(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】管理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0645 20230101AFI20240228BHJP
G06Q 10/02 20120101ALI20240228BHJP
G06Q 50/163 20240101ALI20240228BHJP
【FI】
G06Q30/0645
G06Q10/02
G06Q50/163
(21)【出願番号】P 2022099520
(22)【出願日】2022-06-21
(62)【分割の表示】P 2017207329の分割
【原出願日】2017-10-26
【審査請求日】2022-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】得地 賢吾
【審査官】久宗 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-015944(JP,A)
【文献】特開2010-073135(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0307167(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105575167(CN,A)
【文献】特開2012-165166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一空間および第二空間が存在する場所と前記第一空間および前記第二空間の予約者情報と予約の時間帯とを保持するデータベース
手段と、
前記データベース手段に保持された情報から、第一の予約者が予約する前記第一空間の時間帯の次の時間帯の予約情報を取得する予約情報取得手段と、
前記第一の予約者が予約した時間帯以降の前記第一の予約者の延長利用希望を判定する判定手段と、
前記判定手段が前記第一の予約者が延長利用を希望していると判断し、前記予約情報取得手段によって前記次の時間帯に第二の予約者による予約があることを取得した場合、前記データベース手段に保持された第二の予約者情報に基づいて、前記第二の予約者に対して前記第二空間への変更に関する問い合わせを通知する
通知手段と
を
含む管理システム。
【請求項2】
前記データベース手段に保持された情報から、前記第二空間が前記第一空間と同じ地点に設置され
ている場合
には、前記通知手段による通知を省略し、
前記データベース手段に保持された前記第二の予約者の予約を
前記第一空間から前記第二空間に変更する
変更手段を含む、
請求項
1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記通知手段により通知された前記第二の予約者
から、前記第二空間への変更を承諾した
旨の情報を受信した場合、
前記第一空間を利用中の
前記第一の予約者に対し、
前記第一空間の予約の延長
を行う延長制御手段を含む、
請求項1又は2に記載の管理システム。
【請求項4】
コンピュータに、
第一空間および第二空間が存在する場所と前記第一空間および前記第二空間の予約者情報と予約の時間帯とを保持するデータベース
手段と通信する機能と、
前記データベース手段に保持された情報から、第一の予約者が予約する前記第一空間の時間帯の次の時間帯の予約情報を取得する機能と、
前記第一の予約者が予約した時間帯以降の前記第一の予約者の延長利用希望を判定する機能と、
前記第一の予約者が延長利用を希望していると判断し、さらに、前記次の時間帯に第二の予約者による予約があることが取得された場合、前記データベース手段に保持された第二の予約者情報に基づいて、前記第二の予約者に対して前記第二空間への変更に関する問い合わせを通知する機能と
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理システム、装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
空間の利用を予約者に提供するサービスがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空間の利用が予約された時間内に終わらない場合でも、次の時間帯に予約が入っていなければ、予約を延長すれば済む。ただし、予約の延長が必要な場面では重要な作業が行われている可能性が高く、予約の作業が利用者の負担になる。
【0005】
本発明は、利用者が利用中の空間の予約の延長を容易に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、第一空間および第二空間が存在する場所と前記第一空間および前記第二空間の予約者情報と予約の時間帯とを保持するデータベース手段と、前記データベース手段に保持された情報から、第一の予約者が予約する前記第一空間の時間帯の次の時間帯の予約情報を取得する予約情報取得手段と、前記第一の予約者が予約した時間帯以降の前記第一の予約者の延長利用希望を判定する判定手段と、前記判定手段が前記第一の予約者が延長利用を希望していると判断し、前記予約情報取得手段によって前記次の時間帯に第二の予約者による予約があることを取得した場合、前記データベース手段に保持された第二の予約者情報に基づいて、前記第二の予約者に対して前記第二空間への変更に関する問い合わせを通知する通知手段とを含む管理システムである。
請求項2に記載の発明は、前記データベース手段に保持された情報から、前記第二空間が前記第一空間と同じ地点に設置されている場合には、前記通知手段による通知を省略し、前記データベース手段に保持された前記第二の予約者の予約を前記第一空間から前記第二空間に変更する変更手段を含む、請求項1に記載の管理システムである。
請求項3に記載の発明は、前記通知手段により通知された前記第二の予約者から、前記第二空間への変更を承諾した旨の情報を受信した場合、前記第一空間を利用中の前記第一の予約者に対し、前記第一空間の予約の延長を行う延長制御手段を含む、請求項1又は2に記載の管理システムである。
請求項4に記載の発明は、コンピュータに、第一空間および第二空間が存在する場所と前記第一空間および前記第二空間の予約者情報と予約の時間帯とを保持するデータベース手段と通信する機能と、前記データベース手段に保持された情報から、第一の予約者が予約する前記第一空間の時間帯の次の時間帯の予約情報を取得する機能と、前記第一の予約者が予約した時間帯以降の前記第一の予約者の延長利用希望を判定する機能と、前記第一の予約者が延長利用を希望していると判断し、さらに、前記次の時間帯に第二の予約者による予約があることが取得された場合、前記データベース手段に保持された第二の予約者情報に基づいて、前記第二の予約者に対して前記第二空間への変更に関する問い合わせを通知する機能とを実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、利用中空間の予約の延長に関連して、次の利用者の利用に影響を及ぼさないようにできる。
請求項2記載の発明によれば、利用中空間の予約の延長に関連して、次の利用者の利用に影響を及ぼさないようにできる。
請求項3記載の発明によれば、利用中空間の予約の延長に関連して、次の利用者の利用に影響を及ぼさないようにできる。
請求項4記載の発明によれば、利用中空間の予約の延長に関連して、次の利用者の利用に影響を及ぼさないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】管理システムの全体構成の例を概略的に示す図である。
【
図2】ユーザに対して貸し出される時間貸し空間の外観構成例を説明する図である。
【
図3】ユーザ端末のハードウェア構成の例を説明する図である。
【
図4】管理システムを構成するサーバのハードウェア構成の例を説明する図である。
【
図5】管理システムを構成する時間貸し空間の構成例を説明する図である。
【
図6】制御装置のソフトウェア構成の例を説明する図である。
【
図7】延長制御部の制御動作例を説明する図である。
【
図8】利用者の会話の内容の具体例と推定の結果との対応関係の例を示す図である。
【
図9】他の利用者との関係の具体例と推定の結果との対応関係の例を示す図である。
【
図10】利用者の作業の具体例と推定の結果との対応関係の例を示す図である。
【
図11】機器の稼働状況の具体例と推定の結果との対応関係の例を示す図である。
【
図13】次の利用者に予約の変更の承諾を求める場合に用いる操作画面の一例を示す図である。(A)は変更の候補の通知と諾否の入力を受け付ける画面を示し、(B)は変更後の予約の通知に用いる画面の一例を示す。
【
図14】現在の利用者に予約の延長の承諾を求める場合に用いる画面の一例を示す図である。
【
図15】延長後の利用の条件の通知に用いられる画面の一例を示す図である。
【
図16】利用中の時間貸し空間と他の時間貸し空間の位置関係を説明する図である。
【
図17】延長制御部が予約の候補として利用者に提示する際に参照するテーブルの例を示す図である。
【
図18】利用中の時間貸し空間の予約を延長できない場合に他の時間貸し空間の提示に使用される画面の例を示す図である。(A)は他の空間の予約を希望するかを案内する画面を示し、(B)は評価が1位の空間の候補を提示する画面を示し、(C)は評価が2位の空間の候補を提示する画面を示す。
【
図19】管理システムの他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
<実施の形態1>
<管理システムの全体構成>
通信速度の向上や通信端末の小型化に伴い、オフィス外でも各種の情報にアクセスできる環境が整っている。一方で、ビジネス上の会話や情報は秘匿性が高いため、静かでセキュアな環境が求められている。
本実施の形態では、これらの要望を満たす空間を提供するための管理システムについて説明する。もっとも、以下に説明する空間は、ビジネス用途に限るものでなく、個人での利用も可能である。
【0010】
図1は、管理システム1の全体構成の例を概略的に示す図である。
図1に示すように、管理システム1は、クラウドネットワーク2に接続された各種の端末で構成される。
図1には、管理システム1を構成する端末の例として、複数台の時間貸し空間3と、時間貸し空間3を利用する個々のユーザが携帯する複数台のユーザ端末4と、個々の時間貸し空間3の予約を管理する予約管理サーバ5と、個々の時間貸し空間3の利用の状況を管理する空間管理サーバ6と、利用者に対する請求を管理する請求管理サーバ7と、時間貸し空間3を利用できる会員の情報を管理する会員管理サーバ8とが示されている。
なお、本実施の形態における時間貸し空間3は、保守等で使用される時間を除き、24時間365日の利用が可能である。
【0011】
図1の場合、目的別(機能別)に1台のサーバが用意されているが、目的別に複数台のサーバを用意してもよい。また、1台のサーバで複数の目的(機能)を分担してもよい。
時間貸し空間3の時間貸しサービスを提供する事業者は、単独でも複数でもよい。例えば予約の管理、入退室や室内の利用状況などの管理、ユーザに対する利用料金の請求に関する管理、利用者として登録されている会員の管理のそれぞれを異なる事業者が分担してもよい。なお、1つの目的(機能)についての管理を複数の事業者が協働で提供してもよい。
また、1つの目的(機能)に対して複数のサーバを用意してもよい。単独の事業者が1つの目的(機能)に対して複数のサーバを用意する場合や複数の目的(機能)に対応する複数のサーバを用意する場合には、イントラネットを介して接続すればよい。
また、時間貸し空間3も単独の事業者が提供する場合だけでなく、複数の事業者によって提供されてもよい。
すなわち、管理システム1は、複数の事業者が提供するサービスの集合体として実現されてもよい。
【0012】
本実施の形態においては、施錠や解錠に電子鍵を使用する。電子鍵は、ユーザ端末4や不図示の近距離無線通信に対応したIC(Integrated Circuit)カードに格納する。ユーザ端末4を電子鍵として使用する場合には、予約の確定後に、予約管理サーバ5からユーザ端末4に電子鍵が提供される。ICカードを電子鍵として使用する場合には、予約の確定後に、電子鍵を記録したICカードが予約管理サーバ5から配布される。
電子鍵の場合には、施錠や解錠を有効に行える時間を自由に定めることができる。また、1つの時間貸し空間3の利用に必要な電子鍵を同じ時間帯に対して複数発行することもできる。
なお、物理的な鍵を予約された時間別に複数用意し、時間貸し空間3を施錠し又は解錠できるようにしてもよい。また、利用者の認証を鍵の代わりに使用してもよいし、電子鍵や物理的な鍵を補足する手段として使用してもよい。
【0013】
予約管理サーバ5は、例えば利用可能な時間貸し空間3を登録した登録リスト51と、個々の時間貸し空間3の利用を希望する予約者の割り当てを管理する予約リスト52を管理する。
本実施の形態の場合、予約管理サーバ5は、保守等に確保された時間を除き、24時間365日、時間貸し空間3の予約を受け付ける。また、必要に応じて、ユーザ端末4に対する電子鍵の発行や認証の処理を実行する。なお、認証の処理は空間管理サーバ6の側で行ってもよい。
【0014】
空間管理サーバ6は、例えば個々の時間貸し空間3への入退出の情報を管理する情報61と、個々の時間貸し空間3の利用状況の情報62を管理する。また、空間管理サーバ6は、時間貸し空間3に配置されている認証ユニット32A(
図2参照)と通信し、利用者の入室を許可するか否かを管理する機能も有している。認証に際し、空間管理サーバ6は、予約管理サーバ5と通信する。
この他、空間管理サーバ6は、時間貸し空間3内に配置されている各種の機器31からの情報の収集や各種の機器31の制御を実行する機能を有している。
図1の例では、空間管理サーバ6はクラウドネットワーク2に接続されているが、機能の一部又は全部が、時間貸し空間3に収容されていてもよい。
【0015】
請求管理サーバ7は、予約情報と、利用者の情報と、入退出の情報等に基づいて会員別(自然人の場合もあれば法人の場合もある)に請求書を発行する機能を有している。請求管理サーバ7は、予約管理サーバ5から予約情報を取得し、空間管理サーバ6から入退出の情報を取得し、会員管理サーバ8から会員情報を取得する。
会員管理サーバ8は、登録されている会員の情報と利用者の情報とを管理する。会員が自然人の場合には、会員と利用者は一致する。一方、会員が法人の場合には、会員別に個々の利用者が登録され、管理される。
【0016】
図2は、ユーザに対して貸し出される時間貸し空間3の外観構成例を説明する図である。
本実施の形態における時間貸し空間3は、例えば駅の構内、空港、オフィスビル、飲食店やデーパート等の商業施設、銀行、図書館、美術館、博物館、公共機関や施設、連絡通路、公園等、室内外を問わずに配置される。
本実施の形態では、時間貸し空間3として防音性に優れた小部屋を想定する。この意味で、時間貸し空間3は、閉鎖型の空間の一例である。本実施の形態において、閉鎖型とは、密閉の意味ではなく、実用的な防音性能を備える意味で使用する。従って、通気口や小窓等の開口や隙間が、時間貸し空間3を構成する躯体30の一部分に設けられていてもよい。
【0017】
本実施の形態における躯体30は、天井30Aと、床面30Bと、開閉可能な扉32が取り付けられている壁面30Cと、壁面30Cの両側に位置する2つの壁面30D及び30Eと、扉32の対面側に位置する壁面30Fとで構成される。
本実施の形態の場合、扉32として、1枚の扉部材が弧を描くように開閉する片開きの開き戸を想定する。もっとも、扉32は、1つの開口部を2枚の扉部材で仕切る両開きの開き戸でもよい。
また、扉32は、引き戸でもよい。引き戸は、1枚の扉をスライドする片引きタイプでも、2枚以上の扉を行き違わせて開閉する引き違いタイプでも、2枚の扉を左右にスライドする引き分けタイプでもよい。
また、扉32は、蝶番で連結された2枚1組の扉部材を折り畳むように開く折れ戸でもよい。折れ戸にも、片方にのみ開くタイプと、両方向に開くタイプがある。
また、特殊なタイプとして、収納時に扉32が壁の中に引き込まれる引き込み戸や間仕切り戸であってもよい。
なお、扉32は内開きでも外開きでも構わない。
【0018】
本実施の形態の場合、壁面30D及び30Eの一部は、例えば透光性の部材(例えばガラス、アクリル樹脂)で構成される。
もっとも、壁面30D及び30Eの少なくとも一部には、目隠し(外部から室内の観察を難しくする又は視認性を低下させる)の機能を実現する構造、材質、加工などが採用されていてもよい。
例えば壁面30D及び30Eの材質自体が半透明の部材でもよいし、光が散乱するように部材の表面に細かい傷がつけられた部材でもよいし、同等の機能を備えるフィルム状の部材が貼り付けられていてもよい。なお、フィルム状の部材は、透過と白濁を電気的に切り替え可能な液晶フィルムや透過率を電気的に制御可能な偏光フィルムでもよい。
また、目隠しのための構造や部材が別に用意されていてもよい。もっとも、壁面30D及び30Eも、他の面と同じく光を通さない部材で構成されてもよい。もっとも、3面以上が透明又は半透明の部材で構成されていてもよい。
【0019】
時間貸し空間3の利用人数は、時間貸し空間の容積によっておおよそ決まる。本実施の形態では、基本的に1人が使用する個室型を想定しているが、多人数を収容可能な大部屋でもよい。大部屋は単独の部屋として構成されていてもよいが、時間貸し空間3の壁面30D及び30Eの一方又は両方を取り除いて連結して構成されていてもよい。
なお、個室型とは1人しか利用できない意味ではなく、少人数、例えば2~3人の利用が可能な意味で使用する。
個々の時間貸し空間3を構成する躯体30の形状や構造、提供される設備や性能は任意である。
本実施の形態の場合、躯体30の内部には、机33と椅子34が1つずつ配されている。また、机33の上には、機器31の一例である印刷装置31D、コンピュータ本体31E、表示デバイス31F、入力デバイス31Gが配されている。なお、コンピュータ本体31Eに記憶されているデータや履歴の情報は、システム側の制御によって、利用の終了後に全て消去される。利用者の情報を保護するためである。
【0020】
この他、機器31として、空調装置31A、人感センサ31B、室内の照明に使用される照明器具31C、機器31を含む電子機器の動作を制御する制御装置31H、認証ユニット32Aが配置される。
なお、機器31として例示した具体的な電子機器は一例である。例えば机33の上に配されている印刷装置31D、コンピュータ本体31E、表示デバイス31F、入力デバイス31Gは設置されていなくてもよい。そのような場合は、利用者のコンピュータやスマートフォンが用いられる。
【0021】
ここでの時間貸し空間3の全体(躯体30を含む)又は制御装置31Hは、特許請求の範囲における装置の一例である。制御装置31Hは、特許請求の範囲における制御手段の一例でもある。
また、ユーザ端末4、予約管理サーバ5、空間管理サーバ6、請求管理サーバ7、会員管理サーバ8も、特許請求の範囲における装置の一例である。
また、管理システム1は、特許請求の範囲における管理システムの一例である。
【0022】
<端末の構成>
図3~
図5を使用して、管理システム1を構成する端末の構成例を説明する。
図3は、ユーザ端末4のハードウェア構成の例を説明する図である。
本実施の形態では、ユーザ端末4として、例えばスマートフォンを使用する。
ユーザ端末4は、ファームウェアやアプリケーションプログラムの実行を通じて各種の機能を提供するCPU(Central Processing Unit)41と、ファームウェアやBIOS(Basic Input Output System)を格納する記憶領域であるROM(Read Only Memory)42と、プログラムの実行領域であるRAM(Random Access Memory)43を有している。
また、ユーザ端末4は、ダウンロードしたアプリケーションプログラムや電子鍵等を記憶する揮発性の記憶装置44と、外部との通信に使用される通信インタフェース(通信IF)45と、タッチパネル等の入力デバイス46と、情報の表示に使用される表示デバイス47と、撮像カメラ48とを有している。記憶装置44には、例えば半導体メモリが用いられる。
ここで、CPU41と各種のデバイスはバス49を通じて接続されている。
【0023】
図4は、管理システム1を構成するサーバのハードウェア構成の例を説明する図である。
図4では、予約管理サーバ5の構成を代表的に表している。もっとも、他のサーバ、すなわち、空間管理サーバ6、請求管理サーバ7、会員管理サーバ8の構成も
図4に示す構成と同様である。
予約管理サーバ5は、オペレーションシステムやアプリケーションプログラムの実行を通じて各種の管理機能を提供するCPU51Aと、オペレーションシステムやBIOSを格納する記憶領域であるROM52Aと、プログラムの実行領域であるRAM53を有している。
また、予約管理サーバ5は、担当する管理機能を実現するアプリケーションプログラムや各種の管理データを記憶する揮発性のハードディスクドライブ(HDD)54と、外部との通信に使用される通信インタフェース(通信IF)55と、キーボード等の入力デバイス56と、情報の表示に使用される表示デバイス57とを有している。
ここで、CPU51Aと各種のデバイスはバス58を通じて接続されている。
なお、各サーバは、管理データを保持するデータベースの一例である。
【0024】
図5は、管理システム1を構成する時間貸し空間3の構成例を説明する図である。
時間貸し空間3は、空調装置31A、人感センサ31B、照明器具31C、印刷装置31D、コンピュータ本体31E、表示デバイス31F、入力デバイス31G、制御装置31H、認証ユニット32Aを有している。
ここで、空調装置31Aは、室内の気温や湿度の調整に使用される。なお、空調装置31Aと共に、又は、空調装置31Aとは別に換気に特化した機構を設けてもよい。
人感センサ31Bは、室内の人の検知に用いられるセンサであり、様々なタイプが存在する。例えば人の動きを検知可能な焦電型赤外線人感センサ、人の数と位置を検知可能な画像型人感センサやサーモパイル型人感センサがある。目的に応じて、これらのセンサのうちのいずれか、または、複数を組み合わせて使用する。
【0025】
印刷装置31D、コンピュータ本体31E、表示デバイス31F、入力デバイス31Gは、利用者の操作用に予め室内に用意されている情報機器の一例である。これらはLAN(Local Area Network)31V(例えばLANケーブルや無線LAN)を通じて接続されている。なお、利用者がコンピュータを持ち込む場合には、持ち込まれたコンピュータがLAN31Vに接続される。無線LANには、例えばWiFi(商標)やブルートゥース(登録商標)が用いられる。
制御装置31Hは、LAN31Vに接続された機器から情報を収集すると共に、個々の機器の動作を制御する制御用のコンピュータである。なお、制御装置31Hは、管理システム1によっては、空間管理サーバ6としての機能を提供することもある。
認証ユニット32Aは、例えば扉32に取り付けられている。認証ユニット32Aは、扉32の施錠や解錠に必要となる情報の取得や受け渡しに使用される。例えば認証の処理は、予約管理サーバ5で実行され、認証の結果だけが認証ユニット32Aに通知される。認証ユニット32Aは、認証が成功した場合、扉32を解錠する。解錠の後、扉32の開閉が可能になり、時間貸し空間3(
図2参照)への入室が可能になる。
【0026】
この他、時間貸し空間3には、外部との通信用の通信インタフェース(通信IF)31Iが用意されている。通信IF31Iは、クラウドネットワーク2(
図1参照)に接続されており、各種のサーバとの通信に使用される。
時間貸し空間3には、扉32の開閉を機械的に制御する扉開閉機構31Jが用意されている。扉開閉機構31Jには、例えば扉32を駆動して開閉する機構や利用者による扉32の開閉操作に介在して開閉に要する負荷の大きさを調整する機構が含まれる。
時間貸し空間3には、開閉ロック機構31Kが用意されている。開閉ロック機構31Kは、利用者による扉32の開閉を制限する機構である。開閉ロック機構31Kが作動している間、少なくとも扉32を閉じる操作が制限される。
【0027】
時間貸し空間3には、室内や室外における利用者の動きの監視に用いる監視カメラ31Lが用意される。もっとも、監視カメラ31Lは必須ではない。
時間貸し空間3には、表示デバイス31Mが用意される。本実施の形態における表示デバイス31Mは、例えば扉32が設けられている壁面30Cの外側に配置され、入室しようとする利用者の操作用や情報の提供用に使用される。また、表示デバイス31Mは、時間貸し空間3を利用している利用者の操作用や情報の提供用に使用される。
時間貸し空間3には、スピーカ31Nが用意される。スピーカ31Nは、室内の利用者に対する情報の報知や室外にいる人への情報の報知に使用される。スピーカ31Nは報知手段の一例である。
時間貸し空間3には、集音マイク31Oが用意される。集音マイク31Oは、室内の音の取得に使用される。
【0028】
時間貸し空間3には、温度センサ31Pが用意される。温度センサ31Pは、室内の気温の測定に使用される。
時間貸し空間3には、湿度センサ31Qが用意される。湿度センサ31Qは、室内の湿度の測定に使用される。
時間貸し空間3には、マグネットセンサ31Rが用意される。マグネットセンサ31Rは、扉32に取り付けられており、磁力の検知を通じて扉32の開閉を検知する。
時間貸し空間3には、加速度センサ31Sが用意される。加速度センサ31Sは、モノの動きの検知に使用される。
【0029】
時間貸し空間3には、マットセンサ31Tが用意される。マットセンサ31Tは、モノの重さを検知して人の滞在時間や混雑状況の可視化に使用される。
時間貸し空間3には、空気環境モニタ31Uが用意される。空気環境モニタ31Uは、室内の空気に含まれる成分を検知するセンサであり、例えばPM2.5やPM10の濃度、二酸化炭素の濃度、温度、湿度、揮発性有機化合物の濃度などを測定する。なお、測定対象はこれらの全てである必要はないし、他の成分も測定対象であってもよい。空気環境モニタ31Uによって温度や湿度を測定可能な場合、温度センサ31Pと湿度センサ31Qを別に設ける必要はない。
【0030】
<制御機能>
ここでは、
図6を使用して、管理システム1を構成する端末のいずれかにより、又は、複数の端末の協働により実現される制御機能について説明する。
ここでは、制御装置31Hが単独で制御機能を提供する場合について説明する。
図6は、制御装置31Hのソフトウェア構成の例を説明する図である。
制御装置31Hはプログラムの実行を通じて該当する機能を実現する。
本実施の形態に係る制御装置31Hは、時間貸し空間3(
図2参照)を利用している利用者が予約された時間内に退出しないと推測され、かつ、時間貸し空間3についての次の予約が特定の条件を満たす場合、少ない作業負担で現在の予約を延長する延長制御部101を有している。なお、延長制御部101は、必要に応じて他の時間貸し空間3の利用を予約する機能も実行する。
ここでの延長制御部101は、特許請求の範囲における延長手段の一例である。
【0031】
本実施の形態における延長制御部101は、複数の機能で構成される。
例えば延長制御部101は、延長の必要性の有無を推測する延長推定部102と、時間貸し空間3の予約の情報を取得する予約情報取得部103と、再予約を含む延長に伴う各種の処理を実行する延長実行部104と、延長を行えない場合に他の時間貸し空間3を予約するための各種の処理を実行する予約処理部105とで構成される。
【0032】
延長推定部102は、利用者による利用の状況に基づいて、延長の必要性の有無を推定する。ここでの推定は、予約の残り時間が予め定めた時間(例えば5分)以下になると実行される。
利用の状況を表す情報は、例えば監視カメラ31Lから出力される撮像データ、集音マイク31Oから出力される音響データ、通信相手がいる場合には相手側の撮像データや音声データ、時間貸し空間3に備えられている機器31(
図1参照)の稼働の状況等から取得される。これらの情報の取得は、時間貸し空間3に利用者がいる間中行われてもよい。
【0033】
推定には、これらの情報のうちいずれか1つを用いてもよいし、複数を用いてもよい。複数の情報を組み合わせて解析する場合には、情報毎に重みを付けてもよい。重みの値は、過去に取得された情報の履歴と利用者が選択した行動(例えば延長か否か)の学習の結果を反映してもよい。学習は、利用者別に行ってもよいし、不特定の利用者を母集団として行ってもよい。
【0034】
なお、予約の残り時間が少なくなっていることの報知や予約の延長を希望するか否かの確認には、スピーカ31N(
図5参照)や表示デバイス31M(
図5参照)が用いられる。この他、机33(
図2参照)に設置されている表示デバイス31F(
図5参照)やユーザ端末4(
図1参照)も報知に用いられる。
なお、利用者の入力には、表示デバイス31M、表示デバイス31F、ユーザ端末4も用いられる。
【0035】
<制御例>
以下では、延長制御部101(
図6参照)の制御を通じて実現される制御の例を説明する。
図7は、延長制御部101の制御動作例を説明する図である。
まず、延長制御部101は、予約の残り時間が基準値以下か否かを判定する(ステップ11)。例えば残り時間が5分以下か否かが判定される。ステップ11で否定結果が得られている間、この判定の処理が繰り返される。一方、ステップ11で肯定結果が得られた場合、延長制御部101は、利用者が時間内に退出するか否かを推定する(ステップ12)。
図8~
図11に、本実施の形態で使用する推定の手法の一例を示す。
図8は、利用者の会話の内容の具体例と推定の結果との対応関係の例を示す図である。
一般には、利用者が活動的である場合(例えば会話が活発な場合)、延長の可能性が高い。
図8には、会話が活発な状態の例として、会話の応答が途切れない(換言すると、継続している)場合、会話の音量が大きくなっている場合、会話の量が増えた場合、声の周波数が高い場合を例示している。
これらの情報に基づく推定には、複数の区間の平均値を用いてもよい。
また、先の時点における情報との比較により推定を行っても良い。会話の音量、会話の量、声の周波数などは個人差も大きいため、利用中の変化の観点から推定することで推定の精度を高めることができる。
なお、締めくくりの言葉が発せられた場合は延長の可能性が低いと推定される。
図8では、「お疲れ様でした」や「次回は〇〇で開催しましょう」を例示している。
【0036】
図9は、他の利用者との関係の具体例と推定の結果との対応関係の例を示す図である。
利用者に相手(他の利用者)がいる場合には、他の利用者の状況が利用者による延長の推定にも役に立つ。
一般に、他の利用者が活動的である場合や予約を延長した場合には、利用者も延長する可能性が高い。
図9には、他の利用者が活動的である例として、会話が途切れない場合、作業を継続している場合を例示している。
なお、他の利用者が帰り支度(例えば鞄にノートやパソコンを入れる)を始めた場合には延長の可能性が低いと推定される。
【0037】
図10は、利用者の作業の具体例と推定の結果との対応関係の例を示す図である。
例えば利用者によるパソコンへの入力作業が続いている場合は、延長の可能性が高い。なお、入力作業の対象はパソコンに限らない。スマートフォンその他の電子機器への入力作業やノートなどの非電子機器への入力作業も含まれる。また、作業が多ければ入力作業に限らない。
図11は、機器の稼働状況の具体例と推定の結果との対応関係の例を示す図である。時間貸し空間3に備えられている機器31(
図1参照)の稼働率が高い場合やネットワークの負荷が大きい場合には、延長の可能性が高いと推定される。なお、空調装置31A(
図5参照)の稼働率は外気温や湿度の影響を受けやすく、心地よく感じる温度や湿度も個人差が比較的大きいため、推定に使用する情報から除くか、推定への影響の度合いを他の情報に比して小さくすることが望ましい。
【0038】
図7の説明に戻る。
推定の結果が得られると、延長制御部101は、推定の結果が「退出しない」であるか否かを判定する(ステップ13)。
退出すると推定された場合、延長制御部101は、ステップ13で否定結果を得て処理を終了する。
退出しないと推定された場合、延長制御部101は、ステップ13で肯定結果を得てステップ14に進み、次の予約が特定の条件を満たすか否かを判定する。
現在の利用者についての推定が「退出しない」であっても、予約の時間の終了後からすぐに次の予約が始まる場合や次の予約が開始されるまでの空き時間が運用上許容する時間よりも短い場合には、予約を延長できないためである。
【0039】
すなわち、実際に予約が延長されるには、予約の延長が可能な環境が整っていることが必要になる。この実施の形態では、予約の延長が可能な環境を特定の条件という。
特定の条件の例には、例えば次の予約が開始されるまでの間に予め定めた時間以上の空き時間が存在することがある。
図12は、延長可能な時間を説明する図である。
図12の例では、ある場所(地点)に設置されている時間貸し空間3(空間#1)を13時から14時までの間、Aさんが予約し、15時から15時30分までの間、Bさんが予約している。
【0040】
この場合、Aさんは15時までの空間#1の利用を延長できるのではなく、予め定めた時間の一例である準備のための時間T0を除いた時間だけ延長が可能とされる。
準備のための時間T0は、時間貸し空間3の次の利用者であるBさんに対して快適な環境を提供するために必要な時間を含んでいる。準備のための時間T0は、時間貸し空間3内の空気の質を改善するのに要する時間を参考に事業者によって設定される。この時間は、空調装置31A(
図5参照)の処理能力によっても変動する。なお、単なる換気でもよい。
【0041】
この他、特定の条件の例には、次の予約者に代替的に提供可能な空間が同じ場所に存在する場合がある。時間貸し空間3が同じ場所に複数設置されている場合に、次の利用者の予約を同じ場所の別の時間貸し空間3に割り当てることができれば、現在の利用者の予約を延長しても、次の利用者の利便性に影響を与えずに済むためである。
また、特定の条件の例には、次の予約者が予約されている空間の変更に承諾した場合がある。予約の時間が迫っている時点での別の場所に設置されている時間貸し空間3への予約の変更は、次の利用者に負担を掛けることになるが、次の利用者の承諾を得られるのであれば選択肢の一つである。
【0042】
図13は、次の利用者に予約の変更の承諾を求める場合に用いる操作画面の一例を示す図である。(A)は変更の候補の通知と諾否の入力を受け付ける画面111を示し、(B)は変更後の予約の通知に用いる画面121の一例を示す。
なお、
図13では、現在の利用者がA地点の空間#1を13時から14時まで予約しており、次の利用者が同じA地点の空間#1を14時から15時まで予約している場合を想定している。
画面111は、次の利用者が操作するユーザ端末4(
図1参照)に表示される。
【0043】
図13に示す画面111では、他の候補として同じ地点の並びの空間が利用可能であることを示す文面112と、変更を許可するボタン113と、変更を拒否するボタン114とが配置されている。
なお、同じ地点内での移動は、使用可能な設備などの条件が同じであれば次の利用者に与える不利益を考えなくてもよいので、画面111の通知を省略してもよい。
画面121には、変更後の予約の内容を示す文面122が配置されている。この例では、変更があった項目に「(変更)」と記載されている。
ただし、現在の利用者が延長を望まない可能性があるので、予約の変更の確定と通知は、後述するステップ17(
図7参照)で実行してもよい。
【0044】
図7の説明に戻る。
ステップ14で肯定結果が得られた場合、延長制御部101は、現在の利用者が事前に延長の許可の設定を行っていないか否かを判定する(ステップ15)。この事前の設定は、例えば予約の際に入力可能な項目の1つに含まれている。
ステップ15で肯定結果が得られた場合、延長制御部101は、利用者が延長を希望するか否かを判定する(ステップ16)。
ステップ16では、利用者による延長の可否を問い合わせる。ここまでの処理は推定に基づいて進行しているためであり、予約が延長されると課金を伴うためでもある。
【0045】
図14は、現在の利用者に予約の延長の承諾を求める場合に用いる画面131の一例を示す図である。
この画面131は、現在の利用者が操作するユーザ端末4(
図1参照)や時間貸し空間3内に設置されている表示デバイス31F、31M(
図5参照)に表示される。また、スピーカ31N(
図5参照)も用いられる。
画面131には、予約の延長が可能であること、延長を希望するかを問い合わせる文面132と、変更を許可するボタン133と、変更を拒否するボタン134とが配置されている。
【0046】
図7の説明に戻る。
ステップ16で否定結果が得られた場合、延長制御部101は、予約を延長せずに処理を終了する。
一方、ステップ16で肯定結果が得られた場合、延長制御部101は、予約を延長し、延長されたことを利用者に通知する(ステップ17、18)。
ステップ17における予約を延長する処理では、延長制御部101が予約管理サーバ5(
図1参照)と通信し、新たな予約の候補として確保されている時間帯の予約を確定する。
なお、予約の延長は、予め定めた時間の単位(例えば10分)ごとに実行してもよいし、利用者が入力又は選択した時間を単位として実行してもよいし、予め定めた金額の上限の範囲(例えば1000円)内で実行してもよい。
【0047】
ステップ18では、延長後の利用の条件が通知される。
図15は、延長後の利用の条件の通知に用いられる画面141の一例を示す図である。
図15に示す画面141では、予約を延長したこと、延長された時間を示す文面142が示されている。
図15の例では、現在の利用者の予約が14時から30分延長されている。
【0048】
図7の説明に戻る。
以下では、前述のステップ14で否定結果が得られた場合について説明する。
この場合は、次の予約が特定の条件を満たさないために、同じ時間貸し空間3に対する予約を延長できない場合である。
まず、延長制御部101は、他の時間貸し空間3を予約するか否かを判定する(ステップ19)。
【0049】
ステップ19で否定結果が得られた場合、延長制御部101は、他の空間を予約せずに処理を終了する。
一方、ステップ19で肯定結果が得られた場合、延長制御部101は、現在の予約の条件などを参考に、予約が可能な他の空間の候補を提示する(ステップ20)。その後、利用者が指定した空間の予約を確定する(ステップ21)。
【0050】
この予約に関連する処理動作を、
図16~
図18を使用して説明する。
図16は、利用中の時間貸し空間3と他の時間貸し空間3の位置関係を説明する図である。
図16においては、時間貸し空間3が配置されている地点A~Dを丸印で示している。各地点には1つ又は複数の時間貸し空間3が配置されている。なお、各地点に配置されている時間貸し空間3の個数は様々である。
また、
図16では、地点Aに配置されている4つの時間貸し空間のうちの1つ(空間#1)が利用者によって利用されているものとして表している。
この場合、地点Aから地点Bまでの距離は徒歩10分、地点Aから地点Cまでの距離は徒歩50分、地点Aから地点Dまでの距離は徒歩30分である。
【0051】
図17は、延長制御部101(
図6参照)が予約の候補として利用者に提示する際に参照するテーブル151の例を示す図である。
このテーブル151には、ステップ19(
図7参照)を実行する時点で予約可能な時間貸し空間3の一覧を表示している。
図17の例では、地点Aの2つの時間貸し空間3と、地点B~Dについて各1つの時間貸し空間3が予約の候補として抽出されている。
このテーブル151は、移動先までの距離(又は時間)152と、移動に要する費用153と、予約可能な時間154と、設備155と、不図示の項目と、総合的な評価156とで構成される。
【0052】
この例の場合、移動先までの距離152を時間で表示する場合には例えば分速として80mを使用する。もっとも、分速はゆっくり、標準、早歩きなどの設定に応じて変更してもよい。また、移動先までの距離152は現在地からの直線距離を用いてもよいし、道沿いの実距離でもよい。
また、移動に要する費用153は、交通機関を利用した場合の費用を用いる。予約可能な時間154は、現地に着いてから利用可能な時間である。設備155に限定した評価は、利用中の時間貸し空間3を予約する際に利用者が入力した希望の条件との一致の具合であってもよいし、利用中の時間貸し空間3に設けられている設備との一致の具合であってもよい。
【0053】
図17の例では、移動の距離と費用が小さく済む地点Aの時間貸し空間3(#2)が1位として評価されている。次に、地点Bの時間貸し空間3(#4)が2位として評価されている。この際、利用中の時間貸し空間3と同じ地点(この例では地点A)の他の時間貸し空間3を別の地点よりも優先してもよい。
なお、通信の相手がおり、かつ、他の利用者も別の時間貸し空間3への移動が必要とされる場合には、全員の移動に要する費用が小さくなるように候補の評価を行ってもよい。法人の利用の場合には、移動に要する費用は立替えになるため、全体の費用が小さくなるように候補の評価を決める方が経済上の合理性がある。
【0054】
図18は、利用中の時間貸し空間3の予約を延長できない場合に他の時間貸し空間3の提示に使用される画面の例を示す図である。(A)は他の空間の予約を希望するかを案内する画面161を示し、(B)は評価が1位の空間の候補を提示する画面171を示し、(C)は評価が2位の空間の候補を提示する画面181を示す。
ここで、画面161には、現在の予約が終了する時刻と、他の空間の予約が可能であること、予約を希望するかを含む文面162と、希望する場合に操作するボタン163と、希望しない場合に操作するボタン164とが配置されている。
【0055】
評価が1位の候補の提示に用いられる画面171は、地点Aの空間#2を14時から14時30分まで予約できることを示す文面172と、予約用のボタン173と、予約しない場合のボタン174とが配置されている。
評価が2位の候補の提示に用いられる画面181は、地点Bの空間#4を14時から14時50分まで予約できることを示す文面182と、予約用のボタン183と、予約しない場合のボタン184とが配置されている。
ここで、予約用のボタン173又は183がクリックされると、予約が確定される。また、予約しない場合のボタン174又は184がクリックされると、次の候補の内容を提示する画面に切り替わる。
本実施の形態の場合には、評価が高い候補から順番に利用者に提示されているが、複数の候補を一覧表形式で表示してもよい。
【0056】
以上説明したように、本実施の形態の手法を用いれば、予約の延長に必要な作業上の負担を軽減できる。このため、会話や作業が活発になっている状況でも、利用者は会話や作業に集中したまま予約を延長できる。
また、延長制御部101による予約の延長の確定には、利用者の設定や指示を必要とするため、利用者の望まない延長を避けることができる。
また、本実施の形態の手法を用いれば、次の利用者に影響を及ぼさないように現在の利用者の予約を延長できる。
また、予約を延長できない場合でも、延長制御部101によって他の時間貸し空間3の候補が提示されるので、利用者は会話や作業に集中したまま別の時間貸し空間3を予約できる。すなわち、利用者に作業上の負担を軽減できる。
【0057】
<他の実施形態>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上述の実施の形態に記載の範囲には限定されない。上述の実施の形態に、種々の変更又は改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
例えば管理システム1(
図1参照)は前述した構成に限らない。
図19は、管理システム1Aの他の構成例を示す図である。
図19には、
図1と対応する部分に対応する符号を付して示している。管理システム1Aは、複数の時間貸し空間3を管理する拠点サーバ191を用いる点で管理システム1(
図1)と異なっている。コンピュータの構成を有する拠点サーバ191は、プログラムの実行を通じて延長制御部101(
図6参照)の機能を実行してもよい。この意味において、拠点サーバ191は、特許請求の範囲における装置の一例である。
【0058】
前述の実施の形態においては、時間貸しされる空間として
図2に示すように防音性能を備える小部屋を想定したが、利用の際に同様の状況が起こり得る空間であれば、例えば貸し会議室、学習室、各種の客室にも適用できる。
前述の実施の形態では、扉32が施錠可能な場合を前提に説明しているが、前述した制御機能は、扉32が施錠できない場合にも利用できる。
前述の実施の形態では、時間貸しされる空間を前提としているが、必ずしも時間単位で貸し出される空間でなくてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1、1A…管理システム、2…クラウドネットワーク、3…時間貸し空間、4…ユーザ端末、5…予約管理サーバ、6…空間管理サーバ、7…請求管理サーバ、8…会員管理サーバ、101…延長制御部、102…延長推定部、103…予約情報取得部、104…延長実行部、105…予約処理部