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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】自動倉庫
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
B65G1/04 555A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020075827
(22)【出願日】2020-04-22
(65)【公開番号】P2021172469
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】黒田 真二朗
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-211708(JP,A)
【文献】実開平02-086920(JP,U)
【文献】米国特許第04428708(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/133;1/14-1/20
B66F 9/00-11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物が載置される棚を有するラックと、
前記棚の近傍を走行路に沿って走行し、前記棚との間で荷物を移載する搬送車と、
コントローラと、
前記走行路の第1端を示す第1被検出部と
前記走行路の第2端を示す第2被検出部と、
前記搬送車に設けられており、前記第1被検出部と前記第2被検出部を検出する第1検出部と第2検出部と、を備え、
前記第1被検出部は、前記第1端において、前記第1検出部のみ、及び前記第1検出部と前記第2検出部の両方により検出され、
前記第2被検出部は、前記第2端において、前記第2検出部のみ、及び前記第1検出部と前記第2検出部の両方により検出され、
前記コントローラは、
前記第1検出部と前記第2検出部のうち前記第1検出部のみにより前記第1被検出部を検出した場合、前記第1端に位置すると判断し、
前記第1検出部と前記第2検出部のうち前記第2検出部のみにより前記第2被検出部を検出した場合、前記第2端に位置すると判断し、
前記第1検出部及び前記第2検出部の両方により前記第1被検出部又は前記第2被検出部を検出した場合、前記搬送車を異常停止させるように制御し、
前記搬送車を異常停止させると、前記第1検出部及び前記第2検出部の検出順序に基づいて前記搬送車が前記第1端及び前記第2端のいずれに位置するかを判断し、
作業者が前記搬送車を強制操作する時に、前記第1端であれば前記搬送車がさらに前記第1端側に走行するのを禁止し、前記第2端であれば前記搬送車がさらに前記第2端側に走行するのを禁止するように制御する、自動倉庫。
【請求項2】
荷物が載置される棚を有するラックと、
前記棚の近傍を走行路に沿って走行し、前記棚との間で荷物を移載する搬送車と、
コントローラと、
前記走行路の第1端を示す第1被検出部と
前記走行路の第2端を示す第2被検出部と、
前記搬送車に設けられており、前記第1被検出部と前記第2被検出部を検出する第1検出部と第2検出部と、を備え、
前記第1被検出部は、前記第1端において、前記第1検出部のみ、及び前記第1検出部と前記第2検出部の両方により検出され、
前記第2被検出部は、前記第2端において、前記第2検出部のみ、及び前記第1検出部と前記第2検出部の両方により検出され、
前記コントローラは、
前記第1検出部と前記第2検出部のうち前記第1検出部のみにより前記第1被検出部を検出した場合、前記第1端に位置すると判断し、
前記第1検出部と前記第2検出部のうち前記第2検出部のみにより前記第2被検出部を検出した場合、前記第2端に位置すると判断し、
前記第1検出部及び前記第2検出部の両方により前記第1被検出部又は前記第2被検出部を検出した場合、前記搬送車を異常停止させるように制御し、
前記走行路の前記第1端において、前記第1被検出部と上下方向にずれて設けられており、前記第1被検出部より前記第2端側に向けて走行方向に長い第3被検出部と、
前記第1検出部と上下方向にずれて前記搬送車に設けられており、前記第3被検出部を検出する第3検出部と、をさらに備え、
前記第1検出部と前記第2検出部の並び方向が走行方向と平行となるように設けられており、
前記コントローラは、
前記搬送車の起動時又は終了時に前記搬送車を前記第1端側に向けて走行させ、
前記第3検出部により前記第3被検出部を検出すると前記搬送車を減速させ、
前記第1検出部と前記第2検出部のうち前記第1検出部のみにより前記第1被検出部を検出した際に前記搬送車を停止させるように制御する自動倉庫。
【請求項3】
荷物が載置される棚を有するラックと、
前記棚の近傍を走行路に沿って走行し、前記棚との間で荷物を移載する搬送車と、
コントローラと、
前記走行路の第1端を示す第1被検出部と
前記走行路の第2端を示す第2被検出部と、
前記搬送車に設けられており、前記第1被検出部と前記第2被検出部を検出する第1検出部と第2検出部と、を備え、
前記第1被検出部は、前記第1端において、前記第1検出部のみ、及び前記第1検出部と前記第2検出部の両方により検出され、
前記第2被検出部は、前記第2端において、前記第2検出部のみ、及び前記第1検出部と前記第2検出部の両方により検出され、
前記コントローラは、
前記第1検出部と前記第2検出部のうち前記第1検出部のみにより前記第1被検出部を検出した場合、前記第1端に位置すると判断し、
前記第1検出部と前記第2検出部のうち前記第2検出部のみにより前記第2被検出部を検出した場合、前記第2端に位置すると判断し、
前記第1検出部及び前記第2検出部の両方により前記第1被検出部又は前記第2被検出部を検出した場合、前記搬送車を異常停止させるように制御し、
原点復帰動作時に前記第1検出部が前記第1被検出部を検出すると、前記コントローラは前記搬送車をさらに減速し、次に前記第2検出部が前記第1被検出部を検出すると、前記コントローラは前記搬送車を停止させる自動倉庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動倉庫と、特に、ラックと搬送車とを有する自動倉庫に関する。
【背景技術】
【0002】
荷物を保管する複数段の棚の各段に対応して、荷物を搬送する複数の搬送車を設けた自動倉庫(以下、「段ごと搬送車付き自動倉庫」という)が知られている。各搬送車は、対応する段において棚の延長方向に走行し、棚の延長方向の所定の位置において、搬送車と対応する段の棚との間で荷物を移載する(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-017188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の段ごと搬送車付き自動倉庫では、各搬送車の走行路における位置検出のために複数のセンサが設けられている。例えば、原点センサによって原点位置を検出し、減速センサによって端部付近における減速位置を検出し、走行極限センサによって極限位置を検出している。
このように目的ごとにセンサを設けることで、センサの数が多くなっている。
【0005】
本発明の目的は、自動倉庫の搬送車において、センサの組み合わせにより制御することで、必要なセンサの数を減らすことにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0007】
本発明の一見地に係る自動倉庫は、ラックと、搬送装置と、コントローラと、第1被検出部と、第2被検出部と、第1検出部及び第2検出部と、を有する。
ラックは、荷物が載置される棚を有している。
搬送車は、棚の近傍を走行路に沿って走行し、棚との間で荷物を移載する。
第1被検出部は、走行路の第1端を示す。
第2被検出部は、走行路の第2端を示す。
第1検出部及び第2検出部は、搬送車に設けられており、第1被検出部と第2被検出部を検出する。
第1被検出部は、第1端において、第1検出部のみ、及び第1検出部と第2検出部の両方により検出される。
第2被検出部は、第2端において、第2検出部のみ、及び第1検出部と第2検出部の両方により検出される。
コントローラは、第1検出部と第2検出部のうち第1検出部のみにより第1被検出部を検出した場合、搬送車が第1端に位置すると判断する。
コントローラは、第1検出部と第2検出部のうち第2検出部のみにより第2被検出部を検出した場合、搬送車が第2端に位置すると判断する。
コントローラは、第1検出部及び第2検出部の両方により第1被検出部又は第2被検出部を検出した場合、搬送車を異常停止させる。
この自動倉庫では、第1検出部及び第2検出部の検出結果の組み合わせに基づいて、走行路の両端における位置の把握と異常停止の制御を行うことができる。言い換えると、2つのセンサにより4つの制御(両端での位置認識+両端での異常停止)ができる。つまり、自動倉庫の搬送車において、センサの組み合わせにより制御することで、必要なセンサの数を減らせる。
【0008】
コントローラは、第1検出部と第2検出部のうち第1検出部のみにより第1被検出部を検出した場合、搬送車がさらに第1端側に走行するのを禁止してもよい。
コントローラは、第1検出部と第2検出部のうち第2検出部のみにより第2被検出部を検出した場合、搬送車がさらに第2端側に走行するのを禁止してもよい。
この自動倉庫では、第1検出部及び第2検出部の検出結果の組み合わせに基づいて、走行路の第1端又は第2端での移動を制限できるので、安全性が高くなる。この場合、追加の制御が、センサの数を増やすことなく実行できる。
【0009】
コントローラは、搬送車を異常停止させると、第1検出部及び第2検出部の検出順序に基づいて搬送車が第1端及び第2端のいずれに位置するかを判断してもよい。
コントローラは、作業者が搬送車を異常停止後に強制操作する時に、第1端であれば搬送車がさらに第1端側に走行するのを禁止し、第2端であれば搬送車がさらに第2端側に走行するのを禁止してもよい。
この自動倉庫では、異常停止後に作業者が搬送車を強制操作する際に、走行路の外側への移動が禁止されているので、安全性が高くなる。
【0010】
自動倉庫は、第3被検出部と、第3検出部とをさらに備えていてもよい。第3被検出部は、走行路の第1端において、第1被検出部と上下方向にずれて設けられており、第1被検出部より第2端側に向けて走行方向に長くてもよい。第3検出部は、第1検出部と上下方向にずれて搬送車に設けられており、第3被検出部を検出する。
第1検出部と第2検出部の並び方向が走行方向と平行となるように設けられていてもよい。
コントローラは、
搬送車の起動時又は終了時に搬送車を第1端側に向けて走行させ、
第3検出部により第3被検出部を検出すると搬送車を減速させ、
第1検出部と第2検出部のうち第1検出部のみにより第1被検出部を検出した際に搬送車を停止させる。
この自動倉庫では、原点復帰動作において、第3検出部が第3被検出部を検出するまでは搬送車は高速で移動させることができ、検出後は搬送車を減速させてから停止させることができる。この結果、搬送車の移動時間を短くしつつ、搬送車を精度よく停止できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る自動倉庫では、必要なセンサの数を減らせる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態の自動倉庫の模式的側面図。
図2】搬送車と棚の模式的斜視図。
図3】走行路の被検出部と搬送車の検出部の位置関係を示す模式的側面図。
図4】走行路の被検出部と搬送車の検出部の位置関係を示す模式的側面図。
図5】自動倉庫の制御構成を示す機能ブロック図。
図6】走行路の被検出部と搬送車の検出部の位置関係を示す模式的側面図。
図7】走行路の被検出部と搬送車の検出部の位置関係を示す模式的側面図。
図8】走行路の被検出部と搬送車の検出部の位置関係を示す模式的側面図。
図9】走行路の被検出部と搬送車の検出部の位置関係を示す模式的側面図。
図10】第2実施形態の走行路の被検出部と搬送車の検出部の位置関係を示す模式的側面図。
図11】走行路の被検出部と搬送車の検出部の位置関係を示す模式的側面図。
図12】自動倉庫の制御構成を示す機能ブロック図。
図13】走行路の被検出部と搬送車の検出部の位置関係を示す模式的側面図。
図14】走行路の被検出部と搬送車の検出部の位置関係を示す模式的側面図。
図15】第3実施形態の走行路の被検出部と搬送車の検出部の位置関係を示す模式的側面図。
図16】第3実施形態の走行路の被検出部と搬送車の検出部の位置関係を示す模式的側面図。
図17】第3実施形態の走行路の被検出部と搬送車の検出部の位置関係を示す模式的側面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.第1実施形態
(1)自動倉庫全体の説明
図1及び図2を用いて、第1実施形態に係る自動倉庫100を説明する。自動倉庫100は、複数段の棚を有し、各棚に荷物を入庫し、又は、各棚に保管された荷物を出庫可能なシステムである。図1は、第1実施形態の自動倉庫の側面図である。図2は、搬送車と棚の斜視図である。以下の説明では、図1の左右方向を第1方向(Y)といい、図1の紙面奥行き方向を第2方向(X)といい、図1の上下方向を第3方向(Z)という。
自動倉庫100は、ラック1と、複数の搬送車3と、入庫ステーション7と、出庫ステーション9と、入庫用昇降装置11、出庫用昇降装置13とを備える。
【0014】
(2)ラック
ラック1は、第3方向に並んだ複数段の棚21を有する。各棚21は、第1方向に長く延びており、複数の荷物載置部を有している。
棚21は、搬送車3及び走行路5(後述)に対して第2方向の両側又は片側に配置されている。
【0015】
(3)搬送車
複数の搬送車3は、それぞれ、各棚21の対応する高さにおいて、第1方向に沿って走行可能である。具体的には、第1方向に直線状に延びる走行路5が各棚21に対応する高さに敷設されており、搬送車3は走行路5上を第1方向に往復走行できる。また、搬送車3は、移載装置15を有しており、対応する棚21との間で第2方向に荷物Wを移載可能となっている。
【0016】
図3及び図4を用いて、走行路5の被検出部及び搬送車3の検出部を説明する。図3及び図4は、走行路の被検出部と搬送車の検出部の位置関係を示す模式的側面図である。
図3に示すように、走行路5の第1端5Aには、第1被検出部31が設けられている。第1被検出部31は、走行路5の第1端5Aを示すものである。具体的には、第1被検出部31は、第1方向に所定長さを有する反射テープであり、走行路5を構成するレールの側面5aに貼られている。第1被検出部31の第2端5B側の端部が、検出開始位置である。なお、第1被検出部31の所定長さは、第1検出部41及び第2検出部42(後述)の両方がONすることが可能な長さである。また、第1検出部41及び第2検出部42の一方のみがONする位置は、搬送車3の棚21、入庫用コンベヤ23、出庫用コンベヤ25と移載するための停止位置より端部側になる。
図4に示すように、走行路5の第2端5Bには、第2被検出部32が設けられている。第2被検出部32は、走行路5の第2端5Bを示すものである。具体的には、第2被検出部32は、第1方向に所定長さを有する反射テープであり、側面5aに貼られている。第2被検出部32は、第1被検出部31に対して、第2方向の同じ位置にある。第2被検出部32の第1端5A側の端部が、検出開始位置である。
なお、走行路5において、原点(制御用原点)は第1端5Aにあり、反原点は第2端5Bにある。ただし、原点、反原点はいずれ側でもよい。原点は、搬送車3の起動時又は停止時に、原点復帰によって走行位置の初期化するための位置である。
【0017】
図3及び図4に示すように、搬送車3には、第1検出部41及び第2検出部42が設けられている。第1検出部41及び第2検出部42は、第1被検出部31及び第2被検出部32の位置に合わせて設けられ、第1被検出部31と第2被検出部32を検出する。具体的には、第1検出部41及び第2検出部42は、反射型光電センサであり、投光素子の光が反射テープによって反射されそれを受光素子が感知したときに検出信号を出力する。具体的には、第1検出部41と第2検出部42は、第1方向に並んで配置されており(第2方向の位置が同じであり)、つまり両者の並び方向が走行方向と平行となっている。さらに具体的には、第1検出部41と第2検出部42は、搬送車3の側部において側方に向いて設けられている。なお、第1検出部41は、第2検出部42に対して第1端5A側に配置されている。
【0018】
上記の構成により、第1被検出部31は、第1端5A側において、第1検出部41のみ、及び第1検出部41と第2検出部42の両方により検出される。
上記の構成により、第2被検出部32は、第2端5B側において、第2検出部42のみ、及び第1検出部41と第2検出部42の両方により検出される。
【0019】
(4)入庫ステーション及び出庫ステーション
入庫ステーション7は、ラック1の第1方向一方側に配置されている。入庫ステーション7は、ラック1に収納されるべき荷物Wを受け取る。入庫ステーション7は、コンベヤ7aを有している。
出庫ステーション9は、ラック1の第1方向反対側に配置されている。出庫ステーション9は、ラック1から取り出された荷物Wを受け取る。出庫ステーション9は、コンベヤ9aを有している。
なお、入庫ステーション及び出庫ステーションの位置及び数は特に限定されない。
【0020】
(5)昇降搬送装置
入庫用昇降装置11は、ラック1と入庫ステーション7との間に配置され、昇降台53を有する。昇降台53は、支柱55に沿ってZ方向に昇降する。昇降台53は、入庫ステーション7とラック1の入庫用コンベヤ23との間で荷物Wを移載するコンベヤ57を有している。コンベヤ57は、複数の荷物Wを支持可能である。また、ラック1の入庫用コンベヤ23は、入庫用昇降装置11に隣接するする部分において棚21ごとに設けられている。
【0021】
出庫用昇降装置13は、ラック1と出庫ステーション9との間に配置され、昇降台63を有する。昇降台63は、支柱65に沿って第3方向に昇降可能である。昇降台63は、出庫ステーション9とラック1の出庫用コンベヤ25との間で荷物Wを移載する出庫用コンベヤ67を有している。また、ラック1の出庫用コンベヤ67は、出庫用昇降装置13に隣接するする部分において棚21ごとに設けられている。
【0022】
(6)制御構成
図5を用いて、自動倉庫100の制御構成を説明する。図5は、自動倉庫の制御構成を示す機能ブロック図である。
自動倉庫100は、コントローラ51を有している。
コントローラ51は、自動倉庫100における荷物の保管及び入出庫を管理するとともに、複数の搬送車3、入庫ステーション7、出庫ステーション9、入庫用昇降装置11、出庫用昇降装置13、を制御する装置である。コントローラ51は、プロセッサ(例えば、CPU)と、記憶装置(例えば、ROM、RAM、HDD、SSDなど)と、各種インターフェース(例えば、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、通信インターフェースなど)を有するコンピュータシステムである。
【0023】
コントローラ51は、記憶部(記憶装置の記憶領域の一部又は全部に対応)に保存されたプログラムを実行することで各所制御動作を行ってもよいし、一部の制御動作をコントローラ51に含まれるハードウェアで実現してもよい。
コントローラ51は、1つのコンピュータシステムで実現されてもよいし、複数のコンピュータシステムで実現されてもよい。
【0024】
コントローラ51には、入庫用昇降装置11、出庫用昇降装置13、入庫ステーション7、出庫ステーション9、複数の搬送車3が接続されている。コントローラ51は、これら装置を制御可能である。
コントローラ51には、図示しないが、対象物の大きさ、形状及び位置検出するセンサ、各装置の状態を検出するためのセンサ及びスイッチ、並びに情報入力装置が接続されている。
搬送車3は、車載コントローラ61を有している。車載コントローラ61は、コントローラ51と同じ構成及び機能を有している。車載コントローラ61は、搬送車3の走行及び移載動作を制御する。車載コントローラ61には、第1検出部41及び第2検出部42が接続されている。車載コントローラ61は、これらセンサからの検出信号を受け取る。
【0025】
(7)自動倉庫における入庫動作及び出庫動作
(7-1)入庫動作
最初に、入庫用昇降装置11の昇降台53のコンベヤ57が、入庫ステーション7のコンベヤ7aの位置まで移動する。
【0026】
次に、コンベヤ7aが、荷物Wを入庫用昇降装置11のコンベヤ57に搬送する。
次に、昇降台53が、荷物Wを入庫すると決定した棚21に対応する段の高さまで昇降する。
次に、昇降台53のコンベヤ57が、荷物Wを入庫用コンベヤ23に搬送する。
【0027】
次に、搬送車3が、入庫用コンベヤ23まで移動し、荷物Wを積み込む。
最後に、搬送車3は、第1方向に走行して、荷物Wを棚21の目的位置に下ろす。
【0028】
(7-2)出庫動作
最初に、搬送車3が、第1方向に走行して棚21の荷物Wのある位置まで走行し、荷物Wを積み込む。
次に、搬送車3が、出庫用コンベヤ25まで移動し、荷物Wを下ろす。
次に、出庫用昇降装置13の昇降台63が、荷物を入庫すると決定した棚21に対応する段の高さまで昇降する。
【0029】
次に、出庫用コンベヤ25が、荷物Wを出庫用昇降装置13の昇降台63の出庫用コンベヤ67に搬送する。
次に、昇降台63が、出庫ステーション9のコンベヤ9aの位置まで昇降する。
最後に、昇降台63の出庫用コンベヤ67が、荷物Wを出庫ステーション9のコンベヤ9aに搬送する。
【0030】
なお、原点は走行の基準位置であり、そこから荷物の停止位置までどれくらいの距離が必要かを決める。原点復帰時には、原点において、エンコーダの値を0とする、又は補正値が入れられる。
また、反原点では、反原点に到着したときに記憶されている反原点の位置と反原点に到着した時のエンコーダの値が異なっていないかが判断される。
【0031】
(8)搬送車の走行制御
図6図9を用いて、搬送車3の走行制御を説明する。図6図9は、走行路の被検出部と搬送車の検出部の位置関係を示す模式的側面図である。
(8-1)
車載コントローラ61は、第1検出部41と第2検出部42のうち第1検出部41のみにより第1被検出部31を検出した場合、搬送車3が第1端5Aに位置する(より具体的には、搬送車3が原点に位置する)と判断する。これは、図6に示すように、第1検出部41が第1被検出部31を検出しているが第2検出部42が第1被検出部31を検出していないので、搬送車3が第1端5Aに位置すると判断されることを意味する。
【0032】
車載コントローラ61は、第1検出部41と第2検出部42のうち第2検出部42のみにより第2被検出部32を検出した場合、搬送車3が第2端5Bに位置する(より具体的には、搬送車3が反原点に位置する)と判断する。これは、図7に示すように、第2検出部42が第2被検出部32を検出しているが第1検出部41が第2被検出部32を検出していないので、搬送車3が第2端5Bに位置すると判断されることを意味する。
車載コントローラ61は、第1検出部41及び第2検出部42の両方により第1被検出部31又は第2被検出部32を検出した場合、搬送車3を異常停止させる。一例として、第1検出部41及び第2検出部42の両方が第1被検出部31を検出している状態は、図8に示すように、搬送車3が第1端5Aの適正な停止位置からさらに第1方向外側の限界位置まで移動している場合である。限界位置は、制御的な限界の走行端であり、異常停止が実行される位置である。なお、限界位置の先には、メカストッパーによって物理的な走行端が定められている。
他の例として、第1検出部41及び第2検出部42の両方が第2被検出部32を検出している状態は、図9に示すように、搬送車3が第2端5Bの適正な停止位置からさらに第1方向外側の限界位置に移動している場合である。
【0033】
以上に述べたように、第1検出部41及び第2検出部42の検出結果の組み合わせに基づいて、走行路5の両端における搬送車3の位置の把握と異常停止の制御を行うことができる。従来であれば、原点位置把握のための原点センサが設けられていたが、それを省略できる。つまり、自動倉庫100の搬送車3において、センサの組み合わせにより制御することで、必要なセンサの数を減らせる。
なお、搬送車3は、第1検出部41が第1被検出部31を検出した瞬間、直後、又は少し動いた位置を原点とする。また、搬送車3は、第2検出部42が第2被検出部32を検出した瞬間、直後、又は少し動いた位置を反原点とする。
【0034】
(8-2)
車載コントローラ61は、図6のように、第1検出部41と第2検出部42のうち第1検出部41のみにより第1被検出部31を検出した場合(搬送車3が原点にある場合)、搬送車3がさらに第2端5Bと反対側に走行するのを禁止する。
車載コントローラ61は、図7のように、第1検出部41と第2検出部42のうち第2検出部42のみにより第2被検出部32を検出した場合(搬送車3が反原点にある場合)、搬送車3がさらに第1端5Aと反対側に走行するのを禁止する。
以上に述べたように、第1検出部41及び第2検出部42の検出結果の組み合わせに基づいて、走行路5の第1端5A及び第2端5Bでの移動を制限できるので、安全性が高くなる。この場合、追加の制御が、センサの数を増やすことなく実行できる。
【0035】
(8-3)
車載コントローラ61は、前述の第1検出部41及び第2検出部42の両方により第1被検出部31又は第2被検出部32を検出して搬送車3を異常停止させる場合、第1検出部41及び第2検出部42の検出順序に基づいて搬送車3が第1端5A及び第2端5Bのいずれの限界に位置するかを判断する。
例えば、第1検出部41が第2検出部42より先に第1被検出部31を検出した場合(例えば、図8)、車載コントローラ61は、搬送車3は第1端5Aの限界に位置すると判断する。第2検出部42が第1検出部41より先に第2被検出部32を検出した場合(例えば、図9)、車載コントローラ61は、搬送車3は第2端5Bの限界に位置すると判断する。
【0036】
車載コントローラ61は、作業者が搬送車3を異常停止後に強制操作する時に、第1端5Aであれば搬送車3が第2端5Bから離れる側(走行方向外側)に移動するのを禁止し、第2端5Bであれば搬送車3が第1端5Aから離れる側(走行方向外側)に移動するのを禁止する。
以上に述べたように、異常停止後に作業者が搬送車3を強制操作する際に、走行路5のさらに外側への移動が禁止されているので、安全性が高くなる。
さらに、この実施形態では、センサの数を増やさずに、処理(制御)を増やすことができる。
【0037】
2.第2実施形態
第1実施形態では搬送車3には第1検出部41と第2検出部42が設けられている例を説明した。しかし、搬送車3には他のセンサが搭載されていてもよい。
図10図12を用いて、そのような実施例として第2実施形態を説明する。なお、第2実施形態は、第1実施形態の基本構成を全て有している。図10及び図11は、第2実施形態の走行路の被検出部と搬送車の検出部の位置関係を示す模式的側面図である。図12は、自動倉庫の制御構成を示す機能ブロック図である。
【0038】
自動倉庫100は、第3被検出部33と、第3検出部43とをさらに備えている。
図10に示すように、第3被検出部33は、走行路5の第1端5Aにおいて、第1被検出部31と上下方向にずれて側面5aに設けられており、第1被検出部31より第2端5B側に向けて第1方向(走行方向)に長い。つまり、第3被検出部33の検出開始位置が、第1被検出部31の検出開始位置より第2端5B側に位置している。
第3被検出部33の長さは、原点復帰時の速度で検出開始してから制御的に原点で停止できる(限界までいかない)距離(制動距離)を計算して決められる。検出開始位置も同様である。
第3検出部43は、第3被検出部33に合わせて設けられており、第3被検出部33を検出する。具体的には、第3検出部43は、反射型光電センサであり、投光素子の光が反射テープによって反射されそれを受光素子が感知したときに検出信号を出力する。具体的には、第3検出部43は、第1検出部41と上下方向にずれて搬送車3に設けられている。さらに具体的には、第3検出部43は、搬送車3の側部において側方に向いて設けられている。
【0039】
図13図14を用いて、搬送車3の原点復帰動作を説明する。原点復帰動作は、例えば、搬送車3に電源を入れたときに実行される。図13は、走行路の被検出部と搬送車の検出部の位置関係を示す模式的側面図である。
最初に、車載コントローラ61は、搬送車3の起動時又は終了時に搬送車3を第1端5A側に向けて走行させる。
【0040】
次に、車載コントローラ61は、第3検出部43により第3被検出部33を検出したか否かを判断する。
図13に示すように第3被検出部33が検出されると、車載コントローラ61は、減速モードを実行して、搬送車3を減速させる。
【0041】
次に、車載コントローラ61は、第1検出部41により第1被検出部31を検出したか否かを判断する。
図14に示すように、第1被検出部31が検出されると、車載コントローラ61は、搬送車3を停止させる。
【0042】
以上に述べたように、原点復帰動作において、第3検出部43が第3被検出部33を検出するまでは搬送車3は高速で移動させることができ、検出後は搬送車3を減速させてから停止させることができる。この結果、搬送車3の移動時間を短くしつつ、搬送車3を精度よく停止できる。
なお、停止まで搬送車3を定速で移動させた場合、移動を開始させる位置によっては時間がかかってしまう。そこで、減速を開始させる位置まで搬送車3を高速で移動させ、最後だけゆっくりと移動させることで、時間短縮ができ、かつ最後はゆっくり停止させることができるので、停止精度が高くなる。
本実施形態では、車載コントローラ61は、例えば原点復帰完了後に、第3検出部43により第3被検出部33を検出した際に、検出を開始した位置と予め記憶されている第3被検出部33の検出開始位置と比較し、所定値以上ずれている場合異常を報知することができる。このように第3検出部43により、簡単な構成で走行カウントチェックができる。なお、走行カウントチェックは、第3検出部43単独で行ってもよいし、他のセンサと共に行ってもよい。
【0043】
3.第3実施形態
第2実施形態では第3被検出部33と第3検出部43を用いて原点復帰時の減速開始を行っていたが、他の構成によって上記動作を実行してもよい。
図15図17を用いて、そのような実施例として第3実施形態を説明する。図15図17は、第3実施形態の走行路の被検出部と搬送車の検出部の位置関係を示す模式的側面図である。
なお、基本的な構成及び動作は第2実施形態と同じであるので、以下は異なる点を中心に説明する。
【0044】
(1)構成
第1被検出部31Aは、第2実施形態の第1被検出部31に比べて長く設けられている。つまり、第1被検出部31Aの検出開始位置は、第2実施形態に比べて第2端5B側に位置している。
第2実施形態とは異なり、第3被検出部は設けられていない。
【0045】
搬送車3において、第1検出部41Aと第2検出部42Aの走行方向間隔は、第2実施形態に比べて長くなっている。
搬送車3において、第3検出部は搭載されていない。
【0046】
(2)原点復帰動作
搬送車3が第1端5A側に移動することで、原点復帰を行う動作を説明する。
図16に示すように、第1検出部41Aが第1被検出部31Aを検出すると、車載コントローラ61は搬送車3の減速を開始する。
次に、図17に示すように、第2検出部42Aが第1被検出部31aを検出してONすると、車載コントローラ61は搬送車3を停止する。具体的には、図17の位置は限界位置になるので、車載コントローラ61は上記の状態から搬送車3を第1端5Aの反対側にわずかに移動させて、第2検出部42Aが第1被検出部31aを検出しなくなってOFFすると、搬送車3を停止させてその位置を原点とする。
【0047】
(3)通常走行動作
搬送車3の通常走行動作では、第1検出部41Aが第1被検出部31Aを検出すると、車載コントローラ61は搬送車3を停止させる。また、第1検出部41A及び第2検出部42Aが第1被検出部31Aを検出すると、車載コントローラ61が搬送車3を異常停止する。
【0048】
4.実施形態の共通事項
第1~第3実施形態は下記の事項を共通に有している。
自動倉庫(例えば、自動倉庫100)は、ラックと、搬送装置と、コントローラと、第1被検出部と、第2被検出部と、第1検出部及び第2検出部と、を有する。
ラック(例えば、ラック1)は、荷物(例えば、荷物W)が載置される棚(例えば、棚21)を有している。
搬送車(例えば、搬送車3)は、棚の近傍を走行路(例えば、走行路5)に沿って走行し、棚との間で荷物を移載する。
第1被検出部(例えば、第1被検出部31)は、走行路の第1端(例えば、第1端5A)を示す。
第2被検出部(例えば、第2被検出部32)は、走行路の第2端(例えば、第2端5B)を示す。
第1検出部(例えば、第1検出部41、第1検出部41A)及び第2検出部(例えば、第2検出部42、第2検出部42A)は、搬送車に設けられており、第1被検出部と第2被検出部を検出する。
第1被検出部は、第1端において、第1検出部のみ、及び第1検出部と第2検出部の両方により検出される。
第2被検出部は、第2端において、第2検出部のみ、及び第1検出部と第2検出部の両方により検出される。
コントローラ(例えば、車載コントローラ61)は、第1検出部と第2検出部のうち第1検出部のみにより第1被検出部を検出した場合、搬送車が第1端に位置すると判断する。
コントローラは、第1検出部と第2検出部のうち第2検出部のみにより第2被検出部を検出した場合、搬送車が第2端に位置すると判断する。
コントローラは、第1検出部及び第2検出部の両方により第1被検出部又は第2被検出部を検出した場合、搬送車を異常停止させる。
この自動倉庫では、第1検出部及び第2検出部の検出結果の組み合わせに基づいて、走行路の両端における位置の把握と異常停止の制御を行うことができる。従来であれば、原点位置把握のための原点センサが設けられていたが、それを省略できる。つまり、自動倉庫の搬送車において、センサの組み合わせにより制御することで、必要なセンサの数を減らせる。
【0049】
5.他の実施形態
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
第1被検出部及び第2被検出部は、走行路の端部だけテープを設けないことで構成してもよい。この場合、車載コントローラ61はセンサの検出信号がONからOFFに切り替わることで、搬送車3が端部に到達したことを把握できる。
【0050】
第1被検出部及び第2被検出部は、搬送車の下方側又は上方側に設けられていてもよい。例えば、第1被検出部及び第2被検出部は走行レールの上面に設けられており、第1検出部及び第2検出部が搬送車において下側を向いて設けられてもよい。
第2実施形態において搬送車3における第3検出部の走行方向位置は特に限定されない。つまり、第3検出部は、第2検出部の上側以外に設けられていてもよい
第1検出部及び第2検出部が走行方向に並んでいなくてもよい。例えば、第1検出部及び第2検出部が走行方向に交差する方向にずれて配置されてもよい。
【0051】
搬送車は、スタッカクレーンや他の種類でもよい。
搬送車の走行路は、曲線や角を有していてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、荷物を保管する棚が複数段設けられ、荷物を搬送する搬送車が段ごとに配置された自動倉庫に広く適用できる。
【符号の説明】
【0053】
1 :ラック
3 :搬送車
5 :走行路
5A :第1端
5B :第2端
7 :入庫ステーション
7a :コンベヤ
9 :出庫ステーション
9a :コンベヤ
11 :入庫用昇降装置
13 :出庫用昇降装置
21 :棚
31 :第1被検出部
32 :第2被検出部
33 :第3被検出部
41 :第1検出部
42 :第2検出部
43 :第3検出部
51 :コントローラ
61 :車載コントローラ
53 :昇降台
55 :支柱
57 :コンベヤ
63 :昇降台
65 :支柱
67 :コンベヤ
100 :自動倉庫
W :荷物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
図11
図12
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図15
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図17