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特許7444171表面欠陥判別装置、外観検査装置及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】表面欠陥判別装置、外観検査装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/892 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
G01N21/892 A
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2021545215
(86)(22)【出願日】2020-08-28
(86)【国際出願番号】 JP2020032574
(87)【国際公開番号】W WO2021049326
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-12-23
(31)【優先権主張番号】P 2019167576
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】原田 孝仁
(72)【発明者】
【氏名】阿部 芳久
(72)【発明者】
【氏名】山田 正之
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-232477(JP,A)
【文献】特開2017-090194(JP,A)
【文献】国際公開第2019/150693(WO,A1)
【文献】特開2006-194828(JP,A)
【文献】特表2012-521559(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0103079(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01742041(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
G01B 11/00 - G01B 11/30
G06T 1/00 - G06T 1/40
G06T 3/00 - G06T 9/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる位置に配置された照明装置及びラインセンサに対して被検査物を相対的に移動させながら、前記各照明装置からの照明光を1つずつ切り替えて被検査物に照射させたときに、各照明装置からの照明光が切り替えられる毎に、被検査物からの反射光をラインセンサで受光して撮影することにより、前記照明光の切り替え分だけそれぞれ位置ずれした状態で複数の画像を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段により取得された、各照明装置に対応する画像を位置合わせする位置合わせ手段と、
前記位置合わせ手段により位置合わせされた画像から、被検査物の表面欠陥を判別する判別手段と、
を備え
前記ラインセンサの各画素の一部は、1つの前記照明装置による照明光が被検査物に照射されることによる今回の撮影と前回の撮影とで撮影範囲が重複する重複領域となっており、
1つの画素における前記重複領域を除く部分をサブピクセルとするとき、今回の撮影での画素全体の受光量から前記重複領域の受光量を差し引くことで、今回のサブピクセルの受光量を推定しサブピクセル画像を作成するサブピクセル画像作成手段をさらに備え、
前記位置合わせ手段は、前記サブピクセル画像作成手段により作成された各照明装置に対応するサブピクセル画像を位置合わせする表面欠陥判別装置。
【請求項2】
異なる位置に配置された照明装置及びラインセンサに対して被検査物を相対的に移動させながら、前記各照明装置からの照明光を1つずつ切り替えて被検査物に照射させたときに、各照明装置からの照明光が切り替えられる毎に、被検査物からの反射光をラインセンサで受光して撮影することにより、前記各照明光毎に複数の画像を取得する画像取得手段を備え、
前記ラインセンサの各画素の一部は、1つの前記照明装置による照明光が被検査物に照射されることによる今回の撮影と前回の撮影とで撮影範囲が重複する重複領域となっており、
1つの画素における前記重複領域を除く部分をサブピクセルとするとき、今回の撮影での画素全体の受光量から前記重複領域の受光量を差し引くことで、今回のサブピクセルの受光量を推定しサブピクセル画像を作成するサブピクセル画像作成手段と、
サブピクセル画像作成手段により作成されたサブピクセル画像に基づいて、被検査物の表面欠陥を判別する判別手段と、
をさらに備えている表面欠陥判別装置。
【請求項3】
前記サブピクセル画像作成手段により作成された各照明装置に対応するサブピクセル画像を位置合わせする位置合わせ手段を備えている請求項に記載の表面欠陥判別装置。
【請求項4】
前記サブピクセル画像作成手段は、前記重複領域の受光量を領域毎に補正した状態で、画素全体の受光量から差し引く請求項のいずれかに記載の表面欠陥判別装置。
【請求項5】
前記サブピクセル画像作成手段は、前記重複領域の受光量を、前回以前に推定されたサブピクセルの受光量の和から求め、求めた受光量を画素全体の受光量から差し引いて今回のサブピクセルの受光量を推定する請求項のいずれかに記載の表面欠陥判別装置。
【請求項6】
前記サブピクセル画像作成手段は、撮影開始後の最初の画素全体の受光量を1画素あたりのサブピクセルの数で割った平均値を、最初のサブピクセルの受光量と推定する請求項に記載の表面欠陥判別装置。
【請求項7】
前記サブピクセル画像作成手段は、画素全体の受光量が所定の閾値を超えない場合、画素全体の受光量を1画素あたりのサブピクセルの数で割った平均値を、今回のサブピクセルの受光量と推定し、画素全体の受光量が所定の閾値を超える場合、画素全体の受光量から前記重複領域の受光量を差し引くことで、今回のサブピクセルの受光量を推定する請求項のいずれかに記載の表面欠陥判別装置。
【請求項8】
前記位置合わせ手段は、前記サブピクセル画像作成手段により作成された各照明装置に対応するサブピクセル画像の位置合わせを、下記式により輝度値Kijを補正値K'ijに補正することにより行う請求項、請求項またはを引用する請求項のいずれかに記載の表面欠陥判別装置。
【数4】
ただし、i:サブピクセル推定位置のインデックス
j:点灯している照明装置の識別番号
【請求項9】
前記判別手段は、前記位置合わせ手段により位置合わせされたサブピクセル画像において、各照明装置に対応する明点が重複せずかつ各明点が予め設定された範囲内にある場合は、被検査物の表面に凹欠陥または凸欠陥が存在すると判定する請求項、請求項またはを引用する請求項のいずれかに記載の表面欠陥判別装置。
【請求項10】
前記判別手段は、前記位置合わせ手段により位置合わせされたサブピクセル画像において、各照明装置に対応する明点の位置が照明装置の配置位置と逆である場合は凹欠陥が存在し、逆でない場合は凸欠陥が存在すると判定する請求項に記載の表面欠陥判別装置。
【請求項11】
前記判別手段は、前記位置合わせ手段により位置合わせされたサブピクセル画像において、各照明装置に対応する明点が重複しているときは、被検査物の表面にゴミまたはほこりが存在すると判定する請求項、請求項またはを引用する請求項10のいずれかに記載の表面欠陥判別装置。
【請求項12】
全体の受光量が所定の閾値を超える画素を欠陥候補画素として検出し、検出された欠陥候補画素について、前記位置合わせ手段によりサブピクセル画像を位置合わせし、かつ判定手段により被検査物の表面欠陥を判別する請求項、請求項またはを引用する請求項1011のいずれかに記載の表面欠陥判別装置。
【請求項13】
前記照明装置の光源として、LEDまたは可視光半導体レーザーが用いられる請求項1~12のいずれかに記載の表面欠陥判別装置。
【請求項14】
前記照明装置は3個以上であり、前記ラインセンサを中心とする円周上でかつ、360度÷照明装置の数、の角度差で配置されている請求項1~13のいずれかに記載の表面欠陥判別装置。
【請求項15】
異なる位置に配置された複数の照明装置と、
各照明装置から被検査物に照射された照明光の反射光を受光可能なラインセンサと、
前記被検査物を、前記照明装置及びラインセンサに対して相対的に移動させる移動手段と、
各照明装置からの照明光を1つずつ所定の周期で切り替えて被検査物に照射させる照明制御手段と、
前記移動手段により、前記被検査物を前記照明装置及びラインセンサに対して相対的に移動させながら、前記照明制御手段により、各照明装置からの照明光が切り替えられる毎に、被検査物からの反射光を受光して撮影を行うように、前記ラインセンサを制御するラインセンサ制御手段と、
請求項1~14のいずれかに記載の表面欠陥判別装置と、
を備えた外観検査装置。
【請求項16】
異なる位置に配置された照明装置及びラインセンサに対して被検査物を相対的に移動させながら、前記各照明装置からの照明光を1つずつ切り替えて被検査物に照射させたときに、各照明装置からの照明光が切り替えられる毎に、被検査物からの反射光をラインセンサで受光して撮影することにより、前記照明光の切り替え分だけそれぞれ位置ずれした状態で複数の画像を取得する画像取得ステップと、
前記画像取得ステップにより取得された、各照明装置に対応する画像を位置合わせする位置合わせステップと、
前記位置合わせステップにより位置合わせされた画像から、被検査物の表面欠陥を判別する判別ステップと、
をコンピュータに実行させ
前記ラインセンサの各画素の一部は、1つの前記照明装置による照明光が被検査物に照射されることによる今回の撮影と前回の撮影とで撮影範囲が重複する重複領域となっており、
1つの画素における前記重複領域を除く部分をサブピクセルとするとき、今回の撮影での画素全体の受光量から前記重複領域の受光量を差し引くことで、今回のサブピクセルの受光量を推定しサブピクセル画像を作成するサブピクセル画像作成ステップを前記コンピュータにさらに実行させ、
前記位置合わせステップでは、前記サブピクセル画像作成ステップにより作成された各照明装置に対応するサブピクセル画像を位置合わせする処理を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項17】
前記サブピクセル画像作成ステップでは、前記重複領域の受光量を領域毎に補正した状態で、画素全体の受光量から差し引く処理を前記コンピュータに実行させる請求項16に記載のプログラム。
【請求項18】
前記サブピクセル画像作成ステップでは、前記重複領域の受光量を、前回以前に推定されたサブピクセルの受光量の和から求め、求めた受光量を画素全体の受光量から差し引いて今回のサブピクセルの受光量を推定する処理を前記コンピュータに実行させる請求項16または17に記載のプログラム。
【請求項19】
前記サブピクセル画像作成ステップでは、撮影開始後の最初の画素全体の受光量を1画素あたりのサブピクセルの数で割った平均値を、最初のサブピクセルの受光量と推定する処理を前記コンピュータに実行させる請求項18に記載のプログラム。
【請求項20】
前記サブピクセル画像作成ステップでは、画素全体の受光量が所定の閾値を超えない場合、画素全体の受光量を1画素あたりのサブピクセルの数で割った平均値を、今回のサブピクセルの受光量と推定し、画素全体の受光量が所定の閾値を超える場合、画素全体の受光量から前記重複領域の受光量を差し引くことで、今回のサブピクセルの受光量を推定する処理を前記コンピュータに実行させる請求項1619のいずれかに記載のプログラム。
【請求項21】
前記位置合わせステップでは、前記サブピクセル画像作成ステップにより作成された各照明装置に対応するサブピクセル画像の位置合わせを、下記式により輝度値Kijを補正値K'ijに補正することにより行う処理を前記コンピュータに実行させる請求項1620のいずれかに記載のプログラム。
【数5】
ただし、i:サブピクセル推定位置のインデックス
j:点灯している照明装置の識別番号
【請求項22】
前記判別ステップでは、前記位置合わせステップにより位置合わせされたサブピクセル画像において、各照明装置に対応する明点が重複せずかつ各明点が予め設定された範囲内にある場合は、被検査物の表面に凹欠陥または凸欠陥が存在すると判定する処理を前記コンピュータに実行させる請求項1621のいずれかに記載のプログラム。
【請求項23】
前記判別ステップでは、前記位置合わせステップにより位置合わせされたサブピクセル画像において、各照明装置に対応する明点の位置が照明装置の配置位置と逆である場合は凹欠陥が存在し、逆でない場合は凸欠陥が存在すると判定する処理を前記コンピュータに実行させる請求項22に記載のプログラム。
【請求項24】
前記判別ステップでは、前記位置合わせステップにより位置合わせされたサブピクセル画像において、各照明装置に対応する明点が重複しているときは、被検査物の表面にゴミまたはほこりが存在すると判定する処理を前記コンピュータに実行させる請求項1623のいずれかに記載のプログラム。
【請求項25】
全体の受光量が所定の閾値を超える画素を欠陥候補画素として検出し、検出された欠陥候補画素について、サブピクセル画像を位置合わせする前記位置合わせステップを前記コンピュータに実行させ、かつ判定ステップにより被検査物の表面欠陥を判別する処理を前記コンピュータに実行させる請求項1624のいずれかに記載のプログラム。
【請求項26】
前記照明装置の光源として、LEDまたは可視光半導体レーザーが用いられる請求項1625のいずれかに記載のプログラム。
【請求項27】
複数個の前記照明装置は、前記ラインセンサを中心とする円周上かつ360度/(照明装置の個数)の位置に配置されている請求項1626のいずれかに記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、正反射性状の強い表面を持つ製品や部品等の被検査物の表面欠陥を判別するための表面欠陥判別装置、この表面欠陥判別装置を備えた外観検査装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
製品や部品の表面にある傷は外観を損なう。また、フィルムのような薄膜を製膜するための成膜板に傷などに起因する凹凸がある場合は、製造した薄膜に凹凸が転写され薄膜の欠陥となってしまう。
【0003】
そこで、各種の製品や部品、成膜板等の表面欠陥を検出するための外観検査装置が提案されている。
【0004】
例えば特許文献1には、複数方向の光源を切り替えながら部品を撮影し、照明光源の方向とその撮影画像を解析することで、画像の影が欠陥なのか汚れなのかを判別することを特徴とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-118450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、被検査物が静止していることを前提としており、例えば、静止制御が困難なドラム駆動されるベルト部品をベルトを動かしながら検査して、表面欠陥を判別することはできない。
【0007】
このため、照明装置や画像を撮影するラインセンサに対して、被検査物を相対的に移動させながら、表面欠陥を判別できる技術が望まれている。
【0008】
この発明は、このような技術的背景に鑑みてなされたものであって、照明装置及びラインセンサに対して、被検査物を相対的に移動させながら、表面欠陥を判別できる表面欠陥判別装置、外観検査装置及びプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は以下の手段によって達成される。
(1)異なる位置に配置された照明装置及びラインセンサに対して被検査物を相対的に移動させながら、前記各照明装置からの照明光を1つずつ切り替えて被検査物に照射させたときに、各照明装置からの照明光が切り替えられる毎に、被検査物からの反射光をラインセンサで受光して撮影することにより、前記照明光の切り替え分だけそれぞれ位置ずれした状態で複数の画像を取得する画像取得手段と、前記画像取得手段により取得された、各照明装置に対応する画像を位置合わせする位置合わせ手段と、前記位置合わせ手段により位置合わせされた画像から、被検査物の表面欠陥を判別する判別手段と、を備え、前記ラインセンサの各画素の一部は、1つの前記照明装置による照明光が被検査物に照射されることによる今回の撮影と前回の撮影とで撮影範囲が重複する重複領域となっており、1つの画素における前記重複領域を除く部分をサブピクセルとするとき、今回の撮影での画素全体の受光量から前記重複領域の受光量を差し引くことで、今回のサブピクセルの受光量を推定しサブピクセル画像を作成するサブピクセル画像作成手段をさらに備え、前記位置合わせ手段は、前記サブピクセル画像作成手段により作成された各照明装置に対応するサブピクセル画像を位置合わせする表面欠陥判別装置。
)異なる位置に配置された照明装置及びラインセンサに対して被検査物を相対的に移動させながら、前記各照明装置からの照明光を1つずつ切り替えて被検査物に照射させたときに、各照明装置からの照明光が切り替えられる毎に、被検査物からの反射光をラインセンサで受光して撮影することにより、前記各照明光毎に複数の画像を取得する画像取得手段を備え、前記ラインセンサの各画素の一部は、1つの前記照明装置による照明光が被検査物に照射されることによる今回の撮影と前回の撮影とで撮影範囲が重複する重複領域となっており、1つの画素における前記重複領域を除く部分をサブピクセルとするとき、今回の撮影での画素全体の受光量から前記重複領域の受光量を差し引くことで、今回のサブピクセルの受光量を推定しサブピクセル画像を作成するサブピクセル画像作成手段と、サブピクセル画像作成手段により作成されたサブピクセル画像に基づいて、被検査物の表面欠陥を判別する判別手段と、をさらに備えている表面欠陥判別装置。
)前記サブピクセル画像作成手段により作成された各照明装置に対応するサブピクセル画像を位置合わせする位置合わせ手段を備えている前項に記載の表面欠陥判別装置。
)前記サブピクセル画像作成手段は、前記重複領域の受光量を領域毎に補正した状態で、画素全体の受光量から差し引く前項のいずれかに記載の表面欠陥判別装置。
)前記サブピクセル画像作成手段は、前記重複領域の受光量を、前回以前に推定されたサブピクセルの受光量の和から求め、求めた受光量を画素全体の受光量から差し引いて今回のサブピクセルの受光量を推定する前項のいずれかに記載の表面欠陥判別装置。
)前記サブピクセル画像作成手段は、撮影開始後の最初の画素全体の受光量を1画素あたりのサブピクセルの数で割った平均値を、最初のサブピクセルの受光量と推定する前項に記載の表面欠陥判別装置。
)前記サブピクセル画像作成手段は、画素全体の受光量が所定の閾値を超えない場合、画素全体の受光量を1画素あたりのサブピクセルの数で割った平均値を、今回のサブピクセルの受光量と推定し、画素全体の受光量が所定の閾値を超える場合、画素全体の受光量から前記重複領域の受光量を差し引くことで、今回のサブピクセルの受光量を推定する前項のいずれかに記載の表面欠陥判別装置。
)前記位置合わせ手段は、前記サブピクセル画像作成手段により作成された各照明装置に対応するサブピクセル画像の位置合わせを、下記式により輝度値Kijを補正値K'ijに補正することにより行う前項、前項またはを引用する前項のいずれかに記載の表面欠陥判別装置。
【数1】
ただし、i:サブピクセル推定位置のインデックス
j:点灯している照明装置の識別番号
)前記判別手段は、前記位置合わせ手段により位置合わせされたサブピクセル画像において、各照明装置に対応する明点が重複せずかつ各明点が予め設定された範囲内にある場合は、被検査物の表面に凹欠陥または凸欠陥が存在すると判定する前項、前項またはを引用する前項のいずれかに記載の表面欠陥判別装置。
10)前記判別手段は、前記位置合わせ手段により位置合わせされたサブピクセル画像において、各照明装置に対応する明点の位置が照明装置の配置位置と逆である場合は凹欠陥が存在し、逆でない場合は凸欠陥が存在すると判定する前項に記載の表面欠陥判別装置。
11)前記判別手段は、前記位置合わせ手段により位置合わせされたサブピクセル画像において、各照明装置に対応する明点が重複しているときは、被検査物の表面にゴミまたはほこりが存在すると判定する前項、前項またはを引用する前項10のいずれかに記載の表面欠陥判別装置。
12)全体の受光量が所定の閾値を超える画素を欠陥候補画素として検出し、検出された欠陥候補画素について、前記位置合わせ手段によりサブピクセル画像を位置合わせし、かつ判定手段により被検査物の表面欠陥を判別する前項、前項またはを引用する前項1011のいずれかに記載の表面欠陥判別装置。
13)前記照明装置の光源として、LEDまたは可視光半導体レーザーが用いられる前項1~12のいずれかに記載の表面欠陥判別装置。
14)前記照明装置は3個以上であり、前記ラインセンサを中心とする円周上でかつ、360度÷照明装置の数、の角度差で配置されている前項1~13のいずれかに記載の表面欠陥判別装置。
15)異なる位置に配置された複数の照明装置と、各照明装置から被検査物に照射された照明光の反射光を受光可能なラインセンサと、前記被検査物を、前記照明装置及びラインセンサに対して相対的に移動させる移動手段と、各照明装置からの照明光を1つずつ所定の周期で切り替えて被検査物に照射させる照明制御手段と、前記移動手段により、前記被検査物を前記照明装置及びラインセンサに対して相対的に移動させながら、前記照明制御手段により、各照明装置からの照明光が切り替えられる毎に、被検査物からの反射光を受光して撮影を行うように、前記ラインセンサを制御するラインセンサ制御手段と、前項1~14のいずれかに記載の表面欠陥判別装置と、を備えた外観検査装置。
16)異なる位置に配置された照明装置及びラインセンサに対して被検査物を相対的に移動させながら、前記各照明装置からの照明光を1つずつ切り替えて被検査物に照射させたときに、各照明装置からの照明光が切り替えられる毎に、被検査物からの反射光をラインセンサで受光して撮影することにより、前記照明光の切り替え分だけそれぞれ位置ずれした状態で複数の画像を取得する画像取得ステップと、前記画像取得ステップにより取得された、各照明装置に対応する画像を位置合わせする位置合わせステップと、前記位置合わせステップにより位置合わせされた画像から、被検査物の表面欠陥を判別する判別ステップと、をコンピュータに実行させ、前記ラインセンサの各画素の一部は、1つの前記照明装置による照明光が被検査物に照射されることによる今回の撮影と前回の撮影とで撮影範囲が重複する重複領域となっており、1つの画素における前記重複領域を除く部分をサブピクセルとするとき、今回の撮影での画素全体の受光量から前記重複領域の受光量を差し引くことで、今回のサブピクセルの受光量を推定しサブピクセル画像を作成するサブピクセル画像作成ステップを前記コンピュータにさらに実行させ、前記位置合わせステップでは、前記サブピクセル画像作成ステップにより作成された各照明装置に対応するサブピクセル画像を位置合わせする処理を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。
17)前記サブピクセル画像作成ステップでは、前記重複領域の受光量を領域毎に補正した状態で、画素全体の受光量から差し引く処理を前記コンピュータに実行させる前項16に記載のプログラム。
18)前記サブピクセル画像作成ステップでは、前記重複領域の受光量を、前回以前に推定されたサブピクセルの受光量の和から求め、求めた受光量を画素全体の受光量から差し引いて今回のサブピクセルの受光量を推定する処理を前記コンピュータに実行させる前項16または17に記載のプログラム。
19)前記サブピクセル画像作成ステップでは、撮影開始後の最初の画素全体の受光量を1画素あたりのサブピクセルの数で割った平均値を、最初のサブピクセルの受光量と推定する処理を前記コンピュータに実行させる前項18に記載のプログラム。
20)前記サブピクセル画像作成ステップでは、画素全体の受光量が所定の閾値を超えない場合、画素全体の受光量を1画素あたりのサブピクセルの数で割った平均値を、今回のサブピクセルの受光量と推定し、画素全体の受光量が所定の閾値を超える場合、画素全体の受光量から前記重複領域の受光量を差し引くことで、今回のサブピクセルの受光量を推定する処理を前記コンピュータに実行させる前項1619のいずれかに記載のプログラム。
(21)前記位置合わせステップでは、前記サブピクセル画像作成ステップにより作成された各照明装置に対応するサブピクセル画像の位置合わせを、下記式により輝度値Kijを補正値K'ijに補正することにより行う処理を前記コンピュータに実行させる前項1620のいずれかに記載のプログラム。
【数2】
ただし、i:サブピクセル推定位置のインデックス
j:点灯している照明装置の識別番号
22)前記判別ステップでは、前記位置合わせステップにより位置合わせされたサブピクセル画像において、各照明装置に対応する明点が重複せずかつ各明点が予め設定された範囲内にある場合は、被検査物の表面に凹欠陥または凸欠陥が存在すると判定する処理を前記コンピュータに実行させる前項1621のいずれかに記載のプログラム。
23)前記判別ステップでは、前記位置合わせステップにより位置合わせされたサブピクセル画像において、各照明装置に対応する明点の位置が照明装置の配置位置と逆である場合は凹欠陥が存在し、逆でない場合は凸欠陥が存在すると判定する処理を前記コンピュータに実行させる前項22に記載のプログラム。
24)前記判別ステップでは、前記位置合わせステップにより位置合わせされたサブピクセル画像において、各照明装置に対応する明点が重複しているときは、被検査物の表面にゴミまたはほこりが存在すると判定する処理を前記コンピュータに実行させる前項1623のいずれかに記載のプログラム。
25)全体の受光量が所定の閾値を超える画素を欠陥候補画素として検出し、検出された欠陥候補画素について、サブピクセル画像を位置合わせする前記位置合わせステップを前記コンピュータに実行させ、かつ判定ステップにより被検査物の表面欠陥を判別する処理を前記コンピュータに実行させる前項1624のいずれかに記載のプログラム。
26)前記照明装置の光源として、LEDまたは可視光半導体レーザーが用いられる前項1625のいずれかに記載のプログラム。
27)複数個の前記照明装置は、前記ラインセンサを中心とする円周上かつ360度/(照明装置の個数)の位置に配置されている前項1626のいずれかに記載のプログラム。
【発明の効果】
【0014】
前項(1)に記載の発明によれば、異なる位置に配置された照明装置及びラインセンサに対して被検査物を相対的に移動させながら、各照明装置からの照明光が1つずつ切り替えて被検査物に照射される。各照明装置からの照明光が切り替えられる毎に、被検査物からの反射光をラインセンサで受光して撮影することにより、照明光の切り替え分だけそれぞれ位置ずれした状態で複数の画像が取得される。取得された各照明装置に対応する画像は位置合わせされたのち、位置合わせされた画像から被検査物の表面欠陥が判別される。
【0015】
このように、照明装置及びラインセンサに対して被検査物が相対的に移動しているために、各照明装置からの照明光が切り替えられたときの照明光の切り替え分だけそれぞれ位置ずれした状態で、ラインセンサから取得された各照明装置に対応する複数の画像が位置合わせされ、この位置合わせされた状態で被検査物の表面欠陥が判別されるから、被検査物を相対的に移動させながら、被検査物の表面欠陥を判別することができる。
【0016】
また、ラインセンサの各画素の一部は、1つの照明装置による照明光が被検査物に照射されることによる今回の撮影と前回の撮影とで撮影範囲が重複する重複領域となっており、1つの画素における重複領域を除く部分をサブピクセルとするとき、今回の撮影での画素全体の受光量から重複領域の受光量を差し引くことで、今回のサブピクセルの受光量が推定され、サブピクセル画像が作成される。そして、作成された各照明装置に対応するサブピクセル画像を位置合わせし、位置合わせされた画像から被検査物の表面欠陥が検出される。ここで、サブピクセルは、画素における重複領域を除く部分であるから、1画素より小さく、このため外観検査の分解能が向上し、より細かい表面欠陥の検出を行うことができる。
【0017】
つまり、相対的に移動する非検査物をラインセンサで撮影する場合、ラインセンサと非検査物の撮影面間の距離が安定せず、被写界深度を深く設定する必要があるが、被写界深度を深くすると分解能が下がるトレードオフの関係があり、細かい欠陥まで検査できない場合があるが、1画素より小さいサブピクセルの画像を使用することにより、被写界深度を深くしなくても分解能が上がり、より細かい欠陥まで検査できる利点がある。
【0018】
前項()に記載の発明によれば、1画素より小さいサブピクセル画像から欠陥が判別されるから、外観検査の分解能が向上し、より細かい表面欠陥の検出を行うことができる。
【0019】
前項()に記載の発明によれば、各照明装置に対応するサブピクセル画像の位置合わせにより、さらに精度の良い欠陥検出が可能となる。
【0020】
前項()に記載の発明によれば、重複領域の受光量を領域毎に補正した状態で、画素全体の受光量から差し引かれるから、重複領域のより正確な受光量を差し引いて今回のサブピクセルの受光量を推定でき、ひいてはより精度の高い欠陥判別を行うことができる。
【0021】
前項()に記載の発明によれば、重複領域の受光量を、前回以前に推定されたサブピクセルの受光量の和から求め、求めた受光量を画素全体の受光量から差し引いて今回のサブピクセルの受光量を推定するから、推定処理が簡素化される。
【0022】
前項()に記載の発明によれば、撮影開始後の最初の画素全体の受光量を1画素あたりのサブピクセルの数で割った平均値を、最初のサブピクセルの受光量と推定するから、次回以降のサブピクセルの受光量の推定処理をスムーズに行うことができる。
【0023】
前項()に記載の発明によれば、画素全体の受光量が所定の閾値を超えない場合、換言すれば表面欠陥が存在しない可能性が高い場合は、画素全体の受光量を1画素あたりのサブピクセルの数で割った平均値を、今回のサブピクセルの受光量と推定する。一方、画素全体の受光量が所定の閾値を超える場合、換言すれば表面欠陥が存在する可能性が高い場合は、画素全体の受光量から前記重複領域の受光量を差し引くことで、今回のサブピクセルの受光量が推定される。これによって、表面欠陥が存在する可能性が高い領域に集中して欠陥判別処理を実行することができる。
【0024】
前項()に記載の発明によれば、各照明装置に対応するサブピクセル画像の位置合わせを正確に行うことができ、ひいては精度の高い欠陥判別を行うことができる。
【0025】
前項()に記載の発明によれば、被検査物の表面の傷等の凹欠陥または凸欠陥を判別することができる。
【0026】
前項(10)に記載の発明によれば、被検査物の表面の凹欠陥や凸欠陥を判別することができる。
【0027】
前項(11)に記載の発明によれば、被検査物の表面のゴミまたはほこりを判別することができる。
【0028】
前項(12)に記載の発明によれば、全体の受光量が所定の閾値を超える画素を欠陥候補画素として検出し、検出された欠陥候補画素について、サブピクセル画像を位置合わせし、かつ被検査物の表面欠陥を判別するから、表面欠陥が存在する可能性が高い領域に集中して欠陥判別処理を実行することができる。
【0029】
前項(13)に記載の発明によれば、LEDまたは可視光半導体レーザーが照明装置の光源として用いられるから、各照明装置の切り替えを高速度で行うことができる。
【0030】
前項(14)に記載の発明によれば、照明装置は3個以上であり、ラインセンサを中心とする円周上でかつ、360度÷照明装置の数、の角度差で配置されているから、証明光が傷等と直角にならない照明装置が必ず確保され、傷等の表面欠陥を精度良く判別することができる。
【0031】
前項(15)に記載の発明によれば、異なる位置に配置された照明装置及びラインセンサに対して被検査物を相対的に移動させながら、非検査物の表面欠陥判別を精度良く行うことができる外観検査装置となる。
【0032】
前項(16)~(27)に記載の発明によれば、異なる位置に配置された照明装置及びラインセンサに対して被検査物を相対的に移動させながら、非検査物の表面欠陥判別処理をコンピュータに実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】この発明の一実施形態に係る外観検査装置の構成図である。
図2】(A)(B)は複数の照明装置の配置関係を説明するための図である。
図3】複数の照明装置を切り替えながら撮影するときの撮影範囲と画素の相対的位置関係を説明するための図である。
図4】1つの照明装置による1回目~4回目の撮影を行ったときの撮影範囲と画素の相対的位置関係を説明するための図である。
図5】サブピクセル23の受光量の推定方法を説明するための図である。
図6】複数の照明装置についてのサブピクセル画像の位置合わせを説明するための図である。
図7】画素の感度分布の一例を示す図である。
図8】画素の感度分布についての重み付けを考慮して算出した、画素の各領域の補正後の受光量推定値の一例を示す図である。
図9】複数の照明装置の照射光量の分布が相違するため、反射光の受光量も画素の領域によって異なることを説明するための図である。
図10】ボイド欠陥の判別方法を説明するための図である。
図11】凸欠陥の判別方法を説明するための図である。
図12】傷欠陥を判別方法を説明するための図である。
図13】ほこりやゴミの判別方法を説明するための図である。
図14】複数のサブピクセル画像を組み合わせることによりボイド欠陥と判別される画像を模式的に示す図である。
図15】複数のサブピクセル画像を組み合わせることにより凸欠陥と判別される画像を模式的に示す図である。
図16】複数のサブピクセル画像を組み合わせることにより傷欠陥と判別される画像を模式的に示す図である。
図17】複数のサブピクセル画像を組み合わせることによりほこりまたはゴミと判別される画像を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[外観検査装置の構成]
図1は、この発明の一実施形態に係る外観検査装置の構成図である。図1に示すように、外観検査装置は、ラインセンサ1と、2つの照明装置2a、2bと、各照明装置2a、2bを制御する照明制御部8と、ラインセンサ1を制御するラインセンサ制御部9と、被検査物5を搬送する搬送ドラム3、3と、被検査物5の撮影位置を検出するドラムエンコーダー4と、表示装置6と、コンピュータ10と、被検査物5の搬送速度の制御のために搬送ドラム3の回転数を制御する搬送ドラム制御部11等を備えている。
【0035】
コンピュータ10は、ラインセンサ1で撮影された画像を処理して欠陥判別を行うとともに、照明装置2a、2bとラインセンサ1を同期制御する。また、表示装置6は、コンピュータ10により欠陥判別処理された画像と処理結果等を表示する。
【0036】
被検査物5は高反射率のベルト状をなし、搬送ドラム3を使用してロール状に設置され、搬送ドラム3、3の矢印方向の回転によって、Y方向に送られるようになっている。ラインセンサ1による被検査物5の撮影位置は、ドラムエンコーダー4で検知される。
【0037】
ラインセンサ1は、被検査物5の移動方向Yと直交するX方向に延設されており、2つの照明装置2a、2bは、図2(A)に示すように、上方から見てラインセンサ1を中心とする対象位置に180度の角度差で配置されており、それぞれ異なる2方向から照明することが可能である。照明装置2a、2bの対向方向はX方向でもY方向でも、他の方向でもかまわない。この実施形態では、2つの照明装置2a、2bを使用しているが、3つ以上を使用しても良い。3つ以上の場合、図2(B)に示すように、上方から見てラインセンサ1を中心とする円周上で、かつ360度÷照明装置の数、の角度差で配置されるのが、直線状の傷等の表面欠陥に対して直角にならない照明装置が必ず確保され、傷等の表面欠陥を精度良く判別することができる点から望ましい。なお、図2(B)では3つの照明装置2a、2b、2cの場合であり、相互に120度の角度差で配置されている。
【0038】
各照明装置2a、2bは、照明制御部8での制御により任意のタイミングにてオンオフを切り替えることができるようになっている。
【0039】
ラインセンサ1の1ラインでの撮影範囲が、被検査物5に対して小さい場合は、Y方向に被検査物5を一回り撮影後、センサ照明搬送部12により、照明装置2a、2bとラインセンサ1を一体で、ラインセンサ1の長さ分X方向に移動させ、再度Y方向に一回り撮影し、これを順次繰り返すことで、被検査物5の全体を撮影する構成としても良い。
【0040】
ラインセンサ1は、被検査物5をY方向に移動させながら、各照明装置2a、2bのオンオフを切り替えて被検査物5を照明したときの反射光を受光する。ラインセンサ1と各照明装置2a、2bは正対位置になく、各照明装置2a、2bからの照明光が被検査物5で乱反射された反射光がラインセンサ1に受光される。従って、ラインセンサ1により撮影される画像は暗視野画像となる。
【0041】
被検査物5の表面は高反射率であるため、照明位置に凹欠陥、凸欠陥、傷状欠陥、ほこり、ゴミ等があった場合、これら欠陥、ほこり、ゴミ等で乱反射した反射光がラインセンサ1に入射する。
【0042】
ラインセンサ制御部9と照明制御部8はコンピュータ10に接続され、ラインセンサ1と照明装置2a、ラインセンサ1と照明装置2bはそれぞれ同期して発光、撮影される。
【0043】
この実施形態では、一般的なラインセンサの仕様からラインセンサ1のラインレートを100kHz(シャッタースピード0.01ms)とする。つまり、照明装置2a、照明装置2bとして、0.01msごとに交互に高速に切り替えられるLED光源やLD(可視光半導体レーザー)光源などを用いたものが好適である。
[表面欠陥判別処理]
次に、コンピュータ10による被検査物5の表面欠陥判別処理について説明する。なお、コンピュータ10には、CPU、RAM、記憶装置等が備えられ、表面欠陥判別処理は、記憶装置等に格納された動作プログラムに従ってCPUが動作することにより実行される。
【0044】
前述したように、ラインセンサ1による撮影は、被検査物5を移動させながら、複数(この実施形態では2つ)の照明装置2a、2bのオンオフを交互に切り替えることにより行われる。コンピュータ10は、ラインセンサ1による撮影画像を順次取得する。
<サブピクセル画像の作成>
図3は、照明装置2a、2bを切り替えながら撮影するときの撮影範囲と画素20の相対的位置関係を説明するための図である。
【0045】
図3に示すように、検出する欠陥30のサイズを12A、ラインセンサ1の分解能(1画素20の長さ)を6Aとし、被検査物5をA送るごとに照明装置2a、2bを切り替えながら撮影するものとする。ラインセンサ1の分解能6Aは、1画素における1回の撮影領域である。従って、図3に示すように、1回目の撮影は照明装置2aの照明光により行われ、被検査物5がA送られると2回目の撮影に切り替わり、照明装置2bの照明光により撮影が行われる。1回目の撮影と2回目の撮影とでは、被検査物5の撮影領域がAだけ移動している。3回目以降の撮影についても同様である。図3の例では、説明の便宜上、切り替え撮影のたびに画素20がAだけ移動した状態が示されている。
【0046】
図4は、1つの照明装置2aによる1回目~4回目の撮影を行ったときの撮影範囲と画素20の相対的位置関係を説明するための図である。
【0047】
図4に示すように照明装置2aに着目すると、照明装置2aは被検査物5が2A移動する毎にオンとなってその照明光による被検査物5への照射が開始され、その都度ラインセンサ1により撮影される。つまり、被検査物5が2A移動する毎に、照明装置2aからの照明光に対応する撮影が行われる。照明装置2aの照明光の照射時間、換言すればラインセンサ1の各画素20の受光時間は、移動距離Aに相当する時間である。これらの点は照明装置2bについても同様である。
【0048】
また、図4に示されるように、照明装置2aによる撮影において、センサ分解能6Aの一部である4A分は、今回の撮影と前回の撮影とで被検査物5の同じ撮影範囲を撮影しており、撮影範囲が重複した重複領域である。つまり、画素20を長さ方向に順に第1領域21、第2領域22、第3領域23の3領域に分割すると、1領域あたりの長さは2Aであり、前回の撮影における第2領域22及び第3領域23と、今回の撮影の第1領域21及び第2領域22は、撮影範囲が同じ重複領域である。例えば、4回目の撮影の第1領域21と第2領域22は、それぞれ3回目の撮影の第2領域22と第3領域23と重複している。図4では、今回の撮影における前回の撮影との重複領域をグレー表示している。
【0049】
今回の撮影の第3領域23については、前回の撮影との撮影範囲は重複せず、新たな撮影範囲として更新される部分であり、これをサブピクセルとする。以下、第3領域をサブピクセルともいう。
【0050】
図5はサブピクセル23の受光量の推定方法を説明するための図であり、照明装置2aによりi回目の撮影とその前後複数回の撮影を行ったときの、撮影範囲と画素20の相対的位置関係を示している。
【0051】
図5に示す通り、i回目の撮影においてサブピクセル23の受光量は、i回目の撮影での1画素20の全体(6A分)の受光量から、前回の撮影との重複領域である第1領域21及び第2領域22の4A分の受光量を差し引いて演算推定する必要がある。
【0052】
(i-2)回目の画像は(i-3)回目との比較では、サブピクセル23の2A分更新され、撮影回数が(i-1)回目、i回目と増える毎に順にサブピクセル23の2A分ずつ更新されていく。更新された新たなサブピクセル23は、次の撮影時には重複領域となり、さらに次の撮影時にも重複領域として残り、その次の撮影時に重複領域から外れる。つまり、今回の撮影と前回の撮影との間の重複領域は、前回及び前々回の過去2回の撮影時のサブピクセル23である。従って、i回目の撮影においてサブピクセル23の受光量は、i回目の撮影での1画素6A分の全受光量から、前回(i-1)回目の撮影時のサブピクセル23の推定受光量と、前々回(i-2)回目の撮影時のサブピクセル23の推定受光量の和を差し引いた値となる。つまり、
(i回目のサブピクセルの受光量の推定値)=(i回目の全受光量)-{((i-1)回目のサブピクセルの受光量の推定値)+((i-2)回目のサブピクセルの受光量の推定値)}と演算される。
【0053】
図5の各画素20の第1~第3の各領域21~23に書き込まれた数値はその領域の推定受光量の一例であり、前回あるいは前々回のサブピクセル23の数値と同じである。画素20の右横の数値は1画素の全受光量である。図5の例では、i回目の撮影での1画素6A分の全受光量は3.8であり、前回(i-1)回目の撮影時のサブピクセル23の推定受光量は1.3であり、前々回(i-2)回目の撮影時のサブピクセル23の推定受光量は0.5であるから、i回目の撮影でのサブピクセル23の推定受光量は、[3.8-(1.3+0.5)}=2.0となる。
【0054】
ただし、このサブピクセル23の受光量の推定処理は、欠陥が存在する可能性の高い欠陥候補画素として検出された画素20に対して実施されれば良く、検出された欠陥候補画素の推定位置をドラムエンコード4の情報を基にiとし、そのときのサブピクセル23の受光量を位置情報と関連付けて記憶しておき、サブピクセル画像を作成すれば良い。これにより、表面欠陥が存在する可能性が高い部位に集中して欠陥判別処理を実行することができ、効率が良くなる。欠陥候補画素については、全体の受光量が所定の閾値を超える画素20を欠陥候補画素として検出すれば良い。
【0055】
なお、全体の受光量が所定の閾値を超えない画素20については、欠陥が存在している可能性が低いため、2A分の画素光量の平均値を画素全体の受光量の1/3として求め、サブピクセル23の受光量と推定すれば良い(図5の例えば(i-4)回目または(i-3)回目)。
【0056】
また、検査開始後の最初の撮影については、前回のサブピクセル23の推定受光量が存在しないため、画素全体の受光量を1画素あたりのサブピクセル23の数で割った平均値を、最初のサブピクセル23の受光量と推定し、この受光量を用いて、以降の撮影におけるサブピクセル23の受光量を推定すれば良い。
【0057】
このようにして、欠陥候補画素周辺について、画素20の画像ではなく1/3画素(2A分の領域)の受光量からなるサブピクセル画像を作成する。これによりラインセンサ1の分解能は3倍となり、細かい表面欠陥を精度良く検出、判別することができる。つまり、ラインセンサ1および照明装置2a、2bに対して移動する非検査物5をラインセンサ1で撮影する場合、ラインセンサ1と非検査物5の撮影面間の距離が安定せず、被写界深度を深く設定する必要があるが、被写界深度を深くすると分解能が下がるトレードオフの関係があり、細かい欠陥まで検査できない場合があるが、1画素より小さいサブピクセルの画像を使用することにより、被写界深度を深くしなくても分解能が上がり、より細かい欠陥まで検査できる。
【0058】
照明装置2aについてサブピクセル画像を生成したが、照明装置2bについても同様にして、1/3画素のサブピクセル画像を作成することができる。
<照明装置2a、2bについてのサブピクセル画像の位置合わせ>
図6に示すように、照明装置2aに対応する1つの画素20についてのサブピクセル画像の位置をa1、a2、a3・・・とし、照明装置2bに対応する1つの画素20についてのサブピクセル画像の位置をb1、b2、b3・・・とすると、撮影時には、被検査物5はラインセンサ1及び照明装置2a、2bに対して移動しているから、照明装置2aについてのサブピクセル画像と照明装置2bについてのサブピクセル画像は、a1、b1、a2、b2、a3、b3・・・というように、照明光の切り替え時間に相当する移動距離Aだけ、交互に位置ずれした状態となる。
【0059】
そこで、この位置ずれを補正する。具体的には、照明装置2aの位置a2に対応する照明装置2bのサブピクセルの位置をb2’とすると、
位置b2’での受光量(輝度値)=(位置b1での受光量+位置b2での受光量)/2
として、受光量(輝度値)を補正することにより位置ずれを補正する。照明装置2aの位置a3、a4・・・に対応する照明装置2bのサブピクセルの位置b3’、b4’・・・についても同様である。
【0060】
また、照明装置2aの位置を、照明装置2bの位置b1、b2、b3・・・に対応するように、位置合わせしても良い。
【0061】
上記補正式は照明装置が2つの場合であるが、2つでも3つ以上であっても適用可能な補正式は、次の式で表される。
【0062】
【数3】
【0063】
ただし、i:サブピクセル推定位置のインデックス
j:点灯している照明装置の識別番号
<サブピクセルの受光量推定時の補正>
サブピクセル23の受光量の推定は、1画素6A分のすべての領域が同じ受光感度を有しているものとして行った。しかし実際には、図7の感度分布に示すように、画素20の各部によって受光感度は相違し、中央部は相対的に受光感度が高く、両端部は低い。図7では、ハッチング部分の感度が高いことを示しており、同じ両端部でも第3領域の方が第1領域よりも感度が高い。
【0064】
図5で説明したように、今回の撮影がi回目の撮影であるとすると、前回の撮影である(i-1)回目の撮影において、サブピクセルは1画素の右端部の第3領域23であり、受光感度が低い。このサブピクセル23は、今回のi回目の撮影では、中央の2A分の第2領域22と重複しており、この領域は受光感度が高い。このため、i回目の撮影における中央の第2領域22の受光量は、(i-1)回目の撮影におけるサブピクセル23の受光量よりも多いはずである。
【0065】
また、i回目の撮影における第1領域21の受光量は、(i-2)回目の撮影におけるサブピクセル23の受光量であるが、(i-2)回目の撮影におけるサブピクセル23の受光量よりも、i回目の撮影における第1領域21の受光量の方が実際には少ないはずである。
【0066】
そこで、画素20の各領域21~23の受光量を補正するため、各領域21~23に応じた重み付けを行い、領域21~23毎に重み係数を設定している。具体的には、1画素20の左端部の第1領域21の重み係数をε1、中央部の第2領域22の重み係数をε2、右端部の第3領域23の重み係数をε3として、i回目の撮影におけるサブピクセル23の受光量を下記式により演算している。
(i回目のサブピクセルの受光量の推定値)=(i回目の全受光量)-{((i-1)回目のサブピクセルの受光量の推定値)*ε2/ε3+((i-2)回目のサブピクセルの受光量の推定値)*ε1/ε3}
ε1、ε2、ε3の具体例として本実施形態では、ε1=1/3、ε2=1、ε3=2/3が設定されている。図8に、重み付けを考慮して算出した各領域21~23の補正後の受光量推定値の一例を示す。
【0067】
図8の例では、(i-2)回目の撮影時のサブピクセル23の受光量を0.3としたとき、(i-1)回目の撮影時の第2領域22においては、受光量が補正されて0.5に増加し、i回目の撮影時の第1領域21においては、受光量が補正されて0.2に減少している。また、(i-1)回目の撮影時のサブピクセル23の受光量を0.9としたとき、i回目の撮影時の第2領域22においては、受光量が補正されて1.3に増加している。
【0068】
また、画素20の受光感度だけでなく、照明装置2a、2bの照射光量の分布が相違するため、図9に示すように、反射光40の受光量も画素20の領域によって異なる場合がある。図9の例では、画素20の端部の第1領域21及び第3領域23については反射光量1に対し、中央の第2領域22については反射光量が2倍であることを示している。このため、反射光量の相違を補正するため、画素20の各領域21~23毎に基づく重み係数ε1~ε3を設定してもよい。たとえば、ε1=1/2、ε2=1、ε3=1/2が設定されても良い。
【0069】
このように、画素20の領域21~23毎に受光量を補正した状態で、1画素全体の受光量から重複領域の受光量が差し引かれるから、重複領域のより正確な受光量を差し引いて今回のサブピクセル23の受光量を推定でき、ひいてはより精度の高い欠陥判別を行うことができる。
<欠陥判別>
相互に位置合わせされたサブピクセル画像を基に表面欠陥を判別する。
【0070】
凹欠陥のうち、”ボイド欠陥”と呼ばれる球面状の凹み欠陥51については、図10に示すように、対向して配置された照明装置2a及び2bの異なる方向からの照明光がクロスし、照明装置2a及び2bの各位置と反射位置とは位置関係が逆になる。つまり、位置合わせされたサブピクセル画像61において、各照明装置2a、2bに対応する明点61a、61bが重複せず、かつ各明点61a、61bが予め設定された範囲内にあり、しかも明点61a、61bの位置が照明装置2a、2bの配置位置と逆の位置関係である場合は、凹欠陥51と判定する。
【0071】
一方、”凸欠陥”については、図11に示すように、照明装置2a及び2bから凸欠陥52への各照明光はクロスせず、照明装置2a及び2bの各位置と反射位置とは位置関係が同じである。従って、位置合わせされたサブピクセル画像62において、各照明装置2a、2bに対応する明点62a、62bが重複せず、かつ各明点62a、62bが予め設定された範囲内にあり、しかも明点62a、62bの位置が照明装置2a、2bの配置位置と同じ位置関係である場合は凸欠陥52と判定する。
【0072】
なお、図10及び図11において、照明装置2aに対応する明点61a、62aをダブルハッチングで、照明装置2bに対応する明点61b、62bを破線ハッチングで示している。図12以降においても同様である。
【0073】
凹欠陥のうち、”傷欠陥”と呼ばれる平面の欠陥53については、図12に示すように、対向して配置された照明装置2a及び2bからの照明光がクロスし、照明装置2a及び2bの各位置と反射位置とは位置関係が逆になる。かつ、傷面の方向が不揃いなため照明装置2aの照明光の反射と照明装置2bの照明光の反射が混在する。ただし、平面は高反射率面であるため各照明光は混合して反射しない。従って、位置合わせされたサブピクセル画像63において、照明装置2aに対応する明点63aと照明装置2bに対応する明点63bが重複せず、かつ各明点63a、63bが混在し、明点63a、63bの位置が照明装置2a、2bの配置位置と逆である場合は、被検査物5の表面に傷欠陥53が存在すると判定する。
【0074】
”ほこり”や”ゴミ”は、表面が拡散反射面であるため、照明装置2a、2bの照明光を拡散反射し、このため、図13のように各照明光は欠陥54により混合して反射される。従って、位置合わせされたサブピクセル画像64において、各照明装置2a、2bに対応する明点64a、64bが重複しているときは、被検査物5の表面にゴミまたはほこりが存在すると判定する。
【0075】
照明装置2a、2bによる各サブピクセル画像はいずれも暗視野画像であり、凹凸欠陥、傷欠陥、ほこり、ゴミ等は白点として現れる。画像上の欠陥候補の検出は以下のようにして行う。
【0076】
即ち、欠陥候補のサイズを画像の面積でW1以上W2以下、輝度をB2以上と設定した時、各サブピクセル画像を共にB2で二値化し、膨張収縮処理で離散画素の集結処理を行う。さらに、画素集合ごとに色分け等によるラベル付けを行う。
【0077】
集合面積SがW1≦S≦W2なるラベルの画素集合のみを残し、そのほかの画素集合を各サブピクセル画像から削除する。W1は単に最小の欠陥サイズを示すのではなく、「欠陥の部分」とみなせる最小サイズを示す。
【0078】
そして、欠陥のサイズを画素数でX以上と定義した時、照明装置2aについてのサブピクセル画像に残る画素集合の各画素の座標Vi(iは画素集合のラベル)を調べ、照明装置2bについてのサブピクセル画像の座標Vi±X/2の範囲内に画素集合がある場合は欠陥とみなし、上述した欠陥分類方法に従って、”ボイド欠陥”、”傷欠陥”、”凸欠陥”、”ほこりまたはゴミ”の4種類に分類する。
【0079】
具体的には、図14に示すように、位置合わせされた、照明装置2aに対応するサブピクセル画像SPbと照明装置2bに対応するサブピクセル画像SPbを、右図のように組み合わせると、各照明装置2a、2bに対応する明点61a、61bが重複せず、かつ各明点61a、61bが座標Vi±X/2の範囲内にあり、しかも明点61a、61bの位置が照明装置2a、2bの配置位置と逆の位置関係であるから、ボイド欠陥と判定する。
【0080】
図15に示すように、位置合わせされた、照明装置2aに対応するサブピクセル画像SPbと照明装置2bに対応するサブピクセル画像SPbを、右図のように組み合わせると、各照明装置2a、2bに対応する明点62a、62bが重複せず、かつ各明点62a、62bが座標Vi±X/2の範囲内にあり、しかも明点62a、62bの位置が照明装置2a、2bの配置位置と同じ位置関係であるから、凸欠陥と判定する。
【0081】
図16に示すように、位置合わせされた、照明装置2aに対応するサブピクセル画像SPbと照明装置2bに対応するサブピクセル画像SPbを、右図のように組み合わせると、各照明装置2a、2bに対応する各明点62a、62bが座標Vi±X/2の範囲内にあり、明点62a、62bが重複することなく混在し、明点63a、63bの位置が照明装置2a、2bの配置位置と逆であるから、傷欠陥と判定する。
【0082】
図17に示すように、位置合わせされた、照明装置2aに対応するサブピクセル画像SPbと照明装置2bに対応するサブピクセル画像SPbを、右図のように組み合わせると、各照明装置2a、2bに対応する明点64a、64bが重複しているから、ゴミまたはほこりと判定する。
【0083】
以上により、移動する被検査物5の表面欠陥を検出判別することができる。
【0084】
検出結果は表示装置6に表示される。表示は、好ましくは、図14図17の右側に示した2つのサブピクセル画像SPa、SPbの位置合わせ後の画像とともに、判別した欠陥の種類や、欠陥毎の座標Vi±X/2の範囲も併せて表示されても良い。
【0085】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることはない。例えば、ラインセンサ1及び照明装置2a、2bを固定し、被検査物5を移動させながら撮影を行う構成としたが、被検査物5を固定し、ラインセンサ1及び照明装置2a、2bを移動させながら撮影を行っても良く、被検査物5とラインセンサ1及び照明装置2a、2bの少なくとも一方が他方に対して相対的に移動していれば良い。
【0086】
また、非検査物5の1撮影あたりの相対的移動距離がAであり、サブピクセル23の長さが2Aである場合を示したが、1つの照明装置について、今回の撮影と前回の撮影とで撮影範囲の重複が生じサブピクセルが形成できれば良い。そのために、非検査物5の1撮影あたりの相対的移動距離は1画素の1/2以下とするのが良い。
【0087】
また、照明装置2a、2bは2つを使用したが、前述したように3つ以上の照明装置を順に切り替えて使用し、各照明装置に対応する3種類以上のサブピクセル画像を比較して欠陥を検出判別する方が、照射光の方向が多様になり、より精度良く表面欠陥を検出判別できる点から望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、正反射性状の強い表面を持つ製品や部品等の被検査物の表面欠陥を判別する際に利用可能である。
【符号の説明】
【0089】
1 ラインセンサ
2a、2b 照明装置
4 ドラムエンコーダ
5 被検査物
6 照明装置
8 照明制御部
9 ラインセンサ制御部
10 コンピュータ
11 ドラム搬送制御部
20 画素
21 第1領域
22 第2領域
23 サブピクセル(第3領域)
30 欠陥
51 凹欠陥(ボイド欠陥)
52 凸欠陥
53 傷欠陥
54 ほこりまたはゴミ
61a~64a 照明装置2aによる明点
61b~64b 照明装置2bによる明点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図17