(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】無人航空機およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
B64D 1/16 20060101AFI20240228BHJP
B64C 27/08 20230101ALI20240228BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20240228BHJP
B64D 47/08 20060101ALI20240228BHJP
B05B 9/04 20060101ALI20240228BHJP
B05B 12/08 20060101ALI20240228BHJP
B05B 17/00 20060101ALI20240228BHJP
B64U 10/14 20230101ALI20240228BHJP
B64U 101/28 20230101ALN20240228BHJP
【FI】
B64D1/16
B64C27/08
B64C39/02
B64D47/08
B05B9/04
B05B12/08
B05B17/00 101
B64U10/14
B64U101:28
(21)【出願番号】P 2020045726
(22)【出願日】2020-03-16
【審査請求日】2023-02-15
(31)【優先権主張番号】P 2019232051
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小南 敦嗣
(72)【発明者】
【氏名】荒木 宗司
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第206437218(CN,U)
【文献】特開2017-104063(JP,A)
【文献】特開2019-127084(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110217395(CN,A)
【文献】米国特許第10011352(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 9/04
B05B 12/08
B05B 17/00
B64C 27/08
B64C 39/02
B64D 1/16
B64D 47/08
B64U 10/14
B64U 101/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人航空機の制御方法であって、
前記無人航空機の容器に充填された内容物を吐出する吐出対象の近傍へと前記無人航空機を誘導する段階と、
前記内容物を吐出する吐出口と前記容器との間に伸縮自在に設けられた伸縮部を伸縮制御する段階と、
前記誘導する段階の後であって前記伸縮制御する段階の前に、前記吐出対象の外形および前記吐出対象までの距離を検出する段階であって、前記吐出対象が凹凸部を有する場合、前記伸縮部が前記吐出対象の凸状部に至る前に、前記凹凸部の存在を検出する、検出する段階と、
前記内容物を前記吐出対象に吐出する段階と、
を備え
、
前記伸縮制御する段階は、前記無人航空機が前記吐出対象に対して移動する際に、前記吐出対象に対する前記吐出口の距離を一定に保つように、前記伸縮部を伸縮制御する、方法。
【請求項2】
前記内容物を前記吐出対象に吐出する段階の前に、前記吐出対象に対して前記吐出口を角度制御する段階を備える、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記吐出対象に対して前記無人航空機を予め定められた方向に移動させる段階と、
前記無人航空機を移動させる間に、前記吐出対象の外形に応じて前記伸縮部を伸縮制御する段階と、を備える、
請求項
1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記吐出対象の検出の結果に基づいて、前記吐出対象に対する前記無人航空機の位置および角度を調整する段階を備える、請求項
1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記吐出口を前記吐出対象の外形に追従するように移動させる段階を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人航空機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流体噴射ノズルを備えた無人航空機が知られている。(例えば、特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2019-18589号公報
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、容器内の内容物を吐出する吐出口と、吐出口と容器とを接続する伸縮可能な伸縮部と、伸縮部の伸縮を制御する吐出位置制御部とを備える、無人航空機を提供する。
【0004】
無人航空機は、無人航空機の飛行情報および制御情報を取得する取得部を備えてよい。吐出位置制御部は、取得部の取得結果に基づいて伸縮を制御してよい。
【0005】
取得部は、飛行中の姿勢を検出するための姿勢検出部を含んでよい。
【0006】
取得部は、内容物を吐出する吐出対象の形状を検出する形状検出部を含んでよい。
【0007】
無人航空機は、吐出口に併設された、吐出対象までの距離を測定する測距センサを備えてよい。取得部は、測距センサから測定結果を取得してよい。
【0008】
無人航空機は、内容物を吐出する吐出対象に対する吐出口の角度を制御可能な回転機構を備えてよい。吐出位置制御部は、取得結果に基づいて、回転機構を動作させて吐出口の角度を制御してよい。
【0009】
無人航空機は、無人航空機の本体部に伸縮部を接続する回転接続部を備えてよい。回転機構は、回転接続部を回転駆動させることにより伸縮部の角度を制御してよい。
【0010】
無人航空機は、飛行中の姿勢を検出するための姿勢検出部を備えてよい。吐出位置制御部は、姿勢検出部の検出結果に基づいて伸縮を制御してもよい。
【0011】
伸縮部は、第1延伸部と、第1延伸部より伸縮部の先端側に設けられた第2延伸部と、第1延伸部と第2延伸部とを屈曲可能に接続する屈曲部とを有してよい。
【0012】
伸縮部は、内部の圧力が増加することにより膨張するバルーン構造部を有し、バルーン構造部が膨張することにより伸展してよい。
【0013】
伸縮部は、内部の圧力の変動により伸縮するピストンシリンダを有してよい。ピストンシリンダは、筐体と、筐体から少なくとも一部が突出するように設けられたロッド部と、筐体の内部におけるロッド部の端部に設けられた駆動部であって、筐体の内部における気圧差により移動してロッド部の筐体からの突出長さを変動させる駆動部と、を含んでよい。
【0014】
伸縮部は、弾性体を有し、弾性体の復元力により収縮してよい。
【0015】
無人航空機は、伸縮部に併設された巻取部を備えてよい。巻取部は、伸縮部を回転動作により巻き取って、伸縮部を収縮させてよい。
【0016】
無人航空機は、伸縮部の内部の圧力を変動させる圧力源を備えてよい。伸縮部は、内部の圧力変動により伸縮してよい。
【0017】
圧力源は、伸縮部の内部の気圧を変動させてよい。
【0018】
圧力源は、エアゾール容器であってよい。
【0019】
内容物は、液体、ゾル、またはゲルのうちの少なくとも1つであってよい。
【0020】
本発明の第2の態様においては、無人航空機の制御方法を提供する。無人航空機の制御方法は、無人航空機の容器に充填された内容物を吐出する吐出対象の近傍へと無人航空機を誘導する段階と、内容物を吐出する吐出口と容器との間に伸縮自在に設けられた伸縮部を伸縮制御する段階と、内容物を吐出対象に吐出する段階と、を備える。
【0021】
無人航空機の制御方法は、内容物を吐出対象に吐出する段階の前に、吐出対象に対して吐出口を角度制御する段階を備えてよい。
【0022】
無人航空機の制御方法は、吐出対象に対して前記無人航空機を予め定められた方向に移動させる段階と、無人航空機を移動させる間に、吐出対象の外形に応じて伸縮部を伸縮制御する段階と、を備えてよい。
【0023】
無人航空機の制御方法は、誘導する段階の後であって伸縮制御する段階の前に、吐出対象の外形および吐出対象までの距離を検出する段階を備えてよい。
【0024】
無人航空機の制御方法は、吐出対象の検出の結果に基づいて、吐出対象に対する無人航空機の位置および角度を調整する段階を備えてよい。
【0025】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1A】無人航空機100の伸縮部40が収縮状態における側面図の一例を示す。
【
図1B】無人航空機100の伸縮部40が伸展状態における側面図の一例を示す。
【
図1C】測距センサ77を備える無人航空機100の側面図の一例を示す。
【
図1D】測距センサ77を備える無人航空機100の側面図の一例を示す。
【
図2】吐出位置制御部16の機能に関するブロック図の概要を示す。
【
図3A】収縮状態における伸縮機構45の一例を示す。
【
図3B】伸展状態における伸縮機構45の一例を示す。
【
図4A】収縮過渡状態における伸縮機構45の別例を示す。
【
図4B】伸展過渡状態における伸縮機構45の別例を示す。
【
図5A】容器70から供給される圧力で伸縮機構45を動作させる、収縮状態における無人航空機100の側面図の一例を示す。
【
図5B】容器70から供給される圧力で伸縮機構45を動作させる、伸展過渡状態における無人航空機100の側面図の一例を示す。
【
図5C】容器70から供給される圧力で伸縮機構45を動作させる、伸展状態における無人航空機100の側面図の一例を示す。
【
図6A】容器70から供給される圧力で伸縮機構45を動作させる、収縮状態における無人航空機100の側面図の別例を示す。
【
図6B】容器70から供給される圧力で伸縮機構45を動作させる、伸展状態における無人航空機100の側面図の別例を示す。
【
図8A】伸縮部40が収縮状態における巻取部250の一例を示す。
【
図8B】伸縮部40が伸展過渡状態における巻取部250の一例を示す。
【
図8C】伸縮部40が伸展状態における巻取部250の一例を示す。
【
図10A】巻取部250を有する無人航空機100について、伸縮部40が収縮状態における側面図の一例を示す。
【
図10B】巻取部250を有する無人航空機100について、伸縮部40が伸展過渡状態における側面図の一例を示す。
【
図10C】巻取部250を有する無人航空機100について、伸縮部40が伸展状態における側面図の一例を示す。
【
図10D】巻取部250を有する無人航空機100について、管部65の吐出準備完了状態における側面図の一例を示す。
【
図11A】巻取部250を有する無人航空機100について、伸縮部40が収縮状態における側面図の別例を示す。
【
図11B】巻取部250を有する無人航空機100について、伸縮部40が伸展過渡状態における側面図の別例を示す。
【
図11C】巻取部250を有する無人航空機100について、伸縮部40が伸展状態における側面図の別例を示す。
【
図11D】巻取部250を有する無人航空機100について、管部65の吐出準備完了状態における側面図の別例を示す。
【
図12】測距センサ77の検知範囲78を示す側面図の一例を示す。
【
図13A】凹凸を有する吐出対象300に対し、無人航空機100が並進する制御をする場合の側面図の一例を示す。
【
図13B】凹凸を有する吐出対象300に対し、無人航空機100が並進する制御をする場合の側面図の一例を示す。
【
図14A】凹凸を有する吐出対象300に対し、無人航空機100が並進する制御をする場合の上面図の一例を示す。
【
図14B】凹凸を有する吐出対象300に対し、無人航空機100が並進する制御をする場合の上面図の一例を示す。
【
図15】容器70および支持部30周辺の拡大図の一例を示す。
【
図16A】曲面状の吐出対象300に対し、伸縮部40を回転する制御をする場合の上面図の一例を示す。
【
図16B】曲面状の吐出対象300に対し、伸縮部40を回転する制御をする場合の上面図の一例を示す。
【
図17A】凹凸を有する吐出対象300に対し、伸縮部40を回転する制御をする場合の側面図の一例を示す。
【
図17B】凹凸を有する吐出対象300に対し、伸縮部40を回転する制御をする場合の側面図の一例を示す。
【
図17C】凹凸を有する吐出対象300に対し、伸縮部40を回転する制御をする場合の側面図の一例を示す。
【
図17D】凹凸を有する吐出対象300に対し、伸縮部40を回転する制御をする場合の側面図の一例を示す。
【
図18A】二段階伸縮する伸縮部40を有する無人航空機100について、伸縮部40が収縮状態における側面図の一例を示す。
【
図18B】二段階伸縮する伸縮部40を有する無人航空機100について、第1延伸部66が伸展した状態における側面図の一例を示す。
【
図18C】二段階伸縮する伸縮部40を有する無人航空機100について、第2延伸部68が伸展した状態における側面図の一例を示す。
【
図18D】二段階伸縮する伸縮部40を有する無人航空機100について、伸縮部40を回転させた状態における側面図の一例を示す。
【
図20A】伸縮部40が収縮過渡状態における、二段階伸縮する伸縮部40の一例を示す。
【
図20B】第1延伸部66が伸展した収縮過渡状態における、二段階伸縮する伸縮部40の一例を示す。
【
図20C】伸縮部40が収縮状態における、二段階伸縮する伸縮部40の一例を示す。
【
図21】無人航空機100の制御方法400のフロー図の一例を示す。
【
図22】無人航空機100の制御方法400のフロー図の別例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0028】
図1Aは、無人航空機100の伸縮部40が収縮状態における側面図の一例を示す。本例の無人航空機100は、本体部10と、撮像装置12と、本体部10に含まれる取得部14と、脚部15と、推進部20と、腕部24と、支持部30と、伸縮部40と、吐出口60と、容器70とを備える。
【0029】
無人航空機100は、空中を飛行する飛行体である。無人航空機100は、容器70に収容された内容物を吐出口60から吐出する。
【0030】
本体部10は、無人航空機100の各種制御回路および電源等を格納する。また、本体部10は、無人航空機100の構成同士を連結する構造体として機能してよい。本例の本体部10は、腕部24によって推進部20に連結されている。本例の本体部10は、無人航空機100の周囲を撮像する撮像装置12を備え、本体部10の内部に撮像装置12と接続された取得部14を備える。
【0031】
推進部20は、無人航空機100を推進させるための推進力を発生する。推進部20は、回転翼21および回転駆動装置22を有する。本例の無人航空機100は、4つの推進部20を備える。推進部20は、腕部24を介して本体部10に取り付けられている。なお、無人航空機100は、推進部20として固定翼を備える飛行体であってもよい。
【0032】
回転翼21は、回転によって推進力を発生する。回転翼21は、本体部10を中心として4つ設けられているが、回転翼21の配置方式は本例に限られない。回転翼21は、腕部24の先端に回転駆動装置22を介して設けられる。
【0033】
回転駆動装置22は、モータ等の動力源を有し、回転翼21を駆動させる。回転駆動装置22は、回転翼21のブレーキ機構を有してよい。一例として、回転駆動装置22の制御は、本体部10に設けられた制御回路によって行われる。ただし、回転駆動装置22の制御装置は、回転駆動装置22に組み込まれてよく、併設されていてもよい。回転翼21および回転駆動装置22は、腕部24を省略して本体部10に直接取り付けられてもよい。
【0034】
腕部24は、一例として、本体部10から放射状に延伸して設けられる。本例の無人航空機100は、4つの推進部20それぞれに対応するように設けられた4つの腕部24を備える。ただし、推進部20および腕部24の個数は、無人航空機100の飛行中の姿勢を保つのに十分な個数が設けられる限り、4つに限定されない。一例として、腕部24が4つ設けられる場合には、本体部10を中心とする4回回転対称性を有する位置に設けられてよい。ただし、腕部24の延伸する方向は、無人航空機100の姿勢を保持するのに適した方向であればよく、無人航空機100の重心位置に応じて回転対称な方向とは異なる方向に延伸してもよい。腕部24は、固定式であってよく、可動式であってもよい。
【0035】
脚部15は、本体部10に連結されて、着陸時または着水時等に無人航空機100の姿勢を保持する脚である。脚部15は、推進部20を停止した状態で、無人航空機100の姿勢を保持する。本例の無人航空機100は、2本の脚部15を有するが、脚部の本数と構造はこれに限定されない。
【0036】
支持部30は、伸縮部40および容器70を支持する。支持部30は、金属または硬性樹脂等の剛性を有する部材で設けられてよい。支持部30は、伸縮部40または容器70を支持する方向を傾ける機構を有してよく、角度を変えるための屈曲要素を有してもよい。
【0037】
伸縮部40は、伸縮機構45と、容器内の内容物を吐出する吐出口60と、吐出口60および容器70を接続する管部65とを有する。伸縮部40は、伸縮機構45が動作することにより、長さを変動させることができる。回転翼21等の無人航空機100の他の部材が入り込みにくい場所であっても、伸縮部40を伸展させることにより、吐出口60から、特に
図12において後述する吐出対象300を正確に狙って内容物を吐出できるようになる。
【0038】
伸縮機構45は、圧力により動作する機構であってよく、モータ等で機械的に動作する機構であってもよい。本例の伸縮機構45は、管部65に並進して、管部65とは別個に設けられる。別の例において、管部65は、伸縮性を有する膜状の部材等のバルーン構造で設けられ、バルーン構造に流体を流入および流出させることにより、管部65自体が伸縮する。このような例は、管部65自体が伸縮機構45を有する例に相当する。
【0039】
吐出口60は、管部65において、容器70側とは反対側の端部に設けられる。吐出口60は、容器70内の内容物を吐出対象300へと吐出する。一例として、吐出口60は、吐出される内容物の流量、流速、および圧力等を調整するノズルを含む。
【0040】
管部65は、吐出口60と、容器70とを流体連通する。一例として、管部65は、可撓性を有する弾性体に補強材を取り込んだホースであるが、弾性体のみからなるチューブであってもよい。一例として、管部65の断面は、円形であるが、多角形形状であってもよい。管部65を通じて、容器70から内容物が吐出口60へと注入される。
【0041】
撮像装置12は、無人航空機100の周囲の映像を撮像する。一例として、撮像装置12は、CMOSカメラ、またはCCDカメラ等である。ただし、撮像装置12は、周囲の映像を撮像可能であればよく、他の撮像装置であってよい。撮像装置12の撮像する映像は、可視光(波長約360nm~約830nmの電磁波)の映像にも限定されるものではなく、撮像装置12は、より長い波長領域の電磁波(例えば、約830nm~約15μmの赤外線領域)による映像を撮像する、赤外線カメラ等であってもよい。本例では、撮像装置12は、一個設けられるが、撮像したい映像の種類、撮像範囲等に応じて複数の撮像装置12が設けられてもよい。また、本例では、撮像装置12は、本体部10に設けられるが、撮像装置12は、無人航空機100の異なる位置に設けられていてもよい。
【0042】
取得部14は、無人航空機100の飛行情報および制御情報を取得する。本例の取得部14は、本体部10に設けられるが、異なる位置に設けられていてもよい。本例の取得部14は、撮像装置12に電気的に接続され、撮像装置12から映像データまたは画像データを受信する。ただし、取得部14は、撮像装置12と一体的に設けられてよく、撮像装置12と通信接続されていてもよい。本例の取得部14は、撮像装置12の撮像結果を解析して、無人航空機100の飛行情報および吐出位置制御部16の制御情報等を取得する。
【0043】
吐出位置制御部16は、伸縮部40の伸縮状態を制御する。本例の吐出位置制御部16は、本体部10に設けられるが、異なる位置に設けられていてもよい。本例の吐出位置制御部16は、取得部14と電気的に接続され、取得部14から取得結果を受信する。ただし、吐出位置制御部16は、取得部14と通信接続されていてもよい。吐出位置制御部16は、取得部14の検出結果に基づいて伸縮部40の伸縮または角度を制御できる。
【0044】
容器70は、内容物を充填する容器である。一例において、容器70は、内部に充填された内容物を吐出するエアゾール容器である。別例において、内容物は、液体、ゾル、またはゲルのうちの少なくとも1つである。エアゾール容器は、内部に充填された液化ガスまたは圧縮ガスのガス圧によって、内容物を噴出する。本例の容器70は、金属製のエアゾール缶であるが、耐圧性を有するプラスチック容器であってもよい。
【0045】
図1Bは、無人航空機100の伸縮部40が伸展状態における側面図の一例を示す。以下では主に
図1Aとの相違点について述べる。本例では、伸縮機構45の動作により、管部65が撓んだ状態から引き伸ばされ、伸縮部40の長さも
図1Aの伸縮部40の長さより伸展している。
【0046】
伸縮部40が伸展状態にある場合、伸縮機構45が動作して、伸縮部40の長さを収縮させることができる。これにより、無人航空機100の慣性モーメントが減少する。従って、無人航空機100が高速に飛行した場合でも、振動から受ける慣性力による回転トルクを減少し、飛行姿勢が安定する。
【0047】
さらに、伸縮部40が収縮状態にある場合には、無人航空機100の飛行時において、無人航空機100が狭隘部に入り込んでも、伸縮部40が周囲の物体に衝突するリスクが低減する。これにより、無人航空機100の飛行制御を促進する。
【0048】
図1Cは、測距センサ77を備える無人航空機100の側面図の一例を示す。本例では、特に
図1Aおよび
図1Bにおける無人航空機100との相違点について主に述べる。
【0049】
本例の無人航空機100は、伸縮部40に測距センサ77を有する。測距センサ77は、吐出口60に併設されていてよい。測距センサ77は、
図13Aを参照して後述する吐出対象300と吐出口60との距離D
Tを測定する。測距センサ77が伸縮部40に設けられていることにより、吐出対象300と、伸縮部40の先端に設けられた吐出口60との距離D
Tを精密に測定できる。
【0050】
図1Dは、測距センサ77を備える無人航空機100の側面図の一例を示す。本例では、特に
図1Cの例との相違点について主に述べる。
【0051】
測距センサ77が設けられる場所は、伸縮部40に限定されない。本例では測距センサ77は、本体部10に設けられている。
【0052】
図2は、吐出位置制御部16の機能に関するブロック図の概要を示す。吐出位置制御部16は、取得部14の検出した伸縮部40を制御する。
【0053】
撮像装置12は、無人航空機100の周囲を撮像する。撮像装置12の撮像する映像は、複数の静止画であってよく、動画であってもよい。撮像装置12の撮像した映像は、取得部14へと送信される。一例として取得部14は、姿勢検出部26と、形状検出部28とを有してよい。
【0054】
姿勢検出部26は、飛行中の姿勢を検出する。一例として、取得部14は、ジャイロスコープ、加速度計、近接センサ、または慣性センサ等のセンサデバイスを含む。本例の取得部14は、撮像装置12に電気的に接続され、撮像装置12から画像を受信する。ただし、取得部14は、撮像装置12と一体的に設けられてよく、撮像装置12と通信接続されていてもよい。本例の取得部14は、撮像装置12の撮像結果を解析して、無人航空機100の姿勢が安定しているか否かを検出する。
【0055】
姿勢検出部26は、無人航空機100の姿勢の安定の是非を判定する。本例の取得部14は、撮像装置12の撮像結果に基づいて、無人航空機100の姿勢を検出し、無人航空機100の姿勢の安定性の有無を判定する。ただし、取得部14がジャイロスコープ、加速度計、近接センサ、または慣性センサ等の異なるセンサデバイスを含む場合には、取得部14は、異なるセンサデバイスの測定結果に基づいて姿勢検出を行ってもよい。さらには、取得部14は、撮像装置12の検出結果と、異なるセンサデバイスの測定結果とを組み合わせて姿勢検出を行ってもよい。取得部14は、無人航空機100の姿勢に係る検出結果を吐出位置制御部16へと送信する。
【0056】
形状検出部28は、容器70の内容物を吐出する吐出対象300の形状を検出する。一例として、形状検出部28は、撮像装置12の撮像した映像データまたは画像データに基づき、特徴量抽出を行う。特徴量抽出は、特徴ベクトルの抽出に基づいてもよい。形状検出部28は、特徴ベクトルに対して機械学習を行い、3D情報を抽出する。さらに、形状検出部28は、吐出対象300の材質や温度等の情報を抽出してもよい。形状検出部28は、吐出対象300の外形情報を3D地図の形でまとめてもよい。
【0057】
形状検出部28は、吐出対象300の他の情報を検出してもよい。一例として、形状検出部28は、吐出対象300の温度または材質等の付加情報を検出する。例えば、撮像装置12が温度情報を検知可能な赤外線カメラとしての機能を有する場合には、形状検出部28による温度の検出が可能である。
【0058】
一例として、取得部14は、姿勢検出部26および形状検出部28の検出情報をまとめて、無人航空機100の飛行情報および制御情報を取得してよい。一例として、取得部14は、測距センサ77から測定結果を取得する。別例において、取得部14は、外部のサーバ等の情報処理システムと通信を行い、撮像装置12の映像データまたは画像データを送信し、無人航空機100の飛行情報および制御情報を取得してよい。取得部14は、無人航空機100の伸縮部40の制御情報を吐出位置制御部16に送信する。
【0059】
無人航空機100は、取得部14が取得した飛行情報に基づいて、移動してよい。一例として、飛行情報は、取得部14が外部サーバと通信することにより取得した吐出対象300の近傍までの地図情報を含む。別例において、飛行情報は、撮像装置12および形状検出部28による、無人航空機100周囲の3D情報、および無人航空機100の自己位置抽出情報等を含む。
【0060】
吐出位置制御部16は、取得部14から制御情報を受信する。吐出位置制御部16は、取得部14の検出結果に基づいて、伸縮部40の伸縮または角度を制御する。
【0061】
吐出位置制御部16は、姿勢検出部26の検出結果に基づいて伸縮部40を制御してよい。吐出位置制御部16は、無人航空機100が予め定められた姿勢にある場合にのみ、伸縮制御を行うよう設定されてよい。本例の吐出位置制御部16は、姿勢の安定している状態において、伸縮部40の伸縮制御を行う。すなわち、無人航空機100が飛行停止し、着陸または着水等の降着している状態、または無人航空機100が空中でホバリングしている状態等となり、無人航空機100の姿勢が安定している場合にのみ、伸縮動作を許可する制御である。これにより、伸縮動作自体により、無人航空機100の姿勢が大きく変動する状況を回避し、伸縮制御を安定して行うことができる。
【0062】
吐出位置制御部16は、形状検出部28の吐出対象300の検出結果に基づいて伸縮部40を制御してよい。形状検出部28の検出により、吐出対象300の外形、および吐出対象300から無人航空機100までの距離DT等に応じて、伸縮部40を角度制御または伸縮制御できる。これにより、吐出対象300に対する吐出口60の位置および角度を、内容物の物性に適した条件に調整できる。また、吐出位置制御部16は、風速、湿度、または温度等の飛行情報にも基づいて、内容物に適した条件に基づいて伸縮部40の伸縮制御または角度制御を行ってもよい。
【0063】
図3Aは、収縮状態における伸縮機構45の一例を示す。本例の伸縮機構45は、ロッド部150と、筐体140と、回転部142と、連繋部144と、連繋部144に固定されたロッド固定部146とを備える。本例の伸縮機構45は、圧力によらずに動作する。
【0064】
ロッド部150は、一部が筐体140内に設けられ、他の部分が筐体140の外部に突出する。本例のロッド部150は、金属で設けられる。ただし、ロッド部150は、剛性を有する。ロッド部150は、管部65に接続される。ロッド部150の筐体140から突出する長さが変動することにより、管部65を伸縮させる。
【0065】
回転部142は、モータ等の駆動機構に接続されることにより回転する。回転部142は、複数設けられてよく、連繋部144に対して、噛み外れまたは滑り等による飛びが生じることなく噛み合わされる。回転部142は、プーリであってよく、歯車ギアであってもよい。
【0066】
連繋部144は、回転部142間に延伸する。連繋部144は、ベルトであってよく、チェーンであってもよい。連繋部144は、回転部142の回転に応じて、回転部142と同一の方向へと回転する。
【0067】
ロッド固定部146は、ロッド部150を連繋部144上に固定する。ロッド固定部146は、一例として、ロッド部150の側面から延伸するシャフトピン148と、シャフトピン148を挟持して連繋部144上に固定するクランプ147と、を含む。ただし、ロッド固定部146の構造は、ロッド部150を連繋部144上に固定できればよく、クランプ147およびシャフトピン148に限定されない。
【0068】
シャフトピン148が、クランプ147により連繋部144上に固定されているので、回転部142の回転とともに、シャフトピン148は、並進移動を行う。当該並進移動により、ロッド部150も筐体140に対して並進移動をし、ロッド部150が筐体140から突出する長さが変動する。
【0069】
図3Bは、伸展状態における伸縮機構45の一例を示す。本例では、ロッド部150が筐体から突出する長さが増大した状態が示される。以下では、主に
図3Aとの相違点について述べる。
【0070】
本例では、ロッド固定部146は、筐体140におけるロッド部150が突出する側面側に移動する。これにより、ロッド部150が筐体140から突出する長さが増大している。
【0071】
回転部142を、伸縮部40が伸展方向に動作する方向と逆に回転させることにより、ロッド固定部146をロッド部150が筐体140から突出する側面と逆側に移動させる。これにより、ロッド部150は、より多くの部分が筐体140に格納され、伸縮部40が収縮する。
【0072】
図4Aは、収縮過渡状態における伸縮機構45の別例を示す。本例の伸縮機構45は、内部の圧力の変動により伸縮するピストンシリンダである。伸縮機構45は、筐体140と、筐体140から少なくとも一部が突出するように設けられたロッド部150と、筐体140の内部におけるロッド部の150の端部に設けられた駆動部170と、筐体140に設けられた圧力供給口172と、筐体内の駆動部170により仕切られた各領域174とを備える。本例の伸縮機構45は、駆動部170に付与される圧力差により動作する。
【0073】
複数の圧力供給口172は、筐体140の延伸方向における端部付近に設けられてよい。一例として、圧力供給口172bは、ロッド部150が筐体140から突出する側の側面近傍に設けられる。一方、圧力供給口172aは、ロッド部150が筐体140から突出する側の側面に対向する側面の近傍に設けられる。
【0074】
駆動部170により、筐体140の内部の各領域174が仕切られる。筐体140の内部の各領域174において、圧力供給口172a側の領域を領域174aとし、圧力供給口172b側の領域を領域174bとする。ロッド部150は、筐体140内において駆動部170により仕切られた領域174aおよび174bの圧力差により動作する。
【0075】
圧力供給口172を通じて流体が流出または流入する。本例においては、圧力供給口172aから流体が筐体140内から流出し、領域174aの圧力が減少する。一方で、圧力供給口172bから流体が筐体140内に流入し、領域174bの圧力が増大する。これにより、領域174aにおける駆動部170への圧力は、領域174bにおける駆動部170への圧力より小さくなる。従って、駆動部170が、筐体内部に向かう方向に並進移動し、ロッド部150の筐体140から突出する長さは減少する。領域174aおよび領域174bに圧力差が生じればよく、圧力供給口172aからの流体の流出および圧力供給口172bからの流体の流入のうち、少なくとも一方が行われればよい。
【0076】
領域174aおよび領域174bに提供される流体は、気体であってよく、液体であってもよい。即ち、流体が気体である場合には、駆動部170は、筐体140の内部における気圧差により移動して、ロッド部150の筐体140からの突出長さを変動させる。また、領域174aおよび領域174bを満たす流体は、異種の流体であってもよい。
【0077】
図4Bは、伸展過渡状態における伸縮機構45の別例を示す。本例では、ロッド部150が筐体から突出する長さが増大した状態が示される。以下では主に
図4Aとの相違点について述べる。
【0078】
本例においては、圧力供給口172aから流体が筐体140内に流入し、領域174a内の圧力が増大する。一方で、圧力供給口172bから流体が筐体140内から流出し、領域174bの圧力が減少する。これにより、領域174aにおける駆動部170への圧力は、領域174bにおける駆動部170への圧力より大きくなる。従って、駆動部170が、筐体内部に向かう方向に並進移動し、ロッド部150の筐体140から突出する長さは減少する。領域174aおよび領域174bに圧力差が生じればよく、圧力供給口172aからの流体の流入および圧力供給口172bからの流体の流出のうち、少なくとも一方が行われればよい。
【0079】
図5Aは、容器70から供給される圧力で伸縮機構45を動作させる、収縮状態における無人航空機100の側面図の一例を示す。容器70から管部65へと内容物が注入されると、内容物に押し出された管部65が伸展する。
【0080】
本例の管部65は、弾性を有し、収縮状態において予め定められた方向に回転して容器70側へと巻き取られる。ただし、管部65の弾性は低く、内容物が加える圧力を予め定められた大きさに設定することにより、内容物の注入による押出力のみにより管部65を伸展できる。伸展した管部65の端部に設けられた吐出口60から内容物が対象に吐出される。
【0081】
本例では、容器70以外の圧力源を設けなくとも伸縮部40を動作できる。さらに、伸縮部40において、管部65以外の伸縮機構45を設けずとも、伸縮動作を実装できる。
【0082】
図5Bは、容器70から供給される圧力で伸縮機構45を動作させる、伸展過渡状態における無人航空機100の側面図の一例を示す。容器70から、内容物が管部65に注入されることにより、管部65が伸展する途中の状態の無人航空機100が示される。
【0083】
図5Cは、容器70から供給される圧力で伸縮機構45を動作させる、伸展状態における無人航空機100の側面図の一例を示す。容器70から、管部65への圧力提供が停止する場合、または管部65から内容物を容器70へと吸引される場合に、管部65は、収縮動作を開始する。管部65は弾性を有するので、収縮状態において予め定められた方向に回転して容器70側へと巻き取られる。
【0084】
図6Aは、容器70から供給される圧力で伸縮機構45を動作させる、収縮状態における無人航空機100の側面図の別例を示す。以下では、
図5Aの例との相違点に注目して説明する。本例の無人航空機100は、圧力源80と、圧力供給路85とを備える。
【0085】
本例の伸縮機構45は、圧力供給部90およびバルーン構造部95を有する。バルーン構造部95は、内部の圧力が増加することにより膨張する。
【0086】
圧力供給部90は、圧力供給路85を介して圧力源80に流体連通される。圧力供給部90は、バルーン構造部95の注入口を固定する。別の例において、圧力供給部90は、圧力源80またはバルーン構造部95からの流体の流れを制御するバルブを有してよく、バルーン構造部95から流体を吸引する吸引装置を有してもよい。
【0087】
圧力源80の内部に格納された流体は、圧力源80から圧力供給路85を介してバルーン構造部95へと注入される。これにより、バルーン構造部95は、流体で満たされて膨張し、伸縮部40は、バルーン構造部95が膨張することにより伸展する。即ち、圧力源80は、伸縮部40の内部の圧力を変動させ、伸縮部40は、内部の圧力変動により伸縮する。
【0088】
圧力源80の供給する流体は、一例として気体であるが、これに限定されない。圧力源80が気体を供給する場合、圧力源80は、伸縮部40の内部の気圧を変動させる。この場合、圧力源80は、エアゾール容器であってよい。圧力源80にエアゾール容器のような耐圧容器を使用する場合、流体に液化ガスを使用してもよい。その場合、圧力供給路85または、バルーン構造部95内で液化ガスを気化させ、圧力を発生させてもよい。
【0089】
バルーン構造部95は、管部65に隣接して並進するように、管部65に接合された構造を有して設けられてよい。従って、バルーン構造部95が膨張して伸展する場合に、並進する管部65も伸展する。本例のバルーン構造部95は、管部65に二本併設される。ただし、異なる本数のバルーン構造部95が設けられてもよい。
【0090】
本例において、容器70とは別個に設けられた圧力源80は、伸縮部40を伸展するための圧力を提供する。従って、圧力源80は、バルーン構造部95に対して、容器70から提供される圧力より大きな圧力を提供できる。これにより、管部65が高い弾性を有し、伸展しづらい場合にも伸展できる。また、容器70から吐出する内容物の提供を途中で止めた場合にあっても、管部65が伸展した状態を維持できる。
【0091】
本例の管部65は、収縮状態において予め定められた方向に回転して収縮するための弾性を有してよい。ただし、管部65は、
図7において後述する弾性体210を別個に有していてもよい。
【0092】
図6Bは、容器70から供給される圧力で伸縮機構45を動作させる、伸展状態における無人航空機100の側面図の一例を示す。本例では、2本のバルーン構造部95が伸展し、並進する管部65も伸展している。
【0093】
図7は、伸縮部40の断面斜視図の一例を示す。本例は、
図6Bの面Bによって切断した断面から無人航空機100側に所定の距離を表示した斜視図の一例である。
【0094】
伸縮部40は、弾性体210を備える。伸縮部40は、弾性体210の復元力により収縮する。
【0095】
弾性体210は、一例として、ゴムであってよく、バネを含んでもよい。弾性体210の定常状態は、伸縮部40が伸縮した状態に設定される。バルーン構造部95に流体が満たされ、管部65が伸展状態にある場合には、復元力より強い伸展方向の力が付与される。一方で、バルーン構造部95から流体が除去される場合、弾性体210は、復元力により、伸縮部40を収縮させる。
【0096】
図8Aは、伸縮部40が収縮状態における巻取部250の一例を示す。本例の巻取部250は、モーター等の駆動装置に接続され、モーターに適用する電流の極性を変えることにより巻出方向および巻取方向の双方向に回転する。
【0097】
巻取部250が、巻出方向に回転すると、巻取部250により巻き取られていた管部65およびバルーン構造部95が巻き出され、伸縮部40が伸展する。本例では、巻取部250に容器70内の内容物の供給路である流路75と、圧力供給路85とが接続されている。
【0098】
本例のバルーン構造部95は、管部65を径方向に覆うように設けられている。本例の伸縮部40の伸展は、バルーン構造部95への圧力供給路85を介した流体の流入による圧力と、巻取部250の巻出方向への回転動作による巻き出しの双方に基づいてよい。管部65およびバルーン構造部95を巻取り可能に設けるべく、管部65およびバルーン構造部95は、可撓性を有する材料により設けられる。バルーン構造部95の膨張により、管部65およびバルーン構造部95が伸張し吐出口60から対象への狙いが定めやすくなる。
【0099】
図8Bは、伸縮部40が伸展過渡状態における巻取部250の一例を示す。本例では、
図8Aの状態からさらに巻出方向に巻取部250が回転し続けている。本例では、巻取部250の円周方向に沿って設けられた巻出口255が現れている。バルーン構造部95は、巻出口255から、巻取部250の周方向に巻き出される。
【0100】
図8Cは、伸縮部40が伸展状態における巻取部250の一例を示す。本例においては、管部65およびバルーン構造部95が完全に巻き出されており、バルーン構造部95は、流体により満たされている。
【0101】
図8Aから
図8Cの例では、巻取部250が、巻出方向に回転して、管部65が巻き出される例が示された。一方で、伸縮部40を収縮させる際には、巻取部250が巻出方向とは逆方向である、巻取方向に回転し、管部65およびバルーン構造部95を巻き取ることとにより収縮が行われてよい。即ち、巻取部250は、伸縮部40を回転動作により巻き取って、伸縮部40を収縮させる。
【0102】
図9Aは、支持部30および伸縮部40の正面図の一例を示す。本例の支持部30は、懸架フレームである。本例の伸縮部40には、流路75と圧力供給路85とが接続される。
【0103】
本例の伸縮部40は、筐体140と、吐出口60と、管部65と、バルーン構造部95と、ロータリー継手252と、中空モータ260と、を有する。本例の筐体140は、ドラム筐体である。
【0104】
ロータリー継手252は、流路75側と、圧力供給路85側とのそれぞれについて、流路75および圧力供給路85上の筐体140との境界付近に設けられる。ロータリー継手252を介して、伸縮部40は、流路75および圧力供給路85とに接続される。ロータリー継手252は伸縮部40の回転動作の際に流路75および圧力供給路85がねじれる事を防止する。
【0105】
中空モータ260は、筐体140を回転させる。中空モータ260が動作することにより、伸縮部40は、巻取部250としての機能を有する。ただし、巻取部250は、伸縮部40に併設されていてもよい。
【0106】
図9Bは、伸縮部40の上面略断面図の一例を示す。筐体140の内部において、流路75および圧力供給路85が配設されている。なお、圧力供給路85の一部は中空モータ260の内部を貫通している。
【0107】
バルーン構造部95は、圧力供給路85に接続されている。バルーン構造部95には、圧力供給路85を介して流体が供給される。バルーン構造部95の内部が流体により満たされることにより、バルーン構造部95は膨張している。
【0108】
管部65は、流路75に接続されている。バルーン構造部95の内部に配設された管部65を介して、吐出口60に容器70の内容物が提供される。管部65は、可撓性を有する弾性体で構成されてよく、流路75は、剛性を有する部材により筐体140の内部に設けられてよい。
【0109】
図10Aは、巻取部250を有する無人航空機100について、伸縮部40が収縮状態における側面図の一例を示す。本例の無人航空機100は、
図8Aから
図9Bに示される、巻取部250を備える。また、本例の無人航空機100は、容器70および圧力源80の両方を備える。
【0110】
本例においては、容器70および圧力源80のそれぞれは、脚部15に固定されている。ただし、容器70および圧力源80のそれぞれは、無人航空機100に異なる方法で固定されてよい。例えば、容器70および圧力源80を固定する、追加の支持部30が設けられてもよい。
【0111】
巻取部250は、管部65およびバルーン構造部95を巻き出す。伸縮部40の管部65およびバルーン構造部95は、巻取部250の巻き出しにより伸展する。ただし、管部65およびバルーン構造部95への巻き出しと並行して管部65への内容物の注入およびバルーン構造部95への流体の注入を行ってもよく、伸縮部40の伸展は、巻取部250の巻き出しと並行した他の機構により行われてもよい。
【0112】
図10Bは、巻取部250を有する無人航空機100について、伸縮部40が伸展過渡状態における側面図の一例を示す。本例では、無人航空機100が飛行中に所定の位置で姿勢を変えずに空中停止するホバリング状態にある場合に、管部65およびバルーン構造部95が鉛直下方に巻き出される。
【0113】
本例のように、管部65およびバルーン構造部95が鉛直下方に巻き出される場合、管部65が巻き出し中に周囲の障害物等に衝突する可能性を低減できる。ただし、管部65への内容物またはバルーン構造部95への流体を注入しながら膨張させる場合等において、管部65およびバルーン構造部95を所望の異なる方向に向けて巻き出してもよい。
【0114】
図10Cは、巻取部250を有する無人航空機100について、伸縮部40が伸展状態における側面図の一例を示す。本例では、管部65およびバルーン構造部95の伸展が完了後に、管部65への内容物の注入と、バルーン構造部95への圧力源80からの流体の注入とが行われる。
【0115】
バルーン構造部95に注入される流体は気体であってよく、液化ガスであってもよい。バルーン構造部95の内部が流体により満たされると、内圧による構造維持力により伸縮部40が立ち上がる。本例のバルーン構造部95は、直線状に膨らむ構造を含む。ただし、バルーン構造部95が膨張したときの形状は直線状に限定されず、内容物の吐出対象300の位置等に応じた所望の形状であってよい。バルーン構造部95が内容物により満たされると、伸縮部40は、立ち上がり方向へと立ち上がり、吐出対象300へと向き付けられる。バルーン構造部95の方向は、予め定められた方向まで立ち上がった後に、巻取部250により固定されてよい。さらに、モータ等の駆動機構により付与される外力により、伸縮部40全体が、吐出対象300へと向き付けられてもよい。
【0116】
図10Dは、巻取部250を有する無人航空機100について、管部65の吐出準備完了状態における側面図の一例を示す。本例では、バルーン構造部95は、注入される流体の内圧による構造維持力により立ち上がり、吐出対象300の方向へと向き付けられる。ただし、バルーン構造部95への流体の注入は、管部65の巻き出し途中に行ってもよい。本例では、膨張したバルーン構造部95が巻出口255により保持されることにより、吐出口60が吐出対象300の方向へと向けられる。
【0117】
巻取部250により巻き取られた状態で提供される管部65は、伸縮部40の収縮状態における体積が非常に小さい。従って、本例では、無人航空機100の目的地への飛行に対する影響が小さく、かつ、容器70の内容物の吐出対象300に対する吐出を高精度に行える無人航空機100を提供できる。
【0118】
図11Aは、巻取部250を有する無人航空機100について、伸縮部40が収縮状態における側面図の別例を示す。以下では、主に
図10Aにおける例との相違点について述べる。本例においては、圧力源80は設けられていない。本例では、バルーン構造部95は、管部65と同様に流路75に接続されている。即ち、本例のバルーン構造部95に注入される流体も、容器70から注入される内容物となる。
【0119】
本例の伸縮部40も、巻取部250による巻き出し回転により、巻き出されて伸展する。ただし、管部65およびバルーン構造部95の巻き出しと並行して管部65およびバルーン構造部95への内容物の注入を行ってもよく、伸縮部40の伸展は、巻取部250の巻き出しと並行した他の機構により行われてもよい。
【0120】
図11Bは、巻取部250を有する無人航空機100について、伸縮部40が伸展過渡状態における側面図の別例を示す。本例では、
図10Bにおける例と同様、巻取部250の巻き出しにより、管部65およびバルーン構造部95は、無人航空機100の下方に巻き出されている。
【0121】
図11Cは、巻取部250を有する無人航空機100について、伸縮部40が伸展状態における側面図の別例を示す。本例では、
図10Cにおける例と同様、巻取部250の巻き出しにより、管部65およびバルーン構造部95が完全に巻き出された状態の伸縮部40が示される。容器70から流路75を通じて内容物が提供されることにより、バルーン構造部95は膨張する。本例においても、伸縮部40全体を吐出対象300へと向き付けるべく、バルーン構造部95は、内容物の内圧による構造維持力により立ち上がり方向へと立ち上がる。
【0122】
図11Dは、巻取部250を有する無人航空機100について、管部65の吐出準備完了状態における側面図の別例を示す。本例では、
図10Dにおける例と同様、管部65およびバルーン構造部95が完全に伸展が終わってから立ち上がり、吐出口60が吐出対象300の方向へと向き付けられる。ただし、管部65およびバルーン構造部95への内容物の注入は、管部65およびバルーン構造部95の巻き出し途中に行ってもよい。本例においては、膨張したバルーン構造部95が巻出口255により保持されることにより、吐出口60が吐出対象300の方向へと向けられる。
【0123】
図12は、測距センサ77の検知範囲78を示す側面図の一例を示す。本例の検知範囲78は、円錐状の立体角要素であるが、検知範囲78の形状は円錐状に限定されず、柱状または球状等であってもよい。
【0124】
一例として、測距センサ77は、3Dスキャン可能なLiDAR(Light Detection and Ranging)等の3Dセンサシステムを含む。測距センサ77は、レーダ、赤外線センサ、垂直レーザ装置およびカメラを組み合わせた装置であってよく、3Dカメラ装置として実装されてもよい。
【0125】
本例の測距センサ77は、吐出対象300の外形および距離DTを一の操作で検出できる。従って、凹凸を有する吐出対象300の距離DTを検出する場合であっても、伸縮部40が吐出対象300の凸状部に至るより前に外形を検出し、伸縮部40を収縮可能である。これにより、伸縮部40が吐出対象300に衝突することを防止できる。
【0126】
本例の検知範囲78は、大きな立体角を有する。従って、無人航空機100は、吐出対象300の外形を事前に検出できる。検知範囲78が広い範囲を有することにより、無人航空機100が吐出対象300に対して移動する際に、吐出位置制御部16は、吐出対象300の外形に応じて伸縮部40を伸縮制御できる。
【0127】
無人航空機100が移動する際の吐出位置制御部16の伸縮制御は自動で実行されてよい。これにより、吐出位置制御部16の制御を行うオペレータを別に設けることなく、無人航空機100を吐出対象300の周辺に移動するオペレータのみにより、吐出対象300へムラなく内容物を吐出する動作を実行できる。
【0128】
図13Aは、凹凸を有する吐出対象300に対し、無人航空機100が並進する制御をする場合の側面図の一例を示す。本例の無人航空機100は、吐出対象300に対し、内容物を吐出しながら鉛直上方に移動する。本例の吐出対象300は、凸部320を有する。
【0129】
本例の無人航空機100は、吐出位置制御部16を動作させることにより、吐出対象300に対し、伸縮部40を伸縮制御させる。これにより、無人航空機100は、吐出対象300と吐出口60との距離DTを一定に維持しつつ、鉛直上方に移動する。
【0130】
測距センサ77の検知範囲78が大きな立体角の範囲を有するので、測距センサ77は、無人航空機100が吐出対象300の凸部320に至る前に、凸部320の存在を事前検知できる。従って、凸部320が存在する場合であっても、吐出位置制御部16は、吐出対象300と吐出口60との距離DTを一定に維持できる。これにより、無人航空機100は、伸縮部40を衝突させることなく、吐出対象300に対して移動できる。
【0131】
図13Bは、凹凸を有する吐出対象300に対し、無人航空機100が並進する制御をする場合の側面図の一例を示す。無人航空機100は、凸部320に至る前に、測距センサ77により凸部320の存在を事前検知している。
【0132】
無人航空機100が吐出対象300に対し、鉛直上方に並進移動する際に、吐出対象300が凸部320を有する場合であっても、吐出位置制御部16は、吐出対象300と吐出口60との距離DTを一定に維持するように伸縮部40を伸縮制御できる。これにより、容器70の内容物の粘度等の物性に応じた距離DTで内容物を吐出できる。
【0133】
図14Aは、凹凸を有する吐出対象300に対し、無人航空機100が並進する制御をする場合の上面図の一例を示す。無人航空機100は、吐出対象300に対し、水平方向に並進移動する。
【0134】
測距センサ77は、大きな立体角の検知範囲78を有するので、吐出対象300の外形を広範囲に検知できる。無人航空機100が吐出対象300に対して並進移動する際に、測距センサ77は、無人航空機100の移動先の吐出対象300の外形を事前に検知できる。
【0135】
吐出位置制御部16は、測距センサ77の検出結果に基づいて、伸縮部40を伸縮制御してよい。これにより、吐出対象300と吐出口60との間の距離DTを一定に維持できる。
【0136】
図14Bは、凹凸を有する吐出対象300に対し、無人航空機100が並進する制御をする場合の上面図の一例を示す。本例では、無人航空機100は、吐出対象300の凹部と対向している。
【0137】
本例でも、伸縮部40を伸展させることにより、吐出対象300と吐出口60との距離D
Tは、
図14Aの例と等しい。吐出位置制御部16は、測距センサ77から取得部14が取得した測距データに基づいて、吐出対象300の外形に応じた伸縮制御を行える。
【0138】
図15は、容器70および支持部30周辺の拡大図の一例を示す。無人航空機100は、回転機構32と、回転接続部34とを備えてよい。本例は、
図1Cの領域Aを示した拡大図に対応する。
【0139】
回転接続部34は、無人航空機100の本体部10に伸縮部40を接続する。回転接続部34は、支持部30に設けられてよい。本例の回転接続部34は、支持部30を介して伸縮部40を本体部10に接続する。一例として、回転接続部34は、ジョイント、またはベアリング等を含み、容器70または伸縮部40を本体部10に対し、回転可能に接続する。
【0140】
本例では、回転接続部34は、2つ設けられている。本体部10と支持部30との間に設けられた本体部10の撮像装置12の設けられた方向を基準として、水平方向、すなわちヨーイング方向の回転を可能とする。一方で、支持部30と、容器70との間に設けられた回転接続部34は、撮像装置12の設けられた方向に対し、鉛直方向、すなわちピッチング方向の回転を可能とする。無人航空機100は、回転接続部34の角度を調整することにより、吐出対象300に対する伸縮部40および吐出口60の角度を調整できる。
【0141】
回転機構32は、容器70の内容物を吐出する吐出対象300に対する吐出口60の角度を制御できる。回転機構32は、アクチュエータ、またはモータ等であってよい。回転機構32は、回転接続部34を回転駆動させることにより、吐出口60の角度を制御する。
【0142】
吐出位置制御部16は、取得部14からの飛行情報および制御情報等の取得結果に基づいて、回転機構32を動作させてよい。これにより、取得部14の取得結果に基づいて、吐出口60の角度が制御できる。従って、内容物の物性および取得部14の取得結果に応じて、吐出対象300に内容物を吐出できる。
【0143】
図16Aは、曲面状の吐出対象300に対し、伸縮部40を回転する制御をする場合の上面図の一例を示す。本例の吐出対象300は、無人航空機100の吐出口60に対向する面が凹形の形状を有している。例えば、本例の吐出対象300は、パラボラアンテナ等の二次曲線の凹形を有する曲面であってよい。
【0144】
本例の無人航空機100は、吐出対象300の凹形形状における曲率中心とは外れた位置に位置している。本例においては、無人航空機100自体を移動することなく、伸縮部40を吐出対象300に沿って回転移動させる。ただし、無人航空機100自体を回転することにより、伸縮部40の延伸方向と、吐出対象300との間の相対角度を同様に変化させてもよい。
【0145】
無人航空機100の位置が吐出対象300の曲率中心から離れた位置に位置している場合、無人航空機100の本体部10と吐出対象300との相対距離DTは、伸縮部40を回転させる角度に応じて変化する。伸縮部40を回転させる場合にあっても、吐出口60と、吐出対象300との間の距離DTを一定に保つべく、吐出位置制御部16は、伸縮部40を伸縮制御できる。これにより、無人航空機100は、容器70の内容物の物性に応じて定められる、吐出に適した距離で内容物を吐出できる。
【0146】
図16Bは、曲面状の吐出対象300に対し、伸縮部40を回転する制御をする場合の上面図の一例を示す。本例においては、
図16Aにおける例との相違点について主に述べる。
【0147】
本例では、伸縮部40を回転させることにより、吐出口60の角度は、
図16Aにおける例とは、異なる角度に向けられている。一方、
図16Aにおける例より伸縮部40が伸展することにより、距離D
Tが一定に保たれている。
【0148】
図17Aは、凹凸を有する吐出対象300に対し、伸縮部40を回転する制御をする場合の側面図の一例を示す。本例では、吐出対象300は、段差状の形状を有する。
【0149】
本例では、吐出対象300に対する無人航空機100の位置を一定に保ちつつ、伸縮部40を撮像装置12の設けられた方向に対する鉛直方向、すなわちピッチング方向に回転移動させる。取得部14は、測距センサ77から吐出対象300の外形に係る情報を取得する。吐出位置制御部16は、取得部14の取得結果に基づいて、伸縮部40の角度を回転制御し、かつ伸縮部40を伸縮制御する。また、伸縮部40を吐出対象300に追随させて移動させることにより、吐出口60の先の状態を、測距センサ77を介して仔細に観察できる。
【0150】
これにより、無人航空機100は、本体部10の位置を移動させることなく、吐出対象300の外形に追従するように吐出口60を移動できる。従って、吐出対象300に対する吐出口60の距離DTを一定に保ち、吐出対象300への内容物の吐出条件を維持できる。
【0151】
図17Bは、凹凸を有する吐出対象300に対し、伸縮部40を回転する制御をする場合の側面図の一例を示す。本例では、
図17Aの側面図から、吐出口60は、鉛直下方に移動している。
【0152】
本体部10の位置を維持したまま吐出口60の角度を下方に回転移動する場合、伸縮部40の長さを変化させなければ、吐出口60は、本体部10を中心とした円を描いて回転する。従って、吐出対象300の外形に追従し、吐出口60を鉛直下方に移動する場合、吐出位置制御部16は、伸縮部40を伸展させる制御を行う。
【0153】
図17Cは、凹凸を有する吐出対象300に対し、伸縮部40を回転する制御をする場合の側面図の一例を示す。本例では、
図17Bの側面図から、吐出口60は、水平方向に本体部10側に移動している。
【0154】
本体部10の位置を維持したまま吐出口60の角度を下方に回転移動する場合、伸縮部40の長さを変化させなければ、吐出口60は、本体部10を中心とした円を描いて回転する。従って、吐出対象300の外形に追従し、吐出口60を水平方向に本体部10側に移動する場合、吐出位置制御部16は、伸縮部40を収縮させる制御を行う。
【0155】
図17Dは、凹凸を有する吐出対象300に対し、伸縮部40を回転する制御をする場合の側面図の一例を示す。本例では、
図17Cの側面図から、吐出口60は、鉛直下方に移動している。
【0156】
図18Aは、二段階伸縮する伸縮部40を有する無人航空機100について、伸縮部40が収縮状態における側面図の一例を示す。本例の伸縮部40は、第1延伸部66と、第1延伸部66より伸縮部40の先端側に設けられた第2延伸部68と、第1延伸部66と第2延伸部68とを屈曲可能に接続する屈曲部69とを有する。
【0157】
回転機構32は、屈曲部69に併設されていてよい。回転機構32の動作により、屈曲部69の角度が調整されてよい。本例においては、屈曲部69が回転接続部34として機能する。即ち、回転機構32は、支持部30に設けられる代わりに、伸縮部40の途中に設けられてよい。
【0158】
この場合、回転機構32は、回転接続部34を回転駆動させることにより、第2延伸部68および伸縮部40の角度を制御できる。ひいては、回転機構32は、伸縮部40の角度制御により吐出口60の角度を制御してよい。
【0159】
本例の伸縮部40は、第1延伸部66に並行して設けられた第1伸縮機構47と、第2延伸部68に並行して設けられた第2伸縮機構49とが設けられている。第1伸縮機構47が動作することにより、第1延伸部66が伸縮し、第2伸縮機構49が動作することにより、第2延伸部68が伸縮する。
【0160】
本例の伸縮部40は、第1延伸部66が延伸した後に、第2延伸部68が動作する。ただし、第1延伸部66および第2延伸部68の動作の順番は、この順番に限定されない。別例においては、第2延伸部68を第1延伸部66より前に動作させてよく、第1延伸部66の動作途中に第2延伸部68を動作させてもよい。
【0161】
図18Bは、二段階伸縮する伸縮部40を有する無人航空機100について、第1延伸部66が伸展した状態における側面図の一例を示す。本例では第1延伸部66が伸展することにより、無人航空機100を上面視した場合に、無人航空機100の中心部から径方向に離隔した対象についての吐出口60を向けることを可能とする。これにより、無人航空機100から離れた位置にある吐出対象300を狙いやすくなる。
【0162】
図18Cは、二段階伸縮する伸縮部40を有する無人航空機100について、第1延伸部66が伸展した状態における側面図の一例を示す。本例では、第2延伸部68が伸展して、屈曲部69が回転することにより、第2延伸部68の角度が変動する。これにより、無人航空機100の斜め上方または斜め下方にある吐出対象300に対して内容物を吐出しやすくなる。
【0163】
図18Dは、二段階伸縮する伸縮部40を有する無人航空機100について、伸縮部40を回転させた状態における側面図の一例を示す。本例では、第2延伸部68の先端に設けられた吐出口60が斜め上方を向いている。これにより、無人航空機100の斜め上方の吐出対象300を狙いやすくなる。
【0164】
図19は、二段階伸縮する伸縮部40の一例を示す。本例の伸縮部40では、第1延伸部66に、第1バルーン構造部97が並行に設けられている。さらに、第1延伸部66および第2延伸部68に対して、第2バルーン構造部99が並行して設けられている。
【0165】
第2延伸部68は、第1延伸部66に対して、予め定められた角度傾斜させて設けられる。本例の第2延伸部68は、第1延伸部66に対して垂直方向に向けられている。伸縮部40は、脱着可能な構造を有してよい。伸縮部40は、所望の角度の吐出対象300に対して、異なる傾斜角の第2延伸部68を有するものに取り替えられる。本例の伸縮部40は、上方に設けられた吐出対象300に対して内容物を吐出しやすい構造を提供する。
【0166】
図20Aは、伸縮部40が収縮過渡状態における、二段階伸縮する伸縮部40の一例を示す。本例は、
図19に示された伸縮部40が収縮過渡状態にある例を示す。
【0167】
第2バルーン構造部99、第1延伸部66、および第2延伸部68は、弾性を有する材料で設けられてよい。本例の第2バルーン構造部99、第1延伸部66、および第2延伸部68の弾性材料は、定常状態において予め定められた方向に丸められた構造を有する。従って、第1バルーン構造部97および第2バルーン構造部99から流体が流出した場合、本例の伸縮部40は、予め定められた方向に丸まるように収縮する。
【0168】
図20Bは、第1延伸部66が伸展した収縮過渡状態における、二段階伸縮する伸縮部40の一例を示す。本例では、第2バルーン構造部99、および第2延伸部68から流体が流出させることにより、第2延伸部68が予め定められた方向に丸められる。第1延伸部66および第2延伸部68は、収縮時において、第1延伸部66および第2延伸部68の境界部分が損傷しないよう、十分な可撓性を有する材料で設けられてよい。さらに第1バルーン構造部97から流体を流出させることにより、第1延伸部66も収縮する。
【0169】
図20Cは、伸縮部40が収縮状態における、二段階伸縮する伸縮部40の一例を示す。本例では、第1バルーン構造部97および第2バルーン構造部99の両方から流体が流出している。
【0170】
本例では、第1バルーン構造部97および第2バルーン構造部99、または第1延伸部66および第2延伸部68の弾性により予め定められた方向に丸まるように収縮する。これにより、伸縮部40が収縮状態において占める体積は、小さくなる。従って、伸縮部40は、無人航空機100の飛行の際に周辺の物体に引っ掛かるリスクが低減される。
【0171】
本例では、二段階伸縮する伸縮部40を収縮させる例を示した。本例と逆に、第1バルーン構造部97に流体を提供し、次に第2バルーン構造部99に流体を順に提供することにより、第1延伸部66および第2延伸部68は、順にL字型に立ち上がる。
【0172】
図21は、無人航空機100の制御方法400のフロー図の一例を示す。制御方法400は、段階S102から段階S106を備え、さらに段階S108を備えてもよい。
【0173】
段階S102において、容器70に充填された内容物を吐出する吐出対象300の近傍へと無人航空機100を誘導する。無人航空機100の吐出対象300への誘導は、予め設定された飛行情報に基づいてよく、取得部14が通信等により取得した飛行情報に基づいてもよい。
【0174】
段階S104において、内容物を吐出口60と容器70との間に伸縮自在に設けられた伸縮部40を伸縮制御する。伸縮制御を行うことにより、内容物に適した距離で吐出対象300に内容物を吐出できる。段階S106において、無人航空機100の容器に充填された内容物を吐出対象300へと吐出する。
【0175】
段落S108において、吐出対象300に対して吐出口60を角度制御する。無人航空機100は、回転機構32を駆動することにより、吐出口60を角度調整してよい。段階S108は、内容物を吐出対象に吐出する段階S106の前に行われてよい。段階S108は、段階S104の前に行われてよく、段階S104と共に行われてよく、段階S104の後に行われてもよい。
【0176】
図22は、無人航空機100の制御方法400のフロー図の別例を示す。制御方法400は、段階S202から段階S210を備え、さらに段階S212を備えてもよい。
【0177】
段階S202において、容器70に充填された内容物を吐出する吐出対象300の近傍へと無人航空機100を誘導する。無人航空機100の吐出対象300への誘導は、予め設定された飛行情報に基づいてよく、取得部14がGPS衛星、または外部サーバ等と通信することにより取得した飛行情報に基づいてもよい。
【0178】
段階S204において、吐出対象300の外形および無人航空機100から吐出対象300までの距離DTを検出する。段階S204は、誘導する段階S202の後であって伸縮制御する段階S208の前に行われてよい。
【0179】
段階S206において、吐出対象300の検出結果に基づいて、吐出対象300に対する無人航空機100の位置および角度を調整する。伸縮部40の回転制御または伸縮制御の制御可能域を超える範囲に吐出を行う場合であっても、無人航空機100自体の位置および角度を調整することにより、内容物の物性に適した条件の下で内容物を吐出対象300に吐出できる。
【0180】
段階S208において、吐出対象300に対して、無人航空機100を移動させ、無人航空機100を移動させる間に吐出対象300に内容物を吐出する。一例として、無人航空機100の移動方向は、吐出対象300に対して、予め定められた方向である。無人航空機100は、吐出対象300に対して予め定められた方向に並進移動してよく、予め定められた方向に回転移動してもよい。ただし、無人航空機100の移動方向は、吐出対象300の外形および吐出対象300までの距離DT等に基づいてよい。例えば、無人航空機100は、形状検出部28による吐出対象300の検出結果に基づいて、吐出対象300に対して一定の距離を保つように、吐出対象300の外形に応じた方向に移動してもよい。
【0181】
段階S210において、無人航空機100は、容器70の内容物を吐出対象300に吐出する。段階S210を行った後に、段階S204の前に戻ってよく、段階S206の前に戻ってよく、段階S208の前に戻ってもよい。即ち、制御方法400は、段階S204から段階S210のループを繰り返すことにより、吐出対象300に対し、吐出対象300の外形に応じてムラなく内容物を吐出できる。
【0182】
段階S212において、無人航空機100は、吐出対象300に対して、吐出口60を角度制御する。無人航空機100は、回転機構32を駆動することにより、吐出口60を角度調整してよい。段階S212は、内容物を吐出対象に吐出する段階S210の前に、行われてよい。段階S212は、段階S208の前に行われてよく、段階S208と共に行われてよく、段階S208の後に行われてもよい。
【0183】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0184】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0185】
10・・・本体部、12・・・撮像装置、14・・・取得部、15・・・脚部、16・・・吐出位置制御部、20・・・推進部、21・・・回転翼、22・・・回転駆動装置、24・・・腕部、26・・・姿勢検出部、28・・・形状検出部、30・・・支持部、32・・・回転機構、34・・・回転接続部、40・・・伸縮部、45・・・伸縮機構、47・・・第1伸縮機構、49・・・第2伸縮機構、60・・・吐出口、65・・・管部、66・・・第1延伸部、68・・・第2延伸部、69・・・屈曲部、70・・・容器、75・・・流路、77・・・測距センサ、78・・・検知範囲、80・・・圧力源、85・・・圧力供給路、90・・・圧力供給部、95・・・バルーン構造部、97・・・第1バルーン構造部、99・・・第2バルーン構造部、100・・・無人航空機、140・・・筐体、142・・・回転部、144・・・連繋部、146・・・ロッド固定部、147・・・クランプ、148・・・シャフトピン、150・・・ロッド部、170・・・駆動部、172・・・圧力供給口、174・・・領域、210・・・弾性体、250・・・巻取部、252・・・ロータリー継手、255・・・巻出口、260・・・中空モータ、300・・・吐出対象、320・・・凸部、400・・・制御方法