(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】電磁継電器
(51)【国際特許分類】
H01H 50/00 20060101AFI20240228BHJP
H01H 50/38 20060101ALI20240228BHJP
H01H 50/54 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
H01H50/00 D
H01H50/38 H
H01H50/54 B
(21)【出願番号】P 2020042427
(22)【出願日】2020-03-11
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】箕輪 亮太
(72)【発明者】
【氏名】川口 直樹
(72)【発明者】
【氏名】大塚 航平
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-334644(JP,A)
【文献】特開2013-222562(JP,A)
【文献】特開2015-035414(JP,A)
【文献】米国特許第6700466(US,B1)
【文献】特開2016-146333(JP,A)
【文献】特開平09-050752(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 45/00 - 45/14
H01H 50/00 - 50/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジング内に配置された固定接点と、
前記ハウジング内に配置され、前記固定接点と向かい合う可動接点と、
前記固定接点が接続された固定端子と、
を備え、
前記固定端子は、
前記
固定接点を支持する接点支持部と、
前記接点支持部から延び、前記ハウジング内において前記固定接点で発生したアークを伸長するように配置され、前記ハウジングの外方に突出した先端を含む第1アークガイドと、
前記接点支持部から延び、前記ハウジング内において前記固定接点で発生したアークを伸長するように配置され、前記ハウジングの外方に突出した先端を含む第2アークガイドと、
を含む、
電磁継電器。
【請求項2】
前記固定接点において発生するアークの起点を、磁力によって少なくとも所定方向に向かって移動させるように配置された磁石をさらに備え、
前記第1アークガイドは、前記固定接点に対して前記所定方向の位置で前記接点支持部に接続され、
前記第2アークガイドは、前記固定接点に対して前記所定方向と反対方向の位置で前記接点支持部に接続される、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項3】
前記固定接点において発生するアークの起点は、前記固定接点を流れる電流から生じる自己磁界によって、少なくとも所定方向に向かって移動し、
前記第1アークガイドは、前記固定接点に対して前記所定方向の位置で前記接点支持部に接続され、
前記第2アークガイドは、前記固定接点に対して前記所定方向と反対方向の位置で前記接点支持部に接続される、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項4】
前記固定端子は、前記第1アークガイドと前記接点支持部との間において屈曲した形状を有する、
請求項1から3のいずれかに記載の電磁継電器。
【請求項5】
前記固定端子は、前記第2アークガイドと前記接点支持部との間において屈曲した形状を有する、
請求項1から4のいずれかに記載の電磁継電器。
【請求項6】
前記固定接点は、溶着により、前記接点支持部に接合されている、
請求項1から5のいずれかに記載の電磁継電器。
【請求項7】
前記第1アークガイドと前記第2アークガイドとは、少なくとも前記ハウジングの外方において互いに接合されている、
請求項1から6のいずれかに記載の電磁継電器。
【請求項8】
前記第1アークガイドと前記第2アークガイドとは、前記固定接点から離れる方向に向かって、互いの間の距離が大きくなるように傾斜して配置されている、
請求項1から7のいずれかに記載の電磁継電器。
【請求項9】
前記第1アークガイドと前記第2アークガイドとは、前記固定接点から離れる方向に向かって、互いの間の距離が小さくなるように傾斜して配置されている、
請求項1から7のいずれかに記載の電磁継電器。
【請求項10】
前記第1アークガイドは、前記ハウジング内に配置される段部を含む、
請求項1から9のいずれかに記載の電磁継電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁継電器に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁継電器では、接点間にアークが発生することがある。その場合、アークにより電磁継電器の機械寿命が低下してしまう。そのため、例えば特許文献1に開示されている電磁継電器は、アークガイド(アークランナー)を備えている。アークガイドは、可動接触片に接続されており、固定端子から離れる方向に延びている。接点間で発生したアークは、アークガイドに沿って伸長されることで、迅速に消弧される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の電磁継電器では、アークガイドの用途は、アークの伸長のみである。一方、電磁継電器において、高容量の電流が通電される場合、端子が発熱して高温になることがある。その場合、基板、或いは電磁継電器自身が、端子からの熱により、ダメージを受ける可能性がある。本開示の課題は、電磁継電器において、アークを迅速に消弧すると共に、端子での発熱を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る電磁継電器は、ハウジングと、固定接点と、固定端子と、可動接点とを備える。固定接点は、ハウジング内に配置される。可動接点は、ハウジング内に配置され、固定接点と向かい合う。固定接点は、固定端子に接続される。固定端子は、接点支持部と、第1アークガイドと、第2アークガイドとを含む。接点支持部は、固定接点を支持する。第1アークガイドは、接点支持部から延びている。第1アークガイドは、ハウジングの外方に突出する先端を含む。第1アークガイドは、ハウジング内において固定接点で発生したアークを伸長するように配置される。第2アークガイドは、接点支持部から延びている。第2アークガイドは、ハウジングの外方に突出する先端を含む。第2アークガイドは、ハウジング内において固定接点で発生したアークを伸長するように配置される。
【0006】
本態様に係る電磁継電器では、接点において発生したアークは、第1アークガイド、又は、第2アークガイドに沿って伸長される。それにより、アークを迅速に消弧することができる。また、第1アークガイドと第2アークガイドとの先端は、ハウジングから外部に突出しており、外部端子として用いられる。従って、電流は、第1アークガイドと第2アークガイドとに分かれて流れる。それにより、第1アークガイドと第2アークガイドとのそれぞれにおける発熱を低減することができる。また、接点における発熱を複数の経路を介して電磁継電器の外部に伝達することができる。
【0007】
電磁継電器は、磁石をさらに備えてもよい。磁石は、固定接点において発生するアークの起点を、磁力によって少なくとも所定方向に向かって移動させるように配置されてもよい。第1アークガイドは、固定接点に対して所定方向の位置で接点支持部に接続されてもよい。第2アークガイドは、固定接点に対して所定方向と反対方向の位置で接点支持部に接続されてもよい。この場合、第1アークガイド、又は、第2アークガイドによって、効果的にアークを伸長させることができる。
【0008】
固定接点において発生するアークの起点は、固定接点を流れる電流から生じる自己磁界によって、少なくとも所定方向に向かって移動してもよい。第1アークガイドは、固定接点に対して所定方向の位置で接点支持部に接続されてもよい。第2アークガイドは、固定接点に対して所定方向と反対方向の位置で接点支持部に接続されてもよい。この場合、第1アークガイド、又は、第2アークガイドによって、効果的にアークを伸長させることができる。
【0009】
固定端子は、第1アークガイドと接点支持部との間において屈曲した形状を有してもよい。固定端子は、第2アークガイドと接点支持部との間において屈曲した形状を有してもよい。
【0010】
固定接点は、溶着により、接点支持部に接合されていてもよい。この場合、第1アークガイドと第2アークガイドとが接点の近くに設けられても、固定接点を接点支持部に容易に接合することができる。或いは、固定接点は、カシメによって、接点支持部に接合されていてもよい。
【0011】
第1アークガイドと第2アークガイドとは、少なくともハウジングの外方において互いに接合されてもよい。この場合、電磁継電器を基板などの外部の電子回路に、第1アークガイドと第2アークガイドとを容易に取り付けることができる。
【0012】
第1アークガイドと第2アークガイドとは、固定接点から離れる方向に向かって、互いの間の距離が大きくなるように傾斜して配置されてもよい。この場合、アークの起点の移動を第1アークガイドと第2アークガイドとの傾斜によって制御することができる。
【0013】
第1アークガイドと第2アークガイドとは、固定接点から離れる方向に向かって、互いの間の距離が小さくなるように傾斜して配置されてもよい。この場合、アークの起点の移動を第1アークガイドと第2アークガイドとの傾斜によって制御することができる。
【0014】
第1アークガイドは、ハウジング内に配置される段部を含んでもよい。この場合、段部によってアークの起点の移動を制限することができる。それにより、第1アークガイドに沿って、アークがハウジングの外部に漏れることを防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本開示に係る電磁継電器では、アークを迅速に消弧すると共に、端子での発熱を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態に係る電磁継電器の正面断面図である。
【
図3】第1固定端子および可動接触片の側面図である。
【
図4】第1変形例に係る第1固定端子および可動接触片の側面図である。
【
図7】第4変形例に係る第1固定端子と可動接触片との側面図である。
【
図8】第5変形例に係る第1固定端子と可動接触片との側面図である。
【
図9】第6変形例に係る第1固定端子と可動接触片との側面図である。
【
図10】第7変形例に係る第1固定端子と可動接触片との側面図である。
【
図11】第8変形例に係る第1固定端子と可動接触片との側面図である。
【
図12】第9変形例に係る第1固定端子と可動接触片との側面図である。
【
図13】第10変形例に係る第1固定端子と可動接触片との側面図である。
【
図14】第11変形例に係る第1固定端子と可動接触片との側面図である。
【
図15】第12変形例に係る第1固定端子の斜視図である。
【
図16】第13変形例に係る第1固定端子の斜視図である。
【
図17】第14変形例に係る電磁継電器の一部の斜視図である。
【
図18】第15変形例に係る電磁継電器の一部を示す正面断面図である。
【
図19】第16変形例に係る電磁継電器の一部を示す正面図である。
【
図20】第17変形例に係る接点装置の上面図である。
【
図21】第18変形例に係る接点装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一態様に係る電磁継電器1の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は電磁継電器1の正面断面図である。
図1に示すように、電磁継電器1は、ハウジング2と、接点装置3と、駆動装置4とを備えている。
【0018】
なお、図面を参照するときにおいて、説明を分かり易くするために
図1における上側を「上」、下側を「下」、左側を「左」、右側を「右」として説明する。また、
図1における紙面の手前側を「前」、奥側を「後」として説明する。ただし、これらの方向は、説明の便宜上、定義されるものであって、電磁継電器1の配置方向を限定するものではない。
【0019】
ハウジング2は、樹脂などの絶縁性を有する材料で形成されている。ただし、ハウジング2は、セラミックなどの他の材料製であってもよい。ハウジング2内には、接点装置3が収容されている。
【0020】
接点装置3は、第1固定端子6と、第2固定端子7と、可動接触片8と、可動機構9とを含む。第1固定端子6と第2固定端子7とは、可動接触片8の移動方向に延びている。第1固定端子6と第2固定端子7とは、左右方向に互いに間隔を隔てて配置されている。第1固定端子6には、第1固定接点10が接続されている。第2固定端子7には、第2固定接点11が接続されている。第1固定接点10と第2固定接点11とは、ハウジング2内に配置されている。
【0021】
可動接触片8は、左右方向に延びている。可動接触片8は、ハウジング2内に配置されている。可動接触片8には、第1可動接点12と第2可動接点13とが接続されている。第1可動接点12は、第1固定接点10に向かい合っている。第2可動接点13は、第2固定接点11に向かい合っている。第1可動接点12は、第2可動接点13と左右方向に間隔を隔てて配置されている。
【0022】
可動接触片8は、接触方向と開離方向とに移動可能である。接触方向は、可動接点12,13が、固定接点10,11に近づく方向である。開離方向は、可動接点12,13が、固定接点10,11から離れる方向である。本実施形態では、可動接触片8は、上下方向に移動可能である。
【0023】
可動機構9は、可動接触片8を支持する。可動機構9は、閉位置と開位置とに移動可能に設けられる。可動機構9が閉位置では、固定接点10,11と可動接点12,13とが互いに接触する。可動機構9が開位置では、固定接点10,11と可動接点12,13とが互いに開離する。可動機構9は、駆動軸15と接点バネ16とを含む。駆動軸15は、可動接触片8に連結される。駆動軸15は、上下方向に延びており、可動接触片8を上下方向に貫通している。駆動軸15は、上下方向に移動可能に設けられる。接点バネ16は、可動接触片8を接触方向に付勢する。
【0024】
駆動装置4は、コイル21と、スプール22と、可動鉄心23と、固定鉄心24と、ヨーク25と、復帰バネ26とを含む。駆動装置4は、電磁力によって、可動機構9を介して可動接触片8を接触方向と開離方向とに移動させる。コイル21は、スプール22に巻回されている。可動鉄心23と、固定鉄心24とは、スプール22内に配置されている。可動鉄心23は、駆動軸15に接続されている。可動鉄心23は、上下方向に移動可能である。固定鉄心24は、可動鉄心23と向かい合って配置されている。復帰バネ26は、可動鉄心23を開離方向に付勢している。
【0025】
本実施形態に係る電磁継電器1では、コイル21が通電されると、コイル21から発生する磁界による磁力によって、可動鉄心23が固定鉄心24に吸引される。それにより、可動鉄心23と駆動軸15とが、復帰バネ26の付勢力に抗して、接触方向に移動する。それにより、可動接触片8と可動接点12,13とが接触方向に移動し、可動接点12,13が固定接点10,11に接触する。なお、可動接点12,13が固定接点10,11に接触した後、駆動軸15がさらに接触方向へ移動することによって、接点バネ16が圧縮される。
【0026】
コイル21への通電がオフにされると、可動鉄心23と駆動軸15とが、復帰バネ26の付勢力によって、開離方向へ移動する。それにより、可動接触片8と可動接点12,13とが開離方向に移動し、可動接点12,13が固定接点10,11から開離する。
【0027】
図1に示すように、電磁継電器1は、磁石27,28を備えている。磁石27,28は、永久磁石である。ただし、磁石27,28の一方は、ヨークであってもよい。磁石27,28は、ハウジング2の周囲に配置される。磁石27,28は、接点10-13において発生するアークの起点を、磁力によって少なくとも所定方向に向かって移動させるように配置される。
図2は、
図1におけるII-II断面図である。
【0028】
図2に示すように、磁石27,28は、ハウジング2内に磁界を発生させる。
図2において、二点鎖線の矢印は、磁界の向きを示している。これにより、接点10-13に生じるアークにローレンツ力が作用して、アークの起点が、ローレンツ力の方向に移動する。また、アークが、ローレンツ力の方向に伸長される。
【0029】
図2において、実線の矢印F1,F1’は、電流が正方向に流れる場合のローレンツ力(以下、「第1ローレンツ力」と呼ぶ)の向きを示している。正方向とは、第1固定端子6から、可動接触片8を経て、第2固定端子7への電流の流れを意味する。
図2において、破線の矢印F2,F2’は、電流が逆方向に流れる場合のローレンツ力(以下、「第2ローレンツ力」と呼ぶ)の向きを示している。逆方向とは、第2固定端子7から、可動接触片8を経て、第1固定端子6への電流の流れを意味する。
【0030】
図3は、第1固定端子6および可動接触片8の側面図である。
図3に示すように、第1固定端子6は、接点支持部31と、第1アークガイド32と、第2アークガイド33とを含む。接点支持部31は、板状の形状を有している。接点支持部31は、第1固定接点10を支持する。第1固定接点10は、溶着により、接点支持部31に接合されている。例えば、第1固定接点10は、ロウ付けにより、接点支持部31に固定されている。或いは、第1固定接点10は、溶接により、接点支持部31に固定されてもよい。或いは、第1固定接点10は、超音波接合により、接点支持部31に固定されてもよい。
【0031】
第1アークガイド32は、板状の形状を有している。第1アークガイド32は、大1接点支持部31から上方に延びている。第1アークガイド32は、第1固定接点10に対して第1ローレンツ力F1の方向に位置する位置で、接点支持部31に接続されている。
図2に示すように、本実施形態では、第1ローレンツ力F1は、前方へ向かっている。従って、第1アークガイド32は、接点支持部31の前部に接続されている。電流が正方向に流れる場合、第1固定接点10で発生したアークの起点は、第1ローレンツ力F1の方向に移動し、第1アークガイド32に沿って移動する。従って、第1アークガイド32は、ハウジング2内において第1固定接点10で発生したアークを伸長するように配置されている。なお、磁石28は、アークの起点を制御する箇所まで、磁束がかかるように配置されてもよい。例えば、磁石28は、ハウジング2内において第1アークガイド32の端まで、磁束がかかるように配置されてもよい。或いは、磁石28は、ハウジング2内において、第1アークガイド32の端よりも下方の位置まで、磁束がかかるように配置されてもよい。
【0032】
第2アークガイド33は、板状の形状を有している。第2アークガイド33は、接点支持部31から上方に延びている。第2アークガイド33は、
第1固定接点
10に対して第2ローレンツ力F2の方向に位置する位置で、接点支持部31に接続されている。
図2に示すように、本実施形態では、第2ローレンツ力F2は、後方へ向かっている。従って、
第2アークガイド
33は、接点支持部31の後部に接続されている。電流が逆方向に流れる場合、
第1固定接点
10で発生したアークの起点は、第2ローレンツ力F2の方向に移動し、第2アークガイド33に沿って移動する。従って、第2アークガイド33は、ハウジング2内において
第1固定接点
10で発生したアークを伸長するように配置されている。なお、磁石
28は、アークの起点を制御する箇所まで、磁束がかかるように配置されてもよい。例えば、磁石
28は、ハウジング2内において第2アークガイド33の端まで、磁束がかかるように配置されてもよい。或いは、磁石
28は、ハウジング2内において、第2アークガイド33の端よりも下方の位置まで、磁束がかかるように配置されてもよい。
【0033】
第1固定端子6は、第1アークガイド32と接点支持部31との間において屈曲した形状を有する。第1固定端子6は、第2アークガイド33と接点支持部31との間において屈曲した形状を有する。従って、第1固定端子6は、コの字型に屈曲した形状を有している。
【0034】
第1アークガイド32の先端34は、ハウジング2の外方に突出している。第2アークガイド33の先端35は、ハウジング2の外方に突出している。第1アークガイド32の先端34と、第2アークガイド33の先端35とは、外部端子として用いられる。すなわち、第1アークガイド32の先端34と、第2アークガイド33の先端35とは、外部の電子回路に電気的に接続される。例えば、第1アークガイド32の先端34と、第2アークガイド33の先端35とは、基板に接続される。或いは、第1アークガイド32の先端34と、第2アークガイド33の先端35とは、電線、或いはバスバーに接続されてもよい。
【0035】
第2固定端子7は、第1固定端子6と同様の形状を有している。
図2に示すように、第2固定端子7は、接点支持部36と、第1アークガイド37と、第2アークガイド38とを含む。第2固定端子7の接点支持部36と、第1アークガイド37と、第2アークガイド38とは、第1固定端子6の接点支持部31と、第1アークガイド32と、第2アークガイド33とそれぞれ同様である。
【0036】
以上説明した本実施形態に係る電磁継電器1では、固定接点10において発生したアークは、第1アークガイド32、又は、第2アークガイド33に沿って伸長される。それにより、アークを迅速に消弧することができる。また、第1アークガイド32の先端34と第2アークガイド33の先端35とは、ハウジング2から外部に突出しており、外部端子として用いられる。従って、電流は、第1アークガイド32と第2アークガイド33とに分かれて流れる。それにより、第1アークガイド32と第2アークガイド33とのそれぞれにおける発熱を低減することができる。また、固定接点10における発熱を複数の経路を介して電磁継電器の外部に伝達することができる。
【0037】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。接点装置の構成は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。
【0038】
例えば、可動接触片8の形状が変更されてもよい。第1可動接点12と第2可動接点13とは、可動接触片8と一体であってもよい。第1固定接点10は、第1固定端子6と一体であってもよい。第2固定接点11は、第2固定端子7と一体であってもよい。可動接点の数は、2つに限らず、2つより多くてもよい。固定接点の数は、2つに限らず、2つより多くてもよい。可動機構9の構成は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。駆動装置4の構成は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。
【0039】
図4は、第1変形例に係る第1固定端子6および可動接触片8の側面図である。
図4に示すように、可動接触片8は、接触片本体41と、アークガイド42,43とを含んでもよい。アークガイド42は、第1可動接点12に対して第1ローレンツ力F1の方向に位置する位置で、接触片本体41に接続されている。アークガイド43は、第1可動接点12に対して第2ローレンツ力F2の方向に位置する位置で、接触片本体41に接続されている。
【0040】
磁石27,28の配置、或いは磁石27,28による磁界の配置は、変更されてもよい。例えば、
図5は、第2変形例に係る接点装置3の上面図である。
図5において、二点鎖線の矢印は、磁界の向きを示している。
図5に示すように、磁界が磁石27,28から放射状に延びるように、磁石27,28が配置されてもよい。この場合、第1ローレンツ力F1,F1’の方向および第2ローレンツ力F2,F2’の方向は、前後方向、及び、左右方向に対して傾斜した方向であってもよい。この場合、第1アークガイド32と第2アークガイド33とは、接点支持部31の前部と後部とに、それぞれ接続されてもよい。
【0041】
或いは、第1アークガイド32と第2アークガイド33との配置は変更されてもよい。例えば、
図6は、第3変形例に係る接点装置3の上面図である。
図6に示すように、第1アークガイド32と第2アークガイド33とは、接点支持部31の左右の側部に、それぞれ接続されてもよい。
【0042】
第1アークガイド32と第2アークガイド33との形状が変更されてもよい。第1アークガイド32と第2アークガイド33とは、ハウジング2内に配置される段部を含んでもよい。例えば、
図7は、第4変形例に係る第1固定端子6と可動接触片8との側面図である。
図7に示すように、第1アークガイド32は、第1段部44を含む。第1段部44は、第1アークガイド32において、第1ローレンツ力F1の方向に位置する表面に設けられる。第2アークガイド33は、第2段部45を含む。第2段部45は、第2アークガイド33において、第2ローレンツ力F2の方向に位置する表面に設けられる。第4変形例では、第1段部44と第2段部45とは、凹みである。
【0043】
図8は、第5変形例に係る第1固定端子6と可動接触片8との側面図である。
図8に示すように、第1段部44と第2段部45とは、突起であってもよい。或いは、第1段部44と第2段部45とは、孔であってもよい。第1段部44と第2段部45とによって、第1アークガイド32、又は、第2アークガイド33に沿うアークの起点の移動を規制することができる。
【0044】
第1アークガイド32と第2アークガイド33とは、上下方向に対して傾斜して配置されてもよい。例えば、
図9は、第6変形例に係る第1固定端子6と可動接触片8との側面図である。
図9に示すように、第1アークガイド32と第2アークガイド33とは、第1固定接点10から離れる方向に向かって、互いの間の距離が大きくなるように傾斜している。すなわち、第1アークガイド32と第2アークガイド33とは、アークが伸長される方向に向かって、互いの間の距離が大きくなるように傾斜している。それにより、第1アークガイド32、又は、第2アークガイド33に沿うアークの起点の移動を制御することができる。
【0045】
図10は、第7変形例に係る第1固定端子6と可動接触片8との側面図である。
図10に示すように、第1アークガイド32と第2アークガイド33とは、第1固定接点10から離れる方向に向かって、互いの間の距離が小さくなるように傾斜している。すなわち、第1アークガイド32と第2アークガイド33とは、アークが伸長される方向に向かって、互いの間の距離が小さくなるように傾斜している。それにより、第1アークガイド32、又は、第2アークガイド33に沿うアークの起点の移動を制御することができる。
【0046】
第1アークガイド32と第2アークガイド33とは、屈曲部を含んでもよい。例えば、
図11は、第8変形例に係る第1固定端子6と可動接触片8との側面図である。
図11に示すように、第1アークガイド32は、第1屈曲部46を含む。第2アークガイド33は、第2屈曲部47を含む。第1アークガイド32と第2アークガイド33とは、第1固定接点10から離れる方向に向かって、互いの間の距離が大きくなるように、屈曲している。それにより、第1アークガイド32、又は、第2アークガイド33に沿うアークの起点の移動を制御することができる。
【0047】
図12は、第9変形例に係る第1固定端子6と可動接触片8との側面図である。
図12に示すように、第1アークガイド32と第2アークガイド33とは、第1固定接点10から離れる方向に向かって、互いの間の距離が小さくなるように、屈曲している。それにより、第1アークガイド32、又は、第2アークガイド33に沿うアークの起点の移動を制御することができる。
【0048】
第1アークガイド32と第2アークガイド33とは、少なくともハウジング2の外方において互いに接合されてもよい。
図13は、第10変形例に係る第1固定端子6と可動接触片8との側面図である。
図13に示すように、第1アークガイド32の先端34と第2アークガイド33の先端35とは、互いに接合されている。第1アークガイド32と第2アークガイド33とは、第1固定接点10から離れる方向に向かって、互いの間の距離が小さくなるように、屈曲している。第1アークガイド32は、第1接合部48を含む。第1接合部48は、第1アークガイド32の先端34を含む。第1接合部48は、第1屈曲部46よりも先端側に位置する。第2アークガイド33は、第2接合部49を含む。第2接合部49は、第2アークガイド33の先端35を含む。第2接合部49は、第2屈曲部47よりも先端側に位置する。第1接合部48と第2接合部49とは、互いに接合されている。それにより、外部の電子部品への第1固定端子6の接続が容易になる。
【0049】
図14は、第11変形例に係る第1固定端子6と可動接触片8との側面図である。
図14に示すように、第1アークガイド32と第2アークガイド33とは、緩やかに湾曲した形状であってもよい。それにより、アークの起点が、第1固定端子6の角部において膠着することを防止することができる。
【0050】
第1固定端子6のアークガイドの数は、2つに限らない。第1固定端子6のアークガイドの数は、1つであってもよく、或いは2つより多くてもよい。例えば、
図15は、第12変形例に係る第1固定端子6の斜視図である。
図15に示すように、第1固定端子6のアークガイドの数は、3つであってもよい。すなわち、第1固定端子6は、第1アークガイド32と、第2アークガイド33と、第3アークガイド39とを含んでもよい。この場合、第1~第3アークガイド32,33,39のうち2つは、アークを伸長する機能と通電の機能とを兼ねてもよい。第1~第3アークガイド32,33,39のうち残りの1つは、通電を補助する機能を有してもよい。或いは、第1固定端子6のアークガイドの数は、3つより多くてもよい。
【0051】
アークガイドの幅は、接点支持部31の幅と異なってもよい。なお、幅とは、第1固定端子6において、アークの起点が移動する方向に垂直な方向の寸法を意味する。例えば、
図16は、第13変形例に係る第1固定端子6の斜視図である。
図16に示すように、第1アークガイド32の幅W2は、接点支持部31の幅W1よりも大きい。第2アークガイド33の幅W3は、接点支持部31の幅W1よりも大きい。それにより、第1アークガイド32と第2アークガイド33とにおける伝熱性が向上する。
【0052】
上記の実施形態に係る電磁継電器1は、いわゆるプランジャ型の電磁継電器である。しかし、電磁継電器1は、他の種類のものであってもよい。例えば、
図17は、第14変形例に係る電磁継電器1の一部の斜視図である。第14変形例に係る電磁継電器1は、いわゆるヒンジ型の電磁継電器である。ヒンジ型の電磁継電器1では、図示しない駆動装置によって、可動接触片8が押されることで、可動接点12が固定接点10に近づくように、可動接触片8が弾性変形する。それにより、可動接点12が固定接点10に接触する。また、駆動装置による押圧が解除されることで、可動接触片8が元の位置に戻る。それにより、可動接点12が固定接点10から開離する。
【0053】
上述した磁石27,28は、省略されてもよい。その場合、第1固定接点10において発生するアークの起点は、第1固定接点10を流れる電流から生じる自己磁界によって、移動する。例えば、
図18は、第15変形例に係る電磁継電器1の一部を示す正面図である。第15変形例に係る電磁継電器1は、プランジャ型の電磁継電器であり、磁石27,28を備えていない。
図18に示すように、第1固定端子6と第2固定端子7との内側の空間では、磁束密度が高い。第1固定端子6と第2固定端子7との外側の空間では、磁束密度が低い。そのため、アークの起点は、左右方向における外方へ移動する。
【0054】
第15変形例では、第1アークガイド32は、第1固定接点10に対して左右方向における外方の位置で、接点支持部31に接続されている。第2アークガイド33は、第1固定接点10に対して左右方向における内方の位置で、接点支持部31に接続されている。そのため、第1アークガイド32は、アークを伸長する機能と通電の機能とを兼ねる。第2アークガイド33は、通電の機能を有する。
【0055】
図19は、第16変形例に係る電磁継電器1の一部を示す正面図である。第16変形例に係る電磁継電器1は、ヒンジ型の電磁継電器であり、磁石27,28を備えていない。
図19に示すように、可動接触片8と固定端子6との内側の空間では、磁束密度が高い。可動接触片8と固定端子6との外側の空間では、磁束密度が低い。そのため、アークの起点は、上方へ移動する。
【0056】
第16変形例では、第1アークガイド32は、固定接点10に対して上方の位置で、接点支持部31に接続されている。第2アークガイド33は、固定接点10に対して下方の位置で、接点支持部31に接続されている。そのため、第1アークガイド32は、アークを伸長する機能と通電の機能とを兼ねる。第2アークガイド33は、通電の機能を有する。
【0057】
上記の実施形態では、磁石27,28は、接点10-13に対して、左右方向に配置されている。しかし、
図20に示す第17変形例のように、磁石27,28は、接点10-13に対して、前後方向に配置されてもよい。或いは、
図21に示す第18変形例のように、接点10-13に対して、前後方向の一方のみに、磁石28が配置されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本開示に係る電磁継電器では、アークを迅速に消弧すると共に、端子での発熱を低減することができる。
【符号の説明】
【0059】
2 ハウジング
6 第1固定端子
10 第1固定接点
12 第1可動接点
28 磁石
31 接点支持部
32 第1アークガイド
33 第2アークガイド
44 第1段部