(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】検知補助架台
(51)【国際特許分類】
B65G 11/00 20060101AFI20240228BHJP
B65G 43/02 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
B65G11/00 B
B65G43/02 B
(21)【出願番号】P 2020140759
(22)【出願日】2020-08-24
【審査請求日】2023-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】服部 雄太
(72)【発明者】
【氏名】福濱 謙二
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-169381(JP,U)
【文献】実開平05-030021(JP,U)
【文献】特開昭54-131279(JP,A)
【文献】特開2005-056794(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 11/00
B65G 43/02
H01H 21/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シュートの内部で発生した落下物の詰まりを検知するための検知装置を構成する検知器を載置する検知補助架台であって、
前記検知装置は、シュート壁に開口する開口部と、前記開口部に設置されるパドルと、前記パドルの上縁を前記開口部に取り付け、前記パドルを前記開口部に対して傾動可能に支持する支軸と、前記パドルの周囲に配置され、前記支軸を中心として傾動した前記パドルに接触することで検知信号を発生する前記検知器を備え、
前記検知補助架台は、前記検知器を載置する載置台と、
前記載置台に沿って配置される基台と、前記載置台と前記シュート壁の間、または前記載置台と前記シュート壁以外の構造物の間に介設されて、前記シュート壁に対する前記載置台の相対的位置を変更可能な位置変更構造を備
え、
前記位置変更構造は、前記載置台と前記基台を連結し、側面視で前記基台に対して前記載置台がなす角度の大きさを変更可能な角度変更部材と、前記基台の鉛直方向位置を変位させる昇降手段を備えることを特徴とする検知補助架台。
【請求項2】
シュートの内部で発生した落下物の詰まりを検知するための検知装置を構成する検知器を載置する検知補助架台であって、
前記検知装置は、シュート壁に開口する開口部と、前記開口部に設置されるパドルと、前記パドルの上縁を前記開口部に取り付け、前記パドルを前記開口部に対して傾動可能に支持する支軸と、前記パドルの周囲に配置され、前記支軸を中心として傾動した前記パドルに接触することで検知信号を発生する前記検知器を備え、
前記検知補助架台は、前記検知器を載置する載置台と、
前記載置台に沿って配置される基台と、前記載置台と前記シュート壁の間、または前記載置台と前記シュート壁以外の構造物の間に介設されて、前記シュート壁に対する前記載置台の相対的位置を変更可能な位置変更構造を備
え、
前記位置変更構造は、前記載置台と前記基台を連結し、側面視で前記基台に対して前記載置台がなす角度の大きさを変更可能な角度変更部材と、前記基台の水平方向位置を変位させる水平移動手段を備えることを特徴とする検知補助架台。
【請求項3】
前記角度変更部材は、側面視で前記載置台と前記基台の間に設置される軸体を備える傾動部材と、前記軸体の軸方向に直交する方向に沿って設置される長尺部材と、前記長尺部材上の第1の箇所を前記載置台に係止する第1の係止部材と、前記長尺部材上の第2の箇所を前記基台に係止する第2の係止部材からなり、
前記載置台は、前記第1の係止部材が係止される載置台係止部が設けられ、
前記基台は、前記第2の係止部材が係止される基台係止部が設けられることを特徴とする
請求項1又は請求項2に記載の検知補助架台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シュートに投入された石炭の詰まりを検知する検知器を載置する検知補助架台に係り、特に、詰まりに対する検知器の検知精度を常に良好なレベルに維持し得る検知補助架台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、石炭火力発電所や、製鉄所に設置されているコンベヤパドル式シュート装置(以下、シュート装置という。)においては、例えば石炭やそのほかの鉱石といった落下物が落下するシュートの内部で詰まりが発生した際に、この詰まりを検知するための検知装置が設置されている。この検知装置は、シュート壁に穿設される開口部と、この開口部に設置され、詰まりを構成する落下物に押されて動作する板状のパドルと、このパドルの外側に設置され、パドルの位置変化を検知する検知器を備える。
このうち、パドルは、その上縁が支軸を介して開口部に取り付けられたものである。また、検知器は、パドルとやや間隔を開けて配置される長尺のストライカと、このストライカの基端に設けられる傾動軸と、この傾動軸を軸支する本体からなる。
ただし、パドルと検知器の間隔をやや空けて設置する必要があるため、ストライカがパドルに接触困難な場合は、パドルとストライカの間に伝達棒が設けられる。
上記構成の検知装置においては、シュートの排出口で石炭の詰まりが発生すると、シュート内を上昇してきた石炭によってパドルの下縁がシュート壁の外方向へ押され始め、その結果パドルが支軸を中心として傾動する。すると、この傾動したパドルによって伝達棒が押され、その位置が変化する。
次いで、検知器では、伝達棒の位置変化がストライカに伝達され、このストライカが傾動軸を中心として傾動し、その先端の位置がシュート壁の外方向へ移動する。この場合、本体は、ストライカの傾動を検知して検知信号を出力するため、この検知信号がシュート装置の運転を制御する制御装置によって受信されたとき、制御装置は詰まりが発生したことを認識してコンベヤの運転を停止する。
しかしながら、時間経過に伴い、パドルと、伝達棒と、ストライカ間の配置が変動することがある。例えば、伝達棒がストライカから外れていたり、外れてはいないものの伝達棒がストライカを十分に押すことができなかったりする場合である。この場合、検知器の作動が不良となって、詰まりを構成する落下物(例えば、石炭等)が開口部から大量に溢れ出す事態になる。
そこで、近年、伝達棒のような可動部分を介することなく検知器の作動不良を解消するための技術が開発されており、それに関して既にいくつかの発明又は考案が開示されている。
【0003】
特許文献1には「シュート・スイッチ」という名称で、シュート内を落下する落下物の詰まりの検知手段として無接点スイッチを備えた考案が開示されている。
以下、特許文献1に開示された考案について説明する。特許文献1に開示された考案は、シュート壁に穿通されたカット穴に対応してこのシュート壁に取り付けられる箱状の本体と、この本体の内部に収容され、シュート内に詰まった落下物の溢れる力で押動される検出板と、本体の側壁に設置され、検出板の一定値以上の動きに基づいてオンオフ動作される無接点スイッチを備えたことを特徴とする。
このような特徴を有する考案においては、検出板が詰まりによってシュートの外側へ押されて傾動し、その自由端が所定の位置に達すると、無接点スイッチがこの自由端を検知し、詰まりの発生を制御部へ通報する。よって、無接点スイッチが自由端を確実に検知するためには、無接点スイッチとストライカとの間隔と、調整バネの反力をそれぞれ独立に調整することが必要である。すなわち、このような調整が適切である場合に、自由端の検知が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実願昭50-145142号(実開昭52-59378号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された考案においては、無接点スイッチとストライカの間隔を調整することは、例えば無接点スイッチの位置をずらすことで比較的容易に可能である。これに対し、調整バネの反力を正確に調整することは困難であるから、例えばこの反力が過剰、または不足している場合には、調整バネ自体を交換することが必要となると考えられる。そのため、無接点スイッチとストライカとの間隔と、調整バネの反力をそれぞれ独立に調整することが再び必要となり、煩雑である。
したがって、特許文献1に開示された考案においては、調整バネの反力を容易かつ正確に調整することが困難なために、シュート内に詰まった落下物を安定的に精度良く検知することができないおそれがある。
【0006】
本発明は、このような従来の事情に対処してなされたものであり、検知器の配置を容易かつ正確に調整可能とすることで、シュート内部で発生した落下物の詰まりに対する検知器の検知精度を常に良好なレベルに維持し得る検知補助架台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、第1の発明は、シュートの内部で発生した落下物の詰まりを検知するための検知装置を構成する検知器を載置する検知補助架台であって、検知装置は、シュート壁に開口する開口部と、開口部に設置されるパドルと、パドルの上縁を開口部に取り付け、パドルを開口部に対して傾動可能に支持する支軸と、パドルの周囲に配置され、支軸を中心として傾動したパドルに接触することで検知信号を発生する検知器を備え、検知補助架台は、検知器を載置する載置台と、載置台とシュート壁の間、または載置台とシュート壁以外の構造物の間に介設されて、シュート壁に対する載置台の相対的位置を変更可能な位置変更構造を備えることを特徴とする。
【0008】
このような構成の発明において、シュートの内部における落下物の詰まりは、例えば、シュートの内壁を構成する鉄板の一部が剥離し、この剥離片に落下物が積み上がることで発生する。そして、このような詰まりが増大し、シュート内を上昇して開口部に達すると、その一部が開口部にはみ出してくる。すると、はみ出した落下物の一部によってパドルが押され、その下縁がシュート壁から遠ざかる方向へ開くため、パドルが開口部に対して傾動した姿勢となる。
また、パドルの周囲には検知器が設置されているため、傾動したパドルに検知器の例えばストライカといった接触棒が接触することにより、検知器が検知信号を発生させる。この検知信号は、シュートの上方に設けられた落下物の投入装置の運転を制御する制御部によって受信され、ただちにその運転が停止される。
【0009】
しかし、シュート内を落下物が落下する際の衝撃や、シュート周囲の機械装置の運転による振動を原因として、時間経過に伴って接触棒とパドルの相対位置が変化し、パドルの傾動が検知器によって検知されなくなる場合がある。このとき、検知器を移動させて接触棒の位置を微調整する必要が出てくるが、検知器の配置やその周囲の構造物の形状によっては手作業での移動が困難な場合がある。また、手作業での移動は正確さを欠き易く、移動を繰り返して手間がかかってしまう場合もある。そこで、検知器の移動を容易かつ正確に微調整するための検知補助架台を設置するのである。
【0010】
上記構成の検知補助架台においては、位置変更構造として、例えば、シュート壁以外の構造物、例えばシュート壁の周囲に設置される床構造や他の装置に固定され、載置台を水平に対して所望の角度に傾斜させて設置可能なヒンジや、一端が載置台を保持するとともに、他端がシュート壁や、シュート壁以外の構造物に固定される多関節アームが考えられる。
このうち、ヒンジの場合では、載置台の傾斜姿勢が変更可能となる。また、多関節アームの場合では、載置台の水平方向位置、鉛直方向位置及び傾斜姿勢の少なくともいずれかを独立して変更可能である。すなわち、載置台の相対的位置とは、水平方向位置、鉛直方向位置及び傾斜姿勢のうちの少なくともいずれかを意味する。
したがって、載置台が位置変更構造を介して保持されることにより、その姿勢が手作業の場合よりも再現性良く変更されて、検知器の接触棒の姿勢も同様に変更される。そのため、検知器の位置ずれによる詰まりの検知不良を解消でき、検知器の検知精度を常に良好に維持することが可能となる。
【0011】
次に、第2の発明は、第1の発明において、検知補助架台は、載置台に沿って配置される基台を備え、位置変更構造は、載置台と基台を連結し、側面視で基台に対して載置台がなす角度の大きさを変更可能な角度変更部材を備えることを特徴とする。
このような構成の発明において、基台は、シュート壁の外面に対して直交又は平行のいずれの向きに設置されても良い。すなわち、前者の場合、例えば、側面視で、載置台が、角度変更部材を介して略水平に配設された基台に支持される場合が考えられる。これに対し、後者の場合では、側面視で、載置台が、角度変更部材を介して略鉛直に立設された基台に支持される場合が考えられる。なお、基台は、シュート壁、またはシュート壁以外の構造物に直接設置されるほか、角度変更部材以外の位置変更構造を介してシュート壁等に取り付けられても良い。
【0012】
また、角度変更部材として、例えば、載置台と基台の双方に対して傾斜して設置されるシリンダー、または両端が載置台と基台にそれぞれ取り付けられる多関節アームが考えられる。
したがって、上記構成の発明においては、第1の発明の作用に加えて、載置台が角度変更部材を介して基台に取り付けられるため、シュート壁の外面に対する基台の向きに関わらず、載置台の傾斜姿勢を変更又は所望の傾斜姿勢で載置台を固定することが可能になる。
【0013】
続いて、第3の発明は、第2の発明において、角度変更部材は、側面視で載置台と基台の間に設置される軸体を備える傾動部材と、軸体の軸方向に直交する方向に沿って設置される長尺部材と、長尺部材上の第1の箇所を載置台に係止する第1の係止部材と、長尺部材上の第2の箇所を基台に係止する第2の係止部材からなり、載置台は、第1の係止部材が係止される載置台係止部が設けられ、基台は、第2の係止部材が係止される基台係止部が設けられることを特徴とする。
【0014】
このような構成の発明においては、傾動部材とは、固定された軸体を中心軸として正逆方向へ傾動可能な部材を備える機械要素であって、例えば、側面視で載置台と基台の交点付近に配置される軸体と、この軸体を中心に傾動するとともに、載置台と基台にそれぞれ固定される一対のプレートを備えるヒンジや、側面視で載置台と基台がなす面上に配置される軸体と、この軸体を中心に傾動するとともに、載置台と基台にそれぞれ固定される一対のステーが考えられる。
また、第1の箇所とは、長尺部材の構成要素としての1箇所を指すのではなく、傾動部材の動きに伴って移動し、一時的に特定される箇所をいう。第2の箇所についてもこれと同様である。
なお、基台は、シュート壁に対して直交又は平行のいずれの向きに設置されても良い。
上記構成の発明として、具体的には、例えば、長尺部材がその内部に一つの長尺の貫通孔を有する環状部材であって、第1及び第2の係止部材がいずれも貫通孔に挿通されるネジである場合において、載置台係止部が第1の係止部材が螺合するネジ孔であり、基台係止部が第2の係止部材が螺合するネジ孔である場合が考えられる。
【0015】
このような構成においては、各ネジの先端を長尺部材の貫通孔にそれぞれ挿通させた後、対応するネジ孔に差し込んでそれぞれ締め付けると、載置台が基台に対して所望の傾斜角度を維持しつつ固定される。一方、ネジの一方を緩めて貫通孔の長手方向に沿ってスライドさせ、再度対応するネジを締め付けると、双方のネジの間隔が変化し、基台に対する載置台の傾斜角度が無段階で変更される。
したがって、第3の発明においては、第2の発明の作用に加えて、長尺部材を備えることで、基台に対する載置台の傾斜角度が無段階で変更される。
【0016】
さらに、第4の発明は、第2又は第3の発明において、位置変更構造は、角度変更部材に加えて、基台の鉛直方向位置を変位させる昇降手段を備えることを特徴とする。
このような構成の発明において、基台は、シュート壁に対して直交又は平行のいずれの向きに設置されても良い。
また、「鉛直方向位置を変位させる」とは、基台が鉛直方向に沿って上下移動する場合のほか、基台がシュート壁に沿って二次元方向の移動をした結果、当初の位置に対して鉛直方向成分の変位を有する位置に移動する場合も含まれる。すなわち、基台が変位する方向と、鉛直方向に対するシュート壁の傾斜は無関係である。なお、昇降手段は、基台の移動を制限するロック機構を備えることが望ましい。
【0017】
具体的には、基台が鉛直方向に沿って上下移動する場合では、昇降手段として、例えば、基台とシュート壁との間で、このシュート壁の高さ方向に沿って設置されるスライドレール、または基台と床構造との間に設置される伸縮可能な多段筒体あるいはパンタグラフ構造が考えられる。
さらに、基台がシュート壁に沿って二次元方向の移動をする場合では、昇降手段として、例えば、基台と床構造との間に設置され、シュート壁に対して平行な二次元方向の動きが可能な多節リンク構造が考えられる。
上記構成の発明においては、第2又は第3の発明の作用に加えて、基台が、昇降手段によって、載置台の傾斜姿勢に影響を与えることなく、鉛直方向へ変位する。詳細には、例えば、基台が、スライドレールを介して鉛直方向に沿って移動をすることや、リンク機構を介して当初と異なる鉛直方向位置に移動することが可能となる。
【0018】
そして、第5の発明は、第2乃至第4の発明のいずれかにおいて、位置変更構造は、角度変更部材に加えて、基台の水平方向位置を変位させる水平移動手段を備えることを特徴とする。
このような構成の発明において、位置変更構造は、角度変更部材に加えて、水平移動手段を備えるほか、水平移動手段と昇降手段を備えていても良い。また、基台は、シュート壁に対して直交又は平行のいずれの向きに設置されても良い。
さらに、「水平方向位置を変位させる」とは、基台が水平方向に沿って移動する場合のほか、基台が水平方向に対して傾斜する方向に沿って移動をした結果、当初の位置に対して水平方向成分の変位を有する位置に移動する場合も含まれる。すなわち、基台が変位する方向と、基台を設置する面、例えば、床構造の水平方向に対する傾斜は無関係である。なお、水平移動手段は、いずれも基台の移動を制限するロック機構を備えることが望ましい。
【0019】
具体的には、水平移動手段として、例えば、床構造の上に設置されるスライドレールや、基台の下端に取り付けられるキャスターが考えられる。
上記構成の発明においては、第2乃至第4のいずれかに記載の発明の作用に加えて、基台が、水平移動手段によって、載置台の傾斜姿勢や鉛直方向位置に影響を与えることなく、水平方向へ変位する。また、水平移動手段と昇降手段を同時に備える場合では、載置台の傾斜姿勢と、水平方向への変位と、鉛直方向への変位が同時かつ独立に変更可能となる。
【発明の効果】
【0020】
第1の発明によれば、位置変更構造を操作して動かすことにより、載置台の姿勢が変更されるため、パドルに対する検知器の配置を容易かつ正確に変更できる。これにより、シュート内部で発生した詰まりに対する検知器の検知精度を常に良好なレベルに維持することができる。
【0021】
第2の発明によれば、第1の発明の効果に加えて、角度変更部材を操作して基台に対する載置台の傾斜姿勢を変更することにより、パドルの傾斜に対する検知器の傾斜姿勢を簡単に微調整することができる。
また、基台はシュート壁の外面に対して直交又は平行のいずれの向きに設置されても良いことから、シュート壁以外の構造物の形状に応じて、基台を設置できる。
したがって、第2の発明によれば、基台が設けられない場合と比較して、載置台の設置位置の選択肢が増え、現場の個別事情に対応した検知器の設置及び位置調整が可能となる。
【0022】
第3の発明によれば、第2の発明の効果に加えて、長尺部材を備えることにより、基台に対する載置台の傾斜角度が無段階で変更されるため、検知器の配置も無段階で調整可能となる。したがって、第3の発明によれば、検知器の姿勢をパドルの傾斜姿勢に一層細かく適合させることができる。
【0023】
第4の発明によれば、第2又は第3の発明の効果に加えて、昇降手段により、載置台の傾斜姿勢に加えて、載置台及び基台を鉛直方向へ瞬時に移動させることができる。したがって、検知器の鉛直方向位置を微調整してパドルの傾斜状態に一層適切に対応させることが可能となる。
【0024】
第5の発明によれば、第2乃至第4のいずれかの発明の効果に加えて、水平移動手段により、載置台の傾斜姿勢に加えて、載置台及び基台を水平方向へ瞬時に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】(a)及び(b)は、いずれも実施例に係る検知補助架台を使用しない場合の検知装置の外観斜視図であって、(a)はパドルが閉じている場合、(b)はパドルがシュート壁に対して傾動している場合を示したものである。
【
図2】(a)は実施例に係る検知補助架台を上方から見た場合の平面図であり、(b)は(a)におけるA方向矢視図である。
【
図3】実施例に係る検知補助架台を、
図1(a)におけるB方向と同一の方向から見た場合の矢視図であって、載置台が水平姿勢である場合を示したものである。
【
図4】実施例に係る検知補助架台を、
図1(a)におけるB方向と同一の方向から見た場合の矢視図であって、載置台が水平に対して最大に傾斜した姿勢となっている場合を示したものである。
【
図5】(a)及び(b)は、いずれも
図1(a)におけるB方向と同一の方向から見た場合の矢視図であって、(a)は載置台が水平姿勢の場合、(b)は載置台が水平に対して最大に傾斜した場合を示したものである。
【
図6】(a)及び(b)は、それぞれ実施例の第1及び第2の変形例に係る検知補助架台を、
図1(a)におけるB方向と同一の方向から見た場合の矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0026】
まず、本発明の実施の形態に係る検知補助架台に載置される検知器について説明する。
図1(a)及び
図1(b)は、いずれも実施例に係る検知補助架台を使用しない場合の検知装置の外観斜視図であって、
図1(a)はパドルが閉じている場合、
図1(b)はパドルがシュート壁に対して傾動している場合を示したものである。
図1(a)に示すように、検知装置50は、シュート装置に設けられるシュートの内部で発生した落下物の詰まりを検知することを目的として設置されている。
この検知装置50は、シュート壁60に開口する開口部51と、この開口部51に設置される略四角平板状のパドル52と、このパドル52の上縁52aを開口部51の外方に取り付け、パドル52を開口部51に対して傾動可能に支持する支軸52cと、パドル52の周囲に配置され、支軸52cを中心として傾動したパドル52に接触することで検知信号を発生する検知器53を備える。
【0027】
このうち、開口部51は、シュート壁60に嵌め込まれた四角筒体51aによって囲まれている。また、支軸52cは、四角筒体51aの内面のうち、鉛直方向Vに沿った内面51b,51bの間に、水平方向Hと平行に架け渡されている。よって、パドル52の上縁52aは、このような支軸52cを介して四角筒体51aへ取り付けられている。
そのため、パドル52の下縁52bが支軸52cを中心としてシュート壁60から遠ざかる方向へ(矢印A
1)移動すると、パドル52は開口部51の縦断面(鉛直方向Vに沿った断面)に対して傾動することになる。なお、パドル52は、シュート壁60から間隔dを空けた位置に配置されている(
図5参照)。
【0028】
また、検知器53は、シュート壁60の周囲に設けられた床構造61の上に直接設置されている。この検知器53は、接触検知型であって、パドル52とやや間隔を開けて配置される長尺のストライカ54と、このストライカ54の基端54aに設けられる傾動軸55と、この傾動軸55を軸支する本体56からなる。
詳細には、傾動軸55は、本体56の一部をなすアクチュエータ部57に設けられている。このアクチュエータ部57は、内部マイクロスイッチ(図示せず)を内蔵している。そして、内部マイクロスイッチは、ストライカ54が傾動軸55の中心軸55aを中心として、この中心軸55aと直交する方向に一定角度以上傾動(矢印A2)した場合に、検知信号を発生するという作用を有する。
【0029】
次に、
図1(b)に示すように、シュートの内部で石炭70の詰まり71が発生すると、この詰まり71の一部を構成する石炭70が開口部51にはみ出し、パドル52を押し始める。これに伴い、パドル52の下縁52bがシュート壁60から遠ざかる方向へ開き(矢印A
1)、パドル52がストライカ54の先端54bに接触することになる。
その結果、ストライカ54が中心軸55aを中心として傾動し、その大きさが一定以上に達すると、前述したように、内部マイクロスイッチが検知信号を発生する。なお、発生した検知信号は、シュート装置の稼働を制御する制御部(図示せず)に有線送信手段(図示せず)を介して送信される。そして、制御部は、検知信号を受信すると、直ちにシュート装置の稼働を停止させるという作用を有する。
【0030】
しかし、シュート装置や周辺装置の運転によって発生する振動や、物が検知器53に接触することにより、ストライカ54の先端54bがパドル52から遠ざかり、パドル52が開放された状態になってもストライカ54に接触せず、そのせいでストライカ54が十分傾動せず、内部マイクロスイッチが検知信号を発生しない場合がある。
この場合、ストライカ54をパドル52に接近させることが必要になるが、検知器53自体を作業者が直に移動させると、移動方向が適切でなかったり、移動距離に過不足が生じたりすることがある。この結果、適切な位置に移動できているか否かを確認するために、検知器53を少しずつ移動させながら検知信号の発生を確認するという作業を繰り返し行う手間が必要になり、作業効率が良好でない。
したがって、検知器53の位置を容易かつ正確に、しかも微調整しながら移動させることができる検知補助架台が必要となる。
このような事情に鑑み発明された実施例に係る検知補助架台について以下に詳細に説明する。
【0031】
本発明の実施の形態に係る検知補助架台について、
図2乃至
図6を用いて詳細に説明する。
図2(a)は実施例に係る検知補助架台を上方から見た場合の平面図であり、
図2(b)は
図2(a)におけるA方向矢視図である。なお、
図1で示した構成要素については、
図2においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図2(a)及び
図2(b)に示すように、実施例に係る検知補助架台1は、例えば石炭70といった鉱石の詰まりを検知するための検知装置50を構成する検知器53(
図1参照)を載置する検知補助架台である。
検知補助架台1は、検知器53を載置する載置台2と、この載置台2に沿って配置される基台3と、シュート壁60に対する載置台2の相対的位置を変更可能な位置変更構造4,4を備える。
このうち、載置台2は、例えば第1の端面2a乃至第4の端面2dで囲まれた四角形状の平板であって、検知器53の底面を載置台2に固定するためのネジ部材(図示せず)を挿通させるネジ孔2eが4箇所に設けられる。なお、載置台2は、木材、金属または硬質樹脂のいずれを材料としても良く、四角形以外の形状であっても良い。
【0032】
次に、基台3は、第1の端面2aに沿って配置される中央部5と、この中央部5の両側端面5a,5aから奥行方向(図中D方向)に沿ってそれぞれ平行して延設される奥行部6,6と、この奥行部6,6から幅方向(図中W方向)に沿って互いに離れる方向へ延設される取付部7,7からなる。
このうち、中央部5は、シュート壁60に対し、略平行に設置されている。また、奥行部6,6は、シュート壁60とパドル52間に間隔d(
図5参照)が開けられていることで、ストライカ54の傾動軸55(
図1参照)の位置をシュート壁60から離す必要があるために設けられたものである。したがって、間隔dが無視できる程度に狭い場合は、奥行部6,6は省略されても良い。
【0033】
さらに、取付部7,7には、基台3をシュート壁60またはシュート壁60以外の構造物(図示せず)に取り付けるためのネジ部材を挿通させるネジ孔7aがそれぞれ2箇所ずつ設けられる。よって、中央部5は、取付部7,7の裏面7b,7b(
図2(a)参照)を例えばシュート壁60に接触させることにより、このシュート壁60と間隔を空けて設置される。なお、裏面7b,7bと、シュート壁60等の間に、例えばゴム材のような衝撃吸収材を介在させても良い。このように構成すると、シュート壁60等からの振動が吸収され、検知器53への振動の伝播が一層抑制されるためである。
また、中央部5、奥行部6,6及び取付部7,7は、それぞれ木材、金属または硬質樹脂のいずれを材料としても良く、四角形以外の形状であっても良い。このうち、シュート壁60が鉛直方向V(
図1参照)に対して傾斜している場合では、奥行部6,6を、例えば側面視で三角形状や台形状にすると、基台3の中央部5を略鉛直方向に沿って設置することができる。
【0034】
次に、実施例に係る検知補助架台1の作用について、
図3及び
図4を用いながら、説明する。
図3は、実施例に係る検知補助架台を、
図1(a)におけるB方向と同一の方向から見た場合の矢視図であって、載置台が水平姿勢である場合を示したものである。
図4は、実施例に係る検知補助架台を、
図1(a)におけるB方向と同一の方向から見た場合の矢視図であって、載置台が水平に対して最大に傾斜した姿勢となっている場合を示したものである。なお、
図1及び
図2で示した構成要素については、
図3及び
図4においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図3及び
図4に示すように、検知補助架台1は、基台3の中央部5が、シュート壁60の周囲に設けられた床構造61(
図1,4参照)に対し、略直交するように設置されている。なお、シュート壁60は、鉛直方向Vに対して平行に設置されており、床構造61は水平方向Hに沿って設置されている。
【0035】
次に、位置変更構造4は、載置台2と、基台3の中央部5を連結し、側面視(例えば、
図2(a)におけるB方向からみた場合が該当する。)で、中央部5に対して載置台2がなす傾動角度θの大きさを変更可能な角度変更部材4Aである。より正確には、傾動角度θとは、中央部5のおもて面5bに対して載置台2の裏面2fがなす角度である。
そして、この角度変更部材4Aは、側面視で載置台2と基台3の間に設置される軸体8aを備える傾動部材8と、長尺部材9と、第1の係止部材10と、第2の係止部材11からなり、載置台2及び基台3を挟んで左右両側、すなわち、第2の端面2b側と、第4の端面2d側(
図2(b)参照)にそれぞれ設けられる。
【0036】
具体的には、傾動部材8は、載置台2の裏面2fと中央部5のおもて面5bとが交差する点の付近に配置される軸体8aと、この軸体8aに支持されて載置台2の裏面2fに固着されるプレート8bと、軸体8aに支持されて中央部5のおもて面5bに固着されるプレート8cからなるヒンジである。よって、傾動角度θは、プレート8bが、軸体8aの中心軸を中心として、プレート8cに対して傾動する角度に等しい。
【0037】
また、傾動部材8には、プレート8b,8c同士のなす傾動角度θが90度より小さくならないように、図示しないロック機構を備えていてもよい。この場合、載置台2の裏面2fにおいては、第3の端面2c寄りの高さ位置が、第1の端面2a寄りの高さ位置より低くなることはない。さらに、載置台2は、長尺部材9、第1の係止部材10及び第2の係止部材11のほか、傾動部材8によっても支持されるので、載置台2によって検知器53(
図1参照)が安定的に保持される。
次に、長尺部材9は、軸体8aの軸中心方向に直交する方向に沿って設置される。ここで、軸体8aの軸中心方向は幅方向W(
図2参照)と一致しているから、長尺部材9の長手方向は、基台3の奥行方向Dと平行をなしている。なお、具体的には、長尺部材9は、その内部に1個の長尺の貫通孔9aが形成された金属製の環状部材である。
【0038】
また、第1の係止部材10は、長尺部材9上の任意の第1の箇所9Aを載置台2に係止するための部材である。そして、第2の係止部材11は、第1の箇所9Aから離隔した長尺部材9上の第2の箇所9Bを基台3に係止するための部材である。
詳細には、
図2(a)に示すように、第1の係止部材10は、周面に雄ネジ部が刻設されたボルト10aと、このボルト10aに螺合するナット10bと、このナット10bと長尺部材9の間に取り付けられるワッシャー10cからなる。さらに、第2の係止部材11も、第1の係止部材10の場合と同形状のボルト11aと、ナット11bと、ワッシャー11cからなる。
【0039】
続いて、
図2乃至
図4に示すように、載置台2の裏面2fには、第2の端面2bと、第4の端面2d寄りに、それぞれ第1の係止部材10,10が係止される載置台係止部12,12が設けられる。また、基台3は、中央部5の両側端面5a,5a寄りのおもて面5bに、それぞれ第2の係止部材11,11が係止される基台係止部13,13が設けられる。
具体的には、載置台係止部12,12は、軸体8aの軸方向に対して直交する方向に沿って、載置台2の裏面2fにそれぞれ固着される四角形状の金属板であって、ボルト10aの先端が嵌め込まれて溶接固定されている。
また、基台係止部13,13は、軸体8aの軸方向に対して直交する方向に沿って、中央部5の両側端面5a,5a寄りのおもて面5bにそれぞれ固着される略三角形状の金属板であって、載置台係止部12,12と同様に、ボルト11aの先端が嵌め込まれて溶接固定されている。
【0040】
上記構成の検知補助架台1においては、
図3に示すように、作業者が、例えば、載置台係止部12及び基台係止部13に固定された複数のボルト10a,11aに螺合したナット10b,11bをそれぞれ締め付けると、第1の箇所9Aと第2の箇所9Bの間隔Lが一時的に一定となる。これにより、載置台2が中央部5に対して傾動不能に固定される。
また、
図4での実線で示すように、当初、検知器53(
図1参照)を水平に保持すべく載置台2の姿勢が固定されている場合、すなわち、水平方向Hと平行をなす裏面2fと、
図4での破線で示すように、載置台2の姿勢変化に伴い、水平方向Hに対して傾斜した裏面2fと、がなす角度差φの大きさは、最大で約15度程度である。
したがって、載置台2が傾動する前においては、傾動角度θが90度であり、角度差φは0度である。また、載置台2が最大に傾動した後においては、傾動角度θが約105度であり、角度差φは約15度である。ただし、長尺部材9の長さや載置台係止部12及び基台係止部13の位置を設計変更することで、角度差φが約15度以外になるように構成しても良い。
【0041】
よって、作業者が、例えば、第2の箇所9Bを移動させずに、第1の箇所9Aを長尺部材9の長手方向に沿って第1の箇所9A´へ移動させるとき、中央部5に対する載置台2の傾斜姿勢が変化する。この場合、長尺部材9上での第1の箇所9Aと第2の箇所9Bの各位置や、間隔Lは無段階で調整可能であるため、載置台2の傾斜姿勢も無段階で変化し得る。
【0042】
さらに、検知補助架台1の作用について、
図5を用いながら、より詳細に説明する。
図5(a)及び
図5(b)は、いずれも
図1(a)におけるB方向と同一の方向から見た場合の矢視図であって、
図5(a)は載置台が水平姿勢の場合、
図5(b)は載置台が水平に対して最大に傾斜した場合を示したものである。なお、
図1乃至
図4で示した構成要素については、
図5においても同一の符号を付して、その説明を省略する。また、開口部51の鉛直方向Vに沿った面の表示も省略する。
図5(a)及び
図5(b)は、いずれもパドル52がシュート壁60を超えてこぼれ出た詰まりの一部(図示せず)に押され、支軸52cを中心として同程度に傾動した状態を示している。また、×印は、アクチュエータ部57に内蔵された内部マイクロスイッチに検知信号を発生させるために、ストライカ54の先端54bが到達すべき位置である。
【0043】
図5(a)は、載置台2が水平方向Hに沿っており、傾動角度θが90度、角度差φが0度の場合を示したものである。この場合、載置部2の裏面2fと平行な面上に投影されたストライカ54の長さL
aが足りず、先端54bが×印に到達しない。そのため、検知器53は、詰まりの一部が開口部51からこぼれ出たことを検知できない。
これに対し、
図5(b)は、傾動角度θが約105度、角度差φが約15度の場合を示したものである。この場合、裏面2fと平行な面上に投影されたストライカ54の長さL
bは、
図5(a)における同長さL
aよりも長い。これは、載置台2を角度差φで傾斜させたことによって傾動軸55がシュート壁60に接近し、中心軸55aを中心としたストライカ54の傾動角度の大きさが増したためである。
その結果、先端54bが×印に到達可能となり、検知器53が詰まりの一部が開口部51からこぼれ出したことを検知できるようになる。
【0044】
以上説明したように、検知補助架台1によれば、検知器53が載置台2、基台3及び角度変更部材4Aを介して保持されており、シュート壁60に直接接触しないため、シュート壁60の振動の影響が検知器53に伝わり難い。これにより、検知器53に対する振動の影響が最小限に抑制されるので、検知器53の位置ずれや、故障を抑制することができる。
また、角度変更部材4Aのうち、作業者が長尺部材9の第1の箇所9Aと、第2の箇所9Bの間隔を調整することにより、載置台2の姿勢が変更されるため、パドル52に対する検知器53の位置を容易かつ正確に変更できる。このとき、載置台3の角度差φが無段階で変更されるため、検知器53の配置も無段階で調整可能となる。
したがって、検知補助架台1によれば、検知器53の姿勢をパドル52の傾斜姿勢に一層細かく適合させることができる。これにより、検知器53のストライカ54を確実にパドル52に接触させることが可能である。したがって、検知補助架台1によれば、パドル52とストライカ54間の位置関係の調整不足に起因した検知器53の作動不良を確実に解消可能であり、シュート内部で発生した詰まりに対する検知器53の検知精度を常に良好に維持することができる。
【0045】
また、奥行部6,6を、例えば三角形状や台形状にすると、基台3の中央部5をシュート壁60に対して傾斜させた状態で安定的に設置することが可能になる。したがって、シュート壁60以外の構造物の形状に応じて、異なる形状の基台3を設置することができる。そのため、例えば、シュート壁60の周面を取り囲んで設置される床構造が傾斜していたり、凹凸面を有していたりするために載置台2を安定的に設置困難な場合には、基台3を床構造以外の構造物に固定することで、載置台2を安定的に設置できる。
したがって、検知補助架台1によれば、基台2が設けられない場合と比較して、載置台2の設置位置の選択肢が増え、現場の個別事情に対応した検知器53の設置及び位置調整が可能となる。
【0046】
次に、実施例の第1及び第2の変形例に係る検知補助架台について、
図6を用いながら説明する。
図6(a)及び
図6(b)は、それぞれ実施例の第1及び第2の変形例に係る検知補助架台を、
図1(a)におけるB方向と同一の方向から見た場合の矢視図である。なお、
図1乃至
図5で示した構成要素については、
図6においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図6(a)に示すように、実施例の第1の変形例に係る検知補助架台14は、実施例に係る検知補助架台1を構成する角度変更部材4A,4Aに加えて、基台3の鉛直方向Vについての位置を変位させる昇降手段15,15を備える。この昇降手段15,15は、載置台2の第2の端面2b側と、第4の端面2d側(
図1(a)参照)にそれぞれ設けられる。さらに、昇降手段15は、例えば長尺の金属製のレール部16と、このレール部16を床構造61にそれぞれ固定するL字型の固定金具17からなる。
また、基台3を構成する取付部7,7の裏面7b,7bには、かぎ状の爪部7c,7cがそれぞれ形成される。
【0047】
詳細には、レール部16は、その長手方向が鉛直方向Vに沿って立設され、上端16a及び下端16bは、いずれも図示しないボルトによってシュート壁60に固定される。また、レール部16は、その長手方向に沿った中心軸上に、爪部7cが係止される複数の係止孔16cが一定間隔を空けて形成される。これ以外の検知補助架台14の構成は、実施例に係る検知補助架台1の構成と同様である。
【0048】
上記構成の検知補助架台14においては、載置台2を傾斜させてもストライカ54の先端54bが到達すべき位置(×印)に到達しない場合に、爪部7cをより下方の係止孔16cに移動させて係止することで、先端54bが×印に到達するようになる。
したがって、検知補助架台14によれば、昇降手段15により、載置台2の角度差φに影響を与えることなく、載置台2及び基台3の鉛直方向Vの高さ位置を変更可能である。よって、検知器53の鉛直方向位置を微調整してパドル52の傾斜状態に一層適切に対応させることができる。
また、基台3の鉛直方向Vの移動と、載置台2の傾斜姿勢を組み合わせることで、検知器53をパドル52に近づけたり、遠ざけたりすることが瞬時に可能となるため、検知器53の検知不良を手早く改善することができる。
【0049】
続いて、
図6(b)に示すように、実施例の第2の変形例に係る検知補助架台18は、検知補助架台1を構成する角度変更部材4A,4Aと、基台3を支持する昇降手段19,19に加えて、基台3の水平方向位置をシュート壁60に対して直交する方向に変位させる水平移動手段20,20を備える。昇降手段19,19と、水平移動手段20,20は、いずれも、載置台2の第2の端面2b側と、第4の端面2d側(
図1(a)参照)にそれぞれ設けられる。
昇降手段19は、その長手方向が鉛直方向Vに沿って立設されたレール部21と、このレール部21を水平移動手段20に連結する連結部22を備える。このうち、レール部21は、その長手方向に沿った中心軸上に、爪部7cが係止される複数の係止孔21aが一定間隔を空けて形成される。
【0050】
次に、水平移動手段20は、その短手方向の断面形状が、上部が開放された略箱形をなすレール部材であって、その底面が図示しないネジによって床構造61に固定されている。さらに、水平移動手段20は、その一方の側面に長尺の貫通孔20aが形成されている。
さらに、連結部22は、水平移動手段20の内部に収容される直方体形状の足部22aと、この足部22aの側面に貫通孔20aを通過してねじ込まれるネジ22bからなる。よって、作業者がネジ22bを締緩することにより、足部22aを水平移動手段20の任意の箇所に固定、またはスライドさせることができる。これ以外の検知補助架台18の構成は、実施例に係る検知補助架台1の構成と同様である。
【0051】
上記構成の検知補助架台18においては、載置台2を傾斜させ、かつ下降させてもストライカ54の先端54bが到達すべき位置(×印)に到達しない場合に、昇降手段19を水平移動手段20に沿ってシュート壁60へ接近させることで、先端54bが×印に到達するようになる。
したがって、検知補助架台18によれば、昇降手段19と、水平移動手段20により、載置台2の傾斜姿勢と、水平方向(基台3の奥行方向Dと一致する方向)位置と、鉛直方向V位置が同時かつ独立に変更可能となる。そのため、例えば、より早期に詰まりを検知したい場合や、床構造61と開口部51の相対的配置が多様な場合に対し、より柔軟に対応可能となる。
【0052】
なお、本発明に係る検知補助架台は、実施例に示すものに限定されない。例えば、検知補助架台1において、載置台2及び中央部5は、四角形以外の形状であっても良い。この場合においても、載置台係止部12及び基台係止部13は、いずれも軸体8aの軸方向に対して直交する方向に沿って設けられれば良い。
また、基台3の奥行部6,6の形状を台形状にすることや、奥行部6,6を省略することで、基台3の中央部5をシュート壁60に対して傾斜して設置することも可能である。そして、検知補助架台1は、鉛直方向Vに対して傾斜したシュート壁60や、床構造61は水平方向Hに対して傾斜した床構造61に対して設置されても良い。
さらに、検知補助架台14において、昇降手段15の代わりに、伸縮可能な多段筒体、パンタグラフ構造または多節リンク構造が使用されても良い。
このほか、検知補助架台18において、昇降手段19が省略されることで水平移動手段20が基台3に取り付けられても良く、水平移動手段20が載置台2の幅方向Wに対して平行に設置されても良い。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、シュートの内部で発生した石炭や他の鉱石といった落下物の詰まりを検知するための検知器を載置する検知補助架台として利用可能である。
【符号の説明】
【0054】
1…検知補助架台 2…載置台 2a…第1の端面 2b…第2の端面 2c…第3の端面 2d…第4の端面 2e…ネジ孔 2f…裏面 3…基台 4…位置変更構造 4A…角度変更部材 5…中央部 5a…側端面 5b…おもて面 6…奥行部 7…取付部 7a…ネジ孔 7b…裏面 7c…爪部 8…傾動部材 8a…軸体 8b,8c…プレート 9…長尺部材 9a…貫通孔 9A,9A´…第1の箇所 9B…第2の箇所 10…第1の係止部材 10a…ボルト 10b…ナット 10c…ワッシャー 11…第2の係止部材 11a…ボルト 11b…ナット 11c…ワッシャー 12…載置台係止部 13…基台係止部 14…検知補助架台 15…昇降手段 16…レール部 16a…上端 16b…下端 16c…係止孔 17…固定金具 18…検知補助架台 19…昇降手段 20…水平移動手段 20a…貫通孔 21…レール部 21a…係止孔 22…連結部 22a…足部 22b…ネジ 50…検知装置 51…開口部 51a…四角筒体 51b…内面 52…パドル 52a…上縁 52b…下縁 52c…支軸 53…検知器 54…ストライカ 54a…基端 54b…先端 55…傾動軸 55a…中心軸 56…本体 57…アクチュエータ部 60…シュート壁 61…床構造 70…石炭 71…詰まり