(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】ブランクシート
(51)【国際特許分類】
B65D 5/355 20060101AFI20240228BHJP
B65D 5/36 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
B65D5/355
B65D5/36 F
(21)【出願番号】P 2020116927
(22)【出願日】2020-07-07
【審査請求日】2023-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】夏川 準司
(72)【発明者】
【氏名】中路 哲也
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-186036(JP,A)
【文献】登録実用新案第3216850(JP,U)
【文献】特開2020-50355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/36
B65D 5/355
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装箱を形成するためのブランクシートであって、
底板と、
前記底板の上縁部に折れ線を介して連設された第一壁体と、
前記底板の下縁部に折れ線を介して連設された第二壁体と、
前記第二壁体の下縁部に折れ線を介して連設された頂板と、
前記第一壁体の左右の側縁部にそれぞれ折れ線を介して連設された左右の側板と、
前記側板の下縁部に折れ線を介して連設された下板と、を備え、
前記底板には、前記底板の下縁部に平行な底部折れ線が左右の縁部に亘って形成され、
前記頂板には、前記頂板の下縁部に平行な頂部折れ線が左右の縁部に亘って形成され、
前記側板には、前記第一壁体の側縁部に平行な側部折れ線が上下の縁部に亘って形成されており、
前記側部折れ線は、
前記側板から前記下板の下縁部まで
直線状に延びていることを特徴とするブランクシート。
【請求項2】
請求項1に記載のブランクシートであって、
前記第二壁体には、左右方向に延びているスタンド用折れ線が形成され、
前記第二壁体は、前記スタンド用折れ線において折り返し可能であることを特徴とするブランクシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱を形成するためのブランクシートに関する。
【背景技術】
【0002】
段ボール製のブランクシートとしては、底板と、底板に連設された左右の端壁と、底板に連設された上下の側板と、下側の側板の下縁部に連設された頂板と、を備え、頂板および両端壁に補助折れ線が形成されているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなブランクシートでは、底板を床面に載置して、底板に対して両端壁および両側板を立ち上げるとともに、頂板によって上面の開口部を閉塞することで、包装箱を形成できる。
また、前記したブランクシートでは、補助折れ線を利用して、両端壁および頂板を折り畳んで、端壁、側板および頂板を底板に重ねることで、扁平状の封筒を形成できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記したブランクシートでは、包装箱と封筒との二つの形態を形成できるが、扁平状の封筒は容量が少なく、用途が限定されてしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、前記した問題を解決し、二つの異なる形状の包装箱を形成できるブランクシートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、包装箱を形成するためのブランクシートであって、底板と、前記底板の上縁部に折れ線を介して連設された第一壁体と、前記底板の下縁部に折れ線を介して連設された第二壁体と、を備えている。また、前記ブランクシートは、前記第二壁体の下縁部に折れ線を介して連設された頂板と、前記第一壁体の左右の側縁部にそれぞれ折れ線を介して連設された左右の側板と、前記側板の下縁部に折れ線を介して連設された下板と、を備えている。前記底板には、前記底板の下縁部に平行な底部折れ線が左右の縁部に亘って形成されている。前記頂板には、前記頂板の下縁部に平行な頂部折れ線が左右の縁部に亘って形成されている。前記側板には、前記第一壁体の側縁部に平行な側部折れ線が上下の縁部に亘って形成されており、前記側部折れ線は、前記側板から前記下板の下縁部まで直線状に延びている。
【0008】
本発明のブランクシートから第一形態の包装箱を形成する場合には、底板に対して第一壁体および第二壁体を立ち上げるとともに、第一壁体に対して側板を折り曲げる。なお、下板は底板の上面に重ねる。さらに、第二壁体に対して頂板を折り曲げて、上面の開口部を閉塞することで、第一形態の包装箱を形成できる。
【0009】
本発明のブランクシートから第二形態の包装箱を形成する場合には、底部折れ線において底板の一部を第一壁体と共に立ち上げる。また、第一壁体に対して側板および下板を折り曲げるとともに、側板および下板の先端側を側部折れ線において折り曲げる。さらに、底板に対して第二壁体および頂板を立ち上げるとともに、頂板の先端側を頂部折れ線において折り曲げて、頂板の先端側によって上面の開口部を閉塞することで、第二形態の包装箱を形成できる。
【0010】
このように、本発明のブランクシートでは、底部、側部および頂部の奥行が広くて、壁部が低い第一形態の包装箱と、底部、側部および頂部の奥行が狭くて、壁部が高い第二形態の包装箱とを形成できる。本発明のブランクシートでは、一方の形態で包装箱を使用した後に、用途に応じて他の形態に包装箱を組み立て直すこともできる。
【0011】
前記したブランクシートにおいて、前記第二壁体には、左右方向に延びているスタンド用折れ線を形成し、前記第二壁体を前記スタンド用折れ線において折り返し可能に構成してもよい。
【0012】
この構成では、第一形態の包装箱において、頂板を開いて、第二壁体の上部をスタンド用折れ線において外側に折り曲げることで、頂板および第二壁体の上部を第二壁体の外面側に折り返すことができる。そして、頂板および第二壁体の上部によって包装箱を支持することで、上部を大きく開いた包装箱を安定して店頭に陳列できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のブランクシートでは、二つの異なる形状の包装箱を形成でき、一方の形態で包装箱を使用した後に、他の形態に包装箱を組み立て直すこともできるため、資源を有効に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係るブランクシートを示した図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る第一形態の包装箱を組み立てる段階を示した図で、底板に対して第一壁体および側板を立ち上げた状態の斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る第一形態の包装箱を組み立てる段階を示した図で、底板に対して第二壁体を立ち上げた状態の斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る第一形態の包装箱を示した斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る第一形態の包装箱の第二壁体の上部および頂板を折り返した状態を示した斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る第二形態の包装箱を組み立てる段階を示した図で、底板に対して第一壁体および側板を立ち上げた状態の斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る第二形態の包装箱を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
以下の説明において、上下左右前後方向とは、本実施形態のブランクシートおよび包装箱を説明する上で便宜上設定したものであり、ブランクシートおよび包装箱の構成や使用状態を限定するものではない。
【0016】
本実施形態のブランクシートSは、
図1に示すように、段ボール製のシートを切り抜いたものである。
図1に示すブランクシートSは内面側が見えるように配置されている。
ブランクシートSを各折れ線において山折りまたは谷折りすることで第一形態の包装箱1A(
図4参照)または第二形態の包装箱1B(
図7参照)を形成できる。
【0017】
図1に示すブランクシートSの折れ線は、ブランクシートSの表面を線状に押し込んで形成された罫線(押罫)である。なお、罫線に断続的な切れ込みを形成してもよい。このようにすると、折れ線においてブランクシートSを折り曲げ易くなる。
また、シートの表面のみを切断したハーフカットの切れ込みやシートを貫通した切れ込みを断続させて線状に形成することで折れ線を構成してもよい。
ブランクシートSの切断誘導線は、切れ込みを断続的に形成したミシン目状の線である。なお、切れ込みの形状や長さは限定されるものではない。
【0018】
ブランクシートSは、底板10と、底板10の上縁部に連設された第一壁体20と、底板10の下縁部に連設された第二壁体30と、第二壁体30の下縁部に連設された頂板40と、を備えている。
また、ブランクシートSは、第一壁体20の左右の側縁部にそれぞれ連設された左右の側板50,50と、側板50の上縁部に連設された上板60と、側板50の下縁部に連設された下板70と、を備えている。
また、ブランクシートSは、第二壁体30の左右の側縁部にそれぞれ連設された左右の内板80,80を備えている。
【0019】
底板10は、左右方向に延びた四角形に形成されている。底板10には、下縁部に平行な底部折れ線L10が、左右の縁部に亘って直線状に延びている。
【0020】
底板10の上縁部には、折れ線L1を介して第一壁体20が連設されている。第一壁体20は、四角形に形成されている。
【0021】
第一壁体20の左右の側縁部には、それぞれ折れ線L2,L2を介して左右の側板50,50が連設されている。側板50は、上下方向に延びた四角形に形成されている。側板50の左右方向の間隔は、底板10の上下方向の間隔と略同じ大きさに形成されている。
【0022】
側板50の上下方向の中央部には、係合片51が形成されている。係合片51の先端部は、側板50の側縁部よりも外側に突出し、係合片51の基端部は、側板50の側縁部よりも内側で折れ線を介して側板50に連設されている。
【0023】
側板50の上縁部には、一直線上に並んだ切断誘導線L51および折れ線L52を介して四角形の上板60が連設されている。
側板50の下縁部には、折れ線L53を介して四角形の下板70が連設されている。下板70は、底板10の側方に配置されている。下板70の下縁部の上下方向の位置は、底部折れ線L10の上下方向の位置と同じか僅かに上方に配置されている。
【0024】
側板50には、第一壁体20の側縁部(折れ線L2)に平行な側部折れ線L50が形成されている。側部折れ線L50は、側板50の上下の縁部に亘って直線状に形成されている。
第一壁体20の側縁部と側部折れ線L50との間隔t2は、底板10の下縁部と底部折れ線L10との間隔t1と略同じ大きさに形成されている。
【0025】
側部折れ線L50は、上板60の上縁部まで直線状に延びているとともに、下板70の下縁部まで直線状に延びている。
上板60と側板50との境界線では、側部折れ線L50よりも外側に切断誘導線L51が形成され、側部折れ線L50よりも内側(第一壁体20側)に折れ線L52が形成されている。
【0026】
底板10の下縁部には、折れ線L3を介して第二壁体30が連設されている。第二壁体30は、四角形に形成されている。
第二壁体30の左右の側縁部には、それぞれ折れ線L4,L4を介して左右の内板80,80が連設されている。内板80は、上下方向に延びた四角形に形成されている。内板80の左右方向の間隔は、底板10の上下方向の間隔と略同じ大きさに形成されている。
【0027】
内板80と第二壁体30との間の折れ線L4の上下方向の中央部には、スリットが形成されている。そして、
図2に示すように、第二壁体30に対して内板80を折り曲げると、内板80の基端部に係合穴81が開口する。この係合穴81は、
図3に示すように、係合片51の先端部が差し込まれる部位である。
【0028】
図1に示すように、第二壁体30の下縁部には、折れ線L5を介して頂板40が連設されている。頂板40は、左右方向に延びた四角形に形成されている。頂板40には、下縁部に平行な頂部折れ線L40が、左右の縁部に亘って直線状に延びている。
頂板40の下縁部と頂部折れ線L40との間隔t3は、底板10の下縁部と底部折れ線L10との間隔t1と略同じ大きさに形成されている。
【0029】
頂板40の下縁部には、折れ線L6を介して差込片41が連設されている。差込片41は、左右方向に延びた四角形に形成されている。
【0030】
第二壁体30には、下縁部(折れ線L5)に平行して左右方向に延びているスタンド用折れ線L31が形成されている。スタンド用折れ線L31の左右の端部は、第二壁体30の左右の縁部から離れている。第二壁体30の側縁部の上端部からスタンド用折れ線L31の端部に亘って切断誘導線L32が形成されている。
【0031】
図5に示すように、第一形態の包装箱1Aにおいて、頂板40を開いて、両切断誘導線L32,L32を切り開くと、第二壁体30の上部および頂板40を、スタンド用折れ線L31において第二壁体30の外面側に折り返すことができる。スタンド用折れ線L31の上下方向の位置は、第二壁体30の上部および頂板40を第二壁体30の外面側に折り返したときに、差込片41が床面に接するように設定されている。
【0032】
次に、本実施形態に係るブランクシートS(
図1参照)から第一形態の包装箱1A(
図4参照)を組み立てる手順について説明する。
【0033】
図2に示すように、ブランクシートSを作業面に載置し、底板10に対して第一壁体20を立ち上げる。
また、第一壁体20に対して左右の側板50,50を折り曲げて、底板10の左右の縁部に左右の側板50,50をそれぞれ立ち上げる。
なお、上板60は、側板50の内側に向けて折り曲げる。また、下板70は、側板50の内側に向けて折り曲げて、底板10の上面に重ねる。
【0034】
また、第二壁体30に対して左右の内板80,80を立ち上げる。その後、
図3に示すように、底板10に対して第二壁体30および頂板40を立ち上げる。このとき、内板80は、側板50の内面に重ねる。また、側板50の係合片51の先端部を内板80の係合穴81に差し込む。これにより、側板50が第二壁体30に連結される。
【0035】
続いて、
図4に示すように、第二壁体30に対して頂板40を折り曲げて、上面の開口部を閉塞するとともに、差込片41を第一壁体20の内面側に差し込むことで、第一形態の包装箱1Aを形成する。
【0036】
第一形成の包装箱1Aを店頭等に展示する場合には、
図5に示すように、頂板40を開くとともに、左右の切断誘導線L32,L32を切り開く。そして、第二壁体30の上部をスタンド用折れ線L31において外側に折り曲げる。
このようにして、第二壁体30の上部および頂板40を第二壁体30の外面側に折り返して、差込片41を床面に当接させることで、頂板40および第二壁体30の上部によって包装箱1Aを支持することができる。
これにより、包装箱1Aの上部を大きく開いて内容物の上部を露出させた状態で、包装箱1Aを安定して店頭等に陳列できる。
【0037】
次に、本実施形態に係るブランクシートS(
図1参照)から第二形態の包装箱1B(
図7参照)を組み立てる手順について説明する。
【0038】
図6に示すように、ブランクシートSを作業面に載置し、底部折れ線L10において底板10の後部を前部に対して上方に向けて折り曲げて、底板10の前部に対して後部および第一壁体20を立ち上げる。
【0039】
続いて、上板60と側板50との間の切断誘導線L51を切り開いて、第一壁体20に対して側板50、上板60および下板70を前方に向けて折り曲げる。また、側板50および下板70の先端部を、側部折れ線L50において内側に向けて折り曲げる。これにより、平面視でL字形状に屈曲した側板50および下板70が、底板10の左右の縁部にそれぞれ立ち上がる。
また、上板60を側板50に対して下方に向けて折り曲げるとともに、上板60において側部折れ線L50よりも外側の部位を側板50の内面に重ねる。
【0040】
また、第二壁体30に対して左右の内板80,80を折り曲げて、内板80を第二壁体30の内面に重ねる。その後、
図7に示すように、底板10に対して第二壁体30および頂板40を立ち上げる。
【0041】
さらに、頂板40の先端部を頂部折れ線L40において折り曲げて、頂板40の先端部によって上面の開口部を閉塞する。また、差込片41を第一壁体20の内面側に差し込むことで、第二形態の包装箱1Bを形成する。
【0042】
以上のような
図1に示すブランクシートSでは、底部、側部および頂部の奥行が広くて、壁部が低い第一形態の包装箱1A(
図4参照)と、底部、側部および頂部の奥行が狭くて、壁部が高い第二形態の包装箱1B(
図7参照)とを用途に応じて形成できる。
【0043】
また、ブランクシートSでは、第一形態の包装箱1A(
図4参照)を使用した後に、第二形態の包装箱1B(
図7参照)に組み立て直すことができる。同様に、第二形態の包装箱1B(
図7参照)を使用した後に、第一形態の包装箱1A(
図4参照)に組み立て直すことができる。このように、ブランクシートSでは、二つの異なる形状の包装箱1A,1B(
図4および
図7参照)を用途に応じて組み立て直すことができるため、資源を有効に利用できる。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
本実施形態のブランクシートSでは、
図1に示すように、第二壁体30の左右の側縁部に、左右の内板80,80が連設されているが、内板80を設けなくてもよい。
【0045】
本実施形態のブランクシートSでは、スタンド用折れ線L31の端部と第二壁体30の側縁部との間に切断誘導線L32が形成されているが、スタンド用折れ線L31を第二壁体30の側縁部や上縁部に接続させてもよい。また、第二壁体30にスタンド用折れ線L31を形成しなくてもよい。
【0046】
本実施形態のブランクシートSは段ボール製であるが、各種公知の板紙によってブランクシートを形成してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1A 第一形態の包装箱
1B 第二形態の包装箱
10 底板
20 第一壁体
30 第二壁体
40 頂板
41 差込片
50 側板
51 係合片
60 上板
70 下板
80 内板
81 係合穴
L10 底部折れ線
L31 スタンド用折れ線
L32 切断誘導線
L40 頂部折れ線
L50 側部折れ線
S ブランクシート