(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】判断装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/00 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
H02J3/00 170
(21)【出願番号】P 2020153232
(22)【出願日】2020-09-11
【審査請求日】2023-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】横山 大志
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 俊行
(72)【発明者】
【氏名】山田 守
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-154133(JP,A)
【文献】特開2005-341668(JP,A)
【文献】特開2015-082928(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0084919(US,A1)
【文献】特開2012-105463(JP,A)
【文献】特開2012-237573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷の増設に応じて、柱上変圧器と引込線との間に配置される低圧線の張替の要否を判断する判断装置であって、
増設前の前記低圧線の前記引込線側の末端電圧を第1末端電圧として取得する第1末端電圧取得部と、
増設前の前記低圧線において降下する電圧値を第1降下電圧として算出する第1降下電圧算出部と、
増設される前記負荷に基づいて、増設後の前記低圧線において降下する電圧値を第2降下電圧として算出する第2降下電圧算出部と、
前記第1末端電圧、前記第1降下電圧、及び前記第2降下電圧に基づいて、負荷増設後の前記低圧線の前記引込線側の末端電圧を第2末端電圧として算出する第2末端電圧算出部と、
算出された前記第2末端電圧に基づいて、前記低圧線の張替の要否を判断する判断部と、
を備える判断装置。
【請求項2】
前記判断部は、前記第2末端電圧が所定の標準電圧を維持可能か否かに基づいて、前記低圧線の張替の要否を判断する請求項1に記載の判断装置。
【請求項3】
前記第2末端電圧算出部は、
(前記第1末端電圧)‐{(前記第2降下電圧)‐(前記第1降下電圧)}
を算出することで、前記第2末端電圧を算出する請求項1又は2に記載の判断装置。
【請求項4】
前記第2降下電圧算出部は、電力消費がピークとなる季節の電圧降下に基づいて、前記低圧線の張替の要否を判断する請求項1から3のいずれかに記載の判断装置。
【請求項5】
負荷の増設に応じて、柱上変圧器と引込線との間に配置される低圧線の張替の要否を判断する判断装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
前記コンピュータを、
増設前の前記低圧線の前記引込線側の末端電圧を第1末端電圧として取得する第1末端電圧取得部、
増設前の前記低圧線において降下する電圧値を第1降下電圧として取得する第1降下電圧取得部、
増設される前記負荷に基づいて、増設後の前記低圧線において降下する電圧値を第2降下電圧として算出する第2降下電圧算出部、
前記第1末端電圧、前記第1降下電圧、及び前記第2降下電圧に基づいて、負荷増設後の前記低圧線の前記引込線側の末端電圧を第2末端電圧として算出する第2末端電圧算出部、
算出された前記第2末端電圧に基づいて、前記低圧線の張替の要否を判断する判断部、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、判断装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、高圧配電線で供給される電力は、柱上変圧器を用いて低圧に変換される。例えば、高圧配電線で供給される6600Vの電力は、柱上変圧器を用いて100Vの低圧に変換される。柱上変圧器の低圧側は、低圧線に接続される。低圧線は、各家庭への引込線に接続される電柱(以下、末端柱)まで架設される。このような、高圧配電線、柱上変圧器、及び低圧線を用いて電力を安定供給するための装置が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-154133号公報
【文献】特開2012―237573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、変圧器二次側に接続されたスマートメータの電圧値及び電流値と、引込線のインピーダンスとを用いて高圧線の電圧を求めることが開示されている。特許文献2には、複数の負荷が接続される低圧配電線の電圧降下を算出するために、低圧配電線のインピーダンスを算出すること開示されている。
【0005】
ところで、特許文献2に記載のように、低圧線には、複数の引込線が接続される。そのため、末端柱において、新たな引込線が低圧線に接続される場合、低圧線には、増加した負荷に応じて柱上変圧器への接続位置から末端柱までの間に電圧降下が発生する。そこで、従来では、所定値以上の電圧降下が発生する場合には、低圧線の張替工事(例えば、径の大きい電線への張替)が行われている。一方、低圧線の張替工事にはコストがかかるため、安全を確保しつつ、張替工事の実施を最適化するのが好ましい。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、低圧線の張替工事の実施を最適化することができる判断装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、負荷の増設に応じて、柱上変圧器と引込線との間に配置される低圧線の張替の要否を判断する判断装置であって、増設前の前記低圧線の前記引込線側の末端電圧を第1末端電圧として取得する第1末端電圧取得部と、増設前の前記低圧線において降下する電圧値を第1降下電圧として算出する第1降下電圧算出部と、増設される前記負荷に基づいて、増設後の前記低圧線において降下する電圧値を第2降下電圧として算出する第2降下電圧算出部と、前記第1末端電圧、前記第1降下電圧、及び前記第2降下電圧に基づいて、負荷増設後の前記低圧線の前記引込線側の末端電圧を第2末端電圧として算出する第2末端電圧算出部と、算出された前記第2末端電圧に基づいて、前記低圧線の張替の要否を判断する判断部と、を備える判断装置に関する。
【0008】
また、前記判断部は、前記第2末端電圧が所定の標準電圧を維持可能か否かに基づいて、前記低圧線の張替の要否を判断するのが好ましい。
【0009】
また、前記第2末端電圧算出部は、
(前記第1末端電圧)‐{(前記第2降下電圧)‐(前記第1降下電圧)}
を算出することで、前記第2末端電圧を算出するのが好ましい。
【0010】
また、前記第2降下電圧算出部は、電力消費がピークとなる季節の電圧降下に基づいて、前記低圧線の張替の要否を判断するのが好ましい。
【0011】
また、本発明は、負荷の増設に応じて、柱上変圧器と引込線との間に配置される低圧線の張替の要否を判断する判断装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、前記コンピュータを、増設前の前記低圧線の前記引込線側の末端電圧を第1末端電圧として取得する第1末端電圧取得部、増設前の前記低圧線において降下する電圧値を第1降下電圧として取得する第1降下電圧取得部、増設される前記負荷に基づいて、増設後の前記低圧線において降下する電圧値を第2降下電圧として算出する第2降下電圧算出部、前記第1末端電圧、前記第1降下電圧、及び前記第2降下電圧に基づいて、前記負荷増設後の前記低圧線の前記引込線側の末端電圧を第2末端電圧として算出する第2末端電圧算出部、算出された前記第2末端電圧に基づいて、前記低圧線の張替の要否を判断する判断部、として機能させるプログラムに関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、低圧線の張替工事の実施を最適化することができる判断装置及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る判断装置によって張替工事の要否が判断される低圧線を含む配電設備を示す概略図である。
【
図2】一実施形態の判断装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】一実施形態の判断装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る判断装置1及びプログラムについて、
図1から
図3を参照して説明する。
まず、本実施形態に係る判断装置1によって張替の要否が判断される低圧線103を含む配電設備100について、
図1を参照して説明する。
【0015】
配電設備100は、配電線から各家等に低圧の電力を供給するための設備である。配電設備100は、柱上変圧器102、低圧線103、及び引込線105を備える。
【0016】
柱上変圧器102は、電柱の上に配置される。柱上変圧器102の一次側は、高圧配電線に接続される。柱上変圧器102は、高圧配電線101から供給される電力を降圧する。柱上変圧器102は、例えば、高圧配電線101から供給される約6600Vの電圧の電力を約100Vに降圧する。
【0017】
低圧線103は、柱上変圧器102から各家庭等の近傍まで架設される配線である。低圧線103の一次側は、柱上変圧器102に接続される。低圧線103の二次側(末端側)は、電柱(以下、末端柱104ともいう)に架設される
【0018】
引込線105は、低圧線103から各家庭等に接続される配線である。引込線105の一次側は、末端柱104において、低圧線103の二次側に接続される。引込線105の二次側は、各家等に接続される。引込線105は、例えば、家106ごと(例えば、建物ごと)に設置される。各家106には、例えば、電圧値及び電流値を取得するスマートメータ116が設けられる。
【0019】
次に、新たな負荷が増設される場合について説明する。
家106の新築等に応じて、低圧線103の二次側に負荷が増設される場合がある。この場合、負荷の大きさに応じて、低圧線103の電圧降下が大きくなる。電圧降下が大きくなると、低圧線103二次側の電圧値が低下する。一方、低圧線103の末端の電圧値が所定値以上であれば、各家106に供給される電圧は所定値以上になるので、低圧線103の張替工事を回避することができる。
【0020】
本実施形態にかかる判断装置1及びプログラムは、増設される負荷に応じて低圧線103の末端柱104における電圧値を算出する。判断装置1及びプログラムは、算出された電圧値が所定以上となる場合には、張替工事を不要と判断する。これにより、判断装置1及びプログラムは、張替工事を最適化する。
【0021】
次いで、本実施形態の判断装置1の構成について、
図2を参照して説明する。
判断装置1は、負荷の増設に応じて、柱上変圧器102と引込線105との間に配置される低圧線103の張替の要否を判断する。判断装置1は、第1末端電圧取得部11と、第1負荷電流取得部12と、第1降下電圧算出部13と、第2負荷電流取得部14と、第2降下電圧算出部15と、第2末端電圧算出部16と、判断部17と、出力部18と、を備える。
【0022】
第1末端電圧取得部11は、例えば、CPUが動作することにより実現される。第1末端電圧取得部11は、増設前の低圧線103の引込線105側の末端電圧を第1末端電圧として取得する。第1末端電圧取得部11は、例えば、低圧線103の末端柱104に配置されるスマートメータの値を取得することにより、低圧線103の末端柱104の電圧値を取得する。第1末端電圧取得部11は、例えば、所定の時間(例えば、30分間)において、末端電圧のうち最も低い電圧値を第1末端電圧値として取得する。
【0023】
第1負荷電流取得部12は、例えば、CPUが動作することにより実現される。第1負荷電流取得部12は、増設前の低圧線103に流れる負荷電流を取得する。第1負荷電流取得部12は、例えば、所定の時間(例えば、30分間)において、負荷電流のうち最も高い電流値を第1負荷電流として取得する。
【0024】
第1降下電圧算出部13は、例えば、CPUが動作することにより実現される。第1降下電圧取得部は、増設前の低圧線103において降下する電圧値を第1降下電圧として算出する。第1降下電圧取得部は、例えば、取得された第1末端電圧、低圧線103のインピーダンス、及び取得された低圧線103の負荷電流に基づいて、第1降下電圧を算出する。
【0025】
第2負荷電流取得部14は、例えば、CPUが動作することにより実現される。第2負荷電流取得部14は、増設後に増加した全体の負荷によって、低圧線103に流れると想定される負荷電流を取得する。第2負荷電流取得部14は、例えば、想定される負荷電流のうち最も高い電流値を第2負荷電流として取得する。
【0026】
第2降下電圧算出部15は、例えば、CPUが動作することにより実現される。第2降下電圧算出部15は、増設される負荷に基づいて、増設後の低圧線103において降下する電圧値を第2降下電圧として算出する。第2降下電圧算出部15は、例えば、取得された第1末端電圧、低圧線103のインピーダンス、及び予想される負荷を加味した負荷電流に基づいて、第2降下電圧を算出する。
【0027】
第2末端電圧算出部16は、例えば、CPUが動作することにより実現される。第2末端電圧算出部16は、第1末端電圧、第1降下電圧、及び第2降下電圧に基づいて、負荷増設後の低圧線103の引込線105側の末端電圧を第2末端電圧として算出する。
第2末端電圧算出部16は、例えば、
(第1末端電圧)‐{(第2降下電圧)‐(第1降下電圧)}
を算出することで、第2末端電圧を算出する。
第2末端電圧算出部16は、引込線105によって各家106に引き込まれる電力の電圧値を示す。
【0028】
判断部17は、例えば、CPUが動作することにより実現される。判断部17は、算出された第2末端電圧に基づいて、低圧線103の張替の要否を判断する。判断部17は、例えば、第2末端電圧が所定の標準電圧を維持可能か否かに基づいて、低圧線103の張替の要否を判断する。判断部17は、例えば、増設後における、低圧線103の末端柱104における電圧値が所定値以上(例えば、97V以上)であるか否かに基づいて、張替の要否を判断する。すなわち、判断部17は、電圧値が所定値未満である場合に、張替工事を要と判断する。一方、判断部17は、電圧値が所定値以上である場合に、張替工事を不要と判断する。
【0029】
例えば、
図1に示すように、第1降下電圧が4.1V、第2降下電圧が5.5Vである場合、負荷増加分の電圧降下は、1.4Vとなる。そして、増設前の各家106に供給される電力の電圧値が101Vである場合、増設後の各家106に供給される電力の電圧値は、99.6Vとなる。増設後の電圧値が所定の電圧値(97V)よりも高い99.6Vであることから、判断部17は、張替工事を不要と判断する。
【0030】
出力部18は、例えば、CPUが動作することにより実現される。出力部18は、例えば、ディスプレイ又はプリンタ等の出力装置に判断結果を出力する。
【0031】
次に、制御装置の動作の流れについて、
図3を参照して説明する。
まず、第1末端電圧取得部11は、第1末端電圧を取得する(ステップS1)。次いで、第1負荷電流取得部12は、負荷増設前の低圧線103に流れる負荷電流を取得する(ステップS2)。次いで、第1電圧降下算出部は、負荷増設前の低圧線103における電圧降下である第1電圧降下を算出する(ステップS3)。
【0032】
次いで、第2負荷電流取得部14は、負荷増設後における、低圧線103に流れると想定される負荷電流を取得する(ステップS4)。次いで、第2降下電圧算出部15は、負荷増設後における、低圧線103の電圧降下を第2降下電圧として算出する(ステップS5)。次いで、第2末端電圧算出部16は、負荷増設後における、末端柱104における低圧線103の電圧値を第2末端電圧として算出する(ステップS6)。
【0033】
次いで、判断部17は、第2末端電圧が所定値未満か否かを判断する(ステップS7)。第2末端電圧が所定値未満である場合(ステップS7:YES)、処理は、ステップS8に進む。一方、第2末端電圧が所定値以上である場合(ステップS7:YES)、処理は、ステップS9に進む。
【0034】
ステップS8において、判断部17は、張替工事を要と判断する。出力部18は、張替工事が必要であることを出力する。その後、本フローによる処理は、終了する。
【0035】
ステップS9において、判断部17は、張替工事を不要と判断する。出力部18は、張替工事が不要であることを出力する。その後、本フローによる処理は、終了する。
【0036】
次に、本実施形態のプログラムについて説明する。
判断装置1に含まれる各構成は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせによりそれぞれ実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0037】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、表示プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線L及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0038】
以上、一実施形態の判断装置1及びプログラムによれば、以下の効果を奏する。
(1)負荷の増設に応じて、柱上変圧器102と引込線105との間に配置される低圧線103の張替の要否を判断する判断装置1であって、増設前の低圧線103の引込線105側の末端電圧を第1末端電圧として取得する第1末端電圧取得部11と、増設前の低圧線103において降下する電圧値を第1降下電圧として算出する第1降下電圧算出部13と、増設される負荷に基づいて、増設後の低圧線103において降下する電圧値を第2降下電圧として算出する第2降下電圧算出部15と、第1末端電圧、第1降下電圧、及び第2降下電圧に基づいて、負荷増設後の低圧線103の引込線105側の末端電圧を第2末端電圧として算出する第2末端電圧算出部16と、算出された第2末端電圧に基づいて、低圧線103の張替の要否を判断する判断部17と、を備える。
負荷の増設に応じて、柱上変圧器102と引込線105との間に配置される低圧線103の張替の要否を判断する判断装置1としてコンピュータを機能させるプログラムであって、コンピュータを、増設前の低圧線103の引込線105側の末端電圧を第1末端電圧として取得する第1末端電圧取得部11、増設前の低圧線103において降下する電圧値を第1降下電圧として取得する第1降下電圧取得部、増設される負荷に基づいて、増設後の低圧線103において降下する電圧値を第2降下電圧として算出する第2降下電圧算出部15、第1末端電圧、第1降下電圧、及び第2降下電圧に基づいて、負荷増設後の低圧線103の引込線105側の末端電圧を第2末端電圧として算出する第2末端電圧算出部16、算出された第2末端電圧に基づいて、低圧線103の張替の要否を判断する判断部17、として機能させる。
従来の手法である、低圧線103の電圧降下量に基づいて張替工事の要不要を判断するのに対し、実際に各家106に供給される電力の電圧値に基づいて、張替工事の要不要を判断することができる。したがって、各家106に供給される電圧値を担保しつつ、張替工事の要不要を判断することができる。これにより、低圧線103の張替工事の実施を最適化することができる。
【0039】
(2)判断部17は、第2末端電圧が所定の標準電圧を維持可能か否かに基づいて、低圧線103の張替の要否を判断する。これにより、各家106に安定的に電力を供給可能か否かを判断することができる。
【0040】
(3)第2末端電圧算出部16は、
(第1末端電圧)‐{(第2降下電圧)‐(第1降下電圧)}
を算出する。これにより、負荷増設後に想定される第2末端電圧を精度よく算出することができる。
【0041】
以上、本発明の判断装置及びプログラムの好ましい一実施形態につき説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0042】
例えば、上記実施形態において、判断装置1は、電力消費がピークとなる季節の電圧降下に基づいて、張替工事の要否を判断してもよい。例えば、第1末端電圧取得部11及び第1負荷電流取得部12は、電力消費がピークとなる季節において、所定の時間において最低となる電圧値及び最大となる負荷電流を第1末端電圧値及び第1負荷電流値として取得してもよい。また、判断装置1がピーク以外の季節において判断した場合には、判断装置1は、ピークとなる季節に再度判断してもよい。また、判断装置1は、ピークとなる季節において既に取得されている第1末端電圧及び第1負荷電流値を用いて張替工事の要否を判断してもよい。これにより、電力消費が最大となる状況に応じて張替工事の要否を判断することができる。したがって、判断結果の精度をより向上することができる。
【0043】
また、上記実施形態において、第1負荷電力量取得部及び第2負荷電力量取得部は、負荷電流を取得するとしたが、これに制限されない。第1負荷電力量取得部及び第2電力量取得部は、負荷量を取得してもよい。第1降下電圧算出部13及び第2降下電圧算出部15は、負荷量から負荷電流を算出してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 判断装置
11 第1末端電圧取得部
13 第1降下電圧算出部
15 第2降下電圧算出部
16 第2末端電圧算出部
17 判断部
102 柱上変圧器
103 低圧線
105 引込線