IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラドキュメントソリューションズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-電子機器、通信機器、通信異常検出方法 図1
  • 特許-電子機器、通信機器、通信異常検出方法 図2
  • 特許-電子機器、通信機器、通信異常検出方法 図3
  • 特許-電子機器、通信機器、通信異常検出方法 図4
  • 特許-電子機器、通信機器、通信異常検出方法 図5
  • 特許-電子機器、通信機器、通信異常検出方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】電子機器、通信機器、通信異常検出方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240228BHJP
   G06F 13/38 20060101ALI20240228BHJP
   G06F 13/42 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
H04N1/00 127Z
G06F13/38 350
G06F13/42 320A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020045232
(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公開番号】P2021150670
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】杉山 裕一
(72)【発明者】
【氏名】谷井 英雄
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-267580(JP,A)
【文献】特開2006-033075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G06F 13/38
G06F 13/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1通信機器と、
記憶部を有する第2通信機器と、
前記第1通信機器から前記第2通信機器への前記記憶部に格納された格納データの読み出し要求を含む要求データの送信に用いられる第1信号線、前記第2通信機器から前記第1通信機器への前記読み出し要求に対応する応答データの送信に用いられる第2信号線、及び前記第1通信機器から送信される前記要求データに含まれる前記読み出し要求において読み出し対象とされる前記格納データの第1データ量又は前記第2通信機器から送信される前記応答データに含まれる前記格納データの第2データ量を特定するためのデータ量特定信号の送信に用いられる第3信号線を含むシリアルバスと、
前記第1通信機器によって前記要求データが送信された場合に、前記データ量特定信号に基づいて当該要求データに対応する前記第1データ量と当該要求データの送信に応じて前記第2通信機器によって送信される前記応答データに対応する前記第2データ量とが一致するか否かを判定する判定処理部と、
前記判定処理部による判定結果を出力する出力処理部と、
を備える電子機器。
【請求項2】
前記データ量特定信号は、前記第1データ量又は前記第2データ量に対応するクロック数を含むクロック信号である、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記データ量特定信号は、前記第1通信機器から前記第2通信機器へ送信される前記第1データ量を特定するための信号であって、
前記判定処理部及び前記出力処理部は、前記第2通信機器に設けられる、
請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1通信機器は、前記第2通信機器によって断線状態の前記第1信号線を介して受信される第1要求データとは前記第1データ量が異なる第2要求データを前記第2通信機器へ送信する送信処理部を備える、
請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記第2要求データは、予め定められた特定格納データを読み出し対象とする前記読み出し要求を含み、
前記出力処理部は、前記判定処理部による判定結果を前記第1通信機器に通知し、
前記第1通信機器は、前記送信処理部による前記第2要求データの送信に応じて前記出力処理部から前記第1データ量と前記第2データ量とが一致する旨の判定結果が通知されない場合、又は前記送信処理部による前記第2要求データの送信に応じて前記第2通信機器から送信される前記応答データに含まれる前記格納データが前記特定格納データではない場合に、前記シリアルバスの通信異常の発生を報知する報知処理部を備える、
請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
画像データに基づいて画像を形成する画像形成機能、画像が形成されるシートを給紙する給紙機能、原稿から画像を読み取る画像読取機能、及び原稿を搬送する原稿搬送機能の一部又は全部の機能の実現に用いられる複数の前記第2通信機器を備える、
請求項1~5のいずれかに記載の電子機器。
【請求項7】
記憶部と、
他の通信機器から自装置への前記記憶部に格納された格納データの読み出し要求を含む要求データの送信に用いられる第1信号線、前記自装置から前記他の通信機器への前記読み出し要求に対応する応答データの送信に用いられる第2信号線、及び前記他の通信機器から送信される前記要求データに含まれる前記読み出し要求において読み出し対象とされる前記格納データの第1データ量を特定するためのデータ量特定信号の送信に用いられる第3信号線を含むシリアルバスが接続される接続部と、
前記他の通信機器によって前記要求データが送信された場合に、前記データ量特定信号に基づいて当該要求データに対応する前記第1データ量と当該要求データの送信に応じて送信される前記応答データに含まれる前記格納データの第2データ量とが一致するか否かを判定する判定処理部と、
前記判定処理部による判定結果を出力する出力処理部と、
を備える通信機器。
【請求項8】
第1通信機器と、記憶部を有する第2通信機器と、前記第1通信機器から前記第2通信機器への前記記憶部に格納された格納データの読み出し要求を含む要求データの送信に用いられる第1信号線、前記第2通信機器から前記第1通信機器への前記読み出し要求に対応する応答データの送信に用いられる第2信号線、及び前記第1通信機器から送信される前記要求データに含まれる前記読み出し要求において読み出し対象とされる前記格納データの第1データ量又は前記第2通信機器から送信される前記応答データに含まれる前記格納データの第2データ量を特定するためのデータ量特定信号の送信に用いられる第3信号線を含むシリアルバスと、を備える電子機器で実行される通信異常検出方法であって、
前記第1通信機器によって前記要求データが送信された場合に、前記データ量特定信号に基づいて当該要求データに対応する前記第1データ量と当該要求データの送信に応じて前記第2通信機器によって送信される前記応答データに対応する前記第2データ量とが一致するか否かを判定することと、
前記第1データ量と前記第2データ量とが一致するか否かの判定結果を出力することと、
を含む通信異常検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、通信機器、及び通信異常検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
第1通信機器と第2通信機器とをシリアル通信可能に接続するシリアルバスを備える電子機器が知られている。例えば、前記シリアルバスは、前記第1通信機器から前記第2通信機器へのデータ送信に用いられる第1信号線、前記第2通信機器から前記第1通信機器へのデータ送信に用いられる第2信号線、及び前記第1通信機器から前記第2通信機器へのクロック信号の送信に用いられる第3信号線を含む。また、前記第1通信機器から前記第2通信機器へ状態確認電文を送信させて、当該状態確認電文の送信に応じて前記第2通信機器から送信される電文の内容に基づいて、前記シリアルバスの通信異常を検出する電子機器が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-133017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記第1通信機器から前記第2通信機器に設けられた記憶部の第1アドレスに格納されたデータの読み出し要求を含む要求データを送信して、当該要求データの送信に応じて前記第2通信機器から前記第1通信機器へ送信される応答データの内容に基づいて、前記シリアルバスの通信異常を検出する構成が考えられる。
【0005】
しかしながら、上記構成では、前記記憶部の記憶内容次第で、前記第1信号線の断線に起因する前記シリアルバスの通信異常の検出に失敗することがある。具体的に、上記構成では、前記第1信号線が断線した状態で前記第1通信機器から前記要求データが送信された場合に、前記第2通信機器において「000・・・」又は「111・・・」のデータが受信されるが、このデータが前記第2通信機器によって前記記憶部の第2アドレスに格納されたデータの読み出しを要求する前記要求データであると認識されることがある。この場合において、前記記憶部の第2アドレスに格納されたデータが第1アドレスに格納されたデータと同一である場合には、前記第2通信機器から送信される前記応答データの内容に基づいて前記第1信号線の断線に起因する前記シリアルバスの通信異常を検出することができない。
【0006】
本発明の目的は、第2通信機器の記憶部の記憶内容に関わらず、第1通信機器から第2通信機器へのデータ送信に用いられる信号線の断線に起因するシリアルバスの通信異常を検出可能な電子機器、通信機器、及び通信異常検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係る電子機器は、第1通信機器と、第2通信機器と、シリアルバスと、判定処理部と、出力処理部とを備える。前記第2通信機器は、記憶部を有する。前記シリアルバスは、前記第1通信機器から前記第2通信機器への前記記憶部に格納された格納データの読み出し要求を含む要求データの送信に用いられる第1信号線、前記第2通信機器から前記第1通信機器への前記読み出し要求に対応する応答データの送信に用いられる第2信号線、及び前記第1通信機器から送信される前記要求データに含まれる前記読み出し要求において読み出し対象とされる前記格納データの第1データ量又は前記第2通信機器から送信される前記応答データに含まれる前記格納データの第2データ量を特定するためのデータ量特定信号の送信に用いられる第3信号線を含む。前記判定処理部は、前記第1通信機器によって前記要求データが送信された場合に、前記データ量特定信号に基づいて当該要求データに対応する前記第1データ量と当該要求データの送信に応じて前記第2通信機器によって送信される前記応答データに対応する前記第2データ量とが一致するか否かを判定する。前記出力処理部は、前記判定処理部による判定結果を出力する。
【0008】
本発明の他の局面に係る通信機器は、記憶部と、接続部と、判定処理部と、出力処理部とを備える。前記接続部は、他の通信機器から自装置への前記記憶部に格納された格納データの読み出し要求を含む要求データの送信に用いられる第1信号線、前記自装置から前記他の通信機器への前記読み出し要求に対応する応答データの送信に用いられる第2信号線、及び前記他の通信機器から送信される前記要求データに含まれる前記読み出し要求において読み出し対象とされる前記格納データの第1データ量を特定するためのデータ量特定信号の送信に用いられる第3信号線を含むシリアルバスが接続される。前記判定処理部は、前記他の通信機器によって前記要求データが送信された場合に、前記データ量特定信号に基づいて当該要求データに対応する前記第1データ量と当該要求データの送信に応じて送信される前記応答データに含まれる前記格納データの第2データ量とが一致するか否かを判定する。前記出力処理部は、前記判定処理部による判定結果を出力する。
【0009】
本発明の他の局面に係る通信異常検出方法は、第1通信機器と、記憶部を有する第2通信機器と、前記第1通信機器から前記第2通信機器への前記記憶部に格納された格納データの読み出し要求を含む要求データの送信に用いられる第1信号線、前記第2通信機器から前記第1通信機器への前記読み出し要求に対応する応答データの送信に用いられる第2信号線、及び前記第1通信機器から送信される前記要求データに含まれる前記読み出し要求において読み出し対象とされる前記格納データの第1データ量又は前記第2通信機器から送信される前記応答データに含まれる前記格納データの第2データ量を特定するためのデータ量特定信号の送信に用いられる第3信号線を含むシリアルバスと、を備える電子機器で実行され、前記第1通信機器によって前記要求データが送信された場合に、前記データ量特定信号に基づいて当該要求データに対応する前記第1データ量と当該要求データの送信に応じて前記第2通信機器によって送信される前記応答データに対応する前記第2データ量とが一致するか否かを判定することと、前記第1データ量と前記第2データ量とが一致するか否かの判定結果を出力することと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第2通信機器の記憶部の記憶内容に関わらず、第1通信機器から第2通信機器へのデータ送信に用いられる信号線の断線に起因するシリアルバスの通信異常を検出可能な電子機器、通信機器、及び通信異常検出方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る画像形成装置のシリアルバスの構成を示す図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る画像形成装置のシリアルバスを用いたデータ通信の一例を示すタイミングチャートである。
図5図5は、本発明の実施形態に係る画像形成装置で実行される通信状態確認処理の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、本発明の実施形態に係る画像形成装置で実行される応答データ送信処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0013】
まず、図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係る画像形成装置2の構成について説明する。ここで、図1は画像形成装置2の構成を示すブロック図である。また、図2は画像形成装置2の構成を示す断面図である。
【0014】
図1に示されるように、画像形成装置2(本発明における電子機器の一例)は、マスターデバイス4(本発明における第1通信機器の一例)と、DMA(Direct Memory Access)コントローラー5と、メモリー6と、シリアルバス8と、複数の機能部10と、スレーブデバイス12(本発明における第2通信機器の一例)とを備える。マスターデバイス4、DMAコントローラー5、メモリー6、及びスレーブデバイス12は、シリアルバス8を介して相互に通信可能に接続されている。なお、図1では、機能部10各々が破線によって示されている。
【0015】
複数の機能部10は、それぞれ、画像形成装置2が備える複数の機能のいずれかを実行する。例えば、画像形成装置2は画像データに基づいて画像を形成する画像形成機能を備えており、複数の機能部10のうちの一つは画像形成部43(図2参照)である。また、画像形成装置2は画像が形成されるシートを給紙する給紙機能を備えており、複数の機能部10のうちの一つは給紙部44(図2参照)である。なお、図1には、2つの機能部10が示されているが、画像形成装置2が備える機能部10の数は1つであってもよく、3つ以上であってよい。
【0016】
画像形成部43は、電子写真方式によって、印刷用紙などのシートに画像を形成する機能、即ち画像形成機能を実行可能である。図2に示されるように、画像形成部43は、感光体ドラム51、帯電装置52、露光装置53、現像装置54、転写装置55、及び定着装置56を備える。帯電装置52は、感光体ドラム51の表面を所定の電位に帯電する。露光装置53は、画像データに基づいて、感光体ドラム51の表面にレーザー光を照射して露光する。現像装置54は、露光装置53によって形成された感光体ドラム51上の静電潜像を現像する。転写装置55は、現像装置54によって感光体ドラム51上に形成されたトナー像をシートに転写する。定着装置56は、シートを加熱および加圧して、当該シートに転写されたトナー像を当該シートに定着させる。
【0017】
給紙部44は、画像形成部43にシートを給紙する機能、即ち給紙機能を実行可能である。図2に示されるように、給紙部44は、給紙カセット61、ピックアップローラー62、及び複数の搬送ローラー63を備える。給紙カセット61は、印刷に用いられるシートを収容するとともに、当該シートをピックアップローラー62との接触位置まで持ち上げる。ピックアップローラー62は、給紙カセット61に収容されたシートを画像形成装置2の内部に形成された搬送路へ搬送する。複数の搬送ローラー63の各々は、前記搬送路に設けられており、前記搬送路に沿ってシートを搬送する。
【0018】
なお、複数の機能部10のうちの一つは、原稿から画像を読み取る画像読取機能を実行可能な画像読取部42(図2参照)であってもよい。また、複数の機能部10のうちの一つは、画像読取部42によって読み取られる原稿を搬送する原稿搬送機能を実行可能な原稿搬送部41(図2参照)であってもよい。
【0019】
スレーブデバイス12は、当該スレーブデバイス12が設けられた機能部10を制御する。即ち、スレーブデバイス12は、マスターデバイス4の制御の下、当該スレーブデバイス12が設けられた機能部10の各構成要素の動作を制御して、当該機能部10に対応する機能を実現する。また、スレーブデバイス12は、例えば、当該スレーブデバイス12が設けられた機能部10に含まれるセンサーによる検出結果をマスターデバイス4に通知する。例えば、スレーブデバイス12は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)である。
【0020】
具体的に、スレーブデバイス12は、記憶部14を備える。例えば、記憶部14は、複数のレジスターを含む。記憶部14には、機能部10の制御に用いられる制御データが格納される。スレーブデバイス12は、記憶部14に格納された前記制御データに従って、機能部10を制御する。また、記憶部14には、スレーブデバイス12に接続されたセンサーによる検出結果を示す検出データが格納される。前記検出データは、マスターデバイス4に送信される。例えば、マスターデバイス4は、スレーブデバイス12から受信される前記検出データに基づいて、当該スレーブデバイス12に送信される前記制御データを生成する。
【0021】
メモリー6は各種データを記憶する。例えば、メモリー6は、RAM(Random Access Memory)及びフラッシュメモリーのような半導体メモリーである。メモリー6には、スレーブデバイス12に送信される前記制御データが格納される。また、メモリー6には、スレーブデバイス12から受信される前記検出データが格納される。
【0022】
DMAコントローラー5は、マスターデバイス4からの指示に応じて、シリアルバス8を介してメモリー6とスレーブデバイス12との間でデータを転送するデータ転送処理を実行する。前記データ転送処理は、メモリー6に格納された前記制御データをスレーブデバイス12に転送する第1転送処理を含む。また、前記データ転送処理は、スレーブデバイス12の記憶部14に格納された前記検出データをメモリー6に転送する第2転送処理を含む。
【0023】
図1に示されるように、メモリー6は、バッファー24を備える。バッファー24には、前記データ転送処理の実行要求を示す実行要求データが格納される。例えば、前記実行要求データは、転送対象データの転送元を示す転送元情報、転送対象データの転送先を示す転送先情報、及び転送対象データのデータ量を示すデータ量情報などを含む。バッファー24は、複数の前記実行要求データを格納可能な記憶容量を備える。画像形成装置2では、画像形成装置2の稼働中に発生した前記実行要求データがバッファー24に蓄積される。
【0024】
例えば、前記第1転送処理の実行要求を示す前記実行要求データには、転送対象データである前記制御データが格納されているメモリー6のアドレスを示す前記転送元情報、当該制御データが書き込まれる記憶部14のアドレスを示す前記転送先情報、及び当該制御データのデータ量を示す前記データ量情報が含まれる。
【0025】
また、前記第2転送処理の実行要求を示す前記実行要求データには、転送対象データである前記検出データが格納されている記憶部14のアドレスを示す前記転送元情報、当該検出データが書き込まれるメモリー6のアドレスを示す前記転送先情報、及び当該検出データのデータ量を示す前記データ量情報が含まれる。
【0026】
なお、前記実行要求データは、複数の転送対象データを連続して転送する前記データ転送処理の実行要求を示すものであってもよい。即ち、前記実行要求データは、複数の前記転送元情報、複数の前記転送先情報、及び複数の前記データ量情報を含んでいてもよい。また、バッファー24は、メモリー6の外部に設けられていてもよい。
【0027】
マスターデバイス4は、シリアルバス8に接続された通信機器との間でシリアル通信を実行する。ここで、シリアル通信は、電気通信において伝送路上を一度に1ビットずつ、逐次的にシリアルデータを送る通信方式である。マスターデバイス4は、画像形成装置2に設定された通信プロトコルに従ってシリアル通信を行う。例えば、マスターデバイス4は、CPU(Central Processing Unit)である。
【0028】
具体的に、マスターデバイス4は、バッファー24に格納される前記実行要求データに基づいて、DMAコントローラー5を介してスレーブデバイス12との間でシリアル通信を実行する。なお、マスターデバイス4は、DMAコントローラー5を介することなく、スレーブデバイス12との間でシリアル通信を実行してもよい。
【0029】
次に、図3及び図4を参照して、画像形成装置2で実行されるシリアルバス8を用いたデータ通信について説明する。ここで、図4には、マスターデバイス4がいずれかのスレーブデバイス12の記憶部14に格納された格納データを読み出す際にシリアルバス8の各信号線から出力される電気信号の一例が示されている。
【0030】
図3に示されるように、シリアルバス8は、CLK信号線81、SDO信号線82、EN信号線83、SDI信号線84、CS信号線85、及びINT信号線86の6本の信号線を含む。CLK信号線81(本発明の第3信号線の一例)は、マスターデバイス4からスレーブデバイス12へのクロック信号SIG10(図4参照)の送信に用いられる。SDO信号線82(本発明の第1信号線の一例)は、マスターデバイス4からスレーブデバイス12へのデータ送信に用いられる。EN信号線83は、SDO信号線82を用いたデータ送信の完了通知の送信に用いられる。SDI信号線84(本発明の第2信号線の一例)は、スレーブデバイス12からマスターデバイス4へのデータ送信に用いられる。CS信号線85は、マスターデバイス4からスレーブデバイス12へのシリアルバス8を用いたデータ通信の開始及び終了の通知の送信に用いられる。INT信号線86は、スレーブデバイス12からマスターデバイス4へのSDI信号線84を用いたデータ送信の完了通知の送信に用いられる。
【0031】
図3に示されるように、CLK信号線81は、複数のスレーブデバイス12に共通の共通部、及び当該共通部からスレーブデバイス12各々に分岐する分岐部を有する。SDO信号線82、EN信号線83、SDI信号線84、及びINT信号線86も、CLK信号線81と同様に共通部及び分岐部を有する。また、CS信号線85は、スレーブデバイス12毎に設けられる。マスターデバイス4は、シリアルバス8が接続される接続部4Aを備える。スレーブデバイス12は、シリアルバス8が接続される接続部12Aを備える。なお、シリアルバス8は、EN信号線83を含んでいなくてもよい。
【0032】
図4に示されるように、マスターデバイス4は、いずれかのスレーブデバイス12の記憶部14から前記格納データを読み出す場合、まず、通信相手となるスレーブデバイス12に対応するCS信号線85をアサートする。次に、マスターデバイス4は、CLK信号線81に予め定められた周波数のクロック信号SIG10を出力するとともに、SDO信号線82に前記格納データの読み出し要求を含む要求データD10を出力する。具体的に、マスターデバイス4は、クロック信号SIG10のクロック周期に合わせて、要求データD10を1ビットずつ送信する。
【0033】
ここで、要求データD10には、図4に示されるように、コマンドデータD11と、アドレスデータD12と、サイズデータD13と、チェックサムデータD14とが含まれる。コマンドデータD11には、スレーブデバイス12に送信される前記読み出し要求の種類を示す情報などが含まれる。前記読み出し要求の種類には、アドレスデータD12によって指定される一つのアドレスを先頭アドレスとして当該先頭アドレスから連続するアドレス範囲に含まれる所定サイズの前記格納データの読み出しを要求する第1読み出し要求、及びアドレスデータD12によって指定される複数のアドレス各々からの前記格納データの読み出しを要求する第2読み出し要求が含まれる。アドレスデータD12には、読み出し対象の前記格納データのアドレスを示す情報が含まれる。前記読み出し要求が前記第1読み出し要求である場合、アドレスデータD12に含まれるアドレスの数は一つになる。前記読み出し要求が前記第2読み出し要求である場合、アドレスデータD12に含まれるアドレスの数は複数になる。図4には、一つのアドレスを含むアドレスデータD12が示されている。サイズデータD13には、読み出し対象の前記格納データのサイズを示す情報が含まれる。チェックサムデータD14は、要求データD10を受信するスレーブデバイス12による、当該要求データD10の誤り検出に用いられる。
【0034】
マスターデバイス4は、クロック信号SIG10及び要求データD10の出力が終了すると、EN信号線83をアサートしてデータ送信の完了を通知し、その後CS信号線85をネゲートする。
【0035】
一方、通信相手のスレーブデバイス12は、CS信号線85がアサートされると、マスターデバイス4から送信されるクロック信号SIG10の受信を待ち受ける。スレーブデバイス12は、クロック信号SIG10を受信すると、当該クロック信号SIG10とともに送信される要求データD10を受信する。具体的に、スレーブデバイス12は、クロック信号SIG10のクロック周期に合わせて、要求データD10を1ビットずつ受信する。そして、スレーブデバイス12は、受信した要求データD10に基づいて、マスターデバイス4から送信される前記読み出し要求の内容を識別する。
【0036】
スレーブデバイス12は、要求データD10に含まれる前記読み出し要求の内容を識別すると、当該読み出し要求の内容に応じた応答データD20をSDI信号線84に出力する。具体的に、スレーブデバイス12は、クロック信号SIG10のクロック周期に合わせて、応答データD20を1ビットずつ送信する。例えば、スレーブデバイス12は、サイズデータD13の受信開始タイミングに合わせて、応答データD20の送信を開始する。
【0037】
ここで、応答データD20には、図4に示されるように、読み出し対象データD21と、チェックサムデータD22とが含まれる。読み出し対象データD21は、要求データD10に含まれる前記読み出し要求において読み出し対象とされる前記格納データである。チェックサムデータD22は、チェックサムデータD14と同様に、応答データD20を受信するマスターデバイス4による、当該応答データD20の誤り検出に用いられる。
【0038】
スレーブデバイス12は、クロック信号SIG10の入力、及び応答データD20の出力が終了して、その後EN信号線83がアサートされると、INT信号線86をアサートしてデータ送信の完了を通知する。
【0039】
マスターデバイス4は、スレーブデバイス12が要求データD10を受信するために必要なクロック数を含むクロック信号SIG10を出力する。換言すると、マスターデバイス4は、要求データD10のビット数に対応するクロック数を含むクロック信号SIG10を出力する。
【0040】
また、マスターデバイス4は、スレーブデバイス12が応答データD20を送信するために必要なクロック数を含むクロック信号SIG10を出力する。換言すると、マスターデバイス4は、応答データD20のビット数に対応するクロック数を含むクロック信号SIG10を出力する。マスターデバイス4は、読み出し対象の前記格納データのサイズに基づいて、応答データD20のビット数を特定することが可能である。ここで、クロック信号SIG10は、要求データD10に含まれる前記読み出し要求において読み出し対象とされる前記格納データのサイズ(後述の第1データ量)に対応するクロック数を含む信号であって、本発明のデータ量特定信号の一例である。
【0041】
ところで、マスターデバイス4からスレーブデバイス12の記憶部14の第1アドレスに格納された前記格納データを読み出し対象とする前記読み出し要求を含む要求データD10を送信して、当該要求データD10の送信に応じてスレーブデバイス12からマスターデバイス4へ送信される応答データD20の内容に基づいて、シリアルバス8の通信異常を検出することが考えられる。
【0042】
しかしながら、上記手法では、記憶部14の記憶内容次第で、SDO信号線82の断線に起因するシリアルバス8の通信異常の検出に失敗することがある。具体的に、画像形成装置2では、SDO信号線82が断線した状態でマスターデバイス4から要求データD10が送信された場合に、スレーブデバイス12において「000・・・」のデータが受信されるが、このデータがスレーブデバイス12によって記憶部14における前記第1アドレスとは異なる第2アドレスに格納された前記格納データの読み出しを要求するデータであると認識される。そのため、記憶部14の前記第2アドレスに格納されたデータが前記第1アドレスに格納されたデータと同一である場合には、スレーブデバイス12から送信される応答データD20の内容に基づいてSDO信号線82の断線に起因するシリアルバス8の通信異常を検出することができない。
【0043】
これに対し、本発明の実施形態に係る画像形成装置2では、以下に説明するように、スレーブデバイス12の記憶部14の記憶内容に関わらず、マスターデバイス4からスレーブデバイス12へのデータ送信に用いられるSDO信号線82の断線に起因するシリアルバス8の通信異常を検出可能である。
【0044】
具体的に、スレーブデバイス12は、図1に示されるように、第1判定処理部25(本発明の判定処理部の一例)、及び出力処理部26を含む。
【0045】
第1判定処理部25は、マスターデバイス4によって要求データD10が送信された場合に、クロック信号SIG10に基づいて、当該要求データD10に含まれる前記読み出し要求において読み出し対象とされる前記格納データの第1データ量と、当該要求データD10の送信に応じてスレーブデバイス12によって送信される応答データD20に含まれる前記格納データの第2データ量とが一致するか否かを判定する。
【0046】
例えば、第1判定処理部25は、マスターデバイス4から送信されるクロック信号SIG10及び要求データD10を受信し、その後EN信号線83がアサートされた場合に、クロック信号SIG10に基づいて、前記第1データ量と前記第2データ量とが一致するか否かを判定する。
【0047】
例えば、第1判定処理部25は、クロック信号SIG10の受信終了タイミングと応答データD20の送信終了タイミングとが一致する場合に、前記第1データ量と前記第2データ量とが一致すると判定する。また、第1判定処理部25は、クロック信号SIG10の受信終了タイミングと応答データD20の送信終了タイミングとが一致しない場合に、前記第1データ量と前記第2データ量とが一致しないと判定する。
【0048】
出力処理部26は、第1判定処理部25による判定結果を出力する。
【0049】
例えば、出力処理部26は、第1判定処理部25によって前記第1データ量と前記第2データ量とが一致すると判定された場合に、INT信号線86をアサートしてマスターデバイス4にデータ送信の完了を通知する。一方、出力処理部26は、第1判定処理部25によって前記第1データ量と前記第2データ量とが一致しないと判定された場合は、INT信号線86をアサートしない。つまり、出力処理部26は、INT信号線86をアサートすることにより、第1判定処理部25によって前記第1データ量と前記第2データ量とが一致すると判定された旨を通知する。
【0050】
また、マスターデバイス4は、図1に示されるように、送信処理部27、第2判定処理部28、及び報知処理部29を含む。マスターデバイス4は、不図示のROMに格納されている通信状態確認プログラムを実行する。これにより、マスターデバイス4は、送信処理部27、第2判定処理部28、及び報知処理部29として機能する。なお、前記通信状態確認プログラムは、CD、DVD、フラッシュメモリーなどのコンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されており、前記記録媒体から読み取られて画像形成装置2に設けられる不揮発性の記憶装置にインストールされてもよい。
【0051】
送信処理部27は、予め定められた第2要求データをスレーブデバイス12へ送信する。ここで、前記第2要求データは、スレーブデバイス12によって断線状態のSDO信号線82を介して受信される第1要求データとは前記第1データ量が異なる要求データD10である。
【0052】
具体的に、前記第1要求データは、SDO信号線82が断線した状態でマスターデバイス4から要求データD10が送信された場合に、スレーブデバイス12において受信される「000・・・」のデータである。例えば、画像形成装置2では、この「000・・・」のデータが、スレーブデバイス12によって、記憶部14の前記第2アドレスを先頭アドレスとして当該先頭アドレスから連続するアドレス範囲に含まれる1バイト分の前記格納データの読み出しを要求するデータであると認識される。つまり、前記第1要求データの前記第1データ量は1バイトである。
【0053】
例えば、前記第2要求データは、前記第1データ量が2バイトの予め定められた特定格納データを読み出し対象とする前記読み出し要求を含む要求データD10である。例えば、前記特定格納データは、スレーブデバイス12ごとに予め定められる当該スレーブデバイス12の記憶部14に格納される初期設定データであって、予め定められた特定データとは異なるデータである。ここで、前記特定データは、SDI信号線84が断線した状態でスレーブデバイス12から応答データD20が送信された場合に、マスターデバイス4において受信される「000・・・」のデータに含まれる前記格納データと同一のデータである。
【0054】
例えば、送信処理部27は、予め定められた送信タイミングが到来した場合に、前記第2要求データをスレーブデバイス12へ送信する。ここで、前記送信タイミングは、例えば、画像形成装置2の電源投入時、及び画像形成装置2の動作モードが通常モードよりも消費電力が低減される省電力モードから前記通常モードに移行した時などである。なお、前記送信タイミングは、任意に設定可能なタイミングであってよい。
【0055】
第2判定処理部28は、送信処理部27による前記第2要求データの送信に応じてスレーブデバイス12から送信される応答データD20に含まれる前記格納データが前記特定格納データであるか否かを判定する。
【0056】
報知処理部29は、送信処理部27による前記第2要求データの送信に応じて出力処理部26から前記第1データ量と前記第2データ量とが一致する旨の判定結果が通知されない場合に、シリアルバス8の通信異常の発生を報知する。
【0057】
例えば、報知処理部29は、送信処理部27による前記第2要求データの送信に応じてINT信号線86がアサートされない場合に、シリアルバス8の通信異常の発生を報知する。
【0058】
また、報知処理部29は、第2判定処理部28によって前記第2要求データの送信に応じてスレーブデバイス12から送信される応答データD20に含まれる前記格納データが前記特定格納データではないと判定された場合に、シリアルバス8の通信異常の発生を報知する。
【0059】
つまり、画像形成装置2では、送信処理部27による前記第2要求データの送信に応じて出力処理部26から前記第1データ量と前記第2データ量とが一致する旨の判定結果が通知されない場合に、シリアルバス8における通信異常の発生が検出される。また、画像形成装置2では、第2判定処理部28によって前記第2要求データの送信に応じてスレーブデバイス12から送信される応答データD20に含まれる前記格納データが前記特定格納データではないと判定された場合に、シリアルバス8における通信異常の発生が検出される。
【0060】
[通信状態確認処理]
以下、図5を参照しつつ、画像形成装置2においてマスターデバイス4により実行される通信状態確認処理の手順の一例について説明する。ここで、ステップS11、S12・・・は、マスターデバイス4により実行される処理手順(ステップ)の番号を表している。例えば、前記通信状態確認処理は、前記送信タイミングが到来した場合に実行される。
【0061】
<ステップS11>
まず、ステップS11において、マスターデバイス4は、通信相手となるスレーブデバイス12を指定する。具体的に、マスターデバイス4は、通信相手となるスレーブデバイス12に対応するCS信号線85をアサートする。
【0062】
<ステップS12>
ステップS12において、マスターデバイス4は、CLK信号線81及びSDO信号線82を用いて、クロック信号SIG10及び前記第2要求データをスレーブデバイス12に送信する。具体的に、マスターデバイス4は、クロック信号SIG10のクロック周期に合わせて、前記第2要求データを1ビットずつ送信する。ここで、ステップS12の処理は、マスターデバイス4の送信処理部27により実行される。
【0063】
<ステップS13>
ステップS13において、マスターデバイス4は、ステップS12の前記第2要求データの送信に応じてスレーブデバイス12から送信される応答データD20を受信する。具体的に、マスターデバイス4は、クロック信号SIG10のクロック周期に合わせて、応答データD20を1ビットずつ受信する。
【0064】
<ステップS14>
ステップS14において、マスターデバイス4は、クロック信号SIG10及び前記第2要求データの送信終了後に、データ送信の完了を通知する。具体的に、マスターデバイス4は、EN信号線83をアサートする。
【0065】
<ステップS15>
ステップS15において、マスターデバイス4は、ステップS14の処理の実行時から予め定められた第1時間が経過したか否かを判断する。なお、前記第1時間は、スレーブデバイス12からのデータ送信の完了通知を待ち受けるために設定された任意の時間である。
【0066】
ここで、マスターデバイス4は、ステップS14の処理の実行時から前記第1時間が経過したと判断すると(S15のYes側)、処理をステップS21に移行させる。また、ステップS14の処理の実行時から前記第1時間が経過していなければ(S15のNo側)、マスターデバイス4は、処理をステップS16に移行させる。
【0067】
<ステップS16>
ステップS16において、マスターデバイス4は、スレーブデバイス12からデータ送信の完了が通知されたか否かを判断する。具体的に、マスターデバイス4は、INT信号線86がアサートされた場合に、スレーブデバイス12からデータ送信の完了が通知されたと判断する。
【0068】
ここで、マスターデバイス4は、スレーブデバイス12からデータ送信の完了が通知されたと判断すると(S16のYes側)、処理をステップS17に移行させる。また、スレーブデバイス12からデータ送信の完了が通知されていなければ(S16のNo側)、マスターデバイス4は、処理をステップS15に移行させる。
【0069】
<ステップS17>
ステップS17において、マスターデバイス4は、ステップS13で受信される応答データD20に含まれる前記格納データが前記特定格納データであるか否かを判断する。ここで、ステップS17の処理は、マスターデバイス4の第2判定処理部28により実行される。
【0070】
ここで、マスターデバイス4は、応答データD20に含まれる前記格納データが前記特定格納データであると判断すると(S17のYes側)、処理をステップS18に移行させる。また、応答データD20に含まれる前記格納データが前記特定格納データでなければ(S17のNo側)、マスターデバイス4は、処理をステップS21に移行させる。
【0071】
例えば、SDI信号線84が断線している場合には、マスターデバイス4においてスレーブデバイス12から受信される応答データD20が「000・・・」となる。そのため、ステップS13で受信される応答データD20に含まれる前記格納データが前記特定格納データとは異なるものとなり、以下のステップS21においてシリアルバス8における通信異常の発生が検出される。
【0072】
<ステップS21>
ステップS21において、マスターデバイス4は、シリアルバス8における通信異常の発生を検出する。例えば、マスターデバイス4は、通信相手のスレーブデバイス12の識別情報をメモリー6の予め定められた記憶領域に格納する。
【0073】
<ステップS18>
ステップS18において、マスターデバイス4は、スレーブデバイス12の全部と通信を行ったか否かを判断する。
【0074】
ここで、マスターデバイス4は、スレーブデバイス12の全部と通信を行ったと判断すると(S18のYes側)、処理をステップS19に移行させる。また、スレーブデバイス12の全部と通信を行っていなければ(S18のNo側)、マスターデバイス4は、処理をステップS11に移行させる。この場合、マスターデバイス4は、続くステップS11の処理において、未だ通信を行っていないスレーブデバイス12を通信相手に指定する。
【0075】
<ステップS19>
ステップS19において、マスターデバイス4は、いずれかのスレーブデバイス12との通信中に通信異常が検出されたか否かを判断する。例えば、マスターデバイス4は、メモリー6の前記記憶領域にいずれかのスレーブデバイス12の識別情報が格納されている場合に、当該記憶領域に識別情報が格納されているスレーブデバイス12との通信中に通信異常が検出されたと判断する。
【0076】
ここで、マスターデバイス4は、いずれかのスレーブデバイス12との通信中に通信異常が検出されたと判断すると(S19のYes側)、処理をステップS20に移行させる。また、いずれのスレーブデバイス12との通信中においても通信異常が検出されていなければ(S19のNo側)、マスターデバイス4は、前記通信状態確認処理を終了させる。
【0077】
<ステップS20>
ステップS20において、マスターデバイス4は、シリアルバス8における通信異常の発生を報知する。ここで、ステップS20の処理は、マスターデバイス4の報知処理部29により実行される。
【0078】
例えば、マスターデバイス4は、シリアルバス8において通信異常が発生した旨、及び異常発生の検出時に通信を行っていたスレーブデバイス12を示すメッセージを不図示の表示部に表示させる。
【0079】
[応答データ送信処理]
次に、図6を参照しつつ、画像形成装置2においてスレーブデバイス12により実行される応答データ送信処理の手順について説明する。なお、前記応答データ送信処理は、前記通信状態確認処理のステップS11の処理が実行された場合に、当該処理で通信相手として指定されたスレーブデバイス12において実行される。
【0080】
<ステップS31>
まず、ステップS31において、スレーブデバイス12は、前記応答データ送信処理の開始時から予め定められた第2時間が経過したか否かを判断する。なお、前記第2時間は、マスターデバイス4からのクロック信号SIG10の受信を待ち受けるために設定された任意の時間である。
【0081】
ここで、スレーブデバイス12は、前記応答データ送信処理の開始時から前記第2時間が経過したと判断すると(S31のYes側)、前記応答データ送信処理を終了させる。また、前記応答データ送信処理の開始時から前記第2時間が経過していなければ(S31のNo側)、スレーブデバイス12は、処理をステップS32に移行させる。
【0082】
<ステップS32>
ステップS32において、スレーブデバイス12は、クロック信号SIG10を受信したか否かを判断する。
【0083】
ここで、スレーブデバイス12は、クロック信号SIG10を受信したと判断すると(S32のYes側)、処理をステップS33に移行させる。また、クロック信号SIG10を受信していなければ(S32のNo側)、スレーブデバイス12は、処理をステップS31に移行させる。
【0084】
例えば、クロック信号SIG10が断線している場合には、マスターデバイス4からクロック信号SIG10が送信されても、スレーブデバイス12において当該クロック信号SIG10を受信することができない。この場合、スレーブデバイス12においてクロック信号SIG10の受信が確認される前に前記第2時間が経過するため、前記応答データ送信処理が終了する。そして、スレーブデバイス12からデータ送信の完了が通知されることなく(ステップS39の処理が実行されることなく)前記応答データ送信処理が終了するため、前記通信状態確認処理のステップS21においてシリアルバス8における通信異常の発生が検出される。
【0085】
<ステップS33>
ステップS33において、スレーブデバイス12は、要求データD10を受信する。具体的に、スレーブデバイス12は、マスターデバイス4から入力されるクロック信号SIG10のクロック周期に合わせて、要求データD10を1ビットずつ受信する。
【0086】
ここで、SDO信号線82が断線していない場合は、スレーブデバイス12が受信する要求データD10は前記通信状態確認処理のステップS12で送信された前記第2要求データとなる。一方、SDO信号線82が断線している場合は、スレーブデバイス12が受信する要求データD10は「000・・・」の前記第1要求データとなる。
【0087】
<ステップS34>
ステップS34において、スレーブデバイス12は、ステップS33で受信した要求データD10に対応する応答データD20を送信する。具体的に、スレーブデバイス12は、マスターデバイス4から入力されるクロック信号SIG10のクロック周期に合わせて、応答データD20を1ビットずつ送信する。
【0088】
具体的に、スレーブデバイス12は、ステップS33で受信した要求データD10が前記第2要求データである場合は、2バイトの前記特定格納データを含む応答データD20を送信する。また、スレーブデバイス12は、ステップS33で受信した要求データD10が前記第1要求データである場合は、前記第2アドレスを先頭アドレスとして当該先頭アドレスから連続するアドレス範囲に含まれる1バイト分の前記格納データを含む応答データD20を送信する。
【0089】
<ステップS35>
ステップS35において、スレーブデバイス12は、クロック信号SIG10の受信が終了したか否かを判断する。
【0090】
ここで、スレーブデバイス12は、クロック信号SIG10の受信が終了したと判断すると(S35のYes側)、処理をステップS36に移行させる。また、クロック信号SIG10の受信が終了していなければ(S35のNo側)、スレーブデバイス12は、ステップS35でクロック信号SIG10の受信の終了を待ち受ける。
【0091】
ここで、ステップS33で受信された要求データD10が前記第2要求データである場合は、クロック信号SIG10の受信の終了とともに応答データD20の送信が終了する。一方、ステップS33で受信された要求データD10が前記第1要求データである場合は、前記特定格納データを送信可能なクロック数を含むクロック信号SIG10の受信の終了前に応答データD20の送信が終了する。
【0092】
<ステップS36>
ステップS36において、スレーブデバイス12は、クロック信号SIG10の受信終了時から予め定められた第3時間が経過したか否かを判断する。なお、前記第3時間は、マスターデバイス4からのデータ送信の完了通知を待ち受けるために設定された任意の時間である。
【0093】
ここで、スレーブデバイス12は、クロック信号SIG10の受信終了時から前記第3時間が経過したと判断すると(S36のYes側)、前記応答データ送信処理を終了させる。また、クロック信号SIG10の受信終了時から前記第3時間が経過していなければ(S36のNo側)、スレーブデバイス12は、処理をステップS37に移行させる。
【0094】
<ステップS37>
ステップS37において、スレーブデバイス12は、マスターデバイス4からデータ送信の完了が通知されたか否かを判断する。具体的に、スレーブデバイス12は、EN信号線83がアサートされた場合に、マスターデバイス4からデータ送信の完了が通知されたと判断する。
【0095】
ここで、スレーブデバイス12は、マスターデバイス4からデータ送信の完了が通知されたと判断すると(S37のYes側)、処理をステップS38に移行させる。また、マスターデバイス4からデータ送信の完了が通知されていなければ(S37のNo側)、スレーブデバイス12は、処理をステップS36に移行させる。
【0096】
例えば、EN信号線83が断線している場合には、スレーブデバイス12においてマスターデバイス4によるEN信号線83のアサートを認識できない。この場合、スレーブデバイス12においてEN信号線83のアサートが確認される前に前記第3時間が経過するため、前記応答データ送信処理が終了する。そして、スレーブデバイス12からデータ送信の完了が通知されることなく(ステップS39の処理が実行されることなく)前記応答データ送信処理が終了するため、前記通信状態確認処理のステップS21においてシリアルバス8における通信異常の発生が検出される。
【0097】
<ステップS38>
ステップS38において、スレーブデバイス12は、マスターデバイス4から入力されたクロック信号SIG10に基づいて、マスターデバイス4から送信された前記第2要求データに対応する前記第1データ量(前記特定格納データのデータ量)と、ステップS34で送信された応答データD20に対応する前記第2データ量(当該応答データD20に含まれる前記格納データのデータ量)とが一致するか否かを判断する。ここで、ステップS38の処理は、スレーブデバイス12の第1判定処理部25により実行される。
【0098】
具体的に、スレーブデバイス12は、ステップS35でクロック信号SIG10の受信が終了したと判断されたタイミングで、応答データD20の送信が終了した場合に、前記第1データ量と前記第2データ量とが一致すると判断する。
【0099】
ここで、スレーブデバイス12は、前記第1データ量と前記第2データ量とが一致すると判断すると(S38のYes側)、処理をステップS39に移行させる。また、前記第1データ量と前記第2データ量とが一致しなければ(S38のNo側)、スレーブデバイス12は、前記応答データ送信処理を終了させる。
【0100】
<ステップS39>
ステップS39において、スレーブデバイス12は、データ送信の完了を通知する。具体的に、マスターデバイス4は、INT信号線86をアサートする。ここで、ステップS39の処理は、スレーブデバイス12の出力処理部26により実行される。
【0101】
このように、画像形成装置2では、マスターデバイス4からの要求データD10の送信に応じてスレーブデバイス12から送信される応答データD20に含まれる前記格納データのデータ量に基づいて、SDO信号線82の断線に起因するシリアルバス8の通信異常が検出される。これにより、スレーブデバイス12の記憶部14の記憶内容に関わらず、マスターデバイス4からスレーブデバイス12へのデータ送信に用いられるSDO信号線82の断線に起因するシリアルバス8の通信異常を検出することが可能である。
【0102】
また、画像形成装置2では、前記送信タイミングの到来に応じて、マスターデバイス4からスレーブデバイス12へ、前記第2要求データが送信される。これにより、任意のタイミングでシリアルバス8の通信異常を検出することが可能である。なお、マスターデバイス4が送信処理部27を備えない構成が他の実施形態として考えられる。
【0103】
なお、報知処理部29は、通信異常の原因と考えられる信号線を報知してもよい。例えば、報知処理部29は、前記通信状態確認処理のステップS17で応答データD20に含まれる前記格納データが前記特定格納データでないと判断された場合は、SDI信号線84の異常に起因して通信異常が発生した可能性がある旨を報知してもよい。また、報知処理部29は、前記通信状態確認処理のステップS15でステップS14の処理の実行時から前記第1時間が経過したと判断された場合は、CLK信号線81、SDO信号線82、EN信号線83、CS信号線85、及びINT信号線86のいずれか一つ又は複数の異常に起因して通信異常が発生した可能性がある旨を報知してもよい。また、スレーブデバイス12は、通信異常が疑われる信号線をマスターデバイス4に通知してもよい。例えば、スレーブデバイス12は、前記応答データ送信処理のステップS38で前記第1データ量と前記第2データ量とが一致しないと判断された場合に、その旨をINT信号線86又は他の通知手段を用いてマスターデバイス4に通知してもよい。この場合、マスターデバイス4は、スレーブデバイス12からの通知に基づいて、SDO信号線82の異常に起因して通信異常が発生した可能性がある旨を報知してもよい。
【0104】
また、マスターデバイス4は、クロック信号SIG10に替えて、前記第1データ量を特定可能な他の信号を送信してもよい。
【0105】
また、第1判定処理部25及び出力処理部26は、マスターデバイス4に設けられてもよい。つまり、マスターデバイス4が、スレーブデバイス12からマスターデバイス4へ送信されるクロック信号SIG10に基づいて、前記第1データ量と前記第2データ量との一致を判定してもよい。この場合、クロック信号SIG10は、前記第2データ量を特定するための信号である。スレーブデバイス12は、マスターデバイス4が要求データD10の送信及び応答データD20の受信に必要なクロック数のクロック信号SIG10を出力すればよい。
【符号の説明】
【0106】
2 画像形成装置
4 マスターデバイス
5 DMAコントローラー
6 メモリー
8 シリアルバス
10 機能部
12 スレーブデバイス
14 記憶部
25 第1判定処理部
26 出力処理部
27 送信処理部
28 第2判定処理部
29 報知処理部
41 原稿搬送部
42 画像読取部
43 画像形成部
44 給紙部
81 CLK信号線
82 SDO信号線
83 EN信号線
84 SDI信号線
85 CS信号線
86 INT信号線
図1
図2
図3
図4
図5
図6