(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】光学ユニット
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20240228BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20240228BHJP
H04N 23/68 20230101ALI20240228BHJP
H04N 23/54 20230101ALI20240228BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20240228BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20240228BHJP
G03B 17/17 20210101ALI20240228BHJP
【FI】
G03B5/00 J
H04N23/55
H04N23/68
H04N23/54
H04N23/50
G03B30/00
G03B17/17
(21)【出願番号】P 2020051171
(22)【出願日】2020-03-23
【審査請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】江川 智浩
(72)【発明者】
【氏名】大坪 京史
(72)【発明者】
【氏名】佐齋 一宏
(72)【発明者】
【氏名】田中 元紀
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 敬之
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/207464(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2019/0049687(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0129197(US,A1)
【文献】特許第6613005(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00
H04N 23/50
H04N 23/54
H04N 23/55
H04N 23/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軸方向に光を反射する反射面を有する光学素子と、
前記光学素子を保持するホルダと、
前記ホルダを揺動可能に支持するケースと、
前記第1軸方向に対して直交する第2軸方向を基準に前記ケースに対して前記ホルダを揺動する第1揺動機構と、
前記第1軸方向および前記第2軸方向に対してそれぞれ直交する第3軸方向を基準に前記ケースに対して前記ホルダを揺動する第2揺動機構と
を備え、
前記ホルダは、
前記ケースと対向する第1ケース対向面に設けられ、前記ケースに向かって突出する第1凸部と、
前記ケースと対向する第2ケース対向面に設けられ、前記ケースに向かって突出する第2凸部と
を有し、
前記ケースは、
前記ホルダの前記第1ケース対向面と対向する第1ホルダ対向面に設けられ、前記第1凸部の少なくとも一部を収容する第1凹部と、
前記ホルダの前記第2ケース対向面と対向する第2ホルダ対向面に設けられ、前記第2凸部の少なくとも一部を収容する第2凹部と
を有し、
前記第1凹部は、
前記第1凸部に対して前記第3軸方向一方側に位置する第1側面と、
前記第1凸部に対して前記第3軸方向他方側に位置する第2側面と、
前記第1凹部の前記第1側面と前記第1凹部の前記第2側面とを接続する底面とを有し、
前記第2凹部は、
前記第2凸部に対して前記第3軸方向一方側に位置する第1側面と、
前記第2凸部に対して前記第3軸方向他方側に位置する第2側面と、
前記第2凹部の前記第1側面と前記第2凹部の前記第2側面とを接続する底面とを有する、光学ユニット。
【請求項2】
前記第1凸部は、一部球面形状を有し、
前記第1凹部の前記底面は、一部球面形状を有し、
前記第2凸部は、一部球面形状を有し、
前記第2凹部の前記底面は、一部球面形状を有する、請求項1に記載の光学ユニット。
【請求項3】
前記第1凹部の前記底面および前記第2凹部の前記底面は、同一円の一部を構成する、請求項1または2に記載の光学ユニット。
【請求項4】
前記光学素子は、プリズムを含む、請求項1から3のいずれかに記載の光学ユニット。
【請求項5】
前記第1揺動機構は、
前記ホルダおよび前記ケースの一方に設けられた第1磁石と、
前記第1磁石に対して、前記ホルダおよび前記ケースの他方に設けられた第1コイルと
を含み、
前記第2揺動機構は、
前記ホルダおよび前記ケースの一方に設けられた第2磁石と、
前記第2磁石に対して、前記ホルダおよび前記ケースの他方に設けられた第2コイルと
を含む、請求項1から4のいずれかに記載の光学ユニット。
【請求項6】
前記ホルダは、前記第1磁石および前記第2磁石を含み、
前記ケースは、前記第1コイルおよび前記第2コイルを含む、請求項5に記載の光学ユニット。
【請求項7】
前記ホルダは、
前記第1ケース対向面および前記第2ケース対向面に接続され、前記第3軸方向に平行に延びる法線を有する第1揺動機構取付面と、
前記第1ケース対向面および前記第2ケース対向面に接続され、前記第1軸方向に平行に延びる法線を有する第2揺動機構取付面と
をさらに有し、
前記第1揺動機構取付面には、前記第1揺動機構の前記第1磁石および前記第1コイルの一方が取り付けられ、
前記第2揺動機構取付面には、前記第2揺動機構の前記第2磁石および前記第2コイルの一方が取り付けられる、請求項5または6に記載の光学ユニット。
【請求項8】
前記ホルダは、前記第1ケース対向面と前記第2ケース対向面との間に位置し、前記第1揺動機構取付面および前記第2揺動機構取付面に対して斜めに配置された光学素子取付面をさらに有し、
前記光学素子は、前記ホルダの前記光学素子取付面に位置する、請求項7に記載の光学ユニット
。
【請求項9】
前記ケース
の内部に配置されたホール素子をさらに
備える、請求項5から8のいずれかに記載の光学ユニット。
【請求項10】
前記ホール素子は、前記第1コイルおよび前記第2コイルの少なくとも一方の中心に配置される、請求項9に記載の光学ユニット。
【請求項11】
前記ケース
の内部に配置された金属部材を
さらに備え、
前記金属部材は、前記第1磁石および前記第2磁石の少なくとも一方と対向する、請求項5から10のいずれかに記載の光学ユニット。
【請求項12】
前記金属部材は、前記第1コイルおよび前記第2コイルの少なくとも一方の中心に対して対称に配置される、請求項11に記載の光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラによって静止画または動画を撮影する際に手振れに起因して像ブレが生じることがある。このため、像ブレを防いだ鮮明な撮影を可能にするための手振れ補正装置が実用化されている。手振れ補正装置は、カメラが手振れした場合に、手振れに応じてカメラモジュールの位置および姿勢を補正することによって手振れによる不具合を解消できる。
【0003】
また、カメラモジュールの小型化のために、種々のレンズ群およびプリズムを備えた屈曲式ズーム方式のカメラモジュールが知られており、屈曲式ズーム方式のカメラモジュールの手振れによる不具合を解消することも検討されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、モータおよびギアを用いてX軸部材およびY軸部材をそれぞれ回動させることにより、プリズムを回転させる防振機構が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の防振機構では、モータおよびギアによって2つの回転軸を回転させることによってプリズムを回転させており、簡易な構成で光軸のずれを抑制できなかった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構成で光軸のずれを抑制可能な光学ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の観点からの光学ユニットは、光学素子と、ホルダと、ケースと、第1揺動機構と、第2揺動機構とを備える。前記光学素子は、第1軸方向に光を反射する反射面を有する。前記ホルダは、前記光学素子を保持する。前記ケースは、前記ホルダを揺動可能に支持する。前記第1揺動機構は、前記第1軸方向に対して直交する第2軸方向を基準に前記ケースに対して前記ホルダを揺動する。前記第2揺動機構は、前記第1軸方向および前記第2軸方向に対してそれぞれ直交する第3軸方向を基準に前記ケースに対して前記ホルダを揺動する。前記ホルダは、第1凸部と、第2凸部とを有する。前記第1凸部は、前記ケースと対向する第1ケース対向面に設けられ、前記ケースに向かって突出する。前記第2凸部は、前記ケースと対向する第2ケース対向面に設けられ、前記ケースに向かって突出する。前記ケースは、第1凹部と、第2凹部とを有する。前記第1凹部は、前記ホルダの前記第1ケース対向面と対向する第1ホルダ対向面に設けられ、前記第1凸部の少なくとも一部を収容する。前記第2凹部は、前記ホルダの前記第2ケース対向面と対向する第2ホルダ対向面に設けられ、前記第2凸部の少なくとも一部を収容する。前記第1凹部は、第1側面と、第2側面と、底面とを有する。前記第1側面は、前記第1凸部に対して前記第3軸方向一方側に位置する。前記第2側面は、前記第1凸部に対して前記第3軸方向他方側に位置する。前記底面は、前記第1凹部の前記第1側面と前記第1凹部の前記第2側面とを接続する。前記第2凹部は、第1側面と、第2側面と、底面とを有する。前記第1側面は、前記第2凸部に対して前記第3軸方向一方側に位置する。前記第2側面は、前記第2凸部に対して前記第3軸方向他方側に位置する。前記底面は、前記第2凹部の前記第1側面と前記第2凹部の前記第2側面とを接続する底面とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の光学ユニットは、簡易な構成で光軸のずれを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態の光学ユニットを備えたスマートフォンの模式的な斜視図である。
【
図2】(a)は、本実施形態の光学ユニットの模式的な斜視図であり、(b)は、本実施形態の光学ユニット、対応するレンズモジュールおよび撮像素子の模式的な斜視図である。
【
図3】(a)および(b)は、本実施形態の光学ユニットにおける光学素子、ホルダおよびケースの模式的な分解斜視図である。
【
図4】(a)および(b)は、本実施形態の光学ユニットにおけるケース、第1揺動機構および第2揺動機構の模式的な斜視図である。
【
図5】(a)は、本実施形態の光学ユニットにおけるホルダの第1凸部およびケースの第1凹部の係合を説明するための模式図であり、(b)は、本実施形態の光学ユニットにおけるホルダの第2凸部およびケースの第2凹部の係合を説明するための模式図である。
【
図6】(a)は、
図2(a)のVIa-VIa線に沿った断面図であり、(b)は、
図2(a)のVIb-VIb線に沿った断面図である。
【
図7】(a)は、本実施形態の光学ユニットにおける第1揺動機構による揺動を説明するための模式図であり、(b)は、本実施形態の光学ユニットにおける第2揺動機構による揺動を説明するための模式図である。
【
図8】(a)~(c)は、本実施形態の光学ユニットにおける第1揺動機構による揺動を説明するための模式図である。
【
図9】(a)~(c)は、本実施形態の光学ユニットにおける第2揺動機構による揺動を説明するための模式図である。
【
図10】本実施形態の光学ユニットの模式的な斜視図である。
【
図11】本実施形態の光学ユニットの模式的な斜視図である。
【
図12】(a)は、本実施形態の光学ユニットを備えたスマートフォンの模式的な斜視図であり、(b)は、本実施形態の光学ユニットを備えた光学モジュールの模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明による光学ユニットの実施形態を説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。なお、本願明細書では、発明の理解を容易にするため、互いに直交するx軸、y軸およびz軸を記載することがある。
【0011】
<光学ユニット100の用途>
光学ユニット100は、入射した光を特定の方向に反射する。光学ユニット100は、例えば、スマートフォンの光学部品として好適に用いられる。
【0012】
まず、
図1を参照して、本実施形態の光学ユニット100を備えたスマートフォン200を説明する。
図1は、本実施形態の光学ユニット100を備えたスマートフォン200の模式的な斜視図である。
【0013】
光学ユニット100は、薄型に構成できる。これにより、スマートフォン200におけるz軸方向に沿った長さ(厚さ)を薄く構成できる。なお、光学ユニット100の用途は、スマートフォン200に限定されず、カメラおよびビデオなど、特に限定なく様々な装置に使用できる。
【0014】
図1に示すように、スマートフォン200は、光の入射するレンズ202を備える。スマートフォン200では、光学ユニット100は、レンズ202よりも内側に配置される。スマートフォン200には、レンズ202を介して外部から入射方向に光Lが入射し、光学ユニット100を通過した光に基づいて被写体像が撮像される。
【0015】
<光学ユニット100の全体構成>
次に、
図2を参照して、本実施形態の光学ユニット100の構成を説明する。
図2(a)は、本実施形態の光学ユニット100の模式的な斜視図であり、
図2(b)は、本実施形態の光学ユニット100および対応するレンズモジュール210および撮像素子220の模式的な斜視図である。
【0016】
図2(a)および
図2(b)に示すように、光学ユニット100は、z軸方向に沿って入射する入射光Laをx軸方向に反射光Lbとして反射する。なお、本明細書において、x軸方向、y軸方向およびz軸方向をそれぞれ第1軸方向、第2軸方向、第3軸方向と記載することがある。
【0017】
光学ユニット100は、光学素子110と、ホルダ120と、ケース130と、第1揺動機構140と、第2揺動機構150とを備える。なお、
図2(a)および
図2(b)に示されるように、第2揺動機構150は、光学素子110の-x方向側に位置するが、第1揺動機構140は、光学ユニット100の外部から視認できない。第1揺動機構140は、光学素子110およびホルダ120に対して-z方向側に位置する。
【0018】
光学素子110は、x軸方向に光を反射する反射面110rを有する。反射面110rは、xy平面およびyz平面のそれぞれに対して斜めに配置される。反射面110rは、-z軸方向に沿って入射する入射光Laを反射光Lbとして+x軸方向に反射する。
【0019】
例えば、光学素子110は、プリズムを含む。プリズムは、空気よりも屈折率の高い略単一の透明材料から形成される。光学素子110がプリズムを含むことにより、光学ユニット100内を通過する光経路の長さを短縮できる。
【0020】
ホルダ120は、光学素子110を保持する。ホルダ120は、光学素子110のy軸方向に沿って両側に位置する面、および、-z軸方向側に位置する面から光学素子110を保持する。典型的には、ホルダ120は、樹脂から形成される。
【0021】
ケース130は、ホルダ120を揺動可能に支持する。ケース130は、y軸方向の両側端部からホルダ120を支持する。ホルダ120は、ケース130に対して揺動する。ホルダ120は、ケース130に対してy軸を基準として揺動する。y軸は、ピッチング軸とも呼ばれる。また、ホルダ120は、ケース130に対してz軸を基準として揺動する。z軸は、ヨーイング軸とも呼ばれる。一方、光学ユニット100では、ケース130に対してx軸を基準としたホルダ120の揺動は抑制される。典型的には、ケース130は、樹脂または金属から形成される。
【0022】
第1揺動機構140は、ホルダ120の-z方向側に位置する。第1揺動機構140は、y軸方向を基準にケース130に対してホルダ120を揺動する。
【0023】
また、第2揺動機構150は、ホルダ120の-x方向側に位置する。第2揺動機構150は、z軸方向を基準にケース130に対してホルダ120を揺動する。
【0024】
図2(b)に示すように、光学ユニット100は、z軸方向に沿って入射する入射光Laをx軸方向に反射光Lbとして反射する。その後、反射光Lbは、スマートフォン200のレンズモジュール210を介して撮像素子220にて受光される。レンズモジュール210は、用途に応じた種々のレンズを含んでもよい。
【0025】
本実施形態の光学ユニット100において、ホルダ120は、ケース130に対して揺動可能に支持される。ホルダ120は、ケース130に対してy軸およびz軸を基準として揺動可能であるが、x軸を基準とした揺動は抑制される。
【0026】
次に、
図3を参照して、本実施形態の光学ユニット100の構成を説明する。
図3(a)および
図3(b)は、本実施形態の光学ユニット100における光学素子110、ホルダ120およびケース130の分解斜視図である。
【0027】
図3(a)から理解されるように、光学素子110は、ホルダ120に装着される。また、ホルダ120は、光学素子110とともにケース130に装着される。
【0028】
図3(a)および
図3(b)に示すように、光学素子110は、略三角柱形状である。光学素子110は、面110a、面110b、面110c、面110dおよび面110eを有する。面110aの法線は、z軸方向に平行であり、+z方向を向く。
【0029】
面110bは、面110aと接続し、面110aに対して直交する。面110bの法線は、y軸方向に平行であり、+y方向を向く。面110cは、面110aと接続し、面110aに対して直交する。面110cの法線は、y軸方向に平行であり、-y方向を向く。
【0030】
面110dは、面110a、面110bおよび面110cと接続する。面110dは、xy平面に対して斜めに交差する。ここでは、面110dが、
図2の反射面110rとなる。面110eは、面110a、面110b、面110cおよび面110dと接続し、面110a、面110b、面110cに対して直交する。面110eの法線は、x軸方向に平行であり、+x方向を向く。
【0031】
ホルダ120は、中央部分の一部が除去された略直方体形状である。ホルダ120は、面120a、面120b、面120c、面120d、面120e、面120f、面120g、面120hおよび面120iを有する。
【0032】
面120aは、xy平面に対して斜めに交差する。面120aのy方向の長さは、光学素子110のy方向の長さとほぼ等しいが、面120aのy方向の長さは、光学素子110のy方向の長さよりもわずかに大きい。
【0033】
面120bは、面120aと接続し、面120aに対して直交する。面120bの法線は、y軸方向に平行であり、-y方向を向く。面120cは、面120bに対向する。面120cは、面120aと接続し、面120aに対して直交する。面120cの法線は、y軸方向に平行であり、+y方向を向く。
【0034】
光学素子110は、ホルダ120の面120a、面120bおよび面120cに装着される。面120a、面120bおよび面120cは、ホルダ120の内周面を構成する。また、ホルダ120の面120aには光学素子110が取り付けられる。本明細書において、ホルダ120の面120aを光学素子取付面と記載することがある。
【0035】
面120dの法線は、z軸方向に平行であり、+z方向を向く。面120dは、面120aによって面120d1および面120d2に分かれる。面120d1は、面120aに対して+y方向側に位置し、面120d2は、面120aに対して-y方向側に位置する。
【0036】
面120eは、面120d1に接続し、面120d1に対して直交する。面120eの法線は、y軸方向に平行であり、+y方向を向く。ホルダ120がケース130に装着されると、ホルダ120の面120eは、ケース130と対向する。本明細書において、ホルダ120の面120eを第1ケース対向面と記載することがある。
【0037】
面120fは、面120d2に接続し、面120d2に対して直交する。面120fの法線は、y軸方向に平行であり、-y方向を向く。ホルダ120がケース130に装着されると、ホルダ120の面120fは、ケース130と対向する。本明細書において、ホルダ120の面120fを第2ケース対向面と記載することがある。
【0038】
面120gは、面120a、面120d1、面120d2、面120eおよび面120fに接続し、面120d1、面120d2、面120eおよび面120fに対して直交する。面120gの法線は、x軸方向に平行であり、-x方向を向く。面120hは、面120e、面120fおよび面120gに接続し、面120e、面120fおよび面120gに対して直交する。面120hの法線は、z軸方向に平行であり、-z方向を向く。
【0039】
面120iの法線は、x軸方向に平行であり、+x方向を向く。面120iは、面120d、面120e、面120fおよび面120hに接続し、面120d、面120e、面120fおよび面120hに対して直交する。面120iは、面120aによって面120i1および面120i2に分かれる。面120i1は、面120aに対して+y方向側に位置し、面120i2は、面120aに対して-y方向側に位置する。
【0040】
図3(a)および
図3(b)に示すように、ホルダ120は、取付部121と、第1端部122aと、第2端部122bと、第1凸部125と、第2凸部126とを有する。取付部121には、光学素子110が取り付けられる。第1端部122aは、取付部121に対して+y方向側に位置する。第2端部122bは、取付部121に対して-y方向側に位置する。取付部121は、第1端部122aと、第2端部122bとの間に位置する。
【0041】
面120eは、第1端部122aの+y方向側の外面である。上述したように、面120eは、ケース130と対向する第1ケース対向面となる。第1凸部125は、ケース130と対向する第1ケース対向面(面120e)に設けられる。ここでは、第1凸部125は、第1ケース対向面(面120e)の中心に位置する。ホルダ120がケース130に装着された場合、第1凸部125は、ケース130に向かって突出する。
【0042】
面120fは、第2端部122bの-y方向側の外面である。上述したように、面120fは、ケース130と対向する第2ケース対向面となる。第2凸部126は、ケース130と対向する第2ケース対向面(面120f)に設けられる。ここでは、第2凸部126は、第2ケース対向面(面120f)の中心に位置する。ホルダ120がケース130に装着された場合、第2凸部126は、ケース130に向かって突出する。
【0043】
ケース130は、隣接する2つの面からより小さい略直方体形状を部分的に除去した略直方体形状である。ケース130は、内周面132と、外周面134とを有する。内周面132は、面132a、面132b、面132cおよび面132dを有する。面132aの法線は、x軸方向に平行であり、+x方向を向く。
【0044】
面132bは、面132aに接続し、面132aに対して直交する。面132bの法線は、y軸方向に平行であり、-y方向を向く。面132cは、面132aに接続し、面132aに対して直交する。面132cの法線は、y軸方向に平行であり、+y方向を向く。
【0045】
面132dは、面132a、面132bおよび面132cに接続し、面132a、面132bおよび面132cに対して直交する。面132dの法線は、z軸方向に平行であり、+y方向を向く。
【0046】
ケース130の内周面132には、ホルダ120が装着される。ケース130の内周面132にホルダ120が装着された場合、ホルダ120の面120g、面120e、面120fおよび面120hが、ケース130の面132a、面132b、面132cおよび面132dにそれぞれ対向する。
【0047】
上述したように、本明細書において、ホルダ120の面120eを第1ケース対向面と記載し、ホルダ120の面120fを第2ケース対向面と記載することがある。なお、本明細書において、ケース130のうち、ホルダ120の面120eと対応する面132bを第1ホルダ対向面と記載することがあり、ホルダ120の面120fと対応する面132cを第2ホルダ対向面と記載することがある。
【0048】
外周面134は、面134a、面134b、面134c、面134d、面134eおよび面134fを有する。面134aの法線は、z軸方向に平行であり、+z方向を向く。面134aは、面132a、面132bおよび面132cのそれぞれと接続し、面132a、面132bおよび面132cに対して直交する。
【0049】
面134bは、面134aに接続し、面134aに対して直交する。面134bの法線は、y軸方向に平行であり、+y方向を向く。面134cは、面134aに接続し、面134aに対して直交する。面134cの法線は、y軸方向に平行であり、-y方向を向く。
【0050】
面134dは、面134a、面134bおよび面134cに接続し、面134a、面134bおよび面134cに対して直交する。面134dの法線は、x軸方向に平行であり、-x方向を向く。面134eは、面134b、面134cおよび面134dに接続し、面134b、面134cおよび面134dに対して直交する。面134eの法線は、z軸方向に平行であり、-z方向を向く。
【0051】
面134fは、面134b、面134cおよび面134eに接続し、面134b、面134cおよび面134eに対して直交する。また、面134fは、面132a、面132bおよび面132cのそれぞれと接続し、面132a、面132bおよび面132cに対して直交する。面134fの法線は、x軸方向に平行であり、+x方向を向く。
【0052】
ケース130は、第1凹部135を有する。第1凹部135は、ホルダ120の第1ケース対向面(120e)と対向する第1ホルダ対向面(132b)に設けられる。第1凹部135は、第1凸部125の少なくとも一部を収容する。ここでは、第1凹部135は、x軸方向に延びる。第1凹部135のx軸方向の長さは、第1凸部125のx軸方向の長さよりも大きい。
【0053】
ケース130は、第2凹部136を有する。第2凹部136は、ホルダ120の第2ケース対向面(120f)と対向する第2ホルダ対向面(132c)に設けられる。第2凹部136は、第2凸部126の少なくとも一部を収容する。ここでは、第2凹部136は、x軸方向に延びる。第2凹部136のx軸方向の長さは、第2凸部126のx軸方向の長さよりも大きい。
【0054】
本実施形態の光学ユニット100によれば、ホルダ120がケース130に装着される場合、第1凸部125は、第1端部122aからケース130に向かって突出する。また、第1凸部125の設けられた第1ケース対向面(面120e)は、第1凹部135の設けられた第1ホルダ対向面(面132b)と対向し、第1凹部135は、第1凸部125の少なくとも一部を収容する。このため、第1凸部125は、収容された第1凹部135内で移動可能である。
【0055】
同様に、第2凸部126は、第2端部122bからケース130に向かって突出する。また、第2凸部126の設けられた第2ケース対向面(面120f)は、第2凹部136の設けられた第2ホルダ対向面(面132c)と対向し、第2凹部136は、第2凸部126の少なくとも一部を収容する。このため、第2凸部126は、収容された第2凹部136内で移動可能である。
【0056】
次に、
図3および
図4を参照して、本実施形態の光学ユニット100におけるホルダ120、第1揺動機構140および第2揺動機構150を説明する。
図4(a)および
図4(b)は、本実施形態の光学ユニット100におけるホルダ120、第1揺動機構140および第2揺動機構150の模式的な斜視図である。なお、
図4(a)および
図4(b)では、第1コイル144および第2コイル154を除き、ケース130を省略して示している。
【0057】
第1揺動機構140は、第1磁石142と、第1コイル144とを含む。第1磁石142は、ホルダ120およびケース130の一方に設けられ、第1コイル144は、第1磁石142に対して、ホルダ120およびケース130の他方に設けられる。詳細には、第1磁石142および第1コイル144の一方は、ホルダ120の面120hに設けられ、第1磁石142および第1コイル144の他方は、ケース130の面132d上または面132dに対向するケース130内部に配置される。本明細書において、ホルダ120の面120hを第1揺動機構取付面と記載することがある。
【0058】
ここでは、第1磁石142は、ホルダ120に取り付けられる。詳細には、第1磁石142は、ホルダ120の面120hに取り付けられる。第1磁石142は、N極142nと、S極142sとを有する。N極142nおよびS極142sは、それぞれy方向に延びており、x方向に並んで配列される。
【0059】
第1コイル144はケース130に設けられる。第1コイル144に流れる電流の向きを切り換えることにより、第1磁石142はx軸方向に沿った力を受ける。
【0060】
第2揺動機構150は、第2磁石152と、第2コイル154とを含む。第2磁石152は、ホルダ120およびケース130の一方に設けられ、第2コイル154は、第2磁石152に対して、ホルダ120およびケース130の他方に設けられる。詳細には、第2磁石152および第2コイル154の一方は、ホルダ120の面120gに設けられ、第2磁石152および第2コイル154の他方は、ケース130の面132a上または面132aに対向するケース130内部に配置される。本明細書において、ホルダ120の面120gを第2揺動機構取付面と記載することがある。
【0061】
ここでは、第2磁石152は、ホルダ120に取り付けられる。詳細には、第2磁石152は、ホルダ120の面120gに取り付けられる。第2磁石152は、N極152nと、S極152sとを有する。N極152nおよびS極152sは、それぞれz方向に延びており、y方向に並んで配列される。
【0062】
第2コイル154はケース130に設けられる。第2コイル154に流れる電流の向きを切り換えることにより、第2磁石152はy軸方向に沿った力を受ける。
【0063】
図4(a)および
図4(b)に示すように、ホルダ120が第1磁石142および第2磁石152を含み、ケース130が第1コイル144および第2コイル154を含むことが好ましい。これにより、ケース130の第1コイル144および/または第2コイル154に電流を流すことにより、ケース130を基準としたホルダ120の揺動を簡便に制御できる。
【0064】
上述したように、第1揺動機構取付面(面120h)は、第1ケース対向面(面120e)および第2ケース対向面(面120f)に接続される。また、第1揺動機構取付面(面120h)は、z軸方向に平行な法線を有する。また、第2揺動機構取付面(面120g)は、第1ケース対向面(面120e)および第2ケース対向面(面120f)に接続される。第2揺動機構取付面(面120g)は、x軸方向に平行な法線を有する。
【0065】
第1揺動機構取付面(面120h)には、第1揺動機構140の第1磁石142および第1コイル144の一方が取り付けられる。同様に、第2揺動機構取付面(面120g)には、第2揺動機構150の第2磁石152および第2コイル154の一方が取り付けられる。第1揺動機構140および第2揺動機構150は、x軸方向およびy軸方向に平行な法線を有する取付面(面120h、120g)に取り付けられるため、ケース130に対してホルダ120を効率的に揺動できる。
【0066】
また、上述したように、光学素子110は、ホルダ120の光学素子取付面(面120a)に位置する。光学素子取付面(面120a)は、第1ケース対向面(面120e)と第2ケース対向面(面120f)との間に位置する。また、光学素子取付面(面120a)は、第1揺動機構取付面(面120h)および第2揺動機構取付面(面120g)に対して斜めに配置される。このため、光学素子取付面(面120a)に取り付けられる光学素子110によって反射光の光軸がずれることを効果的に抑制できる。
【0067】
上述したように、ホルダ120の第1凸部125は、ケース130の第1凹部135に収容され、ホルダ120の第2凸部126は、ケース130の第2凹部136に収容される。
【0068】
ここで、
図5を参照して、本実施形態の光学ユニット100におけるホルダ120の凸部およびケース130の凹部の係合を説明する。まず、光学ユニット100におけるホルダ120の第1凸部125およびケース130の第1凹部135の係合を説明する。
図5(a)は、本実施形態の光学ユニット100におけるホルダ120の第1凸部125およびケース130の第1凹部135の係合を説明するための模式図である。
【0069】
図5(a)に示すように、第1凸部125は、ホルダ120の面120eから突出する。第1凸部125は、一部球面形状を有する。ここでは、第1凸部125は、半球形状である。ただし、第1凸部125は半球形状でなくてもよい。第1凸部125は曲面形状を有することが好ましい。一例では、第1凸部125は、矩形状の平面の周囲にR面が設けられた形状であってもよい。
【0070】
上述したように、第1凹部135は、第1凸部125の少なくとも一部を収容する。第1凹部135は、第1側面135aと、第2側面135bと、底面135cとを有する。第1側面135aは、第1凸部125に対してz軸方向一方側に位置する。第2側面135bは、第1凸部125に対してz軸方向他方側に位置する。底面135cは、第1凹部135の第1側面135aと第1凹部135の第2側面135bとを接続する。
【0071】
ここでは、第1側面135aは、x軸方向と平行に延びる。また、第2側面135bは、x軸方向と平行に延びる。第1側面135aおよび第2側面135bは互いに平行である。
【0072】
また、第1側面135aと底面135cとの境界は円弧状であり、第2側面135bと底面135cとの境界も円弧状である。このため、底面135cの深さ(面132bに対する底面135cまでの距離)は、x方向の位置に応じて変化する。第1側面135aのうちのx方向中央において底面135cは最も深い。
【0073】
底面135cは、一部球面形状を有することが好ましい。ここでは、底面135cは、z軸方向から正面視した場合に曲面形状を有する。底面135cの曲面は、一定の曲率半径で規定されてもよい。底面135cの曲面は、第1凸部125の形状と整合する。
【0074】
次に、光学ユニット100におけるホルダ120の第2凸部126およびケース130の第2凹部136の係合を説明する。
図5(b)は、本実施形態の光学ユニット100におけるホルダ120の第2凸部126およびケース130の第2凹部136の係合を説明するための模式図である。
【0075】
図5(b)に示すように、第2凸部126は、ホルダ120の面120fから突出する。第2凸部126は、一部球面形状を有する。ここでは、第2凸部126は、半球形状である。ここでは、第2凸部126は、半球形状である。ただし、第2凸部126は半球形状でなくてもよい。第2凸部126は曲面形状を有することが好ましい。一例では、第2凸部126は、矩形状の平面の周囲にR面が設けられた形状であってもよい。
【0076】
上述したように、第2凹部136は、第2凸部126の少なくとも一部を収容する。第2凹部136は、第1側面136aと、第2側面136bと、底面136cとを有する。第1側面136aは、第2凸部126に対してz軸方向一方側に位置する。第2側面136bは、第2凸部126に対してz軸方向他方側に位置する。底面136cは、第2凹部136の第1側面136aと第2凹部136の第2側面136bとを接続する。
【0077】
ここでは、第1側面136aは、x軸方向と平行に延びる。また、第2側面136bは、x軸方向と平行に延びる。第1側面136aおよび第2側面136bは互いに平行である。
【0078】
また、第1側面136aと底面136cとの境界は円弧状であり、第2側面136bと底面136cとの境界も円弧状である。このため、底面136cの深さ(面132cに対する底面136cまでの距離)は、x方向の位置に応じて変化する。第1側面136aのうちのx方向中央において底面136cは最も深い。
【0079】
底面136cは、一部球面形状を有することが好ましい。ここでは、底面136cは、z軸方向から正面視した場合に曲面形状を有する。底面136cの曲面は、一定の曲率半径で規定されてもよい。底面136cの曲面は、第2凸部126の形状と整合する。
【0080】
図5から理解されるように、第1凹部135は第1凸部125を支持する。このとき、第1凸部125は、第1凹部135に対してy軸方向およびz軸方向を基準として揺動可能であるが、x軸方向を基準とした揺動は抑制される。同様に、第2凹部136は第2凸部126を支持する。このとき、第2凸部126は、第2凹部136に対してy軸方向およびz軸方向を基準として揺動可能であるが、x軸方向を基準とした揺動は抑制される。
【0081】
本実施形態によれば、光学ユニット100は、互いに直交する3つの軸方向のうちの2つの軸方向(例えば、y軸方向およびz軸方向)を基準として揺動可能であるとともに、残り1つの軸方向(例えば、x軸方向)を基準とした揺動を規制する。これにより、簡易な構成で反射光の光軸のずれを抑制できる。
【0082】
さらに、上述したように、第1凸部125は一部球面形状を有し、第1凸部125を収容する第1凹部135の底面135cは一部球面形状を有する。同様に、第2凸部126は一部球面形状を有し、第2凸部126を収容する第2凹部136の底面135cは一部球面形状を有する。このため、光学ユニット100は、y軸方向およびz軸方向を基準として滑らかに揺動可能である。
【0083】
次に、
図6を参照して、本実施形態の光学ユニット100におけるホルダ120の凸部およびケース130の凹部の係合した構成を説明する。まず、
図6(a)を参照して、本実施形態の光学ユニット100におけるホルダ120の第1凸部125および第2凸部126がケース130の第1凹部135および第2凹部136とそれぞれ係合した構成を説明する。
図6(a)は、
図2(a)のVIa-VIa線に沿った断面図であり、
図6(b)は、
図2(a)のVIb-VIb線に沿った断面図である。
【0084】
図6(a)に示すように、第1凸部125は第1凹部135に収容され、第2凸部126は第2凹部136に収容される。
【0085】
第1凹部135のz軸方向に沿った幅Wz1は、第1凸部125のz軸方向に沿った長さLz1とほぼ等しいか、若干大きい。第1凹部135は、幅Wz1のままx軸方向に延びる。
【0086】
同様に、第2凹部136のz軸方向に沿った幅Wz2は、第2凸部126のz軸方向に沿った長さLz2とほぼ等しいか、若干大きい。第2凹部136は、幅Wz2のままx軸方向に延びる。
【0087】
ここでは、第2凹部136の幅Wz2は、第1凹部135の幅Wz1とほぼ等しい。また、ケース130の面132cにおける第2凹部136の位置は、ケース130の面132bにおける第1凹部135の位置とほぼ等しい。
【0088】
第1凸部125および第2凸部126は、y軸方向を基準として回転可能である。ここでは、第1凸部125および第2凸部126は、いずれも半球形状であるため、第1凸部125および第2凸部126とともに、ホルダ120はy軸方向を基準として滑らかに回転できる。
【0089】
一方で、第1凹部135の幅Wz1は、第1凸部125の長さLz1とほぼ等しいか、若干大きい。また、第2凹部136の幅Wz2は、第2凸部126の長さLz2とほぼ等しいか、若干大きい。このため、ホルダ120はx軸方向を基準として揺動できない。仮に、ホルダ120がx軸方向を基準とした時計回りに回転する力を受けたとしても、第1凸部125が第1凹部135の第2側面135bと接触し、第2凸部126が第2凹部136の第1側面136aと接触するため、ホルダ120は時計回りに回転できない。同様に、ホルダ120がx軸方向を基準とした反時計回りに回転する力を受けたとしても、第1凸部125が第1凹部135の第1側面135aと接触し、第2凸部126が第2凹部136の第2側面135bと接触するため、ホルダ120は反時計回りに回転できない。
【0090】
また、
図6(b)に示すように、第1凸部125は第1凹部135に収容され、第2凸部126は第2凹部136に収容される。
【0091】
第1凹部135の底面135cは円弧状である。底面135cの曲率半径φRc1は、第1凸部125の端部と第2凸部126の端部とを結ぶ直線Dの長さLmを直径とし、直線Dの中点を中心とした場合の半径R(長さLm/2)とほぼ等しいか、または、半径Rよりも若干大きい。ここで、直線Dの長さLmは、ホルダ120のy方向に沿った長さと、第1凸部125の長さLy1と、第2凸部126の長さLy2との和に等しい。なお、第1凸部125が半球面状である場合、長さLy1は、長さLz1の半分とほぼ等しい。
【0092】
同様に、第2凹部136の底面136cは円弧状である。底面136cの曲率半径φRc2は、直線Dの長さLmを直径とし、直線Dの中点を中心とした場合の半径R(長さLm/2)とほぼ等しいか、または、半径Rよりも若干大きい。
【0093】
ここでは、曲率半径φRc1および曲率半径φRc2は、それぞれ第1凸部125の端部と第2凸部126の端部とを結ぶ直線Dに基づく半径Rとほぼ等しいか、若干大きい。したがって、第1凹部135の底面135cおよび第2凹部136の底面136cは、同一円Cmの一部を構成する。このため、第1凸部125および第2凸部126とともに、ホルダ120はz軸方向を基準として滑らかに回転できる。
【0094】
次に、
図7を参照して、本実施形態の光学ユニット100における揺動を説明する。
図7(a)は、本実施形態の光学ユニット100における第1揺動機構140による揺動を説明するための模式図であり、
図7(b)は、本実施形態の光学ユニット100における第2揺動機構150による揺動を説明するための模式図である。
【0095】
図7(a)に示すように、第1揺動機構140は、第1磁石142と、第1コイル144とを含む。第1磁石142は、ホルダ120に設けられ、第1コイル144は、ケース130に設けられる。また、第2揺動機構150は、第2磁石152と、第2コイル154とを含む。第2磁石152は、ホルダ120に設けられ、第2コイル154は、ケース130設けられる。
【0096】
第1コイル144に流れる電流の向きを切り換えることにより、第1磁石142はx軸方向に沿った力を受ける。この場合、第1磁石142は、x軸方向に沿って移動することになる。このため、第1磁石142の取り付けられたホルダ120は、ケース130に対して、y軸方向を基準として揺動(ピッチング)する。
【0097】
図7(b)に示すように、第2コイル154に流れる電流の向きを切り換えることにより、第2磁石152はy軸方向に沿った力を受ける。この場合、第2磁石152は、y軸方向に沿って移動することになる。このため、第2磁石152の取り付けられたホルダ120は、ケース130に対して、z軸方向を基準として揺動(ヨーイング)する。
【0098】
次に、
図8を参照して、本実施形態の光学ユニット100における第1揺動機構140による揺動を説明する。
図8(a)~
図8(c)は、本実施形態の光学ユニット100における第1揺動機構140によって揺動を説明するための模式図である。
図8(a)は、光学ユニット100におけるホルダ120が基準位置に位置しており、
図8(b)および
図8(c)は、ホルダ120が基準位置に対していずれかの方向に揺動する。
【0099】
図8(a)に示すように、ホルダ120がケース130に対して基準位置である場合、光学素子110の面110eの法線はx軸方向を向いており、反射光Lbはx軸方向に沿って進行する。
【0100】
図8(b)に示すように、ケース130に対して+y軸方向を基準として時計回りの揺れが生じた場合、ホルダ120は、ケース130に対して+y軸方向を基準として反時計回りに揺動できる。また、
図8(c)に示すように、ケース130に対して+y軸方向を基準として反時計回りの揺れが生じた場合、ホルダ120は、ケース130に対して+y軸方向を基準として時計回りに揺動できる。
【0101】
次に、
図9を参照して、本実施形態の光学ユニット100における第2揺動機構150による揺動を説明する。
図9(a)~
図9(c)は、本実施形態の光学ユニット100における第2揺動機構150によって揺動を説明するための模式図である。
図9(a)は、光学ユニット100におけるホルダ120が基準位置に位置しており、
図9(b)および
図9(c)は、ホルダ120が基準位置に対していずれかの方向に揺動している。
【0102】
図9(a)に示すように、ホルダ120がケース130に対して基準位置である場合、光学素子110の面110eの法線はx軸方向を向いており、反射光Lbはx軸方向に沿って進行する。
【0103】
図9(b)に示すように、ケース130に対して-z軸方向を基準として反時計回りの揺れが生じた場合、ホルダ120は、ケース130に対して-z軸方向を基準として時計回りに揺動できる。また、
図9(c)に示すように、ケース130に対して-z軸方向を基準として時計回りの揺れが生じた場合、ホルダ120は、ケース130に対して-z軸方向を基準として反時計回りに揺動できる。
【0104】
なお、ケース130を樹脂で形成する場合、典型的には、樹脂は一体成型で形成される。この場合、ケース130は、1部品から構成されてもよい。ただし、ケース130は、複数の部品から構成されてもよい。例えば、ケース130が複数の部品から構成される場合、ケース130の部品は、ホルダ120が装着された後で組み立てられてもよい。
【0105】
なお、
図2~
図9に示した光学ユニット100では、第1凸部125および第2凸部126はそれぞれ半球形状であったが、本実施形態はこれに限定されない。第1凸部125および第2凸部126は、円柱形状の基台部を有し、基台部の先端が半球形状であってもよい。
【0106】
また、
図2~
図9を参照して説明した光学ユニット100では、ホルダ120は、ケース130に対して揺動可能に支持されるため、ケース130に対するホルダ120の基準位置が一定に規定されないことがある。しかしながら、ケース130に対するホルダ120の基準位置は一定に規定されることが好ましい。
【0107】
次に、
図10を参照して本実施形態の光学ユニット100を説明する。
図10は、本実施形態の光学ユニット100の模式的な斜視図である。
図10の光学ユニット100は、ケース130がケース本体130aと金属部材138aとを有し、ケース130にレキシブルプリント基板(Flexible Printed Circuit:FPC)FPが挿入されている点を除いて、
図2に示した光学ユニット100と同様の構成を有しており、冗長を避けるために重複する記載を省略する。なお、ここでは、図面が過度に複雑になることを避けるために、ケース130の外縁を2点鎖線で示している。
【0108】
図10に示すように、光学ユニット100において、ケース130は、ケース本体130aおよび金属部材138aを有する。金属部材138aは、第1磁石142に対向する。
【0109】
ここでは、金属部材138aはケース本体130aの内部に配置される。また、金属部材138aは、ケース本体130aの内部に位置する第1コイル144の近傍に配置される。金属部材138aにより、第1コイル144に電流が流れない場合に、第1磁石142および第1磁石142を備えるホルダ120を、所定の位置に位置づけることができる。金属部材138aを第1揺動機構140に対して配置することにより、第1コイル144に電流を流さないときのケース130に対するホルダ120の位置を規定できる。なお、金属部材138aと第1磁石142との間で生じる磁力は、第1コイル144に電流が流れたときに生じる磁力よりも弱いため、金属部材138aが設けられても、第1コイル144に電流を流すことにより、ホルダ120をケース130に対して揺動する。
【0110】
なお、
図10では、金属部材138aは第1揺動機構140の第1コイル144の近傍に配置されたが、本実施形態はこれに限定されない。金属部材138aは、第2磁石152に対向し、第2揺動機構150の第2コイル154の近傍に配置されてもよい。
【0111】
金属部材138aは、第1コイル144の中心に対して対称に配置されることが好ましい。
図10では、金属部材138aは、第1磁石142のN極142nおよびS極142sと同様に、y方向に延びており、金属部材138aのx方向に沿った中心は、N極142nとS極142sとの間に位置する。この場合、第1磁石142は、第1コイル144の中心に対して対称に配置された金属部材138aに引き付けられるため、ケース130に対するホルダ120の位置を適切に制御できる。同様に、金属部材138aは、第2コイル154の中心に対して対称に配置されることが好ましい。これにより、第2磁石152は、第2コイル154の中心に対して対称に配置された金属部材138aに引き付けられるため、ケース130に対するホルダ120の位置を適切に制御できる。
【0112】
さらに、
図10では、ケース130にフレキシブルプリント基板FPが挿入される。フレキシブルプリント基板FPには、第1コイル144および金属部材138aが実装されている。フレキシブルプリント基板FPをケース130に挿入することにより、ホルダ120の第1磁石142に対して、第1コイル144および金属部材138aを所定の位置に配置できる。なお、第1コイル144は、フレキシブルプリント基板FPの内部に配置されることが好ましい。一方、金属部材138aは、フレキシブルプリント基板FPの内部に配置されてもよく、フレキシブルプリント基板FPの外表面(例えば、-z軸方向側の外表面)に配置されてもよい。
【0113】
なお、
図1に示したように光学ユニット100をスマートフォンに用いる場合、スマートフォン内のジャイロセンサーがスマートフォンの姿勢を検知し、第1揺動機構140および第2揺動機構150は、スマートフォンの姿勢に応じて制御される。一方、ケース130に対するホルダ120の姿勢を検知可能であることが好ましい。これにより、ケース130に対するホルダ120の姿勢を高精度に制御できる。
【0114】
次に、
図11を参照して本実施形態の光学ユニット100を説明する。
図11は、本実施形態の光学ユニット100の模式的な斜視図である。
図11の光学ユニット100は、ケース130が、金属部材138aに代えてホール素子138bを有する点を除いて、
図10に示した光学ユニット100と同様の構成を有しており、冗長を避けるために重複する記載を省略する。ここでも、図面が過度に複雑になることを避けるために、ケース130の外縁を2点鎖線で示している。
【0115】
図11に示すように、光学ユニット100において、ケース130は、ケース本体130aおよびホール素子138bを有する。ここでは、ホール素子138bはケース本体130aの内部に配置される。また、ホール素子138bは、ケース本体130aの内部に位置する第1コイル144の中心近傍に配置される。ホール素子138bにより、ケース130に対するホルダ120の位置を取得できる。
【0116】
なお、
図11では、ホール素子138bは第1揺動機構140の第1コイル144の近傍に配置されたが、本実施形態はこれに限定されない。ホール素子138bは第2揺動機構150の第2コイル154の近傍に配置されてもよい。
【0117】
なお、ホール素子138bは、第1コイル144の中心に配置されることが好ましい。これにより、ホール素子138bは、第1磁石142からの磁力を適切に検出できる。同様に、ホール素子138bは、第2コイル154の中心に配置されることが好ましい。これにより、ホール素子138bは、第2磁石152からの磁力を適切に検出できる。
【0118】
なお、
図10に示した光学ユニット100は金属部材138aを有し、
図11に示した光学ユニット100はホール素子138bを有したが、光学ユニット100が、金属部材138aおよびホール素子138bの両方を有してもよいことは言うまでもない。
【0119】
なお、
図2~
図11を参照した説明では、第1揺動機構140は、第1磁石142および第1コイル144を有し、第2揺動機構150は、第2磁石152および第2コイル154を有したが、本実施形態はこれに限定されない。第1揺動機構140および第2揺動機構150は、それぞれ別の構成であってもよい。例えば、第1揺動機構140および第2揺動機構150は、形状記憶合金を有する機構であってもよい。
【0120】
なお、
図1を参照して上述した説明では、光学素子110において、反射面110rは、プリズムの表面に形成されたが、本実施形態はこれに限定されない。光学素子110はプリズムを含まなくてもよく、反射面110rは、プリズムの表面に形成されなくてもよい。例えば、光学素子110として薄板形状の反射部材(例えば、ミラー)をホルダ120の取付部121に取り付けてもよい。
【0121】
ただし、光学素子110はプリズムを含むことが好ましい。光学素子110はプリズムを含むことにより、光学経路を短縮できる。このような光学ユニット100は、望遠用の撮像素子として好適に用いられる。
【0122】
なお、
図2~
図11を参照して上述した説明では、光学ユニットは、反射によって光の経路を変更する光学素子110を備えたが、本実施形態はこれに限定されない。光学ユニットは、光の経路を変更しない光学素子を備えてもよい。
【0123】
次に、
図12を参照して、本実施形態の光学ユニット100を備えた光学モジュール100Aを説明する。
図12(a)は、本実施形態の光学ユニット100と別の光学ユニット101とを含む光学モジュール100Aを備えたスマートフォン200の模式的な斜視図である。
【0124】
図12(a)に示すように、スマートフォン200は、2種類の撮像をできる。スマートフォン200は、光の入射するレンズ202およびレンズ204を備える。スマートフォン200では、光学モジュール100Aは、レンズ202およびレンズ204よりも内側に配置される。詳細には、レンズ202は、光学ユニット100に対応して配置されており、レンズ204は、光学ユニット101に対応して配置される。
【0125】
スマートフォン200には、レンズ202を介して外部から入射方向に光Lが入射し、光学ユニット100を通過した光に基づいて被写体像が撮像される。同様に、レンズ204を介して外部から入射方向に光Lが入射し、光学ユニット101を通過した光に基づいて被写体像が撮像される。
【0126】
図12(b)は、本実施形態の光学モジュール100Aの模式的な斜視図である。
図12の光学モジュール100Aは、
図1~
図11を参照して上述したのと同様の構成を有する光学ユニット100と、別の光学ユニット101とを備える。
【0127】
図12(b)に示すように、光学ユニット100は、z軸方向に沿って入射する入射光La1の光軸をx軸方向に反射光Lbとして反射する。その後、反射光Lbは、スマートフォン200のレンズモジュール210を介して撮像素子220にて受光される。レンズモジュール210は、用途に応じた種々のレンズを含む。
【0128】
光学ユニット101は、z軸方向に沿って入射する入射光La2を受光する。光学ユニット101は、光軸の方向をz軸方向から変更することなくレンズモジュール211を介して撮像素子221にて受光する。レンズモジュール211は、用途に応じた種々のレンズを含む。
【0129】
なお、
図1および
図12には、本実施形態の光学ユニット100の用途の一例としてスマートフォンを示したが、光学ユニット100の用途はこれに限定されない。光学ユニット100は、デジタルカメラまたはビデオカメラとして好適に用いられる。例えば、光学ユニット100は、ドライブレコーダの一部として用いられてもよい。あるいは、光学ユニット100は、飛行物体(例えば、ドローン)のための撮影機に搭載されてもよい。
【0130】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0131】
100 光学ユニット
110 光学素子
120 ホルダ
125 第1凸部
126 第2凸部
130 ケース
135 第1凹部
135a 第1側面
135b 第2側面
135c 底面
136 第2凹部
136a 第1側面
136b 第2側面
136c 底面