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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】点灯装置および照明器具
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/25 20200101AFI20240228BHJP
   H05B 45/14 20200101ALI20240228BHJP
   H05B 45/345 20200101ALI20240228BHJP
   H05B 45/375 20200101ALI20240228BHJP
   H05B 45/38 20200101ALI20240228BHJP
   H05B 45/385 20200101ALI20240228BHJP
   H05B 47/105 20200101ALI20240228BHJP
   H05B 47/21 20200101ALI20240228BHJP
   H05B 47/23 20200101ALI20240228BHJP
【FI】
H05B47/25
H05B45/14
H05B45/345
H05B45/375
H05B45/38
H05B45/385
H05B47/105
H05B47/21
H05B47/23
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020162614
(22)【出願日】2020-09-28
(65)【公開番号】P2022055168
(43)【公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148057
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 淑己
(72)【発明者】
【氏名】芝原 信一
(72)【発明者】
【氏名】船山 信介
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-228066(JP,A)
【文献】特開2015-100250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/25
H05B 45/14
H05B 45/345
H05B 45/375
H05B 45/38
H05B 45/385
H05B 47/105
H05B 47/21
H05B 47/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源から電力の供給を受ける一対の電流供給線路と、
前記一対の電流供給線路を介して前記直流電源から電力の供給を受け、光源を点灯させる点灯回路と、
直列に接続された限流素子と第1ダイオードとを有し、前記一対の電流供給線路の高電位側に設けられた直列回路と、
前記直列回路と並列に接続されたバイパス回路と、
前記点灯回路が発生させる電圧により前記バイパス回路を導通状態とする電圧調整回路と、
を備え、
前記第1ダイオードは、アノードが前記直流電源側に接続され、カソードが前記点灯回路側に接続され
前記点灯回路は、前記一対の電流供給線路の高電位側に接続されたコイルを有することを特徴とする点灯装置。
【請求項2】
前記点灯回路と前記直列回路の間で、前記一対の電流供給線路の間に接続された第1コンデンサを備えることを特徴とする請求項1に記載の点灯装置。
【請求項3】
前記点灯回路の出力と並列に接続される第2コンデンサを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の点灯装置。
【請求項4】
前記点灯回路は、第1スイッチング素子と前記コイルとを有し、前記第1スイッチング素子のオンオフにより光源を点灯させ、
前記電圧調整回路は、前記第1スイッチング素子のオンオフに伴い前記コイルに発生する電圧により前記バイパス回路を前記導通状態とすることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の点灯装置。
【請求項5】
前記電圧調整回路は、前記第1スイッチング素子がオフ状態のときに前記コイルに発生する電圧から、前記バイパス回路を前記導通状態とするための電圧を生成することを特徴とする請求項4に記載の点灯装置。
【請求項6】
前記電圧調整回路は、アノードが前記コイルと電気的に接続され、前記コイルから電流を供給される第2ダイオードを備えることを特徴とする請求項4または5に記載の点灯装置。
【請求項7】
前記電圧調整回路は、前記コイルから電流の供給を受けて前記バイパス回路を前記導通状態とするための電圧を発生させる第3コンデンサを備えることを特徴とする請求項4から6の何れか1項に記載の点灯装置。
【請求項8】
前記第1スイッチング素子がオン状態の間、前記コイルから前記電圧調整回路への電流の供給は遮断され、前記電圧調整回路は前記バイパス回路を前記導通状態に維持することを特徴とする請求項4から7の何れか1項に記載の点灯装置。
【請求項9】
前記バイパス回路は、前記直列回路の一端と電気的に接続された第1端子と、前記直列回路の他端と電気的に接続された第2端子と、前記第1端子と前記第2端子との間を導通状態または遮断状態に切り替えるための制御端子と、を有する第2スイッチング素子を備え、
前記電圧調整回路は、前記制御端子に電圧を供給して前記バイパス回路を前記導通状態とすることを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の点灯装置。
【請求項10】
前記第2スイッチング素子はサイリスタであることを特徴とする請求項9に記載の点灯装置。
【請求項11】
前記点灯回路は昇圧チョッパ回路であることを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載の点灯装置。
【請求項12】
前記点灯回路はフライバック回路であることを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載の点灯装置。
【請求項13】
前記点灯回路は降圧チョッパ回路であることを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載の点灯装置。
【請求項14】
請求項1から13の何れか1項に記載の点灯装置と、
前記光源と、
を備えることを特徴とする照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、点灯装置および照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、交流電源ACをダイオードブリッジで整流した出力を昇圧チョッパ回路で昇圧して直流電圧を発生させる電源装置が開示されている。ダイオードブリッジの出力を昇圧チョッパ回路に供給する供給路には、突入電流を防止する限流要素が挿入される。また、電源装置は、突入電流の抑制後に限流要素を短絡するスイッチング素子を備える。昇圧チョッパ回路のインダクタとして、1次巻線と同一極性に巻装された2次巻線を有するものを用いる。スイッチング素子を2次巻線で誘起される電圧を用いてオンとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-147770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
商用電源は交流であるため極性がない。これに対し、直流電源には極性がある。このため、直流電源と照明装置を配線するときに誤配線するおそれがある。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、誤配線に対する保護ができる点灯装置および照明器具を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る点灯装置は、直流電源から電力の供給を受ける一対の電流供給線路と、該一対の電流供給線路を介して該直流電源から電力の供給を受け、光源を点灯させる点灯回路と、直列に接続された限流素子と第1ダイオードとを有し、該一対の電流供給線路の高電位側に設けられた直列回路と、該直列回路と並列に接続されたバイパス回路と、該点灯回路が発生させる電圧により該バイパス回路を導通状態とする電圧調整回路と、を備え、該第1ダイオードは、アノードが該直流電源側に接続され、カソードが該点灯回路側に接続され、該点灯回路は、該一対の電流供給線路の高電位側に接続されたコイルを有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る点灯装置では、第1ダイオードにより誤配線に対する保護ができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る照明器具の回路ブロック図である。
図2】実施の形態1に係る点灯装置の電圧波形を説明する図である。
図3】実施の形態2に係る照明器具の回路ブロック図である。
図4】実施の形態3に係る照明器具の回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
各本実施の形態に係る点灯装置および照明器具について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。また、以下で接続という場合には、電気的な接続を含むものとする。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明器具100の回路ブロック図である。照明器具100は点灯装置10と光源部50とを備える。また、照明器具100は、外部から供給される直流電源DCを接続する接続部CN1と、光源部50に接続する接続部CN2を備える。
【0011】
光源部50は、複数のLED51で構成されている。光源部50はLED51以外の発光素子から構成されても良い。また、光源部50が備えるLED51は1つ以上であれば良い。複数のLED51は直列、並列または直並列に接続される。
【0012】
点灯装置10は、点灯回路30と点灯回路30を制御する点灯制御IC40を備える。点灯回路30は例えばスイッチング回路である。具体的には、点灯回路30は昇圧チョッパ回路である。昇圧チョッパ回路は、直流電源DCを電圧変換する。昇圧チョッパ回路の出力には直流電源DCよりも高い電圧で点灯する光源部50が接続される。
【0013】
また、点灯装置10は、直流電源DCから電力の供給を受ける一対の電流供給線路11、12を備える。点灯回路30は、一対の電流供給線路11、12を介して直流電源DCから電力の供給を受け、光源部50を点灯させる。
【0014】
昇圧チョッパ回路は、コイルL1、スイッチング素子Q2、ダイオードD3で構成されている。スイッチング素子Q2は、例えばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。点灯回路30はスイッチング素子Q2のオンオフにより光源部50を点灯させる。
【0015】
コイルL1のN1巻き線側は、電流供給線路11と接続される。コイルL1のN2巻き線側は、スイッチング素子Q2のドレインとダイオードD3のアノードに接続される。ダイオードD3のカソードは、コンデンサC4の正電極および光源部50の高電位側に接続される。光源部50の低電位側は、抵抗R1の一端およびコンデンサC4の負電極に接続される。抵抗R1の他端は、スイッチング素子Q2のソースおよび電流供給線路12と接続される。コンデンサC4は、点灯回路30の出力と並列に接続される。点灯装置10は、ダイオードD3から出力される高周波電圧をコンデンサC4で整流して光源部50に供給することができる。
【0016】
スイッチング素子Q2のゲートは、点灯制御IC40のP1端子に接続される。点灯制御IC40はスイッチング素子Q2を駆動する。抵抗R1の一端は、点灯制御IC40のP2端子に接続される。点灯制御IC40は抵抗R1の電圧を検出する。
【0017】
抵抗R1にはコンデンサC4と光源部50に流れる電流が流れる。抵抗R1により、光源部50に流れる電流の平均値を検出することができる。点灯制御IC40は、抵抗R1に流れた電流を電圧に変換してP2端子で検出する。点灯制御IC40は、抵抗R1に発生する電圧が予め定められた電圧となるようにスイッチング素子Q2をスイッチングする。これにより、光源部50に流れる平均電流が一定になるように定電流制御が可能となる。
【0018】
なお、抵抗R1に接続位置は光源部50の低電位側とコンデンサC4の負電極との間でも構わない。この位置であれば、純粋な光源部50に流れる電流を検出できる。
【0019】
一対の電流供給線路11、12の高電位側である電流供給線路11には、直列に接続された限流素子R2とダイオードD1とを有する直列回路21が設けられる。ダイオードD1は、アノードが直流電源DC側に接続され、カソードが点灯回路30側に接続される。
【0020】
直列回路21と並列にバイパス回路が接続される。バイパス回路は、サイリスタQ1を備える。サイリスタQ1は、直列回路21の一端と電気的に接続された第1端子と、直列回路21の他端と電気的に接続された第2端子を有する。第1端子はアノードであり、直流電源DCの正電極と接続される。第2端子はカソードであり、コイルL1のN1巻き線側に接続される。また、サイリスタQ1は、第1端子と第2端子との間を導通状態または遮断状態に切り替えるための制御端子を有する。制御端子はゲートである。
【0021】
点灯装置10は、点灯回路30が発生させる電圧によりバイパス回路を導通状態とする電圧調整回路22を備える。電圧調整回路22は、サイリスタQ1の制御端子に電圧を供給して、バイパス回路を導通状態とする。
【0022】
電圧調整回路22は、サイリスタQ1とコイルL1との間に接続される。電圧調整回路22は、アノードがコイルL1と電気的に接続され、コイルL1から電流を供給されるダイオードD2を備える。コイルL1は、N1巻き線とN2巻き線に分割される。ダイオードD2のアノードは、N1巻き線とN2巻き線の接続点に接続される。ダイオードD2のカソードは、コンデンサC2の一端と抵抗R3の一端に接続される。
【0023】
コンデンサC2の他端は、コイルL1と直列回路21との接続点に接続される。コンデンサC2の電圧は、ダイオードD2とコイルL1のN1巻き線が形成する直列回路に発生する電圧に等しい。抵抗R3の他端は、抵抗R4の一端、コンデンサC3の一端およびサイリスタQ1のゲートに接続される。コンデンサC3と抵抗R4は並列に接続される。コンデンサC3と抵抗R4は、サイリスタQ1のゲートとカソードとの間に接続される。
【0024】
コンデンサC3は、コンデンサC2に比べて静電容量が小さくても良い。コンデンサC3は、サイリスタQ1の誤動作防止を目的として、電圧安定化のために接続される。
【0025】
サイリスタQ1のカソードとコイルL1のN1巻き線は、コンデンサC1の一端と接続される。コンデンサC1の他端は、直流電源DCの負電極と接続される。コンデンサC1は、点灯回路30と直列回路21の間で、一対の電流供給線路11、12の間に接続される。コンデンサC1は、直流電源DCから供給された電圧を安定的に平滑し、昇圧チョッパ回路が動作するための電源電圧を供給している。
【0026】
次に、照明器具100の動作について示す。まず、図示しないスイッチ等により、直流電源DCから照明器具100に電源が投入される。このとき、サイリスタQ1がオフであり、第1経路と第2経路で電流が流れる。第1経路は、ダイオードD1、限流素子R2、コンデンサC1を通る経路である。第2経路は、ダイオードD1、限流素子R2、コイルL1、ダイオードD3、コンデンサC4を通る経路である。第1経路と第2経路の電流の合計値が、突入電流である。
【0027】
このとき、限流素子R2のインピーダンスで突入電流を抑制し、突入電流値をコントロールすることができる。従って、照明器具100を構成する部品に想定以上の負荷が掛かかることを抑制できる。また、点灯装置10の出力電圧にアンダーシュートが発生することを抑制できる。
【0028】
なお、昇圧チョッパ回路が動作しないと、直流電源DCに比べて高い電圧が光源部50に供給されない。このため、光源部50に電流は流れず、光源部50が点灯することはできない。
【0029】
次に、点灯制御IC40が起動し、昇圧チョッパ回路が動作する。図2は、実施の形態1に係る点灯装置10の電圧波形を説明する図である。時刻T1までは、昇圧チョッパ回路が停止している。このとき、スイッチング素子Q2は、ゲートに電圧が印加されず、オフしている。また、コイルL1に電位差は発生していない。
【0030】
時刻T1からT2までの期間において、スイッチング素子Q2は、ゲートに電圧が印加されてオンする。このため、スイッチング素子Q2のドレインがグランド電位になる。これにより、コイルL1には-VDCが印加される。VDCは直流電源DCの電圧である。このとき、N1巻き線とN2巻き線の接続点の電位は、ダイオードD2のカソードの電位に比べて低い。このため、ダイオードD2に電流は流れない。
【0031】
時刻T2からT3までの期間において、スイッチング素子Q2はゲートに電圧が印加されずオフする。このため、スイッチング素子Q2のドレインには、直流電源DCよりも高い光源部50の電圧V1が発生する。これにより、コイルL1にはV1-VDCが印加される。なお、電圧V1はダイオードD3の順方向電圧VFよりも充分に高い。このため、ダイオードD3の順方向電圧VFを無視している。
【0032】
このとき、N1巻き線とN2巻き線の接続点の電位は、ダイオードD2のカソードの電位に比べて高い。このため、ダイオードD2を介してコンデンサC2に電圧が印加される。コンデンサC2に印加される電圧は、V1-VDCをN1巻き線とN2巻き数の巻き数比で分圧した電圧である。ここで、ダイオードD2の順方向電圧VFは無視している。
【0033】
コンデンサC2の電圧を抵抗R3、R4で分圧した電圧は、コンデンサC3、すなわちサイリスタQ1のゲートとカソードとの間に印加される。この電圧がサイリスタQ1のオン電圧Vthを超えることで、サイリスタQ1はオンする。このように、電圧調整回路22は、コイルL1から電流の供給を受けて、バイパス回路を導通状態とするための電圧を発生させるコンデンサC3を備える。
【0034】
時刻T3からT4までの期間において、スイッチング素子Q2は、再びゲートに電圧が印加されてオンする。このとき、N1巻き線とN2巻き線の接続点の電位は、ダイオードD2のカソードの電位に比べて低い。しかし、コンデンサC2の電荷は、ダイオードD2でブロックされ、抵抗R3、R4のみに放電される。コンデンサC2の電圧は、ΔVだけ低下する。同様に、コンデンサC3の電圧も低下するが、サイリスタQ1のオン電圧Vthよりも大きい値に維持される。また、サイリスタQ1には保持電流よりも高い電流が流れる。このため、サイリスタQ1の導通状態を継続することができる。
【0035】
このように、スイッチング素子Q2がオン状態の間、コイルL1から電圧調整回路22への電流の供給は遮断される。一方で、スイッチング素子Q2がオン状態の間も、電圧調整回路22はバイパス回路を導通状態に維持する。
【0036】
時刻T4において、再びスイッチング素子Q2は、ゲートに電圧が印加されなくなりオフする。これにより、時刻T2と同様にダイオードD2を介してコンデンサC2に電圧が印加される。以降、動作が繰り返される。
【0037】
サイリスタQ1が無い場合、直流電源DCからの入力電流は定常動作中もダイオードD1および限流素子R2を経由して、昇圧チョッパ回路に供給される。このため、ダイオードD1の電圧降下および限流素子R2の抵抗値による損失が発生する。直流電源DCから流れる電流は、光源部50の消費電力が大きいほど大きい。このとき、損失も大きくなる。
【0038】
これに対し、本実施の形態の電圧調整回路22は、スイッチング素子Q2のオンオフに伴いコイルL1に発生する電圧により、バイパス回路を導通状態とする。具体的には、電圧調整回路22は、スイッチング素子Q2がオフ状態のときにコイルL1に発生する電圧から、バイパス回路を導通状態とするための電圧を生成する。これにより、限流素子R2で突入電流を抑制したあとは、昇圧チョッパ回路の点灯動作によりサイリスタQ1をオン状態とすることができる。サイリスタQ1がオンすると、昇圧チョッパ回路には直流電源DCからの入力電流がサイリスタQ1を経由して供給される。従って、直列回路21による損失を低減できる。
【0039】
ここで、サイリスタQ1のアノードとカソード間にも電圧降下が発生するが、サイリスタQ1の電圧降下は、ダイオードD1と限流素子R2による電圧降下の和よりも小さい。ダイオードD1の電圧降下は0.6V程度である。また、限流素子R2は、突入電流を抑制するため、100Ω程度であることが望ましい。例えば、直流電源DCが48Vのとき、突入電流は限流素子R2の100Ωで制限されて0.48Aとなる。
【0040】
また、照明器具100の消費電力が24Wとすると、直流電源DCからの入力電流は0.5A程度になる。このとき、限流素子R2の電圧降下は約50Vとなる。これに対し、サイリスタQ1のアノードとカソード間の電圧降下は、1.2V程度である。このため、サイリスタQ1に入力電流が流れた方が、ダイオードD1および限流素子R2に入力電流が流れるよりも、回路損失が小さくなる。なお、突入電流が0.48Aのとき、定常時の入力電流0.5Aよりも小さい。このため、突入電流が充分に抑制できていると言える。
【0041】
次に直流電源DCが照明器具100の接続部CN1に逆接続されたときの動作について説明する。直流電源DCが逆極性で接続された状態で照明器具100に電源が投入されると、コンデンサC1、スイッチング素子Q2のソースとドレイン間の寄生ダイオード等から電圧が印加される。しかし、サイリスタQ1およびダイオードD1が、電流が流れないようにブロックする。このため、回路に逆電圧が印加されて故障または誤動作することを抑制できる。従って、誤配線に対する保護ができる。なお、ダイオードD1がない場合、限流素子R2に電流が流れ続け、照明器具100が故障するおそれがある。
【0042】
ダイオードD1は、サイリスタQ1のアノードまたはカソードと直列に接続されても、逆電圧が印加されて故障することを抑制できる。しかしながら、正常に配線された状態でも、直流電源DCからの入力電流がダイオードD1に流れるため、ダイオードD1の電圧降下による回路損失が発生する。このため、消費エネルギーの低減の観点から、本実施の形態の回路構成が優れていることが分かる。このように、本実施の形態では、突入電流を抑制しながら誤配線に対する保護が可能であり、さらに消費エネルギーを抑制できる。
【0043】
また本実施の形態では、一対の電流供給線路11、12の高電位側に直列回路21とサイリスタQ1がある。この構成では、一対の電流供給線路11、12の低電位側に直列回路21とサイリスタQ1がある構成に比べて、点灯装置10の回路グランドを安定させることができる。このため、点灯回路30の誤動作を抑制できる。また、電圧調整回路22は、コイルL1から駆動電源を供給される。このような方式では、一対の電流供給線路11、12の高電位側にサイリスタQ1があることで、容易に省部品で駆動電源を供給できる。
【0044】
本実施の形態の変形例として、バイパス回路は点灯回路30が発生させる電圧で導通状態に切り替われば、別の構成であっても良い。例えば、バイパス回路はサイリスタQ1に限らず、バイポーラトランジスタ、リレースイッチ等の別の種類のスイッチング素子を備えても良い。
【0045】
また、限流素子R2はダイオードD1のカソード側に限らずアノード側に接続されても良い。また、電圧調整回路22は、点灯回路30が発生させる電圧によりバイパス回路を導通状態に設定できれば、別の構成でも良い。
【0046】
本実施の形態は、例えば太陽電池または蓄電池を使用した直流電源システムに適用できる。また本実施の形態は、AC/DC変換を使用した直流電源システムに適用されても良い。また、1つの直流電源DCに複数台の照明器具100が設置されても良い。このとき、特に電源投入時の過渡電流に対する保護が重要となる。また、上述したように一対の電流供給線路11、12の高電位側に直列回路21とサイリスタQ1があることで、点灯装置10の回路グランドを安定させることができる。このため、複数の点灯装置10が1つの直流電源DCの負電極を回路グランドとして、同じ基準電位で動作することができる。このため、外部に設けられた1つの調光コントローラで複数の点灯装置10に調光指令を行う場合に、安定して点灯装置10を動作させることができる。また、複数の調光コントローラを設け、調光コントローラ間を絶縁する必要がない。
【0047】
これらの変形は、以下の実施の形態に係る点灯装置および照明器具について適宜応用することができる。なお、以下の実施の形態に係る点灯装置および照明器具については実施の形態1との共通点が多いので、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0048】
実施の形態2.
図3は、実施の形態2に係る照明器具200の回路ブロック図である。照明器具200は点灯装置210を備える。点灯装置210は、点灯回路230と点灯回路230を制御する点灯制御IC240を備える。点灯回路230はフライバック回路である。本実施の形態の照明器具200は、光源部50の電圧が直流電源DCよりも高くても低くても動作可能である。つまり、点灯回路230は昇降圧回路である。
【0049】
サイリスタQ1のカソードは、コイルL2のN1巻き線側に接続される。コイルL2のN2巻き線側は、スイッチング素子Q3のドレインに接続される。スイッチング素子Q3は例えばMOSFETである。スイッチング素子Q3のソースは、コンデンサC1の負電極に接続される。点灯制御IC240のP3端子は、スイッチング素子Q3のゲートに接続される。点灯制御IC240はスイッチング素子Q3を駆動する。また、点灯制御IC240のP4端子は抵抗R1の電圧を検出する。
【0050】
コイルL2の2次巻き線であるN3巻き線の一端は、ダイオードD4のアノードが接続される。N3巻き線の他端は、電流供給線路12と接続される。ダイオードD4のカソードは、コンデンサC4の正電極および光源部50の高電位側に接続される。点灯装置210は、ダイオードD4から出力される高周波電圧をコンデンサC4で整流して光源部50に供給することができる。
【0051】
点灯制御IC240は、抵抗R1に流れた電流を電圧に変換してP4端子で検出する。点灯制御IC240は、抵抗R1に発生する電圧が予め定められた電圧となるようにスイッチング素子Q3をスイッチングする。これにより、光源部50に流れる平均電流が一定になるように定電流制御が可能となる。
【0052】
コイルL2の1次巻き線は、N1巻き線とN2巻き線に分割されている。電圧調整回路22のダイオードD2は、巻き線N1と巻き線N2の接続点に接続される。これにより、実施の形態1と同様に、スイッチング素子Q3のオンオフに伴いコイルL2に発生する電圧により、サイリスタQ1の駆動電源を得ることができる。
【0053】
直流電源DCから電源が投入されると、サイリスタQ1がオフのため、ダイオードD1、限流素子R2、コンデンサC1の経路で突入電流が流れる。
【0054】
点灯制御IC240が起動するとフライバック回路が動作する。その後、スイッチング素子Q3がオフしたとき、コイルL2の1次巻き線には、光源部50に印加される電圧V1を、コイルL2の2次巻線と1次巻き線の巻き数比で分圧した電圧が発生する。なお、ダイオードD4の順方向電圧VFは無視している。また、N1巻き線とN2巻き線の接続点には、コイルL2の1次巻き線に発生する電圧を、N1巻き線とN2巻き線の巻き数比で分圧した電圧が発生する。このため、本実施の形態においても、ダイオードD2を介してサイリスタQ1の駆動電圧を得ることができる。
【0055】
実施の形態3.
図4は、実施の形態3に係る照明器具300の回路ブロック図である。照明器具300は点灯装置310を備える。点灯装置310は、点灯回路330と点灯回路330を制御する点灯制御IC340を備える。点灯回路330は降圧チョッパ回路である。本実施の形態の照明器具300は、光源部50の電圧が直流電源DCより低いときに動作することができる。
【0056】
サイリスタQ1のカソードは、スイッチング素子Q4のドレインに接続される。スイッチング素子Q4は例えばMOSFETである。スイッチング素子Q4のソースは、ダイオードD5のカソードとコイルL3のN1巻き線の一端に接続される。コイルL3のN1巻き線の他端は、コンデンサC4の正電極及び光源部50の高電位側が接続される。ダイオードD5のアノードは、抵抗R1の他端および電流供給線路12に接続される。点灯装置310は、コイルL3のN1巻き線側から得られる高周波電圧をコンデンサC4で整流して光源部50に供給することができる。
【0057】
点灯制御IC340のP5端子は、スイッチング素子Q4のゲートに接続される。点灯制御IC340は、スイッチング素子Q4を駆動する。また、点灯制御IC340のP6端子は抵抗R1の一端と接続され、抵抗R1の電圧を検出する。点灯制御IC340は、抵抗R1に流れた電流を電圧に変換してP6端子で検出する。点灯制御IC340は抵抗R1に発生する電圧が予め定められた電圧となるように、スイッチング素子Q4をスイッチングする。これにより、光源部50に流れる平均電流が一定になるように定電流制御が可能となる。
【0058】
コイルL3の2次巻き線であるN2巻き線の一端は、ダイオードD2のアノードに接続される。これにより、実施の形態1と同様に、スイッチング素子Q4のオンオフに伴いコイルL3に発生する電圧により、サイリスタQ1の駆動電源を得ることができる。コイルL3のN2巻き線の他端は、サイリスタQ1のカソードと接続される。
【0059】
直流電源DCから電源が投入されると、サイリスタQ1がオフのため、ダイオードD1、限流素子R2、コンデンサC1の経路で突入電流が流れる。
【0060】
点灯制御IC340が起動すると降圧チョッパ回路が動作する。その後、スイッチング素子Q4がオフしたとき、コイルL3のN2巻き線には、光源部50に印加される電圧V1を、コイルL3のN2巻き線とN1巻き線の巻き数比で分圧した電圧が発生する。ここで、ダイオードD5の順方向電圧VFは無視している。従って、ダイオードD2を介してサイリスタQ1の駆動電圧を得ることができる。
【0061】
なお、各実施の形態で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いてもよい。
【符号の説明】
【0062】
10 点灯装置、11、12 電流供給線路、21 直列回路、22 電圧調整回路、30 点灯回路、50 光源部、51 LED、100、200 照明器具、210 点灯装置、230 点灯回路、300 照明器具、310 点灯装置、330 点灯回路、AC 交流電源、C1、C2、C3、C4 コンデンサ、CN1、CN2 接続部、D1、D2、D3、D4、D5 ダイオード、DC 直流電源、40、240、340 点灯制御IC、L1、L2、L3 コイル、Q1 サイリスタ、Q2、Q3、Q4 スイッチング素子、R1 抵抗、R2 限流素子、R3、R4 抵抗
図1
図2
図3
図4