(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】画像評価方法及び画像評価装置
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20240228BHJP
【FI】
G06T7/00 Q
(21)【出願番号】P 2020062740
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【氏名又は名称】安田 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】井上 尚幸
【審査官】藤原 敬利
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-211259(JP,A)
【文献】特開2019-144895(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00- 7/90
G06V 10/00-20/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価用全体画像が、予め設定された複数の評価の中の何れの評価に該当するかを判定する画像評価方法であって、
学習用全体画像から複数の学習用部分画像を切り出す第一工程と、
切り出された複数の前記学習用部分画像のそれぞれについて、前記複数の評価の中の何れの評価に該当するかを示す評価ラベルを付与する第二工程と、
前記評価ラベルが付与された複数の前記学習用部分画像に基づいて学習モデルを生成する第三工程と、
前記評価用全体画像から複数の評価用部分画像を切り出す第四工程と、
切り出された複数の前記評価用部分画像のそれぞれについて、前記学習モデルに基づいて前記複数の評価の何れに該当するかを判定する第五工程と、
前記複数の評価用部分画像のそれぞれに対応する判定結果に基づいて、前記評価用全体画像が前記複数の評価の何れに該当するかを判定する第六工程と、を含み、
前記第六工程では、前記複数の評価のうち少なくとも1つの評価の重みを他の評価とは異ならせ、前記評価用全体画像が前記複数の評価の何れに該当するかを判定するに際し前記重みを反映
し、
前記学習用全体画像及び前記評価用全体画像は、工作機械により加工されたワークの被加工部分を撮像した画像であり、
前記評価は、前記予め設定された複数の評価は、前記被加工部分の状態に基づいて判断される前記工作機械に設定された加工条件である、画像評価方法。
【請求項2】
前記第六工程は、前記判定結果を集計したときに最も数の多かった評価を、前記評価用全体画像の評価として判定し、前記重みは前記判定結果を集計するときの数に反映させる、請求項1記載の画像評価方法。
【請求項3】
前記第一工程は、互いに隣接する前記学習用部分画像の一部が重畳するように、前記学習用全体画像から前記複数の学習用部分画像を切り出す、請求項1又は2記載の画像評価方法。
【請求項4】
前記第一工程は、前記複数の前記学習用部分画像の全てが同じ画像サイズとなるように、前記学習用全体画像から前記複数の学習用部分画像を切り出す、請求項1~3の何れか一項記載の画像評価方法。
【請求項5】
前記第一工程における前記学習用全体画像から切り出される前記学習用部分画像の切り出しスパンは、前記第四工程における前記評価用全体画像から切り出される前記評価用部分画像の切り出しスパンとは異なっている、請求項1~4の何れか一項記載の画像評価方法。
【請求項6】
前記複数の評価の中には、正常状態に相当する第一評価が含まれており、
前記第六工程は、前記第一評価の重みを他の評価とは異ならせる、請求項1~5の何れか一項記載の画像評価方法。
【請求項7】
前記第六工程は、前記第一評価の重みを他の評価よりも小さくする、請求項6記載の画像評価方法。
【請求項8】
前記工作機械はレーザ加工機であり、前記被加工部分は前記レーザ加工機による切断面である、請求項
1~7の何れか一項記載の画像評価方法。
【請求項9】
評価用全体画像が、予め設定された複数の評価の中の何れの評価に該当するかを判定する画像評価装置であって、
学習用全体画像及び前記評価用全体画像を取得する取得部と、
前記学習用全体画像から複数の学習用部分画像を切り出す学習用画像切出部と、
切り出された複数の前記学習用部分画像のそれぞれについて、前記複数の評価の中の何れの評価に該当するかを示す評価ラベルを付与するラベル付与部と、
前記評価ラベルが付与された複数の前記学習用部分画像に基づいて学習モデルを生成するモデル生成部と、
前記学習モデルを記憶する記憶部と、
前記評価用全体画像から複数の評価用部分画像を切り出す評価用画像切出部と、
切り出された複数の前記評価用部分画像のそれぞれについて、前記学習モデルに基づいて前記複数の評価の何れに該当するかを判定する第一判定部と、
前記複数の評価用部分画像のそれぞれに対応する判定結果に基づいて、前記評価用全体画像が前記複数の評価の何れに該当するかを判定する第二判定部と、を備え、
前記第二判定部では、前記複数の評価のうち少なくとも1つの評価の重みを他の評価とは異ならせ、前記評価用全体画像が前記複数の評価の何れに該当するかを判定するに際し前記重みを反映
し、
前記学習用全体画像及び前記評価用全体画像は、工作機械により加工されたワークの被加工部分を撮像した画像であり、
前記評価は、前記予め設定された複数の評価は、前記被加工部分の状態に基づいて判断される前記工作機械に設定された加工条件である、画像評価装置。
【請求項10】
前記学習用画像切出部は、互いに隣接する前記学習用部分画像の一部が重畳するように、前記学習用全体画像から前記複数の学習用部分画像を切り出す、請求項
9記載の画像評価装置。
【請求項11】
前記学習用画像切出部は、前記複数の前記学習用部分画像の全てが同じ画像サイズとなるように、前記学習用全体画像から前記複数の学習用部分画像を切り出す、請求項
10記載の画像評価装置。
【請求項12】
前記学習用画像切出部における前記学習用全体画像から切り出される前記学習用部分画像の切り出しスパンは、前記評価用画像切出部における前記評価用全体画像から切り出される前記評価用部分画像の切り出しスパンとは異なっている、請求項
9~
11の何れか一項記載の画像評価装置。
【請求項13】
評価用全体画像が、予め設定された複数の評価の中の何れの評価に該当するかを判定する画像評価装置であって、
前記評価用全体画像を取得する取得部と、
学習用全体画像から切り出された複数の学習用部分画像であって、前記複数の評価の中の何れの評価に該当するかを示す評価ラベルが付与された前記複数の学習用部分画像を機械学習することにより生成された学習モデルを記憶する記憶部と、
前記評価用全体画像から複数の評価用部分画像を切り出す評価用画像切出部と、
切り出された複数の前記評価用部分画像のそれぞれについて、前記学習モデルに基づいて前記複数の評価の何れに該当するかを判定する第一判定部と、
前記複数の評価用部分画像のそれぞれに対応する判定結果に基づいて、前記評価用全体画像が前記複数の評価の何れに該当するかを判定する第二判定部と、を備え、
前記第二判定部では、前記複数の評価のうち少なくとも1つの評価の重みを他の評価とは異ならせ、前記評価用全体画像が前記複数の評価の何れに該当するかを判定するに際し前記重みを反映
し、
前記学習用全体画像及び前記評価用全体画像は、工作機械により加工されたワークの被加工部分を撮像した画像であり、
前記評価は、前記予め設定された複数の評価は、前記被加工部分の状態に基づいて判断される前記工作機械に設定された加工条件である、画像評価装置。
【請求項14】
前記第二判定部は、前記判定結果を集計したときに最も数の多かった評価を、前記評価用全体画像の評価として判定し、前記重みは前記判定結果を集計するときの数に反映させる、請求項
9~
13の何れか一項記載の画像評価装置。
【請求項15】
前記複数の評価の中には、正常状態に相当する第一評価が含まれており、
前記第二判定部は、前記第一評価の重みを他の評価とは異ならせる、請求項
9~
14の何れか一項記載の画像評価装置。
【請求項16】
前記第二判定部は、前記第一評価の重みを他の評価よりも小さくする、請求項
15記載の画像評価装置。
【請求項17】
前記工作機械はレーザ加工機であり、前記被加工部分は前記レーザ加工機による切断面である、請求項
9~16の何れか一項記載の画像評価装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像評価方法及び画像評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な情報の分析を目的とした機械学習が行われ、このような機械学習が行われた学習モデルを用いた様々なシステムが開発されつつある。例えば、特許文献1には、取得された画像が特定の状態であることを高精度に検出するためには、学習ラベルが付与された学習データを数多く準備する必要があるという課題に対し、学習用画像へのラベル付与の手間を削減しながら対象物を高精度に検出することを可能としたデータ処理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したデータ処理システムでは、取得した画像(以下、「評価用全体画像」と称する。)を複数の画像に分割し、分割されたそれぞれの画像(以下、「評価用部分画像」と称する。)に対する評価結果を区別なく平等に評価することによって、評価用全体画像の評価を行っている。しかしながら、評価用全体画像には、特徴部分が評価用全体画像の全体に等しく分散して出現するわけではなく、特徴部分が一部に偏って出現したり、特徴部分の出現確率が小さかったりする場合がある。このため、評価用部分画像のそれぞれを分析するだけでは、高精度な画像の評価はできない。
【0005】
そこで、本発明の目的は、評価用全体画像が予め設定された複数の評価の中の何れの評価に該当するかを高精度に判定することができる画像評価方法及び画像評価装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像評価方法は、評価用全体画像が、予め設定された複数の評価の中の何れの評価に該当するかを判定する画像評価方法であって、学習用全体画像から複数の学習用部分画像を切り出す第一工程と、切り出された複数の学習用部分画像のそれぞれについて、複数の評価の中の何れの評価に該当するかを示す評価ラベルを付与する第二工程と、評価ラベルが付与された複数の学習用部分画像に基づいて学習モデルを生成する第三工程と、評価用全体画像から複数の評価用部分画像を切り出す第四工程と、切り出された複数の評価用部分画像のそれぞれについて、学習モデルに基づいて複数の評価の何れに該当するかを判定する第五工程と、複数の評価用部分画像のそれぞれに対応する判定結果に基づいて、評価用全体画像が複数の評価の何れに該当するかを判定する第六工程と、を含み、第六工程では、複数の評価のうち少なくとも1つの評価の重みを他の評価とは異ならせ、評価用全体画像が複数の評価の何れに該当するかを判定するに際し重みを反映する。
【0007】
本発明の画像評価装置は、評価用全体画像が、予め設定された複数の評価の中の何れの評価に該当するかを判定する画像評価装置であって、学習用全体画像及び評価用全体画像を取得する取得部と、学習用全体画像から複数の学習用部分画像を切り出す学習用画像切出部と、切り出された複数の学習用部分画像のそれぞれについて、複数の評価の中の何れの評価に該当するかを示す評価ラベルを付与するラベル付与部と、評価ラベルが付与された複数の学習用部分画像に基づいて学習モデルを生成するモデル生成部と、学習モデルを記憶する記憶部と、評価用全体画像から複数の評価用部分画像を切り出す評価用画像切出部と、切り出された複数の評価用部分画像のそれぞれについて、学習モデルに基づいて複数の評価の何れに該当するかを判定する第一判定部と、複数の評価用部分画像のそれぞれに対応する判定結果に基づいて、評価用全体画像が複数の評価の何れに該当するかを判定する第二判定部と、を備え、第二判定部では、複数の評価のうち少なくとも1つの評価の重みを他の評価とは異ならせ、評価用全体画像が複数の評価の何れに該当するかを判定するに際し重みを反映する。
【0008】
本発明の画像評価装置は、評価用全体画像が、予め設定された複数の評価の中の何れの評価に該当するかを判定する画像評価装置であって、評価用全体画像を取得する取得部と、学習用全体画像から切り出された複数の学習用部分画像であって、複数の評価の中の何れの評価に該当するかを示す評価ラベルが付与された複数の学習用部分画像を機械学習することにより生成された学習モデルを記憶する記憶部と、評価用全体画像から複数の評価用部分画像を切り出す評価用画像切出部と、切り出された複数の評価用部分画像のそれぞれについて、学習モデルに基づいて複数の評価の何れに該当するかを判定する第一判定部と、複数の評価用部分画像のそれぞれに対応する判定結果に基づいて、評価用全体画像が複数の評価の何れに該当するかを判定する第二判定部と、を備え、第二判定部では、複数の評価のうち少なくとも1つの評価の重みを他の評価とは異ならせ、評価用全体画像が複数の評価の何れに該当するかを判定するに際し重みを反映する。
【0009】
これらの画像評価方法及び画像評価装置によれば、予め定められた複数の評価のうち少なくとも1つの評価の重みを他の評価とは異ならせ、評価用全体画像が複数の評価の何れに該当するかの判定は、当該重みが考慮される。これにより、例えば評価用全体画像の判定が評価用部分画像に対する判定の集計によって判定される等、評価用部分画像に対する判定結果をそのまま用いて判定する場合と比べ、予め設定された複数の評価の中の何れの評価に該当するかを高精度に判定することができる。
【0010】
本発明の画像評価方法において、第六工程は、上記の判定結果を集計したときに最も数の多かった評価を、評価用全体画像の評価として判定し、上記の重みは判定結果を集計するときの数に反映させてもよい。また、本発明の画像評価装置において、第二判定部は、上記の判定結果を集計したときに最も数の多かった評価を、評価用全体画像の評価として判定し、上記重みは判定結果を集計するときの数に反映させてもよい。
【0011】
これらの画像評価方法及び画像評価装置によれば、複数の評価用部分画像のそれぞれに対応する判定結果に基づいて、評価用全体画像が複数の評価の何れに該当するかを判定する場合、評価用部分画像の判定結果を集計して、その中で最も数の多かった判定結果を評価用全体画像の評価とすることができる。そして、この画像評価方法及び画像評価装置では、判定結果を集計する際に、通常、一の評価用部分画像に対する判定結果を1ポイントとして集計するところ、重みの小さい判定結果に対しては、例えば0.5ポイントと集計する等、集計の数に反映させている。これにより、評価用部分画像の判定結果に対して容易に重み付けをすることが可能となる。
【0012】
本発明の画像評価方法において、第一工程は、互いに隣接する学習用部分画像の一部が重畳するように、学習用全体画像から複数の学習用部分画像を切り出してもよい。また、本発明の画像評価装置において、学習用画像切出部は、互いに隣接する学習用部分画像の一部が重畳するように、学習用全体画像から複数の学習用部分画像を切り出してもよい。
【0013】
これらの画像評価方法及び画像評価装置によれば、学習用部分画像が互いに重畳して切り出されない態様と比較して、一の学習用全体画像からより多くの学習用部分画像を切り出すことができる。
【0014】
本発明の画像評価方法において、第一工程は、複数の学習用部分画像の全てが同じ画像サイズとなるように、学習用全体画像から複数の学習用部分画像を切り出してもよい。また、本発明の画像評価装置において、学習用画像切出部は、複数の学習用部分画像の全てが同じ画像サイズとなるように、学習用全体画像から複数の学習用部分画像を切り出してもよい。
【0015】
これらの画像評価方法及び画像評価装置によれば、学習用全体画像から学習用部分画像を切り出す処理を簡単なものにでき、その処理効率を高めることが可能となる。
【0016】
本発明の画像評価方法において、第一工程における学習用全体画像から切り出される学習用部分画像の切り出しスパンは、第四工程における評価用全体画像から切り出される評価用部分画像の切り出しスパンとは異なっていてもよい。また、本発明の画像評価装置において、学習用画像切出部における学習用全体画像から切り出される学習用部分画像の切り出しスパンは、評価用画像切出部における評価用全体画像から切り出される評価用部分画像の切り出しスパンとは異なっていてもよい。
【0017】
なお、ここでいう切り出しスパンとは、切り出し方向において互いに隣り合う画像間隔をいう。画像間隔は、画像の中心部(重心部)同士の距離であってもよいし、切り出し方向における重複量(又は離隔量)であってもよい。これらの画像評価方法及び画像評価装置によれば、学習用全体画像の特性に合わせて適切なスパンを設定することができるので、適切な学習用部分画像を生成することができる。また、これらの画像評価方法及び画像評価装置によれば、評価用全体画像の特性に合わせて適切なスパンを設定することができるので、評価用全体画像を評価するに際し適切な評価用部分画像を生成することができる。
【0018】
本発明の画像評価方法において、複数の評価の中には、正常状態に相当する第一評価が含まれており、第六工程は、第一評価の重みを他の評価とは異ならせてもよい。また、本発明の画像評価方法において、第六工程は、第一評価の重みを他の評価よりも小さくしてもよい。また、本発明の画像評価装置において、複数の評価の中には、正常状態に相当する第一評価が含まれており、第二判定部は、第一評価の重みを他の評価とは異ならせてもよい。また、本発明の画像評価装置において、第二判定部は、第一評価の重みを他の評価よりも小さくしてもよい。
【0019】
ここで、評価用全体画像のほぼ全域が正常状態であってもごく一部において異常状態が含まれている場合には、評価用全体画像を異常と判定したい場合がある。これらの画像評価方法及び画像評価装置によれば、評価用全体画像が上述するような画像であっても、異常と判定することが可能となる。
【0020】
本発明の画像評価方法において、学習用全体画像及び評価用全体画像は、工作機械により加工されたワークの被加工部分を撮像した画像であり、予め設定された複数の評価は、被加工部分の状態に基づいて判断される工作機械に設定された加工条件であってもよい。また、本発明の画像評価装置において、学習用全体画像及び評価用全体画像は、工作機械により加工されたワークの被加工部分を撮像した画像であり、評価は、予め設定された複数の評価は、被加工部分の状態に基づいて判断される工作機械に設定された加工条件であってもよい。
【0021】
これらの画像評価方法及び画像評価装置によれば、工作機械により加工されたワークの被加工部分を撮像した評価用全体画像に基づいて工作機械に設定された加工条件を高精度に判定することが可能となる。
【0022】
本発明の画像評価方法において、工作機械はレーザ加工機であり、被加工部分はレーザ加工機による切断面であってもよい。また、本発明の画像評価装置において、工作機械はレーザ加工機であり、被加工部分はレーザ加工機による切断面であってもよい。
【0023】
これらの画像評価方法及び画像評価装置によれば、レーザ加工機により加工されたワークの切断面を撮像した評価用全体画像に基づいてレーザ加工機に設定された加工条件を高精度に判定することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、評価用全体画像が予め設定された複数の評価の中の何れの評価に該当するかを高精度に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る画像評価装置を含むレーザ加工システムを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る画像評価装置を含むレーザ加工システムを示す上面図である。
【
図3】
図3は、画像評価装置の機能ブロック図である。
【
図4】
図4は、レーザ加工機による切断面の状態の例を示した図である。
【
図5】
図5(A)~
図5(C)は、学習用全体画像及び評価用全体画像の一例を示した図である。
【
図6】
図6(A)は、学習用全体画像の切り出しの一例であり、
図6(B)は、学習用部分画像の一例を示した図である。
【
図7】
図7(A)は、評価用全体画像の切り出しの一例であり、
図7(B)は、評価用部分画像の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して一実施形態の画像評価装置30を含むレーザ加工システム1について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。以下、説明の便宜のため、各図において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系は、X方向およびY方向が水平方向であり、Z方向が鉛直方向である。
【0027】
図1及び
図2に示されるように、レーザ加工システム1は、レーザ加工機(工作機械)7と、ワーク搬送システムTSと、を備える。ワーク搬送システムTSは、レーザ加工機7に対してワークWを搬送する。ワーク搬送システムTSは、保管装置2、ローダ装置3、パレット搬送装置4、グリッパ装置5、及び制御装置10を備える。
【0028】
レーザ加工システム1は、保管エリアAR1、搬入出エリアAR2及び仮置エリアAR3が設けられている。保管エリアAR1には、加工前のワークW(素材ワーク)が保管される。加工前のワークWは、仮置エリアAR3を経由して搬入出エリアAR2へ搬出される。搬入出エリアAR2は、レーザ加工機7と仮置エリアAR3との間に設けられ、レーザ加工機7へ搬入する前の加工前のワークWが搬入され、レーザ加工機7によって加工された加工後のワークWが搬出される。保管エリアAR1は、仮置エリアAR3に隣接して設けられる。搬入出エリアAR2において、加工後のワークWは、製品Waと残材(スケルトン)Wbとに分離される。製品Waは、仮置エリアAR3を経由して保管エリアAR1へ搬出され、保管エリアAR1に集積された後、外部へ搬出される。
【0029】
次に、レーザ加工システム1の各部について、ワークWの加工の流れに沿って説明する。保管装置2は、保管エリアAR1に配置される。保管装置2は、複数の保管棚11、及びエレベータ12を備える。保管棚11は、複数の加工前のワークWが載置される素材パレットを保管する。エレベータ12は、素材パレットを保管棚11から取り出し、仮置エリアAR3に搬出する。
【0030】
ローダ装置3は、X方向、Y方向及びZ方向に移動可能に設けられており、加工前のワークWを仮置エリアAR3からパレット搬送装置4にまで搬送し、複数の製品Waをパレット搬送装置4から仮置エリアAR3にまで搬送する。ローダ装置3は、加工前のワークWを、例えば吸着保持して搬送する。ローダ装置3は、パレット搬送装置4に載置された加工パレット4Aの所定位置に加工前のワークWを載置する。ローダ装置3は、パレット搬送装置4の上方に近接又は退避可能に設けられている。
【0031】
パレット搬送装置4は、加工パレット4Aに載置された加工前のワークWを、レーザ加工機7に搬入する。パレット搬送装置4は、加工パレット4Aを牽引することによって加工パレット4Aをレーザ加工機7に搬入する。なお、加工パレット4Aを移動させる機構は適宜変更可能であり、例えば、加工パレット4Aそのものが自走する構成であってもよい。
【0032】
レーザ加工機7は、加工パレット4Aに載置された加工前のワークWに対してレーザ光を照射して、ワークWにレーザ加工(切断加工)を施す。レーザ加工機7は、レーザヘッドと、ヘッド駆動部とを備える。レーザヘッドは、光ファイバ等の光伝送体を介してレーザ光源に接続され、下方にレーザ光を射出する。レーザ光源は、ファイバーレーザ等の固体レーザ、炭酸ガスレーザ等を使用することができる。上述したように、加工前のワークWは、レーザ加工によって、
図2に示されるように、複数の製品Waと残材Wb(スケルトン、製品Waの周辺部分)とに切り分けられる。
【0033】
パレット搬送装置4は、レーザ加工機7によって加工された加工後のワークW(複数の製品Waと残材Wb)が載置された加工パレット4Aを、搬入出エリアAR2に搬出する。ローダ装置3は、加工パレット4Aに載置された複数の製品Waをパレット搬送装置4から仮置エリアAR3にまで搬送する。ローダ装置3は、製品Waを、例えば吸着保持して搬送する。ローダ装置3は、製品Waを、まとめて搬送してもよいし、複数回に分けて搬送してもよい。ローダ装置3は、仮置エリアAR3の上方に近接又は退避可能に設けられている。ローダ装置3は、仮置エリアAR3に配置された製品パレットに製品Waを集積する。
【0034】
グリッパ装置5は、パレット搬送装置4によってレーザ加工機7から搬入出エリアAR2へ排出された加工パレット4Aに載置された残材Wbを吸着保持して、外部に搬出する。保管装置2の保管棚11は、複数の製品Waが集積される製品パレットを保管する。エレベータ12は、仮置エリアAR3から保管棚11に製品パレットを移載する。
【0035】
カメラ20は、パレット搬送装置4の側方等に配置されており、レーザ加工機7によって加工された製品Waのレーザの切断面(被加工部分)を撮像する。カメラ20によって撮像された画像は、画像評価装置30によって評価用全体画像として取得される。
【0036】
制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、I/Oポート及び通信ポート等からなる電子制御ユニットである。ROMには、レーザ加工機7及びワーク搬送システムTSを制御するためのプログラムが記録されている。I/Oポート及び通信ポートには、レーザ加工機7及びワーク搬送システムTSにおける各部と接続されている。これにより、制御装置10は、レーザ加工機7及びワーク搬送システムTSにおける各部の動作を制御することができる。制御装置10は、レーザ加工機7におけるレーザヘッド及びヘッド駆動部を制御して、例えば、レーザ光の焦点深度、アシストガスの圧力、送り速度等を調整する。
【0037】
また、本実施形態においては、制御装置10は、画像評価装置30としても機能する。
図3に示されるように、画像評価装置30は、取得部31と、記憶部32と、評価用画像切出部33と、第一判定部34と、第二判定部35と、を備える。評価用画像切出部33、第一判定部34、及び第二判定部35は、CPU及び主記憶部等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPUの制御のもと実行される。
【0038】
取得部31は、他装置との通信インタフェイスであり、情報のやりとりを可能とする部分である。取得部31は、カメラ20によって撮像された画像を評価用全体画像S3として取得する。記憶部32は、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ等に例示される記憶装置である。記憶部32は、評価用全体画像S3に加え、画像評価装置30による画像評価に関する各種情報を記憶する。記憶部32は、学習用全体画像S1から切り出された複数の学習用部分画像S2であって、複数の評価の中の何れの評価に該当するかを示す評価ラベルが付与された複数の学習用部分画像S2を機械学習することにより生成された学習モデルを記憶する。
【0039】
ここで、学習モデルの生成方法について説明する。本実施形態の学習モデルは、評価用全体画像S3が入力されると、当該評価用全体画像S3が、
図4に示される「FineCut」、「FocusLong」、「FocusShort」、「PressureHigh」、「PressureLow」、「SpeedHigh」、又は「SpeedLow」の何れの状態であるかの判定結果を出力する。これらの状態の詳細は下記に示すとおりである。
【0040】
FineCut:正常状態(第一評価)
FocusLong:レーザ光の焦点深度が過大
FocusShort:レーザ光の焦点深度が過小
PressureHigh:アシストガスの圧力が過大
PressureLow:アシストガスの圧力が過小
SpeedHigh:レーザ加工機の送り速度が過大
SpeedLow:レーザ加工機の送り速度が過小
【0041】
ここで、画像評価装置30に備えられた学習モデル生成機能を用いて学習モデルを生成する場合について説明する。画像評価装置30は、学習用画像切出部41と、ラベル付与部42と、モデル生成部43と、を有する。学習用画像切出部41、ラベル付与部42、及びモデル生成部43は、CPU及び主記憶部等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPUの制御のもと実行される。
【0042】
上記学習モデルを生成するためには、最初にレーザ加工機7によって切断された切断面を有する製品Waを準備する。これらの製品Waは、上述したレーザ加工システム1によって加工された製品であり、例えば、レーザ光の焦点深度、アシストガスの圧力、レーザ加工機の送り速度等を様々に変化させることにより加工された製品である。そして、これらの製品Waの切断面の撮像画像を学習用全体画像S1として準備する。製品Waの切断面の撮像画像(学習用全体画像S1)は、作業者がカメラを用いて取得してもよいし、ワーク搬送システムTSに備わるカメラ20を用いて取得してもよい。
【0043】
学習用全体画像S1の例は、
図5(A)~
図5(C)に示される。
図4、
図5(A)~
図5(C)、
図6(A)、
図6(B)、
図7(A)及び
図7(B)のそれぞれは、製品Waにおける切断面(レーザ加工が施された側面部)の状態を示しており、切断面に図示された各線は、切断面に対する凹凸がある部分を示している。例えば、
図4の「FineCut」に対応する切断面は、線が示されていないので、切断面が平坦面であることを示している。
【0044】
図6(A)は、学習用全体画像S1において切り出し対象となる部分をずらしつつ複数の学習用部分画像S2を切り出す様子を、
図6(B)は、そのようにして切り出された複数の学習用部分画像S2を、それぞれ示す。学習用画像切出部41は、
図6に示されるように、学習用全体画像S1を複数の学習用部分画像S2に切り出す(第一工程)。学習用画像切出部41は、例えば1枚の学習用全体画像S1を、切出方向Dに沿って18枚の学習用部分画像S2に切り出す。学習用画像切出部41は、複数の学習用部分画像S2の全てが同じ画像サイズとなるように、学習用全体画像S1から複数の学習用部分画像S2を切り出す。このとき、学習用画像切出部41は、
図6(A)に示すように、互いに隣接する学習用部分画像S2の一部Su(
図6の着色部分)が重畳する(重なり合う)ように、学習用全体画像S1から複数の学習用部分画像S2を切り出す。互いに隣接する学習用部分画像S2における重畳量(重畳長さ)の例は、一画像の切出方向Dにおける長さの10%~25%であり、好ましくは5%~25%である。
【0045】
ラベル付与部42は、学習用画像切出部41によって切り出された複数の学習用部分画像S2のそれぞれに、上記に示した複数の評価の中の何れの評価に該当するかを示す評価ラベルを付与する(第二工程)。ラベル付与部42は、学習用部分画像S2のそれぞれを、例えば、図示しない表示部等に表示させ、作業者に評価ラベルを入力させるようにしてもよい。ラベル付与部42は、学習用部分画像S2と評価ラベルとを関連付けて記憶する。学習用部分画像S2と評価ラベルとが関連付けられたデータは、モデル生成部43において教師データとして使用される。
【0046】
モデル生成部43は、評価ラベルが付与された複数の学習用部分画像S2(教師データ)を用いた機械学習を実行することにより学習モデルを生成する(第三工程)。モデル生成部43が実行する機械学習の手法は、特定の手法に限られず、例えば、ニューラルネットワーク、k-近傍法、SVM(support vector machine)等の様々な手法を用いることができる。
【0047】
次に、カメラ20によって撮像された画像(評価用全体画像S3)が、予め設定された複数の評価(「FineCut」、「FocusLong」、「FocusShort」、「PressureHigh」、「PressureLow」、「SpeedHigh」、又は「SpeedLow」)の中の何れの評価に該当するかを判定する方法について説明する。
【0048】
図7(A)は、評価用全体画像S3において切り出し対象となる部分をずらしつつ複数の評価用部分画像S4を切り出す様子を、
図7(B)は、そのようにして切り出された複数の評価用部分画像S4を、それぞれ示す。評価用画像切出部33は、例えば
図7に示されるように、評価用全体画像S3から複数の評価用部分画像S4を切り出す(第四工程)。評価用画像切出部33は、例えば1枚の評価用全体画像S3から、切出方向Dに沿って5枚の評価用部分画像S4を切り出す。評価用画像切出部33は、複数の評価用部分画像S4の全てが同じ画像サイズとなるように、評価用全体画像S3から複数の評価用部分画像S4を切り出す。このとき、評価用画像切出部33は、互いに隣接する評価用部分画像S4同士の間隔があいた状態となるように、評価用全体画像S3から複数の評価用部分画像S4を切り出す。例えば、評価用画像切出部33は、互いに隣接する評価用部分画像S4が重畳しない(重なり合わない)ように、評価用全体画像S3から複数の評価用部分画像S4を切り出す。すなわち、学習用画像切出部41における学習用全体画像S1から切り出される学習用部分画像S2の切出方向Dにおける間隔(切り出しスパン)は、評価用画像切出部33における評価用全体画像S3から切り出される評価用部分画像S4の切出方向Dにおける間隔(切り出しスパン)とは異なっている。
【0049】
第一判定部34は、切り出された複数の評価用部分画像S4のそれぞれについて、学習モデルに基づいて複数の評価の何れに該当するかを判定する(第五工程)。より詳細には、第一判定部34は、記憶部32に記憶された学習モデルに、切り出された複数の評価用部分画像S4のそれぞれを入力し、学習モデルから出力される評価を取得する。
【0050】
第二判定部35は、評価用部分画像S4のそれぞれに対応する複数の判定結果に基づいて、評価用全体画像S3が複数の評価の何れに該当するかを判定する(第六工程)。第二判定部35は、複数の判定結果を集計したときに最も数の多かった評価を、評価用全体画像S3の評価として判定する。更に、第二判定部35では、複数の評価のうち少なくとも1つの評価の重みを他の評価とは異ならせ、上記重みを判定結果を集計するときの数に反映させる。
【0051】
本実施形態では、第二判定部35は、「FineCut」(第一評価)の重みを他の評価(「FocusLong」、「FocusShort」、「PressureHigh」、「PressureLow」、「SpeedHigh」、及び「SpeedLow」とは異ならせ、正常状態を示す「FineCut」の重みを他の評価よりも小さくしている。例えば
図7に示されるように、評価用部分画像S4について「SpeedHigh」、「SpeedHigh」、「FineCut」、「SpeedHigh」、「SpeedHigh」の評価が得られたとして後続の処理を説明する。
【0052】
第二判定部35は、第一判定部34による判定結果を集計する際に、通常、一の評価用部分画像S4に対する判定結果を1ポイントとして集計するところ、重みの小さい「FineCut」の判定結果に対しては、例えば0.5ポイントと集計する等、集計の数に反映させる。これにより、集計結果は、「FineCut」が0.5ポイント、「SpeedHigh」が4.0ポイントとなり、第二判定部35は、評価用全体画像S3の評価を「SpeedHigh」と判定する。なお、
図7(A)に示される評価用全体画像S3の例は、全体的に「SpeedHigh」の特徴が出現している例であるが、評価用全体画像S3の中には、全体の一部にのみ「SpeedHigh」の特徴が出現する場合がある。このような事例を、別例として説明する。
【0053】
例えば、評価用部分画像S4について「FineCut」、「FineCut」、「FineCut」、「SpeedHigh」、「SpeedHigh」の評価が得られたとする。この場合、重みを考慮しない場合の第二判定部による集計結果は、「FineCut」が3.0ポイント、「SpeedHigh」が2.0ポイントとなり、第二判定部は、評価用全体画像の評価を「FineCut」と判定する。これに対し、本実施形態の第二判定部35による集計結果は、「FineCut」が1.5ポイント、「SpeedHigh」が2.0ポイントとなり、第二判定部35は、評価用全体画像S3の評価を「SpeedHigh」と判定する。このような第二判定部35による判定結果は、単純に第一判定部34による判定結果を集計したことにより得られる判定結果とは異なっている。
【0054】
制御装置10は、第二判定部35によって判定された判定結果を図示しない表示部又はネットワークで接続された端末装置、サーバ装置等に送信してもよい。また、制御装置10は、第二判定部35によって判定された判定結果に基づいて、例えば、レーザ光の焦点深度、アシストガスの圧力、送り速度等の加工条件を調整してもよい。
【0055】
上記実施形態の画像評価装置30を含むレーザ加工システム1における作用効果について説明する。
【0056】
上記実施形態の画像評価装置30及び画像評価方法によれば、予め定められた複数の評価(「FineCut」、「FocusLong」、「FocusShort」、「PressureHigh」、「PressureLow」、「SpeedHigh」、又は「SpeedLow」)のうち「FineCut」の評価の重みを他の評価とは異ならせ、評価用全体画像S3が複数の評価の何れに該当するかの判定は、当該重みが考慮されている。これにより、例えば評価用全体画像S3の判定が評価用部分画像S4に対する判定の集計によって判定される等、評価用部分画像S4に対する判定結果をそのまま用いて判定する場合と比べ、予め設定された複数の評価の中の何れの評価に該当するかを高精度に判定することができる。
【0057】
特に、工作機械による加工面は、特徴部分が加工面の全体に等しく分散して出現するわけではなく、特徴部分が一部に偏って出現したり、特徴部分の出現確率が小さかったりする場合がある。このため、加工面の部分画像(評価用部分画像)のそれぞれを分析するだけでは、高精度な画像の評価はできない。上記実施形態の画像評価装置30及び画像評価方法によれば、このような工作機械による加工面であっても、予め設定された複数の評価の中の何れの評価に該当するかを高精度に判定することができる。
【0058】
上記実施形態の画像評価装置30及び画像評価方法によれば、第二判定部35(第六工程)は、通常、一の評価用部分画像に対する判定結果を1ポイントとして集計するところ、重みの小さい判定結果に対しては、例えば0.5ポイントと集計する等、集計の数に反映させている。これにより、評価用部分画像S4の判定結果に対して容易に重み付けをすることが可能となる。
【0059】
上記実施形態の画像評価装置30及び画像評価方法によれば、
図6に示されるように、学習用画像切出部(第一工程)41は、互いに隣接する学習用部分画像S2の一部Suが重畳するように、学習用全体画像S1から複数の学習用部分画像S2を切り出している。これにより、学習用部分画像S2が互いに重畳して切り出されない態様と比較して、一の学習用全体画像S1からより多くの学習用部分画像S2を切り出すことができる。
【0060】
上記実施形態の画像評価装置30及び画像評価方法によれば、
図6に示されるように、学習用画像切出部41は、複数の学習用部分画像S2の全てが同じ画像サイズとなるように、学習用全体画像S1から複数の学習用部分画像S2を切り出している。これにより、学習用部分画像S2を切り出すときの処理効率を高めることが可能となる。
【0061】
上記実施形態の画像評価装置30及び画像評価方法によれば、
図6及び
図7に示されるように、学習用画像切出部41(第一工程)における学習用全体画像S1から切り出される学習用部分画像S2の切り出しスパンは、評価用画像切出部(第四工程)33における評価用全体画像S3から切り出される評価用部分画像S4の切り出しスパンとは異なっている。これにより、学習用全体画像S1及び/又は評価用全体画像S3の特性に合わせて適切なスパンを設定することができるので、適切な学習用部分画像S2及び/又は評価用全体画像S3を生成することができる。
【0062】
上記実施形態の画像評価装置30及び画像評価方法によれば、予め設定される複数の評価の中には、正常状態に相当する「FineCut」が含まれており、第二判定部(第六工程)35は、「FineCut」の重みを他の評価とは異ならせ、「FineCut」の重みを他の評価よりも小さくしている。これにより、評価用全体画像S3のほぼ全域が正常状態であってもごく一部において他の状態(「FocusLong」、「FocusShort」、「PressureHigh」、「PressureLow」、「SpeedHigh」、又は「SpeedLow」)が含まれている場合には、評価用全体画像S3をこれらの状態と判定することができる。
【0063】
上記実施形態の画像評価装置30及び画像評価方法によれば、レーザ加工機7により加工されたワークWの切断面を撮像した評価用全体画像S3に基づいてレーザ加工機7に設定された加工条件を高精度に判定することが可能となる。
【0064】
以上、一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0065】
上記実施形態では、本願発明の画像評価装置30及び画像評価方法を、工作機械の一例であるレーザ加工機7に適用した例を挙げて説明したが、例えば、フライス盤等の工作機械に適用してもよい。また、この場合、被加工部分の一例である切断面に代えて、加工面の状態がどのような状態であるかを高精度に判定することが可能となる。
【0066】
上記実施形態の画像評価装置30及び画像評価方法によれば、予め定められた複数の評価(「FineCut」、「FocusLong」、「FocusShort」、「PressureHigh」、「PressureLow」、「SpeedHigh」、又は「SpeedLow」)のうち(「FineCut」の評価の重みを小さくした例を挙げて説明したが、上記の複数の評価のうち少なくとも1つの評価の重みを他の評価とは異ならせればよい。重みを変える対象となる評価は、被加工部分の状態に合わせて適切に設定することができる。
【0067】
上記実施形態の画像評価装置30及び画像評価方法によれば、学習用全体画像S1から学習用部分画像S2を切り出す際に、隣接する画像同士を重畳させながら切り出す例を挙げて説明したが、この重畳量は0であってもよいし、間隔をあけた状態で切り出してもよい。また、切り出される学習用部分画像S2は、全て同じ画像サイズである例を挙げて説明したが、異なる画像サイズとしてもよい。
【0068】
上記実施形態の画像評価装置30及び画像評価方法によれば、評価用全体画像S3から評価用部分画像S4を切り出す際に、隣接する画像同士の間隔をあけながら切り出す例を挙げて説明したが、互いに重畳させながら切り出してもよいし、重畳量が0(間隔をあけない状態)となるように切り出してもよい。また、切り出される評価用部分画像S4は、全て同じ画像サイズである例を挙げて説明したが、異なる画像サイズとしてもよい。
【0069】
上記実施形態の画像評価装置30及び画像評価方法によれば、画像評価装置30に備えられた学習モデル生成機能を用いて学習モデルを生成する例を挙げて説明したが、画像評価装置30、すなわちレーザ加工システム1とは分離された場所に生成された学習モデルが記憶部32に記憶(実装)された構成としてもよい。
【0070】
上記実施形態の画像評価装置30及び画像評価方法によれば、画像評価装置30がレーザ加工システム1に搭載されている例を挙げて説明したが、例えば、レーザ加工システム1とネットワークによって通信可能に設けられたサーバ装置等に、画像評価装置30を構成する要素の一部又は全てが設けられていてもよい。
【0071】
以上に記載した実施形態及び変形例の少なくとも一部は、任意に組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0072】
1…レーザ加工システム、2…保管装置、3…ローダ装置、4…パレット搬送装置、4A…加工パレット、5…グリッパ装置、7…レーザ加工機(工作機械)、10…制御装置、20…カメラ、30…画像評価装置、31…取得部、32…記憶部、33…評価用画像切出部、34…第一判定部、35…第二判定部、41…学習用画像切出部、42…ラベル付与部、43…モデル生成部、D…切出方向、S1…学習用全体画像、S2…学習用部分画像、S3…評価用全体画像、S4…評価用部分画像、TS…ワーク搬送システム、W…ワーク、Wa…製品、Wb…残材。