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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】回転シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/14 20060101AFI20240228BHJP
   A47C 3/18 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
B60N2/14
A47C3/18 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020189216
(22)【出願日】2020-11-13
(65)【公開番号】P2022078502
(43)【公開日】2022-05-25
【審査請求日】2023-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 尚也
(72)【発明者】
【氏名】伊東 定夫
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-076036(JP,U)
【文献】特開平11-129797(JP,A)
【文献】特開2020-147186(JP,A)
【文献】特開平10-329591(JP,A)
【文献】特開2000-052824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/14
A47C 3/18
A61G 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロア側に固定されるベースプレートと、
前記ベースプレート上に配置されたシート本体と、
前記シート本体に対して相対回転しないように前記シート本体の下面に固定された回転プレートと、
前記シート本体が車両の前方を向く着座位置と前記シート本体が車両のドアの開口部を向く乗降位置との間で前記ベースプレートに対して前記回転プレートが回転可能となるように前記ベースプレートと前記回転プレートとを連結する連結ユニットと、を備え、
前記連結ユニットは、
前記ベースプレートと前記回転プレートとを連結するリンクと、
前記ベースプレートに固定されたレールと、
前記レールに沿って移動可能なスライダであって、当該スライダに対して前記回転プレートが相対回転可能となるように前記回転プレートを支持する前記スライダと、を有し、
前記リンクは、
前記ベースプレートに対して相対回転可能となるように前記ベースプレートに固定された固定端部と、
前記固定端部を回転中心として前記ベースプレートに対して回動可能であり、かつ、前記回転プレートに対して相対回転可能となるように前記回転プレートに固定された回転端部と、を有し、
前記レールは、前記固定端部及び前記回転端部間の距離の2倍の長さを半径とし、かつ、前記固定端部を中心とする仮想円の直径に沿って直線状に延びる形状を有し、
前記スライダは、前記回転プレートのうち前記回転端部と固定された部位から離間した部位を、前記回転プレートが前記着座位置から前記乗降位置に移動するときに前記回転端部に対して前記回転プレートが回転する方向と同じ方向に当該スライダに対して相対回転させつつ前記スライダに沿って移動させ
前記連結ユニットは、
前記仮想円の直径に沿って直線状に延びる形状を有し、前記レールと交差する姿勢で前記ベースプレートに固定された他のレールと、
前記他のレールに沿って移動可能な他のスライダであって、当該他のスライダに対して前記回転プレートが相対回転可能となるように前記回転プレートを支持する前記他のスライダと、をさらに有する、回転シート。
【請求項2】
フロア側に固定されるベースプレートと、
前記ベースプレート上に配置されたシート本体と、
前記シート本体に対して相対回転しないように前記シート本体の下面に固定された回転プレートと、
前記シート本体が車両の前方を向く着座位置と前記シート本体が車両のドアの開口部を向く乗降位置との間で前記ベースプレートに対して前記回転プレートが回転可能となるように前記ベースプレートと前記回転プレートとを連結する連結ユニットと、を備え、
前記連結ユニットは、
前記ベースプレートと前記回転プレートとを連結するリンクと、
前記ベースプレートに固定されたレールと、
前記レールに沿って移動可能なスライダであって、当該スライダに対して前記回転プレートが相対回転可能となるように前記回転プレートを支持する前記スライダと、を有し、
前記リンクは、
前記ベースプレートに対して相対回転可能となるように前記ベースプレートに固定された固定端部と、
前記固定端部を回転中心として前記ベースプレートに対して回動可能であり、かつ、前記回転プレートに対して相対回転可能となるように前記回転プレートに固定された回転端部と、を有し、
前記レールは、前記固定端部及び前記回転端部間の距離の2倍の長さを半径とし、かつ、前記固定端部を中心とする仮想円の直径に沿って直線状に延びる形状を有し、
前記スライダは、前記回転プレートのうち前記回転端部と固定された部位から離間した部位を、前記回転プレートが前記着座位置から前記乗降位置に移動するときに前記回転端部に対して前記回転プレートが回転する方向と同じ方向に当該スライダに対して相対回転させつつ前記スライダに沿って移動させ、
前記連結ユニットは、
前記仮想円に沿う円弧状に形成されており、前記ベースプレートに固定された内歯車と、
前記内歯車に噛み合う外歯車であって、前記回転端部に対して相対回転可能となるように前記回転端部に固定された前記外歯車と、をさらに有する、回転シート。
【請求項3】
前記連結ユニットは、前記ベースプレートの上面に接し、かつ、前記回転プレートから離間するように前記リンクに固定されたローラをさらに有する、請求項1又は2に記載の回転シート。
【請求項4】
前記連結ユニットは、
前記リンクから前記ベースプレートに向けて突出する突出部と、
前記突出部に固定された固定部材と、をさらに有し、
前記ベースプレートには、前記突出部の移動軌跡を含む形状を有する貫通孔が設けられており、
前記突出部は、前記貫通孔内に挿通されており、
前記固定部材は、前記突出部のうち前記ベースプレートから下方に突出した部位に固定されており、前記ベースプレートに対して前記突出部が上方に移動したときに前記ベースプレートの下面に当接する形状を有する、請求項1からのいずれかに記載の回転シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート本体を着座位置と乗降位置との間で回転させることが可能な回転シートが知られている。例えば、特開2020-147186号公報には、回転不能な固定部材と、シート本体と、シート本体を支持する回転部材と、固定部材と回転部材との間に設置された四節リンク機構と、を備える回転シートが開示されている。四節リンク機構は、2つのリンクを有している。各リンクの一端側は、固定部材に回動可能な状態で連結されており、各リンクの他端側は、回転部材に回動可能な状態で連結されている。四節リンク機構の動作により、シート本体と回転部材とが固定部材に対して回転中心を移動させながら回転する。
【0003】
この回転シートでは、四節リンク機構が動作することにより、シート本体及び回転部材は、固定部材に対して回転中心を移動させながら回転する。このため、四節リンク機構の単独動作で、例えば、障害物を前後方向に回避した状態でシート本体を回転させることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-147186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2020-147186号公報に記載の回転シートでは、車両の障害物(柱等)の回避のためには、シート本体の移動距離を大きく確保すること、すなわち、四節リンク機構の大型化が必要となる。これにより、四節リンク機構の各リンクが長くなるため、リンクの剛性が低下する。
【0006】
本発明の目的は、連結ユニットの剛性の低下を抑制しつつ、着座位置及び乗降位置間のシート本体の移動距離を確保可能な回転シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一局面に従った回転シートは、フロア側に固定されるベースプレートと、前記ベースプレート上に配置されたシート本体と、前記シート本体に対して相対回転しないように前記シート本体の下面に固定された回転プレートと、前記シート本体が車両の前方を向く着座位置と前記シート本体が車両のドアの開口部を向く乗降位置との間で前記ベースプレートに対して前記回転プレートが回転可能となるように前記ベースプレートと前記回転プレートとを連結する連結ユニットと、を備え、前記連結ユニットは、前記ベースプレートと前記回転プレートとを連結するリンクと、前記ベースプレートに固定されたレールと、前記レールに沿って移動可能なスライダであって、当該スライダに対して前記回転プレートが相対回転可能となるように前記回転プレートを支持する前記スライダと、を有し、前記リンクは、前記ベースプレートに対して相対回転可能となるように前記ベースプレートに固定された固定端部と、前記固定端部を回転中心として前記ベースプレートに対して回動可能であり、かつ、前記回転プレートに対して相対回転可能となるように前記回転プレートに固定された回転端部と、を有し、前記レールは、前記固定端部及び前記回転端部間の距離の2倍の長さを半径とし、かつ、前記固定端部を中心とする仮想円の直径に沿って直線状に延びる形状を有し、前記スライダは、前記回転プレートのうち前記回転端部と固定された部位から離間した部位を、前記回転プレートが前記着座位置から前記乗降位置に移動するときに前記回転端部に対して前記回転プレートが回転する方向と同じ方向に当該スライダに対して相対回転させつつ前記スライダに沿って移動させる。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、連結ユニットの剛性の低下を抑制しつつ、着座位置及び乗降位置間のシート本体の移動距離を確保可能な回転シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態の着座位置における回転シートの斜視図である。
図2】乗降位置における回転シートの斜視図である。
図3】回転シートの分解斜視図である。
図4】リンクの回転端部の近傍を示す斜視図である。
図5】ベースプレートの裏面側から見た状態を示す斜視図である。
図6】着座位置におけるベースプレート、回転プレート及び連結ユニットの位置関係を概略的に示す図である。
図7】着座位置からリンクが固定端部を中心として10度回転した状態におけるベースプレート、回転プレート及び連結ユニットの位置関係を概略的に示す図である。
図8】着座位置からリンクが固定端部を中心として20度回転した状態におけるベースプレート、回転プレート及び連結ユニットの位置関係を概略的に示す図である。
図9】着座位置からリンクが固定端部を中心として30度回転した状態におけるベースプレート、回転プレート及び連結ユニットの位置関係を概略的に示す図である。
図10】着座位置からリンクが固定端部を中心として40度回転した状態におけるベースプレート、回転プレート及び連結ユニットの位置関係を概略的に示す図である。
図11】本発明の第2実施形態の回転シートのベースプレート、回転プレート及び連結ユニットを示す斜視図である。
図12図11に示されるベースプレート及び連結ユニットの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で参照する図面では、同一又はそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の着座位置における回転シートの斜視図である。図2は、乗降位置における回転シートの斜視図である。図3は、回転シートの分解斜視図である。
【0012】
図1図3に示されるように、本実施形態の回転シート1は、ベースプレート100と、シート本体200と、回転プレート300と、連結ユニット400と、を備えている。この回転シート1は、乗り物用シート、特に、車両用シートとして機能する。
【0013】
ベースプレート100は、車両のフロア2側に固定されている。ベースプレート100は、接続部110と、貫通孔120と、を有している。
【0014】
接続部110は、ベースプレート100のうち車両の幅方向における両端部に形成されている。接続部110は、後述のシートスライダ3に接続されている。貫通孔120については、後述する。
【0015】
シート本体200は、ベースプレート100上に配置されている。シート本体200は、着座位置(図1に示される位置)と乗降位置(図2に示される位置)との間で移動可能である。着座位置は、シート本体200が車両の前方を向く位置である。着座位置におけるシート本体200は、車体の骨格の一部を構成する柱4の内側に位置している。乗降位置は、シート本体200が車両のドアの開口部を向く位置である。乗降位置におけるシート本体200は、柱4の前方においてドアの開口部を向いている。
【0016】
シート本体200は、シートクッション210と、シートバック220と、を有している。シートクッション210は、座部を構成する。シートバック220は、シートクッション210に着座した乗員の背部を支持する。
【0017】
フロア2には、シート本体200をフロア2に対して車両の前後方向にスライドさせるシートスライダ3が取り付けられている。シートスライダ3は、ロアレール3aと、アッパーレール3bと、を有している。
【0018】
ロアレール3aは、車両の前後方向と平行となる姿勢でフロア2に固定されている。アッパーレール3bは、ロアレール3aに対して車両の前後方向(ロアレール3aの長手方向)に相対変位可能である。
【0019】
ベースプレート100の接続部110は、アッパーレール3bに固定されている。このため、ベースプレート100は、ロアレール3aに対してアッパーレール3bとともに車両の前後方向に移動可能である。
【0020】
回転プレート300は、シート本体200に対して相対回転しないようにシート本体200の下面に固定されている。
【0021】
連結ユニット400は、着座位置と乗降位置との間でベースプレート100に対して回転プレート300が回転可能となるようにベースプレート100と回転プレート300とを連結している。
【0022】
連結ユニット400は、リンク410と、ローラ420と、突出部432と、固定部材434と、レールに相当する第1レール450と、スライダに相当する第1スライダ460と、他のレールに相当する第2レール470と、他のスライダに相当する第2スライダ480と、を有している。
【0023】
リンク410は、ベースプレート100と回転プレート300とを連結している。リンク410は、直線状に延びる形状を有している。リンク410は、固定端部411と、回転端部412と、を有している。
【0024】
固定端部411は、ベースプレート100に対して相対回転可能となるようにベースプレート100に固定されている。固定端部411は、リンク410の一端部で構成されている。
【0025】
回転端部412は、固定端部411を回転中心としてベースプレート100に対して回動可能であり、かつ、回転プレート300に対して相対回転可能となるように回転プレート300に固定されている。回転端部412は、リンク410の他端部で構成されている。
【0026】
ローラ420は、ベースプレート100の上面に接し、かつ、回転プレート300から離間するようにリンク410に固定されている。リンク410が固定端部411を中心として回動する際、ローラ420は、ベースプレート100の上面に接しながら回転端部412とともにベースプレート100上を移動する。つまり、リンク410は、固定端部411とローラ420との2点でベースプレート100に支持されている。
【0027】
突出部432は、リンク410からベースプレート100に向けて突出する形状を有している。ベースプレート100の前記貫通孔120は、突出部432の移動軌跡を含む形状を有している。本実施形態では、貫通孔120は、円弧状に形成されている。突出部432は、貫通孔120内に挿通されている。
【0028】
図4及び図5に示されるように、固定部材434は、突出部432のうちベースプレート100から下方に突出した部位に固定されている。固定部材434は、ベースプレート100に対して突出部432が上方に移動したときにベースプレート100の下面に当接する形状を有している。
【0029】
第1レール450は、ベースプレート100に固定されている。図6図10に示されるように、第1レール450は、固定端部411及び回転端部412間の距離の2倍の長さを半径とし、かつ、固定端部411を中心とする仮想円A1の直径に沿って直線状に延びる形状を有している。本実施形態では、第1レール450は、仮想円A1の直径上において、中心B1の一方側から他方側に至るように延びる形状を有している。第1レール450は、シートスライダ3と平行となる姿勢でベースプレート100に固定されている。ただし、第1レール450は、シートスライダ3に交差する姿勢でベースプレート100に固定されてもよい。
【0030】
第1スライダ460は、第1レール450に沿って移動可能である。第1スライダ460は、当該第1スライダ460に対して回転プレート300が相対回転可能となるように回転プレート300を支持している。第1スライダ460は、回転プレート300のうち回転端部412に固定されている部位から離間した部位を支持している。図6図10に示されるように、回転端部412は、回転プレート300の後部に固定されており、第1スライダ460は、回転プレート300の後部で、かつ、車両の幅方向における回転端部412よりも内側の部位(以下、「第1被支持部310」と表記する。)を支持している。
【0031】
第1スライダ460は、第1被支持部310を、回転プレート300が着座位置から乗降位置に移動するときに回転端部412に対して回転プレート300が回転する方向(図6における右回り)と同じ方向に当該第1スライダ460に対して相対回転させつつ第1スライダ460に沿って前方に移動させる。第1スライダ460は、シート本体200が着座位置から乗降位置に移動するときに、固定端部411及び回転端部412間の長さを半径とし、かつ、回転端部412を中心とする円A2が仮想円A1に内接しながら回転するときにおける円A2上の点の軌跡(仮想円A1の直径)に沿うように移動する。前記円A2上の点は、第1被支持部310に対応している。
【0032】
第2レール470は、仮想円A1の直径に沿って直線状に延びる形状を有している。第2レール470は、第1レール450と交差する姿勢でベースプレート100に固定されている。本実施形態では、第2レール470は、仮想円A1の直径上において、中心B1の一方側にのみ位置している。第2レール470は、車両の前方に向かうにしたがって次第に第1レール450から乗降口に向かう方向に離間する姿勢でベースプレート100に固定されている。
【0033】
第2スライダ480は、第2レール470に沿って移動可能である。第2スライダ480は、当該第2スライダ480に対して回転プレート300が相対回転可能となるように回転プレート300を支持している。第2スライダ480は、回転プレート300のうち回転端部412に固定されている部位及び第1被支持部310の双方から離間した部位(以下、「第2被支持部320」と表記する。)を支持している。図6図10に示されるように、第2被支持部320は、回転プレート300の中央部に相当する。
【0034】
第2スライダ480は、第2被支持部320を、回転プレート300が着座位置から乗降位置に移動するときに回転端部412に対して回転プレート300が回転する方向(図6における右回り)と同じ方向に当該第2スライダ480に対して相対回転させつつ第2スライダ480に沿って前方に移動させる。第2スライダ480は、シート本体200が着座位置から乗降位置に移動するときに、円A2が仮想円A1に内接しながら回転するときにおける円A2上の点の軌跡(仮想円A1の直径)に沿うように移動する。前記円A2上の点は、第2被支持部320に対応している。
【0035】
次に、図6図10を参照しながら、回転シート1におけるシート本体200の動作について説明する。図6は、着座位置における回転プレート300と連結ユニット400との関係を示している。図6における上方に乗降口が設けられている。なお、図6図10では、回転プレート300が二点鎖線で示されている。
【0036】
図6に示される着座位置では、回転端部412は、貫通孔120の後端部に位置しており、第1スライダ460は、第1レール450の後端部に位置しており、第2スライダ480は、第2レール470の後端部に位置している。なお、回転プレート300のうち第1スライダ460により支持される部位(第1被支持部310)、及び、回転プレート300のうち第2スライダ480により支持される部位(第2被支持部320)は、円A2上に位置している。
【0037】
図7は、着座位置からリンクが固定端部を中心として10度回転した状態におけるベースプレート、回転プレート及び連結ユニットの位置関係を概略的に示す図である。図8は、着座位置からリンクが固定端部を中心として20度回転した状態におけるベースプレート、回転プレート及び連結ユニットの位置関係を概略的に示す図である。図9は、着座位置からリンクが固定端部を中心として30度回転した状態におけるベースプレート、回転プレート及び連結ユニットの位置関係を概略的に示す図である。図10は、着座位置からリンクが固定端部を中心として40度回転した状態におけるベースプレート、回転プレート及び連結ユニットの位置関係を概略的に示す図である。なお、リンク410の回転角度は、着座位置(図6)における仮想円A1の中心B1と円A2の中心B2とを結ぶ直線と、現在のリンク410の位置における中心B1と中心B2とを結ぶ直線と、のなす角を意味する。
【0038】
図6から図10に示されるように、リンク410の回転端部412が固定端部411を中心として回動するのに合わせて、第1スライダ460が第1レール450に沿って前方へ移動するとともに、第2スライダ480が第2レール470に沿って前方へ移動する。このとき、回転プレート300は、乗降口に向けて回転する。具体的には、回転プレート300のうち回転端部412に固定された部位は、回転端部412に対して乗降口に向けて回転し、各被支持部310,320は、回転端部412に対して回転プレート300が回転する方向(図6から図10では右回り)と同じ方向に各スライダ460,480に対して回転しながら各レール450,レール470に沿って前方へ移動する。これにより、回転プレート300は、乗降位置に位置する。なお、本実施形態では、リンク410が着座位置から40度回転した位置が乗降位置に設定されている。
【0039】
以上に説明した回転シート1では、各スライダ460,480は、シート本体200が着座位置から乗降位置に移動するときに、円A2が仮想円A1に内接しながら回転するときにおける円A2上の点の軌跡(仮想円A1の直径)に沿うように移動する。このため、着座位置及び乗降位置間のシート本体200の移動距離を確保することが可能となる。これにより、シート本体200は、着座位置における当該シート本体200の側方に位置する柱4を回避しつつ乗降位置に移動する。
【0040】
さらに、この回転シート1の各レール450,470は、ベースプレート100に固定されているため、連結ユニット400の剛性の低下が抑制される。
【0041】
また、この実施形態では、回転プレート300が回転端部412、第1スライダ460及び第2スライダ480の3点で支持されるため、シート本体200が安定的に支持される。
【0042】
(第2実施形態)
次に、図11及び図12を参照しながら、本発明の第2実施形態の回転シート1について説明する。なお、第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明を行い、第1実施形態と同じ構造、作用及び効果の説明は繰り返さない。
【0043】
本実施形態では、連結ユニット400は、第2レール470及び第2スライダ480を有しておらず、内歯車491と、外歯車492と、をさらに有している。
【0044】
内歯車491は、仮想円A1に沿う円弧状に形成されており、ベースプレート100に固定されている。内歯車491は、シートスライダ3間に配置されている。
【0045】
外歯車492は、内歯車491に噛み合う歯車である。外歯車492は、回転端部412に対して相対回転可能となるように回転端部412に固定されている。外歯車492の半径は、中心B1及び中心B2間の距離と同じに設定されている。外歯車492は、扇形に形成されている。
【0046】
上述した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0047】
上記実施形態における回転シートは、フロア側に固定されるベースプレートと、前記ベースプレート上に配置されたシート本体と、前記シート本体に対して相対回転しないように前記シート本体の下面に固定された回転プレートと、前記シート本体が車両の前方を向く着座位置と前記シート本体が車両のドアの開口部を向く乗降位置との間で前記ベースプレートに対して前記回転プレートが回転可能となるように前記ベースプレートと前記回転プレートとを連結する連結ユニットと、を備え、前記連結ユニットは、前記ベースプレートと前記回転プレートとを連結するリンクと、前記ベースプレートに固定されたレールと、前記レールに沿って移動可能なスライダであって、当該スライダに対して前記回転プレートが相対回転可能となるように前記回転プレートを支持する前記スライダと、を有し、前記リンクは、前記ベースプレートに対して相対回転可能となるように前記ベースプレートに固定された固定端部と、前記固定端部を回転中心として前記ベースプレートに対して回動可能であり、かつ、前記回転プレートに対して相対回転可能となるように前記回転プレートに固定された回転端部と、を有し、前記レールは、前記固定端部及び前記回転端部間の距離の2倍の長さを半径とし、かつ、前記固定端部を中心とする仮想円の直径に沿って直線状に延びる形状を有し、前記スライダは、前記回転プレートのうち前記回転端部と固定された部位から離間した部位を、前記回転プレートが前記着座位置から前記乗降位置に移動するときに前記回転端部に対して前記回転プレートが回転する方向と同じ方向に当該スライダに対して相対回転させつつ前記スライダに沿って移動させる。
【0048】
この回転シートでは、レールが前記仮想円の直径に沿って直線状に延びる形状を有していることにより、スライダは、シート本体が着座位置から乗降位置に移動するときに、固定端部及び回転端部間の長さを半径とし、かつ、回転端部を中心とする円が前記仮想円に内接しながら回転するときにおける前記円上の点の軌跡(仮想円の直径)に沿うように移動する。このため、着座位置及び乗降位置間のシート本体の移動距離を確保することが可能となる。さらに、この回転シートのレールは、ベースプレートに固定されているため、連結ユニットの剛性の低下が抑制される。
【0049】
また、前記連結ユニットは、前記仮想円の直径に沿って直線状に延びる形状を有し、前記レールと交差する姿勢で前記ベースプレートに固定された他のレールと、前記他のレールに沿って移動可能な他のスライダであって、当該他のスライダに対して前記回転プレートが相対回転可能となるように前記回転プレートを支持する前記他のスライダと、をさらに有していてもよい。
【0050】
この態様では、回転プレートが回転端部、スライダ及び他のスライダの3点で支持されるため、シート本体が安定的に支持される。
【0051】
あるいは、前記連結ユニットは、前記仮想円に沿う円弧状に形成されており、前記ベースプレートに固定された内歯車と、前記内歯車に噛み合う外歯車であって、前記回転端部に対して相対回転可能となるように前記回転端部に固定された前記外歯車と、をさらに有していてもよい。
【0052】
また、前記連結ユニットは、前記ベースプレートの上面に接し、かつ、前記回転プレートから離間するように前記リンクに固定されたローラをさらに有することが好ましい。
【0053】
このようにすれば、リンクのベースプレートに対する相対回転がスムーズになる。
【0054】
また、前記連結ユニットは、前記リンクから前記ベースプレートに向けて突出する突出部と、前記突出部に固定された固定部材と、をさらに有し、前記ベースプレートには、前記突出部の移動軌跡を含む形状を有する貫通孔が設けられており、前記突出部は、前記貫通孔内に挿通されており、前記固定部材は、前記突出部のうち前記ベースプレートから下方に突出した部位に固定されており、前記ベースプレートに対して前記突出部が上方に移動したときに前記ベースプレートの下面に当接する形状を有することが好ましい。
【0055】
このようにすれば、リンクは、固定端部と固定部材との2点でベースプレートに固定されるため、車両の前突時など、シート本体を介してリンクに上向きの力が作用した際におけるリンクの破損が抑制される。
【0056】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1 回転シート、2 フロア、3 シートスライダ、4 柱、100 ベースプレート、110 接続部、120 貫通孔、200 シート本体、300 回転プレート、310 第1被支持部、320 第2被支持部、400 連結ユニット、410 リンク、411 固定端部、412 回転端部、420 ローラ、432 突出部、434 固定部材、450 第1レール(レール)、460 第1スライダ(スライダ)、470 第2レール(他のレール)、480 第2スライダ(他のスライダ)。
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