(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】金型交換装置および成形装置
(51)【国際特許分類】
B29C 33/30 20060101AFI20240228BHJP
B29C 45/26 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
B29C33/30
B29C45/26
(21)【出願番号】P 2020043618
(22)【出願日】2020-03-13
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】海外 徹
(72)【発明者】
【氏名】平早水 幸治
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-066950(JP,A)
【文献】特開平09-290448(JP,A)
【文献】特開昭62-097814(JP,A)
【文献】特開平06-015704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00-33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金型および第2金型を備え、前記第1金型と前記第2金型との間で成形が行われる交換式金型と、
前記交換式金型を保持する母型と、
成形時に前記第1金型と前記第2金型とが互いに押し付けられるように押圧する押圧部と、
前記押圧部による押圧方向に垂直な方向であって、少なくとも互いに直交する2つの方向から前記交換式金型の側面を押圧することによって、前記交換式金型を前記母型に固定する固定部材と、
を備え、
前記交換式金型の前記側面は、前記2つの方向のうちの1つの方向に対して垂直である第1側面と、もう1つの方向に対して垂直である第2側面とを有しており、
前記固定部材は、
前記第1側面に接する第1金型接触面と、前記第1側面に対して所定の角度で傾斜して対向するように前記母型に設けられた第1母型面に接する第1母型接触面とを備える第1楔形部材、および、
前記第1楔形部材の長手方向であって、前記第1金型接触面と前記第1母型接触面との距離が小さくなる方向に、前記第1楔形部材を移動させる力を印加する第1力印加部と、
前記第2側面に接する第2金型接触面と、前記第2側面に対して所定の角度で傾斜して対向するように前記母型に設けられた第2母型面に接する第2母型接触面とを備える第2楔形部材、および、
前記第2楔形部材の長手方向であって、前記第2金型接触面と前記第2母型接触面との距離が小さくなる方向に、前記第2楔形部材を移動させる力を印加する第2力印加部と、
を備え、
前記第1力印加部は、前記第1楔形部材の長手方向の端部であって、前記第1金型接触面と前記第1母型接触面との距離が短いほうの端部の側から当該第1楔形部材を引っ張り、
前記第2力印加部は、前記第2楔形部材の長手方向の端部であって、前記第2金型接触面と前記第2母型接触面との距離が短いほうの端部の側から当該第2楔形部材を引っ張り、
前記第1力印加部および前記第2力印加部は、バネの圧縮力、空気圧、油圧、ネジ締め力、カム機構、およびモータの少なくともいずれか1つによって前記力を印加する、金型交換装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の金型交換装置を備えている成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型交換装置および該金型交換装置を備えた成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、成形物の形状に対応する交換式金型を母型に装着して成形を行うカセット金型装置が知られている。例えば、特許文献1には、金型の一端部が当接する受け面を有するホルダ本体と、前記受け面に前記金型の一端部を当接させた状態で前記金型の他端部を付勢して前記金型の一端部を前記受け面に向って押し当てるばね付勢手段と、を有する金型ホルダを備えたカセット金型装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
成形をおこなう際に金型(カセット金型)の成形空間に成形材料が射出されると、金型に射出による圧力が生じる。この圧力に金型が耐えられないと変形(膨張)して所定形状の成形物を得ることができないため、金型が変形(膨張)しない対策が必要となる。
【0005】
前記の従来のカセット金型装置は、ばね付勢手段が金型の角部(他端部)に設けた押圧部を押圧することで金型をホルダ本体の受け面に押し当てている。しかし、この構成では、先の圧力への対応は不十分であり、金型自体に圧力に耐えるための構成が必要となり、金型が大型化する問題がある。
【0006】
本発明の一態様は、前記の問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、金型の小型化を実現できる金型交換装置および成形装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る金型交換装置は、第1金型および第2金型を備え、前記第1金型と前記第2金型との間で成形が行われる交換式金型と、前記交換式金型を保持する母型と、成形時に前記第1金型と前記第2金型とが互いに押し付けられるように押圧する押圧部と、前記押圧部による押圧方向に垂直な方向であって、互いに直交する2つの方向から前記交換式金型の側面を押圧することによって、前記交換式金型を前記母型に固定する固定部材と、を備える構成である。
【0008】
前記の構成によれば、固定部材によって交換式金型の変形が効果的に抑制されるため、変形抑制のための構成を交換式金型自体に具備させる必要がなくなり、交換式金型の小型化を実現できる。
【0009】
具体的には、前記の構成によれば、第1金型と第2金型とを押し付ける押圧方向(すなわち型締め・型開き方向)に垂直な方向であって、少なくとも互いに直交する2つの方向から交換式金型の側面を押圧する固定部材を設けている。これにより、固定部材の押圧を受ける交換式金型の側面の変形(射出時の圧力による変形)が抑えられる。また、これに加えて、固定部材が少なくとも2つの方向から交換式金型を母型に押し付けているため、交換式金型の変形を母型によって効果的に抑えることができる。
【0010】
本発明の一態様に係る金型交換装置は、前記構成に加えて、前記交換式金型の前記側面は、前記2つの方向のうちの1つの方向に対して垂直である第1側面と、もう1つの方向に対して垂直である第2側面とを有しており、前記固定部材は、前記第1側面に接する第1金型接触面と、前記第1側面に対して所定の角度で傾斜して対向するように前記母型に設けられた第1母型面に接する第1母型接触面とを備える第1楔形部材、および、前記第1楔形部材の長手方向であって、前記第1金型接触面と前記第1母型接触面との距離が小さくなる方向に、前記第1楔形部材を移動させる力を印加する第1力印加部と、前記第2側面に接する第2金型接触面と、前記第2側面に対して所定の角度で傾斜して対向するように前記母型に設けられた第2母型面に接する第2母型接触面とを備える第2楔形部材、および、前記第2楔形部材の長手方向であって、前記第2金型接触面と前記第2母型接触面との距離が小さくなる方向に、前記第2楔形部材を移動させる力を印加する第2力印加部と、を備えていても良い。
【0011】
前記の構成によれば、第1金型接触面と第1母型接触面との距離が小さくなる方向に、前記第1楔形部材を移動させることによって、第1金型接触面が均一に第1金属面を押圧することができる。また、第2金型接触面と第2母型接触面との距離が小さくなる方向に、第2楔形部材を移動させることによって、第2金型接触面が均一に第2金属面を押圧することができる。このような第1楔形部材および第2楔形部材を用いることにより、交換式金型の側面を前記2つの方向から押圧させることができる。そのため、例えば、前記第1金型接触面および第2金型接触面をこれらの面に対して垂直な方向から押し出して、前記第1側面および前記第2側面を押圧する態様に比べて、前記固定部材を小型化することができる。
【0012】
本発明の一態様に係る金型交換装置は、前記構成に加えて、前記第1力印加部は、前記第1楔形部材の長手方向の端部であって、前記第1金型接触面と前記第1母型接触面との距離が長いほうの端部の側から当該第1楔形部材を押圧し、前記第2力印加部は、前記第2楔形部材の長手方向の端部であって、前記第2金型接触面と前記第2母型接触面との距離が長いほうの端部の側から当該第2楔形部材を押圧し、前記第1力印加部および前記第2力印加部は、バネの圧縮力、空気圧、油圧、ネジ締め力、カム機構、およびモータの少なくともいずれか1つによって力を印加しても良い。
【0013】
前記の構成によれば、バネの圧縮力、空気圧、油圧、ネジ締め力、カム機構、およびモータの少なくともいずれか1つを用いて第1楔形部材および第2楔形部材を先述のように押圧すれば、第1楔形部材および第2楔形部材が交換式金型の側面を押圧することができる。
【0014】
本発明の一態様に係る金型交換装置は、前記構成に加えて、前記第1力印加部は、前記第1楔形部材の長手方向の端部であって、前記第1金型接触面と前記第1母型接触面との距離が短いほうの端部の側から当該第1楔形部材を引っ張り、前記第2力印加部は、前記第2楔形部材の長手方向の端部であって、前記第2金型接触面と前記第2母型接触面との距離が短いほうの端部の側から当該第2楔形部材を引っ張り、前記第1力印加部および前記第2力印加部は、バネの圧縮力、空気圧、油圧、ネジ締め力、カム機構、およびモータの少なくともいずれか1つによって前記力を印加しても良い。
【0015】
前記の構成によれば、バネの圧縮力、空気圧、油圧、ネジ締め力、カム機構、およびモータの少なくともいずれか1つを用いて第1楔形部材および第2楔形部材を先述のように引っ張れば、第1楔形部材および第2楔形部材が交換式金型の側面を押圧することができる。
【0016】
本発明の一態様に係る成形装置は、前記金型交換装置を備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様によれば、金型の小型化を実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態に係る金型交換装置の分解斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る成形装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】第1金型と第2金型とが連結された状態の交換式金型を示す左側面図である。
【
図5】第1金型と第2金型とが分離した状態の交換式金型を示す左側面図である。
【
図7】第1母型および中間母型に交換式金型が収容された状態を示す斜視図である。
【
図8】第1母型の凹部に交換式金型を挿入したときの状態を示す斜視図である。
【
図9】第1母型の凹部に交換式金型を挿入したときの状態(非ロック状態)を示す正面図である。
【
図10】第1母型の凹部に交換式金型を挿入したときの状態(ロック状態)を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。
【0020】
§1 適用例
<金型交換装置の構成>
図1は、本実施形態に係る金型交換装置1の分解斜視図である。
図2は、本実施形態に係る成形装置100の構成を示すブロック図である。成形装置100は、樹脂の射出成形を行うための成形装置である。
図1および
図2に示すように、成形装置100は、金型交換装置1と、変位駆動部40と、第1母型側切替機構60と、第2母型側切替機構70と、リンク80と、制御部90と、を備える。また、金型交換装置1は、交換式金型10と、第1母型20(母型)と、第2母型30(押圧部)と、中間母型50(母型)と、を含む。
【0021】
更に、金型交換装置1は、互いに直交する2つの方向から交換式金型10の側面を押圧する固定部材2を備える。以下では、まず、固定部材2以外の全体構成について説明し、その後、固定部材について詳述する。なお、本実施形態では、第1母型20と第2母型30との間に中間母型50を備える形態について説明するが、このような構造に限定されず、中間母型50が存在していない形態を採用することもできる。
【0022】
金型交換装置1では、交換式金型10を、第1母型20、第2母型30および中間母型50に対して交換することにより、成形物の形状を容易に変更することができる。以下の説明では、
図1における上下方向を単に上下方向と称する。また、第1母型20を基準として第2母型30の方向を前側と称し、第2母型30を基準として第1母型20の方向を後側と称する。また、前側から後側を見たときの右側および左側を単に右側および左側とそれぞれ称する。
【0023】
図3は、交換式金型10の斜視図である。また、
図4は、第1金型11と第2金型12とが連結された状態の交換式金型10を示す左側面図であり、
図5は、第1金型11と第2金型12とが分離した状態の交換式金型10を示す左側面図である。
【0024】
図3~
図5に示すように、交換式金型10は、第1金型11、第2金型12およびロックピン13を備える。第1金型11および第2金型12は、前後方向に分離可能である。成形処理は、第1金型11と第2金型12との間で行われる。第1金型11および第2金型12の互いに対向する面は、目的となる成形物の形状に対応した形状を有しており、第1金型11と第2金型12との間には成形空間が形成されている。成形作業時に、第2金型12の位置は固定され、第1金型11が第2金型12に対して移動する。すなわち、第1金型11が可動側金型(コア)であり、第2金型12が固定側金型(キャビティ)である。
【0025】
第1金型11は、外形が略直方体形状の前側部分111と、複数の板部材および複数のピンを含む後側部分112と、を備える。前側部分111は、上下方向の長さが後側部分112と同等であり、左右方向の長さが後側部分112よりも長い。第1金型11には、ロックピン13が挿通される貫通孔(図示せず)が、前後方向に延びるように形成されている。
【0026】
第2金型12は、外形が略直方体形状である。第2金型12は、上下方向および左右方向の長さがそれぞれ、第1金型11の前側部分111と同等である。第2金型12には、溶融した樹脂を第1金型11と第2金型12との間の成形空間に流入させる金型流路121が形成されている。また、第2金型12には、ロックピン13の後側端部が収容される穴(図示せず)が、前後方向に延びるように形成されており、かつ前方に向かって開口している。
【0027】
ロックピン13は、第1金型11と第2金型12とが連結された状態と連結されていない状態とに切り替える。ロックピン13は、第1金型11および第2金型12の上部と下部とに、1つずつ取り付けられる。
【0028】
図6は、ロックピン13の上面図である。
図6に示すように、ロックピン13は、T字状のピン本体131と、ボタン132と、ボール133とを備える。なお、以下の説明では、便宜的に
図3~
図6に示す配置でロックピン13の構成を説明するが、ロックピン13は、ピン本体131を回転軸として回転することができる。
【0029】
ボタン132は、ピン本体131の前側部分に1つ設けられており、ボール133は、ピン本体131の後側部分において、左右に2つ設けられている。ボール133は、通常、ピン本体131から左右方向両側へ突出しているが、ボタン132が押された状態では、ピン本体131の内部に収納される。
【0030】
第1金型11と第2金型12とが連結された状態(
図4に示す)にするときには、まず、第1金型11と第2金型12とを接触させ、ロックピン13のボタン132を押した状態で、第1金型11および第2金型12にロックピン13を挿入する。この状態で、ボタン132を離すことにより、ボール133を左右方向に突出させ、第1金型11と第2金型12とが連結された状態に切り替えることができる。
【0031】
また、第1金型11と第2金型12との連結が解除された状態(
図5に示す)にするときには、ロックピン13のボタン132を押した状態で、ロックピン13を第1金型11および第2金型12から抜き取る。これにより、第1金型11と第2金型12とが連結されていない状態に切り替えることができる。
【0032】
なお、第1金型11と第2金型12とが連結された状態と連結されていない状態とに切り替える機構は、ロックピン13に限定されない。例えば、ロックピン13の代わりに電磁石またはボルトを用いてもよく、あるいは
図6の例とは異なる形状のロックピン、例えばボールの代わりにポールを用いたロックピンを用いてもよい。
【0033】
図1に示すように、第1母型20は、第1金型11を第2金型12の方向へ押圧する。第1母型20は、外形が略直方体形状である。第1母型20の前側の面には、第1金型11を収容する凹部21が形成されている。凹部21の前後方向の長さは、第1金型11の前後方向の長さと同等である。また、第1母型20の前側の面における四隅の近傍には、後述する4本のガイドピン32を案内する第1ガイド孔22が、前後方向に延びる穴として形成されている。
【0034】
第2母型30は、第2金型12を第1金型11の方向へ押圧する。第2母型30は、外形が略矩形板形状である。第2母型30は、上下方向の長さおよび左右方向の長さが、第1母型20と同等である。第2母型30には、溶融した樹脂を第1金型11と第2金型12との間の成形空間に流入させる母型流路(流路)31が形成されている。
【0035】
第2母型30の後側の面における四隅の近傍には、それぞれ後側に突出する4本のガイドピン32が設けられている。また、第2母型30の後側の面におけるガイドピン32よりも中心側には、それぞれ後側に突出する4本の変位規制ピン33が設けられている。変位規制ピン33は、棒状部331と、係合部332と、を備える。
【0036】
棒状部331および係合部332は、前後方向に延びる略円柱形状であり、係合部332は棒状部331における後端側の部分に設けられている。係合部332の直径は、棒状部331の直径よりも大きい。また、棒状部331の前後方向の長さは、係合部332の前後方向の長さよりも長い。変位規制ピン33は、係合部332が、後述する中間母型50の変位規制孔55を形成する縁部に係合することにより、第2母型30と中間母型50との間の距離を、所定の範囲内に規制するように構成されている。
【0037】
変位駆動部40(
図2に示す)は、第1母型20を前後方向に移動させる。このとき、第2母型30の位置は固定されている。したがって、第1母型20が可動側母型であり、第2母型30が固定側母型である。言い換えると、変位駆動部40は、第1母型20と第2母型30との相対位置を変更させる。ここで、母型流路31は、固定側母型である第2母型30に形成されているので、溶融樹脂は母型流路31から第1金型11と第2金型12との間の成形空間に安定して流入することができる。
【0038】
中間母型50は、第1母型20と第2母型30との間で変位可能に配置されている。中間母型50は、外形が略矩形板形状である。中間母型50は、上下方向の長さおよび左右方向の長さが、第1母型20と同等であり、前後方向の長さが、第2金型12と同等である。
【0039】
中間母型50には、第1母型20側から第2母型30側へ貫通している貫通孔51が形成されている。貫通孔51は、第1母型20における凹部21の形成位置に対応する位置に形成されている。貫通孔51は、第2金型12を収容可能である。言い換えると、貫通孔51は、交換式金型10の少なくとも一部を収容可能である。
【0040】
また、中間母型50は、前側の面に案内装着部52を備える。案内装着部52には、交換式金型10を貫通孔51に案内する案内台53(
図7参照)を装着することができる。
【0041】
更に、中間母型50には、ガイドピン32が挿通される中間ガイド孔54および変位規制ピン33が挿通される変位規制孔55が、前後方向に貫通する貫通孔として形成されている。変位規制孔55は、正面視で縁部が円形状である。変位規制孔55は、直径が変位規制ピン33の棒状部331の直径よりも大きく、かつ係合部332の直径よりも小さくなるように構成されている。
【0042】
第1母型側切替機構60は、第1母型20と中間母型50とが連結された状態と連結されていない状態とに切り替える。第1母型側切替機構60は、空気管部(図示せず)と、ボール(図示せず)と、を備える。空気管部は、エア流路に接続されている。ボールは、空気管部にエアが供給されているときに、空気管部から空気管部の径方向外側に突出し、空気管部にエアが供給されていないときには、空気管部に収容される。第1母型側切替機構60によれば、複雑な機械構造を設ける必要がなく、エア制御によって、第1母型20と中間母型50とが連結された状態と連結されていない状態とに切り替えることができる。
【0043】
なお、第1母型20と中間母型50とが連結された状態と連結されていない状態とに切り替える機構は、第1母型側切替機構60に限定されない。例えば、第1母型側切替機構60の代わりに電磁石を用いてもよく、あるいは後述する第2母型側切替機構70のように、ボルトおよびプレートを用いて切替を行ってもよい。
【0044】
第2母型側切替機構70は、第2母型30と中間母型50とが連結された状態と連結されていない状態とに切り替える。第2母型側切替機構70は、切替ボルト71と、切替プレートと、を備える。切替ボルト71は、中間母型50の前面に固定されており、切替プレートは、第2母型30の後面に固定されている。切替ボルト71は、中間母型50の四隅の近傍に、前方へ突出するように4箇所設けられている。切替プレートは、第2母型30の四隅の近傍に、後方の切替ボルト71に面して4箇所設けられている。
【0045】
図2に示すように、制御部90には、変位駆動部40、第1母型側切替機構60および第2母型側切替機構70が接続されている。制御部90は、例えば作業者または全自動成形システム(図示せず)の指示に従って、変位駆動部40、第1母型側切替機構60および第2母型側切替機構70の動作を制御することができる。
【0046】
図7は、第1母型20および中間母型50に交換式金型10が収容された状態を示す斜視図である。
図7に示すように、中間母型50には、案内台53を装着することができる。また、中間母型50が第1母型20と接触し、かつ交換式金型10が中間母型50の貫通孔51に挿入された状態において、中間母型50の前面(第2母型30に対向する面)と、交換式金型10の前面(第2母型30に対向する面)とが、同一平面に位置するように、金型交換装置1が構成されている。
【0047】
リンク80は、第1母型20と中間母型50との間の距離を規制する。リンク80は、第1母型20および中間母型50の上部における左右方向両側に1つずつと、第1母型20および中間母型50の下部における左右方向両側に1つずつ、合計4つ設けられている。リンク80はそれぞれ、第1ボルト81と、中間ボルト82と、リンク板83と、を備える。第1ボルト81および中間ボルト82は、同一の寸法および形状を有していてもよく、または異なる寸法および形状を有していてもよい。
【0048】
リンク板83は、前後方向に延びる略矩形板形状である。リンク板83には、第1ボルト81が挿通される第1ボルト孔811と、中間ボルト82が挿通される中間ボルト孔812とが、上下方向に貫通する貫通孔として形成されている。
【0049】
第1ボルト孔811は、前後方向の長さが、左右方向の長さよりも長くなるように形成されており、かつ左右方向の長さが、第1ボルト81の軸部(図示せず)の直径と同等以上になるように形成されている。そのため、第1ボルト81は、第1ボルト孔811に挿通された状態で、リンク板83に対して前後方向に相対移動可能である。
【0050】
中間ボルト孔812は、前後方向の長さが、左右方向の長さよりも長くなるように形成されており、かつ左右方向の長さが、中間ボルト82の軸部(図示せず)の直径と同等以上になるように形成されている。また、中間ボルト孔812は、前後方向の長さが、第1ボルト孔811の前後方向の長さよりも短くなるように形成されている。そのため、中間ボルト82は、中間ボルト孔812に挿通された状態で、リンク板83に対して前後方向に比較的短い距離で相対移動可能である。
【0051】
中間ボルト孔812に挿通された中間ボルト82を中間母型50に固定し、かつ第1ボルト孔811に挿通された第1ボルト81を第1母型20に固定することにより、第1母型20との間の距離を、所定の距離D1以下に規制することができる。したがって、第1母型20が後側へ移動したときに、中間母型50を後側へ移動させることができる。言い換えると、リンク80は、中間母型50と第2母型30とを分離することができる。
【0052】
また、
図7に示すように交換式金型10が第1母型20および中間母型50に保持された状態において、先述の固定部材2が、交換式金型10の側面を互いに直交する2つの方向から押圧する(
図7では当該2つの方向のうちの一方のみが図示されている)。なお、以下では、固定部材2が2つの方向から押圧する態様を説明するが、本発明の一態様はこれに限定されるものではない。例えば、固定部材が、3つの方向(そのうちの少なくとも2つの方向が互いに直交する方向)から押圧する態様であってよい。あるいは、固定部材が、4つの方向(そのうちの少なくとも2つの方向が互いに直交する方向)から押圧する態様であってよい。
【0053】
これにより、交換式金型10が第1母型20および中間母型50に固定される。以下、固定部材2について説明する。固定部材2は、第1母型20および中間母型50にそれぞれ設けられている。なお、固定部材2の構成および固定のメカニズムは、第1母型20に設けられている固定部材2と中間母型50に設けられている固定部材2において共通である。そのため、以下では、第1母型20に設けられた固定部材2に基づいて、構成および固定のメカニズムを説明する。
【0054】
§2 構成例
図8は、第1母型20の凹部21に交換式金型10の第1金型11を挿入している状態の第1母型20の斜視図である。また、
図9は、第1母型20に設けられた固定部材2が、凹部21に挿入された第1金型11を押圧して第1母型20に固定している状態を示す平面図である。また、
図10は、第1母型20に設けられた固定部材2が、凹部21に挿入された第1金型11を押圧していない、すなわち固定していない状態を示す平面図である。なお、固定部材2が第1金型11を固定(ロック)している状態を以下で単にロック状態と称することがあり、固定しない状態を単に非ロック状態と称することがある。
【0055】
固定部材2は、第2母型30による押圧方向に垂直な方向であって、互いに直交する2つの方向から交換式金型10の側面を押圧することによって、第1金型11を第1母型20に固定するものである。なお、第1母型20に固定された第1金型11には、先述のように第2金型12が連結した状態である。そのため、第1母型20に設けられた固定部材2は、交換式金型10を第1金型11において固定していると換言することもできる。
【0056】
固定部材2は、
図9に示すように、第1固定部材2aと、第2固定部材2bとを備える。第1固定部材2aは、第1金型11の4面(上下左右にそれぞれ向いた面)ある側面のうちの1つである上に向いた第1側面11aを下に向かって押圧する機構を有する。第2固定部材2bは、第1金型11の右に向いた第2側面11bを左に向かって押圧する機構を有する。第1側面11aが下に向かって押圧され、第2側面11bが左に向かって押圧された第1金型11は、凹部21の下側内面および左側内面に押し付けられて、固定される。
【0057】
第1固定部材2aは、第1楔形部材26aおよび第1力印加部25aを備える。第1力印加部25aは、第1連結軸23a、第1レバー28aおよび第1スプリング29aを有する。第2固定部材2bは、第2楔形部材26bおよび第2力印加部25bを備える。第2力印加部25bは、第2連結軸23b、第2レバー28bおよび第2スプリング29bを有する。以下、それぞれの構成について説明する。
【0058】
第1楔形部材26aは、第1金型11の第1側面11aに接する第1金型接触面261aと、第1側面11aに対して所定の角度で傾斜して対向するように第1母型20に設けられた第1母型面27aに接する第1母型接触面262aとを備える。すなわち、第1金型接触面261aは下に向いた面である。そして、第1金型接触面261aと第1母型接触面262aとの距離は、右側端部において最も小さい。すなわち、第1楔形部材26aは、右に向いて先細りの構造の楔形の形状を有している。そして、第1楔形部材26aは、第1金型接触面261aと第1母型接触面262aとの距離が長い側の端部(左側端部)に、左右方向に軸方向を有する第1連結軸23aが連結している。
【0059】
第1力印加部25aは、第1楔形部材26aの長手方向であって、第1金型接触面261aと第1母型接触面262aとの距離が小さくなる方向(右方向)に、第1楔形部材26aを移動させる力を印加する。具体的には、第1母型20の左側面に設けられている第1レバー28aが、第1連結軸23aを介して、第1楔形部材26aと連結している。第1レバー28aは、
図9に示す姿勢と、
図10に示す姿勢との間で姿勢を切り替えることができ、これにより、第1楔形部材26aを第1金型接触面261aに平行な方向(左右方向)に移動させることができる。切り替えは作業員によっておこなうことができるが、これに限定されるものではない。
【0060】
第1レバー28aについて更に説明すれば、第1レバー28aは、偏心構造を有しており、姿勢を変えることによって、第1連結軸23aを左右方向に移動させることができる。
図9に示す第1レバー28aの姿勢にあるとき、第1レバー28aの中心は右寄りに位置する。反対に
図10に示す第1レバー28aの姿勢にあるとき、第1レバー28aの中心は左寄りに位置する。ここで、
図10に示す姿勢から
図9に示す姿勢に第1レバー28aが変化すると、第1レバー28aの中心は右に移動し、これに伴って第1連結軸23aが右に移動する。すると、第1楔形部材26aが右に押圧され、第1楔形部材26aの第1金型接触面261aが第1側面11aに対して右方向に摺動する。また、これに伴って、第1母型接触面262aが第1母型面27aに対して右方向に摺動するが、これらの面は先述のように傾斜しているため、結果的に第1楔形部材26aは右下方向に移動する。これを、凹部21全体でみれば、第1楔形部材26aが第1金型11の第1側面11aを下向きに押圧していることになる。
【0061】
第1力印加部25aについて更に詳しく説明すると、第1連結軸23aにおける第1楔形部材26a側には、第1スプリング29aが配されている。第1スプリング29aは、第1楔形部材26aを常に右向きに付勢している。具体的には、第1スプリング29aは、左右方向に伸縮可能で、左端は第1母型20に当接しており、右端が第1楔形部材26aの左側端部に当接している。第1スプリング29aには第1連結軸23aが貫通して設けられていて、第1連結軸23aの右端は第1楔形部材26aに連結している。第1連結軸23aは、
図10に示す非ロック状態では、第1楔形部材26aを左向きに引き留めており、第1スプリング29aは、第1母型20と第1楔形部材26aの左側端部との間で圧縮された状態で配されている。一方、
図9に示すロック状態となると、第1レバー28aの姿勢が変わることによって、第1連結軸23aが右端において伸長し、第1スプリング29aの圧縮を開放する。これにより、第1スプリング29aの復元力によって第1楔形部材26aが右向きに押圧される。
【0062】
以上が、第1力印加部25aの構成であるが、本発明はこれに限定されるものではない。第1楔形部材26aを先述のように右方向に移動させる力を印加することができる構成であればよく、バネの圧縮力、空気圧、油圧、ネジ締め力、カム機構(例えばレバー動作と連動するもの)、およびモータの少なくともいずれか1つによって当該力を印加すればよい。
【0063】
第2楔形部材26bは、第1金型11の第2側面11bに接する第2金型接触面261bと、第2側面11bに対して所定の角度で傾斜して対向するように第1母型20に設けられた第2母型面27bに接する第2母型接触面262bとを備える。すなわち、第2金型接触面261bは左に向いた面である。そして、第2金型接触面261bと第2母型接触面262bとの距離は、上側端部において最も小さい。すなわち、第2楔形部材26bは、上に向いて先細りの構造の楔形の形状を有している。そして、第2楔形部材26bは、第2金型接触面261bと第2母型接触面262bとの距離が長い側の端部(下側端部)に、上下方向に軸方向を有する第2連結軸23bが連結している。
【0064】
第2力印加部25bは、第2楔形部材26bの長手方向であって、第2金型接触面261bと第2母型接触面262bとの距離が小さくなる方向(上方向)に、第2楔形部材26bを移動させる力を印加する。具体的には、第1母型20の下側面に設けられている第2レバー28bが、第2連結軸23bを介して、第2楔形部材26bと連結している。第2レバー28bは、
図9に示す姿勢と、
図10に示す姿勢との間で姿勢を切り替えることができ、これにより、第2楔形部材26bを第2金型接触面261bに平行な方向(上下方向)に移動させることができる。切り替えは作業員によっておこなうことができるが、これに限定されるものではない。
【0065】
第2レバー28bについて更に説明すれば、第2レバー28bは、偏心構造を有しており、姿勢を変えることによって、第2連結軸23bを上下方向に移動させることができる。
図9に示す第2レバー28bの姿勢にあるとき、第2レバー28bの中心は上寄りに位置する。反対に
図10に示す第2レバー28bの姿勢にあるとき、第2レバー28bの中心は下寄りに位置する。ここで、
図10に示す姿勢から
図9に示す姿勢に第2レバー28bが変化すると、第2レバー28bの中心は上に移動し、これに伴って第2連結軸23bが上に移動する。すると、第2楔形部材26bが上に押圧され、第2楔形部材26bの第2金型接触面261bが第2側面11bに対して上方向に摺動する。また、これに伴って、第2母型接触面262bが第2母型面27bに対して上方向に摺動するが、これらの面は先述のように傾斜しているため、結果的に第2楔形部材26bは左上方向に移動する。これを、凹部21全体でみれば、第2楔形部材26bが第1金型11の第2側面11bを左向きに押圧していることになる。
【0066】
第2力印加部25bについて更に詳しく説明すると、第2連結軸23bにおける第2楔形部材26b側には、第2スプリング29bが配されている。第2スプリング29bは、第2楔形部材26bを常に上向きに付勢している。具体的には、第2スプリング29bは、上下方向に伸縮可能で、下端は第1母型20に当接しており、上端が第2楔形部材26bの下側端部に当接している。第2スプリング29bには第2連結軸23bが貫通して設けられていて、第2連結軸23bの右端は第2楔形部材26bに連結している。第2連結軸23bは、
図10に示す非ロック状態では、第2楔形部材26bを下向きに引き留めており、第2スプリング29bは、第1母型20と第2楔形部材26bの下側端部との間で圧縮された状態で配されている。一方、
図9に示すロック状態となると、第2レバー28bの姿勢が変わることによって、第2連結軸23bが上端において伸長し、第2スプリング29bの圧縮を開放する。これにより、第2スプリング29bの復元力によって第2楔形部材26bが上向きに押圧される。
【0067】
以上が、第2力印加部25bの構成であるが、本発明はこれに限定されるものではない。第2楔形部材26bを先述のように上方向に移動させる力を印加することができる構成であればよく、バネの圧縮力、空気圧、油圧、ネジ締め力、カム機構(例えばレバー動作と連動するもの)、およびモータの少なくともいずれか1つによって当該力を印加すればよい。前記の構成によれば、簡素な構造によって第1楔形部材26aおよび第2楔形部材26bを押圧することができる。
【0068】
以上のように本実施形態によれば、固定部材2の押圧を直接受ける交換式金型10の第1側面11aおよび第2側面11bの変形(射出時の圧力による変形)が抑えられる。また、これに加えて、固定部材2が2つの方向から交換式金型10を第1母型20に押し付けているため、交換式金型10の変形を第1母型20によって効果的に抑えることができる。すなわち、固定部材2によって交換式金型10の変形が効果的に抑制されるため、変形抑制のための構成を交換式金型10自体に具備させる必要がない。これにより、交換式金型10の小型化を実現できる。
【0069】
また、第1楔形部材26aの楔形構造により、第1力印加部25aによる小さな力によって、交換式金型10の第1側面11aに対して面に均一な大きな力を印加することができる。同じく、第2楔形部材26bの楔形構造により、第2力印加部25bによる小さな力によって、交換式金型10の第2側面11bに対して面に均一な大きな力を印加することができる。本発明は、楔形構造を有さず、例えば第1金型接触面261aと第1母型接触面262aとが平行な万力構造を有し、第1母型接触面262aを下向きに押圧する力印加部を具備する構成であっても良い。しかしながら、このような万力構造の場合には、締め付け力が印加される箇所での押圧力がそれ以外の箇所よりも大きくなり、均一な押圧を実現しにくい。均一な押圧を実現するためには、第1側面11aに当接する構造を上下方向に厚く構成する必要がある。そのため、母型が大型化する。一方、本実施形態のように楔形構造を有した態様であれば、楔形構造を採用することによって小型でありながら、均一に押圧できる機構を実現することができる。
【0070】
一例として、第1固定部材2aの構成を想定し、第1スプリング29aのスプリング力をFとした場合、楔の角度(第1金型接触面261aと第1母型接触面262aとが成す角度)が1.5°のとき、保持力(第1楔形部材26aが第1金型11の第1側面11aを下向きに押圧する力)はFの約20倍となる。このような保持力であれば、金型を母型に圧入して固定するタイプと同等の金型固定性能を発揮することができる。
【0071】
ここで本実施形態では、第1固定部材2aが第1金型11の側面を下向きに押圧し、第2固定部材2bが第1金型11の側面を左向きに押圧しているが、押圧する向きが互いに直交していれば、2つの固定部材の押圧方向は限定されるものではない。また、先述のように、本発明の一態様には、本実施形態に加えて、第1金型11の側面を上向きに押圧する第3固定部材および第1金型11の側面を右向きに押圧する第4固定部材の少なくとも一方を具備していてもよい。
【0072】
なお、本実施形態では、第1力印加部25aが第1楔形部材26aの左側にあって、第1楔形部材26aを右に押圧する力を印加している。しかしながら、本発明の一態様はこれに限定されるものではない。第1楔形部材26aが右に移動する力を印加することができれば、第1楔形部材26aの右側にあって、第1楔形部材26aを右に引っ張る(引き寄せる)力印加部を、第1力印加部25aの代わりに第1楔形部材26aの右側に接続してもよい。同じく、本実施形態では、第2力印加部25bが第2楔形部材26bの下側にあって、第2楔形部材26bを上に押圧する力を印加している。しかしながら、本発明の一態様はこれに限定されるものではない。第2楔形部材26bが上に移動する力を印加することができれば、第2楔形部材26bの上側にあって、第2楔形部材26bを上に引っ張る(引き寄せる)力印加部を、第2力印加部25bの代わりに第2楔形部材26bの上側に接続してもよい。
【0073】
なお、先述のように、中間母型50にも固定部材2が設けられている。構成および機構は、第1母型20の固定部材2と同一であり、中間母型50の貫通孔51に収容した第2金型12に対して、貫通孔51に設けられた第1楔形部材26aと第2楔形部材26bと同一の構成が第2金型12を下向きおよび左向きに押圧して、固定する。なお、本実施形態では、第1母型20の固定部材2と、中間母型50の固定部材2とが、交換式金型10の同じ側面を押圧しているが、この態様に限定されない。例えば、第1母型20の固定部材2が
図9および
図10に示すように交換式金型10の上向きと右向きの側面(第1側面11a、第2側面11b)を押圧するのに対し、中間母型50の固定部材2が交換式金型10の下向きと左向きの側面を押圧してもよい。
【0074】
なお、本実施形態では、1個の第1母型20および1個の中間母型50に対して、1個の交換式金型10が収容されている。しかし、本発明はこの構成に限定されず、1個の第1母型20および1個の中間母型50に対して、複数の交換式金型10が収容されてもよい。この場合、各収容箇所において、固定部材2が2方向から交換式金型10を押圧する態様とすることができる。
【0075】
また、複数の交換式金型10を収容する態様に関し、例えば
図1、
図8~
図10に示す第1母型20における凹部21の左側の領域20Lおよび右側の領域20Rの少なくとも一方に、別の交換式金型を収容するスペースを設けてもよい。例えば凹部21の左側の領域20Lのスペースに別の交換式金型を収容する態様であれば、第1母型20の左側面に当該スペースに連通する開口を設け、この開口から当該スペースに当該別の交換式金型をスライドさせて収容してもよい。右側の領域20Rに関しても同様である。
【0076】
また、本実施形態では、成形装置100は樹脂の射出成形に使用される。しかし、本発明はこれに限定されず、成形装置100はプレス成形に使用されてもよい。
【0077】
なお、本発明の一態様は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 金型交換装置
2 固定部材
2a 第1固定部材
2b 第2固定部材
10 交換式金型
11 第1金型
11a 第1側面
11b 第2側面
12 第2金型
13 ロックピン
20 第1母型
21 凹部
23a 第1連結軸(第1力印加部)
23b 第2連結軸(第2力印加部)
25a 第1力印加部
25b 第2力印加部
26a 第1楔形部材
26b 第2楔形部材
27a 第1母型面
27b 第2母型面
28a 第1レバー(第1力印加部)
28b 第2レバー(第2力印加部)
29a 第1スプリング(第1力印加部)
29b 第2スプリング(第2力印加部)
30 第2母型(押圧部)
50 中間母型(母型)
100 成形装置
261a 第1金型接触面
261b 第2金型接触面
262a 第1母型接触面
262b 第2母型接触面