成例と同様である。
【0091】
広告配信部90は、広告DB91に蓄積されている広告の広告名、記録時間等を広告リストとして広告選択部72に送信する。広告配信部90は、再生制御部73が再生を要求する広告の配信を制御する。このため、画像形成装置1Aが常時ネットワークに接続された環境では、広告配信部90が再生制御部73に広告ファイルをストリーミング配信することが可能となる。そして、画像形成装置1Aの再生制御部73は、広告配信部90からストリーミング配信された広告を操作表示部40に表示させる制御を行う。
【0092】
なお、本実施の形態においても、広告DB91は、動画又は静止画の広告を記憶する。また、広告DB91は、広告の配信先に合わせて異なる広告を配信できるようにするため、配信先を特定するための情報を広告に関連付けて記憶してもよい。
【0093】
課金管理サーバー3は、再生管理データ受信部100、課金管理部101、課金通知部102、再生管理DB111及び課金管理DB112を備える。
【0094】
再生管理DB111、課金管理DB112の構成例は、
図4に示した再生管理DB83、
図5に示した課金管理DB84の構成例と同様である。
【0095】
再生管理データ受信部100は、再生制御部73から再生管理データを受信すると、再生管理DB111に再生管理データを書き込む。
【0096】
課金管理部101は、画像形成装置1Aがジョブの実行中に、画像形成装置1Aの操作表示部40に表示された広告の再生時間に基づいてジョブの課金を変更する。この際、課金管理部101は、再生管理DB111から再生管理データを読み出して、ジョブの実行中に再生された広告の再生時間、再生回数に基づいて、課金を管理する。課金管理部75は、算出した減額を課金管理DB112に書き込む。
【0097】
課金通知部102は、課金管理DB112から読み出したジョブごとの課金を画像形成装置1Aに通知する。なお、課金通知部102は、画像形成装置1Aを使用する会社に課金を通知してもよい。
【0098】
また、ジョブ課金システム5の各装置の処理については、
図6と
図7を参照して説明した画像形成装置1の処理と同様である。
【0099】
以上説明した第2の実施の形態に係るジョブ課金システム5では、ジョブの実行に伴う減額、課金の計算を課金管理サーバー3が行う。このため、画像形成装置1Aは、ジョブの実行にリソースを割くことができ、課金管理の手間がかからない。また、例えば、課金管理サーバー3を、画像形成装置1を販売する企業側に置く。このため、画像形成装置1を販売する企業では、各社に多数設置される画像形成装置1Aの広告再生状況や課金状況を直ちに把握することができる。
【0100】
また、ファイルサイズが大きい広告ファイルを広告サーバー2が管理している。また、広告サーバー2が画像形成装置1Aに広告ファイルをストリーミング配信する構成としたことで、画像形成装置1Aに広告ファイルを記憶する広告DBを構成しなくてもよい。
【0101】
ただし、画像形成装置1Aは、第1の実施の形態に係る画像形成装置1と同様に、広告サーバーから配信された広告を記憶する広告DB82を備えてもよい。この場合、広告配信部90は、再生制御部73が広告のダウンロードを要求すると、再生制御部73に広告のダウンロードを許可してもよい。画像形成装置1Aが広告DB82を備えることで、画像形成装置1Aが常時ネットワークに接続されていない環境であっても、再生制御部73が広告DB82から広告を読み出して、操作表示部40に広告を再生できる。
【0102】
また、広告サーバー2では、広告DB91に記憶する広告を容易に更新できるので、広告配信部90は、様々な種類の広告を画像形成装置1Aに配信することが可能である。例えば、日時に応じて、広告配信部90が配信する広告を変更してもよい。
【0103】
なお、本発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
例えば、上述した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するためにシステムの構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、本実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0104】
1…画像形成装置、2…広告サーバー、3…課金管理サーバー、5…ジョブ課金システム、10…画像処理部、20…画像形成部、30…画像読取部、40…操作表示部、41…ユーザー検出部、60…メインコントローラー、70…制御部、71…ジョブ実行時間算出部、72…広告選択部、73…再生制御部、74…ジョブ実行部、75…課金管理部、80…記憶部、81…ジョブDB、82…広告DB、83…再生管理DB、84…課金管理DB