(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】転写装置、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/16 20060101AFI20240228BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
G03G15/16
G03G21/00 384
(21)【出願番号】P 2020052724
(22)【出願日】2020-03-24
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】安藤 聡
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-156653(JP,A)
【文献】特開2002-341651(JP,A)
【文献】特開2000-250353(JP,A)
【文献】特開2013-061633(JP,A)
【文献】特開2006-337451(JP,A)
【文献】特開2015-165291(JP,A)
【文献】特開平05-323820(JP,A)
【文献】特開平11-224009(JP,A)
【文献】特開平05-127458(JP,A)
【文献】特表2005-532591(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0255133(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0005175(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/00-13/01
13/34-15/01
15/36
21/00-21/02
21/14-21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれトナー像を担持する像担持体の表面との間でニップを形成する接触位置に配置されることにより、前記ニップを通過するシートに前記トナー像を転写する転写ローラーとして作用する第1ローラーおよび第2ローラーと、
前記第1ローラーを回転可能に支持し、前記シートが前記ニップを通過する方向に交差する幅方向に沿って突出する第1凸部を有する第1ローラー支持部材と、
前記第2ローラーを回転可能に支持し、前記幅方向に沿って突出する第2凸部を有する第2ローラー支持部材と、
前記第1ローラー支持部材および前記第2ローラー支持部材をそれぞれ前記像担持体に対して離接可能に支持し、前記第1ローラーが前記接触位置に対向する第1位置と前記第2ローラーが前記接触位置に対向する第2位置との間で変位可能に支持された第1変位部材と、
前記第1ローラー支持部材を前記像担持体へ向けて弾性付勢する第1弾性部材と、
前記第2ローラー支持部材を前記像担持体へ向けて弾性付勢する第2弾性部材と、
変位可能に支持され、変位することによって前記第1凸部および前記第2凸部に対して摺動する摺動部を有する第2変位部材と、
前記第2変位部材を前記摺動部が前記第1凸部から前記第2凸部へ向かう方向へ変位する第1方向および前記第1方向の反対の第2方向へ変位させることにより、装置状態を前記第1ローラーが前記第1弾性部材によって前記接触位置に保持された第1作動状態および前記第2ローラーが前記第2弾性部材によって前記接触位置に保持された第2作動状態の一方から他方へ切り替える駆動装置と、を備え、
前記摺動部は、
それぞれ前記第1凸部および前記第2凸部を係止することによって前記第1ローラー支持部材および前記第2ローラー支持部材を前記第1弾性部材および前記第2弾性部材の付勢力に抗して前記像担持体から離れた待避位置に保持する2つの係止部と、
2つの前記係止部の間に形成され前記第1凸部および前記第2凸部の一方が侵入可能な凹部と、を含み、
前記第1凸部が前記凹部に侵入することにより前記第1凸部の係止による前記第1ローラー支持部材の前記待避位置への保持が解除され、前記第2凸部が前記凹部に侵入することにより前記第2凸部の係止による前記第2ローラー支持部材の前記待避位置への保持が解除され、
前記第1変位部材が前記第1位置に存在し、前記第1凸部が前記凹部に侵入し、前記第2凸部が2つの前記係止部の一方である第1係止部に係止されているときに、前記装置状態が前記第1作動状態であり、
前記第1変位部材が前記第2位置に存在し、前記第2凸部が前記凹部に侵入し、前記第1凸部が2つの前記係止部の他方である第2係止部に係止されているときに、前記装置状態が前記第2作動状態であり、
前記駆動装置が、前記装置状態が前記第1作動状態であるときに前記第2変位部材を前記第1方向へ変位させることにより、前記第1変位部材が前記第1位置に保持されたまま前記第2係止部が前記第1凸部および前記第2凸部を係止する位置へ変位し、さらに前記駆動装置が前記第2変位部材を前記第2方向へ変位させた後に停止させることにより、前記第1凸部および前記第2凸部が前記第1弾性部材および前記第2弾性部材の付勢力により前記摺動部と一体化された状態で前記第1変位部材が前記第2変位部材に連動して前記第1位置から前記第2位置へ変位し、さらに前記凹部が前記第2凸部を侵入させる位置まで変位して停止し、前記装置状態が前記第2作動状態になり、
前記駆動装置が、前記装置状態が前記第2作動状態であるときに前記第2変位部材を前記第2方向へ変位させることにより、前記第1変位部材が前記第2位置に保持されたまま前記第1係止部が前記第1凸部および前記第2凸部を係止する位置へ変位し、さらに前記駆動装置が前記第2変位部材を前記第1方向へ変位させた後に停止させることにより、前
記第1凸部および前記第2凸部が前記第1弾性部材および前記第2弾性部材の付勢力により前記摺動部と一体化された状態で前記第1変位部材が前記第2変位部材に連動して前記第2位置から前記第1位置へ変位し、さらに前記凹部が前記第1凸部を侵入させる位置へ変位して停止することにより前記装置状態が前記第1作動状態になる、転写装置。
【請求項2】
前記幅方向に沿って配置され、回転可能に支持された軸部材を備え、
前記第1変位部材は、前記軸部材によって前記軸部材を中心に前記第1位置と前記第2位置との間で揺動可能に支持されており、
前記第2変位部材は、前記軸部材と一体に構成され、前記軸部材の回転に連動して前記軸部材を中心に揺動し、
前記駆動装置は、前記軸部材を2つの回転方向それぞれへ回転駆動することにより前記第2変位部材を前記第1方向および前記第2方向へ変位させる、請求項1に記載の転写装置。
【請求項3】
前記第2ローラーは、前記第1ローラーよりも前記幅方向において長い前記ニップを形成する、請求項1または請求項2に記載の転写装置。
【請求項4】
像担持体の表面にトナー像を形成するトナー像形成装置と、
前記トナー像をシートに転写する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の転写装と、を備える画像形成装置。
【請求項5】
前記第1ローラーが、前記第2ローラーよりも前記幅方向において短い前記ニップを形成する場合に、前記像担持体の表面における前記第1ローラーと接触しない非接触領域の画像を読み取る画像読取装置と、
前記転写装置の状態が前記第1作動状態であるときに、前記第1ローラーによる前記トナー像の転写が可能な特定サイズを超えないサイズのシートへのプリント処理が実行されるときに、前記像担持体の表面における前記第1ローラーと接触する接触領域にプリント画像を形成し、前記非接触領域にテスト画像を形成する処理を
前記トナー像形成装置に実行させるプリント制御部と、
前記画像読取装置による読取画像に応じて
前記トナー像形成装置に関する予め定められた作像パラメーターを調整するパラメーター調整部と、さらに備える請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記転写装置の初期状態が前記第1作動状態である場合に、前記特定サイズを超えるサイズの前記シートへの前記プリント処理が開始される前に、前記転写装置の状態を前記第1作動状態から前記第2作動状態へ切り替える処理を前記駆動装置に実行させ、前記特定サイズを超えるサイズの前記シートへの前記プリント処理が終了した後に、前記転写装置の状態を前記第2作動状態から前記第1作動状態へ切り替える処理を前記駆動装置に実行させる切替制御部をさらに備える請求項5に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートにトナー像を転写する転写装置およびそれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置において、転写装置は、中間転写ベルトなどの像担持体との間にニップを形成する転写ローラーを備える。前記転写ローラーは、前記ニップを通過するシートに前記像担持体の表面のトナー像を転写する。
【0003】
また、前記転写装置が、前記転写ローラーの候補となる複数のローラーと、前記複数のローラーを支持し回転可能な支持部を備えることが知られている(特許文献1参照)。前記支持部が回転駆動されることにより、前記転写ローラーの切り替えが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記転写ローラーの切り替えが行われる場合、前記像担持体に対する前記ローラーの擦れが生じないことが望ましい。即ち、前記像担持体に接触している1つのローラーを前記像担持体に対して離隔させた後に、他のローラーを前記像担持体に対向する位置へ移動させ、さらに前記他のローラーを前記像担持体に近づけることが望ましい。
【0006】
上記場合、通常、複数のローラーを前記像担持体に対して離接する方向へ移動させるための駆動源と、複数のローラーのうちの1つを選択的に前記像担持体に対向する位置へ移動させるための駆動源とが個別に必要となる。
【0007】
一方、前記転写ローラーの切り替えに必要な駆動源が少ないことが望ましい。
【0008】
本発明の目的は、像担持体に対する転写ローラーの擦れを回避しつつ前記転写ローラーを切り替える機構を1つの駆動源で動作させることができる転写装置およびそれを備える画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一の局面に係る転写装置は、第1ローラーおよび第2ローラーと、第1ローラー支持部材と、第2ローラー支持部材と、第1変位部材と、第1弾性部材と、第2弾性部材と、第2変位部材と、駆動装置と、を備える。前記第1ローラーおよび第2ローラーは、それぞれトナー像を担持する像担持体の表面との間でニップを形成する接触位置に配置されることにより、前記ニップを通過するシートに前記トナー像を転写する転写ローラーとして作用する。前記第1ローラー支持部材は、前記第1ローラーを回転可能に支持し、前記シートが前記ニップを通過する方向に交差する幅方向に沿って突出する第1凸部を有する。前記第2ローラー支持部材は、前記第2ローラーを回転可能に支持し、前記幅方向に沿って突出する第2凸部を有する。前記第1変位部材は、前記第1ローラー支持部材および前記第2ローラー支持部材をそれぞれ前記像担持体に対して離接可能に支持し、前記第1ローラーが前記接触位置に対向する第1位置と前記第2ローラーが前記接触位置に対向する第2位置との間で変位可能に支持されている。前記第1弾性部材は、前記第1ローラー支持部材を前記像担持体へ向けて弾性付勢する。前記第2弾性部材は、前記第2ローラー支持部材を前記像担持体へ向けて弾性付勢する。前記第2変位部材は、変位可能に支持され、変位することによって前記第1凸部および前記第2凸部に対して摺動する摺動部を有する。前記駆動装置は、前記第2変位部材を前記摺動部が前記第1凸部から前記第2凸部へ向かう方向へ変位する第1方向および前記第1方向の反対の第2方向へ変位させることにより、装置状態を前記第1ローラーが前記第1弾性部材によって前記接触位置に保持された第1作動状態および前記第2ローラーが前記第2弾性部材によって前記接触位置に保持された第2作動状態の一方から他方へ切り替える。前記摺動部は、2つの係止部と、凹部と、を含む。前記2つの係止部は、それぞれ前記第1凸部および前記第2凸部を係止することによって前記第1ローラー支持部材および前記第2ローラー支持部材を前記第1弾性部材および前記第2弾性部材の付勢力に抗して前記像担持体から離れた待避位置に保持する。前記凹部は、2つの前記係止部の間に形成され前記第1凸部および前記第2凸部の一方が侵入可能である。前記第1凸部が前記凹部に侵入することにより前記第1凸部の係止による前記第1ローラー支持部材の前記待避位置への保持が解除され、前記第2凸部が前記凹部に侵入することにより前記第2凸部の係止による前記第2ローラー支持部材の前記待避位置への保持が解除される。前記第1変位部材が前記第1位置に存在し、前記第1凸部が前記凹部に侵入し、前記第2凸部が2つの前記係止部の一方である第1係止部に係止されているときに、前記装置状態が前記第1作動状態である。前記第1変位部材が前記第2位置に存在し、前記第2凸部が前記凹部に侵入し、前記第1凸部が2つの前記係止部の他方である第2係止部に係止されているときに、前記装置状態が前記第2作動状態である。前記駆動装置が、前記装置状態が前記第1作動状態であるときに前記第2変位部材を前記第1方向へ変位させることにより、前記第1変位部材が前記第1位置に保持されたまま前記第2係止部が前記第1凸部および前記第2凸部を係止する位置へ変位し、さらに前記駆動装置が前記第2変位部材を前記第2方向へ変位させた後に停止させることにより、前記第1凸部および前記第2凸部が前記第1弾性部材および前記第2弾性部材の付勢力により前記摺動部と一体化された状態で前記第1変位部材が前記第2変位部材に連動して前記第1位置から前記第2位置へ変位し、さらに前記凹部が前記第2凸部を侵入させる位置まで変位して停止し、前記装置状態が前記第2作動状態になる。前記駆動装置が、前記装置状態が前記第2作動状態であるときに前記第2変位部材を前記第2方向へ変位させることにより、前記第1変位部材が前記第2位置に保持されたまま前記第1係止部が前記第1凸部および前記第2凸部を係止する位置へ変位し、さらに前記駆動装置が前記第2変位部材を前記第1方向へ変位させた後に停止させることにより、前記第1凸部および前記第2凸部が前記第1弾性部材および前記第2弾性部材の付勢力により前記摺動部と一体化された状態で前記第1変位部材が前記第2変位部材に連動して前記第2位置から前記第1位置へ変位し、さらに前記凹部が前記第1凸部を侵入させる位置へ変位して停止することにより前記装置状態が前記第1作動状態になる。
【0010】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、像担持体の表面にトナー像を形成するトナー像形成装置と、前記トナー像をシートに転写する前記転写装置と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、像担持体に対する転写ローラーの擦れを回避しつつ前記転写ローラーを切り替える機構を1つの駆動源で動作させることができる転写装置およびそれを備える画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る画像形成装置における制御関連機器の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る画像形成装置における転写装置の主要部の概略平面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る画像形成装置における第1作動状態の転写装置を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る画像形成装置における第1作動状態から第2作動状態へ切り替わる途中の転写装置を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る画像形成装置における第2作動状態の転写装置を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る画像形成装置における第2作動状態から第1作動状態へ切り替わる途中の転写装置を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る画像形成装置におけるプリント制御の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0014】
[画像形成装置10の構成]
本発明の実施形態に係る画像形成装置10は、電子写真方式でシートに画像を形成する装置である。前記シートは、用紙または樹脂フィルムなどのシート状の画像形成媒体である。
【0015】
画像形成装置10は、本体1内に配置された給紙装置30、シート搬送装置3、プリント装置4および1つ以上のトナーコンテナー400などを備える。
【0016】
給紙装置30は、複数枚のシートを収容し、前記シートを1枚ずつシート搬送路300へ送り出す。シート搬送装置3は、前記シートをシート搬送路300に沿って搬送する。
【0017】
プリント装置4は、給紙装置30からシート搬送装置3を通じて供給される前記シートに電子写真方式でトナー像を形成するプリント処理を実行する。
【0018】
プリント装置4は、レーザースキャニングユニット40、1つ以上の作像装置4xと、転写装置44と、定着装置47とを備える。
【0019】
図1に示される例において、プリント装置4は、タンデム方式のカラープリント装置である。そのため、プリント装置4は、4色のトナー9に対応する4つのトナーコンテナー400および4つの作像装置4xを備える。作像装置4x各々は、ドラム状の感光体41、帯電装置42、現像装置43および一次クリーニング装置45を備える。
【0020】
作像装置4x各々において、感光体41が回転し、帯電装置42が感光体41の表面を帯電させる。さらに、作像装置4x各々において、現像装置43が、レーザースキャニングユニット40によって感光体41の表面に形成される静電潜像をトナー像へ現像する。
【0021】
さらに、転写装置44は、中間転写ベルト440、4つの一次転写装置441、二次転写装置442および二次クリーニング装置443を備える。中間転写ベルト440は、一対のベルト支持ローラー440aによって回転可能に支持されている。
【0022】
中間転写ベルト440が4つの感光体41に接触しつつ回転し、4つの一次転写装置441が前記トナー像を4つの感光体41から中間転写ベルト440へ転写する。
【0023】
二次転写装置442は、中間転写ベルト440上の前記トナー像を、シート搬送路300を搬送中の前記シートに転写する。本実施形態において、感光体41および中間転写ベルト440は、像担持体の一例である。
【0024】
以上に示されるように、プリント装置4において、作像装置4x、レーザースキャニングユニット40および一次転写装置441は、感光体41および中間転写ベルト440の表面に前記トナー像を形成するトナー像形成装置の一例である。二次転写装置442は、中間転写ベルト440の表面の前記トナー像を前記シートに転写する。
【0025】
二次クリーニング装置443は、中間転写ベルト440から廃トナーを除去する。また、作像装置4x各々において、一次クリーニング装置45が、感光体41の表面に残存する廃トナーを除去する。
【0026】
定着装置47は、前記シート上の前記トナー像を加熱しつつ加圧することによって前記シートへ定着させる。シート搬送装置3は、画像が形成された前記シートをシート搬送路300から排出する。
【0027】
トナーコンテナー400各々は、プリント装置4における対応する現像装置43へトナー9を供給する。
【0028】
さらに、画像形成装置10は、制御装置8、操作器801および表示装置802を備える。操作器801は、人の操作を受け付けるタッチパネルまたは操作ボタンなどである。表示装置802は、情報を表示する液晶パネルユニットなどである。
【0029】
図2に示されるように、制御装置8は、CPU(Central Processing Unit)81、RAM(Random Access Memory)82および二次記憶装置83などを含む。
【0030】
CPU81は、二次記憶装置83などに記憶されたコンピュータープログラムを実行することにより、画像形成装置10における電気機器の制御および各種のデータ処理を実行するプロセッサーの一例である。
【0031】
CPU81は、前記コンピュータープログラムを実行することにより実現される複数の処理モジュールを含む。前記複数の処理モジュールは、プリント制御部8a、切替制御部8bおよびパラメーター調整部8cなどを含む。
【0032】
プリント制御部8aは、プリント装置4を制御することにより、プリント装置4に前記プリント処理を実行させる。切替制御部8bおよびパラメーター調整部8cについては後述する。
【0033】
なお、DSP(Digital Signal Processor)などの他のプロセッサーが、CPU81の代わりに各種の制御およびデータ処理を実行することも考えられる。
【0034】
RAM82は、CPU81が実行する前記プログラムおよびCPU81が前記プログラムを実行する過程で出力および参照するデータを一次記憶する記憶装置である。
【0035】
二次記憶装置83は、コンピューター読み取り可能な不揮発性のデータ記憶装置である。二次記憶装置83は、前記プログラムおよび各種のデータを記憶可能である。例えば、ハードディスクドライブおよびSSD(Solid State Drive)の一方または両方の組合せが、二次記憶装置83として採用される。
【0036】
図3に示されるように、二次転写装置442は、転写ローラー4420の候補となる第1ローラー442aおよび第2ローラー442bと、ローラー切替機構46とを備える。
【0037】
ローラー切替機構46は、第1ローラー442aおよび第2ローラー442bをそれぞれ回転可能に支持するとともに、第1ローラー442aおよび第2ローラー442bの一方を選択的に転写ローラー4420として中間転写ベルト440に接触させる。
【0038】
図3~7において、シート通過方向D1は、前記シートがニップN1を通過する方向であり、幅方向D2は、シート通過方向D1に交差する方向である。本実施形態において、幅方向D2は、シート通過方向D1に直交する水平な方向である。
【0039】
図4に示されるように、第1ローラー442aおよび第2ローラー442bは、それぞれ前記トナー像を担持する中間転写ベルト440の表面との間でニップN1を形成する接触位置P1に配置されることにより、ニップN1を通過する前記シートに前記トナー像を転写する転写ローラー4420として作用する。
【0040】
図4は、第2ローラー442bが接触位置P1に配置されている状態を示す。本実施形態において、第2ローラー442bは、第1ローラー442aよりも幅方向D2において長いニップN1を形成する。
【0041】
換言すれば、第1ローラー442aは、第2ローラー442bよりも幅方向D2において短いニップN1を形成する。
【0042】
以下、中間転写ベルト440の表面における接触位置P1に配置された第1ローラー442aと接触する領域のことを第1領域A1と称し、第1領域A1に対し幅方向D2の両側の領域を第2領域A2と称する。
【0043】
第2領域A2は、中間転写ベルト440の表面における接触位置P1に配置された第1ローラー442aと接触しない非接触領域の一例である。また、第1領域A1は接触領域の一例である。
【0044】
第2ローラー442bが接触位置P1に配置される場合、第2ローラー442bは、第1領域A1および第2領域A2に亘って中間転写ベルト440の表面に接触する。
【0045】
即ち、第1ローラー442aが接触位置P1に配置される場合、ニップN1は、第1領域A1において形成される。一方、第2ローラー442bが接触位置P1に配置される場合、ニップN1は、第1領域A1および第2領域A2に亘って形成される(
図3参照)。
【0046】
画像形成装置10は、中間転写ベルト440の表面における第2領域A2の画像を読み取るイメージセンサー5をさらに備える。例えば、イメージセンサー5がCIS(Contact Image Sensor)であることが考えられる。イメージセンサー5は、画像読取部の一例である。
【0047】
後述するように、画像形成装置10は、第1ローラー442aが接触位置P1に配置された状況下で前記プリント処理が実行される場合に、前記プリント処理と並行してパラメーター調整処理を実行する。
【0048】
前記パラメーター調整処理は、中間転写ベルト440の表面の第2領域A2にテスト画像を形成し、イメージセンサー5に前記テスト画像を読み取らせ、イメージセンサー5の読取画像に応じてプリント装置4に関する予め定められた作像パラメーターを調整する処理である。
【0049】
前記パラメーター調整処理において、プリント制御部8aが、中間転写ベルト440の表面の第2領域A2にテスト画像を形成する処理を、レーザースキャニングユニット40および作像装置4xに実行させる。また、パラメーター調整部8cが、イメージセンサー5に前記テスト画像を読み取らせ、前記作像パラメーターを調整する。
【0050】
ところで、転写ローラー4420の切り替えが行われる場合、中間転写ベルト440に対する第1ローラー442aおよび第2ローラー442bの擦れが生じないことが望ましい。即ち、中間転写ベルト440に接触している1つのローラーを中間転写ベルト440に対して離隔させた後に、他のローラーを中間転写ベルト440に対向する位置へ移動させ、さらに前記他のローラーを中間転写ベルト440に近づけることが望ましい。
【0051】
上記場合、通常、複数のローラー442a,442bを中間転写ベルト440に対して離接する方向へ移動させるための駆動源と、複数のローラー442a,442bのうちの1つを選択的に中間転写ベルト440に対向する位置へ移動させるための駆動源とが個別に必要となる。
【0052】
一方、転写ローラー4420の切り替えに必要な駆動源が少ないことが望ましい。
【0053】
画像形成装置10において、二次転写装置442は、中間転写ベルト440に対する転写ローラー4420の擦れを回避しつつ転写ローラー4420を切り替えるローラー切替機構46を1つの駆動源で動作させることができる。以下、その構成について説明する。
【0054】
[ローラー切替機構46の構成]
ローラー切替機構46は、一対の可動支持部460および駆動軸46xを備える(
図3参照)。一対の可動支持部460は、第1ローラー支持部材461aの回転軸442xの両端部と、第2ローラー支持部材461bの回転軸442yの両端部とを回転可能に支持する。
【0055】
図4~7に示されるように、可動支持部460各々は、第1ローラー支持部材461aと、第2ローラー支持部材461bと、第1変位部材463と、第1バネ464aと、第2バネ464bと、第2変位部材465とを備える。
【0056】
例えば、第1ローラー支持部材461a、第2ローラー支持部材461b、第1変位部材463および第2変位部材465は、それぞれ合成樹脂の成形部材である。
【0057】
第1ローラー支持部材461aは、第1ローラー442aを回転可能に支持している。具体的には、第1ローラー支持部材461aは、第1ローラー442aの回転軸442xの端部を回転可能に支持している。
【0058】
同様に、第2ローラー支持部材461bは、第2ローラー442bを回転可能に支持している。具体的には、第2ローラー支持部材461bは、第2ローラー442bの回転軸442yの端部を回転可能に支持している。
【0059】
第1ローラー支持部材461aは、幅方向D2に沿って突出する第1凸部462aを有する。同様に、第2ローラー支持部材461bも、幅方向D2に沿って突出する第2凸部462bを有する。
【0060】
駆動軸46xは、幅方向D2に沿って配置され、回転可能に支持されている。駆動軸46xは軸部材の一例である。駆動軸46xは鉄などの金属で構成されている。
【0061】
第1変位部材463は、駆動軸46xによって揺動可能に支持されている。これにより、第1変位部材463は、駆動軸46xを中心に揺動可能である。二次転写装置442は、第1変位部材463の揺動範囲を制限する第1制限部467aおよび第2制限部467bをさらに備える。
【0062】
第1制限部467aは、第1変位部材463が予め定められた第1位置に存在するときに第1変位部材463に当接することにより、第1変位部材463の第1回転方向R1への揺動範囲を前記第1位置までに制限する。
図4は、第1制限部467aが前記第1位置に存在する状態を示す。
【0063】
第2制限部467bは、第1変位部材463が予め定められた第2位置に存在するときに第1変位部材463に当接することにより、第1変位部材463の第2回転方向R2への揺動範囲を前記第2位置までに制限する。
図6は、第1制限部467aが前記第2位置に存在する状態を示す。
【0064】
以上に示されるように、第1変位部材463は、駆動軸46xによって駆動軸46xの周囲における前記第1位置と前記第2位置との間で変位可能に支持されている。換言すれば、第1変位部材463は、駆動軸46xによって駆動軸46xを中心に前記第1位置と前記第2位置との間で揺動可能に支持されている。
【0065】
また、第1変位部材463は、第1ローラー支持部材461aおよび第2ローラー支持部材461bをそれぞれ中間転写ベルト440に対して離接可能に支持している。第1変位部材463は、第1ローラー支持部材461aおよび第2ローラー支持部材461bを、第1変位部材463の変位方向に並ぶ状態で支持している。
【0066】
具体的には、第1変位部材463は、第1ローラー支持部材461aを駆動軸46xに直交する方向に沿ってスライド可能に支持する第1スライド支持部463aを有する。第1スライド支持部463aは、第1ローラー支持部材461aを中間転写ベルト440に対して離接可能に支持している。
【0067】
さらに、第1変位部材463は、第2ローラー支持部材461bを駆動軸46xに直交する方向に沿ってスライド可能に支持する第2スライド支持部463bを有する。第2スライド支持部463bは、第2ローラー支持部材461bを中間転写ベルト440に対して離接可能に支持している。
【0068】
図4に示されるように、前記第1位置は、第1スライド支持部463aに支持された第1ローラー442aが接触位置P1に対向するときの第1変位部材463の位置である。
図6に示されるように、前記第2位置は、第2スライド支持部463bに支持された第2ローラー442bが接触位置P1に対向するときの第1変位部材463の位置である。
【0069】
第1バネ464aは、第1ローラー支持部材461aを中間転写ベルト440へ向けて弾性付勢する第1弾性部材の一例である。第2バネ464bは、第2ローラー支持部材461bを中間転写ベルト440へ向けて弾性付勢する第2弾性部材の一例である。
【0070】
第2変位部材465は、駆動軸46xと一体に構成され、駆動軸46xの回転に連動して駆動軸46xを中心に揺動する。即ち、第2変位部材465は、駆動軸46xによって駆動軸46xの周囲で変位可能に支持されている。
【0071】
第2変位部材465は、摺動部465xを有する。第2変位部材465が駆動軸46xの周囲で変位することにより、摺動部46xは、第1凸部462aおよび第2凸部462bの中間転写ベルト440側の表面に対して摺動する。
【0072】
第1変位部材463および第2変位部材465の一方の変位方向は第1回転方向R1であり、第1変位部材463および第2変位部材465の他方の変位方向は第2回転方向R2である。
【0073】
第1回転方向R1は、摺動部465xが第1凸部462aから第2凸部462bへ向かう方向へ変位する第1方向の一例である。第2回転方向R2は、第1回転方向R1に対し反対の第2方向の一例である。第2回転方向R2は、摺動部465xが第2凸部462bから第1凸部462aへ向かう方向へ変位する方向である。
【0074】
摺動部465xは、2つの係止部465a,465bと凹部465cとを含む。2つの係止部465a,465bの一方は、第1係止部465aであり、他方は第2係止部465bである。
【0075】
2つの係止部465a,465bは、それぞれ第1凸部462aおよび第2凸部462bを係止することによって第1ローラー支持部材461aおよび第2ローラー支持部材461bを第1バネ464aおよび第2バネ464bの付勢力に抗して中間転写ベルト440から離れた待避位置に保持する(
図5,7参照)。
【0076】
凹部465cは、2つの係止部465a,465bの間に形成され第1凸部462aおよび第2凸部462bの一方が侵入可能である(
図4,6参照)。
【0077】
第1凸部462aが凹部465cに侵入することにより第1凸部462aの係止による第1ローラー支持部材461aの前記待避位置への係止が解除される(
図4参照)。同様に、第2凸部462bが凹部465cに侵入することにより第2凸部462bの係止による第2ローラー支持部材461bの前記待避位置への係止が解除される(
図6参照)。
【0078】
図4に示されるように、第1ローラー442aが第1バネ464aによって接触位置P1に保持されているときの二次転写装置442の装置状態のことを第1作動状態と称する。
【0079】
一方、
図6に示されるように、第2ローラー442bが第2バネ464bによって接触位置P1に保持されているときの前記装置状態のことを第2作動状態と称する。
【0080】
図4,6に示されるように、第2変位部材465は、前記装置状態が前記第1作動状態であるときと前記第2作動状態であるときとで同じ位置に存在する。以下、前記装置状態が前記第1作動状態または前記第2作動状態であるときの第2変位部材465の位置のことを基準位置と称する。
【0081】
図4に示されるように、第1変位部材463が前記第1位置に存在し、第1凸部462aが凹部465cに侵入し、第2凸部462bが第1係止部465aに係止されているときに、前記装置状態が前記第1作動状態である。
【0082】
図6に示されるように、第1変位部材463が前記第2位置に存在し、第2凸部462bが凹部465cに侵入し、第1凸部462aが第2係止部465bに係止されているときに、前記装置状態が前記第2作動状態である。
【0083】
二次転写装置442は、第2変位部材465を第1回転方向R1および第2回転方向R2へ変位させる切替駆動装置48をさらに備える(
図2参照)。切替駆動装置48は、切替モーター481およびモーター駆動回路482を備える(
図2参照)。さらに、切替駆動装置48は、ギヤ機構480をさらに備える(
図3参照)。
【0084】
モーター駆動回路482は、制御装置8の切替制御部8bからの制御司令に従って、切替モーター481を予め定められた順転方向またはその反対の逆回転方向へ回転させる。ギヤ機構480は、切替モーター481の回転力を駆動軸46xへ伝達する。
【0085】
切替モーター481が前記順回転方向へ回転することにより、第2変位部材465が第1回転方向R1へ変位する。切替モーター481が前記逆回転方向へ回転することにより、第2変位部材465が第2回転方向R2へ変位する。即ち、切替駆動装置48は、駆動軸46xを2つの回転方向それぞれへ回転駆動することにより第2変位部材465を第1回転方向R1および第2回転方向R2へ変位させる。
【0086】
[第2ローラー切替処理]
以下、前記装置状態を前記第1作動状態から前記第2作動状態へ切り替える第2ローラー切替処理について説明する。
【0087】
切替駆動装置48は、前記装置状態が前記第1作動状態であるときに、第2変位部材465を第1回転方向R1へ変位させる。これにより、第1変位部材463が前記第1位置に保持されたまま、第2係止部465bが第1凸部462aおよび第2凸部462bを係止する位置へ変位する(
図5参照)。
【0088】
以下、第2変位部材465の第1回転方向R1への変位により、第2係止部465bが第1凸部462aおよび第2凸部462bを係止する位置へ変位したときの第2変位部材465の位置のことを第1折返し位置と称する。
【0089】
さらに、切替駆動装置48は、第2変位部材465が前記第1折返し位置に到達した後に第2変位部材465を第2回転方向R2へ変位させ、第2変位部材465を前記基準位置で停止させる。
【0090】
これにより、第1凸部462aおよび第2凸部462bが第1バネ464aおよび第2バネ464bの付勢力により摺動部465xと一体化された状態で第1変位部材463が第2変位部材465に連動して前記第1位置から前記第2位置へ変位し、さらに凹部465cが第2凸部462bを侵入させる位置まで変位して停止し、前記装置状態が前記第2作動状態になる(
図6参照)。
【0091】
なお、第1凸部462aおよび第2凸部462bは、第1バネ464aおよび第2バネ464bの付勢力により摺動部465xに押圧され、摺動部465xとの間の静止摩擦力によって摺動部465xと一体化する。
【0092】
[第1ローラー切替処理]
以下、前記装置状態を前記第2作動状態から前記第1作動状態へ切り替える第1ローラー切替処理について説明する。
【0093】
切替駆動装置48は、前記装置状態が前記第2作動状態であるときに第2変位部材465を第2回転方向R2へ変位させる。これにより、第1変位部材463が前記第2位置に保持されたまま第1係止部465aが第1凸部462aおよび第2凸部462bを係止する位置へ変位する(
図7参照)。
【0094】
以下、第2変位部材465の第2回転方向R2への変位により、第1係止部465aが第1凸部462aおよび第2凸部462bを係止する位置へ変位したときの第2変位部材465の位置のことを第2折返し位置と称する。
【0095】
さらに、切替駆動装置48は、第2変位部材465が前記第2折返し位置に到達した後に第2変位部材465を第1回転方向R1へ変位させ、第2変位部材465を前記基準位置で停止させる。これにより、第1凸部462aおよび第2凸部462bが第1バネ464aおよび第2バネ464bの付勢力により摺動部465xと一体化された状態で第1変位部材463が第2変位部材465に連動して前記第2位置から前記第1位置へ変位し、さらに凹部465cが第1凸部462aを侵入させる位置へ変位して停止し、前記装置状態が前記第1作動状態になる(
図8参照)。
【0096】
以上に示されるように、切替駆動装置48は、切替制御部8bの制御司令に従って、第2変位部材465を第1回転方向R1および第2回転方向R2へ変位させることにより、前記装置状態を前記第1作動状態および前記第2作動状態の一方から他方へ切り替える。
【0097】
ローラー切替機構46および切替駆動装置48が採用されることにより、中間転写ベルト440に対する転写ローラー4420の擦れを回避しつつ転写ローラー4420を切り替える機構を1つの切替モーター481で動作させることができる。
【0098】
本実施形態において、一方の可動支持部460の第1変位部材463は、凸状の第1被検出部463cを有する。また、一方の可動支持部460の第1変位部材463は、凸状の第2被検出部465dを有する。
【0099】
さらに、二次転写装置442は、第1検出センサー47a、第2検出センサー47bおよび第3検出センサー47cを備える。第1検出センサー47aおよび第2検出センサー47bは、第1変位部材463が変位するときの第1被検出部463cの移動経路における予め定められた2箇所において第1被検出部463cを検出する。
【0100】
第3検出センサー47cは、第2変位部材465が変位するときの第2被検出部465dの移動経路における予め定められた位置において第2被検出部465dを検出する。
【0101】
第1検出センサー47a、第2検出センサー47bおよび第3検出センサー47cが、それぞれ透過型フォトセンサーもしくは反射型フォトセンサーなどの非接触式の物体検出センサーであること、または、リミットスイッチなどの接触式の物体検出センサーであることが考えられる。
【0102】
本実施形態において、第1変位部材463が前記第1位置に存在するときに、第1被検出部463cが第1検出センサー47aによって検出される(
図4,5参照)。また、第1変位部材463が前記第2位置に存在するときに、第1被検出部463cが第2検出センサー47bによって検出される(
図6,7参照)。
【0103】
即ち、第1検出センサー47aは、第1変位部材463が前記第1位置に存在することを検出し、第2検出センサー47bは、第1変位部材463が前記第2位置に存在することを検出する。
【0104】
また、第2変位部材465の凹部465cが接触位置P1に対向する位置に存在するときに、第2被検出部465dが第3検出センサー47cによって検出される(
図4,6参照)。
【0105】
第2変位部材465の凹部465cが接触位置P1に対向する位置に存在するときの第2変位部材465の位置が前記基準位置である。即ち、第3検出センサー47cは、第2変位部材465が前記基準位置に存在することを検出する。
【0106】
切替制御部8bは、第1検出センサー47a、第2検出センサー47bおよび第3検出センサー47cが第1被検出部463cまたは第2被検出部465dを検出している状態、および、第3検出センサー47cが第2被検出部465dを検出しなくなった時点からの経過時間に基づいて、第1変位部材463および第2変位部材465の位置を判定する。
【0107】
さらに、切替制御部8bは、第1変位部材463および第2変位部材465の位置の判定結果に基づいて、第2変位部材465の変位方向および第2変位部材465の停止タイミングを制御する。
【0108】
本実施形態において、二次転写装置442の初期状態は前記第1作動状態である(
図4参照)。二次転写装置442が前記第1作動状態である場合、プリント装置4は、中間転写ベルト440の表面の第1領域A1に対応する特定サイズ以下の前記シートに対する前記プリント処理が可能である。即ち、前記特定サイズは、第1ローラー442aによる前記トナー像の転写が可能な前記シートのサイズである。
【0109】
一方、前記特例サイズを超える前記シートへの前記プリント処理が行われる場合、二次転写装置442の状態が前記第1作動状態から前記第2作動状態へ切り替えられることが必要である。
【0110】
[プリント制御]
次に、
図8に示されるフローチャートを参照しつつ、プリント制御部8a、切替制御部8bおよびパラメーター調整部8cにより実行されるプリント制御の手順の一例について説明する。
【0111】
プリント制御部8aは、プリントジョブが発生したときに、前記プリント制御を開始させる。例えば、前記プリントジョブは、不図示の通信装置により通信可能な情報処理装置から受信される。以下の説明において、S1,S2,…は、前記プリント制御における複数の工程の識別符号を表す。
【0112】
<工程S1>
前記プリントジョブが発生したときに、プリント制御部8aは、プリント対象の前記シートのサイズが前記特定サイズを超えているか否かを判定する。前記シートのサイズの情報は、前記プリントジョブに含まれる。
【0113】
プリント制御部8aは、プリント対象の前記シートのサイズが前記特定サイズを超えていると判定する場合、処理を工程S2へ移行させ、そうでない場合、処理を工程S6へ移行させる。
【0114】
<工程S2>
工程S2において、プリント制御部8aは、二次転写装置442の状態を前記第1作動状態から前記第2作動状態へ切り替える前記第2ローラー切替処理を切替駆動装置48に実行させ、処理を工程S3へ移行させる。前記第2ローラー切替処理の内容は前述した通りである。
【0115】
<工程S3>
工程S3において、プリント制御部8aは、前記プリントジョブに従ったプリント画像を現像する処理を作像装置4xおよびレーザースキャニングユニット40に実行させる。さらに、プリント制御部8aは、工程S3の処理と並行して工程S4の処理を実行する。
【0116】
工程S3の処理により、前記プリント画像が、中間転写ベルト440の表面における第1領域A1および第2領域A2に亘る範囲に前記トナー像として形成され得る。
【0117】
<工程S4>
工程S4において、プリント制御部8aは、前記プリント画像を前記シートに転写し、さらに前記シートに定着させる処理を、二次転写装置442および定着装置47に実行させ、処理を工程S5へ移行させる。
【0118】
工程S4において、幅が大きな第2ローラー442bが、中間転写ベルト440の表面における第1領域A1および第2領域A2に亘る範囲の前記トナー像を前記特定サイズを超えるサイズの前記シートへ転写する。
【0119】
<工程S5>
工程S5において、切替制御部8bが、二次転写装置442の状態を前記第2作動状態から前記第1作動状態へ切り替える前記第1ローラー切替処理を切替駆動装置48に実行させる。これにより、二次転写装置442が前記初期状態へ移行し、前記プリント制御が終了する。
【0120】
<工程S6>
一方、工程S6において、プリント制御部8aは、前記プリントジョブに従った前記プリント画像と、予め定められたテスト画像とを現像する処理を作像装置4xおよびレーザースキャニングユニット40に実行させる。さらに、プリント制御部8aは、工程S6の処理と並行して工程S7の処理を実行する。
【0121】
工程S6において、プリント制御部8aは、中間転写ベルト440の表面における第1領域A1に前記プリント画像を形成し、第2領域A2に前記テスト画像を現像する処理を作像装置4xおよびレーザースキャニングユニット40に実行させる。
【0122】
例えば、前記テスト画像は、それぞれ色および濃度の組み合わせが異なる複数の矩形状のパッチ画像を含む。
【0123】
<工程S7>
工程S7において、プリント制御部8aは、前記プリント画像を前記シートに転写し、さらに前記シートに定着させる処理を、二次転写装置442および定着装置47に実行させ、処理を工程S8へ移行させる。
【0124】
工程S7において、幅が小さな第1ローラー442aが、中間転写ベルト440の表面における第1領域A1内の前記トナー像を前記特定サイズ以下のサイズの前記シートへ転写する。
【0125】
従って、中間転写ベルト440の表面における第2領域A2に形成された前記テスト画像は、前記シートに転写されずに中間転写ベルト440の表面に残る。但し、前記テスト画像を成すトナー9は、最終的には二次クリーニング装置443によって中間転写ベルト440の表面から除去される。
【0126】
<工程S8>
工程S8において、パラメーター調整部8cが、前記テスト画像を読み取る処理をイメージセンサー5に実行させ、イメージセンサー5による読取画像のデータを取得する。さらに、パラメーター調整部8cは、処理を工程S9へ移行させる。
【0127】
<工程S9>
工程S9において、パラメーター調整部8cは、イメージセンサー5から得られた前記読取画像のデータに応じて、プリント装置4に関する前記作像パラメーターを調整する。これにより、前記プリント制御が終了する。
【0128】
例えば、パラメーター調整部8cは、前記読取画像における前記テスト画像の濃度と予め定められた目標濃度との差に応じて、現像装置43の現像バイアス電圧の補正値、または、前記プリント画像の濃度補正値などの現像濃度パラメーターを調整する。前記現像濃度パラメーターは前記作像パラメーターの一例である。
【0129】
また、パラメーター調整部8cは、前記読取画像における前記テスト画像の色と予め定められた目標色との差に応じて、レーザースキャニングユニット40が作像装置4x各々の感光体41に前記静電潜像を書き込むタイミングを調整する。前記静電潜像を書き込むタイミングも、前記作像パラメーターの一例である。
【0130】
以上に示されるように、プリント制御部8aは、二次転写装置442の状態が前記第1作動状態であるときに、前記特定サイズを超えないサイズの前記シートへの前記プリント処理が実行されるときに、中間転写ベルト440の表面における第1領域A1に前記プリント画像を形成し、第2領域A2に前記テスト画像を形成する処理をプリント装置4に実行させる(
図8の工程S6,S7)。
【0131】
そして、パラメーター調整部8cは、イメージセンサー5による読取画像に含まれる前記テスト画像の状態に応じて、プリント装置4に関する予め定められた前記作像パラメーターを調整する(
図8の工程S9)。
【0132】
従って、画像形成装置10は、前記作像パラメーターの調整のための専用期間を要することなく、前記プリント処理を実行しながら高い頻度で前記作像パラメーターの調整を行うことができる。
【0133】
また、切替制御部8bは、二次転写装置442の前記初期状態が前記第1作動状態である場合に、前記特定サイズを超えるサイズの前記シートへの前記プリント処理が開始される前に、二次転写装置442の状態を前記第1作動状態から前記第2作動状態へ切り替える処理を切替駆動装置48に実行させる(
図8の工程S2)。
【0134】
さらに、切替制御部8bは、前記特定サイズを超えるサイズの前記シートへの前記プリント処理が終了した後に、二次転写装置442の状態を前記第2作動状態から前記第1作動状態へ切り替える処理を切替駆動装置48に実行させる(
図8の工程S5)。
【0135】
切替制御部8bの処理により、パラメーター調整部8cは、前記作像パラメーターの調整を高い頻度で実行することができる。
【0136】
[第1応用例]
二次転写装置442において、第1変位部材463および第2変位部材465は、駆動軸46xを中心に揺動可能に支持されている。しかしながら、第1変位部材463が、所定のスライド支持機構により前記第1位置と前記第2位置との間でスライド変位可能に支持されてもよい。この場合、第2変位部材465も、第1変位部材463の変位方向に対して並行にスライド変位可能に支持される。
【0137】
また、第2変位部材465がスライド変位可能に支持される場合、切替駆動装置48のギヤ機構480が、ラック・アンド・ピニオン機構であることが考えられる。
【0138】
[第2応用例]
また、画像形成装置10において、第2検出センサー47bが省略されることも考えられる。この場合、第1検出センサー47aが第1被検出部463cを検出しなくなった時点からの経過時間に基づいて、第1変位部材463が前記第1位置から前記第2位置まで変位したことを判定する。
【0139】
[第3応用例]
また、画像形成装置10がモノクロ画像形成装置である場合に、二次転写装置442の構造が、一次転写装置441に適用されることが考えられる。この場合、感光体41が、第1ローラー442aまたは第2ローラー442bが接触する像担持体である。また、作像装置4xおよびレーザースキャニングユニット40が、感光体41の表面に前記トナー像を形成するトナー像形成装置の一例である。
【0140】
本応用例において、イメージセンサー5は、感光体41の表面における第2領域A2の前記テスト画像を読み取る。また、感光体41の表面に形成される前記テスト画像を成すトナー9は、一次クリーニング装置45によって感光体41の表面から除去される。
【符号の説明】
【0141】
1 :本体
3 :シート搬送装置
4 :プリント装置
4x :作像装置
5 :イメージセンサー
8 :制御装置
8a :プリント制御部
8b :切替制御部
8c :パラメーター調整部
9 :トナー
10 :画像形成装置
30 :給紙装置
40 :レーザースキャニングユニット
41 :感光体
42 :帯電装置
43 :現像装置
44 :転写装置
45 :一次クリーニング装置
46 :ローラー切替機構
46x :駆動軸
47 :定着装置
47a :第1検出センサー
47b :第2検出センサー
47c :第3検出センサー
48 :切替駆動装置
81 :CPU
82 :RAM
83 :二次記憶装置
300 :シート搬送路
400 :トナーコンテナー
440 :中間転写ベルト
441 :一次転写装置
442 :二次転写装置
442a :第1ローラー
442b :第2ローラー
442x :第1ローラーの回転軸
442y :第2ローラーの回転軸
443 :二次クリーニング装置
460 :可動支持部
461a :第1ローラー支持部材
461b :第2ローラー支持部材
462a :第1凸部
462b :第2凸部
463 :第1変位部材
463a :第1スライド支持部
463b :第2スライド支持部
463c :第1被検出部
464a :第1バネ(第1弾性部材)
464b :第2バネ(第2弾性部材)
465 :第2変位部材
465a :第1係止部
465b :第2係止部
465c :凹部
465d :第2被検出部
465x :摺動部
467a :第1制限部
467b :第2制限部
480 :ギヤ機構
481 :切替モーター
482 :モーター駆動回路
801 :操作器
802 :表示装置
4420 :転写ローラー
A1 :第1領域
A2 :第2領域
D1 :シート通過方向
D2 :幅方向
N1 :ニップ
P1 :接触位置