(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】パーティション補強具及びパーティション
(51)【国際特許分類】
E04B 2/74 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
E04B2/74 561K
(21)【出願番号】P 2020219191
(22)【出願日】2020-12-28
【審査請求日】2023-02-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2020年7月2日、小城市役所へサンプル配布 2020年8月26日、門真市役所へ販売
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】松尾 則之
(72)【発明者】
【氏名】古賀 隆智
(72)【発明者】
【氏名】中島 俊秀
(72)【発明者】
【氏名】藤川 俊也
【審査官】小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3228499(JP,U)
【文献】特開2008-297786(JP,A)
【文献】特開2003-129593(JP,A)
【文献】登録実用新案第3180291(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状部材を立設して形成されるパーティション本体の上下何れかの端縁部に装着されるパーティション補強具であって、
前記装着時に鉛直方向に延在する第一の鉛直面部と水平方向に延在する第一の水平面部とを備えた板紙製の第一のL型アングル材により形成される本体部と、
前記第一の鉛直面部に沿って形成され前記パーティション本体の端縁部が嵌入される溝部と、を有
し、
前記装着時に鉛直方向に延在する第二の鉛直面部と水平方向に延在する第二の水平面部とを備えた板紙製の第二のL型アングル材により形成される付属部を備え、
前記付属部は、前記第二の鉛直面部を前記第一の鉛直面部と前記パーティション本体の厚さに応じた距離だけ離隔して対向した状態で、前記第二の水平面部を前記第一の水平面部に接合され、
前記第二の鉛直面部と前記第一の鉛直面部との間に、前記溝部が形成されている
ことを特徴とするパーティション補強具。
【請求項2】
前記溝部は、前記第一の鉛直面部と、該第一の鉛直面部と平行に対向配置された対向面部とにより形成され、
前記溝部の開口部を形成する前記第一の鉛直面部の鉛直方向端縁部と前記対向面部の鉛直方向端縁部とが、鉛直方向にずれている
ことを特徴とする請求項1に記載のパーティション補強具
。
【請求項3】
前記第一のL型アングル材は、前記第一の鉛直面部を
鉛直上方から見た平面視で直線の平板状に形成され、
前記溝部も
前記平面視で直線状に形成されている
ことを特徴とする請求項1
又は2に記載のパーティション補強具。
【請求項4】
前記第一のL型アングル材は、前記第一の鉛直面部を長手方向中間部において
鉛直上方から見た平面視でL字型に屈曲され、
前記溝部も
前記平面視でL字型に屈曲されている
ことを特徴とする請求項1
又は2に記載のパーティション補強具。
【請求項5】
板状部材を立設して形成されたパーティション本体と、
前記パーティション本体の上下何れかの端縁部に装着された、請求項1~
4の何れか一項に記載のパーティション補強具と、を備える
ことを特徴とするパーティション
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーティション補強具及びそれを用いたパーティションに関するものである。
【背景技術】
【0002】
災害時において、体育館や公民館等の避難場所内で、避難者のプライバシー確保のために、段ボールシートを用いたパーティションが開発されている。
例えば、特許文献1には、同一形状の段ボールシート製の隔壁部材4枚と適宜数のクリップ部材とで構築する避難所用間仕切りが開示されている。各隔壁部材は、四周壁をL状の折曲角部を含めて四分割した幅の壁面部と、壁面部の下縁に折曲形成した足板部と、壁面部の両側端部に設けられた重ね代部を備えており、重ね代部をクリップ部材で挟持することで個室を構築する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のように、段ボールシート等の板紙をはじめとした板状部材を立設してパーティションとして使用する場合、板状部材の縁部や角部に応力が集中しやすいため、この部分が変形や破損をしやすいという課題がある。特に、板状部材の下縁部は、板状部材自身の荷重を受けつつ床面に圧接するため変形や破損をしやすく、下縁部が変形や破損をすると板状部材の起立状態が不安定になるおそれもある。
【0005】
特許文献1では、隔壁部材の下縁部に足板部が折曲形成されており、下縁部の変形や破損が抑制されることが期待できるものの、単に、足板部を折り曲げるだけでは、壁面部と足板部とを直角に保持することは困難であり、隔壁部材の起立状態が不安定になるおそれがある。また、足板部を折り曲げる作業は煩雑である。このため、板状部材の下縁部等の変形や破損を抑制しつつ板状部材を起立状態に安定させるためには、改善の余地がある。
【0006】
本発明は、板状部材を立設して形成されるパーティション本体の端縁部の変形や破損を抑制しつつ板状部材を起立状態に安定させることが可能なパーティション補強具及びそれを用いたパーティションを提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のパーティション補強具は、板状部材を立設して形成されるパーティション本体の上下何れかの端縁部に装着されるパーティション補強具であって、前記装着時に鉛直方向に延在する第一の鉛直面部と水平方向に延在する第一の水平面部とを備えた板紙製の第一のL型アングル材により形成される本体部と、前記第一の鉛直面部に沿って形成され前記パーティション本体の端縁部が嵌入される溝部と、を有することを特徴としている。
【0008】
本発明のパーティションは、板状部材を立設して形成されたパーティション本体と、前記パーティション本体の上下何れかの端縁部に装着された、前記のパーティション補強具と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明のパーティション補強具を、パーティション本体の端縁部に装着することで、端縁部が補強されると共に保護され、端縁部の変形や損傷が抑制される。また、パーティション本体の下端縁部に本パーティション補強具を装着すると、第一の水平面部が床面等の水平な基面に当接し、パーティション補強具がパーティション本体を第一の鉛直面部に沿った鉛直方向への起立状態に、安定して支持するため、パーティションの組立作業が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態にかかるパーティションの斜視図である。
【
図2】一実施形態にかかる第一のパーティション補強具を示す図であって、(a)はその斜視図、(b)はその端面図(
図2(a)のA方向矢視図)である。
【
図3】一実施形態にかかる第一のパーティション補強具の部材構成を示す斜視図である。
【
図4】
図2の第一のパーティション補強具の変形例を示す端面図であり、(a)は第1変形例を、(b)は第2変形例を、(c)は第3変形例を、それぞれ示す。
【
図5】一実施形態にかかる第二のパーティション補強具を示す図であって、(a)はその斜視図、(b)はその端面図(
図5(a)のB方向矢視図)である。
【
図6】
図5の第二のパーティション補強具の変形例を示す図であって、(a)はその部材構成を示す平面図、(b)はその平面図、(c)はその端面図である。
【
図7】一実施形態にかかる第三のパーティション補強具を示す斜視図である。
【
図8】一実施形態にかかるパーティション本体に適用可能な板状部材の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一実施形態としてのパーティション及びパーティション補強具を説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
【0012】
〔パーティションの構成〕
はじめに、パーティションの構成を説明する。
図1に示すように、本実施形態にかかるパーティション1は、鉛直方向に立設されたパーティション本体2と、パーティション本体2に装着されたパーティション補強具10,20,30とを備えて構成される。
また、本パーティション1は、例えば災害時において、体育館や公民館等の避難場所内で、避難者のプライバシー確保のために、使用することができる。
【0013】
パーティション本体2は、4つの壁面部2A,2B,2C,2Dを備え、これらの壁面部2A,2B,2C,2Dにより、平面視が略矩形(ここでは、正方形)の個室状に区画される。パーティション本体2には、板状部材として、板紙の一種である段ボールシートが適用されている。ただし、パーティション本体2は、板状部材であれば適用可能であり、段ボールシート以外の板紙であってもよく、紙製のみならず、プラスティック製や木製であってもよい。
【0014】
壁面部2A,2B,2C,2Dは、それぞれ独立した枚葉状のプレート(枚葉段ボールシート、「枚葉シート」ともいう)3を用いて構成している。
壁面部2A,2B,2Cにはそれぞれ2つのプレート3が用いられ、壁面部2Dには1つのプレート3が用いられており、壁面部2Dに沿って出入口2Eが設けられている。
【0015】
そして、壁面部2A,2B,2Cにおいてそれぞれ隣接する2つのプレート3をつなぐように、壁面部2A,2B,2Cの上端縁部及び下端縁部には、第一のパーティション補強具10(以下、単に、「補強具10」ともいう)が装着される。また、壁面部2A,2B,2C,2Dが互いに隣接する角部において隣接する各プレート3の上端縁部及び下端縁部には、第二のパーティション補強具20(以下、単に、「補強具20」ともいう)が装着される。さらに、壁面部2A,2B,2C,2Dが互いに隣接する角部の鉛直方向中間部には、第三のパーティション補強具30(以下、単に、「補強具30」ともいう)が装着される。
【0016】
〔パーティション補強具の構成〕
ここで、各パーティション補強具の構成を説明する。
(第一のパーティション補強具)
第一のパーティション補強具10は、
図2(a),(b)に示すように、パーティション本体2への装着時に鉛直方向に延在する鉛直面部(第一の鉛直面部)12と水平方向に延在する水平面部(第一の水平面部)13とを備えた板紙製のL型アングル材(第一のL型アングル材)11により形成される本体部10Aと、鉛直面部12に沿って形成され、所定の溝巾Wを有する溝部14と、を有している。
【0017】
本実施形態では、
図3に示すように、L型アングル材11にもう一つの板紙製のL型アングル材(付属部としての第二のL型アングル材)15を接合させて、補強具10を形成している。L型アングル材15も、パーティション本体2への装着時に鉛直方向に延在する鉛直面部(第二の鉛直面部)16と水平方向に延在する水平面部(第二の水平面部)17とを備え、鉛直面部16が鉛直面部12に対して平行で且つ上記の溝巾W分だけ距離をあけた状態で、水平面部13の上に水平面部17が重ねられて接着されている。
溝部14は、鉛直面部12と、鉛直面部12と平行に対向配置された対向面部とにより形成されるが、本実施形態では、鉛直面部16が対向面部に相当し、鉛直面部16と鉛直面部12との間に、溝部14が形成される。
【0018】
L型アングル材11,15は折れ曲がりのない直線状に形成されており、鉛直面部12,16は平面視で直線の平板状に形成され、溝部14も平面視で直線状に形成されている。
溝部14の溝巾Wは、パーティション本体2の板厚とほぼ同様に設定され、溝部14内にパーティション本体2の端縁部が嵌着できるようになっている。
なお、
図2(b)に、水平面部13と水平面部17との接着箇所18を模式的に黒丸で示しているが、この接着には、ホットメルト接着剤を用いることが有効である。
【0019】
また、本実施形態では、補強具10に要するコストを抑制するため、2つの板紙製のL型アングル材11,15に、同一形状,同一サイズのものを適用している。このため、
図2(b)に示すように、溝部14の開口部14aを形成する鉛直面部12の鉛直方向上端縁部と鉛直面部16の鉛直方向上端縁部とは、鉛直方向にずれて位置している。つまり、鉛直面部16の鉛直方向上端縁部の方が水平面部13の板厚分だけ高く位置している。この上方に突出した鉛直面部16の鉛直方向上端縁部を、パーティション本体2の端縁部を溝部14内に勧誘させる際のガイドとして使用することができる。
【0020】
ただし、補強具10を2つの板紙製のL型アングル材で形成する場合、同一サイズに限定されるものではなく、
図4(a)に示すように、上方及び内側の第二のL型アングル材15に高さ及び幅が小さいものを使用し、2つの鉛直面部の鉛直方向上端縁部の高さを揃えるようにしてもよい。この例では、さらに水平方向内端縁部の位置も揃えている。
また、
図4(b)に示すように、第二のL型アングル材15の鉛直面部の鉛直方向上端縁部の高さの方が第一のL型アングル材11の鉛直面部の鉛直方向上端縁部の高さよりも低くなるようにしてもよい。この例では、さらに水平方向内端縁部及び水平方向外端縁部の位置も揃えている。
【0021】
補強具10の構造はこれらに限定されない、例えば、さらに、
図4(c)に示すように、補強具10を2つの板紙製のL型アングル材と1枚の板紙製の平板プレート材19とで形成することもできる。つまり、平板プレート材19の上に2つのL型アングル材11,15を溝巾W分の隙間をあけて配置し、平板プレート材19に接着することでも補強具10を構成することができる。
【0022】
(第二のパーティション補強具)
第二のパーティション補強具20は、
図5(a),(b)に示すように、パーティション本体2への装着時に鉛直方向に延在する鉛直面部(第一の鉛直面部)22と水平方向に延在する水平面部(第一の水平面部)23とを備えた板紙製のL型アングル材(第一のL型アングル材)21により形成される本体部20Aと、鉛直面部22に沿って形成され、所定の溝巾Wを有する溝部24と、を有している。
【0023】
本実施形態では、L型アングル材21にもう一つの板紙製のL型アングル材(第二のL型アングル材)25を接合させて、補強具20を形成している。L型アングル材25も、パーティション本体2への装着時に鉛直方向に延在する鉛直面部(第二の鉛直面部)26と水平方向に延在する水平面部(第二の水平面部)27とを備え、鉛直面部26が鉛直面部22に対して平行で且つ上記の溝巾W分だけ距離をあけた状態で、水平面部23の上に水平面部17が重ねられて接着されている。
溝部24は、鉛直面部22と、鉛直面部22と平行に対向配置された対向面部とにより形成されるが、本実施形態では、鉛直面部26が対向面部に相当し、鉛直面部26と鉛直面部22との間に、溝部24が形成される。
【0024】
L型アングル材21,25は、鉛直面部22,26がそれぞれ長手方向中間部において平面視でL字型に屈曲され、溝部24も平面視でL字型に屈曲されている。
溝部24の溝巾Wは、パーティション本体2の板厚とほぼ同様に設定され、溝部24内にパーティション本体2の端縁部が嵌着できるようになっている。
なお、
図5(b)に、水平面部23と水平面部27との接着箇所28を模式的に黒丸で示しているが、この接着には、上記同様、ホットメルト接着剤を用いることが有効である。
【0025】
また、本実施形態では、
図5(b)に示すように、2つの板紙製のL型アングル材21,25に、異なるサイズのものを適用しており、2つの鉛直面部22,26の鉛直方向上端縁部の高さを揃えるようにしている。この例では、さらに水平方向内端縁部の位置も揃えている。
ただし、
図6(a)~(c)に示すように、補強具10と同様に、2つの同一サイズの板紙製のL型アングル材で補強具20を形成してもよく、これにより、補強具20に要するコストを抑制する効果が期待できる。
補強具10と同様に、補強具20の構造はこれらに限定されない。
【0026】
(第三のパーティション補強具)
第三のパーティション補強具30は、
図7に示すように、板紙製のL型アングル材(第三のL型アングル材)31のみで形成され、パーティション本体2の角部の内側に、接着等によって装着される。なお、この補強具30を、長手方向に複数用いて、角部で隣接するプレート3,3間を可能な限り塞いで隙間の発生を防ぐようにすることが好ましい。
【0027】
〔作用及び効果〕
本実施形態のパーティション補強具10,20,30及びこれを備えたパーティション1は、上記のように構成されているので、以下のような作用及び効果を得ることができる。
【0028】
(1)パーティション本体2の端縁部に本パーティション補強具10,20,30を装着することで、端縁部が補強されると共に保護され、端縁部の変形や損傷が抑制される効果がある。特に、パーティション本体2の下端縁部に本パーティション補強具10,20を装着すると、水平面部が床面等の水平な基面に当接し、パーティション補強具10,20がパーティション本体2を第一の鉛直面部に沿った鉛直方向への起立状態に安定して支持する。
【0029】
(2)鉛直面部12,22の鉛直方向端縁部と鉛直面部(対向面部)16,26の鉛直方向端縁部の高さがずれている場合、溝部14,24にパーティション本体2の端縁部を嵌入させる際に、鉛直面部12,22の鉛直方向端縁部と鉛直面部(対向面部)16,26の鉛直方向端縁部のうち、突出している方の鉛直方向端縁部にパーティション本体2の端縁部を当接させて当該鉛直方向端縁部をガイドにしてパーティション本体2の端縁部を嵌入させることで、パーティション本体2に補強具10,20を容易に装着することができ、作業性が向上する。
【0030】
(3)2つのL型アングル材を使用して補強具10,20を構成することで、形状精度が高く且つ強度の高い溝部14,24を、比較的容易に形成することができる。
(4)第一のパーティション補強具10によれば、パーティション本体2の中間部の端縁部が保護され、中間部の端縁部の変形や損傷が抑制される。また、パーティション本体2を鉛直方向への起立状態に安定して支持することができる。
(5)第二のパーティション補強具20によれば、パーティション本体2の角部の端縁部が保護され、角部の端縁部の変形や損傷が抑制される。また、パーティション本体2を鉛直方向への起立状態に安定して支持することができる。
【0031】
(6)補強具10,20を装着されたパーティション1によれば、パーティション1の変形や破損が抑制され、リサイクルや廃棄等の後処理が容易な板紙等の板状部材をパーティション本体2に用いながら、パーティション1の耐久性が向上し、長期にわたって快適に使用することができる。
(7)第三のパーティション補強具30によれば、パーティション本体2の角部の鉛直方向中間部が補強されると共に保護され、角部の端縁部の変形や損傷が抑制され、パーティションの強度及び剛性の向上に寄与する。
また、補強具10,20,30は板紙製なので、リサイクルや廃棄等の後処理が容易である。
【0032】
また、補強具10,20を製造する際の接着にホットメルト接着剤を用いているため、短時間の接着作業で接着強度を確保でき、補強具10,20の部材間の接着部分が剥がれにくく、補強具10,20の強度が確保され、耐久性も確保される。
【0033】
この点に関し、補強具10,20の部材間の接着について、接着剤を用いた場合と、両面テープを用いた場合と、ホットメルト接着剤を用いた場合とで、接着強度及び接着作業性について検証した。
・検証に用いた接着剤:ボンド(酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤,コニシCN2025,コニシ株式会社製)
・検証に用いた両面テープ:両面テープ(品番7480-20,SLONTEC)
・検証に用いたホットメルト接着剤:オレフィン系包装用ホットメルト接着剤(積水フーラーPHC9250J,積水フーラー株式会社製)
【0034】
〔接着作業性〕
接着作業性については、接着に要する時間に着目して、下記のように、良好な方から◎(優),〇(良),△(可)と三段階で評価した。
1回(瞬時)の加圧で接着 ◎
3分以上の加圧で接着 ○
5分以上の加圧で接着 △
<試験結果>
・接着剤
手で接着部を加圧して圧着させ続ける時間が必要であり、圧着時間を1分,3分,5分を増やしていき、テストを行った。その結果、1分間,3分間の圧着では接着せずに、3回目の5分間の圧着でようやく接着した。
・両面テープ
一回(瞬時)加圧するだけで接着した。
・ホットメルト接着剤
一回(瞬時)加圧するだけで接着した。
したがって、評価結果は表1に示すようになった。
【0035】
【0036】
〔接着作業性〕
接着強度については、避難所での使用状況を想定して接着強度を検証した。
具体的な強度確保の想定としては、下記の1~3の状況を想定して、接着強度の評価方法として一般的な成人男性の通常の力によりサンプルを剥がす実験を行なった。
1.組立て時の段ボールシートへの取り付け取り外しの繰り返し(部屋サイズ変更や段シート入れ替えなど)。
2.住民の方など部材を知らない方がくっついていると勘違いして無理に剥がそうとする。
3.輸送中の部材同士の接触。
接着強度については、以下のように評価した。
強く引っ張ってもびくともしない ◎
強く引っ張ると一部で剥がれる ○
強く引っ張ると簡単に剥がれる △
評価結果は表2に示すようになった。
【0037】
【表2】
以上のように、ホットメルト接着剤は、総合的に優位性が認められた。
【0038】
〔その他〕
以上、実施形態を説明したが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態の構成を適宜変形して実施することができる。
例えば、パーティション本体2の材料に、板紙の一種であって、軽量でありながら剛性を確保でき、しかも資材コストを抑えることができる枚葉段ボールシートを適用したが、板状部材は、段ボールシートに限定されない。また、板状部材に段ボールシートを形成する場合、枚葉段ボールシートに限定されない。
【0039】
例えば、複数のプレート(枚葉シート)3に替えて、
図8に示すように、罫線で蛇腹状に折り曲げられた連続段ボールシート4を適用してもよい。この連続段ボールシート4は、帯状の段ボールシートに一定間隔で罫線5を加工したもので、平板状で矩形の複数のプレート部6が罫線を介して折れ曲がり可能に繋がっている。この場合、各プレート部6を各プレート3に替えて使用することになる。
なお、連続段ボールシート4を適用する場合、第三のパーティション補強具30を省略することもできる。
【0040】
また、溝部を有するパーティション補強具として、第一,第二の補強具10,20を例示したが、本発明の補強具は、装着時に鉛直方向に延在する第一の鉛直面部と水平方向に延在する水平面部とを備えた板紙製のL型アングル材により形成される本体部と、鉛直面部に沿って形成され端縁部が嵌入される溝部と、を有するものであればよく、種々の構造のものを採用しうる。
また、補強具10,20,30を、それぞれサイズ(特に、溝巾Wのサイズ)の異なるもの種々用意し、板厚等が異なる板状部材にそれぞれ適用できるようにしてもよく、或いは、溝巾Wよりも、板厚が小さい板状部材に対しては隙間を埋める板状のスペーサを用いて使用するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 パーティション
2 パーティション本体
2A,2B,2C,2D 壁面部
2E 出入口
3 板状部材としての枚葉状のプレート(枚葉段ボールシート、枚葉シート)
4 連続段ボールシート
5 罫線
6 プレート部
10 第一のパーティション補強具(補強具)
10A 補強具10の本体部
11 L型アングル材(第一のL型アングル材)
12 鉛直面部(第一の鉛直面部)
13 水平面部(第一の水平面部)
14 溝部
14a 溝部14の開口部
15 L型アングル材(第二のL型アングル材)
16 鉛直面部(第二の鉛直面部)
17 水平面部(第二の水平面部)
18 接着箇所
19 平板プレート材
20 第二のパーティション補強具(補強具)
20A 補強具20の本体部
21 L型アングル材(第一のL型アングル材)
22 鉛直面部(第一の鉛直面部)
23 水平面部(第一の水平面部)
24 溝部
25 L型アングル材(付属部としての第二のL型アングル材)
26 鉛直面部(第二の鉛直面部)
27 水平面部(第二の水平面部)
28 接着箇所
30 第三のパーティション補強具(補強具)
31 L型アングル材(第三のL型アングル材)