(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】電磁継電器
(51)【国際特許分類】
H01H 50/12 20060101AFI20240228BHJP
H01H 50/54 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
H01H50/12 G
H01H50/12 A
H01H50/54 R
H01H50/54 B
(21)【出願番号】P 2020076297
(22)【出願日】2020-04-22
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100206760
【氏名又は名称】黒川 惇
(72)【発明者】
【氏名】小川 真一
(72)【発明者】
【氏名】箕輪 亮太
(72)【発明者】
【氏名】大塚 航平
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-125507(JP,A)
【文献】実開昭60-107551(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 50/12
H01H 50/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1固定接点を含む第1固定端子と、
前記第1固定接点に接触可能な第1可動接点を含む可動接触片と、
前記第1可動接点が前記第1固定接点に接触する接触位置と前記第1可動接点が前記第1固定接点から開離する開離位置とに前記可動接触片を移動させる可動機構と、
電磁力によって前記可動機構を作動させる駆動装置と、
前記可動接触片が前記開離位置にあるときに前記可動接触片に接触せずに、前記可動接触片が前記接触位置にあるときに前記可動接触片に接触して前記可動接触片の発熱を放熱する第1放熱部材と、
を備え
、
前記第1放熱部材は、ばね性を有し、前記第1可動接点が前記第1固定接点に接触する方向に撓む、
電磁継電器。
【請求項2】
第1固定接点を含む第1固定端子と、
前記第1固定接点に接触可能な第1可動接点を含む可動接触片と、
前記第1可動接点が前記第1固定接点に接触する接触位置と前記第1可動接点が前記第1固定接点から開離する開離位置とに前記可動接触片を移動させる可動機構と、
電磁力によって前記可動機構を作動させる駆動装置と、
前記可動接触片が前記開離位置にあるときに前記可動接触片に接触せずに、前記可動接触片が前記接触位置にあるときに前記可動接触片に接触して前記可動接触片の発熱を放熱する第1放熱部材と、
前記第1固定接点及び前記第1可動接点を収容するケース
と、
を備え、
前記第1放熱部材は、前記ケースから外部に露出する、
電磁継電器。
【請求項3】
第1固定接点を含む第1固定端子と、
前記第1固定接点に接触可能な第1可動接点を含む可動接触片と、
前記第1可動接点が前記第1固定接点に接触する接触位置と前記第1可動接点が前記第1固定接点から開離する開離位置とに前記可動接触片を移動させる可動機構と、
電磁力によって前記可動機構を作動させる駆動装置と、
前記可動接触片が前記開離位置にあるときに前記可動接触片に接触せずに、前記可動接触片が前記接触位置にあるときに前記可動接触片に接触して前記可動接触片の発熱を放熱する第1放熱部材と、
前記第1固定接点及び前記第1可動接点を収容するケースと、
前記ケース内に磁界を発生させる永久磁石と、
前記永久磁石に接続されるヨークと、
を備え、
前記第1放熱部材は、前記ヨークに接触して配置される、
電磁継電器。
【請求項4】
第1固定接点を含む第1固定端子と、
前記第1固定接点に接触可能な第1可動接点を含む可動接触片と、
前記第1可動接点が前記第1固定接点に接触する接触位置と前記第1可動接点が前記第1固定接点から開離する開離位置とに前記可動接触片を移動させる可動機構と、
電磁力によって前記可動機構を作動させる駆動装置と、
前記可動接触片が前記開離位置にあるときに前記可動接触片に接触せずに、前記可動接触片が前記接触位置にあるときに前記可動接触片に接触して前記可動接触片の発熱を放熱する第1放熱部材と、
前記第1放熱部材の周囲に設けられ、前記第1固定接点と前記第1可動接点との間で生じたアークから前記第1放熱部材を保護する絶縁壁
と、
を備える、
電磁継電器。
【請求項5】
第1固定接点を含む第1固定端子と、
前記第1固定接点に接触可能な第1可動接点を含む可動接触片と、
前記第1可動接点が前記第1固定接点に接触する接触位置と前記第1可動接点が前記第1固定接点から開離する開離位置とに前記可動接触片を移動させる可動機構と、
電磁力によって前記可動機構を作動させる駆動装置と、
前記可動接触片が前記開離位置にあるときに前記可動接触片に接触せずに、前記可動接触片が前記接触位置にあるときに前記可動接触片に接触して前記可動接触片の発熱を放熱する第1放熱部材と、
第2固定接点を含み、前記第1固定端子と間隔を隔てて配置される第2固定端子
と、
を備え、
前記可動接触片は、前記第2固定接点に接触可能な第2可動接点を含み、
前記第2可動接点は、前記可動接触片が前記接触位置にあるときに前記第2固定接点に接触し、前記可動接触片が前記開離位置にあるときに前記第2固定接点から開離し、
前記第1放熱部材は、導電性であり、前記可動接触片が前記接触位置にあるときに前記可動接触片に接触する第1接触部と、前記第1接触部から離れた位置に配置され前記可動接触片が前記接触位置にあるときに前記可動接触片に接触する第2接触部とを含み、
前記第1接触部及び前記第2接触部は、前記第1可動接点と前記第2可動接点との間に配置されている、
電磁継電器。
【請求項6】
前記第1放熱部材は、前記第1可動接点が前記第1固定接点に接触する方向に撓む、
請求項
2から5のいずれか1項に記載の電磁継電器。
【請求項7】
前記第1放熱部材は、前記第1可動接点が前記第1固定接点に接触する前に前記可動接触片に接触する、
請求項1
から6のいずれか1項に記載の電磁継電器。
【請求項8】
前記第1放熱部材は、前記可動接触片と同じ材料又は前記可動接触片よりも熱伝導率の高い材料からなる、
請求項1から
7のいずれか1項に記載の電磁継電器。
【請求項9】
前記第1放熱部材は、本体部と、前記本体部から前記可動接触片に向かって突出する接点部とを含み、
前記接点部は、前記可動接触片が前記接触位置にあるときに前記可動接触片に接触する、
請求項1から
8のいずれか1項に記載の電磁継電器。
【請求項10】
第1固定接点を含む第1固定端子と、
前記第1固定接点に接触可能な第1可動接点を含む可動接触片と、
前記第1可動接点が前記第1固定接点に接触する接触位置と前記第1可動接点が前記第1固定接点から開離する開離位置とに前記可動接触片を移動させる可動機構と、
電磁力によって前記可動機構を作動させる駆動装置と、
前記可動接触片が前記開離位置にあるときに前記可動接触片に接触せずに、前記可動接触片が前記接触位置にあるときに前記可動接触片に接触して前記可動接触片の発熱を放熱する第1放熱部材と、
第2固定接点を含み、前記第1固定端子と間隔を隔てて配置される第2固定端子
と、
を備え、
前記可動接触片は、前記第2固定接点に接触可能な第2可動接点を含み、
前記第2可動接点は、前記可動接触片が前記接触位置にあるときに前記第2固定接点に接触し、前記可動接触片が前記開離位置にあるときに前記第2固定接点から開離し、
前記第1放熱部材は、前記第1可動接点及び前記第2可動接点のいずれか一方に偏倚した位置に配置され
、
前記第1放熱部材は、前記第1可動接点が前記第1固定接点に接触する前に前記可動接触片に接触する、
電磁継電器。
【請求項11】
第1固定接点を含む第1固定端子と、
前記第1固定接点に接触可能な第1可動接点を含む可動接触片と、
前記第1可動接点が前記第1固定接点に接触する接触位置と前記第1可動接点が前記第1固定接点から開離する開離位置とに前記可動接触片を移動させる可動機構と、
電磁力によって前記可動機構を作動させる駆動装置と、
前記可動接触片が前記開離位置にあるときに前記可動接触片に接触せずに、前記可動接触片が前記接触位置にあるときに前記可動接触片に接触して前記可動接触片の発熱を放熱する第1放熱部材と、
前記第1放熱部材と間隔を隔てて配置され、前記可動接触片が前記開離位置にあるときに前記可動接触片に接触せずに、前記可動接触片が前記接触位置にあるときに前記可動接触片に接触して前記可動接触片の発熱を放熱する第2放熱部材
と、
を備え、
前記第2放熱部材は、前記第1放熱部材が前記可動接触片に接触する前に前記可動接触片に接触
し、
前記第1放熱部材は、本体部と、前記本体部から前記可動接触片に向かって突出する接点部とを含み、
前記接点部は、前記可動接触片が前記接触位置にあるときに前記可動接触片に接触する、
電磁継電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁継電器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気回路を開閉する電磁継電器において、通電容量を増加させるために、可動接触片に導電補助部材を取り付けた電磁継電器が知られている(特許文献1参照)。導電補助部材は、可動接触片の発熱を抑制する部材としても機能している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電磁継電器では、可動接触片に導電補助部材が取り付けられているため、可動接触片の重量が重くなり、耐衝撃性や耐振動性が弱くなる。また、可動接触片の重量が重くなると、可動接触片を可動させるための磁気吸引力を大きくする必要があり、磁気吸引力を発生させる装置が大型化するおそれがある。
【0005】
本発明の課題は、電磁継電器において、可動接触片の重量の増加を抑えつつ、可動接触片の放熱性の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る電磁継電器は、第1固定端子と、可動接触片と、可動機構と、駆動装置と、第1放熱部材とを備える。第1固定端子は、第1固定接点を含む。可動接触片は、第1固定接点に接触可能な第1可動接点を含む。可動機構は、第1可動接点が第1固定接点に接触する接触位置と第1可動接点が第1固定接点から開離する開離位置とに可動接触片を移動させる。駆動装置は、電磁力によって可動機構を作動させる。第1放熱部材は、可動接触片が開離位置にあるときに可動接触片に接触せずに、可動接触片が接触位置にあるときに可動接触片に接触して可動接触片の発熱を放熱する。
【0007】
この電磁継電器では、可動接触片が開離位置にあるときに、第1放熱部材は可動接触片に接触しない。一方、可動接触片が接触位置にあるときに、第1放熱部材は、可動接触片に接触して可動接触片の発熱を放熱する。これにより、可動接触片の重量の増加を抑えつつ、可動接触片の放熱性の向上を図ることができる。
【0008】
第1放熱部材は、第1可動接点が第1固定接点に接触する前に可動接触片に接触してもよい。この場合は、放熱部材を可動接触片に確実に接触させることができる。
【0009】
第1放熱部材は、第1可動接点が第1固定接点に接触する方向に撓んでもよい。この場合は、可動接触片が放熱部材に接触したときに、可動接触片によって放熱部材を接触位置に向けて移動させることができる。
【0010】
電磁継電器は、第1固定接点及び第1可動接点を収容するケースをさらに備えてもよい。第1放熱部材は、ケースから外部に露出してもよい。この場合は、可動接触片の放熱性の向上をさらに図ることができる。
【0011】
電磁継電器は、第1固定接点及び第1可動接点を収容するケースと、ケース内に磁界を発生させる永久磁石と、永久磁石に接続されるヨークとをさらに備えてもよい。第1放熱部材は、ヨークに接触して配置されてもよい。この場合は、放熱部材を介して可動接触片の発熱をヨークから放熱できる。
【0012】
第1放熱部材は、可動接触片と同じ材料又は可動接触片よりも熱伝導率の高い材料からなってもよい。この場合は、可動接触片の放熱性の向上をさらに図ることができる。
【0013】
第1放熱部材は、本体部と、前記本体部から前記可動接触片に向かって突出する接点部とを含んでもよい。接点部は、可動接触片が接触位置にあるときに可動接触片に接触してもよい。この場合は、可動接触片と第1放熱部材との接触が安定する。
【0014】
電磁継電器は、絶縁壁をさらに備えてもよい。絶縁壁は、第1放熱部材の周囲に設けられ、第1固定接点と第1可動接点との間で生じたアークから第1放熱部材を保護する。この場合は、接点間で発生するアークから第1放熱部材を保護することができる。
【0015】
電磁継電器は、第2固定端子をさらに備えてもよい。第2固定端子は、2固定接点を含み、第1固定端子と間隔を隔てて配置されてもよい。可動接触片は、第2固定接点に接触可能な第2可動接点を含んでもよい。第2可動接点は、可動接触片が接触位置にあるときに第2固定接点に接触し、可動接触片が開離位置にあるときに第2固定接点から開離してもよい。放熱部材21は、導電性であり、可動接触片が接触位置にあるときに可動接触片に接触する第1接触部と、第1接触部から離れた位置に配置され可動接触片が接触位置にあるときに可動接触片に接触する第2接触部とを含んでもよい。第1接触部及び第2接触部は、第1可動接点と第2可動接点との間に配置されてもよい。この場合は、放熱部材が電路としても機能するので、電路が増加するとともに、可動接触片の発熱をさらに抑制することができる。
【0016】
電磁継電器は、第2固定端子をさらに備えてもよい。第2固定端子は、2固定接点を含み、第1固定端子と間隔を隔てて配置されてもよい。可動接触片は、第2固定接点に接触可能な第2可動接点を含んでもよい。第2可動接点は、可動接触片が接触位置にあるときに第2固定接点に接触し、可動接触片が開離位置にあるときに第2固定接点から開離してもよい。第1放熱部材は、第1可動接点及び第2可動接点のいずれか一方に偏倚した位置に配置されてもよい。この場合は、一方の接点同士を他方の接点同士よりも先に接触又は開離させることができる。
【0017】
電磁継電器は、第2放熱部材をさらに備えてもよい。第2放熱部材は、第1放熱部材と間隔を隔てて配置され、可動接触片が開離位置にあるときに可動接触片に接触せずに、可動接触片が接触位置にあるときに可動接触片に接触して可動接触片の発熱を放熱してもよい。第2放熱部材は、第1放熱部材が可動接触片に接触する前に可動接触片に接触してもよい。この場合は、可動接触片の放熱性の向上をさらに図ることができるとともに、一方の接点同士を他方の接点同士よりも先に接触又は開離させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電磁継電器において、可動接触片の重量の増加を抑えつつ、可動接触片の放熱性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】電磁継電器の内部を前方から見た模式図である。
【
図3】(A)は可動接触片が開離位置にあるときの接点装置を前方から見た模式図である。(B)は可動接触片が接触位置にあるときの接点装置を前方から見た模式図である。
【
図4】変形例に係る電磁継電器の接点装置を右方から見た模式図である。
【
図5】変形例に係る電磁継電器の接点装置を右方から見た模式図である。
【
図6】変形例に係る電磁継電器の内部を上方から見た模式図である。
【
図7】変形例に係る電磁継電器の接点装置を右方から見た模式図である。
【
図8】変形例に係る電磁継電器の接点装置を前方から見た模式図である。
【
図9】変形例に係る電磁継電器の接点装置周辺の断面模式図である。
【
図10】(A)は変形例において、可動接触片が開離位置のあるときの接点装置を左方から見た模式図である。(B)は変形例において、可動接触片が接触位置にあるときの接点装置を左方から見た模式図である。
【
図11】変形例に係る電磁継電器の接点装置周辺の断面模式図である。
【
図12】変形例に係る電磁継電器の接点装置周辺の断面模式図である。
【
図13】変形例に係る電磁継電器の接点装置周辺の断面模式図である。
【
図14】変形例に係る電磁継電器の接点装置を左方から見た模式図である。
【
図15】変形例に係る電磁継電器の内部を上方から見た模式図である。
【
図16】変形例に係る電磁継電器の接点装置を右方から見た模式図である。
【
図17】変形例に係る電磁継電器の接点装置を前方から見た模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一態様に係る電磁継電器の実施形態について、図面を参照して説明する。図面を参照するときにおいて、説明を分かり易くするために
図1及び
図9における上側を「上」、下側を「下」、左側を「左」、右側を「右」、紙面の手前側を「前」、紙面の奥側を「後」として説明する。
図1は電磁継電器100の内部を前方から見た模式図である。
【0021】
電磁継電器100は、いわゆるヒンジ型の電磁継電器である。電磁継電器100は、ケース2と、接点装置3と、駆動装置4とを備えている。ケース2は、樹脂などの絶縁性を有する材料で形成されている。ケース2は、ベース2aと、カバー2bとを含む。
【0022】
ベース2aは、接点装置3と駆動装置4とを支持する。カバー2bは、下方に向けて開口する箱型の部材であり、ベース2aを上方から覆うようにベース2aに固定されている。
【0023】
図2は、接点装置3を右方から見た模式図である。接点装置3は、ベース2aに支持されている。接点装置3は、ケース2に収容されている。接点装置3は、固定端子6と、固定端子7と、可動接触片10と、可動機構11と、を含む。固定端子6,7及び可動接触片10は、板状の端子であり、銅などの導電性を有する材料で形成されている。固定端子6,7及び可動接触片10は、上下方向に延びており、ベース2aに圧入固定されている。
【0024】
固定端子6は、一部がケース2内に配置される。固定端子6は、固定接点6aと、外部接続部6bとを含む。固定接点6aは、ケース2内に配置されている。外部接続部6bは、ケース2から外部に突出しており、図示しない外部機器と電気的に接続される。
【0025】
固定端子7は、固定端子6と同様の形状である。固定端子7は、一部がケース2内に配置される。固定端子7は、固定端子6と前後方向に間隔を隔てて配置されている。固定端子7は、固定接点7aと、図示しない外部接続部とを含む。固定接点7aは、ケース2内に配置されている。外部接続部は、ケース2から外部に突出しており、図示しない外部機器と電気的に接続される。
【0026】
可動接触片10は、弾性変形可能な板バネで構成されている。可動接触片10は、可動接点10aと、可動接点10bと、脚部10cと、脚部10dと、連結部10eとを含む。可動接点10aは、脚部10cに配置されている。可動接点10aは、固定接点6aに接触可能である。可動接点10bは、脚部10dに配置されている。可動接点10bは、固定接点7aに接触可能である。可動接点10bは、可動接点10aと前後方向に間隔を隔てて配置されている。脚部10cは、固定端子6と左右方向に対向して配置されている。脚部10dは、固定端子7と左右方向に対向して配置されている。連結部10eは、脚部10cの上端から脚部10dの上端に向かって前後方向に延びており、脚部10cと脚部10dとを連結する。
【0027】
可動機構11は、カード部材11aを含む。カード部材11aは、左右方向に回動可能にベース2aに支持されている。カード部材11aは、可動接触片10と駆動装置4との間に配置されている。カード部材11aは、可動接触片10と駆動装置4に接続されている。
【0028】
図3(A)及び
図3(B)は、接点装置3を前方から見た模式図である。可動機構11は、可動接点10a,10bが固定接点6a,7aに接触する接触方向Z1と開離する開離方向Z2とに可動接触片10を移動させる。詳細には、可動機構11は、
図3(A)に示す可動接点10a,10bが固定接点6a,7aから開離する開離位置と、
図3(B)に示す可動接点10a,10bが固定接点6a,7aに接触する接触位置とに可動接触片10を移動させる。本実施形態における可動接触片10の移動方向は、左右方向と一致する。
【0029】
駆動装置4は、電磁力によって可動機構11を作動させる。詳細には、駆動装置4は、電磁力によってカード部材11aを回動させることによって、可動接触片10を接触位置と開離位置とに移動させる。
【0030】
駆動装置4は、ベース2aに支持されている。駆動装置4は、コイル4aと、可動鉄片4b、ヨーク4cと、鉄心4dとを含む。可動鉄片4bは、ヨーク4cに支持されている。コイル4aに電圧が印加されて励磁されると、可動鉄片4bが鉄心4dに吸引されて回動し、可動鉄片4bがカード部材11aを押圧する。カード部材11aが可動鉄片4bに押圧されることで、可動接触片10が接触方向Z1に押圧される。これにより、可動接触片10が接触位置に移動して可動接点10a,10bが固定接点6a,7aに接触する。なお、
図1では、コイル4aに電圧が印加された状態、すなわち、可動接触片10が接触位置にあるときを示している。
【0031】
電磁継電器100は、放熱部材21をさらに備えている。放熱部材21は、可動接触片10と同じ材料又は可動接触片10よりも熱伝導率の高い材料からなる。本実施形態における可動接触片10は、銅やアルミなどの導電性のある弾性変形可能な板バネで構成されている。
【0032】
放熱部材21は、ベース2aに圧入固定されている。放熱部材21は、
図2に示すように、固定端子6と固定端子7の間に配置されている。放熱部材21は、
図1に示すように、一部がケース2から外部に露出する。本実施形態では、放熱部材21の下端がベース2aから下方に突出している。なお、放熱部材21は、必ずしもケース2から外部に露出する必要はない。
【0033】
放熱部材21は、可動接触片10が開離位置にあるときに可動接触片10に接触しない。放熱部材21は、可動接触片10が接触位置にあるときに可動接触片10に接触して可動接触片10の発熱を放熱する。詳細には、
図3(A)に示すように、放熱部材21は、可動接触片10が開離位置のときに、可動接触片10から離れた位置に配置されている。
図3(B)に示すように、放熱部材21は、可動接触片10が接触位置にあるときに可動接触片10に接触して可動接触片10の発熱を放熱する。放熱部材21は、可動接触片10が接触位置にあるときに、先端側が可動接触片10の連結部10eに接触する。
図2に示すように、放熱部材21は、左右方向における可動接点10aと可動接点10bとの中央位置において、可動接触片10に接触する。なお、放熱部材21は、固定端子6,7から離れた位置に配置されており、固定端子6,7に接触しない。
【0034】
放熱部材21は、可動接点10a,10bが固定接点6a,7aに接触する方向に撓む。詳細には、放熱部材21は、可動接触片10に押圧されて、可動接触片10と同じ方向に撓む。放熱部材21は、可動接点10a,10bが固定接点6a,7aに接触する前に可動接触片10に接触するように構成されている。すなわち、放熱部材21は、可動接触片10が開離位置から接触位置に移動する途中で可動接触片10に接触する。したがって、放熱部材21は、可動接触片10に接触方向Z1に押圧される。可動接触片10が開離位置にあるときにおいて、可動接触片10から放熱部材21までの間隔は、可動接点10a,10bから固定接点6a,7aまでの間隔よりも小さい。
【0035】
上述した電磁継電器100では、可動接触片10が開離位置にあるときに、放熱部材21は可動接触片10に接触しない。一方、可動接触片10が接触位置にあるときに、放熱部材21は、可動接触片10に接触して可動接触片10の発熱を放熱する。これにより、可動接触片10の重量の増加を抑えつつ、可動接触片10の放熱性の向上を図ることができる。
【0036】
また、放熱部材21が可動接点10a,10bが固定接点6a,7aに接触する前に可動接触片10に接触するので、放熱部材21を可動接触片10に確実に接触させることができる。また、放熱部材21の一部がケース2から外部に露出する場合は、可動接触片10の放熱性の向上をさらに図ることができる。
【0037】
以上、本発明の一態様に係る電磁継電器の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、駆動装置4の構成が変更されてもよい。ケース2、接点装置3、可動機構11及び放熱部材21の形状、或いは配置が変更されてもよい。放熱部材21は、2つ以上設けられてもよい。
【0038】
放熱部材21は、可動接触片10よりも熱伝導率の低い材料で形成されていてもよい。放熱部材21は、樹脂などの絶縁材で形成されていてもよい。放熱部材21の材料に樹脂を使用した場合は、消弧ガスが期待できる。放熱部材21は、例えばインサート成形により、樹脂に金属が組み込まれて形成されてもよい。放熱部材21は、必ずしもバネ性を有していなくてもよい。
【0039】
放熱部材21は、必ずしも可動接点10a,10bが固定接点6a,7aに接触する前に可動接触片10に接触しなくてもよい。また、放熱部材21は、可動接触片10と接触する部分において、冷却効果のある部材が取り付けられていてもよい。
【0040】
図4は、第1変形例に係る電磁継電器100の接点装置3を右方から見た模式図である。
図4に示すように、放熱部材21は、ケース2のカバー2bに支持されていてもよい。また、可動接触片10は、前方から見て略T字状に形成されてもよい。
【0041】
図5は、第2変形例に係る電磁継電器100の接点装置3を右方から見た模式図である。放熱部材21は、可動接点10a及び可動接点10bのいずれか一方に偏倚した位置に配置されてもよい。この場合は、一方の接点同士を他方の接点同士よりも先に接触又は開離させることができる。
図5では、放熱部材21が可動接点10b側に偏倚した位置に配置されている。この場合は、例えば、可動接点10bと固定接点7aとが接触する前に、可動接点10aと固定接点6aとを接触させることができる。なお、カード部材11aは、可動接点10a及び可動接点10bに対して接触方向Z1に均等な押圧力が加わるように構成されている。
【0042】
図6は、第3変形例に係る電磁継電器100の内部を上方から見た模式図である。電磁継電器100は、永久磁石25a,25bと、ヨーク26とをさらに備えていてもよい。永久磁石25a,25bは、ケース2の周囲に配置され、ケース2内に磁界を発生させる。永久磁石25a,25bは、ケース2に支持されている。永久磁石25aと永久磁石25bとは、前後方向に対向するように配置されている。
【0043】
ヨーク26は、略U字形状であり、永久磁石25a,25bを囲むようにして永久磁石25a,25bに接続されている。放熱部材21は、ヨーク26に接触して配置されている。ヨーク26は、一部が外部に露出していてもよい。放熱部材21は、ヨーク26又はケース2に固定されている。その他の構成は、前記実施形態と同様である。この場合は、放熱部材21を介して可動接触片10の発熱をヨーク26から放熱できる。
【0044】
図7は、第4変形例に係る電磁継電器100の接点装置3を右方から見た模式図である。電磁継電器100は、放熱部材22をさらに備えてもよい。放熱部材22は、放熱部材21と同様の形状である。放熱部材22は放熱部材22と前後方向に間隔を隔てて配置されている。放熱部材21は、可動接点10aよりも外側(前方)に配置されている。放熱部材22は、可動接点10bよりも外側(後方)に配置されている。放熱部材21は、可動接触片10が開離位置にあるときに可動接触片10に接触せずに、可動接触片10が接触位置にあるときに可動接触片10に接触して10可動接触片の発熱を放熱する。この場合は、複数の放熱部材21,22が設けられることになるので、可動接触片10の放熱性の向上をさらに図ることができる。なお、放熱部材21は、可動接点10aよりも内側に配置されてもよい。放熱部材22は、可動接点10bよりも内側に配置されていてもよい。
【0045】
電磁継電器100が複数の放熱部材21,22を備える場合において、
図8に示すように、例えば、放熱部材21と放熱部材22を千鳥配置にしてもよい。これにより、第2変形例と同様に一方の接点同士を他方の接点同士よりも先に接触又は開離させることができる。
図8に示す例では、放熱部材22は、放熱部材21が可動接触片10に接触する前に可動接触片10に接触する。なお、
図8では、図面を見易くするために放熱部材21,22を直線状に図示している。
【0046】
図9は、第5変形例に係る電磁継電器200の接点装置103周辺の断面模式図である。
図10(A)及び
図10(B)は、接点装置103を左方から見た模式図である。第5変形例は、本発明をプランジャ型の電磁継電器200に適用した実施例である。その他の構成は、従来と同様の構成であるため簡略化して説明する。電磁継電器200は、ケース102と、接点装置103と、図示しない駆動装置とを備えている。ケース102は、略四角形の箱型であり、樹脂などの絶縁性を有する材料で形成されている。接点装置103は、固定端子106,107と、可動接触片110と、放熱部材121とを含む。
【0047】
固定端子106は、固定接点106aを含む。固定端子107は、固定接点107aを含む。固定端子107は、固定端子106と左右方向に間隔を隔てて配置されている。可動接触片110は、左右方向に延びている。可動接触片110は、固定接点106aに接触可能な可動接点110aと、固定接点107aに接触可能な可動接点110bとを含む。なお、固定端子106,107は、円柱形状であるが、固定端子106,107は、板状の端子であってもよい。
【0048】
可動機構111は、駆動軸120を含む。駆動軸120は、接触方向Z1及び開離方向Z2に沿って延びている。駆動軸120は、可動接触片110に連結されている。駆動装置は、電磁力によって駆動軸120を接触方向Z1及び開離方向Z2に移動させる。電磁継電器200の動作については、従来と同様であるため説明を省略する。
【0049】
放熱部材121は、ケース102に支持されている。放熱部材121は、上下方向において、駆動軸120と重ならない位置、且つ少なくとも一部が可動接触片110と重なる位置に配置されている。放熱部材121は、ケース2から外部に露出していてもよいし、図示しないヨークに接触していてもよい。
【0050】
放熱部材121は、
図10(A)に示す開離位置に可動接触片110があるときに、可動接触片110に接触しない位置に配置されている。放熱部材121は、可動接触片110が開離位置のときに、可動接触片110から離れた位置に配置されている。放熱部材121は、
図10(B)に示す接触位置に可動接触片110があるときに、可動接触片110に接触して可動接触片110の発熱を放熱する。なお、
図11及び
図12に示すように、放熱部材121は、可動接点110a及び可動接点110bのいずれか一方に偏倚した位置に配置されてもよい。
【0051】
図13に示すように、電磁継電器200は、放熱部材122をさらに備えてもよい。放熱部材121は、可動接点110a及び可動接点110bのいずれか一方に偏倚して配置され、放熱部材122は、可動接点110a及び可動接点110bのいずれか他方に偏倚して配置されている。この場合においても、
図14に示すように、放熱部材121と放熱部材122を千鳥配置にしてもよい。例えば、
図14に示す例では、放熱部材122は、放熱部材121が可動接触片110に接触する前に可動接触片110に接触する。
【0052】
図15に示すように、電磁継電器100は、放熱部材21の周囲に設けられる絶縁壁28をさらに備えてもよい。絶縁壁28は、固定接点6a,7aと可動接点10a,10bの間で生じたアークから放熱部材21を保護する。絶縁壁28は、例えばケース2と一体的に形成されている。絶縁壁28の形状は、永久磁石25a,25bの配置などによって適宜変更してもよい。なお、上述した放熱部材22,121,122の周囲においても、絶縁壁28が設けられてもよい。
【0053】
放熱部材21は、導電性であってもよく、例えば、
図16に示すように、可動接触片10と複数箇所で接触してもよい。詳細には、放熱部材21は、第1接触部21aと第2接触部21bとを含んでもよい。第1接触部21a及び第2接触部21bは、可動接触片10が接触位置にあるときに可動接触片10に接触する。第2接触部21bは、第1接触部21aから離れた位置に配置されている。第1接触部21a及び第2接触部21bは、可動接点10aと可動接点10bとの間に配置されている。この場合は、放熱部材21が電路としても機能するので、電路が増加するとともに、可動接触片10の発熱をさらに抑制することができる。
【0054】
図17に示すように、放熱部材21は、本体部21cと、接点部21dとを含んでもよい。接点部21dは、本体部21cから可動接触片10に向かって突出する。接点部21dは、本体部21cと一体であってもよいし、別体であってもよい。この場合は、可動接触片10と放熱部材21との接触が安定する。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明によれば、電磁継電器において、可動接触片の重量の増加を抑えつつ、可動接触片の放熱性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0056】
2 ケース
4 駆動装置
6 固定端子(第1固定端子の一例)
6a 固定接点(第1固定接点の一例)
7 固定端子(第2固定端子の一例)
7a 固定接点(第2固定接点の一例)
10 可動接触片
10a 可動接点(第1可動接点の一例)
10b 可動接点(第2可動接点の一例)
11 可動機構
21 放熱部材(第1放熱部材の一例)
22 放熱部材(第2放熱部材の一例)
25a,25b 永久磁石
26 ヨーク
100 電磁継電器