(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】ピッキングシステム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
B65G1/137 F
(21)【出願番号】P 2020143131
(22)【出願日】2020-08-27
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】西本 陽平
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 敦史
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-156647(JP,A)
【文献】特開2007-169069(JP,A)
【文献】国際公開第2018/030189(WO,A1)
【文献】特開2020-15576(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数物品の集合体を撮影する撮像装置と、
撮影画像に含まれる個々の物品を対象物品であるか又は非対象物品であるかを判別する物品認識処理と、対象物品であることを示す対象マークを前記撮影画像の対象物品上に付加することでピッキング指示画像を作成するピッキング指示画像作成処理と、を実行する制御装置と、
前記ピッキング指示画像を表示する表示装置と、
を備え、
前記制御装置は、ピッキング指示画像作成処理において、同一対象物品の要求数量と前記集合体に含まれる同一対象物品の数量とを比較し、前記要求数量の方が多い場合は、作業途中を示す作業途中マークをさらに前記撮影画像上の前記同一対象物品上に付加する、ピッキングシステム。
【請求項2】
前記制御装置は、
前の処理対象である集合体において同一対象物品の要求数量が当該集合体に含まれる同一対象物品の数量より多かった場合、現在の処理対象である集合体において前記同一対象物品の要求数量が当該集合体に含まれる同一対象物品の数量と同じか又は少なければ、作業完了マークを前記撮影画像の前記同一対象物品上に付加し、
前記作業途中マークは、前記作業完了マークの一部分となる、請求項1に記載のピッキングシステム。
【請求項3】
前記作業完了マークは円形状であり、前記作業途中マークは半円形状である、請求項2に記載のピッキングシステム。
【請求項4】
前記制御装置は、ピッキング指示画像作成処理において、前記作業途中マークを前記対象マークに重ねるように前記撮影画像に付加する、請求項1~3のいずれかに記載のピッキングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピッキングシステム、特に、作業者が表示装置に表示された指示に従って物品をピッキングするものに関する。
【背景技術】
【0002】
ピッキングシステムでは、例えば、物品がコンベヤで搬送されてくる作業ステーションにおいて、作業者が必要な物品を取り出して移し替える作業を行う(例えば、特許文献1を参照)。
特許文献1に記載のピッキングシステムでは、ピッキング指示がディスプレイ161に表示され、作業者はその内容を見ながらピッキングを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近、拡張現実(AR:Augmented Reality)技術(以下、AR技術)を用いて、ピッキング指示情報を現実又は仮想現実に追加して提示するピッキングシステムが開発されている。
ピッキングシステムにおいてAR技術を利用するためには、作業者がAR技術のピッキング指示画面において物品を容易に認識できる必要がある。しかし、従来、そのような技術は十分には開発されてこなかった。
【0005】
本発明の目的は、ピッキングシステムにおいて、ピッキング作業者に分かりやすい表示を行うことでピッキング能力を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0007】
本発明の一見地に係るピッキングシステムは、撮影装置と、制御装置と、表示装置とを備えている。
撮影装置は、複数物品の集合体を撮影する。
制御装置は、撮影画像に含まれる個々の物品を対象物品であるか又は非対象物品であるかを判別する物品認識処理と、対象物品であることを示す対象マークを撮影画像の対象物品上に付加することでピッキング指示画像を作成するピッキング指示画像作成処理と、を実行する。
表示装置は、ピッキング指示画像を表示する。
制御装置は、ピッキング指示画像作成処理において、同一対象物品の要求数量と集合体に含まれる同一対象物品の数量とを比較し、要求数量の方が多い場合は、作業途中を示す作業途中マークをさらに撮影画像上の同一対象物品上に付加する。
このシステムでは、作業途中マークで示すことによって、作業者は、ピッキング作業をしながら作業途中である(例えば、1つのオーダ完成のためにさらに後の集合体からのピッキングが必要である)ことを認識できる。その結果、作業者がピッキングした物品を誤って梱包するなどの無駄な動きを防げる。それに対して、従来であれば、複数のパレットから物品をピッキングする必要がある場合、作業者が表示装置だけを見て作業していると、当該物品が複数のパレットに分かれていることを認識できなかった。
【0008】
制御装置は、前の処理対象である集合体において同一対象物品の要求数量が当該集合体に含まれる同一対象物品の数量より多かった場合、現在の処理対象である集合体において同一対象物品の要求数量が当該集合体に含まれる同一対象物品の数量と同じか又は少なければ、作業完了マークを撮影画像の同一対象物品上に付加してもよい。
なお、「同一対象物品の要求数量」は、1度目のピッキングでは初期の要求数量(1オーダの全数量)であるが、2度目以降のピッキングではそれより前のピッキングによって処理された数を引いた残りの要求数量である。
作業途中マークは、作業完了マークの一部分となっていてもよい。
このシステムでは、作業途中マークを作業完了マークの一部となる形状することで、小さいマークであっても説明を見るまでもなく作業途中であることを作業者が直感的に理解できる。なお、「作業完了マークの一部分」とは、形状、色彩、模様等に関して作業途中マークと作業完了マークが互いに異なることで、作業途中マークが作業完了マークの一部分として認識可能であることを意味する。
【0009】
作業完了マークは円形状であり、作業途中マークは半円形状であってもよい。
このシステムでは、作業完了マークを円として作業途中マークを半円とすることで、さらに小さい表示であっても見やすく表示できる。
【0010】
制御装置は、ピッキング指示画像作成処理において、作業途中マークを対象マークに重ねるように撮影画像に付加してもよい。
このシステムでは、作業途中マークが小さくても分かりやすいマークであるので、ピッキング対象品であることを示す対象マークに重ねて表示できる。その結果、作業者は視線を動かさずに作業途中マークを視認できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るピッキングシステムでは、ピッキング作業者に分かりやすい表示を行うことでピッキング能力が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態の自動倉庫システムの概略平面図。
【
図5】ピッキングステーションの制御構成を示すブロック図。
【
図6】ピッキングステーションの制御動作を示すフローチャート。
【
図7】ピッキング指示画像を作成する制御動作を示すフローチャート。
【
図9】撮影画像にマークが付されたピッキング指示画像の一例。
【
図10】撮影画像にマークが付されたピッキング指示画像の一例。
【
図12】ピッキング指示画像においてラベルの上に付されたマークを示す図。
【
図13】ピッキング指示画像においてラベルの上に付されたマーク(作業途中マークあり)を示す図。
【
図14】ピッキング指示画像においてラベルの上に付されたマーク(作業完了マークあり)を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.第1実施形態
(1)自動倉庫システムの基本構成
図1~
図4を用いて、自動倉庫システム1の基本構成を説明する。
図1は、第1実施形態の自動倉庫システムの概略平面図である。
図2は、ピッキングステーションの概略斜視図である。
図3は、ピッキングステーションの概略側面図である。
図4は、作業エリア付近の概略平面図である。なお、
図1の左右方向を第1方向(矢印X)とし、
図1の上下方向を第2方向(矢印Y)とする。
【0014】
自動倉庫システム1は、第1自動倉庫2A、第2自動倉庫2B、第1ピッキングステーション4A、及び第2ピッキングステーション4Bを有している。
第1自動倉庫2A及び第2自動倉庫2Bは、第1方向に並んで第2方向に延びている。
第1ピッキングステーション4Aは、第1自動倉庫2Aの第2方向端部に配置されている。第2ピッキングステーション4Bは、第2自動倉庫2Bの第2方向端部に配置されている。第1ピッキングステーション4A及び第2ピッキングステーション4Bは第1方向に隣接している。
【0015】
(2)自動倉庫
第1自動倉庫2Aは、一対のラック81と、スタッカクレーン83とを有している。一対のラック81は、複数の棚部81aを有している。棚部81aは第2方向及び上下方向並んで多数設けられている。
スタッカクレーン83は、長方形のパレットPを一対のラック81に沿って搬送する。スタッカクレーン83は、公知の技術であり、走行部、昇降部、移載部を有している。移載部は、スライドフォーク83aであり、パレットPをスタッカクレーン83に積み込んだり、スタッカクレーン83から下ろしたりなどの移載動作を行う。
なお、パレットPは、
図4に示すように、第1辺P1が第2辺P2よりも長い長方形状で、物品Aを第1辺P1に沿って一列に並べて載置する(後述)ためのものである。スタッカクレーン83は、第1辺P1が奥行方向となるように、パレットPをラック81の棚部81aに格納する。
【0016】
(3)ピッキングステーション
最初に、第1ピッキングステーション4A(ピッキングシステムの一例)を説明する。
第1ピッキングステーション4Aは、作業者Wが物品をピッキングするのを支援する施設である。特に、第1ピッキングステーション4Aは、AR技術により、物品Aが混載されたパレットPからのピッキングを支援する施設である。なお、本実施形態でのピッキングとは、パレットPに積載された複数の物品A(物品の一例)を取り出して、出荷用パレット(図示せず)に載置することをいう。
物品Aは、例えば、段ボール箱である。なお、以下の説明では、一般的又は全体的な説明においては「物品A」とし、個別のものについては例えば「物品A1、A2、・・・」とする。なお、パレットPには同じ種類の荷物だけが複数個載置されることもあれば複数種類の荷物が複数個ずつ載置されることもある。
図8の例ではA1A2は同じ種類で合計2個、A3、A4はそれぞれ別の種類で1個ずつがパレットに載置されている。なお、同じ大きさのダンボール箱でも、中身が異なる場合は別の種類である。
【0017】
コンベヤ6は、第1自動倉庫2Aから出庫されたパレットPを作業エリア9(後述)近傍まで搬送し、そこからパレットPを第1自動倉庫2Aに入庫するために搬送する装置である。コンベヤ6は、供給コンベヤ3と、作業コンベヤ5と、搬出コンベヤ7とを備えている。
【0018】
供給コンベヤ3は、複数の物品Aが搭載されたパレットPを作業コンベヤ5に供給するために第1自動倉庫2Aから出庫するコンベヤである。具体的には、供給コンベヤ3は、ラック81の端部に配置されている。具体的には、供給コンベヤ3は、第2方向に延びており、スタッカクレーン83からパレットPを受け取ってラック81の延設方向と平行にパレットPを搬送する。具体的には供給コンベヤ3のリフタ(図示せず)を介して、スタッカクレーン83がパレットPを移載する。なお、供給コンベヤ3は、チェーンコンベヤであるが、ローラコンベヤ、ベルトコンベヤであってもよい。
【0019】
作業コンベヤ5は、供給コンベヤ3と搬出コンベヤ7(後述)との間に配置されている。作業コンベヤ5は、第1方向に延びており、供給コンベヤ3と搬出コンベヤ7とをそれらと直交する方向に接続している。つまり、作業コンベヤ5は、供給コンベヤ3の搬送方向下流側に接続され、搬出コンベヤ7の搬送方向上流側に配置されている。
作業コンベヤ5は、ピッキングが行われるピッキングポイント5a(物品A及びパレットPが載置される場所)を有している。ピッキングポイント5aは、コンベヤ6と接続しており、具体的には、作業コンベヤ5の搬送方向下流側の端であって搬出コンベヤ7に連続する位置に設けられている。このようにすると作業コンベヤ5及び供給コンベヤ3にピッキング待ちのパレットPを溜めておくことができる。なお、作業コンベヤ5は、本実施形態では、転換コンベヤとチェーンコンベヤの組み合わせからなるが、フリーローラ、ローラコンベヤ、ベルトコンベヤであってもよい。
【0020】
作業エリア9は、作業コンベヤ5に隣接して設けられ、作業者Wがピッキング作業を行う領域である。作業エリア9は、作業コンベヤ5に対して、第2方向の一方側(具体的には、第1自動倉庫2A側と反対側)に配置されている。作業コンベヤ5のピッキングポイント5aでは、パレットPの第1辺P1が第1方向に延びており、作業エリア9(後述)の作業者Wから見て手前側にある。
なお、パレット載置部は、供給コンベヤ3及び搬出コンベヤ7の端部に配置されてもよい。
【0021】
搬出コンベヤ7は、複数の物品Aが搭載されたパレットPを作業コンベヤ5から搬出して、第1自動倉庫2Aへ入庫するコンベヤである。具体的には、搬出コンベヤ7は、第2方向に延びており、つまり供給コンベヤ3と平行に延びている。搬出コンベヤ7は、ラック81の端部に配置され、ラック延設方向と平行にパレットPを搬送してスタッカクレーン83へパレットPを受け渡す。具体的には、搬出コンベヤ7のリフタ(図示せず)を介して、スタッカクレーン83がパレットPを移載する。なお、搬出コンベヤ7は、供給コンベヤ3の第1方向内側(第2ピッキングステーション4Bに隣接する側)に配置されている。
上記のように、コンベヤ6はコの字形に配置されている。つまり、供給コンベヤ3及び搬出コンベヤ7は、作業コンベヤ5から第2方向奥側に延びている。
上記のように、第1ピッキングステーション4Aでは、コンベヤ6をコの字状に配置して、その途中のパレットPの第1辺P1が向く位置の手前側を作業エリア9としている。したがって、省スペースでかつ能力の高いピッキングシステムが実現される。
【0022】
なお、物品Aを第1自動倉庫2Aに入庫する時には、作業者Wは、空のパレットPがピッキングポイント5aへ到着すると、物品AをパレットPの第1辺P1に沿って一列に並べて載置する。このとき、作業者Wは、物品Aをラベル41が貼りつけられた面を手前側にし、手前詰めでパレットPに積載する。これにより、物品Aのラベル41が貼られた面が全て同じ側に向けられる。
【0023】
第1ピッキングステーション4Aは、カメラ10を有している。カメラ10は、ピッキングポイント5aに載置された物品Aを撮影する。カメラ10は、作業者Wがピッキング作業を実行する側に配置され、より具体的には、作業エリア9よりさらに第2方向の前記一方側に配置されている。
具体的には、カメラ10は、フレーム14(
図3)に装着されている。カメラ10は、第2方向において奥側を向いており、作業コンベヤ5のピッキングポイント5aにおける物品Aを撮影可能である。カメラ10の撮影画像は、例えば、動画である。
カメラ10の位置が作業コンベヤ5の作業エリア9と反対側の位置であるので、作業者Wの邪魔にならない。カメラ10は、具体的には、作業者Wの背面側に配置されている。
カメラ10は、作業者Wの背よりも高い位置に設けられて斜め下方に向いている。したがって、カメラ10が作業の邪魔になりにくい。具体的には、物品Aをピッキングポイント5aから運び出す作業の邪魔になりにくい。
【0024】
カメラ10は、ピッキングポイント5aに位置する全ての物品Aを撮影する。具体的には、カメラ10は、ピッキングポイント5aに載置されたパレットPを第1辺P1が手前となる方向に撮影する。言い換えれば、パレットPの第1辺P1を手前として端から端まで全体が撮影できる位置に、カメラ10を設置している。
図4に示すように、ピッキングポイント5aにおいては、物品Aのカメラ10側には、ラベル41が貼られている。ラベル41には、
図11に示すように、商品情報43と、QRコード45(登録商標)が印刷されている。なお、
図11は、ラベルの正面図である。
【0025】
第1ピッキングステーション4Aは、ディスプレイ13(表示装置の一例)を備えている。ディスプレイ13は、ピッキング指示画像75(後述)を表示する装置である。本実施形態では、ディスプレイ13は、作業エリア9に配置されており、つまりピッキングポイント5aの近傍に配置されている。以上より、作業者Wはディスプレイ13を見ながら物品Aをピッキング可能である。
なお、表示装置として、例えば、ヘッドマウントディスプレイが用いられてもよい。
【0026】
第2ピッキングステーション4Bを説明する。第2ピッキングステーション4Bは、第1ピッキングステーション4Aと同じ構成であるので、詳細な説明は省略される。
第2ピッキングステーション4Bの搬出コンベヤ7は、供給コンベヤ3の第1方向内側(第1ピッキングステーション4Aに隣接する側)に配置されている。つまり、2つの搬出コンベヤ7がそれぞれ2つの供給コンベヤ3の隣接方向内側に配置されている。すなわち、第1自動倉庫2Aの搬出コンベヤ7は第2自動倉庫2Bに近い側に配置されており、第1自動倉庫2Aの供給コンベヤ3は第2自動倉庫2Bよりも遠い側に配置されており、第2自動倉庫2Bの搬出コンベヤ7は第1自動倉庫2Aに近い側に配置されており、第2自動倉庫2Bの供給コンベヤ3は第1自動倉庫2Aよりも遠い側に配置されている。上記の構成に加え、さらにピッキングポイント5aが両搬出コンベヤ7の端部に配置されているので、2つの作業エリア9を隣接配置でき、そのため1人の作業者Wが第1ピッキングステーション4A及び第2ピッキングステーション4Bで交互に作業を行うことができる。
【0027】
(4)ピッキングステーションの制御構成
図5を用いて、第1ピッキングステーション4Aの制御構成を説明する。
図5は、ピッキングステーションの制御構成を示すブロック図である。
第1ピッキングステーション4Aは、コントローラ51(制御装置の一例)を有している。
コントローラ51は、プロセッサ(例えば、CPU)と、記憶装置(例えば、ROM、RAM、HDD、SSDなど)と、各種インターフェース(例えば、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、通信インターフェースなど)を有するコンピュータシステムである。コントローラ51は、記憶部(記憶装置の記憶領域の一部又は全部に対応)に保存されたプログラムを実行することで、各種制御動作を行う。
コントローラ51は、単一のプロセッサで構成されていてもよいが、各制御のために独立した複数のプロセッサから構成されていてもよい。
コントローラ51の各要素の機能は、一部又は全てが、コントローラ51を構成するコンピュータシステムにて実行可能なプログラムとして実現されてもよい。その他、コントローラ51の各要素の機能の一部は、カスタムICにより構成されていてもよい。
【0028】
コントローラ51は、QRコード処理部53と、画像処理部55と、画像形成部57とを有している。
QRコード処理部53は、撮影画像から物品Aを認識する。具体的には、本実施形態では、物品認識は、撮影画像の中に含まれるQRコード45を読み取り、サーバ(図示せず)に照会し、物品Aの情報(ピッキング対象であるか否か、ピッキング対象の場合に種類)を入手することで行われる。なお、物品認識は、外形情報、例えば、物品Aの外面に記載された文字や物品Aのサイズに基づいて行われてもよい。なお、この際に、画像内のQRコードの位置も認識される。
画像処理部55は、カメラ10による撮影中の動画から静止画を撮影画像71(
図8)として作成する。
【0029】
画像形成部57は、撮影画像71にピッキング指示情報の一種としてのマーク73Aを撮影画像71(
図8)に付加することで、ピッキング指示画像75(
図9、
図10)を作成する。つまり、全ての物品Aが映っている撮影画像71を元に、ピッキング指示画像75が作成される。なお、
図9及び
図10は、撮影画像にマークが付されたピッキング指示画像の一例である。
ピッキング指示画像75は、マーク73Aに含めて又はそれ以外に、出庫されてきたパレットPについてのピッキング対象の物品Aの品種、数量等のピッキング指示情報を含む。
【0030】
マーク73Aは、ピッキング対象の物品Aを視覚的に教示するものである。マーク73Aは、例えば、
図12に示すように、ラベル41に重ねられた色である。なお、
図12は、ピッキング指示画像においてラベルの上に付されたマークを示す図である。
具体的には、
図12に示すように、マーク73Aは、ラベル41全体に付された半透明の色であり、さらにQRコード45を塗りつぶした四角部分73A1を有している。
なお、コントローラは、物品認識処理では、個々の物品を認識することで、物品の種類ごとに作業途中か否かを判断してもよい。その場合、ピッキング指示画像作成処理では、同じ種類の物品に対して作業途中マークを撮影画像に付加する。基本マークは物品の種類ごとに変わるが、作業途中マークは共通となる。この場合、作業者は、物品の種類ごとに作業途中か否かを判断できる。
【0031】
マークは、ピッキング対象である物品Aの一部又は全体に重ねて表示された色や枠であってもよい。
マークは、ピッキングする段ボール箱を示す矢印や他の記号でもよい。
マークは、ピッキング指示情報として、数量や品名も含んでいてもよい。
なお、マーキング方法は任意であり、ピッキング指示情報の内容も任意である。
【0032】
コントローラ51には、図示しないが、パレットP及び物品Aの大きさ、形状及び位置検出するセンサ、各装置の状態を検出するためのセンサ及びスイッチ、並びに情報入力装置が接続されている。
コントローラ51には、ディスプレイ13が接続されている。
【0033】
コントローラ51には、
図5に示すように、操作端末61、タッチスキャナ63が接続されている。操作端末61には、1つのパレットPからのピッキングが終了した時に押される完了ボタン(図示せず)が設けられている。
さらに、コントローラ51には、供給コンベヤ3、作業コンベヤ5及び搬出コンベヤ7をそれぞれ駆動するコンベヤ駆動部(図示せず)がそれぞれ接続されている。
【0034】
(5)ピッキングステーションの制御動作
図6を用いて、第1ピッキングステーション4Aの制御動作を説明する。
図6は、ピッキングステーションの制御動作を示すフローチャートである。
以下に説明する制御フローチャートは例示であって、各ステップは必要に応じて省略及び入れ替え可能である。また、複数のステップが同時に実行されたり、一部又は全てが重なって実行されたりしてもよい。
さらに、制御フローチャートの各ブロックは、単一の制御動作とは限らず、複数のブロックで表現される複数の制御動作に置き換えることができる。
なお、各装置の動作は、コントローラ51から各装置への指令の結果であり、これらはソフトウェア・アプリケーションの各ステップによって表現される。
【0035】
ステップS1では、パレットPが作業コンベヤ5のピッキングポイント5aに到着するのを待つ。具体的には、パレットPは、供給コンベヤ3によって第1自動倉庫2Aから出庫されてきて、次に作業コンベヤ5がピッキングポイント5aまで搬送する。
ステップS2では、カメラ10がパレットPに載っている複数の物品Aの前面を撮影する。なお、その後、画像処理部55が、撮影中の動画から静止画としての撮影画像71を作成する。撮影画像71は、
図8に示すように、パレットPに載っている複数の物品Aの前面を表示している。
図8は、撮影画像の一例である。なお、撮影画像71内に描かれた符号及び引き出し線は、撮影画像71に含まれていない。
【0036】
ステップS3では、QRコード45に基づく物品認識が行われる。具体的には、QRコード処理部53が、撮影画像内のQRコード45から各物品Aを識別し、次にサーバ(図示せず)に照会することで、物品Aに関連する情報(ピッキング対象か否か、ピッキング対象の場合に種類)を入手する。
ステップS4では、ピッキング指示画像75(
図9及び
図10)が作成される。具体的には、画像形成部57が、対象物品Aに合わせて作成されたマーク73Aを撮影画像71に重ねることで、ピッキング指示画像75を作成する。なお、
図9及び
図10のピッキング指示画像75内に描かれた符号及び引き出し線は、ピッキング指示画像75に含まれていない。
【0037】
マーク73Aは、
図9に示すように、ラベル41に付された色である。
図9では、マーク73Aは、物品A1と物品A2に付されている。
【0038】
ステップS5では、
図9又は
図10に示すように、ピッキング指示画像75が表示される。具体的には、ピッキング指示画像75がディスプレイ13に送られて、そこに表示される。
ステップS6では、作業者Wがピッキングした物品のQRコード45をタッチスキャナ63でスキャンしたか否かが判断される。作業者WがQRコード45をスキャンしたタイミングでピッキング完了とみなす。作業者Wは、スキャン後に、物品Aを出荷用パレット(図示せず)に積み付ける。
【0039】
ステップS7では、現在のパレットに積まれた荷物のピッキングが終了したか否かが判断される。具体的には、コントローラ51が、現在のパレットPに積まれたピッキング対象の物品Aが全てピッキングされたか否か(例えば、完了ボタン(図示せず)が押されたか否か)を判断する。完了すればプロセスはステップS8に移行し、ディスプレイ13に完了が表示される。完了していなければプロセスはステップS2に戻り、次のピッキング指示画像75をディスプレイ13に表示する動作を実行する。
ステップS9では、未ピッキング物品があるか否かが判断される。具体的には、コントローラ51が、1オーダ内のピッキング対象の物品Aで未だピッキングされていないものがあるか(ピッキング対象の物品Aが次以降のパレットPに載っているか)否かを判断する。未だピッキングされていないものがあればプロセスはステップS1に戻り、未だピッキングされていないものがなければプロセスは終了する。
【0040】
以上のように、コントローラ51は、物品認識処理及びピッキング指示画像作成処理を所定間隔で繰り返し実行する。したがって、リアルタイムでピッキング指示画像75が更新される。
【0041】
(6)ピッキング指示画像を作成する制御動作
図7を用いて、ステップS4のピッキング指示画像を作成するステップを詳細に説明する。
図7は、ピッキング指示画像を作成する制御動作を示すフローチャートである。なお、
図7は、同一物品ごとに実行される。
【0042】
(6-1)マークの種類
図12~
図14を用いて、対象物品のうち、以下の種類によって異なるマークが付加されることを説明する。なお、
図13は、ピッキング指示画像においてラベルの上に付されたマーク(作業途中マークあり)を示す図である。
図14は、ピッキング指示画像においてラベルの上に付されたマーク(作業完了マークあり)を示す図である。
(6-1-1)作業途中となることがない物品
この物品は、1オーダに含まれる全ての同一物品が1つのパレットPに積まれている場合の当該物品である。
この物品に関しては、
図12に示すように、通常のマーク73A(後述する作業途中マークや作業完了マークが付加されていないもの)が物品Aに付加される。また、このマーク73Aは、
図9の物品A3に付加されている。
【0043】
(6-1-2)作業途中の物品
「作業途中の物品」とは、同一対象物品の要求数量が集合体に含まれる同一対象物品の数量より多い場合の当該物品である。言い換えると、この物品は、1オーダに含まれるピッキング対象の物品の数量が現在のパレットPに積まれている数量では足りず、後続のパレットPから積む必要がある場合の物品である。なお、「集合体」とは、例えば1枚のパレットPに積まれている物品の集合である。
この物品に関しては、
図13に示すように、マーク73Aは、ラベル41全体に付された半透明の色であり、さらにQRコード45を塗りつぶした四角部分73A1を有している。さらに、マーク73Aは作業途中マーク91を有している。作業途中マーク91は、付加された物品が作業途中の物品であることを示す。上記のように、作業途中マーク91は、マーク73Aに重ねて又は一部として設けられており、より具体的には四角部分73A1上に付加されている。
なお、このマーク73Aは、
図9の物品A1、A2に付加されている。
【0044】
(6-1-3)作業完了の物品
「作業完了の物品」は、1オーダにおいて最初又は2度目以後のピッキングにおいて、同一対象物品の要求数量が当該集合体に含まれる同一対象物品の数量と同じか又は少ない場合の当該物品である。なお、「同一対象物品の要求数量」は、1度目のピッキングでは初期の要求数量であるが、2度目以降のピッキングではそれより前のピッキングによって処理された物品の数を引いた残りの要求数量である。言い換えると、この物品は、1オーダにおいてピッキング対象の物品Aの残り全てが現在のパレットPに積まれている場合の当該物品である。
この物品に関しては、
図14に示すように、マーク73Aは、ラベル41全体に付された半透明の色であり、さらにQRコード45を塗りつぶした四角部分73A1を有している。さらに、マーク73Aは、作業完了マーク93を有している。作業完了マーク93は、前のパレットPにおいては作業途中であったが現在のパレットPでは作業途中ではなくなっていることを示す。上記のように、作業途中マーク91は、マーク73Aに重ねて又は一部として設けられており、より具体的には四角部分73A1上に付加されている。
なお、このマーク73Aは、
図10の物品A6に付加されている。
【0045】
(6-1-4)作業途中マーク及び作業完了マークの詳細説明
作業途中マーク91は
図13に示すように半円形状である。作業完了マーク93は
図14に示すように円形状である。このように、作業途中マーク91は、作業完了マーク93の一部分となる形状である。したがって、小さいマークであっても説明を見るまでもなく作業途中マーク91を見れば作業者Wが作業途中であることを直感的に理解できる。
【0046】
作業途中マーク及び作業完了マークの形状、色、位置は特に限定されない。
作業途中マーク及び作業完了マークとマーク全体との位置関係、形状同士の組み合わせ、色の組み合わせ等は任意である。
【0047】
(6-2)制御動作
図7において、ステップS11では、同一対象物品の要求数量と集合体に含まれる同一対象物品の数量とが比較される。「要求数量>パレットP上にある数量」であれば、プロセスはステップS12に移行する。「要求数量<=パレットP上にある数量」であれば、プロセスはステップS13に移行する。
【0048】
ステップS12では、
図9及び
図12に示すように、作業途中マーク91が撮影画像71上の同一対象物品A上に付加される。具体的には、作業途中マーク91はマーク73Aに重ねて又は一部として表示される。
ステップS13では、前回までに搬入されたパレットP上の物品Aに当該同一物品の作業途中の物品があったか否かが判断される。作業途中の物品がなかったならば(つまり、物品Aが前のパレットPにおいて作業途中の物品でなければ)、プロセスはステップS14に移行し、作業途中の物品があったならばプロセスはステップS15に移行する。
【0049】
ステップS14では、マーク73Aが撮影画像に付加されるが、作業途中マーク91も作業完了マーク93も付加されない。
ステップS15では、
図10及び
図13に示すように、作業完了マーク93が撮影画像の同一対象物品上に付加される。具体的には、作業完了マーク93は、マーク73Aに重ねて又は一部として表示される。
【0050】
(6-3)変形例
(6-3-1)制御動作の変形例
最初に作業途中の物品に関連する物品(作業途中の物品及び作業完了の物品)であるか否かを判断して、次に作業途中の物品であるか又は作業完了の物品であるかを判断してもよい。
ステップS13及びステップS15を省略して、ステップS11において「要求数量<=パレット上にある数量」であれば、作業完了マークがないマークを撮影画像に付加するようにしてもよい。この場合、作業完了マークは用いられないことになる。
【0051】
(6-3-2)作業途中マークの変形例
作業途中マークは、作業完了マークの一部分でなくてもよい。
作業途中マークは、マークに重ねられなくてもよい。
【0052】
(6-4)効果
この第1ピッキングステーション4Aでは、作業途中マーク91で示すことによって、作業者Wは、ピッキング作業をしながら作業途中である(例えば、1つのオーダ完成のためには、さらに後のパレットPに積まれた物品からのピッキングが必要である)ことを認識できる。その結果、作業者Wが物品を誤って梱包するなどの無駄な動きを防ぐことができる。それに対して、従来であれば、複数のパレットから物品をピッキングする必要がある場合、作業者Wが表示装置だけを見て作業していると、当該物品が複数に分かれていることを認識できなかった。
【0053】
上記のように作業途中マーク91又は作業完了マーク93は、マーク73Aに重ねて表示される。このようにマーク73Aに重ねて表示できるのは、作業途中マーク91又は作業完了マーク93又は小さくても分かりやすいマークだからである。以上の結果、作業者は視線を動かさずに作業途中マーク91又は作業完了マーク93を視認できる。
【0054】
(7)マークの変形例
図15~
図22を用いて、マークの変形例を説明する。
図15~
図22は、マークの一パターンを示す図である。
各図では、上から順番に、外箱ごとピッキングを行う場合のマーク73A(作業途中マーク、作業完了マークなし)、外箱ごとピッキングを行う場合のマーク73A(作業完了マークあり)、マーク73A(作業途中マークあり)、内容物(外箱に収納された複数の物品)のピッキングを行う場合のマーク73B(作業完了マークあり)、内容物のピッキングを行う場合のマーク73B(作業途中マークあり)が示されている。
各図では、内容物のピッキングを行う場合のマーク73B(図下の2つ)は、マーク73A(図上の3つ)とは異なっている。具体的には、マーク73Bは、ラベル41全体に付された色であり、さらにQRコード45に上から重ねられた枠線三角形73B1を有している。
この変形例では、外箱ごとピッキングを行う場合と内容物(外箱に収納された複数の物品)のピッキングを行う場合で異なるマークが画像に付加されるので、作業者Wが、これから行う作業を、文字を読むことなく即座に認識できる。具体的には、作業者Wは、四角部分73A1を見れば外箱ごとピッキングを行う第1物品であると判断でき、枠線三角形73B1を見れば内容物(外箱に収納された複数の物品)のピッキングを行う第2物品であると判断できる。
【0055】
さらに、マーク73Bは、ピッキング指示情報として、ピッキングする物品の予定数73B2を有している。
さらに、マーク73Bは、ピッキングする物品Aの残数73B3を含んでいる。つまり、コントローラ51は、ピッキング指示画像作成処理において、ピッキングを行った後に残る物品Aの残数73B3を、ピッキング指示画像75のマーク73の近傍に付加する。
【0056】
この実施形態では、ピッキングを行った後に残る物品Aの残数73B3がピッキング指示画像75のマーク73B近傍に付加されているので、作業者WがパレットP上に残る物品を見ることで作業者Wがピッキングミス(例えば、少なくピッキングしている、多くピッキングしている)を認識できる可能性を高くできる。
一方、マーク73Aには、ピッキングする物品の残数は付加されない。つまり、外箱ごとピッキングを行う場合は、マーク73Aの四角部分73A1によってそのことを確認できるので、その場合は表示を簡略化して作業者Wの理解を早くできる。
【0057】
(7-1)第1変形例
図15では、第1実施形態と同様に、作業途中マーク91が半円形状であり、作業完了マーク93が円形状である。
【0058】
(7-2)第2変形例
図16では、作業途中マーク91Aが中抜き円形状であり、作業完了マーク93Aが円形状である。この場合も、作業途中マーク91Aは、作業完了マーク93Aの一部分となっている。
【0059】
(7-3)第3変形例
図17では、作業途中マーク91Bが長方形であり、作業完了マーク93Bが正方形である。この場合も、作業途中マーク91Bは、作業完了マーク93Bの一部分となっている。
【0060】
(7-4)第4変形例
図18では、作業途中マーク91Cが白地星印であり、作業完了マーク93Cが色つき星印である。この場合も、作業途中マーク91Cは、作業完了マーク93Cの一部分となっている。
【0061】
(7-5)第5変形例
図19では、作業途中マーク91Dが2つの星印(一つが白地、一つが色つき)であり、作業完了マーク93Dが2つの星印(二つとも色つき)である。
作業途中マーク91D及び作業完了マーク93Dは、四角部分73A1又は枠線三角形73B1の図下方に設けられている。
この場合も、作業途中マーク91Dは、作業完了マーク93Dの一部分となっている。
【0062】
(7-6)第6変形例
図20では、作業途中マーク91Eが2つの星印(一つが白地、一つが色つき)であり、作業完了マーク93Eが2つの星印(二つとも色つき)である。
作業途中マーク91E及び作業完了マーク93Eは、四角部分73A1又は枠線三角形73B1の図上方に設けられている。
この場合も、作業途中マーク91Eは、作業完了マーク93Eの一部分となっている。
【0063】
(7-7)第7変形例
図21では、作業途中マーク91Fが3つの丸印(一つが色つき、二つが白地)であり、作業完了マーク93Fが3つの丸印(三つとも色つき)である。作業途中マーク91F及び作業完了マーク93Fは、四角部分73A1又は枠線三角形73B1の図上方に設けられている。
この場合も、作業途中マーク91Fは、作業完了マーク93Fの一部分となっている。
【0064】
2.実施形態の特徴
前記実施形態は下記のようにも説明できる。
第1ピッキングステーション4A(ピッキングシステムの一例)は、カメラ10と、コントローラ51と、ディスプレイ13とを備えている。
カメラ10(撮影装置の一例)は、複数物品A(物品の一例)の集合体を撮影する。
コントローラ51(制御装置の一例)は、撮影画像71(撮影画像の一例)に含まれる個々の物品を対象物品であるか又は非対象物品であるかを判別する物品認識処理(ステップS3)と、対象物品であることを示す対象マークを撮影画像の対象物品上に付加することでピッキング指示画像75(ピッキング指示画像の一例)を作成するピッキング指示画像作成処理(ステップS4)と、を実行する。
ディスプレイ13(表示装置の一例)は、ピッキング指示画像を表示する。
コントローラ51は、ピッキング指示画像作成処理において、同一対象物品の要求数量と集合体に含まれる同一対象物品の数量とを比較し、要求数量の方が多い場合は、作業途中を示す作業途中マーク91(作業途中マークの一例)をさらに撮影画像71上の同一対象物品上に付加する(ステップS12)。
この第1ピッキングステーション4Aでは、作業途中マーク91で示すことによって、作業者Wは、ピッキング作業をしながら作業途中である(例えば、1つのオーダ完成のためにさらに後のパレットPに積まれた物品からのピッキングが必要である)ことを認識できる。その結果、作業者Wが誤って物品の梱包を始めるなどの無駄な動きを防ぐことができる。
【0065】
3.他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
【0066】
(1)マークの変形例
ピッキング対象の物品へのマーキングとしては、ラベルではなく、物品全体に色を付けたり、光らせたりしてもよい。
マークは、不透明であっても、透明でもよい。
前記実施形態では、作業途中マークは、物品上でかつ物品内に表示されていた。ただし、作業途中マークは、一部のみが物品上に表示されてもよい。例えば、物品が小さい場合には、作業途中マークは、吹き出しのように、一部が物品の外側に表示されてもよい。
【0067】
(2)コンベヤの変形例
コンベヤのレイアウトはコの字状でなくてもよい。
コンベヤは、供給コンベヤと搬出コンベヤだけを有していてもよい。そして、供給コンベヤと搬出コンベヤの間に、パレットをすべらせて移動する台を配置してもよい。
また、供給コンベヤと搬出コンベヤは1台のコンベヤで実現されてもよい。その場合、コンベヤは供給/搬出兼用となり、パレット載置部はコンベヤの端部に設けられている。
ラックの中間部にコンベヤを接続し、転換コンベヤを介してラックと平行となるように供給コンベヤと搬出コンベヤを配置してもよい。
コンベヤは、自動倉庫側に設けられたローラコンベヤなどのコンベヤと、有軌道台車が走行する周回コンベヤの組み合わせでもよい。その場合は、ピッキングステーションは周回コンベヤの一部近傍に配置される。
【0068】
(3)カメラの変形例
カメラは、撮影対象の位置が作業者Wの目線と近似する位置になるように配置されていてもよい。この場合は、撮影画像を作業者Wの目線に合わせることで、作業者Wがさらに直感的にピッキングする物品を把握できるようになる。撮影画像と作業者Wが見た光景との角度が概ね一致するからである。
撮影画像は、静止画に限定されない。例えば、動画であってもよいし、多数の静止画からなるコマ送り画像であってもよい。
【0069】
(4)物品を特定するための情報源の変形例
物品を特定するための情報源は、QRコードに限定されない。他の二次元コードであってもよいし、バーコードであってもよい。さらに、物品の表面の模様や文字に基づいて、物品を特定してもよい。
【0070】
(5)物品の変形例
物品の種類は特に限定されない。物品は、段ボール箱以外に、各種ケースや箱でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、作業者が表示装置に表示された指示に従って物品をピッキングする自動倉庫システム及びピッキング方法に広く適用できる。
【符号の説明】
【0072】
1 :自動倉庫システム
2A :第1自動倉庫
2B :第2自動倉庫
3 :供給コンベヤ
4A :第1ピッキングステーション
4B :第2ピッキングステーション
5 :作業コンベヤ
5a :ピッキングポイント
6 :コンベヤ
7 :搬出コンベヤ
9 :作業エリア
10 :カメラ
13 :ディスプレイ
14 :フレーム
41 :ラベル
43 :商品情報
45 :QRコード
51 :コントローラ
53 :QRコード処理部
55 :画像処理部
57 :画像形成部
61 :操作端末
63 :タッチスキャナ
71 :撮影画像
73 :マーク
73A :マーク
73A1 :四角部分
75 :ピッキング指示画像
81 :ラック
81a :棚部
83 :スタッカクレーン
83a :スライドフォーク
91 :作業途中マーク
93 :作業完了マーク
A :物品
P :パレット
W :作業者