(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】画像処理装置および折り装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240228BHJP
B65H 45/00 20060101ALI20240228BHJP
B65H 43/00 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
H04N1/00 002A
B65H45/00
B65H43/00
H04N1/00 567B
(21)【出願番号】P 2020045037
(22)【出願日】2020-03-16
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 翔吾
(72)【発明者】
【氏名】澤井 賢司
【審査官】鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-045784(JP,A)
【文献】特開2012-171785(JP,A)
【文献】特開2012-121686(JP,A)
【文献】特開平11-171399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B65H 45/00
B65H 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを含み、
前記プロセッサは、
折られた用紙が開かれた状態で画像読取装置により読み取ることで得られた画像情報を取得し、
前記画像情報における、前記用紙の折り線上の所定距離だけ離れた第1、2位置のそれぞれから前記用紙の予め定められた基準までの距離である第1、2距離を取得し、
前記第1、2距離に基づいて、前記用紙の折り線の傾きを検出する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記予め定められた基準は、前記用紙の一辺上の第1、2基準位置であり、
前記プロセッサは、
前記画像情報における、前記第1、2位置のそれぞれから前記第1、2基準位置のそれぞれまでの距離である前記第1、2距離を取得し、
前記第1、2距離に基づいて、前記用紙の前記一辺に対する折り線の傾きを検出する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記予め定められた基準は、前記用紙に形成された第1、2基準画像であり、
前記プロセッサは、
前記画像情報における、前記第1、2位置のそれぞれから前記第1、2基準画像のそれぞれまでの距離である前記第1、2距離を取得し、
前記第1、2距離に基づいて、前記第1、2基準画像に対する折り線の傾きを検出する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項2に記載の画像処理装置において、
前記第1、2位置のそれぞれは対向する用紙端上にあり、
前記第1、2基準位置のそれぞれは前記一辺の一端、他端のそれぞれにあり、
前記第1位置から、前記第1位置側の用紙端上に位置する前記第1基準位置までの距離が第1距離であり、
前記第2位置から、前記第2位置側の用紙端上に位置する前記第2基準位置までの距離が第2距離である、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項3に記載の画像処理装置において、
前記第1、2基準画像は間をあけて形成されており、
前記プロセッサは、
前記第1、2基準画像を結ぶ仮想又は存在する結線に対する折り線の傾きを検出する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記用紙は、折られた位置に塗り潰されたパターンを含む、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記用紙は、前記画像読取装置で読み取られる際の前記用紙の向きを案内する情報を含む、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項2に記載の画像処理装置において、
前記用紙の前記一辺上の前記第1基準位置から、前記一辺に対して垂直方向に延ばした仮想線と折り線が交差する位置が前記第1位置であり、
前記用紙の前記一辺上の前記第2基準位置から、前記一辺に対して垂直方向に延ばした仮想線と折り線が交差する位置が前記第2位置であり、
前記プロセッサは、
前記第1、2基準位置の間の距離に基づいて、前記用紙の前記一辺に対する折り線の傾き量を検出する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
請求項5に記載の画像処理装置において、
前記第1基準画像から前記結線に対して垂直方向に延ばした仮想線と折り線が交差する位置が前記第1位置であり、
前記第2基準画像から前記結線に対して垂直方向に延ばした仮想線と折り線が交差する位置が前記第2位置であり、
前記第1、2基準画像の間の距離に基づいて、前記結線に対する折り線の傾き量を検出する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の画像処理装置が検出した折り線の前記傾きに基づいて、別の用紙を折る際に折り線の延び方向が変わるように用紙に折り線を形成する、
ことを特徴とする折り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置および折り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙の折り処理が自動折り装置(以下、単に折り装置と言う)で行われている。折られた用紙の折り線の位置が、所望の位置からずれていないかを検証することも行われている。例えば、折られた用紙を画像読取装置で読み取ることで、折り線の位置を検知して確かめることができる。
【0003】
特許文献1には、折られた後、開かれた状態の原稿からの反射光を受光して画像を得るための受光部と、原稿の読取方向において受光部を挟んで上流側と下流側にそれぞれ配置
された第1の発光部および第2の発光部とを備え、第1の発光部のみを発光させた状態で原稿を読み取って得られた第1の画像と、第2の発光部のみを発光させた状態で原稿を読み取って得られた第2の画像を比較することにより、原稿の折り目の位置を特定する画像読取装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、用紙折り装置に関し、用紙の先端を突き当てて折り位置を決める先端ストッパを備え、先端ストッパの角度を調整することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-207398号公報
【文献】特開2012-66884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、用紙の折り線が、所望の延び方向から傾いて形成されることがあり、所望の折り結果物を得られないことがある。従って、用紙の折り線の傾きを検出することが望まれている。
【0007】
本発明の目的は、用紙の折り線の所望の延び方向からの傾きを検出することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、プロセッサを含み、前記プロセッサは、折られた用紙が開かれた状態で画像読取装置により読み取ることで得られた画像情報を取得し、前記画像情報における、前記用紙の折り線上の所定距離だけ離れた第1、2位置のそれぞれから前記用紙の予め定められた基準までの距離である第1、2距離を取得し、前記第1、2距離に基づいて、前記用紙の折り線の傾きを検出する、ことを特徴とする画像処理装置である。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記予め定められた基準は、前記用紙の一辺上の第1、2基準位置であり、前記プロセッサは、前記画像情報における、前記第1、2位置のそれぞれから前記第1、2基準位置のそれぞれまでの距離である前記第1、2距離を取得し、前記第1、2距離に基づいて、前記用紙の前記一辺に対する折り線の傾きを検出するものである。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記予め定められた基準は、前記用紙に形成された第1、2基準画像であり、前記プロセッサは、前記画像情報における、前記第1、2位置のそれぞれから前記第1、2基準画像のそれぞれまでの距離である前記第1、2距離を取得し、前記第1、2距離に基づいて、前記第1、2基準画像に対する折り線の傾きを検出するものである。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項2に記載の画像処理装置において、前記第1、2位置のそれぞれは対向する用紙端上にあり、前記第1、2基準位置のそれぞれは前記一辺の一端、他端のそれぞれにあり、前記第1位置から、前記第1位置側の用紙端上に位置する前記第1基準位置までの距離が第1距離であり、前記第2位置から、前記第2位置側の用紙端上に位置する前記第2基準位置までの距離が第2距離である、ことを特徴とするものである。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項3に記載の画像処理装置において、前記第1、2基準画像は間をあけて形成されており、前記プロセッサは、前記第1、2基準画像を結ぶ仮想又は存在する結線に対する折り線の傾きを検出する、ことを特徴とするものである。
【0013】
請求項6に係る発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の画像処理装置において、前記用紙は、折られた位置に塗り潰されたパターンを含む、ことを特徴とするものである。
【0014】
請求項7に係る発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の画像処理装置において、前記用紙は、前記画像読取装置で読み取られる際の前記用紙の向きを案内する情報を含む、ことを特徴とするものである。
【0015】
請求項8に係る発明は、請求項2に記載の画像処理装置において、前記用紙の前記一辺上の前記第1基準位置から、前記一辺に対して垂直方向に延ばした仮想線と折り線が交差する位置が前記第1位置であり、前記用紙の前記一辺上の前記第2基準位置から、前記一辺に対して垂直方向に延ばした仮想線と折り線が交差する位置が前記第2位置であり、前記プロセッサは、前記第1、2基準位置の間の距離に基づいて、前記用紙の前記一辺に対する折り線の傾き量を検出する、ことを特徴とするものである。
【0016】
請求項9に係る発明は、請求項5に記載の画像処理装置において、前記第1基準画像から前記結線に対して垂直方向に延ばした仮想線と折り線が交差する位置が前記第1位置であり、前記第2基準画像から前記結線に対して垂直方向に延ばした仮想線と折り線が交差する位置が前記第2位置であり、前記第1、2基準画像の間の距離に基づいて、前記結線に対する折り線の傾き量を検出する、ことを特徴とするものである。
【0017】
請求項10に係る発明は、請求項1から9のいずれか一項に記載の画像処理装置が検出した折り線の前記傾きに基づいて、別の用紙を折る際に折り線の延び方向が変わるように用紙に折り線を形成する、ことを特徴とする折り装置である。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明によれば、用紙の折り線の所望の延び方向からの傾きが検出される。
【0019】
請求項2に係る発明によれば、用紙の一辺と平行な折り線を得るために折り装置の補正が必要であるかが分かる。
【0020】
請求項3に係る発明によれば、第1、2基準画像を基準とした折り線を得るために折り装置の補正が必要であるかが分かる。
【0021】
請求項4に係る発明によれば、第1、2位置のそれぞれが対向する用紙端上にない場合に比べて、精度の高い折り線の傾き量が得られる。
【0022】
請求項5に係る発明によれば、第1、2基準画像を結ぶ結線と平行な折り線を得るために折り装置の補正が必要であるかが分かる。
【0023】
請求項6に係る発明によれば、用紙の折られた位置に塗り潰されたパターンがない場合に比べて、画像情報に用紙の折り線が明確に現れる。
【0024】
請求項7に係る発明によれば、オペレータが画像読取装置で用紙を読み取らせる際に、画像読取装置に対して用紙を置く向きを把握することができる。
【0025】
請求項8に係る発明によれば、用紙の一辺と平行な折り線を得るための折り装置の補正量が分かる。
【0026】
請求項9に係る発明によれば、第1、2基準画像を結ぶ結線と平行な折り線を得るための折り装置の補正量が分かる。
【0027】
請求項10に係る発明によれば、別の用紙を折った際に折り線の傾きが改善される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の各実施形態におけるシステムのブロック構成図である。
【
図2】第1実施形態における用紙の折り線の傾きを検出する流れを示すフローチャートである。
【
図3】第1実施形態における検証用紙の作成過程を示す図である。
【
図4】第1実施形態における画像情報の一例を示す図である。
【
図5】第2実施形態における用紙の折り線の傾きを検出する流れを示すフローチャートである。
【
図6】第2実施形態における検証用紙の作成過程を示す図である。
【
図7】第2実施形態における画像情報の一例を示す図である。
【
図8】第1、2基準画像の仮想の結線に対して折り線の傾きがない用紙の一例を示す図である。
【
図10】Z折りされる用紙の各折り線の傾きを検出する検証用紙の作成過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る実施形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下で述べる構成は、説明のための例示であって、装置の仕様等に合わせて適宜変更が可能である。また、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて用いることは当初から想定されている。全ての図面において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0030】
図1は、本発明の各実施形態におけるシステム10のブロック構成図である。システム10は、システムコントローラ11、画像読取装置12、画像処理装置14、画像形成装置16、折り装置18、およびタッチパネル19を備え、それらはバス20を介して電気的に接続されている。システム10は、例えば印刷会社、オフィス等に置かれてLAN等のネットワークに接続される。システム10は、システムコントローラ11がネットワークを介して外部からジョブを受け付けたり、タッチパネル19に入力されたオペレータの指示等を受け付けて、印刷機能、コピー機能、用紙の折り機能等を提供する。システム10は、折り装置18で折られた用紙Pの折り線の傾きを検出し、検出された折り線の傾きに基づいて折り装置18を調整する機能を含む点に大きな特徴を有している。
【0031】
システムコントローラ11は、不図示のプロセッサ、メモリを含み、システム10全体の制御を行う。システムコントローラ11は、外部から入力されたジョブ、タッチパネル19を介してオペレータから入力された指示等に従って、画像読取装置12、画像処理装置14、画像形成装置16、および折り装置18を制御する。ただし、このような制御を、画像処理装置14のプロセッサ40が行うとしてよい。
【0032】
画像読取装置12は、様々な形態のものを採用できるが、
図1には一例としての装置構成が示されている。画像読取装置12は、用紙が置かれるプラテンガラス30を備える。折られた用紙Pの折り線の傾きを検出する際には、
図1に示すように折られた用紙Pが開かれた状態でプラテンガラス30に置かれる。
【0033】
また、画像読取装置12は、用紙Pをプラテンガラス30上に押しつけるプラテンカバー32と、プラテンガラス30上に置かれた用紙Pを照明する照明部21と、用紙Pからの反射光を受光するCCD(Charge Coupled Devices)である受光部22を備える。照明部21は、副走査方向(
図1の左右方向)に移動するキャリッジ24に搭載され、キャリッジ24の移動に伴って用紙Pを走査し、用紙Pからの反射光は、キャリッジ24に搭載されたミラー26と、固定ミラー27、28と、レンズ29を介して受光部22へ案内される。受光部22は、反射光を電気信号に変換して、画像情報を生成する。
【0034】
画像処理装置14は、プロセッサ40とメモリ42を含む。プロセッサ40は、用紙Pの折り線の傾きを検出する際に、メモリ42に格納されたプログラムに従って動作し、画像読取装置12から用紙Pの画像情報を取得して一時的にメモリ42に格納した後、メモリ42から適宜、画像情報を読み出して解析し、用紙Pの折り線の傾きを検出する。メモリ42は、例えば、半導体素子からなるメモリ(例えばRAM、フラッシュメモリ等)、またはハードディスク等であり、プログラム、画像情報などを記憶する。
【0035】
画像形成装置16は、電子写真方式、インクジェット記録方式などにより用紙Pに画像を形成する装置である。折り装置18は、2つ折り、Z折り(外三つ折り)、C折り(内三つ折り)等の折り処理を行う装置である。画像形成装置16と折り装置18は、用紙搬送路が連結されて、画像形成装置16で用紙に画像を形成して、または、画像を形成せずに、用紙を画像形成装置16から折り装置18に搬送して、用紙に折り処理を行える構成である。
【0036】
次に、用紙Pの折り線の傾きを検出する処理について詳細に説明する。折り線の傾き検出には、用紙の一辺に対する折り線の傾きを検出する第1実施形態と、用紙に形成された画像に対する折り線の傾きを検出する第2実施形態がある。まず、第1実施形態について説明する。
【0037】
<第1実施形態>
図2は、第1実施形態の折り線の傾き検出と、検出された折り線の傾きに基づいて折り装置18を調整する処理の流れを示すフローチャートである。
図2のフローは、オペレータがタッチパネル19を操作して、折り装置18の調整開始指示を出すことで開始される。
【0038】
まず、
図2のS100、S102は、折り線の傾きを検出するための検証用紙P(単に用紙Pとも言う)を作成する工程である。タッチパネル19を介して調整開始指示が出されると、システムコントローラ11はそれを受け付けて、画像形成装置16に、用紙Pに塗り潰しパターンを形成させ(S100)、その後、折り装置18に、用紙Pを折らせる(S102)指令を出す。
【0039】
図3には、検証用紙Pの作成過程が示されている。画像形成装置16は、システムコントローラ11からの指令を受けて、給紙トレイ(不図示)から用紙Pを給紙して、用紙Pに塗り潰しパターン60を形成する(S100)。
図3(A)には、塗り潰しパターン60が形成された後の用紙Pの一例が示されている。
図3(A)に示すように、塗り潰しパターン60は、折られる前の用紙Pの折り線が形成される部分を含む予め定められた領域に形成される黒色で塗り潰した画像である。なお、塗り潰しパターン60は、黒色以外の色で形成されてもよい。
【0040】
塗り潰しパターン60が形成された用紙Pは、用紙搬送路を通って折り装置18に送られる。折り装置18は、送られてきた用紙Pを2つ折りにし(S102)、その後、折った用紙Pを外部の排紙トレイ(不図示)へ排紙する。
図3(B)には、折り装置18で折られた用紙Pの一例が示されている。
図3(B)に示す用紙Pは、折り線に傾きがあるものである。
【0041】
折り装置18は、折った用紙Pを排紙した際には、システムコントローラ11にバス20を介して排紙完了を通知する。システムコントローラ11は、折り装置18からの通知を受けて、タッチパネル19に検証用紙Pの作成が完了した旨を表示する。これにより検証用紙Pの作成が完了する。また、システムコントローラ11は、タッチパネル19に案内画面を表示する。この案内画面は、排紙された、折られた用紙Pを広げて画像読取装置12のプラテンガラス30に置き、用紙Pの読み取り準備が完了した際にはタッチパネル19から調整継続指示の操作をしてほしい旨を表示する画面である。
【0042】
図3(C)には、排紙された、折られた用紙P(
図3(B)に示す用紙P)を広げた(開いた)用紙Pが示されている。用紙Pの塗り潰しパターン60の部分にはトナー、インク等の色材が付着しており、用紙Pが折られた際には、折り線FLの部分で色材の一部が剥がれるため、
図3(C)に示すように、折り線FLが目立つようになる。これにより、用紙Pを画像読取装置12で読み取って得られる画像情報に、折り線FLが明確に表れやすくなる。
【0043】
オペレータは、タッチパネル19の案内画面に従って、排紙された、折られた用紙Pを広げて画像読取装置12のプラテンガラス30に置く。この時、オペレータは、用紙Pの塗り潰しパターン60が形成された側がプラテンガラス30に向くようにする。これにより、
図3(C)に示す用紙Pは裏返しされて、用紙Pの一辺SLはプラテンガラス30上では左側を向くことになる。また、オペレータは、読み取ることで得られる画像情報に用紙Pの輪郭線を表すために、用紙Pをプラテンガラス30の端から離して置く。なお、このような置き方の詳細は、タッチパネル19に表示して、オペレータに案内するとよい。そして、オペレータは、
図1に示すように、プラテンカバー32を用紙Pの上から覆い被せた後、タッチパネル19を操作して調整継続指示を出す。
【0044】
なお、
図1では、用紙Pの折り背がプラテンカバー32に当たるように、用紙Pが置かれているが、用紙Pを上下反転して、用紙Pの折り背がプラテンガラス30に当たるように、用紙Pを置いてもよい。ただし、この場合には、折られた用紙P(
図3(B)の状態の用紙P)の外側面に塗り潰しパターン60が形成される必要がある。
【0045】
システムコントローラ11は、タッチパネル19を介してオペレータから調整継続指示を受け付けた際には、画像読取装置12に画像情報を取得させる指令を出す。画像読取装置12は、システムコントローラ11からの指令を受けて、キャリッジ24を副走査方向に移動させて用紙Pを走査し、用紙Pの画像情報を取得する(
図2のS104)。画像読取装置12は、画像情報を取得した際には、システムコントローラ11にバス20を介して取得完了を通知する。システムコントローラ11は、その通知を受けたら、画像処理装置14に、画像情報に基づいて用紙の折り線の傾きを検出させる指令を出す。
【0046】
画像処理装置14のプロセッサ40は、システムコントローラ11からの指令を受けて、まず、画像読取装置12から画像情報を取得して、メモリ42に格納する。そして、プロセッサ40は、メモリ42から画像情報を読み出して解析し、用紙Pの折り線FLの傾きを検出する。
図2のS106~S112が、画像処理装置14のプロセッサ40が行う具体的な検出処理である。以下、プロセッサ40が行う、折り線FLの傾きの検出処理について説明する。
【0047】
まず、S106で、プロセッサ40は、画像情報において用紙の一辺SLを検知する。
図4は、
図3(C)に示す用紙Pを画像読取装置12で読み取ることで得られた画像情報80を示す図である。用紙Pをプラテンガラス30の端から離して読み取ったので、画像情報80には、用紙Pの各辺(
図4に示すSL、SU,SBなど)の輪郭線が表れている。この検出処理では、画像情報80において、用紙Pの左辺SL(以下、基準辺SLとも言う)に対する折り線FLの傾きを検出する。プロセッサ40は、画像情報80を探索して、用紙Pの基準辺SLを検知する。そして、基準辺SLを検知した後、基準辺SLの一端BL1と他端BL2のそれぞれから予め定められた長さだけ内側にある基準辺SL上の第1基準位置B1、第2基準位置B2を特定する。
【0048】
次に、S108で、プロセッサ40は、画像情報80において折り線FL上の第1位置F1と第2位置F2を特定する。プロセッサ40は、第1基準位置B1から、基準辺SLに対して垂直方向に延ばした仮想線LV1と折り線FLが交差する位置を、第1位置F1として特定する。また、プロセッサ40は、第2基準位置B2から、基準辺SLに対して垂直方向に延ばした仮想線LV2と折り線FLが交差する位置を、第2位置F2として特定する。
【0049】
次に、S110で、プロセッサ40は、画像情報80において、第1基準位置B1から第1位置F1までの距離である第1距離L1と、第2基準位置B2から第2位置F2までの距離である第2距離L2を取得する。
【0050】
そして、S112で、プロセッサ40は、第1距離L1と第2距離L2に基づいて基準辺SLに対する折り線FLの傾きを検出する。
図4には、基準辺SLに平行な仮想線LV3が折り線FLに接して描かれている。プロセッサ40は、第1距離L1と第2距離L2が同じ場合は、基準辺SLに対して折り線FLが傾いていないことを検出し、第1距離L1が第2距離L2より小さい場合(
図4に示す場合)には、基準辺SLに対して折り線FLが時計方向に傾いていることを検出し、第1距離L1が第2距離L2より大きい場合には、基準辺SLに対して折り線FLが反時計方向に傾いていることを検出する。なお、本明細書において「折り線の傾き」とは、折り線に傾きが有るか否かと、基準に対して折り線が時計方向、反時計方向のどちらの方向に傾いているかを示す情報である。また、本明細書において「折り線の傾き量」とは、「折り線の傾き」の情報に加えて、折り線の傾きの大きさを含む情報である。
【0051】
この実施形態では、プロセッサ40は、折り線FLの傾き量も取得する。プロセッサ40は、画像情報80において第1基準位置B1と第2基準位置B2の間の距離Wをさらに取得する。そして、プロセッサ40は、以下の(数1)式により傾き量RGを算出する。算出した傾き量RGはメモリ42に格納しておく。
【0052】
RG=(L2-L1)/W ・・・(数1)
【0053】
なお、プロセッサ40は、以下の(数2)式により算出される角度θを、傾き量として取得してもよい。
【0054】
θ=tan-1(RG)・・・(数2)
【0055】
以上が、第1実施形態の折り線FLの傾き検出処理である。次に、S114で、プロセッサ40は、折り線FLの傾き量RG(またはθ)から折り装置18の補正量Cを取得する。これは、傾き量RG(またはθ)の正負を逆転した数値を、補正量Cとして取得するものである。基準辺SLに対して折り線FLが時計方向に傾いている場合には、傾き量RG(またはθ)は正値となり、基準辺SLに対して折り線FLが時計方向に傾いている場合には、傾き量RG(またはθ)は負値となる。すなわち、傾き量RGの正負は傾き方向を示している。補正量Cは、傾き量RGと同様に、値の正負によって折り線FLを補正する方向を表し、値の絶対値によって補正する量を表す。例えば、基準辺SLに対して折り線FLが時計方向にα度だけ傾いている場合(傾き量θ=+α)は、折り線FLを反時計方向にα度だけ傾くように補正すれば、基準辺SLに対して折り線FLが平行になるので、プロセッサ40は、傾き量θの正負を逆転した数値である補正量C=-αを取得する。同様に、例えば、基準辺SLに対して折り線FLが反時計方向にα度だけ傾いている場合(傾き量θ=-α)は、折り線FLを時計方向にα度だけ傾くように補正すれば、基準辺SLに対して折り線FLが平行になるので、プロセッサ40は、傾き量θの正負を逆転した数値である補正量C=+αを取得する。取得した補正量Cはメモリ42に格納しておく。
【0056】
画像処理装置14は、
図2のS114の処理が完了した際には、システムコントローラ11にバス20を介して検出完了を通知する。システムコントローラ11は、その通知を受けて、折り装置18に折り線FLの傾きを補正させる指令を出す。
【0057】
折り装置18は、システムコントローラ11からの指令を受けて、画像処理装置14のメモリ42に格納された補正量Cを取得して、補正量Cに基づいて、用紙の折り位置を決めるガイドの傾きを補正する(
図2のS116)。折り装置18は、補正が完了した際には、システムコントローラ11にバス20を介して補正完了を通知する。そして、システムコントローラ11は、その通知を受けて、タッチパネル19に折り装置18の調整が完了した旨を表示する。これにより、オペレータは、折り装置18の調整終了を知ることができる。
【0058】
以上説明した第1実施形態によれば、用紙の一辺SLに対する折り線FLの傾き量RG(またはθ)を検出し、傾き量に対応する補正量Cに基づいて折り装置18のガイドの傾きを補正するので、補正後に折り装置18で別の用紙を折った際に、その用紙の折り線FLが用紙の一辺SLと平行、または、平行に近くなることが期待できる。
【0059】
なお、先行技術文献である特許文献2には、用紙折り装置が、折られた用紙の搬送路の途中に2つの光反射型センサ等の折り長さ測定手段を備え、折り線と交差する方向を搬送方向とする折られた用紙の搬送中に、2つの折り長さ測定手段のそれぞれが用紙の先端と後端を検知することで、用紙の搬送方向に直交する方向の用紙の左側、右側のそれぞれの用紙長さを測定し、測定された2つの用紙長さの差に基づいて、用紙の折り位置を決める先端ストッパの角度を調整する、ことが開示されている。2つの用紙長さの差は折られた用紙の折り線の傾きの大きさを表している。ここで、特許文献2に開示された構成は、例えば、
図11に示す2つ折りのように、用紙の折り背とは反対側の2つのエッジ(以下、小口エッジと言う)が重なるか、近い位置にある場合は、折り線FLの傾き方によって、2つの折り長さ測定手段のそれぞれが用紙の先端または後端を検知する際に、用紙の左側(
図11の符号LH参照)では、用紙の折り片の一方側PE1の小口エッジを検知し、用紙の右側(
図11の符号RH参照)では、用紙の折り片の他方側PE2の小口エッジを検知する可能性があり、用紙の折り線FLの傾きが正しく検知されない可能性がある。一方、以上説明した本発明の第1実施形態によれば、用紙の折り背とは反対側の2つの小口エッジが重なるか、近い位置にある場合でも、折り線FLの傾きを正しく検知することが可能である。
【0060】
なお、以上説明した第1実施形態では、折り装置18の補正まで自動で行ったが、用紙Pの折り線FLの傾き量をタッチパネル19に表示し、折り装置18の補正を行わない形態でもよい。この場合でも、用紙の一辺SLと平行な折り線FLを得るための折り装置18の補正量をオペレータが把握することができる。また、用紙Pの折り線FLの傾き(傾きの有無と傾き方向の情報)をタッチパネル19に表示するだけでもよい。この場合でも、用紙の一辺SLと平行な折り線FLを得るために折り装置18の補正が必要であるか否かをオペレータが把握することができる。
【0061】
また、以上説明した第1実施形態では、折り装置18が画像処理装置14から補正量Cを取得し、補正量Cだけ、折り装置18のガイドの傾きを補正するものであった。しかし、折り装置18は、画像処理装置14から折り線FLの傾き(傾きの有無と傾き方向(時計方向または反時計方向)の情報)、または、それに対応した補正情報(補正の要否と補正方向(傾き方向とは逆の方向))を取得し、予め定められた量だけ補正方向にガイドの傾きを補正するものであってもよい。この場合でも、折り装置18で別の用紙を折った際に折り線FLの傾きが改善される。
【0062】
また、以上説明した第1実施形態では、用紙Pが折られる位置に塗り潰しパターン60を形成したが、塗り潰しパターン60が無くても画像情報80において折り線FLを把握できる場合には、用紙Pに塗り潰しパターン60を形成しなくてもよい。
【0063】
また、以上説明した第1実施形態では、
図4に示すように、基準辺SLの一端BL1と他端BL2のそれぞれから予め定められた長さだけ内側にある基準辺SL上の位置を第1基準位置B1、第2基準位置B2とした。しかし、基準辺SLの一端BL1、他端BL2のそれぞれを第1基準位置B1、第2基準位置B2としてもよい。この場合には、折り線FL上にある第1位置F1は用紙下辺SBに位置し、第2位置F2は用紙上辺SUに位置することになる。また、第1距離L1は、用紙下辺SB(第1位置F1側の用紙端)上の第1位置F1から第1基準位置B1(BL1と同じ)までの距離となり、第2距離L2は、用紙上辺SU(第2位置F2側の用紙端)上の第2位置F2から第2基準位置B2(BL2と同じ)までの距離となる。このようにすれば、第1位置F1、第2位置F2のそれぞれが用紙端SB、SUにない場合(
図4に示すような場合)に比べて、第1距離L1と第2距離L2の差がより大きくなるので、L1、L2の差から算出される傾き量RGの誤差をより小さくすることができる。すなわち、より精度の高い折り線FLの傾き量RGを得られるようになる。
【0064】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態の折り線の傾き検出について説明する。この実施形態は、用紙に形成された画像に対する折り線の傾きを検出するものである。第2実施形態は、多くの点で第1実施形態と共通するので、第1実施形態と異なる点について特に説明する。
【0065】
図5は、第2実施形態の折り線の傾き検出と、検出された折り線の傾きに基づいて折り装置18を調整する処理の流れを示すフローチャートである。まず、S200、S202で、検証用紙Pを作成する。これは第1実施形態と同様であるが、第2実施形態では、塗り潰しパターン60に加えて第1、2基準画像も用紙Pに形成する。
【0066】
図6には、第2実施形態の検証用紙Pの作成過程が示されている。第2実施形態の検証用紙Pには、十字の画像である第1マーク画像71と、第1マーク画像71と離れた位置の別の十字の画像である第2マーク画像72が形成される。第1基準画像91は、第1マーク画像71の中心の画像であり、第2基準画像92は、第2マーク画像72の中心の画像である。第2実施形態では、第1基準画像91と第2基準画像92を結ぶ仮想の結線CVに対する折り線FLの傾きを検出する。
【0067】
例えば、第1、2基準画像91、92は、それらが形成する仮想の結線CVが用紙Pの一辺SLと平行となるように画像形成装置16により用紙Pに形成される画像であるが、画像形成装置16の画像形成位置の精度が低いこと等により、意図せず結線CVが用紙Pの一辺SLから傾くように形成されてしまう画像である。しかし、例えば、第1、2基準画像91、92は、それらが形成する仮想の結線CVが用紙Pの一辺SLに対して意図的に傾くように、画像形成装置16により用紙Pに形成される画像であってもよい。
【0068】
第2実施形態では、仮想の結線CVに対する折り線FLの傾きを検出し、仮想の結線CVに対して折り線FLが平行になるように折り装置18を調整する。このようにすると、調整後の折り装置18により別の用紙を折った際には、
図8、9のように、別の用紙P1の折り線FLは仮想の結線CVに対して平行になるが、用紙の一辺SLに対しては平行にならない可能性がある。しかし、
図9のように、折り線FLに対して垂直に延びる断裁線52B、52Uと、折り線FLと平行な断裁線52Rの位置で用紙Pを断裁すると、断裁された用紙は、2つの折り片が完全に重なった2つ折りされた用紙の形態となり、所望の印刷物が得られるようになる。
【0069】
図5に戻り、検証用紙Pの作成過程の説明を続ける。オペレータからタッチパネル19を介して調整開始指示が出されると、システムコントローラ11はそれを受け付けて、画像形成装置16に、用紙Pに塗り潰しパターン60と共に第1、2基準画像91、92のそれぞれを含む第1、2マーク画像71、72を形成させ(S200)、その後、折り装置18に、用紙Pを折らせる(S202)指令を出す。
【0070】
画像形成装置16は、システムコントローラ11からの指令を受けて、給紙トレイ(不図示)から用紙Pを給紙して、用紙Pに塗り潰しパターン60と共に第1、2マーク画像71、72を形成する(S200)。
図6(A)には、画像形成された後の用紙Pの一例が示されている。画像形成された用紙Pは、用紙搬送路を通って折り装置18に送られ、折り装置18は、送られてきた用紙Pを2つ折りにし(S202)、その後、折った用紙Pを外部の排紙トレイ(不図示)へ排紙する。これにより、検証用紙Pの作成が完了する。
【0071】
その後、第1実施形態と同様に、折られた用紙P(検証用紙P)を開いて画像読取装置12で読み取って画像情報を得る(S204)。また、第1実施形態と同様に、画像処理装置14のプロセッサ40は、画像読取装置12から画像情報を取得して、メモリ42に格納する。そして、プロセッサ40は、メモリ42から画像情報を読み出して解析し、第1、2基準画像91、92に対する折り線FLの傾きを検出する。
図5のS206~S212は、画像処理装置14のプロセッサ40が行う、第2実施形態の具体的な検出処理である。
【0072】
まず、S206で、プロセッサ40は、画像情報から用紙Pに形成された第1、2基準画像91、92を検知する。
図7は、
図6(C)に示す用紙Pを画像読取装置12で読み取ることで得られた画像情報81を示す図である。プロセッサ40は、画像情報81に含まれる特徴的な2つの十字の画像である第1、2マーク画像71、72を探索することで、第1、2基準画像91、92を検知する。ここで、第1、2基準画像91、92のそれぞれの位置を第1、2基準位置B1、B2と定義する。
【0073】
次に、S208で、プロセッサ40は、折り線FL上の第1位置F1と第2位置F2を特定する。プロセッサ40は、第1基準位置B1から、結線CVに対して垂直方向に延ばした仮想線LV1と折り線FLが交差する位置を、第1位置F1として特定する。また、プロセッサ40は、第2基準位置B2から、結線CVに対して垂直方向に延ばした仮想線LV2と折り線FLが交差する位置を、第2位置F2として特定する。
【0074】
次に、S210で、プロセッサ40は、第1基準位置B1から第1位置F1までの距離である第1距離L1と、第2基準位置B2から第2位置F2までの距離である第2距離L2を取得する。
【0075】
そして、S212で、プロセッサ40は、第1距離L1と第2距離L2に基づいて結線CVに対する折り線FLの傾きを検出する。
図4には、結線CVに平行な仮想線LV3が折り線FLに接して描かれている。プロセッサ40は、第1距離L1と第2距離L2が同じ場合は、結線CVに対して折り線FLが傾いていないことを検出し、第1距離L1が第2距離L2より小さい場合(
図7に示す場合)には、結線CVに対して折り線FLが時計方向に傾いていることを検出し、第1距離L1が第2距離L2より大きい場合には、結線CVに対して折り線FLが反時計方向に傾いていることを検出する。
【0076】
また、プロセッサ40は、折り線FLの傾き量も検出する。プロセッサ40は、第1基準位置B1と第2基準位置B2の間の距離Wをさらに取得する。そして、上記した(数1)式または(数2)式により、折り線FLの傾き量RG(またはθ)を取得する。以上が、第2実施形態の折り線FLの傾きの検出処理である。
【0077】
次に、S214で、プロセッサ40は、折り線FLの傾き量RG(またはθ)から折り装置18の補正量Cを取得する。そして、S216で、折り装置18は、補正量Cを取得して、補正量Cに基づいて用紙の折り位置を決めるガイドの傾きを補正する。これらは、第1実施形態と同様である。
【0078】
以上説明した第2実施形態によれば、第1、2基準画像91、92の仮想の結線CVに対する折り線FLの傾き量RG(またはθ)を検出し、傾き量に対応する補正量Cに基づいて折り装置18のガイドの傾きを補正するので、補正後に折り装置18により別の用紙を折った際に、その用紙の折り線FLが、結線CVと平行、または、平行に近くなることが期待できる。
図8に示すように、別の用紙P1に形成される画像(
図8では第1、2マーク画像71、72)の傾きと平行、または、平行に近い折り線FLを得ることができる。なお、
図8では、別の用紙P1に形成される画像の一例として第1、2マーク画像71、72が描かれているが、製造する印刷物によって用紙に形成される画像は当然に変わる。
【0079】
図9は、
図8に示す用紙P1を折り線FLで折った状態を示す図である。
図8に示す用紙P1を折ると、第1、2マーク画像71、72は用紙内側に隠れて見えなくなるが、
図9には第1、2マーク画像71、72の位置を示すためにそれらを灰色で示している。折り線FLに対して垂直に延びる2つの断裁線52B、52Uと、折り線FLと平行な断裁線52Rの位置で用紙Pを断裁すると、2つの折り片が完全に重なった2つ折りされた用紙を得ることができる。そして、例えば、断裁された用紙を複数、折り背50の部分で結合することにより、所望の冊子等を製造することができる。すなわち、例えば画像形成装置16の画像形成位置の精度が悪く、用紙に対して傾いた画像が形成される場合であっても、画像に合わせて折り線の傾きが調整されるので、所望の折り結果物を得ることが可能となる。
【0080】
なお、以上説明した第2実施形態では、折り装置18の補正まで自動で行ったが、用紙Pの折り線FLの傾き量をタッチパネル19に表示し、折り装置18の補正を行わない形態でもよい。この場合でも、結線CVと平行な折り線FLを得るための折り装置18の補正量をオペレータが把握することができる。また、用紙Pの折り線FLの傾き(傾きの有無と傾き方向の情報)をタッチパネル19に表示するだけでもよい。この場合でも、第1、2基準画像91、92を基準とした折り線FLを得るために折り装置18の補正が必要であるか否かをオペレータが把握することができる。
【0081】
また、以上説明した第2実施形態では、第1、2基準画像91、92の間の結線CVは仮想線であったが、実際に画像として存在する線であってもよい。また、その場合、第1、2マーク画像71、72を省略して、結線CVの一端の画像を第1基準画像91とし、結線CVの他端の画像を第2基準画像92としもよい。
【0082】
以上説明した第1、2実施形態では、画像情報における、用紙Pの折り線FL上の所定距離だけ離れた第1、2位置F1、F2のそれぞれから用紙Pの予め定められた基準としての第1、2基準位置B1、B2のそれぞれまでの距離である第1、2距離を取得することにより、折り線FLの傾きを検出した。ここで、第1、2基準位置B1、B2は、第1、2実施形態で説明した形態に限定されるものではない。例えば、用紙の一辺に2つの切り欠きを設けておき、画像情報に表れる2つの切り欠きのそれぞれの位置を予め定められた第1、2基準位置B1、B2としてもよい。また、例えば、用紙に2つのパンチ孔を設けておき、画像情報に表れる2つのパンチ孔のそれぞれの中心位置を第1、2基準位置B1、B2としてもよい。
【0083】
また、以上説明した第1、2実施形態では、用紙の1本の折り線FLの傾きを検出する形態であったが、用紙の複数の折り線FLのそれぞれの傾きを検出することも可能である。
図10には、複数の折り線を有する検証用紙Pの一例として、Z折りされる検証用紙Pが示されている。
図10には、
図3に対応した検証用紙Pの作成過程が示されている。
図10のような用紙Pは、複数の折り線FL1、FL2を含むため、画像読取装置12で用紙Pを読み取る際に、画像読取装置12のプラテンガラス30への用紙Pの置き方によって、画像情報の左側(または右側)に表れる折り線が、FL1、FL2のどちらにもなり得る。例えば、
図10(C)の用紙Pを上下入れ替わるように裏返してプラテンガラス30に置いて用紙Pを読み取った際には、画像情報の左側に折り線FL2が表れるが、
図10(C)の用紙Pを左右入れ替わるように裏返してプラテンガラス30に置いて用紙Pを読み取った際には、画像情報の左側に折り線FL1が表れることになる。従って、画像処理装置14は、画像情報において折り線FL1、FL2を個別に特定できなくなる。
【0084】
そこで、
図10(A)、(C)に示すように、用紙Pに案内マーク画像98を形成するとよい。案内マーク画像98は、画像読取装置12で読み取る際の用紙Pの向きを案内する情報であり、
図10(A)、(C)のように、例えば用紙Pの角に形成された丸印等の画像である。そして、例えば、タッチパネル19に、案内画面として、用紙Pの案内マーク画像98がプラテンガラス30の左側(または右側)にくるように用紙Pを裏返してプラテンガラス30に置いてほしい旨を表示する。これにより、画像読取装置12で用紙Pを読み取る際に、用紙Pが一定の向きでプラテンガラス30に置かれ、画像情報の左側(または右側)に常に折り線FL1が表れることになる。従って、画像処理装置14は、画像情報において折り線FL1、FL2を個別に特定することができる。
【0085】
上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0086】
また、上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0087】
10 システム、11 システムコントローラ、12 画像読取装置、14 画像処理装置、16 画像形成装置、18 折り装置、19 タッチパネル、20 バス、21 照明部、22 受光部、24 キャリッジ、26,27,28 ミラー、29 レンズ、30 プラテンガラス、32 プラテンカバー、40 プロセッサ、42 メモリ、50 折り背、52 断裁位置、52U、52B、52R 断裁線、60 塗り潰しパターン、71 第1マーク画像、72 第2マーク画像、80,81 画像情報、91 第1基準画像、92 第2基準画像、98 案内マーク画像、FL,FL1,FL2 折り線、P 用紙(検証用紙)、P1 用紙、B1 第1基準位置、B2 第2基準位置、F1 第1位置、F2 第2位置、L1 第1距離、L2 第2距離、BL1 一端、BL2 他端、LV1,LV2,LV3 仮想線、CV 結線、θ 傾き量。