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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240228BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240228BHJP
   B41J 29/13 20060101ALI20240228BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20240228BHJP
   B65H 5/38 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
H04N1/00 567Q
B41J2/01
B41J29/13
H04N1/12 Z
H04N1/00 519
B65H5/38
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020073348
(22)【出願日】2020-04-16
(65)【公開番号】P2021170731
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2023-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】平松 裕行
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 竜一
【審査官】鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-111975(JP,A)
【文献】特開2002-068565(JP,A)
【文献】特開2006-126594(JP,A)
【文献】特開2004-045906(JP,A)
【文献】特開2007-124013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 2/01
B41J 29/13
H04N 1/04-1/207
B65H 5/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被読取位置にある読取媒体を読み取る撮像モジュールと、
前記読取媒体が載置される載置面と、
前記載置面に載置された前記読取媒体の幅方向のエッジをガイドする第1ガイド面と、
前記載置面上の前記読取媒体を挟持し前記被読取位置に搬送する挟持ローラーと、を備え、
前記載置面は、前記被読取位置を含む第1載置面と、前記被読取位置を含まない第2載置面と、を有し、
前記第1載置面と前記第1ガイド面と前記挟持ローラーとが一体的に移動すること、
を特徴とする記録装置。
【請求項2】
記録媒体に記録を行う記録部を開放可能なプリンターカバーを備え、
前記第1載置面及び前記第1ガイド面は、前記プリンターカバーに含まれること、
を特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記第1ガイド面に着脱可能な第2ガイド面を有するアタッチメントを備え、
前記アタッチメントは、前記第1ガイド面に装着された状態において、前記載置面と一体的に移動すること、
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記アタッチメントが前記第1ガイド面に装着された状態において、前記第1ガイド面に設けられる凹部と前記アタッチメントに設けられる凸部とが係合すること、
を特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記第1ガイド面は、前記第1載置面に載置された前記読取媒体の鉛直上方に抑え面を有すること、
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像などを読み取るスキャナーを備えた記録装置が知られている。特許文献1には、装置の天面が読取媒体を載置する載置面であり、載置面に載置された読取媒体の幅方向のエッジをガイドするガイド面と、載置面にセットされた読取媒体を搬送する搬送部とを備えた記録装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-6042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の記録装置は、メンテナンスなどにより天面が開放されると、読取媒体が載置された状態の載置面がガイド面に対して相対移動する。この際に、読取媒体の端部がガイド面と摺動して、一度載置面にセットされた読取媒体の姿勢が変わる恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
記録装置は、被読取位置にある読取媒体を読み取る撮像モジュールと、前記読取媒体が載置される載置面と、前記載置面に載置された前記読取媒体の幅方向のエッジをガイドする第1ガイド面と、前記載置面上の前記読取媒体を挟持し前記被読取位置に搬送する挟持ローラーと、を備え、前記載置面は、前記被読取位置を含む第1載置面と、前記被読取位置を含まない第2載置面と、を有し、前記第1載置面と前記第1ガイド面と前記挟持ローラーとが一体的に移動する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る記録装置の外観を示す斜視図。
図2】第2カバーが第二開位置に位置する状態の記録装置を示す斜視図。
図3】第1カバーが第一開位置に位置する状態の記録装置を示す斜視図。
図4】記録装置の内部構成を示す模式断面図。
図5】ガイド面を説明する拡大斜視図。
図6】読取媒体が載置された記録装置を示す平面図。
図7】読取媒体が載置された記録装置を示す平面図。
図8】第1カバーが第一閉位置に位置する状態の記録装置を示す拡大側断面図。
図9】第1カバーが第一開位置に位置する状態の記録装置を示す拡大側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態に係る記録装置10の概略構成について説明する。記録装置10は、例えば、画像などを読み取るスキャナーを備えたインクジェット式のプリンターである。図面に付記する座標においては、記録装置10が水平面上に置かれているものとして、互いに直交する3つの仮想軸を、X軸、Y軸及びZ軸とする。Y軸は、記録装置10の前後方向と平行な軸であり、Y軸を示す矢印の先端側を「前」とする。X軸は、記録装置10の左右方向と平行な軸であり、X軸を示す矢印の先端側を「左」とする。Z軸は鉛直方向と平行な軸であり、Z軸を示す矢印の先端側を「上」とする。
【0008】
図1に示すように、記録装置10は、記録媒体としての用紙Sに画像形成が可能なプリンターである。記録装置10は、用紙Sとして、JIS規格のA1判までの比較的大型サイズのロール紙に画像形成が可能である。また、記録装置10は、用紙Sとして、A4判等の単票紙にも画像形成が可能である。
【0009】
図1から図3に示すように、記録装置10は、左右方向に長い略直方体状の筐体12を備える。筐体12の上面には、後側に位置する給紙カバー13と、前側に位置するプリンターカバーとしての第1カバー70及び第2カバー80とが開閉可能に設けられる。筐体12の上面における第2カバー80とX方向で隣り合う位置には、記録装置10の各種の操作を行うための操作パネル15が設けられる。筐体12の前面には排紙口16が設けられる。筐体12内で画像などが記録された用紙Sは、排紙口16から前方に向けて排出される。また、筐体12の前面には、排紙口16から排紙される用紙Sを支持する排紙部11が設けられる。
【0010】
図4に示すように、筐体12内には、用紙Sがロール状に巻き重ねられたロール体Rが配置される。ロール体Rは、筐体12内の後方に配置される。ロール体Rは、用紙Sの幅方向と平行な左右方向に延びる軸18によって回転可能に支持される。本実施形態においては、軸18が図4における反時計回り方向に回転することによって、ロール体Rから用紙Sが巻き解かれる。巻き解かれた用紙Sは、搬送部40により搬送され、筐体12の前面に開口する排紙口16を通じて筐体12内から筐体12外へ排出される。すなわち、本実施形態において、巻き解かれた用紙Sが搬送部40によって排紙口16に搬送される経路が用紙Sの搬送経路であり、筐体12の後方から前方に向かう方向、図4において右方から左方に向かう方向が、搬送部40により搬送される用紙Sの搬送方向となる。
【0011】
記録装置10は、用紙Sに記録を行う記録部20、用紙Sを搬送経路に沿って搬送する搬送部40、用紙Sを切断する切断機構50、読取媒体である用紙Dを読み取る読取部60を有する。
【0012】
記録部20は、例えばインク等の液体を用紙Sに向けて噴射するヘッド21と、ヘッド21を搭載するキャリッジ22とを有する。キャリッジ22は、筐体12内に設けられるフレーム19と、フレーム19に取り付けられたガイド軸17とにより支持される。ガイド軸17は、用紙Sの幅方向に延びる。キャリッジ22は、モーター等の駆動源によってガイド軸17に沿って移動可能である。すなわち、キャリッジ22は、幅方向に往復移動可能である。ヘッド21は、キャリッジ22がガイド軸17に沿って移動することによって、用紙Sの幅方向の全域に亘って液体を噴射可能である。なお、液体は、キャリッジ22に搭載可能なカートリッジから供給を受ける構成や、筐体12の内部又は外部に設けられるボトルやタンクから供給を受ける構成であってもよい。
【0013】
第1支持部材31及び第2支持部材32は、板状の部材であり、用紙Sの搬送経路を構成する。第2支持部材32は、記録部20のヘッド21と対向するように配置される。第1支持部材31は、搬送方向において第2支持部材32よりも上流側に配置され、ロール体Rから巻き解かれた用紙Sを記録部20に向けて案内する。
【0014】
搬送部40は、ロール体Rから巻き解かれた用紙Sを第1及び第2支持部材31,32に沿うように、筐体12内から排紙口16に向けて搬送する。搬送部40は、搬送方向において、上流側から下流側に向かって順に、第1搬送ローラー対41、第2搬送ローラー対42、第3搬送ローラー対43、及び第4搬送ローラー対44を有する。第1搬送ローラー対41は、搬送方向において、ヘッド21よりも上流側に配置され、第1支持部材31と第2支持部材32との間に配置される。第2、第3、第4搬送ローラー対42,43,44は、搬送方向において、ヘッド21よりも下流側に配置される。
【0015】
第1搬送ローラー対41は、モーターにより駆動回転が可能な駆動ローラー45と、駆動ローラー45の回転に対して従動回転が可能な従動ローラー46とを有する。駆動ローラー45と従動ローラー46とが用紙Sを挟み込んだ状態で、駆動ローラー45が回転することによって、第1搬送ローラー対41により用紙Sが搬送される。駆動ローラー45は、用紙Sに対して下方から接触するように配置される。従動ローラー46は、用紙Sに対して上方から接触するように配置される。第2、第3、第4搬送ローラー対42,43,44は、第1搬送ローラー対41と同様に、駆動ローラー45と、従動ローラー46とを有する。したがって、第2から第4搬送ローラー対42,43,44における従動ローラー46は、用紙Sを搬送する際に、用紙Sに対して液体が噴射された面に接触する。そのため、第2から第4搬送ローラー対42,43,44における従動ローラー46は、用紙Sに記録された画像の品質の劣化を低減させるため、用紙Sに対して接触面積の小さいスターホイール等で構成される。第1から第4搬送ローラー対41,42,43,44は、幅方向において、所定の間隔を空けてそれぞれ複数配置される。
【0016】
切断機構50は、搬送方向において、第3搬送ローラー対43と第4搬送ローラー対44との間に配置される。切断機構50により切断された用紙Sは、第4搬送ローラー対44によって搬送されることで排紙口16から排出される。なお、本実施形態における記録装置10では、ユーザーが手指を排紙口16から筐体12内に挿し入れることができない程度に、排紙口16の開口における鉛直方向の間隔が比較的小さく構成される。このため、排紙口16の上流側近傍に第4搬送ローラー対44を配置することにより、用紙Sが排紙口16に向けて円滑に搬送され、紙ジャムの発生を抑制することができる。
【0017】
切断機構50は、用紙Sを切断するための切断刃51と、切断刃51を保持する保持体55とを有する。切断刃51は、円板状の駆動刃52と従動刃53とで構成される。駆動刃52及び従動刃53は、保持体55に対して回転可能に取り付けられる。駆動刃52及び従動刃53は、鉛直方向において並ぶように設けられる。保持体55は、X方向に沿って往復移動する。切断機構50は、保持体55がX方向に沿って移動することによって、切断刃51により用紙Sを切断する。すなわち、切断刃51を含む切断機構50が、用紙Sの搬送方向に交差する幅方向に走査することにより用紙Sを切断する。
【0018】
なお、切断機構50は、切断機構50が有するモーター等の駆動源から伝達される駆動力によってX方向に沿って往復移動されてもよいし、キャリッジ22に連結された状態で、キャリッジ22を移動させるモーターの駆動力によってX方向に沿って往復移動されてもよい。
【0019】
読取部60は、第1カバー70及び第2カバー80に構成され、第1カバー70と第2カバー80との間に位置する用紙Dの記録情報を読み取る撮像モジュール83を有する。
第1カバー70は、左右方向に長い長方形状をなし、記録部20に対して移動可能であり、記録部20を開放可能に構成される。第1カバー70は、記録部20による記録が行われる用紙Sが搬送される空間を開放する第一開位置と、用紙Sが搬送される空間を閉塞する第一閉位置とに移動する。本実施形態の第1カバー70は、記録部20の上方に位置し、第1支軸71を中心に筐体12と回動可能に係合される。第1支軸71は、X軸に平行な回動軸であり、第1カバー70の後端における左右の両端部に設けられる。第一閉位置の第1カバー70は、第1支軸71を中心に、第1カバー70の前端が上方及び後方に向かって円弧状に回動することで第一開位置に移動する。第1支軸71には、第1カバー70を第一開位置に留めるコイルばね71aが設けられる。コイルばね71aは、左右の第1支軸71の外周に巻かれ、第1カバー70を第一開位置に付勢する。
【0020】
第2カバー80は、左右方向に長い長方形状をなし、第1カバー70に対して移動可能に構成される。第2カバー80は、撮像モジュール83が設けられる空間を開放する第二開位置と、撮像モジュール83が設けられる空間を閉塞する第二閉位置とに移動する。本実施形態の第2カバー80は、第二閉位置において第1カバー70と重なる位置に位置する。第2カバー80は、第2支軸81を中心に第1カバー70と回動可能に係合される。第2支軸81は、X軸に平行な回動軸であり、第2カバー80の後端における左右の両端部に設けられる。第二閉位置の第2カバー80は、第2支軸81を中心に、第2カバー80の前端が上方及び後方に向かって円弧状に回動することで第二開位置に移動する。第2支軸81には、第2カバー80を第二開位置に留めるコイルばね81aが設けられる。コイルばね81aは、左右の第2支軸81の外周に巻かれ、第2カバー80を第二開位置に付勢する。
【0021】
読取部60は、第1カバー70と第2カバー80とが共に閉位置にある状態において、用紙Dが挿入される挿入口61と、用紙Dが排出される排出口62とを備える。挿入口61は、第2カバー80の後端における第1カバー70と第2カバー80との間に設けられる。排出口62は、第2カバー80の前端における第1カバー70と第2カバー80との間に設けられる。挿入口61から排出口62に向かう方向は、用紙Dの搬送方向である。
【0022】
読取部60は、用紙Dが載置される第1載置面73、用紙Dを搬送する第1ローラー72及び第2ローラー82、用紙Dの画像を電気信号に変換する撮像モジュール83を有する。撮像モジュール83は、第2カバー80の下面に設けられ、用紙Dの幅方向に長い密着光学方式のライン型のイメージセンサー、光源及びレンズなどを有する。第1載置面73は、第1カバー70の上面に設けられ、被読取位置を含む。被読取位置とは、撮像モジュール83と対向する位置であり、被読取位置には、搬送される用紙Dを支持する板状の支持板73aが設けられている。撮像モジュール83は、第2カバー80の下面に設けられ、第1載置面73上における被読取位置にある用紙Dを読み取る。第1ローラー72は、第1カバー70の上面、すなわち第1載置面73に設けられ、第2ローラー82は、第2カバー80の下面に設けられる。また、読取部60には、用紙Dのサイズや位置を求めるための複数のセンサーが設けられている。
【0023】
第1カバー70に対して第2カバー80が閉じられた第二閉位置にて、第1ローラー72は、用紙Dの搬送方向において撮像モジュール83の上流側及び下流側に設けられ、用紙Dの幅方向において適宜間隔を置いて設けられる。第2ローラー82は、第2カバー80が閉じられた第二閉位置にて、第1ローラー72と当接する位置に設けられる。第1ローラー72は、モーターなどの駆動源によって回転駆動され、第2ローラー82は、第1ローラー72の回転駆動により従動回転する。第1ローラー72及び第2ローラー82は、第1載置面73上の用紙Dを挟持し被読取位置に搬送する挟持ローラー75を構成する。
【0024】
挿入口61から挿入された読み取り前の用紙Dは、第1ローラー72と第2ローラー82とに挟持されて読み取り開始位置まで搬送される。そして、読み取り開始操作がされると、用紙Dが排出口62に向かって順次搬送され、撮像モジュール83で読み取られた用紙Dが排出口62から前方に向けて排出される。挿入口61から排出口62に至る、用紙Dの幅方向の領域を含む範囲は、用紙Dが搬送される搬送経路である。
【0025】
記録装置10は、第1カバー70と第2カバー80とを連結する第1連結部86及び第2連結部87を有する。第1連結部86は、用紙Dの幅方向における搬送経路の一方の外側に設けられる。第2連結部87は、用紙Dの幅方向における搬送経路の他方の外側に設けられる。また、第2カバー80の前面における右側には、第1連結部86を連結状態と非連結状態とに変位させる第1操作部84が設けられる。第2カバー80の前面における左側には、第2連結部87を連結状態と非連結状態とに変位させる第2操作部85が設けられる。ユーザーによって第1、第2操作部84,85を押す操作がされることによって、第1、第2連結部86,87が第1カバー70と第2カバー80とを連結する連結状態から非連結状態に変位する。ユーザーによって第1、第2操作部84,85が押された状態で第二閉位置に位置する第2カバー80の先端が上方及び後方に向かって回動されると、第2カバー80が第1カバー70に対して回動して第二開位置に位置するので、開放された読取部60のメンテナンスが可能になる。
【0026】
記録装置10は、第1カバー70を開く際に把持される把持部74を備える。図1及び図2に示すように、把持部74は、第1カバー70の前面における中央部を後方に窪ませることにより構成されている。第1カバー70を開く際には、把持部74に挿入されたユーザーの手指によって第二閉位置に位置する第2カバー80の前面下端が把持される。この際、第1、第2操作部84,85を押す操作はされないので、第1カバー70と第2カバー80との連結状態が維持される。把持部74を把持した状態で第2カバー80の先端が上方及び後方に向かって回動されると、第2カバー80に連結された第1カバー70が、記録部20に対して回動して第一開位置に位置するので、開放された記録部20のメンテナンスが可能になる。
【0027】
次に、載置面及び第1カバー70に含まれる第1ガイド面91の構成について説明する。
図5に示すように、記録装置10は、用紙Dを載置させる載置面として、第1カバー70の上面であり、被読取位置を含む第1載置面73と、被読取位置を含まない第2載置面12aとを有する。第2載置面12aは、第1カバー70が第一閉位置に位置する時、第1載置面73と同一面を構成する筐体12の上面である。第1載置面73の挟持ローラー75よりも上流側の領域、及び第2載置面12aには、撮像モジュール83で読み取られる前の用紙Dが載置される。
【0028】
第1カバー70は、第1、第2載置面73,12aに載置される用紙Dの幅方向のエッジをガイドする第1ガイド面91を有する。詳しくは、第1ガイド面91は、第1カバー70を回動可能に支持する右側の第1支軸71を覆う第1カバー70の部材の内側面であり、第1支軸71の軸芯方向と交差するY-Z平面を有する。第1ガイド面91は、第1支軸71の上側から下流方向に伸びて、第1支軸71の下流に位置する第1載置面73の右端と接続される。第1ガイド面91は、後述するキャリアシート93の幅方向における右側のエッジ93aをガイドする。第1ガイド面91は、第1載置面73に載置される用紙Dの鉛直上方に抑え面92を有する。抑え面92は、第1ガイド面91の上端から第1載置面73に向かって庇状に伸びて第1載置面73に載置される用紙Dの上面と対向する面である。
【0029】
図6に示すように、撮像モジュール83で用紙Dの記録情報を読み取らせる際、用紙Dの表面を保護したり、搬送経路における搬送を円滑に行わせたりするために、用紙Dをキャリアシート93に挟んだ態様で搬送させる場合がある。キャリアシート93は、用紙Dのうち、読取部60で読み取られる表面を覆う透明なカバーシートと、裏面を覆う不透明なサポートシートとの2枚のシートの先端部が接着されたPET製シートである。キャリアシート93は、定型の用紙Dを所定の位置に位置させるように構成されている。
【0030】
第2載置面12aには、第1ガイド面91の後端から第2載置面12aの後方に向かって一直線に伸びる第1マーク91aが設けられている。第1マーク91aは、キャリアシート93に挟まれた用紙Dを第2載置面12aに載置する際のY方向に平行な載置位置を指示する目印であり、第1ガイド面91は、キャリアシート93に挟まれた用紙Dを第1載置面73にセットする際のY方向に平行な基準位置である。キャリアシート93に挟まれた用紙Dを第1載置面73にセットする際、ユーザーは、キャリアシート93のY方向に平行な右側のエッジ93aを第1マーク91aに合わせると共に、第1ガイド面91に当接させながらキャリアシート93を装置の前方にスライドさせる。キャリアシート93の先端が所定位置に達すると、キャリアシート93が挟持ローラー75に挟持されながら搬送されて所定の読み取り開始位置にセットされる。
【0031】
第1載置面73及び第1ガイド面91は、第1カバー70に含まれる構成であるため、第1カバー70と一体的に回動する。また、第1載置面73に載置された用紙Dを挟持する挟持ローラー75は、第1カバー70と第1カバー70に連結された第2カバー80とに設けられる構成であるため、第2カバー80と共に第1カバー70と一体的に回動する。すなわち、第1載置面73と第1ガイド面91と挟持ローラー75とが、一体的に移動する。
【0032】
図5に示すように、記録装置10は、第1ガイド面91に着脱可能な第2ガイド面96を有するアタッチメント95を備える。アタッチメント95が第1ガイド面91に装着された状態において、第1ガイド面91を左側から覆う外面が、用紙Dの幅方向における右側のエッジDaをガイドする第2ガイド面96である。アタッチメント95は、第1ガイド面91の形状に倣った形状をなす。第1ガイド面91には、上方に開口を有し、上下方向に長い長方形状に窪む凹部94が設けられ、アタッチメント95の第2ガイド面96と反対側の裏面には、凹部94と係合可能に突出する凸部97が設けられる。アタッチメント95は、第1ガイド面91に対して、上方及び左方から装着可能であり、装着された状態において第1ガイド面91の凹部94とアタッチメント95の凸部97とが係合する。アタッチメント95は、第1ガイド面91に装着されて第1載置面73と一体的に移動する。
【0033】
図7に示すように、第2載置面12aの上面には、アタッチメント95の第2ガイド面96の後端から第2載置面12aの後方に向かって一直線に伸びる第2マーク96aが設けられている。第2マーク96aは、用紙Dを第2載置面12aに載置する際のY方向に平行な載置位置を指示する目印であり、第2ガイド面96は、用紙Dを第1載置面73にセットする際のY方向に平行な基準位置である。用紙Dを第1載置面73にセットする際、ユーザーは、用紙DのY方向に平行な右側のエッジDaを第2マーク96aに合わせると共に、第2ガイド面96に当接させながら用紙Dを装置の前方にスライドさせる。用紙Dの先端が所定位置に達すると、用紙Dが挟持ローラー75に挟持されながら搬送されて所定の読み取り開始位置にセットされる。
【0034】
第1ガイド面91及び第1マーク91aの位置と第2ガイド面96及び第2マーク96aの位置とのX方向における差L1は、キャリアシート93のY方向に平行な右側のエッジ93aと、キャリアシート93に挟まれた用紙DのY方向に平行な右側のエッジDaとの差に等しい。上述のように、キャリアシート93を第1ガイド面91に当接させた時、キャリアシート93に挟まれた用紙Dの右側のエッジDaは、第2ガイド面96及び第2マーク96aと同じ位置に位置する。すなわち、記録装置10は、アタッチメント95を着脱させることにより、キャリアシート93を使用した場合でも、キャリアシート93を使用しない場合でも、撮像モジュール83に読み取らせる用紙DのエッジDaを所定の位置にセットすることができるように構成されている。
【0035】
図8及び図9に示すように、第1ガイド面91と第1載置面73と挟持ローラー75とは、第1カバー70と一体的に回動する。用紙Dが読み取り開始位置にセットされた状態において、記録部20のメンテナンスなどにより、第1カバー70を第一開位置に回動させる必要が生じた場合、用紙Dは、挟持ローラー75に挟持されたまま、第1載置面73と第1ガイド面91とに支持されて、第1カバー70と一体的に回動する。また、第1カバー70の回動に伴って、用紙Dが第1載置面73から浮き上がろうとした際には、第1ガイド面91から用紙Dの鉛直上方に突出する抑え面92により、その浮き上がりが抑制される。これにより、その後、第1カバー70が第一閉位置に戻された場合でも、用紙Dは、読み取り開始位置にセットされた状態で維持されるので、用紙Dを再セットする手間が軽減される。また、抑え面92の上流側の後端部は、第1支軸71よりも下流側に位置するので、第1カバー70を第一開位置に回動した場合でも、抑え面92の後端部と第2載置面12aとは当接しない。これにより、用紙Dが抑え面92の後端部と第2載置面12aとで挟まれることで生じる用紙Dの損傷が抑制される。
【0036】
以上述べたように、本実施形態に係る記録装置10によれば、以下の効果を得ることができる。
記録装置10は、用紙Dを挟持する挟持ローラー75と、用紙Dが載置される第1載置面73と、用紙Dの幅方向のエッジをガイドする第1ガイド面91とを備える。読取作業中にメンテナンス等が必要となった際、第1載置面73に載置された用紙Dは、挟持ローラー75に挟持されたまま、挟持ローラー75と、第1載置面73と、第1ガイド面91とが一体的に移動する。この際、用紙Dのエッジは、第1ガイド面91と摺接しないので、第1載置面73に載置された用紙Dの姿勢変化が抑制される。また、用紙Dのエッジと第1ガイド面91とが摺接することで生じていた用紙Dの損傷が抑制される。
【0037】
記録装置10は、用紙Sに記録を行う記録部20を開放可能な第1カバー70を備える。用紙Dが載置される第1載置面73と、用紙Dのエッジをガイドする第1ガイド面91とは、第1カバー70に含まれる。換言すると、第1載置面73及び第1ガイド面91は、第1カバー70と一体で構成されるので、記録装置10の部品点数を削減することができる。
【0038】
記録装置10は、第1ガイド面91に着脱可能な第2ガイド面96を有するアタッチメント95を備える。アタッチメント95の着脱により、用紙Dのガイド位置が変更可能になるので、例えば、キャリアシート93を用いて読み取らせる場合など、用紙Dを読み取らせる態様に応じてガイド位置を変更することができる。
【0039】
アタッチメント95は、第1ガイド面91に設けられた凹部94と係合可能な凸部97を有している。アタッチメント95は、凹部94と凸部97とを係合させることで第1ガイド面91に装着されるため、第1載置面73と一体的に移動させた時などに、意図せずに外れる恐れを低減できる。
【0040】
第1ガイド面91は、第1載置面73に載置された用紙Dの鉛直上方に抑え面92を有しているので、第1載置面73に載置された用紙Dの姿勢変化がさらに抑制される。
【符号の説明】
【0041】
10…記録装置、12a…第2載置面、20…記録部、70…プリンターカバーとしての第1カバー、73…第1載置面、75…挟持ローラー、80…第2カバー、83…撮像モジュール、91…第1ガイド面、92…抑え面、94…凹部、95…アタッチメント、93a,Da…エッジ、96…第2ガイド面、97…凸部、S…記録媒体としての用紙、D…読取媒体としての用紙。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9